(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】撮像素子実装基板、その製造方法、および、実装基板集合体
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241112BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241112BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20241112BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H05K1/02 J
H05K1/02 P
H05K1/11 H
H05K3/40 E
(21)【出願番号】P 2023016297
(22)【出願日】2023-02-06
(62)【分割の表示】P 2018071825の分割
【原出願日】2018-04-03
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2017077542
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017201977
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】河邨 良広
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 誉大
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/174943(WO,A1)
【文献】特開2010-169679(JP,A)
【文献】特開2015-038908(JP,A)
【文献】特開平02-241077(JP,A)
【文献】特開2014-175423(JP,A)
【文献】特開2002-077683(JP,A)
【文献】特開2014-049580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H05K 1/02
H05K 1/11
H05K 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を実装するための撮像素子実装基板であって、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される金属配線と、
前記金属配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と
を備える配線領域を有し、
前記撮像素子
実装基板は、前記金属配線
および撮像素子接続端子を有する導体パターンを備え、
前記第1絶縁層は、前記撮像素子接続端子を厚み方向他方側から露出するための撮像素子開口部を有し、
前記撮像素子接続端子は、前記撮像素子開口部の外周に配置される外周部と、前記外周部から内側に窪むように前記撮像素子開口部内に配置される内側部とを一体的に備え、
前記内側部の露出面は、前記撮像素子開口部から厚み方向他方側に露出し、前記第1絶縁層の下面と面一であり、
前記配線領域の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下であることを特徴とする、撮像素子実装基板。
【請求項2】
前記導体パターンの熱膨張係数と前記第1絶縁層の熱膨張係数との差が、10ppm/K以下であり、
前記第2絶縁層の熱膨張係数と前記導体パターンの熱膨張係数との差は、10ppm/K以下である、請求項1に記載の撮像素子実装基板。
【請求項3】
前記金属配線の厚みが、1μm以上、8μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像素子実装基板。
【請求項4】
前記撮像素子実装基板の総厚みが、40μm以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板。
【請求項5】
前記配線領域は、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置される金属シールド層と、
前記金属シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層と
をさらに備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板。
【請求項6】
前記金属配線は、グランド配線を備え、
前記金属シールド層が、前記グランド配線に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の撮像素子実装基板。
【請求項7】
前記金属シールド層が、厚み方向に対して傾斜する傾斜方向に延び、前記グランド配線と接触する傾斜部を備えることを特徴とする、請求項6に記載の撮像素子実装基板。
【請求項8】
前記配線領域において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合が、0.10以上、0.70以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板。
【請求項9】
前記配線領域において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合が、0.20以上、0.70以下であることを特徴とする、請求項8に記載の撮像素子実装基板。
【請求項10】
支持体および粘着剤層をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の撮像素子実装基板を複数備えることを特徴とする、実装基板集合体。
【請求項12】
ロール状に巻回されていることを特徴とする、請求項11に記載の実装基板集合体。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板の製造方法であって、
金属支持板を用意する工程、
前記金属支持板の厚み方向一方側に、第1絶縁層を形成する工程、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に、金属配線を形成する工程、
前記金属配線の厚み方向一方側に、第2絶縁層を形成する工程、および、
前記金属支持板を除去する工程
を備えることを特徴とする、撮像素子実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記第2絶縁層を形成する工程の後、前記金属支持板を除去する工程の前に、
前記第2絶縁層の厚み方向一方側に、金属シールド層を形成する工程、および、
前記金属シールド層の厚み方向一方側に、第3絶縁層を形成する工程
をさらに備えることを特徴とする、請求項13に記載の撮像素子実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子実装基板、その製造方法、および、実装基板集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話などに搭載されているカメラモジュールなどの撮像装置は、一般的に、光学レンズと、光学レンズを収容および保持するハウジングと、CMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子と、撮像素子を実装し、外部配線に電気的に接続するための撮像素子実装基板とを備えている。撮像素子実装基板の略中央部の上に、撮像素子が実装されており、撮像素子を取り囲むように撮像素子実装基板の周端部の上に、ハウジングが配置されている。特許文献1には、そのような基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話などに用いられる撮像装置は、携帯電話の小型化の要求に伴い、より一層の薄型化(低背化)が求められている。撮像装置の低背化の手段の一つとしては、撮像素子実装基板の薄型化が挙げられる。
【0005】
ところで、撮像素子実装基板には、一般的に、金属板で裏面全面を補強した厚いリジット型配線回路基板と、金属板で裏面全体を補強されていない薄いフレキシブル型配線回路基板(FPC)との2種類が用いられている。
【0006】
FPCは、金属板で補強しないため、リジッド型配線回路基板よりも薄型化が可能である。しかしながら、その反面、撮像素子および撮像素子実装基板の材料は、互いに異なるため、撮像素子および撮像素子実装基板を備える撮像ユニットを、高温および低温を繰り返す外部環境下に置くと、熱歪みが生じて、撮像ユニットに反りが生じる場合がある。その結果、撮像素子と光学レンズとの位置にずれが生じ、像が歪む不具合が生じる。
【0007】
本発明の目的は、薄型化可能であり、反りの発生を抑制することができる撮像素子実装基板、その製造方法および実装基板集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、撮像素子を実装するための撮像素子実装基板であって、第1絶縁層と、第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される金属配線と、前記金属配線の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層とを備える配線領域を有し、前記配線領域の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下である、撮像素子実装基板を含んでいる。
【0009】
この撮像素子実装基板によれば、等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下であるため、撮像素子および撮像素子実装基板を備える撮像ユニットを高温および低温を繰り返す環境下に置いた際に、撮像素子と撮像素子実装基板との間に生じる熱歪みを緩和することができ、その結果、撮像ユニットの反りを低減することができる。また、金属支持板などの支持基板を要しないため、薄型化が可能である。
【0010】
本発明[2]は、前記金属配線の厚みが、1μm以上、8μm以下である、[1]に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0011】
この撮像素子実装基板によれば、反りをより一層低減することができるとともに、薄膜化を図ることができる。
【0012】
本発明[3]は、前記撮像素子実装基板の総厚みが、40μm以下である、[1]または[2]に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0013】
この撮像素子実装基板によれば、反りをより一層低減することができるとともに、薄膜化を図ることができる。
【0014】
本発明[4]は、前記配線領域が、前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置され、金属シールド層と、前記金属シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層とをさらに備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0015】
この撮像素子実装基板によれば、外部から生じる電磁波を金属シールド層で遮蔽することができるため、撮像装置の信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明[5]は、前記撮像素子実装基板が、端子および前記金属配線を有する導体パターンを備え、前記金属配線は、グランド配線を備え、前記金属シールド層が、前記グランド配線に電気的に接続されている、[4]に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0017】
この撮像素子実装基板によれば、第1絶縁層の厚み方向一方側に、グランド配線が配置されているため、別途、グランド配線のための層を設ける必要がない。その結果、撮像素子実装基板の薄膜化を図ることができる。
【0018】
本発明[6]は、前記金属シールド層が、厚み方向に対して傾斜する傾斜方向に延び、前記グランド配線と接触する傾斜部を備える、[5]に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0019】
この撮像素子実装基板によれば、傾斜するように金属シールド層が形成されているため、スパッタリングや蒸着などによって金属シールド層が形成されることができる。よって、シールド層の薄膜化を図ることができる。
【0020】
本発明[7]は、前記配線領域において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合が、0.10以上、0.70以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0021】
この撮像素子実装基板によれば、反りをより一層低減することができるとともに、薄膜化を図ることができる。
【0022】
本発明[8]は、前記配線領域において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合が、0.20以上、0.70以下である、[7]に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0023】
この撮像素子実装基板によれば、電気特性を良好にしながら、配線幅を狭くすることができるため、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0024】
本発明[9]は、支持体および粘着剤層をさらに備える、[1]~[8]のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板を含んでいる。
【0025】
この撮像素子実装基板によれば、撮像素子実装基板の汚染やブロッキングを抑制することができる。
【0026】
本発明[10]は、[1]~[9]のいずれかに記載の撮像素子実装基板を複数備える、実装基板集合体を含んでいる。
【0027】
この実装基板集合体によれば、複数の撮像素子を複数の撮像素子実装基板に同時に実装することができるため、生産効率が向上する。
【0028】
本発明[11]は、ロール状に巻回されている、[10]に記載の実装基板集合体を含んでいる。
【0029】
この実装基板集合体によれば、ロールトゥロール工程で、撮像素子を撮像素子実装基板に実装することができるため、生産効率が向上する。
【0030】
本発明[12]は、[1]~[9]のいずれか一項に記載の撮像素子実装基板の製造方法であって、金属支持板を用意する工程、前記金属支持板の厚み方向一方側に、第1絶縁層を形成する工程、前記第1絶縁層の厚み方向一方側に、金属配線を形成する工程、前記金属配線の厚み方向一方側に、第2絶縁層を形成する工程、および、前記金属支持板を除去する工程を備える、撮像素子実装基板の製造方法を含んでいる。
【0031】
この撮像素子実装基板の製造方法によれば、撮像ユニットの反りを低減することができる撮像素子実装基板を製造することができる。また、金属支持板の上で、撮像素子実装基板を製造するため、ハンドリングが容易である。また、撮像素子実装基板を形成した後、金属支持板を除去するため、撮像素子実装基板の薄膜化を図ることができる。
【0032】
本発明[13]は、前記第2絶縁層を形成する工程の後、前記金属支持板を除去する工程の前に、前記第2絶縁層の厚み方向一方側に、金属シールド層を形成する工程、および、前記金属シールド層の厚み方向一方側に、第3絶縁層を形成する工程をさらに備える、[12]に記載の撮像素子実装基板の製造方法を含んでいる。
【0033】
この製造方法によれば、外部から生じる電磁波を遮蔽できる撮像素子実装基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の撮像素子実装基板および実装基板集合体は、薄型化を図ることができ、また、反りの発生を抑制することができる。本発明の製造方法は、反りの発生を抑制した薄膜の撮像素子実装基板を確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明の撮像素子実装基板の第1実施形態の底面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す撮像素子実装基板におけるA-A断面図を示す。
【
図3】
図3A~
図3Hは、
図1に示す撮像素子実装基板の製造工程図を示し、
図3Aは、金属支持板用意工程、
図3Bは、ベース絶縁層形成工程、
図3Cは、金属薄膜形成工程、
図3Dは、フォトレジスト形成工程、
図3Eは、導体パターン形成工程、
図3Fは、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、
図3Gは、カバー絶縁層形成工程、
図3Hは、金属支持板除去工程を示す。
【
図4】
図4は、
図1に示す撮像素子実装基板を備える撮像装置を示す。
【
図5】
図5は、
図1に示す撮像素子実装基板を備える実装基板集合体の底面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1に示す撮像素子実装基板の変形例(粘着剤層および支持体を備える形態)の断面図を示す。
【
図7】
図7は、
図5に示す実装基板集合体の変形例(集合部を複数備える形態)の底面図を示す。
【
図8】
図8は、
図5に示す実装基板集合体の変形例(ロール状に形成されている形態)の斜視図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の撮像素子実装基板の第2実施形態(第2導体パターンおよび第2カバー絶縁層を備える形態)の断面図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の撮像素子実装基板の第3実施形態(金属シールド層および第2カバー絶縁層を備える形態)の断面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の撮像素子実装基板の第4実施形態(第2導体パターン、第2カバー絶縁層、第3導体パターンおよび第3カバー絶縁層を備える形態)の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面上側が前側(第1方向一方側)、紙面下側が後側(第1方向他方側)である。紙面左右方向は、左右方向(第1方向と直交する第2方向)であって、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第1方向および第2方向と直交する第3方向)であって、紙面奥側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面手前側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0037】
<第1実施形態>
1.撮像素子実装基板
図1A~
図4を参照して、本発明の撮像素子実装基板の第1実施形態である撮像素子実装基板1(以下、単に実装基板とも略する。)を説明する。
【0038】
実装基板1は、撮像素子21(後述)を実装するためのフレキシブル配線回路基板(FPC)であって、撮像素子21を未だ備えていない。実装基板1は、
図1に示すように、前後方向および左右方向(面方向)に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有する。
【0039】
実装基板1は、
図1に示すように、ハウジング配置部2、および、外部部品接続部3を備える。
【0040】
ハウジング配置部2は、ハウジング22(後述)や撮像素子21が配置される部分である。具体的には、ハウジング22が実装基板1に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、ハウジング22と重複する部分である。ハウジング配置部2の略中央部には、撮像素子21と電気的に接続するための撮像素子接続端子10(後述)が複数配置されている。ハウジング配置部2は、後述する金属支持板19を有しない。
【0041】
外部部品接続部3は、ハウジング配置部2以外の領域であって、外部部品と接続するための部分である。外部部品接続部3は、外部部品接続部3の前端縁がハウジング配置部2の後端縁と連続するように、ハウジング配置部2の後側に配置されている。外部部品接続部3の後端縁には、外部部品と電気的に接続するための外部部品接続端子11(後述)が複数配置されている。
【0042】
実装基板1は、
図2に示すように、第1絶縁層としてのベース絶縁層4と、導体パターン5と、第2絶縁層としてのカバー絶縁層6とを備える。好ましくは、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5およびカバー絶縁層6のみからなる。
【0043】
ベース絶縁層4は、実装基板1の外形をなし、底面視略矩形状に形成されている。ベース絶縁層4の下面は、平坦となるように形成されている。ベース絶縁層4には、複数の撮像素子開口部7、および、複数の外部部品開口部8が形成されている。
【0044】
複数の撮像素子開口部7は、撮像素子接続端子10を下面から露出するための開口部である。複数の撮像素子開口部7は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。撮像素子開口部7は、ベース絶縁層4を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。撮像素子開口部7は、下側に向かうに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0045】
複数の外部部品開口部8は、外部部品接続端子11を下面から露出するための開口部である。外部部品開口部8は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。外部部品開口部8は、ベース絶縁層4を厚み方向に貫通し、底面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品開口部8は、底面視において、外部部品接続部3の後端縁から前側に向かって延びるように、形成されている。
【0046】
ベース絶縁層4は、絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。好ましくは、ベース絶縁層4は、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0047】
ポリイミド樹脂としては、例えば、特開平07-179604号公報、特開2010-276775号公報、特開2013-100441号公報などに記載の材料が挙げられる。
【0048】
ベース絶縁層4の弾性率は、例えば、1GPa以上、好ましくは、5GPa以上であり、また、例えば、20GPa以下、好ましくは、15GPa以下である。絶縁層などの樹脂層の弾性率は、例えば、動的粘弾性測定により、JIS K7244やISO 6721に準拠して測定することができる。
【0049】
ベース絶縁層4の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、50ppm/K以下、好ましくは、30ppm/K以下である。絶縁層などの樹脂層の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析により、JIS K7197の条件にて測定することができる。
【0050】
ベース絶縁層4の厚みT1は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0051】
導体パターン5は、ベース絶縁層4の上面と接触するように、ベース絶縁層4の上側に設けられている。導体パターン5は、複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11、および、複数の金属配線9を備える。
【0052】
複数の撮像素子接続端子10は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の撮像素子接続端子10は、実装される撮像素子21の複数の端子25(後述)に対応するように、設けられている。また、複数の撮像素子接続端子10は、複数の撮像素子開口部7に対応して設けられている。撮像素子接続端子10は、底面視略円形状を有する。撮像素子接続端子10は、側断面視において、下側に凸となるように形成されている。具体的には、撮像素子接続端子10は、撮像素子開口部7の外周に配置される外周部12と、外周部12から内側に窪むように撮像素子開口部7内に配置される内側部13とを一体的に備える。内側部13の下面(露出面)は、撮像素子開口部7から露出しており、平坦となるように形成されている。また、内側部13の下面は、ベース絶縁層4の下面と面一となるように形成されている。
【0053】
複数の外部部品接続端子11は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、外部部品の複数の端子(図示せず)と対応するように設けられている。また、複数の外部部品接続端子11は、複数の外部部品開口部8に対応して設けられている。外部部品接続端子11は、平面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品接続端子11は、外部部品開口部8内に配置され、その下面は、外部部品開口部8から露出している。
【0054】
複数の金属配線9は、複数の接続配線14および複数のグランド配線15を備える。
【0055】
複数の接続配線14は、電気信号を流すための配線であって、複数の撮像素子接続端子10および複数の外部部品接続端子11に対応するように設けられている。具体的には、接続配線14は、撮像素子接続端子10と外部部品接続端子11とを接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、接続配線14の一端は、撮像素子接続端子10と連続し、接続配線14の他端は、外部部品接続端子11と連続して、これらを電気的に接続している。
【0056】
複数のグランド配線15は、複数の接続配線14に対応するように設けられている。具体的には、複数のグランド配線15は、複数の接続配線14の外側に、これらに沿うように設けられている。グランド配線15の一端には、図示しないグランド端子が一体的に接続されている。
【0057】
なお、実装基板1を厚み方向に投影したときに、金属配線9が存在する平面視または底面視の領域を、配線領域16とする。
【0058】
導体パターン5の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0059】
導体パターン5の弾性率は、例えば、50GPa以上、好ましくは、100GPa以上であり、また、例えば、200GPa以下、好ましくは、150GPa以下である。導体パターンなどの金属の弾性率は、例えば、引っ張り試験測定により、JIS Z 2241に準拠して測定することができる。
【0060】
導体パターン5の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、30ppm/K以下、好ましくは、20ppm/K以下である。導体パターンなどの金属の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析装置や光走査式測定装置により、JIS Z 2285に準拠して測定することができる。
【0061】
導体パターン5の熱膨張係数とベース絶縁層4の熱膨張係数との差は、例えば、20ppm/K以下、好ましくは、10ppm/K以下、より好ましくは、5ppm/K以下である。これらの熱膨張係数の差を上記範囲とすることにより、リフローなどの撮像素子実装工程において、実装基板1の反りを抑制できるため、撮像素子21を実装基板1に容易に実装することができる。
【0062】
導体パターン5(金属配線9、各接続端子10、11)の厚みT2は、反りの抑制および取扱い性の観点から、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0063】
金属配線9において、接続配線14の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下、より好ましくは、50μm以下である。
【0064】
グランド配線15の幅は、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、5000μm以下、好ましくは、3000μm以下、より好ましくは,
1000μm以下である。
【0065】
カバー絶縁層6は、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4および導体パターン5の上側に設けられている。すなわち、カバー絶縁層6は、導体パターン5の上面および側面、および、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面と接触するように、配置されている。カバー絶縁層6の外形は、外部部品接続端子11の形成部分を除いて、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0066】
カバー絶縁層6は、ベース絶縁層4で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0067】
カバー絶縁層6の弾性率は、例えば、1GPa以上、好ましくは、5GPa以上であり、また、例えば、20GPa以下、好ましくは、15GPa以下である。
【0068】
カバー絶縁層6の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、50ppm/K以下、好ましくは、30ppm/K以下である。
【0069】
カバー絶縁層6の熱膨張係数と導体パターン5の熱膨張係数との差は、例えば、20ppm/K以下、好ましくは、10ppm/K以下、より好ましくは、5ppm/K以下である。これらの熱膨張係数の差を上記範囲とすることにより、リフローなどの撮像素子実装工程において、実装基板1の反りを抑制できるため、撮像素子21を実装基板1に容易に実装することができる。
【0070】
カバー絶縁層6の厚みT3は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0071】
実装基板1の配線領域16における等価弾性率は、5GPa以上、55GPa以下である。好ましくは、10GPa以上であり、また、好ましくは、50GPa以下、より好ましくは、40GPa以下、さらに好ましくは、30GPa以下、とりわけ好ましくは、20GPa以下である。配線領域16の等価弾性率を上記範囲とすることにより、反りの発生を抑制することができる。また、実装基板1の取り扱い性に優れる。
【0072】
等価弾性率Dは、配線領域16を構成する各層(ベース絶縁層4、金属配線9、カバー絶縁層6)の弾性率のそれぞれに、その各層の厚み分率を掛けて、これらを合算したものである。具体的には、
図1の実施形態では、下記の計算式にて得られる。
【0073】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3}/{T1+T2+T3}
D1は、ベース絶縁層4の弾性率を示し、T1は、ベース絶縁層4の厚みを示す。
D2は、金属配線9の弾性率を示し、T2は、金属配線9の厚みを示す。
D3は、カバー絶縁層6の弾性率を示し、T3は、カバー絶縁層6の厚みを示す。
【0074】
なお、上記等価弾性率Dは、第1層および第2層が積層された平行平板モデルにおけるVoigt則:Ey=V1E1+V2E2(Eyは、全体のヤング率、V1は、第1層の体積、E1は、第1層の材料のヤング率、V2は、第2層の体積、E2は、第2層の材料のヤング率を示す。)から近似的に導出される。
【0075】
配線領域16において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合、すなわち、ベース絶縁層4およびカバー絶縁層6の合計厚みに対する金属配線9の厚みの割合(T2/(T1+T3))が、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.90以下、好ましくは、0.70以下、より好ましくは、0.50以下、さらに好ましくは、0.20以下である。上記割合を上記範囲とすることにより、等価弾性率を適正な範囲(例えば、5GPa以上、55GPa以下)に容易に調整することができ、その結果、反りの発生をより確実に抑制することができる。加えて、上記割合を0.20以上、0.70以下の範囲にすると、金属配線9の電気特性を良好にしながら、接続配線14の配線幅をより確実に狭くすることができる。そのため、配線設計の自由度を向上させることができ、少ない導体パターン5の数(層数)であっても実装基板1として機能することができる。
【0076】
金属の総厚み(最大厚み:
図2では、金属配線9の厚み)は、反りの抑制および取扱い性の観点から、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下であり、また、例えば、1μm以上である。
【0077】
実装基板1の総厚み(最大厚み)は、反りの抑制および取扱い性の観点から、例えば、50μm以下、好ましくは、40μm以下、より好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは、20μm以下、とりわけ好ましくは、10μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上である。
【0078】
2.撮像素子実装基板の製造方法
実装基板1は、
図3A~
図3Hに示すように、例えば、金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、カバー絶縁層形成工程、および、金属支持板除去工程を順次実施することにより、得られる。
【0079】
金属支持板用意工程では、
図3Aに示すように、金属支持板19を用意する。
【0080】
金属支持板19は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅合金などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。
【0081】
金属支持板19の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0082】
金属支持板19の上面は、平坦(平滑)となるように形成されている。
【0083】
ベース絶縁層形成工程では、
図3Bに示すように、ベース絶縁層4を、金属支持板19の上面に形成する。すなわち、開口部(撮像素子開口部7および外部部品開口部8)を有するベース絶縁層4を、金属支持板19の上面に形成する。
【0084】
具体的には、感光性の絶縁性材料のワニス(例えば、感光性ポリイミド)を金属支持板19の上面全面に塗布して乾燥させて、ベース皮膜(ベース絶縁層)を形成する。その後、ベース皮膜を、開口部(撮像素子開口部7および外部部品開口部8)に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。その後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させる。
【0085】
金属薄膜形成工程では、
図3Cに示すように、ベース絶縁層4の上面、および、開口部7から露出する金属支持板19の上面に、金属薄膜17(種膜)を形成する。
【0086】
金属薄膜17としては、銅、クロム、ニッケルおよびそれらの合金などの金属材料が用いられる。
【0087】
金属薄膜17は、例えば、金属支持板19の上に形成されたベース絶縁層4に対して、スパッタリング、めっきなどの薄膜形成方法を実施することにより、形成する。好ましくは、スパッタリングにより金属薄膜17を形成する。
【0088】
金属薄膜17の厚みは、例えば、10nm以上、300nm以下である。
【0089】
フォトレジスト形成工程では、
図3Dに示すように、金属薄膜17にフォトレジスト18を形成する。すなわち、導体パターン5に対応する開口部を有するフォトレジスト18を形成する。
【0090】
具体的には、ドライフィルムレジストを金属薄膜の上面全面に配置する。その後、ドライフィルムレジストを、導体パターン5に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。その後、ドライフィルムレジストを現像し、必要により加熱硬化させることにより、フォトレジスト18をめっきレジストとして形成する。
【0091】
これにより、導体パターン5に対応する部分の金属薄膜17をフォトレジスト18から露出させる。
【0092】
導体パターン形成工程では、
図3Eに示すように、フォトレジスト18から露出した金属薄膜17の表面に、導体パターン5を形成する。
【0093】
具体的には、例えば、金属薄膜17から給電する電解めっきを実施する。
【0094】
これにより、撮像素子接続端子10、外部部品接続端子11および金属配線9を有する導体パターン5が形成される。なお、導体パターン5に対応する金属薄膜17は、電解めっきによるめっき層28と一体化されて、めっき層28とともに導体パターン5を形成する。すなわち、
図3D~
図3Hにおいて、撮像素子接続端子10および金属配線9は、それぞれ、めっき層28と金属薄膜17との2層となるように図示されているが、これらは、完全に一体化されて、一層となっていてもよい(
図2参照)。
【0095】
フォトレジスト・金属薄膜除去工程では、
図3Fに示すように、フォトレジスト18および金属薄膜17を除去する。
【0096】
具体的には、まず、残存するフォトレジスト18を除去する。例えば、ウェットエッチングにより除去する。その後、残存するフォトレジスト18に対向した金属薄膜17を除去する。例えば、剥離またはウェットエッチングにより除去する。
【0097】
カバー絶縁層形成工程は、
図3Gに示すように、導体パターン5およびベース絶縁層4の上面に、カバー絶縁層6を配置する。
【0098】
具体的には、例えば、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0099】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、カバー絶縁層6とを備える実装基板1を、金属支持板19に支持された状態で得る。
【0100】
金属支持板除去工程では、
図3Hに示すように、金属支持板19を除去する。
【0101】
除去方法としては、例えば、金属支持板19を実装基板1の下面から剥離する方法、金属支持板19をウェットエッチングにて処理する方法などが挙げられる。
【0102】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、カバー絶縁層6とを備える実装基板1を得る。
【0103】
このような実装基板1は、例えば、撮像素子を実装するための配線回路基板に用いられる。すなわち、実装基板1は、カメラモジュールなどの撮像装置に用いられる。
【0104】
3.撮像装置
図4を参照して、実装基板1を備える撮像装置20を説明する。
【0105】
撮像装置20は、実装基板1、撮像素子21、ハウジング22、光学レンズ23、および、フィルター24を備える。
【0106】
実装基板1は、
図2の状態と上下反転して用いる。すなわち、実装基板1は、ベース絶縁層4を上側とし、カバー絶縁層6を下側となるように、配置される。
【0107】
撮像素子21は、光を電気信号に変換する半導体素子であって、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサなどの固体撮像素子が挙げられる。
【0108】
撮像素子21は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、図示しないが、Si基板などのシリコンと、その上に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)およびカラーフィルターとを備える。撮像素子21の下面には、実装基板1の撮像素子接続端子10と対応する端子25が複数設けられている。
【0109】
撮像素子21(特にSi基板)の弾性率は、例えば、100GPa以上、好ましくは、120GPa以上であり、また、例えば、200GPa以下、好ましくは、150GPa以下である。撮像素子21の弾性率は、例えば、引っ張り試験測定により、JIS Z 2241に準拠して測定することができる。
【0110】
撮像素子21(特にSi基板)の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、2ppm/K以上であり、また、例えば、10ppm/K以下、好ましくは、5ppm/K以下である。撮像素子21の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析装置や光走査式測定装置により、JIS Z 2285に準拠して測定することができる。
【0111】
撮像素子21の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0112】
撮像素子21は、実装基板1に実装されている。すなわち、撮像素子21の端子25は、対応する実装基板1の撮像素子接続端子10と、ソルダーバンプ26などを介して、フリップチップ実装されている。これにより、撮像素子21は、実装基板1のハウジング配置部2の中央部に配置され、実装基板1の撮像素子接続端子10および外部部品接続端子11と電気的に接続されている。
【0113】
撮像素子21は、実装基板1に実装されることにより、撮像ユニット27を構成する。すなわち、撮像ユニット27は、実装基板1と、それに実装される撮像素子21とを備える。
【0114】
ハウジング22は、実装基板1のハウジング配置部2に、撮像素子21と間隔を隔てて囲むように、配置されている。ハウジング22は、平面視略矩形状の筒状を有する。ハウジング22の上端には、光学レンズ23を固定するための固定部が設けられている。
【0115】
光学レンズ23は、実装基板1の上側に、実装基板1および撮像素子21と間隔を隔てて配置されている。光学レンズ23は、平面視略円形状に形成され、外部からの光が、撮像素子21に到達するように、固定部によって固定されている。
【0116】
フィルター24は、撮像素子21および光学レンズ23の上下方向中央に、これらと間隔を隔てて配置され、ハウジング22に固定されている。
【0117】
そして、この実装基板1は、ベース絶縁層4と、ベース絶縁層4の上側に配置される金属配線9と、金属配線9の上側に配置されるカバー絶縁層6とを備える配線領域16を有する。配線領域16の等価弾性率は、5GPa以上、55GPa以下である。
【0118】
このため、撮像ユニット27を高温および低温を繰り返す環境下に置いた際に、撮像素子21と実装基板1との間に生じる熱歪みを緩和することができ、その結果、撮像ユニット27の反りを低減することができる。
【0119】
従来の実装基板(FPC基板)では、配線領域の熱膨張係数は、15ppm/Kを超過している。一方、撮像素子は、Si基板などを備えるため、一般的に、その熱膨張係数は、10ppm/K未満である。これらの熱膨張係数に差があるため、撮像素子を熱処理によって実装基板に実装すると、実装基板は、大幅な反りが生じてしまう。
【0120】
これに対し、この実装基板1では、配線領域16の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下である。そのため、ヒートサイクル(例えば、温度差50℃以上)に対して、撮像素子21の熱膨張に合わせて、実装基板1は、柔軟に変形することができる。結果、反りの発生を抑制することができる。
【0121】
また、金属支持板などの支持体を要しないため、薄型化が可能である。
【0122】
また、実装基板1を実装する表面が平坦であるため、すなわち、
図1に示すように、ベース絶縁層4の下面が平坦であり、ベース絶縁層4の下面と撮像素子接続端子10の露出面(内側部13)と面一である。よって、撮像素子21を実装する際に、撮像素子21の端子25が、ベース絶縁層4の凸部に衝突することを抑制することができる。その結果、実装が容易である。
【0123】
また、実装基板1は、アクリル接着剤などの接着剤層を要しないため、湿熱による接着剤層の劣化を抑制することでき、耐湿熱性に優れる。
【0124】
この実装基板1の製造方法によれば、金属支持板19を用意する工程、金属支持板19の上面にベース絶縁層4を形成する工程、ベース絶縁層4の上面に金属配線9を形成する工程、金属配線9の上面にカバー絶縁層6を形成する工程、および、金属支持板19を除去する工程を備える。
【0125】
すなわち、硬い金属支持板19の上で実装基板1を製造するため、ハンドリングが容易である。また、ベース絶縁層4の厚みを薄くしても、金属支持板19がベース絶縁層4を支持するため、ベース絶縁層4の上に金属配線9やカバー絶縁層6を確実に配置できる。その結果、ベース絶縁層4の薄膜化、ひいては、実装基板1の薄膜化を図ることができる。
【0126】
また、ベース絶縁層4やカバー絶縁層6を感光性の絶縁性材料を用いて形成すれば、ベース絶縁層4、導体パターン5およびカバー絶縁層6のそれぞれの間に、接着剤層を要せず、これらを積層できる。そのため、耐熱性の向上、および、より一層の薄膜化を図ることができる。
【0127】
4.実装基板集合体
実装基板1は、工業的には複数の実装基板1の集合体として、製造及び使用する。実装基板集合体50は、
図5に示すように、面方向に延びる平面視略矩形(略正方形状)の平板形状(シート形状)を有しており、複数(9個)の実装基板1およびマージン部51を備える。
【0128】
複数の実装基板1は、前後方向および左右方向に間隔を隔てて均等に整列配置されている。
【0129】
マージン部51は、複数の実装基板1以外の部分であり、隣接する実装基板1の間、および、外側に配置される実装基板1の外側に配置されている。マージン部51は、少なくともベース絶縁層4およびカバー絶縁層6を備える。
【0130】
実装基板集合体50では、等間隔に配置される複数(9個)の実装基板1とマージン部51とが、一つの集合部52を構成している。
【0131】
この実装基板集合体50によれば、複数の撮像素子21を同時に複数の実装基板1に実装することにより、撮像ユニット27を同時に製造することができる。そのため、撮像装置20の生産効率が向上する。
【0132】
実装基板集合体50は、金属支持板用意工程において、複数の実装基板1を配置できる大きさの金属支持板19を用意して、上記した実装基板1の製造方法と同様の工程で複数の実装基板1を同時に製造し、金属支持板除去工程において、金属支持板19を除去することにより、製造することができる。
【0133】
5.変形例
図2に示す実施形態の実装基板1では、金属配線9は、グランド配線15を備えるが、例えば、図示しないが、グランド配線15を備えなくてもよい。すなわち、金属配線9は、接続配線14のみから構成することもできる。
【0134】
図2に示す実施形態の実装基板1では、例えば、図示しないが、金属配線9は、電源配線などのその他の配線を備えていてもよい。なお、電源配線が存在する領域も、配線領域16である。
【0135】
図4に示す実施形態の撮像装置20では、撮像素子21は、実装基板1にフリップチップ実装されているが、例えば、図示しないが、撮像素子21は、実装基板1にワイヤボンディングによって実装することもできる。
【0136】
図2に示す実装基板1は、粘着剤層および支持体を備えていないが、例えば、
図6に示すように、実装基板1は、粘着剤層60および支持体61を備えることもできる。
【0137】
図6に示す実装基板1は、具体的には、ベース絶縁層4の下面に配置される粘着剤層60と、粘着剤層60の下面に配置される支持体61とを備える。粘着剤層60および支持体61は、実装基板1の搬送時や保存時において実装基板1に配置されるものであり、撮像素子21の実装時や実装基板1の使用時において、剥離される。
【0138】
粘着剤層60としては、例えば、両面粘着テープなどの公知の粘着剤層が挙げられる。
【0139】
支持体61としては、例えば、表面保護フィルム、離型フィルムなどの公知のフィルムが挙げられる。
【0140】
また、粘着剤層60および支持体61の積層体として、公知の紫外線剥離テープなども挙げられる。
【0141】
図6に示す実装基板1によれば、実装基板1の送搬時や保存時において、実装基板1の汚染やブロッキングを抑制することができる。
【0142】
また、実装基板1では、
図6の仮想線に示すように、ベース絶縁層4の下面に加えて、または、ベース絶縁層4の下面の代わりに、ベース絶縁層4の上面に、粘着剤層60および支持体61を備えることもできる。
【0143】
図5に示す実装基板集合体50では、一つの集合部52からなるが、例えば、
図7に示すように、実装基板集合体50は、複数(9個)の集合部52を備えることもできる。なお、図示しないが、
図5および
図7に示される一つの集合部52内の実装基板1、および、集合部52の数は限定されず、例えば、それぞれ、8個以下であってもよく、10個以上であってもよい。
【0144】
図5に示す実装基板集合体50では、平面視略正方形状のシート(枚葉)に形成されているが、例えば、
図8に示すように、実装基板集合体50は、一方向に長尺なシートに形成されており、かつ、ロール状に巻回されていてもよい。
【0145】
図8に示す実装基板集合体50によれば、ロールトゥロール工程にて、撮像ユニット27を製造することができるため、撮像装置20の生産効率が向上する。
【0146】
<第2実施形態>
図9を参照して、実装基板の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の実装基板1において、上記した
図2に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
第1実施形態では、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5およびカバー絶縁層6のみを備えるが、第2実施形態は、
図9に示すように、第2導体パターン30、および、第3絶縁層としての第2カバー絶縁層31をさらに備える。
【0148】
すなわち、第2実施形態は、ベース絶縁層4と、導体パターン(第1導体パターン)5と、カバー絶縁層(第1カバー絶縁層)6と、第2導体パターン30と、第2カバー絶縁層31とを備える。好ましくは、第2実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、カバー絶縁層6、第2導体パターン30および第2カバー絶縁層31のみからなる。
【0149】
第2導体パターン30は、カバー絶縁層6の上面と接触するように、カバー絶縁層6の上側に設けられている。第2導体パターン30は、複数の第2撮像素子接続端子(図示せず)、複数の第2外部部品接続端子(図示せず)、および、複数の第2金属配線32を備える。
【0150】
複数の第2撮像素子接続端子は、ベース絶縁層4に形成された第2接続素子接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0151】
複数の第2外部部品接続端子は、ベース絶縁層4に形成された第2外部部品接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0152】
複数の第2金属配線32は、複数の第2接続配線33および複数の第2グランド配線34を備える。複数の第2接続配線33は、複数の第2撮像素子接続端子および複数の第2外部部品接続端子に対応して、これらを接続するように設けられている。複数の第2グランド配線34は、複数の第2接続配線33に対応するように設けられている。
【0153】
第2導体パターン30の材料、弾性率および熱膨張係数は、それぞれ、導体パターン5の材料、弾性率および熱膨張係数と同様である。
【0154】
第2導体パターン30の厚みT4、および、第2金属配線32の幅は、それぞれ、導体パターン5の厚みT2、および、金属配線9の幅と同様である。
【0155】
第2カバー絶縁層31は、第2導体パターン30を被覆するように、カバー絶縁層6および第2導体パターン30の上側に設けられている。すなわち、第2カバー絶縁層31は、第2導体パターン30の上面および側面、および、第2導体パターン30から露出するカバー絶縁層6の上面と接触するように、配置されている。第2カバー絶縁層31の外形は、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0156】
第2カバー絶縁層31の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT5は、それぞれ、カバー絶縁層6の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT3と同様である。
【0157】
なお、実装基板1を厚み方向に投影したときに、金属配線9および第2金属配線32の少なくとも一方が存在する平面視または底面視の領域を、配線領域16とする(ただし、厚み方向に投影したときに、撮像素子接続端子10や第2撮像素子接続端子などの端子が存在する端子領域は、除く)。
【0158】
なお、第2実施形態の等価弾性率Dは、第1実施形態の等価弾性率Dと同様であって、5GPa以上、55GPa以下である。好ましくは、10GPa以上であり、また、好ましくは、50GPa以下である。第2実施形態の等価弾性率Dは、ベース絶縁層4と、導体パターン5(金属配線9)と、カバー絶縁層6と、第2導体パターン30(第2金属配線32)と、第2カバー絶縁層31とが積層されている配線領域では、下記式で示される。
【0159】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3+D4×T4+D5×T5}/{T1+T2+T3+T4+T5}
D4は、第2金属配線32の弾性率を示し、T4は、第2金属配線32の厚みを示す。
D5は、第2カバー絶縁層31の弾性率を示し、T5は、第2カバー絶縁層31の厚みを示す。
【0160】
また、配線領域16において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合、すなわち、ベース絶縁層4、カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31の合計厚みに対する金属配線9および第2金属配線32の合計厚みの割合(T2+T4/(T1+T3+T5))は、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.90以下、好ましくは、0.70以下である。
【0161】
金属の総厚み(金属配線9および第2金属配線32の合計厚み)も、第1実施形態の総厚みと同様である。
【0162】
第2実施形態の実装基板1は、第1実施形態の実装基板1を金属支持板19に支持された状態で得た後に、第2導体パターン30および第2カバー絶縁層31をこの順で、第1カバー絶縁層6の上面に形成し、続いて、金属支持板19を除去することにより、製造することができる。
【0163】
第2実施形態についても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第2実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【0164】
<第3実施形態>
図10を参照して、実装基板の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の実装基板1において、上記した
図2、
図9などに示す第1~2実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0165】
第1実施形態では、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5およびカバー絶縁層6のみを備えるが、例えば、第3実施形態は、
図10に示すように、実装基板1は、金属シールド層40、および、第3絶縁層としての第2カバー絶縁層31をさらに備える。好ましくは、第3実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、カバー絶縁層6、金属シールド層40および第2カバー絶縁層31のみからなる。
【0166】
すなわち、第3実施形態は、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、カバー絶縁層(第1カバー絶縁層)6と、金属シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える。
【0167】
金属シールド層40は、カバー絶縁層6の上面と接触するように、カバー絶縁層6の上側に配置されている。金属シールド層40は、外部からの電磁波を遮蔽する層であって、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。
【0168】
金属シールド層40は、グランド配線15と電気的に接続されている。すなわち、金属シールド層40は、グランド配線15と連続している。具体的には、金属シールド層40は、グランド配線15と対向する部分において、下側に凸形状を有し、グランド配線15の上面に接触する接触部41を備える。
【0169】
接触部41は、グランド配線15に直接接触する平坦部42と、平坦部42の周囲に連続するように一体的に配置される傾斜部43とを備える。
【0170】
平坦部42は、面方向に延びる平板状に形成されている。
【0171】
傾斜部43は、上下方向および面方向に交差(傾斜)する傾斜方向に延びている。
【0172】
側断面視において、平坦部42と傾斜部43とのなす角度は、例えば、100°以上、好ましくは、120°以上であり、また、例えば、170°以下、好ましくは、160°以下である。
【0173】
これにより、金属シールド層40は、グランド配線15を介して、接地されている。
【0174】
金属シールド層40は、金属導体からなり、例えば、銅、クロム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、チタン、タンタル、はんだ、またはこれらの合金などの金属材料が用いられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0175】
金属シールド層40の厚みT6は、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、また、例えば、3μm以下、好ましくは、1μm以下である。
【0176】
第2カバー絶縁層31は、金属シールド層40を被覆するように、金属シールド層40の上側に設けられている。第2カバー絶縁層31の外形は、カバー絶縁層6と同一となるように形成されている。
【0177】
第3実施形態における第2カバー絶縁層31の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT5は、それぞれ、第2実施形態における第2カバー絶縁層31と同様であり、すなわち、カバー絶縁層6の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT3と同様である。
【0178】
なお、第3実施形態の等価弾性率Dは、第1実施形態の等価弾性率Dと同様であって、5GPa以上、55GPa以下である。好ましくは、10GPa以上であり、また、好ましくは、50GPa以下である。第3実施形態の等価弾性率Dは、ベース絶縁層4と、導体パターン5(金属配線9)と、カバー絶縁層6と、金属シールド層40と、第2カバー絶縁層31とが積層されている配線領域では、下記式で示される。
【0179】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3+D6×T6+D5×T5}/{T1+T2+T3+T6+T5}
D6は、金属シールド層40の弾性率を示し、T6は、金属シールド層40の厚みを示す。
【0180】
また、配線領域16において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合、すなわち、ベース絶縁層4、カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層31の合計厚みに対する金属配線9および金属シールド層40の合計厚みの割合(T2+T6/(T1+T3+T5))は、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.90以下、好ましくは、0.70以下である。
【0181】
金属の総厚み(金属配線9および金属シールド層40の合計厚み)も、第1実施形態の総厚みと同様である。
【0182】
第3実施形態の実装基板1は、第1実施形態の実装基板1を金属支持板19で支持された状態で得た後に、金属シールド層40および第2カバー絶縁層31をこの順で、第1カバー絶縁層6の上面に形成し、続いて、金属支持板19を除去することにより、製造することができる。
【0183】
すなわち、金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、カバー絶縁層形成工程、シールド層形成工程、第2カバー絶縁層形成工程、および、金属支持板除去工程を実施する。
【0184】
金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、および、フォトレジスト・金属薄膜除去工程は、第1実施形態と同様である(
図3A~
図3G参照)。
【0185】
カバー絶縁層形成工程では、
図11Aに示すように、カバー絶縁層(第1カバー絶縁層)6を、導体パターン5およびベース絶縁層4の上面に配置する。
【0186】
このとき、導体パターン5のグランド配線15の上面が露出するように、グランド開口部44を有するカバー絶縁層6を形成する。また、グランド開口部44が、側断面視において、下側に向かって幅狭となるテーパ形状となるように、カバー絶縁層6を形成する。具体的には、例えば、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0187】
シールド層形成工程では、
図11Bに示すように、カバー絶縁層6の上に、金属シールド層40を形成する。
【0188】
金属シールド層40の形成には、例えば、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、例えば、導電ペーストによる塗布法が挙げられる。好ましくは、薄膜化の観点から、スパッタリング、蒸着法が挙げられ、より好ましくは、スパッタリングが挙げられる。
【0189】
第2カバー絶縁層形成工程は、
図11Cに示すように、金属シールド層40の上面に、第2カバー絶縁層31を配置する。具体的には、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0190】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、カバー絶縁層6と、金属シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える実装基板1を、金属支持板19に支持された状態で得る。
【0191】
金属支持板除去工程では、
図11Dに示すように、金属支持板19を除去する。具体的には、第1実施形態と同様の方法が挙げられる。
【0192】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、カバー絶縁層6と、金属シールド層40と、第2カバー絶縁層31とを備える実装基板1を得る。
【0193】
第3実施形態についても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第3実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【0194】
また、第3実施形態では、配線領域16は、カバー絶縁層6の上側に配置される金属シールド層40と、金属シールド層40の上側に配置される第2カバー絶縁層31を備える。このため、外部から生じる電磁波を金属シールド層40で遮蔽することができるため、撮像装置20の信頼性を向上させることができる。
【0195】
また、金属配線9が、接続配線14およびグランド配線15を備え、金属シールド層40が、グランド配線15に電気的に接続されている。
【0196】
このため、ベース絶縁層4の上面に、すなわち、接続配線14と同一の上下方向位置で、グランド配線15が配置されている。よって、別途、グランド配線15を設けるための層を設ける必要がない。その結果、実装基板1の薄膜化を図ることができる。
【0197】
また、金属シールド層40は、上下方向および面方向に傾斜する傾斜方向に延び、グランド配線15と接触する傾斜部43を備える。すなわち、金属シールド層40は、その一部が傾斜するように形成されている。このため、スパッタリングや蒸着などによって金属シールド層40を形成することができる。すなわち、金属シールド層40をスパッタリング膜などとすることができる。よって、実装基板1の薄膜化を図ることができる。なお、金属シールド層40の接触部41において、傾斜部43に代えて、上下方向に沿う垂直部とすることもできる。しかし、この垂直部を備える形態では、スパッタリングや蒸着などの成膜法によっては、均一な金属シールド層40(垂直部)を形成することはできず、スパッタリング膜などによる薄膜化を図ることが困難となるおそれが生じる。
【0198】
<第4実施形態>
図12を参照して、実装基板の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態の実装基板1において、上記した
図2、
図9、
図11などに示す第1~3実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0199】
第2実施形態では、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5、カバー絶縁層6、第2導体パターン30および第2カバー絶縁層31のみを備えるが、第4実施形態は、
図12に示すように、第3導体パターン70、および、第3カバー絶縁層71をさらに備える。
【0200】
すなわち、第4実施形態は、ベース絶縁層4と、導体パターン(第1導体パターン)5と、カバー絶縁層(第1カバー絶縁層)6と、第2導体パターン30と、第2カバー絶縁層31と、第3導体パターン70と、第3カバー絶縁層71とを備える。好ましくは、第2実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、カバー絶縁層6、第2導体パターン30、第2カバー絶縁層31、第3導体パターン70および第3カバー絶縁層71のみからなる。
【0201】
第3導体パターン70は、第2カバー絶縁層31の上面と接触するように、第2カバー絶縁層31の上側に設けられている。第3導体パターン70は、複数の第3撮像素子接続端子(図示せず)、複数の第3外部部品接続端子(図示せず)、および、複数の第3金属配線72を備える。
【0202】
複数の第3撮像素子接続端子は、ベース絶縁層4に形成された第3接続素子接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0203】
複数の第3外部部品接続端子は、ベース絶縁層4に形成された第3外部部品接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0204】
複数の第3金属配線72は、複数の第3接続配線73および複数の第3グランド配線74を備える。複数の第3接続配線73は、複数の第3撮像素子接続端子および複数の第3外部部品接続端子に対応して、これらを接続するように設けられている。複数の第3グランド配線74は、複数の第3接続配線73に対応するように設けられている。
【0205】
第3導体パターン70の材料、弾性率および熱膨張係数は、それぞれ、導体パターン5の材料、弾性率および熱膨張係数と同様である。
【0206】
第3導体パターン70の厚みT7、および、第3金属配線72の幅は、それぞれ、導体パターン5の厚みT2、および、金属配線9の幅と同様である。
【0207】
第3カバー絶縁層71は、第3導体パターン70を被覆するように、第2カバー絶縁層31および第3導体パターン70の上側に設けられている。第3カバー絶縁層71の外形は、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0208】
第3カバー絶縁層71の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT8は、それぞれ、カバー絶縁層6の材料、弾性率、熱膨張係数および厚みT3と同様である。
【0209】
なお、実装基板1を厚み方向に投影したときに、金属配線9、第2金属配線32および第3金属配線72の少なくとも一方が存在する平面視または底面視の領域を、配線領域16とする(ただし、厚み方向に投影したときに、撮像素子接続端子10、第2撮像素子接続端子、第3撮像素子接続端子などの端子が存在する端子領域は、除く)。
【0210】
なお、第4実施形態の等価弾性率Dは、第1実施形態の等価弾性率Dと同様であって、5GPa以上、55GPa以下である。好ましくは、10GPa以上であり、また、好ましくは、50GPa以下である。第3実施形態の等価弾性率Dは、ベース絶縁層4と、導体パターン5(金属配線9)と、カバー絶縁層6と、第2導体パターン30(第2金属配線32)と、第2カバー絶縁層31と、第3導体パターン70(第3金属配線72)と、第3カバー絶縁層71とが積層されている配線領域(
図12の拡大図)では、下記式で示される。
【0211】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3+D4×T4+D5×T5+D7×T7+D8×T8}/{T1+T2+T3+T4+T5+T7+T8}
D7は、第3金属配線72の弾性率を示し、T7は、第3金属配線72の厚みを示す。
D8は、第3カバー絶縁層71の弾性率を示し、T8は、第3カバー絶縁層71の厚みを示す。
【0212】
また、配線領域16において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合、すなわち、ベース絶縁層4、カバー絶縁層6、第2カバー絶縁層31および第3カバー絶縁層71の合計厚みに対する金属配線9、第2金属配線32および第3金属配線72の合計厚みの割合(T2+T4+T7/(T1+T3+T5+T8))は、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.90以下、好ましくは、0.70以下である。
【0213】
金属の総厚み(金属配線9、第2金属配線32および第3金属配線72の合計厚み)も、第1実施形態の総厚みと同様である。
【0214】
第4実施形態の実装基板1は、第2実施形態の実装基板1を金属支持板19に支持された状態で得た後に、第3導体パターン70および第3カバー絶縁層71をこの順で、第2カバー絶縁層6の上面に形成し、続いて、金属支持板19を除去することにより、製造することができる。
【0215】
第4実施形態についても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第4実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。また、第4実施形態について、第3導体パターン70の代わりに、第3実施形態の金属シールド層40を適用することもできる。
【0216】
図12に示す実施形態では、7層の全て(ベース絶縁層4、金属配線9、カバー絶縁層6、第2金属配線32、第2カバー絶縁層31、第3金属配線72、第3カバー絶縁層71)が上下方向に重複するように配置される配線領域が存在しているが、例えば、図示しないが、上記配線領域が存在しなくてよい。具体的には、金属配線9と第2金属配線32と第3金属配線72とが同一領域で上下方向に重複せず、これらの配線(9、32、72)のうち2つの配線が重複する。この場合、等価弾性率D、金属の合計厚みの割合などは、配線領域において、重複している層のみの弾性率および厚みを用いて計算する。
【実施例】
【0217】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0218】
(シミュレーションによる実施例)
実施例1
ベース絶縁層としての8mm×8mm×厚み10μmのポリイミド層と、その全面に配置される導体パターンとしての厚み8μmの銅層と、その全面に配置されるカバー絶縁層としての厚み5μmのポリイミド層とを順に備える実装基板を想定した。なお、ポリイミドの弾性率は、6.3GPa、線熱膨張係数は、17ppm/Kとした。銅の弾性率は、123GPa、線熱膨張係数は、17ppm/Kとした。
【0219】
実施例2~6
各層(ベース絶縁層、導体パターン、カバー絶縁層)の厚みを、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実装基板を想定した。
【0220】
実施例7
ベース絶縁層としての8mm×8mm×厚み3μmのポリイミド層と、その全面に配置される第1導体パターンとしての厚み3μmの銅層と、その全面に配置される第1カバー絶縁層としての厚み5μmのポリイミド層と、その全面に配置される第2導体パターンとしての3μmの銅層と、その全面に配置される第2カバー絶縁層としての厚み3μmのポリイミドとを備える実装基板を想定した。
【0221】
実施例8
ベース絶縁層としての8mm×8mm×厚み5μmのポリイミド層と、その全面に配置される第1導体パターンとしての厚み3μmの銅層と、その全面に配置される第1カバー絶縁層としての厚み3μmのポリイミド層と、その全面に配置される金属シールド層としての厚み0.1μmの銅層と、その全面に配置される第2カバー絶縁層として厚み3μmのポリイミドとを備える実装基板を想定した。
【0222】
実施例9
ベース絶縁層としての8mm×8mm×厚み5μmのポリイミド層と、その全面に配置される第1導体パターンとしての厚み3μmの銅層と、その全面に配置される第1カバー絶縁層としての厚み3μmのポリイミド層と、その全面に配置される第2導体パターンとしての厚み3μmの銅層と、その全面に配置される第2カバー絶縁層として厚み3μmのポリイミドと、その全面に配置される第3導体パターンとしての厚み3μmの銅層と、その全面に配置される第3カバー絶縁層としての厚み3μmのポリイミド層とを備える実装基板を想定した。
【0223】
実施例10
第3導体パターンの厚みを表1のように変更した以外は、実施例9と同様にして、実装基板を想定した。
【0224】
比較例1
各層の厚みを表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実装基板を想定した。
【0225】
比較例2
各層の厚みを表1のように変更した以外は実施例7と同様にして、実装基板を想定した。
【0226】
(評価)
6mm×6mm×厚み100μmのCMOSセンサ(弾性率131GPa、線熱膨張係数2.8ppm/K)を用意した。このCMOSセンサを、各実施例および各比較例の実装基板に積層した測定用サンプルに対して、温度差65℃のヒートサイクルにおける反りを計算した。
【0227】
反りの計算には、文献「S.Timoshenko,“Analysis of Bi-Metal Thermostats”、J optical soc.,p233-255、1925」に示された反りWの計算式を使用した。その結果を表1に示す。
【0228】
【0229】
表1の結果から、等価弾性率が5GPa以上、55GPa以下である場合は、実装基板の反りが小さいことが分かる。したがって、配線領域の等価弾性率が5GPa以上、55GPa以下であると、その配線領域の反りが低減できるため、実装基板全体の反りを低減することができることが分かる。
【符号の説明】
【0230】
1 実装基板
4 ベース絶縁層
5 導体パターン
6 カバー絶縁層
9 金属配線
14 接続配線
15 グランド配線
16 配線領域
19 金属支持板
21 撮像素子
31 第2カバー絶縁層
40 金属シールド層
43 傾斜部
50 実装基板集合体
60 粘着剤層
61 支持体