(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】包装用容器の蓋体
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
B65D43/08 210
(21)【出願番号】P 2020071163
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰爾
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0352046(US,A1)
【文献】特許第6566998(JP,B2)
【文献】特開2011-011779(JP,A)
【文献】特開2018-062368(JP,A)
【文献】特開2014-218272(JP,A)
【文献】特開2010-052789(JP,A)
【文献】特開2019-198982(JP,A)
【文献】特開2020-040701(JP,A)
【文献】特開2012-096810(JP,A)
【文献】特開2018-140787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、その周縁から下方に向かう側壁部と、その下端部側に設けた、容器本体に嵌合する嵌合部と、を有し、樹脂シートからなる包装用容器の蓋体であって、
該天面部を、他の包装用容器を載せ置く平坦面状とし、
該天面部と該側壁部との連結部分を、該天面部及び該側壁部をともに蓋体内側に向かい凹ませた凹状部とし、
該凹状部を、断面において
曲線からなる湾曲状として、該天面部
の縁部全周に渡り設け、
該天面部と該凹状部との結合部分である第一連結部及び該側壁部と該凹状部との結合部分である第二連結部の表面側の曲率半径
が1.0mm以下になるよう折り曲げて形成してある、
包装用容器の蓋体。
【請求項2】
前記側壁部
を平坦面状にした
請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装用容器の蓋
体を用いた包装用容器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の包装用容器の蓋
体を、雄型を用いて製造する包装用容器の蓋
体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段積みするのに適した、樹脂シートからなる包装用容器の蓋体又は容器本体に関する。
【背景技術】
【0002】
お弁当、お惣菜、サラダ、麺類などが薄肉の樹脂シートからなる包装用容器に収容され、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店頭で段積みに陳列されていることがよく見かけられる。
このような包装用容器は、薄肉の樹脂シートから形成されていながら、段積みされても変形しない剛性を有するように設計されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、容器本体と蓋体とを備え、容器本体の底面部に形成された凸部を受け入れるための凹部が蓋体の天面部に形成され、容器本体の凸部が蓋体の凹部に入り込むようにして多段に積み重ねることが可能な包装用容器において、蓋体の凹部の周縁に、蓋体内に突出する凸条からなる屈曲部が形成されることを特徴とする包装用容器が開示され、この包装用容器は多段積みにしても蓋体が潰れにくいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の包装用容器の好ましい態様として、蓋体の天面部の外周から下方に延びる周壁部に、リブが周方向に適宜間隔を有して形成されることが開示されているように、周壁部の剛性を高めるために、リブを設けることがよく行われている。
しかし、周壁部に多数のリブを設けるとリブが視界を遮り内部に収容した収容物の視認性が悪くなる。特に段積みした場合は天面部が覆われ、内部を視認できる箇所が周壁部に限定されるため、ここに多数のリブを設けてしまうと収容物がどのようなものであるか確認しにくくなってしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、周壁部に多数のリブなどを設けなくとも段積みできる剛性を備えた包装用容器の蓋体を提供することにあり、同様の構造を備えた容器本体も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の包装用容器の蓋体は、天面部と、その周縁から下方に向かう側壁部と、その下端部側に設けた、容器本体に嵌合する嵌合部と、を有し、樹脂シートからなる包装用容器の蓋体であって、該天面部を他の包装用容器を載せ置く平坦面状とし、該天面部と該側壁部との連結部分を、該天面部及び該側壁部をともに蓋体内側に向かい凹ませた凹状部とし、該凹状部を、断面において曲線からなる湾曲状として、該天面部の縁部全周に渡り設け、該天面部と該凹状部との結合部分である第一連結部及び該側壁部と該凹状部との結合部分である第二連結部の表面側の曲率半径が1.0mm以下になるよう折り曲げて形成してあることを特徴とする。
【0008】
このように、樹脂シートからなる薄肉の包装用容器の蓋体において、天面部と側壁部との連結部分を凹状部にすることにより、天面部に他の包装用容器などを載せても凹状部が撓み、外力を適度に吸収するため、段積みしても側壁部などが押し潰れにくくなる。
【0009】
上記形態において、凹状部を、断面において湾曲状とすることができる。
このようにすることにより、凹状部が外力を吸収しやすくなるとともに弾性により復元しやすくなる。
【0010】
上記形態において、天面部及び側壁部をそれぞれ平坦面状にすることができる。
このようにすることにより、蓋体を透明などにした場合、天面部及び側壁部にリブなどがないため容器内部を視認しやすくなる。容器を段積みした場合は、側壁部を通して収容物を確認することができる。
【0011】
また、参考形態の包装用容器の容器本体は、底面部と、その周縁から上方に向かう側壁部と、その上端部側に設けた、蓋体に嵌合させる被嵌合部と、を有し、樹脂シートからなる包装用容器の容器本体であって、該底面部と該側壁部との連結部分を、該底面部及び該側壁部をともに本体内側に向かい凹ませた凹状部とし、該凹状部を、断面において曲線からなる湾曲状として、該底面部の縁部全周に渡り設け、該底面部と該凹状部との結合部分である第一連結部及び該側壁部と該凹状部との結合部分である第二連結部の表面側の曲率半径が1.0mm以下になるよう折り曲げて形成してあることを特徴とする。
このようにしても、蓋体と同様に、段積みしても凹状部が撓み、外力を適度に吸収するため、側壁部などが押し潰れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の包装用容器の蓋体の斜視図である。
【
図2】
図1の蓋体を長手の側壁部側から視た側面図である。
【
図3】
図1の蓋体を短手の側壁部側から視た側面図である。
【
図5】
図1の蓋体の側壁部を切断した部分拡大端面図である。
【
図6】
図1に蓋体に嵌合される容器本体の一例を示した斜視図である。
【
図7】
図1に蓋体において、天面部が押下された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の包装用容器の蓋体の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明の一実施形態の包装用容器の蓋体1は、
図1に示すように、天面部11と、側壁部12と、凹状部13とを備える。
【0015】
天面部11は、
図2~
図4に示すように、平面視長方形状の平坦面とした水平面状に形成してある。平坦面にすることにより、段積みしやすく、また、透明などにした場合、内部が視認しやすくなる。
本実施形態では平面視長方形状にしてあるが、これに限定されるものではなく、正方形や菱形などの平面視矩形状、六角形や八角形などの平面視多角形状、円形状、長円形状などにしてもよい。また、本実施形態では平坦面にしてあるが、中央付近が膨らむ曲面(ドーム)状、側面視で湾曲したアーチ状、凹凸を繰り返す波状などにしてもよい。
【0016】
側壁部12は、
図5に示すように、天面部11の周囲から下方傾斜した平坦面に形成してある。平坦面にすることにより、透明などにした場合、内部が視認しやすくなる。
本実施形態では傾斜状の平坦面にしてあるが、これに限定されるものではなく、垂下面状、凸曲面状や凹曲面状にしてもよい。
天面部11と側壁部12とのなす角(
図5のθ)は、特に限定するものではないが、90°以上が好ましい。その上限値は110°以下にするのが好ましい。
【0017】
凹状部13は、天面部11と側壁部12の連結部分付近を凹ませ、周方向全周に渡り形成してある。本実施形態では凹状部13を蓋体の周方向の全周に渡り形成してあるが、これに限定されるものではなく、凹状部13を一部に設け、断続的に形成してもよい。他の部分は直角又は鈍角の折れ角状に屈曲させるのが好ましい。凹状部13を周方向全周に渡り設けると外力吸収の機能を最大限に発揮できるが、蓋体1の剛性が低下するおそれがある。また、凹状部13ではなく角状にすれば、蓋体1の剛性を高めることができる。さらに、デザイン性の観点から角状にするのが好ましい場合もある。この外力吸収との剛性の調整を図りつつ、デザイン性を加味して蓋体1の設計をするのが好ましい。このような観点から、凹状部13を、天面部11と側壁部12の連結部分付近の周方向全周の長さに対して約半分以上、特に約70%以上、さらに約80%以上に設けるのが好ましい。
凹状部13は、断面を湾曲状にしてある。この断面は、曲線状に形成してあれば半径が一定の円弧状でなくてもよい。このようにすることにより、天面部11への荷重を凹状部13で吸収することができ、復元しやすくなる。
本実施形態では断面湾曲状としてあるが、これに限定されるものではなく、断面において凹ませてあればよく、折れ線状に凹ませてもよい。
【0018】
天面部11と凹状部13との結合部分である第一連結部14は、特に限定するものではないが、蓋体1の表面側の曲率半径Rが1.0mm以下であるのが好ましい。また、側壁部12と凹状部13との結合部分である第二連結部15は、特に限定するものではないが、蓋体1の表面側の曲率半径Rが1.0mm以下であるのが好ましい。このようにすることにより、凹状部13で荷重を効率よく吸収することができる。
【0019】
凹状部13は、一定の幅で形成し、幅を狭く形成するのが好ましい。より具体的には、
図2に示すように、平面視における凹状部13の幅Wが、天面部11及び凹状部13の幅W´に対して8%以下の割合になるようにするのが好ましい。幅が広いと凹状部13が撓み過ぎ、段積みした際に天面部11が大きく沈み込んでしまう。なお、幅W´は、天面部11及び凹状部13の最大幅を示す。
【0020】
側壁部12の下端部には、蓋体外側に向くフランジ部16が形成してあり、その先端部には、垂下面とした嵌合部17が設けてある。
嵌合部17には、蓋体内側に向けて突出する係合部18が形成してあり、容器本体2に嵌合できるようにしてある。係合部18は、周方向に適宜長さで断続的に形成してある。蓋体1の四隅には舌片状に突き出る摘み部19が設けてある。
【0021】
蓋体1を被せる容器本体2は、蓋体1を被せられるように設計してあればどのような形態でもよい。
容器本体2は、例えば、
図6に示すように、いわゆるはかま型であり、平面視長方形状で水平面状の底面部21の周縁から上方に立ち上がる側壁部22を備え、壁面部22の上端部を本体外側に折り返して被嵌合部23を設け、その下端部を下方に延ばして脚部24としたものである。
【0022】
被嵌合部23は、蓋体1の嵌合部17が外嵌合できるようにしてあり、本体外側に突出した係止部25を全周に渡り形成し、係合部18が係合するようにしてある。
本実施形態では、蓋体1を容器本体2に外嵌合する構造としてあるが、これに限定されるものではなく、内嵌合、内外嵌合などの嵌合構造でもよく、蓋体1を容器本体2に載せ置く構造でもよい。
【0023】
蓋体1及び容器本体2からなる包装用容器は、例えば、食料品などを収容物として収容することができ、より具体的には、お弁当、お惣菜、お寿司、サラダなどを収容することができる。
【0024】
蓋体1及び容器本体2は、特に限定するものではないが、合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートは、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シートのいずれでもよいが、非発泡樹脂シートが好ましい。
非発泡樹脂シートの場合には、いわゆる薄肉樹脂シートを用いるのが好ましく、具多的には、厚みが0.1mm~2.0mmの範囲内、特に0.2mm~1.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。
発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.5mm~4.0mmの範囲内、特に0.7mm~2.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。また、発泡樹脂シートの場合には、発泡倍率を1.05倍~20.0倍、特に1.5倍~15.0倍にするのが好ましい。
【0025】
非発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂シート・ポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シート・耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを用いることができる。また、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートを用いてもよい。
【0026】
発泡樹脂シートとしては、例えば、発泡ポリオレフィン系樹脂シート、発泡ポリスチレン系樹脂シート、発泡ポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
合成樹脂シートを積層した積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、非発泡樹脂シート又は発泡樹脂シートに樹脂フィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0027】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。蓋体1を熱成形する際には、雄型を用いて成型するのが好ましい。雄型を用いることにより、天面部11の厚みを厚くしやすくなり、剛性を上げることができる。
【0028】
蓋体1及び容器本体2は、黒色や白色などの有色でもよいが、内部が視認できるように透明乃至半透明であることが好ましく、特に、蓋体1は透明乃至半透明が好ましく、容器本体2は黒色などの非透明が好ましい。また、蓋体1の表面に、視認性を妨げない程度に、文字、絵柄などの印刷や刻印を施してもよく、補強のためのリブを設けることや滑り止めのためのシボ加工を施してもよい。直方体状に膨出させたスタック用突起部Sを設けることもでき、蓋体1を重ねた際に各蓋体1が密着しないようにすることができる。
【0029】
図示しないが、本発明の他の実施形態として、容器本体に凹状部を設けた構造にすることもできる。
この容器本体は、例えば、蓋体1を天地逆さにした構造をなし、より具体的には、平面状の底面部の周縁から上方に向かう側壁部を有し、底面部と側壁部との連結部分を本体内側に向かい凹ませた凹状部として形成することができる。この場合も、凹状部を、断面において湾曲状とし、底面部及び側壁部をそれぞれ平坦面状にすることが好ましい。
このような容器本体は、凹状部で容器本体への荷重を吸収することができるため、側壁部が押し潰されにくくなる。
【0030】
蓋体1と容器本体2をヒンジ部で一体的に連結した、いわゆるフードパックにしてもよい。
【0031】
本実施形態の包装用容器は、例えば、容器本体2に食料品を収容した後、蓋体1を嵌合させて使用することができる。
【0032】
この包装用容器は段積みした場合、天面部11が押下されても、
図7に示すように、凹状部13が撓み、側壁部12に荷重がかかりにくく、側壁部12が押し潰されにくくなる。そのため、側壁部12に補強するためのリブなどを設けなくともよい。特に蓋体1を透明にした場合は、段積みしても側壁部12にリブなどがないため、視認性がよく、内部の収容物を確認することができる。
【0033】
天面部11にかかる荷重を取り除けば、凹状部13の弾性力により、元の形状に復元することができる。
【0034】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にする限り変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【符号の説明】
【0035】
1蓋体
11天面部
12側壁部
13凹状部
14第一連結部
15第二連結部
16フランジ部
17嵌合部
18係合部
19摘み部
2容器本体
21底面部
22側壁部
23被嵌合部
24脚部
25係止部
Sスタック用突起部