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特許7587082情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024152517
(22)【出願日】2024-09-04
【審査請求日】2024-09-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-80384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0242105(US,A1)
【文献】ERC-404とDN-404の比較:NFT規格の未来を切り開く,[online],2024年04月09日,[2024年10月9日検索],インターネット,<URL:https://learn.bybit.com/ja/web3/erc-404-vs-dn-404/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを保持する記憶部と、
ユーザが保有する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類及び数量を管理するトークン管理部と、
前記ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記トークン管理部は、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記ユーザが保有する代替性トークンの組み合わせに変更があることを契機として、前記判定を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記テーブルには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められており、
前記トークン管理部は、前記ユーザに第1の非代替性トークンが発行されている場合において、前記第1の非代替性トークンの発行に用いられた代替性トークンの少なくとも一部を用いて第2の非代替性トークンを発行する場合、前記第1の非代替性トークンを焼却し、前記第2の非代替性トークンを発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記テーブルには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められており、
前記ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められる2以上の代替性トークンの組み合わせと一致すると判定された場合、一致した代替性トークンの組み合わせに対応する非代替性トークンに対するユーザの選択を受け付ける選択受付部をさらに備え、
前記トークン管理部は、前記ユーザが選択した非代替性トークンを発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
非代替性トークンの発行者から当該非代替性トークンに由来する代替性トークンの発行の要求を受け付ける要求受付部をさらに備え、
前記トークン管理部は、前記テーブルを参照して、前記要求受付部が代替性トークンの発行要求を受け付けた非代替性トークンに対応する代替性トークンの組み合わせを構成する代替性トークンを発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記代替性トークンは、当該代替性トークンの発行の由来となった非代替性トークンの発行者を識別するための発行者特定情報が紐づけられており、
前記情報処理装置は、前記代替性トークンの保有者が対価を伴う譲渡によって変更された場合、前記対価の一部を前記代替性トークンに紐づけられている発行者特定情報で特定される発行者に還元する対価還元部をさらに備える、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサが、
非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを記憶部に記憶させるステップと、
ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定するステップと、
一致すると判定された場合、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行するステップと、を実行する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを記憶部に記憶させる機能と、
ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する機能と、
一致すると判定された場合、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行する機能と、を実現させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関し、特に代替性トークンと非代替性トークンとを交換するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ひとつの非代替性トークン(Non-Fungible Token;NFT)を複数の代替性(Fungible Token;FT)に分割する技術が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ERC-404とDN-404の比較:NFT規格の未来を切り開く[令和6年9月3日検索]、インターネット<URL:https://learn.bybit.com/ja/web3/erc-404-vs-dn-404/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、非代替性トークンを分割した代替性トークンを必要数集めると非代替性トークンがミントされ、必要数を下回ると非代替性トークンが焼却される。本願の発明者は、複数の代替性トークンの集合を元の非代替性トークン又は異なる非代替性トークンに置き換えることにより、非代替性トークンの流通をより活性化できる可能性を認識するに至った。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、非代替性トークンの流通をより活性化するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、情報処理装置である。この装置は、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを保持する記憶部と、ユーザが保有する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類及び数量を管理するトークン管理部と、前記ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する判定部と、を備える。ここで、前記トークン管理部は、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行する。
【0007】
前記判定部は、前記ユーザが保有する代替性トークンの組み合わせに変更があることを契機として、前記判定を実行してもよい。
【0008】
前記テーブルには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められていてもよく、前記トークン管理部は、前記ユーザに第1の非代替性トークンが発行されている場合において、前記第1の非代替性トークンの発行に用いられた代替性トークンの少なくとも一部を用いて第2の非代替性トークンを発行する場合、前記第1の非代替性トークンを焼却し、前記第2の非代替性トークンを発行してもよい。
【0009】
前記テーブルには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められていてもよく、前記ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められる2以上の代替性トークンの組み合わせと一致すると判定された場合、一致した代替性トークンの組み合わせに対応する非代替性トークンに対するユーザの選択を受け付ける選択受付部をさらに備えてもよく、前記トークン管理部は、前記ユーザが選択した非代替性トークンを発行してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、非代替性トークンの発行者から当該非代替性トークンに由来する代替性トークンの発行の要求を受け付ける要求受付部をさらに備えてもよく、前記トークン管理部は、前記テーブルを参照して、前記要求受付部が代替性トークンの発行要求を受け付けた非代替性トークンに対応する代替性トークンの組み合わせを構成する代替性トークンを発行してもよい。
【0011】
前記代替性トークンは、当該代替性トークンの発行の由来となった非代替性トークンの発行者を識別するための発行者特定情報が紐づけられていてもよく、前記情報処理装置は、前記代替性トークンの保有者が対価を伴う譲渡によって変更された場合、前記対価の一部を前記代替性トークンに紐づけられている発行者特定情報で特定される発行者に還元する対価還元部をさらに備えてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様は、情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを記憶部に記憶させるステップと、ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定するステップと、一致すると判定された場合、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行するステップと、を実行する。
【0013】
本発明の第3の態様は、プログラムである。このプログラムは、コンピュータに、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルを記憶部に記憶させる機能と、ユーザが保有する代替性トークンの一部又は全部が、前記テーブルに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する機能と、一致すると判定された場合、前記テーブルに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンを前記ユーザに発行する機能と、を実現させる。
【0014】
このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非代替性トークンの流通をより活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る情報処理システムにおいて実行される情報処理の概要を説明するための図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図3】実施の形態に係るテーブルとユーザデータベースとのそれぞれのデータ構造を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係る選択受付部がユーザ端末の表示部に表示させるユーザインタフェースの一例を模式的に示す図である。
図5】実施の形態に係るブロックチェーンに格納されているデータのデータ構造を模式的に示す図である。
図6】実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態の概要>
図1(a)-(b)は、実施の形態に係る情報処理システムSにおいて実行される情報処理の概要を説明するための図である。具体的には、図1(a)は実施の形態に係る情報処理システムSの概略を説明するための模式図であり、図1(b)は実施の形態に係る情報処理システムSで扱われる非代替性トークンと代替性トークンとの関係を説明するための模式図である。
【0019】
図1(a)に示すように、実施の形態に係る情報処理システムSは、情報処理装置1、ユーザ端末2、事業者サーバ3、及びブロックチェーンBがインターネット等の既知の通信ネットワークNを介して接続している。ここで、情報処理装置1は、テーブルT及びユーザデータベースDとアクセスすることができる。ユーザ端末2は、情報処理システムSで扱われる代替性トークンの売買を行うユーザUが利用する端末である。事業者サーバ3は、ユーザUに代替性トークンを販売したり、ユーザUが保持する代替性トークンをユーザUから買い取ったりする事業者が利用する装置である。以下、情報処理システムSにおいて実行される情報処理の流れの概要を(1)から(8)の順に説明するが、その数字は図1(a)における(1)から(8)の数字と対応する。
【0020】
(1)情報処理装置1は、非代替性トークンの発行者からの依頼で非代替性トークンをブロックチェーンB上に発行する。詳細は後述するが、情報処理システムSにおいて扱われる非代替性トークンは、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせと等価であり、この組み合わせはテーブルTに定められている。
(2)情報処理装置1は、非代替性トークンの発行者からの依頼に基づいて、非代替性トークンを複数種類の代替性トークンに分割してブロックチェーンBに登録する。
【0021】
図1(b)に示す例では、第1非代替性トークNFT1は、3つの第1代替性トークンFT1と、2つの第2代替性トークンFT2と、2つの第3代替性トークンFT3とに分割されることを示している。同様に、第2非代替性トークンNFT2は、2つの第4代替性トークンFT4と、3つの第5代替性トークンFT5と、2つの第6代替性トークンF6とに分割されることを示している。さらに、図1(b)は、2つの第2代替性トークンFT2と、2つの第4代替性トークンFT4と、2つの第5代替性トークンFT5とから第3非代替性トークンNFT3に交換することができることを示している。なお、図1に図示はしていないが、第3非代替性トークンNFT3も2つの第2代替性トークンFT2と、2つの第4代替性トークンFT4と、2つの第5代替性トークンFT5とに分割される。ただし、図1(b)に示すように、第3非代替性トークンNFT3を構成するための代替性トークンは、必ずしも第3非代替性トークンNFT3に由来する代替性トークンでなくてもよい。
【0022】
(3)ユーザ端末2には、ユーザUが所持するトークンを管理するウォレットを扱うための専用のアプリケーションがインストールされている。ユーザUは、ユーザ端末2を操作して事業者サーバ3にアクセスし、所望の代替性トークンを購入したり、ユーザUが所持している代替性トークンを他のユーザU(不図示)に販売したりする。
(4)事業者サーバ3は、ユーザUの売買行為に応じて、ブロックチェーンBにおいて対応する代替性トークンの所有者を変更する。
【0023】
(5)ユーザデータベースDは、ユーザU毎に、各ユーザUが所持する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類とその数を格納している。情報処理装置1は、あらかじめ定められた所定のタイミング(例えば、毎日23時59分等の所定の周期)でブロックチェーンBに登録されている代替性トークンの所有者を確認し、ユーザデータベースDの内容を修正したり、ユーザデータベースDに登録したりする。
【0024】
(6)情報処理装置1は、ユーザデータベースDを参照して、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する 。
(7)情報処理装置1は、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部がテーブルTに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する場合、その組み合わせに対応する非代替性トークンをユーザに発行する。具体的には、情報処理装置1は、ブロックチェーンBにおける非代替性トークンの所有者をユーザUに変更する。
(8)これにより、ユーザUは、ユーザ端末2にインストールされているアプリケーションを通じて非代替性トークンにアクセスすることができる。
【0025】
一般に、非代替性トークンは、それに紐づけられているコンテンツの価値の上昇に伴って高額となりうる。実施の形態に係る情報処理システムSでは、非代替性トークンを複数種類の代替性トークンに分割して流通させることにより、ユーザUは非代替性トークンそのものよりも低額な代替性トークンを少しずつ集めることで、時間をかけて非代替性トークンを所持することができる。また、実施の形態に係る情報処理システムSでは、図1(b)にも示すように、非代替性トークンから分割された代替性トークンは、生成の由来となった非代替性トークンのみならず、他の非代替性トークンとの交換にも用いることができる。
【0026】
このように、実施の形態に係る情報処理システムSによれば、非代替性トークンをより廉価な複数の代替性トークンに分解して取引を可能とする。これにより、情報処理システムSは、代替性トークンの流通を促進することができる。
【0027】
<実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部10と通信部11と制御部12とを備える。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってもよい。図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0028】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照されるテーブルT及びユーザデータベースDを含む種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0029】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置と通信するための通信インタフェースであり、LAN(Local Area Network)モジュールやWi-Fi(登録商標)モジュール等の既知の通信モジュールで実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1が外部の装置と通信するときは通信部11を介することを前提として通信部11の記載を省略することがある。
【0030】
制御部12は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することによってトークン管理部120、判定部121、選択受付部122、要求受付部123、及び対価還元部124として機能する。
【0031】
なお、図2は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0032】
上述したように、実施の形態に係る情報処理装置1は、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルTと、ユーザU毎に各ユーザUが所持する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類とその数を格納しているユーザデータベースDとを参照して各処理を実行する。そこで、以下テーブルTとユーザデータベースDとのデータ構造について説明する。
【0033】
図3(a)-(b)は、実施の形態に係るテーブルTとユーザデータベースDとのそれぞれのデータ構造を模式的に示す図である。具体的には、図3(a)は実施の形態に係るテーブルTのデータ構造を模式的に示す図であり、図3(b)は実施の形態に係るユーザデータベースDのデータ構造を模式的に示す図である。
【0034】
図3(a)に示すように、テーブルTは、複数の代替性トークンそれぞれを示す代替性トークン識別子と、1つの非代替性トークンを示す非代替性トークン識別子とを対応付けて格納している。図3(a)において、FIDで始まる文字列は代替性トークンを特定するための識別子を示しており、NIDで始まる文字列は非代替性トークンを特定するための識別子を示している。また、図3(a)の表における各列は、その列に対応する代替性トークンの個数を示している。
【0035】
例えば、図3(a)には、FID0001で示されるある代替性トークン20個と、FID0002で示される別の代替性トークン5個とが、NID0001で示される非代替性トークンと交換できることを示している。同様に、FID0001で示される代替性トークン20個と、FID0002で示される代替性トークン4個と、FID0003で示される代替性トークン2個とが、NID0002で示される非代替性トークンと交換できることを示している。反対に、図3(a)に示すテーブルTは、NID0003で示される非代替性トークンが、FID0001で示される代替性トークン20個と、FID0002で示される代替性トークン5個と、FID0003で示される代替性トークン2ことに分割されることも示している。以下同様である。
【0036】
図3(b)に示すように、ユーザデータベースDは、各ユーザUを一意に特定するためのユーザ識別子と、そのユーザ識別子で特定されるユーザUが所持している代替性トークンを示す識別子及び保有数とを対応付けて格納している。例えば、図3(b)に示す例では、ユーザ識別子がUID00001であるユーザUは、FID0001で特定される代替性トークンを3個、FID0002で特定される代替性を1個、NID0001で示される非代替性トークンを1個、NDI0002で示される非代替性トークンを1個所持していることを示している。他のユーザ識別子についても同様である。
【0037】
図2の説明に戻る。記憶部10は、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルTを保持している。記憶部10は、各ユーザUを一意に特定するためのユーザ識別子と、そのユーザ識別子で特定されるユーザUが所持している代替性トークンを示す識別子及び保有数とを対応付けて格納しているユーザデータベースDも保持している。
【0038】
トークン管理部120は、ユーザUが保有する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類及び数量を管理する。具体的には、トークン管理部120は、あらかじめ定められた所定のタイミングでブロックチェーンBに登録されている代替性トークンの所有者を確認し、ユーザデータベースDの内容を修正したり、ユーザデータベースDに登録したりする。
【0039】
判定部121は、ユーザデータベースDを参照して、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する。ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致すると判定部121が判定した場合、トークン管理部120は、テーブルTに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンをユーザUに発行する。これにより、ユーザUは、複数の代替性トークンを集めることで、非代替性トークンを取得することができる。結果として、情報処理装置1は、非代替性トークンの流通をより活性化することができる。
【0040】
なお、判定部121は、ユーザUが保有する代替性トークンの組み合わせに変更があることを契機として判定を実行してもよい。具体的には、判定部121は、ユーザデータベースDの内容が更新されたことを契機として、判定を実行してもよい。これにより、ユーザUは代替性トークンを集めるだけで、特段の操作をすることなく自動的に非代替性トークンを取得することができる。
【0041】
図3(a)を参照して説明したように、テーブルTには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められている。このため、仮にユーザUが所持している代替性トークンを複数の非代替性トークンの発行のために使い回すことが許されると、非代替性トークンの価値が毀損されかねない。
【0042】
そのため、トークン管理部120は、ユーザUに第1の非代替性トークンが発行されている場合において、第1の非代替性トークンの発行に用いられた代替性トークンの少なくとも一部を用いて第2の非代替性トークンを発行する場合、第1の非代替性トークンを焼却し、第2の非代替性トークンを発行する。
【0043】
例えば、あるユーザUが、図3(a)においてNID0002で示される非代替性トークンを発行するために必要な代替性トークン(FID0001で示される代替性トークンを20個、FID0002で示される代替性トークンを4個、及びFID0003で示される代替性トークンを2個)をちょうど保持しており、NID0002で示される非代替性トークンを発行したとする。この後、このユーザUがFID0002で示される代替性トークンを1つ獲得したとする。この場合、ユーザUがNID0003で示される非代替性トークンの発行を希望する場合、トークン管理部120は、NID0002で示される代替性トークンを焼却してからNID0003で示される非代替性トークンを発行する。これにより、トークン管理部120は、ユーザUが代替性トークンを使い回して、複数の非代替性トークンの発行に利用することを抑制できる。
【0044】
また、テーブルTには、複数の異なる非代替性トークンそれぞれについて、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせが定められているため、代替性トークンの所持状況によっては、ユーザUは複数の非代替性トークンを発行できる場合も起こりうる。そこで、選択受付部122は、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められる2以上の代替性トークンの組み合わせと一致すると判定された場合、一致した代替性トークンの組み合わせに対応する非代替性トークンに対するユーザUの選択を受け付ける。
【0045】
図4は、実施の形態に係るユーザ端末2の表示部に表示させるユーザインタフェースの一例を模式的に示す図である。図4に示すインタフェースは、ユーザ端末2が実行する専用のアプリケーションによって実現される。
【0046】
図4は、ユーザUが「NFT-X」という名称の非代替性トークンと、「NFT-Y]という名称の非代替性トークンとのいずれかを発行できることを示す画面例である。図4において、符号20で示すユーザインタフェースは、ユーザUの選択を受け付けるための選択受付チェックボックス20を表している。ユーザUが選択受付チェックボックス20にチェックを入れた状態で確認アイコン21を押下すると、通信ネットワークNを介してユーザUの選択が選択受付部122に送信される。
【0047】
トークン管理部120は、選択受付部122が受け付けたユーザUによって選択された非代替性トークンを発行する。これにより、ユーザUは発行可能な非代替性トークンを一見して把握することができるので、ユーザUのユーザビリティを向上させることができる。
【0048】
上述したように、情報処理装置1が扱う非代替性トークンは、複数の代替性トークンに分割することができる。具体的には、非代替性トークンを発行する発行者が新規に非代替性トークンを発行し、その非代替性トークンを代替性トークンに分割して市場に流通させるときに、非代替性トークンの分割が行われる。そこで、要求受付部123は、非代替性トークンの発行者からその非代替性トークンに由来する代替性トークンの発行の要求を受け付ける。トークン管理部120は、テーブルTを参照して、要求受付部123が代替性トークンの発行要求を受け付けた非代替性トークンに対応する代替性トークンの組み合わせを構成する代替性トークンを発行する。
【0049】
情報処理装置1が扱う代替性トークンは、非代替性トークンに交換するためにのみ用いられるトークンであり、この点で、一般的な暗号資産等で用いられる代替性トークンと異なる。情報処理装置1が扱う代替性トークンは非代替性トークンを分割することでのみ生成され、必ず由来となる非代替性トークンが存在する。これにより、情報処理装置1は、流通する代替性トークンを集めれば何らかの非代替性トークンを発行できることを保証できる。
【0050】
情報処理装置1が扱う代替性トークンは必ず由来となる非代替性トークンが存在するので、代替性トークンは、その代替性トークンの発行の由来となった非代替性トークンの発行者を識別するための発行者特定情報が紐づけられている。
【0051】
図5は、実施の形態に係るブロックチェーンBに格納されているデータのデータ構造を模式的に示す図であり、ある代替性トークンのデータ構造を示す模式図である。ブロックチェーンBでは、代替性トークンそれぞれについて同様のデータが保持されている。ブロックチェーンBは既知の技術のため詳細な説明は省略するが、ブロックチェーンBはブロックLと呼ばれるデータの塊が数珠つなぎのように連結して構成されている。煩雑となることを防ぐために図5において全てのブロックLに符号を付してはいないが、図5において符号Tが付された矩形と同一の矩形はブロックLである。
【0052】
図5に示す例では、各ブロックLは、前のブロックLのハッシュ値L1、ナンス値L2、代替性トークンの識別子L3、発行の由来となった非代替性トークンの識別子L4、発行の由来となった非代替性トークンの発行者の識別子L5、代替性トークンの現ユーザの識別子L6、現ユーザが代替性トークンを取得した年月日L7、及び非代替性トークンの発行に用いられている場合にはその非代替性トークンを示す識別子L8を少なくとも含んでいる。トークン管理部120は、あらかじめ定められたタイミングでブロックチェーンBを参照し、ユーザデータベースDを更新する。また、トークン管理部120は、識別子L8を参照することで、代替性トークンが非代替性トークンの発行に利用中であるか否かを判定することもできる。
【0053】
対価還元部124は、代替性トークンの保有者が対価を伴う譲渡によって変更された場合、ブロックチェーンBを参照して、代替性トークンに紐づけられている発行者特定情報(具体的には、非代替性トークンの発行者の識別子L5)を取得する。対価還元部124は、代替性トークンに紐づけられている発行者特定情報で特定される発行者に対価の一部を還元する。これにより、非代替性トークンの発行者が代替性トークンを分割して代替性トークンの形で販売し、その対価を取得することができる。結果として高価な非代替性トークンであっても流通の促進を実現できる。
【0054】
<情報処理装置1が実行する譲歩方法の処理フロー>
図6は、実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0055】
トークン管理部120は、ユーザデータベースDを参照して、ユーザUが保有する代替性トークンの組み合わせの変更を検知する(S2)。判定部121は、テーブルTを参照して、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する(S4)。
【0056】
判定部121によってユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致すると判定された場合(S6のYes)、トークン管理部120は、テーブルTに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンをユーザUに発行する(S8)。
【0057】
判定部121によってユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致しないと判定された場合(S6のNo)またはトークン管理部120が非代替性トークンをユーザUに発行すると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0058】
<実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1によれば、非代替性トークンの流通をより活性化することができる。
【0059】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【符号の説明】
【0061】
1・・・情報処理装置
10・・・記憶部
11・・・通信部
12・・・制御部
120・・・トークン管理部
121・・・判定部
122・・・選択受付部
123・・・要求受付部
124・・・対価還元部
2・・・ユーザ端末
3・・・発行者装置
D・・・ユーザデータベース
T・・・テーブル
【要約】
【課題】非代替性トークンの流通をより活性化する。
【解決手段】記憶部10は、非代替性トークンと、1又は複数種類の代替性トークンそれぞれの個数の組み合わせとが定められたテーブルTを保持する。トークン管理部120は、ユーザUが保有する非代替性トークンと代替性トークンとのそれぞれの種類及び数量を管理する判定部121は、ユーザUが保有する代替性トークンの一部又は全部が、テーブルTに定められた代替性トークンの組み合わせと一致するか否かを判定する。トークン管理部は120、テーブルTに定められる代替性トークンの組み合わせと一致する組み合わせに対応する非代替性トークンをユーザに発行する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6