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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】保育器
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61G11/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023558644
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 KR2021008471
(87)【国際公開番号】W WO2022203126
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2021/003666
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511248722
【氏名又は名称】ジェイダブリュ ファーマセウティカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ドン-ス
(72)【発明者】
【氏名】ハム、ペク-ギ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259651(JP,A)
【文献】米国特許第04161172(US,A)
【文献】国際公開第2014/148757(WO,A1)
【文献】特表2017-513537(JP,A)
【文献】特開2009-185907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保育器において、
上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、
下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、
前記固定フレームに連結され、前記固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、
前記昇降フレームの動きに連動するように構成されて、前記昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、
前記昇降フレームに連結されており、前記昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、前記ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、
前記昇降フレームおよび前記フードを昇下降させる駆動機構と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段とを含む保育器であって、
前記チルティング手段は、
前記固定フレームを介して、前記ヒータを前記昇降フレームに回動可能に連結する複数のヒンジ軸と、
前記固定フレームの一側に形成され、前記ヒンジ軸の昇下降移動およびチルティングを案内するためのチルティングガイド溝とからなることを特徴とする、保育器。
【請求項2】
前記チルティングガイド溝は、前記固定フレームの長手方向に延びる昇降溝と、前記昇降溝から、前記ボディに向かって傾斜して延びるチルティング溝とで構成される、請求項に記載の保育器。
【請求項3】
前記チルティングガイド溝は、前記昇降フレームおよび前記フードの上昇時に、前記フードの位置が前記ヒータの位置より高くなる地点から前記ヒータが前記ボディ方向にチルティングするように、前記昇降溝と前記チルティング溝とが構成される、請求項に記載の保育器。
【請求項4】
保育器において、
上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、
下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、
前記固定フレームに連結され、前記固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、
前記昇降フレームの動きに連動するように構成されて、前記昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、
前記昇降フレームに連結されており、前記昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、前記ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、
前記昇降フレームおよび前記フードを昇下降させる駆動機構と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段とを含む保育器であって、
前記フードは、前記昇降フレームに相対移動可能に連結されており、
前記昇降フレームおよび前記フードの昇降時に、前記フードの昇降速度が前記昇降フレームの昇降速度より速く構成されることを特徴とする、保育器。
【請求項5】
保育器において、
上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、
下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、
前記固定フレームに連結され、前記固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、
前記昇降フレームの動きに連動するように構成されて、前記昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、
前記昇降フレームに連結されており、前記昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、前記ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、
前記昇降フレームおよび前記フードを昇下降させる駆動機構と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段とを含む保育器であって、
前記フードが閉まっているクローズドケア状態では、前記ヒータは、前記ボディの側方である第1位置に位置し、前記フードが開いているオープンケア状態では、前記ヒータは、前記ボディの上方であり、かつ、前記ヒータの熱放射部を前記ボディに向かって傾斜させる第2位置に位置することを特徴とする、保育器。
【請求項6】
前記ヒータは、前記第1位置では第1温度で動作し、前記第2位置では前記第1温度より高い第2温度で動作する、請求項に記載の保育器。
【請求項7】
前記駆動機構は、
駆動源と、
前記昇降フレームに連結される第1ねじ軸と、
前記ねじ軸にねじ式装着された第1ナットとを備え、
前記駆動源によって前記第1ナットと前記第1ねじ軸が相対回転することにより、前記第1ねじ軸を進退駆動させて、前記昇降フレームを昇降させる、請求項1に記載の保育器。
【請求項8】
保育器において、
上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、
下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、
前記固定フレームに連結され、前記固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、
前記昇降フレームの動きに連動するように構成されて、前記昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、
前記昇降フレームに連結されており、前記昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、前記ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、
前記昇降フレームおよび前記フードを昇下降させる駆動機構と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段とを含む保育器であって、
前記駆動機構は、
駆動源と、
前記昇降フレームに連結される第1ねじ軸と、
前記ねじ軸にねじ式装着された第1ナットとを備え、
前記駆動源によって前記第1ナットと前記第1ねじ軸が相対回転することにより、前記第1ねじ軸を進退駆動させて、前記昇降フレームを昇降させ、
前記保育器は、前記フードに連結され、前記昇降フレームに収容されるガイドブロックをさらに備え、
前記固定フレームおよび前記昇降フレームは、前記ガイドブロックの上下方向の移動を案内するためのガイド溝を備え、
前記保育器は、一端が前記ガイドブロックに相対回転不能に連結され、他端が前記第1ねじ軸の内部にねじ式装着された第2ねじ軸をさらに備え、
前記第1ねじ軸の回転に伴って前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が相対回転することにより、前記第2ねじ軸を進退駆動させて、前記ガイドブロックに装着された前記フードを昇降させることを特徴とする、保育器。
【請求項9】
保育器において、
上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、
下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、
前記固定フレームに連結され、前記固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、
前記昇降フレームの動きに連動するように構成されて、前記昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、
前記昇降フレームに連結されており、前記昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、前記ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、
前記昇降フレームおよび前記フードを昇下降させる駆動機構と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段とを含む保育器であって、
前記ヒータは、前記固定フレームに回動可能に連結され、
前記チルティング手段は、前記昇降フレームが昇下降することに連動して、前記ヒータを上方と下方との間で回動させることを特徴とする、保育器。
【請求項10】
前記チルティング手段は、
前記ヒータから延び、前記ヒータの回動移動を案内するために湾曲した形状の移動ガイド溝を備えた回転ブロックと、
前記固定フレームの一側に形成され、前記回転ブロックを前記固定フレームに回動可能に連結する回動軸と、
前記昇降フレームが昇下降することに連動して昇下降移動する搬送ブロックと、
前記搬送ブロックの一側に形成され、前記移動ガイド溝に挿入される移動ガイド軸とを含む、請求項に記載の保育器。
【請求項11】
前記昇降フレームは、前記昇降フレームの昇下降に伴って連動して昇下降する駆動ブロックを備え、
前記固定フレームの延長方向に沿って延び、前記固定フレームにスライディング可能に連結され、上方の前記搬送ブロックと下方の前記駆動ブロックとの間に位置するガイド軸を含む、請求項10に記載の保育器。
【請求項12】
前記フードが閉まっているクローズドケア状態では、前記ヒータは、前記ボディの側方であり、前記ヒータの熱放射部が前記ボディとは反対方向に向かう第3位置に位置し、前記フードが開いているオープンケア状態では、前記ヒータは、前記ボディの上方であり、かつ、前記ヒータの熱放射部を前記ボディに向かって傾斜させる第4位置に位置する、請求項11に記載の保育器。
【請求項13】
前記ヒータは、前記第3位置では動作を停止し、前記第4位置では所定の温度で動作する、請求項12に記載の保育器。
【請求項14】
複数の位置検知センサを備え、
前記複数の位置検知センサは、前記ヒータが前記第3位置および前記第4位置にある時、前記駆動ブロックの位置を検知する、請求項12に記載の保育器。
【請求項15】
前記複数の位置検知センサの検知結果に応じて前記ヒータの動作モードが切換えられるように構成される、請求項14に記載の保育器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータとフードとを含む保育器に関する。
【背景技術】
【0002】
保育器(incubator)は、未熟児や異常のある新生児を隔離して保温させるための装置である。一般的に、未熟児看護のための保育器(incubator)は、外部環境との接近の如何により、クローズドケア(closed care)とオープンケア(open care)とに分類される。クローズドケアは、一般的に保育器と称し、未熟児の周囲にフードを設けて未熟児に一定の温度と湿度を提供し、オープンケアは、一般的にウォーマーと称し 、保育器のようなフードなしに、未熟児の上部にヒータを設け、そのヒータの輻射熱で未熟児に一定の温度を維持できるようにする。このような従来の保育器とウォーマーはそれぞれ別途に製造されてきた。したがって、クローズドケアからオープンケアに変えようとする場合、保育器から別のウォーマーに未熟児を移動させることにより、未熟児の周囲の温度条件の急激な変化をもたらすことがあり、周囲の環境によって感染に露出しうる問題点があった。このような問題を解決するために、クローズドケアとオープンケアとの並行が可能な保育器に対する開発が行われている。このような保育器は、乳児を寝かせる平らな表面と、これを取り囲むガードとを備えており、乳児を暖かい所定の温度に維持するためのオーバーヘッド式輻射加熱器を備えることが一般的である。
【0003】
このような保育器に関する従来技術として、大韓民国登録特許第10-1314189号では、フードおよびヒータを含む保育器を開示している。しかし、そのような保育器の場合、クローズドケアではヒータの電源が遮断されて、保育器モードで隔室内部の湿気が発生して使用者の隔室内監視のための視野確保が困難という問題点があった。また、ヒータの角度が固定されていて、クローズドケアとオープンケアとの間の切換時、熱効率が低下しうるなどの問題点が存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】大韓民国登録特許第10-1314189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の保育器は、上記の従来技術で発生する問題点を解決するためのものであって、ヒータとフードが同時に作動しながら、ヒータを一定の高さでボディ側に向かって傾斜させることにより、クローズドケアとオープンケアとの間の熱損失を最小化する効果を提供するだけでなく、クローズドケア状態でもヒータを駆動させることにより、ボディ周辺の湿気を除去する保育器を提供することを、発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保育器において、上部に赤ん坊を寝かせるように底板が備えられたボディと、下部が前記ボディの一側に連結されている固定フレームと、固定フレームに連結され、固定フレームに対して昇下降するように構成される昇降フレームと、昇降フレームの動きに連動するように構成されて、昇降フレームの昇下降に伴って昇下降するヒータと、昇降フレームに連結されており、昇降フレームの動きに連動して昇下降することにより、ボディの上部を開閉できるように構成されるフードと、昇降フレームおよびフードを昇下降させる駆動機構とを含み、昇降フレームが昇下降することに連動して、ヒータを所定の角度にチルティングさせるチルティング手段をさらに備えることを特徴とする保育器を提供する。本発明によれば、ヒータが一定の高さでボディ側に向かってチルティングすることにより、クローズドケアとオープンケアとの間の切換時に熱損失を最小化することができ、オープンケアにおいてより効率良く保育器の内部に熱を伝達することができる。
【0007】
また、本発明は、その第1の観点において、前記チルティング手段は、固定フレームを介して、ヒータを昇降フレームに回動可能に連結する複数のヒンジ軸と、固定フレームの一側に形成され、ヒンジ軸の昇下降移動およびチルティングを案内するためのチルティングガイド溝とからなる。前記第1の観点によれば、ヒータの昇降の動きをガイドするチルティングガイド溝の形状を調整することにより、簡単な構造により、昇降フレームの昇降時にヒータが連動して昇降しながら所定の角度にチルティングする構成を実現することができる。
【0008】
また、本発明は、その第2の観点においては、前記チルティングガイド溝は、固定フレームの長手方向に延びる昇降溝と、昇降溝から、前記ボディに向かって傾斜して延びるチルティング溝とで構成される。チルティングガイド溝を前記簡単な形状にすることにより、ヒータ昇降時のチルティング動作を容易に実現可能である。
【0009】
また、本発明は、その第3の観点においては、フードは、昇降フレームに相対移動可能に連結されており、昇降フレームおよびフードの昇降時に、フードの昇降速度が昇降フレームの昇降速度より速く構成される。前記構成によれば、ヒータとフードが同時に昇降する時に、ヒータのチルティング動作によってヒータとフードとが互いに衝突することを防止することができる。
【0010】
また、本発明は、その第4の観点においては、前記チルティングガイド溝は、昇降フレームおよびフードの上昇時に、フードの位置がヒータの位置より高くなる地点からヒータがボディ方向にチルティングするように、昇降溝とチルティング溝とが構成される。前記構成によれば、ヒータとフードが同時に昇降する時に、ヒータのチルティング動作によってヒータとフードとが互いに衝突することをより効果的に防止することができる。
【0011】
また、本発明は、その第5の観点においては、フードが閉まっているクローズドケア状態では、ヒータは、ボディの側方である第1位置に位置し、フードが開いているオープンケア状態では、ヒータは、ボディの上方であり、ヒータの熱放射部を前記ボディに向かって傾斜させる第2位置に位置するように構成される。前記構成によれば、クローズドケア状態では、ヒータがボディの側面に位置して、ヒータの稼働時にボディ周辺の湿気を除去する機能を行うことができ、オープンケア状態では、フードが開放されたボディ内部の空気を加熱させて、ボディ内部の環境が、未熟児に適した環境になるようにする。
【0012】
また、本発明は、その第6の観点においては、前記ヒータは、第1位置では第1温度で動作し、第2位置では第1温度より高い第2温度で動作する。ヒータが第1位置にある場合、湿気の除去に適した温度でヒータを制御すれば良いので、第2位置にある場合のように高温でヒータを駆動させる必要がない。したがって、前記構造を採用することにより、エネルギー損失を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、その第7の観点においては、前記駆動機構は、駆動源と、昇降フレームに連結される第1ねじ軸と、ねじ軸にねじ式装着された第1ナットとを備え、駆動源によって第1ナットと第1ねじ軸が相対回転することにより、第1ねじ軸を進退駆動させて、昇降フレームを昇降させる。前記構成によれば、簡単な動力伝達構造により、効率良く昇降フレームを昇降させることができる。
【0014】
また、本発明は、その第8の観点においては、フードに連結され、昇降フレームに収容されるガイドブロックをさらに備え、固定フレームおよび前記昇降フレームは、フードに連結されたガイドブロックの上下方向の移動を案内するためのガイド溝を備える。前記構成によれば、フードが上昇する時に、予め定められた固定フレームの高さより高い位置にまでフードを上昇させることができる。したがって、オープンケア時に作業空間を十分に確保し、クローズドケア時に保育器のサイズをコンパクト化させることができる。
【0015】
また、本発明は、その第9の観点においては、一端がガイドブロックに相対回転不能に連結され、他端が前記第1ねじ軸の内部にねじ式装着された第2ねじ軸をさらに備え、第1ねじ軸の回転に伴って第1ねじ軸と第2ねじ軸が相対回転することにより、第2ねじ軸を進退駆動させて、ガイドブロックに装着されたフードを昇降させる。前記構成によれば、簡単な動力伝達構造により、フードと昇降フレームの昇降動作を互いに連動させることができる。
【0016】
また、本発明は、その第10の観点においては、ヒータが固定フレームに回動可能に連結され、チルティング手段は、昇降フレームが昇下降することに連動して、ヒータを上方と下方との間で回動させることができる。この場合、ヒータを時計方向に回動させることにより、ヒータを上方と下方との間で昇降させるとともに所定の角度にチルティングさせることができる。
【0017】
また、本発明は、その第11の観点においては、チルティング手段が、ヒータから延び、ヒータの回動移動を案内するために湾曲した形状の移動ガイド溝を備えた回転ブロックと、固定フレームの一側に形成され、回転ブロックを固定フレームに回動可能に連結する回動軸と、昇降フレームが昇下降することに連動して昇下降移動する搬送ブロックと、搬送ブロックの一側に形成され、移動ガイド溝に挿入される移動ガイド軸とを含むことにより、前記第10の観点による回動移動を実現することができる。
【0018】
また、本発明は、その第12の観点においては、昇降フレームは、昇降フレームの昇下降に伴って連動して昇下降する駆動ブロックを備え、固定フレームの延長方向に沿って延び、固定フレームにスライディング可能に連結され、上方の搬送ブロックと下方の駆動ブロックとの間に位置するガイド軸を含むことができる。
【0019】
また、本発明は、その第13の観点においては、フードが閉まっているクローズドケア状態では、ヒータは、ボディの側方であり、ヒータの熱放射部がボディとは反対方向に向かう第3位置に位置し、フードが開いているオープンケア状態では、ヒータは、ボディの上方であり、かつ、ヒータの熱放射部をボディに向かって傾斜させる第4位置に位置することができる。
【0020】
また、本発明は、その第14の観点においては、ヒータは、第3位置では動作を停止し、第4位置では所定の温度で動作させることができる。
【0021】
また、本発明は、その第15の観点においては、複数の位置検知センサを備え、複数の位置検知センサは、ヒータが前記第3位置および前記第4位置にある時、駆動ブロックの位置を検知させることができる。
【0022】
また、本発明は、その第16の観点においては、複数の位置検知センサの検知結果に応じてヒータの動作モードが切換えられるように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の保育器は、駆動機構によって、保育器のボディの上部を開閉するフードの動作とヒータのチルティング動作とを互いに連動させることにより、クローズドケアからオープンケアへの切換時に、ボディが開放されるのとほぼ同時にヒータが適切な位置に移動してウォーマーの機能を行うことができる。したがって、クローズドケアからオープンケアへの切換時に、未熟児に周囲の温度条件の急激に変化することを防ぐことができる。また、オープンケアからクローズドケアへの切換時には、ヒータがウォーマー姿勢から後退するのとほぼ同時にボディを閉鎖可能で、未熟児が周囲の環境によって感染に露出することを最大限に抑制することができる。さらに、クローズドケア時に、ヒータは、ボディの側方に下降することから、全体的な保育器のサイズをコンパクト化することができる。
【0024】
また、本発明の保育器は、クローズドケアとオープンケアとの間の切換時にヒータの温度を自動的に調整する自動温度制御装置を備えることにより、モード切換時に熱損失を最小化できることはもちろん、クローズドケアでもヒータの作動を維持させることにより、ボディ周囲の湿気除去により使用者のボディ内監視のための視野を確保可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例によるオープンケア状態にある保育器を示す側面図である。
図2】本発明の一実施例によるオープンケア状態にある保育器を示す正面図である。
図3】本発明の一実施例によるクローズドケア状態にある保育器を示す側面図である。
図4】本発明の一実施例によるクローズドケア状態にある保育器を示す正面図である。
図5】本発明の一実施例によるフレームおよび昇降フレームを示す正面図である。
図6】本発明の一実施例によるフレームおよび昇降フレームを示す部分拡大図である。
図7】本発明の一実施例によるフードおよびヒータの昇降構造を示すための部分分解斜視図である。
図8】本発明の一実施例によるヒータの連結構造を示すための後側面部分の部分分解斜視図である。
図9】本発明の一実施例によるフレームおよび昇降フレームを示す断面図である。
図10】本発明の一実施例によるフードおよびヒータの昇降構造を示すための後側面部分の部分分解斜視図である。
図11】本発明の他の好ましい実施例によるクローズドケア状態にある保育器を示す部分拡大図である。
図12】本発明の他の好ましい実施例によるオープンケア状態にある保育器を示す部分拡大図である。
図13】本発明の他の好ましい実施例によるフードおよびヒータの昇降構造を示すための部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施例>
以下、本発明の好ましい第1実施例を「1.保育器全体の概略的な構成」、「2.固定フレーム、昇降フレーム、およびヒータのチルティング構造の構成」、「3.フードおよびヒータの動作」に項目を分類して、詳しく説明する。
【0027】
1.保育器全体の概略的な構成
以下、図1図4を参照して、保育器の基本構造について詳しく説明する。
【0028】
本発明の保育器のボディ10は、図1図4に示すように、車輪11と主柱12とがそれぞれ装着されている台車(13;trolley)を備えている。
【0029】
具体的には、車輪11は、台車13の4コーナーの下側に装着されている。そして、主柱12は、台車13上に装着されている。また、主柱12上には保育器基台20が設けられている。また、保育器基台(20;base)上には、平らな容器形状を有する底板が設けられている。そして、この底板上には、新生児などの赤ん坊をその上に寝かせるマットレスを配置することができる。そして、保育器基台20には、赤ん坊の頭側の壁部を一般的に構成している頭側壁部22と、赤ん坊の足側の壁部を一般的に構成している足側壁部23と、赤ん坊の左側の壁部を一般的に構成している左側壁部21-1と、赤ん坊の右側の壁部を一般的に構成している右側壁部21-2とが、平面視で全体として実質的に矩形となるように、それぞれ設けられている。
【0030】
そして、壁部それぞれは、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂などのプラスチックを材料として用いたプラスチック成形によって形成されてもよい。好ましくは、外部から壁部の内部を観察できるように、壁部のそれぞれは、透明な材質からなることが好ましい。
【0031】
そして、ボディ10の上方には、壁部の上部を開閉可能なフード50が備えられる。フード50は、フード連結部51とフードガイドブロック86とを介して、後述する昇降フレーム40に連結されて、昇降フレーム40の昇降に伴って昇降して、ボディ10の開放された上部を開閉することができる。これにより、保育器のケア状態をオープンケアとクローズドケアとに切換えることができる。フード50は、開放された保育器の上部を外部環境と隔離させることができるものであれば特に限定されない。フード50は、クローズドケア状態で、使用者がボディ10内の底板に置かれた未熟児の状態を確認できるように、壁部と同じく、透明材質で構成されることが好ましい。
【0032】
そして、オープンケア時に、ボディ10内部の未熟児が置かれている空間の温度を調整するためのヒータ60が備えられる。後述のように、ヒータ60は、昇降フレーム40の昇降に伴って昇降して、クローズドケア時の待機位置(第1位置)と、オープンケア時のウォーマー位置(第2位置)との間で移動するように構成される。後述のように、本発明の好ましい第1実施例によれば、ウォーマー位置において、ヒータ60は、その熱放射部がボディ10の内部に向かって傾斜するようにチルティングして、ボディ10内部の隔離空間の温度をより効果的に調整できるようにする。ヒータ60は、ボディ10に向かって熱を加えるように構成するものであれば特に限定されず、好ましくは、一般の遠赤外線放出電気式ヒータであってもよい。
【0033】
2.固定フレーム、昇降フレーム、およびヒータのチルティング構造の構成
以下、添付した図5図10を参照して、保育器に設けられた固定フレーム30、昇降フレーム40、およびヒータ60のチルティング構造についてより詳しく説明する。
【0034】
本発明の保育器の一構成要素である固定フレーム30は、好ましくは、上部が開放された中空の多角形シリンダ形状を有する。そして、固定フレーム30は、ボディ10の一側に備えられた水平ベース部材31に設けられている。好ましい実施例では、安定性を備えるために、2つの垂直な固定フレーム30部材が互いに離隔したまま並んで配置される。ただし、このような部材は、1つのみ設けてもよく、あるいは3つ以上設けてもよい。
【0035】
昇降フレーム40は、好ましくは、固定フレーム30のように中空の多角形シリンダ形状を有する。昇降フレーム40は、固定フレーム30内部の中空の空間に挿入される。図5図10に示されるように、昇降フレーム40は、フード50およびヒータ60に連結されて、昇降フレーム40の昇降動作に連動してヒータ60とフード50が昇降するようにする。そして、固定フレーム30と昇降フレーム40には、フード50のフード連結部51に連結されたフードガイドブロック86の昇降移動を案内するガイド溝32が形成されている。そして、固定フレーム40には、後述するチルティングガイド溝71が形成されたチルティングガイド部70が備えられて、ヒータ60のチルティング動作を案内する。
【0036】
昇降フレーム40の下方には、昇降フレーム40を昇降させる動力源としてモータ80が備えられる。モータ80の上方には、上端に第1ナット83が固定された形態で備えられ、中空のシリンダ形状を有する第1連結ガイド81が回転不能な固定状態で備えられる。
【0037】
第1連結ガイド81の内部には、その一端がモータ80の出力軸に連結され、第1連結ガイド81の内部に収容される第2連結ガイド82が備えられる。第2連結ガイド82の他端は、第1ねじ軸84の下端に連結される。したがって、モータ80の出力軸が回転すれば、それによって第2連結ガイド82および第1ねじ軸84が回転するように構成される。一方、第1ねじ軸84は、中空の円筒形シリンダ形状を有しており、その外周面および内周面にすべてねじ山が形成されている。そして、第1ねじ軸84の上端は、昇降フレーム40の内部に固定されており、ねじ山が形成された外周面は、第1連結ガイド81の第1ナット83とねじ結合されている。前述のように、第1連結ガイド81の第1ナット83は、回転移動が制限されているので、モータ80の出力軸が回転すれば、第1ナット83にねじ結合された第1ねじ軸84は、軸方向に直線運動する。これにより、第1ねじ軸84に連結された昇降フレーム40を昇降駆動することができる。
【0038】
一方、第1ねじ軸84の内部には第2ねじ軸85が挿入される。第2ねじ軸85の上端は、フード50を昇降フレーム40に連結するためのフードガイドブロック86に固定される。そして、第2ねじ軸85の外周面にはねじ山が形成されて、第1ねじ軸84の内周面に形成されたねじ山とねじ結合するように構成される。一方、フードガイドブロック86は、図7に示されるように、昇降フレーム40と同じく、断面が多角形形状を有しているため、昇降フレーム40の内部に収容時に回転不能な状態で収容される。したがって、フードガイドブロック86に固定連結された第2ねじ軸85も、回転不能な状態で昇降フレーム40内に維持される。したがって、第2ねじ軸85の回転運動が制限されるため、モータ80の出力軸の回転に伴って、第1ねじ軸84が回転すれば、第2ねじ軸85は、軸方向に直線運動をする。これにより、昇降フレーム40の昇降駆動に連動して、第2ねじ軸85に連結されたフード50を昇降駆動することができる。
【0039】
一方、第1ねじ軸84の外周面と内周面に形成されたねじ山と、第2ねじ軸85の外周面に形成されたねじ山の形状を適切に制限することにより、同一の駆動源であるモータの出力軸に回転により昇降フレーム40の昇降速度とフード50の昇降速度とを異ならせることができる。ヒータ60とフード50が同時に昇降する時に、後述するヒータ60のチルティング動作によってヒータ60とフード50とが互いに衝突することを防止するためには、フード50の昇降速度が昇降フレーム40の昇降速度より速く構成されることが好ましい。
【0040】
一方、ヒータ60は、ヒータヒンジブラケット61bと、ヒータ固定ブロック61aとを介して、固定フレーム30の内部に収容された昇降フレーム40に連結される。
【0041】
より具体的には、ヒータ60の一側面にはヒータヒンジブラケット61bが備えられる。ヒータヒンジブラケット61bは、ヒータ60に対向する方向に突出形成された2つのヒンジ軸62a、62bが形成され、そのうち、1つのヒンジ軸62aは、固定フレーム30の側面に備えられたチルティングガイド部70に形成されたチルティングガイド溝71を通過して、内部の昇降フレーム40と回動可能に連結される。他の1つのヒンジ軸62bは、ヒータ固定ブロック61aに回動可能に連結される。ヒータ固定ブロック61aは、チルティングガイド部70の一側に、チルティングガイド溝71の昇降溝71aと並んで形成されたガイド溝を通過して、内部の昇降フレーム40に固定連結される。
【0042】
一方、図8に示されるように、チルティングガイド溝71は、昇降溝71aおよびチルティング溝71bで構成される。昇降溝71aは、固定フレーム30の上下方向に沿って直線状に延び、チルティング溝71bは、昇降溝71aから、ボディ10に向かって傾斜する方向に延びる。したがって、昇降フレーム40の上昇に伴ってヒータ60が上昇すれば、昇降フレーム40に直接回動可能に連結されたヒンジ軸62aは、昇降溝71aに沿って長手方向に昇降し、チルティング溝71bによって四面方向に移動する。前記ヒンジ軸62aの方向切換によって、ヒータ60は、ヒータ固定ブロック61aに連結されたヒンジ軸62bを中心に回動し、その結果、ボディ10に向かう方向にチルティングする。
【0043】
好ましくは、チルティングガイド溝71は、昇降フレーム40およびフード50の上昇時に、フード50の位置がヒータ60の位置より高くなる地点からヒータ60がボディ10方向にチルティングするように、昇降溝71aとチルティング溝71bとが構成される。これにより、ヒータ60とフード50が同時に昇降する時に、ヒータ60のチルティング動作によってヒータ60とフード60とが互いに衝突することをより効果的に防止することができる。
【0044】
3.フードおよびヒータの動作
以下、図1図10を参照して、本発明の好ましい第1実施例による保育器において、フード50およびヒータ60の動作について詳しく説明する。
【0045】
図1および図2は、オープンケア状態にある場合の保育器を示す図であり、図3および図4は、クローズドケア状態にある場合の保育器を示す図である。
【0046】
クローズドケア状態にある時には、昇降フレーム40は、下死点まで下がった状態で、固定フレーム30の内部に収容されている。前記位置において、昇降フレーム40に連結されたフード50は、ボディ10の上部開放面を覆うことで内部空間を隔離させる。
【0047】
一方、この状態で、ヒータ60は、ボディ10の側方である第1位置に位置する。したがって、当該位置において、ヒータ60は、第1温度で動作して、ボディ10とフード50に形成される湿気を除去することができる。
【0048】
外部入力装置などを介して、使用者からオープンケア状態への切換命令が入力される場合、保育器のモータ80が駆動を開始する。モータ80の出力軸が回転するに伴って、出力軸に連結された第2連結ガイド82、および第2連結ガイド82に連結された第1ねじ軸84が回転する。第1ねじ軸84と第1ナット83の相対回転に伴って、第1ねじ軸84は、軸方向に直線移動をし、それによって昇降フレーム40も上昇する。それによって、昇降フレーム40に連結されたヒータ60も上昇する。ヒータ60は、2つのヒンジ軸62a、62bが昇降溝71aに沿って移動する時には、上下方向に沿って移動し、上方のヒンジ軸62aがチルティング溝71bに沿って移動を開始すれば、ヒータ60が、下方のヒンジ軸62bを中心に回転しながらチルティングする。前述のように、昇降フレーム40およびフード50の上昇時に、フード50の位置がヒータ60の位置より高くなる地点からヒータ60がボディ10方向にチルティングするように、昇降溝71aとチルティング溝71bとが構成されるので、フード50の下方でヒータ60のチルティング動作が行われる。
【0049】
一方、第1ねじ軸84と第2ねじ軸85の相対回転に伴って、第2ねじ軸85も第1ねじ軸84に連動して軸方向に直線移動をする。したがって、フード連結部51とフードガイドブロック86とを介して、第2ねじ軸85に装着されたフード50も上昇する。本発明の好ましい実施例によれば、フード50の上昇速度は、昇降フレーム40の上昇速度より速く、フード50の高さが、ヒータ60の高さより高くなった状態で、ヒータ60のチルティング動作が行われることから、フード50とヒータ60との同時上昇時に、ヒータ60のチルティング動作によってヒータ60がフード50と衝突することは発生しない。
【0050】
ヒータ60は、第2位置(ウォーマー位置)に到達する場合、第1温度より高い第2温度で動作して、フード50が開放された状態のボディ10内部の空間の温度を調整する。
【0051】
本願の図1および図2には、上記の動作によるオープンケア状態の保育器を示している。図1および図2に示されるように、フード50は上昇して、保育器のボディ10は上方が開放状態になっている。また、ヒータ60は、フード50の下方に位置し、また、熱放射面がボディ10の内部に向かう方向に傾斜したウォーマー位置(第2位置)に位置する。フード50が第2位置にある時には、通常のウォーマーとして機能する。したがって、本発明の保育器によれば、赤ん坊が横になっている方向に向かってヒータ60がチルティングすることにより、保育器以外の空間に熱が発散する現象を最大限に防止させる。
【0052】
このようなオープンケア状態で、外部入力装置などを介して、使用者からクローズドケア状態への切換命令が入力される場合、前述した過程が逆に進行して、再度クローズドケア状態に切換えられる。一方、オープンケアからクローズドケアに切換えられた状態で、ボディ10の湿気を除去して使用者がボディ10内を容易に監視できるようにするために、自動温度制御装置を備えて、クローズドケアでもヒータ60が作動できるようにすることが好ましい。また、好ましくは、自動温度制御装置は、図示しない接触センサなどを用いて、ヒータ60の位置を検知し、検知されたヒータの位置に応じてヒータ60の作動温度を自動的に調整するように構成される。
【0053】
<第2実施例>
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい第2実施例について詳しく説明する。一方、第2実施例による保育器の基本構造は、第1実施例に関してすでに説明された保育器の基本構造と実質的に同一である。したがって、以下、「1.固定フレーム、昇降フレーム、およびヒータのチルティング構造の構成」、「2.フードおよびヒータの動作」に項目を分類して、第2実施例について説明し、第1実施例と重複する構造については具体的な説明を省略する。
【0054】
1.固定フレーム、昇降フレームおよびヒータのチルティング構造の構成
以下、添付した図11図13を参照して、第2実施例による保育器に設けられた固定フレーム30、昇降フレーム40、およびヒータ60のチルティング構造についてより詳しく説明する。
【0055】
第1実施例と同じく、固定フレーム30は、好ましくは、上部が開放された中空の多角形シリンダ形状を有する。そして、固定フレーム30は、ボディ10の一側に備えられた水平ベース部材31に設けられている。より好ましくは、安定性を備えるために、2つの垂直な固定フレーム30部材が互いに離隔したまま並んで配置される。ただし、このような部材は、1つのみ設けてもよく、あるいは3つ以上設けてもよい。
【0056】
昇降フレーム40は、好ましくは、固定フレーム30と同じく、中空の多角形シリンダ形状を有する。昇降フレーム40は、固定フレーム30内部の中空の空間に挿入される。昇降フレーム40の下方には、昇降フレーム40を昇下降させる動力源としてモータ80が備えられる。一方、昇降フレーム40を昇下降させる動力源および動力伝達構造は、前述した第1実施例で説明したものと同一の構造が適用可能であるので、具体的な説明は省略する。
【0057】
昇降フレーム40の上方には、フード連結部51を介して、フード50が一体に連結される。したがって、昇降フレーム40が昇下降する時に、昇降フレーム40に連動して昇下降する。
【0058】
そして、昇降フレーム40の下方には、昇降フレーム40の昇下降に連動して昇下降する駆動ブロック106が備えられる。駆動ブロック106は、昇降フレーム40と一体に形成される。この場合、駆動ブロック106は、最初から昇降フレーム40とともに一体に挙動する。あるいは、駆動ブロック106は、昇降フレーム40に対して一定の範囲内でスライド移動可能に連結されてもよい。この場合、昇降フレーム40が一定の高さまで昇降するまでは、駆動ブロック106は停止しており、一定の高さを超えて昇降する場合、昇降フレーム40とともに一体に挙動される。したがって、駆動ブロック106と昇降フレーム40が相対移動する範囲を調整する場合、昇降フレーム40に連動して昇下降するフード50と、後述のように、駆動ブロック106に連動して昇下降するヒータ60との間の駆動タイミングを制御することが可能である。
【0059】
駆動ブロック106の上方には搬送ブロック104が備えられる。図13に示されるように、好ましくは、搬送ブロック104は、固定フレーム30の外周を取り囲む形状に構成可能であり、この時、固定フレーム30の各側面に対向する複数の搬送ブロック104a、104bが連結されて構成されてもよい。搬送ブロック104の側面には、移動ガイド軸103が突出延長して、後述する回転ブロック100に連結される。
【0060】
駆動ブロック106と搬送ブロック104との間にはガイド軸105a、105b、105cが備えられる。安定した駆動を保障するための面で、ガイド軸105a、105b、105cは、図13に示されるように、複数個備えられることが好ましい。図13に示された例において、ガイド軸105a、105b、105cは、搬送ブロック104の下面に一体に形成されているが、本実施例はこれに限定されず、駆動ブロック106の上面に一体に形成されてもよい。図13に示された例のように、ガイド軸105a、105b、105cが搬送ブロック104の下面に一体に形成される場合、駆動ブロック106の上昇に伴って、搬送ブロック104の下面と一体に構成されたガイド軸105a、105b、105cと当接する。この状態で、駆動ブロック106がさらに上昇すれば、駆動ブロック103がガイド軸105a、105b、105cを介して搬送ブロック104を上方に押し上げるようになる。
【0061】
一方、ヒータ60は、ヒータ60の一側面または両側面から後方に延びる回転ブロック100を介して、固定フレーム30に回動可能に連結される。
【0062】
回転ブロック100は、固定フレーム30の一側面から突出して延びる回動軸101を中心に回動可能に連結される。そして、回転ブロック100には、回動軸101の周囲に湾曲して形成された移動ガイド溝102が形成される。移動ガイド溝102には、搬送ブロック104の移動ガイド軸103が挿入される。一方、搬送ブロック104が昇降フレーム40の昇降に連動して昇降すれば、移動ガイド軸103もそれによって昇降する。したがって、移動ガイド軸103の昇降時、移動ガイド溝102が移動ガイド軸103に沿って移動しながら、回転ブロック100が回動軸101を中心に強制的に時計方向に回動する。
【0063】
固定フレーム30には、上側と下側にそれぞれ上側位置センサ107bおよび下側位置センサ107aが備えられる。下側位置センサ107aと上側位置センサ107bは、それぞれ当該位置で駆動ブロック106の存在および移動を検知する機能を行う。
【0064】
2.フードおよびヒータの動作
以下、図11図13を参照して、本発明の好ましい第2実施例による保育器において、フード50およびヒータ60の動作について詳しく説明する。
【0065】
図11は、クローズドケア状態にある保育器を示す図であり、図12は、オープンケア状態にある保育器を示す図である。
【0066】
クローズドケア状態にある時には、昇降フレーム40は、下死点まで下がった状態で、固定フレーム30の内部に収容されている。前記位置において、昇降フレーム40に連結されたフード50は、ボディ10の上部開放面を覆うことで内部空間を隔離させる。
【0067】
一方、この状態で、ヒータ60は、ボディ10の側方である第3位置に位置する。そして、第3位置において、ヒータ60の熱放射部60aは、ボディ10とは反対方向に向かっている。したがって、好ましくは、使用者がヒータ60の熱気に負傷を負わないように、第3位置ではヒータ60の動作をOFFさせることが好ましい。そして、この位置において、駆動ブロック106は、下側位置センサ107aに対向する位置に存在することから、下側位置センサ107aで駆動ブロック106の存在の有無を検出することにより、保育器がクローズドケア状態にあることを検知することができる。一方、ヒータ60の回動移動時にボディ10と接触しないように、第3位置において、ヒータ60は、ボディ10の上部開放面の高さより高く位置することが好ましい。
【0068】
外部入力装置などを介して、使用者からオープンケア状態への切換命令が入力される場合、保育器のモータ80が駆動を開始する。モータ80が駆動することにより、第1実施例で説明したように、昇降フレーム40が上昇し、昇降フレーム40に連結されたフード50も上昇して、ボディ10の上部開放面が開放される。一方、昇降フレーム40が上昇しながら、前述のように、駆動ブロック106もこれに連動して上昇する。この時、下側位置センサ107aが、駆動ブロック106が移動し始めたことを検知することにより、クローズドケアからオープンケアに切換が開始されたことを検知することができる。そして、駆動ブロック106の上昇に伴って、搬送ブロック104に連結されたガイド軸105a、105b、105cの下端と当接し、ガイド軸105a、105b、105cの下端が駆動ブロック106の上端と当接した後には、昇降フレーム40の上昇とともに駆動ブロック106がさらに上昇するに伴って、搬送ブロック104も上方に押し上げられて上昇する。
【0069】
そして、搬送ブロック104が昇降フレーム40の昇降に連動して昇降すれば、移動ガイド軸103もそれによって昇降する。したがって、移動ガイド軸103の昇降時に移動ガイド溝102が移動ガイド軸103に沿って移動しながら、回転ブロック100が回動軸101を中心に強制的に時計方向に回動する。
【0070】
一方、クローズドケア状態からオープンケアに切換えられる時に、フード50とヒータ60とが互いに接触しないように、フード50の上昇タイミングとヒータ60の回動タイミングが適切に制御されることが好ましい。前述のように、駆動ブロック106と昇降フレーム40が相対移動する範囲を調整することにより、フード50の上昇タイミングとヒータ60の回動タイミングを制御することが可能である。
【0071】
一方、昇降フレーム40が上死点に到達すれば、ヒータ60は、第4位置に到達し、この時、ヒータ60の熱放射部60aは、ボディ10に向かって下方に傾斜した方向に向かうようになる。そして、ヒータ60が第4位置に到達すれば、熱放射部60aは、所定の温度で動作して、フード50が開放された状態のボディ10内部の空間の温度を調整する。一方、第4位置において、駆動ブロック106は、上側位置センサ107bに対向する位置に存在することから、上側位置センサ107bで駆動ブロック106の存在の有無を検出することにより、保育器がオープンケア状態にあることを検知することができる。したがって、上側位置センサ107bが駆動ブロック106の存在を検出した時、直ちにヒータ60が所定の温度で動作するように制御されることがより好ましい。
【0072】
図12には、上記の動作によるオープンケア状態の保育器を示している。図12に示されるように、フード50は上昇して、保育器のボディ10は上方が開放された状態になっている。また、ヒータ60は、フード50の下方に位置し、かつ、熱放射面がボディ10の内部に向かう方向に傾斜したウォーマー位置(第4位置)に位置する。したがって、本発明の保育器によれば、赤ん坊が横になっている方向に向かってヒータ60がチルティングすることにより、保育器以外の空間に熱が発散する現象を最大限に防止させる。
【0073】
このようなオープンケア状態で、外部入力装置などを介して、使用者からクローズドケア状態への切換命令が入力される場合、前述した過程が逆に進行して、再度クローズドケア状態に切換えられる。
【0074】
すなわち、前述した第1実施例の場合、昇降フレーム40とヒータ60とが直接連結されていて、昇降フレーム40が昇下降する時に、ヒータ60も一体に昇下降するようにしているのとは異なり、第2実施例の場合、昇降フレーム40が昇下降する時に、ヒータ60が所定の回転軸を中心に回動移動することにより、ヒータ60の昇下降が行われるという点で差異がある。しかし、第2実施例も、第1実施例と同じく、昇降フレーム40の昇下降に伴って、フード50の昇下降動作およびヒータ60の昇下降とチルティング動作が同時に行われるという点では、第1実施例と同一の作用効果を有する。
【実施例
【0075】
本発明の保育器は、駆動機構によって、保育器のボディの上部を開閉するフードの動作とヒータのチルティング動作とを互いに連動させることにより、クローズドケアからオープンケアへの切換時に、ボディが開放されるのとほぼ同時にヒータが適切な位置に移動してウォーマーの機能を行うことができる。したがって、クローズドケアからオープンケアに切換時に、未熟児に周囲の温度条件の急激に変化することを防ぐことができる。また、オープンケアからクローズドケアへの切換時には、ヒータがウォーマー姿勢から後退するのとほぼ同時にボディを閉鎖可能で、未熟児が周囲の環境によって感染に露出することを最大限に抑制することができる。さらに、クローズドケア時に、ヒータは、ボディの側方に下降することから、全体的な保育器のサイズをコンパクト化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の保育器は、クローズドケアとオープンケアとの間の切換時にヒータの温度を自動的に調整する自動温度制御装置を備えることにより、モード切換時に熱損失を最小化できることはもちろん、クローズドケアでもヒータの作動を維持させることにより、ボディ周囲の湿気除去により使用者のボディ内監視のための視野を確保である。
【符号の説明】
【0077】
10:ボディ
11:車輪
12:主柱
13:台車
20:基台
21-1:左側壁部
21-2:右側壁部
22:頭側壁部
23:足側壁部
30:固定フレーム
31:水平ベース部材
32:ガイド溝
40:昇降フレーム
50:フード
51:フード連結部
60:ヒータ
61:ヒータ連結部
61a:ヒータ固定ブロック
61b:ヒータヒンジブラケット
62a、62b:ヒンジ軸
70:チルティングガイド部
71:チルティングガイド溝
71a:昇降溝
71b:チルティング溝
80:モータ
81:第1連結ガイド
82:第2連結ガイド
83:第1ナット
84:第1ねじ軸
85:第2ねじ軸
86:フードガイドブロック
100:回転ブロック
101:回動軸
102:移動ガイド溝
103:移動ガイド軸
104:搬送ブロック
105:ガイド軸
106:駆動ブロック
107a:下側位置センサ
107b:上側位置センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13