(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子装置、電子装置の製造方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20241113BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20241113BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241113BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20241113BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20241113BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20241113BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241113BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20241113BHJP
H10K 10/20 20230101ALI20241113BHJP
H10K 10/46 20230101ALI20241113BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L27/144 K
H01L27/146 C
H01L29/48 D
H01L29/48 F
H01L29/50 M
H01L29/78 617V
H01L29/86 301D
H01L29/86 301F
H01L31/08 Z
H10K10/20
H10K10/46
(21)【出願番号】P 2021002069
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-10-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 章一
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101499(JP,A)
【文献】特開平05-183165(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121408(WO,A1)
【文献】特開2012-216760(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102788(WO,A1)
【文献】特開2016-001737(JP,A)
【文献】特開2007-305802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/144
H01L 27/146
H01L 29/417
H01L 29/47
H01L 29/872
H01L 29/786
H01L 31/08
H10K 10/20
H10K 10/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンと、
前記グラフェンの第1面に設けられ、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極と
を含
み、
前記第1電極は、前記第1開口部として複数の孔を有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記第1電極は、前記第1開口部を介して平行に並び前記グラフェンと重複する複数の重複部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記グラフェンの前記第1面に、前記第1電極から離間して設けられる第2電極を含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記グラフェンの前記第1面に通じる第2開口部を有することを特徴とする請求項
3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1電極と前記第2電極との間に、前記グラフェンと対向して設けられる第3電極を含むことを特徴とする請求項
4に記載の電子装置。
【請求項6】
グラフェンを準備する工程と、
前記グラフェンの第1面に、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極を形成する工程と
を含
み、
前記第1電極は、前記第1開口部として複数の孔を有することを特徴とする電子装置
の製造方法。
【請求項7】
グラフェンと、
前記グラフェンの第1面に設けられ、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極と
を含
み、
前記第1電極は、前記第1開口部として複数の孔を有する電子装置を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、電子装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンを、金属を用いた電極と接続し、トランジスタのチャネル、ダイオード、配線材料、発受光素子等に適用することが提案されている。グラフェンと電極との接続に関し、例えば、グラフェンの電極との接続部分に、他の部位よりも状態密度の高い部位を設ける技術が知られている。このほか、コーン状凹部を設けた酸化アルミニウム膜の表面に沿ってグラフェン膜を形成し、グラフェン膜を覆い且つコーン状凹部を埋めるように金属層を形成する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-203929号公報
【文献】特開2011-155098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グラフェンを用いる電子装置では、グラフェンへの電流供給或いはグラフェンからの電流取り出しのため、グラフェンに電極が接続される。しかし、グラフェンと電極との接続では、それらの間のコンタクト抵抗が比較的高くなり、グラフェンの特性を十分に活かした電子装置を得ることができない場合がある。
【0005】
1つの側面では、本発明は、グラフェンと電極との低コンタクト抵抗の接続を有する電子装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、グラフェンと、前記グラフェンの第1面に設けられ、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極とを含み、前記第1電極は、前記第1開口部として複数の孔を有する電子装置が提供される。
また、別の態様では、上記のような電子装置の製造方法、上記のような電子装置を備える電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、グラフェンと電極との低コンタクト抵抗の接続を有する電子装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】グラフェンと電極との接続を有する電子装置の一例について説明する図(その1)である。
【
図2】グラフェンと電極との接続を有する電子装置の一例について説明する図(その2)である。
【
図3】第1の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る電子装置の第3の例について説明する図である。
【
図6】コンタクト抵抗の測定方法の一例について説明する図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定の一例について説明する図である。
【
図8】シミュレーションに用いたモデルの例について説明する図である。
【
図9】第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図(その1)である。
【
図10】第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図(その2)である。
【
図11】第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図(その3)である。
【
図12】第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図(その4)である。
【
図13】第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図(その5)である。
【
図14】第2の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
【
図16】第2の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定の一例について説明する図である。
【
図17】第3の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
【
図18】第3の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
【
図19】第4の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
【
図20】第4の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
【
図21】第5の実施の形態に係る電子機器の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
はじめに、グラフェンと電極との接続を有する電子装置の一例について説明する。
図1及び
図2はグラフェンと電極との接続を有する電子装置の一例について説明する図である。
図1(A)には電子装置の一例の要部平面図を模式的に示している。
図1(B)には電子装置の一例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図1(B)は
図1(A)のI-I断面模式図である。また、
図2(A)には電子装置の一例のグラフェンと電極との接続部における等価回路を模式的に示している。
図2(B)には電子装置の一例のグラフェンと電極との接続部における電流の流れを模式的に示している。
【0010】
図1(A)及び
図1(B)に示す電子装置100は、赤外線センサとして機能する電子装置の一例である。電子装置100は、基板110、絶縁膜120、グラフェン130、電極140及び電極150を有する。
【0011】
基板110には、例えば、Si(シリコン)基板が用いられる。絶縁膜120は、基板110の一方の面110aに設けられる。絶縁膜120には、例えば、SiO(酸化シリコン)が用いられる。グラフェン130は、絶縁膜120の一方の面120a(基板110側とは反対側の面)に設けられる。グラフェン130は、炭素原子がsp2結合により六角格子状に並んだ原子1層のシート状の物質であり、所定の幅Waに設定される。電極140及び電極150は、グラフェン130の一方の面130a(絶縁膜120側とは反対側の面)に、互いに所定の距離S0だけ離間して設けられる。電極140及び電極150はそれぞれ、グラフェン130の面130aの、互いに異なる領域AR101及び領域AR102(幅Wa×長さLa)と重複し、領域AR101及び領域AR102を覆うように設けられ、グラフェン130と接続される。電極140及び電極150には、例えば、Au(金)等の金属が用いられる。
【0012】
赤外線センサとして機能する電子装置100では、電極140と電極150との間に所定のバイアスが印加され、一方の電極140からグラフェン130を通じて他方の電極150に電流が流される。電極140と電極150との間のグラフェン130の部位で赤外線が受光されると、その赤外線の受光に起因したグラフェン130の電気伝導度の変化、或いは電極140と電極150との間の抵抗の変化に伴い、電極140と電極150との間に流れる電流が変化する。この電流の変化が検出されることで、電子装置100による赤外線の検出が行われる。
【0013】
赤外線センサは、暗視、セキュリティ、捜索救助、サーモグラフィー、天文学等、広範なアプリケーションがある。とりわけ室温での物体のピーク放出である長波長赤外線(波長8μm~12μm)由来の熱画像化が注目されている。従来、長波長赤外線の検出には、水銀カドミウムテルル(HgCdTe;MCT)センサが広く利用されてきた。しかし、MCTセンサは、長波長赤外線エネルギーでの電荷キャリアの生成が比較的微弱であり、室温で使用するとノイズが増大するため、高価でかさばる極低温システムが採用される。更に、MCTセンサは、複雑で高コストのプロセスを用いて製造される。
【0014】
これに対し、近年、グラフェンを受光材料に用いた室温での赤外線検出の可能性が示され、上記電子装置100のような、グラフェン130を受光材料とする赤外線センサの実現及びその性能向上が期待されている。
【0015】
電子装置100、即ち、グラフェン130を用いた赤外線センサでは、グラフェン130で受光された赤外線信号を高い信号/ノイズ比(S/N比)で取り出すために、グラフェン130と電極140及び電極150との間のコンタクト抵抗を低くすることが重要になる。しかし、グラフェン130と、金属の電極140及び電極150との接続においては、コンタクト抵抗が比較的高くなるという問題がある。例えば、グラフェン130と、電極140及び電極150の金属とのコンタクト抵抗は、良くても10-5Ω・cm2程度であり、Siと比べて2桁程度高い。グラフェン130を用いた赤外線センサの性能向上には、グラフェン130と電極140及び電極150との間のコンタクト抵抗を十分に低くすることが重要になる。
【0016】
ここで、グラフェン130と金属電極との接続部の等価回路は、
図2(A)に示すようなものと考えることができる。
図2(A)には一例として、グラフェン130と、電極140及び電極150のうちの一方の電極140との接続部の等価回路を示している。
図2(A)に示すように、グラフェン130と電極140との接続部では、グラフェン130内部の抵抗Rgと、電極140内部の抵抗Reとが、コンタクト抵抗Rを介して接続される等価回路となる。グラフェン130と電極140との接続部では、
図2(B)に示すように、電極140からグラフェン130に流れ込む電流164が、電極140のエッジ部165に集中し易いことが知られている。ここでは図示を省略するが、グラフェン130と、他方の電極150との接続部でも同様に、グラフェン130から電極150に流れ込む電流は、電極150のエッジ部に集中し易い。そのため、グラフェン130と電極140及び電極150とのコンタクト面積を単純に増大させても、グラフェン130と電極140及び電極150との間を流れる電流を増大させることができない場合がある。
【0017】
尚、ここでは電子装置100として赤外線センサを例示したが、グラフェンと金属電極との間のコンタクト抵抗が比較的高くなるという問題は、他の電子装置でも同様に起こり得る。例えば、このようなコンタクト抵抗の問題は、グラフェンをチャネル材料に用いる電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)の、そのグラフェンとソース電極及びドレイン電極(オーミック電極)との接続や、ショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode;SBD)の、グラフェンとカソード電極(オーミック電極)との接続等でも、同様に起こり得る。
【0018】
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、グラフェンと電極との低コンタクト抵抗の接続を有する電子装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図3は第1の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
図3(A)には第1の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部平面図を模式的に示している。
図3(B)には第1の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図3(B)は
図3(A)のIII-III断面模式図である。
【0019】
図3(A)及び
図3(B)に示す電子装置1Aは、赤外線センサとして機能する電子装置の一例である。電子装置1Aは、基板10、絶縁膜20、グラフェン30、電極40及び電極50を有する。
【0020】
基板10には、各種基板が用いられる。例えば、基板10には、Si基板が用いられる。このほか、基板10には、サファイヤ基板、ダイヤモンド基板、SOI(Semiconductor On Insulator)基板等が用いられてもよい。基板10は、1種の基板の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の基板の積層構造であってもよい。
【0021】
絶縁膜20は、基板10の一方の面10aに設けられる。絶縁膜20には、各種絶縁材料が用いられる。例えば、絶縁膜20には、SiO膜が用いられる。このほか、絶縁膜20には、SiC(シリコンカーバイド)膜、SiOC(炭化酸化シリコン)膜、SiN(窒化シリコン)膜、AlO(酸化アルミニウム)膜等が用いられてもよい。絶縁膜20は、1種の絶縁材料の単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の絶縁材料の積層構造であってもよい。
【0022】
グラフェン30は、絶縁膜20の一方の面20a(基板10側とは反対側の面)に設けられる。グラフェン30は、炭素原子がsp2結合により六角格子状に並んだ原子1層のシート状の物質であり、所定の幅Waに設定される。例えば、グラフェン30の幅Waは、4μmに設定される。グラフェン30は、例えば、CH2CH2(エチレン)等の炭化水素を用いて形成されるグラフェンや、複数のベンゼン環が縮合した縮合多環系芳香族炭化水素を用いて合成されるグラフェンの、単層、数層又は多層を、絶縁膜20の面20aに転写することで、設けられる。或いは、グラフェン30は、絶縁膜20の面20aに転写されたグラフェンを、エッチング等によってパターニングすることで、設けられる。
【0023】
電極40及び電極50は、グラフェン30の一方の面30a(絶縁膜20側とは反対側の面)に設けられる。電極40及び電極50はそれぞれ、グラフェン30の面30aにおける異なる領域AR1及び領域AR2に、互いに所定の距離S0だけ離間して設けられる。例えば、距離S0は、4μmに設定される。電極40と電極50との間の、距離S0のグラフェン30の部位が、主に赤外線を受光する受光領域として機能する。電極40及び電極50には、例えば、Auや、チタン(Ti)上にAuが積層されたもの(Ti/Au積層体)等の金属が用いられる。
【0024】
ここで、電子装置1Aの電極40は、平面視で櫛歯状の形状を有する。櫛歯状の電極40は、絶縁膜20上に設けられ、複数(この例では3本)の櫛歯部位が、グラフェン30を跨ぐように設けられる。グラフェン30を跨ぐ複数の櫛歯部位の各々は、グラフェン30と重複する部位でグラフェン30の面30aと接し、グラフェン30に電気信号(電圧や電流)を供給するか或いはグラフェン30から電気信号が供給される電極部40aとして機能する。
【0025】
複数の電極部40aを有する電極40は、グラフェン30の領域AR1に、グラフェン30の対向する一方のエッジから他方のエッジに向かう方向、例えば、エッジ30bからエッジ30cに向かう方向D0(この例ではグラフェン30の長手方向)において対向する外縁部40b及び外縁部40cを有する。電極40の外縁部40b及び外縁部40cは、グラフェン30の領域AR1の、方向D0に対向する一対の境界部に位置する。電極40は、グラフェン30の領域AR1内に、外縁部40bと外縁部40cとの間に設けられてグラフェン30と重複して接する重複部41と、隣り合う重複部41間に設けられてグラフェン30の面30aに通じる開口部42とを有する。
【0026】
電極40の複数の電極部40aは、例えば、方向D0と直交する方向(この例ではグラフェン30の短手方向)にグラフェン30を跨ぐように延び、平行に並んで設けられる。グラフェン30を跨ぐように平行に並んで延びる各電極部40aの、グラフェン30と重複してその面30aに接する部位が、重複部41となり、隣り合う重複部41間の隙間の部位が、開口部42となる。即ち、電極40では、1つの開口部42を介して、隣り合う2つの重複部41が平行に並んで設けられる。
図3(A)及び
図3(B)には、3つの重複部41と2つの開口部42とを有する電極40を例示している。例えば、電極40において、3つの重複部41は、互いに同じ又は同等の幅P1に設定され、2つの開口部42は、互いに同じ又は同等の幅Q1に設定される。例えば、重複部41の幅P1と開口部42の幅Q1とは、同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極40において、重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1は、いずれも1μmに設定され、電極40が設けられる領域AR1の方向D0の幅(P1×3+Q1×2)が、5μmとなるように設定される。
【0027】
このように電子装置1Aの電極40には、グラフェン30の領域AR1内に、グラフェン30の面30aに通じる開口部42が設けられる。そして、その開口部42を介して、グラフェン30と重複する重複部41が平行に並んで設けられる。
【0028】
同様に、電子装置1Aの電極50は、平面視で櫛歯状の形状を有する。櫛歯状の電極50は、絶縁膜20上に設けられ、複数(この例では3本)の櫛歯部位が、グラフェン30を跨ぐように設けられる。グラフェン30を跨ぐ複数の櫛歯部位の各々は、グラフェン30と重複する部位でグラフェン30の面30aと接し、グラフェン30に電気信号(電圧や電流)を供給するか或いはグラフェン30から電気信号が供給される電極部50aとして機能する。
【0029】
複数の電極部50aを有する電極50は、グラフェン30の領域AR2に、グラフェン30の対向する一方のエッジから他方のエッジに向かう方向、例えば、エッジ30bからエッジ30cに向かう方向D0(この例ではグラフェン30の長手方向)において対向する外縁部50b及び外縁部50cを有する。電極50の外縁部50b及び外縁部50cは、グラフェン30の領域AR2の、方向D0に対向する一対の境界部に位置する。電極50は、グラフェン30の領域AR2内に、外縁部50bと外縁部50cとの間に設けられてグラフェン30と重複して接する重複部51と、隣り合う重複部51間に設けられてグラフェン30の面30aに通じる開口部52とを有する。
【0030】
電極50の複数の電極部50aは、例えば、方向D0と直交する方向(この例ではグラフェン30の短手方向)にグラフェン30を跨ぐように延び、平行に並んで設けられる。グラフェン30を跨ぐように平行に並んで延びる各電極部50aの、グラフェン30と重複してその面30aに接する部位が、重複部51となり、隣り合う重複部51間の隙間の部位が、開口部52となる。即ち、電極50では、1つの開口部52を介して、隣り合う2つの重複部51が平行に並んで設けられる。
図3(A)及び
図3(B)には、3つの重複部51と2つの開口部52とを有する電極50を例示している。例えば、電極50において、3つの重複部51は、互いに同じ又は同等の幅P1に設定され、2つの開口部52は、互いに同じ又は同等の幅Q1に設定される。例えば、重複部51の幅P1と開口部52の幅Q1とは、同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極50の重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1は、電極40の重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1と同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極50において、重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1は、いずれも1μmに設定され、電極50が設けられる領域AR2の方向D0の幅(P1×3+Q1×2)が、5μmとなるように設定される。
【0031】
このように電子装置1Aの電極50には、グラフェン30の領域AR2内に、グラフェン30の面30aに通じる開口部52が設けられる。そして、その開口部52を介して、グラフェン30と重複する重複部51が平行に並んで設けられる。
【0032】
図3(A)及び
図3(B)に例示する電子装置1Aでは、グラフェン30の所定の領域AR1内に、グラフェン30の面30aに通じる2つの開口部42が設けられ、領域AR1を部分的に覆う3つの重複部41が設けられる。そのため、領域AR1全体を覆う重複部が設けられる電極、即ち、領域AR1内に開口部が設けられない電極(上記
図1(A)及び
図1(B)に示したような電極140)に比べて、領域AR1内に存在する電極40のエッジ部の長さが増大する。具体的には、領域AR1全体を覆う重複部が設けられる電極の場合には、そのエッジ部が、方向D0に対向する2本の外縁部(領域AR1の境界部に位置する外縁部40b,40cに相当)のみとなる。これに対し、
図3(A)及び
図3(B)の例では、電極40のエッジ部が、3本の重複部41の各々の両側のエッジ部の、合計6本となる。これにより、電子装置1Aの電極40では、そのエッジ部の合計長さが3倍に増大する。グラフェン30と電極40との間を流れる電流は、電極40のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0033】
同様に、
図3(A)及び
図3(B)に例示する電子装置1Aでは、グラフェン30の所定の領域AR2内に、グラフェン30の面30aに通じる2つの開口部52が設けられ、領域AR2を部分的に覆う3つの重複部51が設けられる。そのため、領域AR2全体を覆う重複部が設けられる電極、即ち、領域AR2内に開口部が設けられない電極(上記
図1(A)及び
図1(B)に示したような電極150)に比べて、領域AR2内に存在する電極50のエッジ部の長さが増大する。具体的には、領域AR2全体を覆う重複部が設けられる電極の場合には、そのエッジ部が、方向D0に対向する2本の外縁部(領域AR1の境界部に位置する外縁部50b,50cに相当)のみとなる。これに対し、
図3(A)及び
図3(B)の例では、電極50のエッジ部が、3本の重複部51の各々の両側のエッジ部の、合計6本となる。これにより、電子装置1Aの電極50では、そのエッジ部の合計長さが3倍に増大する。グラフェン30と電極50との間を流れる電流は、電極50のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0034】
これにより、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗の低い電子装置1Aが実現される。電子装置1Aでは、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗が低くなることで、受光したグラフェン30を通じて電極40と電極50との間に流れる電流の、グラフェン30の受光に起因した比較的小さな変化を検出することが可能になる。そのため、グラフェン30を用い、その特性を十分に活かした、比較的高感度で高性能の赤外線センサを実現することが可能になる。
【0035】
尚、上記のように、櫛歯状の電極40及び電極50の、電極部40a群及び電極部50a群を、グラフェン30を跨ぐように設けると、グラフェン30が電極部40a群及び電極部50a群で絶縁膜20に押さえ付けられる構造となる。これにより、グラフェン30の絶縁膜20からの剥離が効果的に抑えられるようになる。
【0036】
但し、櫛歯状の電極40及び電極50の、電極部40a群及び電極部50a群は、必ずしもグラフェン30を跨ぐように設けることを要しない。例えば、電極部40a群及び電極部50a群は、それらの先端群や根元群がグラフェン30の領域AR1内及び領域AR2内に存在するように設けられてもよい。このようにすると、領域AR1内及び領域AR2内に存在する電極40及び電極50のエッジ部の長さを更に増大させることが可能になる。
【0037】
図3(A)及び
図3(B)には、3つの重複部41(3本の電極部40a)及び2つの開口部42を有する電極40、及び3つの重複部51(3本の電極部50a)及び2つの開口部52を有する電極50を用いる例を示した。更に、
図3(A)及び
図3(B)には、電極40の重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1、並びに電極50の重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1を、同じ又は同等とする例を示した。但し、これは一例であって、電極40の重複部41及び開口部42の数や幅、電極50の重複部51及び開口部52の数や幅は、
図3(A)及び
図3(B)に示したようなものには限定されない。
【0038】
図4は第1の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
図4(A)には第1の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部平面図を模式的に示している。
図4(B)には第1の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図4(B)は
図4(A)のIV-IV断面模式図である。
【0039】
図4(A)及び
図4(B)に示す電子装置1Bは、電極40として、平面視で櫛歯状であって、5本の電極部40aを有するものを備える。電子装置1Bの電極40は、グラフェン30の所定の領域AR3内に、グラフェン30と重複して接する5つの重複部41、及び隣り合う重複部41間の4つの開口部42を有する。例えば、重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1は、同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極40において、重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1は、いずれも1μmに設定され、電極40が設けられる領域AR3の方向D0の幅(P1×5+Q1×4)が、9μmとなるように設定される。
【0040】
電子装置1Bは更に、電極50として、平面視で櫛歯状であって、5本の電極部50aを有するものを備える。電子装置1Bの電極50は、グラフェン30の所定の領域AR4内に、グラフェン30と重複して接する5つの重複部51、及び隣り合う重複部51間の4つの開口部52を有する。例えば、重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1は、同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極50の重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1は、電極40の重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1と同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極50において、重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1は、いずれも1μmに設定され、電極50が設けられる領域AR4の方向D0の幅(P1×5+Q1×4)が、9μmとなるように設定される。
【0041】
電子装置1Bは、このような構成の電極40及び電極50を有する点で、第1の例として示した上記電子装置1A(
図3)と相違する。
電子装置1Bでは、グラフェン30の所定の領域AR3内及び領域AR4内にそれぞれ、グラフェン30の面30aに通じる4つの開口部42及び4つの開口部52が設けられ、領域AR3及び領域AR4を部分的に覆う5つの重複部41及び5つの重複部51が設けられる。そのため、領域AR3及び領域AR4の各々の全体を覆う重複部が設けられる電極、即ち、領域AR3内及び領域AR4内に開口部が設けられない電極に比べて、領域AR3内及び領域AR4内に存在する電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大(この例では5倍に増大)する。電子装置1Bでは、電極40及び電極50の、グラフェン30との間で電流が集中し易いエッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0042】
これにより、電子装置1Bでは、受光したグラフェン30を通じて電極40と電極50との間に流れる電流の、グラフェン30の受光に起因した比較的小さな変化を検出することが可能になる。そのため、グラフェン30を用い、その特性を十分に活かした、比較的高感度で高性能の赤外線センサを実現することが可能になる。
【0043】
また、
図5は第1の実施の形態に係る電子装置の第3の例について説明する図である。
図5(A)には第1の実施の形態に係る電子装置の第3の例の要部平面図を模式的に示している。
図5(B)には第1の実施の形態に係る電子装置の第3の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図5(B)は
図5(A)のV-V断面模式図である。
【0044】
図5(A)及び
図5(B)に示す電子装置1Cは、電極40として、平面視で櫛歯状であって、3本の電極部40aを有するものを備える。電子装置1Cの電極40は、グラフェン30の所定の領域AR5内に、グラフェン30と重複する3つの重複部41、及び隣り合う重複部41間の2つの開口部42を有する。例えば、重複部41の幅P2及び開口部42の幅Q2は、同じ又は同等の幅に設定される。重複部41の幅P2及び開口部42の幅Q2は、上記電子装置1A(
図3)及び上記電子装置1B(
図4)について述べた重複部41の幅P1及び開口部42の幅Q1よりも太幅となるように設定される。例えば、電極40において、重複部41の幅P2及び開口部42の幅Q2は、いずれも1.5μmに設定され、電極40が設けられる領域AR5の方向D0の幅(P2×3+Q2×2)が、7.5μmとなるように設定される。
【0045】
電子装置1Cは更に、電極50として、平面視で櫛歯状であって、3本の電極部50aを有するものを備える。電子装置1Cの電極50は、グラフェン30の所定の領域AR6内に、グラフェン30と重複する3つの重複部51、及び隣り合う重複部51間の2つの開口部52を有する。例えば、重複部51の幅P2及び開口部52の幅Q2は、同じ又は同等の幅に設定される。重複部51の幅P2及び開口部52の幅Q2は、上記電子装置1A(
図3)及び上記電子装置1B(
図4)について述べた重複部51の幅P1及び開口部52の幅Q1よりも太幅となるように設定される。例えば、電極50の重複部51の幅P2及び開口部52の幅Q2は、電極40の重複部41の幅P2及び開口部42の幅Q2と同じ又は同等の幅に設定される。例えば、電極50において、重複部51の幅P2及び開口部52の幅Q2は、いずれも1.5μmに設定され、電極50が設けられる領域AR6の方向D0の幅(P2×3+Q2×2)が、7.5μmとなるように設定される。
【0046】
電子装置1Cは、このような構成の電極40及び電極50を有する点で、第1の例として示した上記電子装置1A(
図3)及び第2の例として示した上記電子装置1B(
図4)と相違する。
【0047】
電子装置1Cでは、グラフェン30の所定の領域AR5内及び領域AR6内にそれぞれ、グラフェン30の面30aに通じる2つの開口部42及び2つの開口部52が設けられ、領域AR5及び領域AR6を部分的に覆う3つの重複部41及び3つの重複部51が設けられる。そのため、領域AR5及び領域AR6の各々の全体を覆う重複部が設けられる電極、即ち、領域AR5内及び領域AR6内に開口部が設けられない電極に比べて、領域AR5内及び領域AR6内に存在する電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大(この例では3倍に増大)する。電子装置1Cでは、電極40及び電極50の、グラフェン30との間で電流が集中し易いエッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0048】
これにより、電子装置1Cでは、受光したグラフェン30を通じて電極40と電極50との間に流れる電流の、グラフェン30の受光に起因した比較的小さな変化を検出することが可能になる。そのため、グラフェン30を用い、その特性を十分に活かした、比較的高感度で高性能の赤外線センサを実現することが可能になる。
【0049】
ここで、コンタクト抵抗の測定について述べる。
図6はコンタクト抵抗の測定方法の一例について説明する図である。
図6(A)にはコンタクト抵抗測定に用いられるTEG(Test Element Group)の一例の要部平面図を模式的に示している。
図6(B)には
図6(A)のTEGを用いて得られる測定結果の一例を模式的に示している。
【0050】
コンタクト抵抗は、例えば、TLM(Transfer Length Method)によって測定することができる。TLMによるコンタクト抵抗測定には、例えば、
図6(A)に示すようなTEG200が用いられる。TEG200は、所定の基板210上、例えば、上記のようなSi等の基板の上にSiO等の絶縁膜が設けられたものの、その絶縁膜上に設けられたグラフェン230を有する。グラフェン230の、対向するエッジ部にそれぞれ、電極240及び電極250が設けられる。電極240及び電極250には、定電流源260が接続される。電極240と電極250との間には、グラフェン230を跨ぎ、グラフェン230と部分的に重複して接するように、複数の端子、ここでは一例として5つの端子270,271,272,273,274が、電極250側からこの順に、設けられる。これら5つの端子270,271,272,273,274は、グラフェン230と重複する部位の幅が同じ又は同等となるように設けられる。端子270,271,272,273,274は、端子270と端子271との間の距離L1が最も小さく、次いで、端子271と端子272との間の距離L2、端子272と端子273との間の距離L3の順に大きくなり、端子273と端子274との間の距離L4が最も大きくなるように、設けられる。
【0051】
今、端子270,271,272,273,274の各々とグラフェン230との間のコンタクト抵抗をRとする。端子270と端子271との間のグラフェン230の抵抗をr1、端子271と端子272との間のグラフェン230の抵抗をr2、端子272と端子273との間のグラフェン230の抵抗をr3、端子273と端子274との間のグラフェン230の抵抗をr4とする。更に、定電流源260から電極240に対して電流Iaを入力した時の、端子270の電位をV0、端子271の電位をV1、端子272の電位をV2、端子273の電位をV3、端子274の電位をV4とする。
【0052】
この時、端子270と端子271との間の抵抗R1、端子271と端子272との間の抵抗R2、端子272と端子273との間の抵抗R3、端子273と端子274との間の抵抗R4は、それぞれ次のような式(1)、式(2)、式(3)、式(4)を用いて求めることができる。
【0053】
R1=R×2+r1=(V1-V0)/Ia・・・(1)
R2=R×2+r2=(V2-V1)/Ia・・・(2)
R3=R×2+r3=(V3-V2)/Ia・・・(3)
R4=R×2+r4=(V4-V3)/Ia・・・(4)
式(1),(2),(3),(4)からそれぞれ求められる抵抗R1,R2,R3,R4と、端子270,271,272,273,274の各々の間の距離L1,L2,L3,L4との関係をグラフ化すると、
図6(B)に示すような関係が得られる。尚、
図6(B)において、横軸は距離[μm]を表し、縦軸は抵抗[Ω]を表している。
図6(B)に示すような関係において、切片の抵抗の値、即ち、距離が0の時の抵抗の値が、端子270,271,272,273,274における隣り合う端子対のコンタクト抵抗Rの合計、即ち、R×2に相当する。従って、この切片の抵抗の値R×2の1/2の値を、端子270,271,272,273,274における一端子とグラフェン230との間のコンタクト抵抗Rとして求めることができる。
【0054】
図7は第1の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定の一例について説明する図である。
図7には第1の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定に用いられるTEGの一例の要部平面図を模式的に示している。
【0055】
例えば、第1の例として述べた上記電子装置1A(
図3)のグラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗測定には、
図7に示すようなTEG200Aを用いることができる。TEG200Aには、定電流源260に接続される電極240と電極250との間のグラフェン230を跨ぐ端子群として、5つの端子270A,271A,272A,273A,274Aが設けられる。端子270A,271A,272A,273A,274Aにはそれぞれ、上記重複部41に対応する3つの重複部281A、及び隣り合う上記重複部41間の開口部42に対応する2つの開口部282Aが設けられる。
【0056】
このようなTEG200Aが用いられ、上記
図6で述べた例に従い、端子270A,271A,272A,273A,274Aにおける一端子とグラフェン230との間のコンタクト抵抗が求められる。即ち、まず、定電流源260から電極240に対して所定の電流を入力した時の端子270A,271A,272A,273A,274Aの各々の電位を求める。そして、式(1)~(4)から求められる抵抗と、端子270A,271A,272A,273A,274Aの各々の間の距離との関係をグラフ化し、その切片の抵抗の値(距離0の時の抵抗の値)の1/2の値を、コンタクト抵抗として求める。
【0057】
続いて、上記電子装置1A,1B,1Cについて行ったシミュレーションについて述べる。
図8はシミュレーションに用いたモデルの例について説明する図である。
図8(A)には上記
図3(A)及び
図3(B)に示した電子装置1Aのモデルを示している。
図8(B)には上記
図4(A)及び
図4(B)に示した電子装置1Bのモデルを示している。
図8(C)には上記
図5(A)及び
図5(B)に示した電子装置1Cのモデルを示している。
図8(D)には比較のため、上記
図1(A)及び
図1(B)に示した電子装置100のモデルを示している。
【0058】
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)はそれぞれ、電子装置1A,1B,1Cの電極40又は電極50とグラフェン30との接続部のモデル(モデルA,B,C)である。
図8(D)は、電子装置100の電極140又は電極150とグラフェン130との接続部のモデル(モデルD)である。ここでは説明の便宜上、モデルA,B,Cをそれぞれ、電子装置1A,1B,1Cのグラフェン30と、電極40及び電極50のうちの一方の電極40との接続部のモデルとする。モデルDを、電子装置100のグラフェン130と、電極140及び電極150のうちの一方の電極140との接続部のモデルとする。
図8(A)~
図8(D)のようなモデルA~Dについて、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)を用いたシミュレーションを行った。
【0059】
モデルAについて、電子装置1Aのグラフェン30の幅Waは4μmとし、電極40のグラフェン30との重複部41の幅P1は1μm、重複部41間の開口部42の幅Q1は1μmとした。電極40の重複部41及び開口部42が設けられる領域AR1の面積は20μm2(4μm〔Wa〕×5μm〔P1×3+Q1×2〕)とした。
【0060】
モデルBについて、電子装置1Bのグラフェン30の幅Waは4μmとし、電極40のグラフェン30との重複部41の幅P1は1μm、重複部41間の開口部42の幅Q1は1μmとした。電極40の重複部41及び開口部42が設けられる領域AR3の面積は36μm2(4μm〔Wa〕×9μm〔P1×5+Q1×4〕)とした。
【0061】
モデルCについて、電子装置1Cのグラフェン30の幅Waは4μmとし、電極40のグラフェン30との重複部41の幅P2は1.5μm、重複部41間の開口部42の幅Q2は1.5μmとした。電極40の重複部41及び開口部42が設けられる領域AR5の面積は30μm2(4μm〔Wa〕×7.5μm〔P2×3+Q2×2〕)とした。
【0062】
モデルDについて、電子装置100のグラフェン130の幅Waは4μmとし、電極140が重複する領域AR101の長さLaは10μmとした。領域AR101の面積は40μm2(4μm〔Wa〕×10μm〔La〕)とした。
【0063】
モデルA~Dについて、グラフェン30,130と接続する電極40,140は、厚さ10nmのTiと厚さ50nmのAuとの積層体とした。電極40,140の抵抗率として1.1Ω・μmを用い、グラフェン30,130の抵抗率として450Ω・μmを用い、電極40,140とグラフェン130,30との接触抵抗率として110Ω・μm2を用いた。
【0064】
上記物性値を用い、電子装置1AのモデルAについて、電極40の重複部41の抵抗Re1=0.275Ω(=1.1Ω・μm/4μm〔Wa〕)、グラフェン30の抵抗Rg1=112.5Ω(=450Ω・μm/4μm〔Wa〕)に設定した。更に、重複部41とグラフェン30との間のコンタクト抵抗R=27.5Ω(=110Ω・μm2/4μm〔Wa〕/1μm〔P1〕)に設定した。
【0065】
上記物性値を用い、電子装置1BのモデルBについて、電極40の重複部41の抵抗Re1=0.275Ω(=1.1Ω・μm/4μm〔Wa〕)、グラフェン30の抵抗Rg1=112.5Ω(=450Ω・μm/4μm〔Wa〕)に設定した。更に、重複部41とグラフェン30との間のコンタクト抵抗R=27.5Ω(=110Ω・μm2/4μm〔Wa〕/1μm〔P1〕)に設定した。
【0066】
上記物性値を用い、電子装置1CのモデルCについて、電極40の重複部41の抵抗Re2=0.4125Ω(=1.1Ω・μm×1.5〔P2〕/4μm〔Wa〕)、グラフェン30の抵抗Rg2=168.75Ω(=450Ω・μm×1.5〔P2,Q2〕/4μm〔Wa〕)に設定した。更に、重複部41とグラフェン30との間のコンタクト抵抗R=27.5Ω(=110Ω・μm2×1.5〔P2〕/4μm〔Wa〕/1.5μm〔P2〕)に設定した。
【0067】
上記物性値を用い、電子装置100のモデルDについて、電極140の抵抗Re1=0.275Ω(=1.1Ω・μm/4μm〔Wa〕)、グラフェン130の抵抗Rg1=112.5Ω(=450Ω・μm/4μm〔Wa〕)に設定した。更に、電極140とグラフェン130との間のコンタクト抵抗R=27.5Ω(=110Ω・μm2/4μm〔Wa〕/1μm〔La/10〕)に設定した。
【0068】
更に、グラフェン30,130について、領域AR1,AR3,AR5,AR101外(電極40,140との接続部外)の抵抗Rga=225Ω、Rgb=450Ωに設定した。
【0069】
尚、電極50,150とグラフェン30,130との接続部についても、上記のようなモデルA~Dと同様のモデルが設定可能である。
モデルA~Dに対し、電流源300を用い、電極40,140からグラフェン30,130に約2.1mAの電流を流した際のシミュレーションの結果を表1に示す。
【0070】
【0071】
表1には、モデルA~Dの総電流[mA]、総抵抗[Ω]、及び総抵抗から電極間抵抗(Rgb=450Ω)を除外した抵抗[Ω](電40,140とグラフェン30,130との間のコンタクト抵抗)を示している。表1には更に、モデルA~Dの接続占有面積[μm2](領域AR1,AR3,AR5,AR101の面積)、及び単位面積抵抗率[Ω・μm2](総抵抗から電極間抵抗を除外した抵抗×接続占有面積)を示している。
【0072】
表1より、グラフェン130に通じる開口部を設けない電極140を備える電子装置100のモデルDでは、単位面積抵抗率が1012Ω・μm2であった。これに対し、グラフェン30に通じる開口部42を設けた電極40を備える電子装置1A,1B,1CのモデルA,B,Cでは、単位面積抵抗率がそれぞれ460Ω・μm2、828Ω・μm2、732Ω・μm2であり、いずれの単位面積抵抗率も、モデルDの単位面積抵抗率よりも小さくなった。
【0073】
モデルA,B,C(電子装置1A,1B,1C)では、グラフェン30と電極40との間の接続占有面積が、モデルD(電子装置100)のグラフェン130と電極140との間の接続占有面積よりも小さくなる。しかし、総抵抗から電極間抵抗を除外した抵抗は、モデルA,B,Cの方が、モデルDよりも小さくなる。そのため、モデルA,B,Cの単位面積抵抗率は、モデルDの単位面積抵抗率よりも小さくなる。
【0074】
表1のようなシミュレーションの結果から、電子装置1A,1B,1Cでは、電極40に重複部41と共に開口部42が設けられることで、グラフェン30と電極40との間の比較的低いコンタクト抵抗が実現されることが確認された。尚、ここでは説明の便宜上、電子装置1A,1B,1Cの一方の電極40とグラフェン30との接続部を例にしたが、他方の電極50とグラフェン30との接続部についても同様のことが言える。
【0075】
続いて、上記のような電子装置1A,1B,1Cの形成方法について説明する。ここでは、上記電子装置1A(
図3)を例に、その形成方法を、
図9~
図13を参照して説明する。
【0076】
図9~
図13は第1の実施の形態に係る電子装置の形成方法の一例について説明する図である。
図9(A)及び
図9(B)、
図10(A)及び
図10(B)、
図11(A)及び
図11(B)、
図12(A)及び
図12(B)、並びに
図13(A)及び
図13(B)にはそれぞれ、第1の実施の形態に係る電子装置形成の各工程の一例を模式的に示している。
図9(A)にはグラフェン準備工程の一例の要部平面図を模式的に示し、
図9(B)には
図9(A)のIX-IX断面図を模式的に示している。
図10(A)にはレジスト形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、
図10(B)には
図10(A)のX-X断面図を模式的に示している。
図11(A)には電極材料堆積工程の一例の要部平面図を模式的に示し、
図11(B)には
図11(A)のXI-XI断面図を模式的に示している。
図12(A)にはリフトオフ工程の一例の要部平面図を模式的に示し、
図12(B)には
図12(A)のXII-XII断面図を模式的に示している。
図13(A)には保護膜形成工程の一例の要部平面図を模式的に示し、
図13(B)には
図13(A)のXIII-XIII断面図を模式的に示している。
【0077】
まず、
図9(A)及び
図9(B)に示すように、基板10の面10aに設けられた絶縁膜20の面20aに、グラフェン30が準備される。例えば、Siの基板10の表面を熱酸化することで形成されるSiOの絶縁膜20の上に、所定の幅及び長さのグラフェン30が設けられる。グラフェン30は、エチレン等の炭化水素を用いて形成されるグラフェンや、縮合多環系芳香族炭化水素を用いて合成されるグラフェンの、単層、数層又は多層を、絶縁膜20の上に転写することで、設けられる。グラフェン30は、予め所定の幅及び長さとされたグラフェンが絶縁膜20の上に転写されたものであってもよいし、絶縁膜20の上に転写されたグラフェンをエッチング等によりパターニングして所定の幅及び長さとしたものであってもよい。
【0078】
グラフェン30の準備後、
図10(A)及び
図10(B)に示すように、絶縁膜20及びグラフェン30の上に、電極40及び電極50を形成する領域に開口部400aを有するレジスト400が形成される。レジスト400の開口部400aは、絶縁膜20の上の部位と、グラフェン30を跨ぐ複数本(この例では3本)の櫛歯の部位とを含む。絶縁膜20の一部、及びグラフェン30の一部が、レジスト400の開口部400aから露出する。
【0079】
レジスト400の形成後、
図11(A)及び
図11(B)に示すように、レジスト400の開口部400aから露出する絶縁膜20及びグラフェン30、並びにレジスト400の上面に、電極40及び電極50に用いられる電極材料410が堆積される。電極材料410は、蒸着法、スパッタ法等を用いて堆積される。電極材料410としては、例えば、Au、又はTi/Au積層体等が堆積される。
【0080】
電極材料410の堆積後、レジスト400がその上面に堆積された電極材料410と共にリフトオフされる。これにより、
図12(A)及び
図12(B)に示すような、グラフェン30と重複する重複部41及びグラフェン30に通じる開口部42を有する電極40、並びにグラフェン30と重複する重複部51及びグラフェン30に通じる開口部52を有する電極50が形成される。
【0081】
図9(A)及び
図9(B)、
図10(A)及び
図10(B)、
図11(A)及び
図11(B)、並びに
図12(A)及び
図12(B)に示すような工程により、電子装置1Aが形成される。このようにして形成される電子装置1Aの上には更に、
図13(A)及び
図13(B)に示すように、AlO等の保護膜60が設けられてもよい。例えば、リフトオフによる電極40及び電極50の形成後、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法、スパッタ法等を用いて、絶縁膜20、グラフェン30、電極40及び電極50を覆うように、AlO等の保護膜60が形成される。このように保護膜60を形成し、
図13(A)及び
図13(B)に示すような電子装置1Aを形成してもよい。
【0082】
ここでは、電極40及び電極50を同時に形成する例を示したが、電極40及び電極50を別々に形成することもできる。その場合は、例えば、まず、電極40及び電極50のうちの一方を形成する領域に開口部400aを有するレジスト400を形成し(
図10)、電極材料410の堆積(
図11)、レジスト400等のリフトオフ(
図12)を行う。次いで、電極40及び電極50のうちの他方を形成する領域に開口部400aを有するレジスト400を形成し(
図10)、電極材料410の堆積(
図11)、レジスト400等のリフトオフ(
図12)を行う。このようにして電極40及び電極50を別々に形成してもよい。電極40及び電極50を別々に形成する場合には、電極40及び電極50に、互いに同種の電極材料410を用いることができるほか、互いに異種の電極材料410を用いることもできる。これにより、電極40及び電極50に互いに同種の金属が用いられた電子装置1Aを得ることができるほか、電極40及び電極50に互いに異種の金属が用いられた電子装置1Aを得ることもできる。
【0083】
また、ここでは、電子装置1Aの形成を例にしたが、電子装置1B,1Cについても、レジスト400の開口部400aのパターン(
図10)を変更することで、同様の手順で形成することが可能である。また、電子装置1B,1Cについても、電極40及び電極50を別々に形成することが可能である。
【0084】
尚、以上の説明では、電極40及び電極50として対称形のものを用いる例を示したが、非対称形のものを用いることもできる。例えば、電極40及び電極50のうち一方には、電子装置1Aで述べたような3本の櫛歯部位を有するものを用い、他方には、電子装置1Bで述べたような5本の櫛歯部位を有するものや、電子装置1Cで述べたような太幅の櫛歯部位を有するものを用いることができる。電極40及び電極50のうち一方には、電子装置1Bで述べたような5本の櫛歯部位を有するものを用い、他方には、電子装置1Cで述べたような太幅の櫛歯部位を有するものを用いることもできる。
【0085】
また、電極40には、複数の櫛歯部位(重複部41)の間隔が異なるもの(開口部42の幅が異なるもの)が用いられてもよく、電極50には、複数の櫛歯部位(重複部51)の間隔が異なるもの(開口部52の幅が異なるもの)が用いられてもよい。
【0086】
また、以上の説明では、電子装置1A,1B,1Cの電極40及び電極50にそれぞれ、グラフェン30に通じる複数の開口部42及び複数の開口部52を設ける例を示したが、複数に限らず、1つの開口部42及び1つの開口部52を設けることもできる。このような構成でも、開口部42及び開口部52を設けない場合に比べて、グラフェン30との接続部における電極40及び電極50のエッジ部の長さを増大させ、実効的なコンタクト抵抗を低減させることが可能である。
【0087】
[第2の実施の形態]
図14は第2の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
図14(A)には第2の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部平面図を模式的に示している。
図14(B)には第2の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図14(B)は
図14(A)のXIV-XIV断面模式図である。
【0088】
図14(A)及び
図14(B)に示す電子装置1Eは、電極40の開口部42及び電極50の開口部52として、平面視で円形状の孔が複数設けられている点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)、電子装置1B(
図4)及び電子装置1C(
図5)と相違する。
【0089】
電子装置1Eでは、電極40の開口部42及び電極50の開口部52として、グラフェン30の面30aに通じる平面円形状の孔が、千鳥配置で複数設けられ、グラフェン30を部分的に覆う重複部41及び重複部51が、平面円形状の複数の孔の周りに設けられる。これにより、グラフェン30と電極40及び電極50との接続部に存在する、電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大する。グラフェン30と電極40及び電極50との間を流れる電流は、電極40及び電極50のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0090】
従って、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗の低い電子装置1Eが実現される。電子装置1Eでは、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗が低くなることで、受光したグラフェン30を通じて電極40と電極50との間に流れる電流の、グラフェン30の受光に起因した比較的小さな変化を検出することが可能になる。そのため、グラフェン30を用い、その特性を十分に活かした、比較的高感度で高性能の赤外線センサを実現することが可能になる。
【0091】
また、
図15は第2の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
図15(A)には第2の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部平面図を模式的に示している。
図15(B)には第2の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図15(B)は
図15(A)のXV-XV断面模式図である。
【0092】
図15(A)及び
図15(B)に示す電子装置1Fは、電極40の開口部42及び電極50の開口部52として、平面視で矩形状の孔が複数設けられている点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)、電子装置1B(
図4)及び電子装置1C(
図5)と相違する。
【0093】
電子装置1Fでは、電極40の開口部42及び電極50の開口部52として、グラフェン30の面30aに通じる平面矩形状の孔が、千鳥配置で複数設けられ、グラフェン30を部分的に覆う重複部41及び重複部51が、平面矩形状の複数の孔の周りに設けられる。これにより、グラフェン30と電極40及び電極50との接続部に存在する、電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大する。グラフェン30と電極40及び電極50との間を流れる電流は、電極40及び電極50のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0094】
従って、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗の低い電子装置1Fが実現される。電子装置1Fでは、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗が低くなることで、受光したグラフェン30を通じて電極40と電極50との間に流れる電流の、グラフェン30の受光に起因した比較的小さな変化を検出することが可能になる。そのため、グラフェン30を用い、その特性を十分に活かした、比較的高感度で高性能の赤外線センサを実現することが可能になる。
【0095】
ここで、
図16は第2の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定の一例について説明する図である。
図16(A)及び
図16(B)にはそれぞれ、第2の実施の形態に係る電子装置のグラフェンと電極との間のコンタクト抵抗測定に用いられるTEGの一例の要部平面図を模式的に示している。
【0096】
電子装置1Eのグラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗は、例えば、上記のようなTLMにより、
図16(A)に示すようなTEG200Eを用いて測定することができる。
【0097】
TEG200Eには、定電流源に接続される電極240と電極250との間のグラフェン230を跨ぐ端子群として、5つの端子270E,271E,272E,273E,274Eが設けられる。端子270E,271E,272E,273E,274Eにはそれぞれ、平面円形状の孔である開口部282E、及びその周りの重複部281Eが設けられる。このようなTEG200Eが用いられ、上記
図6及び
図7で述べた例に従い、端子270E,271E,272E,273E,274Eにおける一端子とグラフェン230との間のコンタクト抵抗が求められる。
【0098】
このような手法により、電子装置1Eのグラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗を求めることができる。
また、電子装置1Fのグラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗は、例えば、上記のようなTLMにより、
図16(B)に示すようなTEG200Fを用いて測定することができる。
【0099】
TEG200Fには、定電流源に接続される電極240と電極250との間のグラフェン230を跨ぐ端子群として、5つの端子270F,271F,272F,273F,274Fが設けられる。端子270F,271F,272F,273F,274Fにはそれぞれ、平面矩形状の孔である開口部282F、及びその周りの重複部281Fが設けられる。このようなTEG200Fが用いられ、上記
図6及び
図7で述べた例に従い、端子270F,271F,272F,273F,274Fにおける一端子とグラフェン230との間のコンタクト抵抗が求められる。
【0100】
このような手法により、電子装置1Fのグラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗を求めることができる。
尚、ここでは、電子装置1E,1Fの電極40及び電極50にそれぞれ、グラフェン30に通じる複数の開口部42及び複数の開口部52を千鳥配置で設ける例を示したが、電極40の開口部42の配置、電極50の開口部52の配置は、この例に限定されるものではない。また、電極40には、平面サイズの異なる複数の開口部42が設けられてもよく、電極50には、平面サイズの異なる複数の開口部52が設けられてもよい。
【0101】
また、ここでは、電子装置1E,1Fの電極40及び電極50にそれぞれ、グラフェン30に通じる複数の開口部42及び複数の開口部52を設ける例を示したが、複数に限らず、1つの開口部42及び1つの開口部52を設けることもできる。このような構成でも、開口部42及び開口部52を設けない場合に比べて、グラフェン30との接続部における電極40及び電極50のエッジ部の長さを増大させ、実効的なコンタクト抵抗を低減させることが可能である。
【0102】
以上、第1及び第2の実施の形態について説明した。以上の説明では、赤外線センサとして機能する電子装置1A,1B,1C,1E,1F等について、グラフェン30と接続される電極40及び電極50に、開口部42及び開口部52並びに重複部41及び重複部51を設ける手法を用いる例を示した。このほか、当該手法は、グラフェンと電極との接続部を備えるFETやSBD等、他の電子装置にも同様に適用することができる。
【0103】
[第3の実施の形態]
ここでは、グラフェンと接続される電極に開口部及び重複部を設ける手法をFETに適用する例を、第3の実施の形態として説明する。
【0104】
図17は第3の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
図17(A)には第3の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部平面図を模式的に示している。
図17(B)には第3の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図17(B)は
図17(A)のXVII-XVII断面模式図である。
【0105】
図17(A)及び
図17(B)に示す電子装置1Gは、FETとして機能する電子装置の第1の例である。電子装置1Gは、電極40と電極50との間のグラフェン30の面30aに、ゲート絶縁膜70を介してゲート電極80が設けられる構成を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)等と相違する。
【0106】
電子装置1Gでは、基板10上に絶縁膜20が設けられ、絶縁膜20上にグラフェン30が設けられ、絶縁膜20上及びグラフェン30上に、開口部42及び重複部41を有する電極40、並びに開口部52及び重複部51を有する電極50が設けられる。電子装置1Gにおいて、電極40は、FETのドレイン電極(又はソース電極)として用いられ、電極50は、FETのソース電極(又はドレイン電極)として用いられる。ゲート電極80は、電極40と電極50との間のグラフェン30上に、電極40及び電極50から離間され、ゲート絶縁膜70を介して設けられる。ゲート電極80には、各種導体材料、例えば、金属が用いられる。ゲート絶縁膜70には、SiO、SiN、AlO等の各種絶縁材料が用いられる。ゲート絶縁膜70として、基板10上の絶縁膜20、グラフェン30、電極40及び電極50を覆う保護膜(上記
図13で述べた保護膜60等)の一部が利用されてもよい。
【0107】
電子装置1Gでは、電極40と電極50との間のグラフェン30が、電荷キャリアのチャネルとして用いられる。電子装置1Gの動作時には、電極40と電極50との間に所定のバイアスが印加され、ゲート電極80の電位が制御されることで、グラフェン30を用いたチャネルのオン、オフの状態が制御される。
【0108】
また、
図18は第3の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
図18(A)には第3の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部平面図を模式的に示している。
図18(B)には第3の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図18(B)は
図18(A)のXVIII-XVIII断面模式図である。
【0109】
図18(A)及び
図18(B)に示す電子装置1Hは、FETとして機能する電子装置の第2の例である。電子装置1Hは、導電性の基板10Hが用いられた構成を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)等と相違する。
【0110】
電子装置1Hの基板10Hには、導電性を有する基板が用いられ、例えば、所定の導電型の不純物元素を添加したSi基板等の半導体基板が用いられる。電子装置1Hでは、導電性の基板10H上に絶縁膜20が設けられ、絶縁膜20上にグラフェン30が設けられ、絶縁膜20上及びグラフェン30上に、開口部42及び重複部41を有する電極40、並びに開口部52及び重複部51を有する電極50が設けられる。電子装置1Hにおいて、電極40は、FETのドレイン電極(又はソース電極)として用いられ、電極50は、FETのソース電極(又はドレイン電極)として用いられる。
【0111】
電子装置1Hでは、電極40と電極50との間のグラフェン30が、電荷キャリアのチャネルとして用いられる。電子装置1Hでは、導電性の基板10Hが、ゲート電極として用いられる。電子装置1Hの動作時には、電極40と電極50との間に所定のバイアスが印加され、ゲート電極として用いられる導電性の基板10Hの電位が制御されることで、グラフェン30を用いたチャネルのオン、オフの状態が制御される。
【0112】
電子装置1G(
図17)及び電子装置1H(
図18)では、FETのドレイン電極及びソース電極として、開口部42及び重複部41を有する電極40、並びに開口部52及び重複部51を有する電極50が、グラフェン30と接続される。これにより、グラフェン30と電極40及び電極50との接続部に存在する、電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大する。グラフェン30と電極40及び電極50との間を流れる電流は、電極40及び電極50のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。
【0113】
従って、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗の低い電子装置1G,1Hが実現される。電子装置1G,1Hでは、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗が低くなることで、グラフェン30の特性を十分に活かした、高速且つ高出力の、高性能のFETを実現することが可能になる。
【0114】
尚、電子装置1G,1Hにおいて、その電極40及び電極50には、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1B(
図4)や電子装置1C(
図5)に用いたような形状の電極40及び電極50を用いることもできる。このほか、電子装置1G,1Hにおいて、その電極40及び電極50には、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1E(
図14)や電子装置1F(
図15)に用いたような形状の電極40及び電極50を用いることもできる。また、電子装置1G,1Hにおいて、その電極40及び電極50には、対称形のものに限らず、非対称形のもの、或いは異なる開口部形状を有するものを用いることもできる。
【0115】
電子装置1G,1Hにおいて、電極40及び電極50には、複数の開口部42及び複数の開口部52に限らず、グラフェン30に通じる少なくとも1つの開口部42及び少なくとも1つの開口部52を設けることができる。また、電子装置1G,1Hにおいて、電極40及び電極50には、互いに同種の金属を用いることができるほか、互いに異種の金属を用いることもできる。
【0116】
[第4の実施の形態]
ここでは、グラフェンと接続される電極に開口部及び重複部を設ける手法をSBDに適用する例を、第4の実施の形態として説明する。
【0117】
図19は第4の実施の形態に係る電子装置の第1の例について説明する図である。
図19(A)には第4の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部平面図を模式的に示している。
図19(B)には第4の実施の形態に係る電子装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図19(B)は
図19(A)のXIX-XIX断面模式図である。
【0118】
図19(A)及び
図19(B)に示す電子装置1Jは、SBDとして機能する電子装置の第1の例である。電子装置1Jでは、グラフェン30と接続される電極40及び電極50のうちの一方に、他方よりもグラフェン30との間のショットキー障壁が高くなるような電極材料が用いられる。電子装置1Jは、このような構成を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)等と相違する。
【0119】
電子装置1Jでは、グラフェン30と接続される電極40及び電極50のうち、例えば電極40に、電極50よりもグラフェン30との間のショットキー障壁が高くなるような電極材料が用いられる。電子装置1Jでは、電極40がSBDのショットキー電極(アノード電極)として機能し、電極50がSBDのオーミック電極(カソード電極)として機能するように、電極40及び電極50の各々の電極材料が選択される。例えば、ショットキー電極として機能する電極40には、Cr(クロム)上にAuが積層されたもの(Cr/Au積層体)を用いることができる。例えば、オーミック電極として機能する電極50には、Ti/Au積層体を用いることができる。
【0120】
電子装置1Jでは、グラフェン30と接続される電極40及び電極50のうち、一方の電極40に比較的グラフェン30との間のショットキー障壁が高くなるような電極材料が用いられる。これにより、一方の電極40をショットキー電極、他方の電極をオーミック電極とする、SBDが実現される。
【0121】
また、
図20は第4の実施の形態に係る電子装置の第2の例について説明する図である。
図20(A)には第4の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部平面図を模式的に示している。
図20(B)には第4の実施の形態に係る電子装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。尚、
図20(B)は
図20(A)のXX-XX断面模式図である。
【0122】
図20(A)及び
図20(B)に示す電子装置1Kは、SBDとして機能する電子装置の第2の例である。電子装置1Kでは、グラフェン30と接続される一方の電極に、上記のようなグラフェン30に通じる開口部を有しない電極140が用いられ、グラフェン30と接続される他方の電極に、グラフェン30に通じる開口部52を有する電極50が用いられる。電子装置1Kは、このような構成を有する点で、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1A(
図3)等と相違する。
【0123】
電子装置1Kでは、開口部を有しない電極140のグラフェン30との間のショットキー障壁が、開口部52を有することでコンタクト抵抗が低減される電極50のグラフェン30との間のショットキー障壁よりも高くなる。電子装置1Kでは、電極140をSBDのショットキー電極(アノード電極)として機能させ、電極50をSBDのオーミック電極(カソード電極)として機能させることが可能になる。電極140及び電極50には、互いの形状の違い(開口部の有無)によってコンタクト抵抗に差異が生じるため、例えば、Ti/Au積層体等の同種の電極材料を用いることができる。このほか、電極50には、Ti/Au積層体等の電極材料を用い、電極140には、ショットキー障壁を高めるために、Cr/Au積層体等、電極50とは異種の電極材料を用いることもできる。
【0124】
電子装置1J(
図19)及び電子装置1K(
図20)では、グラフェン30と接続され、SBDのオーミック電極(カソード電極)として機能させる電極50に、開口部52及び重複部51が設けられる。これにより、グラフェン30と電極50との接続部に存在する、電極50のエッジ部の長さが増大する。グラフェン30と電極50との間を流れる電流は、電極50のエッジ部に集中し易いため、エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。電極50は、グラフェン30との間のコンタクト抵抗が低減され、SBDのカソード電極として機能するようになる。また、電子装置1J,1Kでは、SBDのショットキー電極(アノード電極)として、比較的グラフェン30との間のショットキー障壁が高くなる電極材料を用いた電極40、グラフェン30に通じる開口部を有しない電極140、或いは更にショットキー障壁が高くなる電極材料を用いた電極140が設けられる。このような電極40,140により、SBDのショットキー電極が実現される。これにより、順方向バイアス印加時の導通特性に優れ、逆方向バイアス印加時の非導通特性に優れた、高性能のSBDを実現することが可能になる。
【0125】
尚、電子装置1Jの電極40及び電極50、電子装置1Kの電極50には、上記第1の実施の形態で述べた電子装置1B(
図4)や電子装置1C(
図5)に用いたような形状の電極40及び電極50を用いることもできる。このほか、電子装置1Jの電極40及び電極50、電子装置1Kの電極50には、上記第2の実施の形態で述べた電子装置1E(
図14)や電子装置1F(
図15)に用いたような形状の電極40及び電極50を用いることもできる。また、電子装置1Jの電極40及び電極50には、対称形のものに限らず、非対称形のもの、或いは異なる開口部形状を有するものを用いることもできる。
【0126】
電子装置1J,1Kにおいて、電極40及び電極50には、複数の開口部42及び複数の開口部52に限らず、グラフェン30に通じる少なくとも1つの開口部42及び少なくとも1つの開口部52を設けることができる。また、電子装置1J,1Kにおいて、電極40及び電極50には、互いに同種の金属を用いることができるほか、互いに異種の金属を用いることもできる。
【0127】
以上、第1~第4の実施の形態について説明した。以上述べたような開口部42を有する電極40、開口部52を有する電極50は、赤外線センサ、FET及びSBDのチャネル材料として用いられるグラフェン30のほか、各種電子装置の配線層において配線材料として用いられるグラフェンに適用してもよい。更に、以上述べたような開口部42を有する電極40、開口部52を有する電極50は、赤外線センサに限らず、グラフェン30に流れる電流の、特定波長の光の受光に起因した変化を検出するセンサや、特定物質の付着や吸着に起因した変化を検出するセンサに適用してもよい。また、以上述べたような赤外線センサ、FET及びSBD等は、それらのうちの2種以上を、共通の1枚の基板に集積してもよい。
【0128】
[第5の実施の形態]
上記第1~第4の実施の形態で述べたような構成を有する電子装置1A,1B,1C,1E,1F,1G,1H,1J,1K等は、各種電子機器に適用することができる。例えば、電子装置1A,1B,1C,1E,1F,1G,1H,1J,1K等は、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
【0129】
図21は第5の実施の形態に係る電子機器の一例について説明する図である。
図21には電子機器を模式的に示している。
図21に示すように、例えば、上記第1の実施の形態で述べたような電子装置1A(
図3)が、各種電子機器500の筐体500aの内部に搭載(内蔵)される。
【0130】
上記のように、電子装置1Aは、開口部42及び重複部41を有する電極40、並びに開口部52及び重複部51を有する電極50が、グラフェン30と接続される。これにより、グラフェン30と電極40及び電極50との接続部に存在する、電極40及び電極50のエッジ部の長さが増大する。エッジ部の長さが増大されることで、グラフェン30と電極40及び電極50との間の実効的なコンタクト抵抗が低減される。従って、グラフェン30と電極40及び電極50との間のコンタクト抵抗の低い、高性能の電子装置1Aが実現される。このような電子装置1Aが搭載され、高性能の電子機器500が実現される。
【0131】
ここでは、電子装置1Aを搭載した電子機器500を例示したが、同様に、他の電子装置1B,1C,1E,1F,1G,1H,1J,1K等を搭載する各種電子機器を実現することが可能である。
【0132】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) グラフェンと、
前記グラフェンの第1面に設けられ、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極と
を含むことを特徴とする電子装置。
【0133】
(付記2) 前記第1電極は、前記第1開口部を介して平行に並び前記グラフェンと重複する複数の重複部を有することを特徴とする付記1に記載の電子装置。
(付記3) 前記第1電極は、前記第1開口部として複数の孔を有することを特徴とする付記1に記載の電子装置。
【0134】
(付記4) 前記グラフェンの前記第1面に、前記第1電極から離間して設けられる第2電極を含むことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の電子装置。
(付記5) 前記第2電極は、前記グラフェンの前記第1面に通じる第2開口部を有することを特徴とする付記4に記載の電子装置。
【0135】
(付記6) 前記第1電極と前記第2電極とは、互いに同種の金属を含むことを特徴とする付記4又は5に記載の電子装置。
(付記7) 前記第1電極と前記第2電極とは、互いに異種の金属を含むことを特徴とする付記4又は5に記載の電子装置。
【0136】
(付記8) 前記第1電極と前記第2電極との間に、前記グラフェンと対向して設けられる第3電極を含むことを特徴とする付記5乃至7のいずれかに記載の電子装置。
(付記9) グラフェンを準備する工程と、
前記グラフェンの第1面に、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする電子装置。
【0137】
(付記10) グラフェンと、
前記グラフェンの第1面に設けられ、前記第1面に通じる第1開口部を有する第1電極と
を含む電子装置を備えることを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0138】
1A,1B,1C,1E,1F,1G,1H,1J,1K,100 電子装置
10,10H,110,210 基板
10a,20a,30a,110a,120a,130a 面
20,120 絶縁膜
30,130,230 グラフェン
30b,30c エッジ
40,50,140,150,240,250 電極
40a,50a 電極部
40b,40c,50b,50c 外縁部
41,51,281A,281E,281F 重複部
42,52,282A,282E,282F 開口部
60 保護膜
70 ゲート絶縁膜
80 ゲート電極
164 電流
165 エッジ部
200,200A,200E,200F TEG
260 定電流源
270,271,272,273,274,270A,271A,272A,273A,274A,270E,271E,272E,273E,274E,270F,271F,272F,273F,274F 端子
300 電流源
400 レジスト
400a 開口部
410 電極材料
500 電子機器
500a 筐体
AR1,AR2,AR3,AR4,AR5,AR6,AR101,AR102 領域
D0 方向
La 長さ
L1,L2,L3,L4,S0 距離
P1,P2,Q1,Q2,Wa 幅
r1,r2,r3,r4,R1,R2,R3,R4,Re1,Rg1,Re2,Rg2 抵抗
R コンタクト抵抗
V0,V1,V2,V3,V4 電位