(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/13 20190101AFI20241112BHJP
【FI】
G07D11/13
(21)【出願番号】P 2023568887
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2021047616
(87)【国際公開番号】W WO2023119495
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄二
(72)【発明者】
【氏名】林 諭志
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 光孝
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敦
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116339(JP,A)
【文献】中国実用新案第207601909(CN,U)
【文献】特開2006-092145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1仕切り部材と、当該第1仕切り部材の下方に配置された第2仕切り部材とを有し、紙葉類の収納スペースを形成する昇降可能な複数の仕切り部材と、
前記第1仕切り部材に固定され、下方に延びるガイドと、
前記第1仕切り部材の下限位置において当該第1仕切り部材に接触する第1ストッパと、
前記第2仕切り部材に固定され、前記ガイドを押圧することによる摩擦力で前記第1仕切り部材を前記第2仕切り部材と一体に昇降させる押圧部とを備え、
前記ガイドは、前記摩擦力を解除する凹部を有し、
前記第2仕切り部材は、前記第1仕切り部材と一体に下降し、前記第1仕切り部材が前記第1ストッパに接触した後、前記摩擦力に抗して第1仕切り部材とは独立して、前記押圧部が前記凹部に対向する位置まで下降し、
前記第2仕切り部材は、前記押圧部が前記凹部に対向する位置から、前記押圧部が前記凹部に対向しなくなる位置まで上昇すると、前記摩擦力によって前記第1仕切り部材と一体に上昇する
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記複数の仕切り部材は、前記第2仕切り部材の下方に配置された第3仕切り部材を更に有し、
前記紙葉類取扱装置は、
前記第2仕切り部材の下限位置において当該第2仕切り部材に接触する第2ストッパと、
前記第3仕切り部材に固定され、前記第2仕切り部材を下方に引っ張る引っ張りバネとを更に備え、
前記第3仕切り部材は、上昇時に前記第2仕切り部材を持ち上げ可能に配置され、下降時に、前記引っ張りバネによって下方に引っ張られる前記第2仕切り部材が前記第2ストッパに接触した後、前記引っ張りバネの復元力に抗して前記第2仕切り部材とは独立して下降する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
上下方向に延びるレールを更に備え、
前記第1ストッパ及び前記第2ストッパは、共通の前記レールに設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入金機、ATM(Automated Teller Machine)等において、紙幣の収納スペースを上下に仕切るプレートやベルトなどの部材が配置されている。例えば、紙幣を挟み込んで搬送する上下1対の搬送ベルトを備える装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、共通の駆動モータの駆動力により駆動する上面ガイド及びステージを備える装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平07-220139号公報
【文献】特開2018-032341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紙幣等の紙葉類の収納スペースを上下に仕切るために、昇降可能な複数の仕切り部材が配置されることがある。これらの複数の仕切り部材は、例えば、紙葉類が積載される仕切り部材や、下方に位置する他の仕切り部材に積載された紙葉類を下方に押圧する仕切り部材や、所定の高さの収納スペースを形成するために紙葉類の上方に配置される仕切り部材などである。
【0006】
これらの複数の仕切り部材のそれぞれを所定の複数の位置(高さ)に独立して昇降させるためには、仕切り部材を駆動する駆動源が複数配置されることになる。しかしながら、複数の駆動源が配置されると、装置の大型化を招くとともに、コストダウンを図るのが困難になる。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構成で、複数の仕切り部材を所定の複数の位置に昇降させることができる紙葉類取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の紙葉類取扱装置は、第1仕切り部材と、当該第1仕切り部材の下方に配置された第2仕切り部材とを有し、紙葉類の収納スペースを形成する昇降可能な複数の仕切り部材と、前記第1仕切り部材に固定され、下方に延びるガイドと、前記第1仕切り部材の下限位置において当該第1仕切り部材に接触する第1ストッパと、前記第2仕切り部材に固定され、前記ガイドを押圧することによる摩擦力で前記第1仕切り部材を前記第2仕切り部材と一体に昇降させる押圧部とを備え、前記ガイドは、前記摩擦力を解除する凹部を有し、前記第2仕切り部材は、前記第1仕切り部材と一体に下降し、前記第1仕切り部材が前記第1ストッパに接触した後、前記摩擦力に抗して第1仕切り部材とは独立して、前記押圧部が前記凹部に対向する位置まで下降し、前記第2仕切り部材は、前記押圧部が前記凹部に対向する位置から、前記押圧部が前記凹部に対向しなくなる位置まで上昇すると、前記摩擦力によって前記第1仕切り部材と一体に上昇する。
【発明の効果】
【0009】
開示の紙葉類取扱装置によれば、簡素な構成で、複数の仕切り部材を所定の複数の位置に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態における紙幣処理機の内部構造を示す左側面図である。
【
図2A】一実施の形態における1次入金処理を説明するための紙幣処理機の内部構造を示す左側面図である。
【
図2B】一実施の形態における2次入金処理を説明するための紙幣処理機の内部構造を示す左側面図である。
【
図2C】一実施の形態における出金処理を説明するための紙幣処理機の内部構造を示す左側面図である。
【
図3】一実施の形態における紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図である。
【
図4A】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その1)である。
【
図4B】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その2)である。
【
図4C】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その3)である。
【
図4D】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その4)である。
【
図4E】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その5)である。
【
図4F】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その6)である。
【
図4G】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その7)である。
【
図4H】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その8)である。
【
図4I】一実施の形態における入金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その9)である。
【
図5A】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その1)である。
【
図5B】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その2)である。
【
図5C】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その3)である。
【
図5D】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その4)である。
【
図5E】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その5)である。
【
図5F】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その6)である。
【
図5G】一実施の形態における出金時の動作を説明するための紙幣入出金部の内部構造を示す左側面図(その7)である。
【
図6】一実施の形態におけるルーフ、プッシャプレート、プッシャ等を示す斜視図である。
【
図7】一実施の形態における押圧部、引っ張りバネ等を示す斜視図である。
【
図8】一実施の形態における押圧部等を示す斜視図である。
【
図9】一実施の形態における押圧部等を示す斜視図である。
【
図10】一実施の形態における2本のレール等を示す斜視図である。
【
図11】一実施の形態におけるルーフ、プッシャプレート、プッシャ等を示す断面図である。
【
図12】一実施の形態におけるルーフ、プッシャプレート等を示す斜視図である。
【
図13】一実施の形態におけるルーフ、プッシャプレート等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る紙葉類取扱装置について、紙幣処理機100を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、紙幣処理機100の内部構造を示す左側面図である。
【0013】
なお、
図1及び後述する
図2~
図13に示す上下、前後、左右の方向は、紙幣処理機100の顧客側を前方向とした場合の一例にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。
【0014】
図1に示す紙幣処理機100は、例えばATM、BRU(Bill Recycle Unit)、CD(Cash Dispenser)、TCR(Teller Cash Recycler)などであり、紙幣入出金部10と、鑑別部20と、1次保留部30と、リジェクト部40と、中間搬送部50と、複数の収納カセット60とを備える。なお、紙幣処理機100は、紙葉類取扱装置の一例であるが、この紙葉類取扱装置は、紙幣Bを一例とする紙葉類に搬送や何らかの処理を行うものであればよいため、例えば、紙幣入出金部10のみと捉えることも可能である。
【0015】
紙幣入出金部10については詳しく後述するが、紙幣入出金部10は、ガイド機構1の前端上部に設けられ、入金される紙幣Bが投入されるとともに、出金される紙幣Bが排出される。
【0016】
鑑別部20は、紙幣入出金部10の下方に配置され、紙幣入出金部10から搬送される紙幣Bの真贋、汚れ、角折れ等を判定する。
【0017】
1次保留部30は、紙幣入出金部10から鑑別部20へ搬送され、鑑別部20において正常と判定された紙幣Bなどを一時的に収納する。
【0018】
リジェクト部40は、鑑別部20において異常と判定された紙幣Bのうち返却されない紙幣Bを収納する。
【0019】
中間搬送部50は、鑑別部20と複数の収納カセット60との間で紙幣Bを前後方向に搬送する。
【0020】
複数の収納カセット60は、例えば互いに異なる金種の紙幣Bを収納する。収納カセット60は、収納された紙幣Bを排出可能である。そのため、収納カセット60に収納された紙幣Bは、出金に利用される。
【0021】
図2A~
図2Cは、1次入金処理、2次入金処理、及び出金処理を説明するための紙幣処理機100の内部構造を示す左側面図である。
【0022】
まず、
図2Aに太い実線矢印で示す搬送経路R1のように、紙幣入出金部10に投入された紙幣Bは、鑑別部20に搬送される。また、鑑別部20において正常と判定された紙幣Bは、1次保留部30に搬送される。
【0023】
一方、
図2Aに太い点線矢印で示す搬送経路R2のように、鑑別部20において異常と判定された紙幣B(偽造紙幣など)は、紙幣入出金部10に返却される。
【0024】
図2Bに太い実線矢印で示す搬送経路R3のように、1次保留部30に一時的に収納された紙幣Bは、鑑別部20及び中間搬送部50を搬送され、各収納カセット60に搬送される。
【0025】
図2Cに太い実線矢印で示す搬送経路R4のように、各収納カセット60に収納された紙幣Bは、出金時に、中間搬送部50及び鑑別部20によって紙幣入出金部10に排出される。なお、
図2Cに太い点線矢印で示す搬送経路R5のように、各収納カセット60に収納された紙幣Bのうち鑑別部20によって異常と判定された紙幣Bは、1次保留部30やリジェクト部40に搬送される。
【0026】
図3は、紙幣入出金部10の内部構造を示す左側面図である。
【0027】
図3に示すように、紙幣入出金部10は、ルーフ11(第1仕切り部材の一例)と、プッシャプレート12(第2仕切り部材の一例)と、プッシャ13(第3仕切り部材の一例)と、ステージ14と、シャトル15と、押し込み壁16と、受け入れ部17と、繰り出し部18とを備える。また、後述するが、紙幣入出金部10は、
図6~
図13に示すように、2本のガイド2と、2つの押圧部3と、可動部材4と、タイミングベルト5と、引っ張りバネ6と、2本のレール7(
図10参照)とを更に備える。なお、本実施の形態では、複数の仕切り部材の一例として、それぞれ板状のルーフ11(第1仕切り部材)、プッシャプレート12(第2仕切り部材)、及びプッシャ13(第3仕切り部材)について説明するが、仕切り部材としては、板状の部材に限られず、例えばローラやベルト等を有し、紙幣Bの搬送を行うことが可能な部材などであってもよい。
【0028】
ルーフ11は、昇降可能に配置されている。
【0029】
プッシャプレート12は、ルーフ11の下方に配置されている。プッシャプレート12は、昇降可能に配置され、ステージ14上から繰り出し部18によって繰り出された紙幣Bのうち返却対象の紙幣Bを受け入れ部17から受け入れる。
【0030】
プッシャ13は、プッシャプレート12の下方に配置されている。プッシャ13は、昇降可能に配置され、ステージ14上の紙幣Bを上から押圧可能である。なお、後述する
図11に示すように、プッシャ13には、プッシャ13の下方からの紙幣Bの進入を防止する進入防止部材13aが下方に垂れ下がるように左右方向に間隔を隔てて複数配置されている。
【0031】
ステージ14は、昇降可能に配置され、
図3に示すように出金される紙幣B、或いは、入金される紙幣Bが積層される。なお、ステージ14は、プッシャ13を昇降させる駆動部とは異なる駆動部(例えばモータ)の駆動によって昇降する。
【0032】
シャトル15は、例えば、紙幣Bを挟み込むことが可能な上下一対に配置された搬送ベルトを有し、紙幣Bの入出金時の前方の位置(
図3の実線参照)と、紙幣Bをステージ14との間で受け渡す後方の位置(
図3の点線参照)とに前後方向に移動する。シャトル15の後端には、シャトル15内から後方への紙幣Bの抜け落ちを防止するストッパ15aが設けられている。このストッパ15aは、シャトル15の上下一対の搬送ベルトの後端の間のスペースを開放する位置(
図3の実線参照)と閉じる位置(
図3の点線参照)とに回転する。
【0033】
押し込み壁16は、前後方向に移動可能に配置され、出金時にステージ14上の紙幣Bをシャトル15に向けて前方に押し込む(
図3の実線の位置から点線の位置へ移動する)。
【0034】
受け入れ部17は、例えば、羽根車やローラを有する。受け入れ部17は、出金される紙幣Bをステージ14上に向けて受け入れたり、返却対象の紙幣Bをプッシャプレート12上に向けて受け入れたりする。
【0035】
繰り出し部18は、例えば、ローラやセパレータローラなどを有する。繰り出し部18は、
図3に示す位置よりも下降したステージ14上から、入金された紙幣Bを鑑別部20に向けて繰り出す(
図3の点線矢印参照)。
【0036】
ここで、ルーフ11、プッシャプレート12、プッシャ13の昇降のための構成(
図6~
図13参照)を説明する前に、紙幣入出金部10の入金時の動作(
図4A~
図4I)及び出金時の動作(
図5A~
図5G)について概要を説明する。
【0037】
図4A~
図4Iは、入金時の動作を説明するための紙幣入出金部10の内部構造を示す左側面図である。
【0038】
まず、
図4Aに示すように、シャトル15の上下一対の搬送ベルトの間に紙幣Bが投入される。このとき、ルーフ11、プッシャプレート12、プッシャ13、及びステージ14は、それぞれ初期位置P11,P21,P31,P41にある。なお、この初期位置においては、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13は、互いに密着した状態であるが、ステージ14は、紙幣Bの収納スペースを形成するために、プッシャ13から間隔を隔てて下方に位置する。
【0039】
次に、
図4Bに示すように、シャトル15は、紙幣Bを挟み込んだ状態でステージ14側へ後方に移動する。また、シャトル15が後方に移動した後、シャトル15の1対の搬送ベルトは、紙幣Bをステージ14上に搬送する。
【0040】
次に、
図4Cに示すように、シャトル15は、一度少し前方に移動し、ストッパ15aが上下一対の搬送ベルトの後端の間のスペースを閉じる位置に回転する。
【0041】
次に、
図4Dに示すように、シャトル15が再び後方に移動することによって、ストッパ15aがステージ14上の紙幣Bを後方に押し込む。
【0042】
次に、
図4Eに示すように、ルーフ11及びプッシャプレート12が互いに間隔があいた下限位置P12,P22まで下降し、プッシャ13は、繰り出し位置P42まで下降したステージ14上の紙幣Bを上から押圧する押圧位置P32まで下降する。
【0043】
そして、繰り出し部18は、ステージ14上の紙幣Bを鑑別部20に向けて繰り出す(
図4Eの点線矢印参照)。
【0044】
繰り出し部18によって繰り出された紙幣Bのうち鑑別部20によって異常と判定されたリジェクト紙幣B(RJ)は、上述の
図2Aに太い点線矢印で示す搬送経路R2のように、紙幣入出金部10に返却され、受け入れ部17からプッシャプレート12上に受け入れられる。
【0045】
次に、
図4Fに示すように、まず、プッシャ13がリジェクト紙幣排出位置P33に向けて上昇し、ストッパ15aが上下一対の搬送ベルトの後端の間のスペースを開放する位置に回転する。
【0046】
次に、
図4Gに示すように、ルーフ11及びプッシャプレート12も上昇し、ルーフ11が初期位置P11、プッシャプレート12及びプッシャ13がリジェクト紙幣排出位置P23,P33まで到達すると、押し込み壁16がステージ14上のリジェクト紙幣B(RJ)をシャトル15に向けて前方に押し込む。
【0047】
次に、
図4Hに示すように、押し込み壁16が後方に戻り、ストッパ15aが上下一対の搬送ベルトの後端の間のスペースを閉じる位置に回転する。
【0048】
次に、
図4Iに示すように、シャトル15が前方に移動し、上下一対の搬送ベルトがリジェクト紙幣B(RJ)を紙幣入出金部10の前方に排出する。
【0049】
図5A~
図5Gは、出金時の動作を説明するための紙幣入出金部10の内部構造を示す左側面図である。
【0050】
まず、
図5Aに示すように、
図4Aに示す入金動作の開始時と同様に、ルーフ11、プッシャプレート12、プッシャ13、及びステージ14は、それぞれ初期位置P11,P21,P31,P41にある。
【0051】
次に、
図5Bに示すように、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13が一体に出金位置P13,P24,P34まで下降する。また、ステージ14も出金位置P43まで下降する。なお、ステージ14の出金位置P43は、図示しない紙幣Bの上端検知センサによって検出されればよい。
【0052】
次に、
図5Cに示すように、各収納カセット60から出金される紙幣B(
図2Cに太い実線矢印で示す搬送経路R4参照)が受け入れ部17によってステージ14上に受け入れられる。
【0053】
次に、
図5Dに示すように、ルーフ11、プッシャプレート12、プッシャ13、及びステージ14が初期位置P11,P21,P31,P41まで上昇し、シャトル15が紙幣Bを受け取るために後方に移動する。
【0054】
次に、
図5Eに示すように、押し込み壁16がステージ14上の紙幣Bをシャトル15に向けて前方に押し込む。
【0055】
次に、
図5Fに示すように、押し込み壁16が後方に戻り、ストッパ15aが上下一対の搬送ベルトの後端の間のスペースを閉じる位置に回転する。
【0056】
次に、
図5Gに示すように、シャトル15が前方に移動し、上下一対の搬送ベルトが紙幣Bを紙幣入出金部10の前方に排出する。
【0057】
ここで、ルーフ11、プッシャプレート12、プッシャ13の昇降のための構成について、
図6~
図13を参照しながら説明する。
【0058】
図6に示すように、2本のガイド2は、上端においてルーフ11の左後部及び右前部に固定され、プッシャプレート12を貫通して下方に延びる。ガイド2は、例えば、棒状(円柱形状)のシャフトであるが、四角柱形状を呈していてもよいし、形状は特に制限されない。左後部のガイド2の右側(
図8参照)及び右前部のガイド2の左側(
図6参照)には、凹部2aが形成されている。この凹部2aは、後述する押圧部3に対向するときに、押圧部3がガイド2を押圧することによる摩擦力を解除するためのものであり、上下方向に所定範囲に亘って設けられている。なお、凹部2aとしては、窪んで(凹んで)いる部分であればよいため、ガイド2を貫通する孔、切り欠きなどであってもよい。
【0059】
2つの押圧部3は、
図12に示すように、プッシャプレート12の左後部及び右前部に固定されている。押圧部3は、ガイド2との当接部分が大径となった左右方向に延びるピン3aと、このピン3aをガイド2に向けて付勢する圧縮バネ3bとを有する。
図7及び
図8に示すように、ピン3aのガイド2との当接部分には、ガイド2の一部を収容するための上下方向に延びる溝3a-1が形成されているとよい。これにより、ピン3aの回転が抑制される。なお、圧縮バネ3bは、ピン3aがガイド2を押圧することによる摩擦力でプッシャプレート12をルーフ11と一体に昇降可能とする付勢力でピン3aをガイド2に向けて付勢するとよい。
【0060】
図6及び
図7に示すように、可動部材4は、プッシャ13に固定され、無端帯状のタイミングベルト5の回転によって昇降する。これにより、プッシャ13が昇降する。
【0061】
引っ張りバネ6は、下端において可動部材4に引っ掛けられて固定され、上端をプッシャプレート12に引っ掛けられて固定されている。そのため、可動部材4が下降すると、引っ張りバネ6がプッシャプレート12を下方に引っ張り下降させる。
【0062】
図10に示すように、2本のレール7は、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13の左側において前後に並んで配置され、上下方向に延びる。2本のレール7のそれぞれは、平面視において右向きのU字形状を呈する。
【0063】
レール7内の中空部分は、左右方向の深さがレール7の上部で深く、レール7の下部で浅くなっており、その段差が第1ストッパ7aとして機能する。また、レール7内の中空部分は、レール7の下端までは設けられておらず、レール7の下部で無くなっており、その段差が第2ストッパ7bとして機能する。このように、第1ストッパ7a及び第2ストッパ7bは、共通のレール7に設けられている。
【0064】
2本のレール7の第1ストッパ7aは、
図11に示すように、ルーフ11の下限位置において、ルーフ11から左方向に突出する2つの突起11aに接触する。これにより、ルーフ11は、突起11aと第1ストッパ7aとが接触した後は下降しなくなる。なお、ルーフ11の下限位置は、例えば、
図4Eに示す下限位置P12である。
【0065】
2本のレール7の第2ストッパ7bは、
図11に示すように、プッシャプレート12の下限位置において、プッシャプレート12から左方向に突出する2本の突起12aに接触する。これにより、プッシャプレート12は、突起12aと第2ストッパ7bとが接触した後は下降しなくなる。なお、プッシャプレート12の下限位置は、例えば、
図4Eに示す下限位置P22である。
【0066】
なお、プッシャプレート12の突起12aは、ルーフ11の突起11aよりも左方向への突出量が少なく、突起12aの先端は突起11aの先端よりも右側に位置する。そのため、プッシャプレート12の突起12aは、第1ストッパ7aには接触しない。
【0067】
上述の構成によって、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13は、以下のように昇降する。まず、
図6及び
図7に示すように初期位置(
図4A及び
図5Aの初期位置P11,P21,P31)において密着した状態のルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13は、タイミングベルト5の回転(可動部材4の下降)によって最初にプッシャ13が下降する。
【0068】
このプッシャ13の下降に伴い、可動部材4を介してプッシャ13に固定された引っ張りバネ6がプッシャプレート12を下方に引っ張り、下降させる。そして、プッシャプレート12の下降に伴って、プッシャプレート12に固定された押圧部3がガイド2を押圧することによる摩擦力でルーフ11が一体に下降する。このように、まずは、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13が一体に下降する(
図5B参照)。
【0069】
その後、ルーフ11の2つの突起11aが、2本のレール7の第1ストッパ7a(
図11参照)に接触した後、プッシャプレート12及びプッシャ13は、押圧部3がガイド2を押圧することによる摩擦力に抗してルーフ11とは独立して下降する。
図9に示すように、押圧部3がガイド2の凹部2aに対向する位置までプッシャプレート12が下降すると、上記の摩擦力は解除される。
【0070】
その後、プッシャプレート12の2つの突起12aが、2本のレール7の第2ストッパ7b(
図11参照)に接触した後、
図10及び
図11に示すように、プッシャ13は、引っ張りバネ6の復元力に抗してプッシャプレート12とは独立して下降する。
【0071】
ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13が下降した位置から上昇する際には、まず、タイミングベルト5の回転(可動部材4の上昇)によって最初にプッシャ13が上昇する。
【0072】
その後、プッシャ13が下限位置のプッシャプレート12を持ち上げることによってプッシャプレート12も上昇を開始し、
図12及び
図13に示すように、プッシャプレート12に固定された押圧部3がガイド2の凹部2aに対向しなくなる位置まで上昇すると、上述の摩擦力によってルーフ11がプッシャプレート12及びプッシャ13と一体に上昇する。そして、ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13は、
図6及び
図7に示すように初期位置に戻る。なお、ルーフ11は、例えば紙幣入出金部10の内部上面に接触することなどによって上限位置が決定されるとよい。
【0073】
ここで、上述の説明では、紙幣入出金部10(紙幣処理機100)において、プッシャ13がタイミングベルト5(駆動部)によって駆動するが、プッシャプレート12が駆動することによってルーフ11及びプッシャプレート12を昇降させてもよい。また、第1仕切り部材としてルーフ11を例に説明し、第2仕切り部材としてプッシャプレート12を例に説明したが、第1仕切り部材がプッシャプレート12で第2仕切り部材がプッシャ13でなどであってもよく、各仕切り部材は任意の部材とすることができる。
【0074】
以上説明した本実施の形態では、紙葉類取扱装置の一例である紙幣処理機100は、ルーフ11(第1仕切り部材の一例)と、このルーフ11の下方に配置されたプッシャプレート12(第2仕切り部材の一例)とを有し、紙幣B(紙葉類の一例)の収納スペースを形成する昇降可能な複数の仕切り部材と、ルーフ11に固定され、下方に延びるガイド2と、ルーフ11の下限位置P12(
図4E参照)においてルーフ11に接触する第1ストッパ7a(
図11参照)と、プッシャプレート12に固定され、ガイド2を押圧することによる摩擦力でルーフ11をプッシャプレート12と一体に昇降させる押圧部3とを備える。ガイド2は、上記摩擦力を解除する凹部2aを有し、プッシャプレート12は、ルーフ11と一体に下降し、ルーフ11が第1ストッパ7aに接触した後、上記摩擦力に抗してルーフ11とは独立して、押圧部3が凹部2aに対向する位置まで下降する。また、プッシャプレート12は、押圧部3が凹部2aに対向する位置から、押圧部3が凹部2aに対向しなくなる位置まで上昇すると、上記摩擦力によってルーフ11と一体に上昇する。
【0075】
これにより、プッシャプレート12を、ルーフ11と一体に昇降させたり、ルーフ11とは独立して昇降させたりすることが可能となる。そのため、ルーフ11を個別に昇降させる駆動部(駆動源)の配置を省略することができる。よって、本実施の形態によれば、簡素な構成で、複数の仕切り部材(ルーフ11、プッシャプレート12等)を所定の複数の位置に昇降させることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、複数の仕切り部材は、プッシャプレート12(第2仕切り部材の一例)の下方に配置されたプッシャ13(第3仕切り部材の一例)を更に有する。紙幣処理機100は、プッシャプレート12の下限位置P22(
図4E参照)においてプッシャプレート12に接触する第2ストッパ7b(
図11参照)と、プッシャ13に固定され、プッシャプレート12を下方に引っ張る引っ張りバネ6とを更に備える。プッシャ13は、上昇時にプッシャプレート12を持ち上げ可能に配置され、下降時に、引っ張りバネ6によって下方に引っ張られるプッシャプレート12が第2ストッパ7bに接触した後、引っ張りバネ6の復元力に抗してプッシャプレート12とは独立して下降する。
【0077】
これにより、プッシャ13を、プッシャプレート12と一体に昇降させたり、プッシャプレート12とは独立して昇降させたりすることが可能となる。そのため、ルーフ11を個別に昇降させる駆動部(駆動源)のみならずプッシャプレート12を個別に昇降させる駆動部の配置も省略することができる。したがって、より一層簡素な構成で、複数の仕切り部材(ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13)を所定の複数の位置に昇降させることができる。
【0078】
また、本実施の形態では、紙幣処理機100は、上下方向に延びるレール7を更に備え、上記の第1ストッパ7a及び第2ストッパ7bは、共通の上記レール7に設けられている。
【0079】
これにより、ルーフ11の下限位置を決定する部材(第1ストッパ7a)及びプッシャプレート12の下限位置を決定する部材(第2ストッパ7b)をそれぞれ異なる部材に配置する場合と比較して、更に簡素な構成で、複数の仕切り部材(ルーフ11、プッシャプレート12、及びプッシャ13)を所定の複数の位置に昇降させることができる。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されず、構成要素を変形して具体化することができる。例えば、本実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0081】
2 ガイド
2a 凹部
3 押圧部
3a ピン
3a-1 溝
3b 圧縮バネ
4 可動部材
5 タイミングベルト
6 引っ張りバネ
7 レール
7a 第1ストッパ
7b 第2ストッパ
10 紙幣入出金部
11 ルーフ
11a 突起
12 プッシャプレート
12a 突起
13 プッシャ
13a 進入防止部材
14 ステージ
15 シャトル
15a ストッパ
16 押し込み壁
17 受け入れ部
18 繰り出し部
20 鑑別部
30 1次保留部
40 リジェクト部
50 中間搬送部
60 収納カセット
100 紙幣処理機
B 紙幣
R1~R5 搬送経路