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特許7587014レーザ加工装置の動作を教示するための教示装置、及び教示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】レーザ加工装置の動作を教示するための教示装置、及び教示方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20241112BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20241112BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/08 Z
G05B19/42 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023502459
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007400
(87)【国際公開番号】W WO2022181643
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021030543
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋平
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-36520(JP,A)
【文献】特開平7-319529(JP,A)
【文献】特開2018-180780(JP,A)
【文献】特開2010-262442(JP,A)
【文献】特開2013-196309(JP,A)
【文献】特開平11-224116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
G05B 19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに照射したレーザ光を該ワークに対して移動させることで該ワークをレーザ加工するレーザ加工装置の動作を教示するための教示装置であって、
プロセッサを備え、該プロセッサは、
前記レーザ加工において前記レーザ加工装置が前記レーザ光を前記ワークに対して移動させる移動経路を表示する経路画像を生成し、
前記レーザ加工の進捗を示す進捗パラメータと前記レーザ光のレーザパラメータとのデータセットを入力するための入力画像を生成し、
前記進捗パラメータに対応する前記移動経路上の位置を前記経路画像に表示する、教示装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記進捗パラメータと前記レーザパラメータとの関係を表すグラフを表示するグラフ画像をさらに生成し、
前記進捗パラメータに対応する前記グラフ上の位置を前記グラフ画像に表示する、請求項1に記載の教示装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記進捗パラメータの大きさの順に、複数の前記データセットを並べて表示したデータセット画像をさらに生成する、請求項1又は2に記載の教示装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
入力信号に応じて前記進捗パラメータの開始点から終了点までの区間内で移動するように表示され、前記進捗パラメータを指定するためのスライダを表示するスライダ画像をさらに生成し、
前記スライダによって指定された前記進捗パラメータに対応する前記移動経路上の位置を前記経路画像に表示する、請求項1~3のいずれか1項に記載の教示装置。
【請求項5】
前記進捗パラメータは、
前記レーザ加工の開始からの経過時間、
前記レーザ加工の開始から前記レーザ加工装置が前記レーザ光を前記移動経路に沿って移動させた距離、又は
前記レーザ加工の進捗率、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の教示装置。
【請求項6】
前記レーザパラメータは、
前記レーザ光のレーザパワー、
前記レーザ光の周波数、
前記レーザ光のデューティ比、又は
前記レーザ光の焦点を前記ワークの表面からずらす距離を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の教示装置。
【請求項7】
ワークに照射したレーザ光を該ワークに対して移動させることで該ワークをレーザ加工するレーザ加工装置の動作を教示する方法であって、
プロセッサが、
前記レーザ加工において前記レーザ加工装置が前記レーザ光を前記ワークに対して移動させる移動経路を示す経路画像を生成し、
前記レーザ加工の進捗を示す進捗パラメータと前記レーザ光のレーザパラメータとのデータセットを入力するための入力画像を生成し、
前記進捗パラメータに対応する前記移動経路上の位置を前記経路画像に表示する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工装置の動作を教示するための教示装置、及び教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工動作を教示するための教示装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-35404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、レーザ加工において、ワークに対するレーザ光の移動経路の所望の位置におけるレーザパラメータを容易に調整可能とする教示装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、ワークに照射したレーザ光を該ワークに対して移動させることで該ワークをレーザ加工するレーザ加工装置の動作を教示するための教示装置は、プロセッサを備え、該プロセッサは、レーザ加工においてレーザ加工装置がレーザ光をワークに対して移動させる移動経路を表示する経路画像を生成し、レーザ加工の進捗を示す進捗パラメータとレーザ光のレーザパラメータとのデータセットを入力するための入力画像を生成し、進捗パラメータに対応する移動経路上の位置を経路画像に表示する。
【0006】
本開示の他の態様において、ワークに照射したレーザ光を該ワークに対して移動させることで該ワークをレーザ加工するレーザ加工装置の動作を教示する方法は、プロセッサが、レーザ加工においてレーザ加工装置がレーザ光をワークに対して移動させる移動経路を示す経路画像を生成し、レーザ加工の進捗を示す進捗パラメータとレーザ光のレーザパラメータとのデータセットを入力するための入力画像を生成し、進捗パラメータに対応する移動経路上の位置を経路画像に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、オペレータは、経路画像に示された移動経路を視認しつつ、該移動経路上の所望の位置におけるレーザパラメータ(例えばレーザパワー)を、任意に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るレーザ加工システムの概略構成図である。
図2図1に示すレーザ加工システムのブロック図である。
図3図1に示すレーザ照射装置の一例を示す。
図4図1に示す教示装置が生成する教示画像の一例であって、「形状1」のタブが選択された状態を示す。
図5図4に示す教示画像において、「パワー」のタブが選択された状態を示す。
図6図5に示す教示画像において、スライダが移動された状態を示す。
図7図4中の速度設定画像を選択したときに表示されるパラメータ設定画像の一例を示す。
図8図4に示す教示画像において、「形状1」及び「形状2」が設定された場合に「パワー」のタブが選択された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1図3を参照して、一実施形態に係るレーザ加工システム10について説明する。レーザ加工システム10は、レーザ加工装置12、制御装置14、及び教示装置50を備える。
【0010】
レーザ加工装置12は、制御装置14からの指令の下、ワークWにレーザ光LBを照射し、照射したレーザ光LBをワークWに対して移動させることで、ワークWをレーザ加工(レーザ溶接、レーザ切断等)する。具体的には、レーザ加工装置12は、レーザ発振器16、レーザ照射装置18、及び移動機構20を備える。
【0011】
レーザ発振器16は、固体レーザ発振器(例えば、YAGレーザ発振器、又はファイバレーザ発振器)、又は、ガスレーザ発振器(例えば、炭酸ガスレーザ発振器)等であって、制御装置14からの指令に応じて、光共振によって内部でレーザ光LBを生成し、導光部材22を通してレーザ光LBをレーザ照射装置18に供給する。導光部材22は、例えば、光ファイバ、中空若しくは透光材からなる導光路、反射鏡、又は光学レンズ等の光学要素を有し、レーザ光LBをレーザ照射装置18へ導光する。
【0012】
レーザ照射装置18は、レーザスキャナ(ガルバノスキャナ)、又はレーザ加工ヘッド等であって、レーザ発振器16から供給されたレーザ光LBを集光し、ワークWに照射する。図3に、レーザスキャナとしてのレーザ照射装置18の構成を模式的に示す。図3に示すレーザ照射装置18は、筐体24、受光部26、ミラー28及び30、ミラー駆動装置32及び34、光学レンズ36、レンズ駆動装置38、及び出射部40を有する。
【0013】
筐体24は中空であって、その内部にレーザ光LBの伝搬路を画定する。受光部26は、筐体24に設けられ、導光部材22を伝搬したレーザ光LBを受光する。ミラー28は、軸線A1の周りに回動可能となるように、筐体24の内部に設けられている。ミラー28は、受光部26を通して筐体24の内部に入射したレーザ光LBをミラー30へ向かって反射する。ミラー駆動装置32は、例えばサーボモータであって、制御装置14からの指令に応じて、ミラー28を軸線A1の周りに回動させる。
【0014】
一方、ミラー30は、軸線A2の周りに回動可能となるように、筐体24の内部に設けられている。軸線A2は、軸線A1と略直交してもよい。ミラー30は、ミラー28が反射したレーザ光LBを光学レンズ36へ向かって反射する。ミラー駆動装置34は、例えばサーボモータであって、制御装置14からの指令に応じて、ミラー30を軸線A2の周りに回動させる。一般的に、ミラー28及び30は、ガルバノミラーと称されることがあり、ミラー駆動装置32及び34は、ガルバノモータと称されることがある。
【0015】
光学レンズ36は、フォーカスレンズ等を有し、レーザ光LBを集光する。本実施形態においては、光学レンズ36は、入射するレーザ光LBの光軸Oの方向に移動可能となるように、筐体24の内部に支持されている。レンズ駆動装置38は、圧電素子、超音波振動子、又は超音波モータ等を有し、制御装置14からの指令に応じて、光学レンズ36を光軸Oの方向へ変位させ、これにより、ワークWに照射されるレーザ光LBの焦点を、光軸Oの方向へ変位させる。出射部40は、光学レンズ36によって集光されたレーザ光LBを、筐体24の外部へ出射する。
【0016】
再度、図1及び図2を参照して、移動機構20は、例えばサーボモータを有し、レーザ照射装置18をワークWに対して相対的に移動させる。例えば、移動機構20は、レーザ照射装置18を座標系Cにおける任意の位置へ移動可能な多関節ロボットである。代替的には、移動機構20は、レーザ照射装置18を座標系Cのx-y平面に沿って移動させるとともに、座標系Cのz軸方向に移動させる複数のボールねじ機構を有してもよい。
【0017】
座標系Cは、例えば、作業セルの3次元空間を規定するワールド座標系、移動機構20の動作を制御するための移動機構座標系(例えば、ロボット座標系)、又は、ワークWの座標を規定するワーク座標系等であって、レーザ加工装置12の動作を自動制御するための制御座標系である。
【0018】
制御装置14は、レーザ加工装置12の動作を制御する。具体的には、制御装置14は、プロセッサ(CPU、GPU等)、及びメモリ(ROM、RAM等)を有するコンピュータである。制御装置14は、レーザ発振器16によるレーザ光生成動作を制御する。また、制御装置14は、移動機構20を動作させることで、レーザ照射装置18をワークWに対して移動させる。また、制御装置14は、レーザ照射装置18のミラー駆動装置32及び34を動作させることでミラー28及び30の向きをそれぞれ変化させ、これにより、ワークWに照射されたレーザ光LBの照射点を、該ワークWに対して高速移動させることができる。
【0019】
教示装置50は、レーザ加工装置12の動作を教示するためのものである。図2に示すように、教示装置50は、プロセッサ52、メモリ54、及びI/Oインターフェース56を有するコンピュータである。なお、教示装置50は、例えば、デスクトップ型又はタブレット型のPC等、如何なるタイプのコンピュータであってもよい。
【0020】
プロセッサ52は、CPU又はGPU等を有し、バス58を介してメモリ54及びI/Oインターフェース56に通信可能に接続されている。プロセッサ52は、メモリ54及びI/Oインターフェース56と通信しつつ、後述する教示機能を実現するための演算処理を行う。
【0021】
メモリ54は、RAM又はROM等を有し、各種データを一時的又は恒久的に記憶する。I/Oインターフェース56は、例えば、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、プロセッサ52からの指令の下、外部機器との間でデータを有線又は無線で通信する。
【0022】
教示装置50には、入力装置60及び表示装置62が設けられている。入力装置60は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等を有し、オペレータからデータ入力を受け付ける。表示装置62は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を有し、各種データを表示する。
【0023】
入力装置60、及び表示装置62は、I/Oインターフェース56に、有線又は無線で通信可能に接続されている。なお、入力装置60及び表示装置62は、教示装置50の筐体とは別体として設けられてもよいし、又は、教示装置50の筐体に一体に組み込まれてもよい。
【0024】
以下、図4図6を参照して、教示装置50を用いてレーザ加工装置12の動作を教示する方法について、説明する。入力装置60を通してオペレータから教示開始指令を受け付けると、プロセッサ52は、図4に示す教示画像100を、コンピュータグラフィックス(CG)の画像データとして生成し、表示装置62に表示する。教示画像100は、オペレータの教示作業を補助するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であって、タブ画像領域102と、パラメータ設定画像領域104とを有する。
【0025】
本実施形態においては、タブ画像領域102には、「形状1」、「形状2」、「形状3」、「形状4」、「パワー」、「周波数」、「デューティ」、及び「デフォーカス」の計8種類のタブの画像が表示されている。オペレータは、入力装置60を操作して、これら9種類のタブのうちの1つを画像上でクリックすることによって選択できるようになっている。
【0026】
プロセッサ52は、入力装置60を通してオペレータから受け付けた入力信号に応じて、オペレータによって選択されたタブに対応するパラメータ設定画像を生成し、パラメータ設定画像領域104に表示する。図4は、「形状1」のタブに対応するパラメータ設定画像106が、パラメータ設定画像領域104に表示されている状態を示している。
【0027】
オペレータは、パラメータ設定画像106を通して、レーザ加工においてレーザ加工装置12(具体的には、レーザ照射装置18)がレーザ光LBをワークWに対して移動させる移動経路MPの形状、レーザ光LB(具体的には、ワークW上の照射点)の速度V、レーザ光LBに移動経路MPを繰り返し移動させる回数N等の種々のパラメータを設定できる。
【0028】
具体的には、パラメータ設定画像106には、「形状タイプ」を選択するための形状選択画像108、経路画像110、「走査周波数」の数値入力画像112、「時間」の数値入力画像114、「高さ」の数値入力画像116、「幅」の数値入力画像118、「回数」の数値入力画像120、速度選択画像122、速度設定画像124、溶接線長画像126、及び、算出方法選択画像128が表示されている。
【0029】
形状選択画像108は、移動経路MPの形状を選択するためのものである。具体的には、オペレータが入力装置60を操作して形状選択画像108を画像上でクリックすると、プロセッサ52は、入力装置60からの入力信号に応じて、複数種類の「形状タイプ」が列挙されたリストを、例えばプルダウン画像として、形状選択画像108に表示する。
【0030】
例えば、移動経路MPの「形状タイプ」として、「四角形」、「円形」、「8の字形」、「C字形」、「三角波形」等、種々の形状が含まれ得る。オペレータは、入力装置60を操作して、形状選択画像108に表示された複数の「形状タイプ」のうちの1つを画像上でクリックすることによって選択できるようになっている。
【0031】
経路画像110は、形状選択画像108で選択された「形状タイプ」の移動経路MPを表示する。図4は、「形状タイプ」として「四角形」が選択された場合を示している。移動経路MPは、始点P1と終点P2とを有する。図4に示す例では、始点P1及び終点P2が、四角形の右辺の中点に設定されている。四角形の移動経路MPの場合、レーザ加工装置12は、レーザ光LBを、始点P1から終点P2まで、移動経路MPに沿って時計回り(又は反時計回り)の方向へ移動させる。
【0032】
なお、プロセッサ52は、移動経路MPにおける始点P1及び終点P2の位置を選択するための画像をさらに生成し、パラメータ設定画像106に表示してもよい。また、プロセッサ52は、移動経路MPの始点P1から終点P2までレーザ光LBを移動させる方向(例えば、時計回り方向、又は反時計回り方向)を選択するための画像をさらに生成し、パラメータ設定画像106に表示してもよい。本稿においては、移動経路MPの始点P1から終点P2までレーザ光LBを1回だけ移動させることを、1回の「走査」として言及する。
【0033】
「高さ」の数値入力画像116は、形状選択画像108で選択した「形状タイプ」の高さ方向(図4の紙面上下方向)の寸法を入力するためのものである。オペレータは、入力装置60を操作して、数値入力画像116に「高さ」の数値を入力できるようになっている。プロセッサ52は、入力装置60からの入力信号に応じて、入力された「高さ」を有する移動経路MPを、経路画像110に表示する。図4に示す例では、「高さ」の数値入力画像116に「20」が入力されており、経路画像110には、20[mm]の高さを有する四角形の移動経路MPが表示されている。
【0034】
「幅」の数値入力画像118は、形状選択画像108で選択した「形状タイプ」の幅方向(図4の紙面左右方向)の寸法を入力するためのものである。オペレータは、入力装置60を操作して、数値入力画像118に「幅」の数値を入力できるようになっている。プロセッサ52は、入力された「幅」を有する移動経路MPを、経路画像110に表示する。図4に示す例では、「幅」の数値入力画像118に「20」が入力されており、経路画像110には、20[mm]の幅を有する四角形の移動経路MPが表示されている。
【0035】
「回数」の数値入力画像120に関し、「回数」とは、走査を繰り返す回数Nを示す。「走査周波数」の数値入力画像112に関し、「走査周波数」とは、1秒間の走査回数f(単位[Hz])を示す。また、「時間」の数値入力画像114に関し、「時間」とは、数値入力画像120に入力される回数Nだけ走査するのに要する時間tであって、1回の「走査」に要する時間tに、回数Nを乗算した時間t=t×Nとして求められる。オペレータは、入力装置60を操作して、数値入力画像112、114及び120に、それぞれ、「走査周波数」、「時間」及び「回数」を入力できるようになっている。
【0036】
一方、算出方法選択画像128には、「時間と回数から走査周波数を算出する」という選択肢の画像と、「走査周波数と回数から時間を算出する」という選択肢の画像と、「走査周波数と時間から回数を算出する」という選択肢の画像とが表示されている。オペレータは、入力装置60を操作して、これら3つの選択肢のうちの1つを画像上で選択できるようになっている。
【0037】
「時間と回数から走査周波数を算出する」という選択肢が選択された場合、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号を受け付けて、「走査周波数」の数値入力画像112を、数値入力ができないことを示すように表示する。オペレータは、「時間」の数値入力画像114に時間tを入力するとともに、「回数」の数値入力画像120に回数Nを入力する。時間t及び回数Nの入力信号に応じて、プロセッサ52は、走査周波数fを、f=N/tとして自動で計算し、数値入力画像112に表示する。
【0038】
図4は、算出方法選択画像128で「時間と回数から走査周波数を算出する」という選択肢が選択され、数値入力画像114にt=1000[msec]、数値入力画像120に回数N=1が入力されている例を示している。この場合、図4に示すように、プロセッサ52は、「走査周波数」の数値入力画像112を、数値の入力ができないことを視覚的に認識可能とするように表示(具体的には、他の数値入力画像114、120とは別の色で表示)している。そして、プロセッサ52は、走査周波数fを、f=N/t(=1[Hz])として自動で計算し、数値入力画像114に表示している。
【0039】
一方、算出方法選択画像128において「走査周波数と回数から時間を算出する」という選択肢が選択された場合は、プロセッサ52は、「時間」の数値入力画像114を、数値入力不能であることを示すように表示する。オペレータは、走査周波数f及び回数Nを入力し、プロセッサ52は、これら入力信号から、時間tを、t=N/fとして計算し、数値入力画像114に表示する。なお、「走査周波数と時間から回数を算出する」という選択肢についても、他の選択肢と同様である。
【0040】
溶接線長画像126に関し、「溶接線長」とは、入力された「形状タイプ」、「高さ」及び「幅」によって画定される移動経路MPを、「回数」の数値入力画像120に入力された回数Nだけ走査したときの総走査距離lを示す。プロセッサ52は、オペレータによって入力された「形状タイプ」、「高さ」、「幅」及び「回数」に応じて、溶接線長lを自動で計算し、溶接線長画像126に表示する。
【0041】
速度選択画像122には、「走査速度」という選択肢の画像と、「溶接速度」という選択肢の画像とが表示されている。オペレータは、入力装置60を操作して、これら2つの選択肢のうちの1つを画像上で選択できるようになっている。「走査速度」とは、レーザ加工装置12(具体的には、レーザ照射装置18)がレーザ光LBを移動経路MPに沿ってワークWに対して移動させる速度Vを示す。
【0042】
一方、「溶接速度」とは、速度Vの、基準方向の速度成分Vを示す。例えば、図4の経路画像110の移動経路MPにおいて、基準方向を、経路画像110の横軸方向と定義したとする。この場合、溶接速度Vは、移動経路MPに沿って移動するレーザ光LB(具体的には、照射点)の速度Vの、横軸方向の速度成分となる。
【0043】
速度設定画像124は、速度選択画像122で選択された走査速度V又は溶接速度Vを設定するためのものである。なお、速度設定画像124の機能の詳細については、後述する。図4に示す例では、速度設定画像124に、オペレータによって設定された最高速度及び最低速度がそれぞれ表示されている。なお、図4は、走査速度Vが、一定の速度V=4.8[m/min](又は、80[mm/sec])として設定されている例を示している。
【0044】
以上のように、オペレータは、パラメータ設定画像106において、移動経路MPの形状タイプ、時間t、回数N、速度V又はV等の種々のパラメータを設定できる。プロセッサ52は、オペレータから受け付けた種々のパラメータの設定情報を、メモリ54に記憶する。なお、タブ画像領域102に表示されている「形状2」、「形状3」、及び「形状4」に対応するパラメータ設定画像も、パラメータ設定画像106と同じである。
【0045】
一方、タブ画像領域102に表示されているタブのうち、「パワー」、「周波数」、「デューティ」、及び「デフォーカス」のタブは、レーザ光LBの光学的特性を規定するレーザパラメータLPを設定するためのものである。「パワー」は、レーザ加工においてレーザ発振器16が生成するレーザ光LBのレーザパワーLP1を設定するためのものであり、「周波数」は、レーザ発振器16が生成するレーザ光LBのパルス周波数LP2を設定するためのものである。
【0046】
また、「デューティ」は、レーザ光LBのデューティ比LP3を設定するためのものであり、「デフォーカス」は、レーザ光LBの焦点をワークWの表面からずらす距離LP4を設定するためのものである。プロセッサ52は、「パワー」、「周波数」、「デューティ」又は「デフォーカス」のタブを選択する入力信号に応じて、該タブに対応するパラメータ設定画像を生成し、パラメータ設定画像領域104に表示する。
【0047】
図5は、「パワー」のタブが選択され、パラメータ設定画像領域104に、該「パワー」のタブに対応するパラメータ設定画像130が表示されている状態を示している。オペレータは、パラメータ設定画像130を通して、レーザパラメータLPとして、レーザ光LBのレーザパワーLP1を設定できる。
【0048】
具体的には、パラメータ設定画像130には、経路画像110、データセット入力画像132、データセット画像134、グラフ画像136、スライダ画像138、及び時刻算出画像150が表示されている。データセット入力画像132は、進捗パラメータPPとレーザパラメータLPとのデータセットDSを入力するためのものである。進捗パラメータPPは、レーザ加工の進捗を定量的に表すパラメータであって、例えば、レーザ加工の開始からの経過時間t、レーザ加工の開始からレーザ加工装置12がレーザ光LBを移動経路MPに沿って移動させた距離d、又は、レーザ加工の進捗率Rを含む。
【0049】
一例として、進捗率Rは、レーザ加工の開始から終了までの総所要時間tに対する経過時間tの比R1(すなわち、R1=t/t)であってもよい。例えば、本実施形態の場合、「形状1」の移動経路MPだけが設定されているので、総所要時間tは、図4中の「時間」t=1000[msec]となる。
【0050】
他の例として、進捗率Rは、レーザ加工の開始から終了までにレーザ加工装置12がレーザ光LBを移動させる総距離dに対する上記距離dの比R2(すなわち、R2=d/d)であってもよい。例えば、本実施形態の場合、「形状1」の移動経路MPだけが設定されているので、総距離dは、図4中の「溶接線長」:l=80[mm]となる。
【0051】
図5は、進捗パラメータPPとして経過時間tが選択されている例を示している。データセット入力画像132は、進捗パラメータ入力画像140、レーザパラメータ入力画像142、及び追加ボタン画像144を含む。図5に示す例では、進捗パラメータPPが経過時間tであり、レーザパラメータLPとして「パワー」のタブが選択されている。
【0052】
したがって、進捗パラメータ入力画像140は、経過時間t(単位[msec])を入力するように表示され、レーザパラメータ入力画像142は、レーザパワーLP1(単位[W])を入力するように表示されている。オペレータは、入力装置60を操作して、進捗パラメータ入力画像140、及びレーザパラメータ入力画像142に、それぞれ、経過時間t、及びレーザパワーLP1を入力できるようになっている。
【0053】
追加ボタン画像144は、進捗パラメータ入力画像140及びレーザパラメータ入力画像142に入力された進捗パラメータPP(本例では、経過時間t)とレーザパラメータLP(本例では、レーザパワーLP1)とのデータセットDSを、レーザ加工条件LCとして登録するためのボタンである。
【0054】
オペレータが入力装置60を操作して追加ボタン画像144を画像上でクリックすると、このときに入力されている進捗パラメータPP(経過時間t)とレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)とのデータセットDSが、レーザ加工条件LCとしてメモリ54に格納されるとともに、データセット画像134に示されるリストに登録される。
【0055】
データセット画像134は、進捗パラメータPPとレーザパラメータLPとのデータセットDSを、リスト形式で表示する。図5に示す例では、データセット画像134には、「時刻」、「距離」、及び「パワー」のタブの画像が表示されている。「時刻」は、上述の経過時間tに対応する。また、「距離」は、上述の距離dに対応し、「パワー」は、上述のレーザパワーLP1に対応する。
【0056】
データセット画像134においては、進捗パラメータPPとしての経過時間t及び距離dと、レーザパラメータLPとしてのレーザパワーLP1との複数のデータセットDSが、経過時間tの大きさの順に(具体的には、昇順で)、並べて表示されている。ここで、本実施形態においては、図4において一定の走査速度V=4.8[m/min](80[mm/sec])が設定されているので、進捗パラメータ入力画像140に入力された経過時間tでの距離dが、d=V×tとして計算できる。
【0057】
プロセッサ52は、追加ボタン画像144によってデータセットDSが登録されたときに、登録された経過時間tに対応する距離dを自動で計算し、経過時間t、距離d、及びレーザパラメータLPのデータセットDSのリストを作成して、データセット画像134に表示する。
【0058】
なお、オペレータが入力装置60を操作して「時刻」のタブを画像上でクリックする毎に、プロセッサ52は、データセット画像134に示されるデータセットDSの並び順を、経過時間tの昇順及び降順の間で切り換えるように、データセット画像134を更新してもよい。同様に、プロセッサ52は、「距離」又は「パワー」についても、タブをクリックする毎にデータセットDSの並び順を、距離d又はレーザパラメータLPの昇順及び降順の間で切り換えてもよい。
【0059】
また、オペレータは、入力装置60を操作して、データセット画像134に示されるデータセットDSの1つを画像上でクリックすることで選択することが可能となっている。図5に示す例では、「時刻」が350[msec]、「距離」が28.00[mm]、「パワー」が5000[W]のデータセットDSが選択されている状態を示している。
【0060】
このように1つのデータセットDSを選択した状態で、オペレータが入力装置60を操作して、データセット画像134の下側に表示されている削除ボタン画像135を画像上でクリックすると、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、データセット画像134で選択された1つのデータセットDSを、メモリ54に格納されたレーザ加工条件LCから削除するとともに、データセット画像134し示すリストから削除する。
【0061】
また、オペレータがデータセット画像134内でデータセットDSの1つを選択すると、プロセッサ52は、選択されたデータセットDSの「時刻」を進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、選択されたデータセットDSの「パワー」を、レーザパラメータ入力画像142に自動で表示する。オペレータは、レーザパラメータ入力画像142の数値を変更して追加ボタン画像144を画像上でクリックすることで、選択したデータセットDSの「パワー」を変更できるようになっている。
【0062】
グラフ画像136は、進捗パラメータPPとレーザパラメータLPとの関係を表すグラフGを表示する。図5に示す例では、グラフGは、経過時間tとレーザパワーLP1との関係(すなわち、データセット画像134に示す、「時刻」と「パワー」のデータセットDSのリストに対応するグラフ)を示している。
【0063】
スライダ画像138は、スライダ146の画像と、進捗パラメータPPの開始点SPから終了点EPまでの区間148の画像とを含む。区間148の開始点SPは、レーザ加工の開始点を示し、終了点EPは、レーザ加工の終了点を示す。本実施形態においては、進捗パラメータPPとして経過時間tが選択されているので、区間148は、経過時間tを表す。また、「形状1」の移動経路MPだけが設定されていることから、区間148の開始点SPは、t=0である一方、終了点EPは、図4中の時間tとなる(つまり、t=t=1000[msec])。
【0064】
スライダ146は、オペレータからの入力信号に応じて、区間148内で移動するように表示され、進捗パラメータPP(本例では、経過時間t)を指定する。具体的には、オペレータが入力装置60を操作してスライダ146を画像上で移動させる(いわゆる、ドラッグアンドドロップ)と、プロセッサ52は、入力装置60からの入力信号に応じて、スライダ146を区間148内で画像上移動させるように、スライダ画像138を更新する。
【0065】
そして、プロセッサ52は、スライダ146が区間148内の任意の位置で停止されたときに、該任意の位置のスライダ146によって指定される進捗パラメータPP(経過時間t)を読み取る。そして、プロセッサ52は、読み取った進捗パラメータPP(経過時間t)を、データセット入力画像132の進捗パラメータ入力画像140に自動で入力(つまり、表示)するとともに、該進捗パラメータPP(経過時間t)に対応するレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に自動で入力(つまり、表示)する。
【0066】
一方、プロセッサ52は、パラメータ設定画像130の経路画像110に、マーク152を表示する。このマーク152は、進捗パラメータ入力画像140に入力されている進捗パラメータPP(経過時間t)に対応する、経路画像110中の移動経路MP上の位置を強調表示するための画像である。
【0067】
上述したように、レーザ光LBが移動経路MP上を始点P1から移動する距離dは、経過時間tと、レーザ光LBの走査速度Vとを用いて、d=V×tなる式から求めることができる。したがって、プロセッサ52は、任意の経過時間tに対応する移動経路MP上の位置を求め、該位置にマーク152を表示するように、経路画像110を生成できる。
【0068】
また、プロセッサ52は、グラフ画像136にマーク154を表示する。このマーク154は、進捗パラメータ入力画像140に入力されている進捗パラメータPP(経過時間t)に対応する、グラフ画像136中のグラフG上の位置を強調表示するための画像である。プロセッサ52は、データセットDSのリストに基づいて、任意の経過時間tに対応するグラフG上の位置を求め、該位置にマーク154を表示するようにグラフ画像136を生成できる。
【0069】
なお、本実施形態においては、マーク152及び154は、X字マークとして表示されている。しかしながら、マーク152及び154は、丸、三角又は四角等、如何なる形のマークであってもよいし、又は、点滅信号等、オペレータが視認可能である如何なる視覚効果として表示されてもよい。
【0070】
図5に示す例では、スライダ146が経過時間tの開始点SP(t=0)に停止し、このスライダ146によってt=0が指定され、進捗パラメータ入力画像140に「0ms」が入力(表示)されている。したがって、経路画像110中のマーク152は、移動経路MPの始点P1に表示され、また、グラフ画像136中のマーク154は、t=0のグラフG上の点に表示されている。
【0071】
一方、図6に示すように、オペレータがスライダ146を区間148に沿って移動させると、該スライダ146によって指定される経過時間tが変化する。これに応じて、プロセッサ52は、経路画像110中のマーク152の位置と、グラフ画像136中のマーク154の位置とを変位させるように、経路画像110及びグラフ画像136を更新する。
【0072】
このように、本実施形態においては、オペレータは、スライダ146を画像上で移動させることで、進捗パラメータPP(経過時間t)を任意に指定し、データセット入力画像132において、指定した進捗パラメータPP(経過時間t)に対応するレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に任意に入力することができるようになっている。そして、オペレータは、レーザパラメータLPの入力後に追加ボタン画像144を操作することで、新たなデータセットDSを登録できる。
【0073】
時刻算出画像150は、進捗パラメータPPの1つである経過時間t(図中の「時刻」)を、他の進捗パラメータPPである距離d又は進捗率Rから求めるためのものである。具体的には、時刻算出画像150は、形状選択画像156、数値入力画像158、パラメータ選択画像160、始点指定画像162、及び終点指定画像164を含む。
【0074】
形状選択画像156は、「形状1」、「形状2」、「形状3」、「形状4」、又は「全部」を選択するためのものである。「形状1」~「形状4」のうちの1つを選択した場合、選択された「形状」の移動経路MPをレーザ加工するときの経過時間tを、距離d又は進捗率Rから求めることになる。一方、「全部」は、仮に図4に示す教示画像100で「形状1」~「形状4」という複数の「形状」が設定されている場合において、設定された全ての「形状」の移動経路MPを連続的にレーザ加工するときの経過時間tを、距離d又は進捗率Rから求めることになる。
【0075】
本実施形態においては、「形状1」の移動経路MPだけが設定されているので、形状選択画像156において「形状2」、「形状3」及び「形状4」が選択不能となっている。また、「形状1」と「全部」のいずれを選択したとしても、経路画像110に示す四角形の移動経路MPをレーザ加工するときの経過時間tを求めることになる。図5に示す例では、形状選択画像156において「形状1」が選択されている状態を示す。
【0076】
パラメータ選択画像160は、経過時間tを求めるための距離d又は進捗率Rを選択するためのものである。例えば、オペレータが入力装置60を操作してパラメータ選択画像160を画像上でクリックすると、プロセッサ52は、入力装置60からの入力信号に応じて、距離d(単位:[mm])、進捗率R1(=t/t 単位:[%])、及び進捗率R2(R2=d/d 単位:[%])の3つの選択肢を列挙したリストを、例えばプルダウン画像として、パラメータ選択画像160に表示する。
【0077】
始点指定画像162は、「最初から」という画像として表示されており、形状選択画像156で選択された「形状1」の移動経路MPの始点P1を、「時刻算出」の基準として指定するためのものである。オペレータは、入力装置60を操作して、「最初から」という始点指定画像162を画像上でクリックすることで、移動経路MPの始点P1を、「時刻算出」の基準として指定することができる。
【0078】
一方、終点指定画像164は、「最後から」という画像として表示されており、形状選択画像156で選択された「形状1」の移動経路MPの終点P2を、「時刻算出」の基準として指定するためのものである。オペレータは、入力装置60を操作して、「最後から」という終点指定画像164を画像上でクリックすることで、移動経路MPの終点P2を、「時刻算出」の基準として指定することができる。
【0079】
以下、「時刻算出」の具体例について説明する。一例として、オペレータが、パラメータ選択画像160で距離dを選択し、始点指定画像162の「最初から」を選択し、数値入力画像158にd=30[mm]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、レーザ加工の開始点SP(本例では、始点P1)から距離d=30[mm]だけ前進した移動経路MP上の位置に対応する「時刻」(経過時間t)を、距離dと走査速度Vとから、t=375[msec](データセット画像134を参照)として求める。
【0080】
そして、プロセッサ52は、求めた「時刻」t=375[msec]を、進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、この時点でデータセットDSとして格納されている、経過時間tに対応するレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に表示する。こうして、オペレータは、距離dから、「時刻」(経過時間t)を指定し、該「時刻」でのレーザパラメータLPを、レーザパラメータ入力画像142に入力し、進捗パラメータPPとレーザパラメータLPとのデータセットDSとして登録することができる。
【0081】
他の例として、オペレータが、パラメータ選択画像160で距離dを選択し、終点指定画像164の「最後から」を選択し、数値入力画像158にd=50[mm]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、レーザ加工の終了点EP(本例では、終点P2)から距離d=50[mm]だけ後退した移動経路MP上の位置(本例では、総距離d=80[mm]であるので、始点P1から距離30mmの位置となる)に対応する「時刻」(経過時間t)を、t=375[msec]として求める。
【0082】
さらに他の例として、オペレータが、パラメータ選択画像160で進捗率R1を選択し、始点指定画像162の「最初から」を選択し、数値入力画像158にR1=10[%]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、レーザ加工の開始点SP(始点P1)からの「時刻」:経過時間tを、R1=t/t=0.1なる式から求める。本実施形態では、総所要時間t=1000[msec]であるので、プロセッサ52は、「時刻」をt=100[msec]として求め、進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、t=100[msec]に対応するレーザパワーLP1=5000[W]を、レーザパラメータ入力画像142に表示する。
【0083】
なお、オペレータがパラメータ選択画像160で進捗率R1を選択し、終点指定画像164の「最後から」を選択し、数値入力画像158にR1=10[%]を入力したとすると、プロセッサ52は、「時刻」を、レーザ加工の終了点EP(終点P2)から時間t=100[msec]だけ遡った時点(つまり、開始点SPから900「msec」の時点)として求める。
【0084】
さらに他の例として、オペレータが、パラメータ選択画像160で進捗率R2を選択し、始点指定画像162の「最初から」を選択し、数値入力画像158にR2=10[%]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、レーザ加工の開始点SP(始点P1)から距離d=d×0.1=8[mm]だけ前進した移動経路MP上の位置に対応する「時刻」:経過時間t=100[msec]として求める。
【0085】
なお、オペレータがパラメータ選択画像160で進捗率R2を選択し、終点指定画像164の「最後から」を選択し、数値入力画像158にR2=90[%]を入力したとすると、プロセッサ52は、「時刻」を、レーザ加工の終了点EP(終点P2)から距離d=d×0.9=72[mm]だけ後退した移動経路MP上の位置(つまり、始点P1から距離d=8[mm]の位置)に対応する時刻として、求める。
【0086】
こうして、オペレータは、進捗パラメータPPの1つとしての「時刻」(経過時間t)を、他の進捗パラメータPPとしての距離d、進捗率R1又はR2から指定し、経過時間tとレーザパワーLP1とのデータセットDSを任意に登録することができるようになっている。
【0087】
上述のパラメータ設定画像106及び130を通して、オペレータは、移動経路MPの形状、走査速度V、回数N、データセットDSといった各種パラメータを、レーザ加工条件LCとして設定することができる。プロセッサ52は、設定されたレーザ加工条件LC(つまり、各種パラメータ)と、座標系CにおけるワークWの作業目標位置TPの位置データ(座標)とに基づいて、レーザ加工装置12にワークWに対するレーザ加工を実行させるための加工プログラムPGを生成し、メモリ54に格納する。
【0088】
この加工プログラムPGには、例えば、オペレータによって設定されたレーザ加工条件LCと、作業目標位置TPの位置データと、該作業目標位置TPと移動経路MPとの位置関係を示すデータと、レーザ加工装置12(具体的には、レーザ発振器16、レーザ照射装置18、移動機構20の)への指令とが、規定されている。
【0089】
制御装置14は、生成した加工プログラムPGに従ってレーザ加工装置12を制御し、ワークWに対してレーザ加工を実行する。具体的には、制御装置14は、まず、移動機構20を動作させて、レーザ照射装置18を、座標系Cにおける既知の設置位置に位置決めされたワークWに対し、所定の作業位置へ移動させる。
【0090】
次いで、制御装置14は、レーザ発振器16を起動してレーザ光LBをレーザ照射装置18に供給し、ミラー駆動装置32及び34を動作させてミラー28及び30の向きをそれぞれ変化させることで、ワークWに照射されるレーザ光LB(具体的には、照射点)を、作業目標位置TPに対し既知の位置関係に設定された移動経路MPに沿って、移動させる。このとき、制御装置14は、レーザ光LBのレーザパラメータLP(レーザパワーLP1、パルス周波数LP2、デューティ比LP3、ずらす距離LP4)を、オペレータによって設定された値に制御する。こうして、制御装置14は、加工プログラムPGに従って、ワークW上の作業目標位置TPに対してレーザ加工を実行する。
【0091】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ52は、教示画像100において、移動経路MPを表示する経路画像110と、データセットDSを入力するための入力画像132とを生成し、進捗パラメータPPに対応する移動経路MP上の位置を、マーク152として、経路画像110に表示している。
【0092】
この構成によれば、オペレータは、移動経路MP上の所望の位置におけるレーザパラメータLP(例えばレーザパワーLP1)を、任意に調整することが可能となる。例えば、図5に示す四角形の移動経路MPに沿って一定のレーザパワーLP1でレーザ加工を実行した場合、四角形の4つの頂点に対応する移動経路MP上の位置でワークWが過熱され、その結果、焼き落ち等の不具合が発生してしまう可能性がある。このような不具合を避けるために、四角形の4つの頂点に対応する移動経路MP上の位置で、レーザパワーLP1を下げたいという要求がある。
【0093】
本実施形態によれば、プロセッサ52が、オペレータが指定した経過時間tに対応する移動経路MP上の位置を経路画像110に表示するので、オペレータは、レーザパワーLP1を下げたい移動経路MP上の位置(例えば、各頂点)での経過時間tを容易に把握することができ、該経過時間tに対応するレーザパワーLP1を、入力画像132を通して適宜調整する(例えば、低下させる)ことができる。その結果、高品質のレーザ加工を実行するための動作をレーザ加工装置12に教示することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、プロセッサ52は、図5に示すパラメータ設定画像130において、グラフGを表示するグラフ画像136を生成し、進捗パラメータPPに対応するグラフG上の位置を、マーク154として、グラフ画像136に表示している。この構成によれば、オペレータは、所望の進捗パラメータPPにおけるレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)の値を、視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態においては、プロセッサ52は、パラメータ設定画像130において、進捗パラメータPP(例えば「時刻」)の大きさの順に、複数のデータセットDSを並べて表示したデータセット画像134を生成している。この構成によれば、オペレータは、複数のデータセットDSを、所望の進捗パラメータPPの大きさの順でソートして、視認し易いように整理することができる。
【0096】
また、本実施形態においては、プロセッサ52は、パラメータ設定画像130において、区間148内で移動するスライダ146を表示するスライダ画像138を生成し、該スライダ146によって指定された進捗パラメータPPに対応する移動経路MP上の位置を、マーク152として経路画像110に表示している。
【0097】
この構成によれば、オペレータは、スライダ146を画像上で操作することで、所望の進捗パラメータPP(本例では、経過時間t)を指定し、該進捗パラメータPPに対応する移動経路MP上の位置を経路画像110で容易に視認することができる。したがって、データセットDSの調整を、より直感的な操作により、容易に行うことが可能となる。
【0098】
なお、タブ画像領域102に表示されている「周波数」、「デューティ」及び「デフォーカス」のパラメータ設定画像130’については、「パワー」のパラメータ設定画像130と実質同様であるが、レーザパラメータ入力画像142の単位と、グラフ画像136の縦軸の単位と、データセット画像134に示されるレーザパラメータLPとが、それぞれに固有のものとなる。
【0099】
具体的には、「周波数」のパラメータ設定画像130’においては、レーザパラメータ入力画像142の単位が「Hz」となり、進捗パラメータPPとしての経過時間tとパルス周波数LP2とのデータセットDSを入力できるようになっている。また、グラフ画像136の縦軸がパルス周波数LP2を示すものとなり、データセット画像134にレーザパラメータLPとしてパルス周波数LP2が表示されることになる。
【0100】
また、「デューティ」のパラメータ設定画像130’においては、レーザパラメータ入力画像142の単位が[%]となり、経過時間tとデューティ比LP3とのデータセットDSを入力できるようになっている。また、グラフ画像136の縦軸がデューティ比LP3を示すものとなり、データセット画像134にレーザパラメータLPとしてデューティ比LP3が表示されることになる。
【0101】
また、「デフォーカス」のパラメータ設定画像130’においては、レーザパラメータ入力画像142の単位が[mm]となり、経過時間tとずらす距離LP4とのデータセットDSを入力できるようになっている。また、グラフ画像136の縦軸がずらす距離LP4を示すものとなり、データセット画像134にレーザパラメータLPとしてずらす距離LP4が表示されることになる。
【0102】
なお、プロセッサ52は、「デフォーカス」のパラメータ設定画像130’でレーザパラメータ入力画像142に正の値が入力された場合は、レーザ光LBの焦点をワークWの表面から、座標系Cのz軸プラス方向にずらす距離LP4を設定する一方、レーザパラメータ入力画像142に負の値が入力された場合は、レーザ光LBの焦点をワークWの表面から、座標系Cのz軸マイナス方向にずらす距離LP4を設定してもよい。
【0103】
「周波数」、「デューティ」及び「デフォーカス」のパラメータ設定画像130’におけるパラメータ設定方法は、「パワー」のパラメータ設定画像130と同様であるので、詳細な説明を省略する。例えば、オペレータは、「デフォーカス」のパラメータ設定画像130’において、上述の四角形の移動経路MPの4つの頂点に対応する位置で、レーザ光LBの焦点をずらすようにずらす距離LP4を設定する。
【0104】
代替的には、オペレータは、「デューティ」のパラメータ設定画像130’において、四角形の移動経路MPの4つの頂点に対応する位置で、デューティ比LP3を下げるように設定する。これにより、移動経路MPの4つの頂点の位置でワークWが過熱するのを防止でき得る。
【0105】
また、オペレータは、「周波数」のパラメータ設定画像130’において、移動経路MP上の所望の位置で、パルス周波数を調整するように設定する。ここで、レーザ加工がレーザ切断である場合において、レーザ光LBの加減速部分でパルス周波数を調整することで切断品質が向上し得る。したがって、移動経路MP上の所望の位置でパルス周波数を適宜調整することにより、該所望の位置におけるレーザ加工の仕上がり品質を制御することが可能となり得る。
【0106】
なお、図4に示すパラメータ設定画像106において、オペレータが数値入力画像114に「時間」を入力したときに、プロセッサ52は、入力された時間tが許容範囲内か否かを自動で判定してもよい。一例として、プロセッサ52は、入力された時間tから、移動経路MPの所定の区間(例えば四角形の移動経路MPの場合、始点P1から、最初の頂角の位置までの区間)をレーザ光LBで走査するのに要する時間τを求める。そして、プロセッサ52は、時間τが予め定めた閾値τth(例えば、τth=500[μsec])以下である場合(τ≦τth)に、時間tが許容範囲外であると判定する。
【0107】
代替的には、プロセッサ52は、入力された時間tから最高走査速度Vを求め、該最高走査速度Vが予め定めた閾値Vth(例えば、Vth=3000[mm/sec])以上である場合(V≧Vth)に、時間tが許容範囲外であると判定してもよい。プロセッサ52は、時間tが許容範囲外であると判定した場合に、その旨をオペレータに報知するアラームを、音声又は画像の形態で出力してもよい。この構成によれば、オペレータは、入力した時間tが適正であるか否かを、迅速且つ直感的に認識できる。
【0108】
図4に示す速度設定画像124を通して、走査速度V又は溶接速度Vを、移動経路MPの所定の区間毎に詳細に設定できるように構成されてもよい。この機能について、図4及び図7を参照して説明する。オペレータが、入力装置60を操作して、パラメータ設定画像106に表示された速度設定画像124を画像上でクリックすると、プロセッサ52は、図7に示すパラメータ設定画像166を生成し、パラメータ設定画像106において速度設定画像124に重ねて表示する。
【0109】
パラメータ設定画像166には、経路画像110、速度選択画像122、単位選択画像168、始点/終点指定画像170、数値入力画像172、174及び176、速度表示画像178が表示されている。オペレータは、入力装置60を操作して、速度選択画像122における「走査速度」及び「溶接速度」のうちの1つを画像上で選択できるようになっている。以下、図7に示すように速度選択画像122で「走査速度」が選択された場合について説明する。
【0110】
単位選択画像168には、速度の単位として、「m/min」という選択肢と、「mm/sec」という選択肢とが表示され、オペレータは、入力装置60を操作して、これら2つの選択肢のうちの1つを、画像上で選択できるようになっている。なお、図7に示す例では、「m/min」という単位が選択されている。
【0111】
始点/終点指定画像170には、「始点から」という選択肢と、「終点から」という選択肢とが表示され、オペレータは、これら2つの選択肢のうちの1つを、画像上で選択できるようになっている。例えば、「始点から」という選択肢が選択された場合、プロセッサ52は、移動経路MP上を移動させるレーザ光LBの走査速度Vを設定する区間Sの基準点を、移動経路MPの始点P1に指定する。一方、「終点から」という選択肢が選択された場合、プロセッサ52は、走査速度Vを設定する区間Sの基準点を、移動経路MPの終点P2に指定する。
【0112】
数値入力画像172及び174は、走査速度Vを設定する、移動経路MPの区間Sを入力するためのものである。具体的には、数値入力画像172には、区間Sの始点の、基準点からの距離dを入力する一方、数値入力画像174には、区間Sの終点の、基準点からの距離dを入力できるようになっている。始点/終点指定画像170、数値入力画像172及び174によって、移動経路MPにおける区間Sが設定されることになる。区間Sの具体的な設定例については、後述する。
【0113】
数値入力画像176は、設定された区間Sにおける走査速度Vを入力するためのものである。例えば、オペレータが、始点/終点指定画像170で「始点から」という選択肢を選択し、数値入力画像172に、d=0.00mmを入力し、数値入力画像174に、d=5.93mmを入力し、数値入力画像176に、V=3.00[m/min]を入力したとする。
【0114】
この場合、プロセッサ52は、区間Sの始点を、移動経路MPの始点P1から距離d=0.00mmだけ前進した位置(つまり、始点P1)に設定する一方、区間Sの終点を、始点P1から距離d=5.93mmだけ先進した位置に設定する。すなわち、この場合、区間Sは、始点P1から見て距離d~距離dまでの区間(本例では、始点P1~距離dまでの区間)として、設定される。そして、プロセッサ52は、設定した区間Sの走査速度Vを、V=3.00[m/min]として登録する。
【0115】
一方、オペレータが、始点/終点指定画像170で「終点から」という選択肢を選択し、数値入力画像172に、d=0.00mmを入力し、数値入力画像174に、d=5.93mmを入力し、数値入力画像176に、V=3.00[m/min]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、区間Sの始点を、移動経路MPの終点P2から距離d=0.00mmだけ後退した位置(つまり、終点P2)に設定する一方、区間Sの終点を、終点P2から距離d=5.93mmだけ後退した位置に設定する。
【0116】
すなわち、この場合、区間Sは、終点P2から見て距離d~距離dまでの区間(本例では、終点P2~距離dまでの区間)として、設定される。そして、プロセッサ52は、設定した区間Sの走査速度Vを、V=3.00[m/min]として登録する。こうして、オペレータは、移動経路MPに任意に設定した区間S毎に、走査速度Vを詳細に設定できる。
【0117】
速度表示画像178は、設定された区間Sと、該区間Sの走査速度Vとをリスト形式で表示する。図7に示す例において、速度表示画像178中の「開始(mm)」は、区間Sの始点を規定する距離dを示し、「終了(mm)」は、区間Sの終点を規定する距離dを示している。
【0118】
図7に示す例では、速度表示画像178の1段目に、区間S1(始点P1から見て距離0mm~5.93mmの区間)が設定され、該区間S1の「速度(m/min)」が、V=3[m/min]として登録されている。また、速度表示画像178の2段目に、区間S2(始点P1から見て距離5.93mm~17.9mmの区間)が設定され、該区間S2の「速度(m/min)」が、V=6[m/min]として登録されている。
【0119】
また、速度表示画像178の3段目に、区間S3(始点P1から見て距離17.9mm~23.82mmの区間)が設定され、該区間S3の「速度(m/min)」が、V=2[m/min]として登録されている。この例の場合、走査速度Vの最高速度VS_MAXは、6[m/min]である一方、最低速度VS_MINは、2[m/min]となる。プロセッサ52は、パラメータ設定画像166に入力された走査速度Vに応じて、これら最高速度VS_MAX及び最低速度VS_MINを求め、図4中の速度設定画像124に表示する。
【0120】
なお、プロセッサ52は、始点/終点指定画像170、数値入力画像172及び174によって区間S(区間S1、S2、S3)が設定されたときに、該区間Sを、パラメータ設定画像166における経路画像110に視認可能に表示してもよい。例えば、オペレータが入力装置60を操作して、速度表示画像178に示されている複数の区間S1~S3のうち、2段目の区間S2を選択したとする(図7の速度表示画像178を参照)。この場合に、プロセッサ52は、選択した区間S2を、経路画像110に視認可能に表示してもよい。
【0121】
これとともに、プロセッサ52は、パラメータ設定画像166に入力された走査速度Vと、溶接線長画像126(図4)に入力された溶接線長lと、数値入力画像120に入力された回数Nとから、上述の時間tを自動で計算し、数値入力画像114に表示する。なお、速度選択画像122で「溶接速度」が選択された場合の速度設定方法も、「走査速度」と同様であるので、詳細な説明を省略する。本実施形態によれば、オペレータは、レーザ光LBの速度V(本例では、走査速度V)を詳細に設定できるので、より多様なレーザ加工の動作を教示できるようになる。
【0122】
なお、上述の実施形態においては、「形状1」の移動経路MPだけが設定されている場合について述べた。しかしながら、「形状1」に加えて、「形状2」、「形状3」及び「形状4」を追加で設定できる。以下、図8を参照して、複数の形状の移動経路MPを設定する場合について説明する。
【0123】
本実施形態においては、「形状1」として、上述の四角形の移動経路MP1が設定され、「形状2」として、三角形の移動経路MP2が設定されている。オペレータは、タブ画像領域102に表示されている「形状2」のタブを画像上でクリックすることで、「形状2」に対応するパラメータ設定画像106を表示させ、該パラメータ設定画像106を通して、「形状2」の各種パラメータを設定できる。
【0124】
「形状1」及び「形状2」が設定されたときの、「パワー」のタブに対応するパラメータ設定画像130を図8に示す。図8に示す例では、経路画像110に、「形状1」の移動経路MP1と、「形状2」の移動経路MP2とが表示されている。移動経路MP2は、始点P3及び終点P4を有する。
【0125】
本実施形態に係るレーザ加工においては、レーザ加工装置12は、まず、移動経路MP1に沿ってレーザ光LBを、「形状1」のパラメータ設定画像130で設定された回数N1だけ走査させ、次いで、移動経路MP2に沿ってレーザ光LBを、「形状2」のパラメータ設定画像130で設定された回数N2だけ走査させることになる。
【0126】
つまり、本実施形態に係るレーザ加工における移動経路MPは、MP=MP1×N1+MP2×N2の経路として表すことができる。例えば、レーザ加工がレーザ溶接である場合に、この移動経路MP(=MP1×N1+MP2×N2)は、1つの作業目標位置TP(つまり、溶接点)に対して設定され、レーザ加工装置12は、該1つの作業目標位置TPに対し該移動経路MPに沿ってレーザ光LBを走査することで、該1つの作業目標位置TPを溶接する。
【0127】
グラフ画像136には、「形状1」に対応するグラフG1と、「形状2」に対応するグラフG2とが、並べて表示されている。グラフG2は、グラフG1に対して進捗パラメータPP(経過時間t)の順で連続するように、該グラフG1の右側に表示されている。図8に示す例の場合、スライダ画像138に示される区間148の終了点EPは、「形状1」のパラメータ設定画像130における「時間」で設定された時間tS_1と、「形状2」のパラメータ設定画像130における「時間」で設定された時間tS_2との和tSUM(=tS_1+tS_2)の時間となる。
【0128】
そして、経路画像110及びグラフ画像136には、それぞれ、マーク152及び154が表示されている。オペレータがスライダ146を区間148に沿って移動させると、該スライダ146によって指定される経過時間tが変化し、これに応じて、プロセッサ52は、経路画像110中のマーク152の位置と、グラフ画像136中のマーク154の位置とを変位させるように、経路画像110及びグラフ画像136を更新する。
【0129】
具体的には、スライダ146が開始点SPから終了点EPへ向かって移動されるにつれて、マーク152は、移動経路MP1に沿って回数N1だけ繰り返し周回した後、移動経路MP2に沿って回数N2だけ繰り返し周回するように、経路画像110に表示される。また、スライダ146が開始点SPから終了点EPへ向かって移動されるにつれて、マーク154は、グラフ画像136中のグラフG1上を通過した後、グラフG2上を通過するように、グラフ画像136に表示される。
【0130】
オペレータは、スライダ146を画像上で移動させることで、進捗パラメータPP(経過時間t)を任意に指定し、データセット入力画像132において、指定した進捗パラメータPP(経過時間t)に対応するレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に任意に入力できる。そして、データセット画像134には、登録されたデータセットDSが、進捗パラメータPP(例えば、「時刻」)の大きさの順で、リスト形式で表示される。
【0131】
図8に示す例では、形状選択画像156において、「全部」、「形状1」又は「形状2」を選択可能となっている。オペレータが「全部」を選択した場合、移動経路MP(=MP1×N1+MP2×N2)をレーザ加工するときの経過時間tを、距離d又は進捗率Rから求めることができる。
【0132】
一例として、オペレータが、形状選択画像156で「全部」を選択し、パラメータ選択画像160で距離dを選択し、終点指定画像164の「最後から」を選択し、数値入力画像158にd=30[mm]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、レーザ加工の終了点EP(本例では、レーザ光LBが、移動経路MP1を回数N1だけ走査した後に、移動経路MP2を回数N2だけ走査したときに到達する、移動経路MP2の終点P4)から距離d=30[mm]だけ後退した移動経路MP上の位置に対応する「時刻」(経過時間t)を求める。
【0133】
他の例として、オペレータが、形状選択画像156で「全部」を選択し、パラメータ選択画像160で進捗率R1を選択し、始点指定画像162の「最初から」を選択し、数値入力画像158にR1=10[%]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、レーザ加工の開始点SP(始点P1)からの「時刻」:経過時間tを、R1=t/t=0.1なる式から求める。本実施形態では、総所要時間tは、上述の和tSUMとなる(t=tSUM)。
【0134】
さらに他の例として、オペレータが、形状選択画像156で「全部」を選択し、パラメータ選択画像160で進捗率R2を選択し、始点指定画像162の「最初から」を選択し、数値入力画像158にR2=10[%]を入力したとする。この場合、プロセッサ52は、レーザ加工の開始点SPから距離d=d×0.1だけ前進した移動経路MP上の位置に対応する「時刻」:経過時間tを求める。本実施形態では、総距離dは、移動経路MP(=MP1×N1+MP2×N2)の距離となる。
【0135】
そして、プロセッサ52は、求めた「時刻」:経過時間tを、進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、この時点でデータセットDSとして格納されている、経過時間tに対応するレーザパラメータLP(本例では、レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に表示する。このように、オペレータは、複数の「形状」の移動経路MPを任意で追加できる。
【0136】
なお、上述の実施形態においては、進捗パラメータPPとして経過時間tが選択されている場合について述べた。しかしながら、進捗パラメータPPとして、距離d、進捗率R1又はR2が選択されてもよい。この場合、パラメータ設定画像130又は130’において、データセット画像134に表示される「時刻」、進捗パラメータ入力画像140に入力される数値、グラフ画像136の横軸、及び、スライダ画像138の区間148が、選択された距離d、進捗率R1又はR2を示すことになる。また、時刻算出画像150が、選択された距離d、進捗率R1又はR2を、他の進捗パラメータPPから求めるように構成される。
【0137】
データセット入力画像132は、図示した例に限らず、データセットDSを入力可能であれば、如何なる画像として生成されてもよい。また、パラメータ設定画像130又は130’から、データセット入力画像132を省略することもできる。この場合において、例えば、オペレータが入力装置60を操作してデータセット画像134にデータセットDSを入力可能となるように、教示装置50が構成されてもよい。
【0138】
また、オペレータが入力装置60を操作して、登録されたデータセットDSをデータセット画像134で選択し、選択されたデータセットDSのレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を変更可能となるように、教示装置50が構成されてもよい。この場合、データセット画像134が、データセットDSを入力するための入力画像として機能する。
【0139】
スライダ画像138から、区間148の画像を省略してもよい。この場合、スライダ画像138には、スライダ146だけが表示され、プロセッサ52は、オペレータからの入力信号に応じて、スライダ146を、スライダ画像138に視覚的に示されていない区間148内で移動するように、表示する。
【0140】
また、パラメータ設定画像130又は130’から、スライダ画像138を省略することもできる。この場合、オペレータは、例えば、入力画像132の進捗パラメータ入力画像140に進捗パラメータPPを手動で入力することで、進捗パラメータPPを指定/入力することができる。
【0141】
代替的には、オペレータは、入力装置60を操作して、パラメータ設定画像130又は130’に表示された経路画像110中の移動経路MP(MP1、MP2)上の任意の位置を、画像上でクリックすることで指定してもよい。この場合、プロセッサ52は、オペレータによって指定された移動経路MP上の位置を特定し、特定した移動経路MP上の位置を、マーク152で強調表示してもよい。
【0142】
そして、プロセッサ52は、特定した移動経路MP上の位置に対応する進捗パラメータPP(例えば経過時間t)を、進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、該進捗パラメータPPに対応するレーザパラメータLP(例えばレーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に表示してもよい。
【0143】
又は、オペレータは、入力装置60を操作して、パラメータ設定画像130又は130’に表示されたグラフ画像136中のグラフG(G1、G2)上の任意の位置を、画像上でクリックすることで指定してもよい。この場合、プロセッサ52は、オペレータによって指定されたグラフG上の位置を特定し、特定したグラフG上の位置を、マーク154で強調表示してもよい。
【0144】
そして、プロセッサ52は、特定したグラフG上の位置に対応する進捗パラメータPP(経過時間t)を進捗パラメータ入力画像140に表示するとともに、該進捗パラメータPPに対応するレーザパラメータLP(レーザパワーLP1)を、レーザパラメータ入力画像142に表示してもよい。
【0145】
このとき、プロセッサ52は、特定したグラフG上の位置に対応する移動経路MP上の位置を、進捗パラメータPPを介して特定し、特定した移動経路MP上の位置を、マーク152で強調表示してもよい。このように、スライダ画像138を省略したとしても、オペレータは、経路画像110を視認しつつ、移動経路MP上の所望の位置におけるレーザパラメータLPを任意に調整することができる。
【0146】
図4図8に示す教示画像100のGUIは一例であって、他の如何なる構成のGUIが採用されてもよい。また、上述の実施形態においては、教示装置50が、制御装置14と別体として設けられる場合について述べた。しかしながら、教示装置50の機能は、制御装置14に組み込むこともできる。この場合、制御装置14のプロセッサ及びメモリが、教示装置50を構成し、制御装置14のプロセッサが、上述した教示装置50の各種機能を実行することになる。
【0147】
また、図3に、レーザスキャナとしてのレーザ照射装置18を例示したが、レーザ照射装置18は、レーザスキャナに限らず、筐体24、受光部26、光学レンズ36、レンズ駆動装置38、及び出射部40のみを有するレーザ加工ヘッドであってもよい。また、移動機構20は、レーザ照射装置18に対してワークWを移動させるように構成されてもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0148】
10 レーザ加工システム
12 レーザ加工装置
14 制御装置
16 レーザ発振器
18 レーザ照射装置
20 移動機構
50 教示装置
52 プロセッサ
100 教示画像
110 経路画像
132 データセット入力画像
134 データセット画像
136 グラフ画像
138 スライダ画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8