(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】多層真空電子デバイスおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20241112BHJP
H01J 23/00 20060101ALI20241112BHJP
H01J 23/02 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L23/02 Z
H01J23/00 C
H01J23/02
(21)【出願番号】P 2023528965
(86)(22)【出願日】2021-11-13
(86)【国際出願番号】 US2021059277
(87)【国際公開番号】W WO2022104166
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2020-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523178042
【氏名又は名称】エルヴ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドーハティ,ダイアナ・ガムジナ
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0353576(US,A1)
【文献】特開平10-074445(JP,A)
【文献】特開2001-057146(JP,A)
【文献】特開平08-255558(JP,A)
【文献】特開平07-099026(JP,A)
【文献】特表2008-519423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01J 23/00
H01J 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオ周波数(RF)増幅器または発振器のための真空電子デバイスであって、
第1の
非磁性導体プレートと、
第2の
非磁性導体プレートと、
前記第1の
非磁性導体プレートと前記第2の
非磁性導体プレートの間に配置された、複数の
非磁性相互作用構造形成プレートと
を備え、
前記第1の
非磁性導体プレート、前記第2の
非磁性導体プレート、および前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートは
積層の形に配列され、一緒に接合され、前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートは
、電子ビームトンネル領域を含むRF相互作用領域
を形成するように一緒に結合されている、真空電子デバイス。
【請求項2】
磁性材料から形成された、少なくとも1つの磁石を備える第1の
磁性プレートをさらに備え、前記第1の
磁性プレートは、前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する前記第1の
非磁性導体プレートの側に、
積層の形に配列される、請求項1に記載の真空電子デバイス。
【請求項3】
磁性材料から形成された、少なくとも1つの磁石を備える第2の
磁性プレートをさらに備え、前記第2の
磁性プレートは、前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する前記第2の
非磁性導体プレートの側に、
積層の形に配列される、請求項2に記載の真空電子デバイス。
【請求項4】
前記第1の
非磁性導体プレートの中に1つまたは複数のポケットを形成する、請求項2に記載の真空電子デバイス。
【請求項5】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つはゲッター材料を含有する、請求項4に記載の真空電子デバイス。
【請求項6】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つは電子放射性材料を含有する、請求項4に記載の真空電子デバイス。
【請求項7】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つは回路切断材料を含有する、請求項4に記載の真空電子デバイス。
【請求項8】
ラジオ周波数(RF)増幅器または発振器のための真空電子デバイスを製作する方法であって、
非磁性導電性材料から第1の
非磁性導体プレートを形成するステップと、
非磁性導電性材料から第2の
非磁性導体プレートを形成するステップと、
複数の
非磁性相互作用構造形成プレート
の、それぞれの前記
非磁性相互作用構造形成プレートの中に相互作用ゾーンの一部分が食い込んだ
、前記複数の非磁性相互作用構造
形成プレートを形成するステップと、
前記第1の
非磁性導体プレートおよび前記第2の
非磁性導体プレートが積層の外側になるように、前記第1の
非磁性導体プレート、
前記複数の非磁性相互作用構造
形成プレート、および前記第2の
非磁性導体プレートを前記積層の形に配置するステップと、
前記第1の
非磁性導体プレート、前記
複数の非磁性相互作用構造
形成プレート、および前記第2の
非磁性導体プレートを一緒に接合
し、一緒に接合された前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートが、電子ビームトンネル領域を含むRF相互作用領域を形成するステップと
を備える方法。
【請求項9】
磁性材料から第1の
磁性プレートを形成し、前記第1の
磁性プレート上に少なくとも1つの磁石を配置するステップと、
前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する前記第1の非磁性導体プレートの側に、前記第1の
非磁性導体プレートに
積層して前記第1の磁性プレートを配置するステップと
をさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の
非磁性導体プレートに前記第1の
磁性プレートを接合するステップ
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
磁性材料から第2の
磁性プレートを形成し、前記第2の
磁性プレート上に少なくとも1つの磁石を配置するステップと、
前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する前記第2の
非磁性導体プレートの側に、前記第2の
非磁性導体プレートに
積層して前記第2の
磁性プレートを配置するステップと
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の
非磁性導体プレートに前記第2の
磁性プレートを接合するステップ
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の
非磁性導体プレートの中
に1つまたは複数のポケットを形成するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つの中にゲッター材料を置くステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つの中に電子放射性材料を置くステップをさらに備える、請求項1
3に記載の方法。
【請求項16】
前記
1つまたは複数のポケットのうち少なくとも1つの中に回路切断材料を置くステップをさらに備える、請求項1
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、(1)内容があたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により本明細書に組み入れられる、「Multi-layered multi-material manufacturing process for vacuum electronic devices(真空電子デバイスのための多層多材製造工程)」と題する、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年11月15日に提出された米国仮特許出願第63/198,817号明細書、ならびに(2)内容があたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により本明細書に組み入れられる、「Electronic magneto-electrostatic sensing, focusing, and steering of electron beams in microwave, millimeter wave, and near-terahertz vacuum electronic devices(マイクロ波、ミリメートル波、およびほぼテラヘルツの真空電子デバイスでの電子ビームの電子式磁気静電検出、集束、および操向)」と題する、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年11月21日に提出された米国仮特許出願第63/198,915号明細書に基づき優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は同様に、(1)「Multi-layered multi-material manufacturing process for vacuum electronic devices(真空電子デバイスのための多層多材製造工程)」と題する、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年11月15日に提出された米国仮特許出願第63/198,817号明細書、ならびに(2)「Electronic magneto-electrostatic sensing, focusing, and steering of electron beams in microwave, millimeter wave, and near-terahertz vacuum electronic devices(マイクロ波、ミリメートル波、およびほぼテラヘルツの真空電子デバイスでの電子ビームの電子式磁気静電検出、集束、および操向)」と題する、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年11月21日に提出された米国仮特許出願第63/198,915号明細書に基づき優先権の利益を主張する、2020年11月12日に提出された別の特許出願である、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有される、「Magneto-Electrostatic Sensing, Focusing, and Steering of Electron Beams in Vacuum Electron Devices(真空電子デバイスでの電子ビームの電子式磁気静電検出、集束、および操向)」と題する米国仮特許出願第17/525,698号明細書に関連すると考えられてよい。米国仮特許出願第17/525,698号明細書の内容は、あたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
本開示は一般に、1つまたは複数の真空電子デバイス(vacuum electron device、VED)を同時に形成するために一緒に接合された、さまざまな材料からなる複数の2次元の層を有するVEDを製作するために使用する製造工程に関する。2次元の材料層は、組み立てられ接合されて3次元の構造になったときに3次元の特徴を形成するように、デバイス動作のために必要な特徴を含むように機械加工される。2次元の層は一緒に接合されてサンドイッチに似た構造になる。本製造工程により、必要とされる位置精度およびバッチ能力あたり多数のデバイスを維持しながら、VED製作のために必要とされる金属材料、磁性材料、セラミック材料、および他の材料を組み入れることが可能になる。
【0004】
真空電子デバイス(VED)は真空環境で動作し、1つまたは複数の電子ビームとVEDの相互作用領域内に発生した電磁場との間の相互作用を利用する。VEDを構築するには、真空電子デバイスの陰極(電子放出体)からコレクタ(電子受容体)へ電子が通過するのを妨げないように真空に保持されてよい、または真空に密封されてよい単一組立体の中に金属材料、磁性材料、または他の材料を組み入れる必要がある。真空領域はまた真空チャンバ、またはキャビティ、またはトンネル(電子ビームトンネル)、またはRF相互作用領域とも呼ばれ、1つまたは複数の電子ビームと1つまたは複数の電磁波の間で相互作用が行われる場所である。従来技術のそのようなVEDの例は粒子加速器、クライストロン、ジャイロトロン、ジャイロクライストロン、ジャイロ増幅器、進行波管(travelling wave tube、TWT)、ジャイロTWT、後進波発振器、誘導出力管(inductive output tubes、IOTS)、マグネトロン、交差場増幅器(cross-field amplifier)、自由電子レーザ、ユビトロン(ubitron)、メーザ、二極館、三極管、四極管、五極管などを含む(しかし、これらに限定されない)。いくつかのガス・イオン・レーザは、厳密に真空で動作するのではなく非常に低い圧力で動作し、一般にRF相互作用領域を欠いているが、ほとんど同じように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国仮特許出願第63/198,817号明細書
【文献】米国仮特許出願第63/198,915号明細書
【文献】米国仮特許出願第17/525,698号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでのVEDは一般に、個々の2次元および3次元の下位構成要素を使用して、下位構成要素を組立体に形成して、組立体を外周器に接合して構造支持物および真空外周器を提供し、次いで従来の真空処理および密封手順を行って製造されて、機能するVEDを生み出した。そのような手順は、デバイスの複雑さに応じて、単一デバイスを完成するのに数週間以上かかる可能性があり、非常に熟練した多くの労働者、および手順を行う大型クリーンルームを利用した。今日、地上局から衛星への、基地局およびローカルWi-Fiシステムおよび地上のバックボーンシステムへの無線広帯域データ通信の需要が爆発的に増加しているので、より安価で大量のそのようなデバイスの必要性がかなりある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で記述する主題は一般に、積層の形に組み立てられて一緒に接合された材料の並行シートを利用して3次元真空電子デバイス(VED)を形成するVED製造に関する。この取り組み方法の有利な点は、複数のVEDが同じ構造で同時に製造され、半導体デバイス製作で一般に行われるのとよく似て、完成したときに個々に使用するために簡単に切り離されてよいことであり、その結果、デバイスあたりの製造費用を著しく低減する。
【0008】
前述の概要は要約であり、その結果、簡略化、一般化、および詳細の省略を包含することがあり、その結果として、当業者は、概要が例示でしかなく、限定することを決して意図しないことを認識されよう。
【0009】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する添付図面は、1つまたは複数の代表的実施形態を例示し、代表的実施形態についての記述と共に本発明の原理および実装形態を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる、一実施形態によるVED用多層多材組立体の分解透視図である。
【
図2】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層だけではなく絶縁層も組み入れる、別の実施形態によるVED用多層多材組立体の分解透視図である。
【
図3】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用多層多材組立体の透視断面図である。
【
図4】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED用多層多材組立体の上部平面図である。
【
図5】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用単一多層多材組立体の内部構造を例示する、
図4の線5-5に沿って得た横断面図である。
【
図6】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED用多層多材組立体の上部平面図である。
【
図7】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用単一多層多材組立体の内部構造を例示する、
図6の線7-7に沿って得た横断面図である。
【
図8】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED用多層多材組立体の上部平面図である。この図は、基板組立体と個々のVEDの間にギャップを刻んだ、または他の方法で作成した後を示す。
【
図9】電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用単一多層多材組立体の内部構造を例示する、
図8の線9-9に沿って得た横断面図である。
【
図10】本発明のある実施形態による、真空電子デバイスを製造するための工程または方法を例示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(広帯域データ通信システムでRF信号増幅のために一般に使用される)TWTなどのVEDに関連して、本明細書で代表的実施形態について記述する。以下の記述は代表的でしかなく、限定することを決して意図しないことを当業者は認識されよう。他の実施形態は、本開示の利益を有するそのような当業者に容易に思い浮かぶであろう。次に、添付図面に例示するような代表的実施形態の実装形態を詳細に参照する。図面および以下の記述全体を通して可能な範囲で同じ参照番号を使用して、同じ項目または類似する項目を指す。
【0012】
明確にするために、本明細書で記述する実装形態のありきたりの特徴すべについて示し説明するわけではない。当然のことながら、任意のそのような実際の実装形態を開発する際、適用分野関連および業務関連の制約を遵守するなど開発者の特有の目標を達成するために実装特有の判断を数多く行わなければならいこと、ならびにこれらの特有の目標は、実装形態ごとに、および開発者ごとに変わることを認識されよう。その上、そのような開発努力は、複雑になり多くの時間を必要とすることがあるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとって技術者の日常的な仕事であることが認識されよう。
【0013】
本明細書で「一実施形態」もしくは「ある実施形態」、または「一実装形態」もしくは「ある実装形態」などについての言及は、代表的実施形態に関連して記述する特定の特徴、構造、部分、機能、または特性が少なくとも1つの代表的実施形態に含まれる可能性があることを意味する。本明細書の範囲内で異なる場所で「一実施形態では」または「一実装形態では」などのような語句が出現することは、必ずしもすべて同じ実施形態または実装形態について言及しているわけではなく、また他の実施形態を必ず相互に排除する別個の代替実施形態でもない。
【0014】
本開示によれば、本明細書で記述する構成要素および工程ステップは、本明細書で開示する発明の概念の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな技法を使用して実装されてよい。
【0015】
本明細書で記述することは、本発明の実施形態の例を含む。当然のことながら、特許請求する主題について記述する目的で構成要素または方法論の考えられるあらゆる組合せについて記述することは不可能であるが、主題の革新の他の組合せおよび置換がさらに可能であることを認識されたい。それに応じて、特許請求する主題は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に入るそのような代替形態、修正形態、および変形形態すべてにわたることが意図される。その上、要約で記述することを含む、主題の開示について例示する実施形態についての上記の記述は、排他的であることも、開示する実施形態を、開示するまさにその形態に限定することも意図しない。例示する目的で特有の実施形態、例、および実装形態について本明細書で記述するが、当業者が認識できるように、そのような実施形態および例の範囲に入ると考えられるさまざまな修正形態が可能である。
【0016】
詳細には、上記で記述する構成要素、デバイス、システムなどが遂行するさまざまな機能に関して、そのような構成要素について記述するために使用する用語は、特に示さない限り、たとえ特許請求する主題について本明細書で例示する代表的様態で機能を遂行する開示する構造に構造的に等価ではないとしても、記述する構成要素の指定された機能を遂行する任意の構成要素(たとえば、機能的均等物)に対応することが意図される。
【0017】
それに加えて、本発明の特定の特徴についていくつかの実装形態のうち1つだけに関して開示してきたことがあるが、そのような特徴は、任意の所与の適用分野または特定の適用分野に望まれてよい、または有利であってよいようなその他の実装形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせられてよい。さらに、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「包含する(contains)」という用語、それらの変形形態、および他の類似する用語は、詳細な記述および特許請求の範囲で使用される限りにおいて、どんな追加要素または他の要素も排除することなく排他的ではない移行語として用語「備える(comprising)」に類似する手法で包括的であることが意図される。
【0018】
その上「例」または「代表的」という言葉は、本明細書では例、実例、または例証として役立つことを意味するために使用される。本明細書で「代表的」として記述する任意の様態または設計は、他の様態または設計に対して好ましい、または有利であると必ずしも解釈されるべきではない。むしろ「例」または「代表的」という言葉を使用することは、具体的様式で概念を提示することが意図される。本出願で使用するとき、用語「または(or)」は、排他的「または」ではなくむしろ包括的「または」を意味することが意図される。すなわち、特に指定しない限り、または前後関係から明白ではない限り、「XがAまたはBを用いる」は自然な包括的置換のいずれも意味することが意図される。すなわち、XがAを用いる、XがBを用いる、またはXがAもBも用いる場合、「XがAまたはBを用いる」は、前述の実例のいずれの下でも満たされる。それに加えて、冠詞「a」および「an」は、本出願および添付の特許請求の範囲で使用するとき、特に指定しない限り、または単数形に誘導するように前後関係から明白ではない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0019】
図では、2つ以上の図でコールアウト番号または参照記号を使用する場合、本開示の前後関係からそのように明確に意図されない限り、同じ、または類似する部分、構成要素、またはステップを指すことが意図される。
【0020】
本明細書で記述するデバイスおよび方法はペンシルビーム、シートビーム、長方形ビーム、楕円ビーム、中空ビーム、分散ビーム、および多重ビームを利用するVEDのために用いることができる。
【0021】
以下の記述の大部分は、電子ビームの下から電子ビームの上までプレートが電子ビームに並行に整列した層の形でVEDを造ることに対処するが、さらにまた、そのようなデバイスは、本明細書の教示に示される比較的簡単な手法で電子ビームに垂直に構築されてよいことが企図される。そのようなデバイスはまた、所望であれば、たとえば分散ビームデバイスのように電子ビームに対して任意の角度で構築されてよい。
【0022】
本発明の重要な利益は、この発明を使用して単一試作デバイスさえ作ることが従来技術よりも費用対効果がはるかに高いことが証明されているが、一回のバッチで複数のVEDを同時に製作可能にし、次いで複数のVEDを切断して個々の構成要素にする本発明の能力にある。
【0023】
典型的には、磁石を使用して、VEDで電子ビームの形成および照準の機能のうち少なくともいくつかを提供する。電子ビームは、陰極からコレクタに適切に誘導されない場合、VED構造の何らかの他の部分に衝突することがあり、損傷を引き起こし、真空区域を汚染する。さまざまな磁石材料タイプを組み入れる能力は、VEDの組立に有益である。Halbach、すなわち四重極アレイは多くの場合、電子ビームからいくらか距離を置いて電子ビームの周囲にソレノイドを導入するので、電子ビームを集束させるために用いられる。本発明の別の重要な利益は、本発明により真空チャンバ内部に磁石を置くことなく電子ビームのはるかに近くに磁石を持って行くことができるようになるので(電磁ソレノイドの、または固定した)所与の磁石に関して電子ビームの所でより高強度の磁場を提供する本発明の能力にある。磁石から得られる磁場は、磁石からの距離の二乗で低減するので、磁石をより近くに持って行くことができ、その結果、本発明によって磁石をより小さく作ることができる。磁気操向は、実際の磁石だけではなく、磁石と併せて、VED内部で所望の磁場を確立して電子ビームを適切に操向する、磁気的に影響されやすい材料と磁石との組合せも用いて遂行できる。磁性材料ならびに/または鉄およびニッケルを含有する材料は良好な導電体ではないので、電磁回路は典型的には、電子ビームから遠くに集束構造を動かす銅(またはらせんタイプのデバイス用のタングステン)のような材料から作られる。磁石、ならびに/または鉄およびニッケルを含有する材料は、銅などの高導電率材料で電気めっきでき、この問題を軽減するために用いることができるが、しかしながら、そのような配列は、そのような材料がVED内で経時的に劣化する可能性があるので、VEDに関して潜在的な真空純度の問題を生み出す可能性がある。真空外周器の内側で高品質ニッケルめっきされた真空二重溶解鉄を使用することが可能である。ほとんどの場合(永久磁石をそのキューリー点よりも上に加熱することにより永久磁石にその磁性を失わせるので)真空外周器の外側にSmCoおよびNbFeBなどの永久磁石材料を追加しなければならず、低温接合技術(接着剤または固体超音波)を使用してそのような材料を所定の場所に固定しなければならない。
【0024】
一実施形態では、磁石は、以下のように本発明の回路に追加されてよい。銅シートを結合して(たとえば)TWT回路を作成するために、各シートは、数100ナノメートルの厚さの金または銀の層でスパッタコートされ、次いで約50ポンド重でおよそ1000℃の水素炉の中で、または層を所定の場所に固定する取付具の中で、隣接する層に接合される。層状の銅回路組立体に磁気組立体を追加するために、1つもしくは複数の(真空二重溶解した)鉄の層またはステンレス鋼の層を磁石片用のポケットでニッケルめっきし、ろう付け接合を作成するために(厚さ約25ミクロンの)銅-金または銅-銀のろう付けシムを使用してよい。鉄/ステンレス鋼の層はこの場合、銅回路組立体にろう付けされるが、ろう付けシムによりVEDの真空領域の外側にとどまる。磁石片は、次いで組立体の中にある、あらかじめ作られたポケットの中に挿入され、別の材料層は、磁石の全面にわたり追加され、磁石を所定の場所に保持するために低温接着剤を使用して固定される。
【0025】
静電集束はまた、VEDで電子ビームの形成および照準の機能のうちいくつかを提供するために使用されてよい。このとき、真空構造の中に導電体を導入する本発明の能力は、電子ビーム周辺に配置された2つ以上のプレートの両端に電圧を印加することにより真空構造内部で正確な静電集束を使用できるようにする。特有の適用分野で所望である、または必要とされる場合、いくつかの組のそのようなプレートを用いてよい。
【0026】
本明細書で記述する製造の取り組み方法は、さまざまな周波数でVEDを製造するために用いることができるが、約25GHz~約1THzの間で動作するVEDで特に有益である。手作業による従来のデバイス組立体を使用するそのようなデバイスの製造は(場合によっては、マイクロメートルからミリメートルの)小さな特徴スケールが原因で困難である。
【0027】
次に図に目を向けると、
図1は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる、一実施形態によるVED用多層多材組立体の分解透視図である。
【0028】
図1に例示する実施形態では、VED100は、銅などの導電性材料から形成された第1の平面状非磁性導電性プレート102と、銅などの導電性材料から形成された第2の平面状非磁性導電性プレート104と、第1の平面状非磁性導電性プレート102と第2の平面状非磁性導電性プレート104の間に配置された、複数の平面状非磁性相互作用構造形成プレート106a、106b、および106cとを有する組立体101を備える。電子ビーム制御のために外部固定磁場を使用すべき場合、組立体101は、鉄、ニッケルなどのような磁性材料から形成された第1の平面状磁性プレート、及び上に配置された、または中に埋め込まれたものを含む、1つまたは複数の永久磁石と向き合って配置されてよい。代わりに、組立体101が第1の平面状磁性プレート108と第2の平面状磁性プレート110の間に配置されるように、2つのそのようなプレート108および110からサンドイッチ構造を形成してよい。(以下でより詳細に論じる)整列特徴112は、複数の並行プレートを整列させるための簡単な機構を提供するために提供されてよい。さらにまた、磁石層は、複数のより小さな磁石から作られるのではなくむしろ固体の平面状永久磁石を備えることができることが企図される。この取り組み方法は、平面状「ソレノイド場」磁場集束を可能にする。望ましい場合、導電性プレートは、スパッタされたアルミナ(Al
2O
3)、またはより複雑な回路を造るために、電子ビームが存在することにより加熱された真空環境の中にガスを放出しない別の従来の絶縁体など、真空に適した絶縁体で片側または両側をコートされてよい。
【0029】
図2は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層だけではなく絶縁層も組み入れる、別の実施形態によるVED用多層多材組立体の分解透視図である。
【0030】
図2に例示する実施形態では、VED200は、銅などの導電性材料から形成された第1の平面状非磁性導電性プレート202と、銅などの導電性材料から形成された第2の平面状非磁性導電性プレート204と、第1の平面状非磁性導電性プレート202と第2の平面状非磁性導電性プレート204の間に配置された、複数の平面状非磁性相互作用構造形成プレート206a、206b、206c、206d、および206eとを有する組立体201を備える。電子ビーム制御のために外部固定磁場を使用すべき場合、組立体201は、上に配置された、または
図1に示すように中に埋め込まれた1つまたは複数の永久磁石を含む、鉄、ニッケルなどのような磁性材料から形成された第1の平面状磁性プレートと向き合って配置されてよい。代わりに、
図1に示すように組立体201が第1の平面状磁性プレート108と第2の平面状磁性プレート110の間に配置されるように、2つのそのようなプレート108および110からサンドイッチ構造を形成してよい。(以下でより詳細に論じる)整列特徴112は、複数の並行プレートを整列させるための簡単な機構を提供するために提供されてよい。
図2の実施形態によれば、プレート202および204の「内側」(すなわち202aおよび204aのラベルが付いた内側)はプレート206a、206b、206c、206d、および206eからなる組立体がプレート202および204に対して浮動状態になることができるように、絶縁する表面を形成する電気絶縁体でコートされる。この手法では、プレート202および204の両端に印加された電圧差により生じた静電場は、上記で論じるように、磁気ビーム制御と一緒に、または磁気ビーム制御とは別個に、電子ビーム制御のために使用できる。追加で、電気絶縁体上に置かれた導体は、望み通りに組立体内部の特有の場所に電流を届けることができる。たとえば、そのような導体は、相互作用領域にRF信号を届けてよく、相互作用領域からRF信号を抽出してよい。そのような導体はまた、同様にVED内部の他の構成要素を制御するための固定電圧または変動電圧を届けるために使用されてよい。
【0031】
図2の実施形態では、1対の導電体208a、208bは、絶縁する表面202aの上に配置される。絶縁する表面204aの上に同じ配列が提供されることは示されていない。導電体208a、208bは堆積させられても、置かれてもよい。導電体208a、208bは、真空環境に適しているべきである、すなわち、VED内で予期される高温の下でガスが抜けてはならない。プレート206aおよび206eは、図示するように、対応する導電体、たとえば208a、208bをプレート206aおよび206eの接点から絶縁する開口部を含む。プレート206bおよび206dは、それぞれ下部相互作用領域210および上部相互作用領域212を包含し、プレート206cは、下部相互作用領域210および上部相互作用領域212により取り囲まれた電子ビームトンネル214を包含する。
【0032】
図3は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用多層多材組立体の透明な断面図である。
図3は実質的に、
図2の構成要素を意図するように一緒に接合したときに形成される構造の中の図である。
【0033】
図4は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED400用多層多材組立体の上部平面図である。
【0034】
図5は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED400用単一多層多材組立体の内部構造を例示する、
図4の線5-5に沿って得た横断面図である。
【0035】
図4および
図5に例示する実施形態では、VED400は、銅などの導電性材料から形成された第1の平面状非磁性導電性プレート402と、銅などの導電性材料から形成された第2の平面状非磁性導電性プレート404と、第1の平面状非磁性導電性プレート402と第2の平面状非磁性導電性プレート404の間に配置された、複数の平面状非磁性相互作用構造形成プレート406a、406b、および406cとを有する組立体401を備える。この実施形態では、電子ビームを制御するために外部固定磁場を使用すべきであり、したがって(「回路組立体」としても知られる)組立体401は鉄、ニッケルなどのような磁性材料から形成された第1の平面状磁性プレート408と、上に配置された、または中に埋め込まれたものを含む1つまたは複数の永久磁石412との間に配置される。代わりに、組立体401が第1の平面状磁性プレート408と第2の平面状磁性プレート410の間に配置されるように、2つのそのようなプレート408および410からサンドイッチ構造を形成してよい。(以下でより詳細に論じる)整列特徴は、製作中に複数の並行プレートを整列させるための簡単な機構を提供するために提供されてよい。
【0036】
図6は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED600用多層多材組立体の上部平面図である。
【0037】
図7は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED用単一多層多材組立体600の内部構造を例示する、
図6の線7-7に沿って得た横断面図である。
【0038】
図6および
図7に例示する実施形態では、VED600は、銅などの導電性材料から形成された第1の平面状非磁性導電性プレート602と、銅などの導電性材料から形成された第2の平面状非磁性導電性プレート604と、第1の平面状非磁性導電性プレート602と第2の平面状非磁性導電性プレート604の間に配置された、複数の平面状非磁性相互作用構造形成プレート606a、606b、606c、606d、および606eとを有する組立体601を備える。この実施形態では、電子ビームを制御するために外部固定磁場を使用すべきであり、したがって(「回路組立体」としても知られる)組立体601は鉄、ニッケルなどのような磁性材料から形成された第1の平面状磁性プレート608、および上に配置された、または中に埋め込まれたものを含む1つまたは複数の永久磁石612と向き合って配置される。代わりに、組立体601が第1の平面状磁性プレート608と第2の平面状磁性プレート610の間に配置されるように、2つのそのようなプレート608および610からサンドイッチ構造を形成してよい。(以下でより詳細に論じる)整列特徴112は、製作中に複数の並行プレートを整列させるための簡単な機構を提供するために提供されてよい。
図6および
図7の実施形態によれば、プレート602および604の「内側」(すなわち602aおよび604aのラベルが付いた内側)はプレート606a、606b、606c、606d、および606eからなる組立体がプレート602および604に対して浮動状態になることができるように、絶縁する表面を形成する電気絶縁体でコートされる。この手法では、プレート202および204の両端に印加された電圧差により生じた静電場は、上記で論じるように、磁気ビーム制御と一緒に、またはそれとは別個に、電子ビーム制御のために使用できる。追加で(この図に示すような)電気絶縁体の上に置かれた導体614a、614b、614c、および614dは、組立体内部の特有の場所に望み通りに電流を届けることができる。たとえば、そのような導体は、RF信号を相互作用領域に届けてよく、RF信号を相互作用領域から抽出してよい。そのような導体はまた、同様にVED内部の他の構成要素を制御するための固定電圧または変動電圧を届けるために使用されてよい。
【0039】
図8は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部を作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れる一連の3つのVED600用多層多材組立体の上部平面図である。この図は、基板組立体804と個々のVED806の間にギャップ802を刻んだ、または他の方法で作成した後を示す。
【0040】
図9は、電子ビーム伝播および電磁波相互作用のための3次元開口部作成する間に伝導性磁性材料層を組み入れるVED806用単一多層多材組立体800の内部構造を例示する、
図8の線9-9に沿って得た横断面図である。
【0041】
ギャップ802は、そのような材料を切断するのに適した任意の従来の手法で、たとえばレーザ、高圧水、ダイヤモンド刃のこぎりなどで切断されても、ダイスで型を抜かれても、機械加工されても、穴をあけられても、または他の方法で作成されてもよい。ギャップ802が形成されると、個々のVED806は、当業者に公知のように、従来のように使用するために取り外して個々にパッケージ化してよい。
【0042】
図10は、本発明のある実施形態による、真空電子デバイスを製造するための工程または方法1000を例示する流れ図である。
図10に関連して記述する工程ステップは順に行ってよい、または一部もしくはすべてを一度に行ってよい。
【0043】
ステップ1002は第1のステップであり、非磁性導電性材料から第1の平面状非磁性導体プレートを形成する。
【0044】
ステップ1004は第2のステップであり、非磁性導電性材料から第2の平面状非磁性導体プレートを形成する。
【0045】
ステップ1006は第3のステップであり、互いに並行に配列された複数の導電性非磁性相互作用構造形成プレートから、それぞれの導電性非磁性相互作用構造形成プレートの中に相互作用ゾーンの一部分が食い込んだ相互作用構造を形成する。
【0046】
ステップ1008は第4のステップであり、第1の平面状非磁性導体プレートおよび第2の平面状非磁性導体プレートが積層の外側になるように、第1の平面状非磁性導体プレート、相互作用構造、および第2の平面状非磁性導体プレートを積層の形に配置する。
【0047】
ステップ1010は第5のステップであり、第1の平面状非磁性導体プレート、相互作用構造、および第2の平面状非磁性導体プレートを一緒に接合する。
【0048】
ステップ1012は第6のステップであり、磁性材料から第1の平面状磁性プレートを形成し、第1の平面状磁性プレート上に少なくとも1つの磁石を配置する。
【0049】
ステップ1014は第7のステップであり、複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する第1の平面状非磁性導体プレートの側に、第1の平面状非磁性導体プレートに並行に第1の平面状磁性プレートを配置する。
【0050】
ステップ1016は第8のステップであり、第1の平面状非磁性導体プレートに第1の平面状磁性プレートを接合する。
【0051】
ステップ1018は第9のステップであり、磁性材料から第2の平面状磁性プレートを形成し、第2の平面状磁性プレート上に少なくとも1つの磁石を配置する。
【0052】
ステップ1020は第10のステップであり、複数の非磁性相互作用構造形成プレートに対向する第2の平面状非磁性導体プレートの側に、第2の平面状非磁性導体プレートに並行に第2の平面状磁性プレートを配置する。
【0053】
ステップ1022は第11のステップであり、第2の平面状非磁性導体プレートに第2の平面状磁性プレートを接合する。
【0054】
ここで当業者は、これらのステップが、製造するのに最も好適な順序で遂行でき、固定された手順で行う必要がないことを認識されよう。たとえば、接合するステップは、すべて一度に行うことができ、形成するステップは、後の組立体用の部品を製作するために前もって行うことができるなどである。
【0055】
2次元シートを一緒に接合するステップでは、ろう付け、拡散接合、補助拡散接合(assisted diffusion bonding)、固体接合(solid state bonding)、冷間溶接、超音波溶接、前述のうち1つまたは複数の組合せなどの工程を使用してよい。2つの隣接するシートの間に形成された接合箇所は、1×10-6トールよりも良好な真空環境を維持すべきである。接合は水素、窒素、真空などのような非反応性環境で行われるべきである。接合する前に、対応する層を洗浄またはプラズマエッチングして表面酸化物層を除去すべきであり、良好な漏れ止め接合の形成を支援するために、接合する前に、対応する層を真空環境で維持すべきである。必要とされる場合、対応する層は(異種の材料であってよい)2つの対応する層の間に真空に適合する界面の作成を強化する、真空に適合する材料でコート(スパッタ、でんきめっき、金属化、および/または塗装)されてよい。コーティングはニッケル、金、銀、モリブデン-マンガン、銅、銅-金、銅-銀、チタン-ニッケル、金-銅-チタン、銅-銀-チタン、銅-銀-チタン-アルミニウム、チタン-ニッケル-銅、金-銅-チタン-アルミニウム、銀-銅-インジウム-チタン、銅-ゲルマニウム、パラジウム-ニッケル-銅-銀、金-パラジウム-マグネシウム、銀-パラジウム、金-銅-ニッケル、金-銅-インジウム、銀-銅-インジウム、金-ニッケル、金-ニッケル-クロムなどのうち1つまたは複数を含んでよい。この手法では、接合された層は高強度組立体を形成し、その結果、比較的高出力を取り扱う能力、および高勾配能力のVEDが得られる。
【0056】
層は同様に、VED内の電位だけではなく熱の流れも管理するために、電気的に絶縁する材料または導電性材料でコート(スパッタ、電気めっき、金属化、および/または塗装)されてよい。コーティングはまた、VED内部の、およびVEDから離れた熱の流れをよりよく管理するために、熱を伝導するように設計された材料(たとえば、ダイヤモンド膜、ダイヤモンド伝導チャネル、熱パイプなど)を含んでよい。層は、次いで電極、および電極にバイアスをかける電気経路を形成するために伝導経路と共にめっきされる絶縁体(たとえばAl2O3)から製作されてよい。
【0057】
切り抜きまたはポケットはフライス加工、旋盤細工、放電フライス加工、リソグラフィ、エッチング、レーザ切断、電子ビーム切断、水ジェット切断などのような技術を使用してVEDの導電性シート内に形成されてよい。そのように形成された切り抜きまたはポケットはセラミック材料、真空窓、回路切断材料(デバイスの安定性を改善するために使用する減衰器)、電子放射性材料、真空ポンピング材料、ゲッター(getter)材料、磁石、鉄片、遮蔽材料、分離材料、導線、コネクタ、導波管、カップラなどのような構成要素により場所を占められてよい。
【0058】
セラミック材料を組み入れることにより集束、伝播、誘導、操向、および最終的に陰極とコレクタの間の電子ビーム伝播の改善を支援する、静電ビーム形成レンズまたは静電ビーム形成区域をVED内部に追加可能になる。VEDの真空領域の外側にこの能力を提供するのではなくむしろVED自体の中にこの能力を組み込むことにより、電子ビームをより細かく、より低消費電力で制御可能になる。
【0059】
製造工程中にVED内部で、隣接する材料層または材料シートを整列させることは、整列特徴112を使用して達成されてよい。そのような特徴は、本明細書の他の所で論じるような整列孔、整列ピン、長方形の特徴、それらの組合せ、ロボット組立技法に適した光学的(可視の)印などであってよい。シートの組立は手作業による組立、ロボット組立、並進ステージ、自動並進、ロボット配置、マイクロスケールからナノスケールまでのビデオ整列、バーニャなどにより影響を受けることがある。
【0060】
前述の取り組み方法は、磁石をまったく用いることなく純粋に静電集束を使用してVEDの構築を可能にすることに留意されたい。
【0061】
代表的な実施形態および適用分野について示し記述してきたが、本開示の利益を有する当業者には、添付の特許請求の範囲により規定された本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書で記述するさまざまな代表的実施形態に上記で具体的に述べていない数多くの修正、変形、および適応を行ってよいことが明らかであろう。