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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】熱水消毒連携システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
A61M1/16 171
A61M1/16 161
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020176520
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067750
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593061891
【氏名又は名称】日本ウォーターシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】津山 義生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武徳
(72)【発明者】
【氏名】上原 崇史
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221311(JP,A)
【文献】特開2018-027256(JP,A)
【文献】特開2019-013740(JP,A)
【文献】特開2010-279461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水が貯留される第1原水タンクと、
前記第1原水タンク内の原水を前処理する第1前処理ユニットと、
前記第1前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第1RO水と第1RO排水とに分離する第1ROモジュールと、
前記第1RO排水を含む排水の熱を原水の加温に利用するための熱交換装置と、
前記第1RO水を貯留するRO水タンクと、
前記第1RO水を外部装置へ送水するための第1送水ポートと、
前記外部装置から前記RO水タンクへ戻す第1送水戻りを受容するための第1送水戻りポートと、
を有する第1水処理装置と、
原水が導入される第2原水ポートと、
前記第2原水ポートに導入される原水を前処理する第2前処理ユニットと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第2RO水と第2RO排水とに分離する第2ROモジュールと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水を前記第2ROモジュールへ供給する第2ROポンプと、
前記第2前処理ユニットと前記第2ROポンプとの間に設けられた第2原水開閉弁と、
前記第2RO水を外部装置へ送水するための第2送水ポートと、
前記外部装置から前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻りを受容するための第2送水戻りポートと、
前記第2RO排水を含む排水を前記第1水処理装置へ排水するための排水ポートと、
を有する第2水処理装置と、
を備え、
前記第1水処理装置は、更に、
前記第2水処理装置からの排水を受容するための排水受容ポートと、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水ポートへと導く第1送水路と、
前記第1送水戻りを前記第1送水戻りポートから前記RO水タンクへ戻す第1送水戻り路と、
前記第2水処理装置からの排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の上流側または下流側で前記第1RO排水に合流させる第1排水合流路と、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水路へと供給する第1送水ポンプと、
前記RO水タンク内に設けられたRO水加熱装置と、
を有しており、
前記第2水処理装置は、更に、
前記第1水処理装置から消毒水を受容するための消毒水受容ポートと、
前記第2RO水を前記第2ROモジュールから前記第2送水ポートへと導く第2送水路と、
前記第2送水戻りを前記第2送水戻りポートから前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻り路と、
前記第2RO排水を前記第2ROモジュールから前記排水ポートへと導く第2排水路と、
前記第2送水戻り路の途中で分岐して前記第2送水戻りを前記第2RO排水に合流させる第2排水合流路と、
前記第2排水合流路に設けられた第2排水開閉弁と、
前記消毒水を前記消毒水受容ポートから前記第2ROポンプの上流側へと導く第2消毒水路と、
前記第2消毒水路に設けられた第2消毒水開閉弁と、
を有する第2水処理装置と、
を備え、
前記第2水処理装置の熱水消毒の実施時において、
前記第1水処理装置の前記RO水加熱装置が作動して、前記第1送水路によって前記RO水タンクから高温の前記第1RO水が前記第1送水ポートへと導かれるようになっており、
前記第1水処理装置の前記第1送水ポートは、前記第2水処理装置の前記消毒水受容ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2原水開閉弁は、閉鎖されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2消毒水開閉弁は、開放されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2送水ポートと前記第2送水戻りポートは、短絡されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、閉鎖されるようになっている
ことを特徴とする熱水消毒連携システム。
【請求項2】
前記第2水処理装置の熱水消毒の終了時において、
前記第1水処理装置の前記排水受容ポートは、前記第2水処理装置の前記排水ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、開放されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の熱水消毒連携システム。
【請求項3】
前記第1排水合流路は、前記第2水処理装置からの排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の上流側で前記第1RO排水に合流させるようになっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱水消毒連携システム。
【請求項4】
前記第1排水合流路は、前記第2水処理装置からの排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の下流側で前記第1RO排水に合流させるようになっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱水消毒連携システム。
【請求項5】
前記第2水処理装置は、第2ハウジングを有しており、
前記第2送水ポート、前記第2送水戻りポート、前記消毒水受容ポート及び前記排水ポートは、前記第2ハウジングの前方側に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱水消毒連携システム。
【請求項6】
前記第2水処理装置のフラッシング処理の実施時において、
前記第1送水路によって前記RO水タンクから非高温の前記第1RO水が前記第1送水ポートへと導かれるようになっており、
前記第1水処理装置の前記第1送水ポートは、前記第2水処理装置の前記消毒水受容ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2原水開閉弁は、閉鎖されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2消毒水開閉弁は、開放されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2送水ポートと前記第2送水戻りポートは、短絡されるようになっており、
前記第1水処理装置の前記排水受容ポートは、前記第2水処理装置の前記排水ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、開放されるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱水消毒連携システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析治療に用いられる人工透析用水等を製造するための2以上の水処理装置において、熱水消毒を連携して実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工透析用水を製造する水処理装置は、病院等の医療施設において有効に活用されている。例えば、20人以上の患者のための多量の人工透析用水を製造する大型の水処理装置(専用の部屋に固定される)と、1~2人程度の患者のための比較的少量の人工透析用水を製造する小型の水処理装置(キャスタ等が付いていて病室間を移動可能である)と、が知られている。
【0003】
[大型の水処理装置50の構成及び機能]
図7は、大型の水処理装置50の概略図である。図7に示すように、原水は、まず、原水タンク51に貯留される。原水タンク51の内部には、加温用ヒータ51hが設けられていて、原水の温度を25℃にまで加温する。
【0004】
25℃に加温された原水は、次に、原水ポンプ52によって前処理ユニット53に送られる。前処理ユニット53は、プレフィルタ53aと、軟水装置53bと、カーボンフィルタ53cと、を当該順序で有している。プレフィルタ53aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、軟水装置53bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ53cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0005】
前処理ユニット53での前処理が終わった原水は、ROユニット54(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット54は、ROポンプ54pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール54m内に供給する。ROモジュール54mは、原水内に含まれる無機イオン全般を除去する。ROモジュール54mでの処理を終えたRO水(原水の15~48%程度)は、RO水供給ユニット55に送られ、ROモジュール54mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(原水の5~80%程度、「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ54pを介してROモジュール54m内に再投入され、他の一部(原水の5~48%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0006】
RO水供給ユニット55は、RO水が貯留されるRO水タンク55tを有している。RO水タンク55t内には、UV照射装置55uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク55tには、当該RO水タンク55t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ55fが設けられている。更に、RO水タンク55tには、熱水消毒処理のために、RO水を加熱するためのヒータ55hが設けられている。
【0007】
RO水タンク55tに貯留されたRO水は、送水ポンプ56を介して、UF57(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られる。UF57は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF57によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。通常、それらの医療機器において、透析用水は36℃前後にまで加温されて、各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器循環後、UF58(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク55tに戻される。
【0008】
水処理装置50のハウジングに、RO水を各種の医療機器へ送水するための送水ポート61と、当該医療機器からRO水タンク55tへ戻る送水戻りを受容するための送水戻りポート62と、が設けられている。
【0009】
RO水は、RO水タンク55tから送水ポート61へと送水路63によって導かれ、送水戻りは、送水戻りポート62からRO水タンク55tへと送水戻り路64によって戻されるようになっている。また、送水ポート61と送水戻りポート62とは、熱水消毒時には、短絡路65によって短絡可能となっている。
【0010】
その他、原水タンク51の上流側には、RO排水の熱を原水の加温に利用するための熱交換装置51eが設けられている。熱交換装置51eは、排水の温度を50℃未満となるように制御する機能も有している。
【0011】
[大型の水処理装置50の消毒]
以上のような大型の水処理装置50は、RO水タンク55t、送水ポンプ56、UF57、送水路63、送水ポート61、送水戻りポート62、送水戻り路64、及び、UF58を熱水消毒することができる。
【0012】
具体的には、送水ポート61と送水戻りポート62とが短絡路65によって短絡(直結)されて、循環路が形成される。
【0013】
そして、RO水タンク55t内のRO水がヒータ55hによって加熱されて、80~85℃程度の消毒用の熱水となる。当該熱水が、送水ポンプ56によって前記循環路内を循環することで、熱水消毒が実施される(この間、RO水の補充はされず、排水もされない)。熱水消毒は、例えば10~30分間実施される。
【0014】
熱水消毒終了時には、送水戻り路64から分岐する熱水排水路66を介して(熱水排水路66上の排水開閉弁66vが開放され、送水戻り路64上の戻り開閉弁64v(熱水排水路66との分岐部とRO水タンク55tとの間に設けられる)が閉鎖されて)、熱水が熱交換装置51eを介して排水される。
【0015】
[小型の水処理装置70の構成及び機能]
図8は、小型の水処理装置70の概略図である。図8に示すように、原水は、原水ポート71に導入される。
【0016】
原水ポート71に導入された原水は、前処理ユニット73に送られる。前処理ユニット73は、プレフィルタ73aと、カーボンフィルタ73cと、を当該順序で有している。プレフィルタ73aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、カーボンフィルタ73cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0017】
前処理ユニット73での前処理が終わった原水は、ROユニット74(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット74は、インバータポンプ74pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール74m内に供給する。ROモジュール74mは、原水内に含まれる無機イオン全般を除去する。
【0018】
ROモジュール74mでの処理を終えたRO水(原水の41~45%程度)は、送水路83によってUF77(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)を介して、送水ポート81に送られる。送水ポート81に送られたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。そして、透析用水は、医療機器循環後、送水戻りポート82に戻ってきて、送水戻り路84によってインバータポンプ74pの上流側に再投入される。
【0019】
一方、ROモジュール74mでの処理によって生成されたRO排水は、一部(原水の35~50%程度、「循環水」とも呼ばれる)がインバータポンプ74pの上流側に再投入され、他の一部(原水の56~59%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水路86によって排水ポート87へと排水処理される。
【0020】
小型の水処理装置70は、RO水が貯留されるRO水タンクを有しておらず、RO水を加熱するためのヒータを有していない。従って、大型の水処理装置50のような熱水消毒ができない。そこで、代わりに、薬液ボトルが接続される薬液導入路75が設けられている。薬液導入路75の下流端は、UF77と送水ポート81との間に接続されている。
【0021】
送水ポート81と送水戻りポート82とは、薬液消毒時には、短絡路85によって短絡可能となっている。また 送水戻り路84の途中で排水合流路88が分岐し、当該排水合流路88は排水路86に合流している。
【0022】
原水ポート71、送水ポート81、送水戻りポート82、及び、排水ポート87は、それぞれ、水処理装置70のハウジングの前面に設けられている。
【0023】
[小型の水処理装置70の消毒]
以上のような小型の水処理装置70は、送水路83の一部、送水ポート81、送水戻りポート82、及び、送水戻り路84の一部、を薬液消毒することができる。
【0024】
具体的には、送水ポート81と送水戻りポート82とが短絡路85によって短絡(直結)される一方、排水合流路88上の排水開閉弁88vが開放されて送水戻り路84上の戻り開閉弁84v(排水合流路88の分岐部とインバータポンプ74pの上流側との間に設けられる)が閉鎖される。
【0025】
そして、薬液ボトル90が薬液導入路75に接続されて、薬液が当該薬液導入路75を介して導入され、ROモジュール74mでの処理を終えたRO水に混合され、送水路83の一部、送水ポート81、短絡路85、送水戻りポート82、及び、送水戻り路84の一部(排水合流路88の分岐部まで)、が薬液の通過によって消毒される。消毒後の薬液は、排水合流路88及び排水路86を通って排水ポート87から排出される。
【0026】
薬液としては、例えば過酢酸系薬品が使用され得る。1回の薬液消毒で導入される薬液の量は250mL程度であり、3~10分程度をかけて1.0~1.5L/min程度のRO水に混合されて使用され得る。
【0027】
なお、先行技術文献としては、本件出願人が先に取得した特許(特許文献1)を挙げておく。当該特許文献1には、原水加温に関するエネルギー効率を改善した人工透析用水製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【文献】特許第6725143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
消毒効果は、薬液消毒よりも熱水消毒の方が高い。また、熱水消毒によれば、薬液が装置内に残留するというリスクから完全に解放される。従って、小型の水処理装置70に対しても、薬液消毒でなく熱水消毒を行うことが望ましい。
【0030】
しかしながら、小型の水処理装置70の各々に単純に熱水消毒機能を付加する(具体的には、ヒータを有するRO水タンク等を設ける)ことは、コスト増が大きいため、現実的ではなかった。
【0031】
本件発明者は、小型の水処理装置70が利用されている施設内で大型の水処理装置50をも利用されている場合、両者が連携できるように両者の少なくとも一方に改造を施すことによって、小型の水処理装置70に対しても熱水消毒を行うことが可能となることを見出した。
【0032】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、透析治療に用いられる人工透析用水等を製造するための2以上の水処理装置において、熱水消毒を連携して実施するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、
原水が貯留される第1原水タンクと、
前記第1原水タンク内の原水を前処理する第1前処理ユニットと、
前記第1前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第1RO水と第1RO排水とに分離する第1ROモジュールと、
前記第1RO排水を含む排水の熱を原水の加温に利用するための熱交換装置と、
前記第1RO水を貯留するRO水タンクと、
前記第1RO水を外部装置へ送水するための第1送水ポートと、
前記外部装置から前記RO水タンクへ戻す第1送水戻りを受容するための第1送水戻りポートと、
外部装置から外部装置排水を受容するための排水受容ポートと、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水ポートへと導く第1送水路と、
前記第1送水戻りを前記第1送水戻りポートから前記RO水タンクへ戻す第1送水戻り路と、
前記外部装置排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の上流側または下流側で前記第1RO排水に合流させる第1排水合流路と、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水路へと供給する第1送水ポンプと、
前記RO水タンク内に設けられたRO水加熱装置と、
を有する第1水処理装置と、
原水が導入される第2原水ポートと、
前記第2原水ポートに導入される原水を前処理する第2前処理ユニットと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第2RO水と第2RO排水とに分離する第2ROモジュールと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水を前記第2ROモジュールへ供給する第2ROポンプと、
前記第2前処理ユニットと前記第2ROポンプとの間に設けられた第2原水開閉弁と、
前記第2RO水を外部装置へ送水するための第2送水ポートと、
前記外部装置から前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻りを受容するための第2送水戻りポートと、
前記第2RO排水を含む排水を外部装置へ排水するための排水ポートと、
外部装置から消毒水を受容するための消毒水受容ポートと、
前記第2RO水を前記第2ROモジュールから前記第2送水ポートへと導く第2送水路と、
前記第2送水戻りを前記第2送水戻りポートから前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻り路と、
前記第2RO排水を前記第2ROモジュールから前記排水ポートへと導く第2排水路と、
前記第2送水戻り路の途中で分岐して前記第2送水戻りを前記第2RO排水に合流させる第2排水合流路と、
前記第2排水合流路に設けられた第2排水開閉弁と、
前記消毒水を前記消毒水受容ポートから前記第2ROポンプの上流側へと導く第2消毒水路と、
前記第2消毒水路に設けられた第2消毒水開閉弁と、
を有する第2水処理装置と、
を備え、
前記第2水処理装置の熱水消毒の実施時において、
前記第1水処理装置の前記RO水加熱装置が作動して、前記第1送水路によって前記RO水タンクから高温の前記第1RO水が前記第1送水ポートへと導かれるようになっており、
前記第1水処理装置の前記第1送水ポートは、前記第2水処理装置の前記消毒水受容ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2原水開閉弁は、閉鎖されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2消毒水開閉弁は、開放されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2送水ポートと前記第2送水戻りポートは、短絡されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、閉鎖されるようになっている
ことを特徴とする熱水消毒連携システム
である。
【0034】
本発明によれば、第1水処理装置の高温の第1RO水が、第2水処理装置の消毒水受容ポートを利用して第2水処理装置に供給され、第2水処理装置の熱水消毒に利用され得る。これにより、第2水処理装置自体にヒータ等を設けることなく、第2水処理装置を熱水消毒することができる。
【0035】
また、前記第2水処理装置の熱水消毒の終了時において、前記第1水処理装置の前記排水受容ポートは、前記第2水処理装置の前記排水ポートに接続されるようになっており、前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、開放されるようになっている。
【0036】
これによれば、第2水処理装置の熱水消毒による排水の処理に関しても、第1水処理装置における排水処理のための構成を利用することができる。
【0037】
好ましくは、前記第1排水合流路は、前記外部装置排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の上流側で前記第1RO排水に合流させるようになっている。
【0038】
これによれば、第1水処理装置の熱交換装置によって提供される排熱回収のための構成を、第2水処理装置の熱水消毒による排水の処理に関しても利用することができる。
【0039】
もっとも、本件出願の時点においては、熱交換装置の下流側(例えば第1水処理装置のハウジングの外側)で、第2水処理装置の熱水消毒による排水が合流される態様をも排除しない。すなわち、前記第1排水合流路は、前記外部装置排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の下流側で前記第1RO排水に合流させるようになっていてもよい。
【0040】
なお、前記第2水処理装置は、第2ハウジングを有しており、前記第2送水ポート、前記第2送水戻りポート、前記消毒水受容ポート及び前記排水ポートは、前記第2ハウジングの前方側に設けられていることが好ましい。
【0041】
これによれば、第2水処理装置に対する各種の接続配管の取り付け作業及び取り外し作業が容易である。
【0042】
また、好ましくは、
前記第2水処理装置のフラッシング処理の実施時において、
前記第1送水路によって前記RO水タンクから非高温の前記第1RO水が前記第1送水ポートへと導かれるようになっており、
前記第1水処理装置の前記第1送水ポートは、前記第2水処理装置の前記消毒水受容ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2原水開閉弁は、閉鎖されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2消毒水開閉弁は、開放されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2送水ポートと前記第2送水戻りポートは、短絡されるようになっており、
前記第1水処理装置の前記排水受容ポートは、前記第2水処理装置の前記排水ポートに接続されるようになっており、
前記第2水処理装置の前記第2排水開閉弁は、開放されるようになっている。
【0043】
これによれば、第1水処理装置の非高温の第1RO水が、第2水処理装置の消毒水受容ポートを利用して第2水処理装置に供給され、第2水処理装置のフラッシング処理に利用され得る。特に、フラッシング処理用の供給水(第1RO水)は、第2前処理ユニットを通過することなく第2ROモジュールに送られるため、第2水処理装置の効果的なフラッシング処理を行うことができる。
【0044】
また、前述の発明概念のサブコンビネーションである第1水処理装置も、本願による特許の保護対象である。
【0045】
すなわち、本発明は、
原水が貯留される第1原水タンクと、
前記第1原水タンク内の原水を前処理する第1前処理ユニットと、
前記第1前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第1RO水と第1RO排水とに分離する第1ROモジュールと、
前記第1RO排水を含む排水の熱を原水の加温に利用するための熱交換装置と、
前記第1RO水を貯留するRO水タンクと、
前記第1RO水を外部装置へ送水するための第1送水ポートと、
前記外部装置から前記RO水タンクへ戻す第1送水戻りを受容するための第1送水戻りポートと、
外部装置から外部装置排水を受容するための排水受容ポートと、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水ポートへと導く第1送水路と、
前記第1送水戻りを前記第1送水戻りポートから前記RO水タンクへ戻す第1送水戻り路と、
前記外部装置排水を前記排水受容ポートから前記熱交換装置の上流側または下流側で前記第1RO排水に合流させる第1排水合流路と、
前記第1RO水を前記RO水タンクから前記第1送水路へと供給する第1送水ポンプと、
前記RO水タンク内に設けられたRO水加熱装置と、
を有する第1水処理装置
である。
【0046】
あるいは、前述の発明概念のサブコンビネーションである第2水処理装置も、本願による特許の保護対象である。
【0047】
すなわち、本発明は、
原水が導入される第2原水ポートと、
前記第2原水ポートに導入される原水を前処理する第2前処理ユニットと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水に対して逆浸透膜を用いて当該原水を第2RO水と第2RO排水とに分離する第2ROモジュールと、
前記第2前処理ユニットによって前処理された原水を前記第2ROモジュールへ供給する第2ROポンプと、
前記第2前処理ユニットと前記第2ROポンプとの間に設けられた第2原水開閉弁と、
前記第2RO水を外部装置へ送水するための第2送水ポートと、
前記外部装置から前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻りを受容するための第2送水戻りポートと、
前記第2RO排水を含む排水を外部装置へ排水するための排水ポートと、
外部装置から消毒水を受容するための消毒水受容ポートと、
前記第2RO水を前記第2ROモジュールから前記第2送水ポートへと導く第2送水路と、
前記第2送水戻りを前記第2送水戻りポートから前記第2ROポンプの上流側へ戻す第2送水戻り路と、
前記第2RO排水を前記第2ROモジュールから前記排水ポートへと導く第2排水路と、
前記第2送水戻り路の途中で分岐して前記第2送水戻りを前記第2RO排水に合流させる第2排水合流路と、
前記第2排水合流路に設けられた第2排水開閉弁と、
前記消毒水を前記消毒水受容ポートから前記第2ROポンプの上流側へと導く第2消毒水路と、
前記第2消毒水路に設けられた第2消毒水開閉弁と、
を有する第2水処理装置
である。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、第1水処理装置の高温の第1RO水が、第2水処理装置の消毒水受容ポートを利用して第2水処理装置に供給され、第2水処理装置の熱水消毒に利用され得る。これにより、第2水処理装置自体にヒータ等を設けることなく、第2水処理装置を熱水消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態に係る熱水消毒連携システムの第1水処理装置の概略図である。
図2】本実施形態に係る熱水消毒連携システムの第2水処理装置の概略図である。
図3】本実施形態に係る熱水消毒連携システムの第2水処理装置の正面図である。
図4】本実施形態に係る熱水消毒連携システムの第2水処理装置の側面図である。
図5】本実施形態に係る熱水消毒連携システムの概略図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る熱水消毒連携システムの概略図である。
図7】従来の大型の水処理装置の概略図である。
図8】従来の小型の水処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0051】
[第1水処理装置10の構成及び機能]
図1は、本発明の一実施形態に係る熱水消毒連携システム100の第1水処理装置10の概略図である。図1に示すように、本実施形態の第1水処理装置10は、外部装置から外部装置排水を受容するための排水受容ポート27と、当該排水受容ポート27で受容する外部装置排水を熱交換装置11eの上流側でRO排水(第1RO水)に合流させる排水合流路28(第1排出合流路)と、を更に備えている。その他の構成は、従来の大型の水処理装置50と略同様である。
【0052】
すなわち、原水が、まず、原水タンク11(第1原水タンク)に貯留される。原水タンク11の内部には、加温用ヒータ11hが設けられていて、原水の温度を25℃にまで加温する。
【0053】
25℃に加温された原水は、次に、原水ポンプ12によって前処理ユニット13(第1前処理ユニット)に送られる。前処理ユニット13は、プレフィルタ13aと、軟水装置13bと、カーボンフィルタ13cと、を当該順序で有している。プレフィルタ13aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、軟水装置13bは、主として原水中のカルシウムイオン(Ca2+ )及びマグネシウムイオン(Mg2+ )を除去し、カーボンフィルタ13cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0054】
前処理ユニット13での前処理が終わった原水は、ROユニット14(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット14は、ROポンプ14pを用いて、前処理が終わった原水をROモジュール14m(第1ROモジュール)内に供給する。ROモジュール14mは、原水内に含まれる無機イオン全般を除去する。ROモジュール14mでの処理を終えたRO水(原水の15~48%程度)(第1RO水)は、RO水供給ユニット15に送られ、ROモジュール14mでの処理によって生成されたRO排水(第1RO排水)は、一部(原水の5~80%程度、「循環水」とも呼ばれる)がROポンプ14pを介してROモジュール14m内に再投入され、他の一部(原水の5~48%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水処理される。
【0055】
RO水供給ユニット15は、RO水が貯留されるRO水タンク15tを有している。RO水タンク15t内には、UV照射装置15uが設けられていて、RO水にUV照射処理を行なえるようになっている。また、RO水タンク15tには、当該RO水タンク15t内のRO水の水位変化に依存して流入する外部空気中の浮遊菌やゴミを除去するために、エアーフィルタ15fが設けられている。更に、RO水タンク15tには、熱水消毒処理のために、RO水を加熱するためのヒータ15h(RO水加熱装置)が設けられている。
【0056】
RO水タンク15tに貯留されたRO水は、送水ポンプ16(第1送水ポンプ)を介して、UF17(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に送られる。UF17は、RO水から生物学的不純物を除去する。UF17によって生物学的不純物を除去されたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。通常、それらの医療機器において、透析用水は36℃前後にまで加温されて、各種の透析治療に利用される。そして、透析用水は、医療機器循環後、UF18(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)に戻ってきて、更にRO水タンク15tに戻される。
【0057】
第1水処理装置10のハウジング10hに、RO水(第1RO水)を各種の医療機器へ送水するための送水ポート21(第1送水ポート)と、当該医療機器からRO水タンク15tへ戻る送水戻り(第1送水戻り)を受容するための送水戻りポート22(第1送水戻りポート)と、が設けられている。
【0058】
RO水は、RO水タンク15tから送水ポート21へと送水路23(第1送水路)によって導かれ、送水戻りは、送水戻りポート22からRO水タンク15tへと送水戻り路24(第1送水戻り路)によって戻されるようになっている。また、送水ポート21と送水戻りポート22とは、熱水消毒時には、短絡路25によって短絡可能となっている。
【0059】
また、原水タンク11の上流側には、RO排水(第1RO排水)の熱を原水の加温に利用するための熱交換装置11eが設けられている。熱交換装置11eは、排水の温度を45℃以下となるように制御する機能も有している(場合によって、原水が冷却水としてRO排水に混合されるようになっていてもよい)。
【0060】
そして、本実施形態の第1水処理装置10は、外部装置から外部装置排水を受容するための排水受容ポート27と、当該排水受容ポート27で受容する外部装置排水を熱交換装置11eの上流側でRO排水に合流させる排水合流路28(第1排出合流路)と、を更に備えている。
【0061】
[第1水処理装置10の消毒]
以上のような第1水処理装置10は、RO水タンク15t、送水ポンプ16、UF17、送水路23、送水ポート21、送水戻りポート22、送水戻り路24、及び、UF18を熱水消毒することができる。
【0062】
具体的には、送水ポート21と送水戻りポート22とが短絡路25によって短絡(直結)されて、循環路が形成される。
【0063】
そして、RO水タンク15t内のRO水がヒータ15hによって加熱されて、80~85℃程度の消毒用の熱水となる。当該熱水が、送水ポンプ16によって前記循環路内を循環することで、熱水消毒が実施される(この間、RO水の補充はされず、排水もされない)。熱水消毒は、例えば10~30分間実施される。
【0064】
熱水消毒終了時には、送水戻り路24から分岐する熱水排水路26を介して(熱水排水路26上の排水開閉弁26vが開放され、送水戻り路24上の戻り開閉弁24v(熱水排水路26との分岐部とRO水タンク15tとの間に設けられる)が閉鎖されて)、熱水が熱交換装置11eを介して排水される。
【0065】
第1水処理装置10の熱水消毒時には、排水受容ポート27及び排水合流路28(第1排出合流路)は使用されない。
【0066】
[第2水処理装置30の構成及び機能]
図2は、本発明の一実施形態に係る熱水消毒連携システム100の第2水処理装置30の概略図である。図2に示すように、本実施形態の第2水処理装置30は、外部装置から消毒水を受容するための消毒水受容ポート38と、当該消毒水受容ポート38で受容する消毒水をインバータポンプ34pの上流側へと導く消毒水路39(第2消毒水路)と、当該消毒水路39上に設けられた消毒水開閉弁39v(第2消毒水開閉弁)と、前処理ユニット33とインバータポンプ34pとの間に設けられた原水開閉弁49(第2原水開閉弁)と、を更に備えている。その他の構成は、従来の小型の水処理装置70と略同様である。
【0067】
すなわち、原水が、原水ポート31(第2原水ポート)に導入される。原水ポート31に導入された原水は、前処理ユニット33(第2前処理ユニット)に送られる。前処理ユニット33は、プレフィルタ33aと、カーボンフィルタ33cと、を当該順序で有している。プレフィルタ33aは、主として原水中の不純物(ゴミ)を濾過し、カーボンフィルタ33cは、主として原水中の残留塩素(総塩素:遊離塩素+結合塩素)を除去する。
【0068】
前処理ユニット33での前処理が終わった原水は、ROユニット34(逆浸透膜処理装置)に送られる。ROユニット34は、インバータポンプ34p(第2ROポンプ)を用いて、前処理が終わった原水をROモジュール34m(第2ROモジュール)内に供給する。ROモジュール34mは、原水内に含まれる無機イオン全般を除去する。
【0069】
ROモジュール34mでの処理を終えたRO水(原水の41~45%程度)(第2RO水)は、送水路43(第2送水路)によってUF37(ウルトラフィルタ、「限界濾過膜」とも呼ばれる)を介して、送水ポート41(第2送水ポート)に送られる。送水ポート41に送られたRO水は、透析用水として、透析治療用の各種の医療機器に送られる。そして、透析用水は、医療機器循環後、送水戻りポート42(第2送水戻りポート)に戻ってきて、送水戻り路44(第2送水戻り路)によってインバータポンプ34pの上流側に再投入される。
【0070】
一方、ROモジュール34mでの処理によって生成されたRO排水(第2RO排水)は、一部(原水の35~50%程度、「循環水」とも呼ばれる)がインバータポンプ74pの上流側に再投入され、他の一部(原水の56~59%程度、「濃縮水」とも呼ばれる)が排水路46(第2排水路)によって排水ポート47へと排水処理される。
【0071】
第2水処理装置30は、RO水が貯留されるRO水タンクを有しておらず、RO水を加熱するためのヒータを有していない。従って、単独では、第1水処理装置10のような熱水消毒ができない。そこで、代わりに、薬液ボトルが接続される薬液導入路35が設けられていてもよい。薬液導入路35の下流端は、UF37と送水ポート41との間に接続され得る。送水ポート41と送水戻りポート42とは、薬液消毒時には、短絡路45によって短絡可能とされ得る。
【0072】
なお 第2水処理装置30は、薬液導入路35が設けられるか否かに関わらず、送水戻り路44の途中で排水合流路48(第2排水合流路)が分岐しており、当該排水合流路48は排水路46(第2排水路)に合流している。
【0073】
そして、本実施形態の第2水処理装置30は、外部装置から消毒水を受容するための消毒水受容ポート38と、当該消毒水受容ポート38で受容する消毒水をインバータポンプ34pの上流側へと導く消毒水路39(第2消毒水路)と、当該消毒水路39上に設けられた消毒水開閉弁39v(第2消毒水開閉弁)と、前処理ユニット33とインバータポンプ34pとの間に設けられた原水開閉弁49(第2原水開閉弁)と、を更に備えている。
【0074】
原水ポート31、消毒水受容ポート38、送水ポート41、送水戻りポート42、及び、排水ポート47は、それぞれ、第2水処理装置30のハウジング30hの前面に設けられている。図3は、本実施形態の第2水処理装置30の正面図であり、図4は、本実施形態の第2水処理装置30の側面図である。
【0075】
[第2水処理装置30の薬液消毒]
薬液導入路35が設けられている場合、送水路43の一部、送水ポート41、送水戻りポート42、及び、送水戻り路44の一部、を薬液消毒することができる。
【0076】
具体的には、送水ポート41と送水戻りポート42とが短絡路45によって短絡(直結)される一方、排水合流路48上の排水開閉弁48vが開放されて送水戻り路44上の戻り開閉弁44v(排水合流路48の分岐部とインバータポンプ34pの上流側との間に設けられる)が閉鎖される。
【0077】
そして、薬液ボトル90が薬液導入路35に接続されて、薬液が当該薬液導入路35を介して導入され、ROモジュール34mでの処理を終えたRO水に混合され送水路43の一部、送水ポート41、短絡路45、送水戻りポート42、及び、送水戻り路44の一部(排水合流路48の分岐部まで)、が薬液の通過によって消毒される。消毒後の薬液は、排水合流路48及び排水路46を通って排水ポート47から排出される。
【0078】
薬液としては、例えば過酢酸系薬品が使用され得る。1回の薬液消毒で導入される薬液の量は250mL程度であり、3~10分程度をかけて1.0~1.5L/min程度のRO水に混合されて使用され得る。
【0079】
[第2水処理装置30の熱水消毒]
第1水処理装置10との連携が可能である場合、インバータポンプ34p、ROモジュール34m、UF37、送水路43、送水ポート41、送水戻りポート42、及び、送水戻り路44を熱水消毒することができる。
【0080】
具体的には、送水ポート41と送水戻りポート42とが短絡路45によって短絡(直結)されて、循環路が形成される。
【0081】
一方、図3乃至図5に示すように、第1水処理装置10の送水ポート21と第2水処理装置30の消毒水受容ポート38とが接続配管を介して接続され、第1水処理装置10の排水受容ポート27と第2水処理装置30の排水ポート47とが接続配管を介して接続される。図5は、本実施形態に係る熱水消毒連携システム100の概略図である。
【0082】
そして、第1水処理装置10のRO水タンク15t内のRO水(第1RO水)がヒータ15h(RO水加熱装置)によって加熱されて、80~85℃程度の消毒用の熱水となる。当該熱水が、送水ポンプ16によって送水路23を介して送水ポート21に送られ、接続配管を介して第2水処理装置30の消毒水受容ポート38に送られる。ここで、原水開閉弁49(第2原水開閉弁)が閉鎖され、消毒水開閉弁39v(第2消毒水開閉弁)が開放されることで、前記熱水が、第2水処理装置30の前記循環路内に供給される。これにより、第2水処理装置30の熱水消毒が実施される(所定量の熱水が循環路内に供給された後は、熱水の補充はされず(消毒水開閉弁39vが閉鎖され)、排水もされない)。熱水消毒は、例えば10~30分間実施される。
【0083】
熱水消毒終了時には、排水合流路48上の排水開閉弁48vが開放され、送水戻り路44上の戻り開閉弁44vが閉塞される。これにより、消毒後の熱水は、排水合流路48及び排水路46を通って排水ポート47から排出され、接続配管を介して第1水処理装置10の排水受容ポート27に送られる。
【0084】
そして、第1水処理装置10において、排水受容ポート27で受容した排水(熱水)が、熱交換装置11eによって熱交換(排熱処理)された後、排水される。
【0085】
[第2水処理装置30のフラッシング処理]
第1水処理装置10との連携が可能である場合、第1水処理装置10の送水ポンプ16の駆動力(例えば、3L/min以上、0.2MPa)を利用して、第2水処理装置30のROモジュール34mのフラッシング処理を行うこともできる。
【0086】
具体的には、熱水消毒時と同様に、送水ポート41と送水戻りポート42とが短絡路45によって短絡(直結)されて、循環路が形成される。
【0087】
そして、熱水消毒時と同様に、第1水処理装置10の送水ポート21と第2水処理装置30の消毒水受容ポート38とが接続配管を介して接続され、第1水処理装置10の排水受容ポート27と第2水処理装置30の排水ポート47とが接続配管を介して接続される。
【0088】
一方、熱水消毒終了時と同様に、排水合流路48上の排水開閉弁48vが開放され、送水戻り路44上の戻り開閉弁44vが閉塞される。
【0089】
そして、第1水処理装置10のRO水タンク15t内のRO水が、送水ポンプ16によって送水路23を介して送水ポート21に送られ、接続配管を介して第2水処理装置30の消毒水受容ポート38に送られる。ここで、原水開閉弁49(第2原水開閉弁)が閉鎖され、消毒水開閉弁39v(第2消毒水開閉弁)が開放されることで、前記RO水がインバータポンプ34p(非駆動状態とされる)を通過してROモジュール34mに送られる。これにより、第2水処理装置30のROモジュール34mのフラッシング処理が行われる。
【0090】
フラッシング処理後のRO水は、排水合流路48及び排水路46を通って排水ポート47から排出され、接続配管を介して第1水処理装置10の排水受容ポート27に送られる。
【0091】
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態の熱水消毒連携システム100によれば、第1水処理装置10の高温のRO水(第1RO水)が、第2水処理装置30の消毒水受容ポート38を利用して第2水処理装置30に供給され、第2水処理装置30の熱水消毒に利用され得る。これにより、第2水処理装置30自体にヒータ等を設けることなく、第2水処理装置30を熱水消毒することができる。
【0092】
また、熱水消毒終了時には、排水合流路48上の排水開閉弁48v(第2排水開閉弁)が開放され、送水戻り路44上の戻り開閉弁44vが閉塞され、消毒後の熱水は、排水合流路48及び排水路46を通って排水ポート47から排出され、接続配管を介して第1水処理装置10の排水受容ポート27に送られる。これにより、第2水処理装置30の熱水消毒による排水の処理に関しても、第1水処理装置10の熱交換装置11e(排水処理のための構成)を利用することができる。
【0093】
また、本実施形態の熱水消毒連携システム100によれば、原水ポート31、消毒水受容ポート38、送水ポート41、送水戻りポート42、及び、排水ポート47が、第2水処理装置30のハウジング30hの前面に設けられているため、第2水処理装置30に対する各種の接続配管(医療施設等の廊下内に這うように配置され得る)の取り付け作業及び取り外し作業が容易である。
【0094】
また、第2水処理装置30の各種の弁(消毒水開閉弁39v、戻り開閉弁44v、排水開閉弁48v、原水開閉弁49)は、第1水処理装置10の側で制御されてもよい。この場合、例えば、第1水処理装置10の制御盤が、有線ケーブル(医療施設等の廊下内に這うように配置され得る)等を介して、第2水処理装置30の制御線ポート30eに接続され得る(図3参照)。
【0095】
また、本実施形態の熱水消毒連携システム100によれば、第1水処理装置10のRO水(第1RO水)が、第2水処理装置30の消毒水受容ポート38を利用して第2水処理装置30に供給され、第2水処理装置30のROモジュール34mのフラッシング処理にも利用され得る。フラッシング処理用の供給水(第1RO水)が、前処理ユニット33(第2前処理ユニット)を通過することなくROモジュール34m(第2ROモジュール)に送られるため、第2水処理装置30の効果的なフラッシング処理を行うことができる。
【0096】
[他の実施形態]
以上に説明した実施形態においては、排水合流路28(第1排水合流路)が、外部装置排水(第2水処理装置030の排水)を熱交換装置11eの上流側でRO排水(第1RO排水)に合流させるようになっているが、熱交換装置11eの下流側でRO排水(第1RO排水)に合流させるようになっていてもよい。例えば、図6に示す熱水消毒連携システム100’のように、第1水処理装置10’のハウジング10hの外側に排水受容ポート27’が設けられ、排水合流路28’は第1水処理装置10’のハウジング10hの外側で(熱交換装置11eの下流側で)外部装置排水(第2水処理装置30の排水)をRO排水(第1RO排水)に合流させるようになっていてもよい。
【0097】
なお、図5及び図6の例では、いずれも、温度センサ11tによって排水温度が監視されており、必要に応じて原水が冷却水としてRO排水(第1RO排水)に混合されるようになっている。
【符号の説明】
【0098】
10、10’ 第1水処理装置
10h ハウジング
11 原水タンク
11e 熱交換装置
11h 加温用ヒータ
11t 温度センサ
12 原水ポンプ
13 前処理ユニット
13a プレフィルタ
13b 軟水装置
13c カーボンフィルタ
14 ROユニット
14m ROモジュール
14p ROポンプ
15 RO水供給ユニット
15f エアーフィルタ
15h ヒータ
15t RO水タンク
15u UV照射装置
16 送水ポンプ
21 送水ポート
22 送水戻りポート
23 送水路
24 送水戻り路
24v 戻り開閉弁
25 短絡路
26 熱水排水路
26v 排水開閉弁
27、27’ 排水受容ポート
28、28’ 排水合流路
30 第2水処理装置
30e 制御線ポート
30h ハウジング
31 原水ポート
33 前処理ユニット
33a プレフィルタ
33c カーボンフィルタ
34 ROユニット
34m ROモジュール
34p インバータポンプ
35 薬液導入路
38 消毒水受容ポート
39 消毒水路
39v 消毒水開閉弁
41 送水ポート
42 送水戻りポート
43 送水路
44 送水戻り路
44v 戻り開閉弁
45 短絡路
46 排水路
47 排水ポート
48 排水合流路
48v 排水開閉弁
49 原水開閉弁
50 水処理装置
51 原水タンク
51e 熱交換装置
51h 加温用ヒータ
52 原水ポンプ
53 前処理ユニット
53a プレフィルタ
53b 軟水装置
53c カーボンフィルタ
54 ROユニット
54m ROモジュール
54p ROポンプ
55 RO水供給ユニット
55f エアーフィルタ
55h ヒータ
55t RO水タンク
55u UV照射装置
56 送水ポンプ
61 送水ポート
62 送水戻りポート
63 送水路
64 送水戻り路
64v 戻り開閉弁
65 短絡路
66 熱水排水路
66v 排水開閉弁
70 水処理装置
71 原水ポート
73 前処理ユニット
73a プレフィルタ
73c カーボンフィルタ
74 ROユニット
74m ROモジュール
74p インバータポンプ
75 薬液導入路
81 送水ポート
82 送水戻りポート
83 送水路
84 送水戻り路
84v 戻り開閉弁
85 短絡路
86 排水路
87 排水ポート
88 排水合流路
88v 排水開閉弁
90 薬液ボトル
100、100’ 熱水消毒連携システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8