(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】サーボシステムおよび多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241112BHJP
G05B 19/414 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B25J19/00 J
G05B19/414 R
(21)【出願番号】P 2023531240
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2021024743
(87)【国際公開番号】W WO2023276043
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 進一
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151869(JP,A)
【文献】特開2017-189821(JP,A)
【文献】特開2019-161759(JP,A)
【文献】特開2020-048410(JP,A)
【文献】特開2005-246547(JP,A)
【文献】特開2021-074872(JP,A)
【文献】特開平10-080196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/18 ~ 19/416
19/42 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットの関節を動かす複数のサーボモータである第一サーボモータを駆動制御する第一モータ制御部と、
前記多関節ロボットによる作業の必要に応じて設けられる周辺機器および前記第一モータ制御部とそれぞれ通信可能な第一通信制御部と、
前記第一通信制御部と前記第一モータ制御部との間で通信を行う第一サーボネットワーク部と、
前記周辺機器が設けられる場合に前記第一通信制御部と前記周辺機器に設けられる第二通信制御部との間で通信を行う第二サーボネットワーク部と、
を備え
、
前記第一サーボネットワーク部における通信周期は、前記第二サーボネットワーク部における通信周期と比べて短く設定されているサーボシステム。
【請求項2】
前記第一サーボネットワーク部は、前記第一通信制御部と前記第一モータ制御部との間がバス接続されている請求項
1に記載のサーボシステム。
【請求項3】
前記第二サーボネットワーク部は、前記第一通信制御部に直接接続される通信制御部を介して前記周辺機器に設けられる前記第二通信制御部がディジーチェーン接続されている請求項
1または請求項
2に記載のサーボシステム。
【請求項4】
前記第一モータ制御部および前記第一通信制御部は、前記第一サーボモータを駆動する第一サーボアンプに設けられている請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項5】
前記第一通信制御部は、前記多関節ロボットの動作を制御するモーションコントローラと通信可能に設けられている請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項6】
前記第一通信制御部と前記モーションコントローラとの間は、PCI-Expresの通信規格によって通信可能である請求項
5に記載のサーボシステム。
【請求項7】
前記周辺機器は、前記周辺機器の可動部を動かす少なくとも一つのサーボモータである第二サーボモータを駆動制御する第二モータ制御部を備える請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項8】
前記周辺機器は、前記第一通信制御部との間で通信を行う第二通信制御部を備え、
前記第二モータ制御部および前記第二通信制御部は、前記第二サーボモータを駆動する第二サーボアンプに設けられている請求項
7に記載のサーボシステム。
【請求項9】
前記周辺機器は、ユニット化されている請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項10】
前記周辺機器は、前記多関節ロボットのアーム先端部に取り付けられるエンドエフェク
タである請求項1~請求項
9のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項11】
前記周辺機器は
、作業対象物を搬送する搬送機
器である請求項1~請求項
9のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項12】
前記周辺機器は
、作業対象物に供給品を供給する供給機
器である請求項1~請求項
9のいずれか一項に記載のサーボシステム。
【請求項13】
関節を動かす複数のサーボモータである第一サーボモータを駆動制御する第一モータ制御部と、
作業の必要に応じて設けられる周辺機器および前記第一モータ制御部とそれぞれ通信可能な第一通信制御部と、
前記第一通信制御部と前記第一モータ制御部との間で通信を行う第一サーボネットワーク部と、
前記周辺機器が設けられる場合に前記第一通信制御部と前記周辺機器に設けられる第二通信制御部との間で通信を行う第二サーボネットワーク部と、
を備え
、
前記第一サーボネットワーク部における通信周期は、前記第二サーボネットワーク部における通信周期と比べて短く設定されている多関節ロボット。
【請求項14】
前記周辺機器は、アーム先端部に取り付けられるエンドエフェクタである請求項13に記載の多関節ロボット。
【請求項15】
前記周辺機器は、作業対象物を搬送する搬送機器である請求項13に記載の多関節ロボット。
【請求項16】
前記周辺機器は、作業対象物に供給品を供給する供給機器である請求項13に記載の多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、サーボシステムおよび多関節ロボットに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のステッピングモータ制御装置は、接続手段と、制御手段とを備え、複数のモータを少なくとも2つの演算装置により制御する。接続手段は、マスター側の演算装置の処理能力にほとんど影響を与えずにスレーブ側の演算装置がマスター側の演算装置のハードウエアを使用可能にする。制御手段は、マスター側の演算装置から与えられたコマンドによりスレーブ側の演算装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のサーボモータを用いて関節を動かす多関節ロボットには、周辺機器が設けられる場合がある。この場合、サーボシステムでは、関節を動かすサーボモータを制御するための通信と、周辺機器を制御するための通信とが行われる。これらの通信が同一の通信ネットワークにおいて混在すると、関節を動かすサーボモータを制御するための通信は、周辺機器を制御するための通信によって影響を受ける可能性がある。上述されていることは、多関節ロボットにおいて上記の通信が行われる場合についても同様に言える。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、関節を動かすサーボモータを制御するための通信の通信性能を確保可能なサーボシステムおよび多関節ロボットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、多関節ロボットの関節を動かす複数のサーボモータである第一サーボモータを駆動制御する第一モータ制御部と、前記多関節ロボットによる作業の必要に応じて設けられる周辺機器および前記第一モータ制御部とそれぞれ通信可能な第一通信制御部と、を備えるサーボシステムを開示する。
【0007】
また、本明細書は、関節を動かす複数のサーボモータである第一サーボモータを駆動制御する第一モータ制御部と、作業の必要に応じて設けられる周辺機器および前記第一モータ制御部とそれぞれ通信可能な第一通信制御部と、を備える多関節ロボットを開示する。
【発明の効果】
【0008】
上記のサーボシステムによれば、第一通信制御部は、周辺機器および第一モータ制御部とそれぞれ通信可能である。よって、サーボシステムは、関節を動かすサーボモータを制御するための通信と、周辺機器を制御するための通信とを分離することができ、関節を動かすサーボモータを制御するための通信の通信性能を確保することができる。サーボシステムについて上述されていることは、第一モータ制御部および第一通信制御部を備える多関節ロボットについても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】サーボシステムの制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図5】収納ケースの所定位置に供給品が配置されている状態の一例を示す平面図である。
【
図6】供給品が作業対象物の被組み付け部の所定部位に組み付けられている状態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.サーボシステム10の構成例
図1に示すように、サーボシステム10は、第一モータ制御部21と、第一通信制御部31とを備える。第一モータ制御部21は、多関節ロボット50の関節50jを動かす複数のサーボモータである第一サーボモータ21mを駆動制御する。多関節ロボット50は、サーボモータによって関節50jを動かすものであれば良く、種々の形態をとり得る。また、関節50jの数は、限定されず、多関節ロボット50は、関節50jの数に応じた第一サーボモータ21mを備えることができる。
【0011】
第一サーボモータ21mの駆動制御は、公知の種々の制御をとり得る。例えば、第一サーボモータ21mの駆動制御には、第一サーボモータ21mの位置制御、速度制御、電流制御などが含まれる。例えば、第一モータ制御部21は、移動指令(位置指令)と、第一サーボモータ21mの位置を検出する位置検出器(例えば、エンコーダなど)から取得した位置情報とに基づいて、第一サーボモータ21mの位置制御、速度制御および電流制御を行う。移動指令(位置指令)は、後述する第一通信制御部31を介してモーションコントローラMC0から取得することができる。
【0012】
位置制御、速度制御および電流制御は、公知の種々の制御をとり得る。例えば、第一モータ制御部21は、比例制御、積分制御および微分制御のうちの少なくとも一つを用いたフィードバック制御を行うことができる。第一モータ制御部21は、フィードフォワード制御を行うこともできる。また、第一モータ制御部21は、位置制御、速度制御および電流制御の制御値に基づいて、第一サーボモータ21mの駆動信号を生成することができる。
【0013】
例えば、第一サーボモータ21mの駆動信号は、PWM(Pulse Width Modulation)制御におけるパルスのON幅とOFF幅の比であるデューティ比で表すことができる。PWM制御では、電力変換器(例えば、インバータなど)のスイッチング素子が閉状態のときに対応する相にモータ電流が流れ、スイッチング素子が閉状態の時間(ON幅)に応じてモータ電流が増減する。つまり、スイッチング素子の閉状態の時間(ON幅)が長くなるほどモータ電流は大きくなり、スイッチング素子の閉状態の時間(ON幅)が短くなるほどモータ電流は小さくなる。
【0014】
第一通信制御部31は、多関節ロボット50による作業の必要に応じて設けられる周辺機器60および第一モータ制御部21とそれぞれ通信可能である。周辺機器60は、多関節ロボット50による作業に必要なものであれば良く、種々の形態をとり得る。後述するように、例えば、周辺機器60は、多関節ロボット50のアーム先端部50tに取り付けられるエンドエフェクタ61であっても良い。また、周辺機器60は、作業対象物W1を搬送する搬送機器62であっても良い。さらに、周辺機器60は、作業対象物W1に供給品P1を供給する供給機器63であっても良い。
【0015】
第一通信制御部31は、周辺機器60および第一モータ制御部21とそれぞれ通信可能であれば良く、種々の形態をとり得る。本実施形態のサーボシステム10は、第一サーボネットワーク部41と、第二サーボネットワーク部42とを具備可能である。第一サーボネットワーク部41は、第一通信制御部31と第一モータ制御部21との間で通信を行う。第二サーボネットワーク部42は、周辺機器60が設けられる場合に第一通信制御部31と周辺機器60に設けられる第二通信制御部32との間で通信を行う。
【0016】
よって、本実施形態の第一通信制御部31は、第一サーボネットワーク部41を用いて第一モータ制御部21と通信することができる。また、第一通信制御部31は、周辺機器60が設けられる場合に、第二サーボネットワーク部42を用いて周辺機器60に設けられる第二通信制御部32と通信することができる。よって、本実施形態のサーボシステム10は、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信と、周辺機器60を制御するための通信とを分離することが容易である。
【0017】
なお、第一通信制御部31と第一モータ制御部21との間の通信は、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信に含まれる。第一通信制御部31と周辺機器60に設けられる第二通信制御部32との間の通信は、周辺機器60を制御するための通信に含まれる。また、第一サーボネットワーク部41の通信規格と第二サーボネットワーク部42の通信規格は、同じであっても良く、異なっていても良い。
【0018】
関節50jを動かす第一サーボモータ21mの制御は、周辺機器60の制御と比べて、高速な応答が求められる場合が多い。そのため、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信は、周辺機器60を制御するための通信と比べて、同等若しくは高速な通信性能が必要な場合が多い。そこで、第一サーボネットワーク部41における通信周期は、第二サーボネットワーク部42における通信周期と同等に若しくは当該通信周期と比べて短く設定されていると良い。これにより、本実施形態のサーボシステム10は、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信の通信性能を確保し易くなる。
【0019】
第一通信制御部31と第一モータ制御部21との間の接続は、公知の種々の接続形態をとり得る。例えば、本実施形態の第一サーボネットワーク部41は、第一通信制御部31と第一モータ制御部21との間がバス接続されている。バス接続では、第一通信制御部31に対して、第一サーボモータ21mが並列接続される。このように、第一サーボネットワーク部41は、第一サーボモータ21mを駆動制御して関節50jを制御するための専用のサーボネットワークを形成することができる。
【0020】
同様に、第一通信制御部31と周辺機器60に設けられる第二通信制御部32との間の接続は、公知の種々の接続形態をとり得る。
図1に示すように、例えば、本実施形態の第二サーボネットワーク部42は、第一通信制御部31に直接接続される通信制御部30を介して、周辺機器60に設けられる第二通信制御部32がディジーチェーン接続されている。
【0021】
これにより、周辺機器60の増減に応じた第二サーボネットワーク部42の構成変更が容易になる。
図1に示す例では、二つの周辺機器60が図示されている。よって、同図に示す第二サーボネットワーク部42では、第一通信制御部31、通信制御部30、第二通信制御部32および第二通信制御部32の順に接続されており、二つの第二通信制御部32がディジーチェーン接続されている。
【0022】
このように、本実施形態では、周辺機器60に設けられる第二通信制御部32は、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御する第一サーボネットワーク部41と異なる第二サーボネットワーク部42に設けられる。よって、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信は、周辺機器60を制御するための通信による影響を受け難くなる。例えば、周辺機器60の増加に伴って周辺機器60を制御するための通信量が増加しても、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信が遅延する不具合などが生じ難くなる。
【0023】
通信制御部30および第二通信制御部32は、第一通信制御部31と通信可能であれば良く、種々の形態をとり得る。通信制御部30および第二通信制御部32は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、通信制御部30は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)に形成することができる。第二通信制御部32は、通信用のFPGA(Field Programmable Gate Array)に形成することができる。また、例えば、第二サーボネットワーク部42は、公知の汎用のサーボネットワーク(例えば、MECHATROLINK(登録商標)IIIなど)を用いて形成することができる。通信制御部30は、周辺機器60が設けられる場合に設けられ、第一通信制御部31との間の通信および第二通信制御部32との間の通信を制御する。
【0024】
第二サーボネットワーク部42の途中に設けられる第二通信制御部32は、第二サーボネットワーク部42における通信のうち、自己を送信先または送信元とする通信の送受信を行う。また、当該第二通信制御部32は、第二サーボネットワーク部42における通信のうち、他の第二通信制御部32を送信先または送信元とする通信を隣接する第二通信制御部32に送信して中継する。さらに、第二サーボネットワーク部42の終端に設けられる第二通信制御部32は、自己を送信先または送信元とする通信の送受信を行う。通信制御部30および第二通信制御部32は、所定の伝送周期で、マスタ・スレーブ方式によって通信することができる。
【0025】
なお、第一モータ制御部21および第一通信制御部31は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、第一モータ制御部21は、モータ制御用のFPGAに形成することができる。第一通信制御部31は、通信用のFPGAに形成することができる。また、
図1に示すように、本実施形態では、第一モータ制御部21および第一通信制御部31は、第一サーボモータ21mを駆動する第一サーボアンプSA1に設けられている。第一サーボアンプSA1は、公知のサーボアンプを用いることができる。第一サーボアンプSA1は、第一モータ制御部21によって生成された第一サーボモータ21mの駆動信号に基づいたモータ電流を電力変換器から第一サーボモータ21mに供給する。これにより、第一サーボモータ21mが駆動する。
【0026】
図1に示すように、第一通信制御部31は、多関節ロボット50の動作を制御するモーションコントローラMC0と通信可能に設けられている。モーションコントローラMC0は、公知のモーションコントローラを用いることができる。モーションコントローラMC0は、公知のCPU(Central Processing Unit)を備えており、上位の制御装置から取得した指令値に基づいて、第一サーボモータ21mの移動指令(位置指令)を算出する。
【0027】
第一通信制御部31は、モーションコントローラMC0から受信した第一サーボモータ21mの移動指令(位置指令)を第一モータ制御部21に送信する。第一通信制御部31は、第一モータ制御部21から第一サーボモータ21mの制御情報を受信して、受信した第一サーボモータ21mの制御情報をモーションコントローラMC0に送信することもできる。
【0028】
また、モーションコントローラMC0は、周辺機器60の駆動指令を算出することもできる。第一通信制御部31は、モーションコントローラMC0から受信した周辺機器60の駆動指令を通信制御部30を介して第二通信制御部32に送信する。第一通信制御部31は、通信制御部30を介して第二通信制御部32から周辺機器60の駆動情報を受信して、受信した周辺機器60の駆動情報をモーションコントローラMC0に送信することもできる。
【0029】
第一通信制御部31とモーションコントローラMC0との間の接続は、公知の種々の接続形態をとり得る。例えば、第一通信制御部31とモーションコントローラMC0との間において公知の汎用のサーボネットワークを形成することが想定される。しかしながら、この場合、第一通信制御部31とモーションコントローラMC0との間の通信において、通信制御部30に相当する制御装置が必要になる。
【0030】
そこで、第一通信制御部31とモーションコントローラMC0との間は、PCI(Peripheral Component Interconnect)の通信規格によって通信可能に接続されていると良い。また、通信規格は、PCIに限定されず、PCI-X、PCI-Expresなどの通信規格であっても良い。特に、PCI-Expresは、シリアル転送方式の拡張インターフェース規格であり、比較的高速なデータ通信を行うことができる。よって、第一通信制御部31とモーションコントローラMC0との間は、PCI-Expresの通信規格によって通信可能に接続されていると良い。
【0031】
なお、周辺機器60には、種々の駆動装置を設けることができる。例えば、周辺機器60は、周辺機器60の可動部60mを動かす少なくとも一つのサーボモータである第二サーボモータ22mを備えることができる。可動部60mは、サーボモータによって動くものであれば良く、限定されない。また、第二サーボモータ22mの数は、限定されず、周辺機器60は、可動部60mを動かすのに必要な数の第二サーボモータ22mを備えることができる。
【0032】
この場合、周辺機器60は、第二サーボモータ22mを駆動制御する第二モータ制御部22を備えることができる。第二サーボモータ22mの駆動制御は、公知の種々の制御をとり得る。例えば、第一サーボモータ21mの駆動制御と同様に、第二モータ制御部22は、第二サーボモータ22mの位置制御、速度制御、電流制御などを行い、第二サーボモータ22mの駆動信号を生成することができる。
【0033】
例えば、第二モータ制御部22は、第二サーボモータ22mの駆動指令(位置指令)と、第二サーボモータ22mの位置を検出する位置検出器(例えば、エンコーダなど)から取得した位置情報とに基づいて、第二サーボモータ22mの位置制御、速度制御および電流制御を行う。既述したように、第二サーボモータ22mの駆動指令(位置指令)は、第一通信制御部31、通信制御部30および第二通信制御部32を介して、モーションコントローラMC0から取得することができる。
【0034】
なお、第二通信制御部32と第二モータ制御部22との間の接続は、公知の種々の接続形態をとり得る。例えば、周辺機器60が複数の第二サーボモータ22mを備える場合、第一サーボネットワーク部41と同様に、第二通信制御部32と第二モータ制御部22との間は、バス接続することができる。
【0035】
また、第二モータ制御部22および第二通信制御部32は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、第二モータ制御部22は、モータ制御用のFPGAに形成することができる。既述したように、第二通信制御部32は、通信用のFPGAに形成することができる。さらに、
図1に示すように、本実施形態では、第二モータ制御部22および第二通信制御部32は、第二サーボモータ22mを駆動する第二サーボアンプSA2に設けられている。第二サーボアンプSA2は、公知のサーボアンプを用いることができる。第二サーボアンプSA2は、第二モータ制御部22によって生成された第二サーボモータ22mの駆動信号に基づいたモータ電流を電力変換器から第二サーボモータ22mに供給する。これにより、第二サーボモータ22mが駆動する。
【0036】
1-2.サーボシステム10の適用例
サーボシステム10は、多関節ロボット50を備える種々の作業機に適用することができる。
図2~
図4に示すように、本実施形態の作業機80は、多関節ロボット50と、エンドエフェクタ61と、搬送機器62と、供給機器63と、ベース部70とを備えている。エンドエフェクタ61、搬送機器62および供給機器63は、周辺機器60に含まれ、それぞれユニット化されている。また、エンドエフェクタ61を備える多関節ロボット50、搬送機器62および供給機器63は、ベース部70の上部に配置されている。
【0037】
図2に示すように、多関節ロボット50は、アーム50aを備えている。アーム50aは、複数軸(例えば、五軸)の垂直多関節アームであり、複数(例えば、六つ)のリンク(第一リンク51a~第六リンク51f)と、各リンクを回転または旋回可能に連結する複数(例えば、五つ)の関節50j(第一関節52a~第五関節52e)とを備えている。複数(五つ)の関節50jは、既述した第一サーボモータ21mによって可動する。各関節50jには、第一サーボモータ21mと、第一サーボモータ21mの位置(回転位置)を検出する位置検出器(エンコーダなど)とが設けられている。
【0038】
既述したように、第一サーボモータ21mは、第一モータ制御部21によって駆動制御される。第一モータ制御部21および第一通信制御部31は、第一サーボアンプSA1に設けられている。第一サーボアンプSA1は、ベース部70の内部に配置されている。また、第一サーボアンプSA1には、位置検出器(エンコーダ)などの検出器から検出信号が入力される。
【0039】
多関節ロボット50は、周辺機器60と協働して、種々の作業を行うことができる。周辺機器60は、多関節ロボット50による作業に必要なものであれば良く、種々の形態をとり得る。周辺機器60は、エンドエフェクタ61、搬送機器62および供給機器63のうちの少なくとも一つであっても良い。
図2~
図4に示すように、本実施形態の作業機80には、エンドエフェクタ61、搬送機器62および供給機器63の周辺機器60が設けられている。
【0040】
図2に示すように、多関節ロボット50のアーム先端部50tである第六リンク51fには、エンドエフェクタ61が着脱可能に取り付けられている。エンドエフェクタ61は、例えば、電磁チャック、メカニカルチャック、吸着ノズルなどを用いることができる。エンドエフェクタ61は、作業対象物W1および供給品P1の形状、素材などに合わせて適宜選択される。また、第五リンク51eには、カメラ50cが取り付けられている。カメラ50cは、作業対象物W1、供給品P1などを撮像することができる。
【0041】
例えば、エンドエフェクタ61のメカニカルチャックは、可動部60mであり、第二サーボモータ22mによって可動する。第二サーボモータ22mは、第二モータ制御部22によって駆動制御される。第二モータ制御部22および第二通信制御部32は、第二サーボアンプSA2に設けられている。第二サーボアンプSA2は、ベース部70の内部に配置されている。また、第二サーボアンプSA2には、位置検出器(エンコーダ)などの検出器から検出信号が入力される。
【0042】
搬送機器62は、作業対象物W1を搬送する。
図3に示すように、本実施形態の搬送機器62は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成されている。搬送機器62は、作業機80の機内に作業対象物W1を搬入し、機内の所定位置に作業対象物W1を位置決めする。搬送機器62は、多関節ロボット50による作業が終了した後に、作業対象物W1を作業機80の機外に搬出する。なお、搬送機器62は、多関節ロボット50による作業において使用される種々の作業対象物W1を搬送することができ、作業対象物W1は、限定されない。
【0043】
搬送機器62のベルトコンベアは、可動部60mであり、第二サーボモータ22mによって可動する。第二サーボモータ22mは、第二モータ制御部22によって駆動制御される。第二モータ制御部22および第二通信制御部32は、第二サーボアンプSA2に設けられている。第二サーボアンプSA2は、搬送機器62の内部に配置されている。また、第二サーボアンプSA2には、位置検出器(エンコーダ)などの検出器から検出信号が入力される。
【0044】
供給機器63は、作業対象物W1に供給品P1を供給する。
図4に示すように、本実施形態の供給機器63は、複数(例えば、二つ)の収容部63aと、複数(例えば、二つ)の搬送部63bとを備えている。複数(二つ)の収容部63aは、作業対象物W1の搬送方向に沿って配置されており、複数(二つ)の収容部63aの各々は、供給品P1を収容している。複数(二つ)の搬送部63bの各々は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成されており、収容部63aから排出された供給品P1を多関節ロボット50がピックアップ可能な位置まで搬送する。なお、供給機器63は、多関節ロボット50による作業において必要な種々の供給品P1を供給することができ、供給品P1は、限定されない。
【0045】
複数(二つ)の搬送部63bの各々のベルトコンベアは、可動部60mであり、第二サーボモータ22mによって可動する。第二サーボモータ22mは、第二モータ制御部22によって駆動制御される。第二モータ制御部22および第二通信制御部32は、第二サーボアンプSA2に設けられている。第二サーボアンプSA2は、供給機器63の内部に配置されている。また、第二サーボアンプSA2には、位置検出器(エンコーダ)などの検出器から検出信号が入力される。
【0046】
第一モータ制御部21は、第一サーボモータ21mを駆動制御することにより、アーム50aを移動させることができ、エンドエフェクタ61を作業対象物W1または供給品P1に向けて移動させることができる。多関節ロボット50は、エンドエフェクタ61を用いて、作業対象物W1に対して種々の作業を行うことができる。例えば、多関節ロボット50は、カメラ50cによって作業対象物W1を撮像する。モーションコントローラMC0より上位の制御装置は、作業対象物W1が撮像された画像を画像処理して、作業対象物W1の位置および姿勢を認識する。
【0047】
制御装置は、作業対象物W1の位置および姿勢に基づいて、エンドエフェクタ61の目標位置(X座標、Y座標およびZ座標)並びに目標姿勢(回転角度)を算出する。モーションコントローラMC0は、算出されたエンドエフェクタ61の目標位置(X座標、Y座標およびZ座標)並びに目標姿勢(回転角度)に基づいて、アーム50aの各関節50j(第一関節52a~第五関節52e)の目標位置および目標角度を設定する。第一モータ制御部21は、各関節50j(第一関節52a~第五関節52e)の位置が目標位置と一致し且つ角度が目標角度と一致するように、第一サーボモータ21mを駆動制御する。
【0048】
また、多関節ロボット50は、第二モータ制御部22がエンドエフェクタ61の第二サーボモータ22mを駆動制御しつつ、作業対象物W1に対して種々の作業を行うこともできる。さらに、第二モータ制御部22が搬送機器62の第二サーボモータ22mを駆動制御して作業対象物W1を搬送し、多関節ロボット50が搬送された作業対象物W1に対して種々の作業を行うこともできる。また、第二モータ制御部22が供給機器63の第二サーボモータ22mを駆動制御して供給品P1を供給し、多関節ロボット50が供給された供給品P1を用いて作業対象物W1に対して種々の作業を行うこともできる。
【0049】
多関節ロボット50による作業は、限定されない。供給品P1をピックアップするピックアップ作業、供給品P1を作業対象物W1の所定位置AR1に配置する配置作業、および、供給品P1を作業対象物W1の被組み付け部AM1の所定部位AP1に組み付ける組み付け作業のうちの少なくとも一つは、多関節ロボット50による作業に含まれる。
【0050】
図2に示す多関節ロボット50は、エンドエフェクタ61を用いて、搬送機器62によって搬送され位置決めされた作業対象物W1をピックアップすることができる。また、多関節ロボット50は、エンドエフェクタ61を用いて、供給機器63によって供給された供給品P1をピックアップすることもできる。さらに、多関節ロボット50は、例えば、
図5に示す収納ケースC1の所定位置AR1に供給品P1を配置することもできる。収納ケースC1は、作業対象物W1であり、複数の領域に区分されている。所定位置AR1は、複数の領域のうちの少なくとも一つの領域(同図では、一つの領域)を示している。
【0051】
例えば、供給品P1が複数の部品の集合物である場合、多関節ロボット50は、収納ケースC1において、供給品P1を部品の種類毎に配置することができる。また、多関節ロボット50は、収納ケースC1において、供給品P1を部品の外形寸法に応じて配置することもできる。さらに、多関節ロボット50は、収納ケースC1において、供給品P1を作業工程順に配置することもできる。
【0052】
多関節ロボット50は、
図6に示す作業対象物W1の被組み付け部AM1の所定部位AP1に供給品P1を組み付けることもできる。例えば、多関節ロボット50は、供給機器63によって供給された供給品P1をピックアップして、被組み付け部AM1の所定部位AP1に供給品P1を組み付けることができる。また、多関節ロボット50は、収納ケースC1に配置した供給品P1をピックアップして、被組み付け部AM1の所定部位AP1に供給品P1を組み付けることもできる。なお、複数の多関節ロボット50が協働して、被組み付け部AM1の所定部位AP1に供給品P1を組み付けることもできる。
【0053】
本実施形態の周辺機器60は、多関節ロボット50のアーム先端部50tに取り付けられるエンドエフェクタ61、作業対象物W1を搬送する搬送機器62、および、作業対象物W1に供給品P1を供給する供給機器63のうちの少なくとも一つである。よって、多関節ロボット50は、エンドエフェクタ61、搬送機器62および供給機器63のうちの少なくとも一つを使用して作業を行うことができる。また、周辺機器60は、ユニット化されている。そのため、サーボシステム10の構成変更が容易である。
【0054】
2.多関節ロボット50
多関節ロボット50は、第一モータ制御部21と、第一通信制御部31とを備えることもできる。第一モータ制御部21は、関節50jを動かす複数のサーボモータである第一サーボモータ21mを駆動制御する。第一通信制御部31は、作業の必要に応じて設けられる周辺機器60および第一モータ制御部21とそれぞれ通信可能である。この形態においても、サーボシステム10について既述されていることが同様に言える。よって、本明細書では、重複する説明が省略されている。
【0055】
3.実施形態の効果の一例
サーボシステム10によれば、第一通信制御部31は、周辺機器60および第一モータ制御部21とそれぞれ通信可能である。よって、サーボシステム10は、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信と、周辺機器60を制御するための通信とを分離することができ、関節50jを動かす第一サーボモータ21mを制御するための通信の通信性能を確保することができる。サーボシステム10について上述されていることは、第一モータ制御部21および第一通信制御部31を備える多関節ロボット50についても同様に言える。
【符号の説明】
【0056】
10:サーボシステム、21:第一モータ制御部、
21m:第一サーボモータ、22:第二モータ制御部、
22m:第二サーボモータ、30:通信制御部、31:第一通信制御部、
32:第二通信制御部、41:第一サーボネットワーク部、
42:第二サーボネットワーク部、50:多関節ロボット、50j:関節、
50t:アーム先端部、60:周辺機器、60m:可動部、
61:エンドエフェクタ、62:搬送機器、63:供給機器、
MC0:モーションコントローラ、SA1:第一サーボアンプ、
SA2:第二サーボアンプ、W1:作業対象物、P1:供給品。