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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】文献情報提供方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/383 20190101AFI20241113BHJP
   G06F 16/332 20190101ALI20241113BHJP
   G16H 70/00 20180101ALI20241113BHJP
【FI】
G06F16/383
G06F16/332
G16H70/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021526058
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2020022206
(87)【国際公開番号】W WO2020250812
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2019108170
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発/高生産性微生物創製に資する情析システムの開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】301037213
【氏名又は名称】独立行政法人製品評価技術基盤機構
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 浩子
(72)【発明者】
【氏名】細山 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 せいは
(72)【発明者】
【氏名】白井 智量
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】大塚 俊範
【審判官】吉田 美彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/060726(WO,A1)
【文献】特開平11-110406(JP,A)
【文献】特開2005-352878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/383
G06F 16/332
G16H 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のコンピュータ、または、互いにネットワークを介して接続される複数のコンピュータによって行なわれる文献情報提供方法であって、
ユーザからの第1入力に基づく文字列であって、1つの特定酵素の名称または前記特定酵素の分類に対応する文字列である、第1文字列を取得することと、
前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ1以上のデータからなる複数のデータを受信することと、
前記複数のデータから、前記特定酵素に関する情報であって、互いに異なる複数の第2文字列を抽出することと、
抽出された前記複数の第2文字列の中から前記ユーザが入力により選択した少なくとも一つの文字列を検索対象とする、検索式を生成することと、
前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得することと、
前記検索結果データに基づく情報を出力することと
を備え、
前記複数の第2文字列は、前記特定酵素の推奨される名称、前記特定酵素の別称、前記特定酵素の分類、前記特定酵素の遺伝子の名称、前記特定酵素が関与する代謝経路のうちの複数に対応する文字列である文献情報提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の文献情報提供方法において、
前記複数の第2文字列の抽出の後、抽出された前記複数の第2文字列を表示することと、
前記複数の第2文字列についての前記ユーザからの第2入力を検出することと、
抽出された前記複数の第2文字列のうち、前記第2入力に基づいた少なくとも一つの文字列を検索対象とする、前記検索式を生成することと
を備える文献情報提供方法。
【請求項3】
請求項1に記載の文献情報提供方法において、
抽出された前記複数の第2文字列のそれぞれに、情報源となる前記第1サーバまたは前記データベースの情報を対応付けることを備える文献情報提供方法。
【請求項4】
請求項1に記載の文献情報提供方法において、
前記検索結果データに基づき、前記特定酵素に関する情報と対応付けて、検索された文献についての情報を出力する、文献情報提供方法。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の文献情報提供方法において、
前記特定酵素の分類は、反応特異性および基質特異性に基づいた分類である、文献情報提供方法。
【請求項6】
ユーザからの入力に基づく文字列であって、1つの特定酵素の名称または前記特定酵素の分類に対応する文字列である、第1文字列を取得する第1文字列取得処理と、
前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ1以上のデータからなる複数のデータを受信するデータ通信処理と、
前記複数のデータから、前記特定酵素に関する情報であって、互いに異なる複数の第2文字列を抽出する第2文字列抽出処理と、
抽出された前記複数の第2文字列の中から前記ユーザが入力により選択した少なくとも一つの文字列を検索対象とする、検索式を生成する検索式生成処理と、
前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得する検索結果データ取得処理と、
を処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記複数の第2文字列は、前記特定酵素の推奨される名称、前記特定酵素の別称、前記特定酵素の分類、前記特定酵素の遺伝子の名称、前記特定酵素が関与する代謝経路のうちの複数に対応する文字列である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文献情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献または、論文等の非特許文献を、文献データベースの検索を利用して取得する場合、当該検索は、単語または語句を含む検索式を用いて行われる。しかしながら、各文献において、同じような意味で異なる用語や表現が用いられる等の理由から、検索式に含まれる単語および語句を含まない関連文献を抽出できず、検索漏れが生じてしまうことがあった。特許文献1では、第一の検索処理の結果の文献群に含まれる、特許情報の分類コードを集計し、集計された分類コードを基に、該当分類コードを含んだ文献を検索する第二の検索処理を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2013-41385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの酵素または酵素に対応する遺伝子等が、異なる複数の名称で呼ばれることが少なくないため、酵素に関連する文献の検索では検索漏れが生じやすかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、単一のコンピュータ、または、互いにネットワークを介して接続される複数のコンピュータを用いた文献情報提供方法であって、ユーザからの第1入力に基づく第1文字列を取得することと、前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ複数のデータを受信することと、前記複数のデータから、前記酵素に関する情報を示す複数の第2文字列を抽出することと、抽出された前記複数の第2文字列のうち、少なくとも一つの文字列を用いて、検索式を生成することと、前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得することと、前記検索結果データに基づく情報を出力することとを備える文献情報提供方法に関する。
本発明の第2の態様は、ユーザからの入力に基づく第1文字列を取得する第1文字列取得処理と、前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ複数のデータを受信するデータ通信処理と、前記複数のデータから、前記酵素に関する情報を示す複数の第2文字列を抽出する第2文字列抽出処理と、 抽出された前記複数の第2文字列のうち、少なくとも一つの文字列を用いて、検索式を生成する検索式生成処理と、前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得する検索結果データ取得処理と、を処理装置に行わせるためのプログラムに関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、酵素に関連する文献の検索での検索漏れを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る文献情報提供システムの構成を示す概念図である。
図2図2(A)は、一実施形態に係る端末装置の構成を示す概念図であり、図2(B)は、文献情報提供サーバの構成を示す概念図である。
図3図3は、抽出文字列表示画面を示す概念図である。
図4図4は、文献情報表示画面を示す概念図である。
図5図5は、一実施形態に係る文献情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
図6図6(A)および6(B)は、一実施形態に係る文献情報提供方法の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、変形例に係る文献情報提供システムの構成を示す概念図である。
図8図8は、プログラムの提供について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
-第1実施形態-
第1実施形態では、酵素に関する情報を含む複数のデータベースの検索で得られた複数のデータに基づいて検索式が生成され、当該検索式を用いて文献データベースから文献が検索される文献情報提供方法が説明される。また、以下の実施形態では、「データベース」を「DB」と適宜略して記載する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る文献情報提供システム1の構成を示す概念図である。文献情報提供システム1は、文献情報提供側システム10と、酵素情報データベース側システム(酵素情報DB側システム)20と、文献データベース側システム(文献DB側システム)30とを備える。文献情報提供側システム10と酵素情報DB側システム20との間、および、文献情報提供側システム10と文献DB側システム30との間は、ネットワーク9を介して接続されている。
【0011】
ネットワーク9は、少なくとも文字列を含む情報を通信可能なネットワークであれば特に限定されない。ネットワーク9では、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等のインターネットで使用される通信プロトコルにより通信が行われる。
【0012】
文献情報提供側システム10は、コンピュータである文献情報提供サーバ11と、コンピュータである端末装置15とを備える。図1では、3つの端末装置15a、15bおよび15cが示されているが、端末装置15の数は特に限定されない。
【0013】
文献情報提供サーバ11と端末装置15との間は、ネットワーク9を介して接続されている。従って、文献情報提供サーバ11および端末装置15は、物理的に離れた位置に配置することができる。
なお、文献情報提供サーバ11および少なくとも一部の端末装置15はLAN(Local Area Network)等のローカルなネットワークにより互いに接続されてもよい。また、文献情報提供側システム10を単一のコンピュータにより構成してもよい。
【0014】
文献情報提供サーバ11は、文献情報提供システム1のユーザ(以下、単に「ユーザ」と呼ぶ)により入力された文字列を端末装置15を介して取得する。この入力された文字列を入力文字列と呼ぶ。文献情報提供サーバ11は、酵素情報DBサーバ21および文献DBサーバ31と通信を行い、当該通信により得られたデータを処理し、文献DB32で検索された文献についての情報を端末装置15に出力する。
【0015】
端末装置15は、ユーザからの入力およびユーザへの出力を行うインターフェイスとして機能する。文献情報提供サーバ11と端末装置15については、後に詳述する。
【0016】
酵素情報DB側システム20は、酵素情報データベースサーバ(酵素情報DBサーバ)21を備える。酵素情報DBサーバ21は、酵素情報データベース(酵素情報DB)22を備え、酵素情報DB22を検索可能な態様で当該DBと接続されている。図1では、3つの酵素情報DBサーバ21a、21bおよび21cが示されているが、酵素情報DBサーバ21の数は特に限定されない。また、酵素情報DBサーバ21a、21bおよび21cに対応して酵素情報DB22a、22bおよび22cがそれぞれ配置されているが、各酵素情報DBサーバ21に対応して配置される酵素情報DB22の数も1以上であれば特に限定されない。酵素情報DB側システム20は、複数の酵素情報DB22を備えることが好ましい。
【0017】
酵素情報DBサーバ21は、文献情報提供サーバ11から、ユーザにより入力された入力文字列を受信する。酵素情報DBサーバ21は、入力文字列により酵素情報DB22を検索し、当該入力文字列を含むデータを抽出する。酵素情報DBサーバ21は、抽出されたデータを酵素情報検索結果データとして文献情報提供サーバ11に送信する。
なお、酵素情報DBサーバ21と文献情報提供サーバ11との間の通信は、別のサーバを介して行ってもよい。また、文献情報提供サーバ11と少なくとも一部の酵素情報DBサーバ21との間はLAN等のローカルなネットワークにより互いに接続されてもよい。また、文献情報提供サーバ11上に少なくとも一部の酵素情報DBサーバ21、または酵素情報DB22を検索するシステムがあり、これらから文献情報提供システム1は酵素情報検索結果データを入手してもよい。
【0018】
酵素情報DB22は、酵素に関する情報を含むDBである。酵素に関する情報は、酵素の名称、酵素の分類、酵素に対応する遺伝子の名称または酵素が関与する代謝経路(以下、単に代謝経路と記載したときは、酵素が関与する代謝経路を指す)を示す情報である。酵素の名称、酵素に対応する遺伝子の名称および酵素が関与する代謝経路としては、特定の組織等により推奨されている名称(以下、推奨名称と呼ぶ)の他、一部の当業者により用いられている別称(以下、単に別称と呼ぶ)を含むことができる。このような組織の一例は、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の酵素委員会と、国際純正および応用化学連合(IUPAC)の生化学命名審議会から成る共同委員会が挙げられる。酵素の分類は、酵素が触媒する酵素反応の反応特異性または基質特異性に基づいた分類が好ましい。このような分類の一例は、上記共同委員会が設定した酵素番号(Enzyme Commission numbers;EC番号)である。酵素番号は、酵素により触媒される反応の種類によって分類するための番号であり、4組の数字で示される。酵素情報DB22は、酵素に関する情報を含めばその態様は特に限定されない。
なお、酵素情報DB22は、酵素に関する情報を含めば、酵素を主な対象としたDBである必要はない。酵素情報DB22は、例えば、タンパク質全般や核酸全般についてのDBとすることができる。また、酵素情報DB22は、複数のDBを統合したDBでもよい。
【0019】
酵素情報DB22は、例えば、複数の分子のそれぞれに対応する分子情報から構成される。分子情報は、ある分子に紐づけて、当該分子についての情報を参照可能に構成されている。分子情報は、分子の、配列についての情報、構造についての情報または機能についての情報等を含む。配列についての分子情報としては、タンパク質等のペプチドのアミノ酸配列、またはDNA若しくはRNAの塩基配列等が含まれる。構造についての分子情報としては、タンパク質の高次構造等の分子における立体的な原子配置に関する情報が含まれる。機能についての分子情報とは、分子が関与する化学反応または代謝経路、他の分子との相互作用等の情報が含まれる。
【0020】
酵素情報DB22が複数の分子にそれぞれ対応する分子情報を格納したDBとして以下説明する。このとき、酵素情報DBサーバ21は、ある分子の分子情報のいずれかの項目に入力文字列が含まれる場合、当該分子情報を抽出する。酵素情報DBサーバ21は、抽出された1以上の分子に対応する分子情報を含むデータを酵素情報検索結果データとして文献情報提供サーバ11に送信することができる。
【0021】
酵素情報DB22の具体的な例としては、BRENDA(BRaunschweig ENzyme DAtabase)、UniProt(Universal Protein Resource)、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)、ExPASy-ENZYME(Expert Protein Analysis System-Enzyme nomenclature database)、IUBMB Enzyme Nomenclature(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)、および、ExplorEnz等の検索可能なDBが含まれる。
【0022】
文献DB側システム30は、1以上の文献データベースサーバ(文献DBサーバ)31を備える。文献DBサーバ31は、それぞれ文献データベース(文献DB)32を備え、文献DB32を検索可能な態様で当該DBと接続されている。図1では、3つの文献DBサーバ31a、31bおよび31cが示されているが、文献DBサーバ31の数は特に限定されない。また、各文献DBサーバ31a、31bおよび31cに対応して文献DB32a、32bおよび32cがそれぞれ示されているが、各文献DBサーバ31に対応して配置される文献DB32の数も1以上であれば特に限定されない。
【0023】
文献DBサーバ31は、文献情報提供サーバ11から、後述の検索式生成部126が生成した検索式を受信する。この検索式を文献DB検索式と呼ぶ。文献DBサーバ31は、文献DB検索式により文献DB32を検索し、当該検索式の条件に合った文献を抽出する。文献DBサーバ31は、書誌情報のデータ等、抽出された文献を示す情報を含むデータを文献検索結果データとして文献情報提供サーバ11に送信する。
なお、文献DBサーバ31と文献情報提供サーバ11との間の通信は、別のサーバを介して行ってもよい。また、文献情報提供サーバ11および少なくとも一部の文献DBサーバ31はLAN等のローカルなネットワークにより互いに接続されてもよい。また、文献情報提供サーバ11上に少なくとも一部の文献DBサーバ31、または文献DB32を検索するシステムがあり、これらから文献情報提供システム1は文献検索結果データを入手してもよい。
【0024】
文献DB32は、特許文献および、論文等の非特許文献の少なくともいずれかを含むデータベースであれば特に限定されない。文献DB32の具体的な例としては、PubMedが含まれる。
【0025】
図2(A)は、端末装置15の構成を示す概念図である。端末装置15は、端末側通信部151と、入力部152と、表示部153とを備える。端末装置15は、図2(A)に示された構成を含めばその態様は特に限定されず、スマートフォン等の携帯端末や電子計算機等の情報処理装置の他、入出力と通信とを行う任意の装置により構成することができる。
【0026】
端末側通信部151は、インターネットに用いられるプロトコル等の任意の通信プロトコルに対応した、無線または有線による接続により通信可能な通信装置を含んで構成される。端末側通信部151は、文献情報提供サーバ11のサーバ側通信部111と通信を行い、必要なデータを送受信する。
【0027】
入力部152は、マウス、キーボード、各種ボタンまたはタッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部152は、ユーザからの入力を検出する。
【0028】
表示部153は、液晶モニタ等の表示装置を含んで構成され、入力画面ならびに、酵素情報DB22および文献DB32の検索の結果得られた情報を表示する。
【0029】
図2(B)は、文献情報提供サーバ11の構成を示す概念図である。文献情報提供サーバ11は、サーバ側通信部111と、記憶部112と、制御部120とを備える。制御部120は、入力文字列取得部121と、第1通信制御部122と、文字列抽出部123と、第1出力制御部124と、文字列選択部125と、検索式生成部126と、第2通信制御部127と、検索結果データ取得部128と、第2出力制御部129とを備える。
【0030】
サーバ側通信部111は、インターネットに用いられるプロトコル等の通信プロトコルに対応した、無線または有線による接続により通信可能な通信装置を含んで構成される。サーバ側通信部111は、端末装置15、酵素情報DBサーバ21および文献DBサーバ31と通信を行い、必要なデータを送受信する。
【0031】
記憶部112は、不揮発性の記憶媒体を備える。記憶部112は、制御部120の処理に必要なデータおよび制御部120の処理により得られたデータ、ならびに制御部120が処理を実行するためのプログラム等を記憶する。
【0032】
制御部120は、CPU等のプロセッサを含んで構成され、文献情報提供サーバ11を制御する動作の主体として機能する。制御部50は、記憶部112等に記憶されたプログラムを実行することにより各種処理を行う。
【0033】
制御部120の入力文字列取得部121は、ユーザが入力した入力文字列を取得する。入力文字列は、酵素の名称または酵素の分類に対応する文字列であることが好ましく、酵素の分類の場合、当該分類は、上述した酵素番号等の酵素が触媒する酵素反応の反応特異性や基質特異性に基づく分類であることがより好ましい。
【0034】
ユーザによる入力文字列の入力の方法については特に限定されない。例えば、端末装置15の表示部153に表示された入力画面のテキストボックスに、ユーザがキーボードを用いて入力文字列を打ち込み、マウスを用いて送信ボタン等をクリックすることで入力することができる。あるいは、入力文字列を含む文書ファイルが端末装置15から文献情報提供サーバ11に送信される等して文献情報提供サーバ11に入力文字列を含む文書ファイルが格納されており、ユーザの入力により入力文字列取得部121が当該文書ファイルから入力文字列を読みとる構成にしてもよい。
【0035】
入力文字列取得部121は、ユーザの入力に基づく入力文字列を記憶部112または制御部120のメモリに記憶させ、制御部120からの参照命令で参照できる状態にする(以下、「記憶部112等に参照可能に記憶させる」と記載する)。
【0036】
第1通信制御部122は、サーバ側通信部111を制御して酵素情報DBサーバ21との通信を行う。第1通信制御部122は、酵素情報DBサーバ21に入力文字列を送信する。第1通信制御部122は、送信した入力文字列による検索の結果得られた酵素情報検索結果データを酵素情報DBサーバ21から受信する。
【0037】
文字列抽出部123は、酵素情報検索結果データから文字列を抽出する。文字列抽出部123が抽出した文字列を抽出文字列と呼ぶ。抽出文字列は、上述の酵素に関する情報に対応する文字列である。文字列抽出部123は、酵素情報検索結果データにおける、酵素の名称、酵素の分類または酵素に対応する遺伝子の名称等を示す項目を参照し、これらに対応する文字列を抽出する。文字列抽出部123は、接頭辞や接尾辞等の特徴によりこれらに対応する文字列を抽出してもよい。例えば、酵素番号は「EC」の後に数字が続くという特徴があるため、このような特徴に基づいて抽出文字列を抽出してもよい。
なお、文字列抽出部123は、酵素の代謝経路を示す項目を参照し、これらに対応する文字列を抽出してもよい。
【0038】
文字列抽出部123は、抽出文字列を記憶部112等に参照可能に記憶させる。文字列抽出部123は、抽出文字列同士が対応付けられていた場合は、対応付けの情報(以下、対応付け情報と呼ぶ)を記憶部112等に参照可能に記憶させる。文字列抽出部123は、抽出文字列が抽出されたデータの情報源となるDBを示す情報を記憶部112等に参照可能に記憶させる。
【0039】
文字列抽出部123は、対応付け情報に基づいて、必要に応じて抽出文字列を並び替え、抽出文字列のリストを構築するためのデータ(以下、リストデータと呼ぶ)を生成する。リストデータでは、抽出文字列である各酵素番号(EC番号)等の分類に、対応付け情報により抽出文字列である、酵素の名称および遺伝子名等が紐づけられる。酵素の名称および遺伝子名は、同義語または略称等、同一のものを指す異なる様々な名称を含むことができる。文字列抽出部123は、リストデータを作成する際、予め記憶していたデータに基づいて後述する推奨される名称と別称とを区別したり、同じ抽出文字列が複数存在する場合には一つを残して削除したり、予め設定された順番に並び替える等の処理を適宜行う。リストデータでは、酵素の名称および遺伝子名にこれらが抽出された情報源となるDBを示す情報が紐づけられる。文字列抽出部123は、リストデータを記憶部112等に参照可能に記憶させる。
なお、文字列抽出部123は、酵素の代謝経路が抽出文字列として抽出されていた場合、対応付け情報に基づいて、代謝経路の抽出文字列も酵素番号または、情報源となるDBを示す情報等に紐づけることができる。このように、代謝経路が抽出文字列として抽出されていた場合、以下に記載する酵素の名称等についての処理と同様に抽出文字列として処理を行うことができる。
【0040】
第1出力制御部124は、抽出文字列を出力する制御を行う。第1出力制御部124は、リストデータからリストを表示するためのデータ(以下、リスト表示データと呼ぶ)を生成する。リスト表示データの形式は、端末装置15においてリストの画像を表示することができ、後述の文字列選択部125による文字列の選択のためのユーザの入力を行うことができれば特に限定されない。ネットワーク9がHTTPの通信プロトコルに対応している場合、リスト表示データは、HTMLファイルやXMLファイル等により実装され、リストの画像はWebブラウザにより端末装置15の表示部153で表示される構成にすることができる。
【0041】
図3は、第1出力制御部124の制御により端末装置15に表示される抽出文字列リスト表示画面の一例を示す概念図である。図3は、「dehydrogenase A」を入力文字列とした例を示す。
【0042】
抽出文字列リスト表示画面D1は、入力文字列項目名要素60と、酵素情報項目名要素600と、入力文字列表示要素70と、分類表示要素71と、名称表示要素72と、別称表示要素73と、遺伝子名表示要素74と、切替要素80と、DB表示要素90とを備える。酵素情報項目名要素600は、分類項目名要素61と、名称項目名要素62と、別称項目名要素63と、遺伝子名項目名要素64とを備える。
【0043】
入力文字列項目名要素60は、当該要素に対応付けられて表示される情報が入力文字列であることを「Key」の語により示している。酵素情報項目名要素600は、当該要素に対応付けられて表示される情報が酵素に関する情報であることを示している。分類項目名要素61は、当該要素に対応付けられて表示される要素が酵素の分類(ここでは酵素番号)であることを「ec」の語により示している。名称項目名要素62は、当該要素に対応付けられて表示される要素が酵素の推奨される名称であることを「name」の語により示している。ここで、推奨される名称とは、例えば、IUBMB/IUPAC共同委員会等の特定の組織等により推奨されている名称とすることができる。別称項目名要素63は、当該要素に対応付けられて表示される情報が推奨される名称以外の酵素の別称であることを「alterna」(alternative nameの略)の語により示している。遺伝子名項目名要素64は、当該要素に対応付けられて表示される情報が酵素に対応する遺伝子名であることを「gene」の語により示している。
なお、名称項目名要素62は、推奨される名称を示すのでなく、各酵素情報DB22の検索結果等の最初に表示されている名称等、代表的に用いられる可能性がある任意の名称を示すことができる。このような名称は、上記IUBMB/IUPAC共同委員会が推奨する名称等、一つに限定されるものとしてもよいし、代表的に用いられる可能性がある複数の名称としてもよい。
【0044】
入力文字列表示要素70は、入力文字列項目名要素60に対応付けられて同じ行に表示され、入力文字列を表示する。図3の例では、入力文字列として、酵素の名称である「dehydrogenase A」が表示されている。分類表示要素71は、分類項目名要素61に対応付けられて同じ行に表示され、抽出文字列である酵素の分類を表示する。図3の例では、酵素の分類として、入力文字列に対応付けられて抽出された酵素番号の1.x.xx.xxx(x, xxおよびxxxは数値)が表示されている。
【0045】
名称表示要素72は、名称項目名要素62に対応付けられて同じ行に表示され、抽出文字列である酵素の推奨される名称を表示する。図3の例では、酵素の推奨される名称として、分類表示要素71の示す酵素番号に対応付けられて抽出された酵素名が表示されている。別称表示要素73は、別称項目名要素63に対応付けられて同じ行に表示され、抽出文字列である酵素の別称を表示する。図3の例では、酵素の別称として、分類表示要素71の示す酵素番号に対応付けられて抽出された、推奨される名称とは異なる酵素名が表示されている。遺伝子名表示要素74は、遺伝子名項目名要素64に対応付けられて同じ行に表示され、抽出文字列である酵素に対応する遺伝子名を表示する。図3の例では、酵素の遺伝子名として、分類表示要素71の示す酵素番号に対応付けられて抽出された遺伝子名が表示されている。
【0046】
切替要素80は、各抽出文字列に対応づけられて同じ行に配置され、後述の文献DB検索式を生成する際に当該抽出文字列を使用するか否かを切り替えるためのアイコンである。図3の例では、切替要素80はチェックボックスにより構成されている。切替要素80は、チェックボックスがチェックされている場合(切替要素80a参照)、当該抽出文字列を使用して文献DB検索式を生成し(ONの場合と呼ぶ)、チェックされていない場合(切替要素80b参照)、当該抽出文字列を使用しないで文献DB検索式を生成する(OFFの場合と呼ぶ)構成となっている。ユーザは、マウス等を操作してチェックボックスをクリックすることにより切替要素80の切り替えを行うことができる。
なお、切替要素80は、文献DB検索式を生成する際に当該抽出文字列を使用するか否かをユーザが切り替えることができればその態様は特に限定されない。
【0047】
ユーザは、例えば、抽出文字列のリストのうちで入力文字列に対応する酵素と関連が低いと考えられるものがあれば、切替要素80を用いて文献DB検索式から除外し、不要な文献を抽出することを避けることができる。
【0048】
図3では、切替要素80がONの場合の別称項目名表示要素73aが実線で囲まれて表示され、切替要素80がOFFの場合の別称項目名表示要素73bが破線で囲まれて表示されている。このように、文献DB検索式を生成する際に抽出文字列を使用するか否かにより、当該抽出文字列の表示の態様を異ならせることができる。
【0049】
DB表示要素90は、各抽出文字列に対応付けられて同じ行に表示され、当該抽出文字列の情報源となるDBを示す。図3の例では、情報源となるDBの名称が「DB1」「DB2」「DB3」等で示されている。1つの抽出文字列が複数のDBから抽出された場合には、1つの抽出文字列に複数のDB表示要素90a、90bが対応付けられて表示されてもよい。
なお、代謝経路についても、他の抽出文字列と同様に表示することができ、また、切替要素80やDB表示要素90と対応付けて表示することができる。
【0050】
抽出文字列リスト表示画面D1では、各抽出文字列に関する情報が、同じ行に表示されることで対応付けられている。また、ある酵素番号に対応付けられた複数の抽出文字列は、当該酵素番号を示す分類表示要素71の下方にまとまって表示されることで当該抽出文字列と対応付けられている。このように、酵素番号等の酵素の分類に基づいて各抽出文字列を並び替えて表示することが好ましいが、並び替えの方法は特に限定されない。抽出文字列表示画面D1上の各要素の対応づけがユーザに把握できれば、各要素の形状や位置は特に限定されない。
【0051】
文字列選択部125は、ユーザの入力に基づいて、抽出文字列のうち、少なくとも一つの文字列を、文献DB検索式を生成するための文字列として選択する。文字列選択部125により選択された文字列を、選択文字列と呼ぶ。ユーザは端末装置15の入力部152を操作して、抽出文字列リスト表示画面D1上の不図示の送信ボタンをクリック等することにより、端末側通信部151は各抽出文字列についての切替要素80の切り替えに関する情報(以下、切替情報と呼ぶ)を文献情報提供サーバ11に送信する。
なお、抽出文字列として代謝経路を含む場合、代謝経路も選択文字列とすることができる。
【0052】
文字列選択部125は、サーバ側通信部111が受信した切替情報に基づいて、選択文字列を選択する。文字列選択部125は、選択文字列を記憶部112等に参照可能に記憶させる。
【0053】
検索式生成部126は、選択文字列から文献DB32を検索するための検索式である文献DB検索式を生成する。選択文字列を用いて検索式を生成すれば、文献DB検索式の生成方法は特に限定されない。しかし、検索漏れを防ぐ観点から、酵素の名称、酵素の分類および遺伝子名のそれぞれのカテゴリ内では各選択文字列の論理和(OR)をとるようにすることができる。
なお、検索式生成部126は、代謝経路を選択文字列に含む場合についても、同様に代謝経路のカテゴリ内で選択文字列の論理和をとるようにすることができる。以下の文献DB検索式の生成処理も、同様に代謝経路に適用される。
【0054】
例えば、選択文字列として、酵素の名称がA1およびA2、酵素の分類がB1,B2およびB3、遺伝子名がC1,C2,C3およびC4、代謝経路D1およびD2が選択されているとする。この場合、一例として、検索式生成部126は、“(A1 OR A2)AND(B1 OR B2 OR B3)AND(C1 OR C2 OR C3 OR C4)AND(D1 OR D2)”という文献DB検索式を生成することができる。各カテゴリの選択文字列の間をANDではなくORにしてより広い範囲を検索するようにしてもよい。
なお、検索式生成部126は、ユーザにより入力された文字列(以下、追加文字列と呼ぶ)を端末装置15を介して取得し、この追加文字列にさらに基づいて検索式を生成してもよい。例えば、検索式生成部126は、当該追加文字列を上記文献DB検索式にANDまたはOR等を含む任意の論理演算式により結合することができる。また、追加文字列は複数の文字列からなるものでもよい。
また、文献DB検索式の生成の際には、ある文献DB検索式をまず作成した後、ユーザの指示を受けてからより狭いまたはより広い範囲を検索する検索式を作成してもよいし、予め様々な範囲を検索する検索式を作成して記憶しておいてもよい。
【0055】
第2通信制御部127は、サーバ側通信部111を制御して文献DBサーバ31との通信を行う。第2通信制御部127は、文献DB検索式を文献DBサーバ31に送信する。ここで文献DB検索式を各文献DBサーバ31の仕様に合わせ、結果が変わらないように編集してもよい。第2通信制御部127は、送信した文献DB検索式による検索の結果得られた文献検索結果データを受信する。
【0056】
検索結果データ取得部128は、文献検索結果データを記憶部112等に参照可能に記憶させる。
【0057】
第2出力制御部129は、文献DB検索式による検索の結果得られた文献の情報の出力を制御する。第2出力制御部129は、文献検索結果データから検索された文献を表示するためのデータ(以下、文献表示データと呼ぶ)を生成する。文献表示データの形式は、端末装置15において検索された文献の書誌事項等を表示することができれば特に限定されない。ネットワーク9がHTTPの通信プロトコルに対応している場合、文献表示データは、HTMLファイルやXMLファイル等により実装され、文献の書誌事項等を示す画像はWebブラウザにより端末装置15の表示部153で表示される構成にすることができる。
【0058】
図4は、第2出力制御部129の制御により端末装置15に表示される文献情報表示画面の一例を示す概念図である。文献情報表示画面D2は、表Tと、抽出範囲切替アイコン301および302とを備える。
なお、選択文字列に基づいて文献DB検索式が作成され、文献DBの検索が行われれば、抽出範囲を切り替える構成としなくてもよい。例えば、ユーザが抽出範囲を指定し、指定された抽出範囲に基づいて文献DB検索式が作成され、文献検索され、ヒットした文献が表示されるという構成とし、抽出範囲を切り替える際は改めてユーザが抽出範囲を指定してこの流れを繰り返すようにしてもよい。また、抽出範囲切替アイコン301および302を表示せず、キーボード等からの入力により切り替える等、抽出範囲切替アイコン301および302の機能を別の方法で実装してもよい。
【0059】
文献情報表示画面D2の表Tは、選択文字列項目201と、表題項目202と、抄録項目203と、刊行物名項目204と、巻-号項目205と、頁項目206と、発行年項目207とを備える。
なお、文献情報表示画面D2に含まれる情報は、検索された文献が特定できれば特に限定されない。また、図4の例では、論文等の非特許文献の書誌事項を表示する構成になっているが、特許文献を表示してもよい。さらに、刊行物名項目204と、巻-号項目205と、頁項目206とをタイトルと同列に表示する等、検索された文献が特定できればその表示の態様は特に限定されない。
【0060】
選択文字列項目201は、検索された文献が、文献DB検索式のどの選択文字列に対応づけられて抽出されたかを示す項目である。図4の例では、「dehydrogenase C」および「GEN1」の2つの選択文字列が検索された文献と対応付けられて抽出されている。ここで、「選択文字列に対応付けられて抽出される」とは、文献DB32の検索における検索範囲に当該選択文字列が含まれていることを意味する。当該検索範囲は、表題、抄録および全文等の範囲から適宜設定される。このように、文献情報表示画面D2では、文献検索結果データに基づいて、選択文字列である酵素に関する情報と対応付けて、検索された文献に関する情報が表示される。
【0061】
表題項目202は、検索された文献の表題を示す項目である。抄録項目203は、検索された文献の抄録を示す項目である。刊行物名項目204は、検索された文献が収録された刊行物名を示す項目である。巻-号項目205は、検索された文献が収録された刊行物の巻および号を示す項目である。頁項目206は、検索された文献が刊行物において収録された頁を示す項目である。発行年項目207は、検索された文献が収録された刊行物の発行年や、オンラインで公開された年を示す項目である。
【0062】
抽出範囲切替アイコン301および302は、分煙DB検索式に基づいて、文献検索結果データから文献情報表示画面D2に表示される文献の抽出範囲を切り替えるためのアイコンである。抽出範囲切替アイコン301は、抽出範囲切替アイコン302よりも広い抽出範囲に対応する検索式に基づいた文献検索結果を表示する。
【0063】
例えば、選択文字列として、酵素の名称がA1およびA2、酵素の分類がB1,B2およびB3、遺伝子名がC1,C2,C3およびC4、代謝経路D1およびD2が選択されているとする。この場合、一例として、抽出範囲切替アイコン301がユーザによりクリックされた場合は、“(A1 OR A2)OR(B1 OR B2 OR B3)OR(C1 OR C2 OR C3 OR C4)OR(D1 OR D2)”という文献DB検索式による文献検索結果を表示することができる。そして、抽出範囲切替アイコン302がユーザによりクリックされた場合は、“(A1 OR A2)AND(B1 OR B2 OR B3)AND(C1 OR C2 OR C3 OR C4)AND(D1 OR D2)”という文献DB検索式による文献検索結果を表示することができる。
【0064】
異なる複数の文献DB検索式による文献検索結果を取得するためには、それぞれの検索式を文献DB検索式として文献DB32の検索結果を通信により取得することができる。あるいは、一度取得した文献検索結果データの各文献に対応付けられた選択文字列に基づいて、文献情報提供サーバ11が異なる抽出範囲に対応した検索式による検索結果のデータを生成してもよい。言い換えれば、文献情報提供サーバ11が、作成した文献DB検索式および文献検索結果(選択文字列が対応づけられている)を記録し、新たな文献検索を行った時にこの過去データを加工して利用する構成にしてもよい。
【0065】
図5図6(A)および6(B)は、本実施形態の文献情報提供方法の流れを示すフローチャートである。図5では、文献情報提供側システム10が行う処理を示す。ステップS1001において、入力文字列取得部121は、入力文字列を取得する。ステップS1001が終了したら、ステップS1003が開始される。ステップS1003において、第1通信制御部122は、サーバ側通信部111を制御して、入力文字列を、複数の酵素情報DBサーバ21に送信する。ステップS1003が終了したら、ステップS2001が開始される。
【0066】
図6(A)は、酵素情報DB側システム20が行う処理を示す。ステップS2001において、酵素情報DBサーバ21は、入力文字列を用いて酵素情報DB22を検索する。ステップS2001が終了したら、ステップS2003が開始される。ステップS2003において、酵素情報DBサーバ21は、文献情報提供サーバ11に酵素情報検索結果データを送信する。ステップS2003が終了したら、ステップS1005が開始される。
【0067】
ステップS1005(図5)において、第1通信制御部122は、サーバ側通信部111を制御して、複数の酵素情報検索結果データを受信する。ステップS1005が終了したら、ステップS1007が開始される。ステップS1007において、文字列抽出部123は、複数の酵素情報検索結果データから、複数の抽出文字列を抽出し、リストデータが作成される。ステップS1007が終了したら、ステップS1009が開始される。
【0068】
ステップS1009において、第1出力制御部124は、複数の抽出文字列と情報源DBの情報とを示すデータを端末装置15に出力し、表示部153に抽出文字列リスト表示画面D1が表示される。ステップS1009が終了したら、ステップS1011が開始される。ステップS1011において、文字列選択部125は、ユーザからの入力に基づいて、複数の抽出文字列のうち少なくとも一部を選択する。ステップS1011が終了したら、ステップS1013が開始される。
【0069】
ステップS1013において、検索式生成部126は、選択された抽出文字列を用いて、文献DB検索式を生成する。ステップS1013が終了したら、ステップS1015が開始される。ステップS1015において、第2通信制御部127は、サーバ側通信部111を制御して、文献DB検索式を文献DB31に送信する。ステップS1015が終了したら、ステップS3001が開始される。
【0070】
図6(B)は、文献DB側システム30が行う処理を示す。ステップS3001において、文献DBサーバ31は、文献DB検索式を用いて文献DB32を検索する。ステップS3001が終了したら、ステップS3003が開始される。ステップS3003において、文献DBサーバ31は、文献情報提供サーバ11に文献検索結果データを送信する。ステップS3003が終了したら、ステップS1017が開始される。
【0071】
ステップS1017(図5)において、第2通信制御部127は、サーバ側通信部111を制御して、文献検索結果データを受信する。ステップS1017が終了したら、ステップS1019が開始される。ステップS1019において、第2出力制御部129は、文献検索結果データに基づく情報を出力し、当該情報が表示部153に表示される。ステップS1019が終了したら、処理が終了される。
【0072】
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。以下の変形例において、上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位等に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
上述の実施形態において、酵素情報DBサーバ21が、過去の時点における酵素情報DB22を検索可能か、または酵素情報DB22のデータ変更履歴に関する情報を取得可能とする。この場合、文献情報提供サーバ11は、入力文字列により過去の時点における酵素情報DB22を検索して得られた酵素情報検索結果データや、当該データ変更履歴に基づく酵素情報検索結果データを取得してもよい。これにより、過去の酵素情報DB22の内容も網羅し、酵素に関する文献の検索漏れを低減することができる。
【0073】
本変形例では、第1通信制御部122は、入力文字列を酵素情報DBサーバ21に送信する際、過去の時点における酵素情報DB22に対する検索結果も得られるよう検索範囲に関する条件についての情報も適宜送信する。
【0074】
(変形例2)
上述の実施形態では、文献情報提供側システム10が文献情報提供サーバ11と端末装置15とにより構成されるものとした。しかし、文献情報提供側システムは情報処理装置や、情報処理装置を含む分析装置により構成されてもよい。
【0075】
図7は、本変形例の文献情報提供システム2の構成を示す概念図である。文献情報提供システム2は、文献情報提供側システム10aと、酵素情報DB側システム20と、文献DB側システム30とを備える。
【0076】
文献情報提供側システム10aは、分析装置40を備え、分析装置40は、測定部41と、データ解析装置42とを備える。分析装置40の種類は特に限定されないが、分離分析装置を含んで構成することができる。分離分析装置としては、特に限定されないが、クロマトグラフおよび質量分析計の少なくとも一つを含むことができる。
【0077】
測定部41は、試料に対して物理的または化学的な分析を行い測定データを取得する。データ解析装置42は、電子計算機等の情報処理装置を含んで構成され、測定データの解析を行うとともに、本変形例の文献情報提供方法の主体となる文献情報提供装置12を構成する。
【0078】
データ解析装置42は、サーバ側通信部111の酵素情報DBサーバ21および文献DBサーバ31との通信機能、ならびに、記憶部112、入力部152、表示部153および制御部120を備える。
なお、文献情報提供装置12は、分析装置40の一部である必要はなく、測定部41と分離された電子計算機または携帯端末等の情報処理装置として構成することができる。
【0079】
(変形例3)
文献情報提供サーバ11または文献情報提供装置12の情報処理機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された、上述した制御部120による処理およびそれに関連する処理の制御に関するプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0080】
また、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)等に適用する場合、上述した制御に関するプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体やインターネット等のデータ信号を通じて提供することができる。図8はその様子を示す図である。PC950は、CD-ROM953を介してプログラムの提供を受ける。また、PC950は通信回線951との接続機能を有する。コンピュータ952は上記プログラムを提供するサーバーコンピュータであり、ハードディスク等の記録媒体にプログラムを格納する。通信回線951は、インターネット、パソコン通信などの通信回線、あるいは専用通信回線などである。コンピュータ952はハードディスクを使用してプログラムを読み出し、通信回線951を介してプログラムをPC950に送信する。すなわち、プログラムをデータ信号として搬送波により搬送して、通信回線951を介して送信する。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給できる。
【0081】
(変形例4)
上述の実施形態において、第1通信制御部122、文字列抽出部123、第1出力制御部124、文字列選択部125、検索式生成部126、第2通信制御部127および検索結果データ取得部128による処理等の制御部120による処理は、処理装置を有するPC等の情報処理装置または当該情報処理装置により構成される端末装置15に配置された制御部により行ってもよい。この場合、端末装置15に対しても上記変形例3と同様これらの処理を行うためのプログラムが提供される。
【0082】
上述の実施形態または変形例によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1の態様による実施形態では、文献情報提供方法は、単一のコンピュータ、または、互いにネットワークを介して接続される複数のコンピュータを用いた文献情報提供方法であって、ユーザからの第1入力に基づく第1文字列を取得することと、前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ複数のデータを受信することと、前記複数のデータから、前記酵素に関する情報を示す複数の第2文字列を抽出することと、抽出された前記複数の第2文字列のうち、少なくとも一つの文字列を用いて、検索式を生成することと、前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得することと、前記検索結果データに基づく情報を出力することとを備える。これにより、酵素に関連する文献の検索での検索漏れを低減することができる。
【0083】
(2)第2の態様に係る実施形態では、第1の態様の文献情報提供方法は、コンピュータの処理としてさらに、前記複数の第2文字列の抽出の後、抽出された前記複数の第2文字列を表示することと、前記複数の第2文字列についての前記ユーザからの第2入力を検出することと、抽出された前記複数の第2文字列のうち、前記第2入力に基づいた少なくとも一つの文字列を用いて、前記検索式を生成することとを備える。これにより、ユーザの入力に基づいて文献を検索する検索式に用いる文字列が選択されるため、より精度の高い検索結果を得ることができる。
【0084】
(3)第3の態様による実施形態では、第1または第2のいずれかの態様の文献情報提供方法は、コンピュータの処理としてさらに、抽出された前記複数の第2文字列のそれぞれに、情報源となる前記第1サーバまたは前記データベースの情報を対応付けることを備える。これにより、文献を検索する検索式に用いる文字列を、情報源となるDBの情報と共にユーザに提供することができる。
【0085】
(4)第4の態様の実施形態では、第1から第3までのいずれかの態様の文献情報提供方法において、コンピュータの処理により、前記検索結果データに基づき、前記酵素に関する情報と対応付けて、検索された文献についての情報を出力する。これにより、文献が、酵素または対応する遺伝子の名称等について、酵素に関するどのような情報と関連があるかをわかりやすく表示することができる。
【0086】
(5)第5の態様の実施形態では、第1から第4までのいずれかの態様の文献情報提供方法において、前記第1文字列は、酵素の名称または酵素の分類に対応する文字列である。同一の酵素またはそれに対応する遺伝子等が、異なる複数の名称で呼ばれることが少なくないが、この構成によりこれらの名称を網羅した検索結果を得ることができる。
【0087】
(6)第6の態様の実施形態では、第1から第5までのいずれかの態様の文献情報提供方法において、前記酵素に関する情報は、酵素の名称、酵素の分類、遺伝子の名称および代謝経路の少なくとも一つである。これにより、酵素の名称、酵素の分類、遺伝子の名称および代謝経路について関連のある文献の検索漏れを低減することができる。
【0088】
(7)第7の態様の実施形態では、第1から第6までのいずれかの態様の文献情報提供方法において、前記酵素の分類は、反応特異性および基質特異性に基づいた分類である。これにより、酵素反応の反応特異性および基質特異性について、上述したような関連のある文献の検索漏れを低減することができる。
【0089】
(8)第8の態様の実施形態では、プログラムは、ユーザからの入力に基づく第1文字列を取得する第1文字列取得処理(図5のフローチャートのステップS1001に対応)と、前記第1文字列を、酵素に関する情報を含む複数のデータベースにそれぞれ接続された複数の第1サーバに送信し、前記複数のデータベースにおいて前記第1文字列の検索で得られたそれぞれ複数のデータを受信するデータ通信処理(ステップS103およびS1005に対応)と、前記複数のデータから、前記酵素に関する情報を示す複数の第2文字列を抽出する第2文字列抽出処理(ステップS1007に対応)と、抽出された前記複数の第2文字列のうち、少なくとも一つの文字列を用いて、検索式を生成する検索式生成処理(ステップS1013に対応)と、前記検索式を用いた文献データベースの検索により得られた検索結果データを取得する検索結果データ取得処理(ステップS1017に対応)と、を処理装置に行わせるためのプログラムである。これにより、酵素に関連する文献の検索での検索漏れを低減することができる。
【0090】
本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0091】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特願2019-108170号(2019年6月10日出願)
【符号の説明】
【0092】
1,2…文献情報提供システム、9,ネットワーク、10,10a…文献情報提供側システム、11…文献情報提供サーバ、12…文献情報提供装置、15,15a,15b,15c…端末装置、20…酵素情報DB側システム、21,21a,21b,21c…酵素情報DBサーバ、22,22a,22b,22c…酵素情報DB、30…文献DB側システム、31,31a,31b,31c…文献DBサーバ、32,32a,32b,32c…文献DB、40…分析装置、42…データ解析装置、60…入力文字列項目名要素、61…分類項目名要素、62…名称項目名要素、63…別称項目名要素、64…遺伝子名項目名要素、70…入力文字列表示要素、71…分類表示要素、72…名称表示要素、73…別称表示要素、74…遺伝子名表示要素、80,80a,80b…切替要素、90,90a,90b…DB表示要素、121…入力文字列取得部、122…第1通信制御部、123…文字列抽出部、124…第1出力制御部、125…文字列選択部、126…検索式生成部、127…第2通信制御部、128…検索結果データ取得部、129…第2出力制御部、D1…抽出文字列リスト表示画面、D2…文献情報表示画面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8