(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを発現する非ヒト動物
(51)【国際特許分類】
A01K 67/0278 20240101AFI20241112BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241112BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20241112BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20241112BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241112BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20241112BHJP
C12N 5/20 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A01K67/0278 ZNA
C12N5/10
C12N5/0781
C12N5/0735
C12N15/09 Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/54
C12N5/20
(21)【出願番号】P 2023074624
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2022058938の分割
【原出願日】2017-06-02
【審査請求日】2023-04-28
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リン マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ. マーフィー
(72)【発明者】
【氏名】チャングァン グオ
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ レベンコバ
(72)【発明者】
【氏名】ナシン トゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マクウィルター
(72)【発明者】
【氏名】ベラ ボロニナ
(72)【発明者】
【氏名】フェイス ハリス
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0037337(US,A1)
【文献】国際公開第2013/063361(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/044745(WO,A1)
【文献】THE JOURNAL OF IMMUNOLOGY,米国,1997年,Vol. 158, No. 2,p. 715 - 723,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8992987
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/027
C12N 15/00
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された齧歯類B細胞であって、そのゲノム内に、
齧歯類のプレB細胞における核酸配列の発現を誘導する転写制御エレメントに作動可能に連結されたヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントに由来する再編成ヒト免疫グロブリン可変領域であって、免疫グロブリン定常領域に作動可能に連結された、再編成ヒト免疫グロブリン可変領域と
を含む、単離された齧歯類B細胞。
【請求項2】
前記転写制御エレメントがさらに、齧歯類のプロB細胞における発現を誘導する、請求項1に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項3】
前記転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメント、または、免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントを含む、請求項1に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項4】
前記ヒトTdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、および/または、RAG2遺伝子座において、前記齧歯類B細胞のゲノム内に位置する、請求項1に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項5】
前記齧歯類B細胞のゲノム内の前記ヒト免疫グロブリン可変領域が、ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域であり、前記免疫グロブリン定常領域が免疫グロブリン軽鎖定常領域である、請求項1に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項6】
前記齧歯類B細胞のゲノム内の前記免疫グロブリン軽鎖可変領域が、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、請求項5に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項7】
(i)前記齧歯類B細胞のゲノム内の前記ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域が、ヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントを含む;
(ii)前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、免疫グロブリンκ定常領域である;
(iii)前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、内因性種由来の免疫グロブリンκ定常領域である;ならびに/または
(iv)前記ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域および前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、前記齧歯類B細胞のゲノム内の内因性免疫グロブリン軽鎖κ遺伝子座に位置する、
請求項5に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項8】
(i)前記齧歯類B細胞のゲノム内の前記ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域が、ヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントを含む;
(ii)前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、免疫グロブリンλ定常領域である;
(iii)前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、内因性種由来の免疫グロブリンλ定常領域である;ならびに/または
(iv)前記ヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域および前記免疫グロブリン軽鎖定常領域が、前記齧歯類B細胞のゲノム内の内因性免疫グロブリン軽鎖λ遺伝子座に位置する、
請求項5に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項9】
前記単離された齧歯類B細胞が、そのゲノム内に、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを含むヒト免疫グロブリン重鎖可変領域をさらに含み、前記免疫グロブリン定常領域遺伝子が免疫グロブリン重鎖定常領域である、請求項5に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項10】
(i)前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が内因性種由来のものである;ならびに/または
(ii)前記ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域および前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置する、
請求項9に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項11】
前記齧歯類がラットまたはマウスである、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項12】
前記齧歯類がマウスである、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項13】
前記ヒトTdTが、TdTの短いアイソフォーム(TdTS)である、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞。
【請求項14】
2つ以上の請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞を含む、齧歯類B細胞の集団。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞から作製された、ハイブリドーマ。
【請求項16】
抗体を産生するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞の使用。
【請求項17】
ヒト免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖可変ドメインをコードする核酸を得るための、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離された齧歯類B細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/345,524号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
非ヒト動物、特にマウスおよびラットは、治療用抗体の価値ある供給源であることが証明されており、潜在的に他の抗原結合分子の供給源として役立つ可能性がある。このような非ヒト動物における高レベルの抗原受容体多様性は、免疫化後に所望の治療特性を有する抗原結合分子が生成される可能性を高める。したがって、治療用抗原結合分子の産生を改善するために、抗原受容体多様性が増大した遺伝子操作された非ヒト動物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、それらのゲノム中に、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする外因性核酸を含む遺伝子改変非ヒト動物、ならびにこのような非ヒト動物の作製および使用方法である。いくつかの実施形態では、外因性TdTは、ヒトTdTである。いくつかの実施形態では、外因性TdTは、内因性種由来のものである(例えば、マウスでは、外因性TdTは、マウス配列を有する)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、例えば、プロB細胞および/またはプレB細胞において、B細胞発生中に外因性核酸によってコードされるTdTを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、例えば、ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはダブルポジティブ(DP)胸腺細胞において、T細胞発生中に外因性核酸によってコードされるTdTを発現する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、TdTをコードする外因性核酸の複数のコピー(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8つのコピー)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)などの哺乳動物である。
【0004】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、そのゲノム中に、免疫グロブリン定常領域遺伝子(例えば、重鎖定常領域遺伝子、κ鎖定常領域遺伝子、λ鎖定常領域遺伝子)に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメント(例えば、重鎖遺伝子セグメント、κ鎖遺伝子セグメント、λ鎖遺伝子セグメント)を含む免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子、マウス定常領域遺伝子、またはラット定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、可変領域および定常領域遺伝子は、内因性免疫グロブリン遺伝子座(例えば、重鎖遺伝子座、κ遺伝子座、λ遺伝子座)に位置する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト生物は、免疫グロブリン可変領域に由来するヒト免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリン定常ドメインを含む抗体を発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする抗体、B細胞、ハイブリドーマ、または核酸を作製するために、このような遺伝子改変非ヒト動物を使用する方法である。
【0005】
特定の実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、そのゲノム中に、TCR定常領域遺伝
子(例えば、TCRα定常領域遺伝子、TCRβ定常領域遺伝子、TCRγ定常領域遺伝子、TCRδ定常領域遺伝子)に作動可能に連結された未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメント(例えば、TCRα遺伝子セグメント、TCRβ遺伝子セグメント、TCRγ遺伝子セグメント、TCRδ遺伝子セグメント)を含むT細胞受容体(TCR)可変領域を含む。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子、マウス定常領域遺伝子、またはラット定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、可変領域および定常領域遺伝子は、内因性TCR遺伝子座(例えば、TCRα遺伝子座、TCRβ遺伝子座、TCRγ遺伝子座、TCRδ遺伝子座)に位置する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト生物は、TCR可変領域由来のヒトTCR可変ドメインおよびTCR定常領域遺伝子によってコードされるTCR定常ドメインを含むTCRを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、ヒトTCR可変ドメインをコードするTCR、T細胞、T細胞ハイブリドーマ、または核酸を作製するために、このような遺伝子改変非ヒト動物を使用する方法である。
【0006】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、そのゲノム中に、TCR定常領域遺伝子(例えば、TCRα定常領域遺伝子、TCRβ定常領域遺伝子、TCRγ定常領域遺伝子、TCRδ定常領域遺伝子)に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメント(例えば、重鎖遺伝子セグメント、κ鎖遺伝子セグメント、λ鎖遺伝子セグメント)を含む免疫グロブリン可変領域を含む。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子、マウス定常領域遺伝子、またはラット定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、可変領域および定常領域遺伝子は、内因性TCR遺伝子座(例えば、TCRα遺伝子座、TCRβ遺伝子座、TCRγ遺伝子座、TCRδ遺伝子座)に位置する。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト生物は、免疫グロブリン可変領域由来のヒト免疫グロブリン可変ドメインおよびTCR定常領域遺伝子によってコードされるTCR定常ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードするCAR、T細胞、T細胞ハイブリドーマ、または核酸を作製するために、このような遺伝子改変非ヒト動物を使用する方法である。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の遺伝子改変をその生殖系列に含むように非ヒト動物を操作することを含む、本明細書で開示される非ヒト動物を作製する方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の遺伝子改変を含む非ヒトES細胞である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
遺伝子改変非ヒト動物であって、そのゲノム中に:
転写制御エレメントに作動可能に連結された外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物。
(項目2)
前記転写制御エレメントが、プロB細胞および/またはプレB細胞における外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、項目1に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目3)
前記転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメント、および/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントからなる群から選択される、
項目2に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目4)
前記外因性TdTをコードする前記核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座に位置する、項目1~3のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目5)
前記動物におけるV-J免疫グロブリン軽鎖連結の少なくとも10%が、非鋳型付加を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目6)
前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントである、項目1~5のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目7)
前記定常領域遺伝子が、重鎖定常領域遺伝子である、項目6に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目8)
前記重鎖定常領域遺伝子が、内因性種由来である、項目7に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目9)
前記免疫グロブリン可変領域および前記免疫グロブリン定常領域遺伝子が、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置する、項目6~8のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目10)
ゲノム中に第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をさらに含む、項目6~9のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目11)
前記第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された前記免疫グロブリン可変領域が、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、項目10に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目12)
前記第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントである、項目11に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目13)
前記第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントである、項目11に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目14)
前記第2の定常領域遺伝子が、κ定常領域遺伝子である、項目11~13のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目15)
前記第2の定常領域遺伝子が、λ定常領域遺伝子である、項目11~13のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目16)
前記κ定常領域遺伝子が、内因性種由来のものである、項目14に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目17)
前記λ定常領域遺伝子が、内因性種由来のものである、項目15に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目18)
前記内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が、免疫グロブリンκ遺伝子座である、項目16に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目19)
前記内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が、免疫グロブリンλ遺伝子座である、項目17に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目20)
前記未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、B細胞発生中に再編成され、前記非ヒト動物の前記B細胞において再編成された可変領域遺伝子を生成する、項目1~19のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目21)
前記再編成可変領域遺伝子の少なくとも10%が、非鋳型付加を含む、項目20に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目22)
遺伝子改変非ヒト動物であって、そのゲノム中に:
転写制御エレメントに作動可能に連結された外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物。
(項目23)
前記ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントが、ヒトTCRα可変領域遺伝子セグメントである、項目22に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目24)
前記ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントが、ヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントである、項目22に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目25)
前記未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントが、T細胞発生中に再編成され、前記非ヒト動物の前記T細胞において再編成されたTCR可変領域遺伝子を生成する、項目22~24のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目26)
前記再編成可変領域遺伝子の少なくとも10%が、非鋳型付加を含む、項目25に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目27)
遺伝子改変非ヒト動物であって、そのゲノム中に:
転写制御エレメントに作動可能に連結された外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物。
(項目28)
前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、重鎖遺伝子セグメントである、項目27に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目29)
前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、κ鎖遺伝子セグメントである、項目27に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目30)
前記ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、λ鎖遺伝子セグメントである、項目27に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目31)
前記TCR定常領域遺伝子が、TCRα定常領域遺伝子である、項目28または29のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目32)
前記TCR定常領域遺伝子が、TCRβ定常領域遺伝子である、項目28に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目33)
前記転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞における外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、項目22~32のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目34)
前記転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメント、および/またはTCRδ転写制御エレメントである、項目33に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目35)
前記外因性TdTをコードする前記核酸配列が、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座、および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、項目22~34のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目36)
前記非ヒト動物が、哺乳動物である、項目1~35のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目37)
前記哺乳動物が、齧歯類である、項目36に記載の遺伝子改変非ヒト動物。
(項目38)
前記齧歯類が、ラットまたはマウスである、項目37に記載の遺伝子改変非ヒト動物。(項目39)
ヒト可変ドメインを含む抗体の発現を誘導する方法であって、項目1~21のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することであって、それにより、前記遺伝子改変非ヒト動物が前記抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を産生する、曝露することを含む、方法。
(項目40)
MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を作製する方法であって、
(a)項目22~26のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドを含む抗原またはペプチドを含む抗原をコードする核酸に曝露することであって、それにより、前記ペプチドが前記非ヒト動物においてMHC上に提示される、曝露することと、
(b)(a)の前記遺伝子改変非ヒト動物から前記MHC上に提示された前記ペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、を含む、方法。
(項目41)
MHC上に提示されるペプチドに特異的な、ヒト免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を作製する方法であって、
(a)項目27~32のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドを含む抗原またはペプチドを含む抗原をコードする核酸に曝露することであって、それにより、前記ペプチドが前記非ヒト動物においてMHC上に提示される、曝露することと、
(b)(a)の前記遺伝子改変非ヒト動物から前記MHC上に提示された前記ペプチドに特異的なCARを発現するT細胞を得ることと、を含む、方法。
(項目42)
遺伝子改変非ヒト動物ES細胞であって、そのゲノム中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞。
(項目43)
遺伝子改変非ヒト動物ES細胞であって、そのゲノム中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞。
(項目44)
遺伝子改変非ヒト動物ES細胞であって、そのゲノム中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞。
(項目45)
項目42~44のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を使用することを含む、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法。
(項目46)
遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製する方法であって、前記非ヒト動物がその生殖系列中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含むように操作することを含む、方法。
(項目47)
遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製する方法であって、前記非ヒト動物がその生殖系列中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域と、を含むように操作することを含む、方法。
(項目48)
遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製する方法であって、前記非ヒト動物がその生殖系列中に:
外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列と、
TCR定常領域遺伝子に作動可能に連結された未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、を含むように操作することを含む、方法。
(項目49)
前記ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)が、ヒトTdTである、項目1~48のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物、非ヒト動物ES細胞、または方法。
(項目50)
前記ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)が、TdTの短
いアイソフォーム(TdTS)である、項目1~49のいずれか1項に記載の遺伝子改変非ヒト動物、非ヒト動物ES細胞、または方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】マウスRag2遺伝子の一部が短いアイソフォームヒトTdT(hTdTs)をコードするDNA配列で置換されているのに対し、例示的なターゲティングベクターの図(正確な縮尺ではない)を示す。例示的な実施形態では、ベクターは、ゲノムにランダムに組み込まれる。図中のラベリングが(例えば、選択カセット、loxP部位などに関して)別段に示唆しない限り、塗りつぶした形および単一線はマウス配列を表し、空の形および二重線はヒト配列を表す。E1、E2などは特定の例示遺伝子のエクソンを表し、GFPは緑色蛍光タンパク質であり、CMはクロラムフェニコール耐性遺伝子であり、neoはネオマイシン耐性遺伝子である。接合1~4は、表1に示す接合に対応する。
【0009】
【
図2】マウスRag2遺伝子の一部が短いアイソフォームヒトTdT(hTdTs)をコードするDNA配列で置換されている例示的なターゲティングベクターの図(正確な縮尺ではない)を示す。図示した実施形態では、ベクターを用いて、マウスRAG2プロモーターにより駆動されるhTdTをIgκ遺伝子座に挿入する。図中のラベリングが(例えば、選択カセット、loxP部位などに関して)別段に示唆しない限り、塗りつぶした形および単一線はマウス配列を表し、空の形および二重線はヒト配列を表す。E1、E2などは特定の例示遺伝子のエクソンを表し、GFPは緑色蛍光タンパク質であり、CMはクロラムフェニコール耐性遺伝子であり、hygはハイグロマイシン耐性遺伝子である。接合1~7は、表2の接合に対応する。
【0010】
【
図3】V
H1-72プロモーターおよびEμエンハンサーによって駆動されるヒトTdT(hTdTs)をコードするDNA配列を免疫グロブリンκ遺伝子座に挿入するために使用される例示的なターゲティングベクターの図(正確な縮尺ではない)を示す。図中のラベリングが(例えば、選択カセット、loxP部位などに関して)別段に示唆しない限り、塗りつぶした形および単一線はマウス配列を表し、空の形および二重線はヒト配列を表す。E1、E2などは特定の例示遺伝子のエクソンを表し、GFPは緑色蛍光タンパク質であり、CMはクロラムフェニコール耐性遺伝子であり、hygはハイグロマイシン耐性遺伝子である。接合1~4は、表3の接合に対応する。
【0011】
【
図4】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したVELOCIMMUNE(登録商標)TdTマウスのリンパ球におけるhTdT mRNAの発現を示す。本明細書中のVELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、多様なレパートリーの未再編成ヒト重鎖およびκ軽鎖可変(V(D)J)遺伝子セグメントを含むマウスである。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0012】
【
図5】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるhIgκ配列多様性(10,000のhIgκシーケンシングリード当たりのユニーク軽鎖CDR3配列の数)を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0013】
【
図6】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるhIgκ非鋳型付加の分布を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。「NT」はヌクレオチドを表す。
【0014】
【
図7-1】2つのパネルを有する。パネル(A)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるhIgκ CDR3長の分布を示すグラフを示す。「AA」はアミノ酸を表す。パネル(B)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるJKセグメントの5’領域でのエキソヌクレアーゼ欠失長頻度を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【
図7-2】2つのパネルを有する。パネル(A)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるhIgκ CDR3長の分布を示すグラフを示す。「AA」はアミノ酸を表す。パネル(B)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるJKセグメントの5’領域でのエキソヌクレアーゼ欠失長頻度を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0015】
【
図8-1】2つのパネルを有する。パネル(A)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるVκ使用を示すグラフを示す。パネル(B)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるJκ使用を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【
図8-2】2つのパネルを有する。パネル(A)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるVκ使用を示すグラフを示す。パネル(B)は、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるJκ使用を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0016】
【
図9】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるmIgλ配列多様性(10,000のIgλシーケンシングリード当たりのユニーク軽鎖CDR3配列の数)を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0017】
【
図10】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるmIgλ非鋳型付加の分布を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。「NT」はヌクレオチドを表す。
【0018】
【
図11】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるmIgλ CDR3長の分布を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。「AA」はアミノ酸を表す。
【0019】
【
図12】VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdTを発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるVλ使用を示すグラフを示す。Hetはヘテロ接合マウスを示し、HOはホモ接合マウスを示す。
【0020】
【
図13】hTdT(左パネル、示されるように存在するhTdT遺伝子)を発現するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスならびにhTdTを発現しないDLCおよびVELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスと比較したhTdT(右パネル、示されるように存在するhTdT遺伝子)を発現する二重軽鎖マウス(DLC、2つの未再編成ヒトVk遺伝子セグメントおよび5つの未再編成ヒトJk遺伝子セグメント、ならびに多様なレパートリーの未再編成ヒト重鎖V、D、およびJ遺伝子セグメントを含むマウス)におけるhIgκ配列多様性(10,000Igκシーケンシングリード当たりのユニーク軽鎖CDR3配列の数)を示すグラフを示す。HetはhTdTのヘテロ接合マウスを示し、HOはhTdTのホモ接合マウスを示す。
【0021】
【
図14】hTdTを発現しないDLC対照マウス(DLC)と比較したhTdTを発現するマウスにおけるhIgκ非鋳型付加の分布を示すグラフを示す。HetはhTdTのヘテロ接合マウスを示し、HOはhTdTのホモ接合マウスを示す。「NT」はヌクレオチドを表す。
【0022】
【
図15】hTdTを発現しないDLC対照マウスと比較したhTdTを発現するDLCマウスにおけるhIgκ CDR3長の分布を示すグラフを示す。HetはhTdTのヘテロ接合マウスを示し、HOはhTdTのホモ接合マウスを示す。
【0023】
【
図16】hTdTを発現しないDLC対照マウスと比較したhTdTを発現するDLCマウスにおけるVκ使用およびJκ使用を示すグラフを示す。HetはhTdTのヘテロ接合マウスを示し、HOはhTdTのホモ接合マウスを示す。別々に示されている2つの異なるRag TdT tg(HO)DLCマウスのみを使用する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
一般
本明細書では、それらのゲノム中にTdT(例えば、ヒト、マウス、またはラットTdT)をコードする外因性核酸を含む非ヒト動物に関連する方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)などの哺乳動物である。特定の実施形態では、非ヒト動物のゲノムは、それがヒト可変ドメインを有する抗原結合分子(例えば、抗体、TCR、および/またはCAR)を発現するようにさらなる改変を含む。
【0025】
TdTは、Bリンパ球およびTリンパ球における抗原-受容体多様性の増加をもたらす、V(D)J組換えにおける接合形成中の鋳型非依存性ヌクレオチド付加(N付加)を触媒するDNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、それらのゲノムにTdTをコードする外因性核酸を含まない対応する非ヒト動物(すなわち、同じ種および株の非ヒト動物)と比較して、B細胞発生および/またはT細胞発生中に増加したレベルのTdTを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、それらのゲノムにTdTをコードする外因性核酸を含まない対応する非ヒト動物がTdTを発現しない、B細胞発生および/またはT細胞発生中(例えば、プレB細胞段階中)にTdTを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子改変非ヒト動物は、それらのゲノムにTdTをコードする外因性核酸を含まない対応する非ヒト動物と比較して、増加した抗原-受容体多様性(例えば、抗体多様性、TCR多様性、および/またはCAR多様性)を有する。
【0026】
定義
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「ある要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0027】
「アミノ酸」という用語は、アミノ官能基および酸性官能基の両方を含み、天然に存在するアミノ酸のポリマーに含めることができる、天然または合成のあらゆる分子を包含することを意図する。例示的なアミノ酸には、天然に存在するアミノ酸、それらの類似体、誘導体、および同族体、変異体側鎖を有するアミノ酸類似体、ならびに上記のいずれかの
すべての立体異性体が含まれる。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクト抗体およびその抗原結合断片の両方を指し得る。インタクト抗体は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。VHおよびVL領域は、より保存的な、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が点在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。「抗体」という用語は、単一ドメイン抗体、重鎖のみの抗体、重鎖上の軽鎖可変遺伝子セグメントを有する抗体なども含む。
【0029】
本明細書で使用する抗原結合分子(例えば、抗体、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR))の「抗原結合断片」および「抗原結合部分」という用語は、抗原に結合する能力を保持する抗原結合分子の1つ以上の断片を指す。抗原結合断片は、インタクト抗原結合分子の可変領域の少なくとも一部分を保持し、抗原に結合することができる任意の抗体、TCR、またはCAR断片を含み得る。「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例としては、これらに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、ジスルフィド結合Fv、Fd、単鎖抗体、可溶性TCR、単鎖TCR、可溶性CAR、単鎖CAR、単離CDRH3(抗体またはTCR)、およびインタクト抗原結合分子の可変領域の少なくとも一部分を保持する他の抗原結合断片が挙げられる。これらの抗原結合断片は、従来の組換え技術および/または酵素技術を用いて得ることができ、インタクト抗体と同じ方法で抗原結合についてスクリーニングすることができる。
【0030】
非ヒト動物に関連する「対応する」という用語は、対応する非ヒト動物が発現しない一方で目的の非ヒト動物が外因性TdTを発現することを除き、目的の非ヒトと同じ遺伝子改変を含む同じ種の対照非ヒト動物の特徴を記載するために使用される。
【0031】
本明細書で使用する「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、その中に免疫グロブリン抗原結合ドメイン(例えば、免疫グロブリン可変ドメイン)およびT細胞受容体(TCR)定常ドメインまたはその一部分を含む抗原結合タンパク質を指す。本明細書中で使用される場合、TCRポリペプチドの「定常ドメイン」は、膜近位TCR定常ドメインを含み、TCR膜貫通ドメインおよび/またはTCR細胞質尾部も含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、CARは、TCRβ定常ドメインに連結された免疫グロブリン重鎖可変ドメインを含む第1のポリペプチドおよびTCRα定常ドメインに連結された免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(例えば、κまたはλ可変ドメイン)を含む第2のポリペプチドを含む二量体である。いくつかの実施形態では、CARは、TCRα定常ドメインに連結された免疫グロブリン重鎖可変ドメインを含む第1のポリペプチドおよびTCRβ定常ドメインに連結された免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(例えば、κまたはλ可変ドメイン)を含む第2のポリペプチドを含む二量体である。
【0032】
未再編成可変領域および/または未再編成可変領域遺伝子セグメントに「由来する」再編成された可変領域遺伝子または可変ドメインに関して使用される場合、「由来する」という語句は、(適用可能であれば、スプライス差および体細胞突然変異を考慮に入れて)可変ドメインを発現する再編成された可変領域遺伝子を形成するために再編成された未再編成可変領域遺伝子セグメントのセットまで遡って再編成可変領域遺伝子または可変ドメ
インの配列を追跡する能力を指す。例えば、体細胞突然変異を受けた再編成可変領域遺伝子は、それが未再編成可変領域遺伝子セグメントに由来するという事実を変化させない。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「遺伝子座」という用語は、関連する遺伝子エレメントのセット(例えば、遺伝子、遺伝子セグメント、調節エレメント)を含む染色体上の領域を指す。例えば、未再編成免疫グロブリン遺伝子座は、V(D)J組換えおよび免疫グロブリン発現を誘導する免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメント、1つ以上の免疫グロブリン定常領域遺伝子、および関連調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、スイッチエレメントなど)を含み得るが、未再編成TCR遺伝子座は、V(D)J組換えおよびTCR発現を誘導するTCR可変領域遺伝子セグメント、TCR定常領域遺伝子、および関連調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)を含み得る。同様に、未再編成CAR遺伝子座は、V(D)J組換えおよびCAR発現を誘導する免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメント、TCR定常領域遺伝子、および関連調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)を含み得る。遺伝子座は、内因性または非内因性であり得る。「内因性遺伝子座」という用語は、特定の遺伝子エレメントが天然に見出される染色体上の位置を指す。
【0034】
未再編成可変領域遺伝子セグメントは、未再編成可変領域遺伝子セグメントが再編成されて、抗原結合タンパク質のポリペプチド鎖として定常領域遺伝子と併せて発現される再編成された可変領域遺伝子を形成することができる場合、隣接する定常領域遺伝子に「作動可能に連結」される。
【0035】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはこれらの類似体のいずれかの、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、任意の機能を果たすことができる。遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(複数可)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマーは、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体のような、修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーのアセンブリ前または後に付与され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより、さらに修飾され得る。本明細書で提供されるすべての核酸配列において、Uヌクレオチドは、Tヌクレオチドと互換可能である。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「特異的結合」および「抗原特異性」は、抗原結合分子(例えば、抗体、TCR、CAR)が所定の標的、例えば、所定の抗原に結合する能力を指す。典型的には、抗原結合分子は、約10-7M以下のKDに対応する親和性でその所定の標的に特異的に結合し、非特異的で無関係の標的(例えば、BSA、カゼイン)についてそのKDより少なくとも10倍低い、少なくとも100倍低い、または少なくとも1000倍低いKDに対応する親和性で所定の標的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、約10-8M以下、10-9M以下、または10-10M以下のKDに対応する親和性でその所定の標的に特異的に結合する。
【0037】
本明細書で使用する「T細胞受容体」または「TCR」は、その中にTCR抗原結合ドメイン(例えば、TCR可変ドメイン)およびTCR定常ドメインの少なくとも一部分の両方を含む抗原結合タンパク質を指す。本明細書中で使用される場合、TCRポリペプチドの「定常ドメイン」は、膜近位TCR定常ドメインを含み、TCR膜貫通ドメインおよ
び/またはTCR細胞質尾部も含み得る。特定の実施形態では、TCRは、可溶性TCRであり、TCR膜貫通ドメインまたはTCR細胞質尾部を含まない。例えば、いくつかの実施形態では、TCRは、TCRβ定常ドメイン(またはその断片)に連結されたTCRβ可変ドメインを含む第1のポリペプチドおよびTCRα定常ドメイン(またはその断片)に連結されたTCRαを含む第2のポリペプチドを含む二量体である。
【0038】
「未再編成」という用語は、V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントが(重またはTCRβ可変領域について、D遺伝子セグメントも)別々に維持されているが、V(D)Jレパートリーの単一のV、(D)、Jを含む再編成されたV(D)J遺伝子(「可変領域遺伝子」)を形成するように連結することができる、免疫グロブリン、TCRまたはCAR可変領域遺伝子座または可変領域遺伝子セグメントの状態を含む。
【0039】
遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞
特定の態様では、本明細書では、それらのゲノム中にTdT(例えば、ヒト、マウス、またはラットTdT)をコードする外因性核酸を含む非ヒト動物およびES細胞が提供される。特定の実施形態では、非ヒト動物およびES細胞のゲノムは、例えば、ヒト可変ドメインを有する抗原結合分子(例えば、抗体、TCR、および/またはCAR)の発現をもたらす改変を含む、さらなる改変を含む。
【0040】
本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法を用いて作製され得る。例えば、標的化された遺伝子改変を含む非ヒト動物ES細胞は、各々が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,586,251号、同第6,596,541号、同第7,105,348号、およびValenzuela et al.(2003)“High-throughput engineering of the mouse genome coupled with high-resolution expression analysis”Nat.Biotech.21(6):652-659、ならびに米国特許出願公開第2014/0310828号に記載されているVELOCIGENE(登録商標)技術を用いて作製することができる。標的化された改変は、例えば、各々が参照により組み込まれる、米国特許第9,228,208号、ならびに米国特許出願公開第2015/0159174A1号、同第2016/0060657A1号、同第2015/0376650A1号、同第2015/0376651A1号、同第2016/0046960A1号、同第2015/0376628A1号、および同第2016/0115486A1号に記載されているCRISPR/Casシステムを用いて行うこともできる。標的化された改変は、例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,703,485号、同第8,530,214号、および同第8,624,000号に記載されているメガヌクレアーゼを用いて行うこともできる。非標的化遺伝子改変は、例えば、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,150,584号、同第6,114,598号、同第5,633,425号、同第7,501,552号、同第6,235,883号、同第6,998,514号、および同第5,776,773号に記載されている標準的な方法を用いて行うことができる。
【0041】
本明細書に記載のES細胞を使用して、当該技術分野で知られている方法を用いて非ヒト動物を作製することができる。例えば、本明細書に記載されるマウス非ヒト動物ES細胞は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,294,754号およびPoueymirou et al.,Nature Biotech 25:91-99(2007)に記載されているVELOCIMOUSE(登録商標)を使用して、遺伝子改変マウスを作製することができる。ラットES細胞を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0310828号に記載されている方法を用いて改変ラットを作製することができる。得られたマウスまたはラットは
、ホモ接合体に繁殖させることができる。別個に改変された動物の繁殖、または(例えば、本明細書に記載の方法を使用する)既に改変されたES細胞へのさらなる改変の導入のいずれかによって、単一遺伝子改変生物において複数の異なる改変を組み合わせることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、任意の非ヒト動物であり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、脊椎動物である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、カウ、ブル、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)からなる群から選択され得る。適切な遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手できない非ヒト動物については、他の方法を用いて、本明細書に記載の遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製することができる。そのような方法には、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または誘導多能性細胞)を改変し、核移植を使用して改変ゲノムを卵母細胞のような適切な細胞に移入し、改変細胞(例えば、改変卵母細胞)を非ヒト動物において胚を形成するのに適した条件下で懐胎させることが含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、例えば、スーパーファミリーDipodoideaまたはMuroideaの小さな哺乳動物である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、齧歯類である。特定の実施形態では、齧歯類は、マウス、ラット、またはハムスターである。いくつかの実施形態では、齧歯類は、スーパーファミリーMuroideaから選択される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、Calomyscidae(例えば、マウス様ハムスター)、Cricetidae(例えば、ハムスター、ニューワールドラットおよびマウス、ハタネズミ)、Muridae(例えば、真正マウスおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、トサカラット)、Nesomyidae(例えば、クライミングマウス、ロックマウス、オジロラット、マダガスカルラットおよびマウス)、Platacanthomyidae(例えば、トゲドーマウス)、およびSpalacidae(例えば、デバネズミ、バンブーラット、およびゾコール)から選択されるファミリーに由来する。いくつかの実施形態では、齧歯類は、真正マウスおよびラット(Muridaeファミリー)、アレチネズミ、トゲマウス、ならびにトサカラットから選択される。いくつかの実施形態では、マウスは、Muridaeファミリーのメンバーに由来する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、齧歯類である。いくつかの実施形態では、齧歯類は、マウスおよびラットから選択される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、マウスである。
【0044】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、C57BL株のマウスである。いくつかの実施形態では、C57BL株は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、129株のマウスである。いくつかの実施形態では、129株は、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である株からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝子改変マウスは、129株およびC57BL株の混合物である。いくつかの実施形態では、マウスは、129株の混合物および/またはC57BL/6株の混合物である。いくつかの実施形態では、混合物の129株は、129S6(129/SvEvTac)株である。いくつかの実施形態では、マウスは、BALB株(例えば、BALB/c)である。いくつかの実施形態では、マウスは、BALB株と別の株(例えば、C57BL株および/または129株
)の混合物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、前述の株の任意の組み合わせに由来するマウスであり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、ラットである。いくつかの実施形態では、ラットは、Wistarラット、LEA株、Sprague Dawley株、Fischer株、F344、F6、およびDark Agoutiから選択される。いくつかの実施形態では、ラット株は、Wistar、LEA、Sprague
Dawley、Fischer、F344、F6、およびDark Agoutiからなる群から選択される2つ以上の株の混合物である。
【0046】
外因性TdTを発現する非ヒト動物
特定の態様では、それらの生殖系列および/またはゲノム中に外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列を含む遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞が本明細書で提供される。デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、Bリンパ球およびTリンパ球における抗原-受容体多様性の増加をもたらす、V(D)J組換えにおける接合形成中の鋳型非依存性ヌクレオチド付加(NP付加)を触媒するDNAポリメラーゼである。鋳型非依存性付加、非鋳型付加、および非生殖系列付加はすべて、TdTによって触媒されるヌクレオチド付加を指し、これらの用語は本明細書では互換的に使用される。
【0047】
特定の実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物のゲノム中の外因性TdTの配列は、TdTまたはTdTオルソログをコードする任意の動物由来であり得る。いくつかの実施形態では、TdTは、脊椎動物TdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、哺乳動物TdTである。いくつかの実施形態では、TdTは、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、カウ、ブル、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)、またはヒトからなる群から選択される哺乳動物に由来する。いくつかの実施形態では、TdTは、内因性種由来である(すなわち、TdT配列は、遺伝子改変非ヒト動物と同じ種のものである)。いくつかの実施形態では、TdTは、ヒトTdT、マウスTdT、またはラットTdTである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、ゲノムTdT配列である(すなわち、エクソンおよびイントロンを含む)。いくつかの実施形態では、核酸配列は、TdT mRNA/cDNA(すなわち、1つ以上のTdTアイソフォームのエクソン)をコードする。
【0048】
ヒトTdT(hTdT)は、ヒト10番染色体上に位置するDNTT遺伝子によってコードされる。hTdTの例示的なゲノムDNA配列は、NCBIアクセッション番号NC_000010.11の位置96304328~96338564で見ることができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。hTdTのアイソフォームの例示的なmRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_001017520.1およびNM_004088.3によって提供され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。これらのアイソフォームによってコードされるタンパク質配列は、それぞれ、NCBIアクセッション番号NP_001017520.1およびNP_004079.3によって提供され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。TdTアイソフォームの中には、短いアイソフォーム(hTdTS)および2つの長いアイソフォーム(hTdTL1およびhTdTL2)がある。3つのアイソフォームの配列は、例えば、Thai and Kearney,Adv.Immunol.86:113-36(2005)に提供されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、外因性核酸配列は、hTdTSをコードする。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、hTdTL1をコードする。いくつかの実施形態では、外因性核酸配列は、hTdTL2をコードする。特定の実施形態では、非ヒト生物は、複数のアイソフォームをコードする外因性核酸配列(例えば、hTdTSおよびhTdTL2の両方)を含む。特定の実施形態で
は、非ヒト生物は、3つすべてのヒトアイソフォームをコードする外因性核酸配列(例えば、hTdTSおよびhTdTL2の両方)を含む。
【0049】
マウスTdT(mTdT)は、マウス19番染色体上に位置するDntt遺伝子によってコードされる。mTdTの例示的なゲノムDNA配列は、NCBIアクセッション番号NC_000085.6の位置41029275~41059525で見ることができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。mTdTのアイソフォームの例示的なmRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_001043228.1およびNM_009345.2によって提供され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。これらのアイソフォームによってコードされるタンパク質配列は、それぞれ、NCBIアクセッション番号NP_001036693.1およびNP_033371.2によって提供され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
ラットTdT(rTdT)は、ラット1番染色体上に位置するDntt遺伝子によってコードされる。rTdTの例示的なゲノムDNA配列は、NCBIアクセッション番号NC_005100.4の位置260289626~260321174で見ることができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。rTdTの例示的なmRNA配列は、NCBIアクセッション番号NM_001012461.1によって提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。このmRNAによってコードされるタンパク質配列は、NCBIアクセッション番号NP_001012479.1によって提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物のゲノムは、外因性TdTをコードする核酸配列の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、外因性TdTをコードする核酸配列の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のコピーを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、外因性TdTをコードする核酸配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のコピーを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、外因性TdTをコードする核酸配列は、1つ以上の転写制御エレメント(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、構成的(すなわち、ユビキタス)プロモーターである。構成的プロモーターの例としては、これらに限定されないが、SV40、CMVプロモーター、アデノウイルスプロモーター、EF1プロモーター、β-アクチンプロモーター、EGR1プロモーター、eIF4A1プロモーター、FerHプロモーター、FerLプロモーター、GAPDHプロモーター、GRP78プロモーター、GRP94プロモーター、HSP70プロモーター、β-Kinプロモーター、PGK-1プロモーター、ROSAプロモーター、およびユビキチンBプロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態では、核酸配列は、構成的プロモーターに作動可能に連結されない。
【0053】
いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、B細胞発生中にコードされたTdTの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、プロB細胞および/またはプレB細胞におけるTdTの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、プロB細胞および/またはプレB細胞における、B細胞発生中に発現される遺伝子の転写制御エレメント(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)である。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメント、および/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメント
である。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、マウス転写制御エレメント、ラット転写制御エレメント、またはヒト転写制御エレメントである。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、内因性転写制御エレメントである(例えば、外因性TdTをコードするヌクレオチド配列は、非ヒト動物のゲノムに、外因性TdTの発現が内因性転写制御エレメントによって少なくとも部分的に制御されるような位置で挿入される)。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントとしては、RAG1、RAG2、λ5、VpreB、CD34、CD45、AA4.1、CD45R、IL-7R、MHCクラスII、CD10、CD19、CD38、CD20、CD40の転写を調節するもの、様々な免疫グロブリン軽鎖および重鎖V遺伝子セグメントプロモーターおよびエンハンサー(例えば、International Immunogenetics Information System(登録商標)ウェブサイト、IMGT、imgt.orgに列挙されている様々なV遺伝子セグメントのリストを参照のこと、例えば、マウスVH1-72プロモーター他など)を挙げることができる。転写制御エレメントは、ヒト、マウス、ラット、または他の種由来のものを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、T細胞発生中にコードされたTdTの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞におけるTdTの発現を誘導する。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞における、T細胞発生中に発現される遺伝子の転写制御エレメント(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)である。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメント、および/またはTCRδ転写制御エレメントである。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、マウス転写制御エレメント、ラット転写制御エレメント、またはヒト転写制御エレメントである。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントは、内因性転写制御エレメントである(例えば、外因性TdTをコードするヌクレオチド配列は、非ヒト動物のゲノムに、外因性TdTの発現が内因性転写制御エレメントによって少なくとも部分的に制御されるような位置で挿入される)。いくつかの実施形態では、転写制御エレメントとしては、RAG1、RAG2、Lck、ZAP-70、CD34、CD2、HSA、CD44、CD25、PTα、CD4、CD8、CD69の転写を調節するもの、様々なTCRα、TCRβ、TCRδ、およびTCRγV遺伝子セグメントプロモーターおよびエンハンサー(例えば、International Immunogenetics Information System(登録商標)ウェブサイト、IMGT、imgt.orgに列挙されている様々なV遺伝子セグメントのリストを参照のこと)を挙げることができる。転写制御エレメントは、ヒト、マウス、ラット、または他の種由来のものを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、TdTをコードする核酸は、非ヒト動物のゲノムに、プロB細胞および/またはプレB細胞における、B細胞発生中に発現される遺伝子のゲノム遺伝子座またはその近位(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kb以内)に位置する。いくつかの実施形態では、TdTをコードする核酸配列は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座またはその近位に位置する。
【0056】
いくつかの実施形態では、TdTをコードする核酸は、非ヒト動物のゲノムに、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞における、T細胞発生中に発現される遺伝子のゲノム
遺伝子座またはその近位(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kb以内)に位置する。いくつかの実施形態では、TdTをコードする核酸配列は、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座、TCRδ鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、またはRAG2遺伝子座またはその近位に位置する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物と比較して、(例えば、プロB細胞、プレB細胞、DN胸腺細胞、および/またはDP胸腺細胞において)T細胞および/またはB細胞発生への1つ以上の段階中に上昇したレベルのTdT発現を発現する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より、T細胞および/またはB細胞発現の1つ以上の段階において、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、または500%多くのTdTを発現する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非
ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンκ鎖CDR3配列当たり少なくとも900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、または1700個のユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非
ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンλ鎖CDR3配列当たり少なくとも150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300個のユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非
ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-D免疫グロブリン重鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリン重鎖CDR3配列の頻度を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、
4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるD-J免疫グロブリン重鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRα鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J TCRα鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRα CDR3配列の頻度を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より小さな非鋳型付加を含まないV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-D TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D
TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-D TCRβ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRβ CDR3配列の頻度を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、
4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より小さな非鋳型付加を含まないD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むD-J TCRβ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J
TCRβ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるD-J TCRβ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少
なくとも1つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRγ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J TCRγ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRγ CDR3配列の頻度を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細
書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-D TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-D TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-D TCRδ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRδ CDR3配列の頻度を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5
%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むD-J TCRδ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるD-J TCRδ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるD-J TCRδ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、非ヒト生物における内因性TdT遺伝子座は、インタクトである。いくつかの実施形態では、内因性TdT遺伝子座は、不活性化される。例えば、いくつかの実施形態では、内因性TdT遺伝子座は、非ヒト生物が内因性TdTを発現しないように、完全または部分的に欠失される。
【0069】
ヒト可変ドメイン抗体および外因性TdTを発現する非ヒト動物
特定の実施形態では、本明細書に記載の外因性TdTを含む遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域と、免疫グロブリン定常領域遺伝子を含み、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される免疫グロブリン定常領域と、を含有する、免疫グロブリン遺伝子座(外因性または内因性)も含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物および非ヒトES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、複数のこのような免疫グロブリン遺伝子座を含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子座および未再編成ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、κ鎖遺伝子セグメントおよび/またはλ鎖遺伝子セグメント)を含む少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子座、未再編成ヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子座、および未再編成ヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つの免疫グロブリン遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物、例えば、遺伝子改変マウスまたはラットは、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、マウスがヒト、ヒト化、部分ヒト、逆キメラ(ヒト可変領域および非ヒト定常領域)抗体を作製するように、遺伝子改変免疫グロブリン遺伝子座(遺伝子改変された再編成または未再編成免疫グロブリン遺伝子座)を含む。
【0070】
ヒト可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン遺伝子座は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,633,425号、同第5,770,429号、同第5,814,318号、同第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584号、同第6,998,514号、同第7,795,494号、同第7,
910,798号、同第8,232,449号、同第8,502,018号、同第8,697,940号、同第8,703,485号、同第8,754,287号、同第8,791,323号、同第8,907,157号、同第9,035,128号、同第9,145,588号、および同第9,206,263号で見ることができ、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれ、また米国特許出願公開第2008/0098490号、同第2010/0146647号、同第2011/0195454号、同第2012/0167237号、同第2013/0145484号、同第2013/0167256号、同第2013/0219535号、同第2013/0326647号、同第2013/0096287号、同第2014/013275号、同第2014/093908号、および同第2015/0113668号で見ることができ、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれ、ならびにPCT特許出願公開第WO2007/117410号、同第WO2008/151081号、同第WO2009/157771号、同第WO2010/039900号、同第WO2011/004192号、同第WO2011/123708号、および同第WO2014/093908号で見ることができ、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、重鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、重鎖定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、軽鎖、例えば、κ鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、重鎖定常領域遺伝子である。
【0072】
いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、重鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、κ鎖定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、κ鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、κ鎖定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、λ鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、κ鎖定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、λ鎖遺伝子セグメントであり、免疫グロブリン定常領域遺伝子は、λ鎖定常領域遺伝子である。
【0073】
特定の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、未再編成ヒトIg重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVHセグメント、1つ以上のヒトDHセグメント、および1つ以上のヒトJHセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、少なくとも3つのVH遺伝子セグメント、少なくとも18個のVH遺伝子セグメント、少なくとも20個のVH遺伝子セグメント、少なくとも30個のVH遺伝子セグメント、少なくとも40個のVH遺伝子セグメント、少なくとも50個のVH遺伝子セグメント、少なくとも60個のVH遺伝子セグメント、少なくとも70個のVH遺伝子セグメント、または少なくとも80個のVH遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg遺伝子セグメントは、ヒトDH遺伝子セグメントのすべてを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg遺伝子セグメントは、ヒトJH遺伝子セグメントのすべてを含む。Ig重鎖遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
111:5147-52および補足情報に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、(例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0096287号に記載されるように)単一の多型ヒトVH遺伝子セグメント、複数のDH遺伝子セグメント、および複数のJH遺伝子セグメントによって特徴付けられる制限免疫グロブリン重
鎖遺伝子座を有する。いくつかの実施形態では、VH遺伝子セグメントは、VH1-2またはVH1-69である。
【0074】
様々な実施形態では、本明細書に記載の免疫グロブリン遺伝子座修飾は、非ヒト動物の生殖力に影響しない。いくつかの実施形態では、重鎖遺伝子座は、内因性Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方を含み、遺伝子改変は、内因性Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方の発現および/または機能に影響しない。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物のゲノムは、異所的に位置するAdam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方を含む。外因性Adam6aおよび/またはAdam6bを発現する例示的な非ヒト動物は、米国特許第8,642,835号および同第8,697,940号に記載されており、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントは、B細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のB細胞において再編成されたヒト重鎖可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3
%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリン重鎖CDR3配列の頻度を有する。
【0076】
特定の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、未再編成ヒトIgκ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVκセグメントおよび1つ以上のヒトJκセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJκセグメントのすべてを含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、4つの機能的VκセグメントおよびすべてのヒトJκセグメントを含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、16個の機能的VκセグメントおよびすべてのヒトJκセグメント(例えば、すべての機能的ヒトVκセグメントおよびJκセグメント)を含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、すべてのヒトVκセグメントおよびすべてのヒトJκセグメントを含む。Igκ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 111:5147-52および補足情報に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、2つ以下のヒトVL遺伝子セグメントおよび複数のJL遺伝子セグメントによって特徴付けられる制限免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を有する(例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0198880号に記載の二重軽鎖マウス、またはDLC)。いくつかの実施形態では、VL遺伝子セグメントは、Vκ遺伝子セグメントである。いくつかの実施形態では、VL遺伝子セグメントは、Vλ遺伝子セグメントである。いくつかの実施形態では、Vκ遺伝子セグメントは、IGKV3-20およびIGKV1-39である。
【0077】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンκ可変領域遺伝子セグメントは、B細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のB細胞において再編成されたヒトκ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含
まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンκ鎖CDR3配列当たり少なくとも900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、または1700個のユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列を有する。
【0078】
特定の実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、未再編成ヒトIgλ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVλセグメントおよび1つ以上のヒトJλセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、すべてのヒトVλセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJλセグメントのすべてを含む。Igλ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、米国特許出願公開第2012/0073004号および同第2002/0088016号に提供されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンλ可変領域遺伝子セグメントは、B細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のB細胞において再編成されたヒトλ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンλ鎖CDR3配列当たり少なくとも150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、29
0、または300個のユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域は、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列も含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン可変領域は、非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)Ig可変領域遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子間配列は、内因性種由来である。
【0081】
いくつかの実施形態では、非ヒト生物は、その生殖系列および/またはゲノム中に、再編成された重鎖可変領域(ユニバーサル重鎖可変領域)を含む免疫グロブリン遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、再編成Ig重鎖可変領域遺伝子は、ヒト再編成Ig重鎖可変領域遺伝子である。例示的な再編成Ig重鎖可変領域は、米国特許出願公開第2014/0245468号に提供されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、ユニバーサル重鎖可変領域を含む非ヒト生物は、二重特異性抗体を産生するのに使用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、非ヒト生物は、その生殖系列および/またはゲノム中に、再編成された軽鎖可変領域(ユニバーサル軽鎖可変領域)を含む免疫グロブリン遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、再編成Ig軽鎖可変領域遺伝子は、ヒト再編成Ig軽鎖可変領域遺伝子である。例示的な再編成Ig軽鎖可変領域は、例えば、米国特許出願公開第2011/0195454号、同第2012/0021409号、同第2012/0192300号、同第2013/0045492号、同第2013/0185821号、同第2013/0302836号、同第2015/0313193号、同第2015/0059009号、および同第2013/0198879号に提供されており、これらは本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、ユニバーサル軽鎖可変領域を含む非ヒト生物(「ユニバーサル軽鎖」生物)は、二重特異性抗体を産生するのに使用される。
【0083】
いくつかの実施形態では、非ヒト生物は、その生殖系列および/またはゲノム中に、限定されたレパートリーの軽鎖可変遺伝子セグメント(例えば、2つの軽鎖可変遺伝子セグメントを含む二重軽鎖可変領域)を含む軽鎖免疫グロブリン遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、限定されたレパートリーの軽鎖遺伝子セグメントにおける軽鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト軽鎖遺伝子セグメントである。例示的な二重軽鎖可変領域は、米国特許出願公開第2013/0198880号に提供されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、二重軽鎖可変領域を含む非ヒト生物は、二重特異性抗体を産生するのに使用される。
【0084】
さらに他の実施形態では、非ヒト生物は、その生殖系列および/またはゲノム中に、そのような非ヒト生物において産生される抗体にpH依存性結合特性を導入するように設計されたヒスチジンコドンの挿入および/または置換を含む軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子座を含むことができる。このような実施形態のいくつかでは、ヒスチジンコドンは、CDR3をコードする核酸配列において挿入および/または置換される。様々なこのような軽および/または重免疫グロブリン遺伝子座は、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第9,301,510号、同第9,334,334号、米国特許出願公開第2013/0247236号、同第2014/0013456号に提供されている。
【0085】
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、重鎖定常領域遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、ヒト重鎖定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態で
は、重鎖定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子またはラット定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒト配列と非ヒト配列との混合物である。例えば、いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、ヒトCH1領域ならびに非ヒト(例えば、内因性種由来、マウス、ラット)CH2および/またはCH3領域をコードする。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域遺伝子は、Cμ、Cδ、Cγ(Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4)、Cα、またはCε定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、非ヒト動物が重鎖のみの抗体を発現するように、突然変異したCH1領域をコードする(例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第8,754,287号、米国特許出願公開第2015/0289489号を参照のこと)。いくつかの実施形態では、例えば、目標が(例えば、ユニバーサルまたは二重軽鎖生物において)二重特異性抗体を作製する重鎖を生成することである場合、重鎖のFcドメインは、重鎖ヘテロ二量体形成を促進および/または重鎖ホモ二量体形成を阻害するための修飾を含む。このような修飾は、例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,642,228号、および同第8,679,785号、ならびに米国特許出願公開第2013/0195849号において提供されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、軽鎖定常領域遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、κ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、λ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子またはラット定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常領域遺伝子は、ヒト配列と非ヒト配列との混合物である。
【0087】
いくつかの実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域および可変領域遺伝子セグメントが作動可能に連結される免疫グロブリン定常領域遺伝子は、内因性免疫グロブリン遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、内因性重鎖遺伝子座である。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、内因性κ遺伝子座である。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、内因性λ遺伝子座である。いくつかの実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントが作動可能に連結される定常領域遺伝子は、内因性定常領域遺伝子である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物のゲノム中の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子座または1つ以上の内因性遺伝子座の一部分(例えば、可変領域および/または定常領域)が不活性化される。内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座およびその一部分は、これらに限定されないが、生物のゲノムからの遺伝子座またはその一部分の欠失、遺伝子座またはその一部分の異なる核酸配列での置換、非ヒト生物のゲノムにおける別の位置への遺伝子座の一部分の逆位および/または遺伝子座の一部分の転位を含む、当該技術分野において知られている任意の方法を用いて不活性化することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子座の不活性化は、部分的な不活性化に過ぎない。いくつかの実施形態では、遺伝子座の可変領域は不活性化されるが、定常領域は(例えば、非内因性可変領域遺伝子セグメントに作動可能に連結されているため)機能的なままである。
【0089】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、不活性化された内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性重鎖遺伝子座の内因性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、欠失
、置換、転位、および/または逆位される内因性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部は、可変領域のJセグメントを含む。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性重鎖遺伝子座の内因性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、欠失、置換、転位、および/または逆位される内因性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内因性定常領域のCμ遺伝子を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、不活性化された内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性κ鎖遺伝子座の内因性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、欠失、置換、転位、および/または逆位される内因性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部は、可変領域のJセグメントを含む。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性κ鎖遺伝子座の内因性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、欠失、置換、転位、および/または逆位される内因性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内因性定常領域のCκ遺伝子を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、不活性化された内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性λ鎖遺伝子座の内因性可変領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、内因性λ鎖遺伝子座における少なくとも1つのV-J-C遺伝子クラスターの少なくとも一部は、欠失、置換、転位、および/または逆位される。いくつかの実施形態では、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座またはその一部分は、内因性λ鎖遺伝子座の内因性定常領域の少なくとも一部の欠失、置換、転位、および/または逆位によって不活性化される。いくつかの実施形態では、欠失、置換、転位、および/または逆位される内因性λ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部は、内因性定常領域のCλ遺伝子を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物は、ヒト可変ドメイン(例えば、本明細書に記載の未再編成ヒト可変領域遺伝子セグメントに由来するヒト可変ドメイン)を有する抗体を発現する。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒト重鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖のみの抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒト軽鎖可変ドメインである。いくつかの実施形態では、非ヒト動物によって産生される抗体は、ヒト重鎖可変ドメインおよびヒト軽鎖可変ドメインの両方を有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト重鎖定常ドメインを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト軽鎖定常ドメインを有する。いくつかの実施形態では、重鎖および/または軽鎖定常ドメインは、非ヒト由来である。例えば、いくつかの実施形態では、重鎖定常ドメインは、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、重鎖定常ドメインは、マウスまたはラット由来である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常ドメインは、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、軽鎖定常ドメインは、ラットまたはマウス由来である。
【0093】
ヒト可変ドメインT細胞受容体および外因性TdTを発現する非ヒト動物
特定の実施形態では、本明細書に記載の外因性TdTを含む遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むTCR可変領域と、TCR定常領域遺伝子を含み、未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントがTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結されるTCR定常領域と、を含有する、TCR遺伝子座(外因性または内因性)も含む。いくつかの実施形態では、様々な遺伝子改変非ヒト動物、例えば、遺伝子改変マウスは、
それらの生殖系列および/またはゲノムにおいて、マウスがヒト、ヒト化、部分ヒト、逆キメラ(ヒト可変領域および非ヒト定常領域)T細胞受容体を発現するように、遺伝子改変T細胞受容体遺伝子座(遺伝子改変TCRα、β、γ、および/またはδ遺伝子座)を含む。一実施形態では、例示的な非ヒト動物は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,113,616号および国際特許出願公開第WO2016/164492号において提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、非ヒトTCR定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、ラット定常領域遺伝子またはマウス定常領域遺伝子などの齧歯類定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子である。
【0095】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物および非ヒトES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、複数のこのようなTCR遺伝子座を含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成TCRα可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つのTCR遺伝子座および未再編成TCRβ可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つのTCR遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞は、それらの生殖系列および/またはゲノム中に、未再編成ヒトTCRγ可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つのTCR遺伝子座および未再編成ヒトTCRδ可変領域遺伝子セグメントを含む少なくとも1つのTCR遺伝子座を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、ヒト未再編成TCR可変領域遺伝子セグメントは、TCRα遺伝子セグメントであり、TCR定常領域遺伝子は、TCRα定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成TCR可変領域遺伝子セグメントは、TCRβ鎖遺伝子セグメントであり、TCR定常領域遺伝子は、TCRβ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成TCR可変領域遺伝子セグメントは、TCRγ鎖遺伝子セグメントであり、TCR定常領域遺伝子は、TCRγ定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、ヒト未再編成TCR可変領域遺伝子セグメントは、TCRδ鎖遺伝子セグメントであり、TCR定常領域遺伝子は、TCRδ定常領域遺伝子である。ヒトTCR遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、米国特許第9,113,616号およびLi et al.,Nature Medicine 16:1029-1035(2010)において提供されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、TCR可変領域は、未再編成ヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトTCRβ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より小さな非鋳型付加を含まないV-D TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-Dおよび/またはD-J TC
Rβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRβ接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRβ CDR3配列の頻度を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、TCR可変領域は、未再編成ヒトTCRα可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトTCRα可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトTCRα可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本
明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRα接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRα接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J TCRα接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRα CDR3配列の頻度を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、TCR可変領域は、未再編成ヒトTCRδ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトTCRδ可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトTCRδ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-Dおよび/またはD-J TCR
δ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J
TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J
TCRδ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J
TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-Dおよび/またはD-J TCRδ接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRδ CDR3配列の頻度を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、TCR可変領域は、未再編成ヒトTCRγ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトTCRγ可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトTCRγ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本
明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J TCRγ接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J TCRγ接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J TCRγ接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニークTCRγ CDR3配列の頻度を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むTCR可変領域は、ヒトTCR可変領域遺伝子間配列も含む。いくつかの実施形態では、TCR可変領域は、非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)TCR可変領域遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子間配列は、内因性種由来である。
【0102】
いくつかの実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントを含むTCR可変領域および可変領域遺伝子セグメントが作動可能に連結されるTCR定常領域遺伝子は、内因性TCR遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、内因性TCR遺伝子座は、内因性TCRα遺伝子座である。いくつかの実施形態では、内因性TCR遺伝子座は、内因性TCRβ遺伝子座である。いくつかの実施形態では、内因性TCR遺伝子座は、内因性TCRγ遺伝子座である。いくつかの実施形態では、内因性TCR遺伝子座は、内因性TCRδ遺伝子座である。いくつかの実施形態では、ヒト可変領域遺伝子セグメントが作動可能に連結される定常領域遺伝子は、内因性定常領域遺伝子、例えば、対応する内因性定常領域である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物のゲノムにおける1つ以上の内因性TCR遺伝子座または1つ以上の内因性遺伝子座の一部分(例えば、可変領域および/または定常領域)が不活性化される。内因性TCR可変領域遺伝子座およびその一部分は、これらに限定されないが、生物のゲノムからの遺伝子座またはその一部分の欠失、遺伝子座またはその一部分の異なる核酸配列での置換、非ヒト生物のゲノムにおける別の位置への遺伝子座の一部分の逆位および/または遺伝子座の一部分の転位を含む、当該技術分野において知られている任意の方法を用いて不活性化することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子座の不活性化は、部分的な不活性化に過ぎない。いくつかの実施形態では、遺伝子座の可変領域は不活性化されるが、定常領域は(例えば、非内因性可変領域遺伝子セグメントに作動可能に連結されているため)機能的なままである。不活性化TCR遺伝子座の例は、例えば、Mombaerts et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3084-3087(1991)およびMombaerts et al.,Nature 390:225-231(1992)に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物は、ヒト可変ドメイン(例えば、本明細書に記載される未再編成ヒト可変領域遺伝子セグメントに由来するヒト可変ドメイン)を有するTCRを発現する。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒトTCRα可変ドメインである。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒトTCRβ可変ドメインである。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒトTCRγ可変ドメインである。いくつかの実施形態では、ヒト可変ドメインは、ヒトTCRδ可変ドメインである。いくつかの実施形態では、非ヒト動物によって産生されるTCRは、ヒトTCRα可変ドメインおよびヒトTCRβ可変ドメインの両方を有する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物によって産生されるTCRは、ヒトTCRγ可変ドメインおよびヒトTCRδ可変ドメインの両方を有する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物によって産生されるTCRは、ヒトTCRα可変ドメインおよびヒトTCRβ可変ドメインの両方、ならびにヒトTCRγ可変ドメインおよびヒトTCRδ可変ドメインの両方を有する。いくつかの実施形態では、TCRは、ヒト定常ドメインを有する。いくつかの実施形態では、定常ドメインは、非ヒト由来である。例えば、いくつかの実施形態では、定常ドメインは、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、定常ドメインは、マウスまたはラット由来である。
【0105】
キメラ抗原受容体(CAR)および外因性TdTを発現する非ヒト動物
特定の態様では、キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子座も含む、本明細書に記載の外因性TdTを含む遺伝子改変非ヒト動物および非ヒト動物ES細胞が本明細書で提供される。そのようなCAR遺伝子座は、一般に、可変領域および定常領域を含む。可変領域は、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントを含み、定常領域遺伝子座は、TCR定常領域遺伝子を含み、Ig可変領域遺伝子セグメントは、定常領域遺伝子に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、非ヒトTCR定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、ラット定常領域遺伝子またはマウス定常領域遺伝子などの齧歯類定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態では、定常領域遺伝子は、内因性種由来である。いくつかの実施形態では、TCR定常領域遺伝子は、ヒト定常領域遺伝子である。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCAR遺伝子座は、内因性TCR遺伝子座に位置する。例えば、いくつかの実施形態では、TCRα定常領域遺伝子を含むCAR遺伝子座は、内因性TCRα定常領域遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、このような遺伝子座は、TCRα未再編成可変領域の一部または全部を未再編成Ig可変領域で置換することによって作製される。いくつかの実施形態では、TCRβ定常領域遺伝子
を含むCAR遺伝子座は、内因性TCRβ定常領域遺伝子座に位置する。いくつかの実施形態では、そのような遺伝子座は、TCRβ未再編成可変領域の一部または全部を未再編成Ig可変領域で置換することによって作製される。
【0107】
特定の実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントを含む。ヒト可変領域遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域遺伝子座は、当該技術分野において記載されている。例えば、そのような遺伝子座は、米国特許第5,633,425号、同第5,770,429号、同第5,814,318号、同第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584号、同第6,998,514号、同第7,795,494号、同第7,910,798号、同第8,232,449号、同第8,502,018号、同第8,697,940号、同第8,703,485号、同第8,754,287号、同第8,791,323号、同第8,907,157号、同第9,035,128号、同第9,145,588号、および同第9,206,263号において記載されており、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれ、米国特許出願公開第2008/0098490号、同第2010/0146647号、同第2011/0195454号、同第2012/0167237号、同第2013/0145484号、同第2013/0167256号、同第2013/0219535号、同第2013/0326647号、同第2014/013275号、同第2014/093908号、同第2015/0113668号、および同第2016/0081314号において記載されており、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれ、PCT特許出願公開第WO2007/117410号、同第WO2008/151081号、同第WO2009/157771号、同第WO2010/039900号、同第WO2011/004192号、同第WO2011/123708号、同第WO2014/093908号、および同第WO2016/044745号において記載されており、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0108】
特定の実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、未再編成ヒトIg重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVHセグメント、1つ以上のヒトDHセグメント、および1つ以上のヒトJHセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg可変領域遺伝子セグメントは、少なくとも3つのVH遺伝子セグメント、少なくとも18個のVH遺伝子セグメント、少なくとも20個のVH遺伝子セグメント、少なくとも30個のVH遺伝子セグメント、少なくとも40個のVH遺伝子セグメント、少なくとも50個のVH遺伝子セグメント、少なくとも60個のVH遺伝子セグメント、少なくとも70個のVH遺伝子セグメント、または少なくとも80個のVH遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg遺伝子セグメントは、ヒトDH遺伝子セグメントのすべてを含む。いくつかの実施形態では、CAR可変領域は、TCRβ可変領域遺伝子セグメント(例えば、V、D、および/またはJ遺伝子セグメント)をさらに含む。一実施形態では、CAR可変領域は、遠位TCR Vβ遺伝子セグメント、例えば、TCR Vβ31遺伝子セグメントをさらに含む。別の実施形態では、遠位TCR Vβ遺伝子セグメント、例えば、TCR Vβ31遺伝子セグメントは、機能的に不活性化または欠失されている。いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg遺伝子セグメントは、ヒトJH遺伝子セグメントのすべてを含む。Ig重鎖遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 111:5147-52および補足情報に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒト重鎖可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノ
ム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-D免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-Dおよび/またはD-J免疫グロブリン重鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリン重鎖CDR3配列の頻度を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg重鎖可変領域遺伝子セグメントを含むCAR可変遺伝子座は、ヒトIg重鎖可変領域遺伝子間配列も含む。いくつかの実施形態では、CAR可変遺伝子座は、非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)Ig重鎖可変領域遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、CAR可変遺伝子座は、ヒトまたは非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)TCRβ可変領域遺伝子間配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、CAR遺伝子座の未再編成可変領域は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)のトリプシノゲン(TRY)遺伝子(例えば、TCRβ可変領域遺伝子座に通常存在するTRY遺伝子および/または偽遺伝子)を含む。いくつかの実施形態では、TRY遺伝子は、非ヒト、例えば、マウスTRY遺伝子である。いくつかの実施形態では、マウスTRY遺伝子は、Try1、Try2、Try3、Try4、Try5、Try6、Try7、Try8、Try9、Try10、Try11、Try12、Try13、Try14、Try15、Try16、Try17、Try18 、Try19、およびTry20からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のTRY遺伝子は、未再編成可変領域のVHセグメントの上流に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のTRY遺伝子は、VHセグメントの下流および未再編成可変領域のDHセグメントの上流に位置する。いくつかの実施形態では、Try1~7は、未再編成可変領域のVHセグメントの上流に位置し、Try8~20は、VHセグメントの下流および未再編成可変領域のDHセグメントの上流に位置する。ヒトおよび/またはマウスTCRβ遺伝子座に位置するTRY遺伝子に関する追加情報は、Glusman et al.,Immunity 15:337-349(2001)およびSkok et al.,Nature Immunology 8:378-387(2007)に提供されており、これらの各々は参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、CAR遺伝子座は、非ヒト調節エレメント(例えば、非ヒトプロモーターおよび/またはエンハンサー)を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト調節エレメントは、齧歯類調節エレメント(例えば、ラットまたはマウスプロモーターまたはエンハンサー)である。いくつかの実施形態では、CAR遺伝子座は、IgMエンハンサー(Eμ)を含む。いくつかの実施形態では、IgMエンハンサーは、非ヒトEμ(例えば、マウスまたはラットEμのような、齧歯類Eμ)である。
【0111】
特定の実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、未再編成ヒトIgκ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、複数のヒトVκセグメントおよび1つ以上のヒトJκセグメントを含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、4つの機能的VκセグメントおよびすべてのヒトJκセグメントを含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、16個の機能的VκセグメントおよびすべてのヒトJκセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトVκセグメントのすべておよびすべてのヒトJκセグメント(例えば、すべての機能的ヒトVκセグメントおよびJκセグメント)を含む。Igκ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、Macdonald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 111:5147-52および補足情報に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、ヒトJκセグメントのすべてを含む。いくつかの実施形態では、CAR可変領域は、TCRα可変領域遺伝子セグメント(例えば、Vおよび/またはJ遺伝子セグメント)をさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンκ可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトκ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を
含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンκ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンκ鎖CDR3配列当たり少なくとも900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、または1700個のユニーク免疫グロブリンκ鎖CDR3配列を有する。
【0113】
特定の実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、未再編成ヒトIgλ可変領域遺伝子セグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝
子セグメントは、複数のヒトVλセグメントおよび1つ以上のヒトJλセグメントを含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、すべてのヒトVλセグメント(例えば、すべての機能的ヒトVλセグメント)を含む。いくつかの実施形態では、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントは、すべてのヒトJλセグメントを含む。いくつかの実施形態では、CAR可変領域は、TCRα可変領域遺伝子セグメント(例えば、Vおよび/またはJ遺伝子セグメント)をさらに含む。Igλ遺伝子セグメントを含む例示的な可変領域は、例えば、米国特許出願公開第2012/0073004号および同第2002/0088016号に提供されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
いくつかの実施形態では、ヒト免疫グロブリンλ可変領域遺伝子セグメントは、T細胞発生中に再編成され、非ヒト生物のT細胞において再編成されたヒトλ可変領域遺伝子を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より低い非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における非鋳型付加を含まないV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%小さい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも1つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも2つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも3つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、そのゲノム中に外因性TdTをコードする核酸を有さない対応する非ヒト動物より大きな少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子改変非ヒト動物における少なくとも4つのN付加を含むV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合は、対応する非ヒト動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の割合より少なくとも1%、2%
、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、または40%大きい。いくつかの実施形態では、動物におけるV-J免疫グロブリンλ鎖接合の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%は、非鋳型付加を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、対応する非ヒト動物より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きいユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列の頻度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される非ヒト動物は、10,000個の免疫グロブリンλ鎖CDR3配列当たり少なくとも150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300個のユニーク免疫グロブリンλ鎖CDR3配列を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、未再編成ヒトIg軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含むCAR可変遺伝子座は、ヒトIg軽鎖可変領域遺伝子間配列(例えば、κ可変領域遺伝子間配列および/またはλ可変領域遺伝子間配列)も含む。いくつかの実施形態では、CAR可変遺伝子座は、非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)Ig軽鎖可変領域遺伝子間配列(例えば、κ可変領域遺伝子間配列および/またはλ可変領域遺伝子間配列)を含む。いくつかの実施形態では、CAR可変遺伝子座は、ヒトまたは非ヒト(例えば、齧歯類、ラット、マウス)TCRα可変領域遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、CAR遺伝子座は、非ヒト調節エレメント(例えば、非ヒトプロモーターおよび/またはエンハンサー)を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト調節エレメントは、齧歯類調節エレメント(例えば、ラットまたはマウスプロモーターまたはエンハンサー)である。
【0116】
いくつかの実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、Ig重鎖可変領域遺伝子(ユニバーサル重鎖可変領域)を含む再編成された可変領域遺伝子座である。いくつかの実施形態では、再編成Ig重鎖可変領域遺伝子は、ヒト再編成Ig重鎖可変領域遺伝子である。ユニバーサル重鎖可変領域の使用は、少なくとも1つの抗原結合ドメインがペプチド/MHC複合体について特異性を有する二重特異性抗体の生成を促進する。例示的な再編成Ig重鎖可変領域は、米国特許出願公開第2014/0245468号に提供されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0117】
いくつかの実施形態では、CAR可変領域遺伝子座は、Ig軽鎖可変領域遺伝子(ユニバーサル軽鎖可変領域)を含む再編成された可変領域遺伝子座である。いくつかの実施形態では、再編成Ig軽鎖可変領域遺伝子は、ヒト再編成Ig軽鎖可変領域遺伝子である。ユニバーサル軽鎖可変領域の使用は、少なくとも1つの抗原結合ドメインがペプチド/MHC複合体について結合特異性を有する二重特異性抗体の生成を促進する。例示的な再編成Ig重鎖可変領域は、米国特許出願公開第2013/0185821号に提供されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0118】
他の遺伝子改変
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座(例えば、ヒト化HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、HLA-g、HLA-K、および/またはHLA-L)も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチドは、ヒト細胞外ドメイン(例えば、ヒトα1、α2、およびα3ドメイン)および内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチド、ヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化MHCクラスIα鎖ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許出願公開第
2013/0111617号、同第2013/0185819号、および同第2014/0245467号に記載されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0119】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化β-2ミクログロブリンポリペプチドをコードする遺伝子座も発現する、および/または含む。ヒト化β-2ミクログロブリンポリペプチド、ヒト化β-2ミクログロブリンポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化β-2ミクログロブリンポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許出願公開第2013/0111617号および同第2013/0185819号に記載されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座(例えば、ヒト化HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA、HLA-DQA、および/またはHLA-DRA)も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチドは、ヒト細胞外ドメインおよび内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチド、ヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化MHCクラスIIα鎖ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許第8,847,005号および同第9,043,996号、ならびに米国特許出願公開第2014/0245467号に記載されており、これらの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0121】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座(例えば、ヒト化HLA-DMB、HLA-DOB、HLA-DPB、HLA-DQB、および/またはHLA-DRB)も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドは、ヒト細胞外ドメインおよび内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチド、ヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化MHCクラスIIβ鎖ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許第8,847,005号および同第9,043,996号、ならびに米国特許出願公開第2014/0245467号に記載されており、これらの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0122】
外因性TdT、ヒト化TCR遺伝子座、ならびにヒト化MHC Iおよび/またはMHC II(MHCIIα/IIβ)遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物は、従来の方法を用いて繁殖させることにより作製することができる。あるいは、それらは、1つ以上の遺伝子操作された遺伝子座(例えば、ヒト化TCR遺伝子座)を既に含むES細胞における相同組換えによって作製することができ、上記ES細胞から非ヒト動物を作製することができる。
【0123】
外因性TdT、ヒト化CAR遺伝子座、ならびにヒト化MHC Iおよび/またはMHC II(MHCIIα/IIβ)遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物は、従来の方法を用いて繁殖させることにより作製することができる。あるいは、それらは、1つ以上の遺伝子操作された遺伝子座(例えば、ヒト化CAR遺伝子座)を既に含むES細胞におけ
る相同組換えによって作製することができ、上記ES細胞から非ヒト動物を作製することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化CD8α鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD8α鎖ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化CD8α鎖ポリペプチドは、ヒト細胞外免疫グロブリンドメインおよび内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化CD8α鎖ポリペプチド、ヒト化CD8α鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化CD8α鎖ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許出願公開第2014/0245466号に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0125】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化CD8β鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD8β鎖ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化CD8β鎖ポリペプチドは、ヒト細胞外免疫グロブリンドメインおよび内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化CD8β鎖ポリペプチド、ヒト化CD8β鎖ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化CD8β鎖ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許出願公開第2014/0245466号に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0126】
いくつかの実施形態では、外因性TdT、ヒト化TCR、またはCARを発現する本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物およびES細胞は、それらのゲノムにおいて、ヒト化CD4ポリペプチドをコードする遺伝子座も発現する、および/または含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD4ポリペプチドは、完全にヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト化CD4ポリペプチドは、少なくとも1つのヒト細胞外免疫グロブリンドメインおよび内因性種由来の細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD4ポリペプチドは、少なくとも1つのヒトD1免疫グロブリンドメイン、ヒトD2免疫グロブリンドメイン、およびヒトD3免疫グロブリンドメイン、ならびに内因性種由来の細胞質ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD4ポリペプチドは、少なくとも1つのヒトD1免疫グロブリンドメイン、ヒトD2免疫グロブリンドメイン、ヒトD3免疫グロブリンドメイン、内因性種由来のD4免疫グロブリンドメイン、および内因性種由来の細胞質ドメインを含む。ヒト化CD4ポリペプチド、ヒト化CD4ポリペプチドをコードする遺伝子座、およびヒト化CD4ポリペプチドを発現する非ヒト動物は、米国特許出願公開第2014/0245466号に記載されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0127】
外因性TdT、ヒト化TCR遺伝子座、ならびにヒト化CD4および/またはCD8(CD8α/CD8β)遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物は、従来の方法を用いて繁殖させることにより作製することができる。あるいは、それらは、1つ以上の遺伝子操作された遺伝子座(例えば、ヒト化TCR遺伝子座)を既に含むES細胞における相同組換えによって作製することができ、上記ES細胞から非ヒト動物を作製することができる。
【0128】
外因性TdT、ヒト化CAR遺伝子座、ならびにヒト化CD4および/またはCD8(CD8α/CD8β)遺伝子座を含む遺伝子改変非ヒト動物は、従来の方法を用いて繁殖させることにより作製することができる。あるいは、それらは、1つ以上の遺伝子操作された遺伝子座(例えば、ヒト化CAR遺伝子座)を既に含むES細胞における相同組換えによって作製することができ、上記ES細胞から非ヒト動物を作製することができる。
【0129】
遺伝子改変非ヒト動物の使用方法
特定の態様では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体、CAR、TCR)、そのような抗原結合タンパク質を発現する細胞(例えば、B細胞、T細胞、B細胞ハイブリドーマ、T細胞ハイブリドーマ)、およびそのような抗原結合タンパク質またはその一部分(例えば、可変ドメイン)をコードする核酸を生成するために本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を使用する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、より多様な抗原結合タンパク質(例えば、抗体、CAR、TCR)を作製する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、増加した数のヌクレオチド付加を有する抗原結合タンパク質(例えば、抗体、CAR、TCR)の再編成可変領域を作製する方法が本明細書で提供される。
【0130】
特定の実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に、遺伝子改変非ヒト動物が抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片を産生するように曝露することを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片を発現するB細胞を得ることと、を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片を発現するB細胞を得ることと、B細胞からハイブリドーマを作製することと、を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、非ヒト動物から抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、を含む。
【0134】
特定の実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片を発現するB細胞を得ることと、任意でB細胞からハイブリドーマを作製することと、B細胞またはハイブリドーマから抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有する抗体またはその抗原結合断片を発現するように改変された本明細書に記載の非ヒト動物を抗原に曝露することと、非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片を発現するB細胞を得ることと、任意でB細胞からハイブリドーマを作製することと、B細胞またはハイブリドーマから抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、宿主細胞において免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸とヒト免疫グロブリン定常ドメインをコードする核酸とを作動可能に連結することと、宿主細胞を、宿主細胞が免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常ドメインを含むヒト抗体を発現するような条件下で培養することと、を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するTCRを発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するTCRを発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、T細胞からT細胞ハイブリドーマを作製することと、を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するTCRを発現するように改変された本明細書に記載の非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、T細胞からTCRのヒトTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するTCRを発現するように改変された本明細書に記載の非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、T細胞からTCRのTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、細胞においてTCR可変ドメインをコードする核酸とTCR定常ドメインとを、細胞がTCR可変ドメインおよびTCR定常ドメインを含むTCRを発現するように作動可能に連結することと、を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するCARを発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なCARを発現するT細胞を得ることと、を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するCARを発現するように改変された本明細書に記載の遺伝子改変非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なCARを発現するT細胞を得ることと、T細胞からT細胞ハイブリドーマを作製することと、を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するCARを発現するように改変された本明細書に記載の非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を得ることと、T細胞からCARのヒトTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、本方法は、外因性TdTおよびヒト可変ドメインを有するC
ARを発現するように改変された本明細書に記載の非ヒト動物を、ペプチドまたはペプチドを含む抗原をコードする核酸を含む抗原に、ペプチドが非ヒト動物においてMHC上に提示されるように曝露することと、遺伝子改変非ヒト動物からMHC上に提示されるペプチドに特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を得ることと、T細胞からCARのヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を単離することと、細胞においてヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸とヒト免疫グロブリン定常ドメインとを、細胞がヒト免疫グロブリン可変ドメインおよびヒト免疫グロブリン定常ドメインを含む抗体を発現するように作動可能に連結することと、を含む。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、免疫応答(例えば、B細胞免疫応答および/またはT細胞免疫応答)を誘導するために、本明細書に記載の非ヒト動物が抗原(免疫化)に曝露されるステップを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、全タンパク質抗原またはその断片で免疫化される。齧歯類は、当該技術分野で知られている任意の方法によって免疫化することができる(例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual 1988 Cold Spring Harbor Laboratory、Malik
and Lillehoj(1994)Antibody Techniques,Academic Press,CA参照)。
【0145】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、抗原をコードする核酸配列を含むウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、またはレンチウイルス)を非ヒト動物に投与することによって、抗原に曝露される。ウイルスワクチン接種方法は、例えば、米国特許第6,001,349号、同第8,663,622号、同第8,691,502号、同第8,377,688号、およびPrecopio et
al.,JEM 204:1405-1416(2007)において提供されており、これらの各々はその全体が本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、ウイルスが直接投与される。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞)をインビトロまたはエクスビボでウイルスに感染させ、次いで非ヒト動物に投与する。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ペプチド/MHC複合体(例えば、一本鎖ペプチド/MHC複合体)をコードする。一本鎖ペプチド/MHCベースのワクチンの例は、Truscott et al.,J.Immunol.178:6280-6289(2007)、EP1773383、Kim et al.,Vaccine 30:2178-2186(2012)、Kim et al.,J.Immunol.184:4423-4430(2010)で提供されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0146】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変非ヒト動物は、抗原をコードする核酸を動物に投与することによって、抗原に曝露される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、一本鎖ペプチド/MHC複合体をコードする核酸が投与される。一本鎖ペプチド/MHCベースのワクチンの例は、Truscott et al.,J.Immunol.178:6280-6289(2007)、EP1773383、Kim et al.,Vaccine 30:2178-2186(2012)、Kim et al.,J.Immunol.184:4423-4430(2010)で提供されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。特定の実施形態では、核酸は、DNAベクターである。核酸の送達は、ウイルス媒介性遺伝子導入およびリポソーム媒介性遺伝子導入を含む当該技術分野で知られている任意の技術によることができる。目的のポリヌクレオチドは、例えば、これらの各々が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第6,770,291号、同第7,001,614号、同第6,749,863号、同第5,512,295号、および同第7,112,338号に記載されているように、リポソームと会合して遺伝子送達ビヒクルを形成する。いくつかの実施形態では、核酸は、mRNAベクター
である。mRNAベクターを産生および投与するための例示的な方法は、例えば、米国特許第8,278,036号ならびに米国特許出願公開第2013/151736号および同第2012/135805号に記載されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗原は、癌関連抗原である。癌関連抗原の例としては、これらに限定されないが、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1A1、α-アクチニン-4、α-フェトプロテイン(「AFP」)、ALK、ANKRD30A、ARTC1、B-RAF、BAGE-1、BCLX(L)、BCR-ABL融合タンパク質b3a2、β-カテニン、BING-4、BIRC7、CA-125、CA9、CALCA、癌胎児性抗原(「CEA」)、CALR、CASP-5、CASP-8、CCR5、CD19、CD20、CD22、CD27、CD274、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD45、CD52、CD56、CD79、Cdc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CEA、CLEC12A、CLPP、COA-1、CPSF、CSNK1A1、CTAG1、CTAG2、サイクリンD1、サイクリン-A1、dek-can融合タンパク質、DKK1、EFTUD2、EGFR、EGFR変異体III、伸長因子2、ENAH(hMena)、Ep-CAM、EpCAM、EphA2、EphA3、上皮腫瘍抗原(「ETA」)、ERBB3、ERBB4、ETV6-AML1融合タンパク質、EZH2、FCRL3、FGF5、FLT3-ITD、FN1、FOLR1、G250/MN/CAIX、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GAS7、グリピカン-3、GnTV、gp100/Pmel17、GPNMB、GM3、GPR112、IL3RA、HAUS3、ヘプシン、HER-2/neu、HERV-K-MEL、HLA-A11、HLA-A2、HLA-DOB、hsp70-2、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸内カルボキシルエステラーゼ、K-ras、カリクレイン4、KIF20A、KIT、KK-LC-1、KKLC1、KM-HN-1、CCDC110としても知られているKMHN1、KRAS、LAGE-1、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、Lengsin、LGR5、LMP2、M-CSF、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-C1、MAGE-C2、リンゴ酸酵素、マンマグロビンA、MART2、MATN、MC1R、MCSP、mdm-2、ME1、メラン-A/MART-1、メロエ、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUC5AC、MUC16、ムチン、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン、ミオシンクラスI、N-raw、NA88-A、ネオ-PAP、NFYC、NY-BR-1、NY-ESO-1/LAGE-2、OA1、OGT、OS-9、OX40、Pポリペプチド、p53、PAP、PAX3、PAX5、PBF、PLAC1、PMEL、pml-RARα融合タンパク質、多形性上皮ムチン(「PEM」)、PPP1R3B、PRAME、PRDX5、PRLR、PSA、PSMA、PTPRK、RAB38/NY-MEL-1、RAGE-1、RBAF600、RET、RGS5、RhoC、RNF43、ROR1、RU2AS、SAGE、SART1、SART3、セセルニン1、SIRT2、SLAMF7、SLC39A6、SNRPD1、SOX10、Sp17、SPA17、SSX-2、SSX-4、STEAP1、STEAP2、サバイビン、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、TAG-1、TAG-2、テロメラーゼ、TERT、TGF-βRII、Thompson-nouvelle抗原、TMPRSS2、TNFRSF17、TPBG、TRAG-3、トリオースリン酸イソメラーゼ、TRP-1/gp75、TRP-2、TRP2-INT2、チロシナーゼ、チロシナーゼ(「TYR」)、UPK3A、VEGF、VTCN1、WT1、XAGE-1b/GAGED2aが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗原は、新生抗原である。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗原は、感染性病原体により発現される抗原である。いくつ
かの実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、蠕虫、または原生動物である。ウイルスの非限定的な例としては、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペスウイルス(例えば、HSV-1、HSV-2、CMV、HAV-6、VZV、エプスタイン-バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクチニアウイルス、HTLV、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、エボラウイルス、およびアルボウイルス脳炎ウイルス抗原が挙げられる。いくつかの実施形態では、寄生生物は、マラリアである。いくつかの実施形態では、病原体は、Aspergillus、Brugia、Candida、Chlamydia、Coccidia、Cryptococcus、Dirofilaria、Gonococcus、Histoplasma、Klebsiella、Legionella、Leishmania、Meningococci、Mycobacterium、Mycoplasma、Paramecium、Pertussis、Plasmodium、Pneumococcus、Pneumocystis、Pseudomonas、Rickettsia、Salmonella、Shigella、Staphylococcus、Streptococcus、Toxoplasma、およびVibriocholeraeである。例示的な種としては、Neisseria gonorrhea、Mycobacterium tuberculosis、Candida albicans、Candida tropicalis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus vaginalis、Group B Streptococcus sp.、Microplasma hominis、Hemophilus ducreyi、Granuloma inguinale、Lymphopathia venereum、Treponema
pallidum、Brucella abortus、Brucella melitensis、Brucella suis、Brucella canis、Campylobacter fetus、Campylobacter fetus intestinalis、Leptospira pomona、Listeria monocytogenes、Brucella ovis、Chlamydia psittaci、Trichomonas foetus、Toxoplasma gondii、Escherichia coli、Actinobacillus equuli、Salmonella abortus ovis、Salmonella abortus equi、Pseudomonas aeruginosa、Corynebacterium equi、Corynebacterium pyogenes、Actinobaccilus seminis、Mycoplasma bovigenitalium、Aspergillus fumigatus、Absidia ramosa、Trypanosoma equiperdum、Babesia caballi、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、または、例えば、Paracoccidioides brasiliensisなどの真菌、または、例えば、Plasmodium falciparumなどの他の病原体が挙げられる。
【0149】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子改変非ヒト動物からT細胞および/またはまたはB細胞を得るステップを含む。特定の実施形態では、当該技術分野で知られている任意の方法を用いて、そのような細胞を得ることができる。例えば、そのようなT細胞および/またはB細胞は、動物の脾臓、リンパ節、および/または末梢血から得ることができる。このようなT細胞および/またはB細胞は、当該技術分野で利用可能な方法を用いて結合特異性についてスクリーニングすることができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、B細胞からB細胞ハイブリドーマ
を作製するステップを含む。B細胞ハイブリドーマを作製するのに有用な方法は、当該技術分野で知られ、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual 1988 Cold Spring
Harbor Laboratory、Malik and Lillehoj(1994)Antibody Techniques,Academic Press,CAに記載されており、本明細書に参照により組み込まれる。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、T細胞からT細胞ハイブリドーマを作製するステップを含む。T細胞ハイブリドーマを作製するのに有用な方法は、当該技術分野で知られ、例えば、Hedrick et al.,Cell 30:141-152(1982)および Kruisbeek Curr.Protoc.Immunol.Chapter 3(2001)およびWhite et al.,Methods
in Molecular Biology 134:185-193(2000)に記載されており、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、IgまたはTCR可変領域をコードする核酸を単離するステップを含む。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、任意の方法を用いて、IgまたはTCR可変領域をコードする核酸を単離することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、核酸を単離するステップは、それぞれB細胞またはT細胞からB細胞またはT細胞ハイブリドーマを作製し、そのハイブリドーマから核酸を単離するステップを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、核酸増幅プロセスを用いて単離される。例えば、いくつかの態様では、核酸増幅プロセスは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、Qβレプリカ-ゼベース増幅、核酸配列ベース増幅(NASBA)、修復連鎖反応(RCR)、ブーメランDNA増幅(BDA)、またはローリングサークル増幅(RCA)である。
【0154】
いくつかの実施形態では、核酸は、B細胞、T細胞、B細胞ハイブリドーマ、またはT細胞ハイブリドーマにおいて再編成されたIgまたはTCR可変領域遺伝子を配列決定し、再編成IgまたはTCR可変領域遺伝子を含む核酸配列を合成することによって単離される。例示的な核酸配列決定プロセスとしては、これらに限定されないが、連鎖停止配列決定、ライゲーションによる配列決定、合成による配列決定、パイロシーケンシング、イオン半導体配列決定、単一分子リアルタイム配列決定、454配列決定、および/またはDilute-’N’-Go配列決定が挙げられる。
【0155】
重鎖および/または軽鎖Ig可変領域をコードするDNA断片が得られる場合、これらのDNA断片は、標準組換えDNA技術によって、例えば、可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するようにさらに操作され得る。これらの操作において、可変領域をコードするDNA断片は、抗体定常領域または可動性リンカーのような別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。この文脈で使用される「作動可能に連結される」という用語は、2つのDNA断片が、その2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように、連結されていることを意味することを意図している。
【0156】
重鎖可変領域をコードする単離されたDNAは、可変領域をコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野において知られており(例えば、Kabat,E.A.,et a
l.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、またはLefranc,The Immunoglobulin Handbook,London:Academic Press 2001参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常ドメインは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常ドメインであり得る。Fab断片重鎖遺伝子について、VHコードDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することができる。
【0157】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、宿主細胞において重鎖Ig可変ドメインをコードする核酸配列を、重鎖Ig定常ドメインをコードする核酸配列と、宿主細胞がIg重鎖可変ドメインおよびIg重鎖定常ドメインを含むIg重鎖ポリペプチドを発現するように、作動可能に連結するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、宿主細胞において軽鎖Ig可変ドメインをコードする核酸配列を、軽鎖Ig定常ドメインをコードする核酸配列と、宿主細胞がIg軽鎖可変ドメインおよびIg重鎖定常ドメインを含むIg軽鎖ポリペプチドを発現するように、作動可能に連結するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、宿主細胞が重鎖Ig可変ドメインおよび重鎖Ig定常ドメインを含む重鎖と軽鎖Ig可変ドメインおよび軽鎖Ig定常ドメインを含む軽鎖とを有する抗体を発現するように、宿主細胞において重鎖Ig可変ドメインをコードする核酸配列を、重鎖Ig定常ドメインをコードする核酸配列と作動可能に連結し、宿主細胞において軽鎖Ig可変ドメインをコードする核酸配列を、軽鎖Ig定常ドメインをコードする核酸配列と作動可能に連結するステップを含む。Ig可変領域は、当該技術分野で周知の標準的な分子生物学技術を用いてIg定常領域と連結することができる。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンポリペプチドを発現することができる任意の宿主細胞を使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、CHO細胞、HEK-293細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、もしくはベロ細胞、またはウイルス核酸配列を発現する網膜細胞(例えば、PERC.6(商標)細胞)である。
【0158】
いくつかの実施形態では、重鎖定常ドメインをコードする核酸は、修飾Fcドメイン(例えば、FcとFc受容体との間の相互作用を変化させる突然変異)を含む定常ドメインをコードする。例えば、いくつかの実施形態では、定常ドメインは、位置235、236、237、239、265、267、268、269、270、298、326、327、330、332、350、351、366、392、394、405、および/または407(EUナンバリングシステムを使用)でそのFcドメインに対する修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、L235A、G236E、G237F、S239E、S239D、D265E、D265S、S267E、S267D、S267G、H268E、H268D、E269L、D270N、D270E、S298A、K326A、K326D、A327H、A327V、A327L、A330I、A330S、I332E、T350V、L351Y、T366L、K392M、K392L、T394W、F405A、および/またはY407V(EUナンバリングシステムを使用)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、定常ドメインは、そのFcドメインに対する複数の修飾を含む。いくつかの実施形態では、複数の修飾は、D270N/K326D、S239E/S298A/K326A/A327H、L235A/S239E/D265E/A327H、G236E/G237F/S239E、G237F/S239E/D265E、G327F/S239E/H268D、G236E/D270N/A327V/I332E、G237F/S239E/A327H、G237F/A327L/A330I、S239D/D265S/S298A/I332E、S239E/D265S/H268D/I332E、S239E/D265S/I332E、S239E/S267E/H268D
、S239E/A327L/A330I、D265E/S267D/A330S、S267G/H268E/D270E、H268D/E269L/S298A/K326A/A327H、H268D//K326A/A327Hからなる群から選択される。追加のFc修飾およびFc修飾の組み合わせは、米国特許第5,624,821号、同第5,648,260号、同第6,528,624号、同第6,737,056号、同第7,122,637号、同第7,183,387号、同第7,297,775号、同第7,317,091号、同第7,332,581号、同第7,632,497号、同第7,662,925号、同第7,695,936号、同第8,093,359号、同第8,216,805号、同第8,218,805号、同第8,388,955号、および同第8,937,158号、ならびに米国特許公開第2005/0054832号、同第2006/0222653号、同第2006/0275282号、同第2006/0275283号、同第2007/0190063号、同第2008/0154025号、同第2009/0042291号、2013/0108623号、および同第2013/0089541号において提供され、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
抗原結合タンパク質
特定の態様では、(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物を使用して)本明細書に記載の方法によって得ることができるおよび/または得られる抗原結合タンパク質(例えば、抗体、TCR、CAR、およびその抗原結合断片)が本明細書で提供される。
【0160】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗原結合分子は、10-6、10-7、10-8、または10-9M以下の解離定数で標的抗原に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質の抗原に対する結合親和性(KDによって表される)は、抗原結合タンパク質の無関係の抗原に対する親和性より少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍低い。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、10-6、10-7、10-8、または10-9M以下の解離定数でペプチド/MHC複合体に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質のペプチド/MHC複合体に対する結合親和性(KDによって表される)は、抗原結合タンパク質の無関係のペプチドを提示する同じMHCタンパク質に対する親和性より少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍低い。抗原結合タンパク質の結合能力を評価するための標準的なアッセイは、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、およびRIAを含み、当該技術分野で知られている。抗原結合タンパク質の結合動力学(例えば、結合親和性)もまた、Biacore分析などの当該技術分野で知られている標準的なアッセイによって評価することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗原は、癌関連抗原のエピトープを含む、および/または癌関連抗原である。癌関連抗原の例としては、これらに限定されないが、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1A1、α-アクチニン-4、α-フェトプロテイン(「AFP」)、ARTC1、B-RAF、BAGE-1、BCLX(L)、BCR-ABL融合タンパク質b3a2、β-カテニン、BING-4、CA-125、CALCA、癌胎児性抗原(「CEA」)、CASP-5、CASP-8、CD274、CD45、Cdc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CEA、CLPP、COA-1、CPSF、CSNK1A1、CTAG1、CTAG2、サイクリンD1、サイクリン-A1、dek-can融合タンパク質、DKK1、EFTUD2、伸長因子2、ENAH(hMena)、Ep-CAM、EpCAM、EphA3、上皮腫瘍抗原(「ETA」)、ETV6-AML1融合タンパク質、EZH2、FGF5、FLT3-ITD、FN1、G250/MN/CAIX、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GAS7、グリピカン-3、GnTV、gp100/Pmel17、GPNMB、HAUS3、ヘプシン、HER-2/neu、HERV-K-MEL、HLA-A11、HLA-A2、HLA-DOB、hsp70-2、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸内カルボキシ
ルエステラーゼ、K-ras、カリクレイン4、KIF20A、KK-LC-1、KKLC1、KM-HN-1、CCDC110としても知られているKMHN1、LAGE-1、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、Lengsin、M-CSF、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-C1、MAGE-C2、リンゴ酸酵素、マンマグロビンA、MART2、MATN、MC1R、MCSP、mdm-2、ME1、メラン-A/MART-1、メロエ、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、ムチン、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン、ミオシンクラスI、N-raw、NA88-A、ネオ-PAP、NFYC、NY-BR-1、NY-ESO-1/LAGE-2、OA1、OGT、OS-9、Pポリペプチド、p53、PAP、PAX5、PBF、pml-RARα融合タンパク質、多形性上皮ムチン(「PEM」)、PPP1R3B、PRAME、PRDX5、PSA、PSMA、PTPRK、RAB38/NY-MEL-1、RAGE-1、RBAF600、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、SAGE、セセルニン1、SIRT2、SNRPD1、SOX10、Sp17、SPA17、SSX-2、SSX-4、STEAP1、サバイビン、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、TAG-1、TAG-2、テロメラーゼ、TGF-βRII、TPBG、TRAG-3、トリオースリン酸イソメラーゼ、TRP-1/gp75、TRP-2、TRP2-INT2、チロシナーゼ、チロシナーゼ(「TYR」)、VEGF、WT1、XAGE-1b/GAGED2aが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗原は、新生抗原である。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗原は、感染性病原体により発現される抗原のエピトープを含む、および/または感染性病原体により発現される抗原である。いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、蠕虫、または原生動物である。ウイルスのいくつかの非限定的な例には、HPV、HBV、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1およびHIV-2)などのレトロウイルス、エプスタイン-バーウイルス(EBV)などのヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、HSV-1およびHSV-2、ならびにインフルエンザウイルスが含まれる。いくつかの実施形態では、寄生生物は、マラリアである。いくつかの実施形態では、病原体は、Aspergillus、Brugia、Candida、Chlamydia、Coccidia、Cryptococcus、Dirofilaria、Gonococcus、Histoplasma、Leishmania、Mycobacterium、Mycoplasma、Paramecium、Pertussis、Plasmodium、Pneumococcus、Pneumocystis、Rickettsia、Salmonella、Shigella、Staphylococcus、Streptococcus、Toxoplasma、およびVibriocholeraeである。例示的な種としては、Neisseria gonorrhea、Mycobacterium tuberculosis、Candida albicans、Candida tropicalis、Trichomonas vaginalis、Haemophilus vaginalis、Group B Streptococcus sp.、Microplasma hominis、Hemophilus ducreyi、Granuloma inguinale、Lymphopathia venereum、Treponema pallidum、Brucella abortusが挙げられる。Brucella melitensis、Brucella suis、Brucella canis、Campylobacter fetus、Campylobacter fetus intestinalis、Leptospira pomona、Listeria monocytogenes、Brucella ovis、Chlamydia psittaci、Trichomonas foetus、Toxoplasma gondii、Escherichia coli、Actinobacillus equuli、Salmonella abortus ovis、Salmo
nella abortus equi、Pseudomonas aeruginosa、Corynebacterium equi、Corynebacterium pyogenes、Actinobaccilus seminis、Mycoplasma bovigenitalium、Aspergillus fumigatus、Absidia ramosa、Trypanosoma equiperdum、Babesia caballi、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、または、例えば、Paracoccidioides brasiliensisなどの真菌、または、例えば、Plasmodium falciparumなどの他の病原体が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、抗原は、炎症性疾患、皮膚または臓器移植拒絶、移植片対宿主病(GVHD)、または自己免疫疾患において自己反応性T細胞の標的であるタンパク質のエピトープを含む、および/またはタンパク質である。自己免疫疾患の例には、例えば、糸球体腎炎、関節炎、拡張型心筋症様疾患、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、クローン病、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、多発性筋炎、硬皮症、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、尋常性白斑、インスリン依存性糖尿病、ベーチェット病、橋本病、アジソン病、皮膚筋炎、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、不妊症、慢性活動性肝炎、天疱瘡、自己免疫性血小板減少性紫斑、および自己免疫性溶血性貧血、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性無酸症、セリアック病、クッシング症候群、皮膚筋炎、円板状紅斑、狼瘡、グッドパスチャー症候群、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮症、インスリン依存性糖尿病、ランバート-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症のいくつかの症例、混合性結合組織病、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミット症候群、限局性強皮症(またはクレスト症候群)、交感性眼炎、全身性悪液質性腹膜炎、強直性膀胱炎、多腺性自己随伴症、、交感神経眼炎、全身性紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗性、潰瘍性大腸炎、ならびにウェゲナー肉芽腫症が含まれる。自己反応性T細胞によって標的化される例示的なタンパク質には、例えば、p205、インスリン、甲状腺刺激ホルモン、チロシナーゼ、TRP1、およびミエリンが含まれる。
【0164】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト重鎖定常ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常ドメインを含む。ヒト重鎖定常ドメインの配列は、当該技術分野において知られている(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、またはLefranc,The Immunoglobulin Handbook,London:Academic Press 2001参照)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、重鎖定常ドメインまたはその一部分を欠く。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、修飾Fcドメイン(例えば、FcとFc受容体との間の相互作用を変化させる変異)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、位置235、236、237、239、265、267、268、269、270、298、326、327、330、332、350
、351、366、392、394、405、および/または407(EUナンバリングシステムを使用)でそれらのFcドメインに対する修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、L235A、G236E、G237F、S239E、S239D、D265E、D265S、S267E、S267D、S267G、H268E、H268D、E269L、D270N、D270E、S298A、K326A、K326D、A327H、A327V、A327L、A330I、A330S、I332E、T350V、L351Y、T366L、K392M、K392L、T394W、F405A、および/またはY407V(EUナンバリングシステムを使用)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は、それらのFcドメインに対する複数の修飾を含む。いくつかの実施形態では、複数の修飾は、D270N/K326D、S239E/S298A/K326A/A327H、L235A/S239E/D265E/A327H、G236E/G237F/S239E、G237F/S239E/D265E、G327F/S239E/H268D、G236E/D270N/A327V/I332E、G237F/S239E/A327H、G237F/A327L/A330I、S239D/D265S/S298A/I332E、S239E/D265S/H268D/I332E、S239E/D265S/I332E、S239E/S267E/H268D、S239E/A327L/A330I、D265E/S267D/A330S、S267G/H268E/D270E、H268D/E269L/S298A/K326A/A327H、H268D//K326A/A327Hからなる群から選択される。追加のFc修飾およびFc修飾の組み合わせは、米国特許第5,624,821号、同第5,648,260号、同第6,528,624号、同第6,737,056号、第7,122,637号、第7,183,387号、第7,297,775号、同第7,317,091号、同第7,332,581号、同第7,632,497号、同第7,662,925号、同第7,695,936号、同第8,093,359号、同第8,216,805号、同第8,218,805号、同第8,388,955号、および同第8,937,158号、ならびに米国特許出願公開第2005/0054832号、同第2006/0222653号、同第2006/0275282号、同第2006/0275283号、同第2007/0190063号、同第2008/0154025号、同第2009/0042291号、同第2013/0108623号、および同第2013/0089541号において提供されており、これらの各々は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の2つの抗原結合ドメインは、別個の重鎖可変ドメインを有するが、同一の軽鎖可変ドメインを有する。いくつかの実施形態では、重鎖のFcドメインは、重鎖ヘテロ二量体形成を促進および/または重鎖ホモ二量体形成を阻害するための修飾を含む。このような修飾は、例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,642,228号、および同第8,679,785号、ならびに米国特許出願公開第2013/0195849号において提供されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト軽鎖可変ドメインを有する。いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、λ軽鎖可変ドメインを有する。いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、κ軽鎖可変ドメインを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト軽鎖定常ドメインを有する。いくつかの実施形態では、軽鎖定常ドメインは、λ軽鎖定常ドメインである。いくつかの実施形態では、軽鎖定常ドメインは、κ軽鎖定常ドメインである。ヒト軽鎖定常ドメインの配列は、当該技術分野において知られている(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health
and Human Services,NIH Publication No.9
1-3242、またはLefranc,The Immunoglobulin Handbook,London:Academic Press 2001参照)。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、インタクトな抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、抗原結合を保持する抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、ジスルフィド結合Fv、Fd、単鎖抗体、単離CDRH3、またはインタクトな抗体の可変ドメインの少なくとも一部分を保持する別の抗体断片である。
【0169】
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、CARである。いくつかの実施形態では、CARは、膜結合性である。いくつかの実施形態では、CARは、可溶性CARである(例えば、膜貫通または細胞質ドメインを欠いている)。いくつかの実施形態では、そのようなCARは、Ig重鎖可変ドメインおよびTCRβ定常ドメインを含む第1のCARポリペプチドならびにIg軽鎖可変ドメイン(例えば、Igκ可変ドメインまたはIgλ可変ドメイン)およびTCRα定常ドメインを含む第2のCARポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Ig重鎖可変ドメインおよび/またはIg軽鎖可変ドメインは、ヒトIg可変ドメインである。いくつかの実施形態では、TCRβ定常ドメインおよび/またはTCRα定常ドメインは、非ヒト定常ドメイン(例えば、ラットまたはマウス定常ドメイン)である。いくつかの実施形態では、TCRβ定常ドメインおよび/またはTCRα定常ドメインは、ヒト定常ドメインである。
【0170】
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、TCRである。いくつかの実施形態では、TCRは、膜結合性である。いくつかの実施形態では、TCRは、可溶性TCRである(例えば、膜貫通または細胞質ドメインを欠いている)。いくつかの実施形態では、そのようなTCRは、TCRβ可変ドメインおよびTCRβ定常ドメインを含む第1のTCRポリペプチドならびにTCRα可変ドメインおよびTCRα定常ドメインを含む第2のTCRポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、TCRα可変ドメインおよび/またはTCRβ可変ドメインは、ヒトTCR可変ドメインである。いくつかの実施形態では、TCRβ定常ドメインおよび/またはTCRα定常ドメインは、非ヒト定常ドメイン(例えば、ラットまたはマウス定常ドメイン)である。いくつかの実施形態では、TCRβ定常ドメインおよび/またはTCRα定常ドメインは、ヒト定常ドメインである。
【0171】
薬学的組成物
特定の実施形態では、組成物、例えば、薬学的に許容される担体と共に製剤化される本明細書に記載の少なくとも1つの薬剤(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物から得られる、本明細書に記載の抗体、CAR、またはTCRのような、本明細書に記載の抗原結合分子)を含む、薬学的組成物が本明細書で提供される。
【0172】
本明細書で提供される薬学的組成物は、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化することができ、以下のために適合されたものを含む:(1)経口投与、例えば、ドレンチ(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口腔、舌下、および全身吸収を目的としたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布のためのペースト、あるいは(2)例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤としての皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射による非経口投与。
【0173】
非経口投与に適した本明細書で提供される薬学的組成物は、糖、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有してもよい、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わされた、本明細書に記載の1つ以上の薬
剤を含む。
【0174】
本明細書で提供される薬学的組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0175】
特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載の抗体、TCR、および/またはCARを、所望の用量に適した重量/体積をもたらす濃度で含む。抗体、TCR、および/またはCARは、組成物中に、少なくとも1mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも30mg/mL、少なくとも35mg/mL、少なくとも40mg/mL、少なくとも45mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも55mg/mL、少なくとも60mg/mL、少なくとも65mg/mL、少なくとも70mg/mL、少なくとも75mg/mL、少なくとも80mg/mL、少なくとも85mg/mL、少なくとも90mg/mL、少なくとも95mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも105mg/mL、少なくとも110mg/mL、少なくとも115mg/mL、少なくとも120mg/mL、少なくとも125mg/mL、少なくとも130mg/mL、少なくとも135mg/mL、少なくとも140mg/mL、少なくとも150mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも250mg/mL、または少なくとも300mg/mLの濃度で存在し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、組成物は、治療される特定の適応症に必要な1つ以上の活性化合物、典型的には互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含む。このような追加の活性化合物は、意図する目的に有効な量で組み合わされて適切に存在する。
【0177】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載の抗体、TCR、および/またはCARを、緩衝剤、糖類、塩、界面活性剤、可溶化剤、ポリオール、希釈剤、結合剤、安定剤、塩、親油性溶媒、アミノ酸、キレート剤、防腐剤などを含むがこれらに限定されない、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(Goodman and
Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,12th edition,L.Brunton,et al.and Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.Ed.(1999))と混合することによって、所望の最終濃度の凍結乾燥組成物または水溶液の形態に調製される。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される用量および濃度でレシピエントに無毒であり、ヒスチジン、リン酸塩、クエン酸塩、グリシン、酢酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびトレハロース、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAのようなキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類、ナトリウムのような塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体)
、ならびに/またはTWEEN、ポリソルベート80、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、グリシン、または酢酸塩である。糖類賦形剤は、トレハロース、スクロース、マンニトール、マルトース、またはラフィノースであってもよい。界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート80、またはPluronic F68であってもよい。塩は、NaCl、KCl、MgCl2、またはCaCl2であってもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、組成物は、改善されたpH制御を提供する緩衝剤またはpH調節剤を含む。そのような組成物は、約3.0~約9.0、約4.0~約8.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約5.0~約6.5、約5.5~約8.0、約5.5~約7.0、または約5.5~約6.5のpHを有し得る。さらなる実施形態では、そのような組成物は、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、または約9.0のpHを有する。特定の実施形態では、組成物は、約6.0のpHを有する。当業者は、組成物のpHが、一般に、組成物中で使用される特定の抗体、TCR、またはCARの等電点と等しくあるべきではないことを理解する。典型的には、緩衝剤は、有機または無機の酸または塩基から調製された塩である。代表的な緩衝剤としては、これらに限定されないが、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、もしくはフタル酸の塩のような有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、またはリン酸塩緩衝液が挙げられる。さらに、アミノ酸成分も、緩衝能において機能することができる。組成物中で緩衝剤として利用され得る代表的なアミノ酸成分としては、グリシンおよびヒスチジンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、グリシン、および酢酸塩から選択される。特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジンである。別の特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸塩である。さらに別の特定の実施形態では、緩衝剤は、グリシンである。緩衝剤の純度は、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%でなければならない。本明細書で使用されるように、ヒスチジンおよびグリシンの文脈における「純度」という用語は、例えば、The Merck Index,13th ed.,O’Neil et al.ed.(Merck&Co.,2001)に記載されるように、当該技術分野で理解されるヒスチジンまたはグリシンの化学的純度を指す。
【0180】
特定の実施形態では、組成物は、緩衝剤としてヒスチジンを含む。特定の実施形態では、ヒスチジンは、組成物中に、少なくとも約1mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約20mM、少なくとも約30mM、少なくとも約40mM、少なくとも約50mM、少なくとも約75mM、少なくとも約100mM、少なくとも約150mM、または少なくとも約200mMのヒスチジンの濃度で存在する。別の実施形態では、組成物は、約1mM~約200mM、約1mM~約150mM、約1mM~約100mM、約1mM~約75mM、約10mM~約200mM、約10mM~約150mM、約10mM~約100mM、約10mM~約75mM、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約30mM、約20mM~約75mM、約20mM~約50mM、約20mM~約40mM、または約20mM~約30mMのヒスチジンを含む。さらなる実施形態では、組成物は、約1mM、約5mM、約10mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約150mM、または約200mMのヒスチジンを含む。特定の実施形態では、組成物は、約10mM、約25mMのヒスチジンを含むか、またはヒスチジンを含まない場合がある。
【0181】
いくつかの実施形態では、組成物は、炭水化物賦形剤を含む。炭水化物賦形剤は、例えば、増粘剤、安定剤、増量剤、可溶化剤などとして作用することができる。炭水化物賦形剤は、一般的には、約1重量%または体積%~約99重量%または体積%、例えば、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約5%、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、0.1%~20%、5%~15%、8%~10%、10%~15%、15%~20%、約0.1%~約5%、約5%~約10%、または約15%~約20%で存在する。さらに他の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、1%、または1.5%、または2%、または2.5%、または3%、または4%、または5%、または10%、または15%、または20%で存在する。
【0182】
いくつかの実施形態では、組成物は、炭水化物賦形剤を含む。組成物での使用に適した炭水化物賦形剤としては、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)などのアルジトールが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物での使用のための炭水化物賦形剤は、スクロース、トレハロース、ラクトース、マンニトール、およびラフィノースから選択される。特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、トレハロースである。別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、マンニトールである。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、スクロースである。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、ラフィノースである。炭水化物賦形剤の純度は、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%でなければならない。
【0183】
いくつかの実施形態では、組成物は、トレハロースを含む。特定の実施形態では、組成物は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約8%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%のトレハロースを含む。別の実施形態では、組成物は、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~約20%、約2%~約40%、約2%~約30%、約2%~約20%、約4%~約40%、約4%~約30%、または約4%~約20%のトレハロースを含む。さらなる実施形態では、組成物は、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、約15%、約20%、約30%、または約40%のトレハロースを含む。特定の実施形態では、組成物は、約4%、約6%、または約15%のトレハロースを含む。
【0184】
特定の実施形態では、組成物は、賦形剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、糖、塩、界面活性剤、アミノ酸、ポリオール、キレート剤、乳化剤、および保存剤から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、塩、例えば、NaCl、KCl、CaCl2、およびMgCl2から選択される塩を含む。特定の実施形態では、組成物は、NaClを含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸、例えば、リジン、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、またはアミノ酸塩を含む。組成物は、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約25mM、少なくとも約50mM、少なくとも約100mM、少なくとも約150mM、少なくとも約200mM、少なくとも約250mM、少なくとも約300mM、少なくとも約350mM、または少なくとも約400mMのアミノ酸を含み得る。別の実施形態では、組成物は、約1mM~約100mM、約10mM~約150mM、約25mM~約250mM、約25mM~約300mM、約25mM~約350mM、約25mM~約400mM、約50mM~約250mM、約50mM~約300m
M、約50mM~約350mM、約50mM~約400mM、約100mM~約250mM、約100mM~約300mM、約100mM~約400mM、約150mM~約250mM、約150mM~約300mM、または約150mM~約400mMのアミノ酸を含み得る。さらなる実施形態では、組成物は、約1mM、1.6mM、25mM、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、または約400mMのアミノ酸を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を含む。本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、両親媒性構造を有する有機物質を指す。すなわち、それらは反対の溶解性傾向の基、典型的には油溶性炭化水素鎖および水溶性イオン基からなる。界面活性剤は、界面活性部分の電荷に応じて、アニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤に分類することができる。界面活性剤は、生物学的材料の様々な薬学的組成物および調製物のための湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、および分散剤としてしばしば使用される。ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポリオキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パイミドプロピル-(paImidopropyl-)、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;メチルココイルタウリン酸ナトリウム、またはメチルオレイルタウリン酸二ナトリウム;ならびにMONAQUA(登録商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.,Paterson,N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、およびエチレンとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、PLURONICS(登録商標)PF68など)のような薬学的に許容される界面活性剤を、任意で組成物に添加して、凝集を低減することができる。特定の実施形態では、組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、またはポリソルベート80を含む。界面活性剤は、ポンプまたはプラスチック容器を使用して組成物を投与する場合に特に有用である。薬学的に許容される界面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する傾向を緩和する。組成物は、約0.001%~約1%、または約0.001%~約0.1%、または約0.01%~約0.1%の範囲の濃度であるポリソルベートを含み得る。他の特定の実施形態では、組成物は、0.001%、または0.002%、または0.003%、または0.004%、または0.005%、または0.006%、または0.007%、または0.008%、または0.009%、または0.01%、または0.015%、または0.02%の濃度であるポリソルベートを含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、組成物は、希釈剤、結合剤、安定剤、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどを含むが、これらに限定されない、他の賦形剤および/または添加物をさらに含む。薬学的に許容可能な賦形剤および/または添加剤は、本明細書で提供される組成物中で使用されてもよい。一般に使用される賦形剤/添加剤、例えば、薬学的に許容可能なキレート剤(例えばこれらに限らないが、EDTA、DTPAまたはEGTA)を、任意で組成物に加えて、凝集を減らすことができる。これらの添加剤は、ポンプまたはプラスチック容器を使用して組成物を投与する場合に特に有用である。
【0188】
いくつかの実施形態において、組成物は保存剤を含む。フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えばこれに限らないが、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサールまたはそれらの混合物などの保存剤は、約0.001%~約5%
の範囲、または該範囲内の任意の範囲または値の任意の好適な濃度で、任意で組成物に加えることができる。組成物中に使用される保存剤の濃度は、微生物効果を得るために十分な濃度である。そのような濃度は、選択された保存剤に依存しており、当業者によって容易に決定される。
【0189】
いくつかの実施形態において、組成物はヒト血液と等張であり、組成物はヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有する。このような等張組成物は、一般に、約250mOSm~約350mOSmの浸透圧を有する。等張性は、例えば、蒸気圧または凍結型浸透圧計を用いて測定することができる。組成物の張度は張性調整剤の使用によって調節される。「張度調節剤」は、組成物に加えて該組成物の等張性を提供することができる薬学的に許容可能な不活性物質である。本明細書で提供される組成物に適した張度調整剤としては、サッカリド、塩およびアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
特定の実施形態において、組成物は、発熱物質を含まず、エンドトキシンおよび/または関連する発熱物質を実質的に含まない。エンドトキシンには、微生物内部に閉じ込められた毒素が含まれ、微生物が分解または死んだ場合にのみ放出される。発熱物質にはまた、細菌および他の微生物の外膜由来の、発熱を引き起こす耐熱性物質もある。これらの物質はどちらも、ヒトに投与される場合、発熱、低血圧およびショックを引き起こす恐れがある。有害作用の可能性があるため、少量のエンドトキシンでも静脈内投与される医薬品溶液から除去されなければならない。米国食品医薬品局(「FDA」)は、静脈内薬剤投与の場合、1投与につき体重1キログラム当たり1時間以内に5エンドトキシン単位(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention,Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。目的のタンパク質(例えば、抗体)の場合のように、治療用タンパク質が体重1キログラムあたり数百または数千ミリグラムの量で投与される場合、有害で危険なエンドトキシンの痕跡量も除去されなければならない。いくつかの実施形態において、組成物中のエンドトキシンおよび発熱物質のレベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。
【0191】
インビボ投与に使用する場合、本明細書に記載の組成物は滅菌でなければならない。組成物は、滅菌濾過、放射線などを含む種々の滅菌方法によって滅菌することができる。特定の実施形態において、組成物は、予め滅菌した0.22ミクロンのフィルターで濾過滅菌する。注射用の滅菌組成物は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,(2005)に記載のように従来の薬学的実務に従って処方することができる。本明細書に開示されているような目的のタンパク質(例えば、抗体またはTCRまたはCAR)を含む組成物は、通常、凍結乾燥形態または溶液中に保存される。目的のタンパク質(例えば、抗体、TCRまたはCAR)を含む滅菌組成物を、滅菌取り出し口を有する容器、例えば皮下注射針で突き刺すことができるストッパーのように、組成物の回収を可能にするアダプターを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルに配置することが考えられる。特定の実施形態において、組成物は、予め充填された注射器として提供される。
【0192】
特定の実施形態において、組成物は凍結乾燥製剤である。用語「凍結乾燥」または「フリーズドライ」は、凍結乾燥などの乾燥手順に付された物質の状態を含み、少なくとも50%の水分が除去されている。
【0193】
選択された投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用し得る本明細書で提供される薬剤、および/または本明細書で提供される医薬組成物は、当業者に既知の従来の方法によ
って薬学的に許容可能な剤形に製剤される。
【0194】
治療法
特定の態様において、抗原結合タンパク質(例えば、完全ヒト抗体、TCRまたはCARのような本明細書に記載の抗体、TCRおよび/またはCAR)を対象に投与することを含む疾患または障害を治療する方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、抗体、TCRおよび/またはCARは、本明細書に記載の方法から得られる、または該方法を用いて(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物を用いて)得ることができる、抗体、TCRおよび/またはCARである。
【0195】
特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物から得られる、本明細書に記載の完全ヒト抗体、TCRまたはCARなどの本明細書に記載の抗体を含む医薬組成物)を対象に投与することを含む、対象の癌を治療する方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、任意の癌性または前癌性腫瘍を治療するために使用することができる。本明細書に記載の方法および組成物によって治療することができる癌として、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌または子宮の癌細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。種々の組織学的タイプの癌の非限定的な例としては、新生物(悪性);癌;癌(未分化);巨細胞癌および紡錘体細胞癌;小細胞癌;乳頭状癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛母癌;移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;ガストリン産生腫瘍(悪性);胆管癌;肝細胞癌;混合性肝細胞癌および胆管癌;小柱腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープの腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポージス;固形癌;カルチノイド腫瘍(悪性);細気管支肺胞性腺癌;乳頭状腺癌;嫌色素性癌;好酸癌;酸親和性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;卵胞腺癌;乳頭状および卵胞腺癌;非カプセル化硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂性腺癌;耳垢腺癌;粘液性類表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;ページェット病(乳房);腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生付腺癌;胸腺腫(悪性);卵巣間質性腫瘍(悪性);卵胞膜細胞腫(悪性);顆粒膜細胞腫(悪性);およびロバストマ(悪性);セルトリ細胞癌;ライディッヒ細胞腫(悪性);脂質細胞腫瘍(悪性);パラガングリオーマ(悪性);乳房外パラガングリオーマ(悪性);褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑(悪性);肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫(悪性);粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胚性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍(悪性);ミュラー混合腫瘍;腎芽腫;肝芽細胞腫;癌肉腫;間葉細胞腫(悪性);ブレンナー腫瘍(悪性);仮葉腫瘍(悪性);滑膜肉腫;中皮腫(悪性);未分化胚細胞腫;胎児性癌;奇形腫(悪性);卵巣甲状腺腫(悪性);絨毛癌;中腎腫(悪性);血管肉腫;血管内皮腫(悪性);カポジ肉腫;血管周囲細胞腫(悪性);リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫(悪性);間充織軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍(悪性);エナメル芽細胞歯肉腫;エナメル上皮腫(悪性);エナメル芽細胞線維肉腫;松果体腫(悪性);脊索腫;神経膠腫(悪性);上衣腫;星細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星細胞腫;神経膠星状芽細胞腫;グリア芽細胞腫;希突起膠細胞腫;乏突起神経膠芽細胞腫;初期神経外胚葉性;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫(悪性);神経線維肉腫;神経鞘腫(悪性);顆粒細胞腫(悪性);悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性リンパ腫(小リンパ球性);悪性リンパ腫(大細胞、びまん性);悪性リンパ腫(卵胞);菌状息肉腫;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸病;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球白血病;
肥胖細胞性白血病;巨核芽球白血病;骨髄肉腫;および毛様細胞性白血病が挙げられる。
【0196】
特定の実施形態において、対象に投与した医薬組成物中の抗体、TCRまたはCARは、癌関連抗原のエピトープ(例えば、治療中の癌によって発現されるエピトープ)に対する結合特異性を有する。癌関連抗原の例としては、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1A1、α-アクチニン-4、α-フェトプロテイン(「AFP」)、ARTC1、B-RAF、BAGE-1、BCLX(L)、BCR-ABL融合タンパク質b3a2、β-カテニン、BING-4、CA-125、CALCA、癌胎児性抗原(「CEA」)、CASP-5、CASP-8、CD274、CD45、Cdc27、CDK12、CDK4、CDKN2A、CEA、CLPP、COA-1、CPSF、CSNK1A1、CTAG1、CTAG2、サイクリンD1、サイクリン-A1、dek-can融合タンパク質、DKK1、EFTUD2、伸長因子2、ENAH(hMena)、Ep-CAM、EpCAM、EphA3,上皮性腫瘍抗原(「ETA」)、ETV6-AML1融合タンパク質、EZH2、FGF5、FLT3-ITD、FN1、G250/MN/CAIX、GAGE-1,2,8、GAGE-3,4,5,6,7、GAS7、グリピカン-3、GnTV、gp100/Pmel17、GPNMB、HAUS3、ヘプシン、HER-2/neu、HERV-K-MEL、HLA-A11、HLA-A2、HLA-DOB、hsp70-2、IDO1、IGF2B3、IL13Ralpha2、腸カルボキシルエステラーゼ、K-ras、カリクレイン4、KIF20A、KK-LC-1、KKLC1、KM-HN-1、KMHN1(別名CCDC110)、LAGE-1、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、Lengsin、M-CSF、MAGE-A1、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-C1、MAGE-C2、リンゴ酸酵素、マンマグロビン-A、MART2、MATN、MC1R、MCSP、mdm-2、ME1、メラン-A/MART-1、メロエ、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、ムチン、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン、ミオシンクラスI、N-raw、NA88-A、ネオ-PAP、NFYC、NY-BR-1、NY-ESO-1/LAGE-2、OA1、OGT、OS-9、Pポリペプチド、p53、PAP、PAX5、PBF、pml-RARα融合タンパク質、多形性上皮ムチン(「PEM」)、PPP1R3B、PRAME、PRDX5、PSA、PSMA、PTPRK、RAB38/NY-MEL-1、RAGE-1、RBAF600、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、SAGE、セセルニン1、SIRT2、SNRPD1、SOX10、Sp17、SPA17、SSX-2、SSX-4、STEAP1、サバイビン、SYT-SSX1または-SSX2融合タンパク質、TAG-1、TAG-2、テロメラーゼ、TGF-βRII、TPBG、TRAG-3、トリオースリン酸イソメラーゼ、TRP-1/gp75、TRP-2、TRP2-INT2、チロシナーゼ、チロシナーゼ(「TYR」)、VEGF、WT1、XAGE-1b/GAGED2aが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、抗原は新生抗原である。
【0197】
特定の実施形態において、ウイルス感染、真菌感染、細菌感染、蠕虫感染または原生動物感染などの感染症に罹患している対象を治療する方法であって、本明細書に記載の医薬組成物(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物から得られる本明細書に記載の抗体、TCRまたはCARを含む医薬組成物)を対象に投与することを含む、方法を本明細書で提供する。ウイルス性感染症の非限定的な例としては、HPV、HBV、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1およびHIV-2)などレトロウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)などヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、HSV-1およびHSV-2ならびにインフルエンザウイルスが挙げられる。寄生虫感染の非限定的な例には、マラリアがある。細菌性、真菌性および他の病原性疾患の非限定的な例としては、Aspergillus,Brugia,Candida,Chlamydia,Coccidia,Cryptococcus,Dirofilari
a,Gonococcus,Histoplasma,Leishmania,Mycobacterium,Mycoplasma,Paramecium,Pertussis,Plasmodium,Pneumococcus,Pneumocystis,Rickettsia,Salmonella,Shigella,Staphylococcus,Streptococcus,ToxoplasmaおよびVibriocholeraeが挙げられる。例示的な種としては、Neisseria gonorrhea,Mycobacterium tuberculosis,Candida albicans,Candida tropicalis,Trichomonas vaginalis,Haemophilus vaginalis,Group B Streptococcus sp.,Microplasma hominis,Hemophilus ducreyi,Granuloma inguinale,Lymphopathia venereum,Treponema pallidum,Brucella abortus.Brucella melitensis,Brucella suis,Brucella canis,Campylobacter fetus,Campylobacter fetus intestinalis,Leptospira pomona,Listeria monocytogenes,Brucella ovis,Chlamydia psittaci,Trichomonas
foetus,Toxoplasma gondii,Escherichia coli,Actinobacillus equuli,Salmonella abortus ovis,Salmonella abortus equi,Pseudomonas aeruginosa,Corynebacterium equi,Corynebacterium pyogenes,Actinobaccilus seminis,Mycoplasma bovigenitalium,Aspergillus fumigatus,Absidia ramosa,Trypanosoma equiperdum,Babesia caballi,Clostridium tetani,Clostridium botulinum;または、Paracoccidioides brasiliensisなどの真菌、または、Plasmodium falciparumなどの他の病原体が挙げられる。
【0198】
特定の実施形態において、対象に投与した医薬組成物中の抗体、TCRまたはCARは、感染性病原体によって発現される抗原のエピトープ(例えば、治療中の感染性病原体によって発現されるエピトープ)に対する結合特異性を有する。
【0199】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物(例えば、本明細書に記載の非ヒト動物から得られた本明細書に記載の抗体、TCRまたはCARを含む医薬組成物)を対象へ投与することを含む、炎症性疾患、皮膚または臓器移植拒絶反応、移植片対宿主疾患(GVHD)または自己免疫疾患を治療する方法を本明細書で提供する。例えば、自己免疫疾患の例として、糸球体腎炎、関節炎、拡張型心筋症様疾患、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、クローン病、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、多発硬化、乾癬、アレルギー性接触性皮膚炎、多発筋炎、強皮症、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、尋常性白斑、インスリン依存型糖尿病、ベーチェット病、橋本病、アジソン病、皮膚筋炎、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、貧血悪性熱、グッドパスチャー症候群、無菌性疾患、慢性活動性肝炎、天疱瘡、自己免疫血小板減少性紫斑病、および自己免疫溶血性貧血、活動性慢性肝炎、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫無酸症、腹腔疾患、クッシング症候群、皮膚筋炎、円板状狼瘡、エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、橋本甲状腺炎、特発性副腎萎縮症、特発性血小板減少症、インスリン依存型糖尿病、ランバート-イートン症候群、ルポイド肝炎、リンパ球減少症の一部の症例、混合型結合組織病、類天疱瘡、尋常天疱瘡、悪性貧血、水晶体起因性ブドウ膜炎、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫症候群、原発性胆汁性肝硬変症、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミ
ット症候群、限局性強皮症(またはクレスト症候群)、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺中毒症、B型インスリン抵抗症、潰瘍性大腸炎およびヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0200】
特定の実施形態において、対象に投与した医薬組成物中の抗体、TCRまたはCARは、治療中の疾患における自己反応性T細胞の標的(例えば、自己免疫疾患における自己反応性T細胞の標的となるエピトープ)に結合特異性を有する。自己反応性T細胞の標的となる、を含む、例示的なタンパク質として、例えば、p205、インシュリン、甲状腺刺激ホルモン、チロシナーゼ、TRP1およびミエリンが挙げられる。
【0201】
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の適切な投与経路によって送達されてもよく、例えばスプレーによる経口的、経鼻的な投与、粉末、軟膏または点滴による経直腸的、経膣的、非経口的、大槽内、および局所的な投与、口腔投与および舌下投与が挙げられる。特定の実施形態において、医薬組成物は、一般的に(例えば、経口または非経口投与によって)送達される。
【0202】
本明細書に記載の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者にとって有毒にならずに、特定の患者、組成物、および投与モードに対して所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分の量を得るように変化してもよい。
【0203】
選択された投与量レベルは、使用される特定の薬剤の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄または代謝速度、治療期間、その他治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学分野において周知の同様の要因を含む種々の要因に依存する。
【0204】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCARおよび/またはTCRは、T細胞ベースの治療に使用される。例えば、特定の実施形態において、本明細書に記載のCARおよび/またはTCRを発現するT細胞を対象に投与して、対象においてT細胞ベースの免疫応答を誘導する。T細胞ベースの治療に有用な方法は、例えば、Schumacher Nat.Rev.Immunol.2:512-519(2002)およびBitton et al,Frontiers in Bioscience 4:d386-393(1999)に記載されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0205】
いくつかの態様において、対象における免疫応答(例えば、T細胞ベースの免疫応答)を誘導する方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書に記載のCARまたはTCRを発現する細胞(例えば、CD4T細胞またはCD8T細胞などのヒトT細胞)を対象に投与することを含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、対象は、それを必要とする対象である。いくつかの実施形態において、対象は、癌を有する対象、または病原体に感染した対象である。このような実施形態において、CARまたはTCRによって認識されるペプチド/MHC複合体中のペプチドは、癌抗原のペプチドまたは感染性病原体によって発現される抗原由来のペプチドである。
【0207】
いくつかの態様において、対象における免疫応答を阻害する方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、方法は、記載されたCARまたはTCRを発現する調節性T細胞(例えば、CD4+、CD-25+、およびFoxp3+調節性T細胞またはTreg17T細胞)を対象に投与することを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、対象は、それを必要とする対象、例えば、自己免疫疾患
を有する対象である。このような実施形態において、T細胞は、調節性T細胞(すなわちサプレッサーT細胞)であり、TCRまたはCARによって認識されるペプチド/MHC複合体中のペプチドは、対象が自己免疫応答を受けている自己抗原である。
【0209】
核酸分子
本明細書に記載の抗体、TCRまたはCAR、および/または本明細書に記載の抗体、TCRおよびCARの一部をコードする核酸分子を本明細書で提供する。いくつかの実施形態において、核酸は、本明細書に記載の抗体、TCRまたはCARの可変ドメインをコードする。核酸分子は、例えば全細胞、細胞溶解物、または部分的に精製された、または実質的に純粋な形態に存在し得る。
【0210】
特定の態様において、本明細書に記載の抗体、TCRおよび/またはCARポリペプチドまたはその一部をコードする核酸を本明細書で提供する。核酸は、例えば、全細胞、細胞溶解物、または部分的に精製された、または実質的に純粋な形態に存在し得る。本明細書に記載の核酸は、標準的な分子生物学技術を用いて得ることができる。例えば、本明細書に記載の核酸分子は、標準的なPCR技術を使用してクローニングクローニングでき、または化学的に合成できる。ハイブリドーマによって発現されるCAR、TCRまたは抗体をコードする核酸については、標準的なPCR増幅またはcDNAクローニング技術によって、ハイブリドーマによって作製される抗体、TCRまたはCARの各鎖をコードするcDNAを得ることができる。
【0211】
特定の実施形態において、本明細書に記載の核酸分子を含有するベクターを本明細書で提供する。本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。ベクターの一タイプは、「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントに連結され得る環状二本鎖DNAループを意味する。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムに連結することができる。特定のベクター(例えば、細菌の複製起点およびエピソーム哺乳動物ベクターを有する細菌ベクター)は、それらが導入される宿主細胞において自律的複製が可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムと共に複製され得る。さらに、特定のベクターは、遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と呼ばれる。
【0212】
特定の実施形態において、本明細書に記載の核酸(例えば、本明細書に記載の抗体、TCRもしくはCARをコードする核酸、またはその一部をコードする核酸)を含有する細胞を本明細書で提供する。細胞は、例えば、原核生物、真核生物、哺乳動物、鳥類、マウスおよび/またはヒトであり得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の核酸は、プロモーターなどの転写制御エレメントに作動可能に連結される。いくつかの実施形態において、細胞は、本明細書に記載の核酸を転写し、それによって、抗体、その抗原結合断片または本明細書に記載のポリペプチドを発現する。核酸分子は、細胞のゲノムに組み込まれていてもよく、またはそれは染色体外であってもよい。
【0213】
本明細書で提供される核酸分子は、標準的な分子生物学技術を用いて得ることができる。例えば、本明細書に記載の核酸分子は、標準的なPCR技術を使用してクローニングクローニングでき、または化学的に合成できる。
【0214】
本明細書に記載の抗体およびCAR核酸については、VHおよびVLセグメントをコードするDNA断片が得られると、これらのDNA断片を標準的な組換えDNA技術によってさらに操作でき、例えば、可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、ま
たはscFv遺伝子に変換することができる。これらの操作において、VLまたはVHをコードするDNA断片は、抗体定常領域または可動性リンカーのような他のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。この文脈で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、2つのDNA断片が、その2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームに残るように、連結されているという意味を意図する。
【0215】
重鎖可変領域をコードする単離されたDNAは、重鎖定常領域(例えば、CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に重鎖可変領域DNAを作動可能に連結することによって、全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242,or Lefranc,The Immunoglobulin Handbook,London:Academic Press 2001を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、またはIgD定常領域であり得る。Fab断片重鎖遺伝子については、VHをコードするDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することができる。
【0216】
軽鎖可変領域をコードする単離されたDNAは、軽鎖定常領域をコードする別のDNA分子に、DNAをコードする軽鎖可変領域を作動可能に連結することによって、全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242,or Lefranc,The Immunoglobulin Handbook,London:Academic Press 2001を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であり得る。
【0217】
追加の例示的実施形態
例示的実施形態1において、ヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(hTdT)をコードする核酸配列をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0218】
例示的実施形態2において、hTdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態1に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0219】
例示的実施形態3において、転写制御エレメントが、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性hTdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態2に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0220】
例示的実施形態4において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメントおよび/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントからなる群から選択される、実施形態2に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0221】
例示的実施形態5において、非ヒト動物がプロB細胞および/またはプレB細胞中のhTdTを発現する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0222】
例示的実施形態6において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中のhTdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態2に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0223】
例示的実施形態7において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、実施形態2に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0224】
例示的実施形態8において、非ヒト動物がDN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中のhTdTを発現する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0225】
例示的実施形態9において、hTdTをコードする核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0226】
例示的実施形態10において、hTdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態1~9のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0227】
例示的実施形態11において、hTdTが構成的に発現されない、実施形態1~10のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0228】
例示的実施形態12において、動物内の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0229】
例示的実施形態13において、動物内の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態12に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0230】
例示的実施形態14において、動物内の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態12に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0231】
例示的実施形態15において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、および免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中に含む遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0232】
例示的実施形態16において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態15に記載
の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0233】
例示的実施形態17において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態15または16に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0234】
例示的実施形態18において、転写制御エレメントが、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態17に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0235】
例示的実施形態19において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメントおよび/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントからなる群から選択される、実施形態17に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0236】
例示的実施形態20において、非ヒト動物が、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態15~19のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0237】
例示的実施形態21において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態17に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0238】
例示的実施形態22において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、またはRAG2転写制御エレメントである、実施形態17に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0239】
例示的実施形態23において、非ヒト動物がDN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態15~22のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0240】
例示的実施形態24において、外因性TdTをコードする核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態15~23のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0241】
例示的実施形態25において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態15~24のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0242】
例示的実施形態に26おいて、外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態15~25のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0243】
例示的実施形態27において、動物内の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態15~26のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0244】
例示的実施形態28において、動物内の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態27に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0245】
例示的実施形態29において、動物内の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態27に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0246】
例示的実施形態30において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態15~26のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0247】
例示的実施形態31において、定常領域遺伝子が重鎖定常領域遺伝子である、実施形態30に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0248】
例示的実施形態32において、重鎖定常領域遺伝子がCμ遺伝子,Cδ遺伝子、Cγ遺伝子、Cε遺伝子、またはCα遺伝子である、実施形態31に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0249】
例示的実施形態33において、重鎖定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態31または32に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0250】
例示的実施形態34において、重鎖定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態31または32に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0251】
例示的実施形態35において、重鎖定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態31または32に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0252】
例示的実施形態36において、重鎖定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態31または32に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0253】
例示的実施形態37において、重鎖定常領域遺伝子がヒトCH1ドメインならびに非ヒトCH2およびCH3ドメインを有する、実施形態31または32に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0254】
例示的実施形態38において、非ヒトCH2およびCH3ドメインが内因性種由来のものである、実施形態37記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0255】
例示的実施形態39において、非ヒトCH2およびCH3ドメインがマウスCH2およびCH3ドメインである、実施形態37に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0256】
例示的実施形態40において、非ヒトCH2およびCH3ドメインがラットCH2およびCH3ドメインである、実施形態37に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0257】
例示的実施形態10において、IgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせから選択される免疫グロブリン重鎖定常領域において、動物が機能性CH1ドメインを欠いている、実施形態15~40に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0258】
例示的実施形態20において、免疫グロブリン可変領域および免疫グロブリン定常領域遺伝子が、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置する、実施形態31~41のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0259】
例示的実施形態43において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、非再編成ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態30~42のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0260】
例示的実施形態44において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態43に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0261】
例示的実施形態45において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態43に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0262】
例示的実施形態46において、第2の定常領域遺伝子が軽鎖定常領域遺伝子である、実施形態43~45のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0263】
例示的実施形態47において、第2の定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子である、実施形態46に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0264】
例示的実施形態48において、第2の定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子である、実施形態46に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0265】
例示的実施形態49において、第2の定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態43~48のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0266】
例示的実施形態50において、第2の定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態43~48のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0267】
例示的実施形態51において、第2の定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態43~48のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0268】
例示的実施形態52において、第2の定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態43~48のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0269】
例示的実施形態53において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、免疫グロブリン可変領域が内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、実施形態43~52のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0270】
例示的実施形態54において、第2の定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は免疫グロブリンκ遺伝子座である、実施形態53に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0271】
例示的実施形態55において、第2の定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子であり、内因
性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は免疫グロブリンλ遺伝子座である、実施形態53に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0272】
例示的実施形態56において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、再編成ヒト軽鎖可変領域(V/J)遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態30~42のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0273】
例示的実施形態57において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、再編成ヒト軽鎖可変領域(V/J)遺伝子セグメントが、Vκ1-39およびVκ3-20から選択されるVκ遺伝子セグメントを含み、Jκ遺伝子セグメントに再編成される、実施形態56に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0274】
例示的実施形態58において、動物が、Vκ1-39/Jκ5またはVκ3-20/Jκ1配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域をゲノム中に含む、実施形態57に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0275】
例示的実施形態59において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、限られたレパートリーのヒト軽鎖可変領域(VおよびJ)遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態30~42のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0276】
例示的実施形態60において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト軽鎖可変領域(VおよびJ)遺伝子セグメントの限られたレパートリーが、2つのV遺伝子セグメントおよび少なくとも2つ、好ましくは5つのJ遺伝子セグメントを含む、実施形態59に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0277】
例示的実施形態61において、2つのV遺伝子セグメントがVκ1-39およびVκ3-20遺伝子セグメントである、実施形態60に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0278】
例示的実施形態62において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態15~29のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0279】
例示的実施形態63において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態62に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0280】
例示的実施形態64において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態63に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0281】
例示的実施形態65において、定常領域遺伝子が軽鎖定常領域遺伝子である、実施形態62~64のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0282】
例示的実施形態66において、定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子である、実施形態65に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0283】
例示的実施形態67において、定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子である、実施形態6
5に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0284】
例示的実施形態68において、定常領域遺伝子が重鎖定常領域遺伝子である、実施形態62~64のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0285】
例示的実施形態69において、定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態62~68のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0286】
例示的実施形態70において、定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態62~68のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0287】
例示的実施形態71において、定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態62~68のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0288】
例示的実施形態72において、定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態62~68のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0289】
例示的実施形態73において、免疫グロブリン可変領域および免疫グロブリン定常領域遺伝子が内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、実施形態62~72のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0290】
例示的実施形態74において、定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンκ遺伝子座である、実施形態73に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0291】
例示的実施形態75において、定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンλ遺伝子座である、実施形態73に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0292】
例示的実施形態76において、免疫グロブリン可変領域がヒト由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態15~75のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0293】
例示的実施形態77において、免疫グロブリン可変領域が内因性種由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態15~75のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0294】
例示的実施形態78において、免疫グロブリン可変領域がマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態15~75のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0295】
例示的実施形態79において、免疫グロブリン可変領域がラット由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態15~75のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0296】
例示的実施形態80において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態15~79のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0297】
例示的実施形態81において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グ
ロブリン重鎖遺伝子座である、実施形態80に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0298】
例示的実施形態82において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態81に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0299】
例示的実施形態83において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態82に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0300】
例示的実施形態84において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態81に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0301】
例示的実施形態85において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCμ遺伝子の欠失を含む、実施形態84に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0302】
例示的実施形態86において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座である、実施形態80に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0303】
例示的実施形態87において、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態86に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0304】
例示的実施形態88において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態87に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0305】
例示的実施形態89において、内因性免疫グロブリンκ遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態86に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0306】
例示的実施形態90において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCκ遺伝子の欠失を含む、実施形態89に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0307】
例示的実施形態91において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座である、実施形態80に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0308】
例示的実施形態92において、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座が、内因性λ鎖遺伝子座のV-J-Cクラスターの少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態91に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0309】
例示的実施形態93において、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、B細胞発生中に再編成されて、非ヒト動物のB細胞中の再編成可変領域遺伝子を生成する、実施形態15~92のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0310】
例示的実施形態に94おいて、少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態93に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0311】
例示的実施形態に95おいて、少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態93に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0312】
例示的実施形態に96おいて、少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態93に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0313】
例示的実施形態97において、動物が、再編成可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、および定常領域遺伝子によってコードされる定常ドメインを含む、抗体を発現する、実施形態93~96のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0314】
例示的実施形態98において、機能的異所性マウスAdam6遺伝子をさらに含む、実施形態15~97のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0315】
例示的実施形態99において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、非再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物本明細書で提供する。
【0316】
例示的実施形態100において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態99に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0317】
例示的実施形態101において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態99または100に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0318】
例示的実施形態102において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態101に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0319】
例示的実施形態103において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、実施形態101に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0320】
例示的実施形態104において、非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態99~103のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0321】
例示的実施形態105において、外因性TdTをコードする核酸配列が、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態99~104のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0322】
例示的実施形態106において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態99~105のいずれか1つに記載の
遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0323】
例示的実施形態に107おいて、外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態99~106のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0324】
例示的実施形態108において、ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントがヒトTCRα可変領域遺伝子セグメントである、実施形態99~107のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0325】
例示的実施形態109において、ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントがヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントである、実施形態99~107のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0326】
例示的実施形態110において、TCR定常領域遺伝子がTCRα定常領域遺伝子である、実施形態99~108のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0327】
例示的実施形態111において、TCR定常領域遺伝子がTCRβ定常領域遺伝子である、実施形態99~107および109のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0328】
例示的実施形態112において、TCR定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態99~111のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0329】
例示的実施形態113において、TCR定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態99~111のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0330】
例示的実施形態114において、TCR定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態99~111のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0331】
例示的実施形態115において、TCR定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態99~111のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0332】
例示的実施形態116において、TCR可変領域およびTCR定常領域遺伝子が内因性TCR遺伝子座に位置する、実施形態99~115のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0333】
例示的実施形態117において、内因性TCR遺伝子座が内因性TCRα遺伝子座である、実施形態99~108、110、112~115のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0334】
例示的実施形態118において、内因性TCR遺伝子座がTCRβ遺伝子座である、実施形態99~107、109、111~115のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0335】
例示的実施形態119において、TCR可変領域がヒト由来のTCR可変領域遺伝子間
配列を含む、実施形態99~118のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0336】
例示的実施形態120において、TCR可変領域が内因性種由来のTCR可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態99~118のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0337】
例示的実施形態121において、不活性化内因性TCR遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態99~120のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0338】
例示的実施形態122において、不活性化内因性TCR遺伝子座がTCRα遺伝子座である、実施形態121に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0339】
例示的実施形態123において、不活性化内因性TCR遺伝子座がTCRβ遺伝子座である、実施形態121に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0340】
例示的実施形態124において、非再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントが、T細胞発生中に再編成されて、非ヒト動物のT細胞中の再編成TCR可変領域遺伝子を生成する、実施形態99~123のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0341】
例示的実施形態に125おいて、少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態124に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0342】
例示的実施形態に126おいて、少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態124に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0343】
例示的実施形態に127おいて、少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態124に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0344】
例示的実施形態128において、動物が、再編成TCR可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、およびTCR定常領域遺伝子によってコードされる定常ドメインを含む、TCRを発現する、実施形態124~127のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0345】
例示的実施形態129において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、非再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0346】
例示的実施形態130において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態129に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0347】
例示的実施形態131において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態129または130に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0348】
例示的実施形態132において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞
中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態131に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0349】
例示的実施形態133において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、実施形態131に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0350】
例示的実施形態134において、非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態131~132のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0351】
例示的実施形態135において、外因性TdTをコードする核酸配列が、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態129~134のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0352】
例示的実施形態136において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態129~135のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0353】
例示的実施形態に137おいて、外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態129~136のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0354】
例示的実施形態138において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態129~137のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0355】
例示的実施形態139において、ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントがκ遺伝子セグメントである、実施形態138に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0356】
例示的実施形態140において、ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントがλ遺伝子セグメントである、実施形態138に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0357】
例示的実施形態141において、動物内の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態138~140のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0358】
例示的実施形態142において、動物内の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態141に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0359】
例示的実施形態143において、動物内の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態141に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0360】
例示的実施形態144において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態129~137のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0361】
例示的実施形態145において、TCR定常領域遺伝子がTCRα定常領域遺伝子である、実施形態129~143のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0362】
例示的実施形態146において、免疫グロブリン可変領域およびTCRα定常領域遺伝子が内因性TCRα遺伝子座に位置する、実施形態145に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0363】
例示的実施形態147において、TCR定常領域遺伝子がTCRβ定常領域遺伝子である、実施形態144に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0364】
例示的実施形態148において、免疫グロブリン可変領域およびTCRβ定常領域遺伝子が内因性TCRβ遺伝子座に位置する、実施形態147に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0365】
例示的実施形態149において、TCR定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態129~148のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0366】
例示的実施形態150において、TCR定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態129~148のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0367】
例示的実施形態151において、TCR定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態129~148のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0368】
例示的実施形態152において、TCR定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態129~148のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0369】
例示的実施形態153において、免疫グロブリン可変領域がヒト由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態129~152のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0370】
例示的実施形態154において、免疫グロブリン可変領域が内因性種由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態141~152のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0371】
例示的実施形態155において、免疫グロブリン可変領域がマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態141~152のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0372】
例示的実施形態156において、免疫グロブリン可変領域がラット由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態141~152のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0373】
例示的実施形態157において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態141~155のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0374】
例示的実施形態158において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座である、実施形態157に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0375】
例示的実施形態159において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態158に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0376】
例示的実施形態160において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態159に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0377】
例示的実施形態161において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態158に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0378】
例示的実施形態162において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCμ遺伝子の欠失を含む、実施形態161に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0379】
例示的実施形態163において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座である、実施形態157に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0380】
例示的実施形態164において、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態163に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0381】
例示的実施形態165において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態164に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0382】
例示的実施形態166において、内因性免疫グロブリンκ遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態163に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0383】
例示的実施形態167において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCκ遺伝子の欠失を含む、実施形態164に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0384】
例示的実施形態168において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座である、実施形態157に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0385】
例示的実施形態169において、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座が、内因性λ鎖遺伝子座のV-J-Cクラスターの少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態168に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0386】
例示的実施形態170において、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメン
トが、T細胞発生中に再編成されて、非ヒト動物のT細胞中の再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子を生成する、実施形態129~169のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0387】
例示的実施形態に171おいて、少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態170に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0388】
例示的実施形態に172おいて、少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態170に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0389】
例示的実施形態に173おいて、少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態170に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0390】
例示的実施形態174において、動物が、再編成可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、およびTCR定常領域遺伝子によってコードされる定常ドメインを含む、キメラ抗原受容体を発現する、実施形態170~173のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0391】
例示的実施形態175において、非ヒト動物が哺乳動物である、実施形態1~174のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0392】
例示的実施形態176において、哺乳動物が齧歯類である、実施形態175に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0393】
例示的実施形態177において、齧歯類がラットまたはマウスである、実施形態176に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0394】
例示的実施形態178において、齧歯類がマウスである、実施形態176に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0395】
例示的実施形態179において、齧歯類がラットである、実施形態176に記載の遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0396】
例示的実施形態180において、ヒト可変ドメインを含む抗体の発現を誘導する方法であって、遺伝子改変非ヒト動物が抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を産生するように、実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露すること、を含む方法を本明細書で提供する。
【0397】
例示的実施形態181において、ヒト可変ドメインを含む抗体を発現するB細胞を作製する方法であって、(a)実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を発現するB細胞を得ることと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0398】
例示的実施形態182において、ヒト可変ドメインを含む抗体を発現するハイブリドーマを作製する方法であって、(a)実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を発現するB細胞を得ることと、(c)工程(b)のB細胞からハイブリドーマを作製することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0399】
例示的実施形態183において、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を
作製する方法であって、(a)実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0400】
例示的実施形態184において、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を作製する方法であって、(a)実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を発現するB細胞を得ることと、(c)工程(b)のB細胞からハイブリドーマを作製することと、(d)ハイブリドーマから抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0401】
例示的実施形態185において、ヒト可変ドメインおよびヒト定常ドメインを含む抗体を作製する方法であって、(a)実施形態97の遺伝子改変非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、(c)免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を宿主細胞中のヒト免疫グロブリン定常ドメインをコードする核酸に作動可能に連結することと、(d)宿主細胞が免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常ドメインを含むヒト抗体を発現するような条件下で、宿主細胞を培養することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0402】
例示的実施形態186において、抗原に特異的なヒト可変ドメインおよびヒト定常ドメインを含む抗体を作製する方法であって、(a)実施形態97の非ヒト動物を抗原に曝露することと、(b)非ヒト動物から抗原に特異的なヒト可変ドメインを含む抗体を発現するB細胞を得ることと、(c)工程(b)のB細胞からハイブリドーマを作製することと、(d)ハイブリドーマから抗原に特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を得ることと、(e)免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を宿主細胞中のヒト免疫グロブリン定常ドメインをコードする核酸に作動可能に連結することと、(f)宿主細胞が免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常ドメインを含むヒト抗体を発現するような条件下で、宿主細胞を培養することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0403】
例示的実施形態187において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態128の遺伝子改変非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0404】
例示的実施形態188において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞ハイブリドーマを作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態128の遺伝子改変非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、(c)工程(b)のT細胞からT細胞ハイブリドーマを作製することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0405】
例示的実施形態189において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒトT細胞受容体(TCR)可変ドメインをコードする核酸を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態128の非ヒト動物を曝露することと、(b)
(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、(c)T細胞からTCRのヒトTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0406】
例示的実施形態190において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト可変ドメインおよびヒト定常ドメインを有するT細胞受容体(TCR)を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態128の非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なTCRを発現するT細胞を得ることと、(c)T細胞からTCRのTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、(d)細胞がTCR可変ドメインおよびTCR定常ドメインを含むTCRを発現するように、TCR可変ドメインをコードする核酸を細胞中のTCR定常ドメインに作動可能に連結することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0407】
例示的実施形態191において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインおよび免疫グロブリン定常を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態174の遺伝子改変非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なCARを発現するT細胞を得ることと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0408】
例示的実施形態192において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒトTCR可変ドメインおよび免疫グロブリン定常ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞ハイブリドーマを作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態174の遺伝子改変非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なCARを発現するT細胞を得ることと、(c)工程(b)のT細胞からT細胞ハイブリドーマを作製することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0409】
例示的実施形態193において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態174の非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を得ることと、(c)T細胞からCARのヒトTCR可変ドメインをコードする核酸を単離することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0410】
例示的実施形態194において、MHC上に提示されるペプチドに特異的なヒト可変ドメインおよびヒト定常ドメインを有する抗体を作製する方法であって、(a)ペプチドが非ヒト動物のMHC上に提示されるように、ペプチドを含む抗原をコードするペプチドまたは核酸を含む抗原に対して実施形態174の非ヒト動物を曝露することと、(b)(a)の遺伝子改変非ヒト動物から、MHC上に提示されるペプチドに特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を得ることと、(c)T細胞からCARのヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を単離することと、(d)細胞がヒト免疫グロブリン可変ドメインおよびヒト免疫グロブリン定常ドメインを含む抗体を発現するように、ヒト免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸を細胞中のヒト免疫グロブリン定常ドメインに作動可能に連結することと、を含む方法を本明細書で提供する。
【0411】
例示的実施形態195において、非ヒト動物が哺乳動物である、実施形態180~194のいずれか1つに記載の方法を本明細書で提供する。
【0412】
例示的実施形態196において、哺乳動物が齧歯類である、実施形態195に記載の方法を本明細書で提供する。
【0413】
例示的実施形態197において、齧歯類がラットまたはマウスである、実施形態196に記載の方法を本明細書で提供する。
【0414】
例示的実施形態198において、実施形態180、185、186または194の方法に従って産生された抗体を本明細書で提供する。
【0415】
例示的実施形態199において、実施形態181、187、または191の方法に従って産生された細胞を本明細書で提供する。
【0416】
例示的実施形態200において、実施形態182、188、または192の方法に従って産生されたハイブリドーマを本明細書で提供する。
【0417】
例示的実施形態201において、実施形態183、184、189、または193の方法に従って産生された核酸を本明細書で提供する。
【0418】
例示的実施形態202において、ヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(hTdT)をコードする核酸配列をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0419】
例示的実施形態203において、hTdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態202に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0420】
例示的実施形態204において、転写制御エレメントが、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性hTdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態203に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0421】
例示的実施形態205において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメントおよび/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントからなる群から選択される、実施形態203に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0422】
例示的実施形態206において、非ヒト動物がプロB細胞および/またはプレB細胞中のhTdTを発現する、実施形態202~204のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0423】
例示的実施形態207において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性hTdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態203に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0424】
例示的実施形態208において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント
、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、実施形態203に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0425】
例示的実施形態209において、ES細胞由来の非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中のhTdTを発現する、実施形態202~207のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0426】
例示的実施形態210において、hTdTをコードする核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態202~209のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0427】
例示的実施形態211において、hTdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態202~210のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0428】
例示的実施形態212において、非ヒト動物ES細胞由来の非ヒト動物において、hTdTが構成的に発現されない、実施形態202~211のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0429】
例示的実施形態213において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態202~212のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0430】
例示的実施形態214において、ES細胞由来の動物の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態213に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0431】
例示的実施形態215において、ES細胞由来の動物の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態213に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0432】
例示的実施形態216において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、および免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0433】
例示的実施形態217において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態216に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0434】
例示的実施形態218において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態216または217に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0435】
例示的実施形態219において、転写制御エレメントが、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態218に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0436】
例示的実施形態220において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、免疫グロブリン重鎖転写制御エレメント、免疫グロブリンκ軽鎖転写制御エレメントおよび/または免疫グロブリンλ軽鎖転写制御エレメントからなる群から選択される、実施形態218に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0437】
例示的実施形態221において、ES細胞由来の非ヒト動物が、プロB細胞および/またはプレB細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態216~220のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0438】
例示的実施形態222において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態218に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0439】
例示的実施形態223において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、またはRAG2転写制御エレメントである、実施形態218に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0440】
例示的実施形態224において、ES細胞由来の非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態216~223のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0441】
例示的実施形態225において、外因性TdTをコードする核酸配列が、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座、免疫グロブリン重鎖遺伝子座、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態216~224のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0442】
例示的実施形態226において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態216~225のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0443】
例示的実施形態227において、ES細胞由来の非ヒト動物において、外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態216~226のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0444】
例示的実施形態228において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態216~227のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0445】
例示的実施形態229において、動物内の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態228に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0446】
例示的実施形態230において、動物内の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態228に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0447】
例示的実施形態231において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態216~227のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0448】
例示的実施形態232において、定常領域遺伝子が重鎖定常領域遺伝子である、実施形態231に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0449】
例示的実施形態233において、重鎖定常領域遺伝子がCμ遺伝子,Cδ遺伝子、Cγ遺伝子、Cε遺伝子、またはCα遺伝子である、実施形態232に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0450】
例示的実施形態234において、重鎖定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態232または233に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0451】
例示的実施形態235において、重鎖定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態232または233に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0452】
例示的実施形態236において、重鎖定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態232または233に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0453】
例示的実施形態237において、重鎖定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態232または233に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0454】
例示的実施形態238において、重鎖定常領域遺伝子がヒトCH1ドメインならびに非ヒトCH2およびCH3ドメインを有する、実施形態232または233に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0455】
例示的実施形態239において、非ヒトCH2およびCH3ドメインが内因性種由来のものである、実施形態238記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0456】
例示的実施形態240において、非ヒトCH2およびCH3ドメインがマウスCH2およびCH3ドメインである、実施形態238に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0457】
例示的実施形態241において、非ヒトCH2およびCH3ドメインがラットCH2およびCH3ドメインである、実施形態238に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0458】
例示的実施形態242において、IgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせから選択される免疫グロブリン重鎖定常領域において、動物が機能性CH1ドメインを欠いている、実施形態216~241に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0459】
例示的実施形態243において、免疫グロブリン可変領域および免疫グロブリン定常領域遺伝子が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に位置する、実施形態232~242のい
ずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0460】
例示的実施形態244において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、非再編成ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態231~243のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0461】
例示的実施形態245において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態244に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0462】
例示的実施形態246において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、ヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態244に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0463】
例示的実施形態247において、第2の定常領域遺伝子が軽鎖定常領域遺伝子である、実施形態244~246のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0464】
例示的実施形態248において、第2の定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子である、実施形態247に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0465】
例示的実施形態249において、第2の定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子である、実施形態247に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0466】
例示的実施形態250において、第2の定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態244~249のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0467】
例示的実施形態251において、第2の定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態244~249のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0468】
例示的実施形態252において、第2の定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態244~249のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0469】
例示的実施形態253において、第2の定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態244~249のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0470】
例示的実施形態254において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、免疫グロブリン可変領域および第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子が、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、実施形態244~253のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0471】
例示的実施形態255において、第2の定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンκ遺伝子座である、実施形態254に
記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0472】
例示的実施形態256において、第2の定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンλ遺伝子座である、実施形態254に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0473】
例示的実施形態257において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、再編成ヒト軽鎖可変領域(V/J)遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態231~243のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0474】
例示的実施形態258において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、再編成ヒト軽鎖可変領域(V/J)遺伝子セグメントが、Vκ1-39およびVκ3-20から選択されるVκ遺伝子セグメントを含み、Jκ遺伝子セグメントに再編成される、実施形態257に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0475】
例示的実施形態259において、動物が、Vκ1-39/Jκ5またはVκ3-20/Jκ1配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域をゲノム中に含む、実施形態258に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0476】
例示的実施形態260において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、限定的なレパートリーのヒト軽鎖可変領域(VおよびJ)遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中にさらに含む、実施形態231~243のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0477】
例示的実施形態261において、第2の免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、ヒト軽鎖可変領域(VおよびJ)遺伝子セグメントの限定的なレパートリーが、2つのV遺伝子セグメントおよび少なくとも2つ、好ましくは5つのJ遺伝子セグメントを含む、実施形態260に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0478】
例示的実施形態262において、2つのV遺伝子セグメントがVκ1-39およびVκ3-20遺伝子セグメントである、実施形態261に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0479】
例示的実施形態263において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態216~230のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0480】
例示的実施形態264において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒトκ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態263に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0481】
例示的実施形態265において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒトλ鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態263に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0482】
例示的実施形態266において、定常領域遺伝子が軽鎖定常領域遺伝子である、実施形態263~265のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提
供する。
【0483】
例示的実施形態267において、定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子である、実施形態266に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0484】
例示的実施形態268において、定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子である、実施形態266に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0485】
例示的実施形態269において、定常領域遺伝子が重鎖定常領域遺伝子である、実施形態263~265のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0486】
例示的実施形態270において、定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態263~269のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0487】
例示的実施形態271において、定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態263~269のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0488】
例示的実施形態272において、定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態263~269のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0489】
例示的実施形態273において、定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態263~269のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0490】
例示的実施形態274において、免疫グロブリン可変領域および免疫グロブリン定常領域遺伝子が内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に位置する、実施形態263~273のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0491】
例示的実施形態275において、定常領域遺伝子がκ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンκ遺伝子座である、実施形態274に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0492】
例示的実施形態276において、定常領域遺伝子がλ定常領域遺伝子であり、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が免疫グロブリンλ遺伝子座である、実施形態274に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0493】
例示的実施形態277において、免疫グロブリン可変領域がヒト由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態216~276のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0494】
例示的実施形態278において、免疫グロブリン可変領域が内因性種由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態216~276のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0495】
例示的実施形態279において、免疫グロブリン可変領域がマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態216~276のいずれか1つに記載の遺伝子
改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0496】
例示的実施形態280において、免疫グロブリン可変領域がラット由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態216~276のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0497】
例示的実施形態281において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態216~280のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0498】
例示的実施形態282において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座である、実施形態281に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0499】
例示的実施形態283において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態282に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0500】
例示的実施形態284において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態283に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0501】
例示的実施形態285において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態282に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0502】
例示的実施形態286において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCμ遺伝子の欠失を含む、実施形態285に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0503】
例示的実施形態287において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座である、実施形態281に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0504】
例示的実施形態288において、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態287に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0505】
例示的実施形態289において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態288に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0506】
例示的実施形態290において、内因性免疫グロブリンκ遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態287に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0507】
例示的実施形態291において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCκ遺伝子の欠失を含む、実施形態290に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0508】
例示的実施形態292において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座である、実施形態281に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0509】
例示的実施形態293において、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座が、内因性λ鎖遺伝子座のV-J-Cクラスターの少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態292に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0510】
例示的実施形態294において、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、B細胞発生中に再編成されて、ES細胞由来の非ヒト動物のB細胞中の再編成可変領域遺伝子を生成する、実施形態216~293のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0511】
例示的実施形態295において、非ヒト動物内の少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態294に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0512】
例示的実施形態296において、非ヒト動物内の少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態294に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0513】
例示的実施形態297において、非ヒト動物内の少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態294に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0514】
例示的実施形態298において、ES細胞由来の動物が、再編成可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、および定常領域遺伝子によってコードされる定常ドメインを含む、抗体を発現する、実施形態294~297のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0515】
例示的実施形態299において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、非再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0516】
例示的実施形態300において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態299に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0517】
例示的実施形態301において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態299または300に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0518】
例示的実施形態302において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態301に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0519】
例示的実施形態303において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、
実施形態301に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0520】
例示的実施形態304において、ES細胞由来の非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態299~303のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0521】
例示的実施形態305において、外因性TdTをコードする核酸配列が、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態299~304のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0522】
例示的実施形態306において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態299~305のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0523】
例示的実施形態307において、ES細胞由来の非ヒト動物によって外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態299~306のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0524】
例示的実施形態308において、ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントがヒトTCRα可変領域遺伝子セグメントである、実施形態299~307のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0525】
例示的実施形態309において、ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントがヒトTCRβ可変領域遺伝子セグメントである、実施形態299~307のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0526】
例示的実施形態310において、TCR定常領域遺伝子がTCRα定常領域遺伝子である、実施形態299~308のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0527】
例示的実施形態311において、TCR定常領域遺伝子がTCRβ定常領域遺伝子である、実施形態299~307および309のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0528】
例示的実施形態312において、TCR定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態299~311のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0529】
例示的実施形態313において、TCR定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態299~311のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0530】
例示的実施形態314において、TCR定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態299~311のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0531】
例示的実施形態315において、TCR定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態299~311のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0532】
例示的実施形態316において、TCR可変領域およびTCR定常領域遺伝子が内因性TCR遺伝子座に位置する、実施形態299~315のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0533】
例示的実施形態317において、内因性TCR遺伝子座が内因性TCRα遺伝子座である、実施形態299~308、310、313~315のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0534】
例示的実施形態318において、内因性TCR遺伝子座がTCRβ遺伝子座である、実施形態299~307、309、311~315のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0535】
例示的実施形態319において、TCR可変領域がヒト由来のTCR可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態299~318のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0536】
例示的実施形態320において、TCR可変領域が内因性種由来のTCR可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態299~318のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0537】
例示的実施形態321において、不活性化内因性TCR遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態299~320のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0538】
例示的実施形態322において、不活性化内因性TCR遺伝子座がTCRα遺伝子座である、実施形態321に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0539】
例示的実施形態323において、不活性化内因性TCR遺伝子座がTCRβ遺伝子座である、実施形態321に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0540】
例示的実施形態324において、非再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントが、T細胞発生中に再編成されて、ES細胞由来の非ヒト動物のT細胞中の再編成TCR可変領域遺伝子を生成する、実施形態299~323のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0541】
例示的実施形態325において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態324に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0542】
例示的実施形態326において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態324に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0543】
例示的実施形態327において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態324に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0544】
例示的実施形態328において、ES細胞由来の動物が、再編成TCR可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、およびTCR定常領域遺伝子によってコードされる
定常ドメインを含む、TCRを発現する、実施形態324~327のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0545】
例示的実施形態329において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域をゲノム中に含む、遺伝子改変非ヒト動物を本明細書で提供する。
【0546】
例示的実施形態330において、外因性TdTがヒトTdTである、実施形態329に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0547】
例示的実施形態331において、外因性TdTをコードする核酸配列が転写制御エレメントに作動可能に連結される、実施形態329または330に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0548】
例示的実施形態332において、転写制御エレメントが、CD4/CD8ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞および/またはCD4/CD8ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞中の外因性TdTをコードする核酸配列の発現を駆動する、実施形態331に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0549】
例示的実施形態333において、転写制御エレメントが、RAG1転写制御エレメント、RAG2転写制御エレメント、TCRα転写制御エレメント、TCRβ転写制御エレメント、TCRγ転写制御エレメントおよび/またはTCRδ転写制御エレメントである、実施形態331に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0550】
例示的実施形態334において、ES細胞由来の非ヒト動物が、DN胸腺細胞および/またはDP胸腺細胞中の外因性TdTを発現する、実施形態331~333のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0551】
例示的実施形態335において、外因性TdTをコードする核酸配列が、RAG1遺伝子座、RAG2遺伝子座、TCRα鎖遺伝子座、TCRβ鎖遺伝子座、TCRγ鎖遺伝子座および/またはTCRδ鎖遺伝子座に位置する、実施形態331~334のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0552】
例示的実施形態336において、外因性TdTをコードする核酸配列が構成的な転写制御エレメントに作動可能に連結されない、実施形態331~335のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0553】
例示的実施形態337において、ES細胞由来の非ヒト動物において、外因性TdTが構成的に発現されない、実施形態331~336のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0554】
例示的実施形態338において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態331~337のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0555】
例示的実施形態339において、ES細胞由来の非ヒト動物の少なくとも10%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態338に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0556】
例示的実施形態340において、動物内の少なくとも20%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態339に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0557】
例示的実施形態341において、動物内の少なくとも40%のV-J免疫グロブリン軽鎖接合が非鋳型付加を含む、実施形態339に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0558】
例示的実施形態342において、ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントがκ遺伝子セグメントである、実施形態338~341のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0559】
例示的実施形態343において、ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントがλ遺伝子セグメントである、実施形態338~341のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0560】
例示的実施形態344において、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントがヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントである、実施形態331~337のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0561】
例示的実施形態345において、TCR定常領域遺伝子がTCRα定常領域遺伝子である、実施形態331~343のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0562】
例示的実施形態346において、免疫グロブリン可変領域およびTCRα定常領域遺伝子が内因性TCRα遺伝子座に位置する、実施形態345に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0563】
例示的実施形態347において、TCR定常領域遺伝子がTCRβ定常領域遺伝子である、実施形態344に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0564】
例示的実施形態348において、免疫グロブリン可変領域およびTCRβ定常領域遺伝子が内因性TCRβ遺伝子座に位置する、実施形態347に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0565】
例示的実施形態349において、TCR定常領域遺伝子が内因性種由来のものである、実施形態331~344のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0566】
例示的実施形態350において、TCR定常領域遺伝子がマウス定常領域遺伝子である、実施形態331~348のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0567】
例示的実施形態351において、TCR定常領域遺伝子がラット定常領域遺伝子である、実施形態331~348のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0568】
例示的実施形態352において、TCR定常領域遺伝子がヒト定常領域遺伝子である、実施形態331~348のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0569】
例示的実施形態353において、免疫グロブリン可変領域がヒト由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態331~352のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0570】
例示的実施形態354において、免疫グロブリン可変領域が内因性種由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態340~352のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0571】
例示的実施形態355において、免疫グロブリン可変領域がマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態341~352のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0572】
例示的実施形態356において、免疫グロブリン可変領域がラット由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子間配列を含む、実施形態341~352のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0573】
例示的実施形態357において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座をゲノム中にさらに含む、実施形態341~356のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0574】
例示的実施形態358において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座である、実施形態357に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0575】
例示的実施形態359において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態358に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0576】
例示的実施形態360において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝子セグメントの欠失を含む、実施形態359に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0577】
例示的実施形態361において、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、内因性重鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態358に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0578】
例示的実施形態362において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCμ遺伝子の欠失を含む、実施形態361に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0579】
例示的実施形態363において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座である、実施形態357に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0580】
例示的実施形態364において、内因性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の可変領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態363に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0581】
例示的実施形態365において、可変領域の少なくとも一部の欠失が可変領域のJ遺伝
子セグメントの欠失を含む、実施形態364に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0582】
例示的実施形態366において、内因性免疫グロブリンκ遺伝子座が、内因性κ鎖遺伝子座の定常領域の少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態365に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0583】
例示的実施形態367において、定常領域の少なくとも一部の欠失が定常領域のCκ遺伝子の欠失を含む、実施形態366に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0584】
例示的実施形態368において、不活性化内因性免疫グロブリン遺伝子座が内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座である、実施形態357に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0585】
例示的実施形態369において、内因性免疫グロブリンλ鎖遺伝子座が、内因性λ鎖遺伝子座のV-J-Cクラスターの少なくとも一部の欠失により不活性化される、実施形態368に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0586】
例示的実施形態370において、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントが、T細胞発生中に再編成されて、ES細胞由来の非ヒト動物のT細胞中の再編成免疫グロブリン可変領域遺伝子を生成する、実施形態331~369のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0587】
例示的実施形態371において、ES細胞由来の非ヒト動物において、少なくとも10%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態370に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0588】
例示的実施形態372において、ES細胞由来の非ヒト動物において、少なくとも20%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態370に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0589】
例示的実施形態373において、ES細胞由来の非ヒト動物において、少なくとも40%の再編成可変領域遺伝子が非鋳型付加を含む、実施形態370に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0590】
例示的実施形態374において、ES細胞に由来する非ヒト動物が、再編成可変領域遺伝子によってコードされる可変ドメイン、およびTCR定常領域遺伝子によってコードされる定常ドメインを含む、キメラ抗原受容体を発現する、実施形態370~372のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0591】
例示的実施形態375において、機能的異所性マウスAdam6遺伝子をさらに含む、実施形態202~374のいずれか1つに記載の遺伝子改変ES細胞を本明細書で提供する。
【0592】
例示的実施形態376において、非ヒト動物が哺乳動物である、実施形態202~375のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0593】
例示的実施形態377において、哺乳動物が齧歯類である、実施形態376に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0594】
例示的実施形態378において、齧歯類がラットまたはマウスである、実施形態377に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0595】
例示的実施形態379において、齧歯類がマウスである、実施形態377に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0596】
例示的実施形態380において、齧歯類がラットである、実施形態377に記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を本明細書で提供する。
【0597】
例示的実施形態381において、実施形態202~380のいずれか1つに記載の遺伝子改変非ヒト動物ES細胞を使用することを含む、遺伝子改変非ヒト動物を作製する方法を本明細書で提供する。
【0598】
例示的実施形態382において、ヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(hTdT)をコードする核酸配列を生殖系列中に含むように非ヒト動物を操作することを含む遺伝子改変を含む、非ヒト動物を作製する方法を本明細書で提供する。
【0599】
例示的実施形態383において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、および免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域を生殖系列中に含むように非ヒト動物を操作することを含む遺伝子改変を含む、非ヒト動物を作製する方法を本明細書で提供する。
【0600】
例示的実施形態385において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒトTCR可変領域遺伝子セグメントを含むT細胞受容体(TCR)可変領域を生殖系列中に含むように非ヒト動物を操作することを含む遺伝子改変を含む、非ヒト動物を作製する方法を本明細書で提供する。
【0601】
例示的実施形態386において、外因性ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)をコードする核酸配列、およびTCR定常領域遺伝子に作動可能に連結される、未再編成ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む免疫グロブリン可変領域を生殖系列中に含むように非ヒト動物を操作することを含む遺伝子改変を含む、非ヒト動物を作製する方法を本明細書で提供する。
【0602】
例示的実施形態387において、非ヒト動物が哺乳動物である、実施形態382~385のいずれか1つに記載の方法を本明細書で提供する。
【0603】
例示的実施形態388において、哺乳動物が齧歯類である、実施形態386に記載の方法を本明細書で提供する。
【0604】
例示的実施形態389において、齧歯類がラットまたはマウスである、実施形態387に記載の方法を本明細書で提供する。
【0605】
例示的実施形態390において、齧歯類がマウスである、実施形態387に記載の方法を本明細書で提供する。
【実施例】
【0606】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。これらの実施例は、本
発明の理解を助けるために記載されているが、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。実施例は、当業者に周知である従来の方法(分子クローニング技術など)の詳細な記載を含まない。特記しない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏で示され、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
【0607】
実施例1:ヒトTdTを発現するマウスの作製
ランダム導入遺伝子としてのまたは免疫グロブリンκ遺伝子座に標的化されたかのいずれかのヒトTdT遺伝子を含むマウスは、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuela,D.M.,et al.(2003)High-throughput engineering
of the mouse genome coupled with high-resolution expression analysis.Nat.Biotech.21(6):652-659参照)を用いて作製され、そこでは細菌相同組換えを用いたBACライブラリーに由来するヒト配列を用いて、ヒトTdT遺伝子座のゲノム断片を含む、TdTがIgK遺伝子座に標的化される場合には、マウスES細胞においてLTVECをIgK遺伝子座に標的化するターゲティングアームに隣接する、大きなターゲティングベクター(LTVEC)が作製される。LTVECは、Valenzuela et alに従って線状化され、マウスES細胞系に電気穿孔される。ES細胞は、TAQMAN(登録商標)によってスクリーニングされ、遺伝子コピー数(ランダムに組み込まれた導入遺伝子)またはIgK遺伝子座への正しいターゲティングのいずれかが決定される。
【0608】
あるいは、短いアイソフォームヒトTdT(TdTS)cDNAは、デノボ合成され(Blue Heron Bio)、上記のようにES細胞への導入のためのターゲティングに組み込まれる。
【0609】
標的化されたES細胞クローンは、VELOCIMOUSE(登録商標)法(Poueymirou,W.T.(2007)によって8細胞期(またはそれ以前の)マウス胚に導入される。即座の表現型分析を可能にする遺伝子標的化胚性幹細胞から完全に誘導されたF0世代マウス(Nat.Biotech.25:91-99)。ヒトTdT遺伝子座を有するVELOCIMICE(登録商標)(ドナーES細胞から完全に誘導されたF0マウス)は、ヒト対立遺伝子アッセイのゲインにおけるTAQMAN(登録商標)によるスクリーニングによって同定される(Valenzuela et al.)。F0仔は遺伝子型が決定され、ホモ接合体に繁殖させる。ヒトTdT遺伝子座についてホモ接合性のマウスが作製され、表現型が決定される。以下の実施例1に具体的に記載されるように、ヒトTdTSならびに未再編成ヒト可変軽鎖および重鎖遺伝子座を含むマウスは、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいて、ヒトTdTSランダム導入遺伝子を導入またはヒトTdTSをIgK遺伝子座にターゲティングすることによって作製される。しかしながら、少なくともランダムに導入されたヒトTdTS導入遺伝子について、このような動物は、以下に記載するヒトTdTSを含むES細胞をまず作製し、それからマウスを作製し、ランダムに組み込まれたヒトTdTS遺伝子座を含むマウスを機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスと繁殖させることによって作製することもできる。
【0610】
実施例1.1.マウスラグ調節エレメント(Rag-TdT tg)の制御下でのヒトTdTの短いアイソフォーム(TdTS)を発現する導入遺伝子の作製
簡潔には、
図1に詳細に示される大きなターゲティングベクター(LTVEC)は、マウスRag2遺伝子(エクソン3のATG開始コドンからエクソン3のTGA終止コドンまで)が、短いアイソフォーム、TdTS(エクソン1のATG開始コドンからエクソン
13のポリAシグナルの約0.5kb 3’まで)のみをコードするヒトターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdTまたはDNTT)遺伝子で置換された、マウスおよびヒトBACクローンから構築した。TdTエクソン7および12のRNAスプライス部位を突然変異させて、長いアイソフォーム(TdTL1およびL2)の発現を防止した。同じLTVECにおいて、エクソン2のATG開始コドンからエクソン2のTAA終止コドンまでのマウスRag1遺伝子を、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)およびLacZ 3’UTR-polyAシグナルのコード配列で置換した。LTVECは、130kbのマウスRag2遺伝子の上流調節配列5’および8.8kbのマウスRag1遺伝子の上流調節配列3’、ならびに5.6kbのRag2-Rag1遺伝子間領域を含む。
【0611】
LTVECは、Rag2およびRag1遺伝子を含むマウスBACクローンRP23-374f10(Invitrogen/Life Technologies)、ならびにTdT遺伝子を含むヒトBACクローンRP11-1070o2(Invitrogen/Life Technologies)から、標準分子生物学およびPCR、制限消化/ライゲーション、Gibson Isothermal Assembly、CRISPR/Cas9、細菌相同組換えなどの組換工学技術を用いて構築した。最終的なLTVECは、5’~3’まで、(1)ES細胞または細菌における選択のためのLoxp-pgkp-em7-neo-loxpカセット、(2)Rag2エクソン1の129,440bp上流で始まり、Rag2エクソン3の開始から25bpで終わる、134,069bpのマウスゲノム配列(GRCm38アセンブリに基づくマウスゲノム座標2:101,495,278-101,629,347)、(3)エクソン1のATG開始コドンで始まり、ポリAシグナルの514bpの3’で終わる、34,573bpのヒトTdTゲノム配列(GRCh38アセンブリに基づくヒトゲノム座標10:96,304,498-96,339,063)(ヒトTdT遺伝子内では、エクソン7のスプライスドナー部位を欠失させ、NotI部位により置換し、TdTL2アイソフォームの発現を防止し、エクソン12のスプライス受容部位を欠失させ、TdTL1アイソフォーム(以下に詳述)の発現を防止する)、(4)AsiSI部位、(5)Rag2エクソン3の3’UTR(1599bp)、5753bpのRag2/Rag1遺伝子間領域、およびRag1エクソン2の3’UTR(3390bp)を含む10,742bpのマウスゲノム配列(GRCm38ゲノム座標2:101,630,931-101,641,672)、(6)FseI部位、(7)249bpのLacZのポリAシグナルおよび793bpのEGFPのCDSを含むマイナス鎖上の1,068bp、(8)Rag1エクソン2のATG開始コドンで始まり、Rag1の転写開始部位の8,750bpの3’で終わる、マイナス鎖上のRag1を含む13,459bpのマウスゲノム配列(GRCm38座標2:101,644,793-101,658,251)、ならびに(9)細菌における選択のためのEm7-CMカセットを含む(
図1参照)。
【0612】
詳細には、短いアイソフォームTdTSをコードする転写物のスプライシングを依然として可能にしながら、(それぞれ長いアイソフォームTdTL2およびTdTL1を作製するために使用される)TdTエクソン7および12を用いた選択的スプライシングを防止するTdT遺伝子の2つの改変を作製するためのクローニングステップは、BHRおよびライゲーションを用いてBACクローンRP11-1070o2から構築した:
(1)エクソン7のスプライスドナー部位を含む13bp(GTCGGGTCGTGGT(配列番号1))、スプライスドナー下線)を欠失させ、NotI部位(GCGGCCGC(配列番号2))で置換した。これにより重複するSacII部位(CCGCGG(配列番号3))が形成され、
(2)エクソン12の2bpスプライス受容部位を欠失させた。
【0613】
最終的なLTVECを
図1に示し、様々な配列接合のおよその位置を図示する。接合も
以下の表1にまとめる。
【表1】
【0614】
最終的なLTVECを線状化し、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)ES細胞に電気穿孔した(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,642,835号参照)。Neoでの選択後、ES細胞をTAQMAN(登録商標)によりスクリーニングして導入遺伝子のコピー数を決定した。ヒトRag-TdT導入遺伝子の単一のコピー、2つのコピー、または複数のコピーを含むES細胞が得られた。
【0615】
Rag-TdT導入遺伝子の組み込み部位は、当該技術分野で知られている方法を介して決定される。一実施形態では、組み込み部位は、全マウスゲノムの低カバレッジペアエンドシーケンシングを用いて決定される(シーケンシングライブラリー-Nextera
DNA Library Preparation,Illumina;Sequence-Miseq,Illumina)。例えば、1つの例において、Rag-TdT導入遺伝子は、1番染色体上の座標41130492と41130502(GRCm38/mm10アセンブリの座標)との間の2つのタンデム頭部-尾部コピーとして、いずれのコード領域も破壊することなく組み込まれたことが確認された。
【0616】
実施例1.2.マウスRag調節エレメント(Rag-TdT IgK)の制御下でのヒトTdTの短いアイソフォーム(TdTS)の標的化免疫グロブリンκ遺伝子座挿入の作製
マウス免疫グロブリンκ遺伝子座上のRag調節エレメントの制御下でヒトTdTを含むマウスを作製するために、ES細胞における組換えのためのマウスIgK相同性アームを、実施例1.1および
図1に記載されているように作製された構築物の5’および3’末端に付加した。一般に、マウスIgKアームは、(1)I-CeuIおよびPI-SceI制限酵素部位に隣接する選択カセット(例えば、Hyg、Neoなど)を挿入する細菌相同組換えによってマウスIgK BACを改変すること、ならびに(2)I-CeuIおよびPI-SceIライゲーションによってマウスIgK BACにTdT構築物を
挿入することにより付加される。最終的なLTVECを
図2に示す。
【0617】
この最終的なLTVECは、5’~3’まで、(1)細菌における選択のためのSpecカセット、(2)IgKc遺伝子、IgK3’エンハンサー、および3’IgK組換え配列(RS)を含む28591bpの5’マウス相同性アーム(GRCm38ゲノム座標6:70,725,823-70,754,415)(マウスアームは約2.6kbのRSの3’で終わる)、(3)PI-SceI部位、(4)ES細胞または細菌における選択のためのloxp-UbCp-em7-hyg-loxpカセット、(5)Rag2プロモーター-ヒトTdTSおよびRag1-EGFP遺伝子を含む実施例1.1および
図1に上述された構築物、(6)I-CeuI部位、(7)44,900bpの3’マウスIgK相同性アーム(GRCm38ゲノム座標6:70,754,508-70,799,678)、ならびに(8)細菌における選択のためのCMカセットを含む。
【0618】
最終的なLTVECを
図2に示し、様々な配列接合のおよその位置を図示する。接合も以下の表2にまとめる。
【表2-1】
【表2-2】
【0619】
得られたLTVECを線状化し、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)ES細胞に電気穿孔した(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,642,835号参照)。Hyg耐性の選択後、対立遺伝子アッセイのTAQMAN(登録商標)改良物によりES細胞をスクリーニングし(Valenzuela et al、前掲)、正しく標的化されたクローンを同定した。
【0620】
実施例1.3.共にマウス免疫グロブリン重鎖イントロンエンハンサー(Eμ)およびマウスIgVH1-72プロモーター(それぞれmIgH-Eμ-VH1-72-TdT tgおよびmIgH-Eμ-VH1-72-TdT IgK)の制御下での、ヒトTdTの短いアイソフォーム(TdTS)のランダムトランスジェニックおよび標的化免疫グロブリンκ遺伝子座挿入の作製
実施例1.1および1.2のRag-TdTを作製するために用いたものと同じヒトTdTS遺伝子(すなわち、ATG開始コドンから約514bpのポリAシグナルの3’まで)を、689bpのマウスEμエンハンサーおよび303bpのマウスIgVH1-72プロモーターの制御下に置いた。この構築物は、マウスゲノムにランダムに組み込まれたか、または免疫グロブリンK(IgK)遺伝子座に標的化されたかのいずれかであった。標的化された組み込みについて、遺伝子は、実施例1.2のLTVECを作製するために使用されたのと同じ5’および3’マウスIgK相同性アームの間に挿入された。
【0621】
具体的には、最終的なLTVECは、5’~3’まで、(1)細菌における選択のためのSpecカセット、(2)IgK定常(IgKC)遺伝子、IgK3’エンハンサー、および3’IgK組換え配列(RS)を含む28591bpの5’マウス相同性アーム(GRCm38ゲノム座標6:70,725,823-70,754,415)(マウスア
ームは約2.6kbのRSの3’で終わる)、(3)I-CeuI部位、(4)ES細胞または細菌における選択のための逆向きのloxp-UbCp-em7-hyg-loxpカセット、(5)上の実施例で使用されたのと同じ34,573bpの逆向きのヒトTdTS遺伝子、(6)303bpの逆向きのマウスIgHV1-72プロモーター(GRCm38ゲノム座標12:115,758,417-115,758,719)、(7)689bpの逆向きのマウスEμエンハンサー(EcoRI-XbaI断片、GRCm38ゲノム座標12:113,427,284-113,427,972)、(8)PI-SceI部位、(9)44,900bpの3’マウスIgK相同性アーム(GRCm38ゲノム座標6:70,754,508-70,799,678)、ならびに(10)細菌における選択のためのCMカセットを含む。
【0622】
最終的なベクターにおける特定の配列接合のおよその位置を
図3に示し、それらの配列を下の表3に示す。
【表3】
【0623】
得られたLTVECを線状化し、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)ES細胞に電気穿孔した(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,642,835号参照)。Hyg耐性の選択後、ES細胞クローンをTAQMAN(登録商標)によってマウスIgK遺伝子座への正しいターゲティング(mIgH-Eμ-VH1-72-TdT IgK)または導入遺伝子コピー数(mIgH-Eμ-VH1-72-TdT tg)についてスクリーニングした。
【0624】
実施例1.4.TdTS cDNAからの標的化免疫グロブリンκ遺伝子座挿入およびトランスジェニックヒトTdTSの作製
あるいは、TdTS cDNAは、3682bpのDNA断片としてデノボ合成され(Blue Heron Bio)、ES細胞への導入のためのターゲティングベクターに
組み込まれる。ターゲティングベクターは、5’~3’まで、PI-SceI部位、689bpのマウスIgHイントロンエンハンサー(EcoRI-XbaI断片)、303bpのマウスVH1-72プロモーター、イントロン媒介性発現増強のためにエクソン2と3との間に保持された735bpのイントロン2を含む1530bpのヒトTdTSのCDS(NCBI RefSeq NM_004088)、340bpのヒトTdT 3’
UTR/ポリAシグナル、loxp-neo-loxpカセットでのライゲーションのためのNotIおよびSalI制限酵素部位、ならびにI-CeuI部位を含む。ベクターは、実施例1.2のLTVECを作製するために使用されたのと同じ5’および3’マウスIgK相同性アームの間に挿入され、IgK遺伝子座に標的化されたか、またはマウスゲノムにランダムに組み込まれたかのいずれかであった。
【0625】
得られたLTVECを線状化し、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)ES細胞に電気穿孔する(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,642,835号参照)。Hyg耐性の選択後、ES細胞クローンをTAQMAN(登録商標)によってマウスIgK遺伝子座への正しいターゲティング(IgK標的化バージョン)または導入遺伝子コピー数(トランスジェニックバージョン)についてスクリーニングする。
【0626】
実施例1.5.ヒトTdTSを発現するマウス
上記のように、正しく標的化されたES細胞が産生されると、それらはVELOCIMOUSE(登録商標)法により8細胞期(またはそれ以前の)マウス胚に導入され、対立遺伝子アッセイのゲインにおいてスクリーニングされ、続いてホモ接合体に繁殖させる。ヘテロ接合性またはホモ接合性動物は、ヒトTdTSと共にヒト可変軽鎖および重鎖ドメインならびにマウス定常領域を含む抗体を発現する(これらのマウスは、それぞれ内因性IgKおよびIgH遺伝子座でヒト免疫グロブリン可変軽および重遺伝子セグメントを含むため、VELOCIMMUNE(登録商標))。
【0627】
ヒトTdTSマウスのいくつかのバージョンが作製され、試験され、それらは共にRagプロモーターおよびEμ-VH1-72制御エレメントの制御下にあるランダムトランスジェニックおよびIgK標的化TdTSを含んだ。また、1、2、または数コピーのTdTS導入遺伝子を含むバージョン、ならびにゲノムTdTおよびcDNA TdT配列から作製されたバージョンが含まれた。残りの例は、Rag-ゲノムTdTSの導入遺伝子(上の実施例1.1に記載されるような1番染色体上の2コピーのタンデム挿入)およびIgK遺伝子座に標的化されたEμ-VH1-72ゲノムTdTS(実施例1.3)を含むマウスで得られたデータを示す。
【0628】
まず、TdTの発現についてマウスを試験する。PT-PCRを使用し、VELOCIMMUNE(登録商標)対照、VELOCIMMUNE(登録商標)+Rag-ゲノムTdTS導入遺伝子、またはVELOCIMMUNE(登録商標)+IgK遺伝子座に標的化されたEμ-V
H1-72-ゲノムTdTSマウスのいずれかの骨髄由来のTdT転写産物を増幅した。全RNAを、Oligo-dTプライマーを用いたSUPESCRIPT(登録商標)III逆転写酵素(Life Technologies)による逆転写に使用した。βアクチンのプライマー(対照)、エクソン1~2を増幅するように設計されたプライマー、エクソン4~6を増幅するように設計されたプライマー、エクソン7~9を増幅するように設計されたプライマー、およびエクソン9~11を増幅するように設計されたプライマーのいずれかで、SsoAdvanced(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermixを用いてPCRを行った。
図4に示すように、ヒトTdTエクソンの存在は、両方のバージョンのマウスで検出されたが、VELOCIMMUNE(登録商標)対照マウスでは非存在であった。
【0629】
実施例2.ヒトTdTSを含むマウスにおけるヒト免疫グロブリンκ接合多様性
実施例1に上述された様々なVELOCIMMUNE(登録商標)ヒトTdTSマウスモデルにおける免疫グロブリンレパートリー配列多様性を評価するために、IgK配列を、mIgK定常プライマーを用いて様々なマウスの脾臓から5’ RACEにより増幅し、Illumina MiSeqを用いて配列決定した。
【0630】
具体的には、抗CD19(マウス)磁気ビーズおよびMACS(登録商標)カラム(Miltenyi Biotech)を用いた磁気細胞選別により、脾臓B細胞を全脾細胞から積極的に濃縮した。RNeasy Plus RNA単離キット(Qiagen)を用い、製造元の指示に従って、精製した脾臓B細胞から全RNAを単離した。SMARTer(商標)RACE cDNA増幅キット(Clontech)およびIgκ特異的プライマーを用い、逆転写を行ってIgκ定常領域配列を含むcDNAを生成した(表4)。このプロセスの間に、プライマーPE2-PIIAの3’に逆相補的であるDNA配列を、新たに合成したcDNAの3’末端に結合させた。次いで精製されたIgκ特異的cDNAを、PE2-PIIAプライマーおよび表4に記載のIgκ定常特異的プライマーを使用する第1ラウンドPCRによって増幅した。Pippin Prep(SAGE Science)を用いて450~700bpのPCR産物を単離した。これらの産物を、表4に列挙されたプライマー(「XXXXXX」は、配列決定のための試料の多重化を可能にする6bpインデックス配列を表す)を使用する第2ラウンドPCRによってさらに増幅した。400bp~700bpのPCR産物を単離し、精製し、KAPAライブラリー定量化キット(KAPA Biosystems)を用いるqPCRにより定量化した後、Miseqシーケンサー(Illumina)に装填し、Miseq試薬キットv3を用いて配列決定した(600サイクル)。
【表4】
【0631】
バイオインフォマティクス分析のために、生のIllumina配列を脱多重化し、κ定常領域プライマーに対する質、長さ、および完全一致に基づいてフィルタリングした。重複するペアエンドリードをマージし、カスタムインハウスパイプラインを使用して分析した。このパイプラインは、ヒト生殖系列VおよびJ遺伝子データベースに再編成された軽鎖配列を整列させるIgBLAST(NCBI、v2.2.25+)のローカルインストールを用いた。終止コドンが検出されず、VJ接合がJセグメントとインフレームであった場合、再編成を生産的とみなした。そうでなければ再編成は非生産的とみなし、分析から除外した。
【0632】
CDR3配列を、国際免疫遺伝情報システム(IMGT)境界を用いて抽出した。注釈付きのVセグメントとJセグメントとの間の接合領域は、PおよびNヌクレオチドとして分類した。N/P付加を有する領域を各配列から抽出し、その長さを計算した。抗体レパートリーの多様性は、固有のクローン型を分析することによって計算した。配列多様性は、ランダムに選択された10,000リードにおける多数のユニークCDR3配列として定義した。
【0633】
図5は、ヒトTdTSを含まないVELOCIMMUNE(登録商標)マウスと比較して、ヒトTdTSマウスモデルにおいてユニークCDR3アミノ酸配列の数の2倍までの増加が検出されたことを示す。CDR3多様性の増加は、ヌクレオチドレベルでも観察された(データは示さず)。
図5は、Rag-ゲノムTdTS(Rag TdT Tg)およびIgK遺伝子座に標的化されたEμ-V
H1-72-ゲノムTdTS(mIgH-Eμ-V
H1-72 TdT IgK)の2コピーの導入遺伝子(ホモ接合バージョンおよびヘテロ接合バージョンの両方)を含むマウスで得られたデータのみを示すが、同様のデータが他のバージョンのマウスから得られた(図示せず)。
【0634】
実施例3.ヒトTdTSを含むマウスにおける非生殖系列付加の増加
上記実施例2に記載の次世代シーケンシングから、(VκおよびJκ遺伝子セグメントの両方の部分からなる)CDR3における非生殖系列ヌクレオチド付加の割合も決定した。
【0635】
図6に示すように、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおける約10%と比較して、B細胞におけるヒト化κ軽鎖の約45%が、ヒト化TdTSマウスの両方のバージョンにおいて非生殖系列付加を有することが示された。脾臓からの免疫グロブリン軽鎖の配列分析は、ヒトTdTSマウスの軽鎖において0~8個の非鋳型付加を示した(図中の8個は8個以上の非鋳型付加を有する配列を含む)。
【0636】
実施例4.ヒトTdTSマウスから得られた免疫グロブリンにおけるヒト軽鎖CDR3長
CDR3配列を、国際免疫遺伝情報システム(IMGT)境界を用いて抽出した。非鋳型ヌクレオチドを、既知の軽鎖VおよびJ配列に基づいて決定した。
【0637】
図7Aに示すように、上記の実施例2および3に記載のヒトTdTSマウスの2つのバージョンで観察された非鋳型付加の増加は、対照(機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標))と比較してκ軽鎖CDR3長の増加をもたらした。
図7Bに示すように、配列分析は、対照(機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標))と比較してRag-TdTSマウス(ここではヘテロ接合マウスのデータのみを示す)における5’Jトリミング速度に影響を及ぼす広範なエキソヌクレアーゼ活性を示さなかった。
【0638】
実施例5.ヒトTdTSマウスにおけるヒト軽鎖VκおよびJκ遺伝子セグメントの使用
図8Aおよび8Bに示すように、上記の実施例2および3に記載のマウスの2つのバージョンにおけるヒトTdTSの導入は、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスと比較して、Vκ遺伝子セグメントまたはJκ遺伝子セグメントのいずれかの使用を顕著に変化させなかった。
【0639】
実施例6.ヒトTdTSを含むマウスにおける軽鎖λ免疫グロブリン遺伝子座および他の再編成遺伝子座における接合多様性
ヒト免疫グロブリンκ遺伝子座に加えて、B(λ軽鎖、重鎖)およびT(α/β)リンパ球からの他の遺伝子座における抗原-受容体多様を調査することができる。
【0640】
例えば、機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるCλ1含有λ軽接合多様性を、上記実施例1に記載のヒトTdT導入遺伝子を含む同じVELOCIMMUNE(登録商標)マウスと、実施例2に記載の同じ配列決定方法および表5に列記したプライマーを使用して比較した場合、トランスジェニックマウスのマウスλ遺伝子座で増加した配列多様性(約2倍)が観察された(
図9)。さらに、我々は、マウス免疫グロブリンλ非鋳型付加の増加率を観察した(
図10)。TdTトランスジェニックマウスにおけるλ鎖のCDR3長を
図11に示す。最後に、様々な試験動物間でマウスVλ使用の差異は観察されなかった(
図12)。
【表5】
【0641】
上記の機能的異所性マウスAdam6遺伝子を含むもの(例えば、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第8,878,001号、同第9,078,418号、同第9,125,386号)を含む、未再編成ヒト重鎖および軽鎖可変遺伝子セグメントを含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウス、または未再編成ヒト重鎖可変遺伝子セグメントもしくは未再編成ヒト軽鎖可変遺伝子セグメントのみを含むマウスに加えて、ヒトTdTSを含む他の動物を作製することができる。いくつかのそのような動物としては、内因性マウスλまたはκ遺伝子座のいずれかのヒトλ可変領域(米国特許第9,035,128号、同第9,066,502号、同第9,163,092号、同第9,120,662号、同第9,029,628号、同第9,006,511号、同第9,012,717号)、内因性重鎖遺伝子座のヒトκ可変領域(例えば、米国特許出願公開第2012/0096572号)、ヒト化TCRαおよびβ遺伝子座(例えば、米国特許第9,113,616号)、ならびにそれらの様々な並べ替えを含むもの、二重軽鎖マウスおよびその並べ替え(米国特許出願公開第2013/0198880号)、ユニバーサル軽鎖マウスおよびその並べ替え(例えば、米国特許出願公開第2011/0195454号、同第2013/018582号)、ユニバーサル重鎖マウスおよびその並べ替え(例えば、米国特許第9,204,624号)、それらの生殖系列ゲノムにヒスチジン置換を含むマウス(例えば、米国特許第9,334,334号および同第9,301,510号、米国特許出願公開第2013/0247236号、同第2014/0013456号)、キメラ抗原受容体マウス(例えば、米国特許出願公開第2016/0081314号)、CH1ドメインを欠くマウス(例えば、米国特許第8,754,287号および米国特許出願公開第2015/0289489号)が挙げられ、すべて本明細書に参照により組み込まれる。
軽鎖および/または重鎖(例えば、ヒト軽鎖および/または重鎖)のいずれかの接合多様性を増加させることが望ましい任意のそのような動物は、そのような改変を含むES細胞に、本明細書に記載のヒトTdTSの導入遺伝子または標的化挿入のいずれかを導入することによって作製され得る。ランダムに組み込まれたTdTS導入遺伝子を含むES細胞から作製されたマウス(およびIgK遺伝子座が改変されていない場合、例えば、ヒト化TCR遺伝子座マウス)の場合、それらは様々な上記改変を含むマウスとの繁殖によっても作製され得る。このような動物へのTdTS対立遺伝子の組み込みの成功は、本明細書で上記のように決定され、様々な遺伝子座での接合多様性の生成に対するヒトTdTS発現の効果は、本明細書で上記のように決定される。未改変再編成遺伝子座、例えば、内因性マウス免疫グロブリンおよびT細胞遺伝子座への影響も研究されている。
【0642】
二重軽鎖マウスの接合多様性に対するTdT導入の効果が研究された1つのそのような実施例を、以下の実施例7~10に示す。
【0643】
実施例7.ヒトTdTSを含む二重軽鎖(DLC)マウスにおけるヒト免疫グロブリンκ接合多様性
二重軽鎖遺伝子座およびヒトTdTSを含むマウスは、機能的マウスAdam6遺伝子(米国特許第8,642,835号および同第8,697,940号参照)および外因性ヒトTdTSを含むVELOCIMMUNE(登録商標)マウスを、二重軽鎖遺伝子座(本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0198880号)を含むマウスと繁殖させることにより作製した。
【0644】
2つの未再編成Vκ遺伝子セグメント:IGVK3-20およびIGVK1-39のみを含む制限されたIgκ遺伝子座、ならびに5つの未再編成IGJK遺伝子セグメントを有するDLCヒトTdTSマウスモデル(本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0198880号)における免疫グロブリンレパートリー配列多様性を評価するために、Igκ配列をmIgK定常プライマーで様々なマウスの脾臓から5’RACEにより増幅し、Illumina MiSeqを用いて配列決定した。ほとんどの実験において、Rag TdT Tgにホモ接合性であり、DLC遺伝子座にホモ接合性である何匹かのマウス(Rag TdT tg(HET)DLC)およびRag TdT Tgにホモ接合性であり、DLC遺伝子座にホモ接合性である2匹のマウス(Rag TdT tg(HO)DLC)を使用した。Rag TdT tg(HET)DLCのデータは、試験したすべてのマウスの平均として示すが、2匹のRag TdT tg(HO)DLCマウスは個別に示す。
【0645】
具体的には、抗CD19(マウス)磁気ビーズおよびMACS(登録商標)カラム(Miltenyi Biotech)を用いた磁気細胞選別により、脾臓B細胞を全脾細胞から積極的に濃縮した。RNeasy Plus RNA単離キット(Qiagen)を用い、製造元の指示に従って、精製した脾臓B細胞から全RNAを単離した。SMARTer(商標)RACE cDNA増幅キット(Clontech)およびIgκ特異的プライマーを用い、逆転写を行ってIgκ定常領域配列を含むcDNAを生成した(表4)。このプロセスの間に、プライマーPE2-PIIAの3’に逆相補的であるDNA配列を、新たに合成したcDNAの3’末端に結合させた。次いで精製されたIgκ特異的cDNAを、PE2-PIIAプライマーおよび表4に記載のIgκ定常特異的プライマーを使用する第1ラウンドPCRによって増幅した。Pippin Prep(SAGE Science)を用いて450~700bpのPCR産物を単離した。これらの産物を、表4に列挙されたプライマー(「XXXXXX」は、配列決定のための試料の多重化を可能にする6bpインデックス配列を表す)を使用する第2ラウンドPCRによってさらに増幅した。400bp~700bpのPCR産物を単離し、精製し、KAPAライブラリー定量化キット(KAPA Biosystems)を用いるqPCRにより定量化し
た後、Miseqシーケンサー(Illumina)に装填し、Miseq試薬キットv3を用いて配列決定した(600サイクル)。
【0646】
バイオインフォマティクス分析のために、生のIllumina配列を脱多重化し、κ定常領域プライマーに対する質、長さ、および完全一致に基づいてフィルタリングした。重複するペアエンドリードをマージし、カスタムインハウスパイプラインを使用して分析した。このパイプラインは、ヒト生殖系列VおよびJ遺伝子データベースに再編成された軽鎖配列を整列させるIgBLAST(NCBI、v2.2.25+)のローカルインストールを用いた。終止コドンが検出されず、VJ接合がJセグメントとインフレームであった場合、再編成を生産的とみなした。そうでなければ再編成を非生産的とみなし、分析から除外した。
【0647】
CDR3配列を、国際免疫遺伝情報システム(IMGT)境界を用いて抽出した。注釈付きのVセグメントとJセグメントとの間の接合領域は、PおよびNヌクレオチド(非鋳型付加)として分類した。N/P付加を有する領域を各配列から抽出し、その長さを計算した。抗体レパートリーの多様性は、固有のクローン型を分析することによって計算した。配列多様性は、ランダムに選択された10,000リードにおける多数のユニークCDR3配列として定義した。
【0648】
図13は、導入されたヒトTdTSを含まないDLCマウスと比較して、DLCヒトTdTSマウスモデルにおいてユニークCDR3アミノ酸配列の数の2倍超の増加が検出されたことを示す。
【0649】
実施例8.ヒトTdTSを含むDLCマウスにおける非生殖系列付加の増加
上記実施例7に記載の次世代シーケンシングから、DLC TdTマウスの免疫グロブリン配列における(VκおよびJκ遺伝子セグメントの両方の部分からなる)CDR3における非生殖系列ヌクレオチド付加の割合も決定した。
【0650】
図14に示すように、DLC対照マウス(TdTが導入されていないDLCマウス)における約10%と比較して、B細胞におけるヒト化κ軽鎖の約半分が、DLCヒト化TdTSマウス(TdTのHETおよびHOの両方)において非生殖系列付加を有することが示された。
【0651】
実施例9.ヒトTdTSを含むDLCマウスから得られた免疫グロブリンにおけるヒト軽鎖CDR3長
CDR3配列を、国際免疫遺伝情報システム(IMGT)境界を用いて抽出した。非鋳型ヌクレオチドを、既知の軽鎖VおよびJ配列から決定した。
【0652】
図15に示すように、記載されたDLCヒト化TdTSマウス(HETおよびHOの両方)において観察された非鋳型付加の増加は、対照(ヒトTdTが導入されていないDLCマウス)と比較してκ軽鎖CDR3長の増加をもたらした。
【0653】
実施例10.ヒトTdTSを含むDLCマウスにおけるヒト軽鎖VκおよびJκ遺伝子セグメントの使用
図16に示すように、DLCマウスにおけるヒトTdTSの導入は、DLC対照マウス(ヒトTdTが導入されていないDLCマウス)と比較して、Vκ遺伝子セグメントまたはJκ遺伝子セグメントのいずれかの使用を顕著に変化させなかった。
【0654】
参照による組み込み
本明細書中に言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各刊行物、特許、
または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれると示されるように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、本明細書中の任意の定義を含む、本出願が優先される。
【0655】
等価物
当業者であれば、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験のみを用いて確認することができるであろう。そのような等価物は、下記の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【配列表】