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7587090液滴吐出ヘッド、記録装置および液滴吐出ヘッドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液滴吐出ヘッド、記録装置および液滴吐出ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241112BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 301
B41J2/14 603
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024558463
(86)(22)【出願日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 JP2024011170
【審査請求日】2024-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2023048978
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 英
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223801(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250873(WO,A1)
【文献】特開2019-014200(JP,A)
【文献】特開2009-286014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項14】
複数の吐出孔を有する流路部材と、前記流路部材に液体を供給するリザーバと、ヘッドカバーと、板状部材とを備える液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記リザーバは、ナットが収容される収容部と、前記収容部の側面を貫通する第1貫通孔とを有し、
前記板状部材は、前記第1貫通孔と対応する位置に第2貫通孔を有し、
前記リザーバが有する前記収容部に前記ナットを収容する工程と、
前記リザーバを前記流路部材の上に配置する工程と、
前記ヘッドカバーを前記流路部材および前記リザーバを備えるヘッド本体に取り付ける工程と、
前記板状部材を前記ヘッドカバーに取り付ける工程と、
前記リザーバが有する前記第1貫通孔および前記板状部材が有する前記第2貫通孔に雄ねじを挿通して、前記ナットと嵌め合わす工程と
を含む、
液滴吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液滴吐出ヘッド、記録装置および液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷用ヘッドとして、たとえば、液滴を記録媒体上に吐出することによって、各種の印刷を行う液滴吐出ヘッドが知られている。特許文献1には、回路基板が流路ユニットに対してネジ止めされたヘッドユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-138354号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様による液滴吐出ヘッドは、ヘッド本体と、ヘッドカバーと、板状部材とを備える。ヘッド本体は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ヘッドカバーは、ヘッド本体に取り付けられる。板状部材は、ヘッドカバーの側面に取り付けられる。ヘッド本体は、流路部材と、リザーバと、ナットおよび雄ねじとを備える。流路部材は、複数の吐出孔を有する。リザーバは、流路部材の上に位置し、流路部材に液体を供給する。リザーバは、ナットが収容される収容部と、収容部の側面を貫通する第1貫通孔とを有する。板状部材は、第1貫通孔と対応する位置に第2貫通孔を有する。雄ねじは、第1貫通孔および第2貫通孔に挿通され、ナットと嵌め合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、第1実施形態に係るプリンタの概略的な側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るプリンタの概略的な平面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの模式的な正面図である。
図5図5は、図4に示すV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るリザーバの構成を示す模式図である。
図7図7は、図6に示すVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図9図9は、第3実施形態に係るリザーバの要部の構成を示す模式的な断面図である。
図10図10は、第4実施形態に係るリザーバ本体の構成を示す模式的な平面図である。
図11図11は、図10に示すXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12は、第5実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
図13図13は、第6実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に、本開示による液滴吐出ヘッド、記録装置および液滴吐出ヘッドの製造方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0007】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度または設置精度などのずれを許容するものとする。
【0008】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0009】
従来、印刷用ヘッドとして、たとえば、液滴を記録媒体上に吐出することによって、各種の印刷を行う液滴吐出ヘッドが知られている。特許文献1には、回路基板が流路ユニットに対してネジ止めされたヘッドユニットが開示されている。
【0010】
しかし、特許文献1に記載のヘッドユニットには、回路基板と流路ユニットとをより強固に固定し、ヘッドユニットの封止性を向上する点で更なる改善の余地がある。
【0011】
そこで、液滴吐出ヘッドの封止性を向上する技術が期待されている。
【0012】
(第1実施形態)
<プリンタの構成>
まず、第1実施形態に係る記録装置の一例であるプリンタ1の概要について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るプリンタ1の概略的な側面図であり、図2は、第1実施形態に係るプリンタ1の概略的な平面図である。第1実施形態に係るプリンタ1は、たとえば、カラーインクジェットプリンタである。
【0013】
図1に示すように、プリンタ1は、給紙ローラ2と、ガイドローラ3と、塗布機4と、ヘッドケース5と、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液滴吐出ヘッド8と、搬送ローラ9と、乾燥機10と、搬送ローラ11と、センサ部12と、回収ローラ13とを備える。
【0014】
さらに、プリンタ1は、かかる給紙ローラ2、ガイドローラ3、塗布機4、ヘッドケース5、複数の搬送ローラ6、複数のフレーム7、複数の液滴吐出ヘッド8、搬送ローラ9、乾燥機10、搬送ローラ11、センサ部12および回収ローラ13を制御する制御部14を有している。
【0015】
プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させることにより、印刷用紙Pに画像または文字の記録を行う。印刷用紙Pは、記録媒体の一例である。印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ2に巻かれた状態になっている。そして、プリンタ1は、印刷用紙Pを、給紙ローラ2からガイドローラ3および塗布機4を介してヘッドケース5の内部に搬送する。
【0016】
塗布機4は、コーティング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。これにより、印刷用紙Pに表面処理を施すことができることから、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
【0017】
ヘッドケース5は、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液滴吐出ヘッド8とを収容する。ヘッドケース5の内部には、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっている他は、外部と隔離された空間が形成されている。
【0018】
ヘッドケース5の内部空間は、必要に応じて、温度、湿度、および気圧などの制御因子のうち、少なくとも1つが制御部14によって制御される。搬送ローラ6は、ヘッドケース5の内部で印刷用紙Pを液滴吐出ヘッド8の近傍に搬送する。
【0019】
フレーム7は、矩形状の平板であり、搬送ローラ6で搬送される印刷用紙Pの上方に近接して位置している。また、図2に示すように、フレーム7は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。そして、ヘッドケース5の内部には、複数(たとえば、4つ)のフレーム7が、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。
【0020】
なお、以降の説明において、印刷用紙Pの搬送方向を「副走査方向」とも呼称し、かかる副走査方向に直交し、かつ印刷用紙Pに平行な方向を「主走査方向」とも呼称する。
【0021】
液滴吐出ヘッド8には、図示しない液体タンクから液体、たとえば、インクが供給される。液滴吐出ヘッド8は、かかる液体タンクから供給される液滴を吐出する。
【0022】
制御部14は、画像または文字などのデータに基づいて液滴吐出ヘッド8を制御し、印刷用紙Pに向けて液滴を吐出させる。液滴吐出ヘッド8と印刷用紙Pとの間の距離は、たとえば0.5~20mm程度である。
【0023】
液滴吐出ヘッド8は、フレーム7に固定されている。液滴吐出ヘッド8は、たとえば、長手方向の両端部においてフレーム7に固定されている。液滴吐出ヘッド8は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。
【0024】
すなわち、第1実施形態に係るプリンタ1は、プリンタ1の内部に液滴吐出ヘッド8が固定されている、いわゆるラインプリンタである。なお、第1実施形態に係るプリンタ1は、ラインプリンタに限られず、いわゆるシリアルプリンタであってもよい。シリアルプリンタとは、液滴吐出ヘッド8を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、たとえば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行う方式のプリンタである。
【0025】
図2に示すように、1つのフレーム7に複数(たとえば、5つ)の液滴吐出ヘッド8が固定されている。図2では、印刷用紙Pの搬送方向の前方に3個、後方に2個の液滴吐出ヘッド8が位置している例を示しており、印刷用紙Pの搬送方向において、それぞれの液滴吐出ヘッド8の中心が重ならないように液滴吐出ヘッド8が位置している。
【0026】
そして、1つのフレーム7に位置する複数の液滴吐出ヘッド8によって、ヘッド群8Aが構成されている。4つのヘッド群8Aは、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。同じヘッド群8Aに属する液滴吐出ヘッド8には、同じ色のインクが供給される。これにより、プリンタ1は、4つのヘッド群8Aを用いて4色のインクによる印刷を行うことができる。
【0027】
各ヘッド群8Aから吐出されるインクの色は、たとえば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。制御部14は、各ヘッド群8Aを制御して複数色のインクを印刷用紙Pに吐出することにより、印刷用紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0028】
なお、印刷用紙Pの表面処理をするために、液滴吐出ヘッド8からコーティング剤を印刷用紙Pに吐出してもよい。
【0029】
また、1つのヘッド群8Aに含まれる液滴吐出ヘッド8の個数、またはプリンタ1に搭載されているヘッド群8Aの個数は、印刷する対象または印刷条件に応じて適宜変更可能である。たとえば、印刷用紙Pに印刷する色が単色で、かつ1つの液滴吐出ヘッド8で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、プリンタ1に搭載されている液滴吐出ヘッド8の個数は1つでもよい。
【0030】
ヘッドケース5の内部で印刷処理された印刷用紙Pは、搬送ローラ9によってヘッドケース5の外部に搬送され、乾燥機10の内部を通る。乾燥機10は、印刷処理された印刷用紙Pを乾燥する。乾燥機10で乾燥された印刷用紙Pは、搬送ローラ11で搬送されて、回収ローラ13で回収される。
【0031】
プリンタ1では、乾燥機10で印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりすることを低減することができる。
【0032】
センサ部12は、位置センサ、速度センサまたは温度センサなどにより構成されている。制御部14は、かかるセンサ部12からの情報に基づいて、プリンタ1の各部における状態を判断し、プリンタ1の各部を制御することができる。
【0033】
ここまで説明したプリンタ1では、印刷対象(すなわち記録媒体)として印刷用紙Pを用いた場合について示したが、プリンタ1における印刷対象は印刷用紙Pに限られない。たとえば、印刷対象は、ロール状の布などであってもよい。
【0034】
また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙、裁断された布、木材またはタイルなどを印刷対象とすることができる。
【0035】
また、プリンタ1は、液滴吐出ヘッド8から導電性の粒子を含む液滴を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、プリンタ1は、液滴吐出ヘッド8から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤または化学薬剤を含んだ液滴を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
【0036】
またプリンタ1は、液滴吐出ヘッド8をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、たとえば、ワイピング処理またはキャッピング処理によって液滴吐出ヘッド8の洗浄を行う。
【0037】
ワイピング処理とは、たとえば、柔軟性のあるワイパーで、液滴が吐出される部位の面を払拭することで、液滴吐出ヘッド8に付着していた液体を取り除く処理である。
【0038】
また、キャッピング処理は、たとえば、次のように実施する。まず、液滴が吐出される部位の面を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングという)。これにより、液滴が吐出される部位の面とキャップとの間に、ほぼ密閉された空間が形成される。
【0039】
次に、かかる密閉された空間で液滴の吐出を繰り返す。これにより、液滴を吐出させる吐出孔(ノズル)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高い液体または異物などを取り除くことができる。
【0040】
<液滴吐出ヘッドの構成>
つづいて、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の構成について、図3図5を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の概略構成を示す分解斜視図である。図4は、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の模式的な正面図である。図5は、図4に示すV-V線に沿った断面図である。なお、理解を容易にするために、図3ではナット261およびビス262の記載を省略している。
【0041】
液滴吐出ヘッド8は、ヘッド本体20と、配線部30と、ヘッドカバー40と、2つの放熱板45と、2つの断熱部材50とを備えている。ヘッド本体20は、流路部材21と、圧電アクチュエータ基板22(図5参照)と、分岐流路部材23と、リザーバ24とを有している。
【0042】
以降の説明において、便宜的に、液滴吐出ヘッド8においてヘッド本体20が設けられる方向を「下」と表記し、ヘッド本体20に対してヘッドカバー40が設けられる方向を「上」と表記する場合がある。
【0043】
ヘッド本体20の流路部材21は、略平板形状であり、1つの主面である第1面21a(図5参照)と、かかる第1面の反対側に位置する第2面21b(図5参照)とを有している。第1面21aは、開口(不図示)を有し、リザーバ24からかかる開口を介して流路部材21の内部に液体が供給される。
【0044】
第2面21bには、印刷用紙Pに液滴を吐出する複数の吐出孔(不図示)が位置している。流路部材21は、第1面21aから第2面21bに液体を流す流路を内部に有している。
【0045】
圧電アクチュエータ基板22は、流路部材21の第1面21a上に位置している。圧電アクチュエータ基板22は、複数の変位素子(不図示)を有している。圧電アクチュエータ基板22には、配線部30のフレキシブル基板31が電気的に接続されている。
【0046】
分岐流路部材23は、流路部材21上に位置している。分岐流路部材23は、流路部材21の流路に繋がる分岐流路(不図示)を内部に有する。分岐流路部材23は、たとえば金属で構成される。分岐流路部材23は、主走査方向(Y軸方向)へ長く延びる箱形状を有する部材であり、上面が開口している。分岐流路部材23は、底部233と、底部233から起立する周壁部234と、2つのスリット部235を有する(図5参照)。底部233は、流路部材21の上に位置する。
【0047】
スリット部235は、分岐流路部材23の長手方向(Y軸方向)に沿って延びる溝状の空隙である。2つのスリット部235は、平面視で底部233を挟むように設けられている。スリット部235には、圧電アクチュエータ基板22に接続されたフレキシブル基板31が挿通される。
【0048】
リザーバ24は、分岐流路部材23上に位置している。リザーバ24には、主走査方向(Y軸方向)における両端部に開口244が設けられている(図3参照)。リザーバ24は、内部に流路を有しており、外部から開口244を介して液体が供給される。リザーバ24は、分岐流路部材23に液体を供給する。また、リザーバ24は、分岐流路部材23に供給される液体を貯留する。かかるリザーバ24の詳細については後述する。
【0049】
図5に示すように、ヘッド本体20は、ナット261とビス262とをさらに備える。ビス262は、雄ねじの一例である。かかるナット261とビス262については、後述する。
【0050】
配線部30は、フレキシブル基板31と、配線基板32と、複数のドライバIC33と、押圧部材34とを有している。フレキシブル基板31は、可撓性を有する配線基板であり、外部から送られた所定の信号をヘッド本体20に伝達する。なお、図3に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8は、フレキシブル基板31を2つ有している。
【0051】
フレキシブル基板31の一端部は、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板22と電気的に接続されている(図5参照)。フレキシブル基板31の他端部は、リザーバ24よりも上方に引き出されており、配線基板32と電気的に接続されている。これにより、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板22と外部とを電気的に接続することができる。
【0052】
配線基板32は、ヘッド本体20の上方に位置している。配線基板32は、複数のドライバIC33に信号を分配する。
【0053】
複数のドライバIC33は、フレキシブル基板31における一方の主面に位置している。図3に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8において、ドライバIC33は、1つのフレキシブル基板31上に2つずつ設けられている。なお、1つのフレキシブル基板31に設けられているドライバIC33の数は2つに限られない。
【0054】
ドライバIC33は、制御部14(図1参照)から送られた駆動信号に基づいて、ヘッド本体20の圧電アクチュエータ基板22における各変位素子を駆動させる。これにより、ドライバIC33は、液滴吐出ヘッド8を駆動させる。
【0055】
押圧部材34は、たとえば断面視で略U字形状を有する板バネである。押圧部材34は、2つのフレキシブル基板31の間に位置し、フレキシブル基板31上のドライバIC33を放熱板45に向けて押圧している。これにより、ドライバIC33が放熱板45と密着することで、ドライバIC33が駆動する際に発生する熱を放熱板45へ効率よく放熱することができる。
【0056】
ヘッドカバー40は、ヘッド本体20に取り付けられ、ヘッド本体20上に位置する配線部30、たとえばフレキシブル基板31、配線基板32、押圧部材34等を覆うように配置されている。これにより、ヘッドカバー40は配線部30を封止することができる。ヘッドカバー40は、たとえば、樹脂または金属などで構成される。
【0057】
ヘッドカバー40は、主走査方向に長く延びる箱形状であり、副走査方向に沿って対向する2つの側面に第1開口40aおよび第2開口40bを有している。図3の例において、第1開口40aは、X軸正方向側に位置する側面に設けられ、第2開口40bは、X軸負方向側に位置する側面に設けられる。また、ヘッドカバー40は、下面に第3開口40cを有しており、上面に第4開口40dを有している。
【0058】
2つの放熱板45は、ヘッドカバー40に取り付けられる。2つの放熱板45のうち一方は、第1開口40aを塞ぐように配置され、他方は第2開口40bを塞ぐように配置される。
【0059】
放熱板45は、たとえば液滴吐出ヘッド8の長手方向に長い板状の部材であり、放熱性の高い金属または合金などで構成されている。放熱板45の熱伝導率は、たとえば、放熱板45は、ドライバIC33に接するように設けられており、ドライバIC33で生じた熱を放熱する。
【0060】
2つの放熱板45はそれぞれ、ビス80(図4参照)が挿通される複数の第1貫通孔46を有している。また、ヘッドカバー40も、ビス80が挿通される複数の第1貫通孔41を有している。ヘッドカバー40が有する複数の第1貫通孔41は、放熱板45が有する複数の第1貫通孔46と対応する位置に設けられている。ヘッドカバー40が有する複数の第1貫通孔41には雌ねじが形成されている。すなわち、第1貫通孔41はねじ穴である。ビス80は、ヘッドカバー40の第1貫通孔41および放熱板45の第1貫通孔46に挿通されてヘッドカバー40の第1貫通孔41に嵌め合わされる。これにより、2つの放熱板45は、ヘッドカバー40に固定されている。放熱板45が取り付けられたヘッドカバー40は、第1開口40aおよび第2開口40bが塞がれ、第3開口40cおよび第4開口40dが開口した箱形状をなしている。このように、放熱板45は、ヘッドカバー40の側面に取り付けられる板状部材の一例である。
【0061】
第3開口40cは、リザーバ24と対向するように位置している。第3開口40cには、フレキシブル基板31および押圧部材34が挿通されている。
【0062】
第4開口40dは、配線基板32に設けられたコネクタ(不図示)を挿通するために設けられている。かかるコネクタと第4開口40dとの間を、樹脂などで封止すると、ヘッドカバー40の内部に液体またはゴミなどが侵入しにくくなる。
【0063】
また、放熱板45は、ヘッド本体20の長手方向の中央部および両端部に第2貫通孔48a~48cを有する。放熱板45と断熱部材50とは、かかる第2貫通孔48a~48cに後述する断熱部材50の突起部54がそれぞれ収まることで嵌合される。
【0064】
断熱部材50は、放熱板45とヘッド本体20との間に位置する。断熱部材50の長手方向における幅は、放熱板45の長手方向における幅よりも広い。断熱部材50は、たとえば、樹脂などで構成されている。断熱部材50の熱伝導率は、放熱板45の熱伝導率よりも低くてもよい。断熱部材50を設けることにより、ドライバIC33で発生した熱が放熱板45を介してヘッド本体20に伝わりにくくなる。
【0065】
また、断熱部材50は、ビス262を収容する複数の第2貫通孔55を有する。かかる第2貫通孔55は、後述するリザーバ24の第1貫通孔245と対応する位置に位置する。断熱部材50は、ヘッドカバー40の側面に取り付けられる板状部材の一例である。
【0066】
なお、図3は、液滴吐出ヘッド8の構成の一例を示すものであり、図3に示した部材以外の部材をさらに含んでもよい。
【0067】
つづいて、第1実施形態に係るリザーバ24の構成について図6および図7をさらに参照して説明する。図6は、第1実施形態に係るリザーバ24の構成を示す模式図である。図7は、図6に示すVII-VII線に沿った断面図である。
【0068】
図5および図6に示すように、リザーバ24は、内部に流路を有するリザーバ本体241と、リザーバ本体の下方に配置される下蓋242とを備える。リザーバ本体241は、ナット261が収容される収容部246と、収容部246の側面を貫通する第1貫通孔245とを有する。
【0069】
図6に示すようにナット261は、収容部246に収容され、リザーバ本体241と下蓋242とに挟み込まれる。ナット261は、少なくとも一部がヘッド本体20の内部に位置する第1固定部材の一例である。図5に示すように、ビス262は、第1貫通孔245および第2貫通孔55に挿通され、ナット261と嵌め合わされる。言い換えると、ナット261とビス262とは互いに結合している。ビス262は、断熱部材50の外部に位置する第2固定部材の一例である。
【0070】
かかる構成によれば、リザーバ24と断熱部材50とを単にビスまたはボルトのみで固定する場合と比較して、より強固に固定することができ、液滴吐出ヘッド8の封止性を向上することができる。
【0071】
また、ナット261を使用せずリザーバ24にねじ穴を形成する場合、リザーバ24へのタップ加工時に切粉が発生して液滴吐出ヘッド8に付着するおそれがある。この場合、液滴吐出ヘッド8に付着した切粉が印刷時に印刷媒体に付着する可能性がある。そこで、ナット261を利用すればタップ加工が不要になるため、液滴吐出ヘッド8内に切粉(カス)が付着するのを防止できる。さらに、固定箇所に不具合が生じた場合など、ナット261を交換するのみなので、リザーバ24にねじ穴を形成する場合と比較して、交換効率が向上する。
【0072】
リザーバ24は、樹脂により形成されていてもよい。上述したように第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8では、ナット261およびビス262によってリザーバ24と放熱板45とを固定するため、リザーバ24にねじ穴を形成することなくリザーバ24と放熱板45とを固定することができる。
【0073】
収容部246は、下方(Z軸負方向)に開口を有する箱形状を有する。収容部246の一対の側面246a,246b(第3側面、第4側面の一例)は、ナット261を側方から挟むように設けられる。具体的には、収容部246の側面246aは、ナット261の側面261a(第1側面の一例)と対向するように設けられ、収容部246の側面246bは、ナット261の側面261aの反対に位置する側面261b(第2側面の一例)と対向するように設けられる。収容部246の側面246aは、ナット261の側面261aと接触していてもよく、収容部246の側面246bは、ナット261の側面261bと接触していてもよい。
【0074】
図6および図7に示すように、収容部246の開口は、リザーバ本体241における下蓋242との対向面に設けられる。言い換えれば、収容部246の開口は、リザーバ本体241の下面に位置する。収容部246の開口が収容部246の側面に設けられている場合、液滴吐出ヘッド8を製造する際、ナット261をかかる開口から収容部246に収容し、リザーバ本体241および下蓋242を上下反転させるときに、ナット261がリザーバ本体241から脱落しやすくなる。そこで、収容部246の開口をリザーバ本体241の下面に設けることで、側面に開口を有する場合と比較して、ナット261がリザーバ本体241から脱落しにくい。
【0075】
下蓋242は、収容部246の開口を覆う。下蓋242は、収容部246の開口に対応する位置に凸部242aを有する。言い換えると、凸部242aは、収容部246の開口を覆う蓋部として機能する。凸部242aは、少なくとも一部が収容部246に位置する。かかる構成によれば、収容部246に収容されたナット261が上下方向に位置ずれするのを低減することができる。
【0076】
また、上述したように、リザーバ24は2つの開口244を有している。印刷を行う際は、一方の開口244から液体を供給して、他方の開口244は閉じておいてもよい。また、両方の開口244から液体を供給してもよい。液滴吐出ヘッド8に最初に液体を導入する際に、一方の開口244から液体を供給して、他方の開口244から液体を回収すれば、リザーバ24の内部にある流路中にあった空気や保存液などが流路から抜け易いので、液滴吐出ヘッド8への液体の導入を容易にすることができる。
【0077】
また、印刷を行っている間、一方の開口244から液体を供給して、他方の開口244から液体を回収してもよい。そのようにすれば、リザーバ24の内部にある流路中に気泡が溜まり難くできる。さらに、一定の温度に調整した液体を供給することで、液滴吐出ヘッド8の温度を安定させることができる。回収した液体は、フィルタ等を通した後、再度、液滴吐出ヘッド8に供給してもよい。すなわち、液体を循環させてもよい。液滴吐出ヘッド8への液体の供給および回収、あるいは、液体の循環は、制御部14が制御してもよい。
【0078】
さらに、リザーバ24から流路部材21に液体を供給するとともに、流路部材21からリザーバ24に液体を回収してもよい。さらに、流路部材21内において、ノズル(吐出孔)が面している流路に対して、液体の供給および回収を行って、ノズル内およびその周辺において、液体が滞留し難いようにしてもよい。そのような態様では、全体では、液滴吐出ヘッド8に対して外部から液体が供給され、その液体の一部が吐出孔から吐出され、吐出されなかった液体は外部に回収される。
【0079】
<液滴吐出ヘッドの製造方法>
つづいて、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の製造方法の一例について説明する。まず、流路部材21と、リザーバ24と、ヘッドカバー40と、放熱板45と、断熱部材50と、ナット261およびビス262とを用意する。
【0080】
次に、リザーバ24が有するナット261の収容部246にナット261を収容する。具体的には、リザーバ本体241を図6に示す状態、すなわち、リザーバ本体241における収容部246の開口が位置する面を上方に向けた状態で載置した後、リザーバ本体241の各収容部246にナット261を収容する。その後、リザーバ本体241上に下蓋242を設置する。具体的には、下蓋242の凸部242aがリザーバ本体241の収容部246に入り込むように、下蓋242をリザーバ本体241上に設置する。その後、リザーバ本体241および下蓋242を上下反転させる。このとき、収容部246の開口は、下蓋242の凸部242aによって塞がれた状態となっているため、液滴吐出ヘッド8の組み立て中に収容部246からナット261が脱落しにくい。
【0081】
次に、リザーバ24を流路部材21の上に配置する。具体的には、流路部材21を圧電アクチュエータ基板22が位置する第1面21aを上方に向けた状態で載置した後、分岐流路部材23を流路部材21の上に設置する。その後、かかる分岐流路部材23の上にリザーバ24を設置する。
【0082】
次に、ヘッドカバー40をヘッド本体20に取り付ける。具体的には、ヘッドカバー40をヘッド本体20の上に載置した後、ビス(不図示)を用いてヘッド本体20にヘッドカバー40を固定する。
【0083】
次に、放熱板45をヘッドカバー40に取り付ける。具体的には、放熱板45の第1貫通孔46にビス80を挿通し、かかるビス80をヘッドカバー40の第1貫通孔41に嵌め合わすことで、放熱板45をヘッドカバー40に取り付ける。
【0084】
次に、リザーバ本体241が有する収容部246の側面を貫通する第1貫通孔245と、断熱部材50が有する第1貫通孔245と対応する位置に位置する第2貫通孔55にビス262を挿通し、ナット261と嵌め合わす。これにより、第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8が得られる。なお、上記した第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の製造方法は一例にすぎず、たとえば各工程の順序等に制限はない。
【0085】
上述したように、ナット261およびビス262によってリザーバ24と放熱板45とを固定することによって、単にビスまたはボルトのみで固定する場合と比較して、より強固にリザーバ24および放熱板45とを固定することができ、液滴吐出ヘッド8の封止性を向上することができる。
【0086】
なお、ここでは、リザーバ本体241と下蓋242とでナット261を挟み込む例について示したが、ナット261を収容する構成はこの例に限られない。たとえば、リザーバ本体241と、リザーバ本体241の上方に配置される上蓋243(図5参照)とでナット261を挟み込むこととしてもよい。この場合、リザーバ本体241における収容部246は、上方(Z軸正方向)に開口を有し、上蓋243はかかる開口を覆う。さらに、上蓋243のリザーバ本体241との対向面には、かかる開口と対応する位置に凸部(図示せず)が設けられていてもよい。
【0087】
また、たとえば、リザーバ本体241と下蓋242と上蓋243とでナット261を挟み込むこととしてもよい。この場合、リザーバ本体241における収容部246は、上方(Z軸正方向)および下方(Z軸負方向)にそれぞれ開口を有し、下蓋242と上蓋243とでかかる開口を覆う。
【0088】
また、ここでは、第2固定部材としてのビス262が第1貫通孔245および第2貫通孔55を貫通する例について説明したが、これに限らず、第1固定部材が第1貫通孔245および第2貫通孔55を貫通してもよい。この点については、第5実施形態で後述する。また、第1固定部材および第2固定部材の両方が第1貫通孔245および第2貫通孔55に挿通されてもよい。
【0089】
(第2実施形態)
<板状部材の構成>
図8は、第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の概略構成を示す分解斜視図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド8は、必ずしも断熱部材50を備えることを要しない。この場合、液滴吐出ヘッド8の放熱板45は、リザーバ24と対向する部位が、ヘッドカバー40と対向する部位よりもヘッド本体20の長手方向(Y軸方向)に突出していてもよい。放熱板45には、リザーバ24の第1貫通孔245と対応する位置に第2貫通孔49が設けられる。
【0090】
この場合も同様に、ビス(不図示)が第1貫通孔245および第2貫通孔49に挿通され、ナット261と嵌め合わされることによって、放熱板45とリザーバ24とは固定される。
【0091】
(第3実施形態)
<凸部の構成>
図9は、第3実施形態に係るリザーバ24の要部の構成を示す模式的な断面図である。図9に示すように、リザーバ24の下蓋242における凸部242aと、ナット261とは接触していてもよい。具体的には、凸部242aは、先端面においてナット261の角部と接触していてもよい。
【0092】
この場合、凸部242aの先端面は、ナット261の角部の形状に対応した溝部242bを備えていてもよい。図9に示すように、たとえば溝部242bは、V字形状に窪んでいてもよい。
【0093】
かかる構成によれば、収容部246に収容されたナット261を凸部242aによって固定し、ナット261の回転を防止することができる。
【0094】
(第4実施形態)
<リザーバ本体の構成>
図10は、第4実施形態に係るリザーバ本体241の構成を示す模式的な平面図である。図11は、図10に示すXI-XI線に沿った断面図である。図10に示すように、リザーバ本体241は、流路247内に突起部248が形成されていてもよい。この場合、突起部248は、収容部246と対応する位置に設けられる。かかる構成によれば、収容部246を設けたことによるリザーバ本体241の強度不足を突起部248によって補うことができる。
【0095】
図10および図11に示すように、突起部248は、たとえば頂部から流路247の底面に向けてなだらかな曲線状になっていてもよい。かかる構成によれば、流路247内のインクの流れが妨げられにくい。
【0096】
(第5実施形態)
<カバー部材の構成>
図12は、第5実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の概略構成を示す分解斜視図である。図12に示すように、液滴吐出ヘッド8は、ヘッドカバー40、放熱板45および断熱部材50が一体もので構成されてもよい。以下、ヘッドカバー40、放熱板45および断熱部材50が一体化されたカバー部材60について説明する。
【0097】
カバー部材60は、鉛直方向(ここでは、Z軸方向)に開口し且つ主走査方向(ここでは、Y軸方向)に長く延びる四角筒形状を有する。具体的には、ヘッドカバー40は、下面に第1開口60aを有しており、上面に第2開口60bを有している。また、カバー部材60は、第1側壁61と、第2側壁62と、第3側壁63と、第4側壁64を一体的に有する。
【0098】
第1側壁61は、ヘッド本体20の長手方向における一端側(ここでは、Y軸負方向側)に位置する。第2側壁62は、ヘッド本体20の長手方向における他端側に位置する(ここでは、Y軸正方向側)。第3側壁63は、ヘッド本体20の短手方向における一端側(ここでは、X軸負方向側)に位置する。第3側壁63は、ヘッド本体20の長手方向一端側において第1側壁61に連続し、ヘッド本体20の長手方向他端側において第2側壁62に連続する。第4側壁64は、ヘッド本体20の短手方向における他端側(ここでは、X軸正方向側)に位置する。第4側壁64は、ヘッド本体20の長手方向一端側において第1側壁61に連続し、ヘッド本体20の長手方向他端側において第2側壁62に連続する。
【0099】
副走査方向(ここでは、X軸方向)に沿って対向する第3側壁63、第4側壁64は、ドライバIC33に接するように設けられており、ドライバIC33で生じた熱を放熱する放熱板として機能する。すなわち、カバー部材60は、ドライバIC33で生じた熱を放熱する放熱板として機能する。第3側壁63、第4側壁64は、リザーバ24と対向する部位が、配線部30と対向する部位よりもヘッド本体20の長手方向(Y軸方向)に突出していてもよい。第3側壁63、第4側壁64には、リザーバ24の第1貫通孔245と対応する位置に第2貫通孔69が設けられる。この場合も同様に、ビス262(図5参照)が第1貫通孔245および第2貫通孔69に挿通され、ナット261(図5参照)と嵌め合わされることによって、カバー部材60とリザーバ24とは固定される。
【0100】
このように、液滴吐出ヘッド8は、ヘッドカバー40、放熱板45および断熱部材50が一体もので構成されてもよい。かかる構成によれば、ヘッドカバー40、放熱板45および断熱部材50がそれぞれ分離可能に構成された場合と比較して、液滴吐出ヘッド8の剛性を向上させることができる。
【0101】
(第6実施形態)
図13は、第6実施形態に係る液滴吐出ヘッド8の構成を示す模式的な断面図である。第1実施形態では、第1固定部材がナット261であり、第2固定部材がビス262である例について説明したが、第1固定部材および第2固定部材はこれらに限られない。たとえば、第1固定部材は六角ボルトまたは六角穴付ボルトであり、第2固定部材はナットであってもよい。図13の例では、第1固定部材が六角ボルト70、第2固定部材がナット75である場合を示す。図13に示すように、第1固定部材としての六角ボルト70は、少なくとも一部、具体的には六角ボルト70の頭部がリザーバ24の内部に位置する。第2固定部材としてのナット75は、断熱部材50の外部に位置する。この場合、六角ボルト70が第1貫通孔245および第2貫通孔55に挿通され、ナット75と嵌め合わされることによって、断熱部材50とリザーバ24とは固定される。すなわち、第1固定部材が第1貫通孔245および第2貫通孔55を貫通した状態で、断熱部材50とリザーバ24とを固定してもよい。
【0102】
また、第1固定部材および第2固定部材は、ボルトおよびナットのような締結部材に限定されない。たとえば、第1固定部材および第2固定部材は、所謂ラッチ機構を構成する2つの部材であってもよい。たとえば、第1固定部材および第2固定部材は、プッシュラッチまたはマグネットラッチ等を構成する2つの部材であってもよい。この場合、第1固定部材および第2固定部材のうち一方がストライクを有し、他方が上記ストライクと結合するラッチを有していればよい。第1固定部材および第2固定部材のいずれか一方が第1貫通孔245および第2貫通孔55に挿通され、第2固定部材と結合することにより、断熱部材50とリザーバ24とは固定される。その他、第1固定部材および第2固定部材は、たとえばマグネットキャッチまたはボールキャッチ等のキャッチ機構を構成する2つの部材であってもよい。
【0103】
第1固定部材および第2固定部材は、いずれも金属を含んで構成されてもよい。かかる構成とすることで、たとえば、樹脂製のリザーバ24と一体的にネジ溝を形成する場合と比べて、断熱部材50とリザーバ24とをより強固に固定することができる。
【0104】
一実施形態において、(1)液滴吐出ヘッド(一例として、液滴吐出ヘッド8)は、ヘッド本体(一例として、ヘッド本体20)と、ヘッドカバー(一例として、ヘッドカバー40)と、板状部材(一例として、放熱板45、断熱部材50)とを備える。ヘッド本体は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ヘッドカバーは、ヘッド本体に取り付けられる。板状部材は、ヘッドカバーの側面に取り付けられる。ヘッド本体は、流路部材(一例として、流路部材21)と、リザーバ(一例として、リザーバ24)と、ナット(一例として、ナット261)および雄ねじ(一例として、ビス262)とを備える。流路部材は、複数の吐出孔を有する。リザーバは、流路部材の上に位置し、流路部材に液体を供給する。リザーバは、ナットが収容される収容部(一例として、収容部246)と、収容部の側面を貫通する第1貫通孔(一例として、第1貫通孔245)とを有する。板状部材は、第1貫通孔と対応する位置に第2貫通孔(一例として、第2貫通孔55)を有する。雄ねじは、第1貫通孔および第2貫通孔に挿通され、ナットと嵌め合わされる。
【0105】
(2)上記(1)の液滴吐出ヘッドにおいて、リザーバは、樹脂により形成されていてもよい。
【0106】
(3)上記(1)または(2)の液滴吐出ヘッドにおいて、板状部材は、放熱板または断熱部材であってもよい。
【0107】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの液滴吐出ヘッドにおいて、リザーバは、リザーバ本体(一例として、リザーバ本体241)と、リザーバ本体の上方に配置される上蓋(一例として、上蓋243)と、リザーバ本体の下方に配置される下蓋(一例として、下蓋242)とを備え、リザーバ本体と上蓋または下蓋とでナットを挟み込んでもよい。
【0108】
(5)上記(4)の液滴吐出ヘッドにおいて、収容部は、上方または下方に開口を有する箱形状を有し、上蓋または下蓋は、収容部の開口を覆ってもよい。
【0109】
(6)上記(5)の液滴吐出ヘッドにおいて、収容部の開口は、上蓋または下蓋との対向面に設けられ、上蓋または下蓋は、少なくとも一部が収容部に位置する凸部(一例として、凸部242a)を備えていてもよい。
【0110】
(7)上記(6)の液滴吐出ヘッドにおいて、凸部は、先端面においてナットの角部と接触し、先端面は、ナットの角部の形状に対応した溝部(一例として、溝部242b)を備えていてもよい。
【0111】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つの液滴吐出ヘッドにおいて、ナットは、第1側面(一例として、側面261a)と、第1側面と反対に位置する第2側面(一例として、261b)とを有し、収容部は、第1側面と対向する第3側面(一例として、側面246a)と、第2側面と対向する第4側面(一例として、側面246b)とを有してもよい。
【0112】
(9)液滴吐出ヘッドは、液滴が吐出される複数の吐出孔を有し、側面を貫通する第1貫通孔を有するヘッド本体と、第1貫通孔と対応する位置に位置する第2貫通孔を有するカバー部材(一例として、カバー部材60)と、少なくとも一部がヘッド本体の内部に位置する第1固定部材(一例として、ナット261、六角ボルト70)と、少なくとも一部がカバー部材の外部に位置し第1固定部材と嵌め合う第2固定部材とを備え、前記第1固定部材と第2固定部材(一例として、ビス262、ナット75)は、第1固定部材および第2固定部材の少なくとも一方が第1貫通孔および第2貫通孔に挿通された状態で第1固定部材および第2固定部材の他方と嵌め合うことでヘッド本体とカバー部材とを固定してもよい。
【0113】
(10)上記(9)の液滴吐出ヘッドは、第1固定部材および第2固定部材のいずれか一方が、第1貫通孔および第2貫通孔を貫通してもよい。
【0114】
(11)液滴吐出ヘッドは、液滴が吐出される複数の吐出孔と、樹脂からなる側面を貫通する第1貫通孔を有するヘッド本体と、第1貫通孔と対応する位置に位置する第2貫通孔を有するカバー部材と、少なくとも一部がヘッド本体の内部に位置する第1固定部材と、少なくとも一部がカバー部材の外部に位置する第2固定部材と、を備え、第1固定部材と第2固定部材は、第1固定部材および第2固定部材の少なくとも一方が第1貫通孔および第2貫通孔に挿通された状態でヘッド本体とカバー部材とを固定してもよい。
【0115】
(12)上記(11)の液滴吐出ヘッドにおいて、第1固定部材と第2固定部材とは互いに結合していてもよい。
【0116】
(13)記録装置(一例として、プリンタ1)は、上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドを制御する制御部(一例として、制御部14)とを備えてもよい。
【0117】
(14)複数の吐出孔を有する流路部材と、流路部材に液体を供給するリザーバと、ヘッドカバーと、板状部材とを備える液滴吐出ヘッドの製造方法は、リザーバは、ナットが収容される収容部と、収容部の側面を貫通する第1貫通孔とを有し、板状部材は、第1貫通孔と対応する位置に第2貫通孔を有し、リザーバが有する収容部にナットを収容する工程と、リザーバを流路部材の上に配置する工程と、ヘッドカバーを流路部材およびリザーバを備えるヘッド本体に取り付ける工程と、板状部材をヘッドカバーに取り付ける工程と、リザーバが有する第1貫通孔および板状部材が有する第2貫通孔に雄ねじを挿通して、ナットと嵌め合わす工程とを含んでもよい。
【0118】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 プリンタ
6 搬送ローラ
7 フレーム
8 液滴吐出ヘッド
20 ヘッド本体
21 流路部材
22 圧電アクチュエータ基板
23 分岐流路部材
24 リザーバ
30 配線部
40 ヘッドカバー
41 第1貫通孔
45 放熱板
46 第1貫通孔
50 断熱部材
55 第2貫通孔
80 ビス
245 第1貫通孔
246 収容部
261 ナット
262 ビス
【要約】
本開示による液滴吐出ヘッド(8)は、ヘッド本体(20)と、ヘッドカバー(40)と、板状部材(45,50)とを備える。ヘッド本体(20)は、液滴が吐出される複数の吐出孔を有する。ヘッドカバー(40)は、ヘッド本体(20)に取り付けられる。板状部材(45,50)は、ヘッドカバー(40)の側面に取り付けられる。ヘッド本体(20)は、流路部材(21)と、リザーバ(24)と、ナット(261)および雄ねじ(262)とを備える。流路部材(21)は、複数の吐出孔を有する。リザーバ(24)は、流路部材(21)の上に位置し、流路部材(21)に液体を供給する。リザーバ(24)は、ナット(261)が収容される収容部(246)と、収容部(246)の側面を貫通する第1貫通孔(245)とを有する。板状部材(45,50)は、第1貫通孔(245)と対応する位置に第2貫通孔(55)を有する。雄ねじ(262)は、第1貫通孔(245)および第2貫通孔(55)に挿通され、ナット(261)と嵌め合わされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13