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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20241113BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241113BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241113BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20241113BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241113BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J1/00 304E
H02J7/00 302C
H02J7/35 K
H02J1/00 304H
H02J1/00 304G
H02J1/00 306H
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021003575
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108530
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】邱 大偉
(72)【発明者】
【氏名】栗尾 信広
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 義文
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-083089(JP,A)
【文献】特開2001-045677(JP,A)
【文献】特開平09-121461(JP,A)
【文献】特開2016-149876(JP,A)
【文献】特開2013-70585(JP,A)
【文献】特開2020-102343(JP,A)
【文献】特開2013-239328(JP,A)
【文献】特開平11-220833(JP,A)
【文献】特開2013-128382(JP,A)
【文献】特開2020-124019(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110784013(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 1/00
H02J 7/00
H02J 7/35
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替回路と、前記切替回路に接続された発電装置と、前記切替回路に接続された負荷とを有した直流系統と、
第1の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第1の蓄電池と、
第2の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第2の蓄電池と、
前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御して、
前記直流系統での直流電力が余剰である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの一方の蓄電池を充電させ、
前記直流系統での直流電力が不足である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの他方の蓄電池を放電させる、無停電電源システム。
【請求項2】
前記直流系統は、前記切替回路に接続された交直変換回路であって、交流電源から受電した交流電力を直流電力に変換する交直変換回路を、さらに有する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記負荷の消費電力の所定時間当たりの変動量が予め定められた第1の閾値を超える場合に、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び前記第2の充放電回路を制御して、前記発電装置を前記負荷から切り離すとともに、前記一方の蓄電池と接続させて、更に、前記交直変換回路を前記負荷と接続させる、請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記発電装置の発電電力の所定時間当たりの変動量が予め定められた第2の閾値を超える場合に、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び前記第2の充放電回路を制御して、前記一方の蓄電池を前記負荷から切り離すとともに、前記発電装置と接続させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記発電装置の発電電力の所定時間当たりの変動量が前記第2の閾値を超える場合に、更に、前記他方の蓄電池を前記負荷と接続させる、請求項4に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記他方の蓄電池の充電量が予め定められた下限値より小さくなった場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池について、前記一方の蓄電池としての役割と前記他方の蓄電池としての役割を交代させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商用交流(AC)電源からの電力と、太陽電池等の自然エネルギーを利用した発電装置からの電力とを負荷に供給可能であり、更に太陽電池の余剰電力を充電するとともに、太陽電池の発電電力が小さい場合に負荷に対して電力を放電して供給する蓄電池を備えた無停電電源システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/127946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、太陽電池(発電装置)の発電電力の変動が大きい場合において、蓄電池に対して、充電及び放電の切り替え動作を頻繁に行わせることが要求される。この結果、従来技術の無停電電源システムでは、蓄電池あるいは蓄電池の充放電回路に故障が発生し易いという問題点を生じることがあった。
【0005】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、発電装置の発電電力の変動が大きい場合でも、蓄電池に対して、充電及び放電の切り替え動作を頻繁に行わせることなく、故障が生じる可能性を低減できる無停電電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る無停電電源システムは、切替回路と、前記切替回路に接続された発電装置と、前記切替回路に接続された負荷とを有した直流系統と、第1の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第1の蓄電池と、第2の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第2の蓄電池と、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御して、前記直流系統での直流電力が余剰である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの一方の蓄電池を充電させ、前記直流系統での直流電力が不足である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの他方の蓄電池を放電させる構成を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、発電装置の発電電力の変動が大きい場合でも、蓄電池に対して、充電及び放電の切り替え動作を頻繁に行わせることなく、故障が生じる可能性を低減できる無停電電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る無停電電源システムの構成例を説明する図である。
図2図1に示した切替回路の具体的な構成例を説明する図である。
図3図1に示した制御装置を示す概略構成図である。
図4】上記無停電電源システムの動作例を説明する図である。
図5図1に示した商用交流電源からの受電電力を最少化する制御を説明する図である。
図6】上記無停電電源システムの別の動作例(モード1)を説明する図である。
図7】上記無停電電源システムの別の動作例(モード2)を説明する図である。
図8】上記無停電電源システムの別の動作例(モード3)を説明する図である。
図9】上記無停電電源システムの別の動作例(モード4)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る無停電電源システムの構成例を説明する図である。図2は、図1に示した切替回路の具体的な構成例を説明する図である。
【0010】
図1の例では、本実施形態の無停電電源システム100は、発電装置PSと、切替回路11と、負荷として、例えば、2つの直流負荷S1、S2を含んだ直流系統101において、直流負荷S1、S2に対して、電力供給を停止することなく、直流電力を常時供給可能な無停電電源システムである。
【0011】
また、本実施形態の無停電電源システム100では、発電装置PSは、例えば、太陽電池1とDC/DCコンバータ5とを含んでおり、太陽電池1は、DC/DCコンバータ5を介して切替回路11に接続されている。
【0012】
また、この切替回路11には、直流負荷S1、S2がそれぞれ接続されている。そして、本実施形態の無停電電源システム100では、発電装置PSからの直流電力が切替回路11を介して直流負荷S1、S2に供給される。直流負荷S1、S2は、例えば、直流電力によって動作する電気機器である。
【0013】
また、本実施形態の無停電電源システム100は、DC/DCコンバータ(第1の充放電回路)8を介して直流系統101の切替回路11に接続された第1の蓄電池3と、DC/DCコンバータ(第2の充放電回路)9を介して直流系統101の切替回路11に接続された第2の蓄電池4と、当該無停電電源システム100の各部を制御する制御装置10とを備える。そして、本実施形態の無停電電源システム100では、第1の蓄電池3あるいは第2の蓄電池4からの直流電力が切替回路11を介して直流負荷S1、S2に供給される。
【0014】
更に、本実施形態の無停電電源システム100は、交直変換回路7を備えている。この交直変換回路7には、切替回路11と、変圧器6を介して商用交流電源(交流電源)2とが接続されている。商用交流電源2は、例えば、60Hzまたは50Hzの商用周波数の交流電力を無停電電源システム100に供給する。そして、本実施形態の無停電電源システム100では、商用交流電源2からの交流電力が交直変換回路7で直流電力に変換されて切替回路11を介して直流負荷S1、S2に供給される。
【0015】
太陽電池1は、太陽光のエネルギーを光電変換して直流電力を発生する。太陽電池1は、発生した直流電力をDC/DCコンバータ5を介して切替回路11に出力する。尚、発電装置PSとして、太陽電池1に代えて、例えば、風力発電機などの太陽光以外の自然エネルギーを利用するものや、コジェネレーションシステムや電動機などの非自然エネルギーを利用するものを用いることもできる。
【0016】
第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4は、直流電力を充放電可能な二次電池である。第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4は、それぞれ制御装置10に制御されるDC/DCコンバータ8、9の動作に応じて、充放電が行われる。
【0017】
切替回路11は、制御装置10からの指示に従って、発電装置PS、第1の蓄電池3、第2の蓄電池4、交直変換回路7(商用交流電源2)、及び直流負荷S1、S2の接続状態を切り替える。
【0018】
本実施形態の無停電電源システム100では、図2に示すように、切替回路11は、例えば、9つの開閉器11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、11H、11Iを含んで構成され得る。これらの開閉器11A~11Iは、直流系統101内の電路に配置されており、その各開閉状態が制御装置10からの指示に従って制御される。
【0019】
また、本実施形態の無停電電源システム100では、図2に示すように、発電装置PSと開閉器11A、11B、11Cとが接続点C1に接続されている。また、DC/DCコンバータ8と開閉器11A、11Eとが接続点C2に接続されている。また、DC/DCコンバータ9と開閉器11B、11Gとが接続点C3に接続されている。
【0020】
また、開閉器11C、11D、11H、11Iが接続点C4に接続されている。また、開閉器11E、11F、11G、11Iが接続点C5に接続されている。また、開閉器11Hには、交直変換回路7が接続されている。更に、開閉器11Dには、直流負荷S1が接続され、開閉器11Fには、直流負荷S2が接続されている。
【0021】
さらに、本実施形態の無停電電源システム100の制御装置10は、通常時、直流負荷S1、S2への電力供給の優先順位が発電装置PS(太陽電池1)、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4、及び商用交流電源2の順番となるように開閉器11A~11Iを制御するようになっている。そして、本実施形態の無停電電源システム100では、商用交流電源2からの受電電力を極力最少化するように構成されている(詳細は後述)。
【0022】
<制御装置>
次に、図3を用いて、制御装置10の具体的な構成例について説明する。図3は、図1に示した制御装置を示す概略構成図である。
【0023】
図3に示すように、制御装置10は、通信部10A、発電電力検出部10B、第1の充電量検出部10C、第2の充電量検出部10D、第1の消費電力検出部10F1、第2の消費電力検出部10F2、制御部10G、及び記憶部10Hを備える。
【0024】
通信部10Aは、無停電電源システム100の各部との間で双方向の通信を行う機能ブロックである。発電電力検出部10Bは、発電装置PSの発電電力Qsunを検出する機能ブロックである。
【0025】
第1の充電量検出部10Cは、第1の蓄電池3の充電量SOC1を検出する機能ブロックである(SOC:State Of Charge)。第2の充電量検出部10Dは、第2の蓄電池4の充電量SOC2を検出する機能ブロックである。
【0026】
第1の消費電力検出部10F1は、直流負荷S1の消費電力Qload1を検出する機能ブロックである。第2の消費電力検出部10F2は、直流負荷S2の消費電力Qload2を検出する機能ブロックである。
【0027】
記憶部10Hは、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部10Gで実行される各種の処理プログラムを記憶する。また、記憶部10Hは、消費電力Qload1、Qload2の所定時間当たりの変動量に関する第1の閾値、発電電力Qsunの所定時間当たりの変動量に関する第2の閾値、第1の蓄電池3の充電量SOC1及び第2の蓄電池の充電量SOC2に関する下限値SOCminを予め記憶する。
【0028】
尚、この説明以外に、例えば、通信部10Aを介して、外部から第1の閾値、第2の閾値、及び下限値SOCminを記憶部10Hに適宜設定する構成でもよい。
【0029】
制御部10Gは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う機能ブロックである。
【0030】
制御部10Gは、発電電力検出部10Bの検出結果、第1の充電量検出部10Cの検出結果、第2の充電量検出部10Dの検出結果、第1の消費電力検出部10F1の検出結果、及び第2の消費電力検出部10F2の検出結果を用いて、後掲のモード1~4のいずれかのモードの制御を選択して、切替回路11(開閉器11A~11Iの各開閉状態)、及びDC/DCコンバータ8、9を制御する。
【0031】
<動作例>
次に、図4図9も参照して、本実施形態の無停電電源システム100の動作について具体的に説明する。尚、以下の説明では、4つのモード1~4の各制御での動作を例示して説明する。
【0032】
<受電電力の最少化制御>
まず、図4及び図5を用いて、本実施形態の無停電電源システム100での商用交流電源からの受電電力を最少化する制御の動作について具体的に説明する。図4は、上記無停電電源システムの動作例を説明する図である。図5は、図1に示した商用交流電源からの受電電力を最少化する制御を説明する図である。
【0033】
本実施形態の無停電電源システム100では、上述したように、通常時、直流負荷S1、S2への電力供給の優先順位が発電装置PSに設定されている。つまり、通常時、例えば、図4に矢印P1、P2、P3にて示すように、発電装置PSからの直流電力が直流負荷S1に供給される。また、図4に矢印P1、P4、P5にて示すように、発電装置PSからの直流電力が直流負荷S2に供給される。
【0034】
また、本実施形態の無停電電源システム100では、制御部10Gは図4に矢印CPにて示す最少受電電力制御点において、商用交流電源2からの受電電力が最少となるように、切替回路11、及びDC/DCコンバータ8、9を制御する。
【0035】
具体的には、制御部10Gは、発電電力検出部10Bで検出された発電装置PSの発電電力Qsun、第1の消費電力検出部10F1の検出結果から得られる直流負荷S1の負荷状況、第2の消費電力検出部10F2の検出結果から得られる直流負荷S2の負荷状況、及び記憶部10Hに予め記憶されている直流系統101の系統特性などに基づいて、例えば、記憶部10Hに予め記憶されている、複数の発電装置PSの発電特性曲線(図5に実線及び点線で示した曲線)のデータのうち、実線で示した発電装置PSの発電特性曲線T1のデータを選定する。そして、制御部10Gは、直流電力を直流系統101に放電している第2の蓄電池4において、その直流電力の放電量を増加及び減少のいずれか一方に変化させる。
【0036】
例えば、制御部10Gが、DC/DCコンバータ9を制御して第2の蓄電池4の放電量を増加させると、上記最少受電電力制御点での商用交流電源2からの受電電力は、発電特性曲線T1上を右方向に変化する。一方、制御部10Gが、DC/DCコンバータ9を制御して第2の蓄電池4の放電量を減少させると、上記最少受電電力制御点での商用交流電源2からの受電電力は、発電特性曲線T1上を左方向に変化する。
【0037】
そして、制御部10Gは、受電電力が増加から減少に変化した時点(すなわち、発電特性曲線T1において、受電電力が0の値となる時点)を検出すると、第2の蓄電池4の放電量を増加及び減少の一方の変化から他方の変化に変更する。
【0038】
更に、制御部10Gは、この第2の蓄電池の放電量の増減動作を繰り返し行うことにより、商用交流電源2からの受電電力を最少化する。つまり、本実施形態では、商用交流電源2からの受電電力の最少化を容易に行うことができる。
【0039】
<モード1>
次に、図6を用いて、本実施形態の無停電電源システム100でのモード1の動作について具体的に説明する。図6は、上記無停電電源システムの別の動作例(モード1)を説明する図である。
【0040】
本実施形態の無停電電源システム100において、制御部10Gは、発電装置PSの発電電力Qsunが変動する場合に、すなわち、天候が曇りである場合などの常時の動作では、発電電力Qsunが消費電力Qload1、Qload2の合計量よりも大きくなったり、小さくなったりする場合に、モード1の制御を実行する。また、このモード1の制御を実行する場合、制御部10Gは、図6に示すように、開閉器11Bのみ開状態とし、それ以外の開閉器11A、11C~11Iは閉状態とするように、各開閉器11A~11Iを動作させる。
【0041】
つまり、モード1の制御を実行する場合、本実施形態の無停電電源システム100では、直流系統101での直流電力が余剰である場合と直流系統101での直流電力が不足である場合とが現れるため、このような常時の動作では、制御部11Gは、DC/DCコンバータ8、9を制御する。
【0042】
具体的には、直流系統101での直流電力が余剰である場合に、制御部10Gは、DC/DCコンバータ8を制御して、第1の蓄電池3(一方の蓄電池)に対して、太陽電池1からの直流電力を充電させる。
【0043】
すなわち、制御部10Gは、直流系統101での直流電力が余剰である場合に、図6に矢印P1、PJにて示すように、第1の蓄電池3に対して、発電装置PSの余剰電力(=発電電力Qsun-消費電力Qload1、Qload2)を充電させる。
【0044】
一方、直流系統101での直流電力が不足である場合に、制御部10Gは、DC/DCコンバータ9を制御して、第2の蓄電池4に対して、直流電力を直流系統101に放電させる。
【0045】
すなわち、制御部10Gは、直流系統101での直流電力が不足である場合に、図6に矢印PH、P8~P10にて示すように、第2の蓄電池4からの直流電力を直流負荷S1、S2に供給させる。
【0046】
また、モード1の制御では、制御部10Gは、第2の蓄電池4のみを放電させているので、当該第2の蓄電池4の充電量SOC2が上記下限値SOCminより小さくなった場合に、第1の蓄電池3及び前記第2の蓄電池4について、一方の蓄電池としての役割と他方の蓄電池としての役割を交代させる。つまり、制御部10Gは、切替回路11を制御して、開閉器11Aを開状態とし、開閉器11Bを閉状態とする。そして、制御部10Gは、第2の蓄電池4に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させるとともに、第1の蓄電池3から直流電力を直流系統101に放電させて直流負荷S1、S2に当該直流電力を供給させる。
【0047】
この結果、本実施形態の無停電電源システム100では、直流負荷S1、S2に対する直流電力の供給を維持しつつ、第2の蓄電池4が完全に放電した状態となるのを確実に低減するができ、無停電電源システム100の機能が損なわれるのを確実に低減することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態では、制御部10Gは、第2の蓄電池4(他方の畜電池)において、その充電量が下限値SOCminよりも小さくなると、当該第2の蓄電池4に対して、直流電力を充電させる。これにより、本実施形態では、例えば、第2の蓄電池4からの電力供給によるレジリエンスを強化するためのBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)に対応した制御を行うことができ、無停電電源システム100を継続的に使用することが可能となる。
【0049】
<モード2>
次に、図7を用いて、本実施形態の無停電電源システム100でのモード2の動作について具体的に説明する。図7は、上記無停電電源システムの別の動作例(モード2)を説明する図である。
【0050】
本実施形態の無停電電源システム100において、制御部10Gは、発電装置PS及び商用交流電源2がともに直流電力の供給を行うことが困難となった場合に、モード2の制御を実行する。尚、以下の説明では、発電装置PSの発電電力Qsunと商用交流電源2からの受電電力とがともに零である場合を例示して説明する。
【0051】
具体的には、制御部10Gは、切替回路11を制御して、発電装置PSからの直流電力の供給を停止させる。また、制御部10Gは、DC/DCコンバータ8、9を制御して、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4に対して、直流電力を直流系統101に放電させる。
【0052】
詳細にいえば、制御部10Gは、図7に示すように、例えば、開閉器11D、11E、11F、11G、11Iを閉状態とし、開閉器11A、11B、11C、11Hを開状態とする。これにより、モード2の制御では、制御部10Gは、図7に矢印P11、P13にて例示するように、第1の蓄電池3からの直流電力を直流負荷S1に供給させる。また、制御部10Gは、図7に矢印P12、P14にて例示するように、第2の蓄電池4からの直流電力を直流負荷S2に供給させる。
【0053】
尚、上記の説明では、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4の双方を放電させて、直流負荷S1、S2に対して直流電力を供給する場合を説明したが、本実施形態はこれに限定されはなく、直流負荷S1、S2の消費電力Qload1、Qload2や発電装置PSの発電電力Qsunなどによっては、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4の一方の蓄電池に対して、直流電力を放電させて直流負荷S1、S2に当該直流電力を供給させてもよい。
【0054】
<モード3>
次に、図8を用いて、本実施形態の無停電電源システム100でのモード3の動作について具体的に説明する。図8は、上記無停電電源システムの別の動作例(モード3)を説明する図である。
【0055】
本実施形態の無停電電源システム100において、制御部10Gは、発電装置PSの発電電力Qsunの所定時間当たりの変動量が予め定められた第2の閾値を超える場合に、モード3の制御を実行する。つまり、制御部10Gは、発電装置PSの発電電力Qsunが大きく変動する場合に、モード3の制御で切替回路11、及びDC/DCコンバータ8、9を制御する。
【0056】
具体的には、制御部10Gは、切替回路11を制御して、発電装置PSからの直流電力を当該切替回路11の内部に供給させる。また、制御部10Gは、DC/DCコンバータ8、9を制御して、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4のうち、例えば、第1の蓄電池3(他方の蓄電池)に対して、直流電力を直流系統101に放電させるとともに、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4のうち、例えば、第2の蓄電池4(一方の蓄電池)に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させる。
【0057】
詳細にいえば、制御部10Gは、図8に示すように、例えば、開閉器11B、11D、11E、11F、11H、11Iを閉状態とし、開閉器11A、11C、11Gを開状態とする。これにより、モード3の制御では、制御部10Gは、図8に矢印P15、P16にて例示するように、第2の蓄電池4に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させる。
【0058】
また、制御部10Gは、図8に矢印P17、P18、P19にて示すように、第1の蓄電池3からの直流電力を直流負荷S1に供給させ、図8に矢印P17、P18、P20にて示すように、第1の蓄電池3からの直流電力を直流負荷S2に供給させる。
【0059】
また、このモード3の制御では、制御部10Gは、図8に示すように、第2の蓄電池4を直流負荷S1、S2から切り離すとともに、発電装置PSと第2の蓄電池4とからなる閉回路を構成させている。すなわち、制御部10Gは、発電装置PSと第2の蓄電池4とを自立させている。これにより、本実施形態では、発電装置PSの発電電力Qsunが大きく変動する場合でも、当該発電電力Qsunを確実に第2の蓄電池4(一方の蓄電池)に充電することができる。
【0060】
また、このモード3の制御では、制御部10Gは、図8に示すように、第1の蓄電池3を発電装置PSから切り離すとともに、第1の蓄電池3と直流負荷S1、S2とからなる閉回路を構成させている。すなわち、制御部10Gは、第1の蓄電池3と直流負荷S1、S2とを自立させている。これにより、本実施形態では、発電装置PSの発電電力Qsunが大きく変動する場合でも、その発電電力Qsunの変動の影響を受けることなく、第1の蓄電池3(他方の蓄電池)から直流負荷S1、S2に対して、安定した電力供給を行うことができる。
【0061】
また、このモード3の制御では、制御部10Gは、第1の蓄電池3の充電量SOC1が上記下限値SOCminよりも小さくなった場合には、モード1の場合と同様に、上記BCPに対応した制御が行われる。すなわち、制御部10Gは、第1の蓄電池3に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させるとともに、第2の蓄電池4から直流電力を直流系統101に放電させて直流負荷S1、S2に当該直流電力を供給させる。更に、この場合には、制御部10Gは、発電装置PSと第1の蓄電池3とからなる閉回路を構成させる。
【0062】
また、このモード3の制御では、制御部10Gは、第2の蓄電池4の充電量SOC2が許容可能な充電量に達した場合には、第1の蓄電池3に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させるとともに、第2の蓄電池4から直流電力を直流系統101に放電させて直流負荷S1、S2に当該直流電力を供給させる。更に、この場合にも、制御部10Gは、発電装置PSと第1の蓄電池3とからなる閉回路を構成させる。また、第2の蓄電池4での過充電を確実に低減することができる。
【0063】
また、上記の説明以外に、モード3の制御において、商用交流電源2からの電力供給を停止させることも可能である。また、商用交流電源2からの電力供給を行う場合は、図5を用いて説明した商用交流電源2からの受電電力を極力最少化する制御が実施される。
【0064】
<モード4>
次に、図9を用いて、本実施形態の無停電電源システム100でのモード4の動作について具体的に説明する。図9は、上記無停電電源システムの別の動作例(モード4)を説明する図である。
【0065】
本実施形態の無停電電源システム100において、制御部10Gは、直流負荷S1、S2の消費電力Qload1、Qload2の所定時間当たりの変動量が予め定められた第1の閾値を超える場合に、モード4の制御を実行する。つまり、制御部10Gは、直流負荷S1、S2の消費電力Qload1、Qload2が大きく変動する場合に、モード4の制御で切替回路11、及びDC/DCコンバータ8、9を制御する。
【0066】
尚、以下の説明では、直流負荷S1の消費電力Qload1の所定時間当たりの変動量が予め定められた第1の閾値を超える場合を例示して説明する。つまり、直流負荷S1の消費電力Qload1が大きく変動する場合を例示して説明する。
【0067】
具体的には、制御部10Gは、切替回路11を制御して、発電装置PSからの直流電力を当該切替回路11の内部に供給させる。また、制御部10Gは、DC/DCコンバータ8、9を制御して、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4のうち、例えば、第1の蓄電池3(他方の蓄電池)に対して、直流電力を直流系統101に放電させるとともに、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4のうち、例えば、第2の蓄電池4(一方の蓄電池)に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させる。
【0068】
詳細にいえば、制御部10Gは、図9に示すように、例えば、開閉器11B、11D、11E、11F、11Hを閉状態とし、開閉器11A、11C、11G、11Iを開状態とする。これにより、モード4の制御では、制御部10Gは、図9に矢印P21、P22にて例示するように、第2の蓄電池4に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させる。また、制御部10Gは、図9に矢印P23、P24、P27にて示すように、第1の蓄電池3からの直流電力を直流負荷S2に供給させる。
【0069】
更に、このモード4の制御では、制御部10Gは、交直変換回路7によって商用交流電源2からの交流電力を直流電力に変換して、当該直流電力を直流系統101に供給する。そして、制御部10Gは、図9に矢印P25、P26にて示すように、商用交流電源2からの直流電力を直流負荷S1に供給させる。
【0070】
また、このモード4の制御では、制御部10Gは、図9に示すように、発電装置PSを直流負荷S1から切り離すとともに、直流負荷S1と商用交流電源2とからなる閉回路を構成させている。つまり、制御部10Gは、直流負荷S1を自立させている。これにより、本実施形態では、直流負荷S1の消費電力Qload1が大きく変動する場合でも、当該直流負荷S1に対して、商用交流電源2から安定した電力供給を容易に行うことができる。
【0071】
また、このモード4の制御では、制御部10Gは、図9に示すように、例えば、上記モード3の制御と同様に、第2の蓄電池4を直流負荷S1、S2から切り離すとともに、発電装置PSと第2の蓄電池4とからなる閉回路を構成させている。これにより、第2の蓄電池4に対して、発電装置PSからの直流電力を安定的に充電させるとともに、第1の蓄電池3に対して、放電させて直流電力を安定的に直流負荷S2に供給させることが可能となる。
【0072】
また、このモード4の制御では、制御部10Gは、第1の蓄電池3の充電量SOC1が上記下限値SOCminよりも小さくなった場合には、モード1の場合と同様に、上記BCPに対応した制御が行われる。すなわち、制御部10Gは、第1の蓄電池3に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させるとともに、第2の蓄電池4から直流電力を直流系統101に放電させて直流負荷S2に当該直流電力を供給させる。更に、この場合には、制御部10Gは、発電装置PSと第1の蓄電池3とからなる閉回路を構成させる。また、第2の蓄電池4での過充電を確実に低減することができる。
【0073】
また、このモード4の制御では、制御部10Gは、第2の蓄電池4の充電量SOC2が許容可能な充電量に達した場合には、第1の蓄電池3に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させるとともに、第2の蓄電池4から直流電力を直流系統101に放電させて直流負荷S1、S2に当該直流電力を供給させる。更に、この場合にも、制御部10Gは、発電装置PSと第1の蓄電池3とからなる閉回路を構成させる。
【0074】
尚、上記の説明以外に、例えば、直流負荷S2の消費電力Qload2の所定時間当たりの変動量もまた予め定められた第1の閾値を超える場合などにおいて、商用交流電源2と直流負荷S1、S2とからなる閉回路を構成させてもよい。この場合には、発電装置PSと第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4とからなる閉回路を構成させて、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4に対して、発電装置PSからの直流電力を充電させることもできる。
【0075】
以上のように構成された本実施形態の無停電電源システム100では、発電装置PSの発電電力Qsunが大きく変動する場合でも、制御装置10は、直流系統101での直流電力が余剰である場合には、上記モード1の制御を選択して、例えば、第1の蓄電池3(一方の蓄電池)のみ余剰な直流電力を充電させる。また、制御装置10は、直流系統101での直流電力が不足である場合には、上記モード1の制御を選択して、例えば、第2の蓄電池4(他方の蓄電池)のみ直流電力を放電させる。
【0076】
この結果、本実施形態の無停電電源システム100では、発電装置PSの発電電力Qsunの変動が大きい場合でも、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4に対して、充電及び放電の切り替え動作を頻繁に行わせることなく、当該第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4あるいはDC/DCコンバータ(充放電回路)8、9に故障が生じる可能性を低減できる。さらには、第1の蓄電池3及び第2の蓄電池4の電池寿命を容易に伸ばすことができ、無停電電源システム100の点検などの保守期間もまた容易に伸ばすことができる。
【0077】
したがって、本実施形態の無停電電源システム100が、例えば、無線通信局などの無人の電気施設に適用された場合において、これら電気施設での保守作業などの機会を大幅に減らすことができ、高い利便性を有する無停電電源システムを提供することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態の無停電電源システム100では、第1の蓄電池3または第2の蓄電池4のいずれか一方の蓄電池に対して、直流電力を充電させるとともに、他方の蓄電池に対して、直流電力を放電させて直流負荷に供給させている。このため、本実施形態の無停電電源システム100では、上記BCPに対応した制御を容易に行うことができる。
【0079】
さらには、他方の蓄電池から直流電力を直流負荷に供給させることにより、商用交流電源2の受電電力の最少化を容易に行いつつ、一方の蓄電池に発電装置PSからの直流電力を充電させることにより、当該発電装置PSの余剰電力の有効活用を容易に行うことができる。
【0080】
尚、上記の説明では、2つの直流負荷S1、S2に対して、直流電力を供給する構成について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの直流負荷に対して直流電力を供給するものであれば何等限定されない。
【0081】
また、上記の説明では、第1の蓄電池3と第2の蓄電池4とを備えた構成について説明したが、本実施形態は一方の蓄電池に直流電力を充電させ、他方の蓄電池に直流電力を放電させるものであれば何等限定されるものではなく、例えば、一方の蓄電池及び他方の蓄電池に各々複数の蓄電池(例えば、組電池)を含ませることもできる。
【0082】
例えば、本実施形態では、上記余剰電力が生じた場合に、複数の蓄電池からなる一方の蓄電池に当該余剰電力を充電させ、上記発電電力が不足する場合に、複数の蓄電池からなる他方の蓄電池から直流電力を放電させてもよい。
【0083】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置10の機能ブロック(特に、制御部10G)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0084】
後者の場合、制御部10Gは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。
【0085】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを更に備えていてもよい。
【0086】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0087】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る無停電電源システムは、切替回路と、前記切替回路に接続された発電装置と、前記切替回路に接続された負荷とを有した直流系統と、第1の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第1の蓄電池と、第2の充放電回路を介して前記切替回路に接続された第2の蓄電池と、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び第2の充放電回路を制御して、前記直流系統での直流電力が余剰である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの一方の蓄電池を充電させ、前記直流系統での直流電力が不足である場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池のうちの他方の蓄電池を放電させる構成を備えている。
【0088】
上記構成によれば、発電装置の発電電力の変動が大きい場合でも、蓄電池に対して、充電及び放電の切り替え動作を頻繁に行わせることなく、故障が生じる可能性を低減できる。
【0089】
上記一側面に係る無停電電源システムにおいて、前記直流系統は、前記切替回路に接続された交直変換回路であって、交流電源から受電した交流電力を直流電力に変換する交直変換回路を、さらに有する構成を備えていてもよい。
【0090】
上記構成によれば、交直変換回路が商用交流電源からの交流電力を直流電力に変換して、直流系統に供給することができ、負荷が停止するのを確実に低減することができる。
【0091】
上記一側面に係る無停電電源システムにおいて、前記制御装置は、前記負荷の消費電力の所定時間当たりの変動量が予め定められた第1の閾値を超える場合に、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び前記第2の充放電回路を制御して、前記発電装置を前記負荷から切り離すとともに、前記一方の蓄電池と接続させて、更に、前記交直変換回路を前記負荷と接続させる構成を備えていてもよい。
【0092】
上記構成によれば、発電装置を一方の蓄電池のみに接続させるとともに、負荷を自立させているので、当該負荷の消費電力が大きく変動する場合でも、その変動の影響を受けることなく、一方の蓄電池での充電を行うことができ、更には当該直荷に対して、商用交流電源から安定した電力供給を容易に行うことができる。
【0093】
上記一側面に係る無停電電源システムにおいて、前記制御装置は、前記発電装置の発電電力の所定時間当たりの変動量が予め定められた第2の閾値を超える場合に、前記切替回路、前記第1の充放電回路、及び前記第2の充放電回路を制御して、前記一方の蓄電池を前記負荷から切り離すとともに、前記発電装置と接続させる構成を備えていてもよい。
【0094】
上記構成によれば、一方の蓄電池を負荷から切り離して、当該一方の蓄電池と発電装置とを自立させているので、発電装置の発電電力が大きく変動する場合でも、当該発電電力を確実に一方の蓄電池に充電することができる。
【0095】
上記一側面に係る無停電電源システムにおいて、前記制御装置は、前記発電装置の発電電力の所定時間当たりの変動量が前記第2の閾値を超える場合に、更に、前記他方の蓄電池を前記負荷と接続させる構成を備えていてもよい。
【0096】
上記構成によれば、他方の蓄電池を発電装置から切り離して、当該他方の蓄電池と負荷とを自立させているので、発電装置の発電電力が大きく変動する場合でも、その発電電力の変動の影響を受けることなく、負荷に対して、安定した電力供給を容易に行うことができる。
【0097】
上記一側面に係る無停電電源システムにおいて、前記制御装置は、前記他方の蓄電池の充電量が予め定められた下限値より小さくなった場合に、前記第1の蓄電池及び前記第2の蓄電池について、前記一方の蓄電池としての役割と前記他方の蓄電池としての役割を交代させる構成を備えていてもよい。
【0098】
上記構成によれば、負荷への電力供給を停止させることなく、一方の蓄電池の充電量が零の値、つまり当該蓄電池が完全に放電した状態となるのを確実に低減することができ、無停電電源システムの機能が損なわれるのを確実に低減することができる。
【0099】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
2 商用交流電源
3 第1の蓄電池
4 第2の蓄電池
7 交直変換回路
8 DC/DCコンバータ(第1の充放電回路)
9 DC/DCコンバータ(第2の充放電回路)
10 制御装置
11 切替回路
PS 発電装置
S1、S2 直流負荷(負荷)
100 無停電電源システム
101 直流系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9