IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイコム株式会社の特許一覧

特許7587136電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器
<>
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図1
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図2
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図3
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図4
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図5
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図6
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図7
  • 特許-電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/06 20060101AFI20241113BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H04R1/06 310
H05K1/18 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021012588
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116428
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 英行
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-020179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/42- 1/46
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード配線を有する電子部品としてのスピーカを電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、
前記電子部品に取付けられる剛性のフレームと、
剛性を有して前記フレームに一端が揺動自在に支持される、或いは可撓性を有して前記フレームに一端が取付けられ、かつ前記リード配線が接続されるパターンおよび他端側に前記パターンから延びる接点を有する基板と、
前記内部回路の基板に形成された接点と、前記基板の接点との一方に設けられるバネ接点と、
前記組付けた状態で前記基板の他端側と前記電子機器の筐体との間に介在され、前記筐体が組上げられた状態で、前記基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる押圧部材とを含むことを特徴とする電子部品の接続装置。
【請求項2】
前記フレームは、
前記スピーカのマグネット部分が圧入される環状部と、
前記環状部の外周で、前記基板の一端を揺動自在に支持、或いは前記基板の一端が取付けられる係止部材と、
前記環状部の外周から、前記係止部とは反対方向に、前記スピーカのフレームを超えて延び、前記基板の他端側を、前記揺動または撓みの変位自在に案内する案内部材とを備えることを特徴とする請求項1記載の電子部品の接続装置。
【請求項3】
前記フレームは板金部品から成り、前記基板は剛性の印刷配線基板から成り、
前記係止部材は、前記環状部の外周から前記内部回路基板側に垂下して折曲げ形成され、その案内部材側に、前記基板の一端を揺動自在に支持する切欠きを有し、
前記案内部材は、前記内部回路基板側に垂下して折曲げ形成される案内片を有し、
前記基板には、その厚み方向に貫通して、前記案内片が遊挿する案内孔を有することを特徴とする請求項2記載の電子部品の接続装置。
【請求項4】
前記案内片の先端側には、基端側になるに連れて隆起し、前記案内孔の周囲に係止する逆止爪が形成されることを特徴とする請求項3記載の電子部品の接続装置。
【請求項5】
リード配線を有する電子部品としてのスピーカを電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、
前記スピーカのフレームにおいて、マグネット部分の近傍に形成される係止部材と、
剛性を有して前記係止部材に一端が揺動自在に支持される、或いは可撓性を有して前記係止部材に一端が取付けられ、かつ前記リード配線が接続されるパターンおよび他端側に前記パターンから延びる接点を有する基板と、
前記内部回路の基板に形成された接点と、前記基板の接点との一方に設けられるバネ接点と、
前記組付けた状態で前記基板の他端側と前記電子機器の筐体との間に介在され、前記筐体が組上げられた状態で、前記基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる押圧部材とを含むことを特徴とする電子部品の接続装置。
【請求項6】
前記係止部材は、前記スピーカのフレームが折曲げ形成されて成り、前記押圧部材側に、前記基板の一端を揺動自在に支持する切欠きを有し、
前記基板の他端側は、狭幅に形成されており、
前記スピーカのフレームにおいて、前記マグネットに対して係止部材と反対側には、前記基板の狭幅部分の両側を案内することで該基板の前記スピーカの軸回りの回転を阻止するとともに、狭幅になる段部を保持することで該基板の前記スピーカの径方向へのズレを阻止する案内部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の電子部品の接続装置。
【請求項7】
前記請求項1~6の何れか1項に記載の電子部品を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機のような電子機器に、スピーカなどのリード配線を有する電子部品を取付け、内部回路の基板と電気的に接続する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、典型的な従来技術の接続装置を用いる無線機9の組立て構造を説明する分解斜視図である。この無線機9は、大略的に、上部に開口した下部筐体92と、それに被せられる上部筐体(不図示)と、正面に設けられる操作パネル94と、背面に設けられるアンテナ等の端子95や放熱フィン96と、内部回路の基板97と、リード配線981を有する電子部品であるスピーカ982とを備えて構成される。
【0003】
なお、本件明細書では、説明の簡略化のために、上記のように電子部品としているが、電気部品でもよく、リード配線981を有するものであればよい。前記電気部品では、スピーカ982などの電気-機械変換、或いはマイクロフォンなどの機械-電気変換の部品が挙げられる。前記リード配線981としては、スピーカ982のように単芯線だけでなく、たとえば圧電素子の場合にはフレキシブル基板なども用いることができる。
【0004】
スピーカ982は、コーン型またはドーム型の汎用品で(以下コーン型で説明する)、そのコーン9821の中心のコイル9822が円柱状のマグネット9823に嵌込んでおり、そのマグネット9823から側面視で台形状のフレーム9824が延び、フレーム9824の外周部分でコーン9821の外周部分が矢紙(ガスケット)9825で固定されて構成される。前記のコイル9822の両端は、フレーム9824に取付けられた端子台9826に半田付けされ、その端子台9826からは2本のリード配線981が引出される。そして、スピーカ982は、スピーカメーカーで、2本のリード配線981の先端が、典型的な接続装置であるコネクタ983に予め加工され、スピーカユニット(モジュール)98に構成されている。
【0005】
この無線機9の組立ては、概略的には、前記アンテナ等の端子95や各種の部品が実装された内部回路の基板97や放熱フィン96が下部筐体92に組付けられ、さらに操作パネル94が、そのフレキシブルケーブルが基板97に接続されるとともに、下部筐体92に組付けられ、前記のスピーカ982の取付けおよび上部筐体の組付けで完了する。スピーカ982の組付けは、予めスピーカ982の円柱状のマグネット9823の部分に帽状のゴムダンパー99が嵌込まれ、そのゴムダンパー99が、前記下部筐体92に隆起して形成され、基板97に形成された開口部971を通して露出しているボス921上に搭載されることで行われる。前記コネクタ983は、このスピーカ982の組付け前または後に、前記内部回路の基板97に設けられたコネクタ972に差込まれ、電気的に接続される。こうして、仮固定されたスピーカ982は、上部筐体を被せることで、該スピーカ982の矢紙(ガスケット)9825部分から該スピーカ982が押さえ込まれて本固定される。
【0006】
上述の従来技術では、コネクタ983の接続は、人手による作業になる。ここで、無線機9において、アマチュア無線や業務用無線のような大パワーの据置型の大きな無線機の場合、生産台数はさほど多くなく、一部には受注生産の品もあったりして、作業者が適宜調整もしながら、組立てられる。一方、ハンディや車載タイプの比較的小型の無線機の場合、生産台数は、上記の据置型の大きな無線機に比べて多いものの、たとえば携帯電話の端末装置のように非常に多いと言うレベルでもない。そのため、長大なラインで組立てられるのではなく、複数台の組付機や実装機を用いてコンパクトに組立てられ、しかも各組付機や実装機は、それぞれ多数の部品を組付けるので、1台を組上げるのに、かなりの時間を要する。
【0007】
したがって、前記の人手によるコネクタ983の接続作業があると、長い組立て時間の内、作業者が実際に作業するのは極短い時間であり、非常に効率が悪い。特に夜間に自動生産させるにも、作業員が付いていなければならない。また、作業者がコネクタ983を接続し忘れることもある。
【0008】
そこで、特許文献1には、ロボット生産に適したスピーカの端子構造が示されている。それによれば、スピーカ側は板バネを折曲げたバネ接点とし、筐体を組立てることで、前記バネ接点が内部回路の基板に形成された接点と接触するようにしている。したがって、コネクタ接続の作業を無くし、ロボットだけの組立てに移行できる効果が非常に大きい。そして、+-の各端子を2本ずつ設け、その2本を角度を持って(交差して)配置することで、接続不良や瞬断を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2020-65170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の従来技術は、ロボット生産に適応できるだけでなく、前記接続不良や瞬断を防止することができるスピーカの接続構造である。しかしながら、その無線機は前後筐体に分割され、スピーカは、前筐体に予めネジ止め固定され、その前筐体には、マイクロフォン、タッチキー、表示部なども組付けられている。したがって、この従来技術を図8の無線機9に適用すると、基板97からボス921に載せただけのスピーカ982が、上部筐体を組付ける際に、バネ接点の弾発力で傾いて位置ズレを生じ、接続不良を生じる可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、リード配線を有するスピーカなどの電子部品を電子機器に組付けるにあたって、高い接続信頼性で、ロボットによる組付けを実現することができる電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子部品の接続装置は、リード配線を有する電子部品を電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、前記電子部品に取付けられる剛性のフレームと、剛性を有して前記フレームに一端が揺動自在に支持される、或いは可撓性を有して前記フレームに一端が取付けられ、かつ前記リード配線が接続されるパターンおよび他端側に前記パターンから延びる接点を有する基板と、前記内部回路の基板に形成された接点と、前記基板の接点との一方に設けられるバネ接点と、前記組付けた状態で前記基板の他端側と前記電子機器の筐体との間に介在され、前記筐体が組上げられた状態で、前記基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる押圧部材とを含むことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、リード配線を有する電子部品を電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、本発明では、フレームと、印刷配線基板などの基板と、バネ接点と、押圧部材とを用いる。
【0014】
詳しくは、前記フレームは、剛性を有し、電子部品に、圧入や接着などで取付けられ、基板を支持する。その基板は、剛性である場合は一端側が前記フレームに揺動自在に支持され、或いは該基板が可撓性を有する場合は前記フレームに一端が取付けられる(固定される)。そして、該基板には、パターンが形成されており、そのパターンには前記リード配線が接続されるとともに、前記基板の他端側には接点を有する。その接点と、前記内部回路の基板に形成された接点との間には、バネ接点が介在され、電子部品の組付け前は、該バネ接点は前記内部回路の接点と前記基板の接点との一方に半田付けなどで固定される。そして、前記筐体が組上げられると、押圧部材が基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる。
【0015】
したがって、リード配線を有する電子部品を電子機器に組付けるにあたって、電子部品を、予め、フレーム、印刷配線基板、押圧部材、および場合によってはバネ接点を取付けたモジュールに組上げておくことで、そのモジュール化した電子部品を電子機器の内部回路の基板付近の所定位置に搭載するだけで、筐体を組上げたら、前記リード配線は基板から両接点およびバネ接点を介して、前記内部回路と電気的に接続されることになる。
【0016】
こうして、電子機器の最終組立て時にリード配線を有する電子部品を組付けるにあたって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、ロボットによる組付けを実現することができる。また、前記バネ接点は、押圧部材で押圧される、すなわち筐体が最終的に組上げられるまでは弾発力を発揮しない。したがって、電子部品を載せただけの仮固定状態で、バネ接点の押圧力によって該電子部品が傾いたりするようなこともなく、バネ接点の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。さらにまた、リード配線を有する電子部品や、筐体も、従来のままの部品を使用することができる。
【0017】
また、本発明の電子部品の接続装置では、前記電子部品は、スピーカであり、前記フレームは、前記スピーカのマグネット部分が圧入される環状部と、前記環状部の外周で、前記基板の一端を揺動自在に支持、或いは前記基板の一端が取付けられる係止部材と、前記環状部の外周から、前記係止部とは反対方向に、前記スピーカのフレームを超えて延び、前記基板の他端側を、前記揺動または撓みの変位自在に案内する案内部材とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、電気部品のスピーカは、たとえばコーン型やドーム型の多くのスピーカの場合、コイルの両端はフレームに設けられた端子台に半田付けされ、その端子台から単芯のリード線が2本引出される構造である。そして、スピーカは、様々な電子機器に電気-機械変換、すなわち音声出力手段として使用され、生産数量が多い。そのため、スピーカ自体の構造への変更は無くし(汎用品を用い)、前記フレーム、印刷配線基板、および場合によってはバネ接点を取付けたモジュールに予めを組上げておくだけで、ロボットによる組付けに対応することができ、コストを大きく押し上げることなく、好適である。
【0019】
さらにまた、前記スピーカが、コーン型やドーム型のスピーカの場合、そのコーンやドームの中心のコイルが円柱状のマグネットに嵌込んでおり、そのマグネットから側面視で台形状のフレームが延び、フレーム外周部分でコーンの外周部分が矢紙(ガスケット)で固定されて構成される。その円柱状のマグネットの部分に、板金などから成るフレームの環状部を圧入すると、該フレームはスピーカのフレームに一体化する。そのフレームには、前記環状部の外周にブラケットのような、たとえば一対の係止部材が垂下して形成されており、この係止部材で前記基板の一端を揺動自在に支持、或いはこの係止部材に前記基板の一端が取付けられる(固定される)。一方、前記フレームの前記環状部の外周からは、前記係止部とは反対方向に、前記基板と共にスピーカのフレームを超えて(外側に)延びる案内部材が形成されている。この案内部材は、前記基板の他端側を、前記揺動または撓みの変位自在に、すなわち、脱落しないように案内する。
【0020】
したがって、前記筐体が組上げられると、スピーカのフレームの外側で、押圧部材は筐体に押圧されて基板の他端側を押圧し、バネ接点を密着させることができる。こうして、既存のコーン型やドーム型のスピーカを、ロボットによる組付けに適用することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の電子部品の接続装置では、前記フレームは板金部品から成り、前記基板は剛性の印刷配線基板から成り、前記係止部材は、前記環状部の外周から前記内部回路基板側に垂下して折曲げ形成され、その案内部材側に、前記基板の一端を揺動自在に支持する切欠きを有し、前記案内部材は、前記内部回路基板側に垂下して折曲げ形成される案内片を有し、前記基板には、その厚み方向に貫通して、前記案内片が遊挿する案内孔を有することを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、前記環状部、係止部材および案内部材を板金加工で形成することができ、しかも基板の取付けも、一端を切欠きに嵌込み、案内孔に案内片を通すだけでよく、コストを削減することができる。
【0023】
また、本発明の電子部品の接続装置では、前記案内片の先端側には、基端側になるに連れて隆起し、前記案内孔の周囲に係止する逆止爪が形成されることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、揺動自在の基板を、上記のように、その一端を切欠きに嵌込み、案内孔に案内片を通すだけで、案内片の逆止爪が案内溝を通り、基板の反対側に達すると該案内孔の周囲に係止して抜け止めを行う。したがって、組立てを簡単にすることができる。
【0025】
さらにまた、本発明の電子部品の接続装置は、リード配線を有する電子部品としてのスピーカを電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、前記スピーカのフレームにおいて、マグネット部分の近傍に形成される係止部材と、剛性を有して前記係止部材に一端が揺動自在に支持される、或いは可撓性を有して前記係止部材に一端が取付けられ、かつ前記リード配線が接続されるパターンおよび他端側に前記パターンから延びる接点を有する基板と、前記内部回路の基板に形成された接点と、前記基板の接点との一方に設けられるバネ接点と、前記組付けた状態で前記基板の他端側と前記電子機器の筐体との間に介在され、前記筐体が組上げられた状態で、前記基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる押圧部材とを含むことを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、リード配線を有する電子部品としてのスピーカを電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、本発明では、スピーカのフレームに係止部材を設ける一方、印刷配線基板などの基板と、バネ接点と、押圧部材とをさらに用いる。
【0027】
詳しくは、前記係止部材は、前記スピーカのフレームにおいて、マグネット部分の近傍に、該フレームの板金加工などで形成され、フックのような形状を有し、基板を支持する。その基板は、剛性である場合は一端側が前記係止部材に揺動自在に支持され、或いは該基板が可撓性を有する場合は前記係止部材に一端が取付けられる(固定される)。そして、該基板には、パターンが形成されており、そのパターンには前記リード配線が接続されるとともに、前記基板の他端側には接点を有する。その接点と、前記内部回路の基板に形成された接点との間には、バネ接点が介在され、スピーカの組付け前は、該バネ接点は前記内部回路の接点と前記基板の接点との一方に半田付けなどで固定される。そして、前記筐体が組上げられると、押圧部材が基板の他端側を押圧して、前記内部回路の基板の接点と前記基板の接点との他方側に前記バネ接点を密着させる。
【0028】
したがって、リード配線を有する電子部品であるスピーカを電子機器に組付けるにあたって、スピーカに係止部材を形成するとともに、該スピーカを、予め、印刷配線基板、押圧部材、および場合によってはバネ接点を取付けたモジュールに組上げておくことで、そのモジュール化したスピーカを電子機器の内部回路の基板付近の所定位置に搭載するだけで、筐体を組上げたら、前記リード配線は基板から両接点およびバネ接点を介して、前記内部回路と電気的に接続されることになる。
【0029】
こうして、電子機器の最終組立て時に、そのようなリード配線を有するスピーカを組付けるにあたって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、ロボットによる組付けを実現することができる。また、前記バネ接点は、押圧部材で押圧される、すなわち筐体が最終的に組上げられるまでは弾発力を発揮しない。したがって、スピーカを載せただけの仮固定状態で、バネ接点の押圧力によって該スピーカが傾いたりするようなこともなく、バネ接点の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。
【0030】
また、本発明の電子部品の接続装置では、前記係止部材は、前記スピーカのフレームが折曲げ形成されて成り、前記押圧部材側に、前記基板の一端を揺動自在に支持する切欠きを有し、前記基板の他端側は、狭幅に形成されており、前記スピーカのフレームにおいて、前記マグネットに対して係止部材と反対側には、前記基板の狭幅部分の両側を案内することで該基板の前記スピーカの軸回りの回転を阻止するとともに、狭幅になる段部を保持することで該基板の前記スピーカの径方向へのズレを阻止する案内部材が設けられていることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、基板は、その一端が係止部材の切欠きに嵌込んで揺動自在に支持されるので、該係止部材およびバネ接点の上に載っただけの仮固定状態ならびに押圧部材で押込まれる際は不安定である。そこで、基板の他端側を狭幅に形成しておく一方、スピーカのフレームにおいて、前記マグネットに対して係止部材と反対側には、案内部材を設ける。その案内部材は、前記基板の狭幅部分の両側を案内することで該基板の前記スピーカの軸回りの回転を阻止することができる。また、狭幅になる段部を保持することで、基板の切欠きからの抜止めが行われ、該基板の前記スピーカの径方向へのズレを阻止することもできる。こうして、不安定な仮固定状態から、筐体の最終の組上げの際に、バネ接点の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。
【0032】
さらにまた、本発明の電子機器は、前記の電子部品を備えることを特徴とする。
【0033】
上記の構成によれば、リード配線を有するスピーカなどの電子部品を電子機器に組付けるにあたって、ロボットによる組付けが可能で、接続信頼性を得ることができる電子機器を実現することができる。
【0034】
好ましくは、前記電子機器が、無線機、特にハンディや車載タイプの比較的小型の無線機で実現されることである。その場合、生産台数は、据置型の大きな無線機に比べて多いものの、たとえば携帯電話の端末装置のように非常に多いと言うレベルでもない。そのため、長大なラインで組立てられるのではなく、複数台の組付機や実装機を用いて組立てられ、しかも各組付機や実装機は、それぞれ多数の部品を組付けるので、1台を組上げるのに、かなりの時間を要する。したがって、人手によるコネクタ接続などの作業を無くし、ロボットだけの組立てに移行する効果が非常に大きい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器は、以上のように、リード配線を有する電子部品を電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、電子部品にはフレームを取付け、そのフレームに印刷配線基板などの基板を揺動自在に支持し、或いは該基板が可撓性を有するようにし、該基板のパターンには前記リード配線を接続し、前記パターンの先に設けた接点と、内部回路の基板に形成された接点との間に介在したバネ接点が、筐体を組上げた際に押圧部材で押圧されるようにして、密着し、電気的に接続されるようにする。
【0036】
それゆえ、電子部品を、予め、フレーム、印刷配線基板、押圧部材、および場合によってはバネ接点を取付けたモジュールに組上げておくことで、そのモジュール化した電子部品を、電子機器の内部回路の基板付近の所定位置に搭載するだけで、筐体を組上げたら、前記リード配線は基板から両接点およびバネ接点を介して、前記内部回路と電気的に接続されることになる。これによって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、高い接続信頼性で、ロボットによる組付けを実現することができる。また、リード配線を有する電子部品や、筐体も、従来のままの部品を使用することができる。
【0037】
また、本発明の電子部品の接続装置およびそれを用いる電子機器は、以上のように、リード配線を有する電子部品であるスピーカを電子機器に組付ける際に前記リード配線を前記電子機器の内部回路と接続する接続装置において、スピーカのフレームに係止部材を取付け、その係止部材に印刷配線基板などの基板を揺動自在に支持し、或いは該基板が可撓性を有するようにし、該基板のパターンには前記リード配線を接続し、前記パターンの先に設けた接点と、内部回路の基板に形成された接点との間に介在したバネ接点が、筐体を組上げた際に押圧部材で押圧されるようにして、密着し、電気的に接続されるようにする。
【0038】
それゆえ、スピーカに係止部材を設ける一方、該スピーカを、予め、印刷配線基板、押圧部材および場合によってはバネ接点を取付けたモジュールに組上げておくことで、そのモジュール化したスピーカを、電子機器の内部回路の基板付近の所定位置に搭載するだけで、筐体を組上げたら、前記リード配線は基板から両接点およびバネ接点を介して、前記内部回路と電気的に接続されることになる。これによって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、高い接続信頼性で、ロボットによる組付けを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施の一形態に係る接続装置を用いる無線機の組立て構造を説明する分解斜視図である。
図2】前記無線機の断面図である。
図3】前記接続装置を備えるスピーカユニットの分解斜視図である。
図4図3を反対側から見た分解斜視図である。
図5図4を組上げた状態の斜視図である。
図6】本発明の実施の他の形態に係る接続装置を備えるスピーカユニットの分解斜視図である。
図7図6を組上げた状態の斜視図である。
図8】典型的な従来技術の接続装置を用いる無線機の組立て構造を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の一形態に係る接続装置5を用いる無線機1の組立て構造を説明する分解斜視図であり、図2は断面図である。この無線機1は、大略的に、上部に開口した下部筐体12と、それに被せられる上部筐体13と、正面に設けられる操作パネル14と、背面に設けられるアンテナ等の端子15や放熱フィン16と、内部回路の基板2と、電子部品であるスピーカ4に前記接続装置5を備えるスピーカユニット(モジュール)3とを備えて構成される。下部筐体12は、裏面に多数の放熱フィン121を備え、また内面には、多数のネジ用のボス122や、後述するスピーカ4用のボス123を備えて、たとえばアルミダイキャストで形成される。上部筐体13は、スピーカ4用の開口部131を備えて、アルミの板金加工などで形成される。
【0041】
図3はスピーカユニット3の分解斜視図であり、図4図3の反対側から見た分解斜視図であり、図5図4を組上げた状態の斜視図である。本実施形態のスピーカ4については、コーン型の汎用品である。詳しくは、コーン41の中心のコイル42が円柱状のマグネット43に嵌込んでおり、そのマグネット43から側面視で台形状のフレーム44が延び、該フレーム44の外周部分で前記コーン41の外周部分が矢紙(ガスケット)45で固定されて構成される。前記のコイル42の両端は、フレーム44に取付けられた端子台46に、半田471,472によってそれぞれ半田付けされる。その端子台46からは、2本のリード配線491,492が、半田481,482によってそれぞれ半田付けされて引出される。
【0042】
注目すべきは、本実施形態のスピーカユニット3は、電気部品である汎用のスピーカ4を、電子機器である無線機1に組付けるにあたって、そのスピーカ4のリード配線491,492を内部回路の基板2に接続する接続装置5を用いることである。この接続装置5は、スピーカ4のロボットによる組付けを可能にするために用いられるものであり、予めメーカーによってスピーカ4に組付けられて、スピーカユニット3として一体化(モジュール化)されている。
【0043】
接続装置5は、フレーム51と、基板52と、バネ接点53,54と、押圧部材55とを備えて構成される。フレーム51は、剛性を有し、ステンレスの板金加工品などから成る。基板52は、大略的にY字状、或いはU字の底からI字の脚が延びたような形状に形成され(本実施形態では、U字とI字の組合わせで示している)、そのY字またはU字の凹部521にマグネット43が嵌込む(遊挿する)。
【0044】
フレーム51は、スピーカ4のマグネット43部分が圧入または接着などで取付けられる環状部511と、環状部511の外周で、基板52の一端(前記Y字またはU字の先端)522を揺動自在に支持する一対のブラケットのような係止部材512と、環状部511の外周から、前記係止部512とは反対方向に、前記スピーカ4のフレーム44を超えて(枠外に)延びる連結部513と、前記基板52の他端(前記Y字またはI字の基端)524側を、前記揺動変位自在に案内する一対の案内部材514とを備えて構成される。環状部511は、円形の開口部5111を有し、本実施形態では、その内周面の複数箇所に、前記圧入によりマグネット43を挟持する爪5112が形成されている。環状部511にマグネット43が圧入されると、フレーム51はスピーカ4のフレーム44に一体化する。
【0045】
フレーム51は、基板52を支持するもので、本実施形態では、基板52は剛性で、その一端522側が該フレーム51に揺動自在に支持されているが、基板52は可撓性に形成されてもよく、その場合は、該基板52の一端522が、フレーム51の係止部512に接着などで固定される。その場合、案内部材514は、基板52の他端524を撓み変位自在に案内する。
【0046】
基板52には、前記Y字またはU字の底付近に、前記リード配線491,492がそれぞれ半田付けされるコンタクト5251,5252が形成されている。コンタクト5251,5252は、前記Y字またはU字の底付近から、前記連結部513と平行に形成され、前記Y字の脚またはI字の部分となる連結部523に形成されたパターン5261,5262によって引出され、前記Y字の脚またはI字の部分の先端(基板52の他端524)側に形成される接点5271,5272にそれぞれ接続される。接点5271,5272は、内部回路の基板2側の対向する接点21,22側に形成される必要があるが、コンタクト5251,5252およびパターン5261,5262は、基板52の反対側の面に形成され、ビアなどで電気的に接続されてもよい。
【0047】
そして、後述するように、スピーカユニット3を組付けた状態で相互に対向する接点5271,5272と接点21,22との間には、バネ接点53,54が介在される。このバネ接点53,54は、予め内部回路の基板2側の接点21,22に半田付けによって固定されるが、基板52の接点5271,5272側に半田付けされていてもよい。本実施形態では、プラスマイナスのそれぞれの接点5271,5272;21,22(極性は任意である)は、単一のパターンであるが、電気的な接続の確実性を得るために、バネ接点53,54は、2組の一対の接点で構成される。また、接点5271,5272は、基板2の連結部523の長手方向、すなわち前記Y字の脚またはI字の部分の基端側から先端側に、順次形成されているが、前記Y字の脚またはI字の部分の両側で、相互に異なる極とし、バネ接点53,54も、前記長手方向で同じ極としてもよい。また、バネ接点53,54は、本実施形態のような板バネを曲成したものではなく、出没自在のピン端子を備えるもので構成されてもよい。
【0048】
基板52の他端524と上部筐体13の裏面との間には、押圧部材55が介在される。この押圧部材55は、前記基板52の他端524に貼付けられるゴムやウレタンなどのブロックで構成される。
【0049】
上述のように構成される無線機1の組立ては、概略的には、アンテナ等の端子15や各種の部品が実装された内部回路の基板2や放熱フィン16が下部筐体12に組付けられ、さらに操作パネル14が、そのフレキシブルケーブルが基板2に接続されるとともに、下部筐体12に組付けられ、上述のスピーカユニット3が組付けられた後、上部筐体13を組付けることで完了する。スピーカユニット3の組付けは、予めスピーカ4の円柱状のマグネット43の部分に帽状のゴムダンパー19が嵌込まれ、そのゴムダンパー19が、前記下部筐体12に隆起して形成され、基板2に形成された開口部23を通して露出しているボス123上に搭載されることで行われる。
【0050】
最終的に上部筐体13がネジ止めされて筐体12,13が組上げられると、スピーカ4が、その矢紙(ガスケット)45の部分が上部筐体13の裏面で押圧され、該スピーカ4がゴムダンパー19からボス123の間に挟持されるとともに、押圧部材55が基板52の他端524側を押圧して、接点5271,5272をバネ接点53,54に密着させる。これによって、スピーカ4のコイル42は、リード配線491,492-コンタクト5251,5252-パターン5261,5262-接点5271,5272-バネ接点53,54-接点21,22を介して、内部回路の基板2上のパワーアンプ等に電気的に接続される。
【0051】
このように構成することで、2本のリード配線491,492が引出される電気部品であるスピーカ4に、予め接続装置5を組上げてモジュール化したスピーカユニット3に構成しておくことで、該スピーカユニット3を、電子機器である無線機1の最終組立て時に、所定位置である基板2の開口部23からボス123上に搭載するだけで、筐体12,13を組上げたら、前記リード配線491,492は前記内部回路と電気的に接続されることになる。これによって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、ロボットによる組付けを実現することができる。また、ロボット組立てが可能な電子機器である無線機を実現することができる。
【0052】
また、バネ接点53,54は、押圧部材55で押圧される、すなわち筐体12,13が最終的に組上げられるまでは弾発力を発揮しない。したがって、スピーカユニット3を載せただけの仮固定状態で、該バネ接点53,54の押圧力によってスピーカユニット3が傾いたりするようなこともなく、バネ接点53,54の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。
【0053】
さらにまた、上記のような構成のスピーカ4は、様々な電子機器に電気-機械変換、すなわち音声出力手段として使用され、生産数量が多いので、スピーカ4自体の構造への変更は無くし(汎用品を用い)、前記フレーム51、基板52、および場合によってはバネ接点53,54を取付けたモジュール(スピーカユニット3)に予め組上げておくだけで、ロボットによる組付けに対応することができ、コストを大きく押し上げることなく、好適である。また、本実施形態では、開口部23の形成された内部回路の基板2や、筐体12,13も、従来のままの部品を使用することができる。
【0054】
また、本実施形態の接続装置5では、基板52は剛性の印刷配線基板から成り、フレーム51において、係止部材512は環状部511の外周から内部回路の基板2側に垂下して折曲げ形成され、その案内部材514側に、基板52の一端522を揺動自在に支持する切欠き5121を有し、一方、前記案内部材514は、前記基板2側に垂下して折曲げ形成される案内片であり、前記基板52には、その厚み方向に貫通して、前記案内片が遊挿する案内孔528が形成される。したがって、環状部511、係止部材512および案内部材514を板金加工で形成することができ、しかも基板52の取付けも、一端522を切欠き5121に嵌込み、案内孔528に案内片を通すだけでよく、コストを削減することができる。そのため、基板52の一端522には、前記切欠き5121に嵌込むための段部5221が切欠いて形成される。
【0055】
さらにまた、本実施形態の接続装置5では、案内片(514)の先端側には、基端側になるに連れて隆起し、前記案内孔528の周囲に係止する逆止爪516が形成される。したがって、揺動自在の基板2を、上記のように、その一端522を切欠5121に嵌込み、案内孔528に案内片(514)を通すだけで、案内片(514)の逆止爪516が案内孔528を通り、基板52の反対側に達すると該案内孔528の周囲に係止して抜け止めを行う。したがって、組立てを簡単にすることができる。
【0056】
上述の実施形態では、基板52において、連結部523には、パターン5261,5262および接点5271,5272の両側に案内片(514)が一対で形成されているが、片方だけでも或る程度の効果が発揮でき、また2組それぞれ2本のバネ接点53,54が、連結部523の幅方向(両側)で異なる極となり、長手方向で同極となる場合は、前記案内片(514)は連結部523の幅方向中央部に1本設けられてもよい。
【0057】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の他の形態の接続装置5aを用いるスピーカユニット3aの分解斜視図であり、図7図6を組上げた状態の斜視図である。このスピーカユニット3aは、上述のスピーカユニット3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、本実施形態のスピーカユニット3aでは、接続装置5aにおいて、前述のフレーム51に対応する部分が、係止部材58および案内部材59として、スピーカ4aのフレーム44aに、一体で取付けられることである。
【0058】
詳しくは、係止部材58は、前述のフレーム51の係止部材512と同様の機能を有するもので、マグネット43の近傍で、フレーム44aから内部回路の基板2側に垂下して折曲げ形成され、案内部材59側に、基板52aの一端522を揺動自在に支持する切欠き581を有する一対のブラケットのように形成される。
【0059】
一方、案内部材59は、案内部材514に対応するもので、スピーカ4aのフレーム44aにおいて、マグネット43に対して係止部材58と反対側に固定される固定部591と、その固定部591から前記基板2側に垂下して折曲げ形成される立下げ片592と、前記立下げ片592の遊端側を2又に分割して基板52aの他端524側の両側部を案内する一対の案内片593と、前記案内片593に連なる係止部594と、前記係止部594に連なる導入部595とを備えて構成される。固定部591は、端子台46と共に、スポット溶接などでフレーム44に固定される。
【0060】
これに対応して、基板52aの連結部523aの他端524側は、段部5231によって狭幅に形成されており、前記一対の案内片593は、この狭幅部分の両側を案内することで、基板2aのスピーカ4aの軸回りの回転を阻止するとともに、狭幅になる段部5241を保持することで、基板52aの前記スピーカ4aの径方向へのズレを阻止する。前記基板2aの案内部材59への嵌込みの際、立下げ片592、案内片593、係止部594および導入部595は、その弾発力で撓み、斜辺となっている導入部595は、連結部523aの段部5231より基端側の幅広部分を案内してゆく。そして、前記幅広部分が斜辺を通過すると、前記の各部は弾発力で復帰し、係止部594は、前記段部5231の幅広部分を保持し、抜止めを行う。こうして、スピーカユニット3aは、予めメーカーで組立てられる(一体のモジュール化される)。
【0061】
このように構成することで、リード配線491,492を有する電子部品であるスピーカ4aを電子機器である無線機1に組付けるにあたって、スピーカ4aに係止部材58および案内部材59を形成するとともに、該スピーカ4aを、予め、基板52a、押圧部材55、および場合によってはバネ接点53,54を取付けたスピーカユニット3aに組上げておくことで、そのスピーカユニット3aを無線機1の内部回路の基板2付近の所定位置に搭載するだけで、筐体12,13を組上げたら、リード配線491,492は基板52aから両接点5271,5272;21,22およびバネ接点53,54を介して、前記内部回路と電気的に接続されることになる。
【0062】
こうして、無線機1の最終組立て時に、そのようなリード配線491,492を有するスピーカ4aを組付けるにあたって、コネクタ接続などの手作業を廃止して、ロボットによる組付けを実現することができる。また、バネ接点53,54は、押圧部材55で押圧される、すなわち筐体12,13が最終的に組上げられるまでは弾発力を発揮しない。したがって、スピーカ4aを載せただけの仮固定状態で、バネ接点53,54の押圧力によって該スピーカ4aが傾いたりするようなこともなく、バネ接点53,54の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。
【0063】
また、基板52aは、その一端522が係止部材58の切欠き581に嵌込んで揺動自在に支持されるので、該係止部材58およびバネ接点53,54の上に載っただけの仮固定状態ならびに押圧部材55で押込まれる際は不安定である。そこで、基板52aの他端524a側を狭幅に形成しておく一方、スピーカ4aのフレーム44aにおいて、マグネット43に対して係止部材58と反対側には案内部材59を設けるので、不安定な仮固定状態から、筐体12,13の最終の組上げの際に、バネ接点53,54の接続信頼性および良好な組立て性を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 無線機
12 下部筐体
121 放熱フィン
122,123 ボス
13 上部筐体
131 開口部
14 操作パネル
15 端子
16 放熱フィン
19 ゴムダンパー
2 内部回路の基板
21,22 接点
23 開口部
3,3a スピーカユニット
4,4a スピーカ
41 コーン
42 コイル
43 マグネット
44,44a フレーム
45 矢紙
46 端子台
491,492 リード配線
5,5a 接続装置
51 フレーム
511 環状部
5111 開口部
5112 爪
512 係止部材
5121 切欠き
513 連結部
514 案内部材(案内片)
516 逆止爪
52,52a 基板
522 一端
521 凹部
5221 段部
523,523a 連結部
5231 段部
524,524a 他端
5251,5252 コンタクト
5261,5262 パターン
5271,5272 接点
528 案内孔
53,54 バネ接点
55 押圧部材
58 係止部材
581 切欠き
59 案内部材
591 固定部
592 立下げ片
593 案内片
594 係止部
595 導入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8