(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】温水暖房システム
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20220101AFI20241113BHJP
F24D 15/00 20220101ALI20241113BHJP
【FI】
F24D3/00 J
F24D15/00 B
(21)【出願番号】P 2021041034
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 由依子
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-130712(JP,A)
【文献】特開平07-280286(JP,A)
【文献】特開2020-056543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00-19/10
F24H 1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、前記熱源機との間で熱媒を循環させる循環経路が設けられた温水端末とを備え、前記熱源機と前記温水端末とが協働して暖房又は乾燥を行う協働運転を実施する温水暖房システムであって、
前記協働運転を実施中に、前記熱源機の状態情報と前記温水端末の状態情報とに基づいて、異常箇所を検出する異常検出部を備え、
前記熱源機に備えられて内部を通流する熱媒を加熱するための第1の熱交換器と、前記温水端末に備えられて内部を通流する熱媒から放熱させるための第2の熱交換器とが、前記循環経路の一部をなすように接続されており、
前記循環経路は、熱媒が前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器に向かって流れる往路と、熱媒が前記第2の熱交換器から前記第1の熱交換器に向かって流れる戻路とを有し、
前記熱源機は、その内部に前記往路を通流する熱媒の温度である往き温度を検出する往き温度センサを備え、
前記温水端末は、その内部に前記往路を通流する熱媒の温度である入り温度を検出する入り温度センサを備えており、
前記熱源機の状態情報は、前記往き温度センサで検出される往き温度検出値であり、前記温水端末の状態情報は、前記入り温度センサで検出される入り温度検出値であり、
前記異常検出部は、
前記往き温度検出値が目標往き温度に対する許容範囲内であり、かつ、前記往き温度検出値と前記入り温度検出値との差が所定の閾値を超えた場合に、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出するよう構成された、
温水暖房システム。
【請求項2】
前記異常検出部が、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出した場合、前記協働運転を停止させるよう構成された、
請求項
1に記載の温水暖房システム。
【請求項3】
前記異常検出部が、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出した場合、前記熱源機は、前記往き温度検出値と前記入り温度検出値とのうち温度が高い方の検出値が目標往き温度となるように前記第1の熱交換器による熱媒の加熱具合を調整するよう構成された、
請求項
1に記載の温水暖房システム。
【請求項4】
前記異常検出部が異常箇所を検出したときに、その異常箇所を報知する異常報知部をさらに備えた、
請求項1~
3のいずれかに記載の温水暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機と浴室乾燥機等の温水端末とを備えた温水暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源機と、浴室の暖房や乾燥を行う浴室乾燥機等の温水端末とを配管接続して構成される温水暖房システムでは、熱源機と温水端末とが相互に通信を行うことにより協働して暖房運転や乾燥運転等を行っていた。
【0003】
特許文献1には、熱源機と温水端末装置(温水端末)との間で双方向通信を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の温水暖房システムでは、熱源機及び温水端末の各々において、その内部に設けられた各種センサの検出値に基づいて、異常を検出するようにしていたため、その異常箇所を適切に検出できない場合があった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、異常箇所をより適切に検出することができる温水暖房システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る温水暖房システムは、熱源機と、前記熱源機との間で熱媒を循環させる循環経路が設けられた温水端末とを備え、前記熱源機と前記温水端末とが協働して暖房又は乾燥を行う協働運転を実施する温水暖房システムであって、前記協働運転を実施中に、前記熱源機の状態情報と前記温水端末の状態情報とに基づいて、異常箇所を検出する異常検出部を備えている。
【0008】
この構成によれば、異常検出部が熱源機と温水端末との両方の状態情報に基づいて異常箇所を検出するようにしているので、異常箇所をより適切に検出することができる。
【0009】
前記熱源機に備えられて内部を通流する熱媒を加熱するための第1の熱交換器と、前記温水端末に備えられて内部を通流する熱媒から放熱させるための第2の熱交換器とが、前記循環経路の一部をなすように接続されており、前記循環経路は、熱媒が前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器に向かって流れる往路と、熱媒が前記第2の熱交換器から前記第1の熱交換器に向かって流れる戻路とを有し、前記熱源機は、その内部に前記往路を通流する熱媒の温度である往き温度を検出する往き温度センサを備え、前記温水端末は、その内部に前記往路を通流する熱媒の温度である入り温度を検出する入り温度センサを備えており、前記熱源機の状態情報は、前記往き温度センサで検出される往き温度検出値であり、前記温水端末の状態情報は、前記入り温度センサで検出される入り温度検出値であり、前記異常検出部は、前記往き温度検出値が目標往き温度に対する許容範囲内であり、かつ、前記往き温度検出値と前記入り温度検出値との差が所定の閾値を超えた場合に、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出するよう構成されていてもよい。
【0010】
前記異常検出部が、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出した場合、前記協働運転を停止させるよう構成されていてもよい。これにより、安全性を確保することができる。
【0011】
前記異常検出部が、前記往き温度センサと前記入り温度センサのいずれかが異常箇所であることを検出した場合、前記熱源機は、前記往き温度検出値と前記入り温度検出値とのうち温度が高い方の検出値が目標往き温度となるように前記第1の熱交換器による熱媒の加熱具合を調整するよう構成されていてもよい。これにより、安全性を保ちながら協働運転を継続することができる。
【0012】
前記熱源機に備えられて内部を通流する熱媒を加熱するための第1の熱交換器と、前記温水端末に備えられて内部を通流する熱媒から放熱させるための第2の熱交換器とが、前記循環経路の一部をなすように接続されており、前記循環経路は、熱媒が前記第1の熱交換器から前記第2の熱交換器に向かって流れる往路と、熱媒が前記第2の熱交換器から前記第1の熱交換器に向かって流れる戻路とを有し、前記温水端末は、その内部に前記往路を通流する熱媒の温度である入り温度を検出する入り温度センサを備えており、前記熱源機の状態情報は、熱媒を目標往き温度に対する許容範囲内の温度に上昇できないことを示す異常情報であり、前記温水端末の状態情報は、前記入り温度センサで検出される入り温度検出値であり、前記異常検出部は、前記温水端末に備えられて、前記入り温度検出値が所定の基準値より低い場合に、前記熱源機から前記異常情報を受信しなかったことを条件として、前記温水端末が異常箇所であることを検出するよう構成されていてもよい。これにより、熱源機の異常によって入り温度検出値が所定の基準値より低い場合に、浴室乾燥機が異常であるという誤った検出を抑制することができる。
【0013】
前記異常検出部が異常箇所を検出したときに、その異常箇所を報知する異常報知部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上に説明した構成を有し、異常箇所をより適切に検出することができる温水暖房システムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態の一例の温水暖房システムの概略構成図である。
【
図2】
図2(A)は、乾燥機コントローラが異常検出部として機能する場合を示す図であり、
図2(B)は、熱源機コントローラが異常検出部として機能する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0017】
(実施形態)
図1は、本実施形態の一例の温水暖房システムの概略構成図である。
図1に示すように、この温水暖房システム1は、熱源機2と、温水端末の一例である浴室乾燥機3とを備えている。
【0018】
熱源機2は、ユーザの屋内または屋外の所定の場所に設置された熱源機本体2Aと、熱源機本体2Aを遠隔操作するためのリモコン(リモートコントローラ)2Rとを備えている。
【0019】
熱源機本体2Aは、温水又は不凍液等の熱媒を加熱して外部の浴室乾燥機3に循環供給する暖房系回路2aと、上水を加熱して外部の給湯栓に給湯する給湯系回路2bと、これら暖房系回路2a及び給湯系回路2bにおける燃焼作動等を制御する熱源機コントローラ20とを備えている。
【0020】
給湯系回路2bは、図示しないが、周知の構成とすることができ、外部配管を介して台所及び浴室等の給湯栓(カラン,シャワー等)に設定温度の湯水を供給する給湯機能を有している。また、給湯系回路2bは、外部配管を介して浴槽に接続され、浴槽へ湯水を供給する風呂注湯機能および浴槽内の湯水を循環させて加熱する追い焚き機能等を有していてもよい。
【0021】
暖房系回路2aは、浴室乾燥機3に対し加熱後の高温の熱媒を熱源として循環供給するためのもので、暖房往路61及び暖房戻路62が、浴室乾燥機3の熱交換器42へ延びて接続されている。この暖房系回路2aは、膨張タンク21内に貯留された低温の熱媒を循環ポンプ22の作動により熱交換器23に送り、熱交換器23で燃焼バーナ24の燃焼熱との熱交換により加熱して高温の熱媒とし、この高温の熱媒を暖房往路61を通して熱源要求のある浴室乾燥機3に供給するようになっている。そして、浴室乾燥機3の熱交換器42での放熱により低温となった熱媒が暖房戻路62を通して膨張タンク21に戻されて循環されるようになっている。このように熱媒を循環させる循環経路6が、熱交換器23,42、暖房往路61及び暖房戻路62等によって構成されている。
【0022】
熱源機コントローラ20は、例えば、CPU及びメモリ(RAM及びROM等)を有するマイクロコントローラ等によって構成され、暖房系回路2a及び給湯系回路2bを含む熱源機本体2A全体の動作を制御する。熱源機コントローラ20は、例えば、暖房系回路2aにおいては、往き温度センサS1等の各種センサの出力信号等を入力し、循環ポンプ22及び燃焼バーナ24の動作を制御する。往き温度センサS1は、熱交換器23の近傍の暖房往路61に設けられ、暖房往路61を通流する熱媒の温度(往き温度)を検出するためのものである。
【0023】
また、熱源機コントローラ20は、リモコン2Rと通信可能に接続されており、両者の間で双方向通信が可能である。リモコン2Rは、例えば台所等に設置されている。
【0024】
リモコン2Rは、操作ボタン等を有する操作部201(
図2)と、液晶画面等を有する表示部202(
図2)等を備えている。ユーザが操作部201を操作することにより、操作部201の操作に応じた操作信号が熱源機コントローラ20へ送信されるよう構成されており、ユーザが熱源機本体2Aの運転操作や、給湯設定温度等の設定及び変更等の操作を行うことができる。また、熱源機コントローラ20から熱源機本体2Aの運転状態等を示す情報を受信し、表示部202の画面に表示することができる。また、設定された給湯設定温度等も表示部202の画面に表示することができる。
【0025】
浴室乾燥機3は、室内ユニット4及び換気装置5からなる乾燥機本体3Aと、乾燥機本体3Aを遠隔操作するためのリモコン(リモートコントローラ)3Rとを備えている。
【0026】
室内ユニット4は、浴室Rの天井にはめ込まれる天井設置タイプと、浴室Rの側壁に取り付けられる壁掛け設置タイプとがある。ここでは壁掛け設置タイプとして説明する。室内ユニット4は、ケーシング41内に、温風生成用の熱交換器42、循環ファン43、及び乾燥機コントローラ30等が配設されている。循環ファン43が送風作動されると、ケーシング41の上部の吸い込み口411から浴室Rの内気を熱交換器42に対し外側から内側に通過させて吸い込む一方、続いて熱交換器42に対し内側から外側に通過させた上で温風吹き出し口412から浴室Rに向けて吹き出させることになる。
【0027】
上記の熱交換器42の通過の際に、熱交換器42に対し熱動弁45を介して循環供給されている高温の熱媒の放熱を受けて所定温度まで加熱・昇温されて温風に変換され、この温風が温風吹き出し口412から浴室Rに向けて吹き出される。温風吹き出し口412には、ルーバーモータ44により首振り傾動されるルーバー441が設置され、このルーバー441の傾動角度の設定変更により温風の吹き出し方向が変更されるようになっている。
【0028】
また、室内ユニット4には、暖房往路61に熱媒の循環経路6を開閉するための熱動弁45が設置され、熱交換器42近傍に暖房往路61を通流する熱媒の温度(入り温度)を検出する入り温度センサS2が設けられている。また、吸気温度の検出によって室内温度を検出する室内温度センサS3や、室内湿度を検出する湿度センサS4等が設けられている。
【0029】
乾燥機コントローラ30は、室内温度センサS3の検出温度や湿度センサS4の検出湿度等に基づいて温度及び湿度を管理しながら、循環ファン43の作動、熱交換器42への高温の熱媒の循環供給のための熱動弁45の開作動、及び、ルーバー441の傾動角度設定等の温風吹き出しのためのルーバーモータ44の作動の制御を行う。
【0030】
換気装置5は、換気ファン51の作動により浴室R内の内気を外部に排出させる。換気ファン51の作動制御も乾燥機コントローラ30によって行われる。
【0031】
乾燥機コントローラ30は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、上述のように乾燥機本体3A全体の動作を制御する。また、乾燥機コントローラ30は、熱源機コントローラ20と双方向通信可能に構成されている。
【0032】
また、乾燥機コントローラ30は、リモコン3Rと通信可能に接続されており、両者の間で双方向通信が可能である。リモコン3Rは、例えば脱衣室等に設けられている。
【0033】
このリモコン3Rは、暖房運転、乾燥運転、換気運転等の各運転を開始および停止させるための複数の操作ボタンを有する操作部301(
図2)と、液晶画面等を有し各運転の実行の際に所定の情報を表示する表示部302(
図2)等を備えている。ユーザが操作部301を操作することにより、操作部301の操作に応じた操作信号が乾燥機コントローラ30へ送信されるよう構成されており、ユーザの操作等に応じて乾燥機コントローラ30が乾燥機本体3Aの動作を制御する。
【0034】
例えば、ユーザがリモコン3Rの操作部301を操作して暖房運転(または乾燥運転)の開始操作を行うと、リモコン3Rから暖房運転開始信号(または乾燥運転開始信号)が乾燥機コントローラ30へ送信される。乾燥機コントローラ30では、暖房運転開始信号(または乾燥運転開始信号)を受信すると、同信号(または熱媒要求信号)を熱源機コントローラ20へ送信する。これにより、乾燥機本体3Aと熱源機本体2Aの暖房系回路2aとの協働によって暖房運転(または乾燥運転)が実行される。
【0035】
暖房運転の実行時には、乾燥機本体3Aでは、熱動弁45を開いて循環ファン43を駆動させるとともに、ルーバーモータ44を作動させてルーバー441を首振り傾動させる。一方、熱源機本体2Aでは、循環ポンプ22を作動させるとともに燃焼バーナ24を燃焼動作させる。これにより、熱源機本体2Aの熱交換器23で加熱されて高温になった熱媒が暖房往路61を通して乾燥機本体3Aの熱交換器42へ送られ、熱交換器42での放熱により低温となった熱媒が暖房戻路62を通して膨張タンク21に戻されてさらに循環ポンプ22により循環されるようになっている。そして、乾燥機本体3Aの循環ファン43の駆動により吸い込み口411から吸入された浴室R内の空気が熱交換器42で暖められた後、温風吹き出し口412から浴室R内へ排出され、浴室R内の暖房が行われる。
【0036】
また、乾燥運転の実行時には、上記暖房運転の場合と同様の動作に加え、換気ファン51が駆動される。これにより浴室R内の乾燥が行われる。
【0037】
また、ユーザがリモコン3Rの操作部301を操作して換気運転の開始操作を行うと、リモコン3Rから換気運転開始信号が乾燥機コントローラ30へ送信される。乾燥機コントローラ30では、換気運転開始信号を受信すると、換気ファン51を駆動する。これにより、浴室R内の換気が行われる。この換気運転の場合は、熱源機2とは独立した浴室乾燥機3の単独運転となる。
【0038】
一方、浴室乾燥機3が熱源機2と協働して暖房運転および乾燥運転を行う際には、乾燥機コントローラ30では、入り温度センサS2,室内温度センサS3及び湿度センサS4の検出値を所定時間間隔で逐次取得している。また、熱源機コントローラ20では、往き温度センサS1の検出値を所定時間間隔で逐次取得し、当該検出値が目標往き温度となるように燃焼バーナ24の燃焼動作を制御している。
【0039】
本実施形態では、熱源機2と浴室乾燥機3とが協働して暖房運転または乾燥運転等の協働運転を行っているときに、熱源機2の状態情報と浴室乾燥機3の状態情報との両方の情報に基づいて異常箇所を検出する異常検出部10(
図2)を備えている。このような異常検出部10は、
図2(A)、(B)に示すように、乾燥機コントローラ30および熱源機コントローラ20のいずれか一方に設けられてあってもよいし、両方に設けられてあってもよい。
【0040】
なお、以下の説明において、「浴室乾燥機3の異常報知部」とは、浴室乾燥機3のリモコン3Rの表示部302であってもよいし、リモコン3Rに設けられた図示しないスピーカ等の音声出力部であってもよい。例えば、異常個所を報知する際、表示部302の画面に異常箇所を示すエラー番号を表示するようにしてもよいし、音声出力部に異常箇所を示す警告音または上記エラー番号を出力させるようにしてもよい。また、「浴室乾燥機3の異常報知部」は、乾燥機本体3Aの室内ユニット4に複数設けられて各々が異常箇所を示すLED(図示せず)であってもよく、点灯させるLEDによって異常箇所を報知するようにしてもよい。
【0041】
また、「熱源機2の異常報知部」とは、熱源機2のリモコン2Rの表示部202であってもよいし、リモコン2Rに設けられた図示しないスピーカ等の音声出力部であってもよい。例えば、異常個所を報知する際、表示部202の画面に異常箇所を示すエラー番号を表示するようにしてもよいし、音声出力部に異常箇所を示す警告音または上記エラー番号を出力させるようにしてもよい。
【0042】
図2(A)は、乾燥機コントローラ30が異常検出部10として機能する場合を示す図であり、
図2(B)は、熱源機コントローラ20が異常検出部10として機能する場合を示す図である。以下に、異常検出部10による異常検出方法の具体例について説明する。
【0043】
〔第1の具体例〕
まず、
図2(A)に示すように、乾燥機コントローラ30が異常検出部10として機能する場合について説明する。
【0044】
ここでは、熱源機2の状態情報が往き温度センサS1で検出される往き温度検出値(TS1)であり、浴室乾燥機3の状態情報が入り温度センサS2で検出される入り温度検出値(TS2)である場合を例に説明する。
【0045】
この場合、熱源機コントローラ20は、往き温度センサS1から逐次取得する往き温度検出値(TS1)を逐次、乾燥機コントローラ30へ送信する。一方、乾燥機コントローラ30は、入り温度センサS2から入り温度検出値(TS2)を逐次取得している。
【0046】
乾燥機コントローラ30の異常検出部10では、往き温度検出値TS1が目標往き温度(Tc)に対する許容範囲内である状態が所定時間(t1[秒])継続した後に、往き温度検出値TS1と入り温度検出値TS2とを比較し、これらの差(差の絶対値)が所定の閾値βを超えた場合に、往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出する。
【0047】
上記の目標往き温度Tcに対する許容範囲は、αを所定の正の数として、(Tc-α)℃以上の範囲としてもよいし、(Tc-α)℃以上で、かつ(Tc+α)℃以下の範囲としてもよい。そして、往き温度検出値TS1が目標往き温度Tcに対する許容範囲内である状態が所定時間(t1[秒])継続すれば、熱源機2から供給される熱媒の温度が安定していることを確認できる。よって、上記所定時間(t1[秒])継続後の往き温度検出値TS1と入り温度検出値TS2とを比較することで、運転初期における不安定な状態を避けて、正確な異常判定を行うことができる。
【0048】
上記の往き温度検出値TS1と入り温度検出値TS2との差(差の絶対値)が所定の閾値βを超えた場合とは、βを所定の正の数として、|TS1-TS2|>βとなる場合である。
【0049】
また、|TS1-TS2|>βとなる状態が、所定時間(t2[秒])継続したときに往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出することが好ましい。または、|TS1-TS2|>βとなっている状態の積算時間が所定時間(t3[秒])になったときに往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出することが好ましい。
【0050】
乾燥機コントローラ30は、異常検出部10で往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出すると、その検出情報を浴室乾燥機3の異常報知部に報知させる。
【0051】
さらに、乾燥機コントローラ30は、上記検出情報を熱源機コントローラ20へ送信するようにしてもよい。熱源機コントローラ20では、上記検出情報を受信すると、その検出情報(往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であること)を熱源機2の異常報知部に報知させるようにしてもよい。
【0052】
また、異常検出部10で往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出すると、協働運転を停止(終了)するようにしてもよい。この場合、乾燥機コントローラ30は、異常検出部10の検出情報を熱源機コントローラ20へ送信するとともに、協働運転が暖房運転の場合には、循環ファン43及びルーバーモータ44の作動を停止するとともに、熱動弁45を閉弁させ、協働運転が乾燥運転の場合には、さらに換気ファン51の作動を停止する。一方、熱源機コントローラ20は、上記検出情報を受信すると、燃焼バーナ24の燃焼動作を停止するとともに、循環ポンプ22の作動を停止する。このように、協働運転を停止することにより、安全性を確保できる。
【0053】
また、異常検出部10で往き温度センサS1と入り温度センサS2のいずれかが異常箇所であることを検出すると、往き温度検出値TS1と入り温度検出値TS2とのうち、高温側の検出値(温度が高い方の検出値)で協働運転を継続するようにしてもよい。この場合、乾燥機コントローラ30は、往き温度検出値TS1と入り温度検出値TS2とを逐次比較し、高温側の検出値を熱源機コントローラ20へ送信する。熱源機コントローラ20では、受信した高温側の検出値に基づいて、熱交換器23による熱媒の加熱具合を調整するよう燃焼バーナ24の燃焼動作を制御する。これにより、燃焼バーナ24の燃焼量を抑えて安全性を保ちながら、協働運転を継続することができる。
【0054】
上記では、異常検出部10が乾燥機コントローラ30に設けられている例を説明したが、
図2(B)に示すように、異常検出部10が熱源機コントローラ20に設けられていてもよい。この場合、熱源機コントローラ20は、往き温度検出値(TS1)を乾燥機コントローラ30へ送信する必要はなく、一方、乾燥機コントローラ30は、入り温度センサS2から逐次取得する入り温度検出値(TS2)を、逐次、熱源機コントローラ20へ送信するようにすればよい。
【0055】
〔第2具体例〕
この例では、熱源機コントローラ20は、熱源機2に備えられた各種センサ等の検出値の情報からなる熱源機2の状態情報のみに基づいて異常を検出する個別異常検出部を有し、この個別異常検出部により、浴室乾燥機3との協働運転に関連する個所の異常(暖房系回路2aの異常)があれば、その異常内容を示す個別異常情報を乾燥機コントローラ30へ送信するようにしている。
【0056】
ここでは、異常検出部10で用いる、熱源機2の状態情報が、上記個別異常検出部の出力である個別異常情報(例えば、熱源機2の往き温度センサS1で検出される往き温度検出値(TS1)が目標往き温度に対する許容範囲内の温度に上昇できないことを示す異常情報)であり、浴室乾燥機3の状態情報が入り温度センサS2で検出される入り温度検出値(TS2)である場合を例に説明する。
【0057】
この場合、乾燥機コントローラ30の異常検出部10では、入り温度検出値(TS2)が所定の基準値より低い場合において、熱源機コントローラ20から個別異常情報を受信していない場合には、浴室乾燥機3が異常個所であることを検出し、この検出情報を浴室乾燥機3の異常報知部に報知させる。この場合、入り温度センサS2あるいは熱動弁45の異常(故障)が考えられるので、これらのいずれかが異常個所であることを異常検出部10が検出し、その異常個所を浴室乾燥機3の異常報知部に報知させるようにしてもよい。
【0058】
一方、乾燥機コントローラ30の異常検出部10では、入り温度検出値(TS2)が所定の基準値より低い場合において、熱源機コントローラ20から個別異常情報を受信した場合には、浴室乾燥機3が異常個所であることの検出は行わない。よって、浴室乾燥機3の異常報知部は、浴室乾燥機3が異常個所であることの報知を行わない。この場合、浴室乾燥機3の異常報知部に、熱源機2が異常箇所であることを報知させるようにしてもよい。
【0059】
つまり、乾燥機コントローラ30の異常検出部10では、入り温度検出値(TS2)が所定の基準値より低い場合において、熱源機コントローラ20から上記個別異常情報を受信していないことを条件に、浴室乾燥機3が異常箇所であることを検出することにより、熱源機2の異常によって入り温度検出値(TS2)が上昇しない場合に、浴室乾燥機3が異常であるという誤った検出ないし報知を抑制することができる。
【0060】
〔他の具体例〕
この例では、乾燥機コントローラ30は、浴室乾燥機3に備えられた各種センサ等の検出値の情報からなる浴室乾燥機3の状態情報のみに基づいて異常を検出する個別異常検出部を有し、この個別異常検出部により浴室乾燥機3の異常を検出し、その異常内容を示す個別異常情報を熱源機コントローラ20へ送信するようにしている。
【0061】
ここでは、異常検出部10で用いる、熱源機2の状態情報が、熱源機2の往き温度センサS1で検出される往き温度検出値(TS1)であり、浴室乾燥機3の状態情報が、上記個別異常検出部の出力である個別異常情報(例えば、室内温度センサS3で検出される室内温度検出値(TS3)が目標室内温度に対する許容範囲内の温度に上昇できないことを示す異常情報)である場合を例に説明する。
【0062】
この場合、熱源機コントローラ20の異常検出部10では、往き温度検出値TS1が目標往き温度(Tc)に対する許容範囲内である場合において、乾燥機コントローラ30から、室内温度検出値(TS3)が目標室内温度に対する許容範囲内の温度に上昇できないことを示す個別異常情報を受信した場合には、浴室乾燥機3が異常箇所であることを検出し、熱源機2の異常報知部に浴室乾燥機3が異常箇所であることを報知させるようにしてもよい。
【0063】
上記のように本実施形態では、協働運転(暖房運転または乾燥運転)を行っているときに、異常検出部10が、互いに協働する熱源機2(暖房系回路2a)と温水端末(浴室乾燥機3)との両方の状態情報に基づいて異常箇所を検出するようにしているので、異常箇所をより適切に検出することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、温水端末として浴室に設置された浴室乾燥機3を例示したが、これに限らず、温水端末は、浴室以外の他の部屋に設置されて暖房等を行うものであってもよいし、通路などに設置されて暖房等を行うものであってもよい。
【0065】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、異常箇所をより適切に検出することができる温水暖房システム等として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 温水暖房システム
2 熱源機
3 浴室乾燥機
6 循環経路
10 異常検出部
23,42 熱交換器
202,302 表示部
S1 往き温度センサ
S2 入り温度センサ