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特許7587023数値制御装置及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】数値制御装置及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/406 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G05B19/406 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023515960
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2021016229
(87)【国際公開番号】W WO2022224388
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】五味 駿一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和生
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135045(JP,A)
【文献】特開2011-191852(JP,A)
【文献】特開平10-055209(JP,A)
【文献】特開2001-350509(JP,A)
【文献】特開2010-211467(JP,A)
【文献】特開平08-249038(JP,A)
【文献】特開2018-018429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 - 19/416
G05B 19/42 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムのファイル識別情報と編集日時とを記憶するファイル情報記憶部と、
運転対象に設定された加工プログラムである運転対象プログラムのファイル識別情報を記憶する運転対象プログラム記憶部と、
外部記憶デバイスの取り付けを認識する外部記憶デバイス認識部と、
前記取り付けられた外部記憶デバイスに前記運転対象プログラムが格納されている場合、前記外部記憶デバイスが記憶する運転対象プログラムの編集日時と、前記ファイル情報記憶部が記憶する運転対象プログラムの編集日時とが異なる場合、前記運転対象プログラムが編集されたと判定するファイル情報比較部と、
前記加工プログラムを編集する編集部と、
前記外部記憶デバイスに格納された加工プログラムが前記編集部において編集された場合、前記外部記憶デバイスが記憶する前記加工プログラムの編集日時と、前記ファイル情報記憶部が記憶する前記加工プログラムの編集日時とを、更新する編集日時更新部と、
を備える数値制御装置。
【請求項2】
前記加工プログラムを格納するファイルに対し、各加工プログラムにユニークなファイル識別情報を付与するファイル識別情報管理部を備える、請求項1記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記運転対象プログラムが編集されていないと判定された場合、前記運転対象プログラムを運転対象の加工プログラムとして選択する運転対象プログラム選択部を備える、請求項1記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記運転対象プログラムが編集されていると判定された場合、前記運転対象プログラムが編集されたことをオペレータに通知する編集通知部を備える、請求項1記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記編集通知部は、前記オペレータが承認するまで加工の開始を待機する、請求項4記載の数値制御装置。
【請求項6】
前記運転対象プログラムは、当該数値制御装置が最後に実行した加工プログラムである、請求項1記載の数値制御装置。
【請求項7】
1つ又は複数のプロセッサが実行することにより、
加工プログラムのファイル識別情報と編集日時とを数値制御装置に記憶させ、
運転対象に設定された加工プログラムである運転対象プログラムのファイル識別情報を前記数値制御装置に記憶させ、
外部記憶デバイスの前記数値制御装置への取り付けを認識し、
前記取り付けられた外部記憶デバイスに前記運転対象プログラムが格納されている場合、前記外部記憶デバイスが記憶する運転対象プログラムの編集日時と、前記数値制御装置が記憶する運転対象プログラムの編集日時とが異なる場合、前記運転対象プログラムが編集されたと判定し、
前記加工プログラムを編集し、
前記外部記憶デバイスに格納された加工プログラムが編集された場合、前記外部記憶デバイスが記憶する前記加工プログラムの編集日時と、前記数値制御装置が記憶する前記加工プログラムの編集日時とを、更新する、
コンピュータが読み取り可能な命令を記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置のプログラムは、数値制御装置本体の他に、PCやサーバの外部装置で編集することができる。外部装置で編集したプログラムは、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カードなどの外部記憶デバイスに記録する。
【0003】
特許文献1には、『駆動装置30のメモリはフラッシュメモリとする。制御ユニット10のメモリはカセット方式とし、S/W更新時には転送S/Wと30のS/Wの入ったサーボメモリ103Aを取付ける。この状態で電源を投入すると、自動的に駆動装置30のS/W更新を実行する。』と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2862051号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
数値制御装置には、最後に使用した加工プログラムを自動選択する機能を有するものがある。このような数値制御装置は、最後に使用した加工プログラムの識別情報を記憶している。電源投入時などには、オペレータが加工プログラムを選択しなくても、最後に使用された加工プログラムを、数値制御装置が自動的に選択して読み出す。加工プログラムが数値制御装置の記憶デバイスに存在する場合には、数値制御装置から加工プログラムを読み出す。加工プログラムが外部記憶デバイスに存在する場合には、外部記憶デバイスから加工プログラムを読み出す。オペレータは、電源を投入したり、外部記憶デバイスを挿入するだけで、同じ加工を継続することができる。
【0006】
しかしながら、外部記憶デバイスの加工プログラムを自動的に選択すると、意図せぬ加工が行われる可能性がある。外部記憶デバイスの加工プログラムはPCなどの外部装置で変更されていることがあり、オペレータが加工プログラムの変更に気づかないまま加工を開始するためである。
【0007】
数値制御装置の分野においては、ファイルの内容が変更されたか否かを識別する技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である数値制御装置は、加工プログラムのファイル識別情報と編集日時とを記憶するファイル情報記憶部と、運転対象に設定された加工プログラムである運転対象プログラムのファイル識別情報を記憶する運転対象プログラム記憶部と、外部記憶デバイスの取り付けを認識する外部記憶デバイス認識部と、取り付けられた外部記憶デバイスに運転対象プログラムが格納されている場合、外部記憶デバイスが記憶する運転対象プログラムの編集日時と、ファイル情報記憶部が記憶する運転対象プログラムの編集日時とが異なる場合、運転対象プログラムが編集されたと判定するファイル情報比較部と、を備える。
本開示の一態様であるコンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサが実行することにより、加工プログラムのファイル識別情報と編集日時とを数値制御装置に記憶させ、運転対象に設定された加工プログラムである運転対象プログラムのファイル識別情報を数値制御装置に記憶させ、外部記憶デバイスの前記数値制御装置への取り付けを認識し、取り付けられた外部記憶デバイスに運転対象プログラムが格納されている場合、外部記憶デバイスが記憶する運転対象プログラムの編集日時と、数値制御装置が記憶する運転対象プログラムの編集日時とが異なる場合、運転対象プログラムが編集されたと判定する。
本開示の一態様である編集装置は、数値制御装置の加工プログラムを編集するプログラム編集部と、加工プログラムを編集したとき、加工プログラムの編集日時を、数値制御装置が加工プログラムに付与したファイル識別情報に関連付けて、前記数値制御装置に記憶させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様により、ファイルの内容が変更されたか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ファイル管理システムの概念図である。
図2】第1の開示のファイル管理システムのブロック図である。
図3】編集判定処理の手順を説明するフローチャートである。
図4】編集日時及び運転対象プログラムの更新処理の手順を説明するフローチャートである。
図5】第2の開示のファイル管理システムのブロック図である。
図6】数値制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の開示]
図を参照して第1の開示のファイル管理システムについて説明する。
図1は、本開示のファイル管理システム1000の概念図である。本開示のファイル管理システム1000は、工作機械を制御する数値制御装置100と、加工プログラムの作成/編集する機能を有する外部装置とを備える。本開示では、外部装置200をPC(パーソナルコンピュータ)として説明するが、プログラム編集機能を備えた情報処理装置であれば、PCに限定されない。数値制御装置100と、外部装置200には、CFカードのなどの外部記憶デバイス300を取り付けるコネクタが設けられている。外部装置200では、数値制御装置100の加工プログラムをPC200で作成/編集することができる。数値制御装置100は、PC200で編集された加工プログラムを読み取る。
【0012】
図2は、ファイル管理システム1000のブロック図である。数値制御装置100は、運転対象プログラム記憶部10、ファイルシステム部11、ファイル識別情報管理部12、ファイル情報記憶部13、ファイル情報更新部14、外部デバイス認識部15、運転対象プログラム確認部16、ファイル情報読取部17、ファイル情報比較部18、運転対象プログラム選択部19、編集通知部20を備える。数値制御装置100の内部には、編集装置21が取り付けられている。編集装置21は、プログラム編集部22と、編集日時更新部23を備える。
【0013】
ファイルシステム部11は、例えば、FAT(File Allocation Table)ファイルシステムであるが、これに限定されない。ファイルシステム部11は、数値制御装置100のROMやRAM(後述)のファイルやディレクトリ、及び外部記憶デバイス300のファイルやディレクトリを管理する。
数値制御装置100への外部記憶デバイス300の取り付けが認識されると、ファイルシステム部11は、外部記憶デバイス300に記録されたファイルの管理情報を読み出す。この管理情報には、加工プログラムの編集日時が含まれる。
【0014】
ファイル識別情報管理部12は、未知の加工プログラムにユニークなファイル識別情報を付与する。未知の加工プログラムには、例えば、数値制御装置100で新たに作成したプログラム、ネットワークや外部記憶デバイス300を介して新たに取得した加工プログラムなどがある。ファイル識別情報管理部12は、ファイル識別情報とファイルの編集日時とをファイル情報記憶部13に記憶する。
ファイル識別情報は、ファイルシステム部11が管理するファイル名とは異なるユニークな値である。ファイルシステム部11が管理するファイル名は、プログラマが個々の加工プログラムに付けた名称であり、他のファイルと重複する可能性がある。ファイル識別情報管理部12が加工プログラムに付与するファイル識別情報は、加工プログラムのファイルごとにユニークな情報であるため重複することはない。
【0015】
編集装置21は、加工プログラムの編集を受け付ける。プログラム編集部22は、加工プログラム編集画面などを表示し、オペレータからの編集指示を受け付ける。加工プログラムの編集が終了すると、ファイルシステム部11が外部記憶デバイス300の編集日時を更新し、編集日時更新部23がファイル情報記憶部13の編集日時を更新する。
数値制御装置100の編集装置21で加工プログラムを編集した場合には、ファイル情報記憶部13の編集日時と、外部記憶デバイス300の編集日時との両方を更新するので、2つのデバイス上の編集日時が一致する。
【0016】
外部装置200は、プログラム編集部31とファイルシステム部32を備える。プログラム編集部31は、例えば、工作機械の加工プログラムを編集する専用ツールである。プログラム編集部31における加工プログラムの編集が終了すると、ファイルシステム部32は、外部記憶デバイス300の編集日時を更新する。
外部装置200で加工プログラムを編集した場合、外部記憶デバイス300の編集日時のみが更新されるので、外部記憶デバイス300の編集日時とファイル情報記憶部13の編集日時が一致しない。
【0017】
外部記憶デバイス認識部15は、外部記憶デバイス300が数値制御装置100に取り付けられたことを認識する。外部記憶デバイス300の取り付けを認識するタイミングには、例えば、数値制御装置100の電源が投入されたときがある。数値制御装置100の起動時に外部記憶デバイス300を確認し、外部記憶デバイス300が取り付けを認識する。数値制御装置100が起動した状態で外部記憶デバイス300を取り付けることもある。工場の振動などで外部記憶デバイス300が一時的に切断され再接続することもある。
【0018】
運転対象プログラム確認部16は、オペレータが運転対象となる加工プログラムを選択すると、運転対象プログラム記憶部10に記憶する運転対象プログラムを更新する。更新の結果、数値制御装置100が最後に実行した加工プログラムのファイル識別情報が運転対象プログラム記憶部10に記憶される。
【0019】
ファイル情報読取部17は、外部記憶デバイス300からファイル識別情報を読み出す。また、ファイルシステム部11から外部記憶デバイス300が記憶する加工プログラムの編集日時を取得する。
【0020】
ファイル情報比較部18は、運転対象プログラムが外部記憶デバイス300に存在する場合、運転対象プログラムの編集日時を、ファイル情報記憶部13から読み出し、ファイル情報記憶部13に記憶する運転対象プログラムの編集日時と、外部記憶デバイス300に記憶する運転対象プログラムの編集日時とを比較する。ファイル情報記憶部13に記憶する運転対象プログラムの編集日時と、外部記憶デバイス300に記憶する編集日時が異なる場合、運転対象プログラムが編集されたと判定する。
【0021】
運転対象プログラム選択部19は、編集日時の比較結果により、加工プログラムが編集されたか否かを判定する。外部記憶デバイス300に記憶する加工プログラムの編集日時が、ファイル情報記憶部13に記憶する編集日時と異なる場合には、加工プログラムが編集されたと判定する。
編集された加工プログラムをそのまま再生すると、オペレータが予期していない加工が行われる可能性がある。編集通知部20は、加工プログラムが編集されたことをオペレータに通知する。通知の方法には、数値制御装置100やオペレータの携帯端末への表示などがあるがこれに限定されない。
【0022】
編集通知部20は、運転対象プログラムの自動選択機能を停止してもよい。編集通知部20は、運転対象プログラムの自動選択機能を停止した状態で、オペレータからの入力を待機する。オペレータが運転対象プログラムの再使用を承認した場合に、予め設定された運転対象プログラムでの加工を開始してもよい。編集通知部20は、外部記憶デバイス300及び数値制御装置100に記憶された加工プログラムのリストを表示し、新たな加工プログラムの選択をオペレータから受け付けてもよい。
編集通知部20は、編集された運転対象プログラムの編集日時を提示してもよい。例えば、ファイル情報記憶部13の編集日時と、外部記憶デバイス300の編集日時の少なくとも一方を表示することでオペレータの判断を補助することができる。
【0023】
ファイル情報更新部14は、ファイル情報記憶部13に記憶する運転対象プログラムの編集日時と、運転対象プログラム記憶部10に記憶する運転対象プログラムのファイル識別情報を更新する。
ファイル情報更新部14は、(1)編集された運転対象プログラムの再使用をオペレータが選択した場合、編集された運転対象プログラムの編集日時で、ファイル情報記憶部13の編集日時を更新する。これにより、外部記憶デバイス300の編集日時と、ファイル情報記憶部13の編集日時とが一致する。(2)運転対象プログラムの変更をオペレータが選択した場合、新たに選択された運転対象プログラムのファイル識別情報で、運転対象プログラム記憶部10を更新する。
【0024】
本開示の数値制御装置100は、運転対象プログラムの編集日時を基にファイルの内容が変更されたか否かを判定し、ファイルの内容が変更された場合には、加工プログラムの自動選択機能を停止し、予期せぬ加工の開始を回避する。
【0025】
図3のフローチャートを参照して編集判定処理の手順を説明する。前提として、加工プログラムにはファイル識別情報が付与されているものとする。
数値制御装置100に電源が投入されると(ステップS1)、数値制御装置100は、外部記憶デバイス300が取り付けられているか否かを判定する。外部記憶デバイス300が取り付けられている場合(ステップS2;Yes)、数値制御装置100は、運転対象プログラムのファイル識別情報を読み出す(ステップS3)。運転対象プログラムが数値制御装置100に存在する場合(ステップS4;No)、数値制御装置100は加工プログラムが編集されていないと判定し、ステップS8に移行し、運転を継続する場合には(ステップS8;Yes)、新たな外部記憶デバイス300の取り付けを待機する。
加工プログラムが外部記憶デバイス300に存在する場合(ステップS4;Yes)、数値制御装置100は、外部記憶デバイス300から加工プログラムの編集日時を読み出す。次いで、数値制御装置100は、ファイル情報記憶部13から当該加工プログラムの編集日時を読み出す。数値制御装置100は、外部記憶デバイス300に記憶された運転対象プログラムの編集日時と、ファイル情報記憶部13に記憶された運転対象プログラムの編集日時とを比較する(ステップS5)。
【0026】
外部記憶デバイス300に記憶された編集日時とファイル情報記憶部13に記憶された編集日時が異なる場合(ステップS6;Yes)、数値制御装置100は、加工プログラムが編集されたと判定し、そのことをオペレータに通知する(ステップS7)。オペレータは編集された運転対象プログラムを再選択するか、他の加工プログラムを選択するか判断する。
外部記憶デバイス300に記憶された編集日時とファイル情報記憶部13に記憶された編集日時が一致する場合(ステップS6;No)、数値制御装置100は、運転対象プログラムが編集されていないと判定する。数値制御装置100は、運転対象プログラムを用いて加工を開始する。
【0027】
数値制御装置100の電源が投入された状態で運転を継続する場合(ステップS8;Yes)、数値制御装置100は、ステップS2に移行し、外部記憶デバイス300の取り付けを監視する。数値制御装置100の運転を終了する場合(ステップS8;No)、数値制御装置100は、本処理を終了する。
【0028】
次で、図4を参照して編集日時及び運転対象プログラムの更新処理について説明する。
運転対象プログラムが編集されたことを、数値制御装置100がオペレータに通知し、編集された運転対象プログラムの再使用をオペレータが選択した場合(ステップS11;Yes)、数値制御装置100は、編集された加工プログラムの編集日時を外部記憶デバイス300から読み出し、ファイル情報記憶部13の編集日時を更新する(ステップS12)。数値制御装置100は、編集された運転対象プログラムを外部記憶デバイス300から読み出し(ステップS13)、再使用する。
【0029】
編集された加工プログラムの再使用をオペレータが選択しなかった場合(ステップS11;No)、数値制御装置100は、他の加工プログラムのリストをオペレータに提示する(ステップS14)。数値制御装置100は、新たな加工プログラムの選択を受け付けると(ステップS15)、当該加工プログラムを運転対象プログラムに更新する(ステップS16)。
【0030】
以上説明したように、本開示の数値制御装置100は、加工プログラムが編集されたことを判定すると、編集された加工プログラムを再使用するか、他の加工プログラムを使用するかを、オペレータに選択させる。再使用が選択された場合には、外部記憶デバイスの編集日時でファイル情報記憶部の編集日時を更新する。
また、他の加工プログラムの使用が選択された場合、選択された加工プログラムを運転対象プログラムに設定する。他の加工プログラムが運転対象プログラムに選択された場合、選択された加工プログラムが編集されているか否かを判定してもよい。
【0031】
[第2の開示]
図5は、第2の開示のファイル管理システム1000を示す。第2の開示のファイル管理システム1000では、ファイルシステム部11ではなく、編集日時更新部23が編集日時の更新を行う。第2の開示において、外部装置200は、プログラム編集部31と、編集日時更新部33とを備える。
編集日時更新部33は、外部記憶デバイス300に記憶された加工プログラムの編集日時を更新する。外部装置200で加工プログラムを編集した場合、ファイル情報記憶部13の編集日時は更新されないため、外部記憶デバイス300に記憶された加工プログラムの編集日時と、ファイル情報記憶部13に記憶された加工プログラムの編集日時は一致しない。
【0032】
外部記憶デバイス300に記録された加工プログラムを数値制御装置100で編集する場合、数値制御装置100の編集日時更新部23は、外部記憶デバイス300に記憶された加工プログラムの編集日時だけでなく、ファイル情報記憶部13の編集日時も更新する。数値制御装置100で加工プログラムを編集した場合には、外部記憶デバイス300の編集日時と、ファイル情報記憶部13の編集日時が一致する。
【0033】
外部記憶デバイス300の取り付けが認識されると、ファイル情報読取部17は、運転対象プログラムの編集日時とファイル識別情報を、外部記憶デバイス300から読み出す。
運転対象プログラムと同じファイル識別情報の加工プログラムが外部記憶デバイス300に記憶されている場合、ファイル情報比較部18は、外部記憶デバイス300から読み出した運転対象プログラムの編集日時と、ファイル情報記憶部13に記憶された運転対象プログラムの編集日時とを比較する。2つのデバイスの編集日時が異なる場合には、運転対象プログラムが編集されたと判定する。
【0034】
運転対象プログラム選択部19は、加工プログラムが編集されたことをオペレータに通知する。オペレータは、編集された加工プログラムを再選択するか、別の加工プログラムを運転対象プログラムとして選択する。編集された加工プログラムを再選択した場合、ファイル情報更新部14は、ファイル情報記憶部13の編集日時を、外部記憶デバイス300から読み出した編集日時で更新する。
第2の開示のファイル管理システム1000は、編集日時の管理を、ファイルシステム部11ではなく、数値制御装置100の編集日時更新部23及び外部装置200の編集日時更新部33が行う。
【0035】
図6を参照して、工作機械を制御する数値制御装置100のハードウェア構成を説明する。数値制御装置100が備えるCPU111は、数値制御装置100を全体的に制御するプロセッサである。CPU111は、バスを介してROM112に加工されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って数値制御装置100の全体を制御する。RAM113には、一時的な計算データや表示データ、入力部71を介してユーザが入力した各種データ等が一時的に格納される。
【0036】
表示部70は、数値制御装置100に付属のモニタなどである。表示部70は、数値制御装置100の操作画面や設定画面などを表示する。
【0037】
入力部71は、表示部70と一体、又は、表示部70とは別のキーボード、タッチパネルなどである。ユーザは入力部71を操作して、表示部70に表示された画面への入力などを行う。なお、表示部70及び入力部71は、携帯端末でもよい。
【0038】
不揮発性メモリ114は、例えば、図示しないバッテリでバックアップされるなどして、数値制御装置100の電源がオフされても記憶状態が保持されるメモリである。不揮発性メモリ114には、図示しないインタフェースを介して外部機器から読み込まれたプログラムや入力部71を介して入力されたプログラム、数値制御装置100の各部や工作機械等から取得された各種データ(例えば、工作機械から取得した設定パラメータ等)が記憶される。不揮発性メモリ114に記憶されたプログラムや各種データは、実行時/利用時にはRAM113に展開されてもよい。また、ROM112には、各種のシステム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0039】
工作機械の工具を制御するコントローラ40は、CPU111からの軸の移動指令をパルス信号に変換しドライバ41に出力する。ドライバ41はパルス信号を電流に変換して工作機械のサーボモータを駆動する。サーボモータは、数値制御装置100の制御に従い工具やテーブルを移動する。
【0040】
以上説明したように、本開示にかかるファイル管理システム1000では、数値制御装置100のファイル情報記憶部13と、外部記憶デバイス300に加工プログラムの編集日時を記憶する。数値制御装置100上で外部記憶デバイス300の加工プログラムを編集するときは、数値制御装置100がファイル情報記憶部13に記憶された加工プログラムの編集日時と、外部記憶デバイス300に記憶された加工プログラムの編集日時とを両方更新するので、2つの編集日時が一致する。
外部装置200で外部記憶デバイス300に記憶された加工プログラムを編集するときは、外部記憶デバイス300の編集日時のみを更新する。このため、外部装置200に記憶された加工プログラムの編集日時と、ファイル情報記憶部13に記憶された加工プログラムの編集日時とが一致しない。
数値制御装置100のファイル情報比較部18は、外部記憶デバイス300の編集日時と、ファイル情報記憶部13の編集日時とを比較し、2つの編集日時が異なる場合には、運転対象プログラムが編集されたと判定する。本開示のファイル管理システムは、編集日時を用いてファイルの内容が変更されたか否かを識別することができる。
なお、編集日時の読出し及び更新は、第1の開示ではファイルシステム部が行い、第2の開示ではファイル情報読取部が行う。
【符号の説明】
【0041】
100 数値制御装置
10 運転対象プログラム記憶部
11 ファイルシステム部
12 ファイル識別情報管理部
13 ファイル情報記憶部
14 ファイル情報更新部
15 外部デバイス認識部
16 運転対象プログラム確認部
17 ファイル情報読取部
18 ファイル情報比較部
19 運転対象プログラム選択部
20 編集通知部
21 編集装置
22 プログラム編集部
23 編集日時更新部
111 CPU
112 ROM
113 RAM
114 不揮発性メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6