(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20241112BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20241112BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D23/00 307
F25D29/00 Z
(21)【出願番号】P 2023201350
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2021137198の分割
【原出願日】2021-08-25
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-071205(JP,A)
【文献】特開平07-177578(JP,A)
【文献】特開2019-138532(JP,A)
【文献】特開2019-002606(JP,A)
【文献】特開2018-056964(JP,A)
【文献】特開2004-085106(JP,A)
【文献】登録実用新案第3106793(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0264975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
H04W 76/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な遠距離通信部を含む冷蔵庫本体と、
前記遠距離通信部とは異なる通信経路で端末装置と無線接続可能な無線通信部と、
前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部と、
前記無線通信部に電力を供給する電源部と、
を備え、
前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が、前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部とは独立して制御可能であり、
ユーザの操作とは異なる事象による条件であって、前記無線通信部
と前記端末装置との接続状態に関する所定条件が満たされる場合に、
前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開の前後に亘って前記遠距離通信部への電力供給を維持しつつ、前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が行われる、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記所定条件は、前記無線通信部の接続状態の安定度が所定基準未満であることである、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷蔵庫は、前記無線通信部の外部に設けられた制御部をさらに備え、
前記所定条件は、前記制御部から前記無線通信部に送信される信号が途切れることである、
請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷蔵庫は、前記無線通信部の外部に設けられた制御部をさらに備え、
前記所定条件は、前記無線通信部から前記制御部に送信される信号が途切れることである、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
冷蔵庫本体と、
端末装置と無線接続可能な無線通信部と、
前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部と、
前記無線通信部に電力を供給する電源部と、
を備え、
前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が、前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部とは独立して制御可能であり、
ユーザの操作とは異なる事象による条件であって、前記無線通信部と前記端末装置との接続状態に関する所定条件が満たされる場合に、前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が行われ、
前記無線通信部と過去に接続登録動作が行われた
前記端末装置に関する情報の少なくとも一部は
、冷蔵庫の外部に記憶され、
前記無線通信部は、前記電力供給の一時停止および再開が行われた後に、前記外部に記憶された前記情報の少なくとも一部を前記外部から取得し、取得した情報を用いて前記無線通信部から前記端末装置に接続要求を行う、
冷蔵庫。
【請求項6】
冷蔵庫本体と、
端末装置と無線接続可能な無線通信部と、
前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部と、
前記無線通信部に電力を供給する電源部と、
を備え、
前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が、前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部とは独立して制御可能であり、
ユーザの操作とは異なる事象による条件であって、前記無線通信部と前記端末装置との接続状態に関する所定条件が満たされる場合に、前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が行われ、
前記無線通信部は、前記無線通信部と過去に接続登録動作が行われた
前記端末装置に関する情報を記憶する記憶部を含み、
前記記憶部に記憶された前記情報の少なくとも一部は、前記所定条件が満たされて前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が行われる場合に、前記記憶部から消去されるまたは無効化される、
冷蔵庫。
【請求項7】
前記記憶部は、揮発性記憶部と、不揮発性記憶部とを含み、
前記無線通信部と過去に接続登録動作が行われた前記端末装置に関する情報の少なくとも一部は、前記揮発性記憶部に記憶され、
ユーザの操作に基づいて設定されたスピーカの音量に関する設定情報は、前記不揮発性記憶部に記憶される、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記冷蔵庫本体に電力を供給する前記電源部は、電源経路を介して外部の商用電源から電力が供給され、
前記無線通信部に電力を供給する前記電源部は、前記電源経路を介して前記商用電源から電力が供給される、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信部を備えた冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫は、利便性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、無線通信部と、前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部と、前記無線通信部に電力を供給する電源部と、を備える。前記冷蔵庫本体は、サーバと通信可能な遠距離通信部を含む。前記無線通信部は、前記遠距離通信部とは異なる通信経路で端末装置と無線接続可能である。前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が、前記冷蔵庫本体に電力を供給する電源部とは独立して制御可能である。ユーザの操作とは異なる事象による条件であって、前記無線通信部の接続状態に関する所定条件が満たされる場合に、前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開の前後に亘って前記遠距離通信部への電力供給を維持しつつ、前記無線通信部に対する電力供給の一時停止および再開が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の冷蔵庫システムの構成を示す図。
【
図3】
図2中に示された冷蔵庫のF3-F3線に沿う断面図。
【
図4】第1実施形態の冷蔵庫の上壁を一部分解して示す斜視図。
【
図5】第1実施形態の各種基板およびスピーカユニットの接続関係を示す図。
【
図6】第1実施形態の操作パネルおよび無線通信操作部を示す図。
【
図7】
図6中に示された操作パネルおよび無線通信操作部のF7-F7線に沿う断面図。
【
図8】第1実施形態の無線通信部の初期接続時の動作を示すシーケンス図。
【
図9A】第1実施形態の無線通信部の接続不良が生じた場合の動作例を示すシーケンス図。
【
図9B】第1実施形態の無線通信部の接続不良が生じた場合の別の動作例を示すシーケンス図。
【
図10】第1実施形態の第1変形例の冷蔵室扉を示す正面図。
【
図11】第1実施形態の第2変形例の操作パネルおよび無線通信操作部を示す図。
【
図12】第1実施形態の第3変形例の操作受付画面を示す図。
【
図13】第2実施形態の無線通信部の無線接続に関する動作を示すシーケンス図。
【
図14】第3実施形態の無線通信部の無線接続に関する動作を示すシーケンス図。
【
図15】第4実施形態の各種基板およびスピーカユニットの接続関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本出願では、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。
【0008】
(第1実施形態)
<1.冷蔵庫システム>
まず、冷蔵庫100を含む冷蔵庫システム1について説明する。
図1は、冷蔵庫システム1の構成を示す図である。冷蔵庫システム1は、例えば、冷蔵庫100と、サーバ200と、端末装置300とを含む。後述するネットワークNWは、インターネット、セルラー網、Wi-Fi(登録商標)網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、またはその他の公衆回線や専用回線などのうち1つ以上を含み得る。
【0009】
冷蔵庫100は、ユーザUの住居に配置される。冷蔵庫100は、例えば、ユーザUの住居に配置された無線ルータRおよびモデムMを介してネットワークNWと接続され、ネットワークNWを介してサーバ200と通信可能である。これにより、冷蔵庫100は、サーバ200を介してユーザUの端末装置300と通信可能である。本実施形態では、冷蔵庫100は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって端末装置300と直接に通信可能である。本出願で「近距離」とは、ユーザUの住居の内部を意味する程度に近い距離である。冷蔵庫100については、詳しく後述する。
【0010】
サーバ200は、冷蔵庫100の設定や操作などに関するサービスを提供する。サーバ200は、例えば、ネットワークNWに接続された1台以上のサーバ装置(例えばクラウドサーバ)で構成される。サーバ200は、ネットワークNWを介して、冷蔵庫100および端末装置300と通信可能である。なお、サーバ200は、クラウドサーバに限定されず、ユーザUの住居にあるコンピュータ、または家庭内ルータ(例えば無線ルータR)などでもよい。
【0011】
端末装置300は、冷蔵庫100のユーザUが利用する外部機器である。端末装置300は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末装置のような携帯端末装置である。ただし、端末装置300は、携帯端末装置に限定されず、パーソナルコンピュータや、テレビジョン受像機、ラジオ受信機、音楽プレイヤー、その他のオーディオ機器などでもよい。端末装置300は、音楽や動画などを再生可能な装置である。端末装置300は、Bluetoothのような近距離無線通信によって、端末装置300が再生する音楽や動画などの音データを冷蔵庫100に出力可能である。
【0012】
本実施形態では、端末装置300は、種々の情報を表示可能な表示画面を含む表示装置301と、ユーザUの入力(音声入力を含む)を受け付け可能な入力受付部302とを含む。表示装置301は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。入力受付部302は、例えば、表示装置301の表示画面に重ねて設けられたタッチパネルや、ユーザUの音声を収音するマイクなどである。端末装置300には、冷蔵庫100の設定変更や操作、管理を行うためのアプリケーションプログラムPがインストールされ、以下に説明する機能がサポートされる。
【0013】
<2.冷蔵庫>
次に、冷蔵庫100について説明する。
図2は、冷蔵庫100を示す斜視図である。冷蔵庫100は、冷蔵庫の基本構成を含む冷蔵庫本体MBを有する。冷蔵庫本体MBは、例えば、筐体10、複数の扉20、冷却ユニット30(
図3参照)、操作パネル40(
図3参照)、および通信部50(
図4参照)を有する。
【0014】
筐体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10eを有し、前面が開放された箱状である。筐体10は、例えば、筐体10の内面を形成する内箱と、筐体10の外面を形成する外箱と、内箱と外箱との間に設けられた発泡断熱材とを含み、断熱性を有する。筐体10の内部には、筐体10の内部を後述する複数の貯蔵室11に仕切る複数の仕切部15,16(
図3参照)が設けられている。
【0015】
筐体10は、複数の貯蔵室11を含む。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa(
図3参照)、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。各貯蔵室11は、食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0016】
複数の貯蔵室11の開口は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。
【0017】
図3は、
図2中に示された冷蔵庫100のF3-F3線に沿う断面図である。冷蔵庫本体MBは、複数の貯蔵室11を冷却する冷却ユニット30を有する。冷却ユニット30は、「冷却部」の一例である。冷却ユニット30は、例えば、圧縮器31、冷蔵用冷却器32、冷蔵用ファン33、冷凍用冷却器34、および冷凍用ファン35を含む。
【0018】
圧縮器31は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を、凝縮器およびキャピラリチューブなどを介して冷蔵用冷却器32および冷凍用冷却器34に供給する。
【0019】
冷蔵用冷却器32は、冷蔵室11Aの後方に設けられた第1ダクト空間D1に配置され、圧縮器31から供給される冷媒を用いて第1ダクト空間D1を流れる空気を冷却する。冷蔵用ファン33は、冷蔵用冷却器32により冷却された空気(冷気)を、冷蔵温度帯室(冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11B)と第1ダクト空間D1とで循環させる。これにより、冷蔵温度帯室が冷却される。
【0020】
冷凍用冷却器34は、主冷凍室11Eの後方に設けられた第2ダクト空間D2に配置され、圧縮器31から供給される冷媒を用いて第2ダクト空間D2を流れる空気を冷却する。冷凍用ファン35は、冷凍用冷却器34により冷却された空気(冷気)を、冷凍温度帯室(製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11E)と第2ダクト空間D2とで循環させる。これにより、冷凍温度帯室が冷却される。
【0021】
操作パネル40は、例えば、筐体10の内面(例えば冷蔵室11Aの内面の前部)に設けられている。これに代えて、操作パネル40は、扉20の前面(例えば冷蔵室扉20Aaまたは冷蔵室扉20Abの前面)に設けられてもよい。操作パネル40は、冷蔵庫本体MBの設定変更に関するユーザUの操作を受け付ける。操作パネル40は、「本体操作部」の一例である。操作パネル40は、例えば、複数の操作部41と、複数の報知部42と、操作制御部43(
図5参照)とを含む。
【0022】
各操作部41は、冷蔵庫本体MBに関する設定変更に関するユーザUの操作を受け付ける。「冷蔵庫本体MBに関する設定変更」は、例えば、冷蔵庫本体MBの制御に関する設定変更である。冷蔵庫本体MBの制御に関する設定変更は、例えば、貯蔵室11の冷却強度の変更や貯蔵室11の制御モードの変更などである。各操作部41は、例えばスイッチを含む機械的な操作部であるが、静電容量式のセンサやタッチパネルなどで実現される仮想的な操作部でもよい。各報知部42は、貯蔵室11に関する設定内容や実行中の制御モードなどをユーザUに報知する。報知部42は、例えば、LED(Light Emitting Diode)などにより実現される発光部を含む。
【0023】
操作制御部43は、例えば1つ以上の制御マイコン(マイクロコンピュータ)40Mによって実現される(
図5参照)。操作制御部43は、各操作部41に対するユーザUの操作を受け付け、受け付けた操作を示す操作信号を後述する本体制御部62(
図5参照)に出力する。また、操作制御部43は、本体制御部62から受信する制御信号に基づき報知部42を制御する。
【0024】
通信部50(
図4参照)は、例えば、冷蔵庫100と同じ住居に設置された無線ルータRおよびモデムMを介してユーザUの住居の外部に位置する装置(例えばサーバ200)と通信可能な遠距離通信モジュールである。本出願で「遠距離」とは、ユーザUの住居の外部を意味する程度に遠い距離である。通信部50は、例えば、Wi-Fiのような無線LAN用の無線通信モジュールである。ただし、通信部50は、無線通信モジュールに限定されず、冷蔵庫100に接続されたケーブルを介してネットワークNWに接続されてもよい。通信部50は、例えば冷蔵庫100の状態を示す情報などをサーバ200に送信する。また、通信部50は、冷蔵庫100に対する遠隔操作の制御信号などをサーバ200から受信する。以下では区別のため、通信部50を「遠距離通信部50」と称することがある。
【0025】
<3.各種基板およびスピーカユニット>
次に、各種基板およびスピーカユニット80について説明する。
図4は、冷蔵庫100の上壁10aを一部分解して示す斜視図である。
図5は、各種基板およびスピーカユニット80の接続関係を示す図である。
【0026】
冷蔵庫100は、上述した冷蔵庫本体MBに加え、例えば、本体制御電源基板60(以下では便宜上「第1電源基板60」と称する)と、スピーカユニット用電源基板70(以下では便宜上「第2電源基板70」と称する)と、スピーカユニット80と、無線通信操作部90(
図5参照)とを有する。
【0027】
<3.1 第1電源基板>
第1電源基板60は、例えば筐体10の上壁10aの後部に設けられている。第1電源基板60は、冷蔵庫本体MBに電力を供給する電源基板である。例えば、第1電源基板60は、冷蔵庫本体MBの各部品の動作に必要な電力を冷蔵庫本体MBの各部品へ供給する。第1電源基板60は、例えば、電源部61と、本体制御部62と、記憶部63とを有する(
図5参照)。
【0028】
電源部61は、外部の商用電源PS(例えば交流100V)から電源コード65を介して電力が供給される。電源部61は、冷蔵庫本体MBに電力を供給する電源部である。電源部61は、外部の商用電源PSから供給される交流電力を、冷蔵庫本体MBの各部品に適した電圧の直流電力に変換し、変換した直流電力を冷蔵庫本体MBの各部品に供給する電源回路(電源モジュール)である。電源部61は、例えば、冷却ユニット30、操作パネル40、および遠距離通信部50などへ電力を供給する。なお本出願でいう「冷蔵庫本体に電力を供給する」とは、冷蔵庫本体MBに含まれる全ての部品に電力を供給することに限定されず、冷蔵庫本体MBに含まれる少なくとも1つの部品に電力を供給していればよいことを意味する。また、電源部61は、本体制御部62および記憶部63にも電力を供給する。電源部61は、「本体電源部」と称されてもよい。
【0029】
本体制御部62は、例えば、第1電源基板60に実装された1つ以上の制御マイコン(マイクロコンピュータ)60Mによって実現される。本体制御部62は、冷蔵庫本体MBの動作を制御する。例えば、本体制御部62は、冷却ユニット30、操作パネル40、および遠距離通信部50などを制御する。本体制御部62は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われる場合、無線通信部WUが再起動される前後に亘り電力が供給され続けて機能を維持する(例えば本体制御部62が取得済みの情報や信号を保持し続ける)。本体制御部62は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われる場合でも再起動されない(すなわち機能を維持する)制御部の一例である。
【0030】
記憶部63は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性の半導体メモリにより実現される。記憶部63は、冷蔵庫本体MBの各種設定に関する情報を記憶する。例えば、記憶部63は、遠距離通信部50がサーバ200と通信するために必要な登録情報(例えば、無線ルータRの識別情報およびパスワードなど)や冷蔵庫本体MBに関してユーザUが行った各種設定を示す情報を記憶する。記憶部63に記憶された情報は、後述する無線通信部WUの記憶部84に記憶された情報が消去される場合であっても消去されない。すなわち、記憶部63に記憶された情報は、後述する無線通信部WUが再起動される場合であっても消去されず(すなわち情報が保持された状態が継続し)、変わらず使用可能である。
【0031】
<3.2 第2電源基板>
第2電源基板70は、例えば筐体10の上壁10aの後部に設けられている。第2電源基板70は、スピーカユニット80(すなわち、後述するスピーカ80Aおよび無線通信部WUなど)に電力を供給する電源基板である。第2電源基板70は、第1電源基板60とは別体として設けられている。第2電源基板70は、ケーブル66を介して第1電源基板60に接続されている(
図4参照)。第2電源基板70は、外部の商用電源PSから電源コード65を介して第1電源基板60に供給された電力の一部が第1電源基板60から供給される。
【0032】
第2電源基板70は、電源部71を有する(
図5参照)。電源部71は、第1電源基板60から供給される交流電力(例えば交流100V)をスピーカユニット80に適した電圧の直流電力に変換し、変換した直流電力をスピーカユニット80に供給する電源回路(電源モジュール)である。例えば、第2電源基板70は、変換した12Vの直流電力を
図5中には図示しない配線ラインを通じてスピーカユニット80に含まれるスピーカ80Aおよびオーディオアンプ83に供給する。また、第2電源基板70は、変換した12Vの直流電力をスピーカユニット80に含まれる電源部85に供給する。第2電源基板70が第1電源基板60とは別体で設けられることで、第1電源基板60を、スピーカユニット80を有しない冷蔵庫の電源基板と共通化したり、スピーカユニット80を有しない冷蔵庫の電源基板から少ない設計変更で実現することができる。
【0033】
第2電源基板70は、筐体10の上壁10aにおいて、例えば第1電源基板60よりも後方に配置されている(
図4参照)。第1電源基板60および第2電源基板70は、筐体10の上壁10aに一部が埋め込まれるようにして設置された電源基板収容部17に一括して収容される。電源基板収容部17は、上側が開口した矩形状の容器である。電源基板収容部17は、アース(グラウンド)を確保するためおよび/または電磁波の不要輻射を抑制するための金属製部材と、難燃性の合成樹脂部材との2重構造を有する。電源基板収容部17の開口側(上側)には、蓋部材18が着脱可能に取り付けられる。これにより、電源基板収容部17の開口側が閉塞される。蓋部材18は、第1電源基板60および第2電源基板70を一括して覆う。蓋部材18は、電源基板収容部17と同じく、金属製部材と、難燃性の合成樹脂部材との2重構造を有する。このような構成によれば、第1電源基板60および第2電源基板70に対して電源基板収容部17および蓋部材18を共通化することができるので、冷蔵庫100の低コスト化を図ることができる。
【0034】
<3.3 スピーカユニット>
スピーカユニット80は、例えば筐体10の上壁10aの前部に設けられている。例えば、スピーカユニット80は、冷蔵庫100の周囲に居るユーザUへ向けて音声を出力し、冷蔵庫100の情報などを報知する。スピーカユニット80および遠距離通信部50は、蓋部材19によって一括して覆われる。スピーカユニット80は、例えば、スピーカ80Aと、無線通信制御基板80Bとを含む。
【0035】
スピーカ80Aは、冷蔵庫本体MBに関する報知を音(例えば音声)にて出力可能である。本実施形態では、スピーカ80Aは、後述する無線通信部WUと端末装置300とが通信可能に接続された状態で、無線通信部WUを介して端末装置300から取得される音データに基づく音(以下では「外部由来音」と称する)を出力可能である。例えば、スピーカ80Aは、端末装置300の外部スピーカとして機能し、端末装置300上で音楽や動画などが再生されることに応じてそれら音楽や動画の音声を出力可能である。言い換えると、冷蔵庫100は、端末装置300にスピーカ80Aを使用させる(端末装置300にスピーカ80Aを貸す)ことが可能である。この場合、外部由来音の操作(再生や停止など)は、端末装置300に対するユーザUの操作により行われる。
【0036】
無線通信制御基板80Bは、例えば、無線通信部WUと、電源部85とを有する(
図5参照)。無線通信部WUは、例えば、アンテナ81、通信制御部82、オーディオアンプ83、および記憶部84を含む。アンテナ81は、例えば、Bluetoothのような近距離無線通信に対応したアンテナである。
【0037】
通信制御部82は、例えば、無線通信制御基板80Bに実装された1つ以上の制御マイコン(マイクロコンピュータ)80Mによって実現される。通信制御部82は、無線通信部WUおよび電源部85を制御する。通信制御部82は、例えば汎用非同期送受信回路(UART : Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)方式のインターフェースを介して、本体制御部62と通信可能である。通信制御部82は、冷蔵庫本体MBに関する報知を音(例えば音声)で行う場合、報知を行うための制御信号を本体制御部62から受信する。この場合、通信制御部82は、本体制御部62から受信する制御信号に基づき、記憶部84に記憶された音データ情報D11のなかから上記制御信号に対応する音データ(例えば音声データ)を取得し、取得した音データをオーディオアンプ83に出力する。
【0038】
また、通信制御部82は、アンテナ81を通じた無線通信により端末装置300に対する接続登録動作(例えばBluetoothのペアリング)を行い、端末装置300と無線接続状態になる。接続登録動作は、「接続設定動作」または「機器登録動作」などと称されてもよい。通信制御部82は、アンテナ81を通じた無線通信により端末装置300から音楽や動画の音声などの音データを取得し、取得した音データをオーディオアンプ83に出力する。また、通信制御部82は、無線通信部WUの無線接続状態を示す状態信号を後述する無線通信操作部90に出力する。通信制御部82は、無線通信操作部90に対するユーザUの操作を示す操作信号を無線通信操作部90から受信する。
【0039】
オーディオアンプ83は、通信制御部82とスピーカ80Aとの間に設けられている。オーディオアンプ83は、通信制御部82から受信する音データを増幅し、増幅した音データをスピーカ80Aに出力する。これにより、音データに対応する音(例えば音声や音楽)がスピーカ80Aから冷蔵庫100の外部に出力される。
【0040】
記憶部84は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性の半導体メモリにより実現される。記憶部84は、例えば、音データ情報D11と、ユーザ設定情報D12と、接続登録履歴情報D13とを記憶する。音データ情報D11は、スピーカ80Aから出力される種々の音データ(例えば音声データ)を示す情報を含む。ユーザ設定情報D12は、スピーカ80Aの音量などに関してユーザUが設定した情報を含む。
【0041】
接続登録履歴情報D13は、端末装置300と無線通信部WUとの間の無線接続に関する履歴(例えばBluetoothのペアリング履歴)を含む。例えば、接続登録履歴情報D13は、無線通信部WUと過去に接続登録動作を行った端末装置300の接続登録情報を含む。接続登録情報は、例えば、端末装置300の機器情報を含む。接続登録履歴情報D13に接続登録情報がある端末装置300は、端末装置300と無線接続部WUの再接続の際に再度の接続登録動作(例えばBluetoothのペアリング)が必要なく、ユーザUの操作を伴わずに端末装置300側から接続可能である。接続登録履歴情報D13は、通信制御部82によって蓄積される。接続登録履歴情報D13は、「過去に行われた無線接続に関する情報」の一例である。
【0042】
なお、記憶部84は、制御マイコン80Mの外部に設けられた記憶部に限定されず、制御マイコン80Mの内部メモリでもよい。また、記憶部84は、不揮発性の記憶部84aと、揮発性の記憶部84bとの組み合わせにより実現されてもよい。揮発性の記憶部84bは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリで実現され、電源部85からの電源供給が一時停止される場合(無線通信部WUが再起動される場合)に、記憶していた情報が消失する(継続して保持されなくなることで消去される)。このような記憶部84では、不揮発性の記憶部84aに音データ情報D11およびユーザ設定情報D12が記憶され、揮発性の記憶部84bに接続登録履歴情報D13が記憶されてもよい。この場合の利点については後述する。
【0043】
電源部85は、スピーカ80Aおよび無線通信部WUが必要とする電力を第2電源基板70の電源部71から受け取る。電源部85は、第2電源基板70の電源部71から受け取る電力を、無線通信部WUに含まれる部品に適した電圧(例えば5V)の電力に変換し、変換した電力を無線通信部WUに含まれる部品に供給する。電源部85は、例えば継電器RLを含み、第1電源基板60とは独立して(すなわち電源部61とは独立して)電力供給の一時停止および再開を制御可能である。電源部85は、無線通信部WUを再起動させるために無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行う。この内容については詳しく後述する。なお本実施形態では、電源部85は、無線通信部WUの外部の構成として説明するが、電源部85は無線通信部WUの内部の構成と見做されてもよい。電源部85は、「第1電源基板60の外部に設けられた電源部(第1電源基板60とは別に設けられた電源部)」の一例である。無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が電源部85により行われることは、「無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行う」ことの一例である。ただし、「無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行う」ことは、上記例に限定されず、通信制御部82(制御マイコン80M)によって実現されてもよい。この場合の例については後述する。
【0044】
<3.4 無線通信操作部>
無線通信操作部90は、無線通信部WUに関するユーザUの操作を受け付ける。無線通信操作部90は、例えば、開始操作部91と、特別操作部92と、接続状態報知部93とを有する。
【0045】
開始操作部91は、端末装置300に対する無線通信部WUの接続登録(例えばBluetoothのペアリング)のための動作を開始させるユーザUの操作を受け付ける。ユーザUによる操作が開始操作部91により受け付けられた場合、通信制御部82は、所定の接続登録待機状態(例えばBluetoothのペアリングモード)に移行し、新規の外部機器の接続登録の待ち受け状態となる。
【0046】
特別操作部92は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行うためのユーザUの操作を受け付ける操作部である。例えば、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行うために特別操作部92を1回押すユーザUの操作は、「所定の操作」の一例である。また、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行うために特別操作部92がユーザUによって1回押されることは、「無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われることを含む所定条件が満たされる場合」の一例である。特別操作部92は、ユーザUの1つの操作に応じて無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開(すなわち電源のOFFとON)が行われる操作部である。
【0047】
接続状態報知部93は、例えば、LEDなどにより実現される発光部を含む。接続状態報知部93は、例えば発光部の発光状態を変化させることで、端末装置300と無線通信部WUとの間の無線接続状態を報知する。
【0048】
図6は、操作パネル40および無線通信操作部90を示す図である。本実施形態では、無線通信操作部90は、操作パネル40と同様に、筐体10の内面(例えば冷蔵室11Aの内面)に設けられている。本実施形態では、操作パネル40および無線通信操作部90は、貯蔵室11の前部(すなわち、貯蔵室11において冷蔵庫100の奥行方向における手前側領域)に設けられている。貯蔵室11の前部は、「冷蔵庫100内の貯蔵部の前部」の一例である。
【0049】
例えば、無線通信操作部90は、操作パネル40の近傍に設けられている。本出願で「近傍」とは、操作パネル40の最短の一辺の長さLと比べて、操作パネル40と無線通信操作部90との距離が短いことを意味する。本実施形態では、操作パネル40と無線通信操作部90とは、互いに隣り合う位置に設けられている。操作パネル40と無線通信操作部90とは、互いに一体に(すなわち互いに連続して)設けられている。これに代えて、無線通信操作部90は、操作パネル40の一部として設けられてもよい。例えば、無線通信操作部90は、操作パネル40に含まれる複数の操作部41の間に設けられてもよい。
【0050】
ここで、操作パネル40の回路構成と、無線通信操作部90の回路構成とは、電気的に分離している(
図5参照)。すなわち、操作パネル40と無線通信操作部90とは電気的に接続されていない。一方で、
図6に示すように、操作パネル40と無線通信操作部90とに亘る1つの基板45が設けられている。そして、1つの基板45に対して、操作パネル40に含まれる部品(スイッチやLEDなど)と、無線通信操作部90に含まれる部品(スイッチやLEDなど)とが実装されている。このような構成によれば、操作パネル40と無線通信操作部90とが別々の基板で実現される場合と比べて、冷蔵庫100の低コスト化を図ることができる。
【0051】
図7は、
図6中に示された操作パネル40および無線通信操作部90のF7-F7線に沿う断面図である。本実施形態では、操作パネル40の操作部41は、操作パネル40の基準面(操作部41を外れた部分の表面)BSに対して凸形状である。一方で、特別操作部92は、基準面BSに対して平坦である(
図7中の(a)参照)。このため、特別操作部92は、操作パネル40の操作部41と比べて、意図しない接触による操作が行われにくい。なお、特別操作部92は、上記例に代えて、操作パネル40の操作部41と比べて基準面BSからの盛り上がり量が少ない凸形状に形成されてもよいし(
図6中の(b)参照)、基準面BSに対して凹形状に形成されてもよい(
図6中の(c)参照)。
【0052】
<3.動作の説明>
次に、近距離無線通信に関する冷蔵庫100の動作の一例について説明する。以下では、近距離無線通信としてBluetoothが利用される場合を例に説明する。
【0053】
図8は、端末装置300に対する無線通信部WUの初期接続時の動作を示すシーケンス図である。まず、ユーザUによって、冷蔵室扉20Aaが開かれ(S101)、Bluetoothのペアリングボタン(開始操作部91)が1回押される(S102)。そうすると、無線通信部WUの通信制御部82に対して無線通信操作部90からペアリングモードの開始を指示する信号が送信される(S103)。ペアリングモードは、「所定の接続登録待機状態」の一例である。
【0054】
この場合、通信制御部82は、ペアリングモードに入り、新規の外部機器の接続の待ち受け状態となる(S104)。その結果、無線通信操作部90の接続状態報知部93が消灯状態から点滅状態に遷移する(S105)。
【0055】
この状態で、ユーザUによって、接続する端末装置300のBluetooth設定画面が開かれ、冷蔵庫100のデバイス名が選択される(S106)。これにより、端末装置300から無線通信操作部90に対してペアリング要求が行われ(S107)、端末装置300と無線通信操作部90との間で暗号化通信が確立され(S108)、これによりペアリングが完了する(S109)。その結果、無線通信操作部90の接続状態報知部93が点滅状態から点灯状態に遷移する(S110)。そして、ユーザUが冷蔵室扉20Aaを閉めることで(S111)、一連の動作が終了する。
【0056】
図9Aは、無線通信部WUの接続不良が生じた場合の動作例を示すシーケンス図である。なお
図9Aに示す例は、通信制御部82の制御による再起動(いわゆるソフトリセット)が行われる場合を示す。
【0057】
図9Aに示す例では、無線通信部WUの接続不良が生じた場合(例えば端末装置300と無線通信部WUとが繋がらないまたは繋がりにくい場合)、ユーザUによって、冷蔵室扉20Aaが開かれ(S201)、無線通信操作部90の特別操作部92が1回押される(S202)。特別操作部92に対するユーザUの操作が受け付けられた場合、無線通信部WUの通信制御部82に対して無線通信操作部90から無線通信部WUを再起動させるための信号(以下では便宜上「リセット信号」と称する)が送信される(S203)。なお、「無線通信部WUを再起動」とは、例えば、通信制御部82の再起動であり、電力供給を一時停止することで、無線通信に関するコンピュータ上の処理で一時的に扱われる情報や信号が消去され、その後、電力供給を再開することに応じて上記の情報や信号を再度取得することが可能な状態になることを意味する。
【0058】
無線通信部WUの通信制御部82は、リセット信号を受信する場合、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止を行い、一時停止後に無線通信部WUに対する電力供給を再開させるための信号(例えば継電器RLを一時的に遮断状態にするための信号)を電源部85に送信する(S204)。これにより、電源部85により無線通信部WUに対する電力供給が一時停止され(S205)、無線通信部WUの動作(通信制御部82の動作)が一度終了される(S206)。そして、電力供給が一時停止されたすぐ後に、電源部85により無線通信部WUに対する電力供給が再開される(S207)。これにより、無線通信部WUが再起動される(S208)。
【0059】
通信制御部82は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開をすることに伴って(例えば無線通信部WUの再起動に伴って)、所定の制御を行う。例えば、通信制御部82は、無線通信部WUの再起動後に、上記所定の制御の一例として記憶部84に記憶されたペアリング履歴(接続登録履歴情報D13)の少なくとも一部を消去する(S209)。本実施形態では、通信制御部82は、記憶部84に記憶された全てのペアリング履歴を消去する。これに代えて、通信制御部82は、記憶部84に記憶されたペアリング履歴の一部のみを消去してもよい。例えば、通信制御部82は、記憶部84に記憶された最も新しいペアリング履歴のみを消去してもよい。または、通信制御部82は、記憶部84に記憶された所定時期よりも古いペアリング履歴のみを消去してもよい。一方で、無線通信部WUは、記憶部84に記憶されている他の情報(例えば、音データ情報D11およびユーザ設定情報D12)は消去しない。これにより、無線通信部WUは、ペアリング情報を有しない初期状態となる。その後の処理は、
図8を参照して説明したS102からS111の処理と同じである。
【0060】
通信制御部82は、ソフトリセットのように通信制御部82自身で再起動を認識することができる場合、通信制御部82が再起動されたことを示す信号を本体制御部62に送信する。本体制御部62は、通信制御部82から再起動されたことを示す信号を受信する場合、通信制御部82が再起動されたことを示す信号をサーバ200に送信する。これにより、通信制御部82の再起動に関する履歴情報がサーバ200により蓄積される。
【0061】
通信制御部82は、無線通信部WUが再起動される場合、サーバ200を介して、端末装置300に所定の通知を送信してもよい。所定の通知は、例えば、無線通信部WUが再起動されたこと、および再度の無線接続には端末装置300からのペアリング要求が必要であることを知らせる通知である。所定の通知は、例えばプッシュ通知により通知される。
【0062】
図9Bは、無線通信部WUの接続不良が生じた場合の別の動作例を示すシーケンス図である。なお
図9Bに示す例は、通信制御部82の制御によらない再起動(いわゆるハードリセット)が行われる場合を示す。本動作例は、例えば、通信制御部82の一部(例えば制御マイコン80Mの入口部)に継電器RLが設けられている場合の例である。この場合、無線通信部WUに入力される「リセット信号」は、ユーザが特別操作部92を押している間は、制御マイコン80Mに含まれる継電器RLを遮断状態し、無線通信部WUが回路(ハード)上で電源部85と切り離された状態になる。ユーザが特別操作部92を離すと、電源部85から無線通信部WUに対する電力供給が再開される。
【0063】
詳しく述べると、
図9Bに示す例では、無線通信部WUの接続不良が生じた場合(例えば端末装置300と無線通信部WUとが繋がらないまたは繋がりにくい場合)、ユーザUによって、冷蔵室扉20Aaが開かれ(S201)、無線通信操作部90の特別操作部92が1回押される(S202)。特別操作部92に対するユーザUの操作が受け付けられた場合、無線通信部WUの通信制御部82に対して無線通信操作部90から無線通信部WUを再起動させるための信号(以下では便宜上「リセット信号」と称する)が送信される(S203)。当該リセット信号は、通信制御部82の内部に設けられた継電器RLに入力される。継電器RLは、リセット信号が入力される場合、遮断状態になる。これにより、電源部85から無線通信部WUへの電力供給が一時停止され(S205´)、無線通信部WUの動作(通信制御部82の動作)が一度終了される(S206)。そして、特別操作部92に対するユーザUの操作が終了した場合、リセット信号が無くなることで、通信制御部82の内部に設けられた継電器RLの遮断状態が解除され、電源部85から無線通信部WUへの電力供給が再開される(S207´)。これにより、無線通信部WUが再起動される(S208)。その他の動作は、
図9Aに示す例と同様である。
図9Bの動作例で説明した内容は、「無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われる」ことの別の一例である。
図9Bの動作例で説明した内容は、以下に説明する全ての実施形態および変形例と組み合わされて実現されてよい。
【0064】
上述した動作例では、通信制御部82は、特別操作部92が操作されることに応じて接続登録履歴情報D13を消去する場合、通信制御部82の再起動後に、ユーザUによってBluetoothのペアリングボタン(開始操作部91)が再び操作されることで、ペアリングモードに入る。そして、ユーザUによって、接続する端末装置300のBluetooth設定画面が開かれ、無線通信操作部90のデバイス名が選択される。これにより、端末装置300から無線通信操作部90に対してペアリング要求が行われ、端末装置300と冷蔵庫100とが再び無線通信可能な状態になる。
【0065】
ただし、無線通信部WUの再起動に関する動作は、上記例に限定されない。例えば、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部を消去する動作は、無線通信部WUの再起動後に行われることに代えて、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止に応じて無線通信部WUの動作を終了させる前に行われてもよい。すなわち、通信制御部82は、ユーザUによって特別操作部92が操作された場合、先に記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部(例えば全部)を消去し、その後、電源部85を制御することで無線通信部WUに対する電源供給の一時停止および再開(すなわち無線通信部WUの再起動)を行わせてもよい。
【0066】
また、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行う動作は、上記例に限定されない。例えば、通信制御部82が電源部85を制御することに代えて、通信制御部82が直接的または間接的に第2電源基板70の電源部71を制御することで、同様の動作が実現されてもよい。また別の例として、通信制御部82が電源部85を制御することに代えて、特別操作部92に対するユーザUの操作を示す操作信号を無線通信操作部90から受信した別の制御部(例えば本体制御部62)が無線通信制御基板80Bの電源部85または第2電源基板70の電源部71を制御することで、同様の動作が実現されてもよい。さらに別の例として、通信制御部82が電源部85を制御することに代えて、特別操作部92に対するユーザUの操作を示す操作信号が無線通信操作部90から電源部85に直接入力され、電源部85によって無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われてもよい。
【0067】
なお、通信制御部82への電力供給を遮断する箇所は、電源部61から冷蔵庫本体MB側への電力供給を維持することを条件に、どこに設けてもよい。例えば、電源部85や電源部71において電力供給を遮断するのでもよいし、商用電源PSから通信制御部82までの電気配線上の何れかの箇所で電力供給を遮断するのでもよいし、あるいは、通信制御部82内において通信制御部82への電力供給を遮断するようにしてもよい。
【0068】
また、通信制御部82は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止に応じて記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部を消去することに代えて、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部を無効化してもよい。本出願で「無効化」とは、記憶部84に接続登録履歴情報D13のデータ自体は残るが、そのデータが使用されない状態にすることを意味する。無効化の方法としては、記憶部84のなかで接続登録履歴情報D13が記憶されたアドレスを未使用アドレスとして管理する、または上記アドレスに対するアクセスを一定期間に亘り禁止することなどである。
【0069】
<4.利点>
近距離無線通信を利用するスピーカは、端末装置などの外部機器から接続登録動作が実施されるにあたり、近距離無線通信の接続不良が発生することがある。この場合、ユーザはスピーカにある電源ON/OFFスイッチを操作することでスピーカの電源を入れ直すことで、近距離無線通信の接続不良が解消する場合がある。また、ある種の接続不良に関しては、近距離無線通信の接続登録情報(例えばBluetoothのペアリング履歴)が原因であることもあり、近距離無線通信の接続登録情報を記憶部から消去することで、接続不良が解消する場合がある。
【0070】
しかしながら、上記のようなスピーカ(スピーカユニット)を搭載した冷蔵庫の場合、スピーカユニットの電源をON/OFFするためには、冷蔵庫の電源をON/OFFする必要がある。冷蔵庫の電源をON/OFFするためはコンセントを抜き差しする必要があるが、コンセントが手の届きにくい場所にあることが多く、コンセントを抜き差しする負担が大きい場合がある。一方で、近距離無線通信は、その使用上の特性として、ユーザUが使用する端末装置と冷蔵庫とが頻繁に接続および切断が繰り返されることが想定される。このため、ユーザが容易に操作しやすく、かつ誤操作しない操作方法が好まれる。
【0071】
そこで本実施形態では、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体MBに電力を供給する第1電源基板60と、無線通信部WUに電力を供給する電源部85とを備える。無線通信部WUに多対する電力供給の一時停止および再開が第1電源基板60とは独立して制御可能である。このような構成によれば、近距離無線通信の接続不良が発生した場合に、冷蔵庫本体MBに対する電力供給を維持しつつ(言い換えると、冷蔵庫100の主要機能を維持しつつ)、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行うことで無線通信部WUの状態変化を促し、近距離無線通信の接続不良の解消を図ることができる。これにより、無線通信部WUの接続安定性の向上を図ることができ、ユーザUの利便性の向上を図ることができる。
【0072】
本実施形態では、無線通信部WUを再起動させるために無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われる。このような構成によれば、近距離無線通信の接続不良が発生した場合に、無線通信部WUを再起動させることで、近距離無線通信の接続不良の解消をより確実に図ることができる。
【0073】
本実施形態では、冷蔵庫100は、ユーザUの所定の操作を受け付ける特別操作部92を備える。電源部85は、ユーザUの所定の操作が特別操作部92により受け付けられた場合に、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行う。このような構成によれば、近距離無線通信の接続不良が発生した場合に、ユーザUは、冷蔵庫100のコンセントを抜くことなく、接続不良の解消を図ることができる。なお、特別操作部92は、1回操作すると無線通信部WUに対する電力供給が一時停止され、さらに操作すると無線通信部WUに対する電力供給が再開されるという態様で設けることもできるが、1回の操作に応じて無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開の両方が行われるようにすると、ユーザUの操作が簡易になるため好ましい。
【0074】
本実施形態では、無線通信部WUは、過去に行われた無線接続に関する情報を記憶する記憶部84を含む。そして、記憶部84に記憶された上記情報の少なくとも一部は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われることを含む所定条件が満たされる場合に消去または無効化される。このような構成によれば、記憶部84に記憶された上記情報が原因で接続不良が生じている場合に、その接続不良の原因を取り除くことができ、接続不良が解消する場合がある。これにより、接続不良をより確実に解消させることができる。
【0075】
ここで、ユーザUからすると、接続不良を解消するためには、記憶部84に記憶された上記情報を消去すればよいのか、無線通信部WUに対する電源をON/OFFすればよいか分からない場合がある。そこで本実施形態では、通信制御部82は、ユーザUの所定の操作が特別操作部92により受け付けられた場合に、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開と、記憶部84に記憶された上記情報の少なくとも一部の消去とを一括して行う。このような構成によれば、無線通信部WUを再起動させることと、過去に行われた無線接続に関する情報の少なくとも一部を記憶部84から消去することとを、特別操作部92に対するユーザUの1つの操作に基づいて行うことができる。これにより、操作に対するユーザUのストレスを軽減しつつ、誤操作を抑制することもできる。
【0076】
また上記構成によれば、量販店などでデモ機として使用された冷蔵庫100においてもメリットが生じる。例えば、店員またはお客が各自の端末装置を冷蔵庫100に接続することがあったとしても、冷蔵庫100の電源をOFFにすれば、無線通信部WUの次回の起動時に記憶部84に記憶された上記情報が消去される。このため、その冷蔵庫100を購入したユーザUでも、過去に接続したことがある第三者の端末装置に関する接続登録情報が存在しない状態で冷蔵庫100を使用することができる。これにより、悪意を持った第三者が再度接続を試みることに対する耐性を高めることができる。
【0077】
なお上述したように、記憶部84は、不揮発性の記憶部84aと、揮発性の記憶部84bとの組み合わせにより実現されてもよい。そして、不揮発性の記憶部84aに音データ情報D11およびユーザ設定情報D12が記憶され、揮発性の記憶部84bに接続登録履歴情報D13が記憶されてもよい。このような構成によれば、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われることで、通信制御部82から記憶部84に対する消去要求を発行することなく、揮発性の記憶部84bに記憶された接続登録履歴情報D13が自動的に消去される(保持が継続されなくなることで消去される)。これにより、通信制御部82の制御アルゴリズムの簡易化を図ることができる。
【0078】
なお、通信制御部82は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせるために特別操作部92に対して行われるユーザUの操作(第1所定操作)と、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部(例えば全部)を消去させるために特別操作部92に対して行われるユーザUの操作(第2所定操作)とを区別して受け付けてもよい。例えば、ユーザUが特別操作部92を短く1回押すことに応じて、通信制御部82は、接続登録履歴情報D13を消去せずに、電源部85を制御して無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開(すなわち通信制御部82の再起動)を行わせてもよい。一方で、ユーザUが特別操作部92を長押しすること(または連続して2回押すこと)に応じて、通信制御部82は、電源部85を制御して無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせるとともに、接続登録履歴情報D13を消去してもよい。
【0079】
本実施形態では、冷蔵庫本体MBは、操作パネル40を有する。特別操作部92は、操作パネル40の近傍または操作パネル40の一部として設けられている。このような構成によれば、操作パネル40と特別操作部92とが近くに配置されることで、これら操作部の操作が1箇所に集約されており、特別操作部92の位置が分かりやすい。また、操作パネル40および特別操作部92を1枚の基板45で実現することで、冷蔵庫100の製造コストの低減を図ることができる。
【0080】
本実施形態では、操作パネル40は、操作パネル40の基準面BSに対して凸形状の操作部41を含む。特別操作部92は、操作パネル40の操作部41と比べて基準面BSからの盛り上がり量が少ない、基準面BSに対して平坦である、または基準面BSに対して凹形状である。このような構成によれば、例えばユーザUに分かりやすい位置に特別操作部92が存在する場合でも、他のスイッチよりも押しにくい形状とすることで、意図しない肘や腕などの接触による電源のON/OFFを抑制することができる。また、特別操作部92を外観上も目立ちにくくすることで、特別操作部92が通常使用しないことをユーザUに明示することができる。
【0081】
<5.変形例>
次に、第1実施形態のいくつかの変形例について説明する。各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
【0082】
<5.1 第1変形例>
図10は、第1変形例の冷蔵室扉20Abを示す正面図である。本変形例では、特別操作部92は、冷蔵庫100の前面に設けられている。例えば、冷蔵室扉20Abの前面には、スピーカ操作部110が設けられている。スピーカ操作部110は、音量調整用の複数の操作部110a,110b、および音データの再生または一時停止用の操作部110cなどを含む。スピーカ操作部110は、例えばスイッチを含む機械的な操作部でもよく、静電容量式のセンサなどで実現される仮想的な操作部でもよい。冷蔵室扉20Abの前面は、「冷蔵庫100の前面」の一例である。
【0083】
本変形例では、音量調整用の2つの操作部110a,110b(例えば「+」および「-」の操作部)に特別操作部92の機能が与えられている。例えば、ユーザUにより音量調整用の2つの操作部110a,110bが同時に長押しされる場合、通信制御部82は、電源部85を制御して無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行い、さらに、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の少なくとも一部を消去する。音量調整用の2つの操作部110a,110bを同時に長押しするユーザUの操作は、「特別操作部92に対するユーザの所定の操作」の一例である。このような構成によれば、ユーザUは、冷蔵室扉20Aa,20Abを開け閉めすることなく、無線通信部WUの接続不良の解消を図ることができる。
【0084】
<5.2 第2変形例>
図11は、第2変形例の操作パネル40および無線通信操作部90を示す図である。本変形例では、特別操作部92は、操作パネル40に含まれる操作部41と比べて小さい、または操作に道具が必要な操作部である。例えば、特別操作部92は、操作パネル40に含まれる操作部41と比べて小さい凹部状の操作部であって、先が細い道具TLの先端で押すことで操作可能である。ただし、特別操作部92は、上記例に限定されず、操作パネル40に含まれる操作部41と比べて小さいこと、または操作に道具が必要であることのいずれか一方の条件を満たしていればよい。特別操作部92は、操作パネル40に含まれる操作部41と比べて小さいと好ましく、さらに言えば、操作パネル40に含まれる操作部41と比べて小さく、且つ、操作に道具が必要であること好ましい。このような構成によれば、特別操作部92に対する意図しない操作をより確実に抑制することができる。
【0085】
<5.3 第3変形例>
図12は、第3変形例の操作受付画面を示す図である。本変形例では、冷蔵室扉20Abの前面に、表示画面を含む表示装置120が設けられている。表示装置120は、表示画面と重ねて設けられてユーザUの操作を受け付け可能なタッチパネル121を有する。タッチパネル121は、「接触式入力装置」の一例である。
【0086】
本変形例では、操作パネル40に相当する本体制御部と、無線通信操作部90とは、タッチパネル121により実現される。本変形例では、表示装置120は、冷蔵庫本体MBの設定変更に関するユーザUの操作を受け付ける第1操作画面とは異なる操作画面として、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を電源部85に行わせるユーザUの操作を受け付ける第2操作画面を表示する。このような構成によれば、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開に関する意図しない操作をより確実に抑制することができる。
【0087】
例えば、
図12中の(a)は、表示装置120の起動後に最初に表示される操作画面OD1(いわゆるトップ画面)を示す。操作画面OD1には、冷蔵庫本体MBの設定変更を行うための操作画面に遷移するための操作部122a、食材管理を行うための操作画面に遷移するための操作部122b、およびレシピを検索して表示させるための操作画面に遷移するための操作部122cなどが表示される。
【0088】
図12中の(b)は、冷蔵庫本体MBの設定変更に関するユーザUの操作を受け付ける操作画面OD2を示す。操作画面OD2は、操作画面OD1で操作部122aに対するユーザUの操作が行われた場合に表示される画面である。操作画面OD2は、操作パネル40に相当する画面であり、複数の操作部41および複数の報知部42を含む。また、操作画面OD2には、無線通信部WUに関する操作を行うための操作画面に遷移するための操作部123が表示される。操作画面OD2は、「第1操作画面」の一例である。
【0089】
図12中の(c)は、無線通信部WUに関する操作を行うための操作画面OD3を示す。操作画面OD3は、操作画面OD2で操作部123に対するユーザUの操作が行われた場合に表示される画面である。操作画面OD3は、無線通信操作部90に相当する画面であり、開始操作部91、特別操作部92、および接続状態報知部93を含む。特別操作部92は、第1実施形態と同様に、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開(通信制御部82の再起動)と、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の消去とを一括して行わせる操作部でもよい。これに代えて、特別操作部92は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開(通信制御部82の再起動)を受け付ける操作部92aと、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の消去を受け付ける操作部92bとを別々に有してもよい。操作画面OD3は、「第2操作画面」の一例である。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われ、通信制御部82が再起動(例えばハードリセットによる再起動)された後に、開始操作部91に対するユーザUの操作を必要とせずに所定の制御を行う点で、第1実施形態とは異なる。例えば、通信制御部82は、無線通信部WUの再起動後に、上記所定の制御の一例として接続登録のための動作を自動的に開始する。なお以下に説明する以外の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
【0091】
図13は、本実施形態の無線通信部WUの無線接続に関する動作を示すシーケンス図である。本実施形態では、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われ、通信制御部82が再起動された後に、通信制御部82は、無線通信部WUの状況判定を行う(S301)。例えば、通信制御部82は、無線通信部WUの現在の状況が、直前(現時点から見て一定の時間内)に再起動が行われた状況であるのか、直前に再起動が行われていない状況(初回起動時または前回の再起動時から再起動が行われていない状況)であるのかを判定する。
【0092】
ここで、ソフトリセット(制御的なリセット)であれば、通信制御部82がそのリセットを認識しているが、ハードリセット(外部操作に応じたリセット)では、通信制御部82がそのリセットを認識できない場合がある。そこで本実施形態では、無線通信部WUは、第1タイマT1(
図5参照)と、第2タイマT2(
図5参照)とを用いて上記状況判定を行う。
【0093】
第1タイマT1は、無線通信部WUの再起動(無線通信部WUに対する電力供給の一時停止)に関わらず、カウントを継続するタイマである。第1タイマT1は、例えば、本体制御部62に設けられて冷蔵庫100の運転時間をカウントするタイマである。第1タイマT1は、例えば、冷蔵庫100の電源(すなわち電源部61の電源)が最初に入れられた時からカウントを継続する。一方で、第2タイマT2は、無線通信部WUの再起動(無線通信部WUに対する電力供給の一時停止)が行われる場合に、電力供給の一時停止中はカウントを継続しない(例えば、カウントがリセットされる、またはカウントが停止される)タイマである。
【0094】
通信制御部82は、周期的に第2タイマT2のカウント結果を本体制御部62に通知するようにし、本体制御部62は、第1タイマT1のカウントと、第2タイマT2のカウントを比較する。そして、本体制御部62は、第1タイマT1のカウントと、第2タイマT2のカウントとが一致する場合、現在の状況が初回起動時の状況であると判定する。一方で、本体制御部62は、第1タイマT1のカウントと、第2タイマT2のカウントとが一致しない場合、現在の状況が、無線通信部WUが再起動された状況であるのかと判定する。その後、本体制御部62は、上記の判定結果を通信制御部82に送信し、通信制御部82は、本体制御部62の判定結果に従って、直前(現時点から見て一定の時間内)に再起動が行われた状況であるのか、直前に再起動が行われていない状況(初回起動時または前回の再起動時から再起動が行われていない状況)であるのかを判定する。
【0095】
通信制御部82は、現在の状況が初回起動時または前回の再起動時から再起動が行われていない状況であると判定した場合、開始操作部91に対するユーザUの操作が受け付けられるまで、所定の接続登録待機状態(例えばBluetoothのペアリングモード)に移行しない。言い換えると、通信制御部82は、現在の状況が初回起動時または前回の再起動時から再起動が行われていない状況であると判定した場合、開始操作部91に対するユーザUの操作が受け付けられることを待って、所定の接続登録待機状態に移行する。
【0096】
一方で、通信制御部82は、現在の状況が、特別操作部92が操作されることで直前に再起動が行われた状況であると判定した場合、開始操作部91に対するユーザUの操作を伴わずに、所定の接続登録待機状態に移行する(S302)。「第1タイマT1のカウントと、第2タイマT2のカウントとが一致しない」ことは、ユーザUの操作とは異なる事象で規定される所定条件(所定の接続登録待機状態に移行するための条件)の一例である。以降の処理は、第1実施形態で説明したS104からS111の処理と同じである。すなわち、端末装置300から無線通信操作部90へ接続登録要求(例えばペアリング要求)が行われることで、端末装置300と無線通信操作部90との間で接続登録が行われ、端末装置300と無線通信操作部90との間で無線通信可能になる。
【0097】
上記の説明では、無線通信部WUの現在の状況が、初回起動時などの状況であるのか、無線通信部WUが再起動された状況であるのかを判定することを例に説明したが、同様にして2回目以降の再起動時についても、通信制御部82は、新たな再起動が行われたことを把握することができる。すなわち、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止中もカウントが継続される第1タイマT1のカウント結果と、無線通信部WUに対する電力供給の一時停止中はカウントが中断される第2タイマT2のカウント結果とを比較することで、通信制御部82が再起動されたことを判定することができる。なお、最初の再起動が行われることで通信制御部82の第2タイマT2はカウントが中断されるので、以降は本体制御部62の第1タイマT1と一致しない状態が続くことになるが、一度再起動が行われたと判断された後は、再起動後における第2タイマT2のカウント結果と第1タイマT1のカウント結果とを比較し、新たにカウント結果の不一致が生じた場合に、新たに再起動されたと判定することができる。
【0098】
このような構成によれば、通信制御部82の再起動の度に開始操作部91に対してユーザUが操作を行うことを省略することができる。これにより、ユーザUの利便性のさらなる向上を図ることができる。また、無線通信部WUに対する電力供給が中断された場合であっても、過去に行われた無線接続に関する情報が保存され続ける態様で記憶部84に記憶されている場合、通信制御部82は、上記の判定により通信制御部82自身の再起動を把握することで、過去に行われた無線接続に関する情報を消去する処理を実行することができる(S209)。
【0099】
<変形例>
次に、第2実施形態のいくつかの変形例について説明する。各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した第2実施形態と同様である。各変形例で説明する所定の接続登録待機状態に移行するための所定条件は、ユーザUの操作とは異なる事象で規定される所定条件の一例である。
【0100】
<第1変形例>
第1変形例では、通信制御部82は、通信制御部82の毎回の起動時に所定の信号を本体制御部62に送信する。本体制御部62は、通信制御部82から受信する上記所定信号の有無に基づき、通信制御部82の再起動の有無を監視する。本体制御部62は、通信制御部82から上記所定信号を受信した場合に、通信制御部82が再起動されたと判定する。そして、本体制御部62は、通信制御部82が再起動されたと判定した場合、通信制御部82を所定の接続登録待機状態に移行させるための制御信号を通信制御部82に送信する。これにより、通信制御部82は、開始操作部91に対するユーザUの操作を伴わずに所定の接続登録待機状態に移行する。
【0101】
<第2変形例>
第2変形例では、本体制御部62は、通信制御部82に対して所定の周期で状態確認信号を通知する。通信制御部82は、本体制御部62から状態確認信号を受信すると、受信した状態確認信号に応答する応答信号(ACK情報)を送信する。本体制御部62は、通信制御部82から受信する上記応答信号の有無に基づき、通信制御部82の再起動の有無を監視する。本体制御部62は、所定の周期で送信する状態確認信号に対して通信制御部82からの応答信号が途絶えた場合、通信制御部82が再起動されたと判定する。そして、本体制御部62は、通信制御部82が再起動されたと判定した場合、通信制御部82を所定の接続登録待機状態(例えばBluetoothのペアリングモード)に移行させるための制御信号を通信制御部82に送信する。これにより、通信制御部82は、開始操作部91に対するユーザUの操作を伴わずに所定の接続登録待機状態に移行する。
【0102】
<第3変形例>
第3変形例は、通信制御部82の再起動時に、少なくとも場合によって記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13が消去されない冷蔵庫100に関するものである。本変形例では、通信制御部82は、通信制御部82が起動された場合、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の有無を検出する。
【0103】
そして、無線通信部WUは、記憶部84に接続登録履歴情報D13として過去の接続登録情報(例えばBluetoothのペアリング履歴)が存在しない場合、現在の状況が初回起動時の状態であると判定する。一方で、無線通信部WUは、記憶部84に接続登録履歴情報D13として過去の接続登録情報が存在する場合、現在の状況が、通信制御部82が再起動された状況であると判定する。この場合、通信制御部82は、開始操作部91に対するユーザUの操作を伴わずに所定の接続登録待機状態に移行する。
【0104】
なお第3変形例において、通信制御部82は、記憶部84に接続登録履歴情報D13として過去の接続登録情報が存在する場合、記憶部84に残っている接続登録情報に基づき、無線通信部WUから端末装置300に接続登録動作(例えばペアリング要求)を行ってもよい。なお、接続登録動作を行う相手先の端末装置300を示す情報は、サーバ200に記憶されており、通信制御部82がサーバ200に記憶された情報を参照することで特定されてもよい。
【0105】
<第4変形例>
第4変形例では、通信制御部82は、通信制御部82の再起動と、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13の消去とを一括して行うために特別操作部92に対して行われるユーザUの操作(第1所定操作)と、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13を消去せず、通信制御部82の再起動後に、接続登録履歴情報D13が存在することに基づいて通信制御部82を所定の接続登録待機状態に自動で移行させるユーザUの操作(第2所定操作)とを区別して受け付けてもよい。例えば、通信制御部82は、ユーザUが特別操作部92を短く1回押すことを第1所定操作として受け付けてもよい。一方で、通信制御部82は、ユーザUが特別操作部92を長押しすること(または連続して2回押すこと)ことを第2所定操作として受け付けてもよい。
【0106】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、通信制御部82を再起動させる所定条件が満たされる場合に、ユーザUの操作を伴わずに無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開が行われる点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0107】
本実施形態では、通信制御部82は、ユーザの操作とは異なる事象で規定される所定条件が満たされる場合に、特別操作部92に対するユーザUの操作を伴わずに、通信制御部82に含まれる継電器RLまたは電源部85を制御することで無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせ、通信制御部82を再起動させる。上記所定条件は、例えば、無線通信部WUの接続状態の安定度が所定基準未満であることである。「接続状態の安定度が所定基準未満」とは、例えば、所定時間以内に所定頻度を超えて無線接続が途切れることである。
【0108】
図14は、本実施形態の無線通信部WUの無線接続に関する動作を示すシーケンス図である。本実施形態では、通信制御部82は、端末装置300と無線通信部WUとの間の接続登録(例えばBluetoothのペアリング)が行われた後、所定の周期で無線通信部WUの状態判定を行う(S401)。すなわち、通信制御部82は、所定の周期で、無線通信部WUの接続状態の安定度が所定基準以上であるか否かを判定する。
【0109】
通信制御部82は、無線通信部WUの接続状態の安定度が所定基準以上であると判定した場合、特段の追加動作は行わない。一方で、通信制御部82は、無線通信部WUの接続状態の安定度が所定未満であると判定した場合、特別操作部92に対するユーザUの操作を伴わずに、通信制御部82を再起動させるように無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせるための信号を通信制御部82に含まれる継電器RLまたは電源部85に送信する(S402)。
【0110】
別の例として、本体制御部62は、通信制御部82から本体制御部62に所定の周期で送信される所定信号を監視してもよい。そして、本体制御部62は、通信制御部82からの上記所定信号の受信が途切れた場合に、上記所定条件が満たされたと判定し、特別操作部92に対するユーザUの操作を伴わずに、通信制御部82に含まれる継電器RL電源部85を制御することで無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせ、通信制御部82を再起動させるとともに、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13を消去してもよい。
【0111】
さらに別の例として、通信制御部82は、本体制御部62から通信制御部82に所定の周期で送信される所定信号を監視してもよい。そして、通信制御部82は、本体制御部62からの上記所定信号の受信が途切れた場合に、上記所定条件が満たされたと判定し、特別操作部92に対するユーザUの操作を伴わずに、電源部85を制御することで無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせ、通信制御部82を再起動させるとともに、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13を消去してもよい。
【0112】
さらに別の例として、通信制御部82は、端末装置300と無線通信部WUとの間の接続登録(例えばペアリング)および/または無線通信の再接続が失敗した場合(ただし接続タイムアウトは除く)に、上記所定条件が満たされたと判定し、特別操作部92に対するユーザUの操作を伴わずに、電源部85を制御することで無線通信部WUに対する電力供給の一時停止および再開を行わせ、通信制御部82を再起動させるとともに、記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13を消去してもよい。
【0113】
これら構成によれば、第1実施形態と同様に、無線通信の接続不良を解消できる場合がある。なお本実施形態では、特別操作部92は、必須ではなく省略されてもよい。
【0114】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、第2電源基板70が設けられていない点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
【0115】
図15は、第4実施形態の各種基板およびスピーカユニット80の接続関係を示す図である。本実施形態では、第2電源基板70が存在しない。無線通信制御基板80Bの電源部85には、第1電源基板60の電源部61によって変換された電力が供給される。この場合、第1電源基板60の電源部61は、無線通信制御基板80Bの電源部85に対する電力供給の一時停止および再開を制御可能な切替部131(例えば継電器)を有してもよい。本実施形態では、第1電源基板60は、「冷蔵庫本体MBおよび無線通信部WUに電力を供給する電源基板」の一例である。このような構成によっても、第1実施形態と同様に、無線接続の接続不良を解消できる場合がある。
【0116】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明した。ただし、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。例えば、上述した2つ以上の実施形態または変形例には、互いに組み合わされて実現されてもよい。また、特別操作部92は、冷蔵庫100に設けられることに代えて/加えて、端末装置300のアプリケーションプログラムPによって端末装置300上に設けられてもよい。
【0117】
例えば、端末装置300と無線通信部WUとの間の接続登録情報(例えばペアリング情報)は、サーバ200で管理されてもよい。この場合、通信制御部82(または本体制御部62)は、遠距離通信部50を介してサーバ200と通信を行い、サーバ200から上記接続登録情報を取得可能であってもよい。通信制御部82は、通信制御部82の再起動に応じて記憶部84に記憶された接続登録履歴情報D13を消去する場合、サーバ200で管理している上記接続登録情報に基づき、無線通信部WUから端末装置300に接続要求を行ってもよい。
【0118】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、冷蔵庫本体に電力を供給する電源基板と、無線通信部に電力を供給し、電源基板とは独立して電力供給の一時停止および再開を制御可能な電源部とを備える。このような構成によれば、利便性の向上を図ることができる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
100…冷蔵庫、MB…冷蔵庫本体、60…第1電源基板、61…電源部、62…本体制御部、70…第2電源基板、71…電源部、80…スピーカユニット、80A…スピーカ、80B…無線通信制御基板、WU…無線通信部、82…通信制御部、84…記憶部、85…電源部、300…端末装置。