(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2023191305
(22)【出願日】2023-11-09
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2022179714
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越山 達貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-202916(JP,A)
【文献】特開2022-039828(JP,A)
【文献】特開2018-105117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0204685(US,A1)
【文献】国際公開第2022/030342(WO,A1)
【文献】特表2021-511948(JP,A)
【文献】特開2017-113648(JP,A)
【文献】特開2021-027989(JP,A)
【文献】特表2012-516197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/,9/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射
し、
前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が320mJ/cm
2
であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が80mJ/cm
2
である、紫外線照射装置。
【請求項2】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
前記紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が298mJ/cm
2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が74mJ/cm
2である
、紫外線照射装置。
【請求項3】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
前記紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が496mJ/cm
2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が124mJ/cm
2である
、紫外線照射装置。
【請求項4】
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)の上限が、前記第1モード(M1)における前記照射量に基づいて設定される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y1時間以下であり、
前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y1時間は以下の数1で示される、請求項
1に記載の紫外線照射装置。
(数1)
Y1=0.45X+33
【請求項6】
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y2時間以下であり、
前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y2時間は以下の数2で示される、請求項
2に記載の紫外線照射装置。
(数2)
Y2=0.49X+33
【請求項7】
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y3時間以下であり、
前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y3時間は以下の数3で示される、請求項
3に記載の紫外線照射装置。
(数3)
Y3=0.29X+33
【請求項8】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を90%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をAとし、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を99.99%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をBとすると、
紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合、
前記基準照射量がBに設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がAに設定される
、紫外線照射装置。
【請求項9】
紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合、
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y4時間以下であることとし、
前記第1モード(M1)における前記照射量をXとすると、前記Y4時間は以下の数4で示され、
αおよびβは、ピーク波長が260nm以上、270nm以下となる紫外線の前記所定期間の単位面積当たりの照射量であり、
前記βは前記αよりも多く、
f
(α)は、照射量αで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、
f
(β)は、照射量βで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間である、請求項
8に記載の紫外線照射装置。
(数4)
Y4=a・X+b
a={f
(β)―f
(α)/(β―α)}
b=f
(α)―a・α
【請求項10】
除菌の対象とする菌類に照射される紫外線の照射量と、前記紫外線のピーク波長と、前記紫外線を照射された菌類の死滅率または不活化率とを対応付けた対応情報に基づいて、前記基準照射量が設定される、請求項8又は請求項9に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を90%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をAとし、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を99.99%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をBとすると、
紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、
前記基準照射量がB/1.08に設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/1.08に設定される
、紫外線照射装置。
【請求項12】
紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y5時間以下であることとし、
前記第1モード(M1)における前記照射量をXとすると、前記Y5時間は以下の数5で示され、
αおよびβは、ピーク波長が260nm以上、270nm以下となる紫外線の前記所定期間の単位面積当たりの照射量であり、
前記βは前記αよりも多く、
f
(α)は、照射量αで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、
f
(β)は、照射量βで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間である、請求項
11に記載の紫外線照射装置。
(数5)
Y5=a1・X+b1
a1={f
(β/1.08)―f
(α/1.08)/(β/1.08―α/1.08)}
b1=f
(α/1.08)―a・α/1.08
【請求項13】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を90%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をAとし、
菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を99.99%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量をBとすると、
紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、
前記基準照射量がB/0.65に設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/0.65に設定される
、紫外線照射装置。
【請求項14】
紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、
前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y6時間以下であることとし、
前記第1モード(M1)における前記照射量をXとすると、前記Y6時間は以下の数6で示され、
αおよびβは、ピーク波長が260nm以上、270nm以下となる紫外線の前記所定期間の単位面積当たりの照射量であり、
前記βは前記αよりも多く、
f
(α)は、照射量αで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、
f
(β)は、照射量βで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間である、請求項
13に記載の紫外線照射装置。
(数6)
Y6=a2・X+b2
a2={f
(β/0.65)―f
(α/0.65)/(β/0.65―α/0.65)}
b2=f
(α/0.65)―a・α/0.65
【請求項15】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
除菌の対象となる菌類には、フザリウムまたはペニシリウムが含まれ、
前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が48mJ/cm
2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が12mJ/cm
2である
、紫外線照射装置。
【請求項16】
除菌を行うための紫外線照射装置であって、
紫外線を照射する照射部(11)と、
所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるようにピーク波長が249nm以上の紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)と
を備え、
前記照射部(11)は、空気調和機内部に紫外線を照射し、
除菌の対象となる菌類には、クラドスポリウムまたはアスペルギルスが含まれ、
前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が327mJ/cm
2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が82mJ/cm
2である
、紫外線照射装置。
【請求項17】
前記第1モード(M1)では、前記照射部(11)による紫外線の照射が間欠的に複数回行われる、請求項1から請求項3、請求項5から請求項9、及び請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項18】
前記第1モード(M1)では、前記照射部(11)による紫外線の照射が連続して行われる、請求項1から請求項3、請求項5から請求項9、及び請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紫外線照射装置が開示されている。紫外線照射装置は、深紫外領域の照射光を被照射面に照射する光源と、光源を駆動制御する駆動回路を備える。駆動回路は、照射光が照射されない期間が3日を超えないように、光源を間欠動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、照射光(紫外線)の照射量が不十分であるため、紫外線の照射期間内にカビが十分に殺菌されていなかった場合、照射光が照射されない期間中にカビが繁殖する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、菌類の繁殖を抑制できる紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の紫外線照射装置は、除菌を行う。紫外線照射装置は、紫外線を照射する照射部(11)と、所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が基準照射量未満となるように紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるように紫外線を照射する第2モード(M2)とを繰り返しに行うように前記照射部(11)を制御する制御部(13)とを備える。
【0007】
第1の態様では、菌類の繁殖を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記第1モード(M1)では、前記照射部(11)による紫外線の照射が間欠的に複数回行われる。
【0009】
第2の態様では、照射部(11)の動作時間を低減させることで、照射部(11)の寿命を延ばすことができる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記第1モード(M1)では、前記照射部(11)による紫外線の照射が連続して行われる。
【0011】
第3の態様では、第1モード(M1)時において、カビの繁殖を安定的に抑制することができる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が320mJ/cm2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が80mJ/cm2である。
【0013】
第4の態様では、紫外線のピーク波長に合わせて、カビの繁殖を防止するために効果的な紫外線の照射量を決定することができる。
【0014】
第5の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が298mJ/cm2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が74mJ/cm2である。
【0015】
第5の態様では、紫外線のピーク波長に合わせて、カビの繁殖を防止するために効果的な紫外線の照射量を決定することができる。
【0016】
第6の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が496mJ/cm2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が124mJ/cm2である。
【0017】
第6の態様では、紫外線のピーク波長に合わせて、カビの繁殖を防止するために効果的な紫外線の照射量を決定することができる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)の上限が、前記第1モード(M1)における前記照射量に基づいて設定される。
【0019】
第7の態様では、第1モード(M1)時の照射量の紫外線による殺菌能力(どの程度の期間、カビの繁殖を抑制できるか)を考慮して、第2モード(M2)を行うタイミングを決定することができる。
【0020】
第8の態様は、第4の態様において、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y1時間以下であり、前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y1時間は以下の数1で示される。
【0021】
(数1)
Y1=0.45X+33
【0022】
第8の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)の上限をY1時間とすることができる。
【0023】
第9の態様は、第5の態様において、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y2時間以下であり、前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y2時間は以下の数2で示される。
【0024】
(数2)
Y2=0.49X+33
【0025】
第9の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)の上限をY2時間とすることができる。
【0026】
第10の態様は、第6の態様において、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y3時間以下であり、前記第1モード(M1)における1日の前記照射量をXとすると、前記Y3時間は以下の数3で示される。
【0027】
(数3)
Y3=0.29X+33
【0028】
第10の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)の上限をY3時間とすることができる。
【0029】
第11の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、除菌の対象とする菌類に照射される紫外線の照射量と、前記紫外線のピーク波長と、前記紫外線を照射された菌類の死滅率または不活化率とを対応付けた対応情報に基づいて、前記基準照射量とが設定される。
【0030】
第11の態様では、対応情報に基づいて基準照射量を設定できる。
【0031】
第12の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、菌類に紫外線を照射したときに、菌類を90%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量がAであり、菌類に紫外線を照射したときに、菌類を99.99%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量がBである場合、前記基準照射量がBに設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がAに設定される。
【0032】
第12の態様では、紫外線のピーク波長と、紫外線による菌類の死滅率または不活化率とを考慮して、基準照射量と、第1モード(M1)における照射量の最低値とを設定できる。
【0033】
第13の態様は、第12の態様において、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y4時間以下であることとし、前記第1モード(M1)における前記照射量をXとすると、前記Y4時間は以下の数4で示され、αおよびβは、ピーク波長が260nm以上、270nm以下となる紫外線の所定期間の単位面積当たりの照射量であり、前記βは前記αよりも多く、f(α)は、照射量αで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、f(β)は、照射量βで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間である。
【0034】
(数4)
Y4=a・X+b
a={f(β)―f(α)/(β―α)}
b=f(α)―a・α
【0035】
第13の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)を演算により求めることができる。
【0036】
第14の態様は、第13の態様において、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、前記基準照射量がB/1.08に設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/1.08に設定される。
【0037】
第14の態様では、ピーク波長が265nmであるときの紫外線による菌類の死滅率または不活化率に基づいて、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下であるときの基準照射量と、第1モード(M1)における照射量の最低値とを設定できる。
【0038】
第15の態様は、第14の態様において、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y5時間以下であることとすると、前記Y5時間は以下の数5で示される。
【0039】
(数5)
Y5=a1・X+b1
a1={f(β/1.08)―f(α/1.08)/(β/1.08―α/1.08)}
b1=f(α/1.08)―a・α/1.08
【0040】
第15の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)を演算により求めることができる。
【0041】
第16の態様は、第13~第15のいずれか1つの態様において、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、前記基準照射量がB/0.65に設定され、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/0.65に設定される。
【0042】
第16の態様では、ピーク波長が265nmであるときの紫外線による菌類の死滅率または不活化率に基づいて、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下であるときの基準照射量と、第1モード(M1)における照射量の最低値とを設定できる。
【0043】
第17の態様は、第16の態様において、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、前記第2モード(M2)が行われてから次の前記第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)が、Y6時間以下であることとすると、前記Y6時間は以下の数6で示される。
【0044】
(数6)
Y6=a2・X+b2
a2={f(β/0.65)―f(α/0.65)/(β/0.65―α/0.65)}
b2=f(α/0.65)―a・α/0.65
【0045】
第17の態様では、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間(Y)を演算により求めることができる。
【0046】
第18の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、除菌の対象となる菌類には、フザリウムまたはペニシリウムが含まれ、前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が48mJ/cm2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が12mJ/cm2である。
【0047】
第18の態様では、菌類の種類に合わせて基準照射量と、第1モード(M1)における照射量の最低値とを設定できる。
【0048】
第19の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、除菌の対象となる菌類には、クラドスポリウムまたはアスペルギルスが含まれ、前記紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が327mJ/cm2であり、かつ、前記第1モード(M1)における前記照射量の最低値が82mJ/cm2である。
【0049】
第19の態様では、菌類の種類に合わせて基準照射量と、第1モード(M1)における照射量の最低値とを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、紫外線照射装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、紫外線照射装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、制御部の動作モードを示す図である。
【
図4】
図4は、紫外線の照射量とカビの繁殖を抑制できた時間との関係を示す図である。
【
図5】
図5は、対象物にカビが発生する過程を観察した図である。
【
図6】
図6は、対象物にカビが発生する過程を観察した図である。
【
図7】
図7は、対象物にカビが発生する過程を観察した図である。
【
図8】
図8は、対象物にカビが発生する過程を観察した図である。
【
図9】
図9は、紫外線の照射パターンの第1例を示す図である。
【
図10】
図10は、紫外線の照射パターンの第2例を示す図である。
【
図11】
図11は、紫外線の照射パターンの第3例を示す図である。
【
図12】
図12は、紫外線の照射量とカビの繁殖を抑制できた時間との関係を示す図である。
【
図13】
図13は、紫外線の照射量とカビの繁殖を抑制できた時間との関係を示す図である。
【
図15】
図15(a)は、第1相関情報を示す図である。
図15(b)は、第2相関情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0052】
(1)全体構成
実施形態に係る紫外線照射装置(1)は、カビのような菌類の繁殖を防止するために紫外線照射を行う。紫外線照射装置(1)は、例えば、空気調和機のような内部にカビが発生する可能性のある機器または物に対して用いられる。紫外線照射装置(1)は、例えば、空気調和機のドレンパンの近傍に設けられ、ドレンパンに向けて紫外線を照射する。本実施形態の菌類は、例えば、クラドスポリウム、ペニシリウム、フザリウム、アスペルギルス、ススカビ、アースリニウム等であり、紫外線の照射により除菌可能なものである。
【0053】
図1および
図2に示すように、紫外線照射装置(1)は、照射部(11)と、記憶部(12)と、制御部(13)とを備える。照射部(11)は、紫外線を照射する。照射部(11)は、例えば、深紫外領域の光を発光するUVC-LEDからなる光源を含む。照射部(11)は、対象物(G)に向けて紫外線を照射する。対象物(G)は、カビのような菌類が繁殖しやすい環境下に設置される。
図1には、紫外線照射装置(1)の一例として、対象物(G)に寒天培地が用いられ、対象物(G)に発生する菌類を除菌する試験を行うときの装置構成が図示されている。記憶部(12)は、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリ)を含み、補助記憶装置(例えば、ハ-ドディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、SD(Secure Digital)メモリカード、又は、USB(Universal Seral Bus)フラッシメモリ)をさらに含んでもよい。記憶部(12)は、制御部(13)によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。制御部(13)は、CPU及びMPUのようなプロセッサーを含む。制御部(13)は、記憶部(12)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、紫外線照射装置(1)の各要素を制御する。
【0054】
(2)制御部の動作
図3に示すように、制御部(13)は、第1モード(M1)と第2モード(M2)を交互に行うように照射部(11)を制御する。
図3に示すように、制御部(13)は、第1モード(M1)と第2モード(M2)とを繰り返し行うように照射部(11)を制御する。第1モード(M1)は、カビのような菌類の繁殖を抑制するため制御部(13)の動作モードである(抑制モード)。第2モード(M2)は、菌類を死滅させるため制御部(13)の動作モードである(殺菌モード)。
【0055】
第1モード(M1)では、所定期間における紫外線の照射量(単位面積当たりの照射量)が第1照射量Xとなるように紫外線が照射される。すわなち、第1モード(M1)では、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が所定の基準照射量未満となるように紫外線を照射する。第2モード(M2)では、前記所定期間における紫外線の照射量が第2照射量Xaとなるように紫外線を照射する。すわなち、第2モード(M2)では、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が前記基準照射量以上となるように紫外線を照射する。第1照射量Xおよび第2照射量Xaは、単位面積当たりの所定期間における紫外線の照射量(DOSE量)を示す。第2照射量は、第1照射量よりも多い。本実施形態では、第1モード(M1)において、照射部(11)による紫外線の照射が間欠的に複数回行われる。
【0056】
(3)効果
以上のように、制御部(13)は、所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が第1照射量となるように紫外線を照射する第1モード(M1)と、前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量が第2照射量となるように紫外線を照射する第2モード(M2)とを交互に行うように照射部(11)を制御する。第2照射量が第1照射量よりも多い。これにより、第1モード(M1)において、比較的低量低出力の第1照射量の紫外線により菌類の繁殖を抑制する処理と、第2モード(M2)において、比較的高出力の第2照射量の紫外線により菌類を死滅させる処理とを交互に行うことができる。その結果、第1モード(M1)において、時間が経過することで、低出力の第1照射量の紫外線では菌類の繁殖の勢いを抑えることが困難な状況になったとしても、第2モード(M2)に移行して、高出力の第2照射量の紫外線により菌類を死滅させて、菌類の繁殖の勢いをそぐことができるので、菌類が繁殖することを抑制することができる。
【0057】
また、第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われることで、常に第2モード(M2)による高出力の紫外線が照射される状態となることが防止される。その結果、照射部(11)の消費電力を抑えることができ、照射部(11)の寿命を延ばすことができる。
【0058】
また、照射部(11)(LED)の消費電力を抑えて、照射部(11)の放熱量を抑制することで、照射部(11)用の放熱部材(LED基板に設けられるヒートシンク等)を不要として部品点数を減らすことができる。さらに、LED基板を小さくできるので、照射部(11)の設置の自由度を向上させることができる。
【0059】
また、第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われることで、第2モード(M2)による高出力の紫外線照射が行われる頻度を抑えることができるので、人体への紫外線の被曝量を抑制できる。
【0060】
また、第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われることで、カビが繁殖することを抑制できるので、人体の呼吸器への負荷を低減することができる。
【0061】
また、紫外線照射装置(1)が空気調和機に備えられる場合、第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われることで、空調機内部でカビが繁殖することを防止できるので、空気調和機内部のドレンパン等の部材の清掃の頻度を減らすことができる。
【0062】
また、紫外線照射装置(1)が空気調和機に備えられる場合、第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われることで、第2モード(M2)による高出力の紫外線照射が行われる頻度を抑えることができるので、空気調和機内部の部品が高出力の紫外線により劣化することを抑制できる。
【0063】
(4)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第1例(ピーク波長260nm以上、270nm以下)
図4に示す座標上の各点は、紫外線の照射量とカビの繁殖を抑制できた時間との関係を調査した試験結果を示す。この試験では、対象物(G)である寒天培地(
図1参照)に対して、ピーク波長が265nmの紫外線が照射される。
図4に示す座標系において、横軸は、対象物(G)に対する単位面積当たりの1日の紫外線の照射量(DOSE量)を示し、縦軸は、対象物(G)に対してカビが繁殖することを抑制できた時間を示す。
【0064】
図4の試験結果F1~F4に示すように、1日の紫外線の照射量が約80mJ/cm
2以上になると、紫外線の照射量の増加に伴って、カビの繁殖を抑制できた時間も増加していくことで、カビの繁殖を効果的に抑制できることが確認できた。
【0065】
図5は、対象物(G)に対して、1日の紫外線の照射量が0mJ/cm
2、10mJ/cm
2、40mJ/cm
2、80mJ/cm
2、および120mJ/cm
2の各々の照射量となるように紫外線を間欠照射しつつ対象物(G)の状態を観察する第1観察を行ったときの、0日~5日経過後の対象物(G)の状態を示す。
図6は、前記第1観察を行ったときの、6日~10日経過後の対象物(G)の状態を示す。
図7は、対象物(G)に対して、1日の紫外線の照射量が160mJ/cm
2、240mJ/cm
2、および320mJ/cm
2の各々の照射量となるように紫外線を間欠照射しつつ、または対象物(G)に対して、1日の紫外線の照射量が345.6mJ/cm
2となるように紫外線を連続照射しつつ対象物(G)の状態を観察する第2観察を行ったときの、0日~5日経過後の対象物(G)の状態を示す。
図8は、前記第2観察を行ったときの、6日~10日経過後の対象物(G)の状態を示す。
【0066】
なお、
図5~
図8に示す第1観察および第2観察において、対象物(G)に対してピーク波長が265nmの紫外線が照射される。
【0067】
図5~
図8に示す各対象物(G)のうち、枠(W)外の対象物(A1)はカビの繁殖が抑制されている状態であることを示し、枠(W)内の対象物(A2)はカビの繁殖が抑制されていない状態であることを示す。
【0068】
図5~
図8に示すように、1日の紫外線の照射量が320mJ/cm
2以上になると、全ての観察日においてカビの繁殖が抑制された状態を確保できた。これにより、1日の紫外線の照射量が320mJ/cm
2以上になると、カビの繁殖を完全に防止でき、カビを死滅させることができることを確認できた。
【0069】
第1例では、
図4~
図8に示す試験結果に基づいて、照射部(11)のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合、上記第1モード(M1)時における紫外線の1日の第1照射量Xが80mJ/cm
2以上、320mJ/cm
2未満に設定され(80≦X<320)、上記第2モード(M2)時における紫外線の1日の第2照射量Xaが320mJ/cm
2以上に設定される(320≦Xa)。すなわち、第1例では、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、前記所定期間が1日であり、前記基準照射量が320mJ/cm
2であり、かつ、第1モード(M1)における、前記照射量(所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量)の最低値が80mJ/cm
2である。
【0070】
第1例では、制御部(13)は第1モード(M1)と第2モード(M2)とを交互に行う。第1モード(M1)では、低量の第1照射量Xの紫外線により、ある程度の期間、カビの繁殖を抑制する。第2モード(M2)では、高量の第2照射量Xaの紫外線によりカビを死滅させて、カビの繁殖の勢いをそぐ。
【0071】
(5)第2モード間隔の上限
第2モード間隔(Y)について説明する。第2モード間隔(Y)は、第2モードが行われてから次の第2モードが行われるまでの期間である。
【0072】
紫外線の1日の第1照射量Xが80mJ/cm
2以上、320mJ/cm
2未満に設定された場合、
図5~
図8に示すように、80mJ/cm
2以上、320mJ/cm
2未満の照射量では、日数がある程度経過すると、対象物(G)にカビが繁殖し始める。例えば、1日の紫外線の照射量が120mJ/cm
2の場合、4日目から対象物(G)にカビが繁殖し始める。
【0073】
カビが繁殖した後、第2モード(M2)に移行して、第2照射量Xaの紫外線が照射されても、カビの繁殖の勢いをそぐことが困難となる。
【0074】
第1例では、カビが繁殖するよりも前に第1モード(M1)から第2モード(M2)に移行させるために、第2モード間隔(Y)に上限を設ける。
【0075】
第1モード(M1)時において、80mJ/cm
2以上、320mJ/cm
2未満の第1照射量Xで紫外線が照射される場合、
図5~
図8に示すように、紫外線の照射量の多さに応じて、カビが繁殖し始める日が異なる。具体的には、照射量が多くなる程、カビが繁殖し始める日が遅くなる。よって、第1照射量Xが多くなる程、カビが繁殖し始めるタイミングを遅らせることできるので、第2モード間隔(Y)の上限が長くなる。第2モード間隔(Y)の上限は、言い換えれば、1回の第1モード(M1)が行われる期間の上限を示す。
【0076】
紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合、第2モード間隔(Y)の上限は、例えば、Y1時間である(Y≦Y1)。第2モード間隔(第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間)(Y)の上限は、第1モード(M1)における前記所定期間の紫外線の単位面積当たりの照射量に基づいて設定される。Y1時間は、下記数1で示される。下記数1は、
図4に示す座標系において、縦軸をY1時間とし横軸を第1照射量Xとしたときの試験結果F1~F4の近似直線(V1)を表す。Xは、言い換えれば、第1モード(M1)における所定期間(1日)の紫外線の単位面積当たりの照射量である。
【0077】
(数1)
Y1=0.45X+33
【0078】
(6)照射パターンの一例
図9は、照射部(11)からの紫外線のピーク波長が265nmであり、1日の第1照射量Xが120mJ/cm
2に設定され、1日の第2照射量Xaが320mJ/cm
2に設定され、第1モード(M1)が行われる期間が72時間に設定されたときの紫外線の照射パターンを示す。
図9に示す照射パターンでは、第1モード(M1)時において、紫外線の総照射量が120mJ/cm
2になるように紫外線を1日に1回照射する処理が3回行われた後、第2モード(M2)時において、紫外線の総照射量が320mJ/cm
2になるように紫外線が1時間照射される。
【0079】
図10は、照射部(11)からの紫外線のピーク波長が265nmであり、1日の第1照射量Xが240mJ/cm
2に設定され、1日の第2照射量Xaが320mJ/cm
2に設定され、第1モード(M1)が行われる期間が120時間に設定されたときの紫外線の照射パターンを示す。
図10に示す照射パターンでは、第1モード(M1)時において、紫外線の総照射量が240mJ/cm
2になるように紫外線を1日に1回照射する処理が5回行われた後、第2モード(M2)時において、紫外線の総照射量が320mJ/cm
2になるように紫外線が1時間照射される。
【0080】
図11は、
図10に示す照射パターンと同様の条件で行われた紫外線の照射パターンを示す。
図11に示す照射パターンでは、第1モード(M1)時において、照射時間および照度を調整して、1日の紫外線の総照射量が240mJ/cm
2となるように紫外線を1日に2回照射している点が、
図10に示す照射パターンと異なる。
【0081】
(7)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第2例(ピーク波長、249nm以上、259nm以下)
図12に示す試験結果は、ピーク波長が254nmの紫外線を用いた点が
図4に示す試験結果と異なる。
【0082】
第2例では、
図12の試験結果F5~F8に示すように、1日の紫外線の照射量が約74mJ/cm
2以上になると、紫外線の照射量の増加に伴って、カビの繁殖を抑制できた時間も増加していくことで、カビの繁殖を効果的に抑制できることが確認できた。
【0083】
第2例では、ピーク波長が254nmの紫外線を照射して
図5~8に示すような試験が行われることで、1日の紫外線の照射量が298mJ/cm
2以上になると、カビの繁殖を完全に防止でき、カビを死滅させることができることを確認できた。
【0084】
これにより、第2例では、照射部(11)のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、上記第1モード(M1)時における紫外線の1日の第1照射量Xが74mJ/cm2以上、298mJ/cm2未満に設定され(74≦X<298)、上記第2モード(M2)時における紫外線の1日の第2照射量Xaが298mJ/cm2以上に設定される(298≦Xa)。すなわち、第2例では、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下であり、前記所定期間が1日であり、前記基準照射量が298mJ/cm2であり、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値が74mJ/cm2である。
【0085】
紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間Uの上限は、Y2時間である。Y2時間は、下記数2で示される。下記数2は、
図12に示す座標系において、縦軸をY2時間とし横軸を第1照射量Xとしたときの試験結果F5~F8の近似直線(V2)を表す。Xは、言い換えれば、第1モード(M1)における所定期間(1日)の紫外線の単位面積当たりの照射量である。
【0086】
(数2)
Y2=0.49X+33
【0087】
(8)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第3例(ピーク波長、275nm以上、285nm以下)
図13に示す試験結果は、ピーク波長が280nmの紫外線を用いた点が
図4に示す試験結果と異なる。
【0088】
第3例では、
図13の試験結果F9~F12に示すように、1日の紫外線の照射量が約124mJ/cm
2以上になると、紫外線の照射量の増加に伴って、カビの繁殖を抑制できた時間も増加していくことで、カビの繁殖を効果的に抑制できることが確認できた。
【0089】
第3例では、ピーク波長が280nmの紫外線を照射して
図5~8に示すような試験が行われることで、1日の紫外線の照射量が496mJ/cm
2以上になると、カビの繁殖を完全に防止でき、カビを死滅させることができることを確認できた。
【0090】
これにより、第3例では、照射部(11)のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、上記第1モード(M1)時における紫外線の1日の第1照射量Xが124mJ/cm2以上、496mJ/cm2未満に設定され(124≦X<496)、上記第2モード(M2)時における紫外線の1日の第2照射量Xaが496mJ/cm2以上に設定される(496≦Xa)。すなわち、第3例では、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下であり、前記所定期間が1日であり、前記基準照射量が496mJ/cm2であり、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値が124mJ/cm2である。
【0091】
紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、第2モード(M2)が行われてから次の第2モード(M2)が行われるまでの期間Uの上限は、例えば、Y3時間である。Y3時間は、下記数3で示される。下記数3は、
図13に示す座標系において、縦軸をY3時間とし横軸を第1照射量Xとしたときの試験結果F9~F12の近似直線(V3)を表す。Xは、言い換えれば、第1モード(M1)における所定期間(1日)の紫外線の単位面積当たりの照射量である。
【0092】
(数3)
Y3=0.29X+33
【0093】
(9)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第4例(ピーク波長260nm以上、270nm以下)
図14は、対応情報を示す。対応情報は、JIS Z8811のような文献に記載された情報、または試験により得られる情報である。対応情報は、除菌の対象とする菌類に照射される単位面積当たりの所定期間における紫外線の照射量(DOSE量)と、紫外線のピーク波長と、紫外線を照射された菌類の死滅率または不活化率とを対応付けた情報である。
【0094】
本実施形態では、
図14に示す対応情報では、クラドスポリウム(Cladosporium)に対してピーク波長が265nmの紫外線を照射した場合の、1日のDOSE量とクラドスポリウムの死滅率とが対応付けられている。
【0095】
第4例では、紫外線のピーク波長を260nm以上、270nm以下とするときの所定期間の第1照射量XがA以上、B未満に設定され(A≦X<B)、第2照射量XaがB以上に設定される(B≦Xa)。
【0096】
Aは、菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を90%以上、99.99%未満の死滅率または不活化率とさせる所定期間のDOSE量である。Bは、菌類にピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線を照射したときに、菌類を99.99%以上のの死滅率または不活化率とさせる所定期間のDOSE量である。
【0097】
図14に示す対応情報において、90%の死滅率と、80mJ/cm
2とが対応付けられる。
図14に示す対応情報において、99.99%の死滅率と、320mJ/cm
2とが対応付けられる。よって、第4例では、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合の1日の第1照射量Xが、80mJ/cm
2以上、320mJ/cm
2未満に設定され(80≦X<320)、1日の第2照射量Xaが320mJ/cm
2以上に設定される(320≦Xa)。すなわち、対応情報に基づいて前記基準照射量が320mJ/cm
2に設定される。第4例では、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、菌類に紫外線を照射したときに、菌類を90%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量がAであり、菌類に紫外線を照射したときに、菌類を99.99%の死滅率または不活化率とさせる前記所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量がBである場合、前記基準照射量がBに設定され、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値がAに設定される。
【0098】
第4例において、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合の第2モード間隔(Y)(
図1参照)の上限であるY4時間は、下記数4で示される。
【0099】
(数4)
Y4=a・X+b
【0100】
上記数4のaは、下記数5で示される。
【0101】
(数5)
a={f(β)―f(α)/(β―α)}
【0102】
上記数4のbは、下記数6で示される。
【0103】
(数6)
b=f(α)―a・α
【0104】
αおよびβは、所定期間における紫外線の単位面積当たりの照射量である。照射量αおよび照射量βで照射される紫外線のピーク波長は、260nm以上、270nm以下である。βはαよりも多い(β>α)。f(α)は、照射量αで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、試験により得られる。f(β)は、照射量βで紫外線を照射したときに菌類が繁殖することを抑制できた時間であり、試験により得られる。
【0105】
例えば、1日の照射量100mJ/cm
2(=α)で紫外線を照射したときに菌類の繁殖を抑制できた時間が72時間(=f
(α))であり、1日の照射量300mJ/cm
2(=β)で紫外線を照射したときに菌類の繁殖を抑制できた時間が120時間(=f
(β))であった。この場合、a={f
(β)―f
(α)/(β―α)}={120―72/(300―100)}=0.24となる。この場合、b=f
(α)―a・α=72―0.24×100=48となる。この場合、上記数4において、Y4=0.24X+48となる。この場合、例えば、1日の第1照射量Xが120mJ/cm
2となるようにして第1モード(M1)と第2モード(M2)とが交互に行われた場合、第2モード間隔(Y)(
図1参照)の上限であるY4時間は、76.8(=0.24×120+48)時間となる。
【0106】
なお、上記aおよびbについて、複数のDOSE量の各々に対してカビの繁殖を抑制できた時間を観察する試験を行うことで、
図4に示すような近似直線を作成し、当該近似直線の傾きをaとし、切片をbとしてもよい。
【0107】
(9)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第5例(ピーク波長、249nm以上、259nm以下)
図15(a)および
図15(b)は、相関情報を示す。相関情報は、ピーク波長が異なる複数の紫外線の殺菌効果を相対的に規定した情報である。相関情報は、第1相関情報と、第2相関情報とを含む。
【0108】
図15(a)は、第1相関情報を示す。第1相関情報は、JIS Z8811のような文献に記載された情報、または試験により得られる情報である。第1相関情報において、横軸は菌類に照射される紫外線のピーク波長を示し、縦軸は殺菌効果の相対値を示す。第1相関情報において、ピーク波長が異なる複数の紫外線と、紫外線による殺菌効果を相対的に規定した相対値とが対応付けられている。本実施形態の第1相対情報では、ピーク波長が254nmの紫外線による殺菌効果を1とした場合、ピーク波長が265nmの紫外線による殺菌効果が0.93と規定され、ピーク波長が280nmの紫外線による殺菌効果が0.6と規定される。
【0109】
図15(b)は、第2相関情報を示す。第2相関情報は、
図15(a)に示す第1相関情報に基づいて作成される。第2相関情報は、第1相関情報において、ピーク波長が異なる複数の紫外線のうち、殺菌効果が1とされる基準の紫外線を変更した情報である。本実施形態では、第1相関情報ではピーク波長が254nmの紫外線による殺菌効果を1として、ピーク波長が265nmの紫外線による殺菌効果、およびピーク波長が280nmの紫外線による殺菌効果の各々が相対的に規定されている。第2相関情報では、ピーク波長が265nmの紫外線による殺菌効果が1となるように、第1相関情報に規定されるピーク波長が異なる各紫外線の殺菌効果の相対値を変換することで、ピーク波長が254nmの紫外線による殺菌効果が1.08と規定され、ピーク波長が280nmの紫外線による殺菌効果が0.65と規定される。
【0110】
第5例では、第1照射量Xの範囲と、第2照射量Xaの範囲と、第2モード間隔(Y)とが、第4例(紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合)で使用したAおよびBを用いて、第4例との関係で相対的に規定される。
【0111】
第5例において、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、第1照射量XがA/1.08以上、B/1.08未満に設定され(A/1.08≦X<B/1.08)、第2照射量XaがB/1.08以上に設定される(B/1.08≦Xa)。すなわち、第5例において、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合、前記基準照射量がB/1.08に設定され、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/1.08に設定される。
【0112】
第5例において、紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合の第2モード間隔(Y)(
図1参照)の上限であるY5時間は、下記数7で示される。
【0113】
(数7)
Y5=a1・X+b1
【0114】
上記数7のa1は、下記数8で示される。
【0115】
(数8)
a1={f(β/1.08)―f(α/1.08)/(β/1.08―α/1.08)}
【0116】
上記数7のbは、下記数9で示される。
【0117】
(数9)
b1=f(α/1.08)―a・α/1.08
【0118】
上記の紫外線のピーク波長が249nm以上、259nm以下である場合の第1照射量Xの範囲、第2照射量Xaの範囲、および第2モード間隔(Y)を求める際に使用される数値1.08は、
図15(b)に示す第2相関情報から導かれる。
【0119】
(10)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第6例(ピーク波長、275nm以上、285nm以下)
第6例では、第1照射量Xの範囲と、第2照射量Xaの範囲と、第2モード間隔(Y)とが、第4例(紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下である場合)で使用したAおよびBを用いて、第4例との関係で相対的に規定される。
【0120】
第6例において、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、第1照射量XがA/0.65以上、B/0.65未満に設定され(A/0.65≦X<B/0.65)、第2照射量XaがB/0.65以上に設定される(B/0.65≦Xa)。すなわち、第6例において、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合、前記基準照射量がB/0.65に設定され、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値がA/0.65に設定される。
【0121】
第6例において、紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合の第2モード間隔(Y)(
図1参照)の上限であるY6時間は、下記数10で示される。
【0122】
(数10)
Y6=a2・X+b2
【0123】
上記数10のa2は、下記数11で示される。
【0124】
(数11)
a2={f(β/0.65)―f(α/0.65)/(β/0.65―α/0.65)}
【0125】
上記数10のb2は、下記数12で示される。
【0126】
(数12)
b2=f(α/0.65)―a・α/0.65
【0127】
上記の紫外線のピーク波長が275nm以上、285nm以下である場合の第1照射量Xの範囲、第2照射量Xaの範囲、および第2モード間隔(Y)を求める際に使用される数値0.65は、
図15(b)に示す第2相関情報から導かれる。
【0128】
(11)第1照射量Xおよび第2照射量Xaの第7例(ピーク波長260nm以上、270nm以下)
図16は、殺菌情報を示す。殺菌情報は、ピーク波長が265nmの紫外線を照射したときに、菌類の死滅率が90%以上、99.99%以下になる1日のDOSE量の範囲を示す。本実施形態では、フザリウム(Fusariumu)、クラドスポリウム(Cladosporium)、アスペルギルス(Aspergillus)、およびペニシリウム(penicillium)の殺菌情報が示される。各菌類の殺菌情報に示されるDOSE量の範囲について、最小値は死滅率が90%になるときのDOSE量を示し、最大値は死滅率が99.99%になるときのDOSE量を示す。例えば、フザリウムについて、12mJ/cm
2は死滅率が90%になるときのDOSE量を示し、48mJ/cm
2は死滅率が99.99%になるときのDOSE量を示す。殺菌情報は、JIS Z8811のような文献に記載された情報、または試験により得られる情報である。
【0129】
第7例では、
図16に示す相関情報に基づいて第1照射量Xおよび第2照射量Xaが設定される。また、第1照射量Xおよび第2照射量Xaは、紫外線殺菌の対象とする菌類の種類に応じて設定される。
【0130】
以下では、
図16に示す相関情報を用い、紫外線殺菌の対象とする菌類の種類に応じて設定された第1照射量Xおよび第2照射量Xaについて記載する。
【0131】
フザリウムを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、12mJ/cm2以上、48mJ/cm2未満に設定され(12≦X<48)、1日の第2照射量Xaが48mJ/cm2以上に設定される(48≦Xa)。
【0132】
ペニシリウムを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、7mJ/cm2以上、28mJ/cm2未満に設定され(7≦X<28)、1日の第2照射量Xaが28mJ/cm2以上に設定される(28≦Xa)。
【0133】
フザリウムまたはペニシリウムを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、12mJ/cm2以上、48mJ/cm2未満に設定され(12≦X<48)、1日の第2照射量Xaが48mJ/cm2以上に設定される(48≦Xa)。すなわち、除菌の対象となる菌類には、フザリウムまたはペニシリウムが含まれ、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が48mJ/cm2であり、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値が12mJ/cm2である。
【0134】
クラドスポリウムを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、80mJ/cm2以上、320mJ/cm2未満に設定され(80≦X<320)、1日の第2照射量Xaが320mJ/cm2以上に設定される(320≦Xa)。
【0135】
アスペルギルスを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、82mJ/cm2以上、327mJ/cm2未満に設定され(82≦X<327)、1日の第2照射量Xaが327mJ/cm2以上に設定される(327≦Xa)。
【0136】
クラドスポリウムまたはアスペルギルスを紫外線殺菌の対象とする場合、ピーク波長が260nm以上、270nm以下の紫外線の1日の第1照射量Xが、82mJ/cm2以上、327mJ/cm2未満に設定され(82≦X<327)、1日の第2照射量Xaが327mJ/cm2以上に設定される(48≦Xa)。すなわち、除菌の対象となる菌類には、クラドスポリウムまたはアスペルギルスが含まれ、紫外線のピーク波長が260nm以上、270nm以下であり、かつ、前記所定期間が1日である場合、前記基準照射量が327mJ/cm2であり、かつ、第1モード(M1)における前記照射量の最低値が82mJ/cm2である。
【0137】
第7例において、第2モード(M2)は、例えば、上記の数4、数5、および数6を用いて設定される。
【0138】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(A))。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0139】
(A)
図1に示すように、本実施形態の第1モード(M1)では、照射部(11)による紫外線の照射が間欠的に複数回行われる。しかし、本発明はこれに限定されない。第1モード(M1)では、照射部(11)による紫外線の照射が、途切れることなく連続して行われてもよい。
【0140】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上に説明したように、本開示は、紫外線照射装置について有用である。
【符号の説明】
【0142】
1 紫外線照射装置
11 照射部
12 記憶部
13 制御部
G 対象物