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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】作業機械における油圧制御システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20241112BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F15B11/02 F
F15B11/02 C
E02F9/22 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023562911
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022025160
(87)【国際公開番号】W WO2022223151
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2021072376
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】中嶌 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】喜安 浩一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 寿和
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-339908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/02
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の油圧制御システムに、作業機械に選択的に装着される複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるオプション用制御回路を設けるにあたり、該オプション用制御回路に、油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量を制御するオプション用流量制御弁と、オプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換えるオプション用コントロールバルブとを設けて、オプション油圧アクチュエータの供給流量制御と排出流量制御とを独立して行える構成にするとともに、前記オプション用コントロールバルブの作動位置に、オプション油圧アクチュエータから油タンクに至る排出用弁路を予め設定される通常制御範囲の開口面積で開く通常制御領域と、排出用弁路を前記通常制御範囲の最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口で開く背圧低減制御領域とを設ける一方、オプション油圧アクチュエータの駆動時に、該オプション油圧アクチュエータが背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータの場合には前記オプション用コントロールバルブを背圧低減制御領域に位置せしめ、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域に位置せしめる制御手段を設けたことを特徴とする作業機械における油圧制御システム。
【請求項2】
請求項1において、作業機械の油圧制御システムは、オプション油圧アクチュエータおよび作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプを備えると共に、オプション用制御回路は、オプション用流量制御弁として、第一油圧ポンプからオプション油圧アクアクチュエータへの供給流量を制御してオプション用コントロールバルブに流す第一オプション用流量制御弁と、第二油圧ポンプからオプション油圧アクアクチュエータへの供給流量を制御してオプション用コントロールバルブに流す第二オプション用流量制御弁とを備えることを特徴とする作業機械における油圧制御システム。
【請求項3】
作業機械の油圧制御システムに、作業機械に選択的に装着される複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるオプション用制御回路を設けるにあたり、該オプション用制御回路に、油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換えるオプション用コントロールバルブを設けるとともに、該オプション用コントロールバルブの作動位置に、オプション油圧アクチュエータから油タンクに至る排出用弁路を予め設定される通常制御範囲の開口面積で開く通常制御領域と、排出用弁路を前記通常制御範囲の最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口で開く背圧低減制御領域とを設ける一方、オプション油圧アクチュエータの駆動時に、該オプション油圧アクチュエータが背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータの場合には前記オプション用コントロールバルブを背圧低減制御領域に位置せしめ、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域に位置せしめる制御手段を設けたことを特徴とする作業機械における油圧制御システム。
【請求項4】
請求項3において、作業機械の油圧制御システムは、オプション油圧アクチュエータおよび作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプを備えると共に、オプション用制御回路に、第一油圧ポンプに接続され、該第一油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換える第一オプション用コントロールバルブと、第二油圧ポンプに接続され、該第二油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換える第二オプション用コントロールバルブとを設ける一方、前記第一、第二オプション用コントロールバルブのうち第一、第二油圧ポンプの何れか一方の油圧ポンプに接続される一方のオプション用コントロールバルブは請求項3に記載のオプション用コントロールバルブであって通常制御領域と背圧低減制御領域とが設けられ、他方の油圧ポンプに接続される他方のオプション用コントロールバルブは通常制御領域のみが設けられていて背圧低減制御領域は設けられない構成にすると共に、オプション油圧アクチュエータが特定油圧アクチュエータの場合に、前記一方のオプション用コントロールバルブのみで特定油圧アクチュエータに対する作動油の給排制御を行う一方、作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータには他方の油圧ポンプから圧油供給する構成にしたことを特徴とする作業機械における油圧制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械における油圧制御システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の作業機械のなかには、複数のオプション油圧アクチュエータを選択的に取り付け可能に構成されたものがある。例えば油圧ショベルでは、作業アタッチメントとして汎用的に用いられるバケットに代えて、油圧で作動するブレーカや破砕機等を着脱自在に装着できるようになっている。
このようなオプション油圧アクチュエータ用の油圧回路を作業機械の油圧回路に設ける場合、省スペース化、コスト低減のために複数のオプション油圧アクチュエータに共用できる回路にすることが要求される一方、個々のオプション油圧アクチュエータに応じた特有な制御に対応できる回路にすることも要求される。例えば、オプション油圧アクチュエータとしてブレーカを装着する場合、背圧が高いとブレーカの駆動力が弱くなって打撃性能が低下してしまうため、ブレーカの背圧を低減させることができる回路が必要となる。
そこで従来、複数のオプション油圧アクチュエータ(圧砕シリンダとブレーカシリンダ)に共用されるコントロールバルブ(オプションバルブ)を設け、該コントロールバルブを介してオプション油圧アクチュエータに圧油供給する一方、オプション油圧アクチュエータからの戻り油路に選択弁を設け、該選択弁の切換え作動によって、オプション油圧アクチュエータが圧砕シリンダの場合には該圧砕シリンダからの戻り油をコントロールバルブに流すが、オプション油圧アクチュエータがブレーカシリンダの場合には該ブレーカシリンダからの戻り油を直接油タンクに流すことでブレーカ作業時に背圧低減できるように構成したもの(例えば、特許文献1の図8参照。)や、複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるコントロールバルブを設け、該コントロールバルブを介してオプション油圧アクチュエータに対する圧油供給および油排出を行う一方、コントロールバルブからの戻り油路に選択弁(あるいは選択弁とリリーフ弁を兼用する弁)を設け、該選択弁の切換え作動によって、オプション油圧アクチュエータが圧砕シリンダの場合にはコントロールバルブからの戻り油をオイルクーラーを経由して油タンクに流す一方、オプション油圧アクチュエータがブレーカシリンダの場合にはコントロールバルブからの戻り油をオイルクーラーを経由することなく直接油タンクに流すことで背圧低減できるように構成したもの(例えば、特許文献1の図1図5参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-82107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記特許文献1のものは、何れのものもコントロールバルブの他に選択弁を必要とするうえ、特許文献1の図8のものでは、背圧低減のためにブレーカからの大流量の戻り油を選択弁を介して抵抗なく油タンクに流すことになるため、選択弁や該選択弁から油タンクに至る配管が大型化してしまうという問題がある。また、特許文献1の図1図5のものは、ブレーカからの戻り油はコントロールバルブを経由してから選択弁に流れることになるが、該コントロールバルブは複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるものであって、圧砕シリンダのような複動シリンダが装着されている場合には該複動シリンダに対する給排流量制御を行うものであるから、コントロールバルブの排出用弁路には絞りが設けられており、しかして、ブレーカからの戻り油もコントロールバルブの絞りを通過することになって、背圧を十分に低減することができないという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、作業機械の油圧制御システムに、作業機械に選択的に装着される複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるオプション用制御回路を設けるにあたり、該オプション用制御回路に、油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量を制御するオプション用流量制御弁と、オプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換えるオプション用コントロールバルブとを設けて、オプション油圧アクチュエータの供給流量制御と排出流量制御とを独立して行える構成にするとともに、前記オプション用コントロールバルブの作動位置に、オプション油圧アクチュエータから油タンクに至る排出用弁路を予め設定される通常制御範囲の開口面積で開く通常制御領域と、排出用弁路を前記通常制御範囲の最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口で開く背圧低減制御領域とを設ける一方、オプション油圧アクチュエータの駆動時に、該オプション油圧アクチュエータが背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータの場合には前記オプション用コントロールバルブを背圧低減制御領域に位置せしめ、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域に位置せしめる制御手段を設けたことを特徴とする作業機械における油圧制御システムである。
請求項2の発明は、請求項1において、作業機械の油圧制御システムは、オプション油圧アクチュエータおよび作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプを備えると共に、オプション用制御回路は、オプション用流量制御弁として、第一油圧ポンプからオプション油圧アクアクチュエータへの供給流量を制御してオプション用コントロールバルブに流す第一オプション用流量制御弁と、第二油圧ポンプからオプション油圧アクアクチュエータへの供給流量を制御してオプション用コントロールバルブに流す第二オプション用流量制御弁とを備えることを特徴とする作業機械における油圧制御システムである。
請求項3の発明は、作業機械の油圧制御システムに、作業機械に選択的に装着される複数のオプション油圧アクチュエータに共用されるオプション用制御回路を設けるにあたり、該オプション用制御回路に、油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換えるオプション用コントロールバルブを設けるとともに、該オプション用コントロールバルブの作動位置に、オプション油圧アクチュエータから油タンクに至る排出用弁路を予め設定される通常制御範囲の開口面積で開く通常制御領域と、排出用弁路を前記通常制御範囲の最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口で開く背圧低減制御領域とを設ける一方、オプション油圧アクチュエータの駆動時に、該オプション油圧アクチュエータが背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータの場合には前記オプション用コントロールバルブを背圧低減制御領域に位置せしめ、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域に位置せしめる制御手段を設けたことを特徴とする作業機械における油圧制御システムである。
請求項4の発明は、請求項3において、作業機械の油圧制御システムは、オプション油圧アクチュエータおよび作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプを備えると共に、オプション用制御回路に、第一油圧ポンプに接続され、該第一油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換える第一オプション用コントロールバルブと、第二油圧ポンプに接続され、該第二油圧ポンプからオプション油圧アクチュエータへの供給流量およびオプション油圧アクチュエータから油タンクへの排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切換える第二オプション用コントロールバルブとを設ける一方、前記第一、第二オプション用コントロールバルブのうち第一、第二油圧ポンプの何れか一方の油圧ポンプに接続される一方のオプション用コントロールバルブは請求項3に記載のオプション用コントロールバルブであって通常制御領域と背圧低減制御領域とが設けられ、他方の油圧ポンプに接続される他方のオプション用コントロールバルブは通常制御領域のみが設けられていて背圧低減制御領域は設けられない構成にすると共に、オプション油圧アクチュエータが特定油圧アクチュエータの場合に、前記一方のオプション用コントロールバルブのみで特定油圧アクチュエータに対する作動油の給排制御を行う一方、作業機械に設けられる他の油圧アクチュエータには他方の油圧ポンプから圧油供給する構成にしたことを特徴とする作業機械における油圧制御システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、オプション油圧アクチュエータに対する排出流量制御および給排方向切換制御を行うオプション用コントロールバルブを利用して、特定油圧アクチュエータに対する背圧低減制御を行うことができて、部材の兼用化、省スベース化が図れる。
請求項2の発明とすることにより、オプション油圧アクチュエータの要求する供給流量や他の油圧アクチュエータの作動状況等に応じて、第一、第二油圧ポンプからオプション用油圧アクチュエータへの供給流量を個別に制御できる。
請求項3の発明とすることにより、オプション油圧アクチュエータに対する供給流量制御、排出流量制御および給排方向切換制御を行うオプション用コントロールバルブを利用して、特定油圧アクチュエータに対する背圧低減制御を行うことができて、部材の兼用化、省スベース化が図れる。
請求項4の発明とすることにより、特定油圧アクチュエータと他の油圧アクチュエータとの良好な連動性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】油圧ショベルの側面図である。
図2】第一の実施の形態を示す油圧回路図である。
図3】第一の実施の形態における第一作動位置のオプション用コントロールバルブのスプール移動ストロークと供給用弁路、排出用弁路の開口面積との関係を示す図である。
図4】第一の実施の形態におけるコントローラの入出力を示す図である。
図5】第二の実施の形態を示す油圧回路図である。
図6】第二の実施の形態を示す図であって、(A)は第一、第二作動位置の第一オプション用コントロールバルブおよび第二作動位置の第二オプション用コントロールバルブのスプール移動ストロークと供給用弁路、排出用弁路の開口面積との関係を示す図、(B)は第一作動位置の第二オプション用コントロールバルブのスプール移動ストロークと供給用弁路、排出用弁路の開口面積との関係を示す図である。
図7】第三の実施の形態を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第一の実施の形態について図1図4に基づいて説明すると、図1は、本発明の作業機械の一例である油圧ショベル1を示す図であって、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2の上方に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着されるフロント作業機4等の各部から構成されており、さらに該フロント作業機4は、基端部が上部旋回体3に上下揺動自在に支持されるブーム5、該ブーム5の先端部に前後揺動自在に支持されるスティック6、該スティック6の先端部に揺動自在に取付けられるバケット7等から構成されていると共に、油圧ショベル1には、前記ブーム5、スティック6、バケット7をそれぞれ揺動せしめるためのブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10や、下部走行体2を走行せしめるための左右の走行モータ(図示せず)、上部旋回体3を旋回せしめるための旋回モータ(図示せず)等の各種油圧アクチュエータが備えられている。さらに、油圧ショベル1は、作業内容等に応じて、ブレーカ、破砕機、グラップル、回転切削アタッチメント(図1には何れも図示せず)等、油圧で作動する各種オプションアタッチメントを前記バケット7に代えて選択的に装着できるようになっている。尚、オプションアタッチメントが装着されている場合、バケットシリンダ10はオプションアタッチメントをスティック6に対して揺動させるための油圧シリンダとして作動する。
【0009】
次いで、油圧ショベル1に設けられる油圧制御システムのうち、フロント作業機4に関する部分について、図2に示す油圧回路図について説明する。
図2において、A、Bは可変容量型の第一、第二油圧ポンプ、Aa、Baは第一、第二油圧ポンプA、Bの容量可変手段、12は油タンク、8、9、10は前記ブームシリンダ、スティックシリンダ、バケットシリンダ、13はオプション油圧アクチュエータであって、該オプション油圧アクチュエータ13は、前記オプションアタッチメントを駆動させるべくオプションアタッチメントに具備される油圧アクチュエータであり、例えばオプションアタッチメントとしてブレーカが装着されている場合にはブレーカ用油圧アクチュエータ(以下、単にブレーカと称する)であり、破砕機が装着されている場合には破砕機用油圧アクチュエータ(以下、単に破砕機と称する)である。
【0010】
さらに、Cは第一油圧ポンプAの吐出側に接続される第一ポンプラインであって、該第一ポンプラインCからは、第一ブーム用供給油路14、第一スティック用供給油路15、バケット用供給油路16、第一オプション用供給油路17が互いにパラレルとなる状態で分岐形成されている。また、Dは第二油圧ポンプBの吐出側に接続される第二ポンプラインであって、該第二ポンプラインDからは、第二ブーム用供給油路18、第二スティック用供給油路19、第二オプション用供給油路20が互いにパラレルとなる状態で分岐形成されている。前記第一、第二ブーム用供給油路14、18は、後述するブーム用コントロールバルブ23に第一、第二油圧ポンプA、Bをそれぞれ接続する油路であり、第一、第二スティック用供給油路15、19は、スティック用コントロールバルブ25に第一、第二油圧ポンプA、Bをそれぞれ接続する油路であり、バケット用供給油路16は、バケット用コントロールバルブ26に第一油圧ポンプAを接続する油路であり、第一、第二オプション用供給油路17、20は、オプション用コントロールバルブ27に第一、第二油圧ポンプA、Bをそれぞれ接続する油路である。
【0011】
前記第一、第二ブーム用供給油路14、18には、第一、第二油圧ポンプA、Bからブームシリンダ8への供給流量をそれぞれ制御してブーム用コントロールバルブ23に流す第一、第二ブーム用流量制御弁28、29が配されており、また、第一、第二スティック用供給油路15、19には、第一、第二油圧ポンプA、Bからスティックシリンダ9への供給流量をそれぞれ制御してスティック用コントロールバルブ25に流す第一、第二スティック用流量制御弁30、31が配されており、また、第一、第二オプション用供給油路17、20には、第一、第二油圧ポンプA、Bからオプション油圧アクチュエータ13への供給流量をそれぞれ制御してオプション用コントロールバルブ27に流す第一、第二オプション用流量制御弁32、33が配されている。これら第一、第二ブーム用、第一、第二スティック用、第一、第二オプション用の流量制御弁28~33は、コントローラ11から出力される制御信号に基づいて作動する各流量制御用電磁弁(第一、第二ブーム流量制御用電磁比例弁41a、41b、第一、第二スティック流量制御用電磁比例弁42a、42b、第一、第二オプション流量制御用電磁比例弁43a、43b、何れも図4に図示)によりパイロット操作されて流量制御を行うポペット弁であって、逆流防止機能を有しており、第一、第二油圧ポンプA、Bからブーム用コントロールバルブ23、スティック用コントロールバルブ25、オプション用コントロールバルブ27への油の流れは許容されるが、逆流は阻止されるようになっている。
【0012】
前記ブーム用コントロールバルブ23は、第一ブーム用流量制御弁28および第二ブーム用流量制御弁29の下流側に配されており、これら第一、第二ブーム用流量制御弁28、29によって流量制御された(遮断状態を含む)第一、第二油圧ポンプA、Bからの圧油が合流して供給される。また、スティック用コントロールバルブ25は、第一スティック用流量制御弁30および第二スティック用流量制御弁31の下流側に配されており、これら第一、第二スティック用流量制御弁30、31によって流量制御された(遮断状態を含む)第一、第二油圧ポンプA、Bからの圧油が合流して供給される。また、オプション用コントロールバルブ27は、第一オプション用流量制御弁32および第二オプション用流量制御弁33の下流側に配されており、これら第一、第二オプション用流量制御弁32、33によって流量制御された(遮断状態を含む)第一、第二油圧ポンプA、Bからの圧油が合流して供給される。
そして、前記ブーム用、スティック用、オプション用の各コントロールバルブ23、25、27は、後述するように、前記第一、第二ブーム用流量制御弁28、29、第一、第二スティック用流量制御弁30、31、第一、第二オプション用流量制御弁32、33からの供給流量を制御することなくそのままブームシリンダ8、スティックシリンダ9、オプション油圧アクチュエータ13に流すように構成されている。
【0013】
一方、前記バケット用供給油路16には前述したような流量制御弁は配設されておらず、該バケット用供給油路16を経由する第一油圧ポンプAからの圧油はそのままバケット用コントロールバルブ26に供給されるようになっている。尚、バケット用供給油路16には、第一油圧ポンプAからバケット用コントロールバルブ26への油の流れは許容するが、逆流は阻止するチェック弁34が配設されている。
【0014】
次いで、前記ブーム用、スティック用、バケット用、オプション用のコントロールバルブ23、25、26、27について説明するが、まず、第一、第二の油圧ポンプA、Bのうち片方の油圧ポンプ(本実施の形態では第一油圧ポンプA)に接続されると共に、上流側に流量制御弁が設けられていないバケット用コントロールバルブ26について説明する。
バケット用コントロールバルブ26は、バケットシリンダ10に対する供給流量制御および排出流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、コントローラ11から出力される制御信号に基づいてパイロット圧を出力するバケット用伸長側、縮小側電磁比例弁44a、44b(図4に図示)にそれぞれ接続される伸長側、縮小側のパイロットポート26a、26bと、バケット用供給油路16に接続されるポンプポート26pと、油タンク12に至るタンクラインTに接続されるタンクポート26tと、バケットシリンダ10のヘッド側ポート10aに接続される一方のアクチュエータポート26cと、バケットシリンダ10のロッド側ポート10bに接続される他方のアクチュエータポート26dとを備えている。そして、バケット用コントロールバルブ26は、伸長側、縮小側の両パイロットポート26a、26bにパイロット圧が入力されていない状態では、バケットシリンダ10に対する給排制御を行わない中立位置Nに位置しているが、伸長側パイロットポート26aにパイロット圧が入力されることにより伸長側作動位置Xに切換わって、ポンプポート26pから一方のアクチュエータポート26cに至る供給用弁路26eと、他方のアクチュエータポート26dからタンクポート26tに至る排出用弁路26fとを開き、また、縮小側パイロットポート26bにパイロット圧が入力されることにより縮小側作動位置Yに切換わって、ポンプポート26pから他方のアクチュエータポート26dに至る供給用弁路26eと、一方のアクチュエータポート26cからタンクポート26tに至る排出用弁路26fとを開くように構成されている。そして、伸長側作動位置Xまたは縮小側作動位置Yに位置しているときのバケットシリンダ10に対する供給流量および排出流量は、供給用弁路26e、排出用弁路26fの開口面積によって制御されるようになっていると共に、該開口面積は、バケット用伸長側、縮小側電磁比例弁44a、44bから伸長側、縮小側パイロットポート26a、26bに出力されるパイロット圧の増減に伴うスプールの移動ストロークに応じて増減制御されるようになっている。
【0015】
次いで、第一、第二の両方の油圧ポンプA、Bに接続されると共に、上流側に流量制御弁28~33が設けられているブーム用、スティック用、オプション用のコントロールバルブ23、25、27について説明する。
ブーム用コントロールバルブ23は、ブームシリンダ8に対する排出流量制御および再生流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、コントローラ11から出力される制御信号に基づいてパイロット圧を出力するブーム用伸長側、縮小側電磁比例弁45a、45b(図4に図示)にそれぞれ接続される伸長側、縮小側のパイロットポート23a、23bと、第一、第二ブーム用供給油路14、18に接続されるポンプポート23pと、タンクラインTに接続されるタンクポート23tと、ブームシリンダ8のヘッド側ポート8aに接続される一方のアクチュエータポート23cと、ブームシリンダ8のロッド側ポート8bに接続される他方のアクチュエータポート23dとを備えている。そして、ブーム用コントロールバルブ23は、伸長側、縮小側の両パイロットポート23a、23bにパイロット圧が入力されていない状態では、ブームシリンダ8に対する給排制御を行わない中立位置Nに位置しているが、伸長側パイロットポート23aにパイロット圧が入力されることにより伸長側作動位置Xに切換わって、ポンプポート23pから一方のアクチュエータポート23cに至る供給用弁路23eと、他方のアクチュエータポート23dからタンクポート23tに至る排出用弁路23fとを開き、また、縮小側パイロットポート23bにパイロット圧が入力されることにより縮小側作動位置Yに切換わって、ポンプポート23pから他方のアクチュエータポート23dに至る供給用弁路23eと、一方のアクチュエータポート23cからタンクポート23tに至る排出用弁路23fとを開くと共に、一方のアクチュエータポート23cからの排出油の一部を再生油として他方のアクチュエータポート23dに供給する再生用弁路23gを開くように構成されている。この場合に、排出用弁路23fおよび再生用弁路23gの開口面積は、ブーム用伸長側、縮小側電磁比例弁45a、45bから伸長側、縮小側パイロットポート23a、23bに出力されるパイロット圧の増減に伴うスプールの移動ストロークに応じて増減制御され、該排出用弁路23f、再生用弁路23gの開口面積の増減制御によって排出流量制御、再生流量制御が行われるようになっている。一方、供給用弁路23eの開口面積は、スプールの移動当初から全移動領域において前記第一、第二ブーム用流量制御弁28、29の開口面積に対して十分に大きくなるように設定されていて、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29で制御された供給流量がそのままブームシリンダ8に供給されるようになっている。これにより、ブーム用コントロールバルブ23は、ブームシリンダ8に対する給排方向を切換えると共に、ブームシリンダ8からの排出流量および再生流量の制御は行うが、ブームシリンダ8への供給流量の制御は行わずに、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29で制御された供給流量をそのままブームシリンダ8に供給するように構成されている。
【0016】
また、スティック用コントロールバルブ25は、スティックシリンダ9に対する排出流量制御および再生流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、前述したブーム用コントロールバルブ23と同様の構造のものであるため簡単に説明すると、スティック用伸長側、縮小側電磁比例弁46a、46b(図4に図示)から伸長側、縮小側パイロットポート25a、25bに出力されるパイロット圧により中立位置Nから伸長側作動位置X、縮小側作動位置Yに切換わることで、ポンプポート25pからアクチュエータポート25cまたは25dに至る供給用弁路25eと、アクチュエータポート25dまたは25cからタンクポート25tに至る排出用弁路25fとを開き、さらに、伸長側作動位置Xでは他方のアクチュエータポート25dからの排出油の一部を再生油として一方のアクチュエータポート25cに供給する再生用弁路25gを開くように構成されている。そして、排出流量および再生流量の制御は、スプールの移動ストロークに応じて増減する排出用弁路25f、再生用弁路25gの開口面積によって行う一方、供給用弁路25eの開口面積はスプールの移動当初から全移動領域において第一、第二スティック用流量制御弁30、31の開口面積に対して十分に大きくなるように設定されていて、第一、第二スティック用流量制御弁30、31で制御された供給流量をそのままスティックシリンダ9に供給するように構成されている。
【0017】
また、オプション用コントロールバルブ27は、オプション油圧アクチュエータ13に対する排出流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、コントローラ11から出力される制御信号に基づいてパイロット圧を出力するオプション用第一、第二電磁比例弁47a、47b(図4に図示)にそれぞれ接続される第一、第二パイロットポート27a、27bと、第一、第二オプション用供給油路17、20に接続されるポンプポート27pと、タンクラインTに接続されるタンクポート27tと、オプション油圧アクチュエータ13の一方のポート13aに接続される一方のアクチュエータポート27cと、オプション油圧アクチュエータ13の他方のポート13bに接続される他方のアクチュエータポート27dとを備えている。そして、オプション用コントロールバルブ27は、第一、第二の両パイロットポート27a、27bにパイロット圧が入力されていない状態では、オプション油圧アクチュエータ13に対する給排制御を行わない中立位置Nに位置しているが、第一パイロットポート27aにパロット圧が入力されることにより第一作動位置Xに切換わって、ポンプポート27pから一方のアクチュエータポート27cに至る供給用弁路27eと、他方のアクチュエータポート27dからタンクポート27tに至る排出用弁路27fとを開き、また、第二パイロットポート27bにパイロット圧が入力されることにより第二作動位置Yに切換わって、ポンプポート27pから他方のアクチュエータポート27dに至る供給用弁路27eと、一方のアクチュエータポート27cからタンクポート27tに至る排出用弁路27fとを開くように構成されている。この場合に、排出用弁路27fの開口面積は、オプション用第一、第二電磁比例弁47a、47bから第一、第二パイロットポート27a、27bに出力されるパイロット圧の増減に伴うスプールの移動ストロークに応じて制御され、該排出用弁路27fの開口面積の制御によって排出流量制御が行われるようになっているが、該排出流量制御の詳細については後述する。一方、供給用弁路27eの開口面積は、スプールの移動当初から全移動領域において前記第一、第二オプション用流量制御弁32、33の開口面積に対して十分に大きくなるように設定されていて、第一、第二オプション用流量制御弁32、33で制御された供給流量がそのままオプション油圧アクチュエータ13に供給されるようになっている。これにより、オプション用コントロールバルブ27は、オプション油圧アクチュエータ13に対する給排方向を切換えると共に、オプション油圧アクチュエータ13からの排出流量制御は行うが、オプション油圧アクチュエータ13への供給流量の制御は行わずに、第一、第二オプション用流量制御弁32、33で制御された供給流量をそのままオプション油圧アクチュエータ13に供給するように構成されている。
【0018】
ところで、オプション油圧アクチュエータ13としては、一方向回転モータや単動シリンダのように圧油供給方向が一方向のもの(例えばブレーカ)や、両方向回転モータや複動シリンダのように圧油供給方向が両方向のもの(例えば破砕機)、大流量を必要とするもの(例えば、大型のブレーカや破砕機)、少流量で足りるもの(例えば、小型のブレーカや破砕機)等種々のものがあり、オプション用コントロールバルブ27は、これら種々のオプション油圧アクチュエータ13に共用して用いられる。つまり、オプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xと第二作動位置Yとに切換えれば、オプション油圧アクチュエータ13に両方向の圧油供給を行うことができ、また、第一作動位置X、第二作動位置Yの何れか一方の作動位置のみを用いることで、一方向の圧油供給を行うことができるが、本実施の形態では、一方向の圧油供給を行う場合には第一作動位置Xを用いるように設定されている。また、前述したように、オプション油圧アクチュエータ13には第一、第二オプション用流量制御弁32、33で制御された流量が供給されるが、例えばオプション油圧アクチュエータ13が大流量を必要とする場合には、第一、第二の両方のオプション用流量制御弁32、33を開いて第一、第二の両方の油圧ポンプA、Bから圧油供給し、少流量で足りる場合には、第一、第二の何れか一方のオプション用流量制御弁32または33を開き、他方のオプション用流量制御弁33または32を閉じることで、第一、第二の片方の油圧ポンプAまたはBのみから圧油供給されるようにすることができる。また、第一、第二油圧ポンプA、Bを油圧供給源とする他の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10等)の作動状況等に応じて、第一、第二油圧ポンプA、Bからの供給流量を第一、第二オプション用流量制御弁32、33により個別に制御することもできる。
【0019】
次いで、前記オプション用コントロールバルブ27の排出用弁路27fによる排出流量制御について説明する。オプション用コントロールバルブ27は、前述したように、オプション油圧アクチュエータ13に両方向の圧油供給を行う場合には第一、第二の両方の作動位置X、Yを用い、一方向の圧油供給を行う場合には第一作動位置Xのみを用いるが、該第一作動位置Xには、通常制御領域Vと背圧低減制御領域Wとが設けられている。この場合に、背圧低減制御領域Wは、中立位置Nからのスプール移動ストロークが通用制御領域Vよりも大きい位置に設定されている。そして、通常制御領域Vでは、スプール移動ストロークが大きくなるにつれて排出用弁路27fの開口面積も予め設定される通常制御範囲Av内において漸次増加していくように設定されており、これにより、スプール移動ストロークが増加するにつれてオプション油圧アクチュエータ13からの排出流量も漸次増加する流量制御が行われるように設定されている。一方、背圧低減制御領域Wでは、排出用弁路27fの開口面積が通常制御範囲Avでの最大開口面積よりもさらに一段と大きくなる背圧低減制御用開口Awとなって、流量制御を行うことなくオプション油圧アクチュエータ13からの排出油を殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流すように設定されている(図3参照)。一方、オプション用コントロールバルブ27の第二作動位置Yは、スプール移動ストロークの全域が通常制御領域となっていて、背圧低減制御領域は設けられていない。そして、後述するように、オプション油圧アクチュエータ13が例えばブレーカのように背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータの場合に、オプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置せしめることで、特定油圧アクチュエータにかかる背圧を確実に低減することができるようになっている。尚、本実施の形態において、前記オプション用コントロールバルブ27は、本発明の請求項1および請求項2のオプション用コントロールバルブに相当する。
【0020】
さらに、35、36は前記オプション用コントロールバルブ27の一方、他方のアクチュエータポート27c、27dとオプション油圧アクチュエータ13の一方、他方のポート13a、13bとをそれぞれ接続する一方、他方のオプション用アクチュエータ油路であって、これらオプション用アクチュエータ油路35、36には、オプション用アクチュエータ油路35、36の圧力が設定圧以上となった場合に該オプション用アクチュエータ油路35、36の油をタンクラインTに流すオプション用リリーフ弁37、38がそれぞれ接続されている。本実施の形態では、該オプション用リリーフ弁37、38として、メイクアップ用チェック弁37a、38aを有するとともに、装着される各オプション油圧アクチュエータ13に応じて設定圧をコントローラ11からの制御信号に基づいて変更できる可変式リリーフ弁が採用されている。尚、ブーム用コントロールバルブ23、スティック用コントロールバルブ25、バケット用コントロールバルブ26とブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10とをそれぞれ接続する油路にもリリーフ弁は接続されているが、図2では省略してある。
【0021】
さらに、図2において、E、Fは第一、第二ポンプラインC、Dに接続される全てのコントロールバルブ23、25、26、27の上流側位置からそれぞれ分岐形成されてタンクラインTに至る第一、第二ブリードラインであって、該第一、第二ブリードラインE、Fには、第一、第二ブリード弁61、62がそれぞれ配設されている。これら第一、第二ブリード弁61、62は、第一、第二ブリード用電磁比例弁63a、63b(図4に図示)から出力されるパイロット圧により作動して、第一、第二油圧ポンプA、Bから第一、第二ブリードラインE、Fを経由して油タンク12に流れるブリード流量を増減制御するようになっているが、上記第一、第二ブリード用電磁比例弁63a、63bは、コントローラ11から出力される制御信号に基づいて第一、第二ブリード弁61、62への出力パイロット圧を増減制御するようになっている。
【0022】
一方、前記コントローラ11(本発明の制御手段に相当する)は、図4のブロック図に示す如く、ブーム用操作具、スティック用操作具、バケット用操作具、オプション用操作具の操作方向および操作量をそれぞれ検出するブーム用操作検出手段50、スティック用操作検出手段51、バケット用操作検出手段52、オプション用操作検出手段53、第一、第二油圧ポンプA、Bのポンプ圧をそれぞれ検出する第一、第二ポンプ圧力センサ54a、54b、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10のヘッド側、ロッド側の負荷圧をそれぞれ検出するブーム用圧力センサ55a、55b、スティック用圧力センサ56a、56b、バケット用圧力センサ57a、57b、オプション用アクチュエータ油路35、36の負荷圧をそれぞれ検出するオプション用圧力センサ58a、58b、オプション油圧アクチュエータ通知手段59等からの信号を入力し、これら入力信号に基づいて、前記ブーム用、スティック用、バケット用、オプション用コントロールバルブ23、25、26、27のパイロットポート23a、23b、25a、25b、26a、26b、27a、27bにパイロット圧をそれぞれ出力するブーム用伸長側、縮小側電磁比例弁45a、45b、スティック用伸長側、縮小側電磁比例弁46a、46b、バケット用伸長側、縮小側電磁比例弁44a、44b、オプション用第一、第二電磁比例弁47a、47b、前記第一、第二ブーム用流量制御弁28、29にパイロット圧を出力する第一、第二ブーム流量制御用電磁比例弁41a、41b、第一、第二スティック用流量制御弁30、31にパイロット圧を出力する第一、第二スティック流量制御用電磁比例弁42a、42b、第一、第二オプション用流量制御弁32、33にパイロット圧を出力する第一、第二オプション流量制御用電磁比例弁43a、43b、前記第一、第二ブリード弁61、62にパイロット圧を出力する第一、第二ブリード用電磁比例弁63a、63b、第一、第二油圧ポンプA、Bの容量可変手段Aa、Ba、オプション用リリーフ弁37、38等に制御信号を出力して、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10、オプション油圧アクチュエータ13に対する油給排制御や、第一、第二ブリードラインE、Fの流量制御、第一、第二油圧ポンプA、Bの吐出流量制御、オプション用リリーフ弁37、38の設定圧制御等を行うように構成されている。尚、前記オプション油圧アクチュエータ通知手段59は、オプション油圧アクチュエータ13が装着された場合に該オプション油圧アクチュエータ13の種類、仕様等をコントローラ11に通知するための手段であって、本実施の形態では、油圧ショベル1のキャブ3a内に配設のモニタ装置(図示せず)がオプション油圧アクチュエータ通知手段59として設けられており、該モニタ装置の操作によってオプション油圧アクチュエータ13の種類や仕様等がコントローラ11に通知されるようになっている。
【0023】
ついで、前記コントローラ11の行う制御について説明する。
コントローラ11は、ブーム用、スティック用、バケット用、オプション用の各操作検出手段50~53から検出信号が入力されると、これら検出信号に基づいて、操作具操作量の増加に応じて第一、第二油圧ポンプA、Bの吐出流量を増加させるべく目標吐出流量を求め、該目標吐出流量が得られるように第一、第二油圧ポンプA、Bの容量可変手段Aa、Baに制御信号を出力する。この場合、操作される油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプA、Bに応じて、第一、第二油圧ポンプA、Bの吐出流量は個別制御される。
【0024】
さらにコントローラ11は、ブーム用、スティック用、バケット用、バケット用、オプション用の各操作検出手段50~53から検出信号が入力されると、これら検出信号に基づいて、操作具操作量の増加に応じて第一、第二油圧ポンプA、Bから油タンク12に流れるブリード流量を減少(ブリード流量ゼロを含む)させるべく、第一、第二ブリード用電磁比例弁63a、63bに制御信号を出力して第一、第二ブリード弁61、62を制御する。この場合、操作された油圧アクチュエータの油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプA、Bに応じて、第一、第二ブリードラインE、Fのブリード流量は個別制御される。
【0025】
さらにコントローラ11は、ブーム用、スティック用、バケット用、オプション用の各操作検出手段50~53から検出信号が入力されると、各操作具操作に応じてブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10、オプション油圧アクチュエータ13に対する油給排制御を行うが、この場合に、第一、第二油圧ポンプA、Bのうち一方の油圧ポンプ(本実施の形態では第一油圧ポンプA)を油圧供給源とするバケットシリンダ10については、バケット用操作具の操作量に基づいてバケットシリンダ10に対する目標供給流量を求めると共に、バケット用伸長側、縮小側電磁比例弁44a、44bに対して制御信号を出力して、バケット用コントロールバルブ26の供給用弁路26eの開口面積が前記目標供給流量に応じた開口面積になるように制御する。この場合、供給用弁路26eの開口面積による供給流量制御を行うためのスプール移動位置によって、排出用弁路26fの開口面積による排出流量制御も行われる。
【0026】
また、第一、第二油圧ポンプA、Bの両方の油圧ポンプを油圧供給源とするブームシリンダ8、スティックシリンダ9については、コントローラ11は、ブーム用、スティック用操作具の操作量に基づいてブームシリンダ8、スティックシリンダ9に対する目標供給流量、目標排出流量をそれぞれ求める。そして、ブーム用伸長側、縮小側電磁比例弁45a、45b、スティック用伸長側、縮小側電磁比例弁46a、46bに対して制御信号を出力して、ブーム用、スティック用コントロールバルブ23、25の排出用弁路23f、25fの開口面積が前記目標排出流量に対応した開口面積となるように制御する。さらにコントローラ11は、第一、第二ブーム流量制御用電磁比例弁41a、41b、第一、第二スティック流量制御用電磁比例弁42a、42bに対して制御信号を出力して、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29の出力流量の合計流量、第一、第二スティック用流量制御弁30、31の出力流量の合計流量が前記目標供給流量に応じた流量となるように、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29、第一、第二スティック用流量制御弁30、31の開口面積を制御する。これにより、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29によって制御された制御流量の合計流量、第一、第二スティック用流量制御弁30、31によって制御された供給流量の合計流量が、ブーム用コントロールバルブ23、スティック用コントロールバルブ25の供給用弁路23e、25eを経由してそのままブームシリンダ8、スティックシリンダ9に供給される。この場合、目標供給流量が少ない場合や油圧ショベル1に設けられる他の油圧アクチュエータの作動状況等に応じて、第一、第二ブーム用流量制御弁28、29のうち何れか一方、第一、第二スティック用流量制御弁30、31のうち何れか一方のみを開いて他方を閉じるように制御することもでき、これにより、第一、第二油圧ポンプA、Bのうち何れか一方の油圧ポンプからのみブームシリンダ8、スティックシリンダ9に圧油供給されるように制御することもできる。
しかして、第一、第二油圧ポンプA、Bの両方の油圧ポンプを油圧供給源とするブームシリンダ8、スティックシリンダ9については、供給流量は第一、第二ブーム用流量制御弁28、29、第一、第二スティック用流量制御弁30、31によって制御され、排出流量はブーム用コントロールバルブ23、スティック用コントロールバルブ25によって制御される構成となっており、これにより、供給流量制御と排出流量制御とを種々の作業内容等に応じて独立して制御できるようになっている。
【0027】
また、オプション油圧アクチュエータ13については、コントローラ11は、まず、オプション油圧アクチュエータ通知手段59からの通知信号に基づき、各オプション油圧アクチュエータ13に応じた制御方法を決める。例えば、オプション油圧アクチュエータ13が両方向の圧油供給を要求する場合には、オプション用操作具の操作方向に基づいてオプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xと第二作動位置Yとに切換えるように制御し、オプション油圧アクチュエータ13が一方向のみの圧油供給を要求する場合には、第一、第二作動位置X、Yのうち一方の作動位置XまたはY(本実施の形態では第一作動位置X)のみに切換えるように制御する。また、オプション油圧アクチュエータ13が大流量を必要とする場合には、第一、第二の両方のオプション用流量制御弁32、33を開いて第一、第二の両方の油圧ポンプA、Bから圧油供給し、少流量で足りる場合には、第一、第二の何れか一方のオプション用流量制御弁32または33を開き、他方のオプション用流量制御弁33または32を閉じることで、第一、第二の片方の油圧ポンプAまたはBのみから圧油供給されるように制御する。
さらにコントローラ11は、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御、排出流量制御を行うが、供給流量制御については、まず、オプション油圧アクチュエータ13に対する目標供給流量を求める。この場合、オプション油圧アクチュエータ13が一定流量の供給を必要とする油圧アクチュエータの場合には、該一定流量を目標供給流量とし、またオプション油圧アクチュエータ13が操作具操作量に応じた速度で作動する油圧アクチュエータの場合には、操作具の操作量に応じて目標供給流量を求める。そして、第一、第二オプション流量制御用電磁比例弁43a、43bに対して制御信号を出力して、第一、第二オプション用流量制御弁32、33の出力流量の合計流量が前記目標供給流量に応じた流量となるように、第一、第二オプション用流量制御弁32、33の開口面積を制御する。これにより、第一、第二オプション用流量制御弁32、33によって制御された制御流量の合計流量が、オプション用コントロールバルブ27の供給用弁路27eを経由してそのままオプション油圧アクチュエータ13に供給される。尚、第一、第二オプション用流量制御弁32、33のうち何れか一方のみを開き他方を閉じるように制御する場合には、一方のオプション用流量制御弁32または33の出力流量が目標供給流量に応じた流量となるように制御されると共に、該一方のオプション用流量制御弁32または33で制御された流量がオプション用コントロールバルブ27の供給用弁路27eを経由してオプション油圧アクチュエータ13に供給される。
一方、排出流量制御については、コントローラ11は、まず、オプション油圧アクチュエータ通知手段59からの信号に基づいて、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータ(例えばブレーカ)であるか否かを判断する。そして、特定油圧アクチュエータであると判断された場合には、オプション用第一電磁比例弁47aに制御信号を出力して、オプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置するように制御する。これにより、オプション用コントロールバルブ27の排出用弁路27fが背圧低減制御用開口Awの開口面積で開くことになるが、該背圧低減制御用開口Awは、前述したように通常制御範囲Avでの最大開口面積よりもさらに一段と大きくなるように設定されていて、流量制御することなくオプション油圧アクチュエータ13からの排出油を殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流すようになっており、これによりオプション油圧アクチュエータ13に背圧がかからないようになっている。
これに対し、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない(背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータではない)と判断された場合には、コントローラ11は、オプション油圧アクチュエータ13から油タンク12への目標排出流量を求める。そして、オプション用第一、第二電磁比例弁47a、47bに対して制御信号を出力して、オプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xの通常制御領域Vまたは第二作動位置Y(第二作動位置Yは全域が通常制御領域)に位置せしめると共に、該第一作動位置Xの通常制御領域Vまたは第二作動位置Yの排出用弁路27fの開口面積が前記目標排出流量に対応した開口面積となるように制御する。
しかして、オプション油圧アクチュエータ13については、供給流量は第一、第二オプション用流量制御弁32、33によって制御され、排出流量はオプション用コントロールバルブ27によって制御される構成となっており、これにより、供給流量制御と排出流量制御とを独立して制御できると共に、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータの場合には、コントローラ11からの制御信号によりオプション用コントロールバルブ27が第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置することで、該オプション用コントロールバルブ27の排出用弁路27fが大きく開いてオプション油圧アクチュエータ13からの排出油を殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流し、これによりオプション油圧アクチュエータ13にかかる背圧を確実に低減できるようになっている。
【0028】
叙述の如く構成された第一の実施の形態において、油圧ショベル1の油圧制御システムには、選択的に装着される複数のオプション油圧アクチュエータ13に共用のオプション用制御回路が設けられるが、該オプション用制御回路には、第一、第二油圧ポンプA、Bからオプション油圧アクチュエータ13への供給流量を制御する第一、第二オプション用流量制御弁32、33と、オプション油圧アクチュエータ13から油タンク12への排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータ13に対する作動油の給排方向を切換えるオプション用コントロールバルブ27とが設けられていて、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御と排出流量制御とを独立して行える構成になっているが、このものにおいて、オプション用コントロールバルブ27の第一作動位置Xには、オプション油圧アクチュエータ13から油タンク12に至る排出用弁路27fを予め設定される通常制御範囲Avの開口面積で開く通常制御領域Vと、排出用弁路27fを通常制御範囲Avの最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口Awで開く背圧低減制御領域Wとが設けられている。そして、オプション用コントロールバルブ27を制御するコントローラ11は、オプション油圧アクチュエータ13の駆動時に、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータ(例えばブレーカ)の場合には背圧低減制御領域Wに位置し、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域Vに位置するようにオプション用コントロールバルブ27を制御することになる。
【0029】
しかして、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータの場合には、オプション油圧アクチュエータ13からの排出油は背圧低減制御領域Wに位置しているオプション用コントロールバルブ27の排出用弁路27fを通過して油タンク12に流れることになるが、該背圧低減制御領域Wの排出用弁路27fは、通常制御範囲Avの最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口Awで開くことになり、これにより、オプション油圧アクチュエータ13からの排出油を背圧が充分に低減された状態で油タンク12に流すことができることになる。このように、本実施の形態では、オプション用コントロールバルブ27を用いて背圧低減制御を行えることになるが、該オプション用コントロールバルブ27は、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない場合には排出用弁路27fの開口面積が通常制御範囲Avとなる通常制御領域Vに位置して、オプション油圧アクチュエータ13の排出流量制御を行うものであり、しかして、排出流量制御を行うオプション用コントロールバルブ27を用いて特定油圧アクチュエータに対する背圧低減制御も行えることになって、別途専用の背圧低減制御用部材を必要とせず、部材の兼用化が図れて、コスト削減、省スペース化に大きく貢献できる。しかもこのものでは、オプション油圧アクチュエータ13への供給流量制御は第一、第二オプション用流量制御弁32、33で行い、オプション油圧アクチュエータ13からの排出流量制御はオプション用コントロールバルブ27で行う構成になっていて、供給流量制御と排出流量制御とを独立して行えるものであるから、オプション用コントロールバルブ27が通常制御領域V、低減制御領域Wの何れの領域に位置していても該領域には関係なく、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御を精度良く行えることになる。
【0030】
さらにこのものでは、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御を行うオプション用流量制御弁として、第一油圧ポンプAからオプション油圧アクアクチュエータ13への供給流量を制御してオプション用コントロールバルブ27に流す第一オプション用流量制御弁32と、第二油圧ポンプBからオプション油圧アクアクチュエータ13への供給流量を制御してオプション用コントロールバルブ27に流す第二オプション用流量制御弁33とが設けられている。しかして、各種オプション油圧アクチュエータ13の要求する供給流量や、第一、第二油圧ポンプA、Bを油圧供給源とする他の油圧アクチュエータ(本実施の形態では、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10)の作動状況等に応じて、第一、第二オプション用流量制御弁32、33によって第一、第二油圧ポンプA、Bからオプション油圧アクチュエータ13への供給流量を個別に制御することで、第一、第二の両方の油圧ポンプA、Bからオプション油圧アクチュエータ13に圧油供給したり、第一、第二の何れか片方の油圧ポンプA、Bからのみオプション油圧アクチュエータ13に圧油供給したり、第一油圧ポンプAからの供給流量と第二油圧ポンプBからの供給流量との比率を変更したりする制御を容易に行うことができる。
【0031】
さらに、本実施の形態は、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータの場合に、該特定油圧アクチュエータからの排出油をオプション用コントロールバルブ27に流す油路となるオプション用油圧アクチュエータ油路(他方のオプション用油圧アクチュエータ油路)36に接続されるオプション用リリーフ弁38を用いて、特定油圧アクチュエータからの排出油を、背圧低減制御領域Wのオプション用コントロールバルブ27の排出用弁路27fと分配して油タンク12に流すように構成することもできる。この場合には、前記オプション用リリーフ弁38を、コントローラ11からの制御信号に基づいて極低圧のリリーフ圧に設定できるように構成しておく。そして、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータであると判断された場合に、オプション用コントロールバルブ27を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置せしめると共に、オプション用リリーフ弁38のリリーフ圧を極低圧に設定する。これにより、特定油圧アクチュエータからの排出油は、背圧低減制御領域Wに位置しているオプション用コントロールバルブ27と、極低圧のリリーフ圧に設定されたオプション用リリーフ弁38とに分配されて殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流れることになって、更なる低抵抗化が可能となり、特定油圧アクチュエータからの排出流量が多量であっても背圧を確実に低減できる。尚、前記他方の油圧アクチュエータ油路36に接続されるオプション用リリーフ弁38は、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない場合には、他方のオプション用油圧アクチュエータ油路36の最高圧を設定するリリーフ弁として機能させるべく、コントローラ11からの制御信号に基づいて適宜リリーフ圧が設定される。
【0032】
次に、本発明の第二の実施の形態について、図5図6に基づいて説明する。第二の実施の形態のものは、オプション油圧アクチュエータ13に対する制御を行うオプション用制御回路が第一の実施の形態のものと異なるが、他の部分は第一の実施の形態のものと同様であり、第一の実施の形態と同様のものについては同一の符号を付すと共に説明を省略する。
【0033】
第二の実施の形態のものでは、第一、第二ポンプラインC、Dからそれぞれ分岐形成される第一、第二オプション用供給油路17、20に、各種オプション油圧アクチュエータ13に共用して用いられる第一、第二オプション用コントロールバルブ65、66が配設されている。
前記第一オプション用コントロールバルブ65は、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御および排出流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、コントローラ11から出力される制御信号に基づいてパイロット圧を出力する第一オプション用第一、第二電磁比例弁(図示せず)にそれぞれ接続される第一、第二パイロットポート65a、65bと、第一オプション用供給油路17を介して第一油圧ポンプAに接続されるポンプポート65pと、油タンク12に至るタンクラインTに接続されるタンクポート65tと、オプション油圧アクチュエータ13の一方のポート13aに接続される一方のアクチュエータポート65cと、オプション油圧アクチュエータ13の他方のポート13bに接続される他方のアクチュエータポート65dとを備えている。そして、第一オプション用コントロールバルブ65は、第一、第二の両パイロットポート65a、65bにパイロット圧が入力されていない状態では、オプション油圧アクチュエータ13に対する給排制御を行わない中立位置Nに位置しているが、第一パイロットポート65aにパイロット圧が入力されることにより第一作動位置Xに切換わって、ポンプポート65pから一方のアクチュエータポート65cに至る供給用弁路65eと、他方のアクチュエータポート65dからタンクポート65tに至る排出用弁路65fとを開き、また、第二パイロットポート65bにパイロット圧が入力されることにより第二作動位置Yに切換わって、ポンプポート65pから他方のアクチュエータポート65dに至る供給用弁路65eと、一方のアクチュエータポート65cからタンクポート65tに至る排出用弁路65fとを開くように構成されている。そして、第一、第二作動位置XまたはYに位置しているときのオプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量および排出流量は、供給用弁路65e、排出用弁路65fの開口面積によって制御されるようになっていると共に、該開口面積は、第一オプション用第一、第二電磁比例弁から第一、第二パイロットポート65a、65bに出力されるパイロット圧の増減に伴うスプールの移動ストロークに応じて増減制御されるようになっているが、この場合に、第一、第二作動位置X、Yの第一オプション用コントロールバルブ65は、スプール移動ストロークの全域が、供給用弁路65e、排出用弁路65fの開口面積が予め設定される通常制御範囲Ave、Avf内で増減制御される通常制御領域Vとなっていて、後述する背圧低減制御領域Wは設けられない構成になっている(図6(A)参照)。
【0034】
また、第二オプション用コントロールバルブ66は、前記第一オプション用コントロールバルブ65と同様に、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御および排出流量制御を行うと共に給排方向を切換えるクローズドセンタ型のスプール弁であって、コントローラ11から出力される制御信号に基づいてパイロット圧を出力する第二オプション用第一、第二電磁比例弁(図示せず)にそれぞれ接続される第一、第二パイロットポート66a、66bと、第二オプション用供給油路20を介して第二油圧ポンプBに接続されるポンプポート66pと、タンクラインTに接続されるタンクポート66tと、オプション油圧アクチュエータ13の一方のポート13aに接続される一方のアクチュエータポート66cと、オプション油圧アクチュエータ13の他方のポート13bに接続される他方のアクチュエータポート66dとを備えている。そして、第二オプション用コントロールバルブ66は、前記第一オプション用コントロールバルブ65と同様に、第一、第二パイロットポート66a、66bにパイロット圧が入力されることにより中立位置Nから第一作動位置X、第二作動位置Yに切換わることで、ポンプポート66pからアクチュエータポート66cまたは66dに至る供給用弁路66eと、アクチュエータポート66dまたは66cからタンクポート66tに至る排出用弁路66fとを開くように構成されている。
【0035】
ここで、前記第二オプション用コントロールバルブ66の第一作動位置Xには、図6(B)に示す如く、通常制御領域Vと背圧低減制御領域Wとが設けられている。この場合に、背圧低減制御領域Wは、中立位置Nからのスプール移動ストロークが通用制御領域Vよりも大きい位置に設定されている。そして、通常制御領域Vでは、スプール移動ストロークが大きくなるにつれて供給用弁路66e、排出用弁路66fの開口面積も予め設定される通常制御範囲Ave、Avf内において漸次増加していくように設定されており、これにより、スプール移動ストロークが増加するにつれてオプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量、排出流量も漸次増加する流量制御が行われるように設定されている。一方、背圧低減制御領域Wでは、排出用弁路66fの開口面積が通常制御範囲Avfでの最大開口面積よりもさらに一段と大きい背圧低減制御用開口Awfとなるように設定されており、これにより流量制御されることなくオプション油圧アクチュエータ13からの排出油が殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流れるようになっている。そして、オプション油圧アクチュエータ13が例えばブレーカのように背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータの場合に、第二オプション用コントロールバルブ66を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置せしめることで、特定油圧アクチュエータにかかる背圧を低減することができるようになっている。また、背圧低減制御領域Wでの供給用弁路66eの開口面積は、特定油圧アクチュエータ用開口Aweとなるように設定されているが、該特定油圧アクチュエータ用開口Aweは、前記特定油圧アクチュエータ(例えばブレーカ)に適した流量を供給できる供給用弁路66eの開口面積として予め設定される開口面積であって、本実施の形態では、通常制御範囲Aveの最大開口面積よりも少し大きい開口面積となるように設定されている。
一方、第二オプション用コントロールバルブ66の第二作動位置Yは、第一オプション用コントロールバルブ65の第一、第二作動位置X、Yと同様に、スプール移動ストロークの全域が通常制御領域Vとなっていて背圧低減制御領域Wは設けられておらず、スプールの移動ストロークに応じて通常制御範囲Ave、Avf内において増減する供給用弁路66e、排出用弁路66fの開口面積によって、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御、排出流量制御が行われるようになっている(図6(A)参照)。
尚、第二の実施の形態において、第二オプション用コントロールバルブ66は、本発明の請求項3のオプション用コントロールバルブおよび請求項4の一方のオプション用コントロールバルブに相当する。また、第一オプション用コントロールバルブ65は、本発明の請求項4の他方のオプション用コントロールバルブに相当するが、請求項3のオプション用コントロールバルブには相当しない。さらに、第二の実施の形態において、第一油圧ポンプAは本発明の請求項4の他方の油圧ポンプに相当し、第二油圧ポンプBは本発明の請求項4の一方の油圧ポンプに相当する。
【0036】
次いで、オプション油圧アクチュエータ13が装着された場合に、コントローラ11が行う制御について説明する。
コントローラ11は、まず、オプション油圧アクチュエータ通知手段59からの通知信号に基づいて、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータ(例えばブレーカ)であるか否かを判断する。そして、特定油圧アクチュエータでないと判断された場合には、各オプション油圧アクチュエータ13に応じた制御方法を決める。例えば、オプション油圧アクチュエータ13が両方向の圧油供給を要求する場合には、オプション用操作具の操作方向に基づいて第一、第二オプション用コントロールバルブ65、66を第一作動位置Xと第二作動位置Yとに切換えるように制御し、オプション油圧アクチュエータ13が一方向のみの圧油供給を要求する場合には、第一、第二作動位置X、Yのうち一方の作動位置XまたはY(本実施の形態では第一作動位置X)のみに切換えるように制御する。また、オプション油圧アクチュエータ13が必要とする流量や、油圧ショベル1に設けられる他の油圧アクチュエータの作動状況等に応じて、第一、第二の両方の油圧ポンプA、Bからオプション油圧アクチュエータ13に圧油供給するか、第一または第二の片方の油圧ポンプA、Bからのみ圧油供給するかを決め、両方の油圧ポンプA、Bから圧油供給する場合には、第一、第二の両方のオプション用コントロールバルブ65、66を作動位置XまたはYにし、第一、第二の片方の油圧ポンプAまたはBのみから圧油供給する場合には、第一、第二の片方のオプション用コントロールバルブ65または66を第一、第二作動位置X、Yにし、他方のオプション用コントロールバルブ66または65を中立位置Nに保持するように制御する。
さらに、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない場合、コントローラ11は、第一、第二油圧ポンプA、Bからそれぞれオプション油圧アクチュエータ13に供給する目標供給流量を求める。そして、第一、第二オプション用第一、第二電磁比例弁に対して制御信号を出力して、第一、第二オプション用コントロールバルブ65、66の出力流量が前記目標供給流量に応じた流量となるように、第一、第二オプション用コントロールバルブ65、66の供給用弁路65e、66eの開口面積を制御する。この場合、供給用弁路65e、66eの開口面積による供給流量制御を行うためのスプール移動位置によって、排出用弁路65f、66fの開口面積による排出流量制御も行われるが、第二オプション用コントロールバルブ66は、第一作動位置Xに切換えられたとき、供給用弁路66e、排出用弁路66fの開口面積を通常制御範囲Ave、Avf内において制御するべく、通常制御領域Vに位置するように制御される。尚、前述したように、第一オプション用コントロールバルブ65の第一、第二作動位置X、Y、第二オプション用コントロールバルブ66の第二作動位置Yは、スプール移動ストロークの全域が通常制御領域Vになっている。
【0037】
一方、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータであると判断された場合、コントローラ11は、第二オプション用第一電磁比例弁に対して制御信号を出力して、第二オプション用コントロールバルブ66を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置せしめるように制御する。そして、該背圧低減制御領域Wに位置せしめられた第二オプション用コントロールバルブ66は、供給用弁路66e、排出用弁路66fを特定油圧アクチュエータ用開口Awe、背圧低減制御用開口Awfの開口面積で開くことになり、これにより、特定油圧アクチュエータ13への供給流量が該特定油圧アクチュエータ13に適した流量となるように制御されると共に、オプション油圧アクチュエータ13からの排出油は殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流れて、オプション油圧アクチュエータ13に背圧がかからないようになっている。
さらに、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータの場合、コントローラ11は、第一オプション用コントロールバルブ65を中立位置Nに保持するよう制御し、これにより特定油圧アクチュエータには第一油圧ポンプAから圧油供給されることなく第二油圧ポンプBからのみ圧油供給されるようにすると共に、オプション用操作具と同時にブーム用、スティック用、バケット用操作具が操作された場合に、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10には第一油圧ポンプAからのみ圧油供給されるように制御する。つまり、第一の実施の形態において説明したように、バケットシリンダ10には第一油圧ポンプAからのみ圧油供給される構成となっており、また、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9は、第一ブーム用流量制御弁28、第一スティック用流量制御弁30を開く一方、第二ブーム用流量制御弁29、第二スティック用流量制御弁31を閉じることで、第一油圧ポンプAからのみ圧油供給されるように制御することができる。そして、このように、特定油圧アクチュエータには第二油圧ポンプBからのみ圧油供給され、ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10には第一油圧ポンプAからのみ圧油供給されるように制御することで、特定油圧アクチュエータへの供給流量を、フロント作業機4を駆動させる他の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10)に左右されることなく確保できる一方、他の油圧アクチュエータへの供給流量も確保されることになって、特定油圧アクチュエータと他の油圧アクチュエータとが同時操作された場合に良好な連動性を確保できる。
【0038】
叙述の如く構成された第二の実施の形態のオプション用制御回路には、第二油圧ポンプBからオプション油圧アクチュエータ13への供給流量およびオプション油圧アクチュエータ13から油タンク12への排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータ13に対する作動油の給排方向を切換える第二オプション用コントロールバルブ66が設けられているが、該第二オプション用コントロールバルブ66の第一作動位置Xには、オプション油圧アクチュエータ13から油タンク12に至る排出用弁路66fを予め設定される通常制御範囲Avfの開口面積で開く通常制御領域Vと、排出用弁路66fを通常制御範囲Avfの最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口Awfで開く背圧低減制御領域Wとが設けられている。そして、第二オプション用コントロールバルブ66を制御するコントローラ11は、オプション油圧アクチュエータ13の駆動時に、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする油圧アクチュエータとして予め特定される特定油圧アクチュエータ(例えばブレーカ)の場合には背圧低減制御領域Wに位置し、特定油圧アクチュエータでない場合には通常制御領域Vに位置するように第二オプション用コントロールバルブ66を制御することになる。
【0039】
しかして、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータの場合には、オプション油圧アクチュエータ13からの排出油は背圧低減制御領域Wに位置している第二オプション用コントロールバルブ66の排出用弁路66fを通過して油タンク12に流れることになるが、該背圧低減制御領域Wの排出用弁路66fは、通常制御範囲Avfの最大開口面積よりも大きく設定された背圧低減制御用開口Awfで開くことになり、これにより、オプション油圧アクチュエータ13からの排出油を背圧が充分に低減された状態で油タンク12に流すことができることになる。この結果、オプション油圧アクチュエータ13に対する供給流量制御、排出流量制御および給排方向切換制御を行う第二オプション用コントロールバルブ66を用いて、特定油圧アクチュエータに対する背圧低減制御も行えることになって、別途専用の背圧低減制御用部材を必要とせず、部材の兼用化が図れて、コスト削減、省スペース化に大きく貢献できる。
【0040】
さらに、第二の実施の形態のオプション用制御回路には、前記第二オプション用コントロールバルブ66に加えて、第一油圧ポンプAに接続され、該第一油圧ポンプAからオプション油圧アクチュエータ13への供給流量およびオプション油圧アクチュエータ13から油タンク12への排出流量を制御すると共にオプション油圧アクチュエータ13に対する作動油の給排方向を切換える第一オプション用コントロールバルブ65が設けられているが、該第一オプション用コントロールバルブ65は、通常制御領域Vのみが設けられていて背圧低減制御領域Wは設けられておらず、背圧低減制御は行わない構成になっている。そして、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない場合には、第一オプション用コントロールバルブ65および通常制御領域Vに位置している第二オプション用コントロールバルブ66を用いて、各種オプション油圧アクチュエータ13に応じた給排制御を行えることになるが、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータの場合には、背圧低減制御を行うことができる第二オプション用コントロールバルブ66のみで特定油圧アクチュエータに対する作動油の給排制御を行う一方、他の油圧アクチュエータ(本実施の形態ではブームシリンダ8、スティックシリンダ9、バケットシリンダ10)には、第二オプション用コントロールバルブ66が接続される第二油圧ポンプB以外の油圧ポンプ、つまり第一油圧ポンプAから圧油供給することになる。この結果、特定油圧アクチュエータへの供給流量を、他の油圧アクチュエータの駆動に左右されることなく確保できるとともに、他の油圧アクチュエータへの供給流量も確保できることになって、特定油圧アクチュエータと他の油圧アクチュエータとが同時操作された場合に良好な連動性を確保できる。
尚、第二の実施の形態のものにおいても、第一の実施の形態のものと同様に、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータの場合に、該特定油圧アクチュエータからの排出油を第二オプション用コントロールバルブ66に流す油路となるオプション用油圧アクチュエータ油路36に接続されるオプション用リリーフ弁38を用いて、特定油圧アクチュエータからの排出油を、背圧低減制御領域Wの第二オプション用コントロールバルブ66の排出用弁路66fと分配して油タンク12に流すように構成することができることは勿論であり、このように構成することで、更なる低抵抗化が可能となって、背圧をより確実に低減できる。
【0041】
尚、本発明は前記第一、第二の実施の形態に限定されないことは勿論であって、例えば、前記第一、第二の実施の形態のものにおいて、オプション用リリーフ弁は、ブーム用、スティック用、バケット用、オプション用の各種コントロールバルブや、ブーム用、スティック用、オプション用の各種流量制御弁、第一、第二ブリード弁等が纏めて設けられるバルブブロック69に配設されているが、図7に示す第三の実施の形態のごとく、特定油圧アクチュエータからの排出油をオプション用コントロールバルブに流す油路に接続されるオプション用リリーフ弁を、バルブブロック69の外部に配設することもできる。尚、第三の実施の形態のものは、第二の実施の形態のものの一部を変更したものであり、第二の実施の形態と同様のものについては同一の符号を付すと共に説明を省略する。
つまり、第三の実施の形態のものでは、オプション用油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータである場合に、該特定油圧アクチュエータからの排出油を第二オプション用コントロールバルブ66に流す油路であるオプション用アクチュエータ油路36に、バルブブロック69を経由することなく油タンク12に至るバイパス油路70が接続されており、該バイパス油路70に、コントローラ11からの制御信号に基づいて設定圧を可変できるオプション用リリーフ弁71が配設されている。該オプション用リリーフ弁71は、コントローラ11からの制御信号に基づいて極低圧のリリーフ圧に設定できるように構成されており、そしてコントローラ11は、オプション油圧アクチュエータ13が背圧低減制御を必要とする特定油圧アクチュエータであると判断された場合に、第二の実施の形態の場合と同様に第二オプション用コントロールバルブ66を第一作動位置Xの背圧低減制御領域Wに位置せしめると共に、オプション用リリーフ弁71の設定圧を極低圧に設定する。これにより、特定油圧アクチュエータからの排出油は、背圧低減制御領域Wに位置している第二オプション用コントロールバルブ66と、極低圧のリリーフ圧に設定されたオプション用リリーフ弁71とに分配されて殆ど抵抗のない状態で油タンク12に流れることになるが、この場合に、オプション用リリーフ弁71は、バルブブロック69を経由することなく特定油圧アクチュエータから油タンク12に至るバイバス油路70に配設されており、このため、オプション用リリーフ弁71を通過する排出油は、バルブブロック69に設けられるタンクラインTよりも更に圧力が低い油タンク12に直接流れることになって、オプション用リリーフ弁がバルブブロック69に配されている場合よりも更なる低抵抗化を達成できる。しかも、このようにバルブブロック69の外部にバイパス油路70およびオプション用リリーフ弁71を設ける場合であっても、背圧低減制御領域Wに位置している第二オプション用コントロールバルブ66の排出弁路66fの開口面積は、通常制御範囲Avfの開口面積よりも広く設定された背圧低減制御用開口Awfとなって多量の排出油を流すことができるため、その分バイパス油路70およびオプション用リリーフ弁71を流れる排出流量を少なくすることができて、バイバス油路70用の配管やオプション用リリーフ弁71の小型化を達成できる。
尚、前記バイパス油路70に配設のオプション用リリーフ弁71は、オプション油圧アクチュエータ13が特定油圧アクチュエータでない場合には、オプション用アクチュエータ油路36の最高圧を設定するリリーフ弁として機能するべく、コントローラ11からの制御信号に基づいて適宜リリーフ圧が設定される。
また、第三の実施の形態のものは、第二の実施の形態のオプション用リリーフ弁38に替えて、バルブブロック39外にバイパス油路70およびオプション用リリーフ弁71を設けたものであるが、このようなバイパス油路70およびオプション用リリーフ弁71を第一の実施の形態のものに設けることも勿論できる。また、図7中、72はメイクアップ用のチェック弁である。
さらに、前記第一~第三の実施の形態のものでは、オプション油圧アクチュエータの圧油供給源として第一、第二の二つの油圧ポンプA、Bが設けられているが、油圧ポンプが一つしか設けられない場合であっても本発明を実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に、ブレーカ等の背圧低減制御が必要なオプション油圧アクチュエータを装着する場合に利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7