(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F39/02 A
(21)【出願番号】P 2024005256
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2022073306の分割
【原出願日】2019-01-07
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
(72)【発明者】
【氏名】根岸 昭博
(72)【発明者】
【氏名】須坂 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】居初 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158601(JP,A)
【文献】特開2011-193967(JP,A)
【文献】特開平07-222890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0186098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められる水槽と、
給水源に接続されて電磁的に開閉動作する給水弁と、
前記給水弁から出た水を前記水槽内に供給する給水経路と、
複数回分の洗濯に使用可能な洗
濯処理剤を貯留するタンクと、前記給水経路の途中に設けられた供給部とを有し、前記タンクの洗濯処理剤を前記供給部に供給する自動投入装置と、を備え、
前記洗濯処理剤の手動での投入が選択されている場合には給水時に前記供給部を通過する水によって前記供給部の洗浄を行う、
洗濯機。
【請求項2】
前記給水経路の途中に設けられ1回分の洗濯処理剤を収容可能な手動用収容部を更に備えている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記手動用収容部は、前記供給部より下流側に設けられている、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記給水経路は、前記供給部の下流で上昇している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記タンクが取り外し可能に設けられたタンクケースと、
前記手動用収容部を有する手動用収容ケースと、を更に備え、
前記給水経路は、前記手動用収容ケースと前記タンクケースとの間で上昇している、
請求項2又は3に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯運転を自動で実行する例えばドラム式の洗濯機においては、一般に、本体の上部前部に引出し式の洗剤収容ケースが設けられ、ユーザが洗濯開始前に洗剤収容ケースに必要量の洗剤や柔軟剤を収容させておくことにより、洗濯運転時にそれらが給水と共に水槽内に供給される。近年、ユーザの利便性向上の要望に応えるため、手動用の洗剤収容ケースに加えて、洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤をタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する洗剤自動投入装置を設けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、本体の上部のうち、前部に手動用の洗剤収容ケースが設けられ、その後部に洗剤自動投入装置が設けられ、本体の後部に給水弁が設けられるといった配置であった。そのため、従来構成では、例えば洗濯処理剤をタンクに補充等する際に、ユーザは、洗濯機の後方まで腕を大きく伸ばして作業しなければならず、作業性が悪かった。また、本体後部の給水弁から本体前部の洗剤収容ケースまで給水経路が延びている構成となるため、給水経路が比較的長くなっていた。
そこで、洗剤自動投入装置を備えるものにあって、洗剤の補充のための作業性を良好とすることができ、しかも給水経路を比較的短く済ませることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、水が溜められる水槽と、給水源に接続されて電磁的に開閉動作する給水弁と、前記給水弁から出た水を前記水槽内に供給する給水経路と、複数回分の洗濯に使用可能な洗濯処理剤を貯留するタンクと、前記給水経路の途中に設けられた供給部とを有し、前記タンクの洗濯処理剤を前記供給部に供給する自動投入装置と、を備える。前記洗濯処理剤の手動での投入が選択されている場合には給水時に前記供給部を通過する水によって前記供給部の洗浄を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、ドラム式洗濯機の外観を示す斜視図
【
図8】第2の実施形態を示すもので、第1給水経路を示す要部の上面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)第1の実施形態
以下、乾燥機能も有するドラム式の洗濯機(洗濯乾燥機)に適用した第1の実施形態について、
図1~
図7を参照しながら説明する。
図1、
図2は、本実施形態に係る洗濯機としてのドラム式洗濯機の上部の外観を示している。また、
図3、
図4は、ドラム式洗濯機の外箱を取外した水槽の外観構成を示している。
【0008】
ここで、ドラム式洗濯機の本体(外箱)1は、ほぼ矩形箱状をなし、本体1の前面部には、ほぼ中央部に位置して、衣類が出し入れされる円形状の出入口2が設けられていると共に、その出入口2を開閉するため扉3が開閉可能に取付けられている。本体1の上面部の前部右部には、電源スイッチ4や操作パネル5が設けられている。本体1内には、
図3及び
図4に示すように、前面が開口したほぼ円筒状をなし前記出入口2に連通し洗濯水が溜められる水槽6が、弾性支持機構(図示せず)を介して弾性的に支持されて設けられている。
【0009】
詳しく図示はしないが、前記水槽6内には、衣類が収容される収容槽としてのドラムが設けられる。このドラムは、前記水槽6よりもやや径小な円筒状をなし、その背面側中心部が、ドラムモータ等からなる駆動機構に接続されて回転駆動されるようになっている。また、本体1内には、水槽6の上部左側に位置して該水槽6内への給水を行うための給水機構7が設けられている。この給水機構7については後述する。図示はしないが、水槽6の後部の底部には排水口が設けられていて、この排水口に、排水弁を介して排水管が接続されている。
【0010】
尚、これも図示はしないが、前記本体1内には、前記水槽6(ドラム)内に、乾燥用の温風を循環供給するための乾燥機構が設けられる。この乾燥機構は、水槽6の上面右寄り部位の排気口8(
図3参照)から、水槽6の背面部の左寄り部位の給気口まで水槽6の外部において風路を形成する乾燥風循環ダクトを備えると共に、その途中部に、循環風の除湿及び加熱を行って乾燥風を生成するヒートポンプ及び送風装置を備えて構成されている。前記乾燥風循環ダクトのうち、排気口8から本体1内の上部の右側辺部を後方に向けて延びる部分に、乾燥風からリントを捕獲するためのフィルタユニット9(
図1、
図2参照)が出し入れ可能に設けられている。
【0011】
さて、前記給水機構7について、
図5~
図7も参照して述べる。
図3~
図7に示すように、給水機構7は、本体1内の左側上部の後部に設けられた給水弁ユニット10、本体1内の左側上部の前部に設けられた洗剤自動投入装置11、それらの中間に設けられた注水ケース12及び手動用収容ケース13、給水弁ユニット10から注水ケース12につながるメイン給水経路14、注水ケース12から水槽6内に給水を行うための給水ダクト15等を備えている。尚、本実施形態では、洗剤(液体及び粉末)並びに柔軟剤(ソフター)を、自動及び手動で水槽6内に供給可能な構成となっている。
【0012】
図5、
図6等に示すように、前記給水弁ユニット10は、フレーム10aに、電磁的に開閉動作するメイン給水弁16及び柔軟剤用給水弁17を左右に組付けて構成されている。また、給水弁ユニット10には、メイン給水弁16の下側に位置してダクト洗浄用給水弁18(
図7参照)も設けられている。
図2にも示すように、給水弁ユニット10の上部には、接続口19が本体1の上面に露出するように設けられ、この接続口19に、給水源としての水道の蛇口が接続される。接続口19は、下方で2つに分岐してメイン給水弁16の入口部及び柔軟剤用給水弁17の入口部に夫々接続されている。
【0013】
図5に示すように、メイン給水弁16の出口部が、前記メイン給水経路14の入口部に接続され、柔軟剤用給水弁17の出口部が、柔軟剤用給水経路20の入口部に接続されている。これらメイン給水経路14及び柔軟剤用給水経路20については、後述する。尚、給水弁ユニット10の右側には、風呂の残り湯等を汲み上げるための給水ポンプ21が組込まれている。また、前記ダクト洗浄用給水弁18は、前記乾燥風循環ダクトの一部(排気口8の近傍)を水洗いするためのものである。
【0014】
前記注水ケース12は、プラスチックから、上面から見てやや横長な矩形箱状に構成され、その上面部に、前記手動用収容ケース13が載置状に設けられている。
図4、
図7に示すように、注水ケース12の下端部には、前記給水ダクト15の基端部である上端部が接続され、給水ダクト15の先端部である下端部が、前記水槽6の給水口に接続されている。
【0015】
前記手動用収容ケース13は、
図5等に示すように、プラスチックから構成され、共に上面が開放した薄型容器状をなす手動用洗剤収容部13aと、手動用柔軟剤収容部13bとを、右左に並んで一体的に有している。手動用洗剤収容部13aには、例えば1回分の洗剤(粉末洗剤)が収容され、手動用柔軟剤収容部13bには、ソフターと称される1回分の柔軟仕上剤(以下単に「柔軟剤」と称する)が必要に応じて収容される。この場合、手動用洗剤収容部13aの方が、手動用柔軟剤収容部13bよりも大きく、つまり横幅が広くて容量が大きくなるように構成されている。
【0016】
図1、
図2に示すように、本体1の上面には、前記手動用収容ケース13の上面に対応した開口が設けられると共に、その開口を開閉するための蓋22が開閉操作可能に設けられている。ユーザは、蓋22を開放させ、手作業で洗濯1回分の洗剤や柔軟剤を収容させるようになっている。このとき、
図5に示すように、手動用洗剤収容部13aの上部前端部に、注水口23が設けられ、手動用柔軟剤収容部13bの上部後端部に、柔軟剤用注水口24が設けられている。また、詳しく図示はしないが、これら手動用洗剤収容部13a及び手動用柔軟剤収容部13bの底部には、注水ケース12に排水するための排出穴が設けられている。
【0017】
前記メイン給水経路14は、
図5~
図7に示すように、メイン給水弁16の出口部から、注水ケース12の左側部を通るようにてしてほぼ水平に前方に延び、注水ケース12を通り過ぎたところで下方にほぼ直角に折曲がり、その下端部で右方にほぼ直角に折曲がる。そして、注水ケース12の前面側下部を右方に延びその右端部でほぼ直角に折曲って上方に延び、前記注水口23につながるように構成されている。尚、メイン給水経路14のうち注水口23につながる上昇部分は、他の部分よりも断面積が小さく構成され、水圧によって給水が注水口23まで上昇するように構成されている。
【0018】
これにて、
図5~
図7に太矢印で示すように、メイン給水弁16が開放されると、前記接続口19から供給された水道水が、メイン給水経路14に流入し、前方に流れたのち下方に向けて流れ、さらに注水ケース12の前部下部を右方向に流れ、上昇した後注水口23から手動用洗剤収容部13a内に供給される。手動用洗剤収容部13aに供給された水は、そのまま、或いは手動用洗剤収容部13a内に洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら、下方の注水ケース12内に流れ、注水ケース12から給水ダクト15を通って水槽6内に供給される。
【0019】
このとき、
図5、
図6に示すように、前記メイン給水経路14のうち、注水ケース12の前部下側を左から右に延びる部分の中央部が、洗剤自動投入装置11の洗剤供給部25とされている。従って、洗剤供給部25は、メイン給水経路14の上流側に設けられ、手動用洗剤収容部13aはそれより下流側に設けられている。後述するように、洗剤供給部25には、洗剤自動投入装置11により、所要量の洗剤或いは柔軟剤が自動で供給されるようになっている。
【0020】
また、
図5に示すように、前記柔軟剤用給水経路20は、前記柔軟剤用給水弁17の出口部から前方に延び、その後上昇して柔軟剤用注水口24に接続されている。これにて、
図5に白抜きの矢印で示すように、柔軟剤用給水弁17が開放されると、接続口19から供給された水道水が、柔軟剤用給水経路20を通って柔軟剤用注水口24から手動用柔軟剤収容部13bに供給される。手動用柔軟剤収容部13bに供給された水は、収容されている柔軟剤を溶かしながら、下方の注水ケース12内に流れ、注水ケース12から給水ダクト15を通って水槽6内に供給される。
【0021】
尚、本実施形態では、
図7に示すように、注水口23の高さ位置A、メイン給水弁16の出口の高さ位置B、メイン給水経路14の下部(洗剤供給部25)の高さ位置Cとの関係は、高さ位置Aが最も高く、高さ位置B、高さ位置Cの順となる。また、本実施形態では、メイン給水経路14の最低部分には、水抜き経路26が設けられている。
図6、
図7に示すように、水抜き経路26は、例えば、メイン給水経路14左端底部と注水ケース12の下部とをつなぐ細い管路として設けられ、これにより、メイン給水弁16の閉塞時に、メイン給水経路14内に水が溜まらないように構成されている。
【0022】
前記洗剤自動投入装置11は、
図2~
図4に示すように、本体1に対して、前面側から出し入れ可能に設けられた引出し式のタンクケース27と、その後部に配置されるポンプ28とを備えている。タンクケース27は、上面が開放した前後に長い矩形箱状をなし、本体1内の左上部に前後方向にスライド移動自在に支持されている。タンクケース27の前面には、手掛け部29aを有する前扉29が設けられている。タンクケース27は、前扉29が本体1内の前面左上部の開口部を閉塞する収納位置(
図1等参照)と、その収納位置から前方に引き出された引出し位置(
図2参照)との間で出し入れ可能とされている。
【0023】
前記タンクケース27内には、洗剤タンク30と柔軟剤タンク31とが、左右に並んで取り外し可能に設けられている。詳しく図示はしないが、これら洗剤タンク30及び柔軟剤タンク31は、共に前後方向に細長いタンク状をなし、ユーザが蓋を開けて洗剤、柔軟剤を補充することができるように構成されている。この場合、洗剤タンク30内には、複数回分の洗濯に使用可能な液体洗剤が収容され、柔軟剤タンク31内には、複数回分の洗濯に使用可能な柔軟仕上剤が収容される。
【0024】
詳しく図示はしないが、前記ポンプ28は、2組の吸入口及び吐出口28a(
図6参照)を有しており、モータを駆動源として構成されている。このポンプ28は、モータの回転方向(通電方向)の切替により、液体を吸い込む吸入口及び吐出する吐出口28aを切替える構成とされている。このとき、一方の吸入口が洗剤タンク30側に接続され、モータの一方向の回転により洗剤を汲み上げて一方の吐出口28aから吐出するように構成されている。他方の吸入口が柔軟剤タンク31側に接続され、モータの他方向の回転により柔軟剤を汲み上げ、他方の吐出口28aから吐出するように構成されている。このポンプ28の2個の吐出口28aは、
図5~
図7にも示すように、メイン給水経路14の洗剤供給部25の上方に左右に配置されている。また、ポンプ28の駆動時間によって、洗剤や柔軟剤の吐出量、即ち洗剤供給部25への供給量が制御される。
【0025】
これにて、洗剤自動投入装置11は、ポンプ28の駆動により、洗剤タンク30内に収容されていた洗剤を、所要量だけ洗剤供給部25に供給することができ、また、柔軟剤タンク31内に収容されていた柔軟剤を、所要量だけ洗剤供給部25に供給することができる。ポンプ28の吐出口28aがメイン給水経路14に接続されていることで、洗剤の供給経路が全体的に短くなり、また、供給経路内での洗剤の固着も防止できる。このとき、洗剤供給部25に、洗剤或いは柔軟剤が供給されている状態で、前記メイン給水弁16がオンされてメイン給水経路14に給水がなされると、その水は洗剤供給部25において洗剤或いは柔軟剤を溶かしながら流れる。給水により吐出口28aを洗い流すことができるので、洗剤が吐出口28a部分で固着することも防止できる。そして、洗剤或いは柔軟剤は給水と共に注水口23から手動用洗剤収容部13aに供給され、更に注水ケース12から給水ダクト15を通って水槽6内に供給される。
【0026】
図示はしないが、本体1内には、例えばマイクロコンピュータを主体に構成され、洗濯機全体の制御を行う制御装置が設けられている。制御装置は、操作パネル5においてユーザにより設定される運転コースに応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、前記給水弁ユニット10の各給水弁16、17、18、洗剤自動投入装置11のポンプ28、ドラムモータ、排水弁、乾燥機構等を制御する。これにて、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転や、乾燥運転を自動で実行する。これら洗濯運転や乾燥運転の各行程の詳細については、周知であるのでここでは説明を省略する。
【0027】
本実施形態では、ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、洗剤自動投入装置11により自動で洗剤及び柔軟剤を投入するか、或いは、手動用収容ケース13を用いて手動で1回分の洗剤や柔軟剤を投入するかを、操作パネル5上で選択操作できるようになっている。ユーザは、手動での投入を選択した場合には、洗濯運転開始時に、予め、蓋22を開放して手動用収容ケース13の手動用洗剤収容部13aに必要量の洗剤(粉末洗剤)を収容しておく。また柔軟剤を用いる場合には、上記と併せて、手動用柔軟剤収容部13bに所要量の柔軟剤を投入しておく。
【0028】
制御装置は、洗剤及び柔軟剤の自動投入が選択されている場合には、洗い行程の給水開始前に、洗剤自動投入装置11により所要量の洗剤を洗剤供給部25に供給し、その後、メイン給水弁16をオンして給水を実行する。また、最終のためすすぎ行程の前に、洗剤自動投入装置11により所要量の柔軟剤を洗剤供給部25に供給しておき、その後、メイン給水弁16を開放して給水を行う。これに対し、洗剤及び柔軟剤の手動での投入が選択されている場合には、洗剤自動投入装置11を動作させることなく、メイン給水弁16により洗い行程の給水を実行する。そして、最終のためすすぎ行程の給水時には、メイン給水弁16でなく柔軟剤用給水弁17を開放させて給水を行う。
【0029】
次に、上記構成の洗濯機の作用・効果について述べる。上記洗剤自動投入装置11を使用する準備として、ユーザは、洗剤タンク30内に洗剤を収容させておくと共に、柔軟剤タンク31に柔軟剤を収容させておく。タンク30、31に対する洗剤、柔軟剤の収容、補充の作業は、次のように行うことができる。即ち、ユーザは、本体1の前面の前扉29の手掛け部29aに手指を掛けて、収納位置にあるタンクケース27を手前に引き出す。タンクケース27の引出し位置で、洗剤タンク30又は柔軟剤タンク31を上方に取出し、タンク30、31に対する洗剤、柔軟剤の補充作業を行う。補充作業後、タンク30、31をタンクケース27に戻し、タンクケース27を押込んで収納位置に戻す。尚、各タンク30、31の上面に蓋を設けて、タンクケース27を引出してその蓋を開けて(タンク30、31を取出さずに)、洗剤、柔軟剤の補充作業を行うように構成することもできる。
【0030】
洗濯機において洗濯運転を実行させるにあたっては、ユーザは、電源スイッチ4を操作して電源をオンし、ドラム内に衣類を収容する。これと共に、操作パネル5により運転コースを選択する。このとき、洗剤及び柔軟剤の手動投入を選択した場合には、ユーザは、本体1上面の蓋22を開け、手動用収容ケース13の手動用洗剤収容部13aに必要量の洗剤を収容させ、手動用柔軟剤収容部13bに所要量の柔軟剤を投入し、洗濯運転をスタートさせる。洗剤及び柔軟剤の自動投入を選択した場合には、そのまま洗濯運転をスタートさせることができる。
【0031】
制御装置は、洗濯運転がスタートされると、洗濯機の各機構を制御し、周知の洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転を自動で実行する。このとき、洗い行程では、まず、水槽6内への所定水位までの給水が行われるのであるが、洗剤の自動投入が選択されている場合には、給水開始前に、洗剤自動投入装置11のポンプ28を制御することにより、洗剤供給部25に対し所要量の洗剤が供給される。給水動作においては、メイン給水弁16が開放される。
【0032】
メイン給水弁16が開放されると、
図5~
図7に太矢印で示すように、給水源(水道)からの水がメイン給水経路14を流れ、洗剤供給部25部分を通った後、上昇して注水口23から手動用収容ケース13の手動用洗剤収容部13a内に注がれる。洗剤供給部25に洗剤が自動で供給されていた場合には、その洗剤を溶かしながら流れ、手動用洗剤収容部13aから注水ケース12及び給水ダクト15を順に通って、水槽6内に洗剤を含んだ洗濯水が給水され、洗い行程が実行される。
【0033】
一方、洗剤の手動投入が選択されていた場合には、洗剤供給部25に洗剤が存在しないので、メイン給水経路14を流れる水は、洗剤供給部25部分をそのまま通過し、注水口23から手動用洗剤収容部13a内に注がれる。そして、手動用洗剤収容部13a内に予め収容されていた洗剤を溶かしながら注水ケース12に流れ、給水ダクト15を通って水槽6内に洗剤を含んだ洗濯水が給水され、洗い行程が実行される。
【0034】
この後、行程が進み、最後のためすすぎ行程の給水の前になると、洗剤の自動投入が選択されている場合には、洗剤自動投入装置11のポンプ28が駆動され、今度は洗剤供給部25に対し所要量の柔軟剤が供給される。この後、メイン給水弁16が開放され、メイン給水経路14を流れる水が、洗剤供給部25部分で柔軟剤を溶かしながら流れ、上昇して注水口23から手動用収容ケース13の手動用洗剤収容部13a内に注がれる。柔軟仕上げ剤を含んだ洗濯水が、注水ケース12及び給水ダクト15を順に通って水槽6内に給水され、最後のためすすぎ行程が実行される。
【0035】
これに対し、手動投入が選択されている場合には、最後のためすすぎ行程の給水が、メイン給水弁16ではなく、柔軟剤用給水弁17を開放させることにより行われる。柔軟剤用給水弁17の開放により、
図5に白抜き矢印で示すように、水が柔軟剤用給水経路20を流れ柔軟剤用注水口24から手動用柔軟剤収容部13b内に注がれる。そして、手動用柔軟剤収容部13b内に予め収容されていた柔軟剤を溶かしながら注水ケース12に流れ、柔軟仕上げ剤を含んだ洗濯水が、給水ダクト15を通って水槽6内に給水され、最後のためすすぎ行程が実行される。
【0036】
ここで、本実施形態では、給水機構7のうち、給水弁ユニット10(メイン給水弁16)は本体1の後部に設けられ、本体1の前部に洗剤自動投入装置11が設けられ、それらの間に、手動用収容ケース13を設ける構成としている。洗剤自動投入装置11は、本体1の上部の手前側に設けられているので、後部に配置される場合と比べて、ユーザは、洗剤タンク30、柔軟剤タンク31が取出しやすく、それらタンク30、31に対する洗剤、柔軟剤の補充作業を容易に行うことができる。特に、タンク30、31を取出して洗剤、柔軟剤の補充をした場合、タンク30、31が重くなる事情があるが、タンク30、31が手前側にあるため、装着が比較的容易となる。
【0037】
そして、給水弁ユニット10から手動用収容ケース13の手動用洗剤収容部13aまでは近いので、その間の給水経路の長さも比較的短く済み、これと共に、給水弁ユニット10のメイン給水弁16から洗剤自動投入装置11の洗剤供給部25までの位置も、比較的近く、つまり手動用収容ケース13の少し前にすることができるので、その間の給水経路の長さも短く済む。従って、メイン給水経路14の長さを全体として比較的短く済ませることができる。また、柔軟剤用給水経路20の長さも短く済ませることができる。
【0038】
この結果、本実施形態によれば、洗剤自動投入装置11を備えるものにあって、タンク30、31内への洗剤、柔軟剤の補充のための作業性を良好とすることができ、しかも、給水経路14、20を全体として比較的短く済ませることができるという優れた効果を得ることができる。このとき、本実施形態では、洗剤自動投入装置11の後端側に洗剤供給部25を配置することになり、これにより、洗剤自動投入装置11の側部(正面視で周囲)に給水経路を設けなくても良くなる。そのため、洗剤自動投入装置11をコンパクトに配置でき、言い換えると洗剤タンク30、柔軟剤タンク31の容量を大型化できることになる。
【0039】
特に本実施形態では、洗剤自動投入装置11の洗剤供給部25は、メイン給水経路14の上流側に設けられ、手動用洗剤収容部13aは、それより下流側に設けられている。これにより、メイン給水経路14を、洗剤自動投入装置11及び手動用洗剤収容部13aに対して共用化することができて、メイン給水弁16も共用化して、給水経路の切り替えのための機構を不要とすることができる。従って、大幅な構成の簡単化や、制御の簡単化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0040】
また、手動用洗剤収容部13aを用いる場合でも、給水が洗剤供給部25を通過するようになり、これと共に、洗剤自動投入装置11を用いる場合でも、給水が手動用洗剤収容部13aを通過するようになる。これにより、毎回の給水時に、洗剤供給部25及び手動用洗剤収容部13aの洗浄を行うことができる。
【0041】
本実施形態では、洗剤自動投入装置11の洗剤供給部25は、メイン給水弁16の高さよりも低い位置にあり、メイン給水経路14は、洗剤供給部25の下流で上昇して手動用洗剤収容部13aの上方の注水口23からから注水するように構成されている。これにより、メイン給水経路14のうち洗剤供給部25部分は、メイン給水弁16の出口部の位置よりも低い位置にあるので、メイン給水弁16に対する水の逆流を防止することができる。また、メイン給水経路14は、洗剤供給部25の下流で上昇して手動用洗剤収容部13aの上方から注水するように構成されているので、手動用洗剤収容部13aにおいて上方から勢い良く水を注ぐことができ、手動用洗剤収容部13a内の粉末洗剤を効果的に流す、つまり流し残りなく流出させることが可能となる。
【0042】
更に本実施形態では、メイン給水経路14のうち最低部分には、メイン給水弁16の停止時に水を抜くための水抜き経路26を設けるようにした。メイン給水弁16の停止時には、メイン給水経路14のうちメイン給水弁16の出口部から洗剤供給部25部分にかけて水が溜まることが考えられるが、水抜き経路26を設けたことにより、その部分に水が溜まったままとなることを未然に防止することができる。水が溜まったままとなることを防止することで、給水経路内での水の凍結を防止することができる。
【0043】
(2)第2の実施形態、その他の実施形態
次に、
図8~
図14を参照して、第2の実施形態について述べる。尚、上記第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して新たな図示や詳しい説明を省略し、第1の実施形態と異なる点を中心に述べる。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、給水機構41の構成にあり、給水弁を設ける数や、給水経路の具体的構成が上記第1の実施形態と異なっている。
【0044】
即ち、給水機構41は、本体1内の左側上部の後部に設けられた給水弁ユニット42、本体1内の左側上部の前部に設けられた洗剤自動投入装置11、それらの中間に設けられた注水ケース12及び手動用収容ケース43、給水弁ユニット42から注水ケース12につながる後述する3つの給水経路44、45、46、注水ケース12から水槽6内に給水を行うための給水ダクト15等を備えている。
【0045】
図10等に示すように、前記給水弁ユニット42は、フレーム42aに、電磁的に開閉動作する自動用給水弁47、手動用給水弁48、手動柔軟剤用給水弁49、ダクト洗浄用給水弁18を備えている。詳しく図示はしないが、給水源としての水道が接続される接続口は、4つに分岐し、各給水弁47、48、49,18の入口部に夫々接続されている。
図8、
図9に示すように、自動用給水弁47の出口部が、第1給水経路44の入口部に接続され、手動用給水弁48の出口部が、第2給水経路45の入口部に接続されている。手動柔軟剤用給水弁49の出口部が、柔軟剤用給水経路46の入口部に接続されている。
【0046】
前記手動用収容ケース43は、注水ケース12の上面に載置状に設けられており、やはり、1回分の洗剤(粉末洗剤)が収容される手動用洗剤収容部43aと、1回分の柔軟剤が必要に応じて収容される手動用柔軟剤収容部43bとを、右左に並んで一体的に有している。このとき、
図9に示すように、手動用洗剤収容部43aの上部後端部に、洗剤用注水口50が設けられ、手動用柔軟剤収容部43bの上部後端部に、柔軟剤用注水口51が設けられている。
【0047】
前記第1給水経路44は、
図8、
図11に示すように、自動用給水弁47の出口部から前方に延びた後、注水ケース12の左側部を通るようにてしてほぼ水平に前方に延び、注水ケース12を通り過ぎたところで下方にほぼ直角に折曲がり、その下端部で右方にほぼ直角に折曲がる。そして、注水ケース12の前面側下部を右方に延びその右端部で注水ケース12内に接続されている。このとき、第1給水経路44のうち、注水ケース12の前部下側を左から右に延びる部分の中央部が、洗剤自動投入装置11の洗剤供給部25とされている。
【0048】
前記第2給水経路45は、
図9、
図12に示すように、手動用給水弁48の出口部から右方に延びた後、直角に折曲がって水平に前方に延び、注水ケース12の後部でほぼ直角に折曲って上方に延び、前記洗剤用注水口50につながるように構成されている。前記柔軟剤用給水経路46は、
図8に示すように、手動柔軟剤用給水弁49の出口部から前方に延び、注水ケース12の後部でほぼ直角に折曲って上方に延び、前記柔軟剤用注水口51につながるように構成されている。
【0049】
これにて、自動用給水弁47が開放されると、
図8、
図11に太矢印で示すように、給水源(水道)からの水が第1給水経路44を通り、洗剤供給部25に洗剤又は柔軟剤が供給されている場合には、その洗剤又は柔軟剤を溶かしながら流れ、注水ケース12、給水ダクト15を順に通って水槽6内に供給される。従って、洗剤の自動投入が選択されている場合には、洗剤自動投入装置11の制御及び自動用給水弁47の制御により、給水と共に自動で洗剤や柔軟剤が水槽6内に投入される。
【0050】
これに対し、前記手動用給水弁48が開放されると、
図9、
図12に細い矢印で示すように、給水源(水道)からの水が第2給水経路45を通り、手動用洗剤収容部43aに対し、上方の洗剤用注水口50から勢い良く水が注がれる。手動用洗剤収容部43aに洗剤(粉末洗剤)が収容されている場合には、その洗剤を溶かしながら注水ケース12内に落下し、給水ダクト15を通って水槽6内に供給される。
【0051】
また、前記手動柔軟剤用給水弁49が開放されると、
図8に白抜きの矢印で示すように、柔軟剤用給水経路46を通って柔軟剤用注水口51から手動用柔軟剤収容部43bに供給される。手動用柔軟剤収容部43bに供給された水は、収容されている柔軟剤を溶かしながら、下方の注水ケース12内に流れ、給水ダクト15を通って水槽6内に供給される。従って、洗剤の手動投入が選択されている場合には、それら手動用給水弁48及び手動柔軟剤用給水弁49が制御されることにより、手動用収容ケース43内にユーザが投入しておいた洗剤や柔軟剤を、適切なタイミングで給水と共に水槽6内に供給することができる。
【0052】
このような第2の実施形態によれば、本体1の前部に洗剤自動投入装置11を配置し、手動用収容ケース43をその後部に配置したので、上記第1の実施形態と同様に、ユーザは、洗剤タンク30、柔軟剤タンク31が取出しやすく、それらタンク30、31に対する洗剤、柔軟剤の補充作業を容易に行うことができる。また、洗剤自動投入装置11の側部(正面視で周囲)に給水経路を設けなくても良いので、洗剤自動投入装置11をコンパクトに配置でき、言い換えると洗剤タンク30、柔軟剤タンク31の容量を大型化することができる。
【0053】
そしてこのとき、自動用給水弁47と洗剤供給部25との間の第1給水経路44、及び、手動用給水弁48と手動用洗剤収容部43aとの間の第2給水経路45を、夫々、短い距離でつなぐことができ、構成の簡単化や省スペース化を図ることができる。また、洗剤供給部25及び手動用洗剤収容部43aの夫々において、最適な形態、つまり洗剤残りのない状態で洗剤を流すことができる。
【0054】
更に、詳しく述べなかったが、この第2の実施形態の構成においては、水槽6への給水時に、自動用給水弁47と手動用給水弁48とを同時に開放させる制御も可能となる。これにより、水槽6に対する単位時間当たりの給水量を増加させることができ、給水に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0055】
尚、上記した各実施形態に限定されるものではなく、例えば洗剤自動投入装置の構成としても、次のような変更が可能である。即ち、洗剤の移送に用いるポンプとしてピストンポンプを採用したものであっても良く、また電磁弁の開閉によって洗剤を供給するもの等でも良い。洗剤タンク30等を前方に引出して取出す構成のものとしたが、洗剤タンクを上方に取出す構成であっても良く、洗剤タンクを固定式にして蓋を開けて洗剤を注ぎ入れて補充するものであっても良い。洗剤タンク30と柔軟剤タンク31とを備える構成としたが、洗剤のみを自動で供給する構成としても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、乾燥機能付きのドラム式洗濯機に適用するようにしたが、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用することもでき、また乾燥機能を備えていない洗濯機であっても良い。第1の実施形態における、水抜き経路26は、必要に応じて設ければ良く、水抜き経路の他端部を、給水ダクト15の途中部に接続したり、水槽6に直接的に接続したりしても良い。手動用収容ケースの形状や構造、給水経路の構成等についても、様々な変更が可能である。
【0057】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
13…手動用収容ケース、13a…手動用洗剤収容部、手動用収容部、13b…手動用柔軟剤収容部、手動用収容部、14…メイン給水経路、給水経路、16…メイン給水弁、給水弁、17…柔軟剤用給水弁、給水弁、20…柔軟剤用給水経路、給水経路、23…注水口、24…柔軟剤用注水口、25…洗剤供給部、供給部、27…タンクケース、30…洗剤タンク、タンク、31…柔軟剤タンク、タンク、43…手動用収容ケース、43a…手動用洗剤収容部、手動用収容部、43b…動用柔軟剤収容部、手動用収容部、44…第1給水経路、給水経路、45…第2給水経路、給水経路、46…柔軟剤用給水経路、給水経路、47…自動用給水弁、給水弁、48…手動用給水弁、給水弁、49…手動柔軟剤用給水弁、給水弁、50…洗剤用注水口、注水口、51…柔軟剤用注水口、注水口