IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図1
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図2
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図3
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図4
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図5
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図6
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図7
  • -熱交換器、及び冷媒サイクル装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】熱交換器、及び冷媒サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/00 20060101AFI20241113BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20241113BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20241113BHJP
   F28F 13/08 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28D9/02
F28F3/04 B
F28F13/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022114936
(22)【出願日】2022-07-19
(65)【公開番号】P2024013036
(43)【公開日】2024-01-31
【審査請求日】2023-07-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】寺井 航
(72)【発明者】
【氏名】江村 知恵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】田端 信哉
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第5847913(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第102564205(CN,A)
【文献】特表2004-504584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00-3/14,9/22,13/08
F28D 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口(120b)と第2開口(120b)との間を第1方向(DL)に流体が流れ、前記流体の凝縮器である熱交換器であって、
前記第1開口と前記第2開口との間であって、前記流体が熱交換される領域であって前記第1開口及び前記第2開口から離れた領域において前記第1方向に沿って隣り合って配置されるN個(Nは、2以上の整数である。)の流路領域を形成する部材(110,120)を備え、
前記N個の流路領域のそれぞれは、前記流体が流れる流路(131)を有し、
前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側から1番目に位置する第1の流路領域(F1)の前記流路の数は、前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側からN番目に位置する第Nの流路領域(F5)の前記流路の数より少なく、
前記第1の流路領域の前記流路の断面積は、前記第Nの流路領域の前記流路の断面積より大きい、
熱交換器(100)。
【請求項2】
前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側からi番目に位置する第iの流路領域の前記流路の数は、前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側からj番目(i,jは、1≦i<j≦Nを満たす整数である。)に位置する第jの流路領域の前記流路の数より少なく、
前記第iの流路領域の前記流路の断面積は、前記第jの流路領域の前記流路の断面積より大きい、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1の流路領域の前記流路の数は、1である、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側から2番目に位置する第2の流路領域(F2)と前記第1の流路領域との境界と、前記第1開口との間の前記第1方向の距離L1、および、前記第1開口と前記第2開口との間の前記第1方向の距離L0は、
0.2×L0≦L1≦0.8×L0の関係式を満たす、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記N個の流路領域のうち前記第1方向において隣接する2つの流路領域の境界と、前記第1開口との間の前記第1方向の距離L2、および、前記第1開口と前記第2開口との間の前記第1方向の距離L0は、
0.2×L0≦L2≦0.8×L0の関係式を満たす、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側からk番目(kは、1≦k≦N-1を満たす整数である。)に位置する第kの流路領域と、前記N個の流路領域のうち前記第1方向において前記第1開口の側からk+1番目に位置する第k+1の流路領域との境界において、前記流路は分岐し、
前記第k+1の流路領域の前記流路の数は、前記第kの流路領域の前記流路の数の2倍乃至4倍である、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記N個の流路領域のそれぞれの前記第1方向の長さは、前記第1開口と前記第2開口との間の前記第1方向の距離の10%~50%である、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1方向と交差する第2方向(DS)に積層される複数の前記部材を備え、
前記N個の流路領域は、前記第2方向に隣接する前記部材の間に形成される、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記流体である第1媒体が流れる前記流路を有する前記N個の流路領域と、前記流体である第2媒体が流れる前記流路を有する前記N個の流路領域とが前記第2方向に交互に積層され、
前記第1媒体は、前記第1開口から前記第2開口に向かって前記流路を流れ、
前記第2媒体は、前記第2開口から前記第1開口に向かって前記流路を流れる、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1または2に記載の熱交換器を備える、
冷媒サイクル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱交換器、及び冷媒サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体に熱交換をさせるための複数の熱交換流路と、流体を各熱交換通路に分配するための分岐流路とが形成される伝熱部材を備える熱交換器が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1(特開2016-90157号公報)には、複数の熱交換流路と、熱交換流路の両端に接続される一対の分岐流路とが形成される金属板を備えるプレートフィン型熱交換器が開示されている。このような従来の熱交換器では、熱交換器に導入される流体は、熱交換器の入口付近において分岐流路によって全ての熱交換流路に分流し、熱交換器の出口付近において分岐流路によって合流する。そのため、熱交換器の入口付近から出口付近まで、熱交換流路の数および断面積が一定であることが多い。この場合、ガス状の流体が流れる入口付近の熱交換流路において圧力損失が大きくなり、熱交換器の性能が低下することがある。また、液状の流体が流れる出口付近の熱交換流路において流体の流速が小さくなり、熱伝達効率が低下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の熱交換器は、第1開口と第2開口との間を第1方向に流体が流れる熱交換器である。熱交換器は、第1開口と第2開口との間において第1方向に沿って隣り合って配置されるN個(Nは、2以上の整数である。)の流路領域を形成する部材を備える。N個の流路領域のそれぞれは、流体が流れる流路を有する。第1の流路領域の流路の数および断面積は、第Nの流路領域の流路の数および断面積と異なる。第1の流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側から1番目に位置する。第Nの流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側からN番目に位置する。
【0005】
第1観点の熱交換器では、熱交換器の内部を流れる流体の相変化(密度変化)に応じて好適な流体の流速が実現されるように、流体が流れる流路が形成される。従って、ガス状の流体が流れる入口付近の流路において圧力損失が大きくなることにより熱交換器の性能が低下することが抑制される。また、液状の流体が流れる出口付近の流路において流体の流速が小さくなることにより熱伝達効率が低下することが抑制される。
【0006】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第iの流路領域の流路の数は、第jの流路領域の流路の数より少なく、第iの流路領域の流路の断面積は、第jの流路領域の流路の断面積より大きい。第iの流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側からi番目に位置する。第jの流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側からj番目(i,jは、1≦i<j≦Nを満たす整数である。)に位置する。
【0007】
第2観点の熱交換器では、ガス側(入口側)から液側(出口側)に向かって流路断面積が徐々に小さくなるので、ガス側の圧力損失が低減され、かつ、液側の流体の流速が確保される。また、ガス側から液側に向かって流路の数が徐々に増えるので、ガス側から液側に向かって流路断面積が小さくなっても、流体の伝熱面積の減少が抑えられる。
【0008】
第3観点の熱交換器は、第1観点又は第2観点の熱交換器であって、第1の流路領域の流路の数は、1である。
【0009】
第4観点の熱交換器は、第3観点の熱交換器であって、距離L1および距離L0は、0.2×L0≦L1≦0.8×L0の関係式を満たす。距離L1は、第2の流路領域と第1の流路領域との境界と、第1開口との間の第1方向の距離である。距離L0は、第1開口と第2開口との間の第1方向の距離である。第2の流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側から2番目に位置する。
【0010】
第5観点の熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、距離L2および距離L0は、0.2×L0≦L2≦0.8×L0の関係式を満たす。距離L2は、N個の流路領域のうち第1方向において隣接する2つの流路領域の境界と、第1開口との間の第1方向の距離である。距離L0は、第1開口と第2開口との間の第1方向の距離である。
【0011】
第6観点の熱交換器は、第1乃至第5観点のいずれか1つの熱交換器であって、第kの流路領域と、第k+1の流路領域との境界において、流路は分岐し、第k+1の流路領域の流路の数は、第kの流路領域の流路の数の2倍乃至4倍である。第kの流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側からk番目(kは、1≦k≦N-1を満たす整数である。)に位置する。第k+1の流路領域は、N個の流路領域のうち第1方向において第1開口の側からk+1番目に位置する。
【0012】
第7観点の熱交換器は、第1乃至第6観点のいずれか1つの熱交換器であって、N個の流路領域のそれぞれの第1方向の長さは、第1開口と第2開口との間の第1方向の距離の10%~50%である。
【0013】
第8観点の熱交換器は、第1乃至第7観点のいずれか1つの熱交換器であって、第1方向と交差する第2方向に積層される複数の部材を備える。N個の流路領域は、第2方向に隣接する部材の間に形成される。
【0014】
第9観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、流体である第1媒体が流れる流路を有するN個の流路領域と、流体である第2媒体が流れる流路を有するN個の流路領域とが第2方向に交互に積層される。第1媒体は、第1開口から第2開口に向かって流路を流れる。第2媒体は、第2開口から第1開口に向かって流路を流れる。
【0015】
第10観点の冷媒サイクル装置は、第1乃至第9観点のいずれか1つの熱交換器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】熱交換器100を備える冷媒サイクル装置1の概略構成図である。
図2】熱交換器100の分解斜視図である。
図3】熱交換器100の断面図である。
図4】第1伝熱プレート110の平面図である。
図5】第2伝熱プレート120の平面図である。
図6】第2伝熱プレート120の平面図である。
図7】変形例Aにおける第2伝熱プレート120の平面図である。
図8】変形例Bにおける第2伝熱プレート120の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)冷媒サイクル装置1
本開示の実施形態に係る熱交換器100を備える冷媒サイクル装置1について説明する。冷媒サイクル装置1は、蒸気圧縮式のサイクルを実行することで、建物の室内等の空調対象空間(図示省略)の冷房を行う二元冷凍装置である。
【0018】
図1に示されるように、冷媒サイクル装置1は、熱源側サイクル10と、利用側サイクル20とを有する。熱源側サイクル10は、冷媒を循環させる蒸気圧縮式のサイクルである。冷媒は、例えば、R1234zeである。利用側サイクル20は、冷媒よりも低沸点の流体である熱媒体を循環させる蒸気圧縮式のサイクルである。熱媒体は、例えば、二酸化炭素である。冷媒と熱媒体との間での熱交換は、熱交換器100において行われる。
【0019】
(1-1)熱交換器100
熱交換器100は、冷媒と熱媒体との間で熱交換をさせるカスケードコンデンサである。熱交換器100は、冷媒の蒸発器、かつ、熱媒体の凝縮器として機能する。熱交換器100は、第1導入管150a、第1導出管150bと、第2導入管160a、第2導出管160bと、第1流路111と、第2流路121とを有する。
【0020】
第1流路111は、冷媒が流れる流路である。第1流路111は、第1導入管150aと第1導出管150bとの間に形成される。第2流路121は、熱媒体が流れる流路である。第2流路121は、第2導入管160aと第2導出管160bとの間に形成される。熱交換器100の詳細な構造については、後述する。
【0021】
(1-2)熱源側サイクル10
熱源側サイクル10は、熱源側圧縮機11と、熱源側熱交換器12と、熱源側膨張弁13と、熱交換器100の第1導入管150a、第1導出管150b、及び第1流路111とから構成される。熱源側サイクル10は、空調対象空間の外に設置される。
【0022】
熱源側圧縮機11は、熱源側サイクル10における低圧気相の冷媒を第1吸入部11aから吸入し、それを圧縮して、高圧気相の冷媒として第1吐出部11bから吐出する。熱源側熱交換器12は、凝縮機として機能し、冷媒と外気(空調対象空間の外の空気)との間で熱交換を行わせる。熱源側膨張弁13は、熱源側サイクル10を循環する冷媒の流量を調節する。熱源側膨張弁13は、冷媒を減圧させる減圧装置として機能する。
【0023】
熱源側圧縮機11の第1吐出部11bは、熱源側熱交換器12の一端に接続される。熱源側熱交換器12の他端は、熱源側膨張弁13の一端に接続される。熱源側膨張弁13の他端は、熱交換器100の第1導入管150aに接続される。熱交換器100の第1導出管150bは、熱源側圧縮機11の第1吸入部11aに接続される。
【0024】
(1-3)利用側サイクル20
利用側サイクル20は、利用側圧縮機21と、利用側熱交換器22と、利用側膨張弁23と、熱交換器100の第2導入管160a、第2導出管160b、及び第2流路121とから構成される。利用側サイクル20は、空調対象空間に設置される。
【0025】
利用側圧縮機21は、利用側サイクル20における低圧気相の熱媒体を第2吸入部21aから吸入し、それを圧縮して、高圧気相の熱媒体として第2吐出部21bから吐出する。利用側熱交換器22は、蒸発機として機能し、熱媒体と空調対象空間内の空気との間で熱交換を行わせる。利用側膨張弁23は、利用側サイクル20を循環する熱媒体の流量を調節する。利用側膨張弁23は、熱媒体を減圧させる減圧装置として機能する。
【0026】
利用側圧縮機21の第2吐出部21bは、熱交換器100の第2導入管160aに接続される。熱交換器100の第2導出管160bは、利用側膨張弁23の一端に接続される。利用側膨張弁23の他端は、利用側熱交換器22の一端に接続される。利用側熱交換器22の他端は、利用側圧縮機21の第1吸入部11aに接続される。
【0027】
(1-4)動作
冷媒サイクル装置1の運転中における、熱源側サイクル10及び利用側サイクル20の動作を説明する。冷媒サイクル装置1が運転を開始すると、制御部(図示省略)が、熱源側圧縮機11及び利用側圧縮機21を駆動し、熱源側膨張弁13及び利用側膨張弁23の開度を空調負荷に応じた適切な開度に設定する。
【0028】
(1-4-1)熱源側サイクル10の動作
熱源側圧縮機11は、熱源側サイクル10における低圧気相の冷媒を第1吸入部11aから吸入し、高圧気相の冷媒として第1吐出部11bから吐出する。高圧気相である冷媒は、熱源側熱交換器12へ到達する。熱源側熱交換器12は、高圧気相の冷媒を凝縮させ高圧液相の冷媒とする。このとき、冷媒は、外気へ熱を放出する。高圧液相の冷媒は、熱源側膨張弁13へ到達する。適切な開度に設定された熱源側膨張弁13は、高圧液相の冷媒を減圧し低圧気液二相の冷媒とする。低圧気液二相の冷媒は、熱交換器100の第1導入管150aを通過して第1流路111に入る。熱交換器100は、低圧気液二相の冷媒を蒸発させ低圧気相の冷媒とする。このとき、冷媒は、熱交換器100の第2流路121を通る熱媒体から熱を吸収する。低圧気相の冷媒は、第1導出管150bを通過して第1流路111を出て、第1吸入部11aから熱源側圧縮機11に吸入される。
【0029】
(1-4-2)利用側サイクル20の動作
利用側圧縮機21は、利用側サイクル20における低圧気相の熱媒体を第2吸入部21aから吸入し、高圧気相の熱媒体として第2吐出部21bから吐出する。高圧気相の熱媒体は、熱交換器100の第2導入管160aを通過して第2流路121へ入る。熱交換器100は、高圧気相の熱媒体を凝縮させ高圧液相の熱媒体とする。このとき、熱媒体は、熱交換器100の第1流路111を通る冷媒へ熱を放出する。高圧液相の熱媒体は、第2導出管160bを通過して第2流路121を出て、利用側膨張弁23へ到達する。適切な開度に設定された利用側膨張弁23は、高圧液相の熱媒体を減圧し低圧気液二相の熱媒体とする。低圧気液二相の熱媒体は、利用側熱交換器22へ到達する。利用側熱交換器22は、低圧気液二相の熱媒体を蒸発させ低圧気相の熱媒体とする。このとき、熱媒体は、空調対象空間内の空気から熱を吸収する。低圧気相の熱媒体は、利用側熱交換器22を出て、第2吸入部21aから利用側圧縮機21に吸入される。
【0030】
(2)熱交換器100
(2-1)全体構成
図2に示されるように、熱交換器100は、複数の第1伝熱プレート110と、複数の第2伝熱プレート120と、第1フレーム130と、第2フレーム140とを備えるプレート式熱交換器である。熱交換器100は、内部に、第1流路111と、第2流路121とが形成されている。
【0031】
第1伝熱プレート110、及び第2伝熱プレート120は、外形が同じ矩形状に形成される金属製の板状部材である。本実施形態では、図2に示されるように、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、第1フレーム130、及び第2フレーム140は、長手方向DLに沿って延びる矩形状に形成されている。
【0032】
複数の第1伝熱プレート110、及び複数の第2伝熱プレート120は、第1フレーム130と、第2フレーム140との間において交互に積層される。複数の第1伝熱プレート110、及び複数の第2伝熱プレート120のそれぞれの枚数は、限定されず、要求される性能に応じて適宜に設定される。第1フレーム130、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第2フレーム140の材質及び寸法は、限定されず、要求される性能に応じて適宜に設定される。第1フレーム130、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第2フレーム140は、例えば、ロウ付けにより一体的に接合されている。
【0033】
以下の説明では、第1伝熱プレート110、及び第2伝熱プレート120が積層される方向を積層方向DSと呼び、長手方向DL及び積層方向DSと直交する方向を幅方向DWと呼ぶ。また、図2に示されるように、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」の各方向を定義する。長手方向DLは、上下方向である。幅方向DWは、左右方向である。積層方向DSは、前後方向である。
【0034】
(2-2)詳細構成
(2-2-1)第1伝熱プレート110
第1伝熱プレート110は、断面が波形に形成された波形フィンである。本実施形態では、図2及び図3に示されるように、第1伝熱プレート110の波形は、平面視において、頂部が、上方に向かって凸なヘリンボーンパターンを描くように形成される。
【0035】
第1伝熱プレート110は、隣接して積層される第2伝熱プレート120とともに第1流路111及び第2流路121を形成する。第1伝熱プレート110は、第1接合領域110aと、2つの第1流通孔110bと、2つの第1貫通孔110cと、第1前面110saと、第1後面110sbとを有する。
【0036】
第1接合領域110aは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを互いに接合するための領域である。第1接合領域110aは、所定幅の端縁が前側に向かって折れ曲がった帯状の領域である。
【0037】
第1流通孔110bは、冷媒を第1流路111へ導入又は導出する円形の孔である。第1流通孔110bは、第1伝熱プレート110の上方左側及び下方右側に形成される。
【0038】
第1貫通孔110cは、熱媒体を積層方向DSへ通過させる円形の孔である。第1貫通孔110cは、第1伝熱プレート110の上方右側及び下方左側に形成される。
【0039】
第1前面110saは、第1伝熱プレート110の前側の面である。第1前面110saは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、後述する第2伝熱プレート120の第2後面120sbと対向する面である。
【0040】
第1後面110sbは、第1伝熱プレート110の後側の面である。第1後面110sbは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、後述する第2伝熱プレート120の第2前面120saと対向する面である。
【0041】
第1伝熱プレート110は、製法は限定されないが、例えば、プレス加工を用いて形成される。
【0042】
(2-2-2)第2伝熱プレート120
第2伝熱プレート120は、隣接して積層される第1伝熱プレート110とともに第1流路111及び第2流路121を形成する。第2伝熱プレート120は、第2接合領域120aと、2つの第2流通孔120bと、2つの第2貫通孔120cと、第2前面120saと、第2後面120sbとを有する。
【0043】
第2接合領域120aは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを互いに接合するための領域である。第2接合領域120aは、所定幅の端縁が前側に向かって折れ曲がった帯状の領域である。
【0044】
第2流通孔120bは、熱媒体を第2流路121へ導入又は導出する円形の孔である。第2流通孔120bは、第2伝熱プレート120の上方右側及び下方左側に形成される。第2流通孔120bは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、第1貫通孔110cと重なり合って連通する位置に形成される。第2流通孔120bの大きさ及び形状は、第1貫通孔110cと同じである。
【0045】
第2貫通孔120cは、冷媒を積層方向DSへ通過させる円形の孔である。第2貫通孔120cは、第2伝熱プレート120の上方左側及び下方右側に形成される。第2貫通孔120cは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、第1流通孔110bと重なり合って連通する位置に形成される。第2貫通孔120cの大きさ及び形状は、第1流通孔110bと同じである。
【0046】
第2前面120saは、第2伝熱プレート120の前側の面である。第2前面120saは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと対向する面である。
【0047】
第2後面120sbは、第2伝熱プレート120の後側の面である。第2後面120sbは、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、第1伝熱プレート110の第1前面110saと対向する面である。
【0048】
第2伝熱プレート120は、製法は限定されないが、例えば、プレス加工を用いて形成される。第2伝熱プレート120の形状の詳細については、後述する。
【0049】
(2-2-3)第1フレーム130及び第2フレーム140
第1フレーム130、及び第2フレーム140は、交互に積層された複数の第1伝熱プレート110及び複数の第2伝熱プレート120を、積層方向DSにおける両端で挟む金属製の板状部材である。
【0050】
(2-2-4)第1導入管150a及び第1導出管150b
第1導入管150aは、冷媒を第1流路111に導入する配管である。第1導入管150aは、第1フレーム130の上方左側を貫通し、第1流路111と連通するように設けられる。より詳細には、第1導入管150aは、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第1フレーム130を積層した場合に互いに連通する、上方左側に形成された第1流通孔110b及び第2貫通孔120cと連通するように形成される。
【0051】
第1導出管150bは、冷媒を第1流路111から導出する配管である。第1導出管150bは、第1フレーム130の下方右側を貫通し、第1流路111と連通するように設けられる。より詳細には、第1導出管150bは、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第1フレーム130を積層した場合に互いに連通する、下方右側に形成された第1流通孔110b及び第2貫通孔120cと連通するように形成される。
【0052】
(2-2-5)第2導入管160a及び第2導出管160b
第2導入管160aは、熱媒体を第2流路121に導入する配管である。第2導入管160aは、第1フレーム130の上方右側を貫通し、第2流路121と連通するように設けられる。より詳細には、第2導入管160aは、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第1フレーム130を積層した場合に互いに連通する、上方右側に形成された第2流通孔120b及び第1貫通孔110cと連通するように形成される。
【0053】
第2導出管160bは、熱媒体を第2流路121から導出する配管である。第2導出管160bは、第1フレーム130の下方左側を貫通し、第2流路121と連通するように設けられる。より詳細には、第2導入管160aは、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び第1フレーム130を積層した場合に互いに連通する、下方左側に形成された第2流通孔120b及び第1貫通孔110cと連通するように形成される。
【0054】
(2-2-6)第1流路111及び第2流路121
図3に示されるように、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とが交互に積層されることで第1流路111と第2流路121とが積層方向DSに交互に形成される。より詳細には、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とが交互に積層されることで、第1伝熱プレート110の第1前面110saと第2伝熱プレート120の第2後面120sbとが対向する空間が第1流路111となる。また、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とが交互に積層されることで、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと第2伝熱プレート120の第2前面120saとが対向する空間が第2流路121となる。
【0055】
第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とは、ロウ付けにより接合される。より詳細には、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とは、第1接合領域110aと第2接合領域120aとがロウ付けにより互いに接合される。
【0056】
以下の説明では、第1流路111は、上側の第1流通孔110bと下側の第1流通孔110bとの間に位置し、幅方向DWの寸法が長手方向DLにおいて一定となる矩形状の領域を表す。同様に、第2流路121は、上側の第2流通孔120bと下側の第2流通孔120bとの間に位置し、幅方向DWの寸法が長手方向DLにおいて一定となる矩形状の領域を表す。図4及び図5には、それぞれ、第1流路111及び第2流路121の長手方向DL及び幅方向DWの範囲が示されている。
【0057】
(2-3)冷媒及び熱媒体の流れ
熱交換器100の第1導入管150aから導入された冷媒は、上側の第2貫通孔120c及び第1流通孔110bを通過して第1流路111に流入する。第1流路111に流入した冷媒は、第1流路111を下側の第1流通孔110bへ向かって流れる。下側の第1流通孔110bまで達した冷媒は、下側の第2貫通孔120cを通過して第1導出管150bから導出される。この間、第1流路111を流れる液状の冷媒は、第1伝熱プレート110又は第2伝熱プレート120を介して隣り合う第2流路121の熱媒体と熱交換を行って蒸発して、ガス状の冷媒となる。言い換えると、熱交換器100は冷媒の蒸発器として機能する。
【0058】
一方、熱交換器100の第2導入管160aから導入された熱媒体は、上側の第2流通孔120b及び第1貫通孔110cを通過して第2流路121に流入する。第2流路121に流入した熱媒体は、第2流路121を下側の第2流通孔120bへ向かって流れる。下側の第2流通孔120bまで達した熱媒体は、下側の第1貫通孔110cを通過して第2導出管160bから導出される。この間、第2流路121を流れるガス状の熱媒体は、第1伝熱プレート110又は第2伝熱プレート120を介して隣り合う第1流路111の冷媒と熱交換を行って凝縮して、液状の熱媒体となる。言い換えると、熱交換器100は熱媒体の凝縮器として機能する。
【0059】
(2-4)第2流路121の詳細構成
熱交換器100において、第2流路121を流れる熱媒体は、上側の第2流通孔120bと、下側の第2流通孔120bとの間を、長手方向DLに沿って流れる。本実施形態では、熱媒体は、上側の第2流通孔120bから流入して、第2流路121を通過した後、下側の第2流通孔120bから流出する。上側の第2流通孔120bは、上側の第1貫通孔110cを介して第2導入管160aと連通する。下側の第2流通孔120bは、下側の第1貫通孔110cを介して第2導出管160bと連通する。熱交換器100で熱交換される前のガス状の熱媒体は、第2導入管160aから、上側の第2流通孔120bを通って、第2流路121に流入する。第2流路121を通過する過程で、ガス状の熱媒体は、熱交換されて液状となる。液状の熱媒体は、第2流路121から流出した後、下側の第2流通孔120bを通って、第2導出管160bに供給される。
【0060】
第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120は、N個の流路領域を形成する。値Nは、2以上の整数である。本実施形態では、図6に示されるように、値Nは5であり、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120は、5個の流路領域F1~F5を形成する。各流路領域F1~F5は、第2流路121の一部を有する。各流路領域F1~F5は、上側の第2流通孔120bと、下側の第2流通孔120bとの間において、長手方向DLに沿って隣り合って配置される矩形の領域である。各流路領域F1~F5の幅方向DWの寸法は、第2流路121の幅方向DWの寸法と等しい。
【0061】
以下の説明では、N個の流路領域のうち、長手方向DLにおいて上側の第2流通孔120bの側からx番目に位置する流路領域を、第xの流路領域と呼ぶ。値xは、1≦x≦Nを満たす整数である。例えば、図6において、第1の流路領域F1は、上側の第2流通孔120bの下方に位置し、第2の流路領域F2は、第1の流路領域F1の下方に位置する。また、第5の流路領域F5(第Nの流路領域)は、第4の流路領域F4の下方に位置し、かつ、下側の第2流通孔120bの上方に位置する。このように、第1乃至第Nの流路領域は、上側の第2流通孔120bから下側の第2流通孔120bに向かって、長手方向DLに沿って一列に隣り合って配置されている。
【0062】
各流路領域F1~F5は、1又は複数の流路要素131を有する。流路要素131は、熱媒体が長手方向DLに沿って流れる空間である。流路領域が複数の流路要素131を有する場合、その複数の流路要素131は幅方向DWに沿って配置される。幅方向DWにおいて隣り合う2個の流路要素131は、長手方向DLに沿って延びる仕切り要素132によって仕切られている。図5~8では、仕切り要素132は、ハッチングされた領域として示されている。
【0063】
図3に示されるように、流路要素131は、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと第2伝熱プレート120の第2前面120saとが対向している空間に相当する。また、仕切り要素132は、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと第2伝熱プレート120の第2前面120saとが接合している部分に相当する。流路領域が複数の流路要素131を有する場合、その複数の流路要素131は、同一の幅方向DWの寸法、及び、同一の断面積を有する。
【0064】
長手方向DLにおいて隣接する2つの流路領域は、流路要素131の数、及び断面積が互いに異なっている。また、各流路領域F1~F5において、流路要素131の数、及び断面積は一定である。そのため、N個の流路領域が形成されている場合、第1の流路領域の流路要素131の数、及び断面積は、第Nの流路領域の流路要素131の数、及び断面積と異なっている。
【0065】
具体的には、値i,jが1≦i<j≦Nを満たす整数である場合、第iの流路領域の流路要素131の数は、第jの流路領域の流路要素131の数より少なく、第iの流路領域の流路要素131の断面積は、第jの流路領域の流路要素131の断面積より大きい。例えば、図6に示されるように、第2の流路領域F2は2個の流路要素131を有し、第3の流路領域F3は4個の流路要素131を有する。この場合、第2の流路領域F2の流路要素131の幅方向DWの寸法は、第3の流路領域F3の流路要素131の幅方向DWの寸法より大きい。そのため、第2の流路領域F2の流路要素131の断面積は、第3の流路領域F3の流路要素131の断面積より大きい。
【0066】
また、本実施形態では、図6に示されるように、第1の流路領域F1の流路要素131の数は、1である。言い換えると、第1の流路領域F1は、仕切り要素132を有さない。
【0067】
さらに、本実施形態では、図6に示されるように、第5の流路領域F5(第Nの流路領域)と、下側の第2流通孔120bとの間には、合流領域133が形成されている。合流領域133は、第5の流路領域F5の全ての流路要素131と連通する。合流領域133の長手方向DLの寸法は、第2流路121の長手方向DLの寸法の20%以下であることが好ましい。
【0068】
従って、上側の第2流通孔120bから下側の第2流通孔120bに向かって、流路領域F1~F5の流路要素131の数は徐々に増加し、かつ、流路領域F1~F5の流路要素131の断面積は徐々に減少する。言い換えると、ガス状の熱媒体が第2流路121を流れて液状の熱媒体となる過程で、熱媒体が流れる流路要素131の数が徐々に増加し、かつ、流路要素131の断面積が徐々に減少する。
【0069】
また、第2流路121において、長手方向DLにおいて隣接する2つの流路領域の境界は、流路要素131の数、及び断面積が変化する位置である。そのため、第2流路121において、第1の流路領域F1から第5の流路領域F5に向かって熱媒体が流れる過程で、熱媒体の流れは徐々に分岐する。第5の流路領域F5の流路要素131を通過した熱媒体は、合流領域133において合流して、下側の第2流通孔120bに供給される。
【0070】
図6では、第1乃至第5の流路領域F1~F5の流路要素131の数は、それぞれ、1、2、4、8、及び16である。言い換えると、第1の流路領域F1から下側の第2流通孔120bに向かって熱媒体が流れる過程で、熱媒体の流れが分岐する度に、流路要素131の数は2倍になっている。
【0071】
各流路領域F1~F5の数、及び、長手方向DLの寸法等は、限定されず、要求される性能に応じて適宜に設定される。また、各流路領域F1~F5の流路要素131の数は、限定されず、要求される性能に応じて適宜に設定される。例えば、第1の流路領域F1は1個の流路要素131を有し、第2の流路領域F2は10個の流路要素131を有してもよい。この場合、第2の流路領域F2から下側の第2流通孔120bに向かって熱媒体が流れる過程で、熱媒体の流れが分岐する度に、流路要素131の数は2倍になっていてもよい。
【0072】
(3)特徴
(3-1)
従来、流体に熱交換をさせるための複数の熱交換流路と、熱交換流路の両端に接続される一対の分岐流路とが形成される金属板を備えるプレートフィン型熱交換器が用いられている。このような熱交換器では、熱交換器に流入する流体は、熱交換器の入口付近において分岐流路によって全ての熱交換流路に分流し、熱交換器の出口付近において分岐流路によって合流する。そのため、熱交換器の入口付近から出口付近まで、熱交換流路の数および断面積が一定である。熱交換流路において熱交換によってガス状の流体が液状の流体に相変化する場合、ガス状の流体が流れる入口付近の熱交換流路において圧力損失が大きくなり、熱交換器の性能が低下することがある。また、液状の流体が流れる出口付近の熱交換流路において流体の流速が小さくなり、熱伝達効率が低下することがある。
【0073】
本実施形態の熱交換器100は、交互に積層された、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120を備える。第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120は、ガス状の熱媒体が熱交換により凝縮されて液状の熱媒体となる第2流路121を形成する。第2流路121において、ガス状の熱媒体が流入する入口側から、液状の熱媒体が流出する出口側に向かって熱媒体が流れる過程で、熱媒体の流れは徐々に分岐して、熱媒体が流れる流路要素131の断面積が徐々に減少する。ガス状の熱媒体が流れる入口付近の流路の断面積が大きいほど、圧力損失が低減されやすい。液状の熱媒体が流れる出口付近の流路の断面積が小さいほど、熱媒体の流速の低下が抑制されやすい。そのため、熱交換器100では、第2流路121を流れる熱媒体の相変化(密度変化)に応じて好適な熱媒体の流速が実現されるように、熱媒体が流れる流路要素131の断面積が徐々に減少する第2流路121が形成される。
【0074】
従って、本実施形態の熱交換器100では、ガス状の流体が流れる入口付近の流路において圧力損失が大きくなることが抑えられるので、熱交換器の性能が低下することが抑制される。また、本実施形態の熱交換器100では、液状の流体が流れる出口付近の流路において流体の流速が小さくなることが抑えられるので、熱伝達効率が低下することが抑制される。
【0075】
(3-2)
本実施形態の熱交換器100では、第2流路121において、ガス状の熱媒体が流入する入口側から、液状の熱媒体が流出する出口側に向かって熱媒体が流れる過程で、熱媒体の流れは徐々に分岐して、熱媒体が流れる流路要素131の数が徐々に増加する。
【0076】
従って、本実施形態の熱交換器100では、入口側から出口側に向かって流体が流れる流路の断面積が徐々に減少しても、流体の流量の減少、及び、流体の熱交換に寄与する部分の面積(伝熱面積)の減少が抑えられるので、熱伝達効率が低下することが抑制される。
【0077】
(4)変形例
(4-1)変形例A
次に、変形例A~Dにおいて、上記実施形態の第2流路121の具体例について説明する。図7~8は、図6と同様の第2伝熱プレート120の平面図である。
【0078】
図7において、距離L0は、上側の第2流通孔120bと、下側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離である。第2流通孔120bの位置は、第2流通孔120bの円形状の中心である。距離L0は、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120との間の空間において、上側の第2流通孔120bから流入して下側の第2流通孔120bから流出する熱媒体が移動する長手方向DLの距離である。距離L1は、第1の流路領域F1と第2の流路領域F2との境界B1と、上側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離である。
【0079】
上記実施形態において、距離L0および距離L1は、0.2×L0≦L1≦0.8×L0の関係式を満たすことが好ましい。この場合、長手方向DLにおいて、熱媒体の流れが最初に分岐する位置は、熱媒体の流路の長さに相当する距離L0の20%~80%の位置にある。熱媒体の流れが最初に分岐する位置は、境界B1の長手方向DLの位置に相当する。
【0080】
(4-2)変形例B
図8において、距離L0は、上側の第2流通孔120bと、下側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離である。第2流通孔120bの位置は、第2流通孔120bの円形状の中心である。距離L0は、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120との間の空間において、上側の第2流通孔120bから流入して下側の第2流通孔120bから流出する熱媒体が移動する長手方向DLの距離である。距離L2は、長手方向DLにおいて隣接する2つの流路領域の境界と、上側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離である。
【0081】
図8には、上側の第2流通孔120bから下側の第2流通孔120bに向かって、長手方向DLにおいて隣接する2つの流路領域の境界B1~B4が示されている。境界の数は、流路領域の数より1小さい値である。図8には、5個の流路領域F1~F5、及び、4個の境界B1~B4が示されている。長手方向DLにおいて、境界B1~B4は、熱媒体の流れが分岐する位置にある。図8では、距離L2は、境界B2と、上側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離として示されている。
【0082】
上記実施形態において、距離L0および距離L2は、0.2×L0≦L2≦0.8×L0の関係式を満たすことが好ましい。この場合、長手方向DLにおいて、熱媒体の流れが分岐する位置は、全て、熱媒体の流路の長さに相当する距離L0の20%~80%の位置にある。熱媒体の流れが分岐する位置は、境界B1~B4の長手方向DLの位置に相当する。
【0083】
(4-3)変形例C
上記実施形態において、各流路領域F1~F5のそれぞれの長手方向DLの長さは、距離L0の10%~50%であることが好ましい。距離L0は、上側の第2流通孔120bと、下側の第2流通孔120bとの間の長手方向DLの距離である。第2流通孔120bの位置は、第2流通孔120bの円形状の中心である。距離L0は、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120との間の空間において、上側の第2流通孔120bから流入して下側の第2流通孔120bから流出する熱媒体が移動する長手方向DLの距離である。
【0084】
この場合、長手方向DLにおいて、分岐位置から隣の分岐位置までの距離は、熱媒体の流路の長さに相当する距離L0の10%~50%であることが好ましい。分岐位置は、熱媒体の流れが分岐する長手方向DLの位置である。
【0085】
なお、変形例A~Cにおいて、距離L0は、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120の長手方向DLの寸法であってもよい。また、距離L0は、第2流路121の長手方向DLの寸法であってもよい。
【0086】
(4-4)変形例D
上記実施形態において、値kを1≦k≦N-1を満たす整数であるとした場合、第k+1の流路領域の流路の数は、第kの流路領域の流路の数の2倍乃至4倍であることが好ましい。言い換えると、長手方向DLにおいて隣接する2つの流路領域の境界において熱媒体の流れが分岐する度に、熱媒体の流路の数は2倍~4倍に増加する。
【0087】
(4-5)変形例E
上記実施形態において、第2流路121の流路領域F1~F5は、1又は複数の流路要素131を有する。流路要素131は、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと第2伝熱プレート120の第2前面120saとが対向した空間に相当する。言い換えると、流路要素131において、第1伝熱プレート110は第2伝熱プレート120と接触していない。しかし、流路要素131において第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを互いに接触させるための補強要素を、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120の少なくとも一方に設けてもよい。補強要素は、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120の、流路要素131における強度を確保するための構成要素である。補強要素を設けることで、第1伝熱プレート110の第1後面110sbと第2伝熱プレート120の第2前面120saとが流路要素131において互いに接触して、第2流路121の流路断面積が低減することが抑制される。
【0088】
補強要素は、例えば、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120の少なくとも一方に形成される点状の突起である。補強要素は、流路要素131における熱媒体の流速が低減されない程度の大きさを有し、かつ、流路要素131において実質的に流路を分岐させない形状を有する。言い換えると、補強要素は、流路領域の流路要素131の数、及び断面積に影響を与えない寸法及び形状を有することが好ましい。
【0089】
(4-6)変形例F
上記実施形態において、第1流路111を流れる冷媒と第2流路121を流れる熱媒体とが並行流となるように熱交換器100が形成されている。しかし、第1流路111を流れる冷媒と第2流路121を流れる冷媒とが対向流となるように熱交換器100が形成されてもよい。例えば、第1流路111において、冷媒は、下側の第1流通孔110bから上側の第1流通孔110bに向かって流れ、第2流路121において、熱媒体は、上側の第2流通孔120bから下側の第2流通孔120bに向かって流れてもよい。
【0090】
(4-7)変形例G
上記実施形態において、熱交換器100は、第2流路121において、熱媒体の流れが徐々に分岐して、熱媒体が流れる流路要素131の数が徐々に増加する分岐構造を有する。しかし、熱交換器100は、第1流路111において、第2流路121と同様の分岐構造を有してもよい。具体的には、第1流路111において、冷媒の流れが徐々に分岐して、冷媒が流れる空間(流路要素131に相当)の数が徐々に増加する分岐構造を有してもよい。
【0091】
また、熱源側サイクル10の熱源側熱交換器12において、冷媒が流れる流路が、第2流路121と同様の分岐構造を有してもよい。また、利用側サイクル20の利用側熱交換器22において、熱媒体が流れる流路が、第2流路121と同様の分岐構造を有してもよい。
【0092】
(4-8)変形例H
上記実施形態において、冷媒としてR1234zeを例示し、熱媒体として二酸化炭素を例示したが、冷媒及び熱媒体は、これに限定されない。
【0093】
冷媒として、R32、HFO系冷媒、R32とHFO系冷媒との混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、及びプロパン等を用いてもよい。熱媒体として、R-32、HFO系冷媒、HFC-32とHFO系冷媒との混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、及びプロパン等の冷媒、水、及び不凍液等を用いてよい。
【0094】
(4-9)変形例I
上記実施形態において、第1導入管150a、第1導出管150b、第2導入管160a、及び第2導出管160bの全ては、第1フレーム130に形成されている。しかし、第1導入管150a、第1導出管150b、第2導入管160a、及び第2導出管160bの少なくとも一部が、第2フレーム140に形成されてもよい。
【0095】
(4-10)変形例J
上記実施形態において、冷媒サイクル装置1は、熱源側サイクル10と利用側サイクル20とを有する二元冷凍装置である。しかし、冷媒サイクル装置1は、冷媒を循環させる蒸気圧縮式のサイクルを1つのみ有する冷凍装置であってもよい。例えば、冷媒サイクル装置1は、熱源側圧縮機11、熱源側熱交換器12、熱源側膨張弁13、及び利用側熱交換器22のそれぞれに相当する要素から構成される冷媒サイクルを有してもよい。この場合、冷媒の凝縮器として機能する熱源側熱交換器12は、上記実施形態の第2流路121と同様の分岐構造を有してもよい。
【0096】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0097】
1 :冷媒サイクル装置
100 :熱交換器
110 :第1伝熱プレート(部材)
120 :第2伝熱プレート(部材)
120b :上側の第2流通孔(第1開口)
120b :下側の第2流通孔(第2開口)
131 :流路要素(流路)
DL :長手方向(第1方向)
DS :積層方向(第2方向)
F1 :第1の流路領域
F2 :第2の流路領域
F5 :第5の流路領域(第Nの流路領域)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【文献】特開2016-90157号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8