(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】給気装置および空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/48 20110101AFI20241113BHJP
F24F 1/0035 20190101ALI20241113BHJP
【FI】
F24F1/48
F24F1/0035
(21)【出願番号】P 2021182522
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2022-09-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】牧角 将
(72)【発明者】
【氏名】多田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村上 智哉
(72)【発明者】
【氏名】高垣 彩咲子
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070814(JP,A)
【文献】特開2008-249211(JP,A)
【文献】特開2009-156549(JP,A)
【文献】特開2008-190813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底フレーム(401)と、空気を吸い込む吸込口(40)と、給気ダクト
(5)が接続される接続口(45)と、上記底フレーム(401)上に設けられ、上記吸込口(40)から上記接続口(45)まで空気を案内する給気経路(P1)とを有するケーシング(401,415)と、
上記給気経路(P1)に設けられ、上記吸込口(40)から吸い込んだ空気を上記接続口(45)から吹き出すファン(42)と、
上記給気経路(P1)に設けられ、上記吸込口(40)から吸い込まれた空気を加熱するヒータ(41)と、
上記ケーシング(401,415)内かつ上記給気経路(P1)外に配置され、上記ファン(42)と上記ヒータ(41)とを制御する制御部(400)と
を備え、
上記給気経路(P1)の一部をなす経路部材(43)は、上記ヒータ(41)と上記制御部(400)との間に設けられ、
上記底フレーム(401)は室外空調装置(3)の上部に配置され、
上記室外空調装置(3)は、底板(301)と、上記底板(301)上に設けられた仕切板(307)と、上記底板(301)に取り付けられ、上記仕切板(307)の一側方に位置する側板(304)と、上記仕切板(307)と上記側板(304)との間
に形成された機械室とを備え
、
上記底フレーム(401)は、底部(401a)と、この底部(401a)の外周に設けられた側壁(401b)とを有し、
上記接続口(45)は、上記底フレーム(401)の側壁(401b)に設けられている、給気装置(4)。
【請求項2】
請求項1に記載の給気装置(4)において、
上記ファン(42)は、上記ヒータ(41)に対して上記接続口(45)とは反対側に設けられている、給気装置(4)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給気装置(4)において、
上記ヒータ(41)は、上記給気経路(P1)の上記ファン(42)よりも上流に設けられている、給気装置(4)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記ファン(42)と上記ヒータ(41)と上記制御部(400)は、平面視において重なり合っていない、給気装置(4)。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記経路部材(43)は、フレキシブルホース(43)である、給気装置(4)。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記経路部材(43)の上流側の端部が上記経路部材(43)の下流側の端部よりも低い位置にある、給気装置(4)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記給気経路(P1)の上記ヒータ(41)の上流側に、上記給気経路(P1)の一部を遮るようにかつ上記給気経路(P1)の底部から上方に向かって延びるように設けられた壁部(430)と、
上記給気経路(P1)の上記壁部(430)で遮られていない残り部分に設けられた網部材(420)と
を備える、給気装置(4)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記接続口(45)は、上記ケーシング(401,415)の側面に配置されている、給気装置(4)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記経路部材(43)は、上記給気経路(P1)における上記ヒータ(41)の下流側に設けられている、給気装置(4)。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の給気装置(4)において、
上記ケーシング(401,415)は、上記底フレーム(401)の上部に取り付けられた上面パネル(415)を有し、
上記給気経路(P1)は、上記底フレーム(401)と上面パネル(415)とで確定される空間に配置されている、給気装置(4)。
【請求項11】
請求項1から
10までのいずれか1項に記載の給気装置(4)と、
上
記室外空調装置(3)と
を備え
、
上記給気装置(4)は、上記給気ダクト(5)を介して室内機(1)に接続され、
上記室外空調装置(3)は、上記給気装置(4)が上部に配置され、上記室内機(1)に冷媒配管(L4,L5)を介して接続される、空気調和機の室外機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給気装置および空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給気装置としては、室外ユニットの上部に加湿ユニットを設けた室外機がある(例えば、特開2010-121818号公報(特許文献1)参照)。
上記室外機の加湿ユニットでは、室内に湿度の高い空気を供給する加湿運転を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今の換気需要の拡大に伴い、加湿を行わずに室外から室内への給気運転のみを行う室外機が求められている。
【0005】
このような給気運転を行う給気装置を室外機に備えた場合において、給気装置から室内機に外気を供給する給気ダクト内の結露を抑制するために、ヒータで加熱した外気を給気ダクト内に供給して乾燥させようとしても、給気装置のケーシング内での放熱によって給気ダクト内に結露が発生するという問題がある。
【0006】
本開示では、給気ダクト内の結露を抑制できる給気装置およびその給気装置を備えた空気調和機の室外機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の給気装置は、
空気を吸い込む吸込口と、給気ダクトが接続される接続口と、上記吸込口から上記接続口まで空気を案内する給気経路とを有するケーシングと、
上記給気経路に設けられ、上記吸込口から吸い込んだ空気を上記接続口から吹き出すファンと、
上記給気経路に設けられ、上記吸込口から吸い込まれた空気を加熱するヒータと、
上記ファンと上記ヒータとを制御する制御部と
を備え、
上記給気経路の一部をなす経路部材は、上記ヒータと上記制御部との間に設けられている。
【0008】
本開示によれば、ヒータと制御部とにより経路部材からの放熱が抑制されて、ヒータにより加熱された空気が経路部材を通過するときの温度低下が抑えられるので、給気ダクト内の結露を抑制できる。
【0009】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記ファンは、上記ヒータに対して上記接続口とは反対側に設けられている。
【0010】
本開示によれば、ヒータに対してファンが接続口とは反対側に設けられて、給気経路が長くなる構成であっても、給気ダクト内の結露を抑制できる。
【0011】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記ヒータは、上記給気経路の上記ファンよりも上流に設けられている。
【0012】
本開示によれば、ファンの結露も抑制できる。
【0013】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記ファンと上記ヒータと上記制御部は、平面視において重なり合っていない。
【0014】
本開示によれば、ファンとヒータと制御部などの機能部品を省スペースで配置しつつケーシングの高さを低く抑えることができる。
【0015】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記経路部材は、フレキシブルホースである。
【0016】
本開示によれば、経路部材がフレキシブルホースであるので、弾性変形するフレキシブルホースによりファンからの振動が減衰され、騒音を低減できる。
【0017】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記経路部材の上流側の端部が上記経路部材の下流側の端部よりも低い位置にある。
【0018】
本開示によれば、経路部材内の結露水が集まる上流側の端部で乾燥させることができる。
【0019】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記給気経路の上記ヒータの上流側に、上記給気経路の一部を遮るようにかつ上記給気経路の底部から上方に向かって延びるように設けられた壁部と、
上記給気経路の上記壁部で遮られていない残り部分に設けられた網部材と
を備える。
【0020】
本開示によれば、給気経路のヒータの上流側において、吸込口から吸い込まれた空気が壁部に衝突した後、網部材を通ってヒータ側に流れるので、壁部で外部からの水滴の侵入を抑えることができると共に、網部材で異物を捕捉することができる。
【0021】
また、本開示の1つの態様に係る給気装置では、
上記接続口は、上記ケーシングの側面に配置されている。
【0022】
本開示によれば、接続口がケーシングの側面に配置されているので、給気装置本体が室外空調装置上に載置された構成では、下方の室外空調装置に向かって給気経路が折り曲げられることがない。したがって、給気装置を室外機構造によらない構造とすることができる。
【0023】
また、本開示の空気調和機の室外機は、
給気ダクトを介して室内機に接続された上記いずれか1つの給気装置と、
上記給気装置が上部に配置され、室内機に冷媒配管を介して接続される室外空調装置と
を備える。
【0024】
本開示によれば、給気装置と室内機とを接続する給気ダクト内の結露を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の第1実施形態の空気調和機の外観図である。
【
図3】上記空気調和機の室外機の制御ブロック図である。
【
図4】上記空気調和機の室内機の制御ブロック図である。
【
図9】上記給気装置の給気経路を説明する図である。
【
図10】上記給気装置の給気経路の吸込口近傍の空気の流れを説明する図である。
【
図11】上記給気装置のフレキシブルホースの傾斜を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の空気調和機の外観図である。
【0028】
この第1実施形態の空気調和機は、
図1に示すように、室内機1と室外機2とを備えたペア型の空気調和機である。室外機2は、室内機1に冷媒配管L4,L5を介して接続された室外空調装置3と、室外空調装置3の上部に配置された給気装置4とを有する。給気装置4は、給気ダクト5を介して室内機1と接続されている。
【0029】
また、
図2は、上記空気調和機が備える冷媒回路RCの回路図である。
【0030】
<室内機1の構成>
上記空気調和機の室内機1は、例えば、室内の壁面に取り付けられる壁掛け式の室内ユニットである。この室内機1は、
図2に示すように、室内熱交換器11と、この室内熱交換器11に空気を送る室内ファン12とを備えている。また、室内機1は、室内ファン12と電磁弁13などを制御する室内制御部100を備えている。
【0031】
室内熱交換器11は、室内ファン12による空気流に関して、室内ファン12よりも上流側に位置している。この室内熱交換器11は、室内ファン12からの空気と冷媒との熱交換を行うために、本体熱交換部11aと、補助熱交換部11bと、電磁弁13とを有する。
【0032】
補助熱交換部11bの一端に冷媒配管L4が接続されている。補助熱交換部11bの他端に、冷媒配管L11と電磁弁13と冷媒配管L12とを介して本体熱交換部11aが接続されている。本体熱交換部11aの一端に冷媒配管L5が接続されている。これにより、室外機2の電動膨張弁34からの冷媒は、冷媒配管L4と補助熱交換部11bとを介して本体熱交換部11aに供給される。
【0033】
室内ファン12としては、例えば、クロスフローファンが採用される。このクロスフローファンは、室内熱交換器11で温度などが調整された空気を室内に向けて吹き出す。
【0034】
<室外空調装置3の構成>
上記空気調和機の室外空調装置3は、圧縮機31と、四路切換弁32と、室外熱交換器33と、膨張機構の一例としての電動膨張弁34と、アキュムレータ35と、閉鎖弁36,37と、室外熱交換器33に空気を送る室外ファン30と室外制御部300とを備えている。
【0035】
室外熱交換器33は、室外ファン30による空気流に関して、室外ファン30よりも上流側に位置している。室外熱交換器33内を流れる冷媒は、室外ファン30からの空気と熱交換される。
【0036】
<給気装置4の構成>
給気装置4は、
図2に示すように、ヒータ41と、給気ファン42と、フレキシブルホース43と、ダンパ44と、給気制御部400とを備えている。給気ファン42は、吸込口40から吸い込んだ空気を接続口45から吹き出すファンの一例である。給気制御部400は、制御部の一例である。
【0037】
給気装置4の内部には、給気経路P1が設けられている。この給気経路P1は、給気ファン42によって外部から吸込口40を介して吸い込んだ空気を、ヒータ41と給気ファン42とフレキシブルホース43とダンパ44とを介して接続口45に吹き出すように形成されている。ヒータ41で加熱された空気は、接続口45に接続された給気ダクト5を介して室内機1に供給される。
【0038】
<冷媒回路RCの構成>
上記空気調和機の冷媒回路RCは、室内熱交換器11、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34、アキュムレータ35および冷媒配管L1~L7から成っている。より詳しく説明すると、室内熱交換器11、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34およびアキュムレータ35が、冷媒配管L1~L7によって流体的に接続される。これにより、環状の冷媒回路RCが構成されている。圧縮機31を駆動することにより冷媒回路RCを冷媒が循環する。
【0039】
図3は、室外空調装置3および給気装置4の制御ブロック図である。室外空調装置3は、
図3に示すように、室外熱交換器33の温度を検出する室外熱交換器温度センサT1と、外気温度を検出する外気温度センサT2と、電動膨張弁34の蒸発温度を検出する蒸発温度センサT3とを備えている。
【0040】
室外制御部300は、圧縮機31と四路切換弁32と電動膨張弁34と室外ファン30とを制御する。給気制御部400は、ヒータ41と給気ファン42とダンパ44とを制御する。
【0041】
図4は、室内機1の制御ブロック図である。室内機1は、
図4に示すように、室内熱交換器11の温度を検出する室内熱交換器温度センサT4と、室内機1が設置されている室内の温度を検出する室内温度センサT5と、室内機1が設置されている室内の湿度を検出する湿度センサHとを備えている。
【0042】
室内制御部100および室外制御部300と給気制御部400は、それぞれ、演算等を行うCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、室内機1および室外空調装置3と給気装置4の制御に必要なプログラムおよびデータ等を記憶しておくROM(Read Only Memory:リード・オンリー・メモリー)およびRAM(Random Access Memory:ランダム・アクセス・メモリー)等が設けられている。
【0043】
上記空気調和機は、室外空調装置3の室外制御部300と室内機1の室内制御部100とは、通信線(図示せず)を介して互いに通信を行うとともに、室外空調装置3の室外制御部300と給気装置4の給気制御部400とは、通信線(図示せず)を介して互いに通信を行って協調動作することにより空気調和機として動作する。
【0044】
図示しないが、空気調和機は、リモートコントローラ(以下、「リモコン」と言う)を備えている。ユーザーは、リモコンを操作して、自動運転、冷房運転、暖房運転、除湿運転、給気運転などを開始させたり、停止させたりすることができる。なお、給気運転は、自動運転、冷房運転、暖房運転、除湿運転などと同時に行ってもよく、給気運転単独で行ってもよい。
【0045】
図5は、室外空調装置3と給気装置4とを備えた室外機2の外観斜視図であり、室外空調装置3の上部に給気装置4が配置されている。
【0046】
図6は、室外機2の分解斜視図であり、
図7は、給気装置4の分解斜視図である。
図6,
図7において、420は長方形状の網部材である。
【0047】
室外機2の室外空調装置3は、
図6に示すように、底板301に平面視がL字形状の室外熱交換器33が取り付けられている。底板301の右端に右側板304が取り付けられ、右側板304の閉鎖弁36,37(
図2に示す)をバルブカバー305で覆っている。また、底板301の左端に左側板306が取り付けられている。底板301の右側板304と室外熱交換器33との間に仕切板307が取り付けられている。この仕切板307と右側板304との間の機械室に室外制御部300が配置されている。右側板304の上端に室外制御部300の上方を覆う遮蔽板308が取り付けられている。
【0048】
底板301と右側板304および左側板306の夫々の前縁にフロントパネル302が取り付けられている。フロントパネル302の中央に設けられた丸穴302aに円板形状のグリル303が取り付けられている。
【0049】
室外機2の給気装置4は、
図6,
図7に示すように、長方形状の底部401aと底部401aの外周に設けられた側壁401bとを有する底フレーム401を備えている。
【0050】
底フレーム401の底部401aの左部分にベルマウス402が取り付けられている。ベルマウス402の上部を覆うファンハウジング403が取り付けられている。ファンハウジング403の下方の底フレーム401の底部401aに、ヒータ41に連なる凹部401dが設けられている。
【0051】
ベルマウス402とファンハウジング403との間に形成された空間内に給気ファン42を配置している。ファンハウジング403上に給気ファン42を回転駆動するファンモータ404が取り付けられている。
【0052】
底フレーム401の底部401aの中央後寄りにヒータ41が取り付けられている。ヒータ41の右方の底フレーム401の底部401aに、底部401aから上方に延びる案内壁401cが形成されている。ヒータ41は、絶縁シート414により覆われている。
【0053】
また、底フレーム401の底部401aの右前寄りに、箱形状の給気制御部400が取り付けられている。底フレーム401の右後寄りにダンパ44を配置している。給気制御部400は、室外制御部300と通信する通信部と、ヒータ41を駆動するヒータ駆動部と、給気ファン42を駆動するファン駆動部と、ダンパ44を駆動するダンパ駆動部とを含む。
【0054】
給気制御部400が底部401aの右前寄りに取り付けられているのは、下側の室外空調装置3の室外制御部300が右前寄りに配置されているので、給気制御部400と室外制御部300との間に接続された通信線(図示せず)の経路長を短くして対ノイズ性能を向上するためである。
【0055】
ファンハウジング403の吹出口403aにフレキシブルホース43の一端が接続されている。フレキシブルホース43の他端がジョイント406を介してダンパ44の入口に接続されている。
【0056】
ダンパ44の出口が、ジョイント407を介して連結部408の一端に接続されている。連結部408は、底フレーム401に固定されている。連結部408の他端は、底フレーム401の側壁401bに設けられた接続口45に挿通され、側壁401bの外側でジョイント409を介してソケット410に接続されている。ソケット410に給気ダクト5(
図1,
図2に示す)の一端が接続される。また、ジョイント409とソケット410とは、カバー412により覆われている。カバー412は、側壁401bに固定されている。
【0057】
底フレーム401の底部401a上に配置された部品を覆うように、上面パネル415が側壁401bの上部に取り付けられている。また、底フレーム401の下面かつヒータ41に対向する位置に遮蔽板413が取り付けられている。底フレーム401と上面パネル415とでケーシングを構成している。
<給気装置4の給気経路P1>
【0058】
図8は、上面パネル415を取り外した状態の給気装置4の上面図であり、
図9は、給気装置4の給気経路P1を説明する図である。
図8に示すように、ヒータ41と給気ファン42と給気制御部400およびダンパ44は、底フレーム401の底部401a上に平らに配置されており、平面視において重なり合っていない。
【0059】
図9に示すように、外部から吸込口40を介して吸い込まれた空気は、ヒータ41、ベルマウス402、ファンハウジング403、フレキシブルホース43、ダンパ44および底フレーム401とで形成された給気経路P1(
図9の矢印で示す経路)を通って接続口45から吹き出す。
【0060】
図8,
図9に示すように、フレキシブルホース43は、ヒータ41と給気制御部400との間に設けられている。フレキシブルホース43は、給気経路P1の一部をなす経路部材の一例である。すなわち、外部から吸込口4を介して吸い込まれた空気は、ヒータ41、給気ファン42(ベルマウス402、ファンハウジング403)、ヒータ41と制御部400との間に設けられたフレキシブルホース43およびダンパ44の順番での経路(給気経路P1)を通って接続口45から吹き出す。
【0061】
底フレーム401の側壁401bの後面に吸込口40が設けられている(
図10参照)。吸込口40は、側壁401bに設けられた複数のスリットで構成されている。底フレーム401の吸込口40に対向する位置に底部401aから上方に延びる壁部430が、吸込口40に対して間隔をあけて設けられている。壁部430の上端と隣接する側壁401bとの間を覆うように網部材420が設けられている。
【0062】
言い換えると、給気経路P1のヒータ41の上流側に、給気経路P1の一部を遮るようにかつ給気経路P1の底部から上方に向かって延びるように壁部430が設けられている。また、給気経路P1の壁部430で遮られていない残り部分に設けられた網部材420が設けられている。
【0063】
網部材420は、線径0.55mmのステンレス鋼線製の16メッシュ(1.1mm×1.1mm)の平織金網である(JIS規格G3555)。これにより、給気装置4は、埃等の塵埃の侵入を抑制することでヒータ41への埃の堆積を抑制でき、信頼性を向上できる。なお、網部材420は、上記平織金網に限られず、所定の大きさの埃等の異物を捕捉できる程度の網目形状を有する部材であればよい。
【0064】
図10は、給気装置4の給気経路P1の吸込口40近傍の空気の流れを説明する図である。
図10は
図8のX-X線から見た断面である。
【0065】
図10の矢印に示すように、送風ファン42により吸込口40から吸い込まれた空気は、壁部430に衝突した後、上方の網部材420を通って壁部430を乗り越えて、ヒータ41の下方に進む。
【0066】
図11は、給気装置4のフレキシブルホース43の傾斜を説明する図である。
図11に示すように、ベルマウス402とファンハウジング403の吹出口403aに接続されたフレキシブルホース43の一端は、フレキシブルホース43の他端(ダンパ44側)よりも低い位置に配置されている。
【0067】
給気制御部400は、室外制御部300と通信を行って室外制御部300と連系して給気運転の制御を行う。詳しくは、給気運転の停止中は、ヒータ41をオフ(非通電)とし、給気ファン42を停止すると共に、ダンパ44を閉状態にしている。そして、例えば、室内のリモコン操作により給気運転が選択されると、室内制御部100は、室外制御部300に給気運転の指令信号を送信し、室外制御部300は、指令信号に基づいて給気制御部400に給気運転用の制御信号を送信する。これにより、給気制御部400は、ダンパ44を開状態にして給気ファン42を運転することにより、室外空気を吸込口40から吸い込んで接続口45と給気ダクト5を介して室内機1に供給する。
【0068】
なお、ヒータ41は、給気運転時において特定の条件を満たすときにオン(通電)することで、乾燥空気を給気ダクト5を介して室内機1に供給できる。ここで、特定の条件としては、給気ダクト5内に結露が生じるような条件(外気温度など)である。この第1実施形態では、給気制御部400によって、ヒータ41の電力を所定の条件に基づいて120W~350Wの範囲で調整する。
【0069】
上記構成の給気装置4によれば、吸込口40から接続口45まで空気を案内する給気経路P1の一部をなすフレキシブルホース43(経路部材)をヒータ41と給気制御部400との間に設けることによって、ヒータ41と給気制御部400とによりフレキシブルホース43からの放熱が抑制されて、ヒータ41により加熱された空気がフレキシブルホース43を通過するときの温度低下が抑えられるので、給気ダクト5内の結露を抑制できる。
【0070】
ここで、通電状態のヒータ41や給気制御部400は熱源となるため、2つの熱源で挟まれたフレキシブルホース43からの放熱は抑制される。これにより、給気装置4は、ケーシング内での放熱による給気ダクト5内の結露の発生を抑制できる。また、従来の加湿機能を備えた室外機の構成から加湿ユニットを除いた給気専用のレイアウト構成にした場合であっても、給気装置4は、給気装置4の内部での放熱を抑制することできるため、給気ダクト5内の結露を抑制できる。
【0071】
また、上記給気装置4によれば、ヒータ41に対して給気ファン42が接続口45とは反対側に設けられている。給気経路P1が長くなるとケーシング(401,415)内での放熱が起こりやすい状態となるが、給気装置4は、ヒータ41と給気制御部400との間にフレキシブルホース43(経路部材)を設けることで給気ダクト5内の結露を抑制できる。
【0072】
また、ヒータ41が給気経路P1の給気ファン42よりも上流に設けられていることによって、給気ファン42の結露も抑制できる。
【0073】
また、給気ファン42とヒータ41と給気制御部400は、平面視において重なり合っていないことによって、給気ファン42とヒータ41と給気制御部400などの機能部品を省スペースで配置しつつケーシング(401,415)の高さを低く抑えることができる。なお、この実施形態では、ダンパ44も、平面視において給気ファン42とヒータ41および給気制御部400と重なり合っていない。
【0074】
また、給気経路P1の一部をなす経路部材がフレキシブルホース43であるので、弾性変形するフレキシブルホース43により給気ファン42からの振動が減衰され、騒音を低減できる。また、フレキシブルホース43を用いることで、レイアウトについて設計の自由度が高くなる。
【0075】
また、フレキシブルホース43内の上流側の端部は、ヒータ41側に近くて下流よりも温度が高くなるので、フレキシブルホース43の上流側の端部がフレキシブルホース43の下流側の端部よりも低い位置にして傾斜を設けることにより、フレキシブルホース43内の結露水が集まる上流側の端部で乾燥させることができる。
【0076】
また、給気経路P1のヒータ41の上流側において、吸込口40から吸い込まれた空気が壁部430に衝突した後、網部材420を通ってヒータ41側に流れるので、壁部430で外部からの水滴の侵入を抑えることができると共に、網部材420で異物を捕捉することができる。
【0077】
また、接続口45がケーシングの側面に配置されているので、給気装置4本体が室外空調装置3上に載置された構成では、従来の加湿ユニットを設けた室外機のように下方の室外空調装置3に向かって給気経路P1が折り曲げられることがない。したがって、給気装置4は、室外空調装置3とは独立した構成を有し、室外機構造によらない構造とすることができる。
【0078】
また、上記構成の空気調和機の室外機2によれば、給気装置4と室内機1とを接続する給気ダクト5内の結露を抑制できる。これにより、給気ダクト5に溜まった結露水が原因で異音や異臭が発生するのを抑制できる。
【0079】
上記第1実施形態の給気装置4では、ヒータ41に対して給気ファン42が接続口45とは反対側に設けられていたが、ヒータ41と給気ファン42と接続口45との配置はこれに限らず、ケーシングの形態などに応じて適宜設定してよい。
【0080】
また、上記給気装置4では、ヒータ41が給気経路P1の給気ファン42よりも上流に設けられていたが、給気ファン42に対するヒータ41の配置はこれに限らず、ヒータ41を給気経路P1の給気ファン42よりも下流に設けてもよい。
【0081】
また、給気経路P1の一部をなす経路部材にフレキシブルホース43を用いたが、経路部材はこれに限らず、樹脂成形されたダクトなどであってもよい。
【0082】
〔第2実施形態〕
本開示の第2実施形態の給気装置は、給気制御部400の動作を除いて第1実施形態の給気装置4と同様の構成をしている。
【0083】
この第2実施形態の給気装置では、第1実施形態の給気装置4のように室外空調装置3と協調運転するものではなく、給気装置単体で給気運転するように給気制御部400を動作させることにより給気装置として単独で給気機能を提供する。
【0084】
上記構成の給気装置から室内機に外気を供給する給気ダクト内の結露を抑制できる。
【0085】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…室内機
2…室外機
3…室外空調装置
4…給気装置
5…給気ダクト
11…室内熱交換器
11a…本体熱交換部
11b…補助熱交換部
12…室内ファン
13…電磁弁
30…室外ファン
31…圧縮機
32…四路切換弁
33…室外熱交換器
34…電動膨張弁
35…アキュムレータ
36,37…閉鎖弁
41…ヒータ
42…給気ファン(ファン)
43…フレキシブルホース(経路部材)
44…ダンパ
45…接続口
100…室内制御部
300…室外制御部
301…底板
302…フロントパネル
303…グリル
304…右側板
305…バルブカバー
306…左側板
307…仕切板
308…遮蔽板
400…給気制御部(制御部)
401…底フレーム
401a…底部
401b…側壁
401c…案内壁
401d…凹部
402…ベルマウス
403…ファンハウジング
403a…吹出口
404…ファンモータ
405…絶縁シート
406…ジョイント
407…ジョイント
408…連結部
409…ジョイント
410…ソケット
412…カバー
413…遮蔽板
415…上面パネル
420…網部材
430…壁部
RC…冷媒回路