(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ふろ装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20241113BHJP
【FI】
F24H15/196 301Z
(21)【出願番号】P 2020213321
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 義孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158289(JP,A)
【文献】特開2017-181022(JP,A)
【文献】特開2019-203622(JP,A)
【文献】特開2012-149856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽を含むふろ装置であって、
前記浴槽の水位を検出する水位検出器と、
前記水位検出器による前記浴槽の水位検出値に基づいて入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する制御部とを備え、
前記制御部は、予め定められた時間間隔の前後での水位変化量が予め定められた入浴判定値以上になると前記浴槽への入浴を
判定するとともに、前記水位変化量が予め定められた退浴判定値未満になると、前記浴槽からの退浴を
判定し、
前記制御部は、前記退浴状態を初期状態として、前記入浴の
判定時における前記水位変化量および前記退浴の
判定時における前記水位変化量を積算し、前記初期状態からの前記水位変化量の積算値が予め定められた第1の判定閾値以上である場合に、前記入浴状態であると判定し、
前記制御部は、前記入浴状態において、前記積算値が前記第1の判定閾値よりも低下すると、前記入浴状態から前記退浴状態への遷移を判定する、ふろ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入浴状態から前記退浴状態への遷移を判定すると、前記積算値を初期化する、請求項1に記載のふろ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記水位変化量が前記入浴判定値以上となる状態が予め定められた第1の時間以上継続すると、前記入浴を
判定し、前記水位変化量が前記退浴判定値未満となる状態が予め定められた第2の時間以上継続すると、前記退浴を
判定する、請求項1または2に記載のふろ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記入浴の
判定時における前記水位変化量と対応付けて前記退浴判定値を設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のふろ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記退浴状態において、前記水位検出値が予め定められた上限値よりも大きい場合には、当該水位検出値による前記入浴の
判定を禁止する、請求項1に記載のふろ装置。
【請求項6】
給湯装置と、
循環ポンプを有し、前記給湯装置と前記浴槽との間で前記浴槽内の湯水を循環するための循環路とをさらに備え、
前記水位検出器は、前記循環路内の水圧に基づいて前記浴槽内の水位を検出するように構成され、
前記制御部は、前記退浴状態における前記水位検出値に基づいて基準水位を生成し、
前記制御部は、前記循環路を用いた動作の実行中には、前記動作の終了後における前記水位検出値を用いて前記基準水位に対する水位上昇量を算出し、前記水位上昇量が予め定められた第2の判定閾値以上である場合には、前記入浴状態であると判定するとともに、前記積算値を、前記水位上昇量に更新する、請求項1に記載のふろ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記水位上昇量が前記第2の判定閾値未満である場合には、前記退浴状態であると判定するとともに、前記積算値を初期化する、請求項6に記載のふろ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記退浴状態において、現在から予め定められた所定時間前の前記水位検出値に従って前記基準水位を定期的に更新する一方で、前記入浴状態において、前記基準水位の更新を停止し、
前記制御部は更に、前記退浴状態において前記動作の実行中には、前記基準水位の更新を停止し、前記動作が停止されると、当該停止時から前記所定時間後において、前記基準水位の更新を再開する、請求項6または7に記載のふろ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふろ装置に関し、より特定的には、水位センサを備えたふろ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の水位検出値に基づいて、浴槽内での入浴者の存否を判定する方法が公知である。特開2003-83606号公報(特許文献1)には、予め定められた所定時間内での水位の上昇を検知することによって入浴を検知し、反対に、当該所定時間内での水位の低下を検知することによって退浴を検知するふろ装置が記載されている。
【0003】
特開2019-203621号公報(特許文献2)には、入浴者の動作によらず浴槽内での入浴者の存否を判定することができる入退浴判定装置が記載されている。特許文献2の入退浴判定装置では、浴槽内の湯水量変更処理を実行し、当該処理時における、浴槽内での湯水の水位を検出する水位検出部の検出値を用いて、浴槽内での入浴者の存否を判定することが記載されている。
【0004】
又、特開2014-199168号公報(特許文献3)では、水位センサの出力特性として、浴槽内への湯張り完了後における循環配管内の湯水温度の変化に伴う比重の変化に起因して、浴槽水位の判断誤差が大きくなる可能性が指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-83606号公報
【文献】特開2019-203621号公報
【文献】特開2014-199168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所定時間内での水位検出値の変化に基づいて入退浴を検知する方法では、浴槽内の入浴者の存否を誤判定することが問題となる。一例として、浴槽内に複数人が存在している同時入浴の状態において、当該複数人のうちの1人が浴槽から退浴した場合に、当該退浴による水位検出値の低下に応じて、浴槽内に入浴者が存在していない退浴状態を誤判定することが懸念される。
【0007】
又、入浴者が浴槽内で体勢を変えたのみであるのに、この際の水位検出値の低下に応じて退浴状態を誤判定することが懸念される。尚、特許文献2の入退浴判定装置によれば、入浴者の体勢変更による水位検出値の低下が生じても、上述した、強制的な湯水変更処理の際の水位検出値に基づいて、入浴が継続していることを正しく検知することが期待できる。ただし、特許文献2では、入浴者の存否を確認するために強制的な注湯又は排水を行うことが想定されるので、これに伴う無駄なコストが発生することが懸念される。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、浴槽の水位センサを用いて、浴槽内での入浴者の存否を正確に判定することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面では、浴槽を含むふろ装置であって、浴槽の水位を検出する水位検出器と、水位検出器による浴槽の水位検出値に基づいて入浴状態であるか退浴状態であるかを判定する制御部とを備える。制御部は、予め定められた時間間隔の前後での水位変化量が予め定められた入浴判定値以上になると浴槽への入浴を判定するとともに、水位変化量が予め定められた退浴判定値未満になると、浴槽からの退浴を判定する。制御部は、退浴状態を初期状態として、入浴の判定時における水位変化量および退浴の判定時における水位変化量を積算し、初期状態からの水位変化量の積算値が予め定められた第1の判定閾値以上である場合に、入浴状態であると判定する。制御部は、入浴状態において、積算値が第1の判定閾値よりも低下すると、入浴状態から退浴状態への遷移を判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、浴槽の水位センサを用いて、浴槽内での入浴者の存否を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係るふろ装置を含む給湯システムの概略構成図である。
【
図2】水位センサの検出値を用いた入退浴の
判定を説明する概念図である。
【
図3】本実施の形態に係る入退浴判定を説明するための概略的な波形図である。
【
図4】本実施の形態に係る入退浴判定を説明するためのフローチャートである。
【
図5】浴槽の配置高さの分類を説明する概念図である。
【
図6】浴槽の配置高さに依存した水位検出値の変化を説明する概念図である。
【
図7】本実施の形態に係る入退浴判定に用いる退浴判定値を説明するための概念的な波形図である。
【
図8】実施の形態2に係る入退浴判定を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態3に係る入退浴判定を説明するためのフローチャートである。
【
図10】実施の形態3に係る基準水位生成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施の形態3に係る入退浴判定の第1の実施例を説明するための概念的な波形図である。
【
図12】実施の形態3に係る入退浴判定の第2の実施例を説明するための概念的な波形図である。
【
図13】実施の形態3に係る入退浴判定の第3の実施例を説明するための概念的な波形図である。
【
図14】実施の形態3に係る入退浴判定の第4の実施例を説明するための概念的な波形図である。
【
図15】実施の形態3に係る入退浴判定の第5の実施例を説明するための概念的な波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
[実施の形態1]
(給湯システムの構成例)
図1は、本実施の形態に係るふろ装置を含む給湯システムの概略構成図である。
【0014】
図1を参照して、給湯システム300は、給湯装置100を備える。給湯装置100は、給湯回路5、追焚回路7、循環路8、及び、コントローラ12を備える。給湯装置100は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
【0015】
給湯回路5は、導入された低温水を加熱するための加熱機構(図示せず)を含むように構成される。加熱機構は、例えば、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱、及び、発電時の排熱又はヒートポンプによる加熱の何れを利用する構成であってもよい。又、給湯回路5は、加熱された高温水がそのまま出湯される構成の他、加熱された高温水を貯留する貯湯式の構成であってもよい。
【0016】
給湯回路5は、加熱機構の作動により、ユーザによる設定温度に従う温水を出力することができる。一方で、当該加熱機構の停止時には、低温水が加熱されることなく給湯回路5から出力される。
【0017】
給湯回路5の出湯経路(図示せず)は、浴槽20へ至る注湯配管13aと接続される。注湯配管13aには、ふろ注湯弁13が介挿接続される。ふろ注湯弁13は、例えば、開閉制御可能な電磁弁によって構成することができる。ふろ注湯弁13を開放することにより、給湯回路5から注湯配管13aへ湯水が出力される経路を形成することができる。これにより、給湯装置100は、給湯栓等に加えて、給湯先に浴槽20を含むことができる。以下では、給湯回路5からの出力温度に関わらず、ふろ注湯弁13の開放により、湯又は水が、注湯配管13aを経由して浴槽20へ供給される動作を「注湯」と称する。注湯配管13aには、図示しない流量センサが設けられており、当該流量センサによって注湯流量を検出することができる。
【0018】
循環路8は、浴槽20の湯水21(以下、「浴槽水21」とも称する)を給湯装置100内で循環するためのものであり、戻り配管8a及び往き配管8bと、循環ポンプ10とを有する。戻り配管8aの一方端は、浴槽20内の循環アダプタ25と接続され、他端は、追焚回路7の入力側と接続される。往き配管8bの一端は、追焚回路7の出力側と接続され、他端は循環アダプタ25と接続される。
【0019】
循環ポンプ10の作動により、循環アダプタ25から吸入された浴槽水21が、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して、循環アダプタ25から吐出される経路(追焚循環経路)が形成される。追焚回路7は、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱機構(図示せず)を含むように構成することができる。追焚回路7は、追焚循環経路の形成時に作動して、戻り配管8aから導入された浴槽水21を加熱して、往き配管8bに出力する。加熱後の浴槽水21が往き配管8bによって浴槽20へ供給されることにより、浴槽水21の温度を上昇する追焚運転を行うことができる。
【0020】
戻り配管8aには、温度センサ9及び水位センサ11が接続されている。温度センサ9により、浴槽水21の温度を検出することができる。温度センサ9は、例えば、サーミスタによって構成することができる。
【0021】
水位センサ11は、例えば、圧力センサによって構成され、浴槽水21の水圧に基づいて、浴槽20内での浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検出する。温度センサ9及び水位センサ11は、循環ポンプ10の停止時においても、戻り配管8a内で浴槽水21が浸入する領域に配置される。水位センサ11は「水位検出器」の一実施例に対応する。
【0022】
戻り配管8aは、更に、接続点8cにおいて、注湯配管13aと接続される。この結果、循環ポンプ10の停止時に給湯装置100から注湯すると、注湯配管13aから、接続点8c及び戻り配管8aを経由して浴槽20へ至る第1の注湯経路と、注湯配管13aから、接続点8c、戻り配管8a、追焚回路7、及び、往き配管8bを経由して浴槽20へ至る第2の注湯経路とを形成することができる。これにより、給湯装置100からの注湯によるふろ湯張り運転を行うことができる。
【0023】
この様に、給湯装置100(注湯回路)からの湯水は、第1及び第2の注湯経路による、循環路8を含む注湯経路を介して、浴槽20へ供給される。浴槽20には、排水栓26が設けられる。
【0024】
コントローラ12は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。コントローラ12は、給湯回路5、追焚回路7、温度センサ9、循環ポンプ10、水位センサ11、及び、ふろ注湯弁13等と電気的に接続されている。コントローラ12は、図示しない電気配線を介して電源と接続されて、電力供給を受ける。コントローラ12には、温度センサ9及び水位センサ11による検出値が入力される。
【0025】
更に、コントローラ12は、リモコン30及びリモコン50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。
【0026】
リモコン30は、浴室200の壁面に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン30は、情報を表示するための表示部31と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部32とを含む。表示部31は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽水位及び温度を表示可能に構成されている。操作部32は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、浴槽水位及び温度に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0027】
リモコン50は、浴室200の外部に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモコン50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52とを含む。
【0028】
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、及び、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0029】
コントローラ12は、リモコン30,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯システム300がユーザ指示に従って運転されるように、給湯装置100の動作を制御する。コントローラ12は「制御部」の一実施例に対応する。
【0030】
当該制御の一例として、コントローラ12は、リモコン30,50の操作により、ふろ自動運転が指示されると、浴槽20への湯張り運転を実行する。当該湯張り運転は、給湯装置100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0031】
給湯システム300では、浴槽20への湯張り運転の終了後、給湯装置100によって浴槽水21の温度及び水位を維持する自動モードを設定することが可能である。当該自動モードの選択時には、温度センサ9によって検出された浴槽水温度が、ふろ設定温度に対応されて設定された基準温度(例えば、ふろ設定温度よりも2~3℃低く設定)よりも低下すると、保温制御のために追焚運転が自動的に起動される。更に、水位センサ11によって検出された浴槽水位が設定水位よりも低下すると、給湯装置100から浴槽20へ追加的に注湯する足し湯運転が起動される。
【0032】
(入退浴判定処理)
本実施の形態に係る給湯システムでは、浴槽20の水位センサ11の検出値を用いて、浴槽20への入退浴が判定される。
【0033】
図2には、水位センサの検出値を用いた入退浴の
判定を説明する概念図が示される。
【0034】
図2を参照して、浴槽20への湯張り運転の終了時には、水位センサ11によって検出される浴槽水位は、設定水位に達している。この状態が「退浴状態」として初期設定される。「退浴状態」とは、浴槽20に入浴者が存在していない状態に相当する。
【0035】
退浴状態において、水位上昇に関する予め定められた入浴判定条件が成立すると、退浴状態から入浴状態への遷移、即ち、入浴が判定される。「入浴状態」とは、浴槽20に少なくとも1人の入浴者が存在している状態に相当する。これに対して、入浴状態において、水位低下に関する予め定められた退浴判定条件の成立が判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移、即ち、退浴が判定される。
【0036】
図3には、本実施の形態に係る入退浴判定を説明するための概略的な波形図が示される。
図3を参照して、浴槽20水位検出値hは、水位センサ11による各時点での出力値をそのまま用いてもよく、或いは、ローパスフィルタ等によって当該出力値からノイズ(高周波成分)を除去したものであってもよい。
【0037】
図3の例では、水位検出値hは、時刻taでの1人目の入浴者の入浴に応じて上昇した後、時刻tbにおいて、2人目の入浴者の入浴に応じて更に上昇する。その後、時刻tcにおいて1人目(若しくは2人目)の入浴者が退浴したことによって水位検出値hは低下する。その後、時刻tdにおいて2人目(若しくは1人目)の入浴者が退浴することで、水位検出値hは更に低下する。
【0038】
ここで、比較例として、一定時間間隔での水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1以上上昇した場合に、入浴判定条件が成立し、反対に、当該水位変化量Δhtnが退浴判定値Δhth2を超えて低下した場合に、退浴判定条件が成立するような入退浴判定を考える(但し、Δhth2<0)。
【0039】
当該比較例では、時刻taでの1人目の入浴に対応して、時刻t1又はそれ以降のタイミングで、入浴を判定することができる。その一方で、時刻tcでの1人目(若しくは2人目)の入浴者の退浴に対応して、時刻t6において、Δhtx<Δhth2の成立に応じて、退浴を誤判定する虞がある。この場合には、時刻t6以降では、2人目(若しくは)1人目の入浴者が入浴中であって入浴状態であるにもかかわらず、退浴状態の判定が維持されることになる。そのため、浴槽20での入浴者の存否を正確に判定できないことが懸念される。
【0040】
このような懸念点に対応するために、本実施の形態では、以下に説明するような入退浴判定を実行する。
【0041】
図4は、本実施の形態に係る入退浴判定処理を説明するためのフローチャートである。例えば、
図4に示された各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。即ち、本実施の形態では、コントローラ12が「制御部」の一実施例に対応する。
【0042】
図4を参照して、コントローラ12は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)01では、現在の水位検出値htnを取得して記憶する。これにより、各時点での水位検出値hを、
図4の制御処理が実行される毎に周期的に蓄積することができる。尚、S01では、取得された現在の水位検出値htnが上限値hmaxと比較されて、htn≧hmaxである場合には、センサ或いはマイクロコンピュータの誤動作、又は、配管でのエア抜け等による瞬間的な圧力変動によって、検出異常が発生したと判定される。この場合には、以降の処理において、入退浴の
判定が強制的に禁止される。
【0043】
コントローラ12は、S02では、現在から所定のTx(秒)前の水位検出値htxを読み出す。この際に、既に蓄積されている水位検出値の一部を消去することで、入退浴判定に使用するメモリ容量を抑制することができる。
【0044】
コントローラ12は、S03では、S01で記憶した水位検出値htnからS02で読み出した水位検出値htxを減算することにより、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnを算出する(Δhtn=htn-htx)。尚、水位変化量Δhtnは、Tx(秒)前からの水位上昇に応じて正値(Δhtn>0)となり、Tx(秒)前からの水位低下に応じて負値(Δhtn<0)となる。そして、S04では、S03で算出された水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1と比較される。
【0045】
尚、入浴判定値Δhth1は、正値であり、所定体積(例えば、20[l]程度)の体積増減に対応する水位変化量として予め定めて、コントローラ12に記憶することができる。但し、入浴判定値Δhth1は、浴槽20の断面積によって変わってくる。例えば、浴槽20の配設を含む給湯システム300の施工時において、浴槽20の機種番号又はサイズ(上記断面積を特定できるデータ)を施工者が入力することで、コントローラ12が、当該入力値を用いて、入浴判定値Δhth1を算出し、かつ、記憶することが可能である。
【0046】
或いは、上記給湯システム300の施工時におけるふろ試運転時に試験的に実行されるふろ湯張り運転における水位検出値hの挙動から、自動的に求めることも可能である。具体的には、
図1の注湯配管13aに設けられた流量センサ(図示せず)の検出値の積算によって算出される浴槽20への注湯水量と、水位検出値hの変化量とを用いて、当該ふろ試運転時は、コントローラ12が予め定められた演算処理を実行することによって浴槽20の断面積を算出するとともに、算出された断面積から入浴判定値Δhth1を自動的に設定することが可能である。
【0047】
又は、入浴判定値Δhth1に対して、マニュアル調整値βを設定することも可能である。例えば、当該調整値βは、リモコン30,50の操作部32,52によって可能な(β>0)又は負値(β<0)とすることができる。調整値βが設定された場合には、S04では、Δhtn≧Δhth1+βであるか否かが判定されることになる。
【0048】
コントローラ12は、S03で算出した水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1以上のとき(S04のYES判定時)には、S05により、タイマ値Cnt1をカウントアップするとともに、S06により、タイマ値Cnt1を判定値C(Tj1)と比較する。判定値C(Tj1)は、予め定められたTj1(秒)の経過に対応するタイマ値で定義される。
【0049】
コントローラ12は、S05のタイマ値Cnt1が判定値C(Tj1)より小さいときには(S06のNO判定時)、S12以降の処理をスキップし、タイマ値Cnt1及び入浴フラグの状態を維持する。尚、入浴フラグは、浴槽20が入浴状態であるか退浴状態であるかを示すフラグであり、入浴状態のときには「ON状態」に設定され、退浴状態のときには「OFF状態」に設定される。その後、次の起動タイミングが到来すると、再び、S01以降の処理が起動される。上述の様に、S01においてhtn≧hmaxが成立した場合にも、S04はNO判定とされる。
【0050】
これに対して、コントローラ12は、S05のタイマ値Cnt1が判定値C(Tj1)以上であると(S06のYES判定時)、入浴に応じて浴槽水位の上昇が生じたものと判定する。即ち、退浴状態では、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1以上となる状態がTj1(秒)継続したときに、退浴状態から入浴状態への遷移が生じたと判定され、1人目の入浴者の入浴が判定される。更に、入浴判定後の入浴状態では、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1以上となる状態がTj1(秒)継続したときに、新たな入浴者の入浴が判定される。
【0051】
Tj1(秒)に亘る継続判定により、瞬間的な水位変化によって入浴を誤判定することを防止できる。尚、上述の様に、S02での読み出し値を入浴前のタイミングでの水位検出値として用いる場合には、当該継続判定のためのTj1(秒)と、入浴判定の際のTx(秒)との間には、Tx>Tj1の関係が設定される。
【0052】
コントローラ12は、S06により入浴が判定されると、S12により、水位変化量の積算値ΔHを算出する。この積算値ΔHは、退浴状態において初期値(ΔH=0)に設定される。コントローラ12は、入浴が判定されると、前回の水位変化量の積算値ΔHに、S03で算出した水位変化量Δhtnを加算することにより、積算値ΔHを算出する。水位変化量の積算値ΔHは、退浴状態における浴槽水位に対する、入浴判定時点での浴槽水位の変化量を表している。
【0053】
S04に戻って、S03で算出した水位変化量Δhtnが入浴判定値Δhth1未満のとき(S04のNO判定時)には、コントローラ12は、S07により、タイマ値をクリア(Cnt1=0)する。
【0054】
更に、コントローラ12は、S08により、S03で算出された水位変化量Δhtnと退浴判定値Δhth2とを比較する。尚、退浴判定値Δhtn2は、負値であり、後述の様に、入浴時の水位上昇量と対応付けて設定することができる。退浴判定値Δhth2は、入浴判定値Δhth1に比べて絶対値が大きくなるように設定される。
【0055】
S03で算出した水位変化量Δhtnが退浴判定値Δhth2以上のとき(S08のNO判定時)には、コントローラ12は、S11より、タイマ値をクリア(Cnt2=0)するとともに、S09以降の処理をスキップし、入浴フラグの状態を維持する。その後、次の起動タイミングが到来すると、再びS01の処理が起動される。上述の様に、S01においてhtn≧hmaxが成立した場合にも、S08はNO判定とされる。
【0056】
これに対して、S03で算出した水位変化量Δhtnが退浴判定値Δhth2未満のとき(S08のYES判定時)には、S09により、タイマ値Cnt2をカウントアップするとともに、S10により、タイマ値Cnt2を判定値C(Tj2)と比較する。判定値C(Tj2)は、予め定められたTj2(秒)の経過に対応するタイマ値で定義される。Tj2は、入浴判定時のTj1と共通の値でもよく、個別に設定してもよい。
【0057】
コントローラ12は、S09のタイマ値Cnt2が判定値C(Tj2)より小さいときには(S10のNO判定時)、S12以降の処理をスキップし、タイマ値Cnt2及び入浴フラグの状態を維持する。その後、次の起動タイミングが到来すると、再び、S01以降の処理が起動される。
【0058】
コントローラ12は、S09のタイマ値Cnt2が判定値C(Tj2)以上であるとき(S10のYES判定時)には、退浴に応じて浴槽水位の低下が生じたものと判定する。即ち、入浴判定後の入浴状態では、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが退浴判定値Δhth2未満となる状態がTj2(秒)継続したときに、退浴が判定される。退浴判定においても、継続判定のためのTj2(秒)と、Δhtnを求める際の時間間隔に相当するTx(秒)tの間には、Tx>Tj2の関係が設定される。尚、時間間隔Tx(秒)については、入浴判定及び退浴判定の間で共通の値としてもよく、異なる値としてもよい。
【0059】
コントローラ12は、S10により退浴が判定されると、S12により、水位変化量の積算値ΔHを算出する。具体的には、コントローラ12は、退浴が判定されると、前回までの水位変化量の積算値ΔHに、S03で算出した水位変化量Δhtnを加算することにより、積算値ΔHを算出する。水位変化量の積算値ΔHは、退浴状態における浴槽水位に対する、退浴判定時点での浴槽水位の変化量を表している。
【0060】
コントローラ12は、S13により、S12で算出した水位変化量の積算値ΔHと入退浴判定閾値ΔHthとを比較する。入退浴判定閾値ΔHthは、浴槽20が入浴状態であるか退浴状態であるかを判定するための判定閾値である。入退浴判定閾値ΔHthは、入浴判定値Δhth1と同様の手法により設定することができる。即ち、入退浴判定閾値ΔHthは、所定体積(例えば、20[l]程度)の体積増減に対応する水位変化量として予め定めて、コントローラ12に記憶することができる。或いは、給湯システム300の施工時におけるふろ試運転時に試験的に実行されるふろ湯張り運転における水位検出値hの挙動から、自動的に求めることも可能である。又、入退浴判定閾値ΔHthに対して、マニュアル調整値βを設定することも可能である。入退浴判定閾値ΔHthは、入浴判定値Δhth1と同じ値としてもよく、異なる値としてもよい。
【0061】
コントローラ12は、S12の積算値ΔHが入退浴判定閾値ΔHth以上のとき(S13のYES判定時)には、S14により、入浴状態であると判定して、入浴フラグをON状態に設定する。尚、入浴フラグがON状態である場合には、S14では、入浴フラグはON状態に維持される。入浴フラグがOFF状態である場合には、S14では、入浴フラグはOFF状態からON状態にセットされる。この場合、コントローラ12は、退浴状態から入浴状態への遷移が生じたと判定する。
【0062】
これに対して、コントローラ12は、S12の積算値ΔHが入退浴判定閾値ΔHth未満のとき(S13のNO判定時)には、S15により、退浴状態であると判定して、入浴フラグをOFF状態に設定する。尚、入浴フラグがOFF状態である場合には、S15では、入浴フラグはOFF状態に維持される。入浴フラグがON状態である場合には、S15では、入浴フラグはON状態からOFF状態にセットされる。この場合、コントローラ12は、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定する。
【0063】
更に、コントローラ12は、S15による退浴状態の判定に連動して、S16により、水位変化量の積算値ΔHを初期値(ΔH=0)に初期化する。
【0064】
再び
図3を参照して、時刻t1において、Δhtn≧Δhth1が
判定された後、Δhtn≧Δhth1の状態がTj1(秒)継続すると、時刻t2において、1人目の入浴者の入浴が
判定される。
【0065】
時刻t2では、入浴の判定に連動して、前回までの水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t2時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh1(Δh1>0)とすると、積算値ΔH=0(初期値)+Δh1=Δh1となる。時刻t2において、ΔH(=Δh1)≧ΔHthが判定されると、退浴状態から入浴状態への遷移が判定される。
【0066】
更に、入浴判定後の入浴状態では、時刻t3において、Δhtn≧Δhth1が判定された後、Δhtn≧Δhth1の状態がTj1(秒)継続すると、時刻t4において、2人目の入浴者の入浴が判定される。時刻t4では、入浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t4時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh2(Δh2>0)とすると、積算値ΔH=Δh1(現在値)+Δh2となる。時刻t4において、ΔH(=Δh1+Δh2)≧ΔHthが判定されると、入浴状態の判定が維持される。
【0067】
時刻tcでの入浴者の退浴によって、時刻t5において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhtn<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t6において、1人目(若しくは2人目)の入浴者の退浴が判定される。
【0068】
時刻t6では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t6時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh3(Δh3<0)とすると、積算値ΔH=Δh1+Δh2(現在値)+Δh3となる。時刻t6において、ΔH(=Δh1+Δh2+Δh3)≧ΔHthが判定されると、入浴状態の判定が維持される。
【0069】
更に、時刻tdでの入浴者の退浴によって、時刻t7において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhth<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t8において、2人目(若しくは1人目)の入浴者の退浴が判定される。
【0070】
時刻t8では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t8時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh4(Δh4<0)とすると、積算値ΔH=Δh1+Δh2+Δh3(現在値)+Δh4となる。時刻t8において、ΔH(=Δh1+Δh2+Δh3+Δh4)<ΔHthが判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0071】
図3の例では、時刻tcでの入浴者の退浴によって、時刻t5では、退浴判定値Δhth2を超えた水位検出値の低下が生じる。このため、上述した比較例の退浴判定では、時刻t6において、点線で表記するように、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと誤って判定される虞がある。
【0072】
しかしながら、時刻t6において、水位変化量の積算値ΔHは、時刻tcでの退浴によって生じる水位変化量Δhtn(=Δh3)が加算されたことによっても、入退浴判定閾値ΔHthを超えている。したがって、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと誤って判定されることを防止できる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態に係る入退浴判定では、入浴
判定時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn(水位上昇量)及び、退浴
判定時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn(水位低下量)を積算し、この水位変化量の積算値ΔHと入退浴判定閾値ΔHthとの比較に基づいて、浴槽内での入浴者の存否を判定するように構成される。上記構成において、水位変化量の積算値ΔHは退浴状態からの水位変化量を表しているため、退浴状態からの水位変化量に基づいて、浴槽内での入浴者の存否が判定されることになる。これによると、一定時間内の水位変化量に依らず入浴状態であるか退浴状態であるかが判定されるため、
図3に示す様に、複数人が連続して入浴した場合においても誤判定を抑制することができる。
【0074】
更に、上記構成において、Tj1(秒)に亘る継続判定を基に入浴判定時点での水位変化量Δhtn(水位上昇量)が取得されるとともに、Tj2(秒)に亘る継続判定を基に退浴判定時点での水位変化量Δhtn(水位低下量)が取得されるため、瞬間的な水位変化、或いは、カラン又はシャワーから浴槽20への注湯若しくは汲み湯による水位変化が誤って積算されることを防ぐことができる。
【0075】
更に、本実施の形態に係る入退浴判定によれば、平地配置、階上配置及び階下配置に共通して、言い換えると、浴槽20の配置高さ(具体的には、浴槽20及び水位センサ11の配置高さ差)に依存せず、入退浴判定を行うことが可能となる。
【0076】
図5は、浴槽の配置高さの分類を説明する概念図である。
図5を参照して、給湯装置100内での水位センサ11の配置高さを基準高さ(H=0)とすると、浴槽20の配置高さは、当該基準高さに対する
図1に示された循環アダプタ25の配置高さの差である高さ差ΔHdで定義することができる。
【0077】
例えば、
図5に示す様に、高さ差ΔHdと、予め定められた境界値H1,-H2との比較により、屋外で地上配置される給湯装置100(水位センサ11)に対する浴槽20の配置高さを、2階以上への配置に対応する「階上配置」、1階への配置に対応する「平地配置」、及び、地階への配置に対応する「階下配置」に層別することができる。
【0078】
図6は、浴槽の配置高さに依存した水位検出値の変化を説明する概念図である。
図6には、ふろ湯張り運転の完了後、時間経過に応じて、浴槽20(循環アダプタ25)及び水位センサ11の間に滞留する湯水の温度が徐々に低下する際の、圧力センサで構成された水位センサ11の出力電圧(即ち、水位検出値)の推移が示される。
【0079】
図6を参照して、時間経過に応じて上記滞留湯水の温度Tbtが低下するのに応じて、当該滞留湯水の比重が徐々に増加する。水位センサ11依りも高い位置に浴槽20が配置されるケース(階上配置)では、比重の増加が水圧上昇として水位センサ11に作用する。従って、特性線L1に示される様に、温度低下に応じて、水位センサ11の水位検出値が徐々に上昇する。
【0080】
これに対して、水位センサ11よりも低い位置に浴槽20が配置されたケース(階下配置)では、比重の増加が水位低下として水位センサ11に作用する。従って、特性線L2で示される様に、温度低下に応じて、水位センサ11の水位検出値が徐々に低下する。一方で、水位センサ11と浴槽20との配置高さの差が小さいケース(平地配置)では、特性線L0で示される様に、滞留湯水の温度に依存して、水位センサ11の水位検出値が上昇又は低下する現象は生じない。
【0081】
この様に、階上配置及び階下配置の場合には、湯水の温度変化に起因する誤差が含まれる虞があるので、水位検出値htnそのものが判定値と比較される入退浴判定では、入退浴の誤判定の可能性が生じる。本実施の形態に係る入退浴判定では、予め定められた時間間隔Tx(秒)における水位変化量Δhの積算値ΔHを算出し、算出した積算値ΔHを用いるため、上述した温度変化に依存した誤差の影響を無視できることが期待される。
【0082】
尚、実施の形態1での説明において、Tx(秒)は「予め定められた時間間隔」に対応し、入浴判定値Δhth1は「入浴判定値」に対応し、退浴判定値Δhth2は「退浴判定値」に対応する。又、入退浴判定閾値ΔHthは「第1の判定閾値」に対応する。Tj1(秒)及びTj2(秒)は、予め定められた「第1の時間」及び「第2の時間」にそれぞれ対応する。
【0083】
[実施の形態2]
実施の形態2では、本実施の形態に係る入退浴判定に用いる退浴判定値Δhth2について説明する。
【0084】
図7は、本実施の形態に係る入退浴判定に用いる退浴判定値Δhth2を説明するための概念的な波形図である。
図7の例では、水位検出値hは、時刻taでの入浴に応じて上昇した後、時刻tbにおいて、入浴者が体勢を変更したことによって低下する。例えば、時刻tbでは、段差付の浴槽20において、入浴者が半身浴のために段差部に腰掛けた動作を想定している。その後、時刻tcにおいて、入浴者が退浴することで、水位検出値hは更に低下する。
【0085】
ここで、比較例として、一定時間間隔での水位変化量Δhtnが、判定値Δhth以上上昇した場合に、入浴判定条件が成立し、反対に、水位変化量Δhtnが判定値-Δhthを超えて低下した場合に、退浴判定条件が成立するような入退浴判定を考える。
【0086】
当該比較例では、時刻taでの入浴に対応して、時刻t1又はそれ以降のタイミングで入浴を判定することができる。一方で、時刻tbでの体勢変更に対応して、時刻t3において、Δhtn<-Δhthの成立に応じて、退浴を誤判定する虞がある。この場合には、時刻t3以降では退浴状態の判定が維持されることになる。一方で、入浴者の体格(体積)に依存して入浴の際に生じる水位上昇量も異なるため、退浴判定値Δhth2をどのように設定するかが問題となる。
【0087】
このような問題点に対応するために、以下に説明するような入退浴判定を実行する。
【0088】
図8は、実施の形態2に係る入退浴判定を説明するためのフローチャートである。
図8のフローチャートは、
図4のフローチャートにS20~S25の処理を追加したものである。
図8に示された各ステップの制御処理についても、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。
【0089】
図8を参照して、コントローラ12は、
図4と同様のS01~S04により、Tx(秒)前及び現在の間の水位変化量Δhtnを入浴判定値Δhth1と比較する。S04において、Δhtn<Δhth1であるとき(S04のNO判定時)の処理は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0090】
コントローラ12は、Δhtn≧Δhth1が
判定されたときには(S04のYES判定時)、S20により、タイマ値Cnt1=0のとき、即ち、
図7の時刻t1時点でのTx(秒)前の水位検出値htxを、入浴前水位hbfrとして記憶する。更に、S05及びS06により、実施の形態1と同様の入浴判定が行われる。即ち、Δhtx≧hth1がTj1(秒)継続するまでは、入浴フラグの状態が維持される(S06)。
【0091】
コントローラ12は、Δhtn≧hth1がTj1(秒)継続して、S06がYES判定とされると、入浴を判定するとともに、S21~S25によって、退浴判定値Δhth2を設定する。
【0092】
コントローラ12は、S21では、水位検出値htnが安定しているかを判定する。予め定められた周期間での水位検出値htnの変化量がほぼゼロとみなせると、S21はYES判定とされる。例えば、前回の周期と今回の周期との間での水位検出値htn(S01)の差分と判定値εとの比較によってS21の判定を実行することができる。
【0093】
コントローラ12は、入浴判定後に水位検出値htnが安定すると(S21のYES判定時)、S23により、現在の水位検出値htnを入浴後水位hinと記憶する。そして、S24により、入浴後水位hinから入浴前水位hbfr(S20)を減算することによって、入浴時水位上昇量Δhinが算出される。
【0094】
更に、コントローラ12は、S25により、入浴時水位上昇量Δhinに従って、退浴判定値Δhth2を設定する。例えば、退浴判定値Δhtn2は、下記の式(1)によって設定することができる。式(1)中の係数は正の定数であり、例えば、k>1に設定される。式(1)中のmin{Δhin}は、複数人の同時入浴が判定された場合に、該複数人の入浴にそれぞれ対応して算出される複数の入浴時水位上昇量Δhinのうちの最小値を示している。即ち、最も小さい入浴時水位変化量Δhinを用いて退浴判定値Δhth2が設定される。
【0095】
Δhth2=min{Δhin}/k …(1)
例えば、
図3の様に、1人目の入浴者の入浴が
判定されると、1人目の入浴者の入浴時水位変化量Δhin1に従って、退浴判定値Δhtn2が設定される(Δhtn2=Δhin1/k)。更に、入浴
判定後の入浴状態において2人目の入浴者の入浴が
判定されると、2人目の入浴者の入浴時水位変化量Δhin2及び上記入浴時水位変化量Δhin1のうちの最小値min{Δhin1,Δhin2}に従って、退浴判定値Δhth2が設定される。
【0096】
但し、退浴判定値Δhth2は、予め定められた設定範囲内で設定することができる。この設定範囲は、上限値α×Δhth1(α>1)および下限値Δhth1を有する。
【0097】
退浴判定値Δhth2に上限値を設ける理由は、ふろ動作中に複数人が同時に入浴した場合、ふろ動作の前後における水位変化量に基づいて算出される入浴時水位変化量Δhinが、複数人の入浴時水位変化量を合計したものとなり、この入浴時水位変化量Δhinを用いて退浴判定値Δhth2を設定すると、退浴判定値Δhth2が高い値に設定されてしまうためである。退浴判定値Δhth2が高い値に設定されることで、各入浴者の退浴を正確に判定できなくなることが懸念されるためである。
【0098】
退浴判定値Δhth2に下限値を設ける理由は、上述したように、退浴判定値Δht2が低い値である場合、入浴者の体勢変更に対応して、退浴を誤判定する虞があるためである。
【0099】
尚、退浴判定値Δhth2に対しても、リモコン30,50の操作部32,52等によって入力可能なマニュアル調整値を設定することが可能である。当該マニュアル調整値は、係数kを増加又は減少させるように設定されてもよく、式(1)による計算値に対して加算される正値、又は、負値として設定されてもよい。
【0100】
一方で、入浴判定後(S06)に水位検出値htnが安定していない間(S21のNO判定時)、S22によって、周期的に水位検出値htnを記憶するとともに、S21による前回の水位検出値htnとの比較処理が実行される。即ち、入浴判定後には、水位検出値htnが安定するまでの間S23~S25の処理が待機される。
【0101】
再び
図7を参照して、時刻t1において、Δhtn≧Δhth1が
判定された後、Δhtn≧Δhth1の状態がTj1(秒)継続すると、入浴を
判定することができる。更に、入浴
判定後に水位検出値が安定した時刻t2xにおいて、入浴後水位hin及び入浴時水位上昇量Δhinを確定するとともに、退浴判定値Δhth2が設定される。尚、実施の形態2では、入浴
判定の条件にS21の判定を組み合わせることで、
図7中の時刻t2ではなく時刻t2xにおいて入浴を
判定することも可能である。
【0102】
コントローラ12は、入浴が
判定されると(S06)、退浴判定値Δhth2を設定するとともに、
図4と同様のS12により、前回までの水位変化量の積算値ΔH(初期値0)に今回の水位変化量Δhtnを加算することにより、水位変化量の積算値ΔHを算出する。そして、
図4と同様のS13により、水位変化量の積算値ΔHと入退浴判定閾値ΔHthとを比較する。時刻t2(又は時刻t2x)では、ΔH≧ΔHthであるため(S13のYES判定時)、退浴状態から入浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0103】
入浴
判定後の入浴状態では、コントローラ12は、
図4と同様のS01~S10により、現在の水位検出値htnと、現在からTx(秒)前の水位検出値htxとの差分(Δhtn=htn-htx)を、入浴判定値Δhth1及び、S25により設定された退浴判定値Δhth2と比較する。
【0104】
時刻tbでの入浴者の体勢変更によって、時刻t3では、判定値Δhthを超えた水位検出値の低下が生じる。しかしながら、時刻tbでの体勢変更に応じて算出される水位変化量Δhtnは、入浴時水位上昇量Δhinに対応付けて設定された退浴判定値Δhth2には達しない。そのため、水位変化量の積算値ΔHに対して、時刻t3での水位変化量Δhtnが加算されることがない。よって、ΔH≧ΔHthであるため(S13のYES判定時)、入浴状態の判定が維持される。
【0105】
一方で、時刻tcでの退浴に応じて算出される水位変化量Δhtnは、上記退浴判定値Δhth2を超えるので、例えば、時刻t5において退浴を
判定できる。コントローラ12は、退浴が
判定されると(S10)、
図4と同様のS12により、前回までの水位変化量の積算値ΔHに今回の水位変化量Δhtnを加算することにより、水位変化量の積算値ΔHを算出する。そして、
図4と同様のS13により、水位変化量の積算値ΔHと入退浴判定閾値ΔHthとを比較する。時刻t5では、ΔH<ΔHthであるため(S13のNO判定時)、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0106】
図8に示した退浴判定によれば、入浴者が浴槽内で体勢を変更した際に生じる浴槽水位の変化によって、退浴が誤検出されることを防止できる。その結果、誤って退浴状態と判定されることを防止できる。
【0107】
このように、実施の形態2に係る入退浴判定によれば、入浴判定時に、入浴時の水位上昇量Δhinと対応付けて退浴判定値Δhth2を設定するとともに、予め定められた時間間隔での水位変化量Δhtnと当該退浴判定値Δhth2との比較によって、退浴判定を実行する。入浴時の水位上昇量Δhinを退浴判定に用いることで、入浴者の体格(体積)に左右されずに、正確な退浴判定が可能となる。これにより、入浴者が全身浴から半身浴に体勢を変更した場合にも、簡易かつ正確に入浴者の退浴を判定することができる。
【0108】
[実施の形態3]
水位センサ11が圧力センサであって、浴槽水を給湯装置100内で循環するための循環路内の水圧に基づいて浴槽水位を判定するように構成されている場合、循環ポンプ10の作動によって循環路内の湯水が加圧されるため、水位センサ11による水位検出値に誤差が発生する。給湯装置100から浴槽20に注湯するとき(湯張り運転、足し湯運転など)においても、循環路内の湯水が加圧されるため、水位検出値に誤差が発生する。このように誤差を含んだ水位検出値を用いて上述した入退浴判定処理を行うと、入浴又は退浴を誤判定する可能性がある。
【0109】
実施の形態3では、水位センサ11により浴槽水位を検出できない場合を考慮した入退浴判定について説明する。
【0110】
図9は、実施の形態3に係る入退浴判定を説明するためのフローチャートである。
図9のフローチャートは、
図4のフローチャートにS40~S52の処理を追加したものである。
図9に示された各ステップの制御処理についても、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。
【0111】
図9を参照して、コントローラ12は、S40では、給湯装置100がふろ動作中であるか否かを判定する。本明細書において「ふろ動作」は、循環ポンプ10の作動により追焚循環経路を形成する循環動作と、ふろ湯張り運転及び足し湯運転における注湯動作とを含む。循環動作には、追焚運転における循環動作以外に、例えば、ドレン排水後の配管洗浄運電及びエアパージ運転等における、追焚回路7の加熱機構の燃焼を伴わない循環動作を含めることができる。ドレン排水後の配管洗浄運転は、ドレンタンク内のドレンを循環路8を経由して排水した後に、循環ポンプ10を作動させて循環路8に水を通流させることによって配管を洗浄する運転である。エアパージ運転は、循環路8内に浴槽水21を循環させることによって、循環路8内に混入した空気を除去する運転である。
【0112】
給湯装置100がふろ動作中でない場合(S40のNO判定時)、コントローラ12は、S01~S16の処理を実行する。一方、給湯装置100がふろ動作中である場合(S40のYES判定時)、コントローラ12は、S41に進み、ふろ動作が終了したか否かを判定する。ふろ動作が終了すると(S41のYES判定時)、コントローラ12は、S42に進み、基準水位hrefを読み出す。基準水位hrefは、退浴状態において取得された水位検出値hに基づいて生成される。基準水位hrefの生成方法については後述する。
【0113】
コントローラ12は、S43では、現在の水位検出値htnを取得して記憶する。コントローラ12は、S44では、S43で記憶した水位検出値htnからS42で読み出した基準水位hrefを減算することにより、基準水位hrefからの水位変化量Δhtnを算出する(Δhtn=htn-href)。そして、S45では、S44で算出された水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3と比較される。入退浴判定閾値Δhth3は、浴槽20が入浴状態であるか退浴状態であるかを判定するための判定閾値である。尚、入退浴判定閾値Δhth3は、入浴判定値Δhth1および入退浴判定閾値ΔHthと同様に、正値であり、所定体積(例えば、20[l]程度)の体積増減に対応する水位変化量として予め定めて、コントローラ12に記憶することができる。入退浴判定閾値Δhth3は「第2の判定閾値」に対応する。
【0114】
コントローラ12は、S44で算出した水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3未満であるとき(S45のNO判定時)には、S47により、タイマ値をクリア(Cnt3=0)するとともに、S51により、退浴状態であると判定して、入浴フラグをOFF状態に設定する。尚、入浴フラグがOFF状態である場合には、S51は、入浴フラグはOFF状態に維持される。入浴フラグがON状態である場合には、S51では、入浴フラグはON状態からOFF状態にセットされる。この場合、コントローラ12は、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定して、ふろ動作中の退浴を判定する。
【0115】
更に、コントローラ12は、S51による退浴状態の判定に連動して、S52により、水位変化量の積算値ΔHを初期値(ΔH=0)に初期化する。
【0116】
一方、コントローラ12は、S44で算出した水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3以上である場合(S45のYES判定時)には、S46により、タイマ値Cnt3をカウントアップするとともに、S48により、カウントアップ後のタイマ値Cnt3を判定値C(Tj3)と比較する。判定値C(Tj3)は、予め定められたTj3(秒)の経過に対応するタイマ値で定義される。
【0117】
コントローラ12は、S48のタイマ値Cnt3が判定値C(Tj3)より小さいときには(S48のNO判定時)、S47のスキップによりタイマ値Cnt3を維持した上で、S51により、退浴状態であると判定して、入浴フラグをOFF状態に設定する。
【0118】
これに対して、コントローラ12は、S46のタイマ値Cnt3が判定値C(Tj3)以上であると(S48のYES判定時)、S49により、入浴状態であると判定して、入浴フラグをON状態に設定する。尚、入浴フラグがON状態である場合には、S49では、入浴フラグはON状態に維持される。入浴フラグがOFF状態である場合には、S49では、入浴フラグはOFF状態からON状態にセットされる。この場合、コントローラ12は、ふろ動作中に退浴状態から入浴状態への遷移が生じたと判定して、ふろ動作中の入浴を判定する。
【0119】
更にコントローラ12は、S49による入浴状態の判定に連動して、S50により、水位変化量の積算値ΔHを、S44で算出した水位変化量Δhtnに設定する。即ち、S50では、水位変化量の積算値ΔHは、S44で算出した水位変化量Δhtnに更新される。
【0120】
図10は、実施の形態3に係る基準水位生成を説明するためのフローチャートである。例えば、
図10に示された各ステップの制御処理は、コントローラ12が予め格納されたプログラムを実行することで実現することができる。コントローラ12は、
図4及び
図9に示される入退浴判定処理に並行して、
図10に示される制御処理を繰り返し実行する。
【0121】
図10を参照して、コントローラ12は、S61では、浴槽20が退浴状態であるか否かを判定する。浴槽20が退浴状態でない場合(S61のNO判定時)、すなわち浴槽20が入浴状態である場合には、コントローラ12は、S67により、基準水位hrefを更新しないこととする。よって、基準水位hrefは現在の基準水位hrefに維持される。
【0122】
浴槽20が退浴状態である場合(S61のYES判定時)には、コントローラ12は、S62により、給湯装置100が省電力状態であるか否かを判定する。給湯装置100は、通常状態と、通常状態よりも供給電力が小さい省電力状態との間で相互に遷移可能に構成されている。例えば、通常状態において、給湯運転の停止状態が予め定められた閾値時間継続した場合、もしくは浴室200内に設置された人感センサ(図示せず)により浴室200内に人の存在が判定されない状態が閾値時間継続した場合、給湯装置100が省電力状態に遷移する。
【0123】
省電力状態では、通常状態に比べて、給湯装置100の各部(水位センサ11を含む)に供給する電源電圧が低く抑えられる。この電源電圧の低下に起因して、水位センサ11では、水位判定範囲の上限値が、通常状態における上限値よりも低くなる。その結果、水位センサ11は、当該上限値を超える浴槽水位を検出できなくなる。
【0124】
そこで、給湯装置100が省電力状態である場合(S62のYES判定時)、コントローラ12は、S67により、基準水位hrefを更新しない。よって、基準水位hrefは現在の基準水位hrefに維持される。
【0125】
給湯装置100が省電力状態でない、すなわち通常状態である場合(S62のNO判定時)、コントローラ12は、S63により、給湯装置100がふろ動作中であるか否かを判定する。上述の様に、ふろ動作は注湯動作及び循環動作を含む。給湯装置100がふろ動作中である場合(S63のYES判定時)、コントローラ12は、S67により、基準水位hrefを更新しない。よって、基準水位hrefは現在の基準水位hrefに維持される。
【0126】
給湯システム300がふろ動作中でない場合(S63のNO判定時)、コントローラ12は、S64に進み、現在からTx(秒)前の水位検出値htxが存在するかを判定する。S34では、現在からTx(秒)前の水位検出値htxが、入浴状態、省電力状態およびふろ動作中のいずれかにおいて取得された水位検出値でないことが判定される。言い換えれば、Tx(秒)前の水位検出値htxが、退浴状態において水位センサ11により正常に取得された水位検出値であるかが判定される。
【0127】
現在からTx(秒)前の水位検出値htxが存在する場合(S64のYES判定時)、S65では、コントローラ12は、Tx(秒)前の水位検出値htxを読み出す。この際に、既に蓄積されている水位検出値hの一部を削除することで、入退浴判定に使用するメモリ容量を抑制することができる。
【0128】
コントローラ12は、S66では、S65で読み出した水位検出値htxを基準水位hrefに設定することにより、基準水位hrefを更新する。
【0129】
以下、
図11から
図15を用いて、実施の形態3に係る入退浴判定処理を実施例を挙げて説明する。
【0130】
(第1の実施例)
図11は、実施の形態3に係る入退浴判定の第1の実施例を説明するための概念的な波形図である。
図12には、水位検出値hの波形(実線)とともに、基準水位hrefの波形(破線)が示されている。
【0131】
図11の例では、水位検出値hは、時刻taでの入浴に応じて上昇した後、時刻t4~t5の期間にふろ動作(追焚運転)が実行されたことによって、一時的に上限値hmaxに張り付いており、実際の浴槽水位(以下、「実水位」とも称する)とは乖離している。尚、実水位は、ふろ動作中の時刻tbにおいて、入浴者が退浴することで低下する。
【0132】
基準水位hrefは、退浴状態において、ふろ動作中でないときには、現在からTx(秒)前における水位検出値htxに従って定期的に更新される。時刻t3において、退浴状態から入浴状態への遷移が判定されると、基準水位hrefの更新が停止される。このときの基準水位hrefは、更新停止時点である時刻t3からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値htxである。
【0133】
時刻t3以降の入浴状態において、基準水位hrefは更新されない。よって、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。さらに、時刻t4においてふろ動作(追焚運転)が開始されると、基準水位hrefの更新停止が継続される。よって、時刻t4以降のふろ動作中においても、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。
【0134】
時刻t5にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、現在の水位検出値htnと、基準水位href(時刻t1における水位検出値htx)とに基づいて入退浴判定(
図9)が実行される。基準水位hrefからの水位変化量Δhtn(=htn-href)が入退浴判定閾値Δhth3と比較される。
図11の例では、Δhtn<Δhth3であるため、退浴状態であると判定され、入浴フラグがOFF状態に設定される。更に、退浴状態の判定に連動して、水位変化量の積算値ΔHが初期化される(ΔH=0)。
【0135】
時刻t5にて退浴状態が判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。但し、ふろ動作の終了時点である時刻t5では、Tx(秒)前の水位検出値htx(退浴状態で正常に取得された水位検出値)が存在しないため、基準水位hrefは更新されない。
【0136】
ふろ動作の終了時点(時刻t5)からTx(秒)が経過した時刻t6において、Tx(秒)前の水位検出値htxが存在すると判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。基準水位hrefは、時刻t6からTx(秒)遡った時点(時刻t5)における水位検出値htxに更新される。
【0137】
図11の例では、退浴状態において1人目の入浴者の入浴が
判定されると(時刻t2)、前回までの水位変化量の積算値ΔH=0(初期値)に、時刻t2時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh1が加算され、ΔH=0+Δh1となる。ΔH(=Δh1)≧ΔHthが
判定されると、退浴状態から入浴状態への遷移が判定される。
【0138】
ふろ動作中、水位変化量の積算値ΔHはΔh1に維持される。更に、ふろ動作の終了後において、ふろ動作中の入浴者の退浴によって、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定されると、水位変化量の積算値ΔHは初期化される(ΔH=0)に初期化される。
【0139】
(第2の実施例)
図12は、実施の形態3に係る入退浴判定の第2の実施例を説明するための概念的な波形図である。
図12の例では、水位検出値hは、時刻taでの入浴に応じて上昇した後、時刻t4~t5の期間にふろ動作(追焚運転)が実行されたことによって、一時的に上限値hmaxに張り付いており、実水位とは乖離している。水位検出値hは、ふろ動作後の時刻tbにおいて、入浴者が退浴することで低下する。第2の実施例は、第1の実施例(
図12)と比較して、ふろ動作中に入浴者が退浴せず、入浴状態が維持されている点が異なる。
【0140】
第1の実施例(
図11)と同様に、時刻t3において退浴状態から入浴状態への遷移が判定されると、基準水位hrefの更新が停止される。このときの基準水位hrefは、更新停止時点である時刻t3からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値htxである。
【0141】
時刻t5にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、現在の水位検出値htnと、基準水位href(時刻t1における水位検出値htx)とに基づいて入退浴判定(
図9)が実行される。基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3以上である状態がTj3(秒)継続すると、時刻t6において、入浴状態であると判定される。即ち、入浴状態の判定が維持される。
【0142】
図12の例では、ふろ動作の終了後に入浴状態であると判定されると、水位変化量の積算値ΔHは、基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnに更新される。時刻t6時点での基準水位hrefからの水位変化量Δhtn=Δh2(Δh2>0)とすると、積算値ΔHはΔh1からΔh2に更新される(ΔH=Δh2)。
【0143】
時刻tbでの入浴者の退浴によって、時刻t7において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhtn<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t8において、入浴者の退浴が判定される。
【0144】
時刻t8では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔH(=Δh2)に、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t8時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh3(Δh3<0)とすると、積算値ΔH=Δh2(現在値)+Δh3となる。時刻t6において、ΔH(=Δh2+Δh3)<ΔHthが判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0145】
時刻t8にて退浴状態が判定されると、積算値ΔHが初期化されるとともに(ΔH=0)、基準水位hrefの更新が再開される。但し、退浴状態の判定時点である時刻t8では、Tx(秒)前の水位検出値htx(退浴状態で正常に取得された水位検出値)が存在しないため、基準水位hrefは更新されない。
【0146】
退浴状態の判定時点(時刻t8)からTx(秒)が経過した時刻t9において、Tx(秒)前の水位検出値htxが存在すると判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。基準水位hrefは、時刻t9からTx(秒)遡った時点(時刻t8)における水位検出値htxに更新される。
【0147】
(第3の実施例)
図13は、実施の形態3に係る入退浴判定の第3の実施例を説明するための概念的な波形図である。
図13の例では、水位検出値hは、時刻t1~t2の期間にふろ動作(追焚運転)が実行されたことによって、一時的に上限値hmaxに張り付いている。実水位は、ふろ動作中の時刻taでの入浴に応じて上昇した後、ふろ動作後の時刻tbにおいて、入浴者が退浴することで低下する。第3の実施例は、第1の実施例(
図11)及び第2の実施例(
図12)と比較して、退浴状態においてふろ動作が開始されている点が異なる。
【0148】
退浴状態である時刻t1においてふろ動作が開始されると、基準水位hrefの更新が停止される。このときの基準水位hrefは、更新停止時点である時刻t1からTx(秒)前の時刻t0における水位検出値htxである。
【0149】
時刻t2にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、現在の水位検出値htnと、基準水位href(時刻t0における水位検出値htx)とに基づいて入退浴判定(
図9)が実行される。基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3以上である状態がTj3(秒)継続すると、時刻t3において、入浴状態であると判定される。即ち、退浴状態から入浴状態への遷移が判定される。
【0150】
図13の例では、ふろ動作の終了後に入浴状態であると判定されると、水位変化量の積算値ΔHは、基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnに更新される。時刻t3時点での基準水位hrefからの水位変化量Δhtn=Δh1(Δh1>0)とすると、積算値ΔHは初期値(ΔH=0)からΔh1に更新される(ΔH=Δh1)。
【0151】
時刻tbでの入浴者の退浴によって、時刻t5において入浴者の退浴が判定されると、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔH(=Δh1)に、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t5時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh2(Δh2<0)とすると、積算値ΔH=Δh1(現在値)+Δh2となる。時刻t5において、ΔH(=Δh1+Δh2)<ΔHthが判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0152】
時刻t5にて退浴状態が判定されると、積算値ΔHが初期化されるとともに(ΔH=0)、基準水位hrefの更新が再開される。具体的には、退浴状態の判定時点(時刻t5)からTx(秒)が経過した時刻t6において、Tx(秒)前の水位検出値htxが存在すると判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。基準水位hrefは、時刻t6からTx(秒)遡った時点(時刻t5)における水位検出値htxに更新される。
【0153】
(第4の実施例)
図14は、実施の形態3に係る入退浴判定の第4の実施例を説明するための概念的な波形図である。
図14の例では、水位検出値hは、
図3と同様に、時刻taでの1人目の入浴者の入浴に応じて上昇した後、時刻tbにおいて、2人目の入浴者の入浴に応じて更に上昇する。その後、時刻tcにおいて1人目(若しくは2人目)の入浴者が退浴したことによって水位検出値hは低下する。その後、時刻tdにおいて2人目(若しくは1人目)の入浴者が退浴することで、水位検出値hは更に低下する。但し、時刻t4~t5の期間にふろ動作(追焚運転)が実行されたことによって、水位検出値hは一時的に上限値hmaxに張り付いている。時刻t4は時刻ta~tbの間の時刻であり、時刻t5は時刻tb~tcの間の時刻である。
【0154】
時刻t3では、1人目の入浴者の入浴の判定に連動して、前回までの水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t3時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh1(Δh1>0)とすると、積算値ΔH=0(初期値)+Δh1=Δh1となる。時刻t3において、ΔH(=Δh1)≧ΔHthが判定されると、退浴状態から入浴状態への遷移が判定される。退浴状態から入浴状態への遷移が判定されると、基準水位hrefの更新が停止される。このときの基準水位hrefは、更新停止時点である時刻t3からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値htxである。
【0155】
時刻t3以降の入浴状態において、基準水位hrefは更新されない。よって、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。さらに、時刻t4においてふろ動作(追焚運転)が開始されると、基準水位hrefの更新停止が継続される。よって、時刻t4以降のふろ動作中においても、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。
【0156】
時刻t5にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、現在の水位検出値htnと、基準水位href(時刻t1における水位検出値htx)とに基づいて入退浴判定(
図10)が実行される。基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3以上である状態がTj3(秒)継続すると、時刻t6において、入浴状態であると判定される。即ち、入浴状態の判定が維持される。
【0157】
ふろ動作の終了後に入浴状態であると判定されると、水位変化量の積算値ΔHは、基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnに更新される。時刻t6時点での基準水位hrefからの水位変化量Δhtn=Δh5(Δh5>0)とすると、積算値ΔHはΔh1からΔh5に更新される(ΔH=Δh5)。なお、基準水位hrefからの水位変化量Δh5は、1人目の入浴者の入浴による水位変化量Δh1と、2人目の入浴者の入浴による水位変化量Δhとを加算したものと同等となる。
【0158】
時刻tcでの1人目(若しくは2人目)の入浴者の退浴によって、時刻t7において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhtn<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t8において、入浴者の退浴が判定される。
【0159】
時刻t8では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔH(=Δh5)に、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t6時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh3(Δh3<0)とすると、積算値ΔH=Δh5(現在値)+Δh3となる。時刻t8において、ΔH(=Δh5+Δh3)≧ΔHthが判定されると、入浴状態の判定が維持される。
【0160】
更に、時刻tdでの2人目(若しくは1人目)の入浴者の退浴によって、時刻t9において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhth<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t10において、2人目(若しくは1人目)の入浴者の退浴が判定される。
【0161】
時刻t10では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t10時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh4(Δh4<0)とすると、積算値ΔH=Δh5+Δh3(現在値)+Δh4となる。時刻t10において、ΔH(=Δh5+Δh3+Δh4)<ΔHthが判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0162】
時刻t10にて退浴状態が判定されると、積算値ΔHが初期化されるとともに(ΔH=0)、基準水位hrefの更新が再開される。退浴状態の判定時点(時刻t10)からTx(秒)が経過した時刻t11において、Tx(秒)前の水位検出値htxが存在すると判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。基準水位hrefは、時刻t11からTx(秒)遡った時点(時刻t10)における水位検出値htxに更新される。
【0163】
(第5の実施例)
図15は、実施の形態3に係る入退浴判定の第5の実施例を説明するための概念的な波形図である。
図15の例では、水位検出値hは、
図3と同様に、時刻taでの1人目の入浴者の入浴に応じて上昇した後、時刻tbにおいて、2人目の入浴者の入浴に応じて更に上昇する。その後、時刻tcにおいて1人目(若しくは2人目)の入浴者が退浴したことによって水位検出値hは低下する。その後、時刻tdにおいて2人目(若しくは1人目)の入浴者が退浴することで、水位検出値hは更に低下する。但し、時刻t6~t7の期間にふろ動作(追焚運転)が実行されたことによって、水位検出値hは一時的に上限値hmaxに張り付いている。時刻t6は時刻tb~tcの間の時刻であり、時刻t7は時刻tc~tdの間の時刻である。
【0164】
時刻t3では、1人目の入浴者の入浴の判定に連動して、前回までの水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t3時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh1(Δh1>0)とすると、積算値ΔH=0(初期値)+Δh1=Δh1となる。時刻t3において、ΔH(=Δh1)≧ΔHthが判定されると、退浴状態から入浴状態への遷移が判定される。退浴状態から入浴状態への遷移が判定されると、基準水位hrefの更新が停止される。このときの基準水位hrefは、更新停止時点である時刻t3からTx(秒)前の時刻t1における水位検出値htxである。
【0165】
更に、入浴判定後の入浴状態では、時刻t5において、2人目の入浴者の入浴が判定される。この入浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔHに、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t5時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh2(Δh2>0)とすると、積算値ΔH=Δh1(現在値)+Δh2となる。時刻t5において、ΔH(=Δh1+Δh2)≧ΔHthが判定されると、入浴状態の判定が維持される。
【0166】
時刻t3以降の入浴状態において、基準水位hrefは更新されない。よって、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。さらに、時刻t6においてふろ動作(追焚運転)が開始されると、基準水位hrefの更新停止が継続される。よって、時刻t6以降のふろ動作中においても、基準水位hrefは、時刻t1の水位検出値htxに維持される。
【0167】
時刻t7にてふろ動作が終了すると、正常な水位検出値を取得可能となるため、現在の水位検出値htnと、基準水位href(時刻t1における水位検出値htx)とに基づいて入退浴判定(
図9)が実行される。基準水位hrefからの水位変化量Δhtn(=htn-href)が入退浴判定閾値Δhth3と比較される。基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnが入退浴判定閾値Δhth3以上である状態がTj3(秒)継続すると、時刻t8において、入浴状態であると判定される。即ち、入浴状態の判定が維持される。
【0168】
図15の例では、ふろ動作の終了後に入浴状態であると判定されると、水位変化量の積算値ΔHは、基準水位hrefに対する水位変化量Δhtnに更新される。時刻t8時点での基準水位hrefからの水位変化量Δhtn=Δh3(Δh3>0)とすると、積算値ΔHはΔh1+Δh2からΔh3に更新される(ΔH=Δh3)。
【0169】
時刻tdでの入浴者の退浴によって、時刻t9において、Δhth<Δhth2が判定された後、Δhtn<Δhth2の状態がTj2(秒)継続すると、時刻t10において、入浴者の退浴が判定される。
【0170】
時刻t10では、退浴の判定に連動して、前回の水位変化量の積算値ΔH(=Δh3)に、Tx(秒)前からの水位変化量Δhtnが加算されることにより、水位変化量の積算値ΔHが算出される。時刻t10時点でのTx(秒)前からの水位変化量Δhtn=Δh4(Δh4<0)とすると、積算値ΔH=Δh3(現在値)+Δh4となる。時刻t10において、ΔH(=Δh3+Δh4)<ΔHthが判定されると、入浴状態から退浴状態への遷移が生じたと判定される。
【0171】
時刻t10にて退浴状態が判定されると、積算値ΔHが初期化されるとともに(ΔH=0)、基準水位hrefの更新が再開される。退浴状態の判定時点(時刻t10)からTx(秒)が経過した時刻t11において、Tx(秒)前の水位検出値htxが存在すると判定されると、基準水位hrefの更新が再開される。基準水位hrefは、時刻t11からTx(秒)遡った時点(時刻t10)における水位検出値htxに更新される。
【0172】
以上説明したように、実施の形態3に係る入退浴判定によれば、水位センサ11による浴槽水位の検出が不可となるふろ動作中は、退浴状態であって、ふろ動作中でないときの水位検出値を基準水位hrefとして、当該基準水位hrefに対するふろ動作終了時の水位検出値htnの水位変化量Δhtnに基づいて、入浴状態であるか退浴状態であるかが判定される。そして、入浴状態であると判定された場合には、水位変化量の積算値ΔHが上記水位変化量Δhtnに更新され(ΔH=Δhtn)、退浴状態であると判定された場合には、水位変化量の積算値ΔHが初期化される(ΔH=0)。
【0173】
これによると、ふろ動作中における入浴又は退浴を水位変化量の積算値ΔHに反映させることができるため、ふろ動作が行われた場合においても、浴槽内での入浴者の存否を正確に判定することができる。
【0174】
更に、基準水位hrefは、退浴状態において、現在から予め定められた所定時間T(x)前に取得された水位検出値に従って定期的に更新されるため、入浴又は退浴の際に生じる水位変化量を正確に算出することができる。したがって、水位変化量の積算値ΔHを正確に算出することができる。
【0175】
尚、実施の形態1~3に示した制御処理については、コントローラ12で実行される例を説明したが、当該制御処理を実行する主体はこれに限定されるものではない。例えば、リモコン30又は50に格納されたマイクロコンピュータ(図示せず)によって当該制御処理を実行することも可能であり、「制御部」に対応する機器は特に限定されるものではない。「制御部」の機能は、給湯システム300の外部機器によって実現することも可能である。
【0176】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0177】
5 給湯回路、7 追焚回路、8 循環路、10 循環ポンプ、11 水位センサ、12 コントローラ、20 浴槽、21 浴槽水、25 循環アダプタ、26 排水栓、100 給湯装置、200 浴室、300 給湯システム。