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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電子機器の組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241112BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241112BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H05K7/20 R
H05K5/03 B
H05K7/14 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023506787
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001279
(87)【国際公開番号】W WO2022196065
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021044793
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 歩夢
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-079269(JP,A)
【文献】実開昭58-180692(JP,U)
【文献】特開2020-126940(JP,A)
【文献】特開2001-028487(JP,A)
【文献】特開2003-133749(JP,A)
【文献】特開2007-035741(JP,A)
【文献】特開2020-053570(JP,A)
【文献】特開2013-229607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/03
H05K 7/14
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱部材の板状の本体部の裏面部に下側回路基板が取り付けられた状態にて、有底箱状の筐体の壁面部の貫通孔から前記筐体の内部に前記本体部を挿入し、
前記本体部が前記筐体の内部に挿入された状態にて、前記本体部の表面部に上側回路基板を取り付け、
前記本体部が前記貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記本体部が前記筐体のガイド部に当接することにより、前記下側回路基板と前記筐体との接触が回避される位置に前記本体部が誘導される
ことを特徴とする電子機器の組立て方法。
【請求項2】
前記本体部が前記貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記本体部が前記ガイド部の傾斜面部に当接することにより、前記本体部を持ち上げる方向に前記本体部が誘導されることを特徴とする請求項に記載の組立て方法。
【請求項3】
前記上側回路基板は、前記筐体の天面部の開口を用いて、前記筐体の上方から前記本体部に取り付けられることを特徴とする請求項又は請求項に記載の組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器の構造及び電子機器の組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置(例えば基地局装置)等の電子機器において、いわゆる「ヒートパイプ」を用いた略板状の本体部を有する放熱部材が用いられている。かかる略板状の本体部の両面部に、放熱の対象となる部材(例えば回路基板)が設けられる。放熱部材の本体部及び放熱の対象となる部材は、略箱状の筐体に収容される(例えば、特許文献1の段落[0047]、図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-063385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、上記のような電子機器を組み立てるとき、かかる組立てを容易にする観点から、筐体を水平面に対して上下に反転する作業を不要とすることが求められている。他方、上記のような電子機器を組み立てるとき、回路基板が筐体に接触することにより、回路基板に実装された回路部品が破損することがある。かかる破損の発生を回避する観点から、回路基板と筐体との接触を回避することが求められている。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、電子機器を組み立てるときに筐体を上下に反転する作業を不要とするにあたり、回路基板が筐体に接触することを回避可能な構造及び組立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電子機器の構造は、板状の本体部を有する放熱部材と、本体部の表面部に設けられた上側回路基板と、本体部の裏面部に設けられた下側回路基板と、本体部、上側回路基板及び下側回路基板が収容された有底箱状の筐体と、を備え、筐体にガイド部が形成されており、ガイド部は、下側回路基板が本体部に取り付けられた状態にて、本体部が筐体の壁面部の貫通孔から筐体の内部に挿入されるとき、下側回路基板と筐体との接触が回避される位置に本体部を誘導する。
【0007】
本開示の一側面に係る電子機器の組立て方法は、放熱部材の板状の本体部の裏面部に下側回路基板が取り付けられた状態にて、有底箱状の筐体の壁面部の貫通孔から筐体の内部に本体部を挿入する工程と、本体部が貫通孔から筐体の内部に挿入された状態にて、本体部の表面部に上側回路基板を取り付ける工程と、を備え、本体部が貫通孔から筐体の内部に挿入されるとき、本体部が筐体のガイド部に当接することにより、下側回路基板と筐体との接触が回避される位置に本体部が誘導される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電子機器を組み立てるときに筐体を上下に反転する作業を不要とするにあたり、回路基板(特に下側回路基板)が筐体に接触することを回避可能な構造及び組立て方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る電子機器の構造の概要を示す説明図である。
図2A図2Aは、第1実施形態に係る電子機器の組立て方法における第1工程を示す説明図である。
図2B図2Bは、第1実施形態に係る電子機器の組立て方法における第2工程を示す説明図である。
図2C図2Cは、第1実施形態に係る電子機器の組立て方法における第3工程を示す説明図である。
図2D図2Dは、第1実施形態に係る電子機器の組立て方法における第4工程を示す説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電子機器における放熱部材、下側回路基板及び筐体の具体的な形状の例を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る電子機器における筐体のガイド部の具体的な形状の例を示す拡大断面図であって、図3における二点鎖線で囲まれた領域を拡大してA-A’線に沿って切断した断面図である。
図5図5は、比較用の電子機器の構造の概要を示す説明図である。
図6A図6Aは、比較用の電子機器の組立て方法における第1工程を示す説明図である。
図6B図6Bは、比較用の電子機器の組立て方法における第2工程を示す説明図である。
図6C図6Cは、比較用の電子機器の組立て方法における第3工程を示す説明図である。
図6D図6Dは、比較用の電子機器の組立て方法における第4工程を示す説明図である。
図7図7は、第1実施形態に係る他の電子機器の構造の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電子機器の構造の概要を示す説明図である。図1を参照して、第1実施形態に係る電子機器の構造について説明する。
【0011】
図中、X軸は、電子機器100の前後方向に沿う仮想的な軸を示している。X軸の向きは、電子機器100の後方から前方に向かう向きに対応している。また、図中、Y軸は、電子機器100の左右方向に沿う仮想的な軸を示している。Y軸の向きは、電子機器100の右方から左方に向かう向きに対応している。また、図中、Z軸は、電子機器100の上下方向に沿う仮想的な軸を示している。Z軸の向きは、電子機器100の下方から上方に向かう向きに対応している。なお、X軸及びY軸により規定される仮想的な平面(すなわちXY平面)は、水平面に対応している。
【0012】
図1に示す如く、電子機器100は、放熱部材1を備える。放熱部材1は、例えば、ヒートパイプを用いたものである。すなわち、放熱部材1は、略板状(より具体的には略矩形板状)の本体部11を有する。放熱部材1の後端部(すなわち本体部11の後端部)には、ヒートシンク12が設けられている。また、本体部11の板面部に沿うようにして、ヒートパイプ(不図示)が設けられている。ヒートパイプは、ヒートシンク12と熱的に接続されている。ヒートシンクは、空冷用のファン(不図示)により冷却される。このようにして、放熱部材1の要部が構成されている。
【0013】
放熱部材1は、いわゆる「両面実装型」である。すなわち、本体部11の両方の板面部に回路基板2が設けられている。より具体的には、本体部11の一方の板面部(水平面に対して上側を向く面であり、以下「表面部」という。)に回路基板(以下「上側回路基板」ということがある。)2_1が取り付けられている。また、本体部11の他方の板面部(水平面に対して下側を向く面であり、以下「裏面部」という。)に他の回路基板(以下「下側回路基板」ということがある。)2_2が取り付けられている。これらの回路基板2に、電子機器100の機能を実現するための種々の回路部品(不図示)が実装されている。放熱部材1は、これらの回路部品が発熱したとき、かかる熱を放熱するために設けられている。
【0014】
本体部11、上側回路基板2_1及び下側回路基板2_2は、筐体3に収容されている。ここで、筐体3の形状は、略浅箱状であり、かつ、略有底箱状である。すなわち、筐体3の天面部が開口しており、かつ、筐体3の天面部に沿うようにして蓋体4が設けられている。筐体3及び蓋体4は、例えば、アルミニウム合金製である。上側回路基板2_1は、蓋体4と対向配置されている。他方、下側回路基板2_2は、筐体3の底面部と対向配置されている。
【0015】
上記のとおり、筐体3の形状は、略有底箱状である。また、図1にX軸及びY軸を用いて示す如く、電子機器100においては、前後方向及び左右方向が規定される。このため、筐体3は、底面部に加えて、背面部、側面部及び前面部を有する。以下、筐体3の背面部、側面部又は前面部を総称して「壁面部」ということがある。筐体3の壁面部には、1本のスリット状(より具体的には横長スリット状)の貫通孔31が形成されている。図1に示す例においては、筐体3の背面部に貫通孔31が形成されている。以下、筐体3の背面部に貫通項31が形成されている場合の例を中心に説明する。
【0016】
放熱部材1の本体部11は、貫通孔31に通されている。これにより、本体部11、上側回路基板2_1及び下側回路基板2_2が筐体3の内部に配置されており、かつ、ヒートシンク12が筐体3の外部に配置されている。貫通孔31の周囲に沿うようにして、防水部材5が設けられている。防水部材5は、例えば、ゴム製のパッキンを用いたものである。防水部材5は、筐体3の外部から筐体3の内部に水等の液体が侵入するのを抑制するために設けられている。
【0017】
このようにして、電子機器100の要部が構成されている。電子機器100は、例えば、通信装置(より具体的には無線通信用の基地局装置)である。
【0018】
ここで、筐体3には、本体部11が貫通孔31から筐体3の内部に挿入されるときに本体部11を誘導するためのガイド部32が形成されている。ガイド部32は、以下のような機能を果たすものである。
【0019】
すなわち、本体部11に下側回路基板2_2が取り付けられた状態にて、本体部11が貫通孔31から筐体3の内部に挿入されるとき、本体部11がガイド部32に当接する。かかる当接した状態にて、本体部11がガイド部32と摺動する。これにより、本体部11を持ち上げる方向に本体部11が誘導される。この結果、筐体3の高さ方向(すなわち電子機器100の高さ方向)に対する位置について、筐体3と下側回路基板2_2との接触が回避される位置に本体部11が誘導される。ガイド部32の具体例については、図3及び図4を参照して後述する。
【0020】
次に、図2A図2Dを参照して、電子機器100の要部の組立て方法について説明する。
【0021】
まず、図2Aに示す如く、図示しない作業者は、本体部11の裏面部に下側回路基板2_2を取り付ける(第1工程)。
【0022】
次いで、図2Bに示す如く、作業者は、本体部11を貫通孔31から筐体3の内部に挿入する(第2工程)。このとき、上記のとおり、本体部11がガイド部32に当接する。かかる当接した状態にて、本体部11がガイド部32と摺動する。これにより、本体部11を持ち上げる方向に本体部11が誘導される。この結果、筐体3と下側回路基板2_2との接触が回避される位置に本体部11が誘導される。
【0023】
なお、防水部材5は、筐体3に予め取り付けられている。また、筐体3は、その底面部が下方に向けられた状態にて(換言すれば、その天面部が上方に向けられた状態にて)、図示しない治具等により支持されている。
【0024】
次いで、図2Cに示す如く、作業者は、本体部11の表面部に上側回路基板2_1を取り付ける(第3工程)。次いで、図2Dに示す如く、作業者は、筐体3の天面部に蓋体4を取り付ける(第4工程)。これらの作業は、図2C及び図2Dに示す如く、筐体3の上方から行われる。特に、上側回路基板2_1は、筐体3の天面部の開口を用いて、筐体3の上方から本体部11に取り付けられる(図2C参照)。
【0025】
次に、図3及び図4を参照して、ガイド部32の具体例等について説明する。
【0026】
ガイド部32は、貫通孔31の左右両側に設けられている。換言すれば、筐体3には、左右一対のガイド部32が形成されている。図3及び図4においては、かかる一対のガイド部32のうちの一方のガイド部32が図示されている。
【0027】
個々のガイド部32の形状は、筐体3の底面部から上方向に突出した略台形状、又は後述する保持部36から上方向に突出した略台形状である。図3及び図4に示す例において、個々のガイド部32の形状は、保持部36から上方向に突出した略台形状である。個々のガイド部32は、かかる台形の一方の脚に対応する傾斜面部(以下「第1傾斜面部」又は単に「傾斜面部」という。)33を有する。また、個々のガイド部32は、かかる台形の上底に対応する面部(以下「上底面部」という。)34を有する。また、個々のガイド部32は、かかる台形の他方の脚に対応する傾斜面部(以下「第2傾斜面部」という。)35を有する。
【0028】
図3及び図4は、本体部11が貫通孔31から筐体3の内部に挿入される途中の状態を示している。図3における矢印A1は、筐体3に対する放熱部材1の挿入方向を示している。換言すれば、矢印A1は、作業者が放熱部材1を筐体3に挿入するとき、作業者が放熱部材1に力を加える方向を示している。
【0029】
ここで、図4に示す如く、放熱部材1の前端部(すなわち本体部11の前端部)側の所定の位置における両側部に、第1傾斜面部33に対応するC面状の傾斜面部(以下「第1当接面部」という。)13が形成されている。放熱部材1が筐体3に挿入されるとき、個々の第1当接面部13が対応するガイド部32の第1傾斜面部33に当接する。かかる当接した状態にて、挿入方向(図中矢印A2参照)に力が加えられることにより、個々の第1当接面部13が対応するガイド部32の第1傾斜面部33と摺動する。これにより、本体部11を持ち上げる方向に本体部11が誘導される(図中矢印A3参照)。
【0030】
これにより、筐体3の高さ方向(すなわち電子機器100の高さ方向)に対する位置について、下側回路基板2_2と筐体3との接触が回避される位置に本体部11が誘導される。かかる位置に本体部11が誘導された状態にて、本体部11の裏面部の両側部が対応するガイド部32の上底面部34と摺動するようにして、放熱部材1が筐体3に挿入される(図中矢印A4参照)。
【0031】
ここで、図3に示す如く、放熱部材1の後端部(すなわち本体部11の後端部)側の所定の位置における両側部に、第2傾斜面部35に対応するC面状の傾斜面部(以下「第2当接面部」という。)14が形成されている。本体部11の略全体が筐体3の内部に挿入されたとき、本体部11の裏面部と個々のガイド部32の上底面部34との摺動が終了して、個々の第2当接面部14が対応するガイド部32の第2傾斜面部35に当接した状態となる。かかる当接した状態にて、個々の第2当接面部14が対応するガイド部32の第2傾斜面部35と摺動するようにして、本体部11が筐体3内の所定の位置に誘導される(図中矢印A5参照)。
【0032】
換言すれば、かかる摺動により、本体部11が第2傾斜面部35を滑り落ちる方向に誘導される(図中矢印A5参照)。この結果、本体部11が筐体3内の所定の位置に誘導される。筐体3には、かかる所定の位置にて本体部11を保持するための保持部36が形成されている(図3参照)。
【0033】
次に、図5を参照して、電子機器100に対する比較用の電子機器100’について説明する。
【0034】
図5に示す如く、電子機器100’は、放熱部材1’、上側回路基板2’_1及び下側回路基板2’_2を備える。放熱部材1’、上側回路基板2’_1及び下側回路基板2’_2は、電子機器100の放熱部材1、上側回路基板2_1及び下側回路基板2_2とそれぞれ同様のものである。すなわち、放熱部材1’の本体部11’及びヒートシンク12’は、放熱部材1の本体部11及びヒートシンク12とそれぞれ同様のものである。ただし、本体部11’において、第1当接面部13に相当する傾斜面部は形成されていない。また、本体部11’において、第2当接面部14に相当する傾斜面部は形成されていない。
【0035】
本体部11’は、筐体3’の背面部の貫通孔31’に通されている。ここで、筐体3’においては、その天面部が開口しており、かつ、その底面部が開口している。筐体3’の天面部に沿うようにして、蓋体(以下「天面蓋体」という。)4’_1が設けられている。また、筐体3’の底面部に沿うようにして、他の蓋体(以下「底面蓋体」という。)4’_2が設けられている。上側回路基板2’_1は、天面蓋体4’_1と対向配置されている。他方、下側回路基板2’_2は、底面蓋体4’_2と対向配置されている。なお、筐体3’において、ガイド部32に相当する部位は形成されていない。
【0036】
貫通孔31’の周囲に沿うようにして、防水部材5’が設けられている。防水部材5’は、電子機器100の防水部材5と同様のものである。
【0037】
このようにして、電子機器100’の要部が構成されている。
【0038】
次に、図6A図6Dを参照して、電子機器100’の要部の組立て方法について説明する。
【0039】
まず、図6Aに示す如く、図示しない作業者は、本体部11’を貫通孔31’から筐体3’の内部に挿入する(第1工程)。なお、防水部材5’は、筐体3’に予め取り付けられている。また、筐体3’は、その底面部が上方に向けられた状態にて(換言すれば、その天面部が下方に向けられた状態にて)、図示しない治具等により支持されている。
【0040】
次いで、図6Bに示す如く、作業者は、本体部11’の裏面部に下側回路基板2’_2を取り付けて、筐体3’の底面部に底面蓋体4’_2を取り付ける(第2工程)。これらの作業は、図6Bに示す如く、筐体3’の上方から行われる。特に、下側回路基板2’_2は、筐体3’の底面部の開口を用いて、筐体3’の上方から本体部11’に取り付けられる。
【0041】
次いで、図6Cに示す如く、作業者は、筐体3’を上下に反転させる(第3工程)。かかる反転の後、筐体3’は、その天面部が上方に向けられた状態にて(換言すれば、その底面部が下方に向けられた状態にて)、再び治具等により支持される。
【0042】
次いで、図6Dに示す如く、作業者は、本体部11’の表面部に上側回路基板2’_1を取り付けて、筐体3’の天面部に天面蓋体4’_1を取り付ける(第4工程)。これらの作業は、図6Dに示す如く、筐体3’の上方から行われる。特に、上側回路基板2’_1は、筐体3’の天面部の開口を用いて、筐体3’の上方から本体部11’に取り付けられる。
【0043】
次に、比較用の電子機器100’における課題について説明する。また、第1実施形態に係る電子機器100における効果について説明する。
【0044】
図5を参照して説明したとおり、筐体3’は、その天面部が開口しており、かつ、その底面部が開口している。また、図6A図6Dを参照して説明したとおり、電子機器100’を組み立てるとき、筐体3’を上下に反転する工程が生ずる。これは、放熱部材1’が筐体3’に挿入された後の各工程における作業を、筐体3’の上方から行うようにするためである(図6C及び図6D参照)。
【0045】
また、図6A図6Dを参照して説明したとおり、電子機器100’を組み立てるとき、放熱部材1’が筐体3’に挿入された後、放熱部材1’に上側回路基板2’_1及び下側回路基板2’_2が取り付けられる。これは、かかる挿入時に、これらの回路基板2’と筐体3’との接触が発生するのを回避するためである。
【0046】
ここで、電子機器100’においては、以下のような問題が生ずる。第一に、電子機器100’を組み立てるとき、筐体3’を上下に反転する作業が要求される。これにより、特に電子機器100’が大型であるとき(例えば電子機器100’が無線通信用の基地局装置であるとき)、作業者の負荷が大きい。また、かかる作業に要求される空間も大きい。すなわち、いわゆる「作業性」が低いという問題が生ずる。第二に、2個の蓋体4’(より具体的には天面蓋体4’_1及び底面蓋体4’_2)を用いることにより、部品点数が増加するという問題が生ずる。
【0047】
これに対して、電子機器100においては、図2A図2Dを参照して説明したとおり、放熱部材1に下側回路基板2_2が取り付けられた後、放熱部材1が筐体3に挿入される。換言すれば、放熱部材1に下側回路基板2_2が取り付けられた状態にて、放熱部材1が筐体3に挿入される。これにより、筐体3を上下に反転する作業を不要としつつ、放熱部材1が筐体3に挿入された後の各工程における作業を、筐体3の上方から行うようにすることができる(図2C及び図2D参照)。かかる反転する作業を不要とすることにより、電子機器100の組立てにおける作業性の向上を図ることができる。
【0048】
また、筐体3にガイド部32が形成されていることにより、放熱部材1の挿入時に下側回路基板2_2と筐体3との接触が発生することを回避できる。なお、上側回路基板2_1は、上記のとおり、放熱部材1が筐体3に挿入された後に放熱部材1に取り付けられる。これにより、放熱部材1の挿入時に上側回路基板2_1と筐体3との接触が発生することを回避できる。
【0049】
また、かかる組立ての順番により、筐体3の形状を略有底箱状にすることができる。すなわち、底面蓋体4’_2に相当する部品を不要とすることができる。これにより、2個の蓋体4’を用いる電子機器100’に比して、部品点数の削減を図ることができる。
【0050】
次に、電子機器100における他の効果について説明する。
【0051】
上記のとおり、貫通孔31の形状は、横長スリット状である。以下、貫通孔31の長手方向に対する各部材のサイズ又は各部位のサイズを単に「サイズ」という。上側回路基板2_1のサイズW2_1は、本体部11のサイズW1よりも大きい値に設定され得る。また、上側回路基板2_1のサイズW2_1は、下側回路基板2_2のサイズW2_2よりも大きい値に設定され得る。以下、W2_1がW1及びW2_2の各々よりも大きい値に設定されている場合の例を中心に説明する。
【0052】
図2A図2Dを参照して説明したとおり、放熱部材1が筐体3に挿入された後に上側回路基板2_1が放熱部材1に取り付けられる。これにより、仮に放熱部材1が筐体3に挿入される前に上側回路基板2_1が放熱部材1に取り付けられる場合に比して、筐体3の小型化を図ることができる。この結果、電子機器100の小型化を図ることができる。
【0053】
すなわち、仮に放熱部材1が筐体3に挿入される前に上側回路基板2_1が放熱部材1に取り付けられるものとする。この場合、貫通孔31の周囲に防水部材5が設けられた状態にて、本体部11、上側回路基板2_1及び下側回路基板2_2を貫通孔31に通すことが求められる。このため、筐体3のサイズWは、少なくとも、W2_1に2αを加算してなる値であるβよりも大きくすることが求められる。ここで、αは、防水部材5の断面径に対応するサイズである。
【0054】
他方、図2A図2Dを参照して説明したとおり、放熱部材1が筐体3に挿入された後に上側回路基板2_1が放熱部材1に取り付けられるものとする。この場合、第1の条件として、上側回路基板2_1を収容する観点から、筐体3のサイズWは、少なくとも、W2_1よりも大きくすることが求められる。また、第2の条件として、貫通孔31の周囲に防水部材5が設けられた状態にて、本体部11及び下側回路基板2_2を貫通孔31に通すことが求められる。このため、筐体3のサイズWは、少なくとも、W1及びW2_2のうちのより大きい値に2αを加算してなる値であるγよりも大きくすることが求められる。結局、第1の条件及び第2の条件の両方を満足する観点から、筐体3のサイズWは、少なくとも、W2_1及びγのうちのより大きい値であるδよりも大きくすることが求められる。
【0055】
以上の内容をまとめると、以下の式(1)~式(3)が成立する。
【0056】
β=W2_1+2α (1)
γ=max(W1,W2_2)+2α (2)
δ=max(W2_1,γ) (3)
ここで、上記のとおり、W2_1>W1であり、かつ、W2_1>W2_2である。このため、β>δとなる。したがって、放熱部材1の挿入後に上側回路基板2_1が取り付けられる構造を採用することにより、放熱部材1の挿入前に上側回路基板2_1が取り付けられる構造を採用する場合に比して、筐体3の幅(サイズW)を小さくすることができる。この結果、筐体3の小型化を図ることができる。
【0057】
次に、電子機器100の変形例について説明する。
【0058】
放熱部材1の本体部11の形状は、略板状であれば良く、完全な板状でなくとも良い。例えば、本体部11の板面部において、ヒートパイプが設けられていることによる凹凸が存在するものであっても良い。以下、本体部11の形状を単に「板状」ということがある。
【0059】
筐体3の形状は、略有底箱状であれば良く、完全な有底箱状でなくとも良い。例えば、図3に示す如く、筐体3の内面部に保持部36が形成されているものであっても良い。以下、筐体3の形状を単に「有底箱状」ということがある。
【0060】
ガイド部32の形状は、略台形状に限定されるものではない。ガイド部32は、本体部11が貫通孔31から筐体3の内部に挿入されるとき、下側回路基板2_2と筐体3との接触が回避される位置に本体部11を誘導するものであれば良い。例えば、ガイド部32の形状は、少なくとも、第1傾斜面部33を有するものであれば良い。
【0061】
図7に示す如く、放熱部材1、上側回路基板2_1、下側回路基板2_2及び筐体3により電子機器100の要部が構成されているものであっても良い。すなわち、電子機器100は、防水部材5を有しないものであっても良い。また、電子機器100は、蓋体4を有しないものであっても良い。ただし、筐体3の内部に対する水の侵入を抑制する観点から、防水部材5を設けるのが好適である。また、筐体3の内部に対する異物の侵入を抑制する観点、及び上側回路基板2_1に実装された回路を保護する観点などから、蓋体4を設けるのが好適である。
【0062】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0063】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
[付記]
[付記1]
板状の本体部を有する放熱部材と、
前記本体部の表面部に設けられた上側回路基板と、
前記本体部の裏面部に設けられた下側回路基板と、
前記本体部、前記上側回路基板及び前記下側回路基板が収容された有底箱状の筐体と、を備え、
前記筐体にガイド部が形成されており、
前記ガイド部は、前記下側回路基板が前記本体部に取り付けられた状態にて、前記本体部が前記筐体の壁面部の貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記下側回路基板と前記筐体との接触が回避される位置に前記本体部を誘導する
ことを特徴とする電子機器の構造。
【0064】
[付記2]
前記ガイド部は、前記本体部が前記貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記本体部を持ち上げる方向に前記本体部を誘導するための傾斜面部を有することを特徴とする付記1に記載の構造。
【0065】
[付記3]
前記ガイド部は、前記貫通孔の両側に設けられていることを特徴とする付記1又は付記2に記載の構造。
【0066】
[付記4]
前記貫通孔の周囲に設けられた防水部材を備えることを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一つに記載の構造。
【0067】
[付記5]
前記貫通孔の長手方向に対する前記上側回路基板のサイズは、前記長手方向に対する前記本体部のサイズに比して大きく、かつ、前記長手方向に対する前記下側回路基板のサイズに比して大きいことを特徴とする付記1から付記4のうちのいずれか一つに記載の構造。
【0068】
[付記6]
前記放熱部材は、ヒートパイプを用いたものであることを特徴とする付記1から付記5のうちのいずれか一つに記載の構造。
【0069】
[付記7]
前記筐体の天面部に設けられた蓋体を備えることを特徴とする付記1から付記6のうちのいずれか一つに記載の構造。
【0070】
[付記8]
放熱部材の板状の本体部の裏面部に下側回路基板が取り付けられた状態にて、有底箱状の筐体の壁面部の貫通孔から前記筐体の内部に前記本体部を挿入し、
前記本体部が前記筐体の内部に挿入された状態にて、前記本体部の表面部に上側回路基板を取り付け、
前記本体部が前記貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記本体部が前記筐体のガイド部に当接することにより、前記下側回路基板と前記筐体との接触が回避される位置に前記本体部が誘導される
ことを特徴とする電子機器の組立て方法。
【0071】
[付記9]
前記本体部が前記貫通孔から前記筐体の内部に挿入されるとき、前記本体部が前記ガイド部の傾斜面部に当接することにより、前記本体部を持ち上げる方向に前記本体部が誘導されることを特徴とする付記8に記載の組立て方法。
【0072】
[付記10]
前記上側回路基板は、前記筐体の天面部の開口を用いて、前記筐体の上方から前記本体部に取り付けられることを特徴とする付記8又は付記9に記載の組立て方法。
【0073】
この出願は、2021年3月18日に出願された日本出願特願2021-044793を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0074】
1 放熱部材
2_1 上側回路基板
2_2 下側回路基板
3 筐体
4 蓋体
5 防水部材
11 本体部
12 ヒートシンク
13 第1当接面部
14 第2当接面部
31 貫通孔
32 ガイド部
33 第1傾斜面部(傾斜面部)
34 上底面部
35 第2傾斜面部
36 保持部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7