(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】信号処理装置および信号処理方法
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20241112BHJP
G06N 3/094 20230101ALI20241112BHJP
H03M 13/37 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L1/00 A
G06N3/094
H03M13/37
(21)【出願番号】P 2024034517
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
G06N 3/094
H03M 13/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された長さのデータ列である伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定するように構成された設定部と、
前記正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似信号と前記正常信号とを識別する識別器とを有する機械学習モデルを学習するように構成された学習部と、
前記学習部の学習によって最適化された前記機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された前記伝送信号を装置が受信した場合の前記正常信号と前記疑似信号との間の誤り率を抑制させるための
、前記伝送信号に対する判定しきい値
の電圧値を決定するように構成された決定部と、
決定された前記
判定しきい値
の電圧値を、前記伝送信号を受信する前記装置に通知するように構成された通知部と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号処理装置において、
前記決定部は、前記機械学習モデルの目的関数が示す、前記識別器が前記正常信号を正常信号であると識別する第1期待値と、前記生成器により生成された前記疑似信号を前記識別器が疑似信号であると識別する第2期待値とに基づいて前記
判定しきい値
の電圧値を設定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号処理装置において、
前記学習部は、前記設定部により設定された前記正常信号のデータ列の各パターンに対して、データ列のパターンが互いに異なる前記疑似信号を前記生成器が生成するまで、前記第1期待値の値を調整し、前記生成器と前記識別器とを敵対的に学習させる
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の信号処理装置において、
さらに、前記雑音の分散を前記装置から収集するように構成された収集部を備え、
前記決定部は、収集部によって収集された前記分散と、前記第1期待値と、前記第2期待値とに基づいて、前記
判定しきい値
の電圧値を決定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定する設定ステップと、
前記正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似信号と前記正常信号とを識別する識別器とを有する機械学習モデルを学習する学習ステップと、
前記学習ステップでの学習によって最適化された前記機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された前記伝送信号を装置が受信した場合の前記正常信号と前記疑似信号との間の誤り率を抑制させるための
、前記伝送信号に対する判定しきい値
の電圧値を決定する決定ステップと、
決定された前記
判定しきい値
の電圧値を、前記伝送信号を受信する前記装置に通知する通知ステップと
を備える信号処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の信号処理方法において、
前記決定ステップは、前記機械学習モデルの目的関数が示す、前記識別器が前記正常信号を正常信号であると識別する第1期待値と、前記生成器により生成された前記疑似信号を前記識別器が疑似信号であると識別する第2期待値とに基づいて前記
判定しきい値
の電圧値を設定する
ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の信号処理方法において、
前記学習ステップは、前記設定ステップで設定された前記正常信号のデータ列の各パターンに対して、データ列のパターンが互いに異なる前記疑似信号を前記生成器が生成するまで、前記第1期待値の値を調整し、前記生成器と前記識別器とを敵対的に学習させる
ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項8】
請求項6に記載の信号処理方法において、
さらに、前記雑音の分散を前記装置から収集する収集ステップを備え、
前記決定ステップは、収集ステップで収集された前記分散と、前記第1期待値と、前記第2期待値とに基づいて、前記
判定しきい値
の電圧値を決定する
ことを特徴とする信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置および信号処理方法に関し、特に、雑音が付加された伝送信号の処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、信号を伝送する際に発生する雑音に起因する信号の誤りを訂正する技術が知られている。特許文献1は、送信側でデータに対して誤り訂正用符号化を行い、受信側でその符号化に応じて誤り訂正を行うことで、伝送特性におけるデータ誤りの低減を図る技術を開示している。また、誤り訂正方法としては、例えば、ハミング符号、BCH符号等が知られている。
【0003】
しかし、従来の誤り訂正技術のうちデータの伝送時に冗長ビットをデータに付加する方法では、冗長ビットの付加にともない通信量が増大する問題があった。さらに、誤り訂正を行う処理負担が大きい点も問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許7241851号公報
【文献】特開2013-038676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、より簡易に信号の誤り率を低減させることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より簡易に信号の誤り率を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る信号処理装置は、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定するように構成された設定部と、前記正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似信号と前記正常信号とを識別する識別器とを有する機械学習モデルを学習するように構成された学習部と、前記学習部の学習によって最適化された前記機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された前記伝送信号における前記正常信号と前記疑似信号と間の誤り率を抑制させるためのしきい値を決定するように構成された決定部と、決定された前記しきい値を、前記伝送信号を受信する装置に通知するように構成された通知部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る信号処理装置において、前記決定部は、前記機械学習モデルの目的関数が示す、前記識別器が前記正常信号を正常信号であると識別する第1期待値と、前記生成器により生成された前記疑似信号を前記識別器が疑似信号であると識別する第2期待値とに基づいて前記しきい値を設定してもよい。
【0009】
また、本発明に係る信号処理装置において、前記学習部は、前記設定部により設定された前記正常信号のデータ列の各パターンに対して、データ列のパターンが互いに異なる前記疑似信号を前記生成器が生成するまで、前記第1期待値の値を調整し、前記生成器と前記識別器とを敵対的に学習してもよい。
【0010】
また、本発明に係る信号処理装置において、さらに、前記雑音の分散を前記装置から収集するように構成された収集部を備え、前記決定部は、収集部によって収集された前記分散と、前記第1期待値と、前記第2期待値とに基づいて、前記しきい値を決定してもよい。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る信号処理方法は、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定する設定ステップと、前記正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似信号と前記正常信号とを識別する識別器とを有する機械学習モデルを学習する学習ステップと、前記学習ステップでの学習によって最適化された前記機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された前記伝送信号における前記正常信号と前記疑似信号と間の誤り率を抑制するためのしきい値を決定する決定ステップと、決定された前記しきい値を、前記伝送信号を受信する装置に通知する通知ステップとを備える。
【0012】
また、本発明に係る信号処理方法において、前記決定ステップは、前記機械学習モデルの目的関数が示す、前記識別器が前記正常信号を正常信号であると識別する第1期待値と、前記生成器により生成された前記疑似信号を前記識別器が疑似信号であると識別する第2期待値とに基づいて前記しきい値を設定してもよい。
【0013】
また、本発明に係る信号処理方法において、前記学習ステップは、前記設定ステップで設定された前記正常信号のデータ列の各パターンに対して、データ列のパターンが互いに異なる前記疑似信号を前記生成器が生成するまで、前記第1期待値の値を調整し、前記生成器と前記識別器とを敵対的に学習させてもよい。
【0014】
また、本発明に係る信号処理方法において、さらに、前記雑音の分散を前記装置から収集する収集ステップを備え、前記決定ステップは、収集ステップで収集された前記分散と、前記第1期待値と、前記第2期待値とに基づいて、前記しきい値を決定してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、学習部の学習によって最適化された機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された伝送信号における正常信号と疑似信号との間の誤り率を抑制させるためのしきい値を決定する。そのため、より簡易に信号の誤り率を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る信号処理装置を含む信号処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る信号処理装置が備える学習部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る信号処理装置が備える学習部を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る信号処理装置が備える学習部を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る信号処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る信号処理システムの動作の概要を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る信号処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図7を参照して詳細に説明する。
【0018】
[信号処理システムの構成]
まず、本発明の実施の形態に係る信号処理装置1を備える信号処理システムの概要について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る信号処理装置1を備える信号処理システムの構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施の形態に係る信号処理システムは、例えば、無線区間の通信路Lおよび有線区間の通信路Cを有する通信ネットワークに設けられる。信号処理システムは、
図1に示すように、信号処理装置1、通信端末2、基地局3、およびコア装置4を備える。信号処理装置1と基地局3およびコア装置4とはそれぞれLAN、WAN、インターネットなどのネットワークNWで接続されている。通信端末2と基地局3との間には、無線区間の通信路Lが配設され、基地局3とコア装置4との間には有線区間の通信路Cが配設されている。
【0020】
通信端末2は、スマートホン、タブレット端末などのユーザ端末であり、在圏する通信エリアの基地局3と、無線区間の通信路Lを介した無線通信を行う。通信端末2は、基地局3を介して、コア装置4に通信を行う。
【0021】
基地局3は、LTE、5G、6Gなどの所定の通信規格に準拠した基地局であり、通信端末2との通信の確立や、通信端末2へのデータの伝送等を無線通信により行う。また、基地局3は、バックホールリンクなどの有線区間の通信路Cを介して、コア装置4と通信を行い、データや制御情報をやり取りする。基地局3は、信号処理装置1と通信を行うための図示されない通信インターフェースを持つ。
【0022】
コア装置4は、LTE、5G、6Gなどの所定の通信規格に準拠したコアネットワークに設けられる装置である。例えば、5G通信ネットワークの場合には、U-plane内のUPF(User Plane Function)や、C-plane内のUDR(Unified Data Repository)などが含まれる。コア装置4は、信号処理装置1との通信を行うための図示されない通信インターフェースを持つ。
【0023】
通信端末2と基地局3との間の無線区間の通信路Lで発生する雑音により、例えば、通信端末2が送信したデジタル信号の伝送信号が受信側の基地局3で復号される際に符号誤りが発生する場合がある。また、基地局3とコア装置4との間の有線区間の通信路Cで発生する雑音により、例えば、基地局3が送信したデジタル信号の伝送信号が受信側のコア装置4で復号される際に符号誤りが発生する場合がある。通信路L、Cで発生する雑音は、特に、正規分布にしたがうガウス雑音である。
【0024】
ここで、伝送信号の誤り率を改善するために、最尤検波(Maximum Likelihood Detection:MLD)を用いて、受信された伝送信号について最も確からしい信号を判定し、最尤判定に基づいて信号分離を行う方法が知られている(特許文献2参照)。最尤検波あるいは最大尤度検波と呼ばれるこの手法は、受信信号のレプリカを、取りうる全ての送信シンボルの組み合わせに対して作成し、受信信号と比較した上で最も確からしいものを送信されているものとして判定する。
【0025】
最尤検波において、二値表現のデジタル信号にガウス雑音が付加した場合に、符号誤り率を最小にする適切なしきい値ρ
0は、次式(1)で表される。
【数1】
【0026】
上式(1)において、S0は0、S1は1を示し、σ2はガウス雑音の分散、P[S0]はS0=0の確率、P[S1]はS1=1の確率を示す。上式(1)で表されるしきい値ρ0は、例えば、二値信号の誤り率を最小にするマッチドフィルタに適用されることが知られている。
【0027】
本実施の形態に係る信号処理システムでは、上式(1)のしきい値ρ0を、伝送信号における正常信号と疑似信号との間の誤り率を抑制させる、すなわち誤り率を最小とするためのしきい値ρ0’として適用する。正常信号とは、例えば、通信端末2から基地局3に送信される、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列をいう。例えば、3ビット長の二値のデジタル信号の伝送信号の場合、23通りのデータ列の正常信号が存在する。一方、疑似信号とは、正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である。正常信号は、符号誤りを含まないデータ列であり、疑似信号とは、ガウス雑音の付加により、正常信号のデータ列に対して符号誤りが生じた場合のデータ列に相当する。
【0028】
例えば、23通りのデータ列のパターンの正常信号の場合には、000,001,010,011,100,101,110,111の8パターンのデータ列が正常信号として定義される。これに対して、例えば、8パターンの正常信号うちのデータ列111に対する疑似信号は、111以外のデータ列であり、例えば、000,001,010,011,100,101,110のいずれかが正常信号に係るデータ列111に対する疑似信号となりうる。
【0029】
伝送信号における正常信号と疑似信号との間の誤り率を最小とするためのしきい値ρ
0’は、上式(1)に基づき、次式(2)で表される。
【数2】
【0030】
上式(2)において、S0は0、すなわち疑似信号を示し、S1は1、すなわち正常信号を示し、σ2はガウス雑音の分散を示す。ED(x)=1は後述のGAN(敵対的生成ネットワーク)の学習を行う学習部12が備える識別器122が正常信号を正常信号(いわゆる本物データ)であると識別する期待値(第1期待値)、ED(x)=0は後述の学習部12が有する識別器122が疑似信号を疑似信号(いわゆる偽物データ)であると識別する期待値(第2期待値)を示す。
【0031】
このように、本実施の形態に係る信号処理システムは、上式(2)を用いて正常信号と疑似信号との間の誤り率を抑制させるためのしきい値ρ0’を決定する。すなわち、基地局3は、無線区間に係る通信路Lおよび基地局3が含まれる通信環境で発生した固有のガウス雑音が付加された伝送信号に対する判定しきい値として、決定されたしきい値ρ0’を採用することができる。したがって、受信側の基地局3での伝送信号の復号の際に、正常信号と疑似信号との間の誤り率を最小とすることができる。有線区間の通信路Cおよびコア装置4を含む通信環境で発生した固有のガウス雑音が付加された伝送信号の場合においても同様である。
【0032】
[信号処理装置の機能ブロック]
図1に示すように、信号処理装置1は、設定部10、収集部11、学習部12、決定部13、記憶部14、および通知部15を備える。
【0033】
設定部10は、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定する。具体的には、設定部10は、n(nは2以上の整数)個のデータ列の場合に、2n通り全てのデータ列の各々を正常信号として設定する。前述したように、3ビット長のデータ列の場合には、8通りのデータ列の各々が正常信号として設定される。
【0034】
収集部11は、雑音の分散を装置から収集する。具体的には、収集部11は、しきい値ρ0’を求める対象の基地局3またはコア装置4から、ガウス雑音の分散σ2を収集する。ガウス雑音の分散σ2は、基地局3およびコア装置4の各々でパイロット信号の電圧値のゆがみから算出された値が用いられる。
【0035】
学習部12は、生成器121および識別器122を有するGANを敵対的に学習させる。より詳細には、学習部12は、正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器121と、生成器121によって生成された疑似信号と正常信号とを識別する識別器122とを有するGAN(機械学習モデル)を学習する。
【0036】
図3および
図4は、学習部12が用いるGANの生成器121および識別器122のニューラルネットワーク構成を模式的に表した図である。
図3に示すように、生成器121は、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークで構成される。生成器121は、ランダムな雑音から疑似信号を生成するモデルである。生成器121の入力ノードには、ガウス雑音のベクトルがランダムにm個サンプルされて入力される(z
1~z
m)。生成器121は、入力と重みパラメータの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を経て出力G(z
1)~G(z
n)を出力する。
【0037】
図4に示す識別器122は、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークで構成される。
図4の例では、入力として、m個サンプルされた訓練データのデータ列x
1~x
mが与えられる。識別器122は、入力と重みパラメータの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を経て、例えば、1または0の出力を出す。識別器122は、入力された正常信号に係る訓練データを正しく正常信号と識別すると出力y=1を出力する。一方、入力された疑似信号に係る訓練データを正しく疑似信号と識別すると出力y=0を出力する。このように、識別器122は、本物データである正常信号と、生成器121が生成した偽物データの疑似信号とを正しく見分けるモデルである。
【0038】
学習部12は、設定部10により設定された正常信号のデータ列の各パターンに対して、データ列のパターンが互いに異なる疑似信号を生成器121が生成するまで、後述するGANの目的関数Eの第1期待値ED(x)=1の値を調整し、生成器121と識別器122とを敵対的に学習させる。第1期待値ED(x)=1は、識別器122が正常信号を正常信号であると識別する期待値である。
【0039】
図2は、学習部12によるGANの敵対的学習を説明するためのブロック図である。学習部12が採用するGANの生成器121を関数G、識別器122を関数Dと表す。また、正常信号である本物データをx、識別器122による出力である予測値はyと表し、正解ラベルをtと表す。正解ラベルtは、正常信号である本物データに対して1、生成器121で生成された疑似信号の偽物データに対して0と設定される。このとき、識別器122は、二値分類問題として次式(3)の交差エントロピーE
CEで表すことができる。
【0040】
【0041】
上式(3)のブレース内の第1項が表すtnlnynにおいて、識別器122の予測値ynが、正常信号の正解ラベルtn=1の値に近づくことが望ましい。一方、ブレース内の第2項が表す(1-tn)ln(1-yn)においては、識別器122の予測値ynが、疑似信号と識別する正解ラベルの値(1-tn)=0に近づくことが望ましい。このように交差エントロピーECEは、予測値が正解ラベルの値に一致している場合に最大値となる。
【0042】
ここで、GANを構成する生成器121は、パラメータw
G,θ
Gを有し、関数G(w
G,θ
G)と表す。また、識別器122は、パラメータw
D,θ
Dを有し、関数D(w
D,θ
D)と表す。上式(3)の交差エントロピーE
CEに基づいた生成器121と識別器122とを備えるGANの目的関数Eは、次式(4)で表すことができる。
【数4】
【0043】
上式(4)の第1項が表すED(x)=1lnD(wD,θD)は、識別器122が正常信号を正常信号であると識別する第1期待値である。上式(4)の第2項が表すED(x)=0ln(1-D(G(wG,θG),(wD,θD))は、生成器121により生成された疑似信号を識別器122が疑似信号であると識別する第2期待値である。GANの学習では、目的関数Eのmin-max最適化により、生成器121と識別器122とを敵対的に学習する。したがって、識別器122をだますような疑似信号を生成できるように生成器121を学習し、生成器121が生成した疑似信号を疑似信号であると識別するように識別器122を学習する。
【0044】
識別器122の学習では、正常信号が与えられた場合に、識別器122がy=1に近い出力を出すことで、上式(4)の目的関数Eの第1項を最大化する。一方、疑似信号が与えられた場合に、識別器122がy=0に近い出力を出すことで目的関数Eの第2項を最大化するように学習が行われる。
【0045】
生成器121の学習では、上式(4)のD(G(w
G,θ
G),(w
D,θ
D))(
図2のD(Gz)))が1に近くなるようなG(w
G,θ
G)(
図2のG(z))を出力する、すなわち識別器122をだますことで、目的関数Eを最小化する。学習部12は、生成器121のパラメータと識別器122のパラメータとを交互に更新する学習手順を用いる。なお、学習部12による生成器121および識別器122の学習手順の詳細は後述する。
【0046】
学習部12は、伝送信号の2nパターンのデータ列の正常信号の各々について、生成器121および識別器122の交互の学習を行う。さらに、学習部12は、2nパターンのデータ列の正常信号の各々に対して、データ列のパターンが互いに異なる疑似信号を生成器121が生成するまで、第1期待値ED(x)=1の値を調整して、生成器121と識別器122とを敵対的に学習させる。
【0047】
例えば、3ビット長の8パターンのデータ列の正常信号のうち、あるデータ列111の正常信号に対してはデータ列101の疑似信号が生成器121によって生成され、別のデータ列110の正常信号に対してもデータ列101の疑似信号が生成器121によって生成されている場合を考える。この場合、正常信号のデータ列111,110に対して生成される疑似信号が互いに異なるパターンのデータ列となるまで、学習部12は、第1期待値ED(x)=1の値を調整し、生成器121と識別器122との学習を繰り返す。したがって、疑似信号のデータ列は、互いに重複しないパターンのデータ列となる。
【0048】
学習部12は、GANの目的関数Eが最適化されると、第1期待値ED(x)=1の値、および第2期待値ED(x)=0の値を決定部13に渡す。
【0049】
決定部13は、学習部12の学習によって最適化された機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された伝送信号における正常信号と疑似信号との間の誤り率を抑制させるためのしきい値を決定する。より具体的には、決定部13は、学習部12によるGANの目的関数Eが最適化された第1期待値ED(x)=1の値、および第2期待値ED(x)=0の値を、上式(2)に代入し、正常信号と疑似信号との間の誤り率を最小にするしきい値ρ0’を算出する。また、決定部13は、処理対象の装置である基地局3またはコア装置4から収集部11が収集したガウス雑音の分散σ2を上式(2)に代入する。
【0050】
記憶部14は、GANの生成器121および識別器122のモデルに関する情報、学習部12および決定部13が用いる上式(1)~(4)を記憶する。
【0051】
通知部15は、決定されたしきい値ρ0’を、伝送信号を受信する装置である基地局3またはコア装置4に通知する。
【0052】
[信号処理装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する信号処理装置1を実現するハードウェア構成の一例について、
図5を用いて説明する。
【0053】
図5に示すように、信号処理装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。また、信号処理装置1は、バス101を介して接続される表示装置107を備えることができる。
【0054】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、
図1に示した設定部10、収集部11、学習部12、決定部13、通知部15など信号処理装置1の各機能が実現される。
【0055】
通信インターフェース104は、信号処理装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0056】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0057】
補助記憶装置105は、信号処理装置1が実行するGANの学習プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。補助記憶装置105によって、
図1で説明した記憶部14が実現される。また、補助記憶装置105は、しきい値ρ
0’を設定する対象の基地局3、コア装置4、および通信路L、Cに関する情報を記憶する領域を有する。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0058】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0059】
表示装置107は、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイなどによって構成される。表示装置107によって、通知部15を実現することも可能である。
【0060】
[信号処理装置の動作]
次に、上述した構成を有する信号処理装置1の動作を、
図6のシーケンス図および
図7フローチャートを参照して説明する。
【0061】
図6は、信号処理装置1を備える信号処理システムの動作の概要を示す動作シーケンスである。
図6の例では、しきい値ρ
0’を設定する対象の装置がコア装置4である場合を例示している。まず、コア装置4において、基地局3とコア装置4との間の有線区間の通信路Cで発生したガウス雑音の分散σ
2を測定し、信号処理装置1に送信する。信号処理装置1は、コア装置4で測定された固有のガウス雑音の分散σ
2を収集する(ステップS1)。
【0062】
次に、信号処理装置1は、GANの敵対的学習を行い、生成器121および識別器122のパラメータを最適化する(ステップS100)。ステップS100の学習処理については、後述の
図7のフローチャートで詳しく説明する。
【0063】
その後、信号処理装置1は、学習処理の結果として得られた上式(4)の目的関数Eの第1期待値ED(x)=1の値、および第2期待値ED(x)=0の値、ならびにステップS1で収集されたコア装置4に固有のガウス雑音の分散σ2に基づいて、伝送信号における正常信号と疑似信号との間の誤り率を最小にするしきい値ρ0’を決定する(ステップS13)。その後、信号処理装置1は、ステップS13で決定されたしきい値ρ0’をコア装置4に通知する(ステップS14)。
【0064】
通知を受けたコア装置4は、しきい値ρ
0’に基づいて判定しきい値の電圧値を設定する(ステップS101)。なお、
図6に示す処理は、装置ごとに行われ、例えば、基地局3が複数ある場合には、基地局3ごとにしきい値ρ
0’が決定される。同様に、コア装置4についても、UPFやUDRの各々に対してしきい値ρ
0’が決定される。
【0065】
次に
図7のフローチャートおよび
図2の学習部12のブロック図を参照して、信号処理装置1の動作を説明する。なお、
図7のステップS1、S13、S14は
図6で説明したステップS1、S13、S14と同様である。
【0066】
まず収集部11は、しきい値ρ0’を決定する対象の装置である基地局3またはコア装置4からガウス雑音の分散σ2を収集する(ステップS1)。次に、設定部10は、設定された長さのデータ列の伝送信号が有する各パターンのデータ列を正常信号として設定する(ステップS2)。具体的には、設定部10は、nビット長の伝送信号の2n通りの信号パターンの各々を正常信号として設定する。例えば、n=3の場合には、8パターンのデータ列が正常信号として設定される。設定部10によって設定された正常信号は学習部12が用いる訓練データである。
【0067】
ここで、
図2の学習部12によるGANの学習処理に示すように、ステップS2で設定された正常信号は、識別器122を学習する際に入力される訓練データ124として用いられる。
図2の例では、データ列111の訓練データ124が識別器122に与えられている場合が示される。
【0068】
次に、学習部12は、2n通りの信号パターンの正常信号を訓練データ124として識別器122に入力し、正常信号を正常信号(y=1)と識別するように、識別器122のパラメータwD,θDを学習し、更新する(ステップS3)。ステップS3において、学習部12は、例えば、誤差逆伝搬法などを用いて識別器122に正常信号を学習させることができる。ステップS3により、正常信号を正常信号と識別することができる識別器122が事前に構築される。
【0069】
次に、学習部12は、ガウス雑音120を発生し、発生したガウス雑音120のランダムなベクトルを生成器121に入力として与える(ステップS4)。続いて、生成器121は、与えられたガウス雑音120に基づいて、入力zと重みパラメータwG,θGの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を行い、疑似信号G(z)を生成する(ステップS5)。なお、疑似信号は、例えば、正常信号のデータ列のパターンが111の場合には、111以外のパターンのデータ列であり、例えば101等が疑似信号となり得る。
【0070】
次に、識別器122の学習を行う。識別器122の学習は、生成器121のパラメータwD,θDを固定して行われる。まず、学習部12は、ステップS2で設定された正常信号の訓練データ124を識別器122に入力として与え、上式(4)の目的関数Eが最大となるように、勾配dE/dwD,dE/dθDを算出し、誤差逆伝搬法などによりパラメータwD,θDを更新する(ステップS6)。なお、訓練データ124のラベルは1(正常信号)が設定されている。
【0071】
次に、学習部12は、ステップS5で生成器121によって生成された疑似信号を識別器122に入力として与え、上式(4)の目的関数Eが最大となるように、勾配dE/dwD,dE/dθDを算出し、誤差逆伝搬法などによりパラメータwD,θDを更新する(ステップS7)。すなわち、ステップS6およびステップS7では、上式(4)の目的関数Eを最大にするために、第1項はD(wD,θD)=1が出力され、第2項はD(G(wG,θG),(wD,θD))=0となるように最適化が行われる。なお、訓練データ124には、ラベルは0(疑似信号)が設定されている。
【0072】
ステップS6およびステップS7での識別器122の学習は、
図2に示す、識別器122からの出力123に基づいて、目的関数Eのブロック125から識別器誤差が算出され、さらに、識別器122へ誤差逆伝搬される破線の矢印に対応する。
【0073】
次に、生成器121の学習を行う。生成器121の学習では、識別器122のパラメータが固定されて行われる。学習部12は、ランダムなガウス雑音120を生成器121に与えた際に疑似信号が生成されるように生成器121を学習する。具体的には、学習部12は、上式(4)の目的関数Eを最小とするために、勾配-dE/dwG,-dE/dθGを算出し、誤差逆伝搬法などによりパラメータwG,θGを更新する(ステップS8)。
【0074】
ステップS8での学習は、
図2に示す生成器121へ誤差逆伝搬される破線で示す矢印に対応する。すなわち、
図2に示す生成器121で生成された疑似信号が、識別器122に入力された際の出力123に基づいて、目的関数Eのブロック125で生成器誤差が算出され、生成器121へ誤差逆伝搬される破線で示す矢印に対応する。
【0075】
その後、目的関数Eの値がナッシュ均衡に到達して収束するまで(ステップS9:NO)、ステップS4からステップS8までの識別器122および生成器121の学習が繰り返し行われる。一方、目的関数Eの値が収束した場合(ステップS9:YES)、2nパターンの正常信号のデータ列のうち、残りの2n-1パターンのデータ列に対しても、生成器121および識別器122の学習が行われるまで(ステップS10:NO)、ステップS2からステップS9までの処理が繰り返される。
【0076】
その後、残りの2n-1パターンのデータ列に対して生成器121および識別器122の学習が行われた場合(ステップS10:YES)、学習部12は、正常信号の信号パターン各々に対して、データ列のパターンが互いに異なる疑似信号が生成器121によって生成されているか否かを判定する(ステップS11)。例えば、3ビット長の8パターンのデータ列の場合、ある正常信号のデータ列111に対して、生成器121がデータ列101の疑似信号を生成し、別の正常信号のデータ列110に対しても、生成器121がデータ列101の疑似信号を生成した場合を考える。この場合、正常信号のデータ列111、110に対して生成される疑似信号のデータ列が、互いに異なる8パターンのデータ列となっているか否かをステップS11で判定する。すなわち、8パターンの各々の正常信号に対して生成される疑似信号のデータ列のパターンは互いに重複しないものが採用される。
【0077】
学習部12は、全てのパターンのデータ列の正常信号に対して、互いに異なるパターンのデータ列に係る疑似信号が生成されていない場合には(ステップS11:NO)、目的関数Eの第1項、すなわち第1期待値ED(x)=1の値を変更して調整し、ステップS2からステップS10までの学習処理を繰り返す。したがって、上記の8パターンのデータ列の例では、8パターンの正常信号のデータ列の各々に対して生成された8個の疑似信号のデータ列のパターンが、互いに異なるパターンであって重複する信号がない。
【0078】
その後、全てのパターンのデータ列の正常信号に対して、互いに異なるパターンのデータ列の疑似信号が生成されている場合には(ステップS11:YES)、学習部12は、最適化されたGANの目的関数Eの、第1期待値ED(x)=1と第2期待値ED(x)=0とを決定する(ステップS12)。
【0079】
次に、決定部13は、上式(2)にステップS12で決定された第1期待値ED(x)=1と第2期待値ED(x)=0とを代入し、さらに、ステップS1で取集された処理対象の装置である基地局3またはコア装置4から収集されたガウス雑音の分散σ2を代入し、しきい値ρ0’を決定する(ステップS13)。その後、通知部15は、決定されたしきい値ρ0’を、処理対象の装置である基地局3またはコア装置4に通知する(ステップS14)。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態に係る信号処理装置1によれば、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号と設定し、正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器121と、生成器121によって生成された疑似信号と正常信号とを識別する識別器122とを有するGANの敵対的学習を行う。さらに、学習により最適化された目的関数Eの第1期待値ED(x)=1と第2期待値ED(x)=0とを用いて、伝送信号の正常信号と疑似信号との間の誤り率を最小とするしきい値ρ0’を決定する。そのため、冗長ビットを付加することなく、より簡易に信号の誤り率を低下させることができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る信号処理装置1によれば、基地局3ごと、およびコア装置4ごとに生成器121と識別器122とを備えるGANの機械学習モデルを構築するので、装置ごとの符号誤り率を低下の処置がより簡易な構成で実現される。
【0082】
以上、本発明の信号処理装置および信号処理方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…信号処理装置、10…設定部、11…収集部、12…学習部、13…決定部、14…記憶部、15…通知部、2…通信端末、3…基地局、4…コア装置、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、107…表示装置、120…雑音、121…生成器、122…識別器、123…出力、124…訓練データ、125…目的関数Eのブロック、C,L…通信路、NW…ネットワーク。
【要約】
【課題】より簡易に信号の誤り率を低減させることを目的とする。
【解決手段】
信号処理装置1は、設定された長さのデータ列の伝送信号の各パターンのデータ列を正常信号として設定するように構成された設定部10と、正常信号のデータ列のパターンに対して異なるパターンとなるデータ列である疑似信号を生成する生成器121と、生成器121によって生成された疑似信号と正常信号とを識別する識別器122とを有する機械学習モデルを学習するように構成された学習部12と、学習部12の学習によって最適化された機械学習モデルのパラメータに基づいて、雑音が付加された伝送信号における正常信号と疑似信号と間の誤り率を抑制させるためのしきい値を決定するように構成された決定部13と、決定されたしきい値を、伝送信号を受信する装置に通知するように構成された通知部15とを備える。
【選択図】
図1