(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】金属ストリップの圧延のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B21B 37/64 20060101AFI20241112BHJP
B21B 37/58 20060101ALI20241112BHJP
B21B 38/08 20060101ALI20241112BHJP
B21B 38/10 20060101ALI20241112BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B21B37/64
B21B37/58 A
B21B37/58 C
B21B38/08
B21B38/10 A
B21C51/00 M
B21C51/00 C
(21)【出願番号】P 2023518178
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2021074807
(87)【国際公開番号】W WO2022063594
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】102020211850.7
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021209714.6
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ツィーレンバッハ・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】イェプゼン・オーラフ・ノルマン
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-024928(JP,A)
【文献】特開2006-007235(JP,A)
【文献】特開平04-060405(JP,A)
【文献】特開昭62-072417(JP,A)
【文献】特表2009-505835(JP,A)
【文献】特開2009-248106(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187994(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/003930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップ(B
)の圧延のための装置(10)であって、
この装置が、圧延スタンド(12)を備え、この圧延スタンドが一対の台架(14)から形成されており、
前記装置が、一対の作業ロール(16)と、上側の支持ロールと下側の支持ロール(18;20)とを備え、
前記作業ロール(16)と前記支持ロール(18;20)とが、それぞれに、所属して設けられたチョック(E)によって、前記圧延スタンド(12)に保持されており、前記作業ロール(16)の間に、圧延ロール間隙が形成可能であり、且つ、前記作業ロール(16)がそれぞれに所属して設けられた少なくとも1つの支持ロール(18;20)によって支持可能であり、および、
前記装置が、測定装置を備え、この測定装置を用いて、前記作業ロール(16)の間の前記圧延ロール間隙(W)の値が決定可能である、
上記装置において、
少なくとも1つの支持ロール(18;20)の前記チョック(E)が、前記圧延スタンド(12)内において移動可能に案内されており、且つ、液圧シリンダー(22)によって垂直方向に圧下可能であること、
前記測定装置が、
少なくとも1つの上側のセンサー(24)を有し、この上側のセンサーによって、前記上側の支持ロール(18;20)の少なくとも1つの点からの、予め定められた上側の基準点(P1)への間隔が測定可能であり、および、
少なくとも1つの下側のセンサー(25)を有し、この下側のセンサーによって、前記下側の支持ロール(18;20)の少なくとも1つの点からの、予め定められた下側の基準点(P2)への間隔が測定可能であること、
前記測定装置が、力測定装置(30)を備えており、この力測定装置が、支持ロール(18;20)、即ち下側の支持ロール(18;20)のチョック(E)と、前記圧延スタンド(12)との間で位置決めされており、
前記力測定装置(30)を用いて、前記圧延スタンド(12)によって生成される圧延力が測定可能であること、
制御装置(32)が設けられており、この制御装置が、前記測定装置と信号技術的に接続されており、
前記制御装置(32)が、少なくとも、数学的なモデル(34)を備えており、この数学的なモデルによって、前記圧延スタンド(12)の伸長が、生成された圧延力の考慮のもとで計算可能であること、および、
前記制御装置(32)が、
上側/下側の前記センサー(24;25)の測定値に基づいて、上側/下側の前記支持ロール(18;20)の測定された位置、および、前記数学的なモデル(34)によって計算された、前記圧延スタンド(12)の伸長に関して、
前記圧延ロール間隙(W)の絶対的な値、および、これに伴って
、圧延材の結果として生じる厚さが決定可能であるように、
構成されており、
前記制御装置(32)を用いて、前記圧延ロール間隙(W)のためのこの絶対的な値が、前記圧延ロール間隙(W)のための目標値(h
REF)と比較可能であり、且つ、このことに基づいて、次いで、前記液圧シリンダー(22)が、所属して設けられた前記支持ロール(18;20)の垂直方向の移動のために制御可能であり、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、所望された前記目標値(h
REF)へと調節されること、および、
前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)が、それぞれに、所属して設けられた位置調節装置(26)と接続されており、
その際、前記位置調節装置(26)を用いて、上側もしくは下側の前記センサー(24;25)の位置が、上側もしくは下側の前記支持ロール(18;20)に対して相対的に変化可能であること、
を特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記制御装置(32)は、数学的な補償モデル(36)を備えており、
この数学的な補償モデルを用いて、作業ロール(16)及び/または支持ロール(18、20)の熱量および摩耗が計算され得ることを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記圧延スタンド(12)は、上側の横方向クロスメンバー(Q1)を有しており、
この上側の横方向クロスメンバーに、前記上側のセンサー(24)が装着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記圧延スタンド(12)は、下側の横方向クロスメンバー(Q2)を有しており、
この下側の横方向クロスメンバーに、前記下側のセンサー(25)が装着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項5】
前記下側のセンサー(25)は、前記圧延スタンド(12)の基礎部(F)に装着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項6】
前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、
前記センサー(24;25)によって、前記支持ロール(18;20)の中央における一点への間隔が測定されるように、
前記圧延スタンド(12)の幅に関して位置決めされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項7】
前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、それぞれに、光学的なセンサーとして形成されていること、
または、前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)が、レーザー三角測量センサーの形態で、または、共焦点のセンサーの形態で形成されていること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項8】
前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)のために、電磁場が利用されること、
または、前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)が、渦電流センサーとして形成されていること、
を特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項9】
前記上側センサーおよび前記下側のセンサー(24;25)と隣接して、それぞれ1つの吹き離し装置(28)が配置されており、
この吹き離し装置によって、支持ロール(18;20)とセンサー(24;25)との間に存在する空間(R)内へと、圧縮空気が導入可能であることを特徴とする請求項7または8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記上側の支持ロールもしくは前記下側の支持ロール(18;20)と隣接して、それぞれに、複数の上側のセンサー(24)もしくは下側のセンサー(25)が、所属して設けられた支持ロール(18;20)の幅に沿って設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の装置(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つによる装置(10)による、金属ストリップ(B
)の圧延のための方法であって、
この方法において、圧延スタンド(12)に装着された作業ロール(16)の間の圧延ロール間隙(W)が調節される上記方法において、
上側/下側の前記支持ロール(18;20)の、それぞれに少なくとも1つの点における、この点からの、予め定められた上側/下側の基準点(P1;P2)への間隔が、上側/下側のセンサー(24;25)によって測定され、且つ、
前記センサーの前記測定値が、制御装置(32)へと送信されること、
前記圧延スタンド(12)の伸長が、前記制御装置(32)が備える数学的なモデル(34)によって、生成された圧延力の考慮のもとで計算されること、および、
前記制御装置(32)を用いて、
前記上側のセンサー(24)と前記下側のセンサー(25)とによって測定された前記支持ロール(18;20)の位置と、前記数学的なモデル(34)によって計算された前記圧延スタンド(12)の伸長とに基づいて、
前記圧延ロール間隙(W)の絶対的な値、および、これに伴って
、圧延材の結果として生じる前記厚さが決定され、
その際、この制御装置(32)を用いて、前記圧延ロール間隙(W)のためのこの絶対的な値が、この圧延ロール間隙(W)のための目標値(h
REF)と比較され、且つ、
このことに基づいて、次いで、少なくとも1つの支持ロール(18;20)が、液圧的に圧下され、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値(h
REF)へと調節されること、
を特徴とする方法。
【請求項12】
前記制御装置(32)は、前記数学的なモデル(34)に関して、
前記支持ロール(18;20)の前記位置の前記測定によって直接的に決定された前記圧延スタンド(12)の伸長の部分が、スタンドのばね弾性から除去されるように、
調整されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御装置(32)は、数学的な補償モデル(36)を備えており、
この数学的な補償モデルによって、前記作業ロール(16)及び/または前記支持ロール(18、20)の熱量および摩耗が計算され、
その際、この値が、少なくとも1つの支持ロール(18;20)の液体的な圧下のために考慮され、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値へと調節されることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
上側/下側の前記支持ロール(18;20)の位置は、複数の上側/下側のセンサー(24;25)によって測定され、
これらセンサーが、それぞれに、それぞれの前記支持ロール(18;20)の幅に沿って配置されていることを特徴とする請求項11から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、それぞれに、光学的なセンサーとして形成されていることを特徴とする請求項11から14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)のために、電磁場が利用されることを特徴とする請求項11から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記センサーと隣接して、それぞれ1つの吹き離し装置(28)が設けられており、
この吹き離し装置によって、支持ロール(18;20)とセンサー(24;25)との間に存在する空間(R)内へと、圧縮空気が導入されることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による金属ストリップの圧延のための装置、および、請求項11の上位概念による、相応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ストリップの形態における圧延材の製造もしくは圧延において、このために使用される圧延スタンドの作業ロールの間の圧延ロール間隙が精確に調節され得ることは、特に製品品質に関して意義がある。圧延ロール間隙のそのような調節は、他方また、圧延において、もしくは、圧延スタンドの作動状態において、結果として生じる圧延ロール間隙に関する精確な情報が存在することを前提条件として必要とする。
この目的のために、従来技術により、圧延スタンドの作業ロールの間の金属ストリップの厚さを、ゲージメーター原理(Gaugemeter-Prinzip)により決定することは公知である。圧延材の厚さは、その際、上側のロールのロール胴と下側のロールのロール胴との間の間隔に相応する。この間隔の計算のために、ゼロ点を出発点としての、圧下シリンダー内における位置の変化が利用される。
金属ストリップの圧延において、作業ロールは、圧延力によって互いに離間するように押圧される。何故ならば、スタンド全体が、ばね弾性体(Feder)のように作用するからである。これに伴って、これら作業ロールの間隔は、圧延の間じゅう、圧下シリンダーの移動と、スタンドの弾性的な伸長との合計として与えられる。このスタンドの伸長は、横方向ヘッド内において測定された力から計算される。
【0003】
前記で述べられた圧延スタンドの伸長の計算との関連において、スタンド特性曲線は、重要な成分を形成し、この成分によって、圧延スタンドの伸長が、力の関数として、この目的のために使用される力測定装置(「ロードセル」)内において計算され得る。このことは、伸長のそのような計算のために、スタンド特性曲線が周知されている必要があることを意味する。
そのような計算の準備作業のために、スタンド特性曲線は、先ず第一に、圧延材無しに、作業ロールの直接的な互いに向かい合っての作動によって検出される。その際、スタンド特性曲線の成分は、ストリップの幅、および、作業ロールの直径に依存する。
この成分は、ただ、如何なる金属ストリップもこれら作業ロールの間で存在せず、且つ、これに伴って、これら作業ロールが、直接的に互いに向かい合ってもしくは相対して押圧される場合に関してだけ、測定され得る。
【0004】
作業ロールの幅よりも小さい幅を有する金属ストリップの圧延のために、特性曲線は、スタンドの数学的な補償モデルを基礎として、現在の幅へと換算される必要がある。換言すれば、スタンド特性曲線は、圧延されるべき金属ストリップがロール胴幅よりも幅狭である場合に関して換算される必要があり、このことは、しかしながら通常の場合である。この目的のために使用可能な数学的な補償モデルは不精確であり、もしくは、正確でなく、従って、これに伴って、同様に如何なる正確な厚さも与えられない。
圧延ロール間隙の実際上の大きさ、もしくは、圧延の間じゅう調節されるこの実際の厚さの、従来の決定における更なる欠点は、力測定が、付加的に摩擦力によって不正にされること、および、圧延スタンドのロールの摩耗が、同様に計算により捕捉される必要があることにある。このことによって、更に別の誤差が、圧延ロール間隙の実際の厚さの計算において生じる可能性がある。
【0005】
従来技術により、特許文献1および特許文献2から、それぞれに、
金属ストリップの圧延の際に圧延ロール間隙の決定のために、同様に支持ロールの位置も測定技術的に決定すること、および、相応して考慮することは公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許出願公開第108114993 A号明細書
【文献】特開昭62-073417A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
相応して本発明の根底をなす課題は、圧延スタンドの作動状態において、所属する作業ロールの間の金属ストリップの圧延の際に調節される圧延ロール間隙の決定を、より高い精確性を考慮して、簡単な手段を用いて最適化すること、および、次いで所望された目標値へと調節することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に記載された特徴を有する装置によって、および、同じように、請求項11の特徴を有する方法によって解決される。本発明の更なる構成は、従属請求項内において規定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従う装置は、金属ストリップ、特に鋼ストリップの圧延のために利用される。そのような装置は、圧延スタンドを備えており、この圧延スタンドが1つの台架対から形成されており、および、
一対の作業ロールと、上側の支持ロールと下側の支持ロールとを備えており、
その際、前記作業ロールと前記支持ロールとが、それぞれに、所属して設けられたチョックによって、前記圧延スタンドに保持されている。
前記作業ロールの間に、圧延ロール間隙が形成可能であり、その際、前記作業ロールがそれぞれに所属して設けられた少なくとも1つの支持ロールによって支持可能である。
更に、前記装置は測定装置を備え、この測定装置を用いて、前記作業ロールの間の前記圧延ロール間隙の値が決定可能である。
少なくとも1つの支持ロールの前記チョックは、前記圧延スタンド内において移動可能に案内されており、且つ、液圧シリンダーによって垂直方向に圧下され得る。
前記測定装置は、
少なくとも1つの上側のセンサーを有し、この上側のセンサーによって、前記上側の支持ロールの少なくとも1つの点からの、予め定められた上側の基準点への間隔が測定可能であり、および、
少なくとも1つの下側のセンサーを有し、この下側のセンサーによって、前記下側の支持ロールの少なくとも1つの点からの、予め定められた下側の基準点への間隔が測定可能である。
前記測定装置は、力測定装置を備えており、この力測定装置が、支持ロール、有利には下側の支持ロールのチョックと、前記圧延スタンドとの間で位置決めされており、
その際、前記力測定装置を用いて、前記圧延スタンドによって生成される圧延力が測定可能である。
本発明に従う装置は、更に、制御装置を備えており、
この制御装置が、前記測定装置と信号技術的に接続されており、
その際、前記制御装置が、少なくとも、数学的なモデルを備えており、この数学的なモデルによって、前記圧延スタンドの伸長が、生成された圧延力の考慮のもとで計算可能である。
その際、前記制御装置は、プログラム技術的に、
上側/下側の前記センサーの測定値に基づいて、上側/下側の前記支持ロールの測定された位置、および、前記数学的なモデルによって計算された、前記圧延スタンドの伸長に関して、
前記圧延ロール間隙の絶対的な値、および、これに伴って、前記圧延材の結果として生じる厚さが決定可能であるように、構成されており、
その際、前記制御装置を用いて、前記圧延ロール間隙のためのこの絶対的な値が、前記圧延ロール間隙のための目標値と比較可能であり、且つ、このことに基づいて、次いで、前記液圧シリンダーが、所属して設けられた前記支持ロールの垂直方向の移動のために制御可能であり、
このことによって、前記圧延ロール間隙、もしくは、前記金属ストリップの形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、所望された前記目標値へと調節される。
【0010】
同じように、本発明は、金属ストリップ、特に鋼ストリップの圧延のための方法を意図する。この方法において、本発明に従う装置が説明されているように使用され得、いずれの場合でも、この方法において、圧延スタンドにおける、金属ストリップの圧延のための装置に装着されている作業ロールの間の圧延ロール間隙が調節される。
本発明に従う方法は、
上側/下側の前記支持ロールの間隔が、それぞれに少なくとも1つの点において、この点から、予め定められた上側/下側の基準点へと、上側/下側のセンサーによって測定され、且つ、
前記センサーの前記測定値が、制御装置へと送信されること、
前記圧延スタンドの伸長が、前記制御装置が備える数学的なモデルによって、生成された圧延力の考慮のもとで計算されること、および、
前記制御装置を用いて、
前記上側のセンサーと前記下側のセンサーとによって測定された前記支持ロールの位置と、前記数学的なモデルによって計算された前記圧延スタンドの伸長とに基づいて、
前記圧延ロール間隙の絶対的な値、および、これに伴って、前記圧延材の結果として生じる前記厚さが決定される、
ことによって特徴付けられている。
この制御装置を用いて、次いで、前記圧延ロール間隙のためのこの絶対的な値が、この圧延ロール間隙のための目標値と比較され、且つ、
このことに基づいて、次いで、少なくとも1つの支持ロールが、有利には、液圧的に圧下され、
このことによって、前記圧延ロール間隙、もしくは、前記金属ストリップの形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値へと調節される。
【0011】
本発明は、支持ロールもしくは所属する支持ロール胴の移動が、直接的に測定技術的に、適当なセンサーによって、即ち上側のセンサー及び/または下側のセンサーによって検出され、従って、支持ロールのこの移動が、もはや、数学的なモデルを用いて計算される必要がないことの重要な認識を基礎としている。
換言すれば、支持ロール移動の測定によって、既に、圧延スタンドの実際の伸長の大きな部分は、測定技術的に決定され、且つ、その場合に、もはや(正確でない)数学的なモデルに基づいて、摩擦を伴う力測定から計算される必要がない。
このことによって、同様に、冒頭で述べられた従来技術により意図されているような、ロールの撓みに対するストリップ幅の影響の間違い易い計算が行われなくて良いことの利点も与えられる。
【0012】
支持ロール胴の移動の直接的な測定との関連における本発明の更なる利点は、この測定によって、支持ロールの偏心性が直接的に測定され得ることにある。このことによって、圧延作業内において生じる可能性がある支持ロールの偏心性を、その場合に、ほぼ完全に補償することは可能である。
【0013】
支持ロールの移動の直接的な測定は、本発明に従い、少なくとも1つの、または、複数の点において、このまたはこれら点から、相応する支持ロールの幅にわたって、即ち間隔に関して、予め定められた上側もしくは下側の基準点へと行われる。
このことに基づいて、支持ロールの正確、もしくは、絶対的な位置は、圧延作業の間じゅうのこの支持ロールの可能な変形の考慮のもとでも、空間内において可能であり、且つ、それ故に、-圧延スタンドの計算された伸長の更なる考慮のもとで-その場合に、圧延ロール間隙の絶対的な値の決定、もしくは、作業ロールの間の、金属ストリップの形態における圧延材の厚さの決定が保証されている。
【0014】
ここで、特徴「圧延スタンドの伸長」が、本発明の趣旨において、少なくとも、以下の成分:即ち、
- 圧延スタンドに所属して設けられている、台架もしくは台架対の伸長、
- 圧延材もしくは金属ストリップに対する、作業ロールの扁平化、及び/または、
- 作業ロールと支持ロールとの間で生じる扁平化、
によって形成されることは、別個に指摘される。
【0015】
前記で述べられているように、圧延スタンドのそのような伸長は、制御装置が備える数学的な補償モデルの使用によって、適当に計算され得る。
【0016】
本発明の有利な更なる構成において、
前記制御装置が、前記数学的なモデルに関して、プログラム技術的に、前記支持ロールの前記位置の前記測定によって直接的に決定された前記圧延スタンドの伸長の部分が、スタンドのばね弾性(Geruestfeder)から除去されること、
が意図されていることは可能である。
【0017】
センサー(即ち、上側のセンサー及び/または下側のセンサー)の附設は、圧延スタンドの横方向クロスメンバーにおいて行われ得、これら横方向クロスメンバーが、台架対の間で装着されている。具体的に、このことは、上側のセンサーが上側の横方向クロスメンバーに装着されていることが可能であり、その際、下側のセンサーが下側の横方向クロスメンバーに装着されていることが可能であることを意味する。
【0018】
下側のセンサーに関して、ここで、この下側のセンサーが、選択的に、圧延スタンドの基礎部において装着されていることが可能であることは、別個に指摘される。
このことによって、下側のセンサーに関して、更に改善された測定精確性が保証される。何故ならば、基礎部の変形が、同様に装置の作動状態においても、起こりそうに無く、および、これに伴って、下側のセンサーの位置不変の附設もしくは位置決めが達成されるからである。
【0019】
本発明の有利な更なる構成において、センサー(即ち、前記上側のセンサー及び/または前記下側のセンサー)が、それぞれに、光学的なセンサーとして形成されていることは可能である。この場合に関して、前記上側のセンサー)及び/または前記下側のセンサーが、レーザー三角測量センサーの形態で、または、共焦点のセンサーの形態で形成されていることは可能である。
【0020】
本発明の有利な更なる構成において、センサー(即ち、前記上側のセンサー及び/または前記下側のセンサー)のために、電磁場が利用されることは可能である。この場合に関して、前記上側のセンサー及び/または前記下側のセンサーが、渦電流センサーとして形成されていることは合目的である。
【0021】
前記で述べられた、可能なセンサーの実施形態に関して、同様に「混合形態」も可能である。このことは、例えば、上側のセンサーが光学的なセンサーとして形成されており、その際、下側のセンサーのために電磁場が利用され、および、これに伴って、この下側のセンサーが、渦電流センサーとして形成されていることが可能であることを意味する。
このことは、同様に、逆の場合、即ち渦電流センサーとしての上側のセンサーの形成、および、光学的なセンサーとしての下側のセンサーの形成の場合に関しても言えることである。
【0022】
本発明の有利な更なる構成に従い、
前記上側センサーおよび前記下側のセンサーと隣接して、それぞれ1つの吹き離し装置が配置されており、
この吹き離し装置によって、支持ロールとセンサーとの間に存在する空間(R)内へと、圧縮空気が導入され得る。
このようにして、例えば、水霧、汚染物質微粒子、または、匹敵可能な不都合な粒子が、支持ロールとセンサーとの間で存在する空間から吹き飛ばされ得、もしくは、除去され得、その結果として、その場合に、所属して設けられた支持ロールの測定された位置に関しての、それぞれのセンサーのための測定精確性が改善される。
【0023】
特に薄い材料もしくは金属ストリップにおける厚さ障害の調節の際に、「HGC」(
図3、
図4を参照)、もしくは、圧延スタンドの支持ロールの移動は、遥かに大部分、変化するスタンドの伸長の補償から結果として生じる。
この伸長は、以下の式によって決定される:即ち、
伸長=測定された圧延力÷スタンドのばね弾性
【0024】
言葉で表現すれば、伸長は、-簡略的に表現すれば-測定された圧延力とスタンドのばね弾性との商から決定される。
圧延スタンドの伸長の部分が、特に支持ロールの変形もしくは移動が本発明に従いここで直接的、測定技術的に上述されたセンサーによって検出されることに基づいて、
そのことによってスタンドのばね弾性がより大きくなる、これら伸長の測定された部分は、スタンドのばね弾性から除去され得る。
このスタンドのばね弾性がより大きいことの結果として、計算された伸長はより小さくなる。これに伴って、同様に測定された(圧延-)力内における摩擦の影響もより小さくなる。同様にスタンドのばね弾性のパーセントによる誤差も、このことによって、その結果、より小さな伸長誤差となる。
【0025】
本発明の有利な更なる構成において、
前記制御装置が、数学的な補償モデルを備えていることは可能であり、
この数学的な補償モデルを用いて、作業ロール及び/または支持ロールの熱量および摩耗が計算され得る。
このようにして、作業ロール及び/または支持ロールの摩擦および温度に起因する直径の変化を、圧延工程の間じゅう、直接的に計算により決定することは可能である。このことは、少なくとも1つの支持ロールの液体的な圧下のために考慮され、このことによって、前記圧延ロール間隙、もしくは、前記金属ストリップの形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値へと調節される。
従って、本発明に従う装置の作動状態において、もしくは、本発明に従う方法の実施の際に、一方では、調節される圧延ロール間隙に関する精確性を改善すること、および、他方では、作業ロール及び/または支持ロールの現在の摩耗状態の情報を得ることは可能であり、従って、実際的に必要のある場合(および、時間に依存しない、即ち予め与えられた固定された時点の後)に初めて、それぞれのロールの交換が行われる。
【0026】
本発明の更なる詳細および利点は、以下で図に基づいて説明される実施例から与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】金属ストリップの圧延のための、本発明に従う装置の簡略化された図である。
【
図2】本発明の更に別の実施形態に従う、金属ストリップの圧延のための装置の簡略化された図である。
【
図3】所属する制御装置の制御回路の象徴的表現のために補足された、
図1もしくは
図2の本発明に従う装置の簡略化された図である。
【
図4】所属する制御装置の制御回路の象徴的表現のために補足された、本発明の更に別の実施形態に従う、
図1もしくは
図2の装置の簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下で、
図1~4の参照のもとで、金属ストリップの圧延のための、本発明に従う装置10、および、所属する方法の有利な実施形態を示し、且つ説明する。図内における同じ特徴は、それぞれに、同じ参照符号を付けられている。ここで、この図が、単に簡略化されており、且つ、特に尺度無しに図示されていることは、別個に指摘される。
【0029】
図1内において、第1の実施形態による本発明に従う装置10の部材の、簡略化された図が示されている。この装置は、一対の台架14を有する圧延スタンド12を備えており、これら台架14の間に、一対の作業ロール16が、回転可能に軸受されて配置されている。
更に、これら台架14の間に、上側の支持ロール18と下側の支持ロール20とが、回転可能に軸受されて装着されており、且つ、それぞれに、1つの作業ロール16に対して隣接して配置されている。
【0030】
この装置10は、
図1の実施例において、総じて4つのロールを、即ち上述されているように2つの作業ロール16と2つの支持ロール18、20とを備えている。これに伴って、この装置10の所属する圧延スタンド12は、いわゆる4重式圧延スタンドである。
【0031】
作業ロール16と支持ロール18、20とは、圧延スタンド12において、もしくは、所属する台架14において、それぞれに所属するチョックEによって保持されている。
図1内において、簡略化された図示の目的で、これらチョックEの内の1つのチョックだけが、参照符号を付けられて示されている。
【0032】
少なくとも1つの支持ロール18、20のチョックEは、圧延スタンド内において垂直方向に移動可能に案内されており、且つ、その際、1つの液圧シリンダー22に所属して設けられている。
図1内において、このことは、例示的に上側の支持ロール18に関して図示されている。
液圧シリンダー22の作動によって、上側の支持ロール18を垂直方向において圧下すること、および、このことによって、両方の作業ロール16の間の間隔を変化させることは可能である。
【0033】
圧延スタンド12の台架14の間に、上側の横方向クロスメンバーQ1と下側の横方向クロスメンバーQ2とが装着されている。
【0034】
本発明に従う装置10は、測定装置を備えており、この測定装置を用いて、両方の作業ロール16の互いの間隔が、および、これに伴って、このことから結果として生じる、これら作業ロールの間の圧延ロール間隙W(
図3、
図4を参照)が決定され得る。
【0035】
前記で述べられた測定装置は、
図1の実施形態において、上側の横方向クロスメンバーQ1に装着されている少なくとも1つの上側のセンサー24と、下側の横方向クロスメンバーQ2に装着されている少なくとも1つの下側のセンサー25とを備えている。
図1の図示内において、これらセンサー24、25は、簡略化されて単にそれぞれに矢印だけによって図案化されている。
【0036】
上側のセンサー24によって、上側の支持ロール18の間隔が、少なくとも一点において、この点から、予め定められた上側の基準点P1へと測定され得る。同じ方法で、下側のセンサー25によって、下側の支持ロール20の間隔が、少なくとも一点において、この点から、予め定められた下側の基準点P2へと測定され得る。
【0037】
本発明の趣旨において、前記で述べられた基準点P1およびP2は、不動の点を形成し、これら点に対して、支持ロール18、20の移動の測定が、センサー24、25を用いて行われる。
例えば、そのことが
図1の実施形態において相応する円によって図案化されているように、これら基準点P1、P2が、上側の横方向クロスメンバーQ1、もしくは、下側の横方向クロスメンバーQ2において定められていることは可能である。
【0038】
選択的な実施形態に従い、下側のセンサー25に関して、この下側のセンサーが、-下側の横方向クロスメンバーQ2においての代わりに-圧延スタンド12の基礎部F(
図1を参照)において装着されていること、が意図されていることは可能である。この場合に関して、予め定められた下側の基準点P2は、合目的に、同様に基礎部Fにおいて定められている。
【0039】
図1の実施形態において、センサー24、25は、それぞれに、横方向クロスメンバーQ1、Q2の中央の領域内において装着されている。相応して、支持ロール18、20の間隔は、1つの中央の領域内において、この領域から、予め定められた基準点P1、P2へと、センサー24、25を用いて測定される。
このことは、それらセンサー24、25によってそれぞれに1つの点への間隔が、所属する支持ロール18、20の中央において測定されるように、上側のセンサー24と下側のセンサー25とが、圧延スタンド12の幅に関して位置決めされていることを意味する。
【0040】
測定装置は、更に、力測定装置30を備えており、この力測定装置が、支持ロールのチョックと、圧延スタンド12との間に位置決めされている。
図1の図示内において、例示的に、そのような力測定装置30のための1つの配置が示されており、この力測定装置は、ここで、下側の支持ロール20のそれぞれのチョックEに対して隣接して配置されている。この力測定装置30を用いて、圧延スタンド12内において発生される圧延力を測定技術的に検出することは可能である。
【0041】
本発明に従う装置10は、同様に吹き離し装置28も備えており(
図1を参照)、これら吹き離し装置が、それぞれに上側のセンサー24および下側のセンサー25に対して隣接して配置されている。これら吹き離し装置28を用いて、支持ロール18、20と、それぞれのセンサー24、25との間に存在する空間R内へと圧縮空気29を導入することは可能である。例えば、そのような吹き離し装置28が、送風機またはベンチレータの形態で形成されていることは可能である。
いずれの場合でも、そのような吹き離し装置28と、この吹き離し装置28によって生成される圧縮空気29とによって、支持ロール18、20とセンサー24、25との間の空間R内において、例えば水霧、汚染物質微粒子またはその種の他のものから形成されていることが可能である不都合な微粒子が、効果的に除去されることは達成される。このことは、支持ロール18、20の移動に関する、センサー24、25の測定精確性の改善に対する重要な寄与を果たす。
【0042】
図2内において、本発明に従う装置10の第2の実施形態の部材が示されている。
図1の第1の実施形態との相違において、その際、上側の支持ロール18および下側の支持ロール20に対して隣接して、それぞれに複数の上側のセンサー24もしくは下側のセンサー25が配置されており、これらが、
図1においてと同じ方法において、ここで、それぞれに簡略化されて、単に矢印だけによって図案化されている。
例示的に、ここで、それぞれの支持ロール18、20の幅方向延在に沿って、それぞれに3つのセンサー24、25が配置されている。これに関連して、上側のセンサー24もしくは下側のセンサー25に関する複数が、同様に3つと異なっていることも可能であり、即ち、例えば、同様に3つよりもより多いかまたはより少ないかであることも可能であることは、自明のことである。
その他の点では、
図2の実施形態は、
図1の実施形態に相応し、従って、繰返しを回避するために、
図1に対する説明を参照して頂きたい。
【0043】
以下で、
図3および4内において、本発明に従う装置10およびこの装置の機能態様に関する、並びに、本願発明に従う方法に関する、更に別の特徴を示し、且つ説明する。
【0044】
図3の実施形態は、
図1もしくは
図2の実施形態に相応し、その際、ここで特に、同様に制御装置32、および、所属する制御回路の詳細も示されており、この制御装置が、同様に、本発明に従う装置10の構成要素である。
【0045】
先ず第一に、
図3に関して、その際、それぞれ1つの上側のセンサー24および下側のセンサー25が、所属する支持ロール18、20の中央の領域内において配置されていことは指摘されてしかるべきである。このことは、
図1の図示に相応する。
選択的に、それぞれに、複数の上側のセンサー24および下側のセンサー25が、所属する支持ロール18、20の幅に沿って配置されていることは意図されており、その際、これら更に別のセンサーが、ここで、それぞれに、破線の矢印によって図案化されている。そのような複数のセンサー24、25は、その場合に、
図2の図示に相応している。
【0046】
図3は、上側のセンサー24と下側のセンサー25と、および、同様に力測定装置30とが、それぞれに信号技術的に制御装置32と接続されていることを明瞭に示している。このようにして、制御装置32は、圧延作業において生じる可能性のある、支持ロール18、20の移動もしくは変形に関する情報を与えられる。
【0047】
制御装置32は、数学的なモデル34を備えており、この数学的なモデルによって、圧延スタンド12の伸長が、生成された圧延力の考慮のもとで計算され得る。その際、本発明に従い、圧延スタンドの駆動側で測定された圧延力(「F
AS」)に関する測定値と、圧延スタンドの操作者側で測定された圧延力(「F
BS」)に関する測定値とが、それぞれに、この数学的なモデル34に送信されることは意義がある。
これに関連して、生成された圧延力が、
図3内において、相応するおよび台架14内において位置決めされたブロック矢印によって図案化されていることは指摘される。
【0048】
前記で他の場所において既に述べられているように、本発明に従い、圧延スタンド12の伸長は、数学的なモデル34によって計算され得る。
図3内において、これに関連して、圧延作業において、一方では、金属ストリップBと作業ロール16との間の、および、他方では、これら作業ロール16とこれら作業ロールと隣接する支持ロール18との間の、扁平化の事態となることは図示されている。これら扁平化は、数学的なモデル34を用いて計算された、圧延スタンド12の伸長の部分を形成する。
【0049】
図4は、本発明に従う装置10の第3の実施形態を図示している。
図3の実施形態との相違において、その際、センサー24、25は、それぞれに、位置調節装置26を備えており、これら位置調節装置26によって、それぞれのセンサー24、25の位置が、所属する支持ロール18、20の異なる直径に対して適合され得る。
このことは、それぞれの支持ロール18、20のロール直径に依存して、センサー24、25が、圧延スタンド12から、垂直方向に内へとまたは外へと移動され得ることを意味する。換言すれば、上述されているように支持ロール18、20のそれぞれの直径に対する適合状態において、位置調節装置26を用いて、上側のセンサー24もしくは下側のセンサー25の位置は、上側の支持ロール18もしくは下側の支持ロール20に対して相対的に変化され得る。
この実施形態のその他の特徴に関して、
図4の実施形態は、
図3の実施形態に相応し、従って、従って、繰返しを回避するために、
図3に対する説明を参照して頂きたい。
【0050】
更に、
図3もしくは
図4内において使用されている符号は、以下のように理解される:即ち、
-AGC:「自動板厚制御(Automatic Gauge Control)」:
このことは、少なくとも1つの支持ロールの相応する垂直方向の圧下調節による、圧延ロール間隙の自動的な調節を意味する。
-HGC
AS:駆動側ASにおける「液圧板厚制御(Hydraulic Gauge Control)」:
このことは、駆動側ASにおいて、上側の支持ロール18のチョックEに所属して設けられている液圧シリンダー22の制御を意味する。
-s
AS:道程を意味し、この道程だけ、駆動側ASにおける上側の支持ロール18のチョックEが、そこで配置されている液圧シリンダー22の圧下調節の際に、垂直方向に移動される。
-HGC
BS:操作者側BSにおける「液圧板厚制御(Hydraulic Gauge Control)」:
このことは、操作者側BSにおいて、上側の支持ロール18のチョックEに所属して設けられている液圧シリンダー22の制御を意味する。
-s
BS:道程を意味し、この道程だけ、操作者側BSにおける上側の支持ロール18のチョックEが、そこで配置されている液圧シリンダー22の圧下調節の際に、垂直方向に移動される。
【0051】
本発明は、ここで、以下のように機能する:即ち、
【0052】
金属ストリップの圧延のために、この金属ストリップは、圧延スタンド12の作業ロール16の間で貫通案内される。その際、これら作業ロール16は、互いに離間されており、従って、これら作業ロール16の間で、圧延ロール間隙が形成される。
図3および4内において、金属ストリップは、それぞれに「B」によって参照符号を付けられており、且つ、この金属ストリップBの収納のもとで作業ロール16の間で調節される、圧延ロール間隙が、矢印「W」によって図案化されている。
【0053】
圧延作業において、予め定められた上側の基準点P1に対しての少なくとも1つの点(
図1を参照)における、または、支持ロール18の幅方向延在に沿っての例えば3つの点における(
図2を参照)、上側の支持ロール18の間隔は、この上側のセンサーもしくはこれら上側のセンサー24によって測定され、その際、結果として生じる測定値が、次いで、制御装置32へと送信される。
同じ方法において、予め定められた下側の基準点P2に対しての、少なくとも1つの点(
図1を参照)における、または、下側の支持ロール20の幅方向延在に沿っての例えば3つの点における(
図2を参照)、下側の支持ロール20の間隔は、この下側のセンサーもしくはこれら下側のセンサー25によって測定される。次いで、これらセンサー24、25の測定信号は、制御装置32へと送信される。
【0054】
力測定装置30によって測定された圧延力FAS、FBSの考慮のもとで、前述されているように、圧延スタンドの伸長は、数学的なモデル34によって計算される。
【0055】
次いで、本発明に従う方法により、
制御装置32を用いて、上側のセンサー24と下側のセンサー25とによって測定された支持ロール18、20の位置と、数学的なモデル34によって計算された圧延スタンド12の伸長とに基づいて、圧延ロール間隙Wの絶対的な値、および、これに伴って、圧延材の結果として生じる厚さが決定され、
その際、この制御装置32を用いて、圧延ロール間隙Wのためのこの絶対的な値(「hAct」)が、この圧延ロール間隙Wのための目標値(「hREF」)と比較され、且つ、このことに基づいて、次いで、少なくとも、支持ロール18が、液圧的に、液圧シリンダー22によって垂直方向において圧下され、
このことによって、圧延ロール間隙W、もしくは、金属ストリップBの形態における圧延材の結果として生じる厚さが、制御された状態で、目標値へと調節される、
ことは意図される。
【0056】
前記で述べられた本発明に従う方法の実施のために、制御装置32は、相応してプログラム技術的に構成されている。
このことは、本願発明に関して、
制御装置32を用いて、上側のセンサー24と下側のセンサー25との測定値に基づいて、
上側および下側の支持ロール18、20の測定された位置、および、数学的なモデル34によって計算された圧延スタンド12の伸長に関して、圧延ロール間隙Wの絶対的な値、および、これに伴って、圧延材の結果として生じる厚さが決定され得る、
ことを意味する。
上記のことに引き続いて、
この制御装置32を用いて、この絶対的な値hActは、圧延ロール間隙Wのための目標値hREFと比較され、且つ、
このことに基づいて、次いで、液圧シリンダー22が、、所属して設けられた上側の支持ロール18の垂直方向の移動のために制御され、
このことによって、圧延ロール間隙W、もしくは、金属ストリップBの形態における圧延材の結果として生じる厚さが、制御された状態で、所望された目標値へと調節される。
【0057】
測定精確性の更なる改善のために、本発明に従い、制御装置32が、数学的な補償モデルを備えていることが意図されていることは可能であり、この数学的な補償モデルが、
図3もしくは4内において、それぞれに「36」によって参照符号を付けられており、且つ、参照符号「補償」が備えられている。
そのような数学的な補償モデル36を用いて、作業ロール16及び/または支持ロール18、20の熱量および摩耗は計算され得、その際、このことに基づいて、相応する補正量が、制御区間内へと導入され得る。
【0058】
本願発明は、前記で、装置10の可能な実施形態との関連のもとで説明され、この装置が、いわゆる、「4重式圧延スタンド」に相応する。
この目的のために選択的に、本発明に従う装置10は、同様にいわゆる「6重式圧延スタンド」の形態で形成されていることも可能であり、その際、圧延スタンド12が、総じて4つの支持ロールを備えている。この場合に関して、その場合に、支持ロール18、20のために前記で行われた説明は、必要に応じて変化を与えて、それぞれに、6重式圧延スタンドの外側の支持ロールに対して関連付けられ、従って、結果として、且つ、同じ方法において、圧延ロール間隙W、もしくは、金属ストリップBの形態における圧延材の結果として生じる厚さが、制御された状態で、所望された目標値へと調節される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 金属ストリップ(B)、特に鋼ストリップの圧延のための装置(10)であって、
この装置が、圧延スタンド(12)を備え、この圧延スタンドが一対の台架(14)から形成されており、
前記装置が、一対の作業ロール(16)と、上側の支持ロールと下側の支持ロール(18;20)とを備え、
前記作業ロール(16)と前記支持ロール(18;20)とが、それぞれに、所属して設けられたチョック(E)によって、前記圧延スタンド(12)に保持されており、前記作業ロール(16)の間に、圧延ロール間隙が形成可能であり、且つ、前記作業ロール(16)がそれぞれに所属して設けられた少なくとも1つの支持ロール(18;20)によって支持可能であり、および、
前記装置が、測定装置を備え、この測定装置を用いて、前記作業ロール(16)の間の前記圧延ロール間隙(W)の値が決定可能である、
上記装置において、
少なくとも1つの支持ロール(18;20)の前記チョック(E)が、前記圧延スタンド(12)内において移動可能に案内されており、且つ、液圧シリンダー(22)によって垂直方向に圧下可能であること、
前記測定装置が、
少なくとも1つの上側のセンサー(24)を有し、この上側のセンサーによって、前記上側の支持ロール(18;20)の少なくとも1つの点からの、予め定められた上側の基準点(P1)への間隔が測定可能であり、および、
少なくとも1つの下側のセンサー(25)を有し、この下側のセンサーによって、前記下側の支持ロール(18;20)の少なくとも1つの点からの、予め定められた下側の基準点(P2)への間隔が測定可能であること、
前記測定装置が、力測定装置(30)を備えており、この力測定装置が、支持ロール(18;20)、有利には下側の支持ロール(20)のチョック(E)と、前記圧延スタンド(12)との間で位置決めされており、
前記力測定装置(30)を用いて、前記圧延スタンド(12)によって生成される圧延力が測定可能であること、
制御装置(32)が設けられており、この制御装置が、前記測定装置と信号技術的に接続されており、
前記制御装置(32)が、少なくとも、数学的なモデル(34)を備えており、この数学的なモデルによって、前記圧延スタンド(12)の伸長が、生成された圧延力の考慮のもとで計算可能であること、および、
前記制御装置(32)が、プログラム技術的に、
上側/下側の前記センサー(25)の測定値に基づいて、上側/下側の前記支持ロール(18;20)の測定された位置、および、前記数学的なモデル(34)によって計算された、前記圧延スタンド(12)の伸長に関して、
前記圧延ロール間隙(W)の絶対的な値、および、これに伴って、前記圧延材の結果として生じる厚さが決定可能であるように、
構成されており、
前記制御装置(32)を用いて、前記圧延ロール間隙(W)のためのこの絶対的な値が、前記圧延ロール間隙(W)のための目標値(h
REF
)と比較可能であり、且つ、このことに基づいて、次いで、前記液圧シリンダー(22)が、所属して設けられた前記支持ロール(18;20)の垂直方向の移動のために制御可能であり、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、所望された前記目標値(h
REF
)へと調節される、
ことを特徴とする装置(10)。
2. 前記制御装置(32)は、数学的な補償モデル(36)を備えており、
この数学的な補償モデルを用いて、作業ロール(16)及び/または支持ロール(18、20)の熱量および摩耗が計算され得ることを特徴とする上記1に記載の装置(10)。
3. 前記圧延スタンド(12)は、上側の横方向クロスメンバー(Q1)を有しており、
この上側の横方向クロスメンバーに、前記上側のセンサー(24)が装着されていることを特徴とする上記1または2に記載の装置(10)。
4. 前記圧延スタンド(12)は、下側の横方向クロスメンバー(Q2)を有しており、
この下側の横方向クロスメンバーに、前記下側のセンサー(25)が装着されていることを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の装置(10)。
5. 前記下側のセンサー(25)は、前記圧延スタンド(12)の基礎部(F)に装着されていることを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の装置(10)。
6. 前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、それぞれに、所属して設けられた位置調節装置(26)と接続されており、
その際、前記位置調節装置(26)を用いて、上側もしくは下側の前記センサー(25)の位置が、上側もしくは下側の前記支持ロール(18;20)に対して相対的に変化可能であることを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載の装置(10)。
7. 前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、
前記センサー(24;25)によって、前記支持ロール(18;20)の中央における一点への間隔が測定されるように、
前記圧延スタンド(12)の幅に関して位置決めされていることを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の装置(10)。
8. 前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、それぞれに、光学的なセンサーとして形成されていること、
有利には、前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)が、レーザー三角測量センサーの形態で、または、共焦点のセンサーの形態で形成されていること、
を特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の装置(10)。
9. 前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)のために、電磁場が利用されること、
有利には、前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)が、渦電流センサーとして形成されていること、
を特徴とする上記1から8のいずれか一つに記載の装置(10)。
10. 前記上側センサーおよび前記下側のセンサー(25)と隣接して、それぞれ1つの吹き離し装置(28)が配置されており、
この吹き離し装置によって、支持ロール(18;20)とセンサー(24;25)との間に存在する空間(R)内へと、圧縮空気が導入可能であることを特徴とする上記8または9に記載の装置(10)。
11. 前記上側の支持ロールもしくは前記下側の支持ロール(18;20)と隣接して、それぞれに、複数の上側のセンサー(24)もしくは下側のセンサー(25)が、所属して設けられた支持ロール(18;20)の幅に沿って設けられていることを特徴とする上記1から10のいずれか一つに記載の装置(10)。
12. 有利には、上記1から11のいずれか一つによる装置(10)による、金属ストリップ(B)、特に鋼ストリップの圧延のための方法であって、
この方法において、圧延スタンド(12)に装着された作業ロール(16)の間の圧延ロール間隙(W)が調節される上記方法において、
上側/下側の前記支持ロール(18;20)の、それぞれに少なくとも1つの点における、この点からの、予め定められた上側/下側の基準点(P1;P2)への間隔が、上側/下側のセンサー(25)によって測定され、且つ、
前記センサーの前記測定値が、制御装置(32)へと送信されること、
前記圧延スタンド(12)の伸長が、前記制御装置(32)が備える数学的なモデル(34)によって、生成された圧延力の考慮のもとで計算されること、および、
前記制御装置(32)を用いて、
前記上側のセンサー(24)と前記下側のセンサー(25)とによって測定された前記支持ロール(18;20)の位置と、前記数学的なモデル(34)によって計算された前記圧延スタンド(12)の伸長とに基づいて、
前記圧延ロール間隙(W)の絶対的な値、および、これに伴って、前記圧延材の結果として生じる前記厚さが決定され、
その際、この制御装置(32)を用いて、前記圧延ロール間隙(W)のためのこの絶対的な値が、この圧延ロール間隙(W)のための目標値(h
REF
)と比較され、且つ、
このことに基づいて、次いで、少なくとも1つの支持ロール(18;20)が、有利には、液圧的に圧下され、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値(h
REF
)へと調節されること、
を特徴とする方法。
13. 前記制御装置(32)は、前記数学的なモデル(34)に関して、プログラム技術的に、
前記支持ロール(18;20)の前記位置の前記測定によって直接的に決定された前記圧延スタンド(12)の伸長の部分が、スタンドのばね弾性から除去されるように、
調整されることを特徴とする上記12に記載の方法。
14. 前記制御装置(32)は、数学的な補償モデル(36)を備えており、
この数学的な補償モデルによって、前記作業ロール(16)及び/または前記支持ロール(18、20)の熱量および摩耗が計算され、
その際、この値が、少なくとも1つの支持ロール(18;20)の液体的な圧下のために考慮され、
このことによって、前記圧延ロール間隙(W)、もしくは、前記金属ストリップ(B)の形態における前記圧延材の結果として生じる前記厚さが、制御された状態で、目標値へと調節されることを特徴とする上記12または13に記載の方法。
15. 上側/下側の前記支持ロール(18;20)の位置は、複数の上側/下側のセンサー(24;25)によって測定され、
これらセンサーが、それぞれに、それぞれの前記支持ロール(18;20)の幅に沿って配置されていることを特徴とする上記12から14のいずれか一つに記載の方法。
16. 前記上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)は、それぞれに、光学的なセンサーとして形成されていることを特徴とする上記12から15のいずれか一つに記載の方法。
17. 上側のセンサー(24)及び/または前記下側のセンサー(25)のために、電磁場が利用されることを特徴とする上記12から16のいずれか一つに記載の方法。
18. 前記センサーと隣接して、それぞれ1つの吹き離し装置(28)が設けられており、
この吹き離し装置によって、支持ロール(18;20)とセンサー(24;25)との間に存在する空間(R)内へと、圧縮空気が導入されることを特徴とする上記16または17に記載の方法。
【符号の説明】
【0059】
10 装置
12 圧延スタンド
14 台架
16 作業ロール
18 上側の支持ロール
20 下側の支持ロール
22 液圧シリンダー
24 上側のセンサー
25 下側のセンサー
26 (上側のセンサー24/下側のセンサー25のための)位置調節装置
28 吹き離し装置
29 圧縮空気
30 力測定装置
32 制御装置
34 数学的なモデル
36 数学的な補償モデル
B 金属ストリップ
E チョック
F 基礎部
hREF (圧延ロール間隙Wのための)目標値
Q1 上側の横方向クロスメンバー
Q2 下側の横方向クロスメンバー
P1 予め定められた上側の基準点
P2 予め定められた下側の基準点
R (支持ロール18、20とセンサー24、25との間の)空間R
W 圧延ロール間隙