(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】磁気発生器
(51)【国際特許分類】
A61N 2/08 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61N2/08 A
(21)【出願番号】P 2023085149
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2024-05-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399116054
【氏名又は名称】上森 三郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上森 三郎
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0059834(KR,A)
【文献】特表2014-528815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/06-2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正多角形板からなり、板面に沿う方向にN極とS極とを有し、磁壁が前記正多角形板の仮想外接円の中心を通る複数の永久磁石と、
複数の前記永久磁石を、前記板面の法線方向と平行に延びる仮想線を中心とした仮想円の周方向に沿って等間隔、かつ前記仮想円の中心から前記各永久磁石の前記仮想外接円の中心まで等距離となるように配置した状態で保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記各永久磁石を、当該永久磁石の前記仮想外接円の中心を通過する法線回りに、互いに異なる回転角度となるように回転させた複数の回転位置それぞれにおいて、保持可能であ
り、
前記保持部材には、前記各永久磁石が嵌め込まれる溝が、前記仮想円の周方向に複数形成されており、
前記溝は、前記永久磁石における複数の外側面のうちの一部の外側面だけが嵌合される嵌合面を有し、
前記永久磁石は、8つの前記外側面を有する正八角形板からなり、
前記溝は、その開口側から見て略正四角形状に形成されることで、4つの内側面を有し、
4つの前記内側面は、8つの前記外側面のうちの4つの前記外側面がそれぞれ嵌合される前記嵌合面とされている、磁気発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば磁力を利用して使用者の血行等を改善するために用いられる磁気発生器として、特許文献1及び特許文献2に示すように、仮想円の周方向に間隔をあけて配置された複数の永久磁石を備えたものが知られている。特許文献1の磁気発生器では、長方体の永久磁石が使用されている。仮想円の中心を挟んで径方向に対向する永久磁石は、互いに同極が対向するように配置されている。仮想円の周方向には、隣り合う永久磁石同士の間の一点を中心として回転する複数の磁場が形成され、仮想円の中心に静的なゼロ磁場が形成される。
【0003】
特許文献2の磁気発生器では、円形の永久磁石が使用されている。仮想円の周方向に隣り合う永久磁石は、互いに異極が対向するように配置されている。これにより、前記周方向に隣り合う永久磁石同士の間を全て通過するように、仮想円の中心回りに回転する単一の回転磁場が形成され、仮想円の中心に動的なゼロ磁場が形成される。したがって、特許文献1の磁気発生器、及び特許文献2の磁気発生器は、それぞれ異なる磁気パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3236355号公報(
図4)
【文献】実用新案登録第3236387号公報(
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静的なゼロ磁場を形成する磁気発生器と、動的なゼロ磁場を形成する磁気発生器とでは、永久磁石の形状やNS方向が異なる。このため、使用したいゼロ磁場の種類に応じて、専用の永久磁石を製作する必要があり、1つの磁気発生器で多様な磁気パターンに対応するのが困難であった。
【0006】
かかる課題に鑑み、本開示の目的は、多様な磁気パターンに容易に対応することが可能な磁気発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の磁気発生器は、正多角形板からなり、板面に沿う方向にN極とS極とを有し、磁壁が前記正多角形板の仮想外接円の中心を通る複数の永久磁石と、
複数の前記永久磁石を、前記板面の法線方向と平行に延びる仮想線を中心とした仮想円の周方向に沿って等間隔、かつ前記仮想円の中心から前記各永久磁石の前記仮想外接円の中心まで等距離となるように配置した状態で保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記各永久磁石を、当該永久磁石の前記仮想外接円の中心を通過する法線回りに、互いに異なる回転角度となるように回転させた複数の回転位置それぞれにおいて、保持可能である。
【0008】
上記磁気発生器によれば、正多角形板かなる各永久磁石を、その仮想外接円の中心を通過する法線回りに、複数の回転位置から選択した一の回転位置まで回転させた状態で、保持部材に取り付けて保持することができる。これにより、各永久磁石を、そのNS方向が所望の方向を向いた状態で保持部材に保持することができる。したがって、保持部材に各永久磁石を保持させるときに、例えば使用したいゼロ磁場の種類に応じて、各永久磁石のNS方向を調整することで、多様な磁気パターンに容易に対応することができる。
【0009】
(2)前記(1)の磁気発生器において、前記保持部材には、前記各永久磁石が嵌め込まれる溝が、前記仮想円の周方向に複数形成されており、前記溝は、前記永久磁石における複数の外側面のうちの一部の外側面だけが嵌合される嵌合面を有するのが好ましい。
この場合、保持部材の溝に永久磁石を嵌め込むときに、永久磁石における複数の外側面のうち、溝の嵌合面に嵌合されない外側面を把持することで、永久磁石の嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【0010】
(3)前記(2)の磁気発生器において、前記永久磁石は、8つの前記外側面を有する正八角形板からなり、前記溝は、その開口側から見て略正四角形状に形成されることで、4つの内側面を有し、4つの前記内側面は、8つの前記外側面のうちの4つの前記外側面がそれぞれ嵌合される前記嵌合面とされているのが好ましい。
この場合、永久磁石を正八角形板とし、保持部材の溝を略正四角形状に形成することで、永久磁石に、溝の嵌合面に嵌合されない外側面を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の磁気発生器によれば、多様な磁気パターンに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る磁気発生器を示す平面図である。
【
図3】カバー部材を取り外した磁気発生器の平面図である。
【
図4】第1の磁気パターンにおける各永久磁石のNS方向を示す平面図である。
【
図5】第1の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。
【
図6】第1の磁気パターンの磁場を示す模式図である。
【
図7】第2の磁気パターンにおける各永久磁石のNS方向を示す平面図である。
【
図8】第2の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。
【
図9】第2の磁気パターンの磁場を示す模式図である。
【
図10】第3の磁気パターンにおける各永久磁石のNS方向を示す平面図である。
【
図11】第3の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。
【
図12】第3の磁気パターンの磁場を示す平面模式図である。
【
図13】第3の磁気パターンの磁場を
図12のI方向又はII方向から見た図である。
【
図14】第3の磁気パターンの磁場を
図12のIII方向又はIV方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[磁気発生器の全体構成]
図1は、実施形態に係る磁気発生器1を示す平面図である。
図2は、
図1のI-I矢視断面図である。
図1及び
図2において、磁気発生器1は、例えば、磁力を利用して使用者の血行等を改善する磁気治療器として用いられる。磁気発生器1は、複数(
図1では4つ)の永久磁石2と、保持部材3と、カバー部材4と、を備える。以下の説明において、「上」及び「下」といった方向は、
図2に示す方向を意味する。
【0014】
保持部材3は、複数の永久磁石2をそれぞれ保持する部材である。保持部材3は、平面視において、例えば略四角形板からなる樹脂成形品からなる。保持部材3の外側面は、平面視において凸凹状に緩やかに湾曲して形成されている。また、保持部材3の外側面の下側には、断面視において、内側に窪んだ窪み部3aが形成されている。窪み部3aは、保持部材3の外周全体にわたって形成されている(
図3参照)。保持部材3の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、他の多角形板又は円板であってもよい。
【0015】
カバー部材4は、保持部材3に保持された複数の永久磁石2を上側から覆う部材である。カバー部材4は、例えば、保持部材3よりも軟質の材料により円形ドーム状に形成されている。カバー部材4の下側の外周全体には、保持部材3の窪み部3aに係合される係合部4aが形成されている。係合部4aが窪み部3aに係合されることで、カバー部材4は、保持部材3に固定される。これにより、複数の永久磁石2は、カバー部材4により保護される。
【0016】
図3は、カバー部材4を取り外した磁気発生器1の平面図である。
図2及び
図3において、永久磁石2は、例えば正多角形板からなる。本実施形態の永久磁石2は、正八角形板からなるネオジム磁石である。永久磁石2は、その板面2aに沿う方向にN極とS極とを有する(
図4参照)。永久磁石2の磁壁2cは、その永久磁石2(正多角形板)の仮想外接円C2の中心(後述する法線N2)を通る(
図4参照)。永久磁石2は、複数(
図3では8つ)の外側面2bを有する。
【0017】
永久磁石2の板形状は、正三角形や正四角形等の他の正多角形であってもよい。また、永久磁石2の種類は、本実施形態に限定されるものではなく、例えばアルニコ磁石又はフェライト磁石であってもよい。
【0018】
保持部材3の上面には、複数の永久磁石2が嵌め込まれる複数(
図3では4つ)の溝30が形成されている。複数の溝30にそれぞれ嵌め込まれた複数の永久磁石2は、板面2aの法線方向(
図2の上下方向)と平行に延びる仮想線N1を中心とした仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心から各永久磁石2の仮想外接円C2の中心まで等距離となるように配置される(
図4参照)。つまり、複数の溝30は、保持部材3の上面において、仮想円C1の周方向に沿って等間隔に形成され、かつ仮想円C1の中心から等距離の位置に形成されている。本実施形態の仮想線N1は、保持部材3の中心を通過する位置にある。
【0019】
溝30には、永久磁石2が前記法線方向に嵌め込まれた状態で保持される。溝30は、その開口側から見た平面視において、略正四角形状に形成されている。「略正四角形状」には、正四角形状だけでなく、
図3に示すように正四角形状の四隅の少なくとも一つが湾曲している場合も含む。溝30は、4つの内側面30aを有している。4つの内側面30aは、永久磁石2の複数の外側面2bのうちの一部の外側面2bだけが嵌合される嵌合面とされている。
【0020】
本実施形態の永久磁石2は、上記のように8つの外側面2bを有するので、溝30の4つの内側面30aにそれぞれ対向する外側面2bだけが溝30の各内側面30aに嵌合される。他の外側面2bは、溝30の四隅にそれぞれ対向するので、溝30の各内側面30aには嵌合されない。したがって、永久磁石2の8つの外側面2bのうち、4つの外側面2bが溝30の各内側面30aにそれぞれ嵌合され、他の4つの外側面2bは、溝30の各内側面30aには嵌合されない。
【0021】
以上の構成により、永久磁石2を、その仮想外接円C2の中心を通過する法線N2回りに、互いに異なる回転角度となるように回転させた複数の回転位置それぞれにおいて、保持部材3の各溝30に嵌め込んで保持することができる。本実施形態では、永久磁石2を、法線N2回りに45°,90°,135°,180°,225°,270°にそれぞれ回転させた6つの回転位置それぞれにおいて、各溝30に嵌め込んで保持することができる。
【0022】
このように各永久磁石2の回転位置を調整することで、各永久磁石2のNS方向を所望の方向に向けることができるので、1つの磁気発生器1によって多様な時期パターンを形成することができる。以下、本実施形態では、各永久磁石2の回転位置を変更して形成される磁気パターンの例として、第1の磁気パターン、第2の磁気パターン、及び第3の磁気パターンの3種類について説明する。
【0023】
以下の説明において、複数の溝30を互いに区別する場合、これらの溝30を、
図3の左上側から時計回り方向に順に、溝31,32,33,34と称する。同様に、複数の永久磁石2を互いに区別する場合、これらの永久磁石2を、
図3の左上側から時計回り方向に順に、永久磁石21,22,23,24と称する。
【0024】
[第1の磁気パターン]
図4は、第1の磁気パターンにおける各永久磁石2のNS方向を示す平面図である。
図4において、第1の磁気パターンでは、各永久磁石2は、NS方向を仮想円C1の径方向に向け、かつ仮想円C1の周方向に隣り合う2つの永久磁石2のNS方向を互いに逆向きにした状態で、各溝30に嵌め込まれて保持されている。
【0025】
具体的には、永久磁石21,23は、仮想円C1の径方向外側をN極、仮想円C1の径方向内側をS極とした状態で、それぞれ溝31,33に嵌め込まれている。永久磁石22,24は、仮想円C1の径方向外側をS極、仮想円C1の径方向内側をN極とした状態で、それぞれ溝32,34に嵌め込まれている。なお、
図4に示す各永久磁石2のNS方向は、全て逆向きであってもよい。
【0026】
図5は、第1の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。
図5では、カバー部材4の上面に磁気観察シート(マグネットビューワー)S1を添わせた様子を示している(
図8、
図11も同様)。磁気観察シートS1は、磁性流体を樹脂シートに均一に分散させたシートであり、人間の目には見えない磁界を視覚化することができる。
【0027】
第1の磁気パターンでは、各永久磁石2のNS方向を上記の方向にすることで、
図5に示すように、概ね8本の磁壁線J11~J18が現れる。磁壁線J11~J14は、仮想線N1を中心として放射状に延びている。具体的には、磁壁線J11~J14は、仮想線N1から等角度(約90°)ごとに、仮想円C1の周方向に隣接する2つの永久磁石2の間において仮想円C1の径方向に延びている。例えば、磁壁線J11は、仮想線N1を中心として、永久磁石21,22の間において仮想円C1の径方向に延びている。
【0028】
磁壁線J15~J18は、それぞれ永久磁石2の直上において、法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の接線方向と平行な方向に延びている。例えば、磁壁線J15は、永久磁石21の直上において、その法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の接線方向と平行な方向に延びている。磁壁線J15及び磁壁線J16の端部同士、磁壁線J16及び磁壁線J17の端部同士、磁壁線J17及び磁壁線J18の端部同士、磁壁線J18及び磁壁線J15の端部同士は、それぞれ互いに繋がっている。これにより、仮想円C1の中心は、磁壁線J15~J18により囲まれた閉鎖空間に位置する。
【0029】
図6は、第1の磁気パターンの磁場を示す模式図である。第1の磁気パターンでは、上記のような磁壁線J11~J18が現れることで、
図6に示すように、仮想円C1の周方向には、隣り合う永久磁石2同士の間の一点を中心として回転する複数の磁場X11が形成される。本実施形態では、永久磁石21,22の間、永久磁石22,23の間、永久磁石23,24の間、及び永久磁石24,21の間において、それぞれ回転する4つの磁場X11が形成される。
【0030】
4つの磁場X11は、仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心(仮想線N1)から等距離に形成されるので、これらの磁場X11の磁力線は、仮想円C1の中心において拮抗する。これにより、仮想円C1の中心には、4つの磁場X11が互いに中和し合うことで、磁場が作用しない静的なゼロ磁場が形成される。また、仮想円C1の中心は、上述のように磁壁線J15~J18により囲まれた閉鎖空間に位置する。したがって、第1の磁気パターンでは、仮想円C1の中心に、閉鎖的かつ静的なゼロ磁場(以下、閉鎖的ゼロ磁場という)が形成される。したがって、第1の磁気パターンが形成される磁気発生器1を使用者が装着すると、閉鎖的ゼロ磁場と磁場X11が体内に作用することで、使用者の体調を改善することができる。
【0031】
[第2の磁気パターン]
図7は、第2の磁気パターンにおける各永久磁石2のNS方向を示す平面図である。
図7において、第2の磁気パターンでは、各永久磁石2は、NS方向を仮想円C1の接線方向に向け、かつ仮想円C1の周方向に隣り合う2つの永久磁石2が互いに異極同士を対向させた状態で、各溝30に嵌め込まれて保持されている。
【0032】
具体的には、永久磁石21,22は、永久磁石21のN極と永久磁石22のS極とが対向した状態で、それぞれ溝31,32に嵌め込まれている。永久磁石23,24は、永久磁石23のN極と永久磁石24のS極とが対向した状態で、それぞれ溝33,34に嵌め込まれている。これにより、永久磁石22,23は、永久磁石22のN極と永久磁石23のS極とが対向し、永久磁石24,21は、永久磁石24のN極と永久磁石21のS極とが対向している。なお、
図7に示す各永久磁石2のNS方向は、全て逆向きであってもよい。
【0033】
図8は、第2の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。第2の磁気パターンでは、各永久磁石2のNS方向を上記の方向にすることで、
図8に示すように8本の磁壁線J21~J28が現れる。磁壁線J21~J28は、仮想線N1を中心として等角度(約45°)ごとに、放射状に延びている。
【0034】
4本の磁壁線J21,J23,J25,J27は、仮想線N1から、仮想円C1の周方向に隣接する2つの永久磁石2の間において仮想円C1の径方向に延びている。例えば、磁壁線J21は、仮想線N1を中心として、永久磁石21,22の間において仮想円C1の径方向に延びている。他の4本の磁壁線J22,J24,J26,J28は、仮想線N1を中心として、各永久磁石2の直上において、法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の径方向に延びている。例えば、磁壁線J22は、仮想線N1から、永久磁石22の直上において、その法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の径方向に延びている。
【0035】
図9は、第2の磁気パターンの磁場を示す模式図である。第2の磁気パターンでは、上記のような磁壁線J21~J28が現れることで、
図9に示すように、仮想円C1の周方向に隣り合う永久磁石2同士の間を全て通過するように、仮想円C1の中心回りに回転する単一の磁場X21が形成される。本実施形態の磁場X21は、
図9の時計回り方向に、永久磁石21,22,23,24の順に通過するように形成される。
【0036】
磁場X21は、仮想円C1の中心(仮想線N1)回りに回転する回転磁場であるため、仮想円C1の中心には磁場が作用しない。したがって、磁場X21が形成されることで、仮想円C1の中心に、動的なゼロ磁場が形成される。これにより、仮想線N1上の位置を動的なゼロ磁場としつつ、その周囲に仮想線N1を中心とする磁場X21(回転磁場)が形成される。したがって、第2の磁気パターンが形成される磁気発生器1を使用者が装着すると、動的なゼロ磁場と磁場X21が体内に作用することで、使用者の体調を改善することができる。
【0037】
[第3の磁気パターン]
図10は、第3の磁気パターンにおける各永久磁石2のNS方向を示す平面図である。
図10において、第3の磁気パターンでは、各永久磁石2は、NS方向を仮想円C1の接線方向に向け、かつ仮想円C1の周方向に隣り合う2つの永久磁石2が互いに同極同士を対向させた状態で、各溝30に嵌め込まれて保持されている。
【0038】
具体的には、永久磁石21,22は、互いにS極同士を対向させた状態で、それぞれ溝31,32に嵌め込まれている。永久磁石23,24は、互いにS極同士を対向させた状態で、それぞれ溝33,34に嵌め込まれている。これにより永久磁石22,23は、互いにN極同士が対向し、永久磁石24,21は、互いにN極同士が対向している。なお、
図10に示す各永久磁石2のNS方向は、全て逆向きであってもよい。
【0039】
図11は、第3の磁気パターンの磁壁線を示す模式図である。第3の磁気パターンでは、各永久磁石2のNS方向を上記の方向にすることで、
図11に示すように4本の磁壁線J31~J34が現れる。磁壁線J31~J34は、仮想線N1を中心として放射状に延びている。具体的には、磁壁線J31~J34は、仮想線N1を中心として、各永久磁石2の直上において、法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の径方向に延びている。例えば、磁壁線J31は、仮想線N1から、永久磁石21の直上において、その法線N2と直交する方向に延び、かつ仮想円C1の径方向に延びている。これにより、仮想円C1の中心は、磁壁線J31~J34により囲まれない開放空間に位置する。
【0040】
図12は、第3の磁気パターンの磁場を示す平面模式図である。第3の磁気パターンでは、上記のような磁壁線J31~J34が現れることで、
図12に示すように、仮想円C1の周方向に隣り合う2つの永久磁石2の同極同士と、その間を含む領域によって、1つの同極領域が形成される。
【0041】
具体的には、永久磁石21,22のS極同士とその間を含む領域には、1つのS極領域R1が形成され、永久磁石22,23のN極同士とその間を含む領域には、1つのN極領域R2が形成される。同様に、永久磁石23,24のS極同士とその間を含む領域には、1つのS極領域R3が形成され、永久磁石24,21のN極同士とその間を含む領域には、1つのN極領域R4が形成される。これにより、第3の磁気パターンでは、仮想線N1を中心として、仮想円C1の周方向に、S極領域R1、N極領域R2、S極領域R3、及びN極領域R4が、連続して形成される。
【0042】
上記のようにS極領域R1,R3及びN極領域R2,R4が形成されることで、
図12に示すように、仮想円C1の周方向には、隣り合う異極領域同士の間の一点を中心として回転する複数の磁場X31が、板面2aと平行な方向に形成される。本実施形態では、S極領域R1とN極領域R2との間、N極領域R2とS極領域R3との間、S極領域R3とN極領域R4との間、及びN極領域R4とS極領域R1との間において、それぞれ回転する4つの磁場X31が形成される。
【0043】
4つの磁場X31は、仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心(仮想線N1)から等距離に形成されるので、これらの磁場X31の磁力線は、仮想円C1の中心において拮抗する。これにより、仮想円C1の中心では、4つの磁場X31が互いに中和し合う。
【0044】
図13は、第3の磁気パターンの磁場を
図12のI方向又はII方向から見た図である。
図14は、第3の磁気パターンの磁場を
図12のIII方向又はIV方向から見た図である。
図12~
図14に示すように、仮想円C1の周方向には、隣り合う異極領域同士の間において、上側の一点を中心として回転する複数の磁場X32、及び下側の一点を中心として回転する複数の磁場X33が、それぞれ板面2aと垂直な方向に形成される。本実施形態では、S極領域R1とN極領域R2との間、N極領域R2とS極領域R3との間、S極領域R3とN極領域R4との間、及びN極領域R4とS極領域R1との間において、それぞれ回転する4つの磁場X32及び4つの磁場X33が形成される。
【0045】
4つの磁場X32は、仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心(仮想線N1)から等距離に形成されるので、これらの磁場X32の磁力線は、仮想円C1の中心において拮抗する。これにより、仮想円C1の中心では、4つの磁場X32が互いに中和し合う。同様に、4つの磁場X33は、仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心(仮想線N1)から等距離に形成されるので、これらの磁場X33の磁力線は、仮想円C1の中心において拮抗する。これにより、仮想円C1の中心では、4つの磁場X33が互いに中和し合う。
【0046】
以上より、各磁場X31,X32,X33がそれぞれ中和し合うので、仮想円C1の中心には、磁場が作用しない静的なゼロ磁場が形成される。また、仮想円C1の中心は、上述のように磁壁線J31~J34により囲まれない開放空間に位置する。したがって、第3の磁気パターンでは、仮想円C1の中心に、開放的かつ静的なゼロ磁場(以下、開放的ゼロ磁場という)が形成される。
【0047】
第3の磁気パターンが形成される磁気発生器1を使用者が装着すると、開放的ゼロ磁場と磁場X31,X32,X33が体内に作用することで、使用者の体調を改善することができる。その際、使用者の体内には、磁場X31,X32,X33が立体的に作用するので、第1の磁気パターン及び第2の磁気パターンよりも、使用者の体調の改善効果を高めることができる。
【0048】
[作用効果]
本実施形態の磁気発生器1によれば、正多角形板からなる複数の永久磁石2それぞれを、仮想円C1の周方向に沿って等間隔かつ仮想円C1の中心から等距離に配置させた状態で、保持部材3に保持することができる。これにより、各永久磁石2を、そのNS方向が所望の方向を向いた状態で保持部材3に保持することができる。したがって、保持部材3に各永久磁石2を保持させるときに、例えば使用したいゼロ磁場の種類に応じて、各永久磁石2のNS方向を調整することで、多様な磁気パターンに容易に対応することができる。
【0049】
また、保持部材3の各溝30は、永久磁石2における複数の外側面2bのうちの一部の外側面2bだけが嵌合される内側面(嵌合面)30aを有する。このため、保持部材3の各溝30に永久磁石2を嵌め込むときに、永久磁石2における複数の外側面2bのうち、溝30の内側面30aに嵌合されない外側面2bを把持することで、永久磁石2の嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、永久磁石2を正八角形板とし、かつ保持部材3の溝30を略正四角形状に形成することで、永久磁石2に、溝30の内側面30aに嵌合されない外側面2bを容易に形成することができる。
【0051】
[その他]
上記実施形態の磁気発生器1は、磁気治療器以外の他の用途に用いられてもよい。保持部材3の溝30の形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、永久磁石2の形状と同じ形状(正多角形状)にしてもよい。また、各永久磁石2の表面には、金、銀、銅、及びプラチナのうちの少なくとも1つによりメッキ処理が施されてもよい。その場合、第1~第3の磁気パターンのそれぞれにおいて、使用者の体調の改善効果をさらに高めることができる。
【0052】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 磁気発生器
2 永久磁石
2a 板面
2b 外側面
2c 磁壁
3 保持部材
30 溝
30a 内側面(嵌合面)
C1 仮想円
C2 仮想外接円
N1 仮想線
N2 法線
【要約】
【課題】多様な磁気パターンに容易に対応することが可能な磁気発生器を提供する。
【解決手段】磁気発生器1は、正多角形板からなり板面2aに沿う方向にN極とS極とを有し、磁壁2cが正多角形板の仮想外接円C2の中心を通る複数の永久磁石2と、複数の永久磁石2を板面2aの法線方向と平行に延びる仮想線N1を中心とした仮想円C1の周方向に沿って等間隔、かつ仮想円C1の中心から各永久磁石2の仮想外接円C2の中心まで等距離となるように配置した状態で保持する保持部材3と、を備える。保持部材3は、各永久磁石3を、当該永久磁石2の仮想外接円C2の中心を通過する法線N2回りに、互いに異なる回転角度となるように回転させた複数の回転位置それぞれにおいて、保持可能である。
【選択図】
図4