(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】可変開口を備えた弁
(51)【国際特許分類】
F16K 3/08 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
F16K3/08
(21)【出願番号】P 2022532820
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2020085895
(87)【国際公開番号】W WO2021122409
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510063177
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,セバスティアン
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4516606(US,A)
【文献】米国特許第1837549(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油化学処理装置内に存在するような固体と流体の混合物の流量を制御するための可変開口を備えた弁(10)であって、
管状パイプ断面(12)と、
前記パイプ断面(12)の内側で前記パイプ断面(12)に横方向に延在し、前記パイプ断面(12)に固定された第1の平板(14)であって、この第1の平板は、中央オリフィス(141)及び前記中央オリフィスの周辺に位置付けられた複数の周辺オリフィス(143)があけられている、第1の平板(14)と、
前記パイプ断面(12)の内側で前記パイプ断面(12)に横方向に延在し、前記パイプ断面(12)の内側で回転する機能を備えて装着された第2の平板(16)であって、前記第2の板は、複数のオリフィス(161、163)を有し、前記複数のオリフィス(161、163)の少なくとも形状及び間隔は、前記第1の板の前記オリフィスの形状及び間隔に対応する、第2の平板(16)と、
前記第2の板(16)が前記第1の板に対して枢動できるように、前記第2の板(16)を支持する少なくとも1つの支持要素(17、18)と、
前記第2の板を回転させることによって、前記第1及び第2の板の前記周辺オリフィス(143、163)の相対位置を調節するために、前記第2のオリフィス板と係合する調節システム(20)とを含み、
前記第1の板の各周辺オリフィス(143)は、前記第1の板に固定され、前記第2の板と反対側に据えられたその面(14a)から突出する襟(145)によって包囲されることを特徴とする、弁(10)。
【請求項2】
前記第2の板の各周辺オリフィス(163)は、前記第2の板に固定され、前記第1のオリフィス板の反対側に据えられたその面(16b)からに突出する襟(165)によって包囲されることを特徴とする、請求項1に記載の弁(10)。
【請求項3】
各襟(145、165)は壁から形成され、前記壁の内面は、前記襟(145、165)が包囲する前記オリフィスの内面に連続して延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の弁(10)。
【請求項4】
各襟(145、165)は壁から形成され、前記壁の少なくとも内面(145a、165a)は前記板に垂直に延在し、前記襟(145、165)は前記板に固定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項5】
各襟(145、165)は、前記板と単一片として生成され、前記襟(145、165)は前記板に固定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項6】
各襟(145、165)は、前記周辺オリフィスの内径の少なくとも3倍以上の高さにわたって延在し、前記襟(145、165)は、前記周辺オリフィスに垂直方向にそれに固定されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項7】
前記第2の板に固定された各襟(165)は、前記周辺オリフィスの内径の少なくとも5倍以上の高さにわたって延在し、前記襟(165)は前記周辺オリフィスに垂直方向にそれに固定されることを特徴とする、請求項2又は請求項2に従属する時に請求項3~5のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項8】
前記第1のオリフィス板(14)は、前記第2のオリフィス板(16)に向かって面するその面(14b)の側面に提供され、少なくとも1つの封止要素(22~25)は、前記第1の板(14)の前記周辺オリフィス(143)のそれぞれを包囲し、各封止要素(22~25)は、前記第1のオリフィス板(14)に固定された第1の縁部(22a~25a)、及び前記第2の板(16)と摺接する反対側の第2の自由縁部(22b~25b)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項9】
包囲された前記周辺オリフィスに最も近い封止要素の内面(22c、23c)は、包囲された前記オリフィスの内面に、好ましくは前記第1の板(14)に垂直に連続して延在することを特徴とする、請求項8に記載の弁(10)。
【請求項10】
包囲された前記周辺オリフィスから最も遠い封止要素の外面(22d、25d)は、前記第2の板(16)に向かって幅が広がる形状を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の弁(10)。
【請求項11】
支持要素(18)は、前記第1の板に固定され、前記第1の板の前記中央オリフィスを前記第2の板の前記中央オリフィスに液密に連結させる、管状支持体であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項12】
各板の前記周辺オリフィスは、前記中央オリフィスより小さいサイズであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項13】
前記周辺オリフィスは、互いから、及び/又はその一部を前記周辺オリフィスが形成する前記板の前記中央オリフィスから等距離に配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の弁(10)。
【請求項14】
流れが上から下の方向に循環する流体を受領するように意図した垂直又は実質的に垂直のパイプラインであって、前記パイプラインは、前記流体が前記第1の板の前記オリフィスを介して入り、前記第2の板の前記オリフィスを介して出るような方法で配置された、請求項1~13のいずれか一項に記載の弁を含むことを特徴とする、パイプライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油化学処理装置、とりわけ接触分解ユニットに存在するような、固体と液体の混合物の流量及び/又は圧力ヘッドの降下を制御するための可変開口を備えた弁に関する。
【背景技術】
【0002】
精製所で使用する石油化学処理では、従来のスライドバルブ又はバタフライバルブの形の可変開口デバイスを使用することにより、処理ユニット内の圧力を制御することが望ましいことがしばしばある。時には、固定されたオリフィスディスクが、処理ユニット内の圧力又は器具の下流に向かって運ばれた燃焼ガスの圧力を制御するために、スライドバルブ又はバタフライバルブと組み合わせて使用される。
【0003】
円筒管状パイプ断面及びパイプ断面に横方向に延在し、パイプ断面に固定された平板を含む弁も使用され、この平板は、中央オリフィス及び中央オリフィスの周りに配置された複数の周辺オリフィスがあけられている。中央オリフィスは、それを通過する流量を制御するために、枢動シャッター(バタフライバルブ)を具備する。作動中に、これらの弁が、これらのパイプ断面の軸が垂直又は実質的に垂直であるように位置付けられた時、オリフィスは、弁が設置されたパイプラインから到着するデブリで完全に又は部分的に閉塞される可能性がある。これは、循環する流体の性質に依存して、例えば絶縁被覆から、浸食保護被覆から、及び/又は腐食性ガスからの攻撃に対して保護できる被覆からのデブリであることがある。特にこの流体は、固体と流体の混合物であることがあり、固体は浸食を引き起こす可能性があり、流体は腐食する可能性があり、これらが輸送される温度は非常に高いことがある。この閉塞の問題は、あらゆる固定されたオリフィスデバイス内に発見される。
【0004】
[特許文献1]の米国特許第4516606号明細書は、石油化学処理装置内に存在するような固体と流体の混合物の流量を制御するための円板弁を記載している。この弁は、円筒管状パイプ断面を含み、第1の平板は、パイプ断面に横方向に延在し、パイプ断面に固定され、この第1の平板は、中央オリフィス及び中央オリフィスの周りに配置された複数の周辺オリフィスがあけられている。弁は、パイプ断面に横方向に延在し、そのサイズ及び間隔が第1の板のオリフィスに対応する複数のオリフィスを有する、第2の平板を含む。この第2の板は、第2の平板が、第1の板に対して枢動できるように、第2のオリフィス板に垂れ下がって装着するために、第1の板の中央開口を通って延在する円筒管状支持体、並びに第1及び第2のオリフィス板のオリフィスの相対位置を回転して調節するために、第2のオリフィス板の周縁部と係合する手段を更に含む。
この種類の弁も、様々なオリフィスが存在するために閉塞しやすい。この弁を通過する流体が懸濁液内の固体粒子を含有する時、これらの粒子は、その2つの板の間の環状空間に蓄積する可能性もある。特にこの種類の弁を含有するパイプラインが大きい(1m以上)直径を有する時、弁を作成する2つの板を互いに緊密に接触させたままに保つことは非常に難しく、周辺オリフィスの板の間に生成された空間は、非常に大きいので小さい直径の固体粒子がその中に入ることができる。このような場合、弁は停止することがあり、プロセスのあらゆる操作もあらゆる調整も妨げる。更に上板内のオリフィスが下板のオリフィスと完全には位置合わせされていない時、流体の通過の制約は、可変オリフィスを通過する流体が「直線」経路から大きく偏向するような幾何形状を有し、パイプラインの壁にぶつかることがあり、衝突場所でその劣化を加速させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って具体的にはデブリの落下による閉塞、及び開口を通過する処理した流体内に存在する固体粒子を通した焼付きの傾向が少ない、可変開口を備えた弁が必要とされる。同様に、このようなデバイスの下流のパイプラインの劣化を防ぐ、又は最小に抑えるために、弁から出る流体の再配向を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明の第1の主題は、石油化学処理に存在するような固体と流体の混合物の流量を制御するために、可変開口を備えた弁であって、
管状パイプ断面と、
パイプ断面に横方向に延在し、それに固定された第1の平板であって、この第1の平板は、中央オリフィス及び中央オリフィスの周りに配置された複数の周辺オリフィスがあけられている、第1の平板と、
パイプ断面に横方向に延在し、パイプ断面の内側で、とりわけ管状パイプの軸Xに対して回転する機能を備えて装着された第2の平板であって、第2の板は、複数のオリフィスを有し、複数のオリフィスの少なくとも形状及び間隔、及び恐らくサイズも、第1の板のオリフィスの形状及び間隔、及び恐らくサイズに対応する、第2の平板と、
第2の板が第1の板に対して枢動できるように、第2の板を支持する少なくとも1つの支持要素と、
第2の板を、とりわけ板に垂直な軸を中心に回転させることによって、第1及び第2の板の周辺オリフィスの相対位置を調節するために、第2の板と係合する調節システムとを含む弁である。
【0008】
本発明によれば、第1の板の各周辺オリフィスは、第1の板に固定され、第2の板と反対側に据えられたその面から突出する襟によって包囲される。
【0009】
これは、第1のオリフィス板の上に落下するデブリが襟によって覆われたオリフィスを閉塞することを制限することができる。特にこのデブリは、襟の縁部から跳ね返り、又は襟の縁部によって偏向され、襟の間の第1の板の上に落下する。
【0010】
本発明の弁は、概して石油化学処理装置内に存在するような固体と流体の混合物の流量を制御するために使用される。このような流体は、上に説明したように、具体的にはオリフィスが位置合わせされていない場合に、弁又は弁がその中に置かれるパイプラインのかなりの浸食をもたらすことがある。
【0011】
第2の板から出る流体が偏向する結果として、弁又はパイプラインの浸食を制限するために、第2の板の各周辺オリフィスは、第2の板に固定され、第1の板の反対側に据えられたその面から突出する襟によって包囲されてもよい。従って第1の板側から到着し、第2の板側を介して出る流れは、後者の板に固定された襟によって案内され、従ってその方向に直進し、とりわけ第2の板の方向に垂直な方向に案内される。これらのガイド襟は、こうして好都合なことには所定の方向、好ましくは弁の管状パイプ断面の軸に平行に流出を案内するように設計される。
【0012】
理想的には、流体を有効に直進させることを確保するために、襟の高さは、好都合なことには、襟が包囲するオリフィスの内径の3倍以上、好ましくは内径の5倍以上であってもよい。
【0013】
本発明による弁は、追加として以下の特徴の1つ又は複数を有してもよい、すなわち、
各襟は壁から形成されてもよく、壁の内面は、襟が包囲するオリフィスの内面に連続して延在する。好都合なことには、各襟は、襟が包囲するオリフィスの内部断面の形状及びサイズと同じ形状及び同じサイズである、内部断面を有してもよい。
各襟は壁から形成されてもよく、壁の少なくとも内面は板に垂直に延在し、襟は板に固定される。
単純な実施形態については、各襟は板と単一片として生成されてもよく、襟は板に固定される。
各襟は、周辺オリフィスの内径の少なくとも3倍以上の高さに延在してもよく、襟は周辺オリフィスに垂直方向にそれに固定される。
第2の板に固定された各襟は、周辺オリフィスの内径の少なくとも5倍以上の高さに延在してもよく、襟は周辺オリフィスに垂直方向にそれに固定される。
第1の板は、第2の板に向かって面するその面の側面に提供されてもよく、少なくとも1つの封止要素は、第1の板の周辺オリフィスを包囲し、各封止要素は、第1の板に固定され、反対側の第2の自由縁部は第2の板と摺接し、とりわけその面は第1の板に面する。これは、2つの板の間に固体粒子が進入するのを制限することができ得る。好都合なことには、包囲された周辺オリフィスに最も近い封止要素の内面は、包囲されたオリフィスの内面に、好ましくは第1の板に垂直に連続して延在する。好都合なことには、包囲された周辺オリフィスから最も遠い封止要素の外面は、第2の板に向かって幅が広がる形状を有する。
支持要素は、第1の板に固定された管状支持体であってもよく、液密に第1の板の中央オリフィスを第2の板の中央オリフィスに連結させてもよい。こうして管状支持体は、流体を板の間の空間に接近することなく板を通過させることができる。この配置は、輸送される流体内に存在することがある、あらゆる小型の固体粒子が、板の間の空間に接近し、第2の板の回転を停止させるのを防ぐことができる。
各板の周辺オリフィスは、中央オリフィスより小さいサイズであってもよい。
周辺オリフィスは、互いから、及び/又は周辺オリフィスがその一部を形成する板の中央オリフィスから等距離に配置されてもよい。
【0014】
本発明は、流れが上から下の方向に循環する流体を受領するように意図し、流体が第1の板のオリフィスを介して入り、第2の板のオリフィスを介して出るような方法で配置された、本発明による弁を含む垂直又は実質的に垂直のパイプラインにも関する。
【0015】
換言すると、本発明は、垂直又は実質的に垂直に延在するパイプラインにおける、本発明による弁の使用にも関する。
【0016】
実質的に垂直方向とは、垂直方向から多くとも20°だけ、又は更に多くとも10°だけ偏向する方向のことを意味する。
【0017】
次に本発明について、添付の非限定的図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による、弁の縦断面の図を概略的に描く。
【
図3】本発明の一実施形態による、弁の2つを組み立てたオリフィス板の斜視図を描く。
【
図4】
図3の第2のオリフィス板の下からの斜視図を描く。
【
図5】
図3の第1のオリフィス板の上からの斜視図を描く。
【
図6】本発明の別の実施形態による、弁の重ね合わせた2つのオリフィス板の斜視図を描く。
【
図7】一実施形態による封止要素の軸方向断面の図を描く。
【
図8】別の実施形態による封止要素の軸方向断面の図を描く。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、石油化学処理装置内に存在するような、固体と流体の混合物の流量を制御するために使用することを意図する、可変開口弁10を描く。
【0020】
弁10は、弁が置かれるべきパイプライン1に連結することを意図する、軸Xの管状パイプ断面12を含む。このために、弁10は、例えばその端部に2つのフランジ12a、12bを有し、2つのフランジ12a、12bは、パイプライン1に属する類似のフランジと組み立てることができる。別法として、管状パイプ断面12は、その中に弁が置かれるべきメインパイプラインに突合せ溶接されてもよい。流体は、概して
図1の矢印Fによって記号で描かれたように上から下に、パイプ断面12の軸Xに平行な方向に弁10を通って循環する。概してこの種類の管状パイプ断面12は、円筒形状である。
【0021】
弁10は、第1の平板14及び第2の平板16も含み、第1の平板14及び第2の平板16はパイプ断面12の内側で、パイプ断面12に横方向、つまりパイプ断面12の軸Xに垂直に延在する。第2の板16は、パイプ断面12の軸Xを中心に回転する機能を備えて装着される。通常は、これらの2つの板は同じ形状及びサイズを有する。
【0022】
各板14、16は、それぞれの中央オリフィス141、161、及びそれぞれの複数の周辺オリフィス143、163があけられ、周辺オリフィス143、163は、中央オリフィス141、161の周辺に配置される。第1及び第2の板のそれぞれの様々なオリフィスは、少なくとも形状及び間隔に関して、好ましくはサイズ、形状及び間隔に関して互いに対応するので、2つの板14、16が一方を他方の上に位置付けた時に、それらの中央オリフィスの中心が一致し、これらの中心を通過する軸に対する2つの板の回転は、
図2に描かれたように、多かれ少なかれ周辺オリフィスを重ね合わせることができる。換言すると、第1及び第2の板のそれぞれの様々なオリフィスの位置及び形状、好都合なことにはサイズも、これらのオリフィスが互いに対応するように、つまり板に垂直な位置に、これらの板の少なくとも1つの相対位置に位置合わせされる。こうして中央オリフィス141、161の中心を通過する軸Xを中心に回転することにより、2つの板の相対位置を調節すると、周辺オリフィス143、163を通る流体の経路に対する断面を修正して規制することができる。
【0023】
例では、周辺オリフィスは、中央オリフィスより小さいサイズである。周辺オリフィスは、好ましくは互いから、及び周辺オリフィスが包囲する中央オリフィスから等距離に配置される。
【0024】
少なくとも1つの支持要素は、第2の板16が第1の板14に対して枢動できるように第2の板16を支持する。
【0025】
こうしてパイプ断面12の内壁に固定され、その周辺全体にわたって延在する支持要素17を提供することができ、この支持要素17は、環状表面を画定し、環状表面の上に第2の板16を載置することができる(
図1)。パイプ断面12の内壁に固定された複数の支持要素17が提供されてもよいことに留意されたい。
【0026】
1つ若しくは複数の支持要素17に加えて、又はその代わりに、第1の板14に固定された管形状の支持要素18を提供することもでき、管形状の支持要素18は、弁を通過する流体に含有された固体粒子が、中央オリフィスを介して2つの板の間の隙間に接近するのを防ぐように、例に描かれたように、第1の板の中央オリフィス141を第2の板の中央オリフィス161に液密に連結させる。
【0027】
この管状支持体18は、あらゆる適切な手段により、例えば2つの構成要素が金属から作成されている場合に溶接により、又はリベット留め、ネジ締め、その他により、第1の板14に液密に固定されてもよい。
【0028】
例では、管状支持体18は、第1の板14の面14a上に載置し、それに溶接された(
図1)上部フランジ18aを有する。管状支持体18は、その他端に第2の板16を保持する下部フランジ18bを有し、第2の板16は、こうして管状支持体18上で枢動する機能を備えて装着される。当然のことながら、本発明はこの配置に限定されず、例えば管状支持体18は、その中央オリフィスを中心に第1の板の面14bに固定されることが可能である。管状支持体18は、更に第1の板と1片として、例えばその中央オリフィスと連続して生成されてもよく、第2の板を通過してもよい。第2の板は、あらゆる他の手段又は回転可能な支持体(軸受け、サポートラグ、その他)を用いて管状支持体上に装着されてもよい。
【0029】
弁10は、第2の板16を、この場合にパイプ断面12の軸Xを中心に回転させることにより、第1及び第2の板の周辺オリフィス143、163の相対位置を調節するために、第2の板と係合する調節システム20を更に含む。
【0030】
図1、
図2及び
図6に描かれた例では、この調節システム20は、第2の板16の周辺に固定され、
図2の矢印F1の方向に摺動して移動する機能を備えて装着されたラック202の歯と係合する、歯型区画201を含む。このラックの動きは、ステッピングモータ、油圧ラムのシステム、又はあらゆる他の適切な部材などの移動部材203によって引き起こされてもよい。
図2及び
図6の例では、歯型区画201は、第2の板16の周辺から突出する。この歯型区画は、第2の板16の周辺から突出しないことが可能であり、
図4の例では、歯型区画201は第2の板の面16bに固定される。
図3及び
図4に描かれた変形では、1つ又は2つの歯型区画201は、第2の板の面16bに固定される。2つの歯型区画201は、従って
図4に描かれたように、第2の板の直径方向の対向する場所に位置付けられてもよい。本発明は、第2の板が第1の板に対して枢動できるのであれば、調節システムのいずれの特定の形にも限定されない。
【0031】
本発明によれば、第1の板14の各周辺オリフィス143は、第1の板14に固定され、第2の板16の反対側に据えられたその面14aから突出する、襟145によって包囲される。例では、各襟145は、板14と単一片として生成される。加えて、各襟145は壁から形成され、壁は、襟145が包囲する周辺オリフィス143の内部断面の形状及びサイズと同じ形状及びサイズの内部断面を有することに気付くであろう。これらの内部断面は、この場合、パイプ断面の軸Xに垂直な面の断面である。換言すると、各襟145の内面145aは、周辺オリフィス143の内面に連続して(連続延長部として)延在する。これは、弁を通過する流体の流れに追加の妨害を含むことを回避し、オリフィスと関連した襟との間の接合部において流体に含有された固体粒子による浸食を回避することを可能にする。
【0032】
各襟145は、ここでは第1の板14に垂直な方向に、又は換言すると、パイプ断面12の軸Xに平行に、所定の高さにわたって延在する。この高さは、例えば周辺オリフィスの内径の少なくとも3倍、好都合なことには第1の板14の面14aからパイプ断面12の一端(例ではフランジ12aに対応する)を分離する距離とほぼ等しい。これらのオリフィスが円筒でない時、襟の高さは、オリフィスの内部通路断面と同じ断面積を有する、架空の円内部通路断面について計算した架空の内径から決定されてもよい。
【0033】
本発明は、描かれた例に限定されず、具体的には各襟145は、あらゆる適切な手段によって、例えば溶接、ネジ締め、リベットによって第1の板に固定することができる。更に、各襟の内面145aは、ここではパイプ断面12の軸Xに平行に延在する。この構成は好ましいが、とりわけ周辺オリフィスを通過する流れを妨害しないように、襟が裾の広がる、例えば円錐形状を有する構成が想定される。平行六面体の内部断面を有する襟も受容できるが、好ましくはない。
【0034】
描かれた例では、第2のオリフィス板16の各周辺オリフィス163も、第2のオリフィス板に固定され、第1のオリフィス板14の反対側に据えられたその面16bから突出する、襟165によって包囲される。
【0035】
第1の板14と同様に、例では、各襟165は、板16と単一片として生成される。各襟165も、襟165が包囲する周辺オリフィス163の内部断面の形状及びサイズと同じ形状及び同じサイズである内部断面を有する。換言すると、各襟165の内面165aは、周辺オリフィス163の内面に連続して(連続延長部として)延在する。各襟165も、ここでは第2の板16に垂直な方向に、又は換言すると、パイプ断面12の軸Xに平行に、所定の高さにわたって延在する。この高さは、例えば周辺オリフィスの内径の少なくとも3倍、好ましくは周辺オリフィスの内径の少なくとも5倍、好都合なことには第2の板16の面16bからパイプ断面12の一端(例ではフランジ12bに対応する)を分離する距離とほぼ等しい。これらのオリフィスが円筒でない時、襟の高さは、上に画定されたように、架空の内径から決定されてもよい。
【0036】
同様に、本発明は描かれた例に限定されず、具体的には各襟165は、あらゆる適切な手段によって、例えば溶接、ネジ締め、リベットによって第2の板に固定することができる。更に、各襟の内壁165aは、ここではパイプ断面12の軸Xに平行に延在する。この構成は好ましいが、とりわけ周辺オリフィスを通過する流れを妨害しないように、襟が裾の広がる、例えば円錐形状を有する構成が想定される。しかし、襟165の内壁165aが、軸Xに平行なこれらの襟を通過する流れを方向付けるような方法で、恐らくこの軸からの偏向が多くとも5%の許容範囲で配向されることが好ましい。
【0037】
描かれた例では、第1の板14は、更に第1の板14の周辺オリフィス143の1つずつを包囲する複数の封止要素22~25を備えた、第2の板16に向かって面するその面14bの側面に提供される。これらの封止要素22~25は、弁の周辺オリフィスの場所で2つの板の間に封止を確保する。
【0038】
これらの封止要素22~25は、好都合なことには金属から作成される。
【0039】
1つ又は複数の封止要素は、各周辺オリフィスを包囲してもよい。例では、単一の封止要素22(
図1、
図7)又は3つの封止要素23、24、25(
図8)が提供されてもよい。
【0040】
各封止要素22、23、24、25は、第1の板14に(その面14bに)固定された第1の縁部22a、23a、24a、25a、及び第2の板16と摺接する反対側の第2の自由縁部22b、23b、24b、25bを有する。このような摺接は、流体内に存在することがあるいかなる粒子も板の間の空間に入ることができず、1つ又は複数の封止要素を第2の板の上を摺動できるような方法で画定される。こうして第2の板が第1の板に対して枢動する時に、これらの封止要素22~25は、第1の板14に面して据えられる第2の板の面16aを擦り、それによって例えば2つの板の周辺オリフィスが厳密に一致しない時に、この面16aの上に落ちることがある粒子が板14と16との間に入り込むのを防ぐ。
【0041】
単一の封止要素22だけが提供される時、その内面22cは、包囲されるオリフィス143の内面に連続して(連続延長部として)、好ましくは板に垂直に延在する。ここでは、この内面22cは、その周りに封止要素が置かれる周辺オリフィスの内部断面と同じ形状及びサイズの内部断面を有する。次いで外面22dは、好ましくは第2の板に向かって幅が広がる形状、この場合は円錐台形である。
【0042】
数個の封止要素23、24、25が提供される時、包囲された周辺オリフィスに最も近い封止要素23は、包囲されたオリフィスの内面に連続して(連続延長部として)、好ましくは板に垂直に延在する、内面23cを有する。ここでは、この内面23cは、その周りに封止要素が置かれる周辺オリフィスの内部断面と同じ形状及びサイズの内部断面を有する。封止要素23の外面23dは、次いで内面23cの形状に類似した形状を有してもよい。
【0043】
周辺オリフィスから最も遠い封止要素25は、次いで第2の板に向かって幅が広がる形状の外面25dを有してもよい。その内面25cは、ここでは内面23c及び外面23dの形状に類似した形状からなる。
【0044】
上に記載された2つの封止要素23及び25のみを提供し、又は周辺オリフィスに最も近い封止要素に類似した形状の1つ若しくは複数の中間封止要素(例では24の1つだけ)を提供することが可能である。
【0045】
しかし1つ又は複数の封止要素22~25の幾何形状は、これらの例に限定されない。具体的には、周辺オリフィスから最も遠い封止要素の外面は、第1の板に垂直であってもよい。
【0046】
描かれた例では、第1及び第2の板の周辺オリフィスは、全てが円筒形状であることに気付くであろう。しかし本発明は、周辺オリフィスの1つの特定の形状に限定されず、これは楕円形状、多角形状、例えば四角形(長方形、台形)形状、円弧形状、又は何らかの他の形状を有してもよい。同様に、中央オリフィスの形状は、円筒以外の形状であってもよい。
【0047】
本発明による弁は、具体的には接触分解装置などの精製装置に使用するのに非常に適する。この種類の弁は、従ってかなりの(約1メートルの)直径のパイプライン内に置かれる。弁の様々な要素は、従って鋼、好ましくはステンレス鋼から作成され、恐らく浸食に対して弁を保護する被覆で覆われる。周辺オリフィスの数は、弁の寸法及び検討される流体流量に依存する。上述の使用のために、10又は12までのオリフィスが想定され得る。
【0048】
本発明による弁は、流体によって運ばれたデブリが、可変断面のオリフィス(周辺オリフィス)を塞ぐ傾向がある、あらゆる用途にも使用することができる。