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特許7587018多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法および関連装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/08 20230101AFI20241112BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20241112BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241112BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W76/15
H04W84/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023508121
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021111335
(87)【国際公開番号】W WO2022028610
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202010791117.1
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】淦 明
(72)【発明者】
【氏名】李 伊青
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 辰辰
(72)【発明者】
【氏名】于 健
(72)【発明者】
【氏名】狐 梦▲実▼
(72)【発明者】
【氏名】李 云波
(72)【発明者】
【氏名】郭 宇宸
【審査官】松▲崎▼ 祐季
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0215884(US,A1)
【文献】Edward Au (Huawei),Compendium of straw polls and potential changes to the Specification Framework Document, IEEE 802.11-20/0566r53 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-0566-53-00be-compendium-of-straw-polls-and-potential-changes-to-the-specification-framework-document.docx>,2020年08月06日,pp. 1, 37-50
【文献】Minyoung Park (Intel Corp.),multi-link TIM design, IEEE 802.11-20/0084r0 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-0084-00-00be-multi-link-tim-design.pptx>,2020年01月13日
【文献】Abhishek Patil (Qualcomm),Multi-BSSID Operation with MLO, IEEE 802.11-20/0358r3 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-0358-03-00be-multi-bssid-operation-with-mlo.pptx>,2020年05月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
IEEE 802.11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法であって、
第1のアクセスポイントマルチリンクデバイスAP MLDの第1のアクセスポイントAPによって、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成するステップであって、前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、前記第1のAP MLDと関連付けられた第1の非アクセスポイントマルチリンクデバイス非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた第2の非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、前記第2のAP MLDは、非伝送APが属しているAP MLDであり、前記非伝送APは、前記第1のAPが置かれている多重基本サービスセット識別子BSSIDセット内ある、ステップと、
前記第1のAP MLDの前記第1のAPによって、前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を送信するステップと
を含む、個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法。
【請求項2】
多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法であって、
非アクセスポイントマルチリンクデバイス非AP MLDの第1のステーションSTAによって、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信するステップであって、前記非AP MLDは、第1のAP MLDに関連付けられた第1の非AP MLD、または第2のAP MLDに関連付けられた第2の非AP MLDであり、
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、前記第1のAP MLDと関連付けられた前記第1の非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、前記第2のAP MLDと関連付けられた前記第2の非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、前記第2のAP MLDは、非伝送APが属しているAP MLDであり、前記非伝送APは、前記第1のAP MLDの第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内ある、ステップと、
前記非AP MLDの前記第1のSTAによって、前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、前記非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するステップと
を含む、個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法。
【請求項3】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の1つのビットは、1つの関連付け識別子AIDに対応し、前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の前記ビットは、対応するAIDによって識別される非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報のビットに対応する関連付け識別子AIDは、互いに異なっている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、トラフィックインジケーションマップ(TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドで搬送される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、ビーコンフレームまたはTIMフレーム内に置かれている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビーコンフレームは専用フィールドを含み、前記専用フィールドのうちの1つは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有する1つの非AP MLDに対応するとともに、前記非AP MLDが前記ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを受信する1つまたは複数のリンクを示すのに使用される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のAP MLDと関連付けられた前記非AP MLDにAIDを割り当てるために前記第1のAP MLDによって使用されるAID空間と、前記第2のAP MLDと関連付けられた前記非AP MLDにAIDを割り当てるために前記第2のAP MLDによって使用されるAID空間とは同じである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、前記第1のAP MLDに対応するトラフィックインジケーションマップTIMブロックと、1つの第2のAP MLDに対応するTIMブロックとを含み、前記第1のAP MLDに対応するTIMブロックは、前記第1のAP MLDと関連付けられた前記非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用され、1つの第2のAP MLDに対応するTIMブロックは、前記第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、前記第2のAP MLDのインデックスをさらに含み、前記第2のAP MLDのインデックスは、前記第2のAP MLDの対応するTIMブロックと1対1の対応関係にある請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つの非AP MLDは、前記TIMブロックの1つについての1つのビットに対応し、前記TIMブロックの前記ビットは、前記非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のAP MLDと関連付けられた前記非AP MLDにAIDを割り当てるために前記第1のAP MLDによって使用されるAID空間と、前記第2のAP MLDと関連付けられた前記非AP MLDにAIDを割り当てるために前記第2のAP MLDによって使用されるAID空間とは、互いに独立している請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記第1のAP MLDの前記第1のAPによって関連付け識別子AID割り当て情報を生成するステップであって、前記AID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、前記AIDは、別の非AP MLDの別のAIDとは異なっている、ステップと、
前記第1のAP MLDの前記第1のAPによって前記AID割り当て情報を送信するステップと
をさらに含む請求項1、および3乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記非AP MLDの前記第1のSTAによって前記AID割り当て情報を受信するステップと、
前記非AP MLDの前記第1のSTAによって、受信された前記AID割り当て情報を解析して、前記AID割り当て情報が、前記非AP MLDに割り当てられた前記AIDを搬送することを知るステップであって、前記AIDは、別の非AP MLDの前記AIDとは異なっている、ステップと
をさらに含む請求項2乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
通信装置であって、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている通信装置。
【請求項16】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶し、前記命令がコンピュータ上で実行されると、前記コンピュータは、請求項1乃至14に記載の方法を実施することが可能になる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令がコンピュータ上で実行されると、前記コンピュータは、請求項1乃至14に記載の方法を実施することが可能になる、コンピュータプログラム。
【請求項18】
入出力インターフェースおよび処理回路を備えるチップまたはチップシステムであって、前記入出力インターフェースは、コード命令を受信するとともに前記コード命令を前記処理回路へ送信するように構成され、前記処理回路は、前記コード命令を実行して請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、チップまたはチップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信技術の分野に関し、詳細には、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法および関連装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2020年8月7日に中国国家知的財産局に出願された「INDIVIDUALLY ADDRESSED TRAFFIC INDICATION METHOD APPLICABLE TO MULTIPLE LINKS AND RELATED APPARATUS」という名称の中国特許出願第202010791117.1号の優先権を主張し、同出願は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0003】
無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network、WLAN)システムのサービス伝送速度を大幅に増加させるために、電気電子技術者学会(IEEE、Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11ax規格には、直交周波数分割多元接続(OFDMA、Orthogonal Frequency Division Multiple Access)技術が、既存の直交周波数分割多重(OFDM、Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術に基づいてさらに用いられている。OFDMA技術は、データを同時に送受信する際に多重ノードをサポートする。これは、マルチステーションダイバーシティ利得を達成する。
【0004】
次世代Wi-Fi規格であるIEEE 802.11beは、超高スループット(extremely high throughput、EHT)またはWi-Fi 7と呼ばれ、ピークスループットを大幅に増加させるという最も重要な技術目標を有する。IEEE 802.11be規格をサポートしている無線LANデバイスは、多重ストリーム(最大空間ストリーム数が16)によって、多重周波数帯(たとえば、2.4GHz、5GHz、および6GHzの周波数帯)によって、および同一周波数帯での多重チャネル間の協働によって、ピークスループットを高めること、およびトラフィック伝送の遅延を低減させることができる。多重周波数帯域または多重チャネルは、一括して多重リンクと呼ばれることもある。多重リンクを同時にサポートする次世代IEEE 802.11規格ステーションデバイスは、マルチリンクデバイス(multi-link device、MLD)と呼ばれることもある。
【0005】
しかし、一部の専用アクセスポイントマルチリンクデバイス(たとえば、アクセスポイントマルチリンクデバイスに含まれるすべてのアクセスポイント(assess point、AP)が、その基本サービスセット識別子(Basic Service Set Identifier、BSSID)が非伝送(Non-transmitted)BSSIDであるというAP)は、アクセスポイントマルチリンクデバイスと関連付けられたステーション(station、STA)マルチリンクデバイスがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すためのビーコンフレームを送信することができない。その結果として、アクセスポイントマルチリンクデバイスと関連付けられたステーションマルチリンクデバイスは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正しく受信することができない。このように、一部の専用アクセスポイントマルチリンクデバイス(AP MLD)に関して、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションをどのように実施するかが、解決されるべき緊急課題になっている。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法、および関連する装置を提供する。これは、一部のAP MLDの一部のAPまたはすべてのAPが、AP MLDと関連付けられたステーションマルチリンクデバイスがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになって、ステーションマルチリンクデバイスがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正しく受信するのを支援することができる。
【0007】
以下では、本出願を様々な態様から説明する。相互参照が、様々な態様の以下の実装および有益な効果に対して行われ得ることを理解されたい。
【0008】
第1の態様によれば、本出願は、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を提供する。この方法は、第1のAP MLDに適用され、第1のAPはレポートAPである。多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法は、以下を含む。すなわち、第1のAP MLDの第1のAPは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成し、その個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を第1のリンクへ送信する。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APの属するAP MLDである。第1のリンクは、第1のAPの動作リンクである。
【0009】
任意選択で、レポートAPは、管理フレームを送信するAPであってよく、この管理フレームは、レポートAPの配列AP MLDセット内の複数のAPについての情報を搬送する。管理フレームは、たとえば、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームである。
【0010】
このソリューションにおける個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができるだけでなく、第2のAP MLDが、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになることもでき、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。これにより、AP MLDの一部のAPまたはすべてのAPが、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができないという問題を解決することができ、それにより、APと関連付けられた非AP MLDは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正常に受信することができる。
【0011】
加えて、802.11beにおけるAP MLDのすべてのAPが非伝送APである可能性があるので、このソリューションは、APがすべて非伝送APであるAP MLDが個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信できないという問題を解決し、それによって、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションの完全性および多様性を改善することができる。
【0012】
第1の態様を参照すると、可能な実装において、方法は以下をさらに含む。すなわち、第1のAP MLDの第1のAPは、関連付け識別子(association identifier)AID割り当て情報を生成および送信し、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっている。
【0013】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0014】
任意選択で、第1のAP MLDの第のAPが関連付け応答フレームを送信する前に、この方法は以下をさらに含む。すなわち、第1のAP MLDの第1のAPは、関連付け要求フレームを受信し、この関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0015】
このソリューションでは、AIDが割り当てられるとき、第1のAP MLDが、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを第2のAP MLDが示す助けになることが考慮され、それにより、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDに第1のAP MLDによって割り当てられたAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なるので、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックが示されるときにAID曖昧さが回避されることが可能である。
【0016】
第2の態様によれば、本出願は、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を提供する。この方法は、非AP MLDに適用される。多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法は、以下を含む。すなわち、非AP MLDの第1のSTAは、第1のSTAが動作する第1のリンクについての個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信し、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定する。この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。
【0017】
任意選択で、レポートAPは、管理フレームを送信するAPであってもよく、この管理フレームは、レポートAPの配列AP MLDセット内の複数のAPについての情報を搬送する。管理フレームは、たとえば、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームである。
【0018】
第2の態様を参照すると、可能な実施態様において、この方法は以下をさらに含む。すなわち、非AP MLDの第1のSTAは、AID割り当て情報を受信し、この受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知る。このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっている。
【0019】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0020】
任意選択で、非AP MLDの第1のSTAが関連付け応答フレームを受信する前に、この方法は以下をさらに含む。すなわち、非AP MLDの第1のSTAは、関連付け要求フレームを生成および送信し、この関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0021】
第3の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、第1のAP MLD、もしくはWi-Fiチップなどの第1のAP MLD内のチップであってよく、または第1のAP MLDの第1のAPであってよく、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成するように構成された処理ユニットを含み、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDであり、通信装置はさらに、第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を送信するように構成されトランシーバユニットを含み、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクである。
【0022】
任意選択で、レポートAPは、管理フレームを送信するAPであってもよく、この管理フレームは、レポートAPの配列AP MLDセット内の複数のAPについての情報を搬送する。管理フレームは、たとえば、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームである。
【0023】
第3の態様を参照すると、可能な実装において、処理ユニットは、AID割り当て情報を生成するようにさらに構成され、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、トランシーバユニットは、AID割り当て情報を送信するようにさらに構成される。
【0024】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0025】
任意選択で、トランシーバユニットは、関連付け要求フレームを受信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0026】
第4の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、非AP MLD、もしくはWi-Fiチップなどの非AP MLD内のチップであってよく、または非AP MLDの第1のSTAであってよく、第1のSTAが動作する第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信するように構成されたトランシーバユニットを含み、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDであり、通信装置はさらに、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するように構成された処理ユニットを含む。
【0027】
任意選択で、レポートAPは、管理フレームを送信するAPであってもよく、この管理フレームは、レポートAPの配列AP MLDセット内の複数のAPについての情報を搬送する。管理フレームは、たとえば、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームである。
【0028】
第4の態様を参照すると、可能な実装において、トランシーバユニットは、AID割り当て情報を受信するようにさらに構成され、処理ユニットは、受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知るようにさらに構成され、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっている。
【0029】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0030】
任意選択で、処理ユニットは、関連付け要求フレームを生成するようにさらに構成され、トランシーバユニットは、関連付け要求フレームを送信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0031】
前述の態様のいずれかの実装において、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の1つのビットが1つの非AP MLDに対応し、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報のビットが、対応する非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。ここで非AP MLDは、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDとを含む。
【0032】
前述の態様のいずれかの実装において、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の1つのビットが1つの関連付け識別子AIDに対応し、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報のビットが、対応するAIDによって識別される非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。ここで非AP MLDは、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDとを含む。
【0033】
任意選択で、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、トラフィックインジケーションマップ(traffic indication map)TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドで搬送される。
【0034】
このソリューションでは、TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドのいくつかのビットは、レポートAPが置かれているMLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しており、それぞれの第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。TIM要素のフレームフォーマットを変更する必要なしに、1つのAP MLDは、別のAP MLDが、その別のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになることができる。これにより、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを通知する適応性を改善することができる。
【0035】
前述の態様のいずれかの実装において、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報のビットに対応する関連付け識別子AIDは、互いに異なっている。非AP MLDがダウンリンクの個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかが示される場合には、AID曖昧さを回避することができる。
【0036】
前述の態様のいずれかの実装において、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDに対応するTIMブロックと、1つの第2のAP MLDに対応するTIMブロックとを含み、第1のAP MLDに対応するTIMブロックは、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用され、1つの第2のAP MLDに対応するTIMブロックは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。
【0037】
任意選択で、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第2のAP MLDのインデックスをさらに含み、この第2のAP MLDのインデックスは、第2のAP MLDの対応するTIMブロックと1対1の対応関係にある。
【0038】
任意選択で、前述のTIMブロックの1つについての1つのビットは、1つの非AP MLDに対応し、TIMブロックのビットは、対応する非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。
【0039】
任意選択で、TIMブロックのビットに対応する関連付け識別子AIDは、互いに異なっている。
【0040】
任意選択で、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第1のAP MLDによって使用されるAID空間と、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第2のAP MLDによって使用されるAID空間とは、互いに独立している。ここでAID空間は、代替として、割り当てられるべきAIDのセットであってもよい。
【0041】
このソリューションでは、TIMインジケーションは、ブロックに基づいて、異なるAP MLDに対して実施される。これにより、異なるAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDの曖昧さを回避することができる。
【0042】
第5の態様によれば、本出願は、関連付け識別子AIDをマルチリンクデバイスに割り当てるための方法を提供する。この方法は、AP MLDの任意のAPに適用される。AIDをマルチリンクデバイスに割り当てるための方法は、以下を含む。すなわち、AP MLDのAPiがAID割り当て情報を生成および送信し、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであるか、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0043】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0044】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方がAPiの配列AP MLDセットに属する。ターゲットAP MLDが、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループに属し、このセットグループは、APiの配列AP MLDセットと、APiの配列AP MLDセット内のAPi以外の任意のAPの配列AP MLDセットとを含む。
【0045】
任意選択で、AP MLDのAPが関連付け応答フレームを送信する前に、この方法は以下をさらに含む。すなわち、AP MLDのAPiは、関連付け要求フレームを受信し、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0046】
このソリューションでは、APiと関連付けられた非AP MLDのAIDと、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある、と考えられる。非AP MLDがダウンリンクの個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかが示される場合には、AID曖昧さが回避されることが可能である。
【0047】
第6の態様によれば、本出願は、AIDをマルチリンクデバイスに割り当てるための方法を提供する。この方法は、非AP MLDの任意のSTAに適用される。AIDをマルチリンクデバイスに割り当てるための方法は、以下を含む。すなわち、非AP MLDのSTAがAID割り当て情報を受信し、そのAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知り、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0048】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0049】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、そのAPiの配列AP MLDセットに属する。ターゲットAP MLDが、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループに属し、このセットグループは、APiの配列AP MLDセットと、APiの配列AP MLDセット内のAPi以外の任意のAPの配列AP MLDセットとを含む。
【0050】
任意選択で、非AP MLDのSTAが関連付け応答フレームを受信する前に、この方法は以下をさらに含む。すなわち、非AP MLDのSTAは、関連付け要求フレームを生成および送信し、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0051】
第7の態様によると、本出願は、通信装置を提供する。通信装置は、AP MLD、またはWi-FiチップなどのAP MLD内のチップであってよく、AID割り当て情報を生成するように構成された処理ユニットを含み、AID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDであり、通信装置はさらに、関連付け応答フレームを送信するように構成された処理ユニットを含む。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0052】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0053】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、そのAPiの配列AP MLDセットに属する。ターゲットAP MLDが、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループに属し、このセットグループは、APiの配列AP MLDセットと、APiの配列AP MLDセット内のAPi以外の任意のAPの配列AP MLDセットとを含む。
【0054】
任意選択で、トランシーバユニットは、関連付け要求フレームを受信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0055】
第8の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、非AP MLD、またはWi-Fiチップなどの非AP MLD内のチップであってよく、AP MLDのAPからAID割り当て情報を受信するように構成されたトランシーバユニットと、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知るように構成された処理ユニットとを含み、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0056】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0057】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、そのAPiの配列AP MLDセットに属する。ターゲットAP MLDが、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループに属し、このセットグループは、APiの配列AP MLDセットと、APiの配列AP MLDセット内のAPi以外の任意のAPの配列AP MLDセットとを含む。
【0058】
任意選択で、処理ユニットは、関連付け要求フレームを生成するようにさらに構成され、トランシーバユニットは、関連付け要求フレームを送信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0059】
第9の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、具体的には、第1のAP MLDまたは第1のAP MLDの第1のAPであり、プロセッサおよびトランシーバを含む。プロセッサは、対応する機能を第1の態様の前述の方法で実施する際に第1のAP MLDをサポートするように構成される。トランシーバは、第1のAP MLDと非アクセスポイントマルチリンクデバイス(ステーションマルチリンクデバイスとも呼ばれる)との間の通信をサポートするように、かつ、前述の方法における情報、フレーム、データパケット、命令などをステーションマルチリンクデバイスへ送信するように構成される。第1のAP MLDは、メモリをさらに含み得る。メモリは、プロセッサに結合されるように構成され、また、メモリは、第1のAP MLDに必要なプログラム命令およびデータを記憶する。
【0060】
具体的には、プロセッサは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成するように構成され、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。トランシーバは、第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を送信するように構成され、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクである。
【0061】
第10の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、具体的には、非アクセスポイントマルチリンクデバイス(ステーションマルチリンクデバイスとも呼ばれる)または非AP MLDの第1のSTAであり、プロセッサおよびトランシーバを含む。プロセッサは、対応する機能を第2の態様の前述の方法で実施する際にステーションマルチリンクデバイスをサポートするように構成される。トランシーバは、ステーションマルチリンクデバイスと第1のAP MLDとの間の通信をサポートするように、かつ、前述の方法における情報、フレーム、データパケット、命令などを第1のAP MLDから受信するように構成される。ステーション用マルチリンクデバイスは、メモリをさらに含み得る。メモリは、プロセッサに結合されるように構成され、また、メモリは、ステーション用マルチリンクデバイスに必要なプログラム命令およびデータを記憶する。
【0062】
具体的には、トランシーバは、第1のSTAが動作する第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信するように構成され、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。プロセッサは、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するように構成される。
【0063】
第11の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、具体的にはAP MLD、またはAP MLDのAPiであり、プロセッサおよびトランシーバを含む。プロセッサは、対応する機能を第5の態様における前述の方法で実施する際にAP MLDをサポートするように構成される。トランシーバは、AP MLDと非アクセスポイントマルチリンクデバイス(ステーションマルチリンクデバイスとも呼ばれる)との間の通信をサポートするように、かつ、前述の方法における情報、フレーム、データパケット、命令などをステーションマルチリンクデバイスへ送信するように構成される。AP MLDは、メモリをさらに含み得る。メモリは、プロセッサに結合されるように構成され、また、メモリは、AP MLDに必要なプログラム命令およびデータを記憶する。
【0064】
具体的には、プロセッサは、AID割り当て情報を生成するように構成され、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。トランシーバは、AID割り当て情報を送信するように構成される。AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0065】
任意選択で、トランシーバは、関連付け要求フレームを受信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0066】
第12の態様によれば、本出願は通信装置を提供する。通信装置は、具体的には、非アクセスポイントマルチリンクデバイス(ステーションマルチリンクデバイスとも呼ばれる)であり、プロセッサおよびトランシーバを含む。プロセッサは、対応する機能を第6の態様における前述の方法で実施する際にステーションマルチリンクデバイスをサポートするように構成される。トランシーバは、ステーションマルチリンクデバイスとAP MLDとの間の通信をサポートするように、かつ、前述の方法における情報、フレーム、データパケット、命令などをAP MLDから受信するように構成される。ステーション用マルチリンクデバイスは、メモリをさらに含み得る。メモリは、プロセッサに結合されるように構成され、また、メモリは、ステーション用マルチリンクデバイスに必要なプログラム命令およびデータを記憶する。
【0067】
具体的には、トランシーバは、AID割り当て情報を受信するように構成される。プロセッサは、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知るように構成され、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0068】
任意選択で、プロセッサは、関連付け要求フレームを生成するようにさらに構成され、トランシーバは、関連付け要求フレームを送信するようにさらに構成され、関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0069】
第13の態様によれば、本出願は、入出力インターフェースおよび処理回路を含むチップまたはチップシステムを提供する。処理回路は、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成するように構成され、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。入出力インターフェースは、第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を送信するように構成され、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクである。
【0070】
可能な設計において、入出力インターフェースは、第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信するように構成され、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。処理回路は、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するように構成される。
【0071】
第14の態様によれば、本出願は、入出力インターフェースおよび処理回路を含むチップまたはチップシステムを提供する。処理回路は、AID割り当て情報を生成するように構成され、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、レポートAPの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。入出力インターフェースは、関連付け応答フレームを送信するように構成される。
【0072】
可能な設計において、入出力インターフェースは、AID割り当て情報を受信するように構成される。処理回路は、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知るように構成され、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、レポートAPの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。
【0073】
第15の態様によれば、本出願はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、このコンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第1の態様または第2の態様による、多重リンクに適用可能な前述の個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を実施することが可能になる。
【0074】
第16の態様によれば、本出願はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、このコンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第5の態様または第6の態様による、関連付け識別子AIDをマルチリンクデバイスに割り当てる前述の方法を実施することが可能になる。
【0075】
第17の態様によれば、本出願は、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第1の態様または第2の態様による、多重リンクに適用可能な前述の個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を実施することが可能になる。
【0076】
第18の態様によれば、本出願は、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、第5の態様または第6の態様による、関連付け識別子AIDをマルチリンクデバイスに割り当てる前述の方法を実施することが可能になる。
【0077】
本出願の実施形態は、いくつかのAP MLDの一部のAPまたはすべてのAPが、そのAP MLDと関連付けられたステーションマルチリンクデバイスがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのを助けて、ステーションマルチリンクデバイスがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正しく受信することを支援するように実装されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本出願の実施形態における技法的ソリューションをより明確に説明するために、以下では、実施形態の説明に用いられる添付の図面について簡単に説明する。
【0079】
図1】本出願の実施形態によるAP MLDおよび非AP MLDの構造の概略図である。
図2】本出願の実施形態によるTIM要素のフレームフォーマットの概略図である。
図3】本出願の実施形態による多重BSSID要素のフレームフォーマットの概略図である。
図4a】本出願の実施形態による通信システム100の構造の概略図である。
図4b】本出願の実施形態による通信システム200の構造の概略図である。
図4c】本出願の実施形態による通信システム300の構造の概略図である。
図5】本出願の実施形態による複数の多重BSSIDセットのアーキテクチャの概略図である。
図6】本出願の実施形態による、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法の概略フローチャートである。
図7】本出願の実施形態による部分的仮想ビットマップフィールドの概略図である。
図8】本出願の実施形態による新規要素の部分的フレームフォーマットの概略図である。
図9】本出願の実施形態による、AIDを非AP MLDに割り当てるための方法の概略フローチャートである。
図10a】本出願の実施形態による、APの配列AP MLDセットの概略図である。
図10b】本出願の実施形態によるAPの配列AP MLDセットの別の概略図である。
図10c】本出願の実施形態によるAPの配列AP MLDセットのさらに別の概略図である。
図11】本出願の一実施形態によるAID要素のフレームフォーマットの概略図である。
図12】本出願の実施形態による、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法の別の概略フローチャートである。
図13】本出願の実施形態による通信装置1の構造を示す概略図である。
図14】本出願の実施形態による通信装置2の構造を示す概略図である。
図15】本出願の一実施形態による通信装置3の構造を示す概略図である。
図16】本出願の実施形態による通信装置4の構造を示す概略図である。
図17】本出願の実施形態による通信装置1000の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下では、本出願の実施形態における技法的ソリューションを、本出願の実施形態の添付図面を参照して明確に説明する。
【0081】
本出願の実施形態として開示される、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法と関連装置とをより良く理解するために、本出願の実施形態の関連概念が最初に説明される。
【0082】
1.マルチリンクデバイス
【0083】
本出願の実施形態が適用可能である無線通信システムは、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)またはセルラーネットワークであってよく、個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法は、無線通信システム内の通信デバイス、または通信デバイス内のチップもしくはプロセッサによって実装され得る。通信装置は、並列伝送のための多重リンクをサポートする無線通信装置であってよく、たとえば、マルチリンクデバイス(Multi-link device、MLD)またはマルチバンドデバイス(multi-band device)と呼ばれる。シングルリンク伝送だけをサポートするデバイスと比較して、マルチリンクデバイスは、高い伝送効率および高いスループットを有する。
【0084】
マルチリンクデバイスは、1つまたは複数の系列ステーション(affiliated STA)を含む。1つの系列ステーションは、1つのリンク上で動作することができる論理的ステーションである。系列ステーションは、アクセスポイント(access point、AP)または非アクセスポイントステーション(Non-access point station、Non-AP STA)であり得る。説明しやすいように、本出願で系列ステーションがAPであるマルチリンクデバイスは、多重リンクAPまたはマルチリンクAPデバイスまたはAPマルチリンクデバイス(AP multi-link device、AP MLD)と呼ばれることがある。系列ステーションが非AP STAであるマルチリンクデバイスは、マルチリンク非APまたはマルチリンク非APデバイスまたは非APマルチリンクデバイス(Non-AP multi-link device、Non-AP MLD)と呼ばれることがある。説明しやすいように、「マルチリンクデバイスが系列ステーションを含む」ことはまた、本出願の実施形態では「マルチリンクデバイスがステーションを含む」とも簡潔に記述される。
【0085】
マルチリンクデバイスは、1つまたは複数の系列ステーション(affiliated STA)を含む。言い換えると、1つのマルチリンクデバイスは、複数の論理ステーションを含み得る。各論理ステーションは1つのリンク上で動作するが、複数の論理ステーションが同一リンク上で動作することが許容される。
【0086】
マルチリンクデバイスは、802.11系規格による無線通信を実装することができる。たとえば、超高スループット(extremely high throughput、EHT)に準拠するステーション、または802.11beに準拠するステーション、または802.11beをサポートするステーションと互換性のあるステーションは、別のデバイスとの通信を実装する。確かなことに、別のデバイスは、マルチリンクデバイスであってもマルチリンクデバイスでなくてもよい。
【0087】
たとえば、本出願のこの実施形態におけるマルチリンクデバイスは、シングルアンテナデバイスであってもよく、またはマルチアンテナデバイスであってもよい。たとえば、このデバイスは、2つより多いアンテナ付きのデバイスであってよい。マルチリンクデバイスに含まれるアンテナの数量は、本出願のこの実施形態では限定されていない。本出願の実施形態において、マルチリンクデバイスは、同じアクセスタイプのサービスが別々のリンクで伝送されることを可能にしてよく、さらに同一データパケットが別々のリンクで伝送されることを可能にしてもよく、または同じアクセスタイプのサービスが別々のリンクで伝送されることを可能にしなくてよいが、異なるアクセスタイプのサービスが別々のリンクで伝送されることを可能にしてもよい。
【0088】
たとえば、マルチリンクデバイスが無線通信機能付きの装置であると、この装置は、完全な装置であってよく、または完全な装置に装着されたチップや処理システムなどであってよく、チップまたは処理システムが装着されたデバイスが、そのチップまたは処理システムの制御下で本出願の実施形態の方法および機能を実装し得る。たとえば、本出願の実施形態の非AP MLDは、802.11シリーズプロトコルをサポートしていることもある無線トランシーバ機能を有しており、AP MLDまたは別の非AP MLDまたはシングルリンクデバイスと通信し得る。たとえば、STA MLDは、ユーザがAPと通信し、さらにWLANと通信することを可能にする任意のユーザ通信装置である。たとえば、非AP MLDは、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(Ultra-mobile Personal Computer、UMPC)、ハンドヘルドコンピュータ、ネットブック、パーソナルデジタルアシスタント(Personal Digital Assistant、PDA)、もしくは携帯電話などの、インターネットに接続されることが可能なユーザ機器であってもよく、またはモノのインターネットにおけるモノのインターネットノード、車両のインターネットにおける車載通信装置などであってもよい。非AP MLDは、代替として、これらの端末内のチップおよび処理システムであってもよい。
【0089】
本出願の実施形態におけるAP MLDは、非AP MLDにサービスを提供する装置であり、802.11シリーズプロトコルをサポートすることができる。たとえば、AP MLDは、通信サーバ、ルータ、スイッチおよびネットワークブリッジなどの通信エンティティであってもよく、またはAP MLDは、様々な形のマクロベースステーション、マイクロベースステーション、リレーノードなどを含み得る。確かなことに、AP MLDは、代替として、様々な形のこれらのデバイス内のチップおよび処理システムであってもよく、それによって、本出願の実施形態の方法および機能を実装する。加えて、マルチリンクデバイスは、高速および低遅延伝送をサポートすることができる。無線ローカルエリアネットワークの適用シナリオの継続的な進化によって、マルチリンクデバイスは、代替として、スマートシティにおけるセンサノード(スマート水道メータ、スマート電力メータ、スマート空気検出ノードなど)、スマート家庭におけるスマートデバイス(スマートカメラ、プロジェクタ、ディスプレイスクリーン、テレビジョン、ステレオ、冷蔵庫、洗濯機など)、モノのインターネットにおけるノード、エンターテイメント端末(AR、VRおよび他のウェアラブル端末など)、スマートオフィスにおけるスマートデバイス(プリンタおよびプロジェクタなど)、車両のインターネットにおける車両のインターネットデバイス、ならびに、日常生活シナリオにおけるいくつかのインフラストラクチャ(自動販売機、スーパーマーケットのセルフサービスナビゲーションデスク、セルフサービスキャッシュレジスタ、およびセルフサービス注文機など)のような、より多くのシナリオに適用され得る。非AP MLDおよびAP MLDの具体的な形は、本出願の実施形態において特に限定されていなく、ここでの説明のための単なる例である。802.11プロトコルは、802.11beをサポートする、または802.11beと互換性があるプロトコルであってよい。
【0090】
マルチリンクデバイスが作動する周波数帯は、1GHz未満、2.4GHz、5GHz、6GHz、および高周波60GHzを、これらに限定されないが含み得る。
【0091】
たとえば、本出願のこの実施形態におけるマルチリンクデバイスは、シングルアンテナデバイスであってもよく、またはマルチアンテナデバイスであってもよい。たとえば、本出願の実施形態におけるマルチリンクデバイスは、2つ以上のアンテナ付きのデバイスであってよい。マルチリンクデバイスに含まれるアンテナの数量は、本出願のこの実施形態では限定されていない。図1は、本出願の実施形態によるAP MLDおよび非AP MLDの構造の概略図である。図1は、複数のアンテナ付きのAP MLDと、単一のアンテナ付きの非AP MLDの構造の概略図である。802.11規格では、AP MLDおよび非AP MLDにおける物理層(Physical layer、PHY)部分と、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)層部分とに注目している。
【0092】
2.リンク識別子
【0093】
リンク識別子は、1つのリンク上で動作する1つのステーションを表す。言い換えると、1つのリンク上に1つより多いステーションが存在する場合、1つより多いリンク識別子がそのステーションを表す。以下で言及されるリンクはまた、そのリンクで作動するステーションを表すこともある。
【0094】
データがAP MLDと非AP MLDの間で伝送されるとき、リンク識別子が、リンクまたはリンク上のステーションを識別するのに使用されてよい。通信の前に、AP MLDおよび非AP MLDは、リンク識別子とリンクまたはリンク上のステーションとの間の対応関係についてネゴシエートしてよく、または通信してよい。したがって、データ伝送中にリンク識別子が、リンクまたはリンク上のステーションを示すための大量のシグナリング情報を伝送する必要なしに搬送される。これはシグナリングオーバーヘッドを低減させ、伝送効率を改善する。
【0095】
例では、基本サービスセット(basic service set、BSS)を確立するときにAP MLDによって送信されるビーコン(beacon)フレームなどの管理フレームが要素を搬送し、この要素は多重リンク識別情報フィールドを含む。リンク識別情報フィールドは、リンク識別子と、そのリンク識別子に対応するリンク上で動作するステーションとの対応関係を示し得る。リンク識別情報フィールドは、リンク識別子だけでなく以下の情報、すなわち、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)アドレス、オペレーションセット、およびチャネル番号のうちの1つまたは複数もまた含む。MACアドレス、オペレーションセット、チャネル番号のうちの1つまたは複数は、1つのリンクを示し得る。APでは、APのMACアドレスがまた、APのBSSID(基本サービスセット識別子、basic service set identifier)でもある。別の例では、マルチリンクデバイス関連付け処理の際に、AP MLDと非AP MLDは、多重リンク識別情報フィールドについてネゴシエートする。マルチリンクデバイス関連付けは、AP MLDの1つのAPが非AP MLDの1つのSTAと一度関連付けられることを意味し、この関連付けは、非AP MLDの複数のSTAがAP MLDの複数のAPとそれぞれ関連付けられるのを助けることがあり、1つのSTAが1つのAPと関連付けられる。
【0096】
その後の通信において、AP MLDまたは非AP MLDは、非AP MLDのステーションを表すためにリンク識別子を使用し、リンク識別子は、ステーションのMACアドレス、動作オペレーションセットおよびチャネル番号のうちの1つまたは複数の属性をさらに表し得る。MACアドレスは、関連付けの後に、AP MLDの関連付け識別子に置き換えられてもよい。任意選択で、複数のステーションが1つのリンク上で動作している場合には、リンク識別子(デジタルID)は、リンクが置かれている作動セットおよびチャネル番号だけでなく、ステーションのMACアドレスまたはステーションの関連付け識別子(Association Identifier、AID)などの、リンク上で動作するステーションの識別子も含むことになる。
【0097】
3.トラフィックインジケーションマップ要素
【0098】
トラフィックインジケーションマップ(traffic indication map、TIM)ビーコンフレームおよび送出トラフィックインジケーションマップ(delivery traffic indication map、DTIM)ビーコンフレームはそれぞれ、トラフィックインジケーションマップ(traffic indication map、TIM)要素を搬送する。図2は、本出願の実施形態によるTIM要素のフレームフォーマットの概略図である。図2に示されるように、TIM要素フィールドのフレームフォーマットは以下を含む。すなわち、
【0099】
要素識別子(identifier、ID)フィールド:図2に示された要素をTIM要素として識別するのに使用される。
【0100】
長さフィールド:TIM要素の長さを示すために使用され、また、フィールドの、具体的には、DTIMカウントフィールド、DTIM期間フィールド、ビットマップ制御フィールド、および部分的仮想ビットマップフィールドの後の全長についての統計データをバイト単位で収集するために使用される。
【0101】
DTIMカウント(DTIM count)フィールド:TIM要素を搬送する現在のビーコンフレームから次のDTIMビーコンフレームが到着する前にTIMビーコンフレームがいくつ現れるかを示すのに使用される。言い換えると、DTIM countフィールドはカウント値であり、このカウント値は可変である。DTIMカウントフィールドの値が0である場合には、それは、現在のビーコンフレームがDTIMビーコンフレームであることを示す。DTIM countフィールドの値が0ではない、すなわち非ゼロである場合には、それは、現在のビーコンフレームがTIMビーコンフレームであることを示す。
【0102】
DTIM期間(DTIM period)フィールド:DTIMビーコンフレームの継続期間、言い換えると到着間隔を示すのに使用され、この到着間隔は、単位がTIMビーコンフレーム期間である。たとえば、DTIM期間が1に設定されている場合、各TIM要素フィールドのDTIMカウントは0に等しく、言い換えると、各ビーコンフレームはDTIMビーコンフレームである。
【0103】
ビットマップ制御(Bitmap control)フィールド:図2に示されるように、ビットマップ制御フィールドのビット0は、アクセスポイントAPが、DTIMビーコンフレームを送信した後にグループアドレス指定データトラフィックを送信するかどうかを示すのに使用され、言い換えると、DTIMビーコンフレーム内のビットマップ制御フィールドのビット0は、APがグループアドレス指定トラフィックをキャッシュしているかどうか、およびグループアドレス指定トラフィックがグループアドレス指定AIDを介して送信されていないかどうかを示し、ビットマップ制御フィールドのビット1から7は、部分的仮想ビットマップ(partial virtual bitmap)のオフセットを示すのに使用され、このオフセットは単位がバイト(すなわち8ビット)である。
【0104】
部分的仮想ビットマップ(partial virtual bitmap):部分的仮想ビットマップフィールドの各ビットは、1つの関連付け識別子(Association Identifier、AID)に対応し、AIDに対応するステーションが個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。代替として、部分的仮想ビットマップフィールドの各ビットは、1つのグループアドレス指定AIDに対応し、このグループアドレス指定AIDに対応するステーションのグループがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。部分的仮想ビットマップフィールドは、トラフィックインジケーション仮想ビットマップ(traffic indication virtual bitmap)フィールドのいくつかのビットであり、このトラフィックインジケーション仮想ビットマップフィールドは251バイトであり、AID 0からAID 2007までに対応するステーションがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。
【0105】
要素IDフィールド、長さフィールド、DTIMカウントフィールド、DTIM期間フィールド、およびビットマップ制御フィールドそれぞれが1バイトを占有する。
【0106】
4.多重基本サービス識別子セット(Multiple BSSID set)
【0107】
多重基本サービスセット識別子セット(Multiple BSSID set、多重BSSIDセットと呼ばれることがある)は、いくつかの協働するAPのセットと理解されてよい。すべての協働APが、同一のオペレーションセット、チャネル番号、およびアンテナインターフェースを使用する。多重BSSIDセットには、伝送(Transmitted)BSSIDを持つAPが1つだけあり、他のAPは、非伝送(Non-transmitted)BSSIDを持つAPである。多重BSSIDセット情報(すなわち、多重BSSID要素)は、伝送BSSIDを持つAPによって送信されるビーコンフレームまたはプローブ応答フレームまたはネイバーレポートで搬送される。非伝送BSSIDを持つAPのBSSIDについての情報は、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレーム、または近隣者レポート中の多重BSSID要素などに基づいてステーションによって導出される。非伝送BSSIDを持つAPのBSSIDは、伝送BSSIDを持つAPのBSSIDと、非伝送BSSIDを持つAPのBSSIDの非伝送BSSIDプロファイル内のMultiple BSSID-Index要素のBSSID Indexフィールドとに基づいて計算される。具体的な方法については、Draft 802.11REVmd_D3.0プロトコルを参照されたい。
【0108】
多重BSSIDセットは、代替として、複数のAPを含むと理解されてもよい。各APは、1つのBSSを管理し、異なるAPは、セキュリティ機構または伝送機会などの、異なるSSIDおよび許可を有することができる。
【0109】
多重BSSIDセットでは、BSSIDが伝送BSSIDであるAPだけがビーコンフレーム(beacon)およびプローブ応答フレーム(Probe Response)を送信することができるのに対し、非伝送BSSIDを持つAPはビーコンフレームを送信しない。したがって、STAによって送信されたプローブ要求フレーム(Probe Request)が、多重BSSIDセット内の、BSSIDが非伝送BSSIDであるAPへ送信されるならば、多重BSSIDセット内の、BSSIDが伝送BSSIDであるAPは、プローブ応答フレームを送信することに応答するのを助ける。
【0110】
多重BSSIDセット内の複数のAPのうちの1つのBSSIDは、伝送(Transmitted)BSSIDとして構成され、この伝送BSSIDを持つAPは伝送(Transmitted)APと呼ばれることがあり、他のAPのBSSIDは非伝送(Non-transmitted)BSSIDとして構成され、この非伝送BSSIDを持つAPは非伝送(Non-transmitted)APと呼ばれることがある。
【0111】
伝送APによって送信されたビーコンフレームは、多重BSSID要素を含むことがあり、この多重BSSID要素のフレームフォーマットが図3に示されている。図3は、本出願の実施形態による多重BSSID要素のフレームフォーマットの概略図である。多重BSSID要素は、要素IDフィールド、長さフィールド、最大BSSIDインジケータフィールド、および任意選択のサブ要素フィールドを含む。最大BSSIDインジケータフィールドは、多重BSSIDセットに含まれるBSSIDの最大数量Nを示すのに使用され、任意選択のサブ要素フィールドは、非伝送BSSIDを持つAPのBSSIDについての情報を含む。
【0112】
多重BSSIDセット内に許容されるAPの最大数量は2nであり、ここでnは、図3に示された多重BSSID要素中のMaxBSSID Indicatorフィールドによって示される値であり、N=2nである。したがって、トラフィックインジケーション仮想ビットマップフィールドのビット1から2n-1は、多重BSSIDセット内の非伝送BSSIDを持つAPにそれぞれ割り当てられて、NonTxBSS ID(識別子)が1から2n-1である非伝送BSSIDを持つAPがグループアドレス指定トラフィックを有しているかどうかをそれぞれ示し得る。NonTxBSS IDの値は、多重BSSID要素内の非伝送BSSIDプロファイルにおけるMultiple BSSID-Index要素内のBSSID Indexフィールドの値と等しい。非伝送BSSIDプロファイルは、任意選択のサブ要素フィールドにある。
【0113】
本出願の実施形態は、IEEE 802.11が配備されているネットワークを例として用いて主に説明されているが、本出願における様々な態様が、様々な規格またはプロトコルを使用して、たとえば、ブルートゥース(Bluetooth)、高性能無線LAN(high performance radio LAN、HIPERLAN)(IEEE 802.11規格と類似している無線標準であり主に欧州で使用されている)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、または現在知られている、もしくは将来開発される他のネットワークを使用して、他のネットワークに拡張されることが可能であることを当業者であれば容易に理解する。したがって、本出願で提供される様々な態様は、カバレッジおよび無線アクセスプロトコルにかかわらず、任意の適切な無線ネットワークに適用可能である。
【0114】
図4aは、本出願の実施形態による通信システム100の構造の概略図である。図4aでは、本出願の実施形態に適用される通信システム100を説明するために、無線ローカルエリアネットワークが例として用いられている。通信システム100は、ステーション101およびステーション102を含む。ステーション101およびステーション102は、多重リンクを通信に使用して、スループットを改善する効果を達成し得る。ステーション101はマルチリンクデバイスであってよく、ステーション102はシングルリンクデバイス、マルチリンクデバイスなどであってよい。1つのシナリオでは、ステーション101はAP MLDであり、ステーション102は非AP MLDまたはステーション(シングルリンクステーションなど)である。別のシナリオでは、ステーション101は非AP MLDであり、ステーション102はAP(シングルリンクAPなど)またはAP MLDである。さらに別のシナリオでは、ステーション101はAP MLDであり、ステーション102はAP MLDまたはAPであり、さらに別のシナリオでは、ステーション101は非AP MLDであり、ステーション102は非AP MLDまたはSTA(シングルリンクステーションなど)である。確かなことに、無線ローカルエリアネットワークは他のデバイスをさらに含み得る。図4aに示されるデバイスの数量および種類は、単なる例である。
【0115】
図4bは、本出願の一実施形態による通信システム200の構造の概略図である。図4cは、本出願の実施形態による通信システム300の構造の概略図である。図4bおよび図4cはそれぞれ、通信システム200および通信システム300の構造の概略図である。通信システム200および通信システム300は、無線ローカルエリアネットワーク内のマルチリンクデバイスが多重リンクを介して他のデバイスと通信する例を用いて説明される。
【0116】
具体的には、図4bは、AP MLDと非AP MLDとの間の通信のシナリオを示す。AP MLDは、系列AP1および系列AP2を含み、非AP MLDは、系列STA1および系列STA2を含み、AP MLDと非AP MLDは、リンク1およびリンク2を並列に介して通信する。
【0117】
図4cは、AP MLD 601が非AP MLD 602、非AP MLD 603、およびSTA 604と通信するシナリオを示す。AP MLD 601は、系列AP 601-1から系列AP 601-3を含む。非AP MLD 602は3つの系列ステーション、すなわち、STA 602-1、STA 602-2、およびSTA 602-3を含む。非AP MLD 603は2つの系列ステーション、すなわち、STA 603-1およびSTA 603-2を含む。STA 604-1およびSTA 604は、シングルリンクデバイスである。AP MLD 601は、リンク1、リンク2、およびリンク3を介して非AP MLD 602と個別に通信し、リンク2およびリンク3を介して非AP MLD 603と通信し、リンク1を介してSTA 604と通信し得る。例では、STA 604は2.4GHz帯で動作し、非AP MLD 603では、STA 603-1は5GHz帯で動作し、STA 603-2は6GHz帯で動作し、非AP MLD 602では、STA 602-1は2.4GHz帯で動作し、STA 602-2は5GHz帯で動作し、STA 602-3は6GHz帯で動作する。アップリンクデータまたはダウンリンクデータが、AP MLD 601内の2.4GHz帯で動作するAP 601-1と、非AP MLD 602内のSTA 604およびSTA 602-1との間で、リンク1を介して伝送されてよい。アップリンクデータまたはダウンリンクデータが、AP MLD 601内の5GHz帯で動作するAP 601-2と、非AP MLD 603内の5GHz帯で動作するSTA 603-1との間でリンク2を介して伝送されてよく、また、アップリンクデータまたはダウンリンクデータが、AP 601-2と、非AP MLD 602内の5GHz帯で動作するSTA 602-2との間でリンク2を介してさらに伝送されてもよい。アップリンクデータまたはダウンリンクデータが、AP MLD 601内の6GHz帯で動作するAP 601-3と、非AP MLD 602内の6GHz帯で動作するSTA 602-3との間でリンク3を介して伝送されてよく、また、アップリンクデータまたはダウンリンクデータが、AP 601-3と、非AP MLD内のSTA 603-2との間でリンク3を介してさらに伝送されてもよい。
【0118】
図4bは、AP MLDが2つの周波数帯をサポートする例だけを示し、図4cは、AP MLD 601が3つの周波数帯(2.4GHz、5GHz、6GHz)をサポートする例だけを示し、各周波数帯は1つのリンクに対応し、AP MLD 601はリンク1、リンク2、またはリンク3の1つまたは複数のリンク上で動作し得ると理解されてよい。AP側またはSTA側で、リンクは、ここではリンクで作動するステーションとしてさらに理解されてもよい。実際的な用途では、AP MLDおよび非AP MLDは、もっと多いまたは少ない周波数帯域をさらにサポートしてもよく、すなわち、AP MLDおよび非AP MLDは、もっと多いリンク上またはもっと少ないリンク上で動作し得る。これは、本出願の実施形態において限定されていない。
【0119】
図5は、本出願の実施形態による複数の多重BSSIDセットのアーキテクチャの概略図である。言い換えると、図5に示されたAP MLDは、配列AP MLDセット(collocated AP MLD set)である。
【0120】
BSSID-1x、BSSID-1y、BSSID-2x、BSSID-2y、BSSID-2z、BSSID-4x、BSSID-4y、BSSID-4z、BSSID-3、およびBSSID-5はMACアドレス識別子であり、対応するAPを識別するのに使用される。MACアドレス識別子がxで終わっているAPは伝送BSSID APであり、MACアドレス識別子がyまたはzで終わっているAPは非伝送BSSID APであり、MACアドレス識別子が数字だけで終わっているAPは共通APであるとされている。共通APは、多重BSSIDセットに属していないAPである。たとえば、多重BSSIDセット1内の伝送BSSID APは、MACアドレス識別子がBSSID_1xであるAP 1xであり、多重BSSIDセット1内の非伝送BSSID APは、MACアドレス識別子がBSSID_1yであるAP 1yであり、多重BSSIDセット2内の伝送BSSID APは、MACアドレス識別子がBSSID_2xであるAP 2xであり、多重BSSIDセット2内の非伝送BSSID APは、MACアドレス識別子がBSSID_2yであるAP 2yと、MACアドレス識別子がBSSID_2zであるAP 2zとを含む。
【0121】
レポートAPの配列AP MLDセットは以下のAPを含み、レポートAPは管理フレームを送信するAPであり、管理フレームは以下の複数のAPについての情報を搬送する。管理フレームは、たとえば、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームである。レポートAPは、BSSIDセット内の伝送APおよび共通APを含む。レポートAPの配列AP MLDセットは、以下のAP、すなわち、
(1)レポートAPと同じAP MLDに属するすべてのAP、またはレポートAPが置かれているAP MLD内のすべてのAPと、
(2)レポートAP(または伝送AP)と同じ多重BSSIDセット内の非伝送APが置かれているAP MLD内のすべてのAP、またはレポートAP(または伝送AP)が置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが置かれているAP MLD内のすべてのAPと、
(3)以下の2つの条件を満たすAP MLD 内のすべてのAPと
を含み、2つの条件は、1)AP MLDの少なくとも1つのAPが、レポートAPが置かれているAP MLD内のAPと同じ多重BSSIDセット内にあり、2)レポートAPと同じリンク上で動作するAP MLD内にAPがない。
【0122】
任意選択で、実装において、1つのAP MLDはただ1つのAPを含む。
【0123】
任意選択で、レポートAPは、AP MLD内の共通AP(図5のMACアドレス識別子がBSSID_3のAP 3、およびMACアドレス識別子がBSSID_5のAP 5など)、または多重BSSIDセット内の伝送APであってもよく、本出願に記載の個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を送信することができる。
【0124】
たとえば、図5のAP 1xがレポートAPとして使用され、この場合、そのAP 1xの配列AP MLDセットに含まれるAPは、
(1)AP 1xと同じAP MLD 1内のすべてのAP、すなわち、AP 1x、AP 2y、およびAP 3と、
(2)非伝送AP(すなわち、AP 1y)がAP 1xと同じ多重BSSIDセット1内にあるAP MLD 3内のすべてのAP、すなわち、AP 1y、AP 2z、およびAP 4yと、
(3)図5の前述の条件1)および2)を満たすAP MLD、すなわちAP MLD 2に含まれるAP 2xおよびAP 4xと
を含み、AP MLD 2のAP 2xおよびAP MLD 1のAP 2yは、同一の多重BSSIDセット2内にあり、AP MLD 2のAPは、AP 1xと同じリンク上にはない。
【0125】
多重BSSIDセットでは、BSSIDが伝送BSSIDであるAPだけがビーコンフレームおよびプローブ応答フレームを送信することができるのに対し、非伝送BSSIDを持つAPはビーコンフレームを送信しない。したがって、AP MLD(たとえば、図5のAP MLD 3)内のすべてのAPが非伝送APであるならば、TIM要素がビーコンフレームで搬送されるので、AP MLDは、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができない。加えて、別の例では、図5のAP MLD 1において、リンク2上で動作するAP 2yは、非伝送APである。リンク2上で動作する非AP MLDは、非AP MLDと関連付けられたAP MLD 1によって非AP MLDへ送信されたダウンリンク個別アドレス指定トラフィック通知を取得することができない。
【0126】
したがって、本出願の実施形態は、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を提供する。非伝送APが属するAP MLDのダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションは、レポートAPによって送信されるシグナリングで搬送され、これは、非伝送APが属するAP MLDが、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのを助けることができる。本出願で提供される技法的ソリューションは、より多くの添付図面を参照して以下で詳細に説明される。
【0127】
AP MLD内の1つまたは複数のAPはすべて、1つまたは複数のAPと関連付けられた非AP MLDへバッファユニット(buffer unit、BU)インジケーション情報を送信する必要があり、BUインジケーション情報の1つのビットが1つの非AP MLDのAIDに対応する。BUインジケーション情報のビットが「1」に設定されている場合には、AP MLDが、そのビットに対応するAIDによって識別される非AP MLDに対するダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有していることを示し、または、BUインジケーション情報のビットが「0」に設定されている場合には、AP MLDが、そのビットに対応するAIDによって識別される非AP MLDに対するダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有していないことを示す。
【0128】
マルチリンク関連付け確立
【0129】
マルチリンク関連付けを確立する処理において、ステーションMLDのステーションとAP MLDのAPは、関連付け要求フレームまたは関連付け応答フレームを介して相互作用してマルチリンク関連付けを確立し、具体的には、ステーションMLDの複数のステーションのそれぞれが、AP MLDの複数のAPのそれぞれとの関連付けを確立する。AP MLDのAPによって送信される関連付け応答フレームでは、1つのAIDが各ステーションMLDに割り当てられており、言い換えると、ステーションMLDの複数のステーションは同じAIDを有している。AP MLDおよびステーションMLDそれぞれは、一意のMLD MACアドレスを有する。MLD MACアドレスは、IPデータソースおよび宛先などの、MACの上位層で使用されるインデックスである。言い換えると、AP MLDの各APによって同じステーションMLDへ送信されるデータパケットは共有される。
【0130】
実施形態1
図6は、本出願の実施形態による、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法の概略フローチャートである。多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法は、この方法が、AP MLDおよび非AP MLDを含む通信システムにおいて実装される例を用いて説明される。AP MLDは1つまたは複数のAPを含み、第1のAPは、AP MLDの任意のレポートAPである。任意選択で、レポートAPは、多重BSSIDセット内の非伝送APではない。非AP MLDは、1つまたは複数のSTAを含み、第1のSTAは、非AP MLDの任意のSTAである。上述のように、マルチリンク関連付けがAP MLDと非AP MLDとの間に確立されてよく、第1のAPと第1のSTAの両方が第1のリンク上で動作する。図6に示されるように、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法は、以下のステップを、これらだけに限定されないが含む。
【0131】
S101:第1のAP MLDの第1のAPは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成し、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。
【0132】
個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、個別アドレス指定トラフィックインジケーションフィールド、または個別アドレス指定トラフィックインジケーション、またはバッファユニット(buffer unit、BU)インジケーションと呼ばれることがある。これは、本出願のこの実施形態において限定されていない。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、TIM要素(たとえば図2に示されるTIM要素フィールド)で搬送されてよく、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、部分的仮想ビットマップフィールドで搬送される。
【0133】
具体的には、第1のAPは、多重BSSIDセット内のレポートAPであり、第1のAPは、第1のAP MLDに属している。したがって、第1のAP MLDの第1のAPは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成してもよく、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、インジケーション情報の2つの部分を含み得る。インジケーション情報の1つの部分は、第1のAP MLDの個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報であり、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用され、インジケーション情報の他の部分は、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLD(すなわち、第2のAP MLD)の個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報であり、第1のAPが動作する第1のリンクで第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。言い換えると、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、レポートAP(第1のAP)の個別アドレス指定トラフィックインジケーションだけでなく、レポートAPが置かれている多重BSSIDセット内の他の非伝送APが属するAP MLDの個別アドレス指定トラフィックインジケーションもまた搬送する。本出願で言及されている個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、インジケーション情報の2つの部分を含み、これは、インジケーション情報の2つの部分が別々のフィールドにあることを意味せず、インジケーション情報の2つの部分が同一のフィールドにあってもよいと理解されてよい。
【0134】
任意選択で、レポートAPが置かれているMLDと関連付けられた非AP MLDには、以下の2つの可能性がある。1)レポートAPが置かれているMLDとのマルチリンク関連付けを確立するすべての非AP MLDであり、この非AP MLDは、レポートAPが置かれているMLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。または、2)レポートAPが置かれているMLDのレポートAPと関連付けられている非AP MLDであり、この非AP MLDは、レポートAPが置かれているMLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。ただしAPの一部または全部がレポートAPを含むことを条件とする。
【0135】
任意選択で、レポートAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDと関連付けられた非AP MLDにもまた、以下の2つの可能性がある。1)非AP MLDは、非伝送APが属するAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立するすべての非AP MLDを示してよく、この非AP MLDは、非伝送APが属するAP MLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。または、2)非AP MLDは、非伝送APが属するAP MLDの非伝送APと関連付けられた非AP MLDを示してよく、この非AP MLDは、非伝送APが属するAP MLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。ただしAPの一部または全部が非伝送APを含むことを条件とする。
【0136】
たとえば、図5で、MACアドレス識別子がBSSID_1xであるAP 1xがレポートAPとして使用され、言い換えると、最初のAPはAP 1xである。この場合、図5のAP MLD 1は第1のAP MLDであり、AP 1xが動作するリンクはリンク1である。AP 1xによって生成された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP 1xの、AP 1xが置かれているMLDと関連付けられた非AP MLDに対する個別アドレス指定トラフィックインジケーションを含み、以下の2つの可能性がある。1)個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP MLD 1とのマルチリンク関連付けを確立するすべての非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示してよく、この非AP MLDは、AP MLD 1のAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。または、2)個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP MLD 1のAP 1xと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示してよく、この非AP MLDは、AP MLD 1のAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。ただし、APの一部または全部がAP 1xを含むことを条件とする。
【0137】
AP 1xによって生成された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP 1xが置かれている多重BSSIDセット1内の非伝送AP(すなわち、AP 1y)が属するAP MLD 3の、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDに対する個別アドレス指定トラフィックインジケーションをさらに含み、以下の2つの可能性もまたある。1)個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP MLD 3と関連付けられたすべての非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示し得る。または、2)個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP MLD 3の、AP 1xと同じ多重BSSIDセット内のAP 1yと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示し得る。たとえば、非AP MLD 1がリンク1でAP MLD 3のAP 1yと、またリンク2でAP MLD 3のAP 2zと関連付けられ、非AP MLD 2がリンク1でAP MLD 3のAP 1yと、リンク2でAP MLD 3のAP 2zと、またリンク4でAP MLD 3のAP 4yと関連付けられ、非AP MLD 3がリンク2でAP MLD 3のAP 2zと、またリンク4でAP MLD 3のAP 4yと関連付けられている。第1の実装では、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDに対するAP MLD 3の個別アドレス指定トラフィックインジケーションは、非AP MLD 1、非AP MLD 2、および非AP MLD 3がダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことを含む。第2の実装では、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDに対するAP MLD 3の個別アドレス指定トラフィックインジケーションは、非AP MLD 1および非AP MLD 2がダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことを含む。
【0138】
別の例では、MACアドレス識別子がBSSID_2xであるAP 2xがレポートAPとして使用され、言い換えると、最初のAPはAP 2xである。この場合、図5のAP MLD 2は第1のAP MLDであり、AP 2xが動作するリンクはリンク2である。AP 2xによって生成された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、AP 2xの、AP 2xが置かれているMLDと関連付けられた非AP MLDに対する個別アドレス指定トラフィックインジケーションだけでなく、AP MLD 1の、AP 2yが属するAP MLD 1と関連付けられた非AP MLDに対する個別アドレス指定トラフィックインジケーションと、AP MLD 3の、AP 2zが属するAP MLD 3と関連付けられた非AP MLDに対する個別アドレス指定トラフィックインジケーションとをさらに含む。
【0139】
任意選択の実施形態において、レポートAPは、ここではAP MLDのAPに限定されないことがあり、具体的には、レポートAPは、ここではシングルリンクデバイスであり得る。レポートAPによって生成された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、レポートAPと関連付けられたSTAがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される、レポートAPの、レポートAPと関連付けられたステーションに対する、個別アドレス指定トラフィックインジケーションを搬送し、現在のリンクの多重BSSIDセット内の他の非伝送APが属するAP MLDの個別アドレス指定トラフィックインジケーションをさらに搬送することがあり、この個別アドレス指定トラフィックインジケーションは、AP MLDがAP MLDと関連付けられた非AP MLDに対するダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。
【0140】
S102:第1のAP MLDの第1のAPは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を第1のリンクで送信し、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクである。
【0141】
本出願のこの実施形態では、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、ビーコンフレームもしくはTIMフレームなどの管理フレームで搬送されてよく、または、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、代替として、データフレームもしくは制御フレームなどの他のフレームで搬送されてもよい。
【0142】
S103:非AP MLDの第1のSTAは、第1のSTAが動作する第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信する。
【0143】
第1のSTAは、第1のAPによって管理されるステーション、または第1のAPの周辺ステーションでよい。第1のAPの周辺ステーションは、第1のAPによって管理されるステーションと、関連付けられていないステーションとを含む。以下では、本出願のこの実施形態で説明されている個別アドレス型トラフィックインジケーション方法について、APによって管理されるステーションを例として用いて説明する。任意選択で、第1のSTAは、非AP MLDの任意のステーションであってよく、第1のSTAが属する非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを知り得る。任意選択で、第1のSTAと第1のAPの両方が第1のリンク上で動作する。
【0144】
S104:非AP MLDの第1のSTAは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定する。
【0145】
具体的には、非AP MLDの第1のSTAは、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を解析して、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定し得る。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報が、受信されるべきダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを非AP MLDが有していることを示す場合には、非AP MLDのステーションは、ドーズ状態から起動し、アクティブ状態に変化し、ステーションと関連付けられたAPへPS-Poll(power save poll)フレームを送信して、APが置かれているAP MLDに、ステーションがアウェイク状態になっていることを通知してよく、また、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを受信し始めることができる。PS-Pollフレームを受信した後に、APは、肯定応答フレームで応答し、次に、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックをSTAへ送信するか、またはPS-Pollフレームを受信した後にダウンリンク個別アドレス指定トラフィックをSTAへ直接送信することができる。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報が、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有していないことを示す場合、非AP MLDのステーションは、ドーズし続けるか、アクティブ状態からドーズ状態へ変化することができる。
【0146】
802.11プロトコルでは、STAが通常は2つの動作モードを有すると理解されてよい。すなわち、一方は非電力節約モードであり、他方は電力節約モードである。STAが非省電力モードで作動するとき、STAは、送信すべきデータがSTAにあるかどうかにかかわらず、アクティブ状態(active state、アウェイク状態と呼ばれることもまたある)にある。STAが省電力モードで作動する場合、STAは、APとともにデータを伝送するときにアクティブ状態(active state)であってよい。STAとAPの間にデータ伝送がないとき、STAは、電力消費を低減するためにドーズ状態(doze state)にあってよい。STAは、フレームをAPへ送信して、STAが省電力モードにあるかどうかを通知してよく、この場合、そのフレーム内のMACヘッダのフレーム制御フィールド(frame control field)内の1の省電力ビットが、STAが省電力モードにあることを通知するのに使用され、フレーム内のMACヘッダのフレーム制御フィールド(frame control field)内の0の省電力ビットが、STAが非省電力モードにあることを通知するのに使用される。非AP MLD(またはステーションMLD)に対応して、電力節約ビットが非AP MLDの各ステーションに設定される。
【0147】
本出願のこの実施形態において、AP MLDの第1のAP(すなわち、レポートAP)によって送信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができるだけでなく、第2のAP MLDが、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになることもでき、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである、と知られることが可能である。これにより、AP MLDの一部のAPまたはすべてのAPが、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができないという問題を解決することができ(多重BSSIDセット内の非伝送APはビーコンフレームまたはプローブ応答フレームを伝送できず、結果として、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信できなくなることに留意されたい)、それにより、APと関連付けられた非AP MLDは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正常に受信することができる。802.11beにおけるAP MLDのすべてのAPが非伝送APである可能性があるので、本出願のこの実施形態で提供されるソリューションは、APがすべて非伝送APであるAP MLDが個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信できないという問題を解決し、それによって、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションの完全性および多様性を改善することができる。
【0148】
任意選択の実施形態では、図6のステップS101の前に、この方法は以下のステップをさらに含み得る。S105:第1のAP MLDの第1のAPは、AID割り当て情報を生成し、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっている。S106:第1のAP MLDの第1のAPは、AID割り当て情報を送信する。それに応じて、非AP MLDの第1のSTAは、AID割り当て情報を受信する。S107:非AP MLDの第1のSTAは、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知る。AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送され得る。第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第1のAP MLDによって使用されるAID空間(または割り当てられるべきAIDのセット)と、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第2のAP MLDによって使用されるAID空間(または割り当てられるべきAIDのセット)とは同じである。任意選択で、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDは、1つまたは複数のAP MLDを含む。
【0149】
任意選択で、ステップS105の前に、この方法は以下をさらに含む。すなわち、非AP MLDの第1のSTAは、関連付け要求フレームを第1のAP MLDの第1のAPへ送信し、この関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。それに応じて、第1のAP MLDの第1のAPは、関連付け要求フレームを受信する。
【0150】
任意選択で、ステップS105およびS106は、代替として、第1のAP MLDの第2のAPによって実施されてもよく、ステップS107は、代替として、非AP MLDの第2のSTAによって実施されてもよい。具体的には、第1のAP MLDの第2のAPは、AID割り当て情報を生成し、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、第1のAP MLDの第2のAPは、AID割り当て情報を送信する。それに応じて、非AP MLDの第2のSTAは、AID割り当て情報を受信する。非AP MLDの第2のSTAは、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知る。第2のAPは、第1のAP MLDの任意のAPであり、第2のSTAは、非AP MLDの任意のSTAである。
【0151】
AIDが割り当てられると、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なるので、非AP MLDの個別アドレス指定トラフィックが示されるときにAID曖昧さが回避されることが可能である、と知られることが可能である。
【0152】
以上の内容は、本出願のこの実施形態で提供された多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法について説明している。前述の個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の具体的な実装が、図6に示された個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を参照して以下で説明される。
【0153】
(a)第1の実施態様において、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の1つのビットが1つの非AP MLDに対応する。各ビットの値は、そのビットに対応する非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用され、言い換えると、各ビットは、そのビットに対応する非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す。非AP MLDは、ここでは第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLD、および第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDである。
【0154】
(b)第2の実装では、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドで搬送される。図7は、本出願の実施形態による部分的仮想ビットマップフィールドの概略図である。図7は、図2の部分的仮想ビットマップフィールドの各ビットを示す。たとえば、部分的仮想ビットマップフィールドは251バイトであり、各バイトは8ビットを含む。図7に示すように、バイト0はビット0から7を含み、バイト1はビット8から15を含み、以下同様であり、バイト250はビット2000から2007を含む。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の各ビットは、1つの非AP MLDのAIDに対応し、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の各ビットは、そのビットに対応するAIDによって識別される非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。非AP MLDは、ここでは第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLD、および第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDであると理解されてよい。TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドの各ビットが1つのAIDに対応するので、AIDが非AP MLDにさらに割り当てられる必要がある。加えて、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第1のAP MLDによって使用されるAID空間(または、割り当てられるべきAIDのセット)と、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第2のAP MLDによって使用されるAID空間(または、割り当てられるべきAIDのセット)とは同じである。したがって、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報のビットに対応する関連付け識別子AIDは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。
【0155】
それに応じて、図6におけるステップS101からS104は、以下の通りでよい。第1のAP MLDの第1のAPはTIM要素を生成し、このTIM要素は個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を含み、この個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDであり、第1のAP MLDの第1のAPは、第1のリンクでTIM要素を送信し、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクであり、非AP MLDの第1のSTAは、第1のSTAが動作する第1のリンクでTIM要素を受信し、非AP MLDの第1のSTAは、TIM要素に基づいて、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定する。
【0156】
TIM要素は、ビーコンフレームで搬送されてもよく、またはTIMフレームなどの別の管理フレームで搬送されてもよい。
【0157】
任意選択で、TIM要素を搬送するビーコンフレームは、専用フィールドをさらに含んでもよく、この場合、受信されるべきダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有する非AP MLDごとに(TIM要素によって示されるダウンリンク個別アドレス指定トラフィックがあろうとなかろうと)、対応する専用フィールドがある。専用フィールドは、マルチリンク識別ビットマップフィールドまたは多重リンク識別情報フィールドであってもよく、マルチリンク識別ビットマップフィールドまたは多重リンク識別情報フィールドは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを受信するための1つまたは複数のリンクを示すのに使用される。マルチリンク識別ビットマップフィールドの1つのビットは、1つのリンクに対応し得る。1つまたは複数のビットの値が1などの第1の値である場合、それは、1つまたは複数のビットに対応する1つまたは複数のリンク上にダウンリンク個別アドレス指定トラフィックがあることを示し、1つまたは複数のビットの値が0などの第2の値である場合、それは、1つまたは複数のビットに対応する1つまたは複数のリンク上にダウンリンク個別アドレス指定トラフィックがないことを示す。多重リンク識別情報フィールドは、異なるリンクを区別するための識別情報を搬送する。TIM要素では、1つの非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すために、1つのビットがなお使用されると理解されてよい。
【0158】
任意選択で、専用フィールドは、代替として、トラフィック識別子(traffic identifier、TID)ビットマップフィールドであってもよく、このTIDビットマップフィールドは、受信されたダウンリンク個別アドレス指定トラフィックが1つまたは複数のTIDに対応することを示すのに使用される。次いで、非AP MLDとAP MLDとの間でネゴシエートされたTID対Linkマッピング(トラフィック識別子対リンクマッピング)に基づいて、非AP MLDは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィック通知を受信するのに使用される、特定のリンク上で動作するステーションを知る。
【0159】
この実装では、ビーコンフレームの部分的仮想ビットマップフィールドのいくつかのビットは、レポートAPが置かれているMLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用されると知られることが可能である。TIM要素のフレームフォーマットを変更する必要なしに、1つのAP MLDは、別のAP MLDが、その別のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになることができる。これにより、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを通知する適応性を改善することができる。
【0160】
(c)TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドの1つのビットが、1つの非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示し得るので、同一の配列AP MLDセットにおいて、異なるAP MLDと関連付けられたいくつかの非AP MLDが同じAIDを有する場合には、ビーコンフレームを受信した後に、これらの非AP MLDは、ビーコンフレームで搬送されるダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションおよび/またはリンクビットマップインジケーション/TIDビットマップインジケーションが属する、特定のSTAまたは特定の非AP MLDを決定することができない。たとえば、図5で、レポートAPがAP 1xであり、非AP MLD 1がAP 1xと、AP 1xが置かれているAP MLD 1のAP 2yとに関連付けられていると仮定されており、また、AP 1xが動作するリンクがリンク1である場合には、リンク1上の非伝送APはAP 1yである。非AP MLD 2が、AP 1yが置かれているAP MLD 3内のAP 1y、AP 2z、およびAP4yと関連付けられており、非AP MLD 1のAIDが非AP MLD 2のAIDと同じである場合に、AP 1xによって送信されるTIM要素の非AP MLDに対するダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションが1であれば、それは、非AP MLD 1および非AP MLD 2内の少なくとも1つの非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有していることを示すことができるだけであり、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有する非AP MLDが知られることは可能ではない。
【0161】
したがって、第3の実施の形態では、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報についてのインジケーションがAP MLDに基づいて実施される。具体的には、レポートAPとともに配列された第2のAP MLDは、部分的仮想ビットマップフィールドなどの別個のTIMブロックに対応し、TIMブロックは新要素を構成し得る。この新要素は、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を搬送し得る。新要素は、1つの第2のAP MLDに対応するTIMブロックを少なくとも含む(TIMブロックは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される)。図8は、本出願の実施形態による新要素の部分的フレームフォーマットの概略図である。図8に示されるように、MLD IDまたはMLD MACアドレスなどの(ID)が使用されて、特定のAP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを、そのAP MLDと関連付けられた非AP MLDに対して、有しているかどうかを示すためにTIMブロックが使用されることを示す。各TIMブロックにおいて、1つの非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すために、1つのビットがなお使用されてもよい。TIMブロックの各ビットが1つのAIDに対応してよく、したがって、AIDが各非AP MLDにさらに割り当てられる必要がある。
【0162】
別の実装では、第2のAP MLDに対応する別個のTIMブロックが、代替としてTIM要素であってよく、このTIM要素の構造は、既存のTIM要素のものと一致する。この場合、TIM要素は、第2のAP MLDの識別子を含まない。第2のAP MLDのTIM要素は、管理フレームのフレームボディ内の多重BSSID要素の非伝送BSSIDに対応する非伝送プロファイルに置かれてよく、非伝送BSSIDに対応するAPが第2のAP MLDに属し、非伝送BSSIDに対応するAPと、上記の段落で言及されたレポートAPとが同一の多重BSSIDセット内にある。
【0163】
ここで、第3の実装では、同一のAP MLDと関連付けられたすべての非AP MLDのAIDは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要があり、それによってAID曖昧さが回避される。ここでは、レポートAPによって送信される新要素中の1つまたは複数のAP MLDの識別子は一意である必要があると、言い換えれば、互いに異なる必要があると理解されてよい。代替として、ここで、レポートAPの配列AP MLDセット内のすべてのAP MLDの識別子もまた一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。言い換えると、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第1のAP MLDによって使用されるAID空間と、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるために第2のAP MLDによって使用されるAID空間とは、互いに独立している。具体的には、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDに第1のAP MLDによって割り当てられるAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDに第2のAP MLDによって割り当てられるAIDと同じであってもよい。たとえば、図5で、AP 1xがレポートAPである場合、AP MLD 1は第1のAP MLDである。非AP MLD 2がAP MLD 1と関連付けられ、非AP MLD 2がAP MLD 3(第2のAP MLDの1つ)と関連付けられていると仮定される。この場合、AP MLD 1によって非AP MLD 1に割り当てられたAIDは、AP MLD 3によって非AP MLD 2に割り当てられたAIDと同じであってもよい。本出願で言及される「AID空間」は、割り当てられるべきAIDのセットであってもよいと理解されてよい。
【0164】
任意選択で、各TIMブロックは、代替として、リンクビットマップインジケーションまたはTIDビットマップインジケーションを搬送してもよい。具体的には、各TIMブロックは専用フィールドを含んでもよく、この専用フィールドは、多重リンク識別ビットマップフィールドもしくは多重リンク識別情報フィールドであってよく、またはTIDビットマップフィールドであってよい。
【0165】
任意選択で、新要素はビーコンフレームで搬送されてもよく、またはTIMフレームなどの別の管理フレームで搬送されてもよい。
【0166】
この実装におけるTIMインジケーションでは、異なるAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDの曖昧さが回避されることが可能であることが、異なるAP MLDのトラフィックを区別してAP MLDのIDをTIMブロックのインデックスとして使用することによって知られることが可能である。
【0167】
第1のAP(すなわち、レポートAP)と関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すためには、第1のAP MLDの第1のAPは、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成する前にAIDを各非AP MLDに割り当てることがさらに必要である。
【0168】
実施形態2
本出願の実施形態2では、マルチリンクデバイスにAIDを割り当てるための方法について説明するが、この方法は特に、AIDを非AP MLDに割り当てるための方法である。
【0169】
AIDは、関連付けられたSTAに、その関連付けが確立された後に、APによって割り当てられる識別子(identify、ID)であり、関連付けられたSTAのIDとしてみなされ得ると理解されてよい。AIDは、APと関連付けられたSTAを識別および区別するのに使用されてもよく、また、特定の関連付けられたSTAを指し示すための部分的フレーム構造内のインデックスとして使用されてもよい。APが多重BSSIDをサポートできる場合、またはビーコンフレームもしくはプローブ応答フレームが多重BSSID要素(multiple BSSID element)を搬送できる場合、APがサポートできるBSSIDの最大数量は2nであって、BSSIDの数量の範囲が[1,2n-1]であり、APがSTAに割り当てられるAIDの範囲が[2n,2007]であることが示される。ここでは、nは、BSSID要素内のMaxBSSIDインジケータ(ax BSSID indicator)フィールドの値であってよい。APが多重BSSIDをサポートできない場合、またはビーコンフレームもしくはプローブ応答フレームが多重BSSID要素を搬送できない場合、APがSTAに割り当てることができるAIDの範囲は[1,2007]である。
【0170】
小さいエリア内に、複数のタイプのユーザ、または複数のタイプのサービスをサポートするユーザがいることがある。このような小さいエリア内で異なるAPが使用される場合、各APが干渉のない、または比較的干渉の弱いチャネルを見つけようとするので、異なるAP間のチャネル干渉が回避されることは可能ではない。このことを考慮して、IEEE 802.11axが、異なるトラフィックタイプや顧客タイプのために使用できるように、仮想化を通して複数のAPを、1つのAPを使用することによって取得するために提供される。したがって、1つの仮想APが1つのBSSIDを有してもよく、言い換えると、1つの実際のAPが多重BSSIDを有している。言い換えると、いくつかのAPが多重BSSIDをサポートすることができる。
【0171】
1つの非AP MLDに含まれる複数のSTAは、同じAIDを共有してよく、言い換えると、1つの非AP MLDがただ1つのAIDを有するとさらに理解されてよい。
【0172】
実際の用途において、本出願の実施形態2は、別個に実装されてもよく、または実施形態1と組み合わせて実装されてもよいと理解されてよい。これは、本出願では限定されていない。具体的には、本出願の実施形態2は、実施形態1の個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報の第2の実装と組み合わせて実装されてもよい。
【0173】
前述のレポートAPの配列AP MLDセットと同様に、任意のAP(説明しやすいように、APiが例として用いられる)の配列AP MLDセットは、以下のAPを含むと理解されてよい。
(1)APiと同じAP MLDに属するすべてのAP、またはAPiが置かれているAP MLD内のすべてのAP、
(2)APiと同じ多重BSSIDセット内の非伝送APが置かれているAP MLD内のすべてのAP、または、APiが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが置かれているAP MLD内のすべてのAP、ならびに
(3)以下の2つの条件、すなわち、1)AP MLDの少なくとも1つのAPが、APiが置かれているAP MLDのAPと同じ多重BSSIDにある、および2)APiと同じリンク上で動作するAP MLDにはAPがない、を満たすAP MLD内のすべてのAP。
【0174】
図9は、本出願の実施形態による、AIDを非AP MLDに割り当てるための方法の概略フローチャートである。図9に示されるように、AIDを割り当てるための方法は、以下のステップを、それだけに限定されないが含む。
【0175】
S201:AP MLDのAPiは、AID割り当て情報を生成し、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット(collocated AP MLD set)内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。
【0176】
S202:AP MLDのAPiは、AID割り当て情報を非AP MLDのSTAへ送信する。それに応じて、非AP MLDのSTAは、AID割り当て情報を受信する。
【0177】
本出願の実施形態におけるAP MLDは、実施形態1の第1のAP MLDもしくは第2のAP MLD、または他のAP MLDであってよい。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0178】
実装A:ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである。
【0179】
本出願のこの実施形態で言及された「APiの配列AP MLDセット」内には、すべてのAP MLD(AP MLDに含まれるAP)がAPiとともに配列されている。AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットに属する。
【0180】
具体的には、AID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送してよく、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット(collocated AP MLD set)内の任意のAP MLDである。言い換えると、AP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるためにAP MLDによって使用されるAID空間または割り当てられるべきAIDのセットと、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDにAIDを割り当てるためにターゲットAP MLDによって使用されるAID空間または割り当てられるべきAIDのセットとは同じである。非AP MLDに割り当てられたAIDもまた、AP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっていると理解されてよい。
【0181】
任意選択で、本出願のこの実施形態におけるAP MLDと関連付けられた非AP MLDは、以下の2つで理解されてよい。1)AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立するすべての非AP MLDであり、この非AP MLDは、AP MLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。および、2)AP MLDのAPiと関連付けられた非AP MLDであり、この非AP MLDは、AP MLDのAPの一部または全部との関連付けを確立し得る。ただし、APの一部またはすべてがAPiを含むことを条件とする。ここでは、APiは、AP MLD内の、AIDが割り当てられているAPである。
【0182】
図10aは、本出願の実施形態によるAPの配列AP MLDセットの概略図である。図10aに示されるように、APiはAP 1xであると仮定される。この場合、AP 1xとともに配列されたAPのセットは、AP 2y、AP 1y、AP 2x、AP 3y、およびAP 4yを含む。したがって、AP 1xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1およびAP MLD 3を含む。したがって、AID割り当て情報で搬送されるとともに非AP MLDに割り当てられるAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、また、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっている。言い換えると、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。
【0183】
図10bは、本出願の実施形態によるAPの配列AP MLDセットの別の概略図である。図10bに示されるように、APiはAP 1xであると仮定される。この場合、AP 1xとともに配列されたAPのセットは、AP 2y、AP 3x、AP 1y、AP 2z、AP 4y、AP 2x、およびAP 4xを含む。したがって、AP 1xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含む。したがって、AID割り当て情報で搬送されるとともに非AP MLDに割り当てられるAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、また、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっており、また、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっている。言い換えると、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。
【0184】
図10cは、本出願の実施形態によるAPの配列AP MLDセットのさらに別の概略図である。図10cに示されるように、APiはAP 3xであると仮定される。この場合、AP 3xとともに配列されたAPのセットは、AP 1x、AP 2y、AP 2x、AP 4x、AP 1y、およびAP 2zを含む。したがって、AP 3xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2,およびAP MLD 3を含む。したがって、AID割り当て情報で搬送されるとともに非AP MLDに割り当てられるAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、また、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっており、また、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっている。言い換えると、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。
【0185】
図5が例としてなお用いられる。APiはAP 4xであると仮定される。この場合、AP 4xとともに配列されたAPのセットは、AP 2x、AP4y、AP 2z、AP 1y、AP4z、AP5、AP 1x、AP 2y、およびAP 3を含む。したがって、AP4xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2、AP MLD 3、およびAP MLD 4を含む。したがって、AID割り当て情報で搬送されるとともに非AP MLDに割り当てられるAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、また、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっており、また、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっており、また、AP MLD 4と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっている。言い換えると、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 4と関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。
【0186】
実装B:ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。
【0187】
本出願のこの実施形態で言及された「APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ」には、いくつかのAP MLDがAPiとともに配列されており、いくつかの他のAP MLDが、APiの配列AP MLDセットの外側で他のAPとともに配列されている。言い換えると、APiの配列AP MLDセットと、APiの配列AP MLDセット内のAPi以外のAPの配列AP MLDセットとが、セットグループを構成している。ここでは、AP MLDとターゲットAP MLDの両方が、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループに属する。
【0188】
具体的には、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループは、APiとともに配列されたAP MLDの任意のAPの配列AP MLDセット内のすべてのAPによって構成される(この任意のAPは、再びAPiと理解されてよい)。たとえば、図5に示されるように、APiはAP 1xであると仮定される。この場合、AP 1xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含む。加えて、AP 1xの配列AP MLDセット内のAP 4xの配列AP MLDセットがAP MLD 2、AP MLD 3、およびAP MLD 4を含むので、AP 1xの配列AP MLDセットが置かれているセットグループは、AP MLD 1、AP MLD 2、AP MLD 3、およびAP MLD 4を含む。したがって、AP 1xによって非AP MLDに割り当てられたAIDと、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 4と関連付けられた非AP MLDのAIDとは、互いに異なっている。
【0189】
図10aに示されるように、APiはAP 1xであると仮定される。この場合、AP 1xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、およびAP MLD 3を含む。加えて、AP 1xの配列AP MLDセット内のAP 3yの配列AP MLDセットがAP MLD 2、およびAP MLD 3を含むので、AP 1xの配列AP MLDセットが置かれているセットグループは、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含む。したがって、AP 1xによって非AP MLDに割り当てられたAIDと、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは、互いに異なっている。
【0190】
図10bに示されるように、APiはAP 1xであると仮定される。この場合、AP 1xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含み、AP 1xの配列AP MLDセットが置かれているセットグループもまた、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含む。したがって、AP 1xによって非AP MLDに割り当てられたAIDと、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは、互いに異なっている。
【0191】
図10cに示されるように、APiはAP 3xであると仮定される。この場合、AP 3xの配列AP MLDセットは、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含み、AP 1xの配列AP MLDセットが置かれているセットグループもまた、AP MLD 1、AP MLD 2、およびAP MLD 3を含む。したがって、AP 1xによって非AP MLDに割り当てられたAIDと、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは、互いに異なっている。
【0192】
実装Aと同様に、実装Bでは、非AP MLDに割り当てられたAIDもまた、AP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なる。
【0193】
任意選択で、シングルリンクSTAへのAID割り当てでは、APiによって現在のリンク上のシングルリンクSTAに割り当てられたAID(またはAPiと関連付けられたシングルリンクSTAのAID)は、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。
【0194】
たとえば、図10aに示されるように、APiがAP 1xであり、AP 1xがリンク1上にあると仮定される。この場合、リンク1上のシングルリンクSTAのAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、また、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとも異なっている。言い換えると、リンク1上のシングルリンクSTAのAIDと、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAIDと、AP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDとは一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。リンク1上の関連付けられたシングルリンクSTAのAIDに加えて、リンク2上の関連付けられたシングルリンクSTAのAIDが、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDと同じであってよいとさらに理解されてよい。
【0195】
代替として、図10aに示されるように、APiがAP 1xであり、AP 1xがリンク1上にあると仮定される。この場合、リンク1上のシングルリンクSTAのAIDは、AP MLD 1と関連付けられた非AP MLDのAID、AP MLD 2と関連付けられた非AP MLDのAID、およびAP MLD 3と関連付けられた非AP MLDのAIDのそれぞれとは異なっている。
【0196】
無線通信システムにおいて、AP MLDの識別子はデフォルトで0であり、AP MLDの複数のAPは識別子(すなわち、識別子0)を共有すると理解されてよい。しかし、AP MLDの複数のAPは、代替として、別々の識別子を有してもよい。
【0197】
クロスリンクTIMインジケーションは、同一のAP MLDの下で実施されることが可能であり、具体的には、AP 1およびAP 2が同一のAP MLDに属する場合、AP 1は、AP 2のTIM情報をTIMインジケーションに追加してAP 2が、AP 2と関連付けられた非AP MLDに対するトラフィックを有しているかどうかを示すことができるとさらに理解されてもよい。したがって、同一のAP MLDと関連付けられた複数の非AP MLDのAIDは、互いに異なっている。
【0198】
したがって、範囲[1,2007]などの同一の識別子システムが使用される場合、AP MLDの複数のAPの識別子は一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要があり、同一のAP MLDと関連付けられた複数の非AP MLDのAIDもまた一意である必要があり、言い換えると、互いに異なっている必要がある。本出願のこの実施形態では、「非AP MLDに割り当てられたAID」は、残りの空間から選択された値であり、また一意である必要がある。残りの空間は、ここでは、使用されていて再使用されることが許容されていない値以外の、範囲[1,2007]内の残りの値のセットを指す。
【0199】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答(association response)フレームで搬送されてよく、または他のフレームで搬送されてもよい。具体的には、AID割り当て情報で非AP MLDに割り当てられたAIDは、関連付け応答フレームのAID要素で搬送されてよい。図11は、本出願の実施形態によるAID要素のフレームフォーマットの概略図である。図11に示されるように、AID要素は、1バイト要素識別子フィールド、1バイト長フィールド、および2バイトAIDフィールドを含む。
【0200】
任意選択で、関連付け応答フレームは、代替として、各APのリンク識別子などの情報を搬送してもよい。関連付け応答フレームは、非AP MLDとのマルチリンク関連付けが確立されたことを確認するのに使用される。
【0201】
S203:非AP MLDのSTAは、受信された関連付け応答フレームを解析して、関連付け応答フレームで搬送されたAIDを取得する。
【0202】
任意選択で、ステップS201の前に、この方法は以下のステップをさらに含む。S204:非AP MLDのSTAは、関連付け要求(association request)フレームを生成する。S205:非AP MLDのSTAは、関連付け要求フレームをAP MLDのAPiへ送信し、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。それに応じて、AP MLDのAPiは、関連付け要求フレームを受信する。関連付け要求フレームは、非AP MLDの各STAのリンク識別子、および各STAについての情報を搬送し得る。
【0203】
任意選択で、関連付け要求フレームを受信した後に、AP MLDのAPiは、肯定応答フレームを非AP MLDのSTAへ送信してよく、この肯定応答フレームは、AP MLDのAPiが関連付け要求フレームを受信したことを確認するのに使用される。
【0204】
本出願のこの実施形態では、AIDが非AP MLDに割り当てられた場合、実施形態1で説明されたソリューションが考慮される。すなわち、AP MLDが、別のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを別のAP MLDが示すのを助ける。したがって、AIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDではない。ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDであるので、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかが示される場合には、AID曖昧さが回避される。
【0205】
実施形態3
本出願の実施形態3では、AP MLDのいくつかのAPが、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができない問題が、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションをリッスンするリンクを制限することによって、解決される。加えて、この場合には、前述のいくつかのAPと同じリンク上で動作する別のAP MLDのAPは、前述のいくつかのAPがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信するのを助けない。たとえば、図5で、AP 1xがレポートAPである場合、非AP MLD 1は、AP MLD 1のAP 2yおよびAP 3と関連付けられていると仮定される。非AP MLD 1がリンク2上だけでダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションをリッスンする場合、AP MLD 1のAP 2y(多重BSSIDセット内の非伝送AP)はダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信できず、加えて、同一リンク上の同一多重BSSIDセット内の伝送APは、AP 2yが置かれているMLDのダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを送信するのを助けない。この場合、リンク2でリッスンしている非AP MLD 1は、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを受信することができず、言い換えると、非AP MLD 1は、非AP MLD 1がダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定することができない。
【0206】
したがって、本出願の実施形態3は、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法を提供する。図12は、本出願の実施形態による、多重リンクに適用可能な個別アドレス指定トラフィックインジケーション方法の別の概略フローチャートである。図12に示されるように、この方法は以下のステップを含む。
【0207】
S1:AP MLDのレポートAPがビーコンフレームなどの管理フレームを生成し、このビーコンフレームはTIM要素を搬送し、TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドは、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。
【0208】
S2:AP MLDのレポートAPは、ビーコンフレームなどの管理フレームをレポートAPの動作リンクで送信する。
【0209】
TIM要素の具体的なフレームフォーマットについては、図2を参照されたい。部分的仮想ビットマップフィールドのフレームフォーマットについては、図7を参照されたい。詳細について、ここでは再度説明されない。
【0210】
S3:非AP MLDのSTAは、ビーコンフレームなどの管理フレームを1つまたは複数のリンクでリッスンし、この1つまたは複数のリンクは第1のリンクを含み、第1のリンクは、多重BSSIDセット内の、非AP MLDと関連付けられたAP MLDの伝送APが動作するかまたは多重BSSIDセットに属さないAPが動作するリンクである。
【0211】
S4:非AP MLDのSTAは、レポートAPが動作するリンクでリッスンすることによって得られたビーコンフレームなどの管理フレームを解析して、非AP MLDがダウンリンクの個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定する。
【0212】
具体的には、ステップS3に関して、言い換えると、非AP MLDのSTAは、多重BSSIDセット内の非伝送APが置かれているリンクだけでビーコンフレームをリッスンすることができない。非AP MLDのSTAは、多重BSSIDセット内に含まれる伝送APまたは多重BSSIDセットに属さないAPが置かれているリンクで、ビーコンフレームまたは別の管理フレームをリッスンし得る。たとえば、図5で、AP 1xがレポートAPである場合、非AP MLD 1がAP MLD 1のAP 1x、AP 2yおよびAP 3と関連付けられていると仮定される。AP 1xがビーコンフレームをリンク1で送信する場合、非AP MLD 1は、ビーコンフレームをリンク1で、またはリンク1とリンク2で、またはリンク1とリンク3で、またはリンク3でリッスンする。非AP MLD 1は、リンク2だけでビーコンフレームをリッスンすることはできない。
【0213】
任意選択で、非AP MLDがリッスンするリンクは、関連付けられたAP MLDの非伝送APが動作するリンクだけを含むことができない。たとえば、図5に示されるように、非AP MLDがリッスンするリンクは、リンク1とリンク2、またはリンク1とリンク3、またはリンク2とリンク3、またはリンク1とリンク2とリンク3を含み得るが、リンク2だけを含むことは許されない。
【0214】
本出願のこの実施形態では、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションをリッスンするリンクが限定されているので、非AP MLDは、多重BSSIDセット内の、非AP MLDと関連付けられたAP MLDの伝送APが動作するかまたは多重BSSIDセットに属さないAPが動作するリンク上で(説明しやすくするために第1のリンクとして示される)リッスンすると知られることが可能である。加えて、AP MLDの伝送AP、および多重BSSIDセットに属さないAPがビーコンフレームを送信できるので(ビーコンフレームは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックインジケーションを搬送する)、非AP MLDは、第1のリンクでリッスンすることによりビーコンフレームを取得してよく、それにより、ビーコンフレームを解析することによって、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかが決定されることが可能である。
【0215】
以上の内容は、本出願で提供される方法を詳細に説明している。本出願の実施形態の前述のソリューションをより良く実装するために、本出願の実施形態は、対応する装置またはデバイスをさらに提供する。
【0216】
本出願の実施形態では、マルチリンクデバイスは、前述の方法例に基づいて機能モジュールに分割されてもよい。たとえば、各機能モジュールが、対応する各機能に基づいた分割によって得られてよく、または、2つ以上の機能が1つの処理モジュールに統合されてもよい。統合されたモジュールは、ハードウェアの形で実装されてもよく、またはソフトウェア機能モジュールの形で実装されてもよい。本出願の実施形態において、モジュール分割は例であり、単なる論理的機能分割であることに留意されたい。実際の実装では、別の分割手法が用いられてもよい。以下では、図13から図17を参照して、本出願の実施形態における通信装置について詳細に説明する。通信装置は、アクセスポイントマルチリンクデバイス内のアクセスポイント、または、ステーションマルチリンクデバイス内のステーションである。さらに、通信装置は、AP MLD内の装置、またはSTA MLD内の装置であってもよい。
【0217】
一体化ユニットが使用される場合、図13は、本出願の実施形態による通信装置1の構造の概略図である。図13に示されるように、通信装置1は、処理ユニット11およびトランシーバユニット12を含む。
【0218】
通信装置1は、第1のAP MLD、もしくは第1のAP MLDのチップ、たとえばWi-Fiチップであってもよく、または第1のAP MLDの第1のAPであってもよい。第1のAPはレポートAPであり、第1のAP MLDに属する。
【0219】
設計では、処理ユニット11は、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を生成するように構成される。トランシーバユニット12は、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を第1のリンクで送信するように構成され、この第1のリンクは第1のAPの動作リンクである。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。
【0220】
通信装置1において、処理ユニット11によって生成される個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができるだけでなく、第2のAP MLDが、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示す助けになることもでき、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDであることが知られることが可能である。これにより、AP MLDの一部のAPまたはすべてのAPが、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すことができないという問題を解決することができ、それにより、APと関連付けられた非AP MLDは、ダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを正常に受信することができる。
【0221】
任意選択で、処理ユニット11は、AID割り当て情報を生成するようにさらに構成され、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、このAIDは、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、トランシーバユニット12は、AID割り当て情報を送信するようにさらに構成される。AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0222】
任意選択で、トランシーバユニット12は、関連付け要求フレームを受信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、通信装置1とのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0223】
この設計における通信装置1は、それに応じて実施形態1を実施してよく、通信装置1内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態1において第1のAP MLDの第1のAPの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0224】
任意選択で、通信装置1は、AP MLD、もしくはAP MLD内のチップ、たとえばWi-Fiチップであってもよく、またはAP MLDのレポートAPであってもよい。
【0225】
別の設計では、処理ユニット11は、ビーコンフレームなどの管理フレームを生成するように構成され、このビーコンフレームはTIM要素を搬送し、TIM要素の部分的仮想ビットマップフィールドは、AP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを示すのに使用される。トランシーバユニット12は、ビーコンフレームなどの管理フレームをトランシーバユニット12の動作リンクで送信するように構成される。
【0226】
この設計における通信装置1は、それに応じて実施形態3を実施してよく、通信装置1内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態3においてAP MLDのレポートAPの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0227】
図14は、本出願の実施形態による通信装置2の構造の概略図である。図14に示されるように、通信装置2は、トランシーバユニット21および処理ユニット22を含む。
【0228】
通信装置2は、非AP MLD、もしくは非AP MLD内のチップ、たとえばWi-Fiチップであってもよく、または非AP MLD内の第1のSTAであってもよい。
【0229】
設計では、トランシーバユニット21は、通信装置2が動作する第1のリンクで個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報を受信するように構成される。処理ユニット22は、受信された個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、通信装置2が置かれている非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するように構成される。個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報は、第1のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかと、第2のAP MLDと関連付けられた非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかとを示すのに使用され、この第2のAP MLDは、第1のAPが置かれている多重BSSIDセット内の非伝送APが属するAP MLDである。
【0230】
通信装置2において、処理ユニット22は、処理ユニット22がダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを受信できることを確実にするために、個別アドレス指定トラフィックインジケーション情報に従って、処理ユニット22がダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを知り得ることが知られることが可能である。
【0231】
任意選択で、トランシーバユニット21は、AID割り当て情報を受信するようにさらに構成されてもよい。処理ユニット22は、その受信されたAID割り当て情報を解析して、AID割り当て情報が、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送することを知るように構成される。このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、第1のAPの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである。AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0232】
任意選択で、処理ユニット22は、関連付け要求フレームを生成するようにさらに構成される。トランシーバユニット21は、関連付け要求フレームを第1のAP MLDの第2のAPへ送信するようにさらに構成される。関連付け要求フレームは、第1のAP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0233】
この設計における通信装置2は、それに応じて実施形態1を実施してよく、通信装置2内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態1において非AP MLDの第1のSTAの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0234】
任意選択で、通信装置2は、非AP MLD、もしくは非AP MLD内のチップ、たとえばWi-Fiチップであってもよく、または非AP MLD内の任意のSTAであってもよい。
【0235】
別の設計では、トランシーバユニット21は、ビーコンフレームなどの管理フレームを1つまたは複数のリンクでリッスンするように構成され、この1つまたは複数のリンクは第1のリンクを含み、第1のリンクは、多重BSSIDセット内の、非AP MLDと関連付けられたAP MLDの伝送APが動作するか多重BSSIDセットに属さないAPが動作するリンクである。処理ユニット22は、レポートAPが動作するリンクでリッスンすることによって得られたビーコンフレームなどの管理フレームを解析して、非AP MLDがダウンリンクの個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかを決定するように構成される。
【0236】
この設計における通信装置2は、それに応じて実施形態3を実施してよく、通信装置2内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態3において非AP MLDのSTAの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0237】
図15は、本出願の実施形態による通信装置3の構成の概略図である。通信装置3は、AP MLD、またはAP MLD内のチップ、たとえば、Wi-Fiチップであってもよい。任意選択で、通信装置3は、実施形態2で説明されたAP MLD、またはAP MLDの任意のAPに対応する。図15に示されるように、通信装置3は、処理ユニット31およびトランシーバユニット32を含む。
【0238】
処理ユニット31は、AID割り当て情報を生成するように構成され、このAID割り当て情報は、非AP MLDに割り当てられたAIDを搬送し、AIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。トランシーバユニット32は、AID割り当て情報を送信するように構成される。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0239】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方がAPiの配列AP MLDセットに属する。
【0240】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0241】
任意選択で、トランシーバユニット32は、関連付け要求フレームを受信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0242】
通信装置において、非AP MLDに割り当てられる、かつ処理ユニット31によって生成されたAID割り当て情報で搬送されるAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっていると知られることが可能である。ターゲットAP MLDは、ここではAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットのセットグループ内の任意のAP MLDである。このようにして、非AP MLDがダウンリンク個別アドレス指定トラフィックを有しているかどうかが示される場合には、AID曖昧さが回避されることが可能である。
【0243】
本出願のこの実施形態で説明された通信装置3は、それに応じて実施形態2を実施してよく、通信装置3内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態2においてAP MLDのAPiの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0244】
図16は、本出願の実施形態による通信装置4の構成の概略図である。通信装置4は、非AP MLD、もしくは非AP MLD内のチップ、たとえば、Wi-Fiチップであってもよい。任意選択で、通信装置4は、実施形態2で説明された非AP MLD、または非AP MLDの任意のSTAに対応する。図16に示されるように、通信装置4は、トランシーバユニット41および処理ユニット42を含む。
【0245】
トランシーバユニット41は、AID割り当て情報をAP MLDのアクセスポイントから受信するように構成される。処理ユニット42は、受信されたAID割り当て情報を解析して、非AP MLDに割り当てられる、かつAID割り当て情報で搬送されるAIDを取得するように構成され、このAIDは、ターゲットAP MLDと関連付けられた非AP MLDのAIDとは異なっており、ターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDであり、またはターゲットAP MLDは、APiの配列AP MLDセットが置かれているセットグループ内の任意のAP MLDである。APiは、AP MLDの任意のAPである。
【0246】
任意選択で、ターゲットAP MLDがAPiの配列AP MLDセット内の任意のAP MLDである場合、AP MLDとターゲットAP MLDの両方がAPiの配列AP MLDセットに属する。
【0247】
任意選択で、AID割り当て情報は、関連付け応答フレームで搬送される。AID割り当て情報は、代替として、他のフレームで搬送されてもよいと理解されてよい。
【0248】
任意選択で、処理ユニット42は、関連付け要求フレームを生成するようにさらに構成される。トランシーバユニット41は、関連付け要求フレームを送信するようにさらに構成され、この関連付け要求フレームは、AP MLDとのマルチリンク関連付けを確立することを要求するのに使用される。
【0249】
本出願のこの実施形態で説明された通信装置4は、それに応じて実施形態2を実施してよく、通信装置4内の各ユニットの前述の作動または機能は、実施形態2において非AP MLDのSTAの対応する作動を実装するために別々に用いられることを理解されたい。簡潔にするために、詳細についてここでは再度説明されない。
【0250】
以上では、本出願の実施形態におけるAP MLDおよび非AP MLDについて説明している。以下では、AP MLDおよび非AP MLDの可能な製品形態について説明する。図13または図15のAP MLDの機能を有する任意の形態のあらゆる製品、および図14または図16の非AP MLDの機能を有する任意の形態のあらゆる製品が、本出願の実施形態の保護範囲に入ることを理解されたい。以下の説明は単なる例であり、本出願の実施形態におけるAP MLDおよび非AP MLDの製品形態がこれに限定されないことをさらに理解されたい。
【0251】
可能な製品形態において、本出願の実施形態のAP MLDおよび非AP MLDは、一般的なバスアーキテクチャを用いて実装されてよい。
【0252】
図17は、本出願の実施形態による通信装置1000の構成の概略図である。通信装置100は、AP MLD、非AP MLD、またはAP MLDもしくは非AP MLD内の装置であってよい。図17に示されるように、通信装置1000は、プロセッサ1001と、プロセッサと内部接続されて通信するトランシーバ1002とを含む。プロセッサ1001は、汎用プロセッサ、専用プロセッサなどである。たとえば、プロセッサ1001は、ベースバンドプロセッサまたは中央処理装置であってよい。ベースバンドプロセッサは、通信プロトコルおよび通信データを処理するように構成されてよく、中央処理装置は、コンピュータプログラムを実行するように通信装置(たとえば、ベースステーション、ベースバンドチップ、端末、端末チップ、DU、またはCU)を制御して、コンピュータプログラムのデータを処理するように構成されてよい。トランシーバ1002は、トランシーバユニット、トランシーバ、トランシーバ回路などと呼ばれることもあり、トランシーバ機能を実装するように構成される。トランシーバ1002は、受信機および送信機を含み得る。受信機は、受信機械、受信機回路などと呼ばれることもあり、受信機能を実装するように構成される。送信機は、送信機械、送信回路などと呼ばれることもあり、送信機能を実装するように構成される。任意選択で、通信装置1000はアンテナ1003をさらに含み得る。
【0253】
任意選択で、通信装置1000は、1つまたは複数のメモリ1004を含み得る。メモリ1004は、命令を記憶し得る。命令は、コンピュータプログラムであってよい。コンピュータプログラムは、通信装置1000で実行されて、通信装置1000が前述の方法実施形態で説明された方法を実施することを可能にし得る。任意選択で、メモリ1004はデータをさらに記憶し得る。通信装置1000とメモリ1004は、別々に配置されてよく、または一体化されてもよい。
【0254】
プロセッサ1001、トランシーバ1002、およびメモリ1004は、通信バスを介して接続されてよい。
【0255】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態1における第1のAP MLDの第1のAPの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図6のステップS101、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図6のステップS102、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0256】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態1における非AP MLDの第1のSTAの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図6のステップS104、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図6のステップS103、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0257】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態2におけるAP MLDのAPの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図9のステップS201、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図9のステップS202、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0258】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態2における非AP MLDのSTAの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図9のステップS203およびS204、ならびに/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図9のステップS205、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0259】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態3におけるAP MLDのレポートAPの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図12のステップS1、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図12のステップS2、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0260】
設計では、通信装置1000は、前述の実施形態3における非AP MLDのSTAの機能を実施するように構成されてよい。プロセッサ1001は、図12のステップS4、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。トランシーバ1002は、図12のステップS3、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成されてよい。
【0261】
前述の設計のいずれか1つにおいて、プロセッサ1001は、受信機能および送信機能を実装するように構成されたトランシーバを含み得る。たとえば、トランシーバは、トランシーバ回路、インターフェース、またはインターフェース回路であってもよい。受信機能および送信機能を実装するように構成されたトランシーバ回路、インターフェース、またはインターフェース回路は、分離されていてよく、または一体化されていてよい。トランシーバ回路、インターフェース、またはインターフェース回路は、コード/データを読み書きするように構成されてよい。代替として、トランシーバ回路、インターフェース、またはインターフェース回路は、信号を伝送または転送するように構成されてもよい。
【0262】
前述の設計のいずれか1つにおいて、プロセッサ1001は命令を記憶し得る。命令は、コンピュータプログラムであってよい。コンピュータプログラムはプロセッサ1001上で実行されて、通信装置1000が、前述の方法実施形態で説明された方法を実施することが可能になる。コンピュータプログラムは、プロセッサ100内に固定されてよい。この場合には、プロセッサ1001はハードウェアによって実装されてよい。
【0263】
実装において、通信装置1000は回路を含んでよく、この回路は、前述の方法実施形態における送信機能、受信機能、または通信機能を実装し得る。本出願に記載のプロセッサおよびトランシーバは、集積回路(integrated circuit、IC)、アナログIC、高周波集積回路RFIC、混合信号IC、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)、電子デバイスなどに実装されてよい。プロセッサおよびトランシーバは、様々なIC技術を用いて、たとえば、相補形金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)、N型金属酸化膜半導体(nMetal-oxide-semiconductor、NMOS)、P型チャネル金属酸化物半導体(正チャネル金属酸化物半導体、PMOS)、バイポーラ接合トランジスタ(バイポーラ接合トランジスタ、BJT)、バイポーラCMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)などを用いて製造されてよい。
【0264】
本出願に記載の通信装置の範囲はこれらに限定されず、通信装置の構造は図17によって限定されなくてよい。通信装置は、独立したデバイスであってよく、または大型デバイスの一部であってよい。たとえば、通信装置は以下であってよい。
(1)独立した集積回路IC、チップ、またはチップシステムもしくはチップサブシステム。
(2)1つまたは複数のICを含むセット。任意選択で、このICセットは、データおよびコンピュータプログラムを記憶するように構成された記憶構成要素をさらに含み得る。
(3)ASIC、たとえばモデム(Modem)。
(4)他のデバイスに埋め込まれることが可能なモジュール。
(5)受信機、端末、インテリジェント端末、携帯電話、無線デバイス、ハンドヘルドデバイス、モバイルユニット、車載デバイス、ネットワークデバイス、クラウドデバイス、人工知能デバイスなど。または
(6)他のデバイスなど。
【0265】
可能な製品形態において、本出願の実施形態におけるAP MLDおよび非AP MLDは、汎用プロセッサによって実装され得る。
【0266】
AP MLDを実装する汎用プロセッサは、処理回路と、処理回路と内部接続されて通信する入出力インターフェースとを含む。設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態1における第1のAP MLDの第1のAPの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図6のステップS101、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図6のステップS102、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0267】
別の設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態2におけるAP MLDのAPの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図9のステップS201、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図9のステップS202、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0268】
さらに別の設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態3におけるAP MLDのレポートAPの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図12のステップS1、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図12のステップS2、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0269】
非AP MLDを実装する汎用プロセッサは、処理回路と、処理回路と内部接続されて通信する入出力インターフェースとを含む。設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態1における非AP MLDの第1のSTAの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図6のステップS104、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図6のステップS103、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0270】
別の設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態2における非AP MLDのSTAの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図9のステップS203およびS204、ならびに/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図9のステップS205、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0271】
さらに別の設計では、汎用プロセッサは、前述の実施形態3における非AP MLDのSTAの機能を実施するように構成されてよい。具体的には、処理回路は、図12のステップS4、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。入出力インターフェースは、図12のステップS3、および/または本明細書に記載の技術の別の処理を実施するように構成される。
【0272】
可能な製品形態において、本出願の実施形態におけるAP MLDおよび非AP MLDは、代替として以下を用いて、すなわち、1つもしくは複数のFPGA(field programmable gate array)、PLD(programmable logic device)、コントローラ、状態マシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、任意の他の適切な回路、または本出願に記載の様々な機能を実施できる回路の任意の組み合わせを用いて実装されてよい。
【0273】
前述の様々な製品形態の通信装置は、前述の方法実施形態におけるAP MLDまたは非AP MLDの任意の機能を有すると理解されたい。詳細について、ここでは再度説明されない。
【0274】
本出願の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを記憶する。プロセッサがコンピュータプログラムコードを実行すると、電子デバイスが前述の実施形態のいずれか1つにおける方法を実施する。
【0275】
本出願の実施形態は、コンピュータプログラム製品をさらに提供する。コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、前述の実施形態のいずれか1つにおける方法を実施することが可能になる。
【0276】
本出願の実施形態は、通信装置をさらに提供する。この装置は、チップの製品形態で存在してよい。装置の構造は、プロセッサおよびインターフェース回路を含む。プロセッサは、受信機回路を使用して別の装置と通信して、その装置が前述の実施形態のいずれか1つの方法を実施することを可能にするように構成される。
【0277】
本出願の実施形態は無線通信システムを、AP MLDおよび非AP MLDを含めてさらに提供する。AP MLDおよび非AP MLDは、前述の実施形態のうちのいずれか1つにおける方法を実施し得る。
【0278】
本出願で開示される内容と組み合わせて説明される方法またはアルゴリズムステップは、ハードウェアによって実装されてよく、またはプロセッサによってソフトウェア命令を実行することで実装されてよい。ソフトウェア命令は、対応するソフトウェアモジュールを含み得る。このソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(Erasable Programmable ROM、EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(Electrically EPROM、EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ハードディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、または当技術分野でよく知られている他の任意の形態の記録媒体に記憶されてよい。たとえば、記憶媒体がプロセッサに結合され、それにより、プロセッサは記憶媒体から情報を読み出すこと、または記憶媒体に情報を書き込むことができるようになる。確かなことに、記憶媒体はプロセッサの構成要素であってよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に配置されてもよい。加えて、ASICは、コアネットワークインターフェースデバイス内に置かれてもよい。確かなことに、プロセッサおよび記憶媒体は、ディスクリート構成要素としてコアネットワークインターフェースデバイス内に存在してよい。
【0279】
当業者であれば、前述の1つまたは複数の例において、本出願に記載の機能がハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実装され得ることを認識するはずである。その機能がソフトウェアによって実装される場合、前述の機能は、コンピュータ可読媒体に記憶されてよく、またはコンピュータ可読媒体内で1つまたは複数の命令またはコードとして伝送されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体および通信媒体を含む。通信媒体は、1つの場所から別の場所へコンピュータプログラムを伝送しやすくする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは専用コンピュータにとってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよい。
【0280】
以上の具体的な実装では、本出願の目的、技法的ソリューション、および有益な効果が詳細にさらに説明されている。以上の説明は、本出願の単なる具体的実装であるが、本出願の保護範囲を限定するものではないことを理解されたい。本出願の技法的ソリューションに基づいて加えられるいかなる修正、等価な置換、改善なども、本出願の保護範囲内にあるものとする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17