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  • 特許-重量式充填装置 図1
  • 特許-重量式充填装置 図2
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  • 特許-重量式充填装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】重量式充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/20 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
B67C3/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020182975
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073168
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】太田 栄博
(72)【発明者】
【氏名】木越 弘明
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-031143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の円周方向に複数設けられた重量計と、各重量計に連結されるとともに容器が載置される複数の載置台と、各載置台の上方に設けられて容器に充填液を充填する充填ノズルと、各載置台に設けられて容器を支持する支持手段とを備え、容器内に所定重量の充填液を充填するようにした重量式充填装置において、
各載置台に設けられて上記支持手段を昇降させる昇降機構と、各載置台に設けられて上記昇降機構を駆動させる駆動モーターと、各載置台に設けられるとともに上記駆動モーターと接続されて、無線給電で電力を受ける受電器と、上記回転体の外部に設けられた外部電源と接続されるとともに、上記受電器と対向する位置で当該受電器に無線給電を行う少なくとも1つの給電器とを備え、
上記給電器と対向する受電器に接続される駆動モーターに電力を供給し、当該駆動モーターにより上記昇降機構を駆動させて上記支持手段を昇降させることを特徴とする重量式充填装置。
【請求項2】
各受電器に対向する回転体の各位置にそれぞれ給電器を配置したことを特徴とする請求項1に記載の重量式充填装置。
【請求項3】
上記回転体の外周部の近接位置に少なくとも1つの給電器を配置し、上記回転体を所要回転角度位置で停止させることにより上記給電器に各受電器を対向させて給電することを特徴とする請求項1に記載の重量式充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重量式充填装置に関し、より詳しくは、容器に充填される充填液の重量を重量計により計測しながら充填を行う重量式充填装置のグリッパ昇降機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を載置する載置台と、載置台に連結された重量計とを備えて、載置台上の容器に充填される液体の重量を重量計で計測しながら充填を行う重量式充填装置は周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4164909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の重量式充填装置においては、重量計の信号が乱れるのを防ぐために、載置台に取り付けられる部材は外部と接触しないように配置されている。そして、載置台に設けられて容器の首部を保持するグリッパは、充填する容器の種類に応じて高さを変更する必要がある。
しかしながら、容器の種類に対応してグリッパの高さを手動で変更した場合は、作業者による変更作業に多くの時間を要していた。
また、特許文献1では容器の上端口部を上方から抑える昇降可能な位置決め手段を備えて、位置決め手段を下降させて容器の上端口部に接触させると、該位置決め手段が昇降機構から離隔する構成の重量式充填装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1の重量式充填装置は、位置決め手段が容器の口部と接触するためにサニタリー性が良好ではなく、また、載置台上に容器がない場合は位置決め手段が昇降機構と接触する構成となっているため、容器の風袋重量を正確に計測できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、回転体の円周方向に複数設けられた重量計と、各重量計に連結されるとともに容器が載置される複数の載置台と、各載置台の上方に設けられて容器に充填液を充填する充填ノズルと、各載置台に設けられて容器を支持する支持手段とを備え、容器内に所定重量の充填液を充填するようにした重量式充填装置において、
各載置台に設けられて上記支持手段を昇降させる昇降機構と、各載置台に設けられて上記昇降機構を駆動させる駆動モーターと、各載置台に設けられるとともに上記駆動モーターと接続されて、無線給電で電力を受ける受電器と、上記回転体の外部に設けられた外部電源と接続されるとともに、上記受電器と対向する位置で当該受電器に無線給電を行う少なくとも1つの給電器とを備え、
上記給電器と対向する受電器に接続される駆動モーターに電力を供給し、当該駆動モーターにより上記昇降機構を駆動させて上記支持手段を昇降させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持手段を昇降させる昇降機構を回転体と非接触で配置することができ、容器の種類を変更する際の支持手段の高さ調整作業(型替作業)を自動で行えるため、調整作業の時間を短縮するとともに、作業者の作業負担を軽減することが可能な重量式充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す平面図。
図2図1の充填装置本体の縦断面図。
図3】本発明の第2実施例を示す平面図。
図4図3の要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は容器2内に充填液を充填する回転式の重量式充填装置である。この重量式充填装置1は、時計方向に連続的に回転されて容器2内に所定重量の充填液を充填する充填装置本体3と、供給コンベヤ4によって搬送されてきた空の容器2を供給位置Aにおいて充填装置本体3に供給する供給スターホイール5と、充填液の充填が終了した容器2を排出位置Bにおいて充填装置本体3上から排出して排出コンベヤ6上へ排出する排出スターホイール7と、これらの作動を制御する制御装置8とを備えている。
【0009】
図2に示すように、充填装置本体3は、時計方向に連続的に回転される回転体11を備えており、この回転体11の外周部の円周方向等間隔位置にロードセル等の重量計12を取り付けている。
【0010】
各重量計12における上端には、容器2を載置するプレート状の載置台13が水平に連結されている。各載置台13には、容器2の首部を把持する支持手段としてのグリッパ14が設けられている。グリッパ14は、常時引っ張りばねで閉鎖方向に付勢された左右一対の把持部材からなり、容器2が載置台13に供給されると容器2の首部2Aがグリッパ14の左右の把持部材の間に挿入されて把持されるようになっている。
【0011】
供給コンベヤ4上を搬送されてくる空の容器2は、インフィードスクリュー15と係合した後に供給ホイール5によって搬送される。供給ホイール5の周囲には図示しない開閉可能な容器把持機構が設けられており、インフィードスクリュー15によって送られてくる容器2を把持しつつ搬送する。供給ホイール5によって把持される容器2は、供給位置Aにおいて各載置台13上のグリッパ14に首部2Aが押し込まれ、順次載置第13上に供給されるようになっている。載置台13上に容器2が供給されると、容器2は風袋重量を重量計12によって計測されるようになっている。この重量計12によって計測した重量は、逐次制御装置8に入力されるようになっている。
【0012】
各載置台13における上方の所定高さ位置には、従来公知の充填ノズル16が配置されており、この充填ノズル16内に配置されている図示しない開閉弁の開閉作動は制御装置8によって制御されるようになっている。本実施例の充填ノズル16は所定高さに固定して配置されている。
【0013】
前述したように、回転体11の回転中に供給位置Aで空の容器2が載置台13に供給されると、容器2の首部2Aがグリッパ14によって把持されるとともに、充填ノズル16の開閉弁が制御装置8によって開放されて容器2内への充填液の充填が開始されるようになっている。その後、重量計12から制御装置8へ入力される容器2内の充填液の重量が所定重量に達したら、制御装置8は充填ノズル16の開閉弁を閉鎖させるので、容器2内に所定重量の充填液が充填されるようになっている。
【0014】
充填液が充填された容器2は、排出位置Bにおいて排出スターホイール7によって載置台13から排出されて排出コンベヤ6上に載置されてから下流側へ搬送されるようになっている。なお、排出スターホイール7の周囲には図示しない開閉可能な容器把持機構が設けられており、排出位置Bにおいてグリッパ14によって把持されている容器2を把持し、グリッパ14から容器2を離脱するようになっている。
【0015】
載置台13における回転体11の回転中心側の位置には、ガイドロッド18が立設されており、このガイドロッド18にグリッパ14の基部14Aが昇降自在に取り付けられている。また、載置台13には、ガイドロッド18に隣接させて鉛直方向の送りねじ19が回転自在に軸支されており、上記グリッパ14の基部14Aに設けたナット部材20に送りねじ19を螺合させている。
【0016】
載置台13の下面には駆動モーター21が取り付けられており、この駆動モーター21の駆動軸に取り付けたベベルギヤ22を上記送りねじ19の下端に取り付けたベベルギヤ23に噛合させている。
【0017】
この駆動モーター21の駆動軸が所要量、正逆に回転されると、ベベルギヤ22、23を介して送りねじ19が正逆に回転されるので、グリッパ14が昇降されて該グリッパ14の高さが変更されるようになっている。本実施例においては、ガイドロッド18、送りねじ19、駆動モーター21、ベベルギヤ22,23によって、グリッパ14を昇降させる昇降機構24が構成されている。
【0018】
駆動モーター21は制御装置8と無線で送受信できる通信機能を有しており、制御装置8から発信される無線指令を受けると駆動モーター21が正逆方向に回転駆動されるようになっている。また、駆動モーター21にはエンコーダー25が設けてあり、このエンコーダー25の検出信号も無線で制御装置8に入力されるようになっている。そのため、制御装置8はエンコーダー25による検出信号によって、駆動モーター21の駆動軸の回転角度を認識できるようになっている。
【0019】
駆動モーター21の隣接位置となる載置台13の下面には、無線給電の受電器27を取り付けてあり、この受電器27を駆動モーター21に接続している。
【0020】
各載置台13の駆動モーター21に接続されている受電器27に対向させて、回転体11の円周方向の等間隔位置に給電器28が配置されている。つまり、載置台13に設けた受電器27と同じ数の給電器28が回転体11に配置されている。
【0021】
各給電器28は、回転体11に設けたスリップリング29と電線を介して外部電源31に接続されている。給電器28と受電器27とは離隔しているが、回転体11が回転すると給電器28と受電器27は、近接位置で対向した状態のまま回転体11と一体的に回転して、常時、外部電源31から駆動モーター21に非接触で電力を供給できるようになっている。
【0022】
制御装置8には、処理対象となる容器2の種類と、それらの容器2の首部2Aの高さ及び各容器2の首部2Aに対応するグリッパ14の高さ位置のデータが予め保存されている。
【0023】
そして、処理対象となる容器2の種類を変更する際に、作業者が変更後の容器2の種類を制御装置8に入力すると、制御装置8は、当該容器2の種類に応じたデータに基づいて各載置台13の駆動モーター21に作動指令を指示する。それにより、各駆動モーター21が制御装置8から受信した作動指令に基づいて正逆方向に所要量だけ回転駆動されるようになっている。それによって、昇降機構24を介してグリッパ14が容器2の首部2Aの高さに応じた所定高さに調整されるようになっている。
【0024】
以上のように、本実施例の重量式充填装置1においては、高さの異なる容器2に変更する際には、容器2の首部2Aの高さに応じてグリッパ14の高さを昇降機構24によって調整することができる。また、グリッパ14は、容器2の首部2Aを把持するものであって容器2の上端口部には接触しない。そのため、サニタリー性が良好であって、かつ、型替時の作業者の作業負担を軽減可能な重量式充填装置1を提供することができる。
【0025】
また、本実施例においては、容器2の首部2Aをグリッパ14で把持する構成であり、容器2を上方から抑えて載置台13上に固定する構成となっていない。そのため、肉厚が薄くなって剛性が低下している最近の容器2であっても座屈を生じさせることなく、容器2をグリッパ14で載置台13上に固定することができる。
【0026】
また、本実施例においては、載置台13は、その外部の部材と接触していないので、載置台13に容器2が載置された際に、その風袋重量を重量計12によって正確に計測できるので、精度が高い重量充填を行うことができる。
【0027】
次に、図3ないし図4は本発明の第2実施例を示したものである。上記第1の実施例においては、各載置台13の受電器27と同数の給電器28を回転体11に配置して、常時、電力を供給可能な構成としているが、この第2実施例においては、給電器28を回転体11の外周部の近接位置に少なくとも1つだけ配置する構成を採用している。
【0028】
また、上記第1の実施例においては、受電器27を載置台13における回転体11の回転中心側に配置していたが、この第2実施例においては、回転体11における外周部側となる載置台13の下面に受電器27が配置されている。
【0029】
そして、この第2実施例において、図3に示すように、回転体11の外周部の近接位置に給電器28を1つだけ配置した構成では、グリッパ14の高さを変更する際には、回転体11を隣り合う載置台13を設けた1ピッチずつ間欠移動させて、載置台13の受電器27を1つずつ給電器28に対向する位置まで移動させて、駆動モーター21を1つずつ駆動させるようになっている。
【0030】
なお、図示しないが、給電器28を隣り合わせて2つ配置した構成においては、回転体11は2ピッチずつ間欠移動させて載置台13の2つの受電器27を2つの給電器28に対向する位置まで移動させることで、載置台13の2つの駆動モーター21を同時に駆動させることができる。
【0031】
その他の構成は、上述した第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する各部材には同じ部材番号を付している。
【0032】
このような構成の第2実施例においては、第1の実施例よりも給電器28の数を減少させることで装置全体として製造コストの削減になるが、型替作業においては全ての載置台13のグリッパ14を容器2の種類に応じた高さに調整するための作業時間が上記第1の実施例よりも長く掛かることになる。しかしながら、従来と比較してこの第2実施例においても、型替の際の作業者の作業負担を軽減することが可能である。
【0033】
なお、上記各実施例においては、載置台13に載置された容器2の首部2Aをグリッパ14で把持するようにしているが、上記特許文献1と同様にグリッパ14自体を環状に構成して所要量上方側に位置させておき、載置台13に容器2が載置されたら環状のグリッパ14を昇降機構によって下降させて容器2の上端口部あるいは肩部に当接させて抑えることで、載置台13上に容器2を固定するように構成してもよい。
【0034】
また、受電器27と駆動モーター21との間にバッテリーを配置して、バッテリーに電力を充填した後、バッテリーからの電力によって駆動モーターを駆動させることも可能である。
【0035】
さらに、上記各実施例においては、駆動モーター21をベベルギヤ22、23を介して送りねじ19と連結していたが、駆動モーター21を直接送りねじ19と連結させても良い。
【符号の説明】
【0036】
1…重量式充填装置 2…容器
2A…首部 3…充填装置本体
8…制御装置 11…回転体
12…重量計 13…載置台
14…グリッパ(支持手段) 16…充填ノズル
21…駆動モーター 24…昇降機構
27…受電器 28…給電器
31…外部電源
図1
図2
図3
図4