(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】動的ナノグリッドを作成し、電力消費者を集合化して、エネルギー市場に参加するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241112BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20241112BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J3/14
H02J3/00 170
(21)【出願番号】P 2023078322
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2019514293の分割
【原出願日】2017-09-15
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520268997
【氏名又は名称】サバント システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ロバート,ピー
(72)【発明者】
【氏名】エッシュホルツ,ジーグマル,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】デメオ,アンナ,イー
(72)【発明者】
【氏名】ディロン,ウィリアム,エイチ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/094518(WO,A1)
【文献】特表2010-531129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0143305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/14
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路遮断器パネルと適合するように構成されたフォームファクタを有する装置であって、
プロセッサ、負荷端子、及び電源コネクタに結合されたスイッチであって、前記電源コネクタが、前記電気回路遮断器パネルと互換性を有する導体に適合するように構成されている、スイッチと、
前記負荷端子及び前記プロセッサに結合されたセンサと、
前記プロセッサに結合されたネットワークモジュールと
を含み、前記プロセッサが、
前記センサを使用して、前記負荷端子に伝導された電流をサンプリングし、
前記ネットワーク
モジュールを介して前記負荷端子への電力の供給を遮断するコマンドを受信することに応答して、前記伝導された電流のゼロクロスが検出されたときに、前記スイッチを開く
ように構成されている、装置。
【請求項2】
前記スイッチは、100VACで少なくとも20Aの伝導電流に対して、少なくとも100kHzのスイッチング周波数が可能なトランジスタである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサは、ホール効果センサである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサに結合され、前記伝導電流の前記ゼロクロスが検出されたときに、前記プロセッサに信号を送るように構成されたゼロクロス回路をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ネットワークモジュールは、無線レシーバを含み、前記電力を遮断するコマンドは、前記無線レシーバを介して受信される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記スイッチは、リレーであり、前記スイッチを開くように構成された前記プロセッサは、前記伝導電流の前記ゼロクロス及び前記負荷端子への伝導電圧のゼロクロスと同時に、前記リレーを開くようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記導体はバスバーである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電源コネクタは、前記電気回路遮断器パネルのアーク故障回路遮断器と直列に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサに結合され、前記負荷端子に結合された負荷の瞬時電力消費量データを表示するように構成された表示装置をさらに含み、前記表示装置は、前記装置が前記電気回路遮断器パネルに取り付けられた状態で視認可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサに結合された不揮発性メモリデバイスをさらに含み、前記プロセッサは、前記瞬時電力消費量データを前記不揮発性メモリデバイスに記憶するようにさらに構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサに結合された無線トランシーバをさらに含み、前記プロセッサは、前記記憶された瞬時電力消費量データを、前記無線トランシーバを介して転送するようにさらに構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
スイッチに結合された負荷
端子に伝導された電流をサンプリングし、前記スイッチが、ネットワークモジュールに結合され、かつ、電気回路遮断器パネルと互換性を有する導体に適合するように構成された回路遮断
器装置の電源コネクタに結合されており、
前記ネットワークモジュールを介して前記負荷端子への電力の供給を遮断するコマンドを受信することに応答して、前記伝導された電流のゼロクロスが検出されたときに、前記スイッチを開くこと
を含む、方法。
【請求項13】
前記スイッチは、100VACで少なくとも20Aの伝導電流に対して、少なくとも100kHzのスイッチング周波数が可能なトランジスタである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記伝導電流の前記ゼロクロスが検出されたときに、前記スイッチに結合された前記回路遮断器装置のプロセッサに信号を送ること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記スイッチを開くことは、前記伝導電流の前記ゼロクロス及び前記負荷端子への伝導電圧のゼロクロスと同時にリレーを開くこと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記負荷端子の電圧をサンプリングし、
前記プロセッサに結合された表示装置に瞬時電力消費量データを表示すること
をさらに含み、前記表示装置は、前記装置が前記電気回路遮断器パネルに取り付けられた状態で視認可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記瞬時電力消費量データを、前記プロセッサに結合された不揮発性メモリデバイスに記憶すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記記憶された瞬時電力消費量データを、前記プロセッサに結合された無線トランシーバを介して転送すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセッサに結合された表示装置に識別子を表示すること
をさらに含み、前記表示装置は、前記装置が前記
電気回路遮断器パネルに取り付けられた状態で視認可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
電気回路遮断器パネルと適合するように構成されたフォームファクタを有する回路遮断器であって、
プロセッサ、負荷端子、及び電源コネクタに結合されたスイッチであって、前記電源コネクタが、前記電気回路遮断器パネルと互換性を有する導体に適合するように構成されている、スイッチと、
前記負荷端子及び前記プロセッサに結合されたセンサであって、前記負荷端子が負荷に結合されている、センサと、
前記プロセッサに結合された表示装置であって、前
記回路遮断器が前記電気回路遮断器パネルに取り付けられた状態で視認可能な表示装置と、
前記プロセッサに結合されたネットワークモジュールと
を含み、前記プロセッサが、
前記センサを使用して、前記負荷端子に伝導された電流をサンプリングし、
前記負荷端子に伝導された電圧をサンプリングし、
前記負荷の電力消費量を前記表示装置へ送信する
ように構成されている、回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電力管理の分野に関し、より詳細には、エネルギー市場に参加するために電力消費者の集合体を管理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、電力公益事業会社は、連邦政府と州政府の両方によって高度に規制されている。一般に、そのような会社が、自らが供給する電力に対して課している小売価格は、自由市場によって決定されていない。むしろ、小売価格は、委員会や他の規制審査機関によって正式な管理プロセスを通して決定され、管理プロセスでは、現在及び予測される将来の需要、新たな供給源の建設やアクセスに要する費用、及び他のさまざまな要因が考慮される。卸売価格は、すべての分野においてではないが、多くの場合、独立系統運用機関(ISO)市場に基づいている。
【0003】
規制された電力市場内には、「基本負荷発電プラント」、「負荷追従発電プラント」、及び「尖頭負荷発電プラント」と呼ばれる発電施設がある。基本負荷発電プラントは通常、一定のサービスエリアにおいて電力の基本需要を満たすように連続運転される大規模で低コストの施設である。負荷追従発電プラントは、その名が示すように、一般に、需要(負荷)が高いときに運転されるが、需要が低いときには運転を制限若しくは抑制することが意図されている。尖頭負荷発電所は、多くの場合、アンシラリーサービス市場の一部である10分及び30分の予備力を指して使用され、一般に、サービスエリア内のピーク需要を満たすべく、若しくは発電プラントの故障のような不慮の事態における需要を満たすべく、間欠的に運転されることのみが意図されている。したがって、尖頭負荷発電プラントを実際に運転する必要性は、毎年わずか数日しか発生しない場合があり、わずか数時間しか継続しない場合がある。
【0004】
エネルギー市場に参加するために、施設は、規制により、最小出力電力レベル(例えば、100kW)を生成する必要があり、グリッドオペレータからの要求の後、所定時間内に電力をオンラインにできる必要があり、さらに、所定の最小期間にわたってオンラインを維持する必要がある。一般的規則によれば、尖頭負荷発電プラントには、彼らが供給する電力に対して、プレミアム価格が支払われる。このような発電プラントの極端に間欠的運転、このような発電プラントが維持しなければならない準備状態、及び確実にピーク需要が絶え間なく満たされることの重要性を考えれば、この価格は正当である。
【0005】
近年、裁判所は、一般的規則の下で、市場参加者を所与のサービスエリア内の電気的負荷を低減する施設から構成することができるか否か、及びそれによって、追加電力の生成とは対照的に、電力消費が低減されるか否かという問題を検討した。裁判所は、この問題に対する肯定的な答えとして、例えば、アンシラリーサービス(10分及び30分の予備力、周波数制御、及び出力調整を含む)、リアルタイム市場、一日前市場、及び先渡容量市場を含むが、それらに限定されない確立されたエネルギー市場のすべてに参加する適格性を有するが、消費量を低減し、生成量を増加させないモデルに基づいて動作する新たな施設を開発する機会を作ることを示した。
【0006】
関心のあるもう一つの問題は、太陽光(太陽光発電、すなわちPV)パネルを備えた住宅、企業又は他の施設に現れる。こうした施設の大多数は、グリッドタイシステムである。つまり、太陽光発電パネルにより生成された余剰電力は、電力グリッドに送り返され、施設内で必要とされる追加の電力はすべて、電力グリッドによって供給される。単独運転防止法によれば、電力グリッドが故障した場合、たとえ太陽光発電パネルが施設内で使用可能な電力を生成できる場合であっても、すべてのグリッドタイシステムが、もはや動作しなくなる。近年では、単独運転インバータにより、単独運転防止法に準拠しながらも、太陽光発電パネルを使用し続けることが可能になっている。こうした二次インバータは、バッテリ及び重要負荷パネルと連携して動作し、限られた電力を住宅、企業又は施設内の重要負荷に供給する。ただし、重要負荷は、事前に選択され、メイン回路遮断器パネルとは別の重要負荷パネルに配線されなければならないため、「固定」である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、一群の住宅、企業、又は他の電力消費施設は、集合化され、負荷を十分な速度でかつ十分な量だけ動的に低減するように共通に制御され、エネルギー市場に市場参加者として参加する。参加には、尖頭負荷発電プラントとしての参加が含まれる。単一施設についての電力消費の低減量は通常非常に少ないが、ほんの数千の住宅又は企業の集合体の低減消費量の合計は、数百キロワット程度になる場合がある。集合体への参加を選択することにより、各住宅、企業又は他の施設は、現在進行中の実質的省エネ活動に貢献し、プロバイダから受け取る収益を共有することができる。同様に、電力コストが低いときには、ピーク期間中に非アクティブな負荷をアクティブにすることができ、ピーク期間中にそれらの負荷を動作させるコストが節約される。
【0008】
集合体に参加している各住宅、企業又は他の施設は、従来の回路遮断器又はヒューズを増強する構内電力制御装置及びインテリジェント回路遮断器を備えている。構内電力制御装置及びインテリジェント回路遮断器は、建設中に設置されてもよいし、施設改修によって設置されてもよい。構内電力制御装置は、プロセッサ;メモリ;ユーザインタフェースを提供できる表示装置;インテリジェント回路遮断器、主要な電化製品、暖房換気空調(HVAC)システム、及び給湯器のためのインタフェース;並びに、太陽光発電、地熱発電、マイクロ水力発電若しくは風力発電及びインバータ、蓄電池(バッテリ)、発電機、他の再生可能電源、ホームオートメーションシステム、スケジューラ、又はユーザ制御デバイスのためのインタフェースを含む場合がある。構内電力制御装置は、環境センサ(例えば、温度検出器、気圧検出器、電圧検出器、電流検出器、モーション検出器)及び他の関心のあるセンサのためのインタフェースをさらに含む場合がある。構内電力制御装置は、遠隔地に配置されることがあるアグリゲーションサーバ又は他のシステムと通信するために、広域ネットワーク(WAN)接続又は他の適当なネットワーク接続をさらに有する場合がある。
【0009】
各インテリジェント回路遮断器は、電気的に作動されることができ、手動で作動されることができる従来の回路遮断器と接続されている。各インテリジェント回路遮断器は、電力計、他のインテリジェント回路遮断器や構内電力制御装置と通信するための無線トランシーバ、遮断器制御装置、メモリ、及び表示装置を含む。照明回路の場合、インテリジェント回路遮断器は、調光器をさらに含む。メモリは、インテリジェント回路遮断器の状態、電力消費量、動作履歴等に関する関心のあるデータを一時的に記憶するために使用される場合がある。インテリジェント回路遮断器は、有利なことに、電気機器の主要な製造業者(例えば、シュナイダー・エレクトリックのスクエアD、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー、シーメンスAG、シーメンスAGのマリー、アセア・ブラウン・ボベリのトーマス・アンド・ベッソ、及びエアトンのクラウズ-ハインズ)により提供される回路遮断器パネルと互換性を有する(すなわち、当該回路遮断器パネルと適合するように構成された)フォームファクタで作成される場合がある。
【0010】
インテリジェント回路遮断器は通常、金属製の遮断器パネル内に設置されるため、通常、遮断器との間の通信に相当な干渉がある。そのような干渉を克服するために、インテリジェント回路遮断器に関連する無線トランシーバ間に、無線メッシュネットワークが確立される場合がある。無線メッシュネットワークによれば、構内電力制御装置との間の通信の輻輳を低減しつつ、指定されたゲートキーパー無線トランシーバによって受信されたメッセージを、他のすべての無線トランシーバにわたって伝搬させることが可能になる。ゲートキーパー無線トランシーバは、他の無線トランシーバの何れかから発信されたメッセージを構内電力制御装置に送信するとともに、構内電力制御装置から受信したメッセージを他の無線トランシーバのうちの1以上に中継する役割を果たす。干渉をさらに低減するために、ゲートキーパー無線トランシーバは、遮断器パネルの開口部に近接して配置される場合がある。開口部は単独で、あるいは、場合によっては開口部を通過して延びる配線と組み合わせて、ゲートキーパー無線トランシーバと構内電力制御装置との間の良好な無線通信を可能にすることができる。あるいは、開口部は、ゲートキーパー無線トランシーバに結合された小さなアンテナを収容する場合がある。
【0011】
各インテリジェント回路遮断器は、それ自体の無線トランシーバ、無線メッシュネットワーク、及びゲートキーパー無線トランシーバを介して、種々のメッセージを構内電力制御装置に送信することができる。こうしたメッセージは、瞬間的に消費される電力量、所与の時間にわたって消費された平均電力、電力消費量の変化、状態情報、又は他の関心のあるデータを報告することができる。このようなデータは、データがアグリゲーションサーバ又は他のシステムに伝達される前に、構内電力制御装置によって一時的に記憶される場合がある。
【0012】
各インテリジェント回路遮断器は、構内電力制御装置からメッセージを受信することもできる。一つのタイプのメッセージは、回路遮断器を作動させ、それによって回路を開き、関連する負荷を切断するか、又は回路を閉じ、関連する負荷を電源電圧(電力グリッド)、再生可能電源、又はバックアップ発電機に接続し、あるいは、差圧セル、電気化学電池、及び施設内の化学エネルギー貯蔵システム(以下、バッテリ)のようなエネルギー貯蔵装置に接続する。したがって、本発明によって提供される一つの利点は、電力グリッドが故障したときにそれらの負荷への電力の供給を維持するために、施設内の重要負荷を独立した専用の回路遮断器パネルに配線する必要がないことである。
【0013】
施設は、AC-DCコンバータをさらに含む場合があり、AC-DCコンバータの出力は、力率制御装置付きDC-ACインバータに結合され、次いで、力率制御装置付きDC-ACインバータは、調光可能な負荷に結合される場合がある。コンバータの出力(DC)は、インバータに結合され、インバータの力率は、ACへの反転に伴って変化される場合がある。力率の変化により、調光可能な負荷によって吸収される有効電力量が低減され、それによって、全体的効率のさらなる改善がもたらされるとともに、市場参加者としての集合体の活動の一部として、消費量の低減への貢献がもたらされる。
【0014】
本発明によって提供される他の利点は、電力グリッドが作動中であり、再生可能電源が施設内で「余剰」電力を生成している場合、一般的状況下でもし可能でありかつ利益があるならば、そのような電力を電力会社に売却するのではなく、インテリジェント回路遮断器を動的に管理し、追加の負荷(例えば、充電可能なバッテリ及び電気自動車が最初に、その後ろに水泳プールのヒーター、補助温水器などが続く)を接続することで、その利用可能な「余剰」電力を消費することができる点である。
【0015】
本発明によって提供されるさらに別の利点は、構内電力制御装置によって個々の各負荷を動的に管理することにより、施設の全体的効率が改善されるとともに、施設をエネルギー市場に参加する集合体の一部として機能させることが可能になる点である。
【0016】
本発明によって提供されるさらに別の利点は、独立した従来の照明制御機器を必要とせずに、調光を含む照明制御のようなユーザ指向の機能を実施することができる点である。
【0017】
本発明によって提供されるさらに別の利点は、施設がインテリジェント回路遮断器と協働する構内電力制御装置によって動的に管理された場合、施設は、より高いレベルの機能を維持し、電力グリッドが故障したときに、それ自体がナノグリッドとして機能する点である。逆に、電力グリッドが作動中である場合、本発明は、需要価格決定構造に基づいて負荷を管理することによって、使用時間料金決定法を利用することができる。
【0018】
一般に、各構内電力制御装置は、構内(施設内)の電力消費量を複数の所定の計画に従って動的に管理するようにプログラムされている。そのような電力管理計画としては、例えば、電力グリッドが作動中であるときの「通常」計画、電力グリッドが故障したときの「緊急」計画、環境状況が再生可能電源にとって好ましいときの「再生可能好適」計画、環境状況が再生可能電源にとって好ましくないときの「再生可能不適」計画、及び、施設がアンシラリーサービス(例えば、尖頭負荷発電プラントとしての実施)の提供等を含む独立したシステムオペレータ市場に参加している集合体内で機能しなければならないときの「市場取引」計画が挙げられる。
【0019】
地域グリッドコントローラ又は他の機関が、需要を満たすために市場参加者が必要であることをアグリゲーションサーバに通知すると、アグリゲーションサーバは、WANを使用して、集合体内の構内電力制御装置に、「市場取引」又は類似の電力管理計画の開始を指示する。これに応答して、各構内電力制御装置は、施設の所有者又は他の機関によって発行された優先コマンドを受けて、適当なメッセージをインテリジェント回路遮断器に無線で送信することにより、個々の負荷を動的に切断する。切断された負荷は、集合体が市場参加者として機能している間ずっと切断されたままである場合もあれば、権限が与えられた優先コマンドによって再接続される場合もある。集合体が市場参加者として機能する必要はなくなった旨の信号をアグリゲーションサーバが受信すると、アグリゲーションサーバは、構内電力制御装置に対し、「通常の」電力管理計画又は別の適当な計画の再開を指示するメッセージを発行する。
【0020】
構内電力制御装置はさらに、電力管理関連のイベントに関する種々の通知をユーザに発行する場合がある。例えば、施設が太陽光パネルを備えており、構内電力制御装置が晴天の天気予報を受信した場合、太陽光パネルで発電されることが予測される電力を完全に使用するために、ユーザーの電子メールアドレス、携帯電話、又は他の装置に通知を送信することにより、電気自動車のプラグを差し込んで充電すること、補助温水器の電源を入れること、又は、他の動作を行うことを思い出させることができる。さらに、異常に高いエネルギーコスト又は非常に低い予測生産量の期間中は、種々の通知をユーザに発行することにより、ユーザに、確実に窓やドアが閉められた状態にすること、照明需要を低減すること、又は他の負荷を最小限に抑えることといった、使用を制限する措置をとることを思い出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下の本発明の説明では、添付の図面が参照される。
【
図1】本発明の一態様による、一群の電力消費施設が集合化され、エネルギー市場への参加のために共通に管理された電力グリッドの概略図である。
【
図2】
図1に示したクラス1施設のための電力制御システムの概略図である。
【
図3】
図1に示したクラス2施設のための電力制御システムの概略図である。
【
図4】
図1に示したクラス3施設のための電力制御システムの概略図である。
【
図6A】2つの15A/120V交流回路用インテリジェント回路遮断器のブロック図である。
【
図6B】2つの調光回路を含む、2つの15A/120V交流回路用インテリジェント回路遮断器のブロック図である。
【
図6C】
図6Bの調光回路によって実施されるタイプの正弦波調光を示す電圧-時間グラフである。
【
図7A】調光器付きインテリジェント回路遮断器と対になる標準的回路遮断器が装着された回路遮断器パネルを示す図である。
【
図7B】調光器付きインテリジェント回路遮断器と対になる標準的回路遮断器が装着された回路遮断器パネルを示す図である。
【
図7C】回路遮断器パネル内のゲートキーパートランシーバ、及び当該ゲートキーパートランシーバをインテリジェント回路遮断器に関連する無線トランシーバと相互接続する無線メッシュネットワークを示す概略図である。
【
図7D】インテリジェント回路遮断器を制御するために、構内電力制御装置に対する代替若しくは追加として、照明キーパッドを使用してもよいことを示す概略図である。
【
図8】電力監視機能を有するゲートキーパートランシーバのブロック図である。
【
図9】集合体がアンシラリーサービスを提供しているときの
図1に示したアグリゲーションサーバの高レベル動作を示すフロー図である。
【
図11A】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11B】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11C】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11D】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11E】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11F】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11G】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図11H】クラス1、クラス2、及びクラス3の施設の各々について、構内電力制御装置によって実施される高レベル制御方法を示すフロー図である。
【
図12A】構内電力制御装置がHVAC負荷を管理するためのフロー図である。
【
図12B】例示的基準点、及び
図12Aのフロー図において対処される例示的状況を示す、電力コスト-温度のグラフである。
【
図13A】構内電力制御装置が調光可能な(照明)負荷を管理するためのフロー図である。
【
図13B】例示的基準点、及び
図13Aのフロー図において対処される例示的状況を示す、電力コスト-光強度のグラフである。
【
図14】構内電力制御装置が力率制御可能な負荷を管理するためのフロー図である。
【
図15】構内電力制御装置が調光不可能な負荷を管理するためのフロー図である。
【
図16】構内電力制御装置が分流負荷を管理するためのフロー図である。
【
図17A】構内電力制御装置が電気自動車の負荷を管理するためのフロー図である。
【
図17B】電力コスト-電気自動車のバッテリ充電に必要なトリップ時間の部分のグラフである。
【
図17C】電力コスト-無効充電レベルのグラフである。
【
図18A】構内電力制御装置が仮想エネルギー価格を計算するためのフロー図である。
【
図19】ユーザ通知の種々の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、独立系統運用機関(ISO)又は地域送電機関(RTO)に関連する地域グリッドコントローラ102を含む電力グリッド100の一部を示している。地域グリッドコントローラ102は、発電所規模の間欠性(風力タービン)発電プラント106、従来の基本負荷(原子力)発電プラント108、従来の尖頭負荷(ガスタービン)発電プラント110及びアグリゲーションサーバ112の各々との間に双方向通信リンク104を有している。アグリゲーションサーバ112は、ワイドエリアネットワーク(WAN)116との間に双方向通信114を有し、さらに、ワイドエリアネットワーク(WAN)116は、集合体118の一部である各施設との間に双方向通信を有している。
【0023】
集合体118を形成している施設は、3つのクラスのうちの1つに分類することができる。クラス1施設は、太陽光電力源や他の再生可能電力源(総称して「再生可能電源」)や、大量の電力を蓄えることができるバッテリを含まないが、電力グリッド100が利用できないときに、それらの施設の一部又は全部に電力を供給することができる予備の発電装置を含む場合がある施設である。電力グリッド100が利用可能である場合、クラス1施設は通常、電力グリッド100からのみ(一方向に)電力を引き出す。
【0024】
クラス2施設は、少なくとも1つの再生可能電源を含み、場合によっては予備の発電装置をさらに含むが、大容量のバッテリを含まない施設である。クラス2施設は、再生可能電源がオフラインであるか又は施設の需要を満たすには不十分である場合、電力グリッド100から電力を引き出すが、余剰があるときは、電力グリッド100に電力を供給することができる。したがって、クラス2施設は、双方向の電力フローによって特徴付けられる。
【0025】
クラス3施設は、少なくとも1つの再生可能電源、並びに1以上の大容量のバッテリを含み、場合によっては予備の発電装置をさらに含む施設である。クラス2施設と同様に、クラス3施設は、環境条件、施設の需要及び他の要因に応じて、電力グリッド100から電力を引き出したり、電力グリッド100に電力を供給したりすることができる。以下で詳細に説明されるように、集合体118は、クラス1、クラス2及びクラス3の混合に相当する。集合体118は、電力消費の低減モデルに基づいて、エネルギー市場参加者として活動する単一のエンティティとして管理される場合がある。電力消費の低減モデルは、場合によってはバッテリからの生成と組み合わされることがある。
【0026】
図2は、クラス1施設200を示している。クラス1施設200は、例えば、再生可能電源や大容量のバッテリを何も含まないが、予備の発電装置228を含む場合がある一戸建て住宅に相当する場合がある。明確さと一貫性を向上させるために、WAN116のような先に説明した要素は、特に明記しない限り、本明細書を通して、先に割り当てられた参照符号を有するものとする。構内電力制御装置202は、無線リンク216を介して、HVAC状態制御モジュール(サーモスタット)204;インテリジェント回路遮断器222が装着された回路遮断器パネル206;調光器を含むインテリジェント回路遮断器226が装着されたサブパネル208;電気自動車(EV)充電制御装置210;及びスマート電化製品212のような種々のエネルギー制御モジュールと通信する。負荷導体220は、個々のインテリジェント回路遮断器222を、EV充電制御装置210、スマート電化製品212、電気温水器214、及び他の非照明負荷(図示せず)に接続している。導体224は、照明装置(図示せず)を、パネル206を介して、サブパネル208内に配置された個々の調光器付きインテリジェント回路遮断器226に接続している。
【0027】
無線通信リンク216は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、又は多数の他の商業上利用可能な無線技術のうちの何れかを用いて実施することができる。そのような無線通信リンクによれば、構内電力制御装置202の設置に必要なコスト及び時間が大幅に低減される。あるいは、特定の施設の設計又は特定の施設に使用される材料が無線通信を伝達しないものである場合、構内電力制御装置202並びに
図2に示した他の装置に適当なインタフェースを追加することにより、有線通信リンク(例えば、イーサネット(登録商標))を使用してもよい。
【0028】
予備の発電装置228は、導体230によって転送スイッチ232に結合されている。転送スイッチ232は、導体234によって遮断器パネル206に結合されている。転送スイッチ232は、導体218によって電力会社の電力計(図示せず)にも結合されている。電力グリッド100が故障すると、転送スイッチ232は、
図2に示した位置に移動する。これによって、予備の発電装置228は、後述するように、構内電力制御装置202によって管理される重要負荷に電力を供給することができる。有利なことに、この場合も、電力グリッド100が故障している間、構内電力制御装置202の指示の下で、重要でない負荷を切断することができる。
【0029】
一般に、構内電力制御装置202は、施設200内の電力消費を管理する責任を果たす。数ある特徴及び能力の中でも特に、構内電力制御装置202は、個々のインテリジェント回路遮断器222、226を動的に作動させて、個々の負荷を切断する責任を果たし、それによって施設200の電力消費を低減し、エネルギー市場参加者として活動している集合体に寄与する。以下に詳細に説明されるように、冗長性や負荷分散などの目的で、所与の施設内に、2以上の構内電力制御装置202が存在してもよい。
【0030】
図3は、クラス2施設300を示している。クラス2施設は、例えば、太陽光パネルアレイ(再生可能電源)302及びインバータ304を含み、予備の発電装置228をさらに含むが、大容量のバッテリを含まない一戸建て住宅に相当する場合がある。インバータ304は、導体306によって遮断器パネル206に結合されている。インバータ304は、DCをACに変換する他に、電力グリッド100(
図1)が故障して予備の発電装置228が作動されたときに、再生可能電源302を分離する働きをする内部切断機構を含む場合がある。あるいは、インバータ304と遮断器パネル206との間に、独立した切断機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0031】
2つの重要な例外を除き、他の要素はすべて、
図2に示したものと実質的に同様である。第1に、再生可能電源302が存在するため、施設300は、好ましい環境状況下で、施設300が消費するよりも多くの電力を生成することができ、その場合、電力会社の電力計(図示せず)を介して、余剰電力を電力グリッド100に供給することができる。第2に、構内電力制御装置202のプログラミングは、以下で詳細に説明されるように、再生可能電源302及びインバータ304を考慮に入れなければならない。
【0032】
図4は、クラス3施設400を示している。クラス3施設400には、バッテリ/充電制御装置402、電気自動(EV)車のバッテリ/独立型バッテリ403、及び太陽光パネル/バッテリインバータ404と共に、再生可能電源302が存在する。バッテリ/充電制御装置402は、電気自動車のバッテリ/独立型バッテリ403に結合され、それらを充電し、さらに、自動車バッテリ/独立型バッテリ403は、インバータ404に結合されている。インバータ404は、再生可能電源302又は電気自動車のバッテリ/独立型バッテリ403によるDC出力をACに変換する働きをし、ACは、導体406によって遮断器パネル206に供給される。
【0033】
転送スイッチ232は、電力グリッド100が故障したときに、遮断器パネル206を電力グリッド100(
図1)から切断するように動作する。これによって、再生可能電源302、バッテリ充電制御装置402、及びインバータ404(あるいは、予備の発電装置228)は、導体408によって特定のインテリジェント回路遮断器222に接続された重要負荷に、電力を供給することが可能になる。逆に、電力グリッド100が故障している間は、電力を節約するために、EV充電制御装置210、スマート電化製品212、及び電気温水器214のような重要でない負荷は、構内電力制御装置202から受信した1以上のメッセージに応答して、それぞれ各自のインテリジェント回路遮断器222を作動させることにより、切断される場合がある。
【0034】
AC-DCコンバータ410も図示されており、その出力は、力率制御装置付きDC-ACインバータ412に結合され、力率制御装置付きDC-ACインバータ412は、さらに、調光可能な負荷414に結合されている。AC-DCコンバータ410、及び力率制御装置付きDC-ACインバータ412は、無線通信リンク216を介して構内電力制御装置202と通信する。以下で詳細に説明されるように、コンバータ410をインバータ412と組み合わせて使用することにより、有利なことに、調光可能な負荷414により吸収される有効電力の量を低減するように力率を変更することができる。
【0035】
図5は、構内電力制御装置202のブロック図である。制御装置基盤500は、コモディティ組み込みシステムに基づく場合があり、1GBのDDR(ダブルデータレート)メモリ502、32GBのフラッシュメモリ504、プロセッサ505、及び16GBのマイクロSDHCカード506を含む。リセットボタン508は、GPIOインタフェース509に結合されている。制御装置基盤500は、USB/ミニUSBインタフェース510;イーサネット(登録商標)インタフェース512;I2Cインタフェース514;1-Wireインタフェース532;Wi-Fiモジュール524に結合されたSPIインタフェース516;4つのUARTインタフェース518(そのうちの1つはBluetooth(登録商標)モジュール522に結合される);及びLCD TFTタッチスクリーン526に結合されたRGBインタフェース520をさらに含む。三次元追跡ジェスチャ制御装置528は、タッチスクリーン526及び投影型静電容量式タッチスクリーン制御装置530に結合されており、投影型静電容量式タッチスクリーン制御装置530は、さらに、I2Cインタフェース514に結合されている。
【0036】
図2、
図3及び
図4に関連して上で説明したように、構内電力制御装置202は、Wi-Fiモジュール524又はBluetooth(登録商標)モジュール522を使用して、所与の施設内のインテリジェント回路遮断器222及び他の装置と無線通信することができる。タッチスクリーン526を使用して、種々のオンスクリーンアイコン、ボタン、制御器、メッセージ、状態情報、メニュー又は他の所望のユーザインタフェース要素(図示せず)を表示することにより、ユーザは、構内電力制御装置202を設定及び操作することができる。例えば、タッチスクリーン526は、電力管理計画を作成、修正、又は選択すること;スケジュールを作成、修正、又は選択すること;種々のシステム構成要素に関する状態情報を取得すること;個々のインテリジェント回路遮断器を接続又は切断すること;構内電力制御装置202の現在の動作を上書き又は無効化すること;及び、構内電力制御装置202を他の形で設定、修正、及び操作することに使用される場合がある。あるいは、ユーザは、スマートフォン、タブレット、又は、適当なアプリケーション及び無線ネットワーク接続機能を有する他のデバイスを使用して、構内電力制御装置202を無線で操作することができる。さらに、構内電力制御装置202は、ホームオートメーションシステムと一体化され、ホームオートメーションシステムによって制御されてもよい。
【0037】
図6Aは、
図2、
図3及び
図4に示したようなインテリジェント回路遮断器222のブロック図である。図示のように、インテリジェント回路遮断器222は、2つの15A/120V交流回路をサポートする。オンボードBluetooth(登録商標)トランシーバを有するプロセッサは、遮断器制御装置600として機能する。遮断器制御装置600は、Rigado社のBMD-200モジュール又は類似の市販の構成要素を用いて実施することができる。遮断器制御装置600は、シリアルワイヤデバッグ(SWD)コネクタ626、4Dデバッグコネクタ628、GPIOエキスパンダ610、内臓グラフィックスコントローラ604、及び電力測定デジタル信号プロセッサ(DSP)608に結合されている。電力測定DSP608は、電圧検知線638及び電流検知線640にも結合されている。
【0038】
LCD602及び16GBのマイクロSDカードは、内蔵グラフィックスコントローラ604に結合されている。一対のリレー630が、一対のねじ端子620と一対のホール効果センサ618との間にそれぞれ結合されている。一対のねじ端子620の各々は、手動で作動させることができるアーク故障遮断器のような、従来の15A/120V交流回路遮断器(図示せず)との接続点として機能する。代替として、十分な安全性を提供しつつ従来の回路遮断器の必要性を無くすために、リレーは、機械作動式スイッチとして具現化されてもよい。一対のねじ端子622の各々は、所望の負荷(図示せず)との接続点として機能する。AC-DC電源624は、インテリジェント回路遮断器226に電力を供給するために、+12VのDC及び+3.3VのDCを出力する。検知電圧及び検知電流がゼロに近いときに電力測定DSP608を使用してパルスを出力する代替として、ゼロクロス検出回路628を使用して方形波出力信号を生成し、それを遮断器制御装置600に結合してもよい。
【0039】
遮断器制御装置600は、そのオンボードBluetooth(登録商標)接続機能を使用して、他の遮断器制御装置と通信し、すべての遮断器制御装置の間に、無線メッシュネットワークを確立する。メッシュネットワークの存在により、有利なことに、遮断器パネル内の単一の遮断器制御装置、又は指定されたゲートキーパートランシーバは、構内電力制御装置(
図2)との間で通信を実施することができ、そのような通信を他のすべての遮断器制御装置に伝搬することができる。あるいは、無線メッシュネットワークは、Zigbee、Z-wave又は他の適当な技術を使用して確立されてもよい。
【0040】
LCD602は、種々の情報(例えば、回路遮断器の現在の状態、回路遮断器の設定、瞬間電力消費量、回路遮断器のゾーンのような識別子、及び診断コード)を表示するために使用される場合がある。マイクロSDカード606を使用して、電力消費量データ及び他の関心のあるデータを、そのようなデータが構内電力制御装置202に転送され、又は古くなって廃棄されるスケジュール時刻まで、記憶しておくことができる。
【0041】
電力測定DSP608は、数ある有用性の中でも、ねじ端子622に接続された各負荷について個別に瞬間電力消費を計算することができるだけでなく、指定された期間内の平均電力消費量やピーク電力消費量を計算することができる。電力測定DSP608は、電流及び電圧がゼロに近いときに、(遮断器制御装置600に結合された専用のピンZX0、ZX1に)、種々のパルスを出力するようにさらに構成される場合がある。
【0042】
電流及び電圧のゼロクロスがいつ発生するかを知ることによって、遮断器制御装置600は、確実にゼロクロスの発生と同時にのみリレー630が切り替えられる(すなわち、インテリジェント回路遮断器222が開閉される)ようにする。有利なことに、これによって、アーク放電が低減され、リレー630の耐用年数は延長される傾向がある。
【0043】
単一の30A/220V交流回路に適したインテリジェント回路遮断器は、遮断器制御装置600の代わりにRigado BMD-300モジュールを使用することを除き、
図6Aに示した種々の構成要素を使用して実施することができる。
【0044】
図6Bは、
図2、
図3及び
図4に示したような調光器付きインテリジェント回路遮断器226のブロック図である。構成要素の大半は、
図6Aに示したものと同じである。ただし、調光器付きインテリジェント回路遮断器226は、リレー630の代わりに、GPIOエキスパンダ610と2対の窒化ガリウム高電子移動度(GaN HEMT)トランジスタ636との間に結合された分離回路632を含む。トランジスタ636の各々の制御回路634は、調光器として機能する。トランジスタ636の各対は、電力測定DSP608に接続され、さらに、ホール効果センサ618のうちの一方にも結合されている。従来の調光器は、シリコンベースの電界効果トランジスタ(FET)又はトライアック(TRIAC)を利用しており、これらは両方とも、GaN HEMT構成要素よりも高いオン抵抗(R
on)を有する。したがって、従来の調光器は、所与の量の電流に対して比較的多くの熱を放散しなければならず、これは問題であり、密集した構成要素を有する回路遮断器パネルでは、危険な可能性がある。効率的に熱を放散するために、従来の調光器は、従来の遮断器パネルにはあまり適さない、又は全く適さない大きなヒートシンクを必要とする。GaN HEMT部品を調光器に使用することにより、有利なことに、大きなヒートシンクを必要とすることなく放熱の大幅な低減が達成され、それによって、所与の面積内により多くの回路を安全に詰め込むことが可能になる。
【0045】
調光機能は、
図6Dに示すように、従来の位相カット調光技術を用いて実施することができる。位相カット調光技術を使用する場合、遮断器制御装置600は、GaN HEMTトランジスタ636のオンとオフを120Hzの周波数で切り替えることができなければならない。順方向及び逆方向の位相カット調光は、ライン波形の適当な立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ付近でトランジスタを切り替えることによって実施することができる。あるいは、
図6Cに示すように、正弦波調光と呼ばれることがあるパルス幅変調調光技術を使用してもよい。正弦波調光技術を使用する場合、位相カット調光の場合と比較してGaN HEMTトランジスタ636をはるかに高い周波数(例えば、100kHz以上)で切り替えられなければならず、また、ローパスフィルタを使用して、出力正弦波から高周波を除去するとともに(すなわち、ローパスフィルタは、この高周波よりも小さいカットオフ周波数を有する)、線路周波数をほとんど減衰なく通過させることができなければならない。遮断器制御装置600がトランジスタ636に十分迅速に信号を送ることができるようにするためには、GPIOエキスパンダ610をバイパスして、遮断器制御装置600の(GPIO)を分離回路632に直接接続する必要がある場合がある。別の代替例は、アナログ又はデジタルの入力信号をパルス幅変調出力信号に変換する、フェアチャイルドセミコンダクター社のFL77944MXのようなパルス幅変調駆動回路であろう。
【0046】
次に、
図7A及び
図7Bを参照すると、回路遮断器パネル700には、調光器付きインテリジェント回路遮断器226が装着されており、各インテリジェント回路遮断器226は、一対の導体704によって一対の標準的(すなわち従来の)20A回路遮断器702に接続され、さらに負荷1、2(図示せず)にも接続されている。代替として、これらのインテリジェント回路遮断器は、従来の回路遮断器702の使用を不要にする回路遮断器パネル700のバスバー(母線)として具体化された一対の導体に接続されていてもよい。標準的回路遮断器702の各対は、それが接続される相手方の調光器付きインテリジェント回路遮断器226の上に隣接して取り付けられている。表示装置602は、各調光器付きインテリジェント回路遮断器226の前面に取り付けられている。各調光器付きインテリジェント回路遮断器226内の遮断器制御装置600は、無線リンク216を介して構内制御装置202と直接的に通信してもよいし、あるいは、メッシュネットワークを介して間接的に通信してもよい。
【0047】
図7Cは、調光器付きインテリジェント回路遮断器226が装着された回路遮断器パネル706を示している。明確さを向上させるために、通常であれば調光器付きインテリジェント回路遮断器226間のスペースを占めるであろう標準的回路遮断器は、省略されている。主遮断器718は、慣例的に、回路遮断器パネル706の上部又は下部付近に配置されている。主遮断器718は、回路遮断器パネル706の上端部に位置する開口部708を貫通する主導体218を用いて、標準的回路遮断器(図示せず)及び調光器付きインテリジェント回路遮断器226のすべてを接続/切断するように機能する。主導体218は、電力会社の電力計(図示せず)に接続されている。無線メッシュネットワーク714は、調光器付きインテリジェント回路遮断器226、及び、アンテナ716に結合されたゲートキーパートランシーバ712のすべての間に確立されている。
【0048】
(金属製の)回路遮断器パネル706によって一般に引き起こされる無線通信との干渉に起因して、ゲートキーパートランシーバ712には、無線通信リンク216を介して構内電力制御装置202(
図2)と通信する専用の役割が割り当てられる場合がある。回路遮断器パネルから突出したアンテナ716は、ゲートキーパートランシーバ712を開口部708付近に配置することと同様に、干渉を克服するのに役立つ。また、特定の環境で過度の干渉が生じる場合、調光器付きインテリジェント回路遮断器226に影響を与えることなく、ゲートキーパートランシーバ712に対して代替通信技術を選択してもよい。例えば、ゲートキーパートランシーバ712は、メッシュネットワーク714に参加するためのBluetooth(登録商標)接続機能を備えていてもよい。ただし、ゲートキーパートランシーバ712は、無線周波数(RF)トランシーバ、光トランシーバ、赤外線(IR)トランシーバ、又は、構内電力制御装置202と通信するための絶縁ワイヤリンクを備えていてもよい。
【0049】
ゲートキーパートランシーバ712は、主導体218における総電力消費量(又は余剰電力)を測定するための電力監視機能をさらに含む場合がある。変流器(CTとも呼ばれる)710は、各主導体218に結合され、さらにゲートキーパートランシーバ712にも結合されている。
図8において最もよく分かるように、ゲートキーパートランシーバ712は、インテリジェント回路遮断器222(
図6A)と同じ多数の構成要素を含むことができる。さらに、Bluetooth(登録商標)低エネルギーモジュール800によれば、メッシュネットワーク714に参加するとともに、構内電力制御装置202と通信するための機能が得られる。電力測定DSP608は、電源624(電圧検知線)だけでなく変流器710(電流検知線)にも結合されており、これによって、主導体218における総電力消費量(又は余剰電力)の計算が可能になる。
【0050】
図7Dは、構内電力制御装置202に対する代替又は追加として、施設内で照明制御キーパッドを使用することにより、インテリジェント回路遮断器222又は調光器付きインテリジェント回路遮断器226を介してユーザ指向の種々の機能を実施することができる施設を示している。無線照明制御キーパッド722は、多数のベンダーから市販されている。無線照明制御キーパッド722を施設内の様々な場所に配置することにより、ランプ724又は他の照明器具(図示せず)を制御することができる。ランプ724は、導体728によって、調光器付きインテリジェント回路遮断器226に、それぞれ接続されている。
【0051】
一般に、各無線照明制御キーパッド722は通常、本明細書に記載される構内電力制御装置202によって実行されるものと同じソフトウェアの一部又は全部を実行することができるプロセッサ又はマイクロコントローラなどを含む。さらに、各無線照明制御キーパッド722は通常、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)のような無線ネットワーク接続機能を有している。そのようなネットワーク接続機能を使用して、キーパッド722は、インテリジェント回路遮断器222又は調光器付きインテリジェント回路遮断器226との間に、無線通信リンク730を確立することができる。したがって、構内電力制御装置202の代わりに、又は構内電力制御装置202と併せて無線照明制御キーパッド722の何れかを使用して、ランプ724(又は他の照明負荷)をオン又はオフすること、並びにそれらのランプを調光することができる。
【0052】
図9は、アグリゲーションサーバ112(
図1)の高レベル動作を示している。ステップ900で、アグリゲーションサーバ112は、地域グリッドコントローラISO/RTO102から、電力を供給するためのメッセージを受信する。次に、ステップ902で、アグリゲーションサーバ112は、集合体内の各施設に関連する構内電力制御装置202と通信することにより、集合体118内でどれだけの負荷低減及びバッテリ貯蔵が利用可能であるかを判定する。次に、アグリゲーションサーバ112は、ステップ904に進み、ステップ902で収集された情報に基づき、施設のクラス、負荷仕様、及び地理的位置(例えば、特定の施設のプロファイル)に基づいて、特定の施設及び負荷に優先順位を付ける。
【0053】
次に、ステップ906で、アグリゲーションサーバ112は、集合体118内の各構内電力制御装置202にメッセージを送信することにより、その構内電力制御装置202が有する「市場取引」電力管理計画を実行する。一般に、所与の構内電力制御装置202が、自らが有する「市場取引」計画を実行すると、それによって、施設内の特定の負荷は、「取り除かれ」又は切断される(関連するインテリジェント回路遮断器を作動させることにより)。その結果、大きな貯蔵容量のバッテリを含むクラス3施設は、電力グリッドに電力を供給するために、そのようなバッテリを接続することができる。次に、ステップ908で、アグリゲーションサーバ112は、ISO市場規則に従って、デマンドレスポンス低減曲線を実施する。
【0054】
図10は、構内電力制御装置202(
図5)と、インテリジェント回路遮断器222(
図6A)又は調光器付きインテリジェント回路遮断器226(
図6B)との間の種々の例示的通信を示している。ステップ1000で、インテリジェント回路遮断器222及び226の各々は、リセットオフ状態にあり、その後、ステップ1002で、それらのインテリジェント回路遮断器の各々の初期化が行われる。ステップ1004では、初期化されたインテリジェント回路遮断器222及び226の各々が、構内電力制御装置(PPC)202からのクエリを待つ。クエリを受信すると(例えば無線リンク216を介して)、そのクエリに含まれるアドレスと、そのクエリを受信したインテリジェント回路遮断器222又は226に関連するアドレスとの間の比較を行う。アドレスが一致しない場合、インテリジェント回路遮断器222、226は、ステップ1004で次のクエリを待ち続ける。アドレスが一致した場合、ステップ1008で、クエリが制御コマンドを含むか否かに関する判定を行う。クエリが制御コマンドを含む場合、インテリジェント回路遮断器222、226は、自らが有するリレー630(
図6A)又は調光器634、636(
図6B)を、受信した制御コマンドに適合するように設定し、ステップ1012で、確認応答を構内電力制御装置202に送信する。動作中、インテリジェント回路遮断器は、負荷の瞬時電力消費量を所定の間隔で構内電力制御装置に送信する。
【0055】
あるいは、ステップ1008の判定の結果、制御コマンドを受信しなかったことが分かった場合、ステップ1014で、インテリジェント回路遮断器222、226は、自らの電力読み取り状態を調べる。ステップ1016の判定で、その状態が最後の既知の状態と比較して変化していた場合、ステップ1018で、インテリジェント回路遮断器222、226は、自らの電力読み取り値を構内電力制御装置に送信し、その後ステップ1020で、構内電力制御装置からの確認応答を待つ。ステップ1016において、電力読み取り状態に変化がないことが判明した場合、インテリジェント回路遮断器222、226は、ステップ1022で、変化なしの指示を構内電力制御装置1022に送信し、その後ステップ1024で、構内電力制御装置からの確認応答を待つ。
【0056】
図11A~
図11Hは、クラス1施設、クラス2施設、及びクラス3施設の各々について、構内電力制御装置202によって実施される高レベル制御方法を示している。方法は、ステップ1100から開始され、続いて、ステップ1101で、構内電力制御装置202は、(例えば、無線発見サービスを使用して)施設内の別の構内電力制御装置202の探索を開始する。続いて、ステップ1103で遅延が導入される。次に、ステップ1105で、同報通信する構内電力制御装置が発見されたか否かの判定が行われる。同報通信する構内電力制御装置が発見されなかった場合、制御フローはステップ1107へ進み、そこで、存在する唯一の構内電力制御装置202が同報通信を開始する。続いて、構内電力制御装置202が配置された施設(システム)がクラス1施設であるか否かを判定する第1の判定ステップ1102が行われる。当該施設がクラス1施設であれば、制御フローはステップ1104(
図11C)へ進む。当該施設がクラス1施設でなければ、判定ステップ1106で、当該施設がクラス2施設であるか否かが判定され、当該施設がクラス2施設であれば、制御フローはステップ1108(
図11D)へ進む。当該施設がクラス2施設でなければ、判定ステップ1110で、当該施設がクラス3施設であるか否かが判定され、当該施設がクラス3施設であれば、制御フローはステップ1112(
図11F)へ進む。
【0057】
ステップ1110で、当該施設がクラス3施設ではないと判定された場合、制御フローはステップ1109へ進み、そこで、構内電力制御装置202に対し、現在の仮想エネルギー価格のクエリ(問い合わせ)を行う。本明細書において、用語「仮想エネルギー価格」は、エネルギーの相対的希少性又は豊富さの代用情報として役立つ価値を指して使用される。所定の施設内の負荷又はエネルギー源に関連する各活動は、仮想エネルギー価格に対するしきい値とスケーリングファクタの何れかに関連している。仮想エネルギー価格に基づくシステムは、その最も単純な形式化として、一時的使用(例えば、最近の使用)に基づく負荷の選択が可能であるとともに、離散的遷移と滑らかな遷移の両方が可能な(すなわち、電力の消費又は生産を滑らかに遷移可能かつ離散的に遷移可能な)負荷又はエネルギー源の優先順位リストを実施することができる。より洗練された実施形態では、そのようなシステムは、エネルギー市場の全活動をモデル化することができる。
【0058】
公共エネルギー市場で一般的なものと同じ単位及び同程度の数量を選択することによって、ユーザーは、自分の優先順位を一度、実際のドルに換算して指定することが可能である。施設がエネルギーに対して市場価格を支払う場合、電力グリッドを利用することができ、市場価格は、アグリゲーションサーバ112によって提供される。このことは、ユーザにとって特に意味がある。場合によっては、仮想エネルギー価格は、システムリソースの効率的管理に必要な種々の活動を実施するために計算され、公共市場のエネルギーコストとは何らの関係も有しないことがある。
【0059】
仮想エネルギー価格を計算する代わりに、ステートマシンを実施してもよい。ステートマシンは、ルックアップテーブル又は他のデータ構造にアクセスして、値を取得する。この値は、本明細書に記載された目的のための適当な参照情報又は代用情報である。
【0060】
次に、ステップ1111で、仮想エネルギー価格が通知しきい値を上回っているか否かの判定が行われる。仮想エネルギー価格が通知しきい値を上回っていなければ、制御フローはステップ1102にループバックする。仮想エネルギー価格が通知しきい値を上回っていれば、これは、ユーザ通知を送信しなければならないことを意味し、制御フローはステップ1113(
図19)へ進む。
【0061】
ステップ1105を再び参照すると、(第2の)同報通信する構内電力制御装置202が発見された場合、制御フローは、ステップ1115へ進み、そこで、発見された(マスター)構内電力制御装置202と、このステップを実施している(従属)構内電力制御装置202との間に、無線通信が確立される。次に、ステップ1117で、従属構内電力制御装置202は、自らに取り付けられた任意のセンサから測定値を取得する。続いて、ステップ1119で、従属構内電力制御装置202は、ユーザ入力を収集する。次に、ステップ1121で、従属構内電力制御装置202は、自らのセンサ測定値及びユーザ活動をマスター構内電力制御装置202に送信することを試みる。
【0062】
ステップ1123では、マスター構内電力制御装置に対して試みた送信が失敗したか否かの判定がなされる。送信が失敗した場合、制御フローはステップ1101にループバックする。送信が失敗しなかった(つまり、送信は成功した)場合、制御フローはステップ1125へ進み、そこで、従属構内電力制御装置202は、マスター構内電力制御装置202からのシステム状態及び保留中のコマンドの読み出しを試みる。次に、ステップ1127で、試みた読み出しが失敗したか否かの判定がなされる。読み出しが失敗した場合、制御フローはステップ1101にループバックする。読み出しが失敗しなかった(つまり、読み出しは成功した)場合、制御フローはステップ1129へ進み、そこで、従属構内電力制御装置202は、先に読み出されたシステム状態に従って自己のユーザインタフェース更新し、新たなコマンドを実行する。ステップ1121で送信が失敗した場合、又はステップ1125で受信が失敗した場合、マスター構内電力制御装置202は、取り外された、電源を落とされた、又は故障したものとみなされ、ステップ1101で、新たな制御装置の選択が行われる。このようにして、所与の施設内で複数の冗長的な構内電力制御装置202を動作させることができる。
【0063】
次に、
図11C(クラス1施設)を参照すると、ステップ1114で、構内電力制御装置202は、公共電力グリッド100(
図1)が利用可能であるか否かを判定する。利用可能ではない場合、ステップ1126で、(予備の)発電装置228(
図2)が利用可能であるか否かの判定がなされる。予備の発電装置が利用可能でない場合、制御フローは
図11Aに戻る。予備の発電装置228が利用可能である場合、ステップ1128で、構内電力制御装置202は、予備の発電装置がオンであるか否かを判定する。予備の発電装置がオンではない場合、ステップ1130で、構内電力制御装置202は、予備の発電装置をオンにし、その後、制御フローは
図11Aに戻る。ステップ1128において構内電力制御装置202が、予備の発電装置はオンであると判定した場合、制御フローはステップ1132(
図18A)へ進み、仮想エネルギー価格を確立した後、ステップ1124(
図11H)へ進む。
【0064】
ステップ1114において構内電力制御装置202が、公共電力グリッド100は利用可能であると判定した場合、制御フローはステップ1116へ進み、そこで、エネルギー価格データが利用可能であるか否かが判定される。エネルギー価格データは、アグリゲーションサーバ112又は他の外部情報源によって、WAN116を介して、構内電力制御装置202に供給される場合がある。エネルギー価格データが利用可能である場合、制御フローはステップ1124(
図11H)へ進む。エネルギー価格データが利用可能ではない場合、制御フローはステップ1118へ進み、そこで、構内電力制御装置202がアグリゲーションサーバ112から、集合体118がエネルギー市場の参加者として活動し、又はそのように活動する準備をしているという明示的コマンド(メッセージ)を受信したか否かの判定がなされる。そのようなコマンドは、集合体118がエネルギー市場参加者の規制要件を満たすために、構内電力制御装置202が、施設内の負荷を低減する準備をしなければならないことを意味している。そのようなコマンドを受信した場合、制御フローはステップ1120へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、構内電力消費量をシミュレートすることにより、市場参加者として活動する集合体118の要件を満たす仮想エネルギー価格を見つける。
【0065】
判定ステップ1118において、明示的コマンドがアグリゲーションサーバ112から受信されなかった(つまり、集合体118が現在、市場参加者として活動する必要はない)場合、制御フローはステップ1122へ進み、そこで、仮想エネルギー価格は、デフォルト値に設定される。そして、制御フローは、ステップ1124(
図11H)に進む。
【0066】
次に、
図11D(少なくとも1つの再生可能電源及び予備の発電装置を含むが、大容量のバッテリを含まないクラス2施設)を参照すると、ステップ1133で、構内電力制御装置202は、公共電力グリッド100(
図1)が利用可能であるか否かを判定する。公共電力グリッド100が利用可能ではない場合、制御フローはステップ1134へ進み、そこで、単独運転インバータ/製品が利用可能であるか否かの判定がなされる。単独運転インバータ/製品が利用可能でなければ、制御フローは
図11Aに戻る。単独運転インバータ/製品が利用可能であれば、制御フローはステップ1132へ進み、仮想エネルギー価格を計算する(
図18A)。次に、ステップ1138で、構内電力制御装置202は、計算された仮想エネルギー価格を、予備の発電装置のオンしきい値と比較する。計算された仮想エネルギー価格が予備の発電装置のオンしきい値よりも大きい(つまり、予備の発電装置を運転することが経済的である)場合、制御フローは、ステップ1140で、発電装置の最小オフ時間が経過したか否かを判定する。発電装置の最小オフ時間が経過していた場合、ステップ1142で、構内電力制御装置202は、予備の発電装置(再生可能ではない電源)をオンにし、その後、制御フローは、ステップ1124(
図11H)に進む。
【0067】
ステップ1138で、計算された仮想エネルギー価格が予備の発電装置のオンしきい値以下である場合、又は、ステップ1140で、予備の発電装置の最小オフ時間がまだ経過していない場合、制御フローはステップ1144へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、計算された仮想エネルギー価格が予備の発電装置のオフしきい値よりも小さいか否かを判定する。ヒステリシスを付与するために、予備の発電装置のオンしきい値とオフしきい値は、異なっており、それによって、予備の発電装置がオンとオフを繰り返す状態が回避される。計算された仮想エネルギー価格が予備の発電装置のオフしきい値よりも小さい場合、構内電力制御装置202は次に、ステップ1146で、発電装置の最小オン時間が経過したか否かを判定し、発電装置の最小オン時間が経過していた場合、ステップ1148へ進み、予備の発電装置をオフにする。ステップ1144で、計算された仮想エネルギー価格が予備の発電装置のオフしきい値以上である場合(すなわち、それらがヒステリシス帯域内で等しい場合)、又は、ステップ1146で、予備の発電装置の最小オン時間がまだ経過していない場合、制御フローは、ステップ1124へ進む。
【0068】
ステップ1133を再び参照すると、公共電力グリッド100が利用可能である場合、制御フローはステップ1150へ進み、そこで、施設にサービスを提供している公益事業会社が電力の純生産量に対して料金を支払うか否かが判定される。公益事業会社が電力の純生産量に対して料金を支払わない場合、制御フローはステップ1152へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、当日の構内電力生産量を予測し、続いてステップ1154で、仮想エネルギー価格を、公益事業会社によって課される料金に設定する。
【0069】
次に、ステップ1156で、構内電力制御装置202は、仮想エネルギー価格及び予測を使用して、構内電力消費量をシミュレートする。シミュレーションに基づき、次の24時間以内に純電力生産量が見込まれない(すなわち、施設内の電力生産量がすべて消費されるであろう)場合、制御フローは、ステップ1124(
図11H)に進む。あるいは、ステップ1158において、次の24時間以内に純電力生産が見込まれる場合、ステップ1160で、仮想エネルギー価格を減少させる(すなわち、施設に余剰電力が見込まれるため、仮想エネルギー価格を減少させる)。ステップ1162で、(減少された)仮想エネルギー価格が最小であるか否かが判定される。最小でなければ、制御フローは、仮想エネルギー価格が最小に達するまで、ステップ1156、1158、1160及び1162を通ってループし、仮想エネルギー価格は、繰り返し低下される。仮想エネルギー価格が最小に達すると、制御フローは、ステップ1124に進むことができる。
【0070】
ステップ1150を再び参照すると、施設にサービスを提供している公益事業会社が電力の純生産量に対して料金を支払う場合、制御フローはステップ1164へ進み、そこで、エネルギー価格データが利用可能であるか否かの判定が行われる。エネルギー価格データが利用可能であれば、制御フローはステップ1124へ進む。エネルギー価格データが利用可能でなければ、ステップ1166で、アグリゲーションサーバ112から明示的コマンド(メッセージ)を受信したか否かの判定が行われる。明示的コマンド(メッセージ)を受信していない場合、つまり、集合体118が現在、市場参加者として活動する必要はない場合、制御フローはステップ1170へ進み、そこで、仮想エネルギー価格をデフォルト値に設定し、その後、制御フローはステップ1124へ進む。ステップ1166で、アグリゲーションサーバ112からコマンドを受信した場合(つまり、集合体118が市場参加者として活動する必要があり、構内電力制御装置202が、負荷を低減する必要がある場合)、ステップ1168で、構内電力制御装置202は、構内電力消費量をシミュレートし、市場参加者として活動する集合体118の要件を満たす仮想価格を見つける。
【0071】
次に、
図11F及び
図11G(少なくとも1つの再生可能電源並びに1以上の大容量のバッテリを含み、さらに予備の発電装置を含むクラス3施設)を参照すると、構内電力制御装置202は、ステップ1172で、公共電力グリッド100(
図1)が利用可能であるか否かを判定する。公共電力グリッド100が利用可能ではない場合、制御フローはステップ1174へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、仮想エネルギー価格を使用して構内電力消費量をシミュレートする。ステップ1174の分岐と同時に、ステップ1191が実施される。ステップ1191では、バッテリ容量が最小充電状態よりも大きい間、バッテリ充電/放電が負荷/供給に追従する。ステップ1176では、次の24時間以内にバッテリ枯渇が予測されるか否かの判定がなされる。次の24時間以内にバッテリ枯渇が起こるか否かが不明確である場合、制御フローは、ステップ1124(
図11H)に進む。
【0072】
次の24時間以内にバッテリ枯渇が発生するであろう場合、制御フローはステップ1178へ進み、そこで、仮想エネルギー価格を増加させる(すなわち、施設の電力不足が予測されるので、仮想エネルギー価格を増加させる)。次に、ステップ1180で、(増加された)仮想エネルギー価格が発電装置のオンしきい値よりも大きいか否かが判定される。(増加された)仮想エネルギー価格が発電装置のオンしきい値よりも大きくなければ、制御フローはステップ1124へ進む。(増加された)仮想エネルギー価格が発電装置のオンしきい値よりも大きければ、制御フローはステップ1182へ進み、発電装置がオフであり、最小オフ時間が経過していれば、発電装置(再生可能ではない電源)をオンにし、続いて、制御フローは、ステップ1124に進む。
【0073】
ステップ1176を再び参照すると、次の24時間以内にバッテリ枯渇が予測されない場合、制御フローはステップ1184へ進み、そこで、次の24時間以内にバッテリ超過が予測されるか否かの判定が行われる。次の24時間以内にバッテリ超過が予測されなければ、制御フローはステップ1124へ進む。次の24時間以内にバッテリ超過が予測される場合、制御フローはステップ1186へ進み、仮想エネルギー価格が減少される。これは、施設に予測される余剰電力があることを表している。次に、ステップ1188で、仮想エネルギー価格が発電装置オフしきい値よりも小さいか否かの判定が行われる。仮想エネルギー価格が発電装置オフしきい値よりも小さくなければ、制御フローはステップ1124へ進む。仮想エネルギー価格が発電装置オフしきい値よりも小さければ、ステップ1190で、構内電力制御装置202は、発電装置がオンであり、最小運転時間が経過している場合、発電装置をオフにする。
【0074】
ステップ1172を再び参照すると、公共電力グリッド100が利用可能であれば、制御フローはステップ1192へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、予測時間-コスト曲線の先読みを実施する。次に、ステップ1194で、予測時間-コスト曲線上の次のピークが正であるか、それとも負であるかを判定する。負のピークが予測される場合、制御フローはステップ1196へ進み、そこで、充電をすぐに開始すれば、充電サイクル中に発生するコストが最小になるか否かの判定が行われる。充電をすぐに開始しても充電サイクル中に発生するコストが最小にならない場合、制御フローはステップ1124へ進む。充電をすぐに開始すれば充電サイクル中に発生するコストが最小になる場合、制御フローはステップ1198へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、バッテリ充電の開始を許可し、続いて、制御フローはステップ1124へ進む。
【0075】
ステップ1194で、もし正のピークが予測される場合、制御フローはステップ1200へ進み、そこで、バッテリ放電をすぐに開始すれば、売却収益から購入コストを引いたものと、バッテリ効率との積が、最小運転利益よりも大きくなる(すなわち、放電によって、設備の摩耗を正当化する最小限の利益が生み出される)か否かの判定がなされる。積が最小運転利益よりも大きくなる場合、制御フローはステップ1205へ進み、そこで、バッテリ放電をすぐに開始すれば、売買効率が最小運転利益よりも大きくなるか否かの判定がなされる。バッテリ放電をすぐに開始すれば売買効率が最小運転利益よりも大きくなる場合、制御フローはステップ1204へ進み、バッテリ放電を開始する。バッテリ放電をすぐに開始しても売買効率が最小運転利益よりも大きくならない場合、制御フローはステップ1202へ進み、そこで、市場参加者として活動するための明示的コマンド(メッセージ)をアグリゲーションサーバ112から受信したか否かの判定がなされる。明示的コマンド(メッセージ)をアグリゲーションサーバ112から受信した場合、制御フローはステップ1204へ進み、バッテリ放電を開始する。明示的コマンド(メッセージ)をアグリゲーションサーバ112から受信していない場合、制御フローはステップ1124へ進む。
【0076】
図11Hは、
図11C、
図11E及び
図11Gの各々と論理的に接続されている。ステップ1124に続いて、ステップ1206では、構内電力制御装置202の制御下で処理すべき負荷がまだ残っている否かが判定される。処理すべき負荷が残っていなければ、制御フローは、
図11Hの方法の呼び出し元のポイントまで戻る。処理すべき負荷が残っていれば、制御フローはステップ1208へ進み、そこで、検討中の負荷がHVACシステムであるか否かの判定がなされる。検討中の負荷がHVACシステムであれば、制御フローはステップ1220(
図12A)へ進む。検討中の負荷がHVACシステムでなければ、ステップ1210で、その負荷が調光可能であるか否かの判定がなされ、調光可能であれば、制御フローはステップ1222(
図13A)へ進む。
【0077】
負荷が調光可能でなければ、ステップ1211で、その負荷が、力率(PF)を制御することによって、負荷によって吸収される有効電力量を低減することができるタイプのものであるか否かの判定がなされる。負荷がそのようなタイプのものであれば、制御フローはステップ1213(
図14)へ進む。負荷がそのようなタイプのものでなければ、制御フローはステップ1212へ進み、そこで、その負荷が調光不可能か否かの判定がなされ、調光不可能であれば、制御フローはステップ1224(
図15)へ進む。調光不可能でなければ、ステップ1214で、その負荷が分流負荷であるか否かの判定がなされ、分流負荷であれば、制御フローはステップ1226(
図16)へ進む。分流負荷でなければ、ステップ1216で、その負荷が電気自動車であるか否かの判定がなされ、電気自動車であれば、制御フローはステップ1228(
図17A)へ進む。ステップ1218で、その負荷は、管理されていない負荷であるものと判定されるが、負荷の電力消費量は、依然として測定(例えば、負荷が接続されたインテリジェント回路遮断器により)される場合がある。
【0078】
図12Aは、構内電力制御装置がHVAC負荷を管理する方法を示している。ステップ1230では、構内電力制御装置202が、施設内のゾーン温度を測定する。そのような測定は、例えば、上述のように、構内電力制御装置202に接続された温度センサを使用して行うことができる。次に、ステップ1232で、まだ入手していなければ、グローバル仮想エネルギー価格のクエリを行う。グローバル仮想エネルギー価格は、先のロジックにより計算されている場合がある。測定された温度及び計算されたグローバル仮想エネルギー価格を使用して、
図12Bのグラフ上の点が探索される。ステップ1236では、その点がそのグラフのコスト-温度曲線Dよりも上にある(例えば、
図12Bに参照文字Gで示される点)か否かの判定がなされる。もしその点がコスト-温度曲線Dよりも上にある場合、制御フローはステップ1238へ進み、そこで、エネルギー使用が正当化されないため、何の活動も行われないことが示され、その後、
図11Hに戻る(すなわち、HVAC負荷は、作動されない)。
【0079】
一方、ステップ1236で、上記点がコスト-温度曲線Dよりも下にある(例えば、
図12Bに参照文字E又はHで示された点)と判定された場合、制御フローはステップ1240へ進み、そこで、HVAC最小運転時間(MRT:Minimum Run Time)中に、ゾーン温度がユーザ定義設定値(
図12Bに参照文字Aで示される)を横切ることになるか否かの判定がなされる。ユーザ定義設定値を横切ることになる場合、これは、HVACシステムの最小運転時間が、ゾーン温度を過度に増加又は減少させるものであることを意味し、制御フローは
図11Hに戻る。
【0080】
HVACシステムの最小運転時間中に、ゾーン温度がユーザ定義設定点を横切ることにならない場合、ステップ1242で、HVACシステムの最小オフ時間が経過したか否かが判定される。HVACシステムの最小オフ時間が経過していなければ、これは、HVACシステムを再び運転するには早すぎるということを意味し、制御フローは再び
図11Hに戻る。HVACシステムの最小オフ時間が経過していれば、制御フローはステップ1244へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、如何なるシステム制約をも遵守しつつ、関心のある点を曲線Dの上に移動させる軌道を計算する。許容可能な軌道は、少なくともHVACシステムの最小オフ時間にわたって、関心のある点を曲線Dの上に維持する。その後、ステップ1246において、HVACシステム動作が、ステップ1244で計算された軌道の持続時間にわたってスケジュールされる。
【0081】
図13Aは、構内電力制御装置202が調光可能な(照明)負荷を管理する(例えば、負荷の電力レベルを設定する)方法を示している。(
図11Hの)ステップ1222の後、制御フローはステップ1300へ進み、そこで、上述のように、グローバル仮想エネルギー価格のクエリが行われる。次に、ステップ1302で、構内電力制御装置202は、コスト-光強度曲線(
図13Bに参照文字Cで示される)上の最近点(複数可)を見つける。その後、ステップ1304では、ステップ1302で2以上の最近点が返されたか否かが判定される。2以上の最近点が返されなかった場合、制御フローはステップ1308へ進み、そこで、その単一の最近点(ス
ケーラー値)に、ステップ1310でユーザ設定強度値を乗算し、最終的な照明強度を生成する。あるいは、ステップ1304で、2以上の最近点が返された場合、制御フローはステップ1306へ進み、そこで、キュービック補間を使用して、単一の補間最近点を求める。この補間最近点は、ステップ1310の乗算に使用される。ステップ1310の後、制御フローは
図11Hに戻る。
【0082】
図14は、構内電力制御装置202が、制御可能な力率(PF)を有する負荷を、負荷によって消費される有効電力量を低減するように管理する方法を示している。ステップ1213に続いて、制御フローはステップ1215へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、力率制御装置を初期化する。力率制御装置は、例えば、AC-DCコンバータ410と、力率制御装置付きDC-ACインバータ412との組み合わせによって表される場合がある(
図4)。次に、ステップ1217で、構内電力制御装置202は、電力読み取り状態、及び負荷の現在の力率(PF)を調べる。これに続いて、ステップ1219では、検索により、その負荷が処理できる最小の力率(PF)を判定する。ステップ1221では、この最小の力率(PF)に従って(低減されたPF)を設定し、それによって、負荷によって消費される有効電力量を減少させる。ステップ1221の後、制御フローは
図11Hに戻る。
【0083】
図15は、構内電力制御装置202が、調光不可能な負荷を管理する方法を示している。ステップ1224に続いて、制御フローはステップ1400へ進み、そこで、上述のように、グローバル仮想エネルギー価格のクエリを行う。ステップ1402では、グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っているか否かの判定が行われる。グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っている場合、制御フローはステップ1404へ進み、そこで、関心のある調光不可能な負荷の最小オン時間が経過したか否かの判定がなされる。最小オン時間が経過していた場合、ステップ1406で、調光不可能な負荷を切断し(すなわち、構内電力制御装置202は、その負荷に接続されたインテリジェント回路遮断器を作動させる)、タイマー(最小オフ時間)をセットした後、制御フローは、
図11Eに戻る。あるいは、ステップ1404で、関心のある調光不可能な負荷の最小オン時間がまだ経過していない場合、制御フローは、
図11Hに戻る。
【0084】
ステップ1402で、グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っていなかった場合、制御フローはステップ1408へ進み、そこで、グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っているか否かの判定が行われる。グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っていなければ、制御フローは
図11Hに戻る。グローバル仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っていた場合、制御フローはステップ1410へ進み、そこで、調光不可能な負荷の最小オフ時間が経過したか否かの判定がなされる。調光不可能な負荷の最小オフ時間が経過していなければ、制御フローは
図11Hに戻る。調光不可能な負荷の最小オフ時間が経過していれば、ステップ1412で、調光不可能な負荷は接続され、タイマー(最小オン時間)がセットされた後、制御フローは
図11Hに戻る。
【0085】
図16は、構内電力制御装置202が分流負荷を管理する方法を示している。ステップ1226に続いて、制御フローはステップ1500へ進み、そこで、上述したようにグローバル仮想エネルギー価格のクエリを行う。次に、ステップ1501で、負荷がシステムに現在接続されているか否かの判定が行われる。負荷がシステムに現在接続されていない場合、制御フローはステップ1503へ進み、そこで、その仮想エネルギー価格がユーザ通知しきい値を下回っているか否かの判定がなされる。仮想エネルギー価格がユーザ通知しきい値を下回っていない場合、制御フローは
図11Hに戻る。仮想エネルギー価格がユーザ通知しきい値を下回っている場合、制御フローは、ステップ1113(
図19)へ進む。
【0086】
ステップ1501を再び参照すると、負荷がシステムに現在接続されていると判定された場合、制御フローはステップ1502へ進み、そこで、仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っているか否かの判定が行われる。仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っている場合、ステップ1504で、分流負荷の最小オン時間が経過したか否かの判定がなされる。最小オン時間が経過していない場合、制御フローは
図11Hに戻る。最小オン時間が経過している場合、ステップ1506で、分流負荷は切断され、タイマー(最小オフ時間)がセットされた後、制御フローは
図11Hに戻る。
【0087】
ステップ1502で、仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を上回っていない場合、制御フローはステップ1508へ進み、そこで、仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っているか否かの判定が行われる。仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っていなければ、制御フローは
図11Hに戻る。仮想エネルギー価格がユーザ設定しきい値を下回っている場合、制御フローはステップ1510へ進み、そこで、分流負荷の最小オフ時間が経過したか否かが判定される。分流負荷の最小オフ時間が経過していなければ、制御フローは
図11Hに戻る。分流負荷の最小オフ時間が経過していれば、
図11Hに戻る前にステップ1512で、構内電力制御装置202は、分流負荷を接続し、タイマー(最小オン時間)をセットする。
【0088】
図17Aは、構内電力制御装置が、電気自動車の負荷の充電を管理する方法を示している。ステップ1228に続いて、ステップ1599では、負荷がシステムに正しく接続されているか否か(すなわち、電気自動車がその充電制御装置に正しく接続されているか否か)の判定が行われる。負荷がシステムに正しく接続されていない場合、制御フローはステップ1601へ進み、そこで、仮想エネルギー価格が通知しきい値を下回っているか否かが判定される。仮想エネルギー価格が通知しきい値を下回っていなければ、制御フローは
図11Hに戻る。仮想エネルギー価格が通知しきい値を下回っていれば、制御フローはステップ1113(
図19)へ進む。
【0089】
ステップ1599で、負荷がシステムに正しく接続されていると判定された場合、制御フローはステップ1600へ進み、そこで、ユーザが充電サイクルを要求したか否かが判定される。ユーザが充電サイクルを要求した場合、制御フローはステップ1610へ進み、そこで、電気自動車は充電を開始し、その後、
図11Hに戻る。ユーザが充電サイクルを要求していない場合、制御フローはステップ1602へ進み、そこで、次の24時間以内にトリップがスケジュールされているか否かの判定が行われる。次の24時間以内にトリップがスケジュールされていない場合、制御フローはステップ1606へ進み、そこで、グローバル仮想エネルギー価格が、
図17Cに参照文字Cで示した無効充電レベル-コスト曲線よりも低いか否かの判定がなされる。グローバル仮想エネルギー価格が無効充電レベル-コスト曲線よりも低い場合、制御フローは、この場合もステップ1610へ進み、充電を開始する。グローバル仮想エネルギー価格が無効充電レベル-コスト曲線よりも低くない場合、制御フローはステップ1608へ進み、そこで、電気自動車のバッテリ充電サイクルが、公共電力グリッド(PPG)によって供給される最小エネルギー価格期間をカバーするか否かが判定される。電気自動車のバッテリ充電サイクルが、公共電力グリッド(PPG)によって供給される最小エネルギー価格期間をカバーする場合、制御フローは、この場合もステップ1610へ進み、充電を開始する。電気自動車のバッテリ充電サイクルが、公共電力グリッド(PPG)によって供給される最小エネルギー価格期間をカバーしない場合、制御フローは
図11Hに戻る。ステップ1602で、次の24時間以内にトリップがスケジュールされていると判定された場合、制御フローはステップ1604へ進み、そこで、トリップの時間にわたって、グローバル仮想エネルギー価格が
図17Bに参照文字Cで示した充電欠乏-コスト曲線よりも低いか否かの判定が行われる。トリップの時間にわたって、グローバル仮想エネルギー価格が充電欠乏-コスト曲線よりも低い場合、制御フローは、この場合もステップ1610へ進み、充電を開始する。トリップの時間にわたって、グローバル仮想エネルギー価格が充電欠乏-コスト曲線よりも低くはない場合、制御フローは、上述したようなステップ1606へ進む。
【0090】
図18Aは、所与の施設について、グローバル仮想エネルギー価格を計算する方法を示している。ステップ1700で、施設内の総瞬間発電容量の測定が行われる。すなわち、再生可能電源と再生可能でない電源とを含む施設によって生成される利用可能な総エネルギーの測定が行われる。次に、ステップ1702で、管理された負荷と管理されていない負荷とによる施設内の総瞬間エネルギー需要を測定する。次に、制御フローはステップ1704へ進み、そこで、総瞬間発電容量のうちの施設に現在必要とされる部分の計算を行う。次に、ステップ1706で、
図18Bの参照文字Cで示した供給コスト伝達関数を使用して、グローバル仮想エネルギー価格を設定する。すなわち、
図18Bの横軸に沿って、総瞬間発電容量のうちの計算された部分の位置を探索し、次いで、この位置を使用して(伝達関数上の)対応する点を探索する。この点の縦座標が、グローバル仮想エネルギー価格である。
【0091】
図19は、所与の施設に関するユーザ通知を発行する方法を示す図である。ステップ1113に続いて、制御フローはステップ1800へ進み、そこで、構内電力制御装置202は、呼び出し元から現在の通知コンテキストを取得する。次に、ステップ1802で、調整時間帯内にこの通知若しくは類似の通知が以前にユーザに送信されたか否かが判定される。調整時間帯内にこの通知若しくは類似の通知が以前にユーザに送信されていた場合、制御フローは、この方法が呼び出された元のポイントに戻る。調整時間帯内にこの通知若しくは類似の通知が以前にユーザに送信されていない場合、制御フローはステップ1804へ進み、そこで、ユーザの携帯装置が、構内メッシュネットワークからアクセス可能であるか否かの判定が行われる。ユーザの携帯装置が、構内メッシュネットワークからアクセス可能である場合、制御フローはステップ1812へ進み、そこで、構内メッシュネットワークを介してユーザの携帯電話に通知が送信され、その後、制御フローは元に戻る。
【0092】
ステップ1804で、ユーザの携帯電話が、アクセス可能でない場合、制御フローはステップ1806へ進み、そこで、ユーザがモバイルプッシュ通知を要求したか否かが判定される。ユーザがモバイルプッシュ通知を要求した場合、制御フローはステップ1814へ進み、そこで、プッシュ通知イベントの要求が、アグリゲーションサーバ112に送信される。ユーザがモバイルプッシュ通知を要求していない場合、制御フローはステップ1808へ進み、そこで、ユーザが、通知を受け取るための電子メールアドレスを提供したか否かが判定される。ユーザが通知を受け取るための電子メールアドレスをすでに提供している場合、制御フローはステップ1816へ進み、そこで、電子メール通知イベントの要求が、アグリゲーションサーバ112に送信される。ステップ1810では、構内電力制御装置202の表示装置526(
図5)にメッセージが表示され、その後、制御フローは元に戻る。
【0093】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態に関するものである。しかしながら、それらの利点の一部又は全部を達成しつつ、記載した実施形態に対して他の変形や修正が加えられてもよいことは明らかであろう。例えば、本発明の教示は、コンピュータ上で実行されるプログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能媒体を含むソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実施されてもよいものと明確に考えられる。したがって、この説明は、例としてのみ理解されるべきであり、本発明の範囲を限定するものと理解されるべきものではない。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、そのような変形や修正をすべて、本発明の真の思想及び範囲に入るようにカバーすることである。
【0094】
本発明の例示的実施形態を以下に列挙する。
1.施設内の1以上の負荷への電力を制御するように構成された1以上のエネルギー制御モジュールと、
前記1以上のエネルギー制御モジュールに接続された電力制御装置であって、前記電力制御装置によって各エネルギー制御モジュールを作動できる、電力制御装置と
を含み、
前記電力制御装置は、
前記施設内の総瞬間発電容量のうちの前記施設内の測定された総瞬間電力需要の比率に基づいて、供給コスト伝達関数を使用して仮想エネルギー価格を計算し、
前記仮想エネルギー価格に基づいて、選択された負荷のコスト-強度曲線上の最近点を見つけ、前記選択された負荷が、調光可能であり、
前記選択された負荷に対するユーザ設定照明強度値に前記見つけられた最近点に対応するスケーリングファクタを乗算することによって、前記選択された負荷の照明強度値を決定し、
前記仮想エネルギー価格を使用して、ある期間にわたって前記選択された負荷の電気エネルギー消費量をシミュレートし、
前記期間中に前記仮想エネルギー価格が前記選択された負荷の仮想エネルギー価格しきい値を上回るか否かを判定し、
前記仮想エネルギー価格が前記選択された負荷の前記仮想エネルギー価格しきい値を上回るという判定に応答して、前記電力を低減するために、前記選択された負荷を制御するエネルギー制御モジュールの作動を開始する
ように構成されている、システム。
2.前記電力制御装置は、
エネルギー市場で参加者として活動しているアグリゲーションサーバから、電力消費を低減するためのコマンドを受信する
ようにさらに構成されている、1に記載のシステム。
3.前記電力制御装置は、
ユーザ指定の優先順位に基づいて、前記1以上の負荷の優先順位リストを実施する
ようにさらに構成され、
各負荷は、調光可能な負荷及び離散電力負荷の何れか一方として判定されることができる、1に記載のシステム。
4.前記電力制御装置は、
前記仮想エネルギー価格に基づいて、前記施設内の測定温度が別の選択された負荷のコスト-温度曲線を下回っているか否かを判定し、前記別の選択された負荷が、暖房換気空調(HVAC)負荷であり、
前記施設内の測定温度が前記コスト-温度曲線を下回っているという判定に応答して、前記別の選択された負荷への前記電力を維持する
ようにさらに構成されている、1に記載のシステム。
5.前記電力制御装置は、
前記測定温度を前記コスト-温度曲線の上に移動させるための軌道を見つけ、
前記軌道の持続時間にわたって、前記暖房換気空調(HVAC)負荷の動作をスケジュールする
ようにさらに構成されている、4に記載のシステム。
6.前記電力制御装置は、
前記照明強度値に対応するように前記選択された負荷の電力レベルを設定する
ようにさらに構成されている、1に記載のシステム。
7.前記電力制御装置は、
前記コスト-強度曲線上の前記最近点を求めるために、キュービック補間を実施する
ようにさらに構成されている、1に記載のシステム。
8.前記電力制御装置は、
前記仮想エネルギー価格が別の選択された負荷の欠乏-コスト曲線よりも低いか否かを判定し、前記別の選択された負荷が、電気自動車のバッテリであり、
前記仮想エネルギー価格が前記欠乏-コスト曲線よりも低いという判定に応答して、前記電気自動車のバッテリを充電する
ようにさらに構成されている、1に記載のシステム。
9.前記エネルギー制御モジュールは、照明制御装置、暖房換気空調(HVAC)制御装置、スマート電化製品、及び電気自動車充電制御装置のうちの何れか1つを含む、1に記載のシステム。
10.施設内の1以上の負荷への電力を制御するように構成された1以上の回路遮断器と、
前記1以上の回路遮断器に接続された電力制御装置であって、前記電力制御装置によって各回路遮断器を作動できる、電力制御装置と
を含み、
前記電力制御装置は、
前記施設内の総瞬間発電容量のうちの前記施設内の測定された総瞬間電力需要の比率に基づいて、供給コスト伝達関数を使用して仮想エネルギー価格を計算し、
前記仮想エネルギー価格に基づいて、選択された負荷のコスト-強度曲線上の最近点を見つけ、前記選択された負荷が、調光可能であり、
前記選択された負荷に対するユーザ設定照明強度値に前記見つけられた最近点に対応するスケーリングファクタを乗算することによって、前記選択された負荷の照明強度値を決定し、
前記仮想エネルギー価格を使用して、ある期間にわたって前記負荷の電気エネルギー消費量をシミュレートし、
前記期間中に前記仮想エネルギー価格が前記選択された負荷のスケーリングファクタによってスケーリングされた前記仮想エネルギー価格を上回るか否かを判定し、
前記仮想エネルギー価格が前記スケーリングファクタによってスケーリングされた前記仮想エネルギー価格を上回るという判定に応答して、前記電力を低減するために、前記選択された負荷を制御する回路遮断器の作動を開始する
ように構成されている、システム。
11.施設内の総瞬間発電容量のうちの前記施設内の測定された総瞬間電力需要の比率に基づいて、供給コスト伝達関数を使用して仮想エネルギー価格を計算し、
1以上の回路遮断器を使用して、前記施設内の1以上の負荷への電力を制御し、
前記仮想エネルギー価格に基づいて、選択された負荷のコスト-強度曲線上の最近点を見つけ、前記選択された負荷が、調光可能であり、
前記選択された負荷に対するユーザ設定照明強度値に前記見つけられた最近点に対応するスケーリングファクタを乗算することによって、前記選択された負荷の照明強度値を決定し、
前記仮想エネルギー価格を使用して、ある期間にわたって前記選択された負荷の電気エネルギー消費量をシミュレートし、
前記期間中に前記仮想エネルギー価格が前記選択された負荷の仮想エネルギー価格しきい値を上回るか否かを判定し、
前記仮想エネルギー価格が前記選択された負荷の前記仮想エネルギー価格しきい値を上回るという判定に応答して、前記電力を低減するために、前記選択された負荷を制御する回路遮断器の作動を開始すること
を含む方法。
12.エネルギー市場で参加者として活動しているアグリゲーションサーバから、電力消費を低減するためのコマンドを受信すること
をさらに含む、11に記載の方法。
13.ユーザ指定の優先順位に基づいて、前記1以上の負荷の優先順位リストを実施すること
をさらに含み、
各負荷は、調光可能な負荷及び離散電力負荷の何れか一方として判定されることができる、11に記載の方法。
14.前記仮想エネルギー価格に基づいて、前記施設内の測定温度が別の選択された負荷のコスト-温度曲線を下回っているか否かを判定し、前記別の選択された負荷が、暖房換気空調(HVAC)負荷であり、
前記施設内の測定温度が前記コスト-温度曲線を下回っているという判定に応答して、前記別の選択された負荷への前記電力を維持すること
をさらに含む、11に記載の方法。
15.前記測定温度を前記コスト-温度曲線の上に移動させるための軌道を見つけ、
前記軌道の持続時間にわたって、前記暖房換気空調(HVAC)負荷の動作をスケジュールすること
をさらに含む、14に記載の方法。
16.前記照明強度値に対応するように前記選択された負荷の電力レベルを設定すること
をさらに含む、11に記載の方法。
17.前記コスト-強度曲線上の前記最近点を求めるために、キュービック補間を実施すること
さらに含む、11に記載の方法。
18.前記仮想エネルギー価格が別の選択された負荷の欠乏-コスト曲線よりも低いか否かを判定し、前記別の選択された負荷が、電気自動車のバッテリであり、
前記仮想エネルギー価格が前記欠乏-コスト曲線よりも低いという判定に応答して、前記電気自動車のバッテリを充電すること
をさらに含む、11に記載の方法。
19.前記期間中の前記施設内の電気エネルギーの予測される純生産量に応答して、前記仮想エネルギー価格を引き下げること
をさらに含む、11に記載の方法。
20.前記施設のクラス及び前記1以上の負荷の仕様に基づいて、前記施設に優先順位を付けること
をさらに含む、11に記載の方法。