(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】シングルエンド差動変換マイクロフォン回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20241112BHJP
H03F 1/26 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H03F3/45
H03F1/26
(21)【出願番号】P 2022579859
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022093937
(87)【国際公開番号】W WO2023201824
(87)【国際公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202210410727.1
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 冬
(72)【発明者】
【氏名】チュア,ティオンキー
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-028515(JP,A)
【文献】特開2018-164307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0015919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0056671(US,A1)
【文献】中国実用新案第204613244(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/45
H03F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルエンド差動変換マイクロフォン回路であって、
第1バイアス電圧を入力するための給電端と、マイクロフォン容量と、結合容量と、第1初段増幅器と、第2初段増幅器と、信号処理モジュールと、電流共用増幅器と、プラス端帰還抵抗と、プラス端帰還容量と、マイナス端帰還抵抗と、マイナス端帰還容量とを備え、前記マイクロフォン容量は、マイクロフォンが前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路に接続されて等価的に形成されるものであり、
前記給電端は、前記マイクロフォン容量のバイアス電圧入力端に接続され、前記マイクロフォン容量の出力端は、前記第1初段増幅器の入力端に接続され、
前記結合容量の正極は、接地され
、前記結合容量の負極は、前記第2初段増幅器の入力端に接続され、
前記第1初段増幅器の出力端及び第2初段増幅器の出力端は、それぞれ前記信号処理モジュールのプラス入力端及びマイナス入力端に接続され、前記信号処理モジュールのプラス出力端及びマイナス出力端は、それぞれ前記電流共用増幅器のプラス入力端及びマイナス入力端に接続されて、前記信号処理モジュールにより前記第1初段増幅器及び前記第2初段増幅器の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整し、かつ前記目標差動信号を前記電流共用増幅器に出力し、
前記プラス端帰還抵抗と前記プラス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のプラス入力端とマイナス出力端との間に並列に接続され、前記マイナス端帰還抵抗と前記マイナス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のマイナス入力端とプラス出力端との間に並列に接続される、ことを特徴とするシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項2】
前記信号処理モジュールは、信号逓倍器を備え、前記信号逓倍器は、
前記第1初段増幅器の出力信号から前記第2初段増幅器の出力信号を減算し、差分信号を得ること、
前記差分信号を反転処理して差分反転信号を得て、前記差分信号と前記
差分反転信号が前記目標差動信号を構成すること、および、
前記差分信号を前記信号処理モジュールのプラス出力端から出力し、前記
差分反転信号を前記信号処理モジュールのマイナス出力端から出力することに用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項3】
前記信号逓倍器は、4つのスイッチトキャパシタを備え、各前記スイッチトキャパシタは、2つの第1スイッチ、2つの第2スイッチ及び1つのコンデンサを備え、前記4つのスイッチトキャパシタは、それぞれ第1スイッチトキャパシタ、第2スイッチトキャパシタ、第3スイッチトキャパシタ及び第4スイッチトキャパシタであり、
前記第1スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより入力コモンモード電圧に接続され、
前記第2スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、
前記第3スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
前記第4スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
すべての前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、設定されたクロック信号によって制御されて、前記クロック信号が第1位相である場合、すべての前記第1スイッチが閉成され、すべての前記第2スイッチが開放され、前記クロック信号が前記第1位相とは逆位相である第2位相である場合、すべての前記第1スイッチが開放され、すべての前記第2スイッチが閉成される、ことを特徴とする請求項2に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項4】
前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第1チョッパスイッチ及び第2チョッパスイッチをさらに備え、
前記第1チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記マイクロフォンの出力端と前記第1初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、前記第1チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記結合容量の負極と前記第2初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、
前記第2チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記第1初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのプラス入力端との間に直列に接続され、前記第2チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記第2初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのマイナス入力端との間に直列に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項5】
前記電流共用増幅器は、バイアス電流源、第1PMOSトランジスタ、第2PMOSトランジスタ、第1NMOSトランジスタ、第2NMOSトランジスタ、第3NMOSトランジスタ、及び第4NMOSトランジスタを備え、
前記第1PMOSトランジスタのソース及び前記第2PMOSトランジスタのソースは、いずれも前記バイアス電流源の出力端に接続され、前記第1PMOSトランジスタのゲートは、前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のプラス入力端とし、前記第1PMOSトランジスタのドレインは、前記第1NMOSトランジスタのドレイン及び前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のマイナス入力端とし、
前記第2PMOSトランジスタのゲートは、前記第2NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のマイナス入力端とし、前記第2PMOSトランジスタのドレインは、前記第2NMOSトランジスタのドレイン及び前記第4NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のプラス出力端とし、
前記第1NMOSトランジスタのソースは、前記第3NMOSトランジスタのドレイン、前記第2NMOSトランジスタのソース、及び前記第4NMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第3NMOSトランジスタのソース及び前記第4NMOSトランジスタのソースは、いずれも接地される、ことを特徴とする請求項1に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項6】
前記プラス端帰還抵抗の抵抗値は、前記マイナス端帰還抵抗の抵抗値と同じであり、前記プラス端帰還容量の電気容量値は、前記マイナス端帰還容量の電気容量値と同じである、ことを特徴とする請求項1に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項7】
シングルエンド差動変換マイクロフォン回路であって、
第1バイアス電圧を入力するための給電端と、マイクロフォン容量と、結合容量と、第1初段増幅器と、第2初段増幅器と、信号処理モジュールと、電流共用増幅器と、プラス端帰還抵抗と、プラス端帰還容量と、マイナス端帰還抵抗と、マイナス端帰還容量とを備え、前記マイクロフォン容量は、マイクロフォンが前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路に接続されて等価的に形成されるものであり、
前記給電端は、前記マイクロフォン容量のバイアス電圧入力端に接続され、前記マイクロフォン容量の出力端は、前記第1初段増幅器の入力端に接続され、
前記結合容量の正極は、前記バイアス電圧入力端に接続され、前記結合容量の負極は、前記第2初段増幅器の入力端に接続され、前記結合容量の正極が前記バイアス電圧入力端に接続されるとき、前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、前記給電端と前記バイアス電圧入力端との間に直列に接続された第1バイアス抵抗をさらに備え、
前記第1初段増幅器の出力端及び第2初段増幅器の出力端は、それぞれ前記信号処理モジュールのプラス入力端及びマイナス入力端に接続され、前記信号処理モジュールのプラス出力端及びマイナス出力端は、それぞれ前記電流共用増幅器のプラス入力端及びマイナス入力端に接続されて、前記信号処理モジュールにより前記第1初段増幅器及び前記第2初段増幅器の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整し、かつ前記目標差動信号を前記電流共用増幅器に出力し、
前記プラス端帰還抵抗と前記プラス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のプラス入力端とマイナス出力端との間に並列に接続され、前記マイナス端帰還抵抗と前記マイナス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のマイナス入力端とプラス出力端との間に並列に接続される、ことを特徴とするシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項8】
前記信号処理モジュールは、信号逓倍器を備え、前記信号逓倍器は、
前記第1初段増幅器の出力信号から前記第2初段増幅器の出力信号を減算し、差分信号を得ること、
前記差分信号を反転処理して差分反転信号を得て、前記差分信号と前記差分反転信号が前記目標差動信号を構成すること、および、
前記差分信号を前記信号処理モジュールのプラス出力端から出力し、前記差分反転信号を前記信号処理モジュールのマイナス出力端から出力することに用いられる、ことを特徴とする請求項7に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項9】
前記信号逓倍器は、4つのスイッチトキャパシタを備え、各前記スイッチトキャパシタは、2つの第1スイッチ、2つの第2スイッチ及び1つのコンデンサを備え、前記4つのスイッチトキャパシタは、それぞれ第1スイッチトキャパシタ、第2スイッチトキャパシタ、第3スイッチトキャパシタ及び第4スイッチトキャパシタであり、
前記第1スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより入力コモンモード電圧に接続され、
前記第2スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、
前記第3スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
前記第4スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、かつ一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、かつ他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
すべての前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、設定されたクロック信号によって制御されて、前記クロック信号が第1位相である場合、すべての前記第1スイッチが閉成され、すべての前記第2スイッチが開放され、前記クロック信号が前記第1位相とは逆位相である第2位相である場合、すべての前記第1スイッチが開放され、すべての前記第2スイッチが閉成される、ことを特徴とする請求項8に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項10】
前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第1チョッパスイッチ及び第2チョッパスイッチをさらに備え、
前記第1チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記マイクロフォンの出力端と前記第1初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、前記第1チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記結合容量の負極と前記第2初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、
前記第2チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記第1初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのプラス入力端との間に直列に接続され、前記第2チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記第2初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのマイナス入力端との間に直列に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項11】
前記電流共用増幅器は、バイアス電流源、第1PMOSトランジスタ、第2PMOSトランジスタ、第1NMOSトランジスタ、第2NMOSトランジスタ、第3NMOSトランジスタ、及び第4NMOSトランジスタを備え、
前記第1PMOSトランジスタのソース及び前記第2PMOSトランジスタのソースは、いずれも前記バイアス電流源の出力端に接続され、前記第1PMOSトランジスタのゲートは、前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のプラス入力端とし、前記第1PMOSトランジスタのドレインは、前記第1NMOSトランジスタのドレイン及び前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のマイナス入力端とし、
前記第2PMOSトランジスタのゲートは、前記第2NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のマイナス入力端とし、前記第2PMOSトランジスタのドレインは、前記第2NMOSトランジスタのドレイン及び前記第4NMOSトランジスタのゲートに接続されかつ共同して前記電流共用増幅器のプラス出力端とし、
前記第1NMOSトランジスタのソースは、前記第3NMOSトランジスタのドレイン、前記第2NMOSトランジスタのソース、及び前記第4NMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第3NMOSトランジスタのソース及び前記第4NMOSトランジスタのソースは、いずれも接地される、ことを特徴とする請求項7に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項12】
前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第2バイアス抵抗及び第3バイアス抵抗をさらに備え、
前記第2バイアス抵抗の一端は、前記第1初段増幅器の入力端に接続され、前記第2バイアス抵抗の他端は、第2バイアス電圧を入力するために用いられ、前記第3バイアス抵抗の一端は、前記第2初段増幅器の入力端に接続され、前記第3バイアス抵抗の他端は、前記第2バイアス電圧を入力するために用いられる、ことを特徴とする請求項
7に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項13】
前記第1バイアス電圧は、前記第2バイアス電圧よりも大きい、ことを特徴とする請求項
12に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項14】
前記第1バイアス抵抗の抵抗値範囲は、100GΩ~200GΩである、ことを特徴とする請求項
13に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【請求項15】
前記プラス端帰還抵抗の抵抗値は、前記マイナス端帰還抵抗の抵抗値と同じであり、前記プラス端帰還容量の電気容量値は、前記マイナス端帰還容量の電気容量値と同じである、ことを特徴とする請求項
7に記載のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特にシングルエンド差動変換マイクロフォン回路に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(微小電気機械システム、Microelectro Mechanical Systems)マイクロフォンは、MEMSセンサ技術に基づいて製造されたマイクロフォンであり、改善されたノイズ除去性能、良好な高周波性能及び電磁干渉抑制能力を有し、スマートフォン、シフトバイワイヤー、タブレット及びノートパソコン等の各種の電子製品に広く応用されている。外界の電磁干渉を低減し、信号伝送の品質を向上させるために、関連技術において、一般的にMEMSマイクロフォンから出力されたシングルエンド信号を差動信号に変換して伝送する。
【0003】
図1に示すように、従来のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路において、MEMSマイクロフォンの出力端は、全差動増幅器Ampのプラス入力端に直接に接続され、補償容量C
DMYは、全差動増幅器Ampのマイナス入力端に接続されている。しかしながら、MEMSマイクロフォン自体の構造に制限され、そのセンサの基板は、グランドに対して大きな寄生容量を生成することによって、基板から出力された信号の振幅は、センサの信号端から出力された信号の振幅よりも小さく、等価回路において基板から出力された信号は、全差動増幅器Ampのマイナス入力端に伝送され、センサの信号端は、全差動増幅器Ampのプラス入力端に伝送されるため、全差動増幅器の正マイナス入力端の信号振幅に差異が存在し、位相が逆であり、理想的な差動信号とならず、プラス/マイナス入力端のコモンモード電圧が大きな振幅を有することをもたらし、これは、差動増幅器Ampが正常に動作できることを確保するために、全差動増幅器Ampが入力コモンモード電圧範囲の大きい増幅器でなければならないことを要求し、しかし、このような全差動増幅器のノイズも一般的に大きく、回路の信号対雑音比を向上させることに不利である。
【0004】
したがって、上記技術課題を解決するために、新たなシングルエンド差動変換マイクロフォン回路を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、入力コモンモード電圧範囲が小さくかつノイズが小さい電流共用増幅器を用いて信号のシングルエンド差動変換を実現することができ、回路の信号対雑音比の向上に寄与するシングルエンド差動変換マイクロフォン回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、シングルエンド差動変換マイクロフォン回路を提供し、当該シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第1バイアス電圧を入力するための給電端、マイクロフォン容量、結合容量、第1初段増幅器、第2初段増幅器、信号処理モジュール、電流共用増幅器、プラス端帰還抵抗、プラス端帰還容量、マイナス端帰還抵抗及びマイナス端帰還容量を備え、ここで、前記マイクロフォン容量は、マイクロフォンが前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路に接続されて等価的に形成されるものであり、
前記給電端は、前記マイクロフォン容量のバイアス電圧入力端に接続され、前記マイクロフォン容量の出力端は、前記第1初段増幅器の入力端に接続され、
前記結合容量の正極は、接地され、又は前記バイアス電圧入力端に接続され、ここで、前記結合容量の正極が前記バイアス電圧入力端に接続されるとき、前記マイクロフォン回路は、前記給電端と前記バイアス電圧入力端との間に直列に接続された第1バイアス抵抗をさらに備え、前記結合容量の負極は、前記第2初段増幅器の入力端に接続され、
前記第1初段増幅器の出力端及び第2初段増幅器の出力端は、それぞれ信号処理モジュールのプラス入力端及びマイナス入力端に接続され、前記信号処理モジュールのプラス出力端及びマイナス出力端は、それぞれ前記電流共用増幅器のプラス入力端及びマイナス入力端に接続されて、前記信号処理モジュールにより前記第1初段増幅器及び前記第2初段増幅器の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整し、前記目標差動信号を前記電流共用増幅器に出力し、
前記プラス端帰還抵抗と前記プラス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のプラス入力端とマイナス出力端との間に並列に接続され、前記マイナス端帰還抵抗と前記マイナス端帰還容量は、いずれも前記電流共用増幅器のマイナス入力端とプラス出力端との間に並列に接続される。
【0007】
さらに、前記信号処理モジュールは、信号逓倍器を備え、前記信号逓倍器は、具体的に、
前記第1初段増幅器の出力信号から前記第2初段増幅器の出力信号を減算し、差分信号を得ること、
前記差分信号を反転処理して差分反転信号を得て、前記差分信号と前記差分値反転信号が前記目標差動信号を構成すること、及び、
前記差分信号を前記信号処理モジュールのプラス出力端から出力し、前記差分値反転信号を前記信号処理モジュールのマイナス出力端から出力することに用いられる。
【0008】
さらに、前記信号逓倍器は、4つのスイッチトキャパシタを備え、各前記スイッチトキャパシタは、2つの第1スイッチ、2つの第2スイッチ及び1つのコンデンサを備え、前記4つのスイッチトキャパシタは、それぞれ第1スイッチトキャパシタ、第2スイッチトキャパシタ、第3スイッチトキャパシタ及び第4スイッチトキャパシタであり、
ここで、前記第1スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、他方の前記第2スイッチにより入力コモンモード電圧に接続され、
前記第2スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、一方の前記第2スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、
前記第3スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス出力端に接続され、一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
前記第4スイッチトキャパシタの前記コンデンサの正極は、一方の前記第1スイッチにより前記入力コモンモード電圧に接続され、一方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのプラス入力端に接続され、前記コンデンサの負極は、他方の前記第1スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス出力端に接続され、他方の前記第2スイッチにより前記信号処理モジュールのマイナス入力端に接続され、
すべての前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、設定されたクロック信号によって制御され、前記クロック信号が第1位相である場合、すべての前記第1スイッチが閉成され、すべての前記第2スイッチが開放され、前記クロック信号が前記第1位相とは逆位相である第2位相である場合、すべての前記第1スイッチが開放され、すべての前記第2スイッチが閉成される。
【0009】
さらに、前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第1チョッパスイッチ及び第2チョッパスイッチをさらに備え、
前記第1チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記マイクロフォンの出力端と前記第1初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、前記第1チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記結合容量の負極と前記第2初段増幅器の入力端との間に直列に接続され、
前記第2チョッパスイッチは、一方の入力端及び一方の出力端により前記第1初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのプラス入力端との間に直列に接続され、前記第2チョッパスイッチは、他方の入力端及び他方の出力端により前記第2初段増幅器の出力端と前記信号処理モジュールのマイナス入力端との間に直列に接続される。
【0010】
さらに、前記電流共用増幅器は、バイアス電流源、第1PMOSトランジスタ、第2PMOSトランジスタ、第1NMOSトランジスタ、第2NMOSトランジスタ、第3NMOSトランジスタ及び第4NMOSトランジスタを備え、
前記第1PMOSトランジスタのソース及び前記第2PMOSトランジスタのソースは、いずれも前記バイアス電流源の出力端に接続され、前記第1PMOSトランジスタのゲートは、前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続され、共同して前記電流共用増幅器のプラス入力端とし、前記第1PMOSトランジスタのドレインは、前記第1NMOSトランジスタのドレインと前記第3NMOSトランジスタのゲートに接続され、共同して前記電流共用増幅器のマイナス出力端とし、
前記第2PMOSトランジスタのゲートは、前記第2NMOSトランジスタのゲートに接続され、共同して前記電流共用増幅器のマイナス入力端とし、前記第2PMOSトランジスタのドレインは、前記第2NMOSトランジスタのドレインと前記第4NMOSトランジスタのゲートに接続され、共同して前記電流共用増幅器のプラス出力端とし、
前記第1NMOSトランジスタのソースは、前記第3NMOSトランジスタのドレイン、前記第2NMOSトランジスタのソース、及び前記第4NMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第3NMOSトランジスタのソース及び前記第4NMOSトランジスタのソースは、いずれも接地される。
【0011】
さらに、前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路は、第2バイアス抵抗及び第3バイアス抵抗をさらに備え、
前記第2バイアス抵抗の一端は、前記第1初段増幅器の入力端に接続され、前記第2バイアス抵抗の他端は、第2バイアス電圧を入力するために用いられ、前記第3バイアス抵抗の一端は、前記第2初段増幅器の入力端に接続され、前記第3バイアス抵抗の他端は、前記第2バイアス電圧を入力するために用いられる。
【0012】
さらに、前記第1バイアス電圧は、前記第2バイアス電圧よりも大きい。
【0013】
さらに、前記第1バイアス抵抗の抵抗値範囲は、100GΩ~200GΩである。
【0014】
さらに、前記プラス端帰還抵抗と前記マイナス端帰還抵抗との抵抗値は、同じであり、前記プラス端帰還容量と前記マイナス端帰還容量との容量値は、同じである。
【発明の効果】
【0015】
関連技術に比べて、本発明のマイクロフォン回路において、第1バイアス電圧を入力するための給電端と、マイクロフォン容量と、結合容量と、第1初段増幅器と、第2初段増幅器と、信号処理モジュールと、電流共用増幅器と、プラス端帰還抵抗と、プラス端帰還容量と、マイナス端帰還抵抗と、マイナス端帰還容量と、第1出力端と、第2出力端とを備え、前記マイクロフォンと前記結合容量は、それぞれ前記第1初段増幅器の入力端と前記第2初段増幅器の入力端に接続され、前記第1初段増幅器の出力端と第2初段増幅器の出力端は、それぞれ前記信号処理モジュールのプラス入力端とマイナス入力端に接続され、前記信号処理モジュールのプラス出力端とマイナス出力端は、それぞれ前記電流共用増幅器のプラス入力端とマイナス入力端に接続されて、前記信号処理モジュールにより前記第1初段増幅器と前記第2初段増幅器の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整し、かつ前記目標差動信号を前記電流共用増幅器に出力し、これによって、信号処理モジュールの作用により振幅が等しくかつ逆位相となる差動信号を出力することができて、入力コモンモード電圧範囲が小さくかつノイズが小さい電流共用増幅器を利用して差動信号の出力を実現することができ、回路の信号対雑音比の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明するが、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができることは明らかである。
【
図1】従来技術のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路の回路図である。
【
図2】本発明の実施例が提供するシングルエンド差動変換マイクロフォン回路の一回路図である。
【
図3】本発明の実施例が提供する信号逓倍器の回路図である。
【
図4a】
図3に示す信号逓倍器のクロック信号が第1位相である場合の等価回路図であり、
【
図4b】
図3に示す信号逓倍器のクロック信号が第2位相である場合の等価回路図である。
【
図5】本発明の実施例が提供するシングルエンド差動変換マイクロフォン回路の別の回路図である。
【
図6】本発明の実施例が提供する電流共用増幅器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確で、完全に説明し、明らかなように、記述される実施例は本発明の一部の実施例だけであり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得ることができるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0018】
図2に示すように、本発明のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路において、当該マイクロフォン回路は、第1バイアス電圧を入力するための給電端V
HCM、マイクロフォン容量C
MEMS、結合容量C
AC、第1初段増幅器Amp1、第2初段増幅器Amp2、信号処理モジュール10、電流共用増幅器CR-Amp、プラス端帰還抵抗R
FB1、プラス端帰還容量C
FB1、マイナス端帰還抵抗R
FB2及びマイナス端帰還容量C
FB2を備える。ここで、前記マイクロフォン容量C
MEMSは、マイクロフォンが前記シングルエンド差動変換マイクロフォン回路に接続されて等価的に形成されるものである。
【0019】
前記給電端VHCMは、前記マイクロフォン容量CMEMSのバイアス電圧入力端に接続されて、前記マイクロフォン容量CMEMSに第1バイアス電圧を供給し、当該第1バイアス電圧は、高電圧バイアス電圧であり、例えば13.8Vであってもよく、前記マイクロフォン容量CMEMSの出力端は、前記第1初段増幅器Amp1の入力端に接続される。
【0020】
前記結合容量CACの正極は、接地され、前記結合容量CACの負極は、前記第2初段増幅器Amp2の入力端に接続される。
【0021】
前記第1初段増幅器Amp1の出力端は、前記信号処理モジュール10のプラス入力端VI+に接続され、第2初段増幅器Ampの出力端は、前記信号処理モジュール10のマイナス入力端VI-に接続され、前記信号処理モジュール10のプラス出力端VO+は、前記電流共用増幅器CR-Ampのプラス入力端に接続され、前記信号処理モジュール10のマイナス出力端VO-は、前記電流共用増幅器CR-Ampのマイナス入力端に接続されて、前記信号処理モジュール10により前記第1初段増幅器1と前記第2初段増幅器2の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整し、かつ前記目標差動信号を前記電流共用増幅器CR-Ampに出力する。
【0022】
前記プラス端帰還抵抗RFB1と前記プラス端帰還容量CFB1は、いずれも前記電流共用増幅器CR-Ampのプラス入力端とマイナス出力端VOUTNとの間に並列に接続され、前記マイナス端帰還抵抗RFB2と前記マイナス端帰還容量CFB2は、いずれも前記電流共用増幅器CR-Ampのマイナス入力端とプラス出力端VOUTPとの間に並列に接続される。ここで、前記プラス端帰還抵抗RFB1と前記マイナス端帰還抵抗RFB2との抵抗値は、同じであってもよく、前記プラス端帰還容量CFB1と前記マイナス端帰還容量CFB2との容量値は、同じであってもよい。
【0023】
したがって、本実施例のシングルエンド差動変換マイクロフォン回路において、電流共用増幅器CR-Ampは、ダブルエンド入力およびダブルエンド出力を有する全差動増幅器であり、電流共用増幅器CR-Ampの作用により信号のシングルエンド差動変換を図れる。ここで、信号処理モジュール10の作用により、第1初段増幅器Amp1及び第2初段増幅器Amp2の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整することで、後段の回路に入力された全差動増幅器の差動信号を振幅が等しくかつ逆位相となるようにすることができ、それにより入力コモンモード電圧範囲を小さくすることができ、したがって、後段の回路における全差動増幅器は、入力コモンモード電圧範囲が小さい電流共用増幅器CR-Ampを用いて実現することができ、電流共用増幅器CR-Ampは、入力コモンモード電圧範囲の大きい全差動増幅器に比べてより小さいノイズを有するため、電流共用増幅器CR-Amp自体のノイズによる回路全体への影響を低減することができ、マイクロフォン回路の信号対雑音比の向上に寄与する。
【0024】
さらに、本発明の信号処理モジュール10は、信号逓倍器を備え、前記信号逓倍器は、具体的には、前記第1初段増幅器Amp1の出力信号から前記第2初段増幅器Amp2の出力信号を減算し、差分信号を得てから、前記差分信号を反転処理して差分反転信号を得ることに用いられ、前記差分信号と前記差分反転信号は、前記目標差動信号を構成し、さらに前記差分信号を前記信号処理モジュール10のプラス出力端から出力し、前記差分値反転信号を前記信号処理モジュール10のマイナス出力端から出力することに用いられる。
【0025】
これにより、前記信号逓倍器によって、前記第1初段増幅器Amp1と前記第2初段増幅器Amp2の出力信号を振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号に調整することを実現することができ、かつ目標差動信号の2つの信号の振幅差が調整前の振幅差と比較して一倍拡大し、後段の回路における電流共用増幅器の回路全体の信号対雑音比への影響を低減することに寄与する。
【0026】
より具体的には、
図3に示すように、本発明の実施例において、前記信号逓倍器は、4つのスイッチトキャパシタを備え、各前記スイッチトキャパシタは、2つの第1スイッチS1、2つの第2スイッチS2及び1つのコンデンサを備え、前記4つのスイッチトキャパシタは、それぞれ第1スイッチトキャパシタ101、第2スイッチトキャパシタ102、第3スイッチトキャパシタ103及び第4スイッチトキャパシタ104であり、
ここで、前記第1スイッチトキャパシタ101の前記コンデンサC1の正極は、一方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のプラス入力端V
I+に接続され、かつ一方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のプラス出力端V
O+に接続され、前記コンデンサC1の負極は、他方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のマイナス入力端V
I-に接続され、かつ他方の前記第2スイッチS2により入力コモンモード電圧V
CMに接続される。
【0027】
前記第2スイッチトキャパシタ102の前記コンデンサC2の正極は、一方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のプラス入力端VI+に接続され、かつ一方の前記第2スイッチS2により前記入力コモンモード電圧VCMに接続され、前記コンデンサC2の負極は、他方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のマイナス出力端VI-に接続され、かつ他方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のマイナス出力端VO-に接続される。
【0028】
前記第3スイッチトキャパシタ103の前記コンデンサC3の正極は、一方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のプラス出力端VO+に接続され、かつ一方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のプラス入力端VI+に接続され、前記コンデンサC3の負極は、他方の前記第1スイッチS1により前記入力コモンモード電圧VCMに接続され、かつ他方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のマイナス入力端VI-に接続される。
【0029】
前記第4スイッチトキャパシタ104の前記コンデンサC4の正極は、一方の前記第1スイッチS1により前記入力コモンモード電圧VCMに接続され、かつ一方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のプラス入力端VI+に接続され、前記コンデンサC4の負極は、他方の前記第1スイッチS1により前記信号処理モジュール10のマイナス出力端VO-に接続され、かつ他方の前記第2スイッチS2により前記信号処理モジュール10のマイナス入力端VI-に接続される。
【0030】
すべての前記第1スイッチS1及び前記第2スイッチS2は、設定されたクロック信号に制御され、前記クロック信号が第1位相S01である場合、すべての前記第1スイッチS1が閉成され、すべての前記第2スイッチS2が開放される。前記クロック信号が前記第1位相S01と逆の第2位相S02である場合、すべての前記第1スイッチS1が開放され、すべての前記第2スイッチS2が閉成される。
【0031】
図4a及び
図4bに示すように、
図4aは
図3に示す信号逓倍器はクロック信号が第1位相S01である場合の等価回路図であり、
図4bは
図3に示す信号逓倍器はクロック信号が第2位相S02である場合の等価回路図である。第1位相S01の場合、コンデンサC1とコンデンサC2は、信号処理モジュール10のプラス入力端V
I+とマイナス入力端V
I-との間に並列に接続され、コンデンサC3とコンデンサC4は、信号処理モジュール10のプラス出力端V
O+とマイナス出力端V
O-との間に直列に接続され、このときコンデンサC1とコンデンサC2の両端の電圧差は、つまり、プラス入力端V
I+とマイナス入力端V
I-の電圧差であり、すなわち第1初段増幅器Amp1と第2初段増幅器Amp2の出力信号の差信号であり、第2位相S02の場合、コンデンサC1とコンデンサC2は、信号処理モジュール10のプラス出力端V
O+とマイナス出力端V
O-との間に直列接続され、それによりコンデンサC1の第1位相S01における両端の電圧差とコンデンサC2の第1位相S01における両端の電圧差をプラス出力端V
O+とマイナス出力端V
O-との間に重畳する。これにより、プラス出力端V
O+の信号は、コンデンサC1の両端の電圧差に入力コモンモード電圧V
CMを加算したもの、即ちV
O+=V
CM+V
I+-V
I-となり、マイナス出力端V
O-の信号は、入力コモンモード電圧V
CMからコンデンサC2の両端の電圧差を減算したもの、即ちV
O-=V
CM-(V
I+-V
I-)となる。したがって、プラス出力端V
O+の信号とマイナス出力端V
O-の信号が目標差動信号を構成して電流共用増幅器CR-Ampのプラス/マイナス入力端に伝送され、かつ、V
O+-V
O-=(V
CM+V
I+-V
I-)-(V
CM-(V
I+-V
I-))=2(V
I+-V
I-)であり、すなわち目標差動信号の正負振幅差が第1初段増幅器Amp1と第2初段増幅器Amp2の出力信号の振幅差の二倍になり、それにより振幅の差値の増倍を図れる。
【0032】
ここで、コンデンサC3及びコンデンサC4の動作原理は、コンデンサC1及びコンデンサC2の動作原理と類似し、両者はクロック位相が互いに逆位相となるように制御し、コンデンサC1、コンデンサC2、コンデンサC3及びコンデンサC4は、位相が相補のクロック制御によって、信号処理モジュール10のプラス/マイナス出力端が継続的な差値逓倍信号を得ることができる。
【0033】
図5を参照し、本発明の実施例において、前記マイクロフォン回路は、第1チョッパスイッチ11及び第2チョッパスイッチ12をさらに備える。
【0034】
前記第1チョッパスイッチ11は、一方の入力端及び一方の出力端により前記マイクロフォン容量CMEMSの出力端と前記第1初段増幅器Amp1の入力端との間に直列に接続され、前記第1チョッパスイッチ11は、他方の入力端及び他方の出力端により前記結合容量CACの負極と前記第2初段増幅器Amp2の入力端との間に直列に接続される。
【0035】
前記第2チョッパスイッチ12は、一方の入力端及び一方の出力端により前記第1初段増幅器Amp1の出力端と前記信号処理モジュール10のプラス入力端VI+との間に直列に接続され、前記第2チョッパスイッチ12は、他方の入力端及び他方の出力端により前記第2初段増幅器Amp2の出力端と前記信号処理モジュール10のマイナス入力端VI-との間に直列に接続される。
【0036】
第1チョッパスイッチ11及び第2チョッパスイッチ12で信号をチョッピング(Chopping)処理を行うことにより、第1初段Amp1及び第2初段Amp2の低周波ノイズを除去することができる。
【0037】
図5を引き続き参照し、本実施例において、
図2に示す実施例と異なるのは、結合容量C
ACの正極は、さらに前記マイクロフォン容量C
MEMSのバイアス電圧入力端に接続されてもよく、このとき、マイクロフォン回路は、前記給電端V
HCMと前記バイアス電圧入力端との間に直列に接続された第1バイアス抵抗R
B1をさらに備える。ここで、第1バイアス抵抗R
B1は、大きな抵抗値の抵抗であり、その抵抗値範囲は、例えば100GΩ~200GΩであってもよい。
【0038】
さらに、マイクロフォン回路は、第2バイアス抵抗RB2及び第3バイアス抵抗RB3をさらに備える。
【0039】
前記第2バイアス抵抗RB2の一端は、前記第1初段増幅器Amp1の入力端に接続され、前記第2バイアス抵抗RB2の他端は、第2バイアス電圧VBを入力するために用いられ、前記第3バイアス抵抗RB3の一端は、前記第2初段増幅器Amp2の入力端に接続され、前記第3バイアス抵抗RB3の他端は、前記第2バイアス電圧VBを入力するために用いられる。第1バイアス電圧は、第2バイアス電圧VBよりも大きく、第2バイアス電圧VBは、低電圧バイアス電圧であり、例えば、0.8Vである。
【0040】
ここで、前記第2バイアス抵抗RB2と第3バイアス抵抗RB3との抵抗値は、同じである。前記第1バイアス抵抗RB1と前記第2バイアス抵抗RB2と第3バイアス抵抗RB3との抵抗値は、同じでも異なっていてもよく、例えばいずれも200GΩであってもよい。
【0041】
図5に示すように、音声信号がマイクロフォン容量C
MEMSから入力された後、マイクロフォン容量C
MEMSを介して交流電気信号に変換され、第1バイアス抵抗R
B1の高インピーダンス作用により、交流電気信号が第1チョッパスイッチ11を通過した後、第1初段増幅器Amp1及び第2初段増幅器Amp2に同時に入力することでき、かつ第1初段増幅器Amp1及び第2初段増幅器Amp2に入力される交流電気信号が逆位相となる。第1チョッパスイッチ11及び第2チョッパスイッチ12のチョッピング(Chopping)処理を介して、第1初段増幅器Amp1及び第2初段増幅器Amp2の低周波ノイズを除去することができ、次に信号処理モジュール10で第2チョッパスイッチ12を介して処理された後の信号を調整することにより、振幅が等しくかつ逆位相となる目標差動信号を取得し、かつ目標差動信号の振幅を調整前より増幅させることができ、これによって電流共用増幅器による回路全体の信号対雑音比への影響を低減し、信号対雑音比を向上させることに寄与する。
【0042】
また、閉ループ利得が1である場合、従来技術におけるプラス及びマイナス端帰還容量の電気容量値は、マイクロフォン容量CMEMSの電気容量値と同じにする必要があり、マイクロフォン容量CMEMSの電気容量値は、一般的に小さいため、プラス及びマイナス端帰還容量の電気容量値も小さい電気容量値であり、回路全体の信号対雑音比を低下させ、本実施例では、結合容量CACを前記マイクロフォン容量CMEMSのバイアス電圧入力端に接続し、かつ給電端VHCMと前記マイクロフォン容量CMEMSのバイアス電圧入力端との間に第1バイアス抵抗RB1を直列に接続することにより、閉ループ利得が1である場合、プラス及びマイナス端帰還容量の電気容量値をマイクロフォン容量CMEMSの電気容量値の二倍にすることができ、従来の方式に比べて、プラス及びマイナス端帰還容量の電気容量値を増加させることができて、電流共用増幅器自身のノイズをより多くフィルタリングすることができ、マイクロフォン容量回路全体の信号対雑音比を向上させる。
【0043】
図6に示すように、本発明の実施例において、電流共用増幅器CR-Ampは、バイアス電流源IB、第1PMOSトランジスタP1、第2PMOSトランジスタP2、第1NMOSトランジスタN1、第2NMOSトランジスタN2、第3NMOSトランジスタN3及び第4NMOSトランジスタN4を備える。
【0044】
前記第1PMOSトランジスタP1のソース及び前記第2PMOSトランジスタP2のソースは、いずれも前記バイアス電流源IBの出力端に接続され、前記第1PMOSトランジスタP1のゲートは、前記第1NMOSトランジスタN1のゲートに接続され、かつ共同して前記電流共用増幅器CR-Ampのプラス入力端VINPとし、前記第1PMOSトランジスタP1のドレインは、前記第1NMOSトランジスタN1のドレイン及び前記第3NMOSトランジスタN3のゲートに接続され、かつ共同して前記電流共用増幅器CR-Ampのマイナス出力端VOUTNとする。
【0045】
前記第2PMOSトランジスタP2のゲートは、前記第2NMOSトランジスタN2のゲートに接続され、かつ共同して前記電流共用増幅器CR-Ampのマイナス入力端とし、前記第2PMOSトランジスタP2のドレインは、前記第2NMOSトランジスタN2のドレイン及び前記第4NMOSトランジスタN4のゲートに接続され、かつ共同して前記電流共用増幅器CR-Ampのプラス出力端とする。
【0046】
前記第1NMOSトランジスタN1のソースは、前記第3NMOSトランジスタN3のドレイン、前記第2NMOSトランジスタN2のソース、及び前記第4NMOSトランジスタN4のドレインに接続される。
【0047】
前記第3NMOSトランジスタN3のソース及び前記第4NMOSトランジスタN4のソースは、いずれも接地される。
【0048】
これにより、上記電流共用増幅器CR-Ampに対して、入力トランジスタとした第1PMOSトランジスタP1と第1NMOSトランジスタN1のトランスコンダクタンスが加算された後、負荷とする第3NMOSトランジスタN3を介した後に電圧がマイナス出力端VOUTNに出力され、入力トランジスタとした第2PMOSトランジスタP2と第2NMOSトランジスタN2のトランスコンダクタンスが加算された後、負荷とする第4NMOSトランジスタN4を介した後に電圧がプラス出力端VOUTPに出力され、それにより同じバイアス電流で、トランスコンダクタンスが倍増し、電流共用増幅器CR-Ampのノイズを低減することに寄与する。
【0049】
上記したのは、本発明の実施形態に過ぎず、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれると指摘すべきである。