(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241113BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20241113BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
G06F8/65
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2021013910
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】河野 諒太
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218623(JP,A)
【文献】特開平10-153647(JP,A)
【文献】特開2013-134848(JP,A)
【文献】特開2020-016582(JP,A)
【文献】特開2013-084143(JP,A)
【文献】特開2006-085534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G06F 8/65
H01M 10/48
H01H 47/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアにしたがって電池の電力によって動作する動作部と、
前記ソフトウェアを記憶するメモリと、
前記動作部に前記電池の電力が供給されていない状態での前記電池の第1端子電圧と、前記動作部に前記電池の電力が供給されている状態での前記電池の第2端子電圧との差電圧が所定電圧以下である場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新する一方、前記差電圧が前記所定電圧を超える場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新しない更新制御部と、を備
え、
前記動作部は、ラッチングリレーを有し、
前記更新制御部は、前記第2端子電圧の取得時に、前記ラッチングリレーを切り替えさせないように、前記ラッチングリレーのコイルに電流を流すことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定電圧は、前記第2端子電圧の変化特性に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器は無線通信機であることを特徴とする請求項1
または2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多数の電子機器は、プロセッサなどによって制御されるため、ソフトウェアが不可欠となっている。また、このような電子機器においては、ソフトウェアの改訂に伴って、ソフトウェアを更新することも一般に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電池の現在の電圧値が電池残量閾値よりも大きい場合にソフトウェアの更新を実行することが記載されている。電池残量閾値は、更新用のソフトウェアの容量の大小や、当該ソフトウェアの容量などの情報を記憶する不揮発メモリの種別に応じて設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、電池残量閾値を設定する必要がある。また、電池の残量が尽きる直前まで電圧がほぼ一定で、その後に電圧が急激に低下するという特性を有する電池では、電池残量閾値の設定が困難であり、電池の電圧値が電池残量閾値よりも大きい場合でも、電圧が急激に低下する状況になると、ソフトウェアの更新中に電源が断たれてしまう。このため、ソフトウェアの更新に失敗するという問題が生じる。
【0006】
本発明の一態様は、より確実にソフトウェアを更新することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、ソフトウェアにしたがって電池の電力によって動作する動作部と、前記ソフトウェアを記憶するメモリと、前記動作部に前記電池の電力が供給されていない状態での前記電池の第1端子電圧と、前記動作部に前記電池の電力が供給されている状態での前記電池の第2端子電圧との差電圧が所定電圧以下である場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新する一方、前記差電圧が前記所定電圧を超える場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新しない更新制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、より確実にソフトウェアを更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信機を示すブロック図である。
【
図2】無線通信機の制御部を示すブロック図である。
【
図3】無線通信機によるファームアップの実行可否を判定する処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】電池の端子電圧と電池の使用時間との関係を示す特性図、および当該特性図に対応する、差電圧と電池の使用時間との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0011】
(無線通信機の構成)
図1は、本実施形態に係る無線通信機1を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、無線通信機1(電子機器)は、送信部2と、受信部3と、送受信切替回路4と、アンテナ5と、表示部6と、操作部7と、インターフェース8と、プログラムメモリ9(メモリ)と、電池10と、電圧検出部11と、スイッチ12と、制御部13とを備えている。
図1において、インターフェース8はI/Fと示される。
【0013】
送信部2は、入力された音声を送信信号に変換する送信処理を行う。送信部2は、送信処理を行うために、マイク21と、A/D変換器22と、変調部23と、D/A変換器24と、BPF(Band Pass Filter)25と、ALC(Automatic Level Control)回路26と、電力増幅器27とを有している。
図1において、マイク21はMICと示され、A/D変換器22はA/Dと示され、D/A変換器24はD/Aと示され、ALC回路26はALCと示され、電力増幅器27はPAと示される。
【0014】
送信部2において、マイク21から出力される音声信号は、A/D変換器22によってデジタル信号に変換された後、変調部23によって所定の変調方式で変調信号に変調される。変調信号は、D/A変換器24によってアナログ信号に変換された後、BPF25によって所定の帯域のみが通過する。BPF25を経た変調信号は、ALC回路26によって、電力増幅器27への入力レベルが制限される。ALC回路26を経た変調信号の電力は、電力増幅器27によって通信に必要な大きさの電力に増幅される。
【0015】
送信部2から出力された送信信号は、送受信切替回路4を介してアンテナ5に出力される。アンテナ5は、入力された送信信号を電波として放射する。一方、アンテナ5は、電波として受信した受信信号を送受信切替回路4に出力する。この受信信号は、送受信切替回路4を介して受信部3に入力される。
【0016】
送受信切替回路4は、送信部2およびアンテナ5の接続と、受信部3およびアンテナ5との接続を切り替える回路である。送受信切替回路4は、半導体スイッチ、リレー(特にラッチングリレー)などを含んで構成されている。
【0017】
受信部3は、受信された受信信号を音声に変換する受信処理を行う。受信部3は、受信処理を行うために、BPF(Band Pass Filter)31と、A/D変換器32と、復調部33と、D/A変換器34と、スピーカ35とを有している。
図1において、A/D変換器32はA/Dと示され、D/A変換器34はD/Aと示され、スピーカ35はSPと示される。
【0018】
受信部3において、入力された受信信号は、BPF31によって帯域が制限されて、A/D変換器32によってデジタル信号に変換された後、復調部33によって所定の復調方式で音声信号に復調される。復調部33からの音声信号は、D/A変換器34によってアナログ信号に変換され、スピーカ35に入力される。スピーカ35からは、入力信号に応じた音声が出力される。
【0019】
表示部6は、制御部13によって作成された各種の情報を可視化するために表示する。操作部7は、PTTスイッチや各種の操作ボタンを有しており、PTTスイッチや操作ボタンによる操作を受け付け、操作に応じた操作信号を制御部13に出力する。
【0020】
無線通信機1において、送信部2、受信部3、送受信切替回路4、アンテナ5、表示部6および操作部7は、後述するファームウェアにしたがって電池10の電力によって動作する動作部101を構成している。
【0021】
インターフェース8は、外部から供給されるファームウェア(ソフトウェア)を受け入れるために設けられている。ファームウェアは、制御部13が動作部101の制御を行うためのソフトウェアである。
【0022】
インターフェース8は、ファームウェアがメモリカードに格納される場合、メモリカードを接続するためのインターフェースである。あるいは、インターフェース8は、ファームウェアが他の装置(例えばパーソナルコンピュータ)から通信ケーブルを介して伝送される場合、通信ケーブルを接続するためのインターフェースである。
【0023】
プログラムメモリ9は、ファームウェアを記憶するための不揮発メモリである。プログラムメモリ9は、例えば、フラッシュROM、EEPROM(登録商標)(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などによって構成される。
【0024】
電池10は、乾電池などの一次電池、あるいはリチウムイオン電池などの二次電池によって構成される。電池10からの電力は、プログラムメモリ9および制御部13に常時供給される。
【0025】
電圧検出部11は、電池10の端子電圧を検出する。電圧検出部11は、例えば、後述する制御部13の電圧読取部131(
図2参照)を構成するA/D変換器に、検出した端子電圧を入力するために、端子電圧をA/D変換器の変換電圧範囲の電圧に変換するレベル変換回路(分圧抵抗のみから成る回路、分圧抵抗およびアンプを含む回路など)を含んでいる。
【0026】
スイッチ12は、電池10からの電力の電力を動作部101に供給するための給電路102に設けられている。スイッチ12は、ノーマリオフ型のスイッチである。
【0027】
制御部13は、動作部101を制御する。具体的には、制御部13は、操作部7からの操作信号に基づいて、送受信切替回路4の切り替え動作を制御したり、無線通信機1の現在の動作状態に応じた情報を作成して表示部6に供給したりする。また、制御部13は、プログラムメモリ9に格納されたファームウェアの更新を行う。
【0028】
(制御部の構成)
次に、制御部13がファームウェアの更新するための構成について説明する。
図2は、制御部13を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、制御部13は、ファームウェアの更新を行うために、電圧読取部131と、記憶部132と、判定部133と、更新制御部134とを有している。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、A/D変換器、タイマなどを含むマイクロコントローラによって構成される。上述したプログラムメモリ9は、制御部13に組み込まれ、ROMによって構成されていてもよい。この場合、ROMは、上述したフラッシュROM、EEPROM(登録商標)などで構成される。
【0030】
電圧読取部131は、電圧検出部11によって検出された電池10の端子電圧を読み取る。電圧読取部131は、例えば、上述したマイクロコントローラのA/D変換器によって構成され、入力されるアナログの端子電圧をデジタルの端子電圧に変換することによって、端子電圧を読み取る。
【0031】
記憶部132は、電圧読取部131によって読み取られた端子電圧を、更新制御部134の指示を受けて一時的に記憶する。このため、記憶部132は、上述したRAMによって構成される。記憶部132には、動作部101に電池10の電力が供給されていない状態での端子電圧(第1端子電圧)と、動作部101に電池10の電力が供給されている状態での端子電圧(第2端子電圧)とが記憶される。
【0032】
判定部133は、記憶部132に記憶されている第1端子電圧と第2端子電圧との差電圧と、所定の閾値電圧とを比較する。判定部133は、差電圧が所定電圧以下である場合、ファームウェアの更新が可能であると判定し、差電圧が所定電圧を超える場合、ファームウェアの更新が不可能であると判定する。
【0033】
更新制御部134は、ファームウェアの更新を制御するために、上記のCPUの機能の一部として設けられている。更新制御部134は、ユーザによる操作部7への操作に応じてファームウェアの更新に関する一連の処理を開始する。更新制御部134は、ファームウェアの更新処理期間中にファームウェアを更新していることを表示部6に表示させる。更新制御部134は、スイッチ12のON・OFF(開閉)動作の制御、および記憶部132の書込動作の制御を行う。更新制御部134は、判定部133によってファームウェアの更新が可能であると判定された場合、ファームウェアの更新処理を実行する一方、判定部133によってファームウェアの更新が不可能であると判定された場合、ファームウェアの更新処理を実行しない。
【0034】
(ファームウェア更新処理)
続いて、制御部13によるファームウェアの更新処理について説明する。
図3は、無線通信機1によるファームアップの実行可否を判定する処理手順を示すフローチャートである。
図4は、電池10の端子電圧と電池10の使用時間との関係を示す特性図、および当該特性図に対応する、差電圧と電池10の使用時間との関係を示す特性図である。
【0035】
図3に示すように、まず、更新制御部134は、ユーザによる操作部7の操作に応じて操作部7からファームアップ(ファームウェアの更新)を開始するための開始指示があったか否かを判定する(ステップS1)。更新制御部134は、開始指示がなければ(ステップS1のNO)、開始指示があるまで(ステップS1のYES)、待機する。この状態では、スイッチ12はOFFしている。この状態では、プログラムメモリ9、制御部13動作部などの無線通信機1の一部に微小な電流が流れる。
【0036】
更新制御部134は、開始指示時を受けると、電圧読取部131によって読み取られた第1端子電圧V1を記憶部132に記憶させる(ステップS2)。次いで、更新制御部134は、スイッチ12をONさせて(ステップS3)、所定時間経過したか否かを判定する(ステップS4)。制御部13における計時は、例えば、上述したタイマによって行われる。この状態では、プログラムメモリ9、制御部13動作部などに加えて動作部101にも電流が流れるため、無線通信機1においては大きな電流が流れる。
【0037】
更新制御部134は、所定時間経過していなければ(ステップS4のNO)、所定時間経過するまで(ステップS4のYES)、待機する。所定時間は、例えば、スイッチ12がOFF状態からON状態に変化してから電池10の端子電圧が安定するまでの時間よりもやや長い時間に設定される。
【0038】
更新制御部134は、スイッチ12のONから所定時間が経過すると、電圧読取部131によって読み取られた第2端子電圧V2を記憶部132に記憶させ(ステップS5)、スイッチ12をOFFさせる。
【0039】
判定部133は、更新制御部134からスイッチ12をOFFさせたという通知を受けると、第1端子電圧V1と第2端子電圧V2との差電圧ΔVが所定電圧Vth以下であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0040】
更新制御部134は、ステップS7において、差電圧ΔVが所定電圧以下であると判定された場合、すなわち、ファームアップ実行可能であると判定された場合、ファームアップを実行して(ステップS8)、処理を終える。更新制御部134は、インターフェース8を介して取り込んだ更新用のファームウェアをプログラムメモリ9に記憶されたファームウェアに上書きすることで更新を実行する。更新制御部134は、ファームアップの実行中に、表示部6にファームアップが実行されていることを表示させる。
【0041】
また、ファームアップの実行中は、スイッチ12がOFF状態となっている。ファームアップの実行中は、動作部101を動作させないので、動作部101による無駄な電力消費を削減することができる。
【0042】
更新制御部134は、ステップS7において、差電圧ΔVが所定電圧を超えると判定された場合、すなわち、ファームアップ実行不可能であると判定された場合、ファームアップを中止して(ステップS9)、処理を終える。この場合、更新制御部134は、電池10の残量が不足しており、ファームアップが実行できなかったことを表示部6に表示させる。
【0043】
(効果)
一般に、電池は、残量がまだ十分ある状態では、負荷を重くしても、端子電圧がわずかに低下するが、残量が少なくなった状態では、内部抵抗が大きくなるので、負荷を重くすると、端子電圧が大きく低下する。このため、電池10の残量がまだ十分ある状態の差電圧ΔVは小さく、電池10の残量が少なくなった状態の差電圧ΔVは大きくなる。
【0044】
そこで、判定部133は、動作部101に電力が供給されていない軽負荷状態における第1端子電圧と、動作部101に電力が供給されている重負荷状態における第2端子電圧との差電圧ΔVに基づいて、ファームアップの実行可否を判定する。具体的には、上述したように、判定部133は、差電圧ΔVが所定電圧Vth以下である場合、ファームアップの更新が可能であると判定し、差電圧ΔVが所定電圧Vthを超える場合、ファームアップの更新が不可能であると判定する。
【0045】
そして、更新制御部134は、判定部133によるファームアップ更新可能の判定に基づいてファームアップを実行する。また、更新制御部134は、判定部133によるファームアップ更新不可能の判定に基づいてファームアップを中止する(実行しない)。
【0046】
特に、
図4に示すように、ある種の電池10(例えばニッケル水素電池)の端子電圧Vtは、使用時間Tが経過しても、ほぼ一定値を維持しているが、電池10の残量がなくなる直前では急激に低下する。そのため、端子電圧Vtによる電池残量閾値の設定が困難であり、ソフトウェアの更新に失敗するという問題が生じる。
【0047】
ここで、差電圧ΔVに着目すると、電池10の残量がまだ十分ある状態の使用時間T1の時点では、差電圧ΔVが小さく所定電圧Vth以下となるため、ファームアップの更新が可能であると正しく判定される。一方、電池10の残量が少なくなる使用時間T2の時点では、差電圧ΔVが所定電圧Vthを超えるので、ファームアップの更新が不可能であると正しく判定される。
【0048】
したがって、ファームアップを実行する前に、電池10の残量がファームアップに十分足りるか否かを判定することができる。そして、電池10の残量が少なくなった状態でファームアップを実行しないことにより、ファームアップの実行中に電池10の残量がなくなり、ファームアップが中断されてしまうという不都合を回避することができる。
【0049】
上記のように、第2端子電圧V2の変化特性によって電池10の残量をある程度予測できる。このため、所定電圧Vthは、上記の重負荷状態における使用時間Tに対する第2端子電圧V2の変化特性と、ファームアップに要する電力とに基づいて、ある程度のマージンを含めて設定される。ファームアップに要する電力は、ファームウェアのサイズに基づいて予め算出される。これにより、電池10の残量がファームアップに十分足りるか否かの判定をより正確に行うことができる。
【0050】
また、送受信切替回路4をラッチングリレーによって構成する場合、ラッチングリレーにおいて、切り替え動作時にしか、可動接点を駆動するためのコイルに電流が流されない。このため、ラッチングリレーを切り替えないときにコイルに電流を流すと、動作部101に流れる電流が増大するので、第2端子電圧V2の低下幅を大きくすることができる。このように、第2端子電圧の読み取り時に、ある程度大きさの決まった電流を動作部101に流すことで、差電圧の精度を高めることができる。
【0051】
なお、ラッチングリレーは、送受信切替回路4に用いられることに限定されない。ラッチングリレーは、例えば、
図1には示されていない、複数のフィルタの切り替えを行う切替回路などに用いられてもよい。このような場合でも、送受信切替回路4にラッチングリレーを用いた上記の場合と同様、第2端子電圧V2の低下幅を大きくすることにより、差電圧の精度を高めることができる。
【0052】
〔ソフトウェアによる実現例〕
無線通信機1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部13に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0053】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0054】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0055】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。
【0056】
〔まとめ〕
本実施形態に係る電子機器は、ソフトウェアにしたがって電池の電力によって動作する動作部と、前記ソフトウェアを記憶するメモリと、前記動作部に前記電池の電力が供給されていない状態での前記電池の第1端子電圧と、前記動作部に前記電池の電力が供給されている状態での前記電池の第2端子電圧との差電圧が所定電圧以下である場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新する一方、前記差電圧が前記所定電圧を超える場合、前記メモリにおける前記ソフトウェアを更新しない更新制御部と、を備えている。
【0057】
上記の構成によれば、ソフトウェアを更新する前に、電池の残量がソフトウェアの更新に十分足りるか否かを判定することができる。そして、電池の残量が少なくなった状態でソフトウェアの更新を実行しないことにより、ソフトウェアの更新の実行中に電池の残量がなくなり、ソフトウェアの更新が中断されてしまうという不都合を回避することができる。
【0058】
前記電子機器において、前記所定電圧は、前記第2端子電圧の変化特性に基づいて設定されていることが好ましい。
【0059】
上記の構成によれば、第2端子電圧の変化特性によって電池の残量をある程度予測できる。このため、所定電圧が第2端子電圧の特性に基づいて設定されることにより、電池の残量がソフトウェアの更新に十分足りるか否かの判定をより正確に行うことができる。
【0060】
前記電子機器において、前記動作部は、ラッチングリレーを有していることが好ましい。
【0061】
上記の構成によれば、ラッチングリレーを切り替えないときにコイルに電流を流すと、動作部に流れる電流が増大するので、第2端子電圧の低下幅を大きくすることができる。このように、第2端子電圧の読み取り時に、ある程度大きさの決まった電流を動作部に流すことで、差電圧の精度を高めることができる。
【0062】
前記電子機器は無線通信機であることが好ましい。
【0063】
上記の構成によれば、無線通信機におけるソフトウェアの更新をより確実に行うことができる。
【0064】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 無線通信機(電子機器)
9 プログラムメモリ(メモリ)
10 電池
101 動作部
134 更新制御部
V1 第1端子電圧
V2 第2端子電圧
ΔV 差電圧
Vth 所定電圧