(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2021103384
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2022-10-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善大
(72)【発明者】
【氏名】倉田 豪
(72)【発明者】
【氏名】中村 渉
【合議体】
【審判長】▲吉▼川 康史
【審判官】稲荷 宗良
【審判官】渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-80049(JP,A)
【文献】特開2020-151188(JP,A)
【文献】特開2020-199038(JP,A)
【文献】特開2004-344498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に関する所定制御を実行する制御手段を備えた遊技機において、
前記所定制御を実行する上で用いられる
第1情報が記憶され
る情報記憶手段と、
遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象の発生に基づいて所定の遊技価値を付与可能な付与手段と、
前記所定事象の発生又は前記所定の遊技価値の付与に基づいて第2情報を導出可能な導出手段と、
前記第2情報に基づいて移行条件が成立した場合に
遊技停止状態に移行させることが可能な移行手段と
、
を備え、
前記導出手段により導出された前記第2情報が前記情報記憶手段に記憶されるように構成されており、
第1切替操作により電源オフ状態から電源オン状態への切り替えが可能であり、第2切替操作により電源オン状態から電源オフ状態への切り替えが可能であり、
前記情報記憶手段に前記
第2情報が記憶されている状況で前記第2切替操作により電源オフ状態とされた後、前記第1切替操作以外の他の操作が行われることなく、前記第1切替操作により電源オン状態とされた場合に、前記情報記憶手段の前記
第2情報が消去されることを可能とする手段、又は前記情報記憶手段に前記
第2情報が記憶されている状況で前記第2切替操作により電源オフ状態とされた場合に、前記情報記憶手段の前記
第2情報が消去されることを可能とする手段のうち、少なくともいずれかの手段を備え
、
前記情報記憶手段に前記第1情報が記憶されている状況で前記移行手段による遊技停止状態への移行が行われた後、少なくとも前記第2切替操作が行われるまでの間において、前記情報記憶手段に前記第1情報が記憶された状態が維持され得るように構成されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてパチンコ遊技機やスロットマシンなどが知られている。例えば、パチンコ遊技機では、遊技者の発射操作に応じて遊技領域に向けて遊技球が発射され、例えば遊技領域に設けられた入球部に遊技球が入球した場合に賞球等の遊技価値の付与が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、スロットマシンでは、スタートレバーの操作により抽選処理が実行されるとともにリールの回転が開始され、当該リールの回転中にストップボタンが操作されることによりリールの回転が停止される。そして、リールの回転停止後の停止結果が抽選処理の当選役に対応したものである場合には、当該当選役に対応した遊技価値が遊技者に付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記例示したような遊技機等においては、遊技機を好適に動作させる上で未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、好適に動作させることが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
遊技の進行に関する所定制御を実行する制御手段を備えた遊技機において、
前記所定制御を実行する上で用いられる第1情報が記憶される情報記憶手段と、
遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象の発生に基づいて所定の遊技価値を付与可能な付与手段と、
前記所定事象の発生又は前記所定の遊技価値の付与に基づいて第2情報を導出可能な導出手段と、
前記第2情報に基づいて移行条件が成立した場合に遊技停止状態に移行させることが可能な移行手段と、
を備え、
前記導出手段により導出された前記第2情報が前記情報記憶手段に記憶されるように構成されており、
第1切替操作により電源オフ状態から電源オン状態への切り替えが可能であり、第2切替操作により電源オン状態から電源オフ状態への切り替えが可能であり、
前記情報記憶手段に前記第2情報が記憶されている状況で前記第2切替操作により電源オフ状態とされた後、前記第1切替操作以外の他の操作が行われることなく、前記第1切替操作により電源オン状態とされた場合に、前記情報記憶手段の前記第2情報が消去されることを可能とする手段、又は前記情報記憶手段に前記第2情報が記憶されている状況で前記第2切替操作により電源オフ状態とされた場合に、前記情報記憶手段の前記第2情報が消去されることを可能とする手段のうち、少なくともいずれかの手段を備え、
前記情報記憶手段に前記第1情報が記憶されている状況で前記移行手段による遊技停止状態への移行が行われた後、少なくとも前記第2切替操作が行われるまでの間において、前記情報記憶手段に前記第1情報が記憶された状態が維持され得るように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技機を好適に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【
図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図5】(a)は閉鎖状態である場合の第2作動口の概略図、(b)は開放状態である場合の第2作動口の概略図である。
【
図6】(a)は閉鎖状態である場合の可変入賞装置の断面図、(b)は開放状態である場合の可変入賞装置の断面図である。
【
図7】遊技領域を流下した遊技球の排出に関する構成を説明するための説明図である。
【
図9】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための図である。
【
図11】図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための図である。
【
図12】図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための図である。
【
図13】当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
【
図14】主側ROMに記憶されている各種テーブルを説明するための説明図である。
【
図15】報知用表示装置の表示内容を説明するための説明図である。
【
図16】主側ROMのプログラム及びデータの設定態様を説明するための説明図である。
【
図17】主側RAMにおける各エリアの設定態様を説明するための説明図である。
【
図18】主制御装置のMPUにおけるメイン処理を示すフローチャートである。
【
図19】設定値更新処理を示すフローチャートである。
【
図20】設定確認用処理を示すフローチャートである。
【
図21】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【
図22】特図特電制御処理を示すフローチャートである。
【
図23】特図変動開始処理を示すフローチャートである。
【
図24】入球検知センサの検知結果が入力されるようにする構成を説明するための説明図である。
【
図25】入球検知処理を示すフローチャートである。
【
図26】払出制御装置及び当該払出制御装置との間で通信を行う各種装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図27】払出制御装置のMPUにおけるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【
図28】ベース値及び差球数処理を示すフローチャートである。
【
図29】ベース値及び差球数用実行処理を示すフローチャートである。
【
図30】ベース値算出処理を示すフローチャートである。
【
図31】非特定制御用のワークエリアにおける各エリアの設定態様を説明するための説明図である。
【
図32】超過判定用処理を示すフローチャートである。
【
図33】(a)は表示設定用処理を示すフローチャート、(b)は表示種別カウンタの値と表示種別との対応関係を説明するための説明図である。
【
図34】報知用表示処理を示すフローチャートである。
【
図35】報知用表示装置の表示内容を説明するための説明図である。
【
図36】遊技停止判定用処理を示すフローチャートである。
【
図37】(a)は超過時立上げ用処理を示すフローチャート、(b)は部分クリア用処理を示すフローチャートである。
【
図38】部分クリア用実行処理を示すフローチャートである。
【
図39】(a)は差球数を利用した遊技制限における処理の流れを説明するための説明図、(b)は差球数の変化の様子を示す図である。
【
図40】(a)遊技停止状態の態様を説明するための説明図、(b)は復電時における初期化処理の態様を説明するための説明図である。
【
図41】第1の実施の形態の変形例1に係る差球数の変化の様子を示す図である。
【
図42】(a)非特定制御用のワークエリアの設定態様を説明するための説明図、(b)は最下点判定処理を説明するための説明図である。
【
図43】超過判定用処理を示すフローチャートである。
【
図44】第1の実施の形態の変形例2に係る停電情報記憶処理を示すフローチャートである。
【
図45】電断時クリア用処理を示すフローチャートである。
【
図46】電断時クリア用実行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、
図2及び
図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、
図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
【0011】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機本体12とを有している。
【0012】
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
【0013】
遊技機本体12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機本体12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(
図2及び
図3参照)。
【0014】
図2に示すように、遊技機本体12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
【0015】
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(
図3参照)。
【0016】
次に、前扉枠14について説明する。
図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
【0017】
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
【0018】
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
【0019】
図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵したランプ部(環状電飾部)26が設けられている。ランプ部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、ランプ部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
【0020】
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31の内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32の内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0021】
また、上側膨出部31の上面部には、遊技者により手動操作される演出用操作部36(詳しくは押し操作ボタン)が設けられている。例えば、後述する図柄表示装置75の表示画面Gに表示された示唆等に従って演出用操作部36が手動操作されることにより、表示画面G等における演出内容が同操作に対応した所定の演出内容となる。
【0022】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
【0023】
前扉枠14の背面には、
図2に示すように、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
【0024】
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、
図2に示すように、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
【0025】
次に、
図2及び
図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。
【0026】
樹脂ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0027】
樹脂ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、
図3に示すように、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる複数の内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機本体12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
【0028】
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
【0029】
樹脂ベース50の中央部には略楕円形状の窓孔54が形成され、樹脂ベース50に装着された遊技盤60によって窓孔54が後方から塞がれている。遊技盤60は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔54を通じて樹脂ベース50の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤60の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。なお、遊技盤60は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
【0030】
以下、
図4に基づき遊技盤60(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。
図4は遊技盤60の正面図である。
【0031】
遊技盤60には、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、スルーゲート64、可変入賞装置65、可変表示ユニット67等がそれぞれ設けられている。
【0032】
一般入賞口61、可変入賞装置65、第1作動口62及び第2作動口63への入球が発生すると、それが入賞センサ(検知センサ)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。この場合に、一般入賞口61への入球が発生した場合には10個の遊技球の払出が実行され、可変入賞装置65への入球が発生した場合には15個の遊技球の払出が実行される。また、第1作動口62への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、第2作動口63への入球が発生した場合には1個の遊技球の払出が実行される。ちなみにスルーゲート64への入球が発生しても遊技球の払出は実行されない。
【0033】
なお、これら賞球の個数は任意であり、例えば第1作動口62に係る賞球個数と第2作動口63に係る賞球個数とが同数となる構成としてもよいし、第2作動口63に係る賞球個数の方が第1作動口62に係る賞球個数よりも多い構成としてもよい。また、可変入賞装置65に係る賞球個数が他の作動口等に係る賞球個数と同数又は少ない構成としてもよい。また、スルーゲート64への入球が発生した場合に所定数の遊技球が払い出される構成してもよい。
【0034】
遊技盤60の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入球部に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域PEから排出される。ここで、入球とは、所定の開口部位を遊技球が通過することを意味し、同開口部位を通過した後に遊技球が遊技領域PEから排出される態様だけでなく、開口部位を通過した後に遊技領域PEから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口68への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、作動口62,63、可変入賞装置65又はスルーゲート64への入球を、入賞とも表現する。
【0035】
また、遊技盤60には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘69が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘69や風車等の各種構成によって遊技球の流れが多様化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
【0036】
遊技盤60の中央部には、上記可変表示ユニット67が配置されている。可変表示ユニット67は、遊技盤60の裏面側に設置されており(
図3)、遊技盤60の中央部に設けられた開口部を通じてその表示画面Gを視認することが可能となっている。遊技盤60の前面には、上記開口部の周縁部に対応させて枠状のセンターフレーム76が取り付けられている。
【0037】
センターフレーム76は遊技盤60の前面から前方に突出しており、センターフレーム76の前面とガラスユニット22との隙間寸法は遊技球の直径寸法よりも小さくなっている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球がセンターフレーム76の内側領域に流入して表示画面Gに接触することが回避されている。また、センターフレーム76により、遊技球が遊技領域PEを流下する際の流下経路が左右に分散され、センターフレーム76の左側を通る左ルートと右側を通る右ルートとが形成されている。
【0038】
左ルートと右ルートのいずれを遊技球が流下(通過)するかは、遊技球発射ハンドル41の回動操作量、すなわち、遊技球の発射勢によって定まる。発射された遊技球は、遊技盤60の左側上部から遊技領域PEに進入するため、遊技球の発射勢が強いほど遊技球が右ルートを流下しやすくなる。
【0039】
詳しくは、遊技者が第1発射操作として所定回動量以上であって基準回動量未満である第1範囲の回動操作量で遊技球発射ハンドル41の回動操作を行うと、発射された遊技球が左ルートを流下し、遊技者が第2発射操作として基準回動量以上である第2範囲の回動操作量で遊技球発射ハンドル41の回動操作を行うと、発射された遊技球が右ルートを流下する。なお、所定回動量とは、発射された遊技球が後述する誘導レール100を通過して遊技領域PEに進入可能となる回動操作量であり、基準回動量とは、センターフレーム76の頂部に到達可能な発射勢で遊技球を発射する回動操作量である。
【0040】
センターフレーム76(可変表示ユニット67)の下方には、上向きに開放された第1作動口62が配置されている。第1作動口62は、遊技盤60の左右中央部に位置するが、右ルートを流下する遊技球は第1作動口62に入賞しないように釘69等の遊技部品が配設されている。すなわち、左ルートを流下する遊技球のみが第1作動口62に入賞可能となっている。よって、遊技者が第1作動口62への入賞を狙う場合には、遊技球が左ルートを流下するように遊技球を発射して遊技することになる。第1作動口62には第1作動口検知センサ93a(
図7)が設けられており、当該検知センサ93aにより第1作動口62に入賞した遊技球が検知される。
【0041】
センターフレーム76(可変表示ユニット67)の右方には、第2作動口63が配置されている。第2作動口63の構成について
図5を参照しながら説明する。
【0042】
第2作動口63には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての普電役物63a(可変受入手段)が設けられている。具体的には、左右方向に回動可能に支持された上記一対の可動片が第2作動口63としての開口部を左右両側から挟むようにして配置されている。
【0043】
そして、上記各可動片が回動することで、
図5(a)に示す閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)と、
図5(b)に示す開放状態(サポート状態又はガイド状態)とに切り替わり可能となっている。詳しくは、第2作動口63の上部には、前方に突出するようにして突出部63dが設けられており、
図5(a)に示すように上記可動片が起立姿勢である場合には、それら各可動片と突出部63dとの隙間が遊技球の直径未満となり、第2作動口63への遊技球の流入が阻止される。一方、
図5(b)に示すように上記可動片が外側へ傾斜するように回動した場合には、上記突出部63dとの間に遊技球が通過可能な大きさの開口部が形成され、第2作動口63への遊技球の流入が許容される。第2作動口63には入球検知センサ94aが設けられており、入球検知センサ94により第2作動口63に入賞した遊技球が検知される。
【0044】
また、普電役物63aには、各可動片を駆動する駆動部63bが設けられている。各可動片は、駆動部63bにより図示しないリンク機構を通じて駆動されることで、開放状態(傾斜姿勢)と閉鎖状態(起立姿勢)とに切り換えられる。因みに第1作動口62には普電役物(開閉構造)が設けられていない。
【0045】
なお、上記構成では閉鎖状態である場合に第2作動口63への入賞が不可となるが、入賞可能な構成であってもよい。すなわち、閉鎖状態である場合に第2作動口63への入賞が可能であるものの、開放状態よりも入賞しにくい(入賞困難となる)構成であってもよい。要は、開放状態と閉鎖状態とで第2作動口63への入賞しやすさが相違するものであればよく、閉鎖や開放の度合は任意である。また、普電役物63aの構成は上記に限定されるものではなく、例えば、可動片が前後に回動したり、前後又は左右にスライド移動したりすることで、第2作動口63を開閉するものであってもよい。
【0046】
図4に示すように、右ルートにおいて第2作動口63の上方(上流側)にはスルーゲート64が配置されている。スルーゲート64は縦方向に貫通した図示しない貫通孔を有しており、スルーゲート64に入賞した遊技球は、スルーゲート64を通過して再び遊技領域PEを流下する。よって、スルーゲート64に入賞した遊技球は、第2作動口63にも入賞することが可能となっている。スルーゲート64には入球検知センサ97a(
図8)が設けられており、入球検知センサ97aによりスルーゲート64に入賞した遊技球が検知される。
【0047】
スルーゲート64は、第2作動口63に設けられた上記普電役物63aを開放状態とするためのトリガとなっている。具体的には、スルーゲート64への入賞を契機として内部抽選が行われ、その内部抽選の結果が開放結果(サポート当選)となることで、普電役物63aを閉鎖状態から開放状態とし、その後、閉鎖状態に復帰させる役物開閉遊技(サポート実行モード)が実行される。
【0048】
右ルートにおいて第2作動口63の下方(下流側)には可変入賞装置65が配置されている。可変入賞装置65の構成について
図6を参照しながら説明する。
【0049】
可変入賞装置65は、前方に開口する大入賞口65aと、当該大入賞口65aを開閉する開閉扉65bとを備えている。大入賞口65aは、正面視で横長の長方形状をなしており、複数個の遊技球が同時に入賞可能な大きさとなっている。大入賞口65aは、遊技盤60の背面側に設けられた案内通路65eと連通しており、大入賞口65aに入賞した遊技球は全て案内通路65eに導かれるように構成されている。案内通路65eには入球検知センサ95aが設けられており、入球検知センサ95aにより大入賞口65aに入賞した遊技球が検知される。
【0050】
また、可変入賞装置65には、開閉扉65bを駆動する駆動部65dが設けられている。開閉扉65bは、駆動部65dにより図示しないリンク機構を通じて駆動されることで、大入賞口65aに遊技球が入賞不能な閉鎖状態(
図6(a))と、大入賞口65aに遊技球が入賞可能な開放状態(
図6(b))とに切り換えられる。具体的には、通常は開閉扉65bが閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モード(大当たり遊技)への移行に当選した場合に開放状態に切り換えられる。
【0051】
開閉実行モードとは、大当たりに当選した場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードについては、後に詳細に説明する。可変入賞装置65の開放態様としては、大当たりである場合は、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば10ラウンド)を上限として可変入賞装置65が繰り返し開放される態様がある。
【0052】
なお、上記構成では閉鎖状態である場合に大入賞口65aへの入賞が不可となるが、入賞可能な構成であってもよい。すなわち、閉鎖状態である場合に、大入賞口65aへの入賞が可能であるものの、開放状態よりも入賞しにくい(入賞困難となる)構成であってもよい。要は、開放状態と閉鎖状態とで大入賞口65aへの入賞しやすさが相違するものであればよく、閉鎖や開放の度合は任意である。
【0053】
ここで、第2作動口63、スルーゲート64、可変入賞装置65に対しては、右ルートを流下する遊技球のみが入賞可能となっている。よって、遊技者が第2作動口63、スルーゲート64、可変入賞装置65への入賞を狙う場合には、遊技球が右ルートを流下するように遊技球を発射して遊技することになる。
【0054】
図4に示すように、可変入賞装置65の下方には、主表示ユニット81が設けられている。主表示ユニット81は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤60の前面から前方に突出している。主表示ユニット81の前面には、所定の絵柄等が表示される特図用表示部43及び普図用表示部44が設けられている。これら各表示部43,44は、前扉枠14のガラスユニット22を通じて前方から視認可能となっている。なお、主表示ユニット81の前面とガラスユニット22との隙間寸法は遊技球の直径よりも小さくなっている。これにより、主表示ユニット81の前方を遊技球が通過することが回避されており、各種表示部43,44の視認性が担保されている。
【0055】
特図用表示部43には、第1作動口62への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する第1特図表示部ASと、第2作動口63への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する第2特図表示部BSとが設けられている。
【0056】
第1特図表示部ASでは、第1作動口62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、第1作動口62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。第1作動口62への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、第1特図表示部ASにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードに移行する。
【0057】
第2特図表示部BSでは、第2作動口63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、第2作動口63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。第2作動口63への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、第2特図表示部BSにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードに移行する。
【0058】
以下においては、第1作動口62への入賞を契機に変動表示される絵柄と、第2作動口63への入賞を契機に変動表示される絵柄とを区別すべく、前者を第1特別図柄又は第1特図といい、後者を第2特別図柄又は第2特図ということがある。
【0059】
ここで、いずれかの作動口62,63への入賞に基づいて、対応する特図表示部AS,BSにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが特図表示部AS,BSにおける遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
【0060】
また、主表示ユニット81には特図保留数表示部AMが設けられている。遊技球が第1作動口62又は第2作動口63に入賞した回数は最大4回まで保留されるようになっており、特図保留数表示部AMには、第1特図(第1作動口62)の保留数と第2特図(第2作動口63)の保留数とを各別に表示可能となっている。
【0061】
普図用表示部44は、スルーゲート64への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果を明示するための表示部である。この場合、普図用表示部44では、スルーゲート64への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート64への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート64への入賞に基づく内部抽選の結果が普電役物63aを開放させるサポート状態への移行に対応した当選結果であった場合には、普図用表示部44にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、サポート状態へ移行する。なお、スルーゲート64への入賞を契機に変動表示される絵柄を普通図柄又は普図ということがある。
【0062】
ここで、スルーゲート64への入賞に基づいて、普図用表示部44にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが、普図用表示部44における遊技回の1回に相当する。以下においては、普図用表示部44における遊技回と特図表示部AS,BSにおける遊技回とを区別すべく、前者を普図遊技回といい、後者を特図遊技回ということがある。
【0063】
また、普図用表示部44には普図保留数表示部FMが設けられている。遊技球がスルーゲート64に入賞した回数は最大4回まで保留されるようになっており、普図保留数表示部FMには普図(スルーゲート64)の保留数を表示可能となっている。
【0064】
特図用表示部43及び普図用表示部44は、複数のセグメントを有するセグメント表示装置により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置など他の表示装置により構成されてもよい。
【0065】
その他、図示を省略しているが、主表示ユニット81には、開閉実行モードでのラウンド数を明示するためのラウンド表示部が設けられている。ラウンド表示部では、開閉実行モードが開始される場合又は開始された場合に上記ラウンド数の表示が開始される。この表示は、開閉実行モードが実行されている間、表示内容を変更することなく継続して行われ、開閉実行モードが終了する場合又は終了した場合に終了する。
【0066】
次に、可変表示ユニット67について説明する。可変表示ユニット67には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置75が設けられている。
【0067】
図柄表示装置75は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置75は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
【0068】
図柄表示装置75には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。この場合、図柄表示装置75における変動表示は、第1作動口62又は第2作動口63への入賞に基づいて開始される。すなわち、特図用表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置75においても変動表示が行われる。そして、可変入賞装置65が開放状態とされる大当たり遊技状態(開閉実行モード)に移行する場合には、図柄表示装置75では予め設定されている有効ライン上に所定の図柄組み合わせが停止表示される。
【0069】
また、図柄表示装置75には、第1特図表示部AS及び第2特図表示部BSに対応した保留表示が行われる。この保留表示では、所定の保留用画像が表示され、その表示個数により各作動口62,63の保留個数が示されるようになっている。なお、保留個数は、上記保留用画像により示されるものに限定されず、数字表示により示されるものであってもよい。また、図柄表示装置75に限らず、例えば、図柄表示装置75とは別に遊技盤60上に設けられた表示部(主表示ユニット81の各保留数表示部AM,FMとは別の表示部)や発光部(保留ランプ部)等により示される構成であってもよい。
【0070】
次に、遊技領域PAを流下した遊技球の排出に関する構成について
図7を参照しながら説明する。
【0071】
一般入賞口61、可変入賞装置65、第1作動口62、第2作動口63及びアウト口68のいずれかに入球した遊技球は、遊技盤60の背面側に導かれて遊技領域PAから排出される。換言すれば、遊技球発射機構から発射されて遊技領域PAに流入した遊技球は一般入賞口61、可変入賞装置65、第1作動口62、第2作動口63及びアウト口68のいずれかに入球することにより遊技領域PAから排出されることとなる。
【0072】
遊技盤60の背面には、一般入賞口61、可変入賞装置65、第1作動口62、第2作動口63及びアウト口68のそれぞれに対応させて排出通路部91~96が形成されている。排出通路部91~96に流入した遊技球はその流入した排出通路部91~96を流下することにより、遊技盤60の背面側において遊技盤60の下端部に導かれ図示しない排出球回収部にて回収される。そして、排出球回収部にて回収された遊技球は、遊技ホールにおいてパチンコ機10が設置された島設備の球循環装置に排出される。
【0073】
各排出通路部91~96には遊技球を検知するための各種検知センサ91a~96aが設けられている。これら排出通路部91~96及び検知センサ91a~96aについて以下に説明する。
【0074】
一般入賞口61は3個設けられているため、それら3個のそれぞれに対応させて排出通路部91,92が存在している。この場合、最も左の一般入賞口61に対応する第1排出通路部91には1個の検知センサ91aが設けられている。具体的には、第1排出通路部91の途中位置に検知範囲が存在するようにして第1入賞口検知センサ91aが設けられており、最も左の一般入賞口61に入球した遊技球は第1排出通路部91を通過する途中で第1入賞口検知センサ91aにて検知される。
【0075】
また、右側2個の一般入賞口61に対しては途中位置で合流するように形成された第2排出通路部92が設けられている。当該第2排出通路部92は、2個の一般入賞口61のそれぞれに対応する入口側領域を有しているとともに、それら入口側領域が途中で合流することで1個の出口側領域を有している。第2排出通路部92における出口側領域の途中位置に検知範囲が存在するように第2入賞口検知センサ92aが設けられている。右側2個のいずれかの一般入賞口61に入球した遊技球は第2排出通路部92を通過する途中で第2入賞口検知センサ92aにて検知される。
【0076】
第1作動口62に対応させて第3排出通路部93が存在している。第3排出通路部93の途中位置に検知範囲が存在するようにして第1作動口検知センサ93aが設けられており、第1作動口62に入球した遊技球は第3排出通路部93を通過する途中で第1作動口検知センサ93aにて検知される。第2作動口63に対応させて第4排出通路部94が存在している。第4排出通路部94の途中位置に検知範囲が存在するようにして第2作動口検知センサ94aが設けられており、第2作動口63に入球した遊技球は第4排出通路部94を通過する途中で第2作動口検知センサ94aにて検知される。
【0077】
可変入賞装置65に対応させて第5排出通路部95が存在している。第5排出通路部95の途中位置に検知範囲が存在するようにして大入賞口検知センサ95aが設けられており、可変入賞装置65に入球した遊技球は第5排出通路部95を通過する途中で大入賞口検知センサ95aにて検知される。アウト口68に対応させて第6排出通路部96が存在している。第6排出通路部96の途中位置に検知範囲が存在するようにしてアウト口検知センサ96aが設けられており、アウト口68に入球した遊技球は第6排出通路部96を通過する途中でアウト口検知センサ96aにて検知される。
【0078】
なお、各種検知センサ91a~96aのうちいずれか1個の検知センサ91a~96aにて検知対象となった遊技球は他の検知センサ91a~96aの検知対象となることはない。また、スルーゲート64に対してもゲート検知センサ97aが設けられており、遊技領域PAを流下する途中でスルーゲート64を通過する遊技球はゲート検知センサ97aにて検知される。
【0079】
各種検知センサ91a~97aとしては、いずれも電磁誘導型の近接センサが用いられているが、遊技球を個別に検知できるのであれば使用するセンサは任意である。また、各種検知センサ91a~97aは後述する主制御装置162と電気的に接続されており、各種検知センサ91a~97aの検知結果は主制御装置162に出力される。具体的には、各種検知センサ91a~97aは、遊技球を検知していない状況ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状況ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなくHI及びLOWの関係が逆であってもよい。
【0080】
再び
図2を参照して内枠13の構成について説明する。樹脂ベース50において遊技盤60の搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111~113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えている。ベースプレート114は樹脂ベース50に固定されており、これにより、遊技球発射機構110が樹脂ベース50と一体化されている。
【0081】
発射レール112は、遊技盤60側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが設けられている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
【0082】
ソレノイド111は、後述する電源及び発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源及び発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤60側、詳しくは遊技盤60に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
【0083】
図4に示すように、誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。
【0084】
なお、遊技盤60において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
【0085】
図2に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより、両レール100,112を遊技盤60の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間に所定間隔の隙間を形成している。
【0086】
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路46が配設されている。ファール球通路46は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路46内に入ることとなる。ファール球通路46は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路46に入った遊技球は下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制されつつ、ファール球となった遊技球が遊技者に返却される。
【0087】
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路と本体側下皿通路とを有している。それら本体側上皿通路及び本体側下皿通路の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット45の受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
【0088】
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路又は本体側下皿通路に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路と前扉側下皿通路とが連通している。
【0089】
次に、
図3に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤60)の背面構成について説明する。
【0090】
樹脂ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
【0091】
樹脂ベース50の背面には、係止金具が複数設けられており、これら係止金具により樹脂ベース50に対して遊技盤60が取り付けられている。ここで、遊技盤60の背面の構成を説明する。
【0092】
遊技盤60の中央に配置される可変表示ユニット67には、当該可変表示ユニット67を背後から覆うようにして表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。そして、表示制御装置の後方には当該表示制御装置に重なるようにして演出制御装置ユニット142が搭載されている。演出制御装置ユニット142は、演出制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に演出制御装置143が装着されている。
【0093】
演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る演出制御基板を具備しており、演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
【0094】
遊技盤60の背面には、
図3に示すように、可変表示ユニット67の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
【0095】
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する回収通路が設けられている。これら回収通路は、それら入球部から遊技盤60の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路は、遊技盤60の下端付近にて合流しており、一般入賞口61等の入球部を通過した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤60の下部に集合することとなる。各回収通路の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤60の下方)には排出通路が設けられている。回収通路により遊技盤60の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口68も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口68を介して排出通路へ導出される。
【0096】
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤60に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司るものである。
図8は主制御装置162の正面図である。
【0097】
主制御装置162は、
図8に示すように、主制御基板311が基板ボックス163aに収容されてなる。主制御基板311の一方の板面である素子搭載面には、MPU312が搭載されている。基板ボックス163aは当該基板ボックス163aの外部から当該基板ボックス163a内に収容されたMPU312を目視することが可能となるように透明に形成されている。なお、基板ボックス163aは無色透明に形成されているが、基板ボックス163aの外部から当該基板ボックス163a内に収容されたMPU312を目視することが可能であれば有色透明に形成されていてもよい。
【0098】
主制御装置162は基板ボックス163aにおいて主制御基板311の素子搭載面と対向する対向壁部163bがパチンコ機10後方を向くようにして樹脂ベース50の背面に搭載されている。したがって、遊技機本体12を外枠11に対してパチンコ機10前方に開放させて樹脂ベース50の背面を露出させることにより、基板ボックス163aの対向壁部163bを目視することが可能となるとともに当該対向壁部163bを通じてMPU312を目視することが可能となる。
【0099】
基板ボックス163aは複数のケース体163cを前後に組合せることにより形成されているが、これら複数のケース体163cには、これらケース体163cの分離を阻止するとともにこれらケース体163cの分離に際してその痕跡を残すための結合部163eが設けられている。結合部163eは、略直方体形状の基板ボックス163aにおける一辺に複数並設されている。これにより、一部の結合部163eを利用してケース体163cの分離を阻止している状態において当該一部の結合部163eを破壊してケース体163cを分離したとしても、その後に別の結合部163eを結合状態とすることでケース体163cの分離を再度阻止することが可能となる。また、ケース体163cの分離に際して結合部163eが破壊されてその痕跡が残ることにより、結合部163eを目視確認することでケース体163cの分離が不正に行われているか否かを把握することが可能となる。
【0100】
また、基板ボックス163aにおいて結合部163eが並設された一辺とは逆の一辺にはケース体163c間の境界を跨ぐようにして封印シール163fが貼り付けられている。封印シール163fはその引き剥がしに際して粘着層がケース体163cに残る。これにより、ケース体163cの分離に際して封印シール163fが剥がされた場合にはその痕跡を残すことが可能となる。
【0101】
上記構成の主制御装置162において主制御基板311には、パチンコ機10の設定状態を「設定1」から「設定6」の範囲で変更する契機を生じさせるために遊技ホールの管理者が所有する設定キーが挿入されてON操作される設定キー挿入部166aと、設定キー挿入部166aに対するON操作後においてパチンコ機10の設定状態を順次変更させるために操作される更新ボタン166bと、主制御装置162のMPU312に設けられた主側RAM314(
図9)のデータをクリアするために操作されるリセットボタン166cと、遊技履歴の管理結果を報知するための第1~第5報知用表示装置169a~169eとが設けられている。また、主制御基板311に搭載されたMPU312には、遊技履歴の管理結果又は主側ROM313に記憶された情報(プログラム及びデータ)を外部装置にて読み取るために当該外部装置の接続端子を接続するための読み取り用端子166dが設けられている。なお、パチンコ機10の設定状態は「設定1」~「設定6」の6段階に限定されることはなく複数段階であれば任意である。
【0102】
これら設定キー挿入部166a、更新ボタン166b、リセットボタン166c、読み取り用端子166d(すなわちMPU312)及び第1~第5報知用表示装置169a~169dはいずれも主制御基板311の素子搭載面に設けられている。また、主制御基板311の素子搭載面は既に説明したとおり基板ボックス163aの対向壁部163bと対向しているが、設定キー挿入部166a、更新ボタン166b、リセットボタン166c及び読み取り用端子166dは対向壁部163bにより覆われていない。つまり、対向壁部163bには設定キー挿入部166a、更新ボタン166b、リセットボタン166c及び読み取り用端子166dのそれぞれと対向する領域が個別の開口部とされている。これにより、基板ボックス163aの開放を要することなく、設定キー挿入部166aに設定キーを挿入することが可能であり、更新ボタン166bを押圧操作することが可能であり、リセットボタン166cを押圧操作することが可能であり、読み取り用端子166dに外部装置の接続端子を接続することが可能である。
【0103】
設定キー挿入部166aに設定キーを挿入して所定方向に回転操作することにより設定キー挿入部166aがON操作された状態となる。その状態で、リセットボタン166cを押圧操作しながらパチンコ機10への動作電力の供給を開始させることで(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給を開始させることで)、パチンコ機10の設定状態を変更することが可能な変更可能状態となる。そして、この状態において更新ボタン166bを1回押圧操作する度にパチンコ機10の設定状態が「設定1」~「設定6」の範囲において昇順で1段階ずつ変更される。なお、「設定6」の状態で更新ボタン166bが操作された場合には「設定1」に更新される。
【0104】
また、設定キー挿入部166aがON操作された状態で、リセットボタン166cを押圧操作せずにパチンコ機10への動作電力の供給を開始させることで、現在の設定状態を確認することが可能な確認可能状態となる。なお、詳細は後述するが、確認可能状態では、現在の設定状態が第1~第5報知用表示装置169a~169dに表示される。
【0105】
また、設定キー挿入部166aに挿入している設定キーをON操作の位置から所定方向とは反対方向に回転操作して初期位置に復帰させることにより設定キー挿入部166aがOFF操作された状態となる。設定キー挿入部166aがOFF操作された状態となることで、上記変更可能状態や確認可能状態が終了する。
【0106】
設定キー挿入部166aに対するON操作はパチンコ機10への動作電力の供給開始時(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給開始時)のみ有効とされる。したがって、主制御装置162のMPU312において動作電力の供給開始時の処理が終了した後に設定キー挿入部166aに対するON操作を行ったとしても設定値の変更や確認を行うことはできない。
【0107】
パチンコ機10の設定状態は当該パチンコ機10における単位時間当たりの有利度を定めるものであり、「設定n」(nは「1」~「6」の整数)のnが大きい値ほど(すなわち設定値が高いほど)有利度が高くなる。詳細は後述するが、大当たり結果の当選確率を決定する当否抽選モードとして相対的に当選確率が低くなる低確率モードと相対的に当選確率が高くなる高確率モードとが存在しており、設定値が高いほど低確率モード及び高確率モードにおける大当たり結果の当選確率が高くなるように設定されている。
【0108】
リセットボタン166cは上記のとおり主側RAM314のデータをクリアするために操作されるが、当該データのクリアを発生させるためにはリセットボタン166cを押圧操作した状態でパチンコ機10への動作電力の供給を開始させる必要がある(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給を開始させる必要がある)。リセットボタン166cに対するON操作はパチンコ機10への動作電力の供給開始時(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給開始時)のみ有効とされる。したがって、主制御装置162のMPU312において動作電力の供給開始時の処理が終了した後にリセットボタン166cを押圧操作したとしても主側RAM314のデータをクリアすることはできない。
【0109】
読み取り用端子166dは既に説明したとおり遊技履歴の管理結果又は主側ROM313に記憶された情報(プログラム及びデータ)を外部装置にて読み取るために当該外部装置の接続端子が接続されるが、外部装置への外部出力を行うためには読み取り用端子166dに外部装置の接続端子を接続した状態でパチンコ機10への動作電力の供給を開始させる必要がある(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給を開始させる必要がある)。読み取り用端子166dに対する外部装置の接続はパチンコ機10への動作電力の供給開始時(すなわち主制御装置162のMPU312への動作電力の供給開始時)のみ有効とされる。したがって、主制御装置162のMPU312において動作電力の供給開始時の処理が終了した後に読み取り用端子166dに外部装置を接続したとしても当該外部装置への外部出力は行われない。
【0110】
第1~第5報知用表示装置169a~169eはいずれも、LEDによる表示用セグメントが7個配列されたセグメント表示器であるが、これに限定されることはなく多色発光タイプの単一の発光体であってもよく、液晶表示装置であってもよく、有機ELディスプレイであってもよい。第1~第5報知用表示装置169a~169eはいずれもその表示面が主制御基板311の素子搭載面が向く方向を向くようにして設置されているとともに、基板ボックス163aの対向壁部163bにより覆われている。
【0111】
この場合に、基板ボックス163aが透明に形成されていることにより、基板ボックス163aの外部から当該基板ボックス163a内に収容された第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示面を目視することが可能となる。また、既に説明したとおり主制御装置162は基板ボックス163aにおいて主制御基板311の素子搭載面と対向する対向壁部163bがパチンコ機10後方を向くようにして樹脂ベース50の背面に搭載されているため、遊技機本体12を外枠11に対してパチンコ機10前方に開放させて樹脂ベース50の背面をパチンコ機10前方に露出させた場合には、対向壁部163bを通じて第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示面を目視することが可能となる。
【0112】
第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示面においては「0」~「9」の数字だけではなく、アルファベット文字を含めた各種文字が表示可能となっている。第1~第5報知用表示装置169a~169eを利用して後述するベース値等が表示されるが、その表示態様については後の詳細に説明する。
【0113】
また、パチンコ機10の設定状態を変更することが可能な変更可能状態や現在の設定状態を確認することが可能な確認可能状態においては、設定値に対応する値が第4報知用表示装置169dにて表示される。なお、当該設定値に対応する値が第1~第3報知用表示装置169a~169c、第5報知用表示装置169eのいずれかにて表示される構成としてもよい。また、変更可能状態となる前における設定値が第1~第5報知用表示装置169a~169eのうちの一の報知用表示装置にて表示されるとともに現状の設定値が第1~第5報知用表示装置169a~169eのうちの他の一の報知用表示装置にて表示される構成としてもよい。
【0114】
次に、
図2及び
図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
【0115】
図2に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
【0116】
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、
図3に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
【0117】
ベース部211には、その右側上部に外部出力端子213が設けられている。外部出力端子213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側のホールコンピュータHC(管理制御装置)に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0118】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。なお、払出機構部202には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチを有する裏パック基板が搭載されている。
【0119】
タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部に供給される。
【0120】
遊技球分配部は、払出装置222より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
【0121】
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0122】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源及び発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源及び発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0123】
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0124】
電源及び発射制御装置191は、基板ボックス内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。
【0125】
電源及び発射制御装置191には、電源を監視して停電等の電断状態の発生を検知する停電監視部(停電監視回路)315が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。
【0126】
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、
図9のブロック図に基づいて説明する。
【0127】
主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る主制御基板311を具備しており、主制御基板311にはMPU312が搭載されている。MPU312には、主側ROM313及び主側RAM314のほか、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0128】
主側ROM313は、NOR型フラッシュメモリ及びNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)であり、読み出し専用として利用される。主側ROM313は、MPU312により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
【0129】
主側RAM314は、SRAM及びDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)であり、読み書き両用として利用される。主側RAM314は、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合に主側ROM313よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。主側RAM314は、主側ROM313内に記憶されている制御プログラムの実行に対して各種のデータなどを一時的に記憶する。
【0130】
MPU312には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU312の入力側には、払出制御装置181と、電源及び発射制御装置191とが接続されている。また、MPU312の入力側には、各入球検知センサ91a~97aといった各種センサが接続されている。各入球検知センサ91a~97aには、既に説明したとおり、第1入賞口検知センサ91a、第2入賞口検知センサ92a、第1作動口検知センサ93a、第2作動口検知センサ94a、大入賞口検知センサ95a、アウト口検知センサ96a及びゲート検知センサ97aが含まれる。これら入球検知センサ91a~97aの検知結果に基づいて、MPU312にて各入球部への入球判定が行われる。また、MPU312では、第1作動口62、第2作動口63、スルーゲート64への入賞に基づいて、各種抽選を実行する。
【0131】
また、MPU312の入力側には、主制御基板311に設けられた設定キー挿入部166a、更新ボタン166b及びリセットボタン166cが設けられている。設定キー挿入部166aには図示しないセンサが設けられており、当該センサにより当該設定キー挿入部166aがON操作の位置及びOFF操作の位置のいずれに配置されているのかが検知される。そして、MPU312はそのセンサからの検知結果に基づいて設定キー挿入部166aがON操作の位置及びOFF操作の位置のいずれに配置されているのかを特定する。更新ボタン166bには図示しないセンサが設けられており、当該センサにより更新ボタン166bが押圧操作されているか否かが検知される。そして、MPU312はそのセンサからの検知結果に基づいて更新ボタン166bが押圧操作されているか否かを特定する。リセットボタン166cには図示しないセンサが設けられており、当該センサによりリセットボタン166cが押圧操作されているか否かが検知される。そして、MPU312はそのセンサからの検知結果に基づいてリセットボタン166cが押圧操作されているか否かを特定する。
【0132】
MPU312の出力側には、払出制御装置181及び演出制御装置143等が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入球部のうち入球の発生が遊技球(賞球)の払い出しに対応する賞球対応入球部に遊技球が入球したことに基づいて賞球コマンドが出力される。演出制御装置143には、変動用コマンド、種別コマンド及びオープニングコマンドなどの各種コマンドが出力される。
【0133】
MPU312の出力側には、可変入賞装置65の開閉扉65bを開閉動作させる特電用の駆動部65d、第2作動口63の普電役物63aを開閉動作させる普電用の駆動部63b、特図用表示部43及び普図用表示部44が接続されている。主制御基板311には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU312は各種駆動部及び各種表示部の駆動制御を実行する。
【0134】
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置65が開閉されるように、MPU312において特電用の駆動部65dの駆動制御が実行される。また、普電役物63aの開放状態当選となった場合には、普電役物63aが開閉されるように、MPU312において普電用の駆動部63bの駆動制御が実行される。
【0135】
また、各遊技回に際しては、MPU312において特図用表示部43の表示制御が実行される。また、普電役物63aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU312において普図用表示部44の表示制御が実行される。また、第1作動口62若しくは第2作動口63への入賞が発生した場合、又は特図用表示部43において変動表示が開始される場合に、MPU312において特図保留数表示部AMの表示制御が実行され、スルーゲート64への入賞が発生した場合、又は普図用表示部44において変動表示が開始される場合に、MPU312において普図保留数表示部FMの表示制御が実行される。
【0136】
MPU312の出力側には、外部出力端子213が接続されている。この外部出力端子213を通じてホールコンピュータHCに対して各種入球部への入球情報や大当たり等の抽選結果に関する情報等が出力される。これにより、ホールコンピュータHCにてパチンコ機10の状態等を把握することが可能となっている。
【0137】
MPU312の出力側には、第1~第4報知用表示装置169a~169dが接続されている。これら第1~第4報知用表示装置169a~169dを通じて遊技履歴の管理結果や設定値の情報が報知される。
【0138】
MPU312には読み取り用端子166dが設けられている。読み取り用端子166dには図示しないセンサが設けられており、当該センサにより読み取り用端子166dに外部装置の接続端子が接続されているか否かが検知される。そして、MPU312はそのセンサからの検知結果に基づいて読み取り用端子166dに外部装置の接続端子が接続されているか否かを特定する。また、読み取り用端子166dに外部装置が接続されている場合、MPU312における遊技履歴の管理結果や主側ROM313に記憶された情報(プログラム及びデータ)が当該外部装置に外部出力される。
【0139】
電源及び発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板311や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。
【0140】
電源及び発射制御装置191には停電監視部315が設けられており、この停電監視部315により電源及び発射制御装置191から出力される直流安定24ボルトの電圧を監視する。停電監視部315は、電源及び発射制御装置191からの出力電圧が22ボルト未満になると停電(電源遮断)の発生と判断し、停電信号を主制御装置162のMPU312に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込み端子)へ出力する。これにより、主制御装置162は、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて停電時処理を実行する。ちなみに、電源及び発射制御装置191にはバックアップ用コンデンサなどの電断時用電源部が設けられており、停電等が発生した場合やパチンコ機10の電源がOFF状態の場合には当該電断時用電源部から主制御装置162のRAM314にバックアップ電力(記憶保持用の電力)が供給される。また、電源及び発射制御装置191は遊技球発射機構110の発射制御を担っており、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。また、払出機構部202には電源スイッチが設けられており、電源スイッチがON操作されることによりパチンコ機10への動作電力の供給が開始され、電源スイッチがOFF操作されることによりパチンコ機10への動作電力の供給が停止される。
【0141】
払出制御装置181は、主制御装置162から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行う。
【0142】
演出制御装置143は、主制御装置162から受信した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられたランプ部26~28やスピーカ部29を駆動制御したり、表示制御装置350を制御したりするものである。表示制御装置350では、演出制御装置143から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示制御を実行する。この場合に、演出制御装置143では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置75における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定する。
【0143】
ここで、図柄表示装置75の表示内容について
図10~
図12に基づいて説明する。
【0144】
図10(a)~(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」~「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」~「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
【0145】
図10(a)に示すように、図柄表示装置75の表示画面Gには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1~Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」~「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1~Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。また、
図11(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。
【0146】
表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1~Z3の変動表示が終了すれば、後述する通常4R大当たり結果又は10R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
【0147】
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、10R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大4R当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
【0148】
ここで、各図柄列の変動表示について
図12を参照して補足説明する。遊技回が開始されると、先ず全図柄列Z1~Z3について高速変動表示が開始される。この場合、どの図柄列が変動表示されているかは認識できない又は困難となっている。その後、
図12(a)に示すように、上図柄列Z1の変動表示態様が、高速変動表示から、遊技者が変動表示されている図柄を認識することができる低速変動表示に切り換わる。そして、
図12(b)に示すように、上図柄列Z1の変動表示が終了するとともに、下図柄列Z3の変動表示態様が高速変動表示から低速変動表示に切り換わる。そして、
図12(c)に示すように、下図柄列Z3の変動表示が終了する。全図柄列Z1~Z3の変動終了後には、所定の期間に亘ってその停止表示を維持して待機する停止表示期間が設けられている。
【0149】
ところで、遊技機では、図柄表示装置75において図柄を停止表示させる際、最終停止列(本実施の形態では中図柄列Z2)の図柄を急停止させるのではなく、変動表示速度を低下させながら緩やかに停止させるのが一般的である。この場合、特図用表示部43での停止表示の開始に合わせて中図柄列Z2(最終停止列)の図柄を止め始めるように構成すると、図柄表示装置75において図柄が止まるまでの減速時間を要する分、図柄が止まっている状態の時間が短くなり、実質的な停止表示時間の短縮化を招く。
【0150】
そこで、特図用表示部43での停止表示の開始前に、最終停止列も含めて図柄列Z1~Z3を停止(仮停止)させておき、その後、特図用表示部43での停止表示の開始タイミングに合わせて、仮停止させた図柄を本停止(確定表示)させるように構成されている。仮停止での図柄列Z1~Z3の表示態様は、確定表示でのそれとは異なったものとなっている。例えば、図柄列Z1~Z3の少なくとも1つが緩やかに往復微動したり、主図柄や副図柄を構成するタコ等のキャラクタ(
図10)の少なくとも一部が動いていたりするものとなっている。つまり、仮停止は、一見すると図柄が止まっているように見えるものの、不完全な停止状態を保つように行われる(停留表示)。これに対し、確定表示は、上記往復微動やキャラクタの動作がなされず、完全な停止状態となるように行われる。
【0151】
なお、図柄列Z1~Z3の仮停止表示は、当否抽選の結果や大当たり種類に対応した停止結果で開始され、その後、そのまま確定表示に移行するほか、当否抽選の結果や大当たり種類に対応しない停止結果で一旦停止表示された後、図柄列Z1~Z3の再変動表示を経て当否抽選の結果等に対応した停止結果に変更され、その後、確定表示に移行する場合もある。
【0152】
ちなみに、特図用表示部43にて実行される特図遊技回では、絵柄の仮停止表示を行わず、変動表示させた絵柄を変動表示時間の経過に応じて急停止させ、その状態(絵柄を停止表示させた状態)を確定表示時間が経過するまで維持する。つまり、特図用表示部43での絵柄の停止表示はそのまま確定表示となる。このことは、普図用表示部44にて実行される普図遊技回においても同様である。
【0153】
なお、図柄表示装置75における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数、大当たりや外れに対応する図柄の組合せなどは適宜変更可能である。
【0154】
図11(b)に示すように、表示画面Gの下部には、実行前の遊技回の保留数に対応した数の保留用画像を表示するための保留表示部200が設けられており、保留表示部200を視認することで上記保留数を遊技者が認識することが可能となっている。保留表示部200には、第1特図に対応した第1保留表示領域Gaと、第2特図に対応した第2保留表示領域Gbとが設定されている。
【0155】
第1保留表示領域Gaでは、遊技球が第1作動口62に入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域Ga1~Ga4が左右方向に並設されるように区画表示されている。具体的には、遊技球が第1作動口62に入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて第1保留表示領域Gaには、第1単位保留表示領域Ga1、第2単位保留表示領域Ga2、第3単位保留表示領域Ga3、第4単位保留表示領域Ga4が設定されている。
【0156】
例えば、遊技球が第1作動口62に入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域Ga1のみに所定の保留用画像が表示され、遊技球が第1作動口62に入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域Ga1~第4単位保留表示領域Ga4の全てに所定の保留用画像が表示される。
【0157】
また、第2保留表示領域Gbでは、遊技球が第2作動口63に入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域Gb1~Gb4が左右方向に並設されるように区画表示されている。具体的には、遊技球が第2作動口63に入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて第2保留表示領域Gbには、第1単位保留表示領域Gb1、第2単位保留表示領域Gb2、第3単位保留表示領域Gb3、第4単位保留表示領域Gb4が設定されている。
【0158】
例えば、遊技球が第2作動口63に入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域Gb1のみに所定の保留用画像が表示され、遊技球が第2作動口63に入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域Gb1~第4単位保留表示領域Gb4の全てに所定の保留用画像が表示される。
【0159】
また、第1保留表示領域Gaと第2保留表示領域Gbとに挟まれるようにして実行表示領域Dが設定されている。実行表示領域Dには、実行される(実行中の)遊技回に対応した保留用画像が表示される。例えば、遊技回が終了して次の遊技回が開始される場合には、第1保留表示領域Gaの第1単位保留表示領域Ga1又は第2保留表示領域Gbの第1単位保留表示領域Gb1に表示されていた保留用画像が実行表示領域Dに移動表示される。これにより、保留されていた遊技回が実行されることを遊技者が認識することが可能となっている。
【0160】
<主制御装置162のMPU312にて各種抽選を行うための電気的構成>
次に、主制御装置162のMPU312にて各種抽選を行うための電気的な構成について
図13を用いて説明する。
【0161】
MPU312は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、特図用表示部43の表示の設定、図柄表示装置75の図柄表示の設定、普図用表示部44の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、
図13に示すように、当たり発生の抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置75が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、特図用表示部43及び図柄表示装置75における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、第2作動口63の普電役物63aを普電開放状態とするか否かの抽選に使用する普電役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は、主側RAM314の各種カウンタエリア314bに設けられている。
【0162】
各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後に「0」に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、第1作動口62又は第2作動口63への入賞が発生した場合に、主側RAM314に取得情報記憶手段として設けられた保留格納エリア314aに格納される。
【0163】
保留格納エリア314aは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、第1作動口62又は第2作動口63への入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報の組合せが保留情報として、いずれかの保留エリアRE1~RE4に格納される。
【0164】
この場合、第1保留エリアRE1~第4保留エリアRE4には、第1作動口62又は第2作動口63への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1~RE4が設けられていることにより、第1作動口62又は第2作動口63への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。
【0165】
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
【0166】
実行エリアAEは、特図用表示部43の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各数値情報を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
【0167】
上記各カウンタについて詳細に説明する。
【0168】
まず、普電役物開放カウンタC4について説明する。普電役物開放カウンタC4は、例えば、0~250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後に「0」に戻る構成となっている。普電役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート64に遊技球が入賞したタイミングで主側RAM314の普電保留エリア314cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された普電役物開放カウンタC4の値によって普電役物63aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
【0169】
本パチンコ機10では、普電役物63aによるサポートの態様が相互に異なるように複数種類のサポートモードが設定されている。詳細には、サポートモードには、遊技領域PAに同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、第2作動口63の普電役物63aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモードと低頻度サポートモードとが設定されている。
【0170】
高頻度サポートモードと低頻度サポートモードとでは、普電役物開放カウンタC4を用いた普電開放抽選における普電開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、普電開放状態当選となった際に普電役物63aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて普電開放状態当選となり普電役物63aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の普電開放抽選が行われてから次の普電開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間(すなわち、普図用表示部44における1回の表示継続時間)が短く設定されている。
【0171】
上記のとおり、高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも第2作動口63への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、第2作動口63よりも第1作動口62への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、第1作動口62よりも第2作動口63への入賞が発生する確率が高くなる。そして、第2作動口63への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
【0172】
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに普電開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば普電開放抽選における普電開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の普電開放抽選が行われてから次の普電開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート64への入賞に基づき普図用表示部44にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の普電開放抽選が行われてから次の普電開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組合せの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
【0173】
ここで、既に説明したとおりパチンコ機10には「設定1」~「設定6」の設定状態が存在しているが、低頻度サポートモードにおける普電役物63aの開放頻度及び開放態様はいずれの設定値であっても同一であるとともに、高頻度サポートモードにおける普電役物63aの開放頻度及び開放態様もいずれの設定値であっても同一となっている。但し、これに限定されることはなく、低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードの少なくとも一方について普電役物63aの開放頻度及び開放態様の少なくとも一方がパチンコ機10の設定状態に応じて変動する構成としてもよい。例えば設定値が高いほど、低頻度サポートモードにおいて普電役物63aの開放頻度が高くなる構成としてもよく、低頻度サポートモードにおいて普電役物63aが1回開放状態となる場合における第2作動口63への遊技球の入球確率が高くなる構成としてもよい。また、設定値が高いほど、高頻度サポートモードにおいて普電役物63aの開放頻度が高くなる構成としてもよく、高頻度サポートモードにおいて普電役物63aが1回開放状態となる場合における第2作動口63への遊技球の入球確率が高くなる構成としてもよい。
【0174】
次に、当たり乱数カウンタC1について説明する。当たり乱数カウンタC1は、例えば0~599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後に「0」に戻る構成となっている。特に当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0~599)。当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が第1作動口62又は第2作動口63に入賞したタイミングで主側RAM314の保留格納エリア314aに格納される。
【0175】
大当たり当選となる乱数の値は、主側ROM313に当否テーブルとして記憶されている。
図14は主側ROM313に記憶されている各種テーブルを説明するための説明図である。主側ROM313には、設定1用エリア411と、設定2用エリア412と、設定3用エリア413と、設定4用エリア414と、設定5用エリア415と、設定6用エリア416とが設けられている。
【0176】
設定1用エリア411には、パチンコ機10の設定状態が「設定1」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定1用の低確当否テーブル411aと、パチンコ機10の設定状態が「設定1」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定1用の高確当否テーブル411bと、が記憶されている。設定2用エリア412には、パチンコ機10の設定状態が「設定2」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定2用の低確当否テーブル412aと、パチンコ機10の設定状態が「設定2」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定2用の高確当否テーブル412bと、が記憶されている。設定3用エリア413には、パチンコ機10の設定状態が「設定3」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定3用の低確当否テーブル413aと、パチンコ機10の設定状態が「設定3」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定3用の高確当否テーブル413bと、が記憶されている。
【0177】
設定4用エリア414には、パチンコ機10の設定状態が「設定4」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定4用の低確当否テーブル414aと、パチンコ機10の設定状態が「設定4」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定4用の高確当否テーブル414bと、が記憶されている。設定5用エリア415には、パチンコ機10の設定状態が「設定5」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定5用の低確当否テーブル415aと、パチンコ機10の設定状態が「設定5」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定5用の高確当否テーブル415bと、が記憶されている。設定6用エリア416には、パチンコ機10の設定状態が「設定6」であって当否抽選モードが低確率モードである場合に参照される設定6用の低確当否テーブル416aと、パチンコ機10の設定状態が「設定6」であって当否抽選モードが高確率モードである場合に参照される設定6用の高確当否テーブル416bと、が記憶されている。
【0178】
低確当否テーブル411a~416aのそれぞれに設定されている大当たり結果の当選確率は相互に異なっている。例えば、設定1用の低確当否テーブル411a~設定6用の低確当否テーブル416aの各テーブルが参照された場合の大当たり当選確率はそれぞれ約1/320、約1/310、約1/300、約1/290、約1/280、約1/270となっている。
【0179】
また、高確当否テーブル411b~416bのそれぞれに設定されている大当たり結果の当選確率についても相互に異なっている。例えば、設定1用の高確当否テーブル411b~設定6用の高確当否テーブル416bの各テーブルが参照された場合の大当たり当選確率はそれぞれ約1/45、約1/40、約1/35、約1/30、約1/25、約1/20となっている。
【0180】
つまり、低確率モードにおける大当たり結果の当選確率だけでなく、高確率モードにおける大当たり結果の当選確率も含めて、パチンコ機10の設定状態が高い設定値であるほど高くなっている。よって、低確率モード及び高確率モードの双方において設定値が高いほど大当たりが発生しやすく、高い設定値が設定されていることに対する遊技者の有利度が好適に高められている。
【0181】
大当たり種別カウンタC2は、0~29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後に「0」に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が第1作動口62又は第2作動口63に入賞したタイミングで保留格納エリア314aに格納される。
【0182】
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置65の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の第2作動口63の普電役物63aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
【0183】
開閉実行モードにおける可変入賞装置65の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置65への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードのいずれであっても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
【0184】
ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球が可変入賞装置65に入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は15ラウンドに設定されている。
【0185】
また、本パチンコ機10では、可変入賞装置65の1回の開放態様が、可変入賞装置65が開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間を相違させて、複数種類設定されている。詳細には、開放継続時間が長時間である29秒に設定された長時間態様と、開放継続時間が上記長時間よりも短い短時間である0.06秒に設定された短時間態様と、が設定されている。
【0186】
本パチンコ機10では、遊技球発射ハンドル41が遊技者により操作されている状況では、0.6秒に1個の遊技球が遊技領域PAに向けて発射されるように遊技球発射機構110が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が9個に設定されている。そうすると、上記開放態様のうち長時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。一方、短時間態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも短い時間、より詳細には、遊技球の発射周期よりも短い時間の開放継続時間が設定されている。したがって、長時間態様で1回の開放が行われた場合には、可変入賞装置65に対して、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待され、短時間態様で1回の開放が行われた場合には、可変入賞装置65への入賞が発生しないこと又は入賞が発生するとしても1個程度となることが期待される。
【0187】
高頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において長時間態様による可変入賞装置65の開放が1回行われる。一方、低頻度入賞モードでは、各ラウンド遊技において短時間態様による可変入賞装置65の開放が1回行われる。
【0188】
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける可変入賞装置65の開閉回数、ラウンド遊技の回数、1回の開放に対する開放継続時間及び1回のラウンド遊技における上限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置65への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
【0189】
大当たり種別カウンタC2に対する大当たり結果の振分先は、
図13に示すように主側ROM313に振分テーブル387として記憶されている。そして、振分テーブル387においては大当たり結果となった場合における大当たり結果の振分先として、低確大当たり結果と、低入賞高確大当たり結果と、高入賞大当たり結果とが設定されている。
【0190】
低確大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
【0191】
低入賞高確大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
【0192】
高入賞大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
【0193】
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。また、遊技結果として、低入賞高確大当たり結果が設定されていない構成としてもよい。また、低入賞高確大当たり結果における開閉実行モードでは、ラウンド遊技の回数が低確大当たり結果及び高入賞大当たり結果の場合よりも少ない回数である構成としてもよい。
【0194】
振分テーブル387では、「0~29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0~9」が低確大当たり結果に対応しており、「10~14」が低入賞高確大当たり結果に対応しており、「15~29」が高入賞大当たり結果に対応している。
【0195】
振分テーブル387は、「設定1」~「設定6」のいずれの設定状態であっても共通となるように1種類のみ設けられている。これにより、大当たり結果の振分態様についてパチンコ機10の設定状態による有利又は不利が生じないようにすることが可能となるとともに、振分テーブル387を主側ROM313にて予め記憶するための記憶容量を抑えることが可能となる。
【0196】
なお、パチンコ機10の設定状態に応じて大当たり結果の振分態様が相違する構成としてもよい。例えば、高い設定値ほど高入賞大当たり結果に振り分けられる確率を高くする構成としてもよく、高い設定値ほど高入賞大当たり結果又は低入賞高確大当たり結果に振り分けられる確率を高くする構成としてもよい。この場合、高い設定値ほど大当たり結果となった後に高確率モードとなる確率を高くすることが可能となる。また、高い設定値ほど低入賞高確大当たり結果に振り分けられる確率を低くする構成としてもよく、高い設定値では低入賞高確大当たり結果に振り分けられないのに対して低い設定値では低入賞高確大当たり結果に振り分けられ得る構成としてもよい。この場合、高い設定値ほど高頻度入賞モードの開閉実行モードが発生する確率を高くすることが可能となる。
【0197】
次に、リーチ乱数カウンタC3について説明する。リーチ乱数カウンタC3は、例えば0~238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後に「0」に戻る構成となっている。本パチンコ機10には、図柄表示装置75における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置75を備え、所定の大当たり結果となる遊技回では最終的な停止結果が付与対応結果となる遊技機において、図柄表示装置75における図柄の変動表示が開始されてから停止結果が導出表示される前段階で、前記付与対応結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。なお、付与対応結果について具体的には、いずれかの有効ライン上に同一の数字が付された図柄の組合せが停止表示される。
【0198】
期待演出には、リーチ表示と、リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や付与対応結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
【0199】
リーチ表示には、図柄表示装置75の表示画面Gに表示される複数の図柄列Z1~Z3のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、リーチ図柄の組合せを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組合せを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組合せを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面Gの略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0200】
予告表示には、図柄表示装置75の表示画面Gにおいて図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列Z1~Z3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画面をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示が行われる場合の方がリーチ表示が行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
【0201】
リーチ表示は、最終的に同一の図柄の組合せが停止表示される遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、同一の図柄の組合せが停止表示されない大当たり結果に対応した遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行されない。また、外れ結果に対応した遊技回では、主側ROM313に記憶されたリーチ用テーブルを参照して所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。
【0202】
一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置162において行うのではなく、演出制御装置143において行われる。この場合、演出制御装置143は、いずれかの大当たり結果に対応した遊技回の方が、外れ結果に対応した遊技回に比べ、予告表示が発生し易いこと、及び出現率の低い予告表示が発生し易いことの少なくとも一方の条件を満たすように、予告表示用の抽選処理を実行する。ちなみに、この抽選結果は、図柄表示装置75にて遊技回用の演出が実行される場合に反映される。
【0203】
ここで、外れ結果となる遊技回においてリーチ表示の発生となる確率は「設定1」~「設定6」のいずれの設定状態であっても同一である。これにより、外れ結果となる遊技回においてリーチ表示が発生する確率に関してパチンコ機10の設定状態による有利又は不利が生じないようにすることが可能となる。但し、これに限定されることはなく、高い設定値ほど外れ結果となる遊技回においてリーチ表示が発生する確率が高くなる構成としてもよい。
【0204】
次に、変動種別カウンタCSについて説明する。変動種別カウンタCSは、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後に「0」に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、特図用表示部43における表示継続時間と、図柄表示装置75における図柄の表示継続時間とをMPU312において決定する上で用いられる。
変動種別カウンタCSは、後述するタイマ割込み処理が1回実行される毎に1回更新され、次回のタイマ割込み処理が実行されるまでの残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特図用表示部43における変動表示の開始時及び図柄表示装置75による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
【0205】
ここで、本実施の形態に係るパチンコ機10では、ベース値に関する処理が実行される。当該処理でいうところのベース値は、全ての遊技状態を対象としたものではなく、大当たり結果による開閉実行モード中の期間と高頻度サポートモード中の期間とを除く期間を対象として、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数(すなわち遊技領域PAに供給された遊技球の合計個数)に対する遊技球の合計払出個数の割合を導出したものであり、言い換えれば、通常時(左打ち遊技時)のベース値である。
【0206】
ベース値に関する処理では、主制御装置162のMPU312にて上記ベース値を算出して計測する。その際、総アウト個数(遊技領域PAからの遊技球の総排出個数)が所定個数(例えば60000個)に到達するまでの期間を単位として計測区間を定め、最新の計測区間における現状ベース値と、過去の計測期間におけるベース値とを第1~第5報知用表示装置169a~169eに表示する。
【0207】
図15(a)に示すように、ベース値の表示に際しては、第1~第5報知用表示装置169a~169eのうち第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169bを識別用表示部として使用し、第3報知用表示装置169c及び第4報知用表示装置169dを比率(ベース値)用表示部として使用する。識別用表示部は、比率用表示部に表示されるベース値がリアルタイムでのベース値なのか、過去分のベース値なのかを示すものとして用いる。なお、ベース値の表示に際して第5報知用表示装置169eは使用しない。
【0208】
図15(b)は、第1~第4報知用表示装置169a~169dにおけるベース値の表示態様を説明するための説明図である。第1~第4報知用表示装置169a~169dには、最新の計測区間におけるリアルタイムでのベース値である現状ベース値と、前回の計測区間におけるベース値である前回ベース値(前回の計測区間で総アウト個数が60000個に到達したときに計測されたベース値)と、前々回の計測区間におけるベース値である前々回ベース値と、前々々回の計測区間におけるベース値である前々々回ベース値とが、所定期間(例えば5sec)ごとに切り換えて表示される。
【0209】
その際、現状ベース値を表示するにあたっては、識別用表示部(第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169b)に「bL.」を表示し、比率用表示部(第3報知用表示装置169c及び第4報知用表示装置169d)に現状ベース値を2桁で表示する。また、前回ベース値を表示する場合、前々回ベース値を表示する場合、前々々回ベース値を表示する場合は、識別用表示部に「b1.」、「b2.」、「b3.」をそれぞれ表示し、比率用表示部に各計測期間のベース値(過去分のベース値)を表示する。このように識別用表示部とセットでベース値を表示することで、遊技ホール管理者等がベース値を確認する場合に、どの時点でのベース値であるのかを適切に把握することができる。
【0210】
このように、ベース値の表示は、現状ベース値の表示だけでなく、過去複数回分のベース値の表示も併せて行われる。一般的に遊技ホールでは、1台のパチンコ機10に対して1日約10000~20000個の遊技球が発射されて遊技が行われるため、総アウト個数が60000個ごとのベース値は、3~6日程度の数日間にわたるベース値に対応したものとなる。このような過去のベース値と比較して現状ベース値を確認できることで、現状ベースの適否を好適に判断することが可能となる。よって、例えば、第1作動口62や一般入賞口61への入賞率を高める不正行為が行われた場合に、その不正行為があった可能性を発見することができる。
【0211】
その際、例えば、過去分として前回ベース値のみを表示する構成の場合は、たまたまその際のベース値が低くなっていたりすることがあると、それを現状ベース値と比較しても不正行為の有無を判断しにくくなるおそれがある。この点、前々回ベース値及び前々々回ベース値も表示されることで、複数回分の過去ベース値との比較を行うことができ、不正行為の有無を判断しやすくすることが可能になる。
【0212】
なお、上記構成では、過去3回分の計測区間についてベース値を表示するが、2回分のベース値を表示してもよいし、4回以上分のベース値を表示してもよい。すなわち、複数回分の計測区間における過去ベース値を表示するにあたって、表示対象とする計測区間の回数は任意に定めることができる。
【0213】
また、本実施の形態では、上記のベース値に関する処理に加えて差球数に関する処理が実行される。当該処理でいうところの差球数は、遊技状態を問わず、遊技球の合計払出個数から総アウト個数(遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数)を差し引いたものであり、言い換えれば、遊技期間中における通算の差球数である。差球数に関する処理では、主制御装置162のMPU312にて上記差球数を算出して計測し、その計測値が特定個数(例えば100000個)以上となった場合に遊技進行を制限するための処理を実行する。また、都度の差球数を第1~第5報知用表示装置169a~169eに表示する。これらの処理については、後に詳細に説明する。
【0214】
上記のように、本実施の形態では、遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御処理とともに、ベース値に関する処理と差球数に関する処理とが行われるが、主制御装置162のMPU312ではこれらの処理が特定制御と非特定制御とに区別して実行される。具体的には、ベース値に関する処理と差球数に関する処理の一部とが非特定制御とされ、遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御処理と、差球数に関する処理の他の一部とを含めて非特定制御以外の制御が特定制御とされる。
【0215】
図16は、主側ROM313におけるプログラム及びデータの設定態様を説明するための説明図である。MPU312にて実行される制御が特定制御と非特定制御とで区別されていることに対応させて、
図16に示すように、主側ROM313においても特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータと、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータとが記憶されているエリアのアドレスが明確に区別されている。
【0216】
具体的には、アドレスX(1)~X(k+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに特定制御用のプログラムが集約して記憶されている。また、アドレスX(1)~X(k+2)に連続するアドレスX(k+3)~X(k+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(k+6)~X(m+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに特定制御用のデータが集約して記憶されている。
【0217】
また、アドレスX(k+6)~X(m+2)に連続するアドレスX(m+3)~X(m+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(m+6)~X(n+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに非特定制御用のプログラムが集約して記憶されている。また、アドレスX(m+6)~X(n+2)に連続するアドレスX(n+3)~X(n+5)はデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスX(n+6)~X(p+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアに非特定制御用のデータが集約して記憶されている。
【0218】
なお、上記のようなプログラム及びデータとアドレスとの関係は、主側ROM313における物理アドレス及びMPU312において認識されるメモリマップ上の論理アドレスの両方において設定されている。
【0219】
上記のように特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータと、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータとが、対応する制御を実行するための処理の実行順序とは関係なく、異なる範囲のアドレスのエリアに記憶されていることにより、例えば特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータのみをチェックする場合にはこれら特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータが記憶されたアドレス範囲のエリアのみをチェックすればよく、例えば非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータのみをチェックする場合にはこれら非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータが記憶されたアドレス範囲のエリアのみをチェックすればよい。よって、プログラム及びデータを特定制御と非特定制御とで区別してチェックする場合の作業を効率的に行うことが可能となる。また、それに伴ってプログラム及びデータを特定制御と非特定制御とで区別して修正する場合の作業を効率的に行うことが可能となる。
【0220】
特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータが記憶されたエリアのアドレス範囲と、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータが記憶されたエリアのアドレス範囲との間に何らデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレス範囲が設定されていることにより、特定制御用のアドレス範囲と非特定制御用のアドレス範囲との境界をチェック作業に際して把握し易くなる。
【0221】
特定制御用のアドレス範囲及び非特定制御用のアドレス範囲のそれぞれにおいて、プログラムとデータとが、対応する制御を実行するための処理の実行順序とは関係なく、異なる範囲のアドレスのエリアに記憶されていることにより、プログラムとデータとで区別してチェックする場合の作業を効率的に行うことが可能となる。また、プログラムが記憶されたエリアのアドレス範囲と、データが記憶されたエリアのアドレス範囲との間に何らデータが記憶されていない未使用のエリアのアドレス範囲が設定されていることにより、プログラムのアドレス範囲とデータのアドレス範囲との境界をチェック作業に際して把握し易くなる。
【0222】
図17は、主側RAM314における各エリアの設定態様を説明するための説明図である。MPU312にて実行される制御が特定制御と非特定制御とで区別されていることに対応させて、
図17に示すように、主側RAM314においても特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392のアドレス範囲と、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394のアドレス範囲とが明確に区別されている。
【0223】
具体的には、アドレスY(1)~Y(r+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアが特定制御用のワークエリア391として設定されている。また、アドレスY(1)~Y(r+2)に連続するアドレスY(r+3)~Y(r+5)は未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスY(r+6)~Y(s+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアが特定制御用のスタックエリア392として設定されている。
【0224】
また、アドレスY(r+6)~Y(s+2)に連続するアドレスY(s+3)~Y(s+5)は未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスY(s+6)~Y(t+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアが非特定制御用のワークエリア393として設定されている。また、アドレスY(s+6)~Y(t+2)に連続するアドレスY(t+3)~Y(t+5)は未使用のエリアのアドレスとなっており、その後に続けてアドレスY(t+6)~Y(u+2)の範囲内における連続する各アドレスのエリアが非特定制御用のスタックエリア394として設定されている。
【0225】
なお、上記のような各エリアとアドレスとの関係は、主側RAM314における物理アドレス及びMPU312において認識されるメモリマップ上の論理アドレスの両方において設定されている。
【0226】
上記のように特定制御用のワークエリア391と、非特定制御用のワークエリア393とが区別して設定されていることにより、MPU312において特定制御を実行する場合と非特定制御を実行する場合とで、各種演算などを実行する場合において主側RAM314の異なるエリアが使用されることとなる。これにより、特定制御及び非特定制御のうち一方を実行する場合に他方において必要な主側RAM314の情報が消去されてしまうといった事象を発生しづらくさせることが可能となる。ちなみに、各ワークエリア391,393への情報の書き込み及び各ワークエリア391,393からの情報の読み出しに際してはMPU312にてロード命令が行われる。
【0227】
特定制御用のスタックエリア392と、非特定制御用のスタックエリア394とが区別して設定されていることにより、MPU312において特定制御を実行する場合と非特定制御を実行する場合とで、MPU312のレジスタに記憶された情報を退避する場合及びプログラム上の戻り番地の情報を記憶する場合において主側RAM314の異なるエリアが使用されることとなる。これにより、特定制御及び非特定制御のうち一方を実行している状況においてMPU312のレジスタに記憶された情報を退避する場合及びプログラム上の戻り番地の情報を記憶する場合に、他方において使用される情報が消去されてしまうといった事象を発生しづらくさせることが可能となる。ちなみに、各スタックエリア392,394への情報の書き込みに際してはMPU312にてプッシュ命令が行われ、各スタックエリア392,394からの情報の読み出しに際してはMPU312にてポップ命令が行われる。また、各スタックエリア392,394からの情報の読み出しに際しては当該スタックエリア392,394への書き込み順序が後の情報から先に読み出し対象となる。
【0228】
ここで、MPU312において特定制御に対応する処理を実行する場合には、MPU312は特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392への情報の書き込みが可能であるとともに、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392からの情報の読み出しが可能である。一方、MPU312において特定制御に対応する処理を実行する場合には、MPU312は非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394からの情報の読み出しは可能であるものの、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394への情報の書き込みは不可である。これにより、特定制御に対応する処理が実行されている状況において、非特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる。
【0229】
また、MPU312において非特定制御に対応する処理を実行する場合には、MPU312は非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394への情報の書き込みが可能であるとともに、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394からの情報の読み出しが可能である。一方、MPU312において非特定制御に対応する処理を実行する場合には、MPU312は特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392からの情報の読み出しは可能であるものの、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392への情報の書き込みは不可である。これにより、非特定制御に対応する処理が実行されている状況において、特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる。
【0230】
なお、主側RAM314にはパチンコ機10の電源遮断後においてもバックアップ電力が供給されることとなるが、当該バックアップ電力は特定制御用のワークエリア391、特定制御用のスタックエリア392、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394の全てに供給される。これにより、これら特定制御用のワークエリア391、特定制御用のスタックエリア392、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394に記憶された情報は、パチンコ機10の電源遮断後においてもバックアップ電力が供給されている間は記憶保持される。
【0231】
<MPU312の処理構成について>
次に、主制御装置162のMPU312にて実行される各制御処理を説明する。かかるMPU312の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(例えば4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。
【0232】
<メイン処理>
先ず、
図18のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。当該メイン処理は、タイマ割込み処理が禁止された状況下で開始される。なお、メイン処理は、基本的に特定制御用のプログラムにより実行されるが、一部の処理(ステップS115)については非特制御用のプラグラムにより実行される。
【0233】
先ずステップS101では、電源投入初期設定処理を実行する。電源投入初期設定処理では、例えばメイン処理が起動されてからウェイト用の所定時間(具体的には1sec)が経過するまで次の処理に進行することなく待機する。このウェイト用の所定期間において図柄表示装置75の動作開始及び初期設定が完了することとなる。また、主側RAM314のアクセスを許可する。
【0234】
ステップS102では、内部機能レジスタ設定処理を実行する。内部機能レジスタ設定処理では、当該メイン処理に対して定期的に割り込んで起動される処理であるタイマ割込み処理(
図21)の割込み周期を所定周期(例えば4msec)に設定する。また、内部機能レジスタ設定処理では、タイマ割込み処理の割込み周期の設定以外にも例えば当たり乱数カウンタC1の数値範囲といった各種カウンタの数値範囲の設定処理などを実行する。
【0235】
ステップS103では、リセットボタン166cが押圧操作されているか否かを判定する。つまり、リセットボタン166cが押圧操作されている状態でパチンコ機10の電源ON操作が行われてMPU312への動作電力の供給が開始されたか否かを判定する。
【0236】
リセットボタン166cが押圧操作されている場合は、ステップS104に進み、特定制御用のエリアについて第1初期化処理を実行する。第1初期化処理では、主側RAM314の特定制御用のワークエリア391においてパチンコ機10の設定状態を示す設定値の情報が設定されたエリア(設定値カウンタ)を除き、当該特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする。
【0237】
なお、第1初期化処理では、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394を「0」クリアしない。これにより、遊技ホールの従業員等によるクリア操作によっては非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394が「0」クリアされないようにすることが可能となる。
【0238】
ステップS105では、設定キーを利用して設定キー挿入部166aがON操作されているか否かを判定する。設定キー挿入部166aがON操作されている場合は、ステップS106に進み、設定値更新処理を実行する。
【0239】
ここで、ステップS106の設定値更新処理について
図19のフローチャートを参照しながら説明する。なお、設定値更新処理におけるステップS201~ステップS207の処理は特定制御用のプログラムにより実行される。
【0240】
設定値更新処理では先ずステップS201にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた設定更新表示フラグに「1」をセットする。設定更新表示フラグは、パチンコ機10の設定値を更新している状況であることをMPU312にて特定するためのフラグである。
【0241】
ステップS202では、特定制御用のワークエリア391に設けられた設定値カウンタの値が「設定1」に対応する1以上であって「設定6」に対応する6以下であるか否かを判定する。設定値カウンタの値が「0」である場合又は7以上である場合は、ステップS203に進み、設定値カウンタに「1」をセットする。これにより、パチンコ機10の設定値が「設定1」となる。
【0242】
ステップS203の実行後又はステップS202で肯定判定した場合(設定値が設定1~設定6の範囲内である場合)は、ステップS204にて、設定キーを利用して設定キー挿入部166aがOFF操作されているか否かを判定する。この場合、設定キー挿入部166aがON状態からOFF状態に切り換わったか否かを判定する構成としてもよく、設定キー挿入部166aがOFF状態であるか否かを判定する構成としてもよい。
【0243】
設定キー挿入部166aがOFF操作されていない場合は、ステップS205にて更新ボタン166bが押圧操作されているか否かを判定する。更新ボタン166bが押圧操作されている場合はステップS206に進み、特定制御用のワークエリア391における設定値カウンタの値を1加算する。これにより、1段階上の設定値に更新される。
【0244】
ステップS206の実行後又はステップS205で否定判定した場合(更新ボタン166bが押圧操作されていない場合)は、ステップS202の処理に戻る。以後、ステップS204で肯定判定するまでステップS202~ステップS206の処理を繰り返す。なお、ステップS202にて設定値カウンタの値が7以上であると判定されると、ステップS203にて設定値カウンタに「1」がセットされる。これにより、「設定6」の状況で更新ボタン166bが1回押圧操作された場合には「設定1」に戻ることになる。
【0245】
ステップS204で肯定判定した場合(設定キー挿入部166aがOFF操作されている場合)は、ステップS207に進み、特定制御用のワークエリア391における設定更新表示フラグを「0」クリアする。ステップS207の実行後は設定値更新処理を終了する。
【0246】
メイン処理(
図18)の説明に戻り、ステップS103で否定判定した場合(リセットボタン166cが押圧操作されていない場合)は、ステップS107に進み、特定制御用のワークエリア391に設けられた停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。停電フラグは、後述するタイマ割込み処理(
図21)の停電情報記憶処理(ステップS401)にて停電時処理が実行された場合に「1」がセットされるものであり、前回の電源遮断時において停電時処理が適切に行われたか否かをMPU312にて特定するためのフラグである。
【0247】
停電フラグに「1」がセットされている場合は、ステップS108にて、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392についてチェックサムを算出する。続くステップS109では、そのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
【0248】
ステップS107又はステップS109のいずれかで否定判定した場合は動作禁止処理を実行する。動作禁止処理では、ホール管理者等にエラーの発生を報知するためのエラー報知処理を実行し(ステップS110)、その後、無限ループとなる。当該動作禁止処理は、ステップS104の初期化処理が実行されることにより解除される。
【0249】
ステップS109で肯定判定した場合(チェックサムが正常である場合)は、ステップS111にて、設定キー挿入部166aがON操作されているか否かを判定する。設定キー挿入部166aがON操作されている場合は、ステップS112に進み、設定確認用処理を実行する。
【0250】
ここで、ステップS112の設定確認用処理について
図20のフローチャートを参照しながら説明する。なお、設定確認用処理におけるステップS301~ステップS303の処理は特定制御用のプログラムにより実行される。
【0251】
設定確認用処理では先ずステップS301にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた設定確認表示フラグに「1」をセットする。設定確認表示フラグは、パチンコ機10の現状の設定値を確認している状況であることをMPU312にて特定するためのフラグである。現在の設定値は第1~第5報知用表示装置169a~169eにて表示される。なお、当該表示のための処理については後述する。
【0252】
ステップS302では、設定キー挿入部166aがOFF操作されているか否かを判定する。この場合、設定キー挿入部166aがON状態からOFF状態に切り換わったか否かを判定する構成としてもよく、設定キー挿入部166aがOFF状態であるか否かを判定する構成としてもよい。設定キー挿入部166aがOFF操作されていない場は、そのままステップS302の処理を繰り返す。
【0253】
設定キー挿入部166aがOFF操作されている場合は、特定制御用のワークエリア391における設定確認表示フラグを「0」クリアし、その後、設定確認用処理を終了する。これにより、設定値の確認状態(第1~第5報知用表示装置169a~169eにおける設定値の表示状態)が解除される。
【0254】
メイン処理(
図18)の説明に戻り、ステップS112の設定確認用処理の実行後、ステップS106の設定値更新処理の実行後、ステップS111で否定判定した場合(リセットボタン166cが押圧操作されずにパチンコ機10の電源ON操作が行われた状況で設定キー挿入部166aがON操作されていない場合)又はステップS105で否定判定した場合(リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われた状況で設定キー挿入部166aがON操作されていない場合)は、ステップS113にて電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といった主側RAM314の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態に対応したコマンドを演出制御装置143に送信する。また、電源投入設定処理では、遊技停止中であるか否かを判定し、遊技停止中である場合はこれを解除する。すなわち、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグに「1」がセットされている場合は「0」にクリアして初期化する。
【0255】
ステップS114では超過時立上げ用処理を実行し、続くステップS115では部分クリア用処理を実行する。これらの処理は、差球数を利用した遊技制限に関するものであるが、その詳細については後述する。
【0256】
ステップS116では、第1~第5報知用表示装置169a~169eの動作確認処理を実行する。この動作確認処理では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおける全てのセグメントを点灯させ、その状態を所定期間(例えば5sec)に亘って継続する。第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて断線等の故障により点灯されないセグメントがあったりすると、ベース値等が正しく表示されなくなり、不正行為の判断等にあたって支障を来たすおそれがある。この点、動作確認処理が実行されることで、パチンコ機10の電源ON操作の都度、第1~第5報知用表示装置169a~169eが正常に点灯するかを確認することができ、ベース値等が正しく表示されない状態で遊技が進行することが抑制される。
【0257】
ステップS117では、タイマ割込み処理の発生を許可するための割込み許可の設定を行う。その後、ステップS118~ステップS121の残余処理に進む。つまり、MPU312はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS118~ステップS121の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS118~ステップS121の残余処理は非定期的に実行される非定期処理であると言える。
【0258】
残余処理では、まずステップS118にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS119では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS120にて変動種別カウンタCSの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、特定制御用のワークエリア391の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値を超えた際にそれぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS121にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS121の処理を実行した場合、ステップS118に戻り、ステップS118~ステップS121の処理を繰り返す。
【0259】
<タイマ割込み処理>
次に、
図21のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。タイマ割込み処理は定期的(例えば4msec周期)に実行される。なお、タイマ割込み処理に対応するプログラムは特定制御用のプログラムに設定されている。
【0260】
先ずステップS401では停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視部315から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行した後に無限ループとなる。停電時処理では、特定制御用のワークエリア391に設けられた停電フラグに「1」をセットするとともに、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392についてチェックサムを算出し、その算出したチェックサムを保存する。
【0261】
ステップS402では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び普電役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び普電役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値を超えた際にそれぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS403ではステップS119と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS404にてステップS120と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。
【0262】
ステップS405では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。パチンコ機10には、振動検知センサや磁石検知センサ、電波検知センサ等の異常検知センサが搭載されており、不正検知処理では、これらの検知センサの出力に基づいて各種異常の有無を判定する。
【0263】
ステップS406では、第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示制御を行うための報知用表示処理を実行する。続くステップS407では、遊技停止状態とするか否かの判定を行ったりする遊技停止判定用処理を実行する。これらの詳細については後述する。
【0264】
ステップS408では、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグに「1」がセットされているか否かを判定することで、遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定する。遊技の進行を停止している状態でない場合は、ステップS409に進み、ポート出力処理を実行する。
【0265】
ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部63b,65dに行うための処理を実行する。例えば、可変入賞装置65を開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には特電用の駆動部65dへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、第2作動口63の普電役物63aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には普電用の駆動部63bへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
【0266】
ステップS410では読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
【0267】
ステップS411では入球検知処理を実行する。当該入球検知処理では、各入球検知センサ91a~97aから受信している信号を読み込み、その読み込み結果に基づいて、アウト口68、一般入賞口61、可変入賞装置65、第1作動口62、第2作動口63及びスルーゲート64への入球の有無を特定する。なお、入球検知処理の詳細については後に説明する。
【0268】
ステップS412では、主側RAM314に設けられている複数種類のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。この場合、記憶されている数値情報が減算されて更新されるタイマカウンタを集約して扱う構成であるが、減算式のタイマカウンタの更新及び加算式のタイマカウンタの更新の両方を集約して行う構成としてもよい。
【0269】
ステップS413では、遊技球の発射制御を行うための発射制御処理を実行する。遊技球発射ハンドル41への発射操作が継続されている状況では、所定の発射周期である0.6秒に1個の遊技球が発射される。続くステップS414では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。特図特電制御処理については後に詳細に説明する。
【0270】
ステップS415では普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート64への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、第2作動口63の普電役物63aを開閉させる処理を実行する。この場合、サポートモードが低頻度サポートモードであればそれに対応する処理が実行され、サポートモードが高頻度サポートモードであればそれに対応する処理が実行される。また、開閉実行モードである場合にはその直前のサポートモードが高頻度サポートモードであったとしても低頻度サポートモードとなる。
【0271】
ステップS416では、直前のステップS414及びステップS415の処理結果に基づいて、特図用表示部43に係る保留情報の増減個数を特図保留数表示部AMに反映させるための出力情報の設定を行うとともに、普図用表示部44に係る保留情報の増減個数を普図保留数表示部FMに反映させるための出力情報の設定を行う。また、ステップS416では、直前のステップS414及びステップS415の処理結果に基づいて、特図用表示部43の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、普図用表示部44の表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
【0272】
ステップS417では、払出制御装置181から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。続くステップS418では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。また、ステップS419では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する。
【0273】
ステップS420では、ベース値や差球数を算出したりするためのベース値及び差球数処理を実行する。ベース値及び差球数処理の詳細については後に説明する。また、ステップS408で肯定判定した場合(遊技停止中である場合)は、ステップS421にて超過フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。超過フラグが「1」にセットされている場合は、ステップS409からステップS416までの各種処理を実行することなくステップS417の払出状態受信処理を実行し、超過フラグが「1」にセットされていない場合は、ステップS409からステップS419までの各種処理を実行することなくステップS420のベース値及び差球数処理を実行する。このように超過フラグの値により遊技停止中に不実行とされる処理を相違させるように制御するが、超過フラグについての詳細について後述する。
【0274】
<特図特電制御処理>
ステップS414の特図特電制御処理について
図22のフローチャートを参照しながら説明する。
【0275】
特図特電制御処理では先ずステップS501にて、保留情報の取得処理を実行する。保留情報の取得処理では、第1作動口62又は第2作動口63への入賞が発生しているか否かを判定し、入賞が発生している場合には保留格納エリア314aにおける保留数が上限値(本実施の形態では「4」)未満であるか否かを判定する。保留数が上限値未満である場合には、保留数を1加算するとともに、前回のステップS402にて更新した当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を、保留用エリアREの空き保留エリアRE1~RE4のうち最初の保留エリアに格納する。
【0276】
なお、第1作動口62及び第2作動口63への入賞が同時に発生している場合には、保留情報の取得処理を1回実行する範囲内において、上記保留情報を取得するための処理を複数回実行する。また、保留情報の新たな取得が行われた場合にはそれに対応する取得時コマンドを演出制御装置143に送信する。演出制御装置143は当該コマンドを受信した場合、図柄表示装置75における保留情報の個数を示す画像の表示を保留情報の増加に対応する表示内容に更新させる。
【0277】
ステップS502では、特定制御用のワークエリア391に設けられた特図特電カウンタの情報を読み出し、ステップS503では、主側ROM313に設けられた特図特電アドレステーブルを読み出す。続くステップS504では、特図特電アドレステーブルから特図特電カウンタの情報に対応した開始アドレスを取得し、ステップS505では、ステップS506~ステップS512の処理のうちその取得した開始アドレスが示す処理にジャンプする。特図特電カウンタは、ステップS506~ステップS512の各種処理のうちいずれを実行すべきであるかをMPU312にて把握するためのカウンタであり、特図特電アドレステーブルには、特図特電カウンタの数値情報に対応させて、ステップS506~ステップS512の処理を実行するためのプログラムの開始アドレスが設定されている。
【0278】
ステップS506では特図変動開始処理を実行する。特図変動開始処理について
図23のフローチャートを参照しながら説明する。
【0279】
特図変動開始処理では先ずステップS501にて、保留用エリアREに格納されている保留情報の個数が1以上であるか否かを判定する。保留情報の個数が1以上である場合は、ステップS602にてデータ設定処理を実行する。
【0280】
データ設定処理では、まず保留数を1減算するとともに、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。その後、保留用エリアREの各保留エリアRE1~RE4に格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1保留エリアRE1~第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であり、詳細には、第2保留エリアRE2→第1保留エリアRE1、第3保留エリアRE3→第2保留エリアRE2、第4保留エリアRE4→第3保留エリアRE3といった具合に各エリア内のデータをシフトさせた後に第4保留エリアRE4を「0」クリアする。この際、保留エリアのデータのシフトが行われたことを認識させるためのシフト時コマンドを演出制御装置143に送信する。演出制御装置143は当該コマンドを受信した場合、図柄表示装置75における保留情報の個数を示す画像の表示を保留情報の減少に対応する表示内容に更新させる。
【0281】
ステップS603では、主側ROM313から当否テーブルを読み出す。具体的には先ず特定制御用のワークエリア391に設けられた設定値カウンタの値を読み出し、パチンコ機10の設定状態を把握する。その上で、現状の当否抽選モードを把握し、高確率モードである場合には、把握した設定状態に対応する高確当否テーブルを読み出し、低確率モードである場合には、把握した設定状態に対応する低確当否テーブルを読み出す。
【0282】
ステップS604では、ステップS603にて読み出した当否テーブルを参照して当否判定処理を実行する。当否判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち当否判定用の情報、すなわち当たり乱数カウンタC1に係る数値情報が、ステップS603にて読み出した当否テーブルに設定された大当たり数値情報と一致しているか否かを判定する。
【0283】
当否判定処理の結果が大当たり当選結果である場合には(ステップS605:YES)、ステップS606にて振分判定処理を実行する。振分判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち振分判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報を読み出す。そして、主側ROM313に設けられた振分テーブル387を参照して、上記読み出した大当たり種別カウンタC2に係る数値情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。具体的には、低確大当たり結果、低入賞高確大当たり結果及び高入賞高確大当たり結果のうちいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。
【0284】
ステップS607では、大当たり結果用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回において特図用表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、主側ROM313に予め記憶されている大当たり結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報を主側RAM314の特定制御用のワークエリア391に書き込む。この大当たり結果用の停止結果テーブルには、特図用表示部43に停止表示される絵柄の態様の情報が、大当たり結果の種類毎に相違させて設定されている。
【0285】
ステップS608では、振分判定結果に対応したフラグセット処理を実行する。具体的には、特定制御用のワークエリア391には各大当たり結果の種類に対応したフラグが設けられており、ステップS608では、それら各大当たり結果の種類に対応したフラグのうち、ステップS606の振分判定処理の結果に対応したフラグに「1」をセットする。
【0286】
一方、ステップS605にて大当たり当選結果ではないと判定した場合には、ステップS609にて外れ結果用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回において特図用表示部43に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、主側ROM313に予め記憶されている外れ結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報を特定制御用のワークエリア391に書き込む。この場合に選択される絵柄の態様の情報は、大当たり結果の場合に選択される絵柄の態様の情報とは異なっている。
【0287】
ステップS608及びステップS609のいずれかの処理を実行した後は、ステップS610にて遊技回の継続期間の把握処理を実行する。かかる処理では、変動種別カウンタCSの数値情報を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置75にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回が低確大当たり結果又は高入賞高確大当たり結果である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。また、いずれの大当たり結果でもなく、さらに実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
【0288】
リーチ表示が発生すると判定した場合には、主側ROM313に記憶されているリーチ発生用継続期間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの数値情報に対応した遊技回の継続期間を取得する。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、主側ROM313に記憶されているリーチ非発生用継続期間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの数値情報に対応した遊技回の継続期間を取得する。ちなみに、リーチ非発生用継続期間テーブルを参照して取得され得る遊技回の継続期間は、リーチ発生用継続期間テーブルを参照して取得され得る遊技回の継続期間と異なっている。
【0289】
なお、リーチ非発生時における遊技回の継続期間は、保留用エリアREに格納されている保留情報の数が多いほど遊技回の継続期間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い遊技回の継続期間が選択されるようにリーチ非発生用継続期間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、保留情報の数やサポートモードに応じて遊技回の継続期間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における遊技回の継続期間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各種大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の外れ結果の場合のそれぞれに対して個別に継続期間テーブルが設定されていてもよい。この場合、各遊技結果に応じた遊技回の継続期間の振分が行われることとなる。
【0290】
ステップS611では、ステップS610にて取得した遊技回の継続期間の情報を、特定制御用のワークエリア391に設けられた特図特電タイマカウンタにセットする。特図特電タイマカウンタにセットされた数値情報の更新は、タイマ更新処理(ステップS412)にて実行される。ちなみに、遊技回用の演出として、特図用表示部43における絵柄の変動表示と図柄表示装置75における図柄の変動表示とが行われるが、これらの各変動表示が終了される場合にはその遊技回の停止結果が表示された状態(図柄表示装置75では有効ライン上に所定の図柄の組合せが待機された状態)で最終停止期間(例えば0.5秒)に亘って最終停止表示される。この場合に、ステップS610にて取得される遊技回の継続期間は1遊技回分のトータル時間となっている。
【0291】
ステップS612では、変動用コマンド及び種別コマンドを演出制御装置143に送信する。変動用コマンドには、遊技回の継続期間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用継続期間テーブルを参照して取得される遊技回の継続期間は、リーチ発生用継続期間テーブルを参照して取得される遊技回の継続期間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、演出制御装置143では遊技回の継続期間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。
【0292】
演出制御装置143は変動用コマンド及び種別コマンドをMPU312から受信した場合、ランプ部26~28、スピーカ部29及び図柄表示装置75において遊技回用の演出が実行されるようにする。この場合、当該遊技回用の演出は変動用コマンド及び種別コマンドの内容に対応する態様で行われる。また、図柄表示装置75では遊技回用の演出として図柄の変動表示が行われ、当該遊技回用の演出が終了する場合には当否判定処理及び振分判定処理の結果に対応する図柄の組み合わせが停止表示される。
【0293】
ステップS613では、特図用表示部43における絵柄の変動表示を開始させる。続くステップS614では特図特電カウンタを1加算する。この場合、特図変動開始処理が実行される場合における特図特電カウンタの数値情報は「0」であるため、特図特電カウンタの数値情報は「1」となる。
【0294】
特図特電制御処理(
図22)の説明に戻り、ステップS507では特図変動中処理を実行する。特図変動中処理では、遊技回の継続時間中であって最終停止表示前のタイミングであるか否かを判定し、最終停止表示前であれば特図用表示部43における絵柄の表示態様を規則的に変化させるための処理を実行する。最終停止表示させるタイミングとなった場合には、特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図変動中処理に対応したものから特図確定中処理に対応したものに更新する。なお、本実施の形態においてはMPU312から演出制御装置143に最終停止コマンドは送信されない。
【0295】
ステップS508では特図確定中処理を実行する。特図確定中処理では、特図用表示部43における絵柄の表示態様を今回の遊技回の抽選結果に対応した表示態様とする。また、特図確定中処理では、最終停止期間が経過したか否かを判定し、当該期間が経過している場合には開閉実行モードへの移行が発生するか否かの判定を行う。開閉実行モードへの移行が発生しない場合には特図特電カウンタの数値情報を「0」クリアする。開閉実行モードへの移行が発生する場合には特図特電カウンタの数値情報を1加算することで、当該カウンタの数値情報を特図確定中処理に対応したものから特電開始処理に対応したものに更新する。
【0296】
ステップS509では特電開始処理を実行する。特電開始処理では今回の開閉実行モードにおけるオープニング期間を開始させるための処理を未だ実行していない場合、オープニング期間のセット処理を実行する。また、オープニングコマンドを演出制御装置143に送信する。演出制御装置143はオープニングコマンドを受信することにより、ランプ部26~28、スピーカ部29及び図柄表示装置75にてオープニング演出が実行されるようにする。オープニング期間が経過している場合、最初のラウンド遊技を開始させるための開始用処理を実行する。当該開始用処理では、可変入賞装置65を開放状態とするとともにラウンド遊技の終了条件を設定する。この終了条件の設定に際しては、今回の最初のラウンド遊技において可変入賞装置65を開放状態に継続させる場合の上限継続時間をセットするとともに、今回の最初のラウンド遊技において可変入賞装置65に入賞可能な遊技球の上限個数を特定制御用のワークエリア391に設けられた入賞個数カウンタにセットする。
【0297】
ステップS510では特電開放中処理を実行する。特電開放中処理ではラウンド遊技の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立している場合には可変入賞装置65を閉鎖状態とする。そして、今回終了したラウンド遊技が最後の実行回のラウンド遊技でなければ特図特電カウンタの数値情報を1加算することで当該カウンタの数値情報を特電開放中処理に対応したものから特電閉鎖中処理に対応したものに更新し、今回終了したラウンド遊技が最後の実行回のラウンド遊技であれば特図特電カウンタの数値情報を2加算することで当該カウンタの数値情報を特電開放中処理に対応したものから特電終了処理に対応したものに更新する。
【0298】
ステップS511では特電閉鎖中処理を実行する。特電閉鎖中処理では、ラウンド遊技間のインターバル期間が経過したか否かを判定する。インターバル期間は前回のラウンド遊技が終了する場合に設定される。インターバル期間が経過した場合には、可変入賞装置65を開放状態とするとともにラウンド遊技の終了条件を設定する。そして、特図特電カウンタの数値情報を1減算することで、当該カウンタの数値情報を特電閉鎖中処理に対応したものから特電開放中処理に対応したものに更新する。
【0299】
ステップS512では特電終了処理を実行する。特電終了処理では、今回の開閉実行モードにおけるエンディング期間を開始させるための処理を未だ実行していない場合、エンディング期間(例えば5sec)をセットするとともに、エンディングコマンドを演出制御装置143に送信する。演出制御装置143はエンディングコマンドを受信することにより、ランプ部26~28、スピーカ部29及び図柄表示装置75にてエンディング演出が実行されるようにする。エンディング期間が経過した場合には、開閉実行モードの終了後における当否抽選モード及びサポートモードのそれぞれを、今回の開閉実行モードの開始契機となった大当たり結果に対応するモードに設定する。
【0300】
次に、MPU312にて、各入球検知センサ91a~97aの検知結果に基づき、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68及びスルーゲート64への遊技球の入球の有無を特定するための構成について説明する。
図24はMPU312に入球検知センサ91a~97aの検知結果が入力されるようにする構成を説明するための説明図である。
【0301】
MPU312には入力ポート312aが設けられている。入力ポート312aは、8種類の信号を同時に扱うことができるように8ビットのパラレルインターフェースとして構成されている。そして、各信号の電圧に応じて「0」又は「1」の情報が格納されるエリアが、各端子に1対1で対応させて設けられている。つまり、当該エリアとして、第0ビットD0~第7ビットD7を備えている。但し、本パチンコ機10においては、第7ビットD7は使用せず、7種類の信号を同時に扱う構成としている。また、入力ポート312aには8種類を超える信号が入力されることとなるが、同時に入力される対象を8種類に制限するために、入力ポート312aへの入力対象となる信号群はドライバICによる切換制御を通じて切り換えられる。
【0302】
タイマ割込み処理(
図21)の入球検知処理(ステップS411)では、入力ポート312aへの入力対象となる信号群が各入球検知センサ91a~97aからの信号群に設定される。かかる設定がなされた状況では、第0ビットD0は第1入賞口検知センサ91aからの検知信号に対応した情報が格納され、第1ビットD1は第2入賞口検知センサ92aからの検知信号に対応した情報が格納され、第2ビットD2は第1作動口検知センサ93aからの検知信号に対応した情報が格納され、第3ビットD3は第2作動口検知センサ94aからの検知信号に対応した情報が格納され、第4ビットD4は大入賞口検知センサ95aからの検知信号に対応した情報が格納され、第5ビットD5はアウト口検知センサ96aからの検知信号に対応した情報が格納され、第6ビットD6はゲート検知センサ97aからの検知信号に対応した情報が格納される。
【0303】
上記各入球検知センサ91a~97aは、遊技球の通過を検知していない場合には検知信号として非検知中であることを示すLOWレベル信号を出力し、遊技球の通過を検知している場合には検知信号として検知中であることを示すHIレベル信号を出力する。そして、入力ポート312aではLOWレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「0」の情報を格納し、HIレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「1」の情報を格納する。つまり、入球検知センサ91a~97aにおいて遊技球の通過が検知されていない状況では該当するビットに対して非検知中を示す情報に対応した「0」の情報が格納され、遊技球の通過が検知されている状況では該当するビットに対して検知中を示す情報に対応した「1」の情報が格納される。
【0304】
図25はタイマ割込み処理(
図21)のステップS411にて実行される入球検知処理を示すフローチャートである。
【0305】
第0ビットD0又は第1ビットD1において「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、第1入賞口検知センサ91a又は第2入賞口検知センサ92aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS801:YES)。この場合、ステップS802にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた一般入賞センサフラグに「1」をセットし、ステップS803にて、上記ワークエリア391に設けられた10個賞球用カウンタの値を1加算する。
【0306】
一般入賞センサフラグは一般入賞口61への入賞が発生したことをMPU312にて特定するためのフラグであり、10個賞球用カウンタは10個の遊技球の払い出しをMPU312にて実行すべき回数を特定するためのカウンタである。10個賞球用カウンタの値が1以上である場合、タイマ割込み処理(
図21)におけるステップS418の払出出力処理にて10個賞球コマンドを払出制御装置181に出力するとともに、10個賞球コマンドを1回出力した場合には10個賞球用カウンタの値を1減算する。払出制御装置181は10個賞球コマンドを受信した場合、10個の遊技球が払い出されるように払出装置222を駆動制御する。
【0307】
第2ビットD2に「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、第1作動口検知センサ93aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS804:YES)。この場合、ステップS805にて、上記ワークエリア391に設けられた第1作動入賞フラグに「1」をセットし、ステップS806にて、上記ワークエリア391に設けられた3個賞球用カウンタの値を1加算する。第1作動入賞フラグは第1作動口62への入賞が発生したことをMPU312にて特定するためのフラグであり、3個賞球用カウンタは3個の遊技球の払い出しをMPU312にて実行すべき回数を特定するためのカウンタである。
【0308】
タイマ割込み処理(
図21)の特図特電制御処理(ステップS414)では第1作動入賞フラグに「1」がセットされていることを確認することで、保留格納エリア314aの保留用エリアREに格納されている保留情報の個数が上限数である4個未満であることを条件として、保留情報を新たに格納する処理を実行する。特図特電制御処理(ステップS414)にて第1作動入賞フラグに「1」がセットされていることを確認し、その確認に対応する処理を実行した場合に第1作動入賞フラグを「0」クリアする。
【0309】
第3ビットD3に「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、第2作動口検知センサ94aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS807:YES)。この場合、ステップS808にて、上記ワークエリア391に設けられた第2作動入賞フラグに「1」をセットし、ステップS809にて、上記ワークエリア391に設けられた1個賞球用カウンタの値を1加算する。第2作動入賞フラグは第2作動口63への入賞が発生したことをMPU312にて特定するためのフラグであり、1個賞球用カウンタは1個の遊技球の払い出しをMPU312にて実行すべき回数を特定するためのカウンタである。
【0310】
タイマ割込み処理(
図21)の特図特電制御処理(ステップS414)では第2作動入賞フラグに「1」がセットされていることを確認することで、保留格納エリア314aの保留用エリアREに格納されている保留情報の個数が上限数である4個未満であることを条件として、保留情報を新たに格納する処理を実行する。特図特電制御処理(ステップS414)にて第2作動入賞フラグに「1」がセットされていることを確認し、その確認に対応する処理を実行した場合に第1作動入賞フラグを「0」クリアする。
【0311】
第4ビットD4に「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、大入賞口検知センサ95aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS810:YES)。この場合、ステップS811にて、上記ワークエリア391に設けられた特電入賞フラグに「1」をセットし、ステップS812にて、上記ワークエリア391に設けられた15個賞球用カウンタの値を1加算する。特電入賞フラグは可変入賞装置65への入賞が発生したことをMPU312にて特定するためのフラグであり、15個賞球用カウンタは15個の遊技球の払い出しをMPU312にて実行すべき回数を特定するためのカウンタである。
【0312】
タイマ割込み処理(
図21)の特図特電制御処理(ステップS414)では特電入賞フラグに「1」がセットされていることを確認することで、可変入賞装置65への1個の遊技球の入球が発生したことを特定し、ラウンド遊技における可変入賞装置65への残りの入球可能個数を1減算する。かかる入球可能個数を1減算する処理を実行した場合に特電入賞フラグを「0」クリアする。
【0313】
第5ビットD5に「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、アウト口検知センサ96aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS813:YES)。この場合、上記ワークエリア391に設けられたアウトフラグに「1」をセットする。アウトフラグはアウト口68への遊技球の入球が発生したことをMPU312が特定するためのフラグである。
【0314】
第6ビットD6に「0」の情報が格納されている状況から「1」の情報が格納されている状況に切り換わったことを確認した場合、ゲート検知センサ97aにて1個の遊技球が検知されたと判定する(ステップS815:YES)。この場合、ステップS816にて、上記ワークエリア391に設けられたゲート入賞フラグに「1」をセットする。ゲート入賞フラグはスルーゲート64に1個の遊技球が入球したことをMPU312にて特定するためのフラグである。
【0315】
タイマ割込み処理(
図21)の普図普電制御処理(ステップS415)ではゲート入賞フラグに「1」がセットされていることを確認することで、普電保留エリア314cに格納されている普図側の保留情報の個数が上限数である4個未満であることを条件として、現状の普電役物開放カウンタC4の数値情報を普図側の保留情報として普電保留エリア314cに格納する処理を実行する。普図普電制御処理(ステップS415)にてゲート入賞フラグに「1」がセットされていることを確認し、その確認に対応する処理を実行した場合にゲート入賞フラグを「0」クリアする。
【0316】
次に、払出制御装置181にて実行される処理内容について説明する。まず払出制御装置181及び当該払出制御装置181との間で通信を行う各種装置の電気的構成について、
図26のブロック図を参照しながら説明する。
【0317】
払出制御装置181はMPU382を備えている。MPU382には、払出側ROM383、払出側RAM384、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。
【0318】
払出側ROM383は、NOR型フラッシュメモリ及びNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)であり、読み出し専用として利用される。払出側ROM383は、払出側MPU382により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
【0319】
払出側RAM384は、SRAM及びDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)であり、読み書き両用として利用される。払出側RAM384は、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合に払出側ROM383よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。払出側RAM384は、払出側ROM383内に記憶されている制御プログラムの実行に対して各種のデータなどを一時的に記憶する。
【0320】
払出側MPU382は、主制御装置162のMPU312と双方向通信を行うことが可能となっている。払出側MPU382はMPU312から賞球コマンドを受信することにより、その賞球コマンドに対応する個数の遊技球が払い出されるように払出装置222を駆動制御する。また、払出側MPU382は、遊技球の払い出しを正常に行うことが可能な状態であるか否かを監視し、正常に行うことが可能ではない状態であると特定した場合には払出側RAM384に未払い出しの賞球個数情報が記憶されている状況であっても払出装置222を停止させる。また、払出側MPU382は、このように正常に払い出しを行うことが可能ではない状態であることを示す払出制限コマンドをMPU312に送信する。
【0321】
MPU312は当該払出制限コマンドを受信した場合、遊技球の払い出しを正常に行うことが可能ではない状態であることを示す報知が図柄表示装置75、ランプ部26~28及びスピーカ部29にて実行されるように演出制御装置143に報知用コマンドを送信する。遊技球の払い出しを正常に行うことが可能ではない状態として、下皿34が遊技球で満タンとなる満タン状態と、タンク221に遊技球が補充されていない球無状態と、払出装置222が正常に動作しない払出異常状態と、遊技機本体12が外枠11から開放された本体開放状態と、前扉枠14が内枠13から開放された前扉開放状態と、が存在している。
【0322】
払出装置222から下皿34へと通じる遊技球通路の途中位置には図示しない満タン検知センサが設けられており、当該満タン検知センサの検知結果は払出側MPU382に入力される。払出側MPU382は、満タン検知センサにおいて遊技球が継続して検知された場合に満タン状態であると特定し、満タン検知センサにて遊技球が継続して検知される状態が解除された場合に満タン状態が解除されたと特定する。
【0323】
タンク221から払出装置222へと通じる遊技球通路の途中位置に図示しない球無検知センサが設けられており、当該球無検知センサの検知結果は払出側MPU382に入力される。払出側MPU382は、球無検知センサにおいて遊技球が継続して検知されない場合に球無状態であると特定し、球無検知センサにて遊技球が継続して検知されない状態が解除された場合に球無状態が解除されたと特定する。
【0324】
払出装置222には当該払出装置222から払い出される遊技球を検知するための図示しない払出検知センサが設けられており、当該払出検知センサの検知結果は払出側MPU382に入力される。払出側MPU382は、払出検知センサにて遊技球が検知された場合に払出装置222から1個の遊技球が払い出されたと特定する。また、払出側MPU382は、遊技球が払い出されるように払出装置222を駆動制御しているにも関わらず払出検知センサにて遊技球が継続して検知されない場合に払出異常状態であると特定し、払出検知センサにて遊技球が継続して検知されない状態が解除された場合に払出異常状態が解除されたと特定する。
【0325】
内枠13の前面部には前扉開放センサ232が設けられており、当該前扉開放センサ232の検知結果は払出側MPU382に入力される。この場合、内枠13に対して前扉枠14が閉鎖状態である場合に前扉開放センサ232は閉鎖検知信号を払出側MPU382に送信し、内枠13に対して前扉枠14が開放状態である場合に前扉開放センサ232は開放検知信号を払出側MPU382に送信する。
【0326】
払出側MPU382は、前扉開放センサ232から閉鎖検知信号を受信している場合に前扉枠14が閉鎖状態であると特定し、前扉開放センサ232から開放検知信号を受信している場合に前扉枠14が開放状態であると特定する。また、払出側MPU382は、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となったと特定したタイミングでMPU312に前扉開放コマンドを送信し、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となったと特定したタイミングでMPU312に前扉閉鎖コマンドを送信する。MPU312は、前扉開放コマンドを受信した場合に前扉枠14が開放状態となったと特定し、前扉閉鎖コマンドを受信した場合に前扉枠14が閉鎖状態となったと特定する。
【0327】
裏パックユニット15の前面部には本体開放センサ233が設けられており、当該本体開放センサ233の検知結果は払出側MPU382に入力される。この場合、外枠11に対して遊技機本体12が閉鎖状態である場合に本体開放センサ233は閉鎖検知信号を払出側MPU382に送信し、外枠11に対して遊技機本体12が開放状態である場合に本体開放センサ233は開放検知信号を払出側MPU382に送信する。
【0328】
払出側MPU382は、本体開放センサ233から閉鎖検知信号を受信している場合に遊技機本体12が閉鎖状態であると特定し、本体開放センサ233から開放検知信号を受信している場合に遊技機本体12が開放状態であると特定する。また、払出側MPU382は、遊技機本体12が閉鎖状態から開放状態となったと特定したタイミングでMPU312に本体開放コマンドを送信し、遊技機本体12が開放状態から閉鎖状態となったと特定したタイミングでMPU312に本体閉鎖コマンドを送信する。MPU312は、本体開放コマンドを受信した場合に遊技機本体12が開放状態となったと特定し、本体閉鎖コマンドを受信した場合に遊技機本体12が閉鎖状態となったと特定する。
【0329】
払出側MPU382にて実行されるタイマ割込み処理について
図27のフローチャートを参照しながら説明する。タイマ割込み処理は、予め定められた周期(例えば2msec)で繰り返し起動されるものである。
【0330】
先ずステップS901では満タン用処理を実行する。満タン用処理では、満タン検知センサの検知結果に基づいて満タン状態であるか否かを特定し、満タン状態である場合には遊技球の払い出しを停止させるための処理を実行するとともに、満タン状態であることを示すコマンドをMPU312に送信する。また、満タン状態が解除された場合には遊技球の払い出しを可能とさせるための処理を実行するとともに、満タン状態が解除されたことを示すコマンドをMPU312に送信する。
【0331】
ステップS902では球無用処理を実行する。球無用処理では、球無検知センサの検知結果に基づいて球無状態であるか否かを特定し、球無状態である場合には遊技球の払い出しを停止させるための処理を実行するとともに、球無状態であることを示すコマンドをMPU312に送信する。また、球無状態が解除された場合には遊技球の払い出しを可能とさせるための処理を実行するとともに、球無状態が解除されたことを示すコマンドをMPU312に送信する。
【0332】
ステップS903では払出異常監視処理を実行する。払出異常監視処理では、払出検知センサの検知結果に基づいて払出異常状態であるか否かを特定し、払出異常状態である場合には遊技球の払い出しを停止させる処理を実行するとともに、払出異常状態であることを示すコマンドをMPU312に送信する。また、払出異常状態が解除された場合には遊技球の払い出しを可能とさせる処理を実行するとともに、払出異常状態が解除されたことを示すコマンドをMPU312に送信する。
【0333】
ステップS904では前扉開放監視処理を実行する。前扉開放監視処理では、前扉開放センサ232の検知結果に基づいて前扉枠14が開放状態であるか否かを特定し、前扉枠14が開放状態である場合には遊技球の払い出しを停止させる処理を実行するとともに、前扉開放コマンドをMPU312に送信する。また、前扉枠14が閉鎖された場合には遊技球の払い出しを可能とさせる処理を実行するとともに、前扉閉鎖コマンドをMPU312に送信する。
【0334】
ステップS905では本体開放監視処理を実行する。本体開放監視処理では、本体開放センサ233の検知結果に基づいて遊技機本体12が開放状態であるか否かを特定し、遊技機本体12が開放状態である場合には遊技球の払い出しを停止させる処理を実行するとともに、本体開放コマンドをMPU312に送信する。また、遊技機本体12が閉鎖された場合には遊技球の払い出しを可能とさせる処理を実行するとともに、本体閉鎖コマンドをMPU312に送信する。
【0335】
ステップS906ではコマンド読込処理を実行する。当該コマンド読込処理では、MPU312が送信した賞球コマンドを読み込む処理を実行し、その賞球コマンドを払出側RAM384に格納する。そして、その受信した賞球コマンドに対応する個数を払出側RAM384における未払い出しの賞球個数情報に加算するための賞球設定処理を実行した後に(ステップS907)、払出装置222による遊技球の払い出しの実行制御を行うための払出制御処理を実行する(ステップS908)。
【0336】
払出制御処理では、払出側RAM384に記憶されている未払い出しの賞球個数情報が1以上の値である場合に払出装置222の駆動制御を行い、払出検知センサにて1個の遊技球を検知した場合に賞球個数情報の値を1減算する。そして、賞球個数情報の値が「0」となった場合には払出装置222の駆動制御を停止する。その後、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する(ステップS909)。
【0337】
<ベース値及び差球数処理>
ステップS420のベース値及び差球数処理について
図28のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ベース値及び差球数処理におけるステップS1001~ステップS1005の処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0338】
ベース値及び差球数処理では先ずステップS1001にて、タイマ割込み処理(
図21)の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS1002では、プッシュ命令により、MPU312に設けられた複数のレジスタのうちフラグレジスタに格納されている情報を特定制御用のワークエリア391における所定領域に書き込んで退避させる。フラグレジスタにはゼロフラグやサインフラグなどが含まれており、演算命令、ローテート命令及び入出力命令などの実行結果によってその情報は変化することとなる。このようなフラグレジスタの情報をベース値及び差球数用実行処理(ステップS1003)に対応するサブルーチンのプログラムが開始される前に退避させることにより、当該サブルーチンのコールや当該サブルーチンの開始後において変化する前の状態のフラグレジスタの情報を特定制御用のワークエリア391に退避させておくことが可能になる。
【0339】
ステップS1003では、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されているベース値及び差球数用実行処理に対応するサブルーチンのプログラムを読み出し、当該実行処理を開始する。この際、当該実行処理の実行後における戻り番地を特定するための情報を特定制御用のスタックエリア392に書き込む。そして、ベース値及び差球数用実行処理が終了した場合には、当該スタックエリア392に書き込まれた戻り番地を特定するための情報を読み出し、その戻り番地が示すベース値及び差球数処理のプログラムに復帰する。
【0340】
ステップS1003の実行後はステップS1004にて、ポップ命令により、退避させたフラグレジスタの情報を復帰させる。具体的には、ステップS1002で特定制御用のスタックエリア392に退避させたフラグレジスタの情報を読み出し、それらをMPU312のフラグレジスタに格納する。これにより、MPU312のフラグレジスタの情報が、ステップS1002が実行された時点の情報に復帰することとなる。
【0341】
ステップS1005では、タイマ割込み処理(
図21)の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換えるために割込み許可の設定を行う。これにより、タイマ割込み処理の新たな実行が可能となる。
【0342】
次に、ステップS1103にて非特定制御用のプログラムが読み出されることにより実行されるベース値及び差球数用実行処理について、
図29のフローチャートを参照しながら説明する。
【0343】
ステップS1101では、ロード命令により、MPU312のスタックポインタに非特定制御用のスタックエリア394における開始位置のアドレス情報(具体的には
図17におけるアドレスY(u+2))を設定する。これにより、使用するスタックエリアが非特定制御用のスタックエリア394に切り換えられる。
【0344】
ステップS1102では、MPU312に設けられる複数のレジスタのうち、後述のベース値算出処理(ステップS1103)、超過判定用処理(ステップS1104)、表示設定処理(ステップS1105)で使用するレジスタに格納されている情報を非特定制御用のワークエリア393における所定領域に書き込んで退避させる。
【0345】
ステップS1102の実行後は、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されているステップS1103~ステップS1105のサブルーチンのプログラムを読み出し、順次に実行する。これらの処理に先立ち、ステップS1102にて使用レジスタの情報を退避させることで、ステップS1103~ステップS1105の実行に際してそれら各レジスタが上書きされたとしても、非特定制御用のワークエリア393に退避させた情報をこれらレジスタに書き込むことで、上書き前の状態に復帰させることができる。すなわち、特定制御に際して利用されていたレジスタの情報を保護することができる。
【0346】
なお、ステップS1103~ステップS1105の実行に際しては、それら各処理の実行後における戻り番地を特定するための情報を非特定制御用のスタックエリア394に書き込む。そして、ステップS1103~ステップS1105が終了した場合には、当該エリア394に書き込まれた戻り番地を特定するための情報を読み出し、その戻り番地が示すベース値及び差球数用実行処理のプログラムに復帰する。
【0347】
ステップS1103~ステップS1105の処理を実行した後は、ステップS1106にて、ロード命令により、MPU312のスタックポインタに特定制御用のスタックエリア392における固定アドレスを設定する。これにより、使用するスタックエリアが特定制御用のスタックエリア392に切り換えられる。
【0348】
なお、ベース値及び差球数用実行処理を含むステップS420のベース値及び差球数処理は、タイマ割込み処理において遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御処理が終了した後に実行されるため、ステップS1103~ステップS1105の処理が実行される直前において特定制御用のスタックエリア39に記憶されている情報は常に一定となる。このため、その一定の情報量を踏まえて上記固定アドレスを定めておくことで、MPU312におけるスタックポインタの情報を事前に退避させていなくても、スタックポインタの状態を非特定制御に対応する処理が開始される直前の情報に復帰させることができる。よって、処理負荷を軽減させることが可能になるとともに当該退避させるための領域を主側RAM314において確保する必要がなくなる。
【0349】
ステップS1107では、ステップS1102にて非特定制御用のワークエリア393に退避させた各レジスタの値をロード命令により読み出し、それらをMPU312の各レジスタに格納する。これにより、MPU312の各レジスタの情報が、ステップS1102が実行された時点の情報に復帰することになる。
【0350】
次に、サブルーチンのプログラムが読み出されることにより実行されるステップS1103のベース値算出処理、ステップS1104の超過判定用処理、ステップS1105の表示設定用処理について説明する。これらの処理では、ベース値や差球数の遊技履歴に関する情報を算出し、その結果を第1~第5報知用表示装置169a~169eに表示するための表示データの設定を行ったり、算出した差球数が予め定められた特定個数(例えば100000個)以上となったか否かを判定したりする。
【0351】
<ベース値算出処理>
先ずステップS1103のベース値算出処理について
図30のフローチャートを参照しながら説明する。
【0352】
ベース値算出処理では先ずステップS1201にて、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への遊技球の入球が発生したか否かを判定する。すなわち、第1入賞口検知センサ91a、第2入賞口検知センサ92a、第1作動口検知センサ93a、第2作動口検知センサ94a、大入賞口検知センサ95a及びアウト口検知センサ96aの各出力に基づいて上記判定を行う。
【0353】
入球が発生している場合は、ステップS1202にて、計測区間用のアウトカウンタ501dの更新処理を実行する。
図31に示すように、非特定制御用のワークエリア393には、ベース値の算出に対応するエリアとしてベース値用カウンタエリア501が設けられており、このベース値用カウンタエリア501に上記計測区間用のアウトカウンタ501dが設けられている。
【0354】
計測区間用のアウトカウンタ501dは、遊技領域PAから排出される遊技球の合計個数を計測するためのカウンタである。なお、本実施の形態では、アウト口検知センサ96aがアウト口68に入球した遊技球のみを検知するように構成されているため(
図7)、アウト口68への入球が発生した場合だけでなく、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63及び可変入賞装置65への入球が発生した場合にも、計測区間用のアウトカウンタ501dを1加算して更新する。計測区間用のアウトカウンタ501dの値は、所定個数(例えば60000個)ごとの計測区間を把握するのに利用される。
【0355】
ステップS1203では、現在の遊技状態が通常遊技状態(低確率モード且つ低頻度サポートモード)であるか否かを判定する。通常遊技状態である場合はステップS1204に進み、上記ベース値用カウンタエリア501における通常用の一般入賞カウンタ501a、通常用の第1作動カウンタ501b、通常用のアウトカウンタ501cの更新処理を実行する。これらのカウンタ501a~501cは、通常遊技状態を対象として一般入賞口61への遊技球の入球数、第1作動口62への遊技球の入球数、遊技領域PAからの遊技球の排出個数をそれぞれ計測するためのものである。ステップS1204では、一般入賞口61又は第1作動口62への入球が発生した場合は、一般入賞カウンタ501a及び第1作動カウンタ501bのうち対応するカウンタの値を1加算する。また、入球が発生した入球部の種別を問わず、入球が発生していれば、アウトカウンタ501cの値を1加算する。
【0356】
ステップS1204の実行後又はステップS1203で否定判定した場合(現在の遊技状態が通常遊技状態でない場合)は、ステップS1205にてベース値の算出処理を実行する。ベース値の算出処理では、通常用の各カウンタ501a~501cの値を用いて通常遊技状態におけるベース値を算出する。通常用の一般入賞カウンタ501a、通常用の第1作動カウンタ501b、通常用のアウトカウンタ501cの値をK1~K3とした場合にベース値は以下のものとなる。
・ベース値:遊技球の合計払出個数(K1×「一般入賞口61への入賞に対する賞球個数」+K2×「第1作動口62への入賞に対する賞球個数」)/遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数(K3)の割合。
【0357】
ステップS1206では、ステップS1205で算出したベース値の情報を、非特定制御用のワークエリア393に設けられた現状用エリア504aに上書きする処理を実行する。なお、非特定制御用のワークエリア393には、
図31に示すように、演算結果を記憶するためのエリアとして演算結果用エリア504が設けられており、演算結果用エリア504には、現状用エリア504aのほか、前回ベース値の情報を記憶するための前回用エリア504bと、前々回ベース値の情報を記憶するための前々回用エリア504cと、前々々回ベース値の情報を記憶するための前々々回用エリア504dとが設けられている。
【0358】
ステップS1206の実行後又はステップS1201で否定判定した場合(入球が発生していない場合)は、ステップS1207にて非特定制御用のワークエリア393に設けられた各種フラグ用エリア507(
図31)の管理開始フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。管理開始フラグは、算出したベース値を報知すべき状況であることをMPU312が特定するためのフラグである。
【0359】
管理開始フラグが「1」にセットされていない場合は、ステップS1208に進み、計測区間用のアウトカウンタ501dの値が所定の管理開始基準値(例えば300個)に対応する値以上であるか否かを判定する。アウトカウンタ501dの値が管理開始基準値に対応する値以上である場合は、ステップS1209に進み、管理開始フラグを「1」にセットする。これにより、算出したベース値が報知対象とされる。
【0360】
本実施の形態では、管理開始フラグが「0」クリアされた状態となるようにしてパチンコ機10が製造される。パチンコ機10の出荷段階などにおいては出荷前にパチンコ機10の動作チェックが行われることがあり、その際には各入球部に遊技球を手入れしてその後の動作がチェックされる。このような状況の下、パチンコ機10の製造後、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値に達するまでの期間においては、算出されたベース値を報知の対象外とすることで、上記手入れの影響を受けたベース値が報知されることを抑制できる。
【0361】
ステップS1210では、ベース値用カウンタエリア501に設けられた各カウンタ501a~501dを全て「0」クリアする。その結果、それら各カウンタ501a~501dの値が初期化された状態で次回のベース値算出処理が開始されることになり、ステップS1205では、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値に達する前の期間を対象外としてベース値が算出される。ステップS1210の実行後又はステップS1208で否定判定した場合(計測区間用のアウトカウンタ501dの値が管理開始基準値未満である場合)は、ベース値算出処理を終了する。
【0362】
ステップS1207で肯定判定した場合(管理開始フラグが「1」である場合)は、ステップS1211に進み、計測区間用のアウトカウンタ501dの値が計測区間を規定する所定個数(例えば60000個)に対応する値以上であるか否かを判定する。
【0363】
アウトカウンタ501dの値が所定個数に対応する値以上である場合は、ステップS1212にてデータシフト処理を実行する。データシフト処理では、非特定制御用のワークエリア393の演算結果用エリア504における現状用エリア504a、前回用エリア504b、前々回用エリア504c、前々々回用エリア504dに記憶されたベース値の情報を、前々回用エリア504c→前々々回用エリア504d、前回用エリア504b→前々回用エリア504c、現状用エリア504a→前回用エリア504bの順序でシフトさせる。これにより、2回前の算出期間(計測区間)における最終的なベース値が3回前の算出期間における最終的なベース値として前々々回用エリア504dに記憶され、1回前の算出期間における最終的なベース値が2回前の算出期間における最終的なベース値として前々回用エリア504cに記憶され、現状の算出期間において最後に算出されたベース値が1回前の算出期間における最終的なベース値として前回用エリア504bに記憶される。
【0364】
ステップS1213では、ベース値用カウンタエリア501に設けられた各カウンタ501a~501dを全て「0」クリアする。ステップS1213の実行後又はステップS1211で否定判定した場合(計測区間用のアウトカウンタ501dの値が所定個数未満である場合)は、ベース値算出処理を終了する。
【0365】
<超過判定用処理>
パチンコ機では、実遊技上での当選確率に関していずれは内部的に設定された当選確率に収束していくと考えられるものの、例えば、遊技者における1回の遊技や遊技ホールの1営業日という基準でみると、実遊技上の当選確率には大きなばらつきが生じているのが現状である。このため、遊技者から見たいわゆる勝ち分について遊技機設計者が想定しなかったレベルまで伸びてしまうことが起こり得る。このような場合、そのパチンコ機を遊技していた遊技者本人だけでなく、それを見ていた周囲の者まで過度に射幸心が煽られることになりかねない。
【0366】
このような事情を踏まえ、本実施の形態に係るパチンコ機10では、パチンコ機10自身が遊技履歴を参照して遊技者側から見たプラス分が予め定めた所定の範囲内に収まっているかを監視し、当該範囲を超える場合には遊技の進行を制限するようにしている。ステップS1104の超過判定用処理はその一環として実行されるものであり、以下、当該処理について
図32のフローチャートを参照しながら説明する。
【0367】
超過判定用処理では先ずステップS1301にて、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への遊技球の入球が発生したか否かを判定する。なお、この判定には、ベース値算出処理(
図30)におけるステップS1201の判定結果を用いる。
【0368】
入球が発生している場合は、ステップS1302にて、差球数用カウンタエリア502の各種カウンタの値を更新する。
図31に示すように、非特定制御用のワークエリア393には、差球数の算出に対応するエリアとして差球数用カウンタエリア502が設けられており、この差球数用カウンタエリア502には、常時用の一般入賞カウンタ502aと、常時用の第1作動カウンタ502bと、常時用の第2作動カウンタ502cと、常時用の特電カウンタ502dと、常時用のアウトカウンタ502eとが設けられている。
【0369】
これらのカウンタのうち一般入賞カウンタ502a、第1作動カウンタ502b、第2作動カウンタ502c、特電カウンタ502dは、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63及び可変入賞装置65への遊技球の各入球個数を計測するためのカウンタである。また、アウトカウンタ502eは、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数を計測するためのカウンタである。これらのカウンタ502a~502eは、遊技状態を問わず、所定の計測開始契機からの各入球を計測するものとなっている。本実施の形態では、遊技状態として通常遊技状態、時短遊技状態(低確率モード且つ高頻度サポートモード)、高確遊技状態(高確率モード且つ高頻度サポートモード)、開閉実行モードが存在するため、上記各カウンタ502a~502eではこれら全ての遊技状態を対象とした通算の入球個数が計測される。
【0370】
ステップS1302では、上記各カウンタ502a~502eのうち、ステップS1301で入球発生を判定した入球部に対応するカウンタの値を更新する。例えば、第1作動口62への入球が発生したと判定した場合は、第1作動カウンタ502bの値を1加算する。なお、アウトカウンタ502eについては、入球が発生した入球部の種別を問わず、入球が発生していれば、その値を1加算する。
【0371】
続くステップS1303では差球数の算出処理を実行する。差球数の算出処理では、差球数用カウンタエリア502における各カウンタ502a~502eの値を用いて差球数を算出する。常時用の一般入賞カウンタ502a、常時用の第1作動カウンタ502b、常時用の第2作動カウンタ502c、常時用の特電カウンタ502d、常時用のアウトカウンタ502eの値をK4~K8とした場合に差球数は以下のものとなる。
・差球数:遊技球の合計払出個数(K4×「一般入賞口61への入賞に対する賞球個数」+K5×「第1作動口62への入賞に対する賞球個数」+K6×「第2作動口63への入賞に対する賞球個数」+K7×「可変入賞装置65への入賞に対する賞球個数」)-遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数(K8)。
【0372】
上記差球数は、上記プラス分(勝ち分)を計るための指標として導出するものである。なお、ベース値算出処理(
図30)におけるベース値の算出では通常遊技状態でのベース値を算出したが、超過判定用処理における差球数の算出では、全ての遊技状態を対象としたトータルの差球数を算出する。
【0373】
ステップS1304では、ステップS1303で算出した差球数を、非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用エリア504e(
図31)に上書きする処理を実行する。超過判定用処理は、タイマ割込み周期(
図21)の実行周期に対応して4msecごとに起動されるため、差球数用エリア504eには、4msecごとの差球数の情報が都度更新されながら記憶されていく。
【0374】
ステップS1305では、ステップS1304で差球数用エリア504eに上書きした差球数(ステップS1303で算出した差球数)が特定個数(例えば100000個)以上であるか否かを判定する。これにより、上記プラス分が一定の範囲内に収まっているか否かを判定する。
【0375】
差球数が特定個数以上である場合は、ステップS1306に進み、非特定制御用のワークエリア393に設けられた各種フラグ用エリア507の超過フラグを「1」にセットする。超過フラグは差球数が特定個数以上となったことをMPU312が特定するためのフラグである。ステップS1306の実行後、ステップS1305で否定判定した場合(差球数が特定個数未満である場合)又はステップS1301で否定判定した場合(入球が発生していない場合)は、超過判定用処理を終了する。
【0376】
<表示設定用処理>
次にステップS1105の表示設定用処理について
図33(a)のフローチャートを参照しながら説明する。本処理は、ステップS1103のベース値算出処理で導出したベース値やステップS1104の超過判定用処理で導出した差球数を表示により報知するための設定処理を行うものである。
【0377】
表示設定用処理では先ずステップS1401にて、遊技停止中であるか否かを判定する。具体的には、主側RAM314における特定制御用のワークエリア391を参照し、遊技停止フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。
【0378】
遊技停止中でない場合は、ステップS1402に進み、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおける表示内容の切換タイミングであるか否かを判定する。本実施の形態では、ステップS1103のベース値算出処理で導出したベース値と、ステップS1103のベース値算出処理で導出したベース値とをいずれも第1~第5報知用表示装置169a~169eにて表示するようにしている。また、これらの値の表示に際し、ベース値に関しては、
図15を参照して既に説明したように、現在のベース値である現状ベース値と、過去分である1回前の前回ベース値と、2回前の前々回ベース値と、3回前の前々々回ベース値とを所定期間(例えば5sec)ごとに順番に切り換えて表示し、差球数に関しては、前々々回ベース値の表示が終了した後、差球数(現在の差球数)を表示するようにしている。ステップS1402の処理は、上記各表示の切り換えタイミングが到来したか否かを判定するものである。
【0379】
ステップS1402で肯定判定した場合(切換タイミングである場合)は、ステップS1403にて、非特定制御用のワークエリア393に設けられた表示種別カウンタ505(
図31)の更新処理を実行する。表示種別カウンタ505は、上記各種ベース値及び差球数といった遊技履歴のうち現在の表示対象がいずれであるかをMPU312が特定するためのカウンタである。
【0380】
図33(b)に示すように、表示種別カウンタ505の値が「0」である場合は現状ベース値が表示対象となり、表示種別カウンタ505の値が「1」である場合は前回ベース値が表示対象となり、表示種別カウンタ505が「2」である場合は前々回ベース値が表示対象となり、表示種別カウンタ505が「3」である場合は前々々回ベース値が表示対象となる。また、表示種別カウンタ505が「4」である場合は差球数が表示対象となる。表示種別カウンタ505の更新処理では、表示種別カウンタ505の値を1加算するとともに、加算後の値が「4」を超えた場合には表示種別カウンタ505の値を「0」に設定する。これにより、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて、上記切換タイミングごとに現状ベース値、前回ベース値、前々回ベース値、前々々回ベース値及び差球数の表示が順次に変更されていく。
【0381】
なお、本実施の形態では、上記各値の表示を一定間隔で切り換えていくが、これに限定されるものではない。例えば、各ベース値のうち一部のベース値(例えば現状ベース値)の表示期間を他のベース値の表示期間と異ならせたり(例えば長くしたり)、差球数の表示期間を各ベース値の表示期間と異ならせたり(例えば短くしたり)してもよい。
【0382】
ステップS1403の実行後又はステップS1402で否定判定した場合(切換タイミングでない場合)は、ステップS1404にて、現在の表示対象を示す表示種別データの設定処理を実行する。
図31に示すように、非特定制御用のワークエリア393には、現在の表示対象に対応するエリアとして表示対象用エリア506が設けられている。表示対象用エリア506には、表示対象となる遊技履歴の種別を示す種別データが記憶される種別用エリア506aと、表示対象となる遊技履歴の値を示す履歴データが記憶される履歴用エリア506bとが設けられている。ステップS1404の表示種別データの設定処理では、表示種別カウンタ505の値に対応した遊技履歴の種別データを上記表示対象用エリア506の種別用エリア506aに設定する。例えば、表示種別カウンタ505の値が「2」である場合には、前々回ベース値に対応した種別データを種別用エリア506aに上書きする処理を実行する。
【0383】
ステップS1405では、非特定制御用のワークエリア393に設けられた管理開始フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。管理開始フラグが「1」にセットされ、各種ベース値及び差球数を報知すべき状況である場合は、ステップS1406にて履歴値データの設定処理を実行する。履歴値データの設定処理では、演算結果用エリア504の各エリア504a~504eのうち表示種別カウンタ505の値に対応したエリアからベース値又は差球数の情報を読み出し、上記表示対象用エリア506の履歴用エリア506bに履歴データを設定する。例えば、表示種別カウンタ505の値が「2」である場合には、前々回ベース値の履歴データを前々回用エリア504cから読み出して履歴用エリア506bに上書きする処理を実行する。
【0384】
ステップS1405で否定判定した場合(管理開始フラグが「1」にセットされていない場合)は、ステップS1407にて、上記表示対象用エリア506の履歴用エリア506bに初期表示用データを設定する。初期表示用データは、パチンコ機10の製造後、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値(例えば300個)となるまでの間の表示内容を示すものである。初期表示用データは、例えば、第3報知用表示装置169c及び第4報知用表示装置169dにて「-」が点滅表示されるように設定される。
【0385】
ステップS1401で肯定判定した場合(遊技停止中である場合)は、ステップS1408に進み、差球数に対応する表示種別データを上記表示対象用エリア506の種別用エリア506aに設定する。続くステップS1409では、差球数に対応する履歴データを上記表示対象用エリア506の履歴用エリア506bに設定する。すなわち、遊技停止中である場合は、第1~第5報知用表示装置169a~169eにて差球数の表示が行われるように設定される。
【0386】
<報知用表示処理>
次にステップS406の報知用表示処理について
図34のフローチャートを参照しながら説明する。報知用表示処理は、第1~第5報知用表示装置169a~169eへの表示出力を行うものであり、タイマ割込み処理(
図21)の一環として実行される。なお、本処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0387】
報知用表示処理では先ずステップS1501にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた設定更新表示フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。設定更新表示フラグは、パチンコ機10の設定値を更新している状況、すなわち、設定値更新処理(
図19)を実行している状況であることをMPU312にて特定するためのフラグである。
【0388】
設定更新表示フラグが「1」にセットされている場合は、ステップS1502にて設定値更新用の表示データの設定処理を実行する。特定制御用のワークエリア391には、第1~第5報知用表示装置169a~169eに所定の表示を行わせるための表示データが格納される特定の表示データバッファが設けられており、第1~第5報知用表示装置169a~169eでは、当該特定の表示データバッファに格納された表示データに基づいてそれぞれの報知用表示装置169a~169eにおける各表示用セグメントの点灯/消灯が制御される。
【0389】
ステップS1502では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて設定値が更新されている状況であることを示す表示及びパチンコ機10の現状の設定値を示す表示が行われるようにするための表示データを上記特定の表示データバッファに格納する。これにより、例えば、
図35(a)に示すように、第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169bにおいて中央の表示用セグメントが点灯状態とされて「-」の表示が行われ、第3報知用表示装置169cにおいて設定値の更新状態であることに対応する「H」の表示が行われ、第4報知用表示装置169dにおいて設定値を示す数値の表示が行われる。なお、第5報知用表示装置169eは全ての表示用セグメントが消灯状態とされ、表示が行われていない状態とされる。
【0390】
ステップS1501で否定判定した場合(設定更新表示フラグが「1」にセットされていない場合)は、ステップS1503に進み、特定制御用のワークエリア391に設けられた設定確認表示フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。設定確認表示フラグは、パチンコ機10の現在の設定値を確認している状況、すなわち、設定確認用処理(
図20)を実行している状況であることをMPU312にて特定するためのフラグである。
【0391】
設定確認表示フラグが「1」にセットされている場合は、ステップS1504にて設定確認用の表示データの設定処理を実行する。設定確認用の表示データの設定処理では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて現在の設定値が確認されている状況及びパチンコ機10の現状の設定値を示す表示が行われるようにするための表示データを、特定制御用のワークエリア391における上記特定の表示データバッファに格納する。この場合は、例えば、第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169bにおいて設定値の更新状態の場合と同様の「-」の表示が行われ、第3報知用表示装置169cにおいて設定値の確認状態であることに対応する「C」の表示が行われ、第4報知用表示装置169dにおいて設定値を示す数値の表示が行われる。この場合も第5報知用表示装置169eは全ての表示用セグメントが消灯状態とされ、表示が行われていない状態とされる。
【0392】
ステップS1503で否定判定した場合(確認表示フラグが「1」にセットされていない場合)は、設定値の更新状態と設定値の確認状態とのいずれでもないことを意味する。この場合は、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて上記各種ベース値や差球数を表示すべく、ステップS1505及びステップS1506の処理を実行する。
【0393】
ステップS1505では、非特定制御用のワークエリア393に設けられた表示対象用エリア506を参照し、上記各種ベース値や差球数のうちその時点で表示対象となっている遊技履歴の種別データ及び履歴データを把握する。そして、ステップS1506では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて表示対象である遊技履歴の種別及び算出値を示す表示が行われるようにするための表示データを、特定制御用のワークエリア391における上記特定の表示データバッファに格納する。
【0394】
この際、現状ベース値が表示対象となっている状況では、例えば、
図35(b)に示すように、第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169bからなる識別用表示部において現状ベース値に対応した「bL.」の表示が行われ、第3報知用表示装置169c及び第4報知用表示装置169dからなる比率用表示部において現状ベース値を示す2桁の数値表示が行われる。このうち識別用表示部での表示は、非特定制御用のワークエリア393の表示対象用エリア506における種別用エリア506aの参照結果に基づくものであり、比率用表示部での表示は、上記表示対象用エリア506における履歴用エリア506bの参照結果に基づくものである。
【0395】
また、差球数が表示対象となっている状況では、例えば、
図35(c)に示すように、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて差球数を示す5桁の数値表示が行われる。また、差球数に対応する表示であることを示すべく、各報知用表示装置169a~169eにおけるドット部197に対応する表示用セグメントが点灯状態とされる。このうち第1~第5報知用表示装置169a~169eでの数値表示は、上記表示対象用エリア506における履歴用エリア506bの参照結果に基づくものであり、各報知用表示装置169a~169eにおけるドット部197の表示は、上記表示対象用エリア506における種別用エリア506aの参照結果に基づくものである。
【0396】
その際、その時点での差球数が負の値である場合、すなわち、差球数の算出開始時点からの遊技球の合計払出個数が遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数よりも少ない場合は、
図35(d)に示すように、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいて「00000」が表示されるように表示データが設定される。但し、内部的には、算出した差球数を負の値として記憶・管理する。
【0397】
なお、パチンコ機10の製造後、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値に達する前の状況であり、初期表示用データが表示対象となっている場合は、例えば、
図35(e)に示すように、第1報知用表示装置169a及び第2報知用表示装置169bからなる識別用表示部において種別用エリア506aの参照結果に基づく表示が行われるとともに、第3報知用表示装置169c及び第4報知用表示装置169dからなる比率用表示部において中央の表示用セグメントが点灯状態とされて「--」の表示が行われる。また、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値に達した後の状況においてベース値が表示対象である場合は、識別用表示部での表示が連続した点灯状態でなされるが、初期表示用データが表示対象である場合は、識別用表示部での表示が点滅状態でなされ、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数が管理開始基準値に到達していないことが示される。
【0398】
<遊技停止判定用処理>
次にステップS407の遊技停止判定用処理について
図36のフローチャートを参照しながら説明する。遊技停止判定用処理は、遊技停止状態とするか否かを判定し、その結果に基づいて遊技停止状態への移行を行うものであり、タイマ割込み処理(
図21)の一環として実行される。なお、本処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0399】
遊技停止判定用処理では先ずステップS1601にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。遊技停止フラグは、遊技停止中であることをMPU312が特定するためのものである。
【0400】
遊技停止フラグが「1」にセットされている場合は、そのまま遊技停止判定用処理を終了する。一方、遊技停止フラグが「1」にセットされていない場合、すなわち、遊技停止中でない場合は、ステップS1602にて、非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用エリア504eを参照し、現在の差球数を把握する。続くステップS1603では、ステップS1602で把握した差球数を通知するための差球数コマンドを演出制御装置143に送信する。
【0401】
演出制御装置143では当該コマンドを受信した場合、現在の差枚数を遊技者に知らせるべく、差枚数を報知するための所定の報知画像が図柄表示装置75にて表示されるように表示制御装置350を制御する。この際、上記報知画像は、例えば、図柄表示装置75における表示部(表示画面Gのうち遊技機前方からの正面視において視認可能な領域)の隅部又は隅部寄りに表示するなど、図柄表示装置75にて停止表示される図柄と重ならない位置に表示するとよい。これにより、差枚数の報知画像により各図柄列Z1~Z3の視認性が損なわれることを抑制できる。
【0402】
図柄表示装置75での差枚数の報知は、差枚数の大きさにかかわらず常に行ってもよいし、差枚数が特定個数よりも少ない所定個数(例えば95000個)以上となった場合に行ってもよい。また、差枚数に代えて特定個数までの残り個数を報知してもよい。この場合もその時点での差枚数にかかわらず常に当該報知を行ってもよいし、差枚数が上記所定個数以上になってから当該報知を開始するようにしてもよい。
【0403】
なお、差枚数の報知箇所は図柄表示装置75に限定されるものではなく、図柄表示装置75とは別の報知部にて当該報知が行われてもよい。その場合、当該別の報知部は、差枚数を報知するための専用の報知部であってもよいし、他の報知と兼用される報知部であってもよい。
【0404】
ステップS1603の実行後はステップS1604にて、ステップS405(
図21)の不正検知処理により不正が検知されているか否かを判定する。不正が検知されている場合は、ステップS1605に進み、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグに「1」をセットする。これにより、以後のタイマ割込み処理(
図21)では、ステップS409~ステップS419における遊技の進行を制御するための処理が実行されないものとなり(ステップS408:NO)、遊技の進行が制限される。
【0405】
ステップS1606では、可変入賞装置65及び普電役物63aを閉鎖状態とする閉鎖制御処理を実行する。これにより、可変入賞装置65又は普電役物63aが開放中である場合は強制的に閉鎖される。
【0406】
ステップS1607では、電源及び発射制御装置191への発射許可信号をLOWレベルに切り換える発射停止処理を実行する。これにより、遊技球の発射が規制され、遊技者が遊技球発射ハンドル41を操作しても遊技球が発射されないものとなる。
【0407】
ステップS1608では、払出制御装置181に対して遊技停止コマンドを出力し、払出装置222による遊技球の払出を停止させる。これにより、遊技球を不正に払い出させる行為が行われていた場合には、それ以上の遊技球の払い出しを即座に規制し、遊技ホールの損害が拡大することを抑制する。また、ステップS1608では、演出制御装置143に対しても遊技停止コマンドを出力し、図柄表示装置75における演出表示等を停止させたり、遊技停止中であることの画像報知や音声報知を実行させたりする。
【0408】
ステップS1609では、不正を検知したことや遊技停止状態に移行したことに対応した所定の外部信号を外部出力端子213から出力すべく、外部情報設定処理を実行する。これにより、上記所定の外部信号が遊技ホール側のホールコンピュータHCに出力され、パチンコ機10で異常が発生したことが通知される。ステップS1609の実行後は遊技停止判定用処理を終了する。
【0409】
ステップS1604で否定判定した場合(不正が検知されていない場合)は、ステップS1610に進み、非特定制御用のワークエリア393に設けられた超過フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。超過フラグが「1」に設定されている場合、すなわち、算出した差球数が特定個数以上となっている場合は、ステップS1611にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグに「1」をセットする。この処理は、ステップS1605と同様のものであり、これにより、遊技停止状態に移行する。すなわち、本実施の形態では、差球数が特定個数以上となった場合には、遊技停止状態に移行し、その後の遊技の進行を制限するようにしている。
【0410】
ステップS1612では、可変入賞装置65及び普電役物63aを閉鎖状態とする閉鎖制御処理を実行し、ステップS1613では、電源及び発射制御装置191への発射許可信号をLOWレベルに切り換える発射停止処理を実行する。これらの処理はステップS1606及びステップS1607と同様のものである。
【0411】
続くステップS1614では、演出制御装置143に対して超過コマンドを出力する。超過コマンドは、差球数が特定個数以上となったこと及び遊技停止状態に移行したことを演出制御装置143に通知するためのものである。演出制御装置143では当該コマンドを受信した場合、差球数が特定個数以上となったことに対応した報知画像や遊技停止中であることに対応した報知画像が図柄表示装置75にて表示されるように表示制御装置350を制御する。また、スピーカ部29から差球数が特定個数以上となったことや遊技停止中であることに対応した音声報知が出力されるように制御する。
【0412】
なお、不正が検知されたことに対応して遊技停止状態に移行した場合は、払出制御装置181に遊技停止コマンドを出力して払出装置222からの遊技球の払い出しを規制するようにしたが(ステップS1608)、差球数が特定個数以上となったことに対応して遊技停止状態に移行した場合は、遊技停止コマンドや超過コマンドを払出制御装置181に出力せず、払出装置222からの遊技球の払い出しを規制しない。また、タイマ割込み処理(
図21)においても、不正が検知されたことに対応して遊技停止状態に移行した場合、すなわち、特定制御用のワークエリア391において遊技停止フラグが「1」にセットされ、超過フラグが「1」にセットされていない場合は、ステップS417及びステップS418の遊技球の払い出しを行うための処理を含め、ステップS409~ステップS419の処理を実行しないように制御するが(ステップS421:NO)、差球数が特定個数以上となったことに対応して遊技停止状態に移行する場合、すなわち、特定制御用のワークエリア391において遊技停止フラグ及び超過フラグの両方が「1」にセットされている場合は、実行しない処理の範囲をステップS409~ステップS416に留めて、ステップS417及びステップS418の遊技球の払い出しを行うための処理を実行するようにしている。このように本実施の形態では、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合は、不正が検知されたことに基づいて遊技停止状態に移行する場合とは異なり、遊技球の払い出しを許容するように構成されている。
【0413】
開閉実行モード中である場合など多くの賞球が発生する場合において、例えば、下皿34が遊技球で満タンとなる満タン状態のままで遊技していることがあると、当該満タン状態により払出装置222からの遊技球の払い出しを行うことができないまま、未払い出しの賞球個数が増加していくことになる。このような状況で差球数が特定個数以上となり、遊技停止状態に移行した場合において、遊技球の払い出しを規制する構成とした場合には、当該遊技停止状態中に遊技者が下皿34から遊技球を抜いて満タン状態を解消しても、遊技球の払い出しが再開されず、賞球を得ることができなくなってしまうおそれがある。この点、遊技停止状態である状況で遊技球の払い出しが許容されていることで、満タン状態が解消されて払出装置222からの遊技球の払い出しが可能な状態となれば、未払い出しの賞球に対応した遊技球の払い出しを行わせることができる。
【0414】
また、本実施の形態では、差球数が特定個数以上となったことに対応して遊技停止状態に移行した場合に、ステップS417及びステップS418の遊技球の払い出しを行うための処理だけでなく、遊技機外部に外部信号を出力するためのステップS419の外部情報設定処理も実行するように構成されている。この場合、遊技停止状態において遊技球の払い出しが行われた場合に、それに対応する外部信号(賞球信号)を出力させることでき、遊技停止状態である状況で払い出された遊技球の個数をホールコンピュータHCに適切に把握させることが可能になる。
【0415】
ステップS1614の実行後はステップS1615にて、差球数が特定個数以上となったことに対応した所定の外部信号を外部出力端子213から出力すべく、外部情報設定処理を実行する。これにより、上記所定の外部信号が遊技ホール側のホールコンピュータHCに出力され、差球数が特定個数以上となったことが通知される。
【0416】
この際、差球数が特定個数以上となった場合の外部信号として、不正が検知されたことに対応して遊技停止状態に移行した場合と共通の外部信号を用いるとよい。具体的には、外部出力端子213において、不正が検知された場合に外部信号が出力される出力端子と同じ端子から、差球数が特定個数以上となった場合の外部信号が出力される構成とするとよい。これにより、新たな出力端子を増設したり、外部出力端子213を新設したりしなくても、差球数が特定個数以上となった場合の外部信号を出力することができ、構成の簡略化を図ることが可能になる。
【0417】
なお、上記の場合では、不正が検知されたのか、それとも差球数が特定個数以上となったのかを遊技ホール側のホールコンピュータHCが外部信号から識別できないおそれがあるが、そのような場合でも、当該外部信号がホールコンピュータHCに出力され、遊技ホールの従業員等がパチンコ機10の下に駆け付けることにより、上記いずれの場合であるのかを把握することができるため、運用上の支障はないものと考えられる。
【0418】
ステップS1615の実行後又はステップS1610で否定判定した場合(超過フラグが「1」にセットされていない場合)は、遊技停止判定用処理を終了する。
【0419】
<超過時立上げ用処理、部分クリア用処理>
次に、ステップS114の超過時立上げ用処理と、ステップS115の部分クリア用処理とについて説明する。これらの処理は、メイン処理(
図18)の一環として実行されるものであり、パチンコ機10の電源ON操作が行われてMPU312への動作電力の供給が開始された場合に実行されるものである。
【0420】
先ず、ステップS114の超過時立上げ用処理について
図37(a)のフローチャートを参照しながら説明する。なお、本処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0421】
超過時立上げ用処理では先ずステップS1801において、特定制御用のワークエリア391に設けられた超過フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。超過フラグに「1」がセットされている場合は、超過フラグに「1」がセットされた状態でMPU312の動作電力の供給が停止され、その後、当該動作電力の供給が再開されたことを意味する。このような状況としては、差球数が特定個数以上となり、外部信号が出力された場合において、パチンコ機10の下に駆け付けた遊技ホールの従業員等がパチンコ機10の電源OFF操作を行い、その後、電源ON操作を行った場合が想定される。
【0422】
上記の際、MPU312の主側RAM314には電源及び発射制御装置191からのバックアップ電力が供給されるため、主側RAM314に記憶された情報は記憶保持される。このため、例えば、当否抽選モードが高確率モードである中で差球数が特定個数以上となり、その状況でパチンコ機10の電源OFF→ON操作が行われた場合、主側RAM314において高確率モードであることを示すエリアが「1」となっている。
【0423】
ちなみに本実施の形態では、パチンコ機10への動作電力の供給が停止された場合において、主制御装置162の主側RAM314にはバックアップ電力が供給されるものの、払出制御装置181の払出側RAM384にはバックアップ電力が供給されないように構成されている。このため、主側RAM314に記憶された情報は、パチンコ機10の電源OFF操作が行われても記憶保持されるのに対し、払出側RAM384に記載された情報は、パチンコ機10の電源OFF操作が行われることに伴い消去される。
【0424】
ステップS1801で肯定判定した場合(超過フラグに「1」がセットされている場合)は、ステップS1802に進み、特定制御用のエリアについて第2初期化処理を実行する。第2初期化処理では、主側RAM314の特定制御用のワークエリア391においてパチンコ機10の設定状態を示す設定値の情報が設定されたエリア(設定値カウンタ)と、払出制御装置181(払出装置222)に賞球の払い出しを行わせるための賞球情報(少なくとも未払い出しの賞球個数に関する情報)が記憶されたエリアとを除き、当該特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする。
【0425】
このように設定値のエリアと賞球情報のエリアとを除いて特定制御用のワークエリア391が「0」クリアされるため、例えば、当否抽選モードが高確率モードであるか否かを示すエリアが「0」クリアされ、パチンコ機10への動作電力の供給が停止される直前における当否抽選モードに関係なく当否抽選モードは低確率モードとなる。また、遊技回が実行されていない状況となるとともに開閉実行モードが実行されていない状況となり、さらに普図用表示部44が変動表示されていない状況であって普電役物63aが閉鎖状態である状況となる。また、特定制御用のワークエリア391に設けられた保留格納エリア314a及び普電保留エリア314cも「0」クリアされるため、特図保留情報及び普図保留情報が消去される。
【0426】
その一方で、賞球情報についてはパチンコ機10への動作電力の供給が停止される直前の状態が引き継がれるため、未払い出しの賞球が残存している状況でパチンコ機10の電源OFF操作が行われても、その後、電源ON操作が行われた場合に、記憶保持された未払い出し分の賞球情報に基づいて賞球コマンドを払出制御装置181に出力することができる。
【0427】
よって、高確率モードの下で差球数が特定個数以上となった場合において、未払い出しの賞球が残っている状況で遊技ホールの従業員等がパチンコ機10の電源OFF操作を行った場合は、電源ON操作後の抽選モードを低確モードとさせつつ、未払い出しの賞球については電源ON操作後において順次に遊技球を払い出させることができる。これにより、差球数の更なる増加を好適に抑制しながら、遊技者が本来得られるべき賞球を適切に払い出すことができる。
【0428】
なお、第2初期化処理では、ステップS104(
図18)の第1初期化処理と同様に、非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394を「0」クリアしない。これにより、遊技ホールの従業員等によるクリア操作によっては非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394が「0」クリアされないようにすることが可能となる。
【0429】
ステップS1802の実行後は超過時立上げ処理を終了する。また、ステップS1801で否定判定した場合(超過フラグに「1」がセットされていない場合)は、ステップS1802の処理を実行することなく、超過時立上げ処理を終了する。
【0430】
次に、ステップS115の部分クリア用処理について説明する。部分クリア用処理は非特定制御用のワークエリア393に記憶された一部の情報について「0」クリアするための処理である。以下、部分クリア用処理について
図37(b)のフローチャートを参照しながら説明する。なお、部分クリア用処理におけるステップS1901~ステップS1903の処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0431】
部分クリア用処理では先ずステップS1901にて、MPU312に設けられた複数のレジスタのうちフラグレジスタに格納されている情報を特定制御用のワークエリア391における所定領域に書き込んで退避させる。この処理はベース値及び差球数算出処理(
図28)におけるステップS1002と同様のものである。
【0432】
ステップS1902では、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されている部分クリア用実行処理に対応するサブルーチンのプログラムを読み出し、当該実行処理を開始する。この際、当該実行処理の実行後における戻り番地を特定するための情報を特定制御用のスタックエリア392に書き込む。そして、部分クリア用実行処理が終了した場合には、当該スタックエリア392に書き込まれた戻り番地を特定するための情報を読み出し、その戻り番地が示す部分クリア用処理のプログラムに復帰する。
【0433】
ステップS1903では、退避させたフラグレジスタの情報を復帰させ、その後、部分クリア用処理を終了する。この処理はベース値及び差球数算出処理(
図28)におけるステップS1004と同様のものである。
【0434】
ここで、ステップS1902にて非特定制御用のプログラムが読み出されることにより実行される部分クリア用実行処理について、
図38のフローチャートを参照しながら説明する。
【0435】
ステップS2101では、使用するスタックエリアを特定制御用のスタックエリア392から非特定制御用のスタックエリア394に切り換える。この処理は、ベース値及び差球数用実行処理(
図29)におけるステップS1101と同様のものである。
【0436】
ステップS2102では、MPU312に設けられる複数のレジスタのうち一部のレジスタに格納されている情報を非特定制御用のワークエリア393に退避させる。後のステップS2103~ステップS2106では、情報を退避させたそれらのレジスタを利用して処理を実行する。
【0437】
ステップS2102の実行後は、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されているステップS2103~ステップS2106のサブルーチンのプログラムを読み出し、順次に実行する。これらの処理にあたっては先ずステップS2103にて、差球数の情報をクリアする。具体的には、非特定制御用のワークエリア393に設けられた演算結果用エリア504における差球数用エリア504e(
図31)を全て「0」クリアする。これにより、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた時点で差球数用エリア504eに記憶されていた差球数の情報が消去される。
【0438】
ステップS2103の実行後はステップS2104にて、非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502e(
図31)を全て「0」クリアする。これにより、差球数の算出に利用する常時用の一般入賞カウンタ502a、常時用の第1作動カウンタ502b、常時用の第2作動カウンタ502c、常時用の特電カウンタ502d、常時用のアウトカウンタ502eについて、それらのカウント値が初期値(「0」)に変更される。
【0439】
ステップS2105では、非特定制御用のワークエリア393に設けられた超過フラグが「1」にセットされているか否かを判定し、「1」にセットされている場合には超過フラグを「0」クリアする(ステップS2106)。
【0440】
このように本実施の形態では、パチンコ機10の電源ON操作が行われることに伴い、非特定制御用のワークエリア393において記憶されていた差球数の情報と、その算出に用いる遊技履歴の収集値(各入球部についての入球個数の計測値)と、差球数が特定個数以上となったことに対応した情報とが消去される。よって、電源ON操作の後に遊技を行う遊技者は、差球数に関する情報について電源ON操作が行われる前の状態を引き継がずに遊技を始めることになる。
【0441】
なお、パチンコ機10の電源ON操作が行われても、非特定制御用のワークエリア393のうち差球数用エリア504e及び差球数用カウンタエリア502以外の領域は「0」クリアしない。このため、演算結果用エリア504の各エリア504a~504dに記憶された現状ベース値及び各回ベース値の情報や、ベース値用カウンタエリア501における各カウンタ501a~501cの情報は消去されず、記憶されたままの状態となる。よって、電源ON操作の後に遊技を行う遊技者は、ベース値に関する情報について電源ON操作が行われる前の状態を引き継いで遊技を始めることになる。
【0442】
ステップS2103~ステップS2106の処理を実行した後は、ステップS2107にて、使用するスタックエリアを非特定制御用のスタックエリア394から特定制御用のスタックエリア392に切り換える。続くステップS2108では、ステップS2102にて非特定制御用のワークエリア393に退避させた各レジスタの値をMPU312の各レジスタに復帰させる。
【0443】
<差球数を利用した遊技制限の流れについて>
次に差球数を利用した遊技制限の流れについて
図39、
図40を参照しながら説明する。
【0444】
遊技者により遊技が行われている状況において、パチンコ機10では、主制御装置162のMPU312により、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68に対する入球判定を実行する(
図39(a))。具体的には、上記各入球部61~63,65,68に連通する排出通路部91~96(
図7)に設けられた入球検知センサ91a~96の出力を参照し、それら各入球部61~63,65,68について入球の有無を判定する。
【0445】
そして、上記各入球部61~63,65,68にて入球発生を判定した場合は、主側RAM314の非特定制御用のワークエリア393に設けられた常時用の一般入賞カウンタ502a、第1作動カウンタ502b、第2作動カウンタ502c、特電カウンタ502d、アウトカウンタ502eの値を更新する。これらのカウンタ502a~502eのうちカウンタ502a~502dは一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65にそれぞれ対応しており、それらの入球部61~63,65で入球が発生している場合は、対応するカウンタの値を1加算する。また、アウトカウンタ520eは、遊技領域PAから排出される遊技球の合計個数(総数)を計測する役割を果たしており、アウト口68も含めて上記各入球部61~63,65,68のいずれかで入球が発生している場合は、アウトカウンタ502eの値を1加算する。
【0446】
その後、MPU312では、上記各カウンタ502a~502eの更新結果を利用して差球数を算出する。差球数の算出にあたっては先ず、各カウンタ502a~502dの値(各入球部61~63,65の入球個数)と各入球部61~63,65の賞球数の情報とに基づき、遊技球の合計払出個数を算出する。そして、その合計払出個数からアウトカウンタ502eの値(遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数)を減算し、差球数を導出する。
【0447】
MPU312では、算出した差球数の情報を非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用エリア504eに記憶した後、算出した差球数が遊技制限を発動させるトリガとして設定された特定個数(例えば100000個)以上となっているか否かの超過判定を実行する。そして、差球数が特定個数以上となっている場合は、非特定制御用のワークエリア393に設けられた超過フラグを「1」にセットする。
【0448】
ここで、主側RAM314には、特定制御用のワークエリア391及びスタックエリア392と、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394とが設けられている。MPU312において非特定制御に対応する処理を実行する場合、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394に対しては情報の書き込みと情報の読み出しとの両方が可能である一方で、特定制御用のワークエリア391及びスタックエリア392に対しては情報の読み出しが可能であるものの、情報の書き込みは不可とされている。そして、遊技の進行を制御するための処理は特定制御に対応する処理に含まれ、上記入球判定から超過判定までの各処理は非特定制御に対応する処理に含まれている。よって、上記入球判定から超過判定までの処理が実行されることにより、遊技の進行を制御するための処理にて利用される情報が書き換えられたり、誤って消去されてしまったりしないようにすることが可能となる。
【0449】
また、特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータを利用して特定制御に対応する処理がMPU312にて実行される場合、特定制御用のワークエリア391及びスタックエリア392に対しては情報の書き込みと情報の読み出しとの両方が可能である一方で、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394に対しては情報の読み出しが可能であるものの、情報の書き込みは不可とされている。よって、遊技の進行を制御するための処理の実行に際し、上記各カウンタ502a~502eの値や算出した差球数の情報等が書き換えられたり、誤って消去されてしまったりしないようにすることが可能となる。
【0450】
MPU312では、上記入球判定から超過判定までの各処理を、4msec周期で起動されるタイマ割込み処理(
図21)の一環として実行する。よって、上記周期により差球数が定期的に算出されつつ、都度の差球数が特定個数以上の数に到達したか否かが判定される。
【0451】
その際、都度の差球数は、主制御装置162に設けられた第1~第5報知用表示装置169a~169eにて表示される。よって、遊技ホールの従業員がパチンコ機10にて管理される差球数の確認を要する場合は、施錠装置55を解錠して内枠13をパチンコ機10の前方側に回動させることにより、それが可能となる。なお、第1~第5報知用表示装置169a~169eには、パチンコ機10にて算出、管理されるベース値も表示され、ベース値の表示と差球数の表示とで第1~第5報知用表示装置169a~169eが兼用される。よって、それらの各表示に対して各別の表示装置を設ける必要がなく、構成の簡略化が実現されるほか、第1~第5報知用表示装置169a~169eの有効活用を図ることができる。
【0452】
また、都度の差球数は主制御装置162から出力される差球数コマンドを通じて演出制御装置143に通知される。演出制御装置143では、常に又は差球数が一定数以上となった場合に差球数の報知画像が図柄表示装置75に表示されるように制御し、これにより、遊技者に対しても差球数が報知される。
【0453】
例えば通常遊技状態のように払い出される遊技球の総数が少なく抑えられ、遊技球の合計払出個数よりも合計排出個数の方が上回る状況では差球数が減少し、開閉実行モードのように多量の遊技球が払い出され、遊技球の合計排出個数よりも合計払出個数の方が上回る状況では差球数が増加するところ、想定以上に大当たりが繰り返されるなどし、差球数が大幅に増加して上記特定個数に到達すると(
図39(b)のタイミングt1)、MPU312では、前述のとおり超過フラグを「1」にセットした上で、遊技の進行を不可とする遊技停止状態に移行させる。
【0454】
大当たり当選確率は設定値ごとに一義的に定められているものの、実遊技上の当選確率にはばらつきが生じるため、遊技機設計者の想定を超えて出玉数が伸びることがあり、射幸性の高まりが懸念される。この点、本実施の形態では、都度の差球数を監視し、差球数が特定個数以上となることにより、遊技停止状態に移行して遊技継続を不可とするため、賞球を伴う各入球部61~63,65への入球が更に発生することを抑制できる。よって、遊技者が獲得する遊技球の増加が抑えられ、射幸性の過剰な高まりを抑制することが可能になる。
【0455】
遊技停止状態では、可変入賞装置65及び普電役物63aの閉鎖制御処理を実行してこれらを強制的に閉鎖状態とするとともに、遊技球発射機構110による遊技球の発射を不可とする発射停止処理を実行する。また、特図用表示部43や普図用表示部44にて遊技回の実行中である場合は、それらの進行を制御するための処理を中断することで、それら各遊技回が中止されるようにする。
【0456】
また、MPU312では、演出制御装置143に対して超過コマンドを出力し、差球数が特定個数以上となったことを演出制御装置143に通知する。差球数が特定個数以上となったことに対応した報知画像や、例えば「係員を呼んで下さい」などの呼び出しを求める報知画像が図柄表示装置75に表示されるように制御する。なお、超過コマンドは、差球数が特定個数以上となったことだけでなく、遊技停止状態に移行したことにも対応しているため、演出制御装置143では、図柄表示装置75における演出表示等を停止させたり、遊技停止中であることの画像報知や音声報知を実行させたりする。
【0457】
さらにまた、MPU312では、外部出力端子213を通じて遊技ホール側のホールコンピュータHCに対し所定の外部信号を出力する。この際、外部出力端子213において、不正が検知された場合に外部信号が出力される出力端子と同じ端子から、上記外部信号が出力されるようにする。この場合、当該外部信号をパチンコ機10にて何等かの異常が発生したことを通知する信号として機能させ、ホール従業員がパチンコ機10の下に駆け付けるように促す。このように、差球数が特定個数以上となった場合と不正が検知された場合とで外部出力用の同一端子を兼用して外部信号を出力することで、新たな出力端子を増設しなくても差球数が特定個数以上となった場合の外部信号を出力することができ、さらには遊技ホールにおいても既存の設備(データカウンタ等の外部信号の受信機器)を利用して当該外部信号を受信することができる。
【0458】
なお、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行する場合は、払出制御装置181に遊技停止コマンドを出力しない。すなわち、払出装置222を駆動して遊技球の払い出しを行わせるための制御処理を継続させ、遊技停止状態中での遊技球の払い出しを許容する。これにより、払い出しの途中で遊技停止状態に移行した場合でも、遊技球の払い出しが完了するまで払出処理が行われるものとなり、遊技者が本来得られるべき賞球を適切に払い出すことができる。
【0459】
また、差球数が特定個数以上となった場合は、遊技停止状態下での外部信号の出力を許容しながら遊技停止状態への移行を行い、遊技停止状態で遊技球の払い出しが行われた場合の外部信号(賞球信号)の出力を可能とする。これにより、遊技停止中での払い出しの発生やその個数をホールコンピュータHCに通知することができ、遊技停止状態下で払い出しが実行され得る構成であっても、ホールコンピュータHCが管理する払出個数と実際に払い出された個数とを好適に整合させることが可能になる。
【0460】
ちなみに遊技停止状態には、差球数が特定個数以上となった場合のほか、磁気や振動等の異常を検知した場合も移行する(
図40(a))。この場合は、払出制御装置181に対して遊技停止コマンドを出力し、払出装置222による遊技球の払出を停止させる。これにより、遊技球を不正に払い出させる行為が行われていた場合には、それ以上の遊技球の払い出しを即座に規制し、遊技ホールの損害が拡大することを抑制する。
【0461】
また、磁気や振動等の異常を検知した場合は外部信号の出力も規制する。但し、必ずしもこれに限定されるものではなく、遊技停止中の外部出力の出力を許容する構成としてもよい。
【0462】
差球数が特定個数以上となり上記所定の外部信号が出力された後、パチンコ機10の下に駆け付けたホール従業員によって、パチンコ機10の電源OFF操作が行われてMPU312への動作電力の供給が停止されると、MPU312では、特定制御用のワークエリア391に設けられた停電フラグに「1」をセットし、さらに特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392を対象としてチェックサムの算出及び保存を行う。動作電力の供給が停止されている間は、電源及び発射制御装置191からバックアップ電力を主側RAM314に供給し、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392に記憶された情報と非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394とに記憶された情報とを保持する。
【0463】
その後、ホール従業員により、リセットボタン166cが押圧操作されずにパチンコ機10の電源ON操作が行われ、その状態でMPU312に動作電力の供給が開始されると、MPU312では、主側RAM314の特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392についてチェックサムを算出し、これと電源遮断時に保存したチェックサムとが一致するか否かを判定する。
【0464】
それらが一致する場合は記憶保持した情報を有効なものであると認識し、その後、非特定制御用のワークエリア393に設けられた超過フラグが「1」にセットされている否かを判定する。超過フラグが「1」にセットされている場合は、差球数が特定個数以上となっている状況でパチンコ機10の電源OFF操作が行われたことを意味する。この場合は、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392について第2初期化処理を実行する。第2初期化処理では、パチンコ機10における現在の設定値の情報が記憶されたエリアと、払出制御装置181(払出装置222)に賞球の払い出しを行わせるための賞球情報が記憶されたエリアとを除き、特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする(
図40(b))。
【0465】
上記クリア処理により特定制御用のワークエリア391の情報が消去されることで、特定制御用のワークエリア391に設けられた遊技停止フラグが「0」クリアされ、遊技停状態が解除される。また、抽選モードが低確率モードとされるとともに、開閉実行モードや遊技回が実行されておらず、さらには特図保留情報及び普図保留情報が消去された状態となる。よって、例えば、高確モードにて大当たりが連荘している途中で差球数が特定個数以上となった場合は、その連荘状態が解除され、当否抽選モードが低確率モードに変更された上で遊技の再開が行われることになる。
【0466】
また、第2初期化処理では、賞球情報をクリア処理の対象外とし、電源遮断時における賞球情報の状態が電源投入後においても引き継がれる。このため、未払い出しの賞球が残存している状況でパチンコ機10の電源OFF操作が行われることがあっても、その後、電源ON操作が行われることで、続きの払い出しを行わせることができる。
【0467】
上記第2初期化処理の後、MPU312では非特定制御用のワークエリア393について部分クリア用処理を実行する。部分クリア用処理では、非特定制御用のワークエリア393における差球数用エリア504eに記憶された差球数の情報を消去し、さらに、上記ワークエリア393において各入球部61~63,65,68への遊技球の入球履歴を収集するために設けられた各カウンタ502a~502eの値を初期化する。このため、差球数が特定個数以上となった状態でホール従業員によりパチンコ機10が再起動された場合は、差球数の超過状態が解除され且つ差球数の計測が初期状態から開始される状態でパチンコ機10が立ち上がる。
【0468】
なお、差球数が特定個数未満の状態であり、超過フラグが「1」にセットされていない状態で、リセットボタン166cが押圧操作されずにパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合は、上記第2初期化処理を実行せず、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392について動作電力の供給が停止されたときに記憶されていた情報がそのまま保持された状態とする。
【0469】
その一方で、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394に対しては部分用クリア処理を実行し、差球数の情報を消去するとともに、各カウンタ502a~502eの値や超過フラグの状態を初期化する。これにより、遊技ホールの閉店に伴うパチンコ機10の電源OFF操作と、翌日の開店に伴うパチンコ機10の電源ON操作とが行われるだけで、前日の遊技により更新された各カウンタ502a~502eの値を初期化させたり、差球数の情報を消去させたりすることができる。例えば、各カウンタ502a~502eの初期化や差球数の情報の消去に、リセットボタン166cを押圧操作しながらパチンコ機10の電源ON操作を行うリセット操作を要する場合は、遊技ホールに設置された各パチンコ機について1台ずつリセット操作を行わなければならず、開店準備に際してのホール従業員の手間が大幅に増大するおそれがある。この点、上記構成であることで、そのような手間を無くすことができ、ホール従業員の作業負担を軽くすることができる。特に遊技ホールでは島設備に複数台のパチンコ機10が設置され、島設備の電源を投入することで当該島設備に設置された複数台のパチンコ機10の電源を一括して投入することが可能であるため、島設備の電源ON操作により、差球数の情報の消去等を複数台のパチンコ機10に対してまとめて行うことができ、遊技ホールでの開店準備の手間を好適に削減することが可能になる。
【0470】
上記のように電源ON操作する場合において、設定キー挿入部166aがオン操作の位置とされていた場合は、設定確認状態に移行する。設定確認状態では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにて設定値の表示を行う。
【0471】
また、差球数が特定個数未満の状態であり、超過フラグが「1」にセットされていない状態で、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合は、上記第1初期化処理を実行する。第1初期化処理では、パチンコ機10における現在の設定値の情報が記憶されたエリアを除き、特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする。また、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394について部分用クリア処理を実行し、差球数が特定個数に記憶された差球数の情報を消去するとともに、各カウンタ502a~502eの値や超過フラグの状態を初期化する。
【0472】
上記の際、設定キー挿入部166aがオン操作の位置とされた状態で電源ON操作が行われた場合は、第1初期化処理を実行した後、パチンコ機10の設定状態を変更することが可能な設定更新状態に移行する。設定更新状態では、更新ボタン166bを押圧操作することで「設定1」~「設定6」の範囲で設定値を切り換えることができる。この際、第1~第5報知用表示装置169a~169eにて設定値の表示を行う。なお、更新ボタン166bを備えず、リセットボタン166cを操作することにより設定値の切り換えを行うことが可能な構成としてもよい。
【0473】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏することができる。
【0474】
一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への入球が発生した場合に、それら各入球部61~63,65,68に対応する各カウンタ502a~502eを更新し、それらの情報に基づいて差球数を導出する構成とした。これにより、パチンコ機10において、各入球部61~63,65,68への入球発生の履歴を収集するとともに、都度の差球数をパチンコ機10が監視することができる。そして、導出した差球数が特定個数以上となった場合に遊技停止状態に移行させる構成とした。これにより、遊技者が獲得する賞球の増加が抑えられ、射幸性の過剰な高まりが抑制されるようにパチンコ機10を動作させることが可能になる。
【0475】
主側RAM314において、特定制御用のプログラムにより処理が実行される場合に情報を読み書きするためのエリアとしての特定制御用のワークエリア391及びスタックエリア392と、非特定制御用のプログラムにより処理が実行される場合に情報を読み書きするためのエリアとしての特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394とをそれぞれ設け、特定制御用のプログラムにより処理が実行される場合は、非特定制御用のワークエリア393及びスタックエリア394からの情報の読み出しが可能であるものの、情報の書き込みが不可であり、非特定制御用のプログラムにより処理が実行される場合は、特定制御用のワークエリア391及びスタックエリア392からの読み出しが可能であるものの、情報の書き込みが不可である構成とした。そして、特定制御用のプログラムにより実行される処理に遊技の進行を制御するためのステップS409~ステップS419の処理を含み、各入球部61~63,65,68への入球発生の履歴を収集するための各カウンタ502a~502eと、導出した差球数の情報が記憶される差球数用エリア504eとを非特定制御用のワークエリア393内に設ける構成とした。
【0476】
このような構成であることで、遊技の進行を制御するための処理により、各カウンタ502a~502eの情報や差球数用エリア504eに記憶される差球数の情報が書き換えられたり、消去されたりすることがないようにできる。よって、差球数が特定個数以上となったか否かの監視を適切に行うことができ、延いては当該監視結果に基づく遊技停止状態への移行制御を適切に行わせることができる。
【0477】
差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行する場合の外部情報を、不正検知(異常検知)に基づいて遊技停止状態に移行する場合に外部情報を出力するときの外部出力用端子と同じ端子を用いて出力する構成とした。これにより、パチンコ機10では新たな外部出力用端子の増設が不要になり、遊技ホールではデータカウンタ等の情報受信部や、ホールコンピュータHC等の管理装置について既存の構成を用いることができ、双方においてコストの削減を図ることが可能になる。
【0478】
その際、差球数が特定個数以上となった場合の外部信号の信号態様(出力期間等)を不正検知が行われた場合の外部情報の信号態様と共通化し、前者の場合と後者の場合とで同じ信号を出力する構成とした。この場合、パチンコ機10では、差球数が特定個数以上となった場合に対応した専用態様の信号を出力するための処理プログラムを追加する必要がなく、遊技ホールでは、既存のホールコンピュータHCによって差球数が特定個数以上となった場合の外部情報を解析することができ、ホールコンピュータHCにおける改良や機能追加が不要となる。但し、差球数が特定個数以上となった場合の外部情報と、不正検知が行われた場合の外部情報とをホールコンピュータHCにて区別して認識することが不可又は困難となることが想定されるため、ホール従業員の呼び出しを求める信号として機能させることが好ましい。
【0479】
差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合にその遊技停止状態において遊技球の払い出しが許容される構成とした。例えば、遊技球を払い出している途中タイミングで差球数が特定個数以上となった場合、遊技停止状態への移行に伴って遊技球の払い出しが途中終了されてしまうおそれがある。この点、本構成によれば、払い出しの途中で遊技停止状態に移行しても最後まで遊技球の払い出しを行わせることができる。
【0480】
特に差球数が特定個数以上となる状況として、多くの賞球が短期間で発生する開閉実行モードの実行中が想定されるが、この際、満タン状態が発生して遊技球の払い出しが止まった状態が続いていることがあると、内部的に未払い出しの賞球が多く蓄積されていくことになる。この場合において例えば、遊技停止状態への移行に伴い払い出しが規制される構成では、遊技者が下皿34から遊技球を抜いて満タン状態を解消しても、遊技球の払い出しが再開されず、内部的に蓄積された多量の未払い出しの賞球を回収することができなくなるおそれがある。この点、遊技停止状態である状況で遊技球の払い出しが許容されていることで、満タン状態が解消されて払出装置222からの遊技球の払い出しが可能な状態となれば、未払い出しの賞球に対応した遊技球の払い出しを行わせることができ、遊技者が得られるべき賞球を適切に払い出すことが可能になる。
【0481】
差球数が特定個数以上となった場合の遊技停止状態において遊技球の払い出しに対応する外部情報の出力を許容する構成とした。この場合、遊技停止状態の中で遊技球の払い出しが行われても、当該払い出しの発生が上記外部情報の出力を通じて遊技ホール側のホールコンピュータHCに適切に通知される。よって、遊技停止中に遊技球の払い出しが行われることに起因して、パチンコ機10において実際に払い出した遊技球の数と、ホールコンピュータHCが把握する数とに不整合が生じることを抑制することが可能になる。
【0482】
差球数が特定個数以上となっている状況でMPU312への動作電力の供給が停止され、その後、MPU312への動作電力の供給が開始された場合に、第2初期化処理を実行して特定制御用のワークエリア391に記憶された情報を消去する構成とした。これにより、例えば、当否抽選モードが高確率モードである状況で確変大当たりに当選し、その確変大当たりに対応する開閉実行モードの途中で差球数が特定個数以上となった場合に、開閉実行モード中であることに対応したフラグ情報や、当該開閉実行モード後に高確率モードに移行することに対応した情報(高確率モードへの移行に対応した種別の大当たりであることを示す大当たり種別情報)が初期化された上でパチンコ機10が起動される。このため、当否抽選モードが低確率モードであり且つ開閉実行モードが実行されていない状態に変更されて遊技が行われることになり、その結果として賞球の更なる獲得が制限される。よって、遊技者が獲得する賞球の増加が抑えられ、射幸性の過剰な高まりが抑制されるようにパチンコ機10を動作させることが可能になる。また、そのような変更をパチンコ機10自身が自動的に行うため、差球数が特定個数以上となった場合のホール従業員の手間を軽減することができる。さらに当該変更を行うか否かにホール従業員の裁量が介入しないため、遊技の公平性を担保することもできる。
【0483】
第2初期化処理において、払出制御装置181(払出装置222)に賞球の払い出しを行わせるための賞球情報を初期化の対象外とする構成とした。これにより、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行し、その遊技停止状態において未払い出しの賞球が残っている状況でパチンコ機10の電源OFF操作を行っても、電源ON操作後において未払い出しの賞球に対応する遊技球を順次に払い出させることができる。つまり、当否抽選モード等の情報については初期化することで賞球の更なる獲得を制限しながらも、未払い出しの賞球については、それに対応する情報を記憶保持して遊技者が本来得られるべき賞球を適切に払い出させることが可能になる。
【0484】
なお、本実施の形態では、電源遮断時におけるRAMに記憶された情報のバックアップ機能について主制御装置162の主側RAM314には設けられるものの、払出制御装置181の払出側RAM384に設けられておらず、電源遮断時において、賞球の払い出しを行わせるための賞球情報が主側RAM314に記憶保持される。これを踏まえて、復電時の第2初期化処理に際し、主側RAM314を対象として賞球情報が消去されないように構成したが、払出側RAM384に対してバックアップ機能が設けられ、電源遮断時において賞球情報が払出側RAM384に記憶保持される場合は、その記憶保持された賞球情報が消去されないようにするとよい。
【0485】
差球数が特定個数以上となっているか否かにかかわらず、MPU312への動作電力の供給が停止され、その後、MPU312への動作電力の供給が開始された場合に、部分クリア用処理を実行し、差球数の情報や各カウンタ502a~502eの値を初期化する構成とした。この場合、遊技ホールの閉店に伴うパチンコ機10への電源遮断と翌日の開店に伴うパチンコ機10への電源投入とが順に行われることで、上記差球数の情報等を自然と消去することができる。このため、前日の遊技実績に基づく差球数等が引き継がれた状態で遊技が行われることが抑制され、遊技停止状態への移行が前日の遊技実績の影響により行われることを抑制できる。
【0486】
しかも、部分クリア用処理の実施に電源遮断及び電源投入以外の操作を求めない構成としたため、遊技ホールの開店時におけるホール従業員の手間を大きく削減できる。例えば、リセットボタン166cの押圧操作が行われながらMPU312への動作電力の供給が開始されることを条件として差球数の情報等が消去される場合は、遊技ホールに設置された各パチンコ機について1台ずつそのような操作を行う必要があり、ホール従業員にとって非常に手間のかかる作業となるおそれがある。この点、本構成であれば、パチンコ機10への電源投入に伴い自然と差球数の情報等が消去されるため、当該消去に要する手間を大きく減らすことができる。特に遊技ホールでは、島設備の電源を投入することで当該島設備に設置された複数のパチンコ機に一括して電源を投入し得るため、1の操作により複数のパチンコ機についてまとめて消去処理を行うことができ、差球数の情報等の効率的な消去を行うことが可能になる。
【0487】
なお、差球数の情報等は非特定制御用のワークエリア393に記憶されるため、上記部分クリア用処理でそれらの情報を消去する際に、特定制御用のワークエリア391に記憶される設定値等の情報が書き換えられたり、消去されたりすることを抑制できる。
【0488】
パチンコ機10の電源投入に伴い開始されるメイン処理(
図18)の中で上記部分クリア用処理を実行する構成とした。この場合、部分クリア用処理にて前日の差球数の情報等が消去されてから、遊技の進行に関する制御を行うタイマ割込み処理(
図21)が実行される順番とすることができる。これにより、前日の差球数の情報等が残ったままで遊技が進行することを確実に回避することができる。
【0489】
ベース値に対応する表示が行われる第1~第5報知用表示装置169a~169eを利用して差球数に対応する表示を行う構成とした。その際、ベース値に対応する表示と、差球数に対応する表示とに順次に切り換えて表示する構成とした。この場合、第1~第5報知用表示装置169a~169eを有効利用しながら、ベース値及び差球数に対応する各表示を好適に行うことが可能になる。
【0490】
また、第1~第5報知用表示装置169a~169eでの表示において、差球数が特定個数以上となった場合は、差球数に対応する表示に固定化する構成とした。これにより、差球数が特定個数以上となった場合の遊技停止状態においてホール従業員がパチンコ機10の下に駆け付けた際に、第1~第5報知用表示装置169a~169eを視認することで、その時点での差球数を即座に把握することができる。よって、遊技停止の確認を円滑に進めることができ、遊技ホール側の利便性を高めることが可能になる。
【0491】
<変形例1>
上記第1の実施の形態の変形例1について
図41~
図43を参照しながら説明する。これらの図において上記第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0492】
本変形例は、超過用判定において特定個数との比較に用いる差球数の態様が上記第1の実施の形態と異なる。具体的には、上記第1の実施の形態では、パチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に差球数を初期化して0個とし、これを開始基準値として算出を開始した差球数(電源投入からの通算差球数)を特定個数と比較したが、本変形例では、差球数が減少状態から増加状態に転じた場合の変化点CP(
図41)を把握するとともに、その変化点CPを開始基準値とする判定用差球数SAを算出し、これを特定個数と比較する構成としている。以下、そのための構成について詳細に説明する。
【0493】
図42(a)は、非特定制御用のワークエリア393の設定態様を説明するための説明図である。本変形例において非特定制御用のワークエリア393には差球数用エリア601が設けられている。差球数用エリア601は、差球数の情報を記憶するためのエリアであり、上記第1の実施の形態における差球数用エリア504e(
図31)に代えて設けられるものである。
【0494】
本変形例は差球数の情報として複数の情報を扱う構成となっており、差球数用エリア601にはそれら複数の情報に対応させて複数の記憶エリアが設けられている。具体的には、0個を基準とした今回の差球数(上記第1の実施の形態と同様の差球数)を記憶するための現状差球用エリア601aと、0個を基準とした前回の差球数を記憶するための前回差球用エリア601bと、上記変化点CPに対応する開始基準値を記憶するための開始基準用エリア601cと、上記判定用差球数SAを記憶するための判定差球用エリア601dとが設けられている。
【0495】
<超過判定用処理>
本変形例に係る超過判定用処理について
図43のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、ベース値及び差球数用実行処理(
図29)のステップS1104で実行されるものであり、
図32の超過判定用処理に代えて実行されるものである。
図43において
図32と同様の処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略又は簡略化する。なお、本処理は、非特定制御用のプログラムにより実行される。
【0496】
先ずステップS1301では、一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への遊技球の入球が発生したか否かを判定する。入球が発生している場合はステップS1302に進み、ステップS1301での判定結果に基づき、非特定制御用のワークエリア393に設けられた入球検知用の各カウンタ502a~502eの値を更新する。
【0497】
ステップS2301ではデータシフト処理を実行する。データシフト処理では、差球数用エリア601において現状差球用エリア601aに記憶されている差球数の情報を前回差球用エリア601bにシフトさせる。これにより、前回の処理回で算出された差球数の情報が前回差球用エリア601bに記憶される。
【0498】
ステップS2302では差球数の算出処理を実行する。この場合の差球数は0個を基準とする電源投入からの通算差球数であり、本ステップの算出処理では、上記第1の実施の形態におけるステップS1303(
図32)と同様の演算処理を実行して差球数を導出する。すなわち、その時点での各カウンタ502a~502eの値を利用し、遊技球の合計払出個数-遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数によって差球数を導出する。
【0499】
ステップS2303ではステップS2302で算出した差球数を上記現状差球用エリア601aに上書きする処理を実行する。これにより、現状差球用エリア601aに今回の差球数の情報が記憶される。続くステップS2304では最下点判定処理を実行する。最下点判定処理は、
図41の変化点CPを把握するための処理である。ここで、最下点判定処理について
図42(b)を参照しながら説明する。
【0500】
最下点判定処理では先ず前回差球用エリア601bに記憶されている前回の差球数S2が、開始基準用エリア601cに記憶されている開始基準値よりも小さいか否かを判定する。開始基準用エリア601cの開始基準値は、パチンコ機10への電源投入により差球数の情報が初期化されてから前回の処理回の終了までの期間における各回で算出された差球数のうちの最小値であり、換言すれば、当該期間における最新の最下点である。そして、前回の差球数S2がその時点での開始基準値よりも小さい場合は、今回の差球数S1が前回の差球数S2よりも大きく、今回の処理回にて差球数が増加しているか否かを判定する。その結果、今回の処理回にて差球数が増加していると判定した場合は、前回の差球数S2を新たな最下点として認識する。
【0501】
超過判定用処理(
図43)の説明に戻り、ステップS2304の最下点判定処理の実行後は、ステップS2305にて開始基準値の更新処理を実行する。開始基準値の更新処理では、ステップS2304の最下点判定処理にて前回の差球数S2を新たな最下点として認識した場合に、前回差球用エリア601bに記憶されている情報を開始基準用エリア601cに上書きする処理を実行する。これにより、開始基準値が更新される。
【0502】
ステップS2306では判定用差球数SAの算出処理を実行する。判定用差球数SAは開始基準値からの差球数であり、その算出処理では今回の差球数S1から開始基準値を減算することにより判定用差球数SAを導出する。続くステップS2307では、ステップS2306で算出した判定用差球数SAを判定差球用エリア601dに上書きする処理を実行する。
【0503】
ステップS2308では、ステップS2307で判定差球用エリア601dに上書きした判定用差球数SA(ステップS2306で算出した判定用差球数SA)が特定個数(例えば100000個)以上であるか否かを判定する。判定用差球数SAが特定個数以上である場合は、ステップS2309に進み、非特定制御用のワークエリア393に設けられた各種フラグ用エリア507の超過フラグを「1」にセットする。
【0504】
このようにして超過フラグを「1」にセットした場合は、タイマ割込み処理(
図21)におけるステップS407の遊技停止判定用処理(
図36)にて遊技停止状態への移行処理(ステップS1610~ステップS1615)を実行する。これにより、開閉実行モード中であった場合は当該開閉実行モードが途中終了され、さらには可変入賞装置65及び普電役物63aが閉鎖状態とされるとともに、遊技領域PAへの遊技球の発射が規制され、その後の遊技の進行が制限される。
【0505】
以上詳述した本変形例によれば、以下の優れた効果を奏することができる。
【0506】
差球数の最下点CPを把握して開始基準値とするとともに、その開始基準値からの差球数の増加分である判定用差球数SAを導出し、これを特定個数と比較して遊技停止状態への移行制御を行う構成とした。
【0507】
例えば、0個を基準として算出した差球数を特定個数と比較する場合は、遊技の中で生じたマイナス分(いわゆるハマリ分)により実質的な差球数の上限に変動が生じる。例えば
図41に示すように、遊技の中で差球数が-25000個まで低下した場合に、そこから遊技を開始した遊技者がいたと仮定すると、その遊技者に対して許容される差球数の増加分SBは1250000個となり、実質的な差球数の上限は100000個よりも大きくなる。このような上限数の変動幅は、マイナス分にばらつきが生じることに起因してパチンコ機10ごとに相違するため、遊技の公平性を損なう要因となり得る。
【0508】
この点、本変形例によれば、マイナス分が終了した時点を始点とする期間TPを対象として差球数の増加分が把握されるため、マイナス分にかかわらず、実質的な差球数の上限を100000個に固定化することができる。これにより、遊技者間の公平性を高めることができ、遊技しやすい構成とすることが可能になる。
【0509】
<変形例2>
上記第1の実施の形態の変形例2について
図44~
図46を参照しながら説明する。これらの図において上記第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0510】
上記第1の実施の形態では、MPU312への動作電力の供給が開始された場合に、差球数の情報の消去や差球数用カウンタエリア502における各カウンタ502a~502eの初期化を実行したが、本変形例では、これをMPU312への動作電力の供給が停止された場合に実行する構成としている。以下、そのための構成について詳細に説明する。
【0511】
<停電情報記憶処理>
本変形に係る停電情報記憶処理について
図44のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、タイマ割込み処理(
図21)のステップS401で実行されるものである。なお、本処理は、MPU312において特定制御用のプログラムにより実行される。
【0512】
停電情報記憶処理では先ずステップS3101にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた繰り返しカウンタに停電信号用の繰り返し回数情報である「10」の情報をセットする。続くステップS3102では、特定制御用のワークエリア391に設けられた停電検知カウンタを「0」クリアする。
【0513】
ステップS3103では、MPU312の入力ポートに受信している停電信号の情報を読み込む処理を実行する。この場合、電源遮断が発生していないことに対応した停電信号(LOWレベルの停電信号)を受信している場合には入力ポートに非電断情報として「0」の情報が格納されており、電源遮断が発生していることに対応した停電信号(HIレベルの停電信号)を受信している場合には入力ポートに電断発生情報として「1」の情報が格納されている。ステップS3103では、かかる停電信号の情報をMPU312のレジスタに読み込む処理を実行する。
【0514】
ステップS3103にて読み込んだ停電信号の情報が停電の発生(電断の発生)に対応したものである場合は(ステップS3104:YES)、ステップS3105にて停電検知カウンタの値を1加算する。ステップS3104で否定判定した場合又はステップS3105の処理を実行した場合は、ステップS3106にて繰り返しカウンタの値を1減算する。
【0515】
ステップS3107では、その1減算後における繰り返しカウンタの値が「0」であるか否かを判定する。繰り返しカウンタの値が「0」でない場合は、ステップS3103に戻りステップS3103~ステップS3106の処理を繰り返す。一方、繰り返しカウンタの値が「0」である場合は、ステップS3108に進み、停電検知カウンタの値が、停電発生に対応した契機基準回数以上となっているか否かを判定する。契機基準回数未満である場合には、そのまま本停電情報記憶処理を終了する。一方、契機基準回数以上である場合には、ステップS3109~ステップS3113の停電時処理を実行する。
【0516】
具体的には先ずステップS3109にて、特定制御用のワークエリア391に設けられた停電フラグに「1」をセットする。これにより、正常に停電時処理が実行されるとともに主側RAM314における情報の記憶保持が正常に行われた場合には、MPU312への動作電力の供給が再度開始された場合に特定制御用のワークエリア391の停電フラグに「1」がセットされていることとなる。
【0517】
ステップS3110では、非特定制御用のワークエリア393に記憶された差枚数等を消去するための電断時クリア用処理を実行する。電断時クリア用処理の詳細については後述する。
【0518】
ステップS3110の実行後はステップS3111にて、特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392についてチェックサムを算出する。この場合、チェックサムの算出に際して演算対象となる特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392における記憶エリアは、メイン処理(
図18)のステップS106にてチェックサムの演算対象となる特定制御用のワークエリア391及び特定制御用のスタックエリア392における記憶エリアと同一である。また、このチェックサムの算出に際して演算対象となる記憶エリアには、特定制御用のワークエリア391においてパチンコ機10の設定状態を示す設定値の情報が設定されたエリア(具体的には設定値カウンタ)が含まれている。そして、その算出したチェックサムを特定制御用のワークエリア391における当該チェックサムを記憶するための記憶エリアであってチェックサムの算出対象から除外されている記憶エリアに記憶させる。
【0519】
ステップS3112では、MPU312のレジスタにおける出力ポートの情報を全て「0」にセットし、続くステップS3113では、主側RAM314へのアクセスを禁止する。そして、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0520】
なお、タイマ割込み処理の最初の処理として停電情報記憶処理を実行するようにしたことにより、復電後にタイマ割込み処理の途中から実行する必要がなくなる。これにより、停電発生時に実行していた処理のアドレスをスタック情報として主側RAM314に記憶する必要がなくなり、停電発生時の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0521】
<電断時クリア用処理>
ステップS3110の電断時クリア用処理について
図45のフローチャートを参照しながら説明する。なお、電断時クリア用処理におけるステップS3201~ステップS3205の処理は特定制御用のプログラムにより実行される。
【0522】
電断時クリア用処理では先ずステップS3201にて、タイマ割込み処理(
図21)の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS3202では、MPU312に設けられた複数のレジスタのうちフラグレジスタに格納されている情報を特定制御用のワークエリア391における所定領域に書き込んで退避させる。この処理はベース値及び差球数算出処理(
図28)におけるステップS1002と同様のものである。
【0523】
ステップS3203では、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されている電断時クリア用実行処理に対応するサブルーチンのプログラムを読み出し、当該実行処理を開始する。この際、当該実行処理の実行後における戻り番地を特定するための情報を特定制御用のスタックエリア392に書き込む。そして、電断時クリア用実行処理が終了した場合には、当該スタックエリア392に書き込まれた戻り番地を特定するための情報を読み出し、その戻り番地が示す電断時クリア用処理のプログラムに復帰する。
【0524】
ステップS3204では、退避させたフラグレジスタの情報を復帰させ、その後、部分クリア用処理を終了する。ステップS3204の処理は、この処理はベース値及び差球数算出処理(
図28)におけるステップS1004と同様のものである。
【0525】
ステップS3205では、タイマ割込み処理(
図21)の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換えるために割込み許可の設定を行う。これにより、タイマ割込み処理の新たな実行が可能となる。
【0526】
ここで、ステップS3203にて非特定制御用のプログラムが読み出されることにより実行される電断時クリア用実行処理について、
図46のフローチャートを参照しながら説明する。
【0527】
ステップS3301では、使用するスタックエリアを特定制御用のスタックエリア392から非特定制御用のスタックエリア394に切り換える。この処理は、ベース値及び差球数用実行処理(
図29)におけるステップS1101と同様のものである。
【0528】
ステップS3302では、MPU312に設けられる複数のレジスタのうち一部のレジスタに格納されている情報を非特定制御用のワークエリア393に退避させる。後のステップS3303~ステップS3306では、情報を退避させたそれらのレジスタを利用して処理を実行する。
【0529】
ステップS3302の実行後は、コール命令により、非特定制御用のプログラムに設定されているステップS3303~ステップS3306のサブルーチンのプログラムを読み出し、順次に実行する。これらの処理にあたっては先ずステップS3303にて、差球数の情報をクリアする。具体的には、非特定制御用のワークエリア393に設けられた演算結果用エリア504における差球数用エリア504e(
図31)を全て「0」クリアする。これにより、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた時点で差球数用エリア504eに記憶されていた差球数の情報が消去される。
【0530】
なお、本変形例の構成を上記変形例1に適用した場合は、ステップS3303にて、非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用エリア601(
図42)の各エリア601a~601dを全て「0」クリアする。これにより、差球数が特定個数以上となっているか否かの判定に用いる判定用差球数SAが初期化されたり、当該判定用差球数SAの算出に用いる開始基準値等が初期化されたりする。
【0531】
ステップS3303の実行後はステップS3304にて、非特定制御用のワークエリア393に設けられた差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502e(
図31)を全て「0」クリアする。これにより、差球数の算出に利用する常時用の一般入賞カウンタ502a、常時用の第1作動カウンタ502b、常時用の第2作動カウンタ502c、常時用の特電カウンタ502d、常時用のアウトカウンタ502eについて、それらのカウント値が初期値(「0」)に変更される。
【0532】
ステップS3305では、非特定制御用のワークエリア393に設けられた超過フラグが「1」にセットされているか否かを判定し、「1」にセットされている場合には超過フラグを「0」クリアする(ステップS3306)。
【0533】
ステップS3307では、使用するスタックエリアを非特定制御用のスタックエリア394から特定制御用のスタックエリア392に切り換える。続くステップS3308では、ステップS3302にて非特定制御用のワークエリア393に退避させた各レジスタの値をMPU312の各レジスタに復帰させる。
【0534】
以上詳述した本変形例によれば、以下の優れた効果を奏することができる。
【0535】
差球数が特定個数以上となっているか否かにかかわらず、MPU312への動作電力の供給が停止された場合に、電断時クリア用処理を実行し、差球数の情報や各カウンタ502a~502eの値を初期化する構成とした。この場合、遊技ホールの閉店に伴うパチンコ機10への電源遮断が行われることで、上記差球数の情報等が自然と消去されるため、翌日にパチンコ機10への電源投入が行われた場合に、差球数の情報等が消去されている状態で動作電力の供給が開始されることになる。これにより、前日の遊技実績に基づく差球数等が引き継がれた状態で遊技が行われることが抑制され、遊技停止状態への移行が前日の遊技実績の影響により行われることを抑制できる。その際、電断時クリア用処理の実施に電源遮断以外の操作を求めない構成としたため、遊技ホールの閉店時におけるホール従業員の手間を大きく削減することができる。
【0536】
<その他の変形例>
なお、上述した第1の実施の形態や各変形例の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記第1の実施の形態や各変形例に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記第1の実施の形態や各変形例に対して適用してもよい。また、上記第1の実施の形態や各変形例に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。
【0537】
また、理解の容易のため、例えば「第1の実施の形態では」などとし、前提構成として一部の実施例を特定するものがあるが、以下の各構成は、特定した前提構成(実施例)に限定して適用されるものではなく、他の実施例に対しても適用することが可能である。
【0538】
(1)上記第1の実施の形態や各変形例では、遊技球の合計払出個数から遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数を減算して差球数を導出したが、遊技球の合計払出個数から遊技領域PAに発射された遊技球の合計個数を減算して差球数を導出してもよい。この場合、遊技球発射機構110から発射されたものの、遊技領域PAに到達せずにファール球通路46に回収された遊技球を差球数の算出対象から除外するとよい。具体的には、遊技領域PAに到達可能な発射強度で発射された遊技球が通過する領域に遊技球検知センサを配置し、当該センサにより検知される遊技球の個数をカウントして上記発射された遊技球の合計個数とするとよい。なお、遊技領域PAに到達可能な発射強度で発射された遊技球が通過する領域としては、例えば、逆戻り防止部材106の配置領域やその周辺部等が考えられる。
【0539】
ちなみに上記第1の実施の形態や各変形例において、特定個数から差球数を減算して特定個数までの残り個数を導出し、この残り個数に基づいて超過判定を行う構成としてもよい。この場合、当該残り個数が0個以下となった場合に遊技停止状態への移行が行われるものとなる。
【0540】
(2)上記第1の実施の形態や各変形例では、各入球部61~63,65,68への入球の発生に基づいて各カウンタ502a~502eを更新することで、入球発生時を基準とした差球数を導出する構成としたが、賞球の付与がある入球部61~63,65については遊技球の払い出しが行われた場合に、その払い出し個数をカウントし、その合計値を「遊技球の合計払出個数」に用いることで、払い出し時を基準とした差球数を導出してもよい。この場合、例えば満タン状態となっていることにより遊技球の払い出しが中断されている状況で差球数が特定個数以上となることが回避され、未払い出しの遊技球が多く残存している中で遊技停止状態に移行することを抑制できる。
【0541】
但し、意図的に満タン状態を形成して遊技球の払い出しが行われないようにすることで、差球数が特定個数に到達するタイミングを遅らせることができ、遊技継続期間の実質的な延長を図ることができる懸念がある。そのような意味では、上記第1の実施の形態や各変形例のように入球発生時を基準として差球数を導出するか、又は、遊技停止状態において遊技球の払い出しを許容する機能を搭載しないようにした上で払い出し時を基準とした差球数の導出を行うとよい。
【0542】
(3)上記第1の実施の形態や各変形例において、遊技領域PAから排出された遊技球の合計個数から遊技球の合計払出個数を減算して差球数を導出してもよい。この場合、差出される差球数において遊技者側のプラス分が負の値によって示されるため、特定個数として負の値を用いる。つまり、算出される差球数が特定個数としての-100000個以下となったら遊技停止状態に移行する構成となる。
【0543】
(4)上記第1の実施の形態や各変形例では、全ての入球部61~63,65,68を対象として入球履歴の情報を収集したが、一部の入球部を対象として入球履歴の情報を収集してもよい。例えば、可変入賞装置65のみを対象として入球履歴の情報を収集する構成とすれば、開閉実行モード中での差球数の増加により遊技停止状態に移行する構成とすることができる。
【0544】
(5)上記第1の実施の形態や各変形例では、全ての遊技状態を対象として各入球部61~63,65,68への入球履歴の情報を収集したが、一部の遊技状態を対象として入球履歴の情報を収集してもよい。例えば、開閉実行モード中を対象として入球履歴の情報を収集してもよく、この場合、開閉実行モード中での差球数の増加により遊技停止状態に移行する構成とすることができる。
【0545】
また、上記第1の実施の形態や各変形例では、パチンコ機10への電源投入からの全ての期間を対象として各入球部61~63,65,68への入球履歴の情報を収集したが、一部の期間を対象として入球履歴の情報を収集してもよい。例えば、いわゆる連荘期間を対象として入球履歴の情報を収集してもよい。なお、連荘期間としては、例えば、通常遊技状態中に大当たりとなり、その大当たりに対応する開閉実行モードの終了後に高確遊技状態(高確率モード、又は高確率モード且つ高頻度サポートモード)又は時短遊技状態(低確率モード且つ高頻度サポートモード)に移行する場合において、当該開閉実行モードが開始されてから通常遊技状態に移行するまでの期間とすることができる。
【0546】
(6)上記第1の実施の形態や各変形例では、第1~第5報知用表示装置169a~169eを設け、5桁の数値表示により差球数を表示する構成としたが、6個の報知用表示装置を備えるとともに、差球数が負の値である場合において最も左側の報知用表示装置に「-(マイナス)」を表示してもよい。また、設定値やベース値の表示に合わせて4個の報知用表示装置を備え、差球数の表示については、表示が右側から左側へ流れるように表示してその全体を表示するようにしてもよい。
【0547】
(7)上記第1の実施の形態や各変形例では、第1~第5報知用表示装置169a~169eを設定値とベース値と差球数とで共用するが、設定値と差球数とで共用してもよいし、ベース値と差球数とで共用してもよい。また、設定値やベース値が表示される表示装置とは別の表示装置にて差球数が表示される構成としてもよい。
【0548】
(8)上記第1の実施の形態や各変形例では、第1~第5報知用表示装置169a~169eにおいてベース値と差球数とが順番に切り換え表示される構成としたが、表示切換用の操作手段(切換ボタンなど)を設け、当該操作手段が操作されることにより表示が切り換えられる構成としてもよい。この場合、上記操作手段が操作される都度、現状ベース値→前回ベース値→前々回ベース値→前々々回ベース値→差球数の順で切り換え表示が行われる構成としてもよいし、上記操作手段が操作される都度、ベース値表示と差球数表示とが切り換えられる構成としてもよい。この場合、第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示内容を素早く切り換えることができ、ホール従業員が差球数を早く視認したい場合に有効である。
【0549】
(9)上記第1の実施の形態や各変形例において、
図21のタイマ割込み処理とは別に、当該タイマ割込み処理よりも割込み周期が短い第2タイマ割込み処理を設け、その第2タイマ割込み処理にて第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示制御を行うようにしてもよい。この場合、遊技の進行に関する各種処理を実行する場合よりも短い周期で第1~第5報知用表示装置169a~169eの表示状態を更新することができ、ちらつきなどが発生することを抑制できる。
【0550】
(10)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数を特定個数と比較して超過判定を行ったが、遊技球の合計払出個数を特定個数と比較して超過判定を行ってもよい。すなわち、払い出された遊技球の合計個数が特定個数以上となった場合に遊技停止状態に移行する構成としてもよい。この場合、遊技領域PAから排出される遊技球の個数が判定のパラメータに含まれないため、いわゆるハマリの影響を排除することができ、公平性の高い超過判定を行うことが可能になる。
【0551】
(11)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上であるか否かの判定処理(ステップS1305)を非特定制御用のプログラムにより実行するが、当該処理では、非特定制御用のワークエリア393における差球数用エリア504eに記憶された差球数の情報を参照しているに留まるため、当該処理を特定制御用のプログラムにより実行する構成としてもよい。この場合、差球数が特定個数以上であるか否かを示す超過フラグは特定制御用のワークエリア391に設けるとよい。
【0552】
(12)上記第1の実施の形態や各変形例において、ステップS1104の超過判定用処理(
図32)、ステップS1902の部分クリア用実行処理(
図38)を特定制御用のプログラムにより実行してもよい。この場合、各カウンタ502a~502eや差球数用エリア504e、超過フラグは特定制御用のワークエリア391に設けるとよい。
【0553】
(13)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となった場合に遊技停止状態に移行するが、遊技停止状態に移行しない構成としてもよい。この場合、例えば、高確率モード中の大当たりに基づく開閉実行モードにて差球数が特定個数以上となった場合に、主側RAM314に記憶される大当たり種別や高確率モードの情報が初期化され、上記大当たりの種別にかかわらず、上記開閉実行モード後の当否抽選モードが低確率モードに設定される構成としてもよい。
【0554】
(14)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となった場合に、その時点での遊技状態にかかわらず即座に遊技停止状態に移行したが、その時点での遊技状態を参照して遊技停止状態への移行タイミングを制御してもよい。例えば、開閉実行モード中ではない状況で差球数が特定個数以上となった場合は、即座に遊技停止状態に移行する一方で、開閉実行モード中に差球数が特定個数以上となった場合は、その開閉実行モードが終了するのを待機し、当該開閉実行モードが終了した場合又はその開閉実行モードが終了した後に遊技停止状態に移行してもよい。また、上記(5)の連荘期間中に差球数が特定個数以上となった場合は、当該連荘期間が終了した場合又は当該連荘期間が終了した後に遊技停止状態に移行してもよい。
【0555】
(15)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となったことに基づいて移行した遊技停止状態において遊技球の払い出しを許容する構成としたが、これを許容しない構成としてもよい。
【0556】
但し、この場合、差球数が特定個数以上となることに応じて突然に遊技球の払い出しが停止してしまい、未払い出しの賞球があった場合にそれが払い出されなくなるおそれがある。そのような不都合の発生を抑制するため、図柄表示装置75等において注意を促す所定報知を事前に行うとよい。例えば、特定個数よりも少ない所定個数(例えば99000個)に差球数が到達したら「もうすぐ出玉上限に到達して停止状態になります。注意して下さい。」などの画像報知や音声報知を行うとよい。
【0557】
また、満タン状態等の遊技球の払い出しが停止している状況での報知について差球数が上記所定個数以上であるか否かによって報知態様を異ならせてもよい。例えば、満タン状態等において差球数が上記所定個数未満の場合は「球を抜いて下さい。」などの画像報知や音声報知を行い、満タン状態等において差球数が上記所定個数以上である場合は「速やかに球を抜いて下さい。未払い出し分が払い出されなくなるおそれがあります。」などの画像報知や音声報知を行ってもよい。
【0558】
(16)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行する場合に、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行する場合と同じ外部出力用端子を用いて外部情報を出力したが、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行する場合とは別の外部出力用端子を用いて外部情報を出力してもよい。差球数が特定個数以上となった場合に対応した専用信号として出力してもよい。この場合、遊技ホールのホールコンピュータHCにて、受信した外部情報に基づいて、差球数が特定個数以上となったのか、それとも不正検知がなされたのかを識別することができる。
【0559】
また、同じ外部出力用端子を用いながらも、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行する場合とは信号態様(例えば出力期間)を異ならせることで、差球数が特定個数以上となった場合に対応した専用信号としての外部情報を出力することが可能な構成としてもよい。
【0560】
なお、上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となった場合において遊技停止状態への移行時に外部情報を出力するが、差球数が特定個数以上となった際に外部情報を出力してもよい。また、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行する場合についても、上記第1の実施の形態や各変形例では、遊技停止状態への移行時に外部情報を出力するが、不正検知が行われた際に外部情報を出力してもよい。
【0561】
(17)上記第1の実施の形態や各変形例において、不正検知に基づく遊技停止状態では警告用の音声報知がスピーカ部29から出力されるように制御する一方で、差球数が特定個数以上となったことに基づく遊技停止状態では上記警告用の音声報知が出力されなかったり、上記警告用の音声報知に代えて差球数が特定個数以上となったことを祝福するような音声報知が出力されたりしてもよい。また、不正検知に基づく遊技停止状態と、差球数が特定個数以上となったことに基づく遊技停止状態とで、前扉枠14に設けられた各種ランプ部26~28の発光態様を異ならせてもよい。例えば、不正検知に基づく遊技停止状態では、エラー表示ランプ部27を用いて警告態様の発光制御(例えば赤色発光や点滅発光)が行われる一方で、差球数が特定個数以上となったことに基づく遊技停止状態では、エラー表示ランプ部27を発光させることなく、他のランプ部26,28を上記警告態様とは異なる態様で発光させる発光制御が行われてもよい。
【0562】
(18)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合に、パチンコ機10の電源OFF操作、電源ON操作が順に行われてパチンコ機10が再起動されることにより、その遊技停止状態が解除される構成としたが、遊技停止状態の解除にパチンコ機10の再起動を要しない構成としてもよい。例えば、差球数が特定個数以上となったことに基づいて一時的に遊技停止状態に移行する構成としてもよい。具体的には、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行し、主側RAM314に対する第2初期化処理(ステップS1801)又は第1初期化処理(ステップS104)と同様の初期化処理を行い、所定期間の経過後に遊技停止状態を解除して遊技の進行が可能な状態に移行する構成としたり、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行し、所定期間の経過後に自動的にパチンコ機10が再起動され、その電源遮断時又は復電時に遊技停止状態を解除するとともに、再起動時における電源遮断時又は復電時に主側RAM314に対する第2初期化処理(ステップS1801)又は第1初期化処理(ステップS104)と同様の初期化処理を行い、遊技の進行が可能な状態に移行する構成としたりしてもよい。その際、遊技停止中における少なくとも一部の期間を利用して、差球数が特定個数以上となったことに対応した所定報知を行うとよい。
【0563】
上記の場合において、不正検知に基づく遊技停止状態については、その解除を慎重に行うべく、差球数が特定個数以上となった場合とは異なる態様(条件)で遊技停止状態が解除されるとよい。例えば、ホール従業員の立ち合いの機会を確保すべく、上記第1の実施の形態や各変形例と同様に、パチンコ機10の電源OFF操作、電源ON操作が順に行われることで遊技停止状態が解除されたり、パチンコ機10の電源OFF操作の後、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われることで遊技停止状態が解除されたりする構成としてもよい。
【0564】
なお、差球数が特定個数以上となったことに基づいて移行した遊技停止状態の自動的な解除は、期間経過を条件として行われるものに限定されず、遊技停止状態への移行後における処理として設けられた所定処理が実行されたことを条件として行われるものであってもよい。また、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合に、パチンコ機10の外部からパチンコ機10に所定信号が出力されることで、遊技停止状態が解除されてもよい。
【0565】
(19)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合と、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行した場合とで、いずれもパチンコ機10を再起動することで遊技停止状態を解除することができ、解除操作を同じ態様としたが、異なる態様としてもよい。例えば、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合は、パチンコ機10を再起動することで遊技停止状態を解除することができる一方、不正検知に基づいて遊技停止状態に移行した場合は、パチンコ機10の電源OFF操作の後、リセットボタン166cを押圧操作しながらパチンコ機10の電源ON操作を行うと、遊技停止状態を解除することができる構成としてもよい。このように不正検知が行われた場合において遊技停止状態の解除に要する手間を多くすることで、遊技停止状態が不正に解除されて引き続き不正行為が行われることを抑制できる。
【0566】
(20)上記第1の実施の形態や各変形例において、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した場合に、日付や時刻の情報を参照してその遊技停止状態の解除を行う構成としてもよい。より詳しくは、差球数が特定個数以上となったことに基づいて遊技停止状態に移行した後、その解除に対応する操作が行われた場合において、日付や時刻の情報を参照し、当該解除を許容するか否かを判定する構成としてもよい。
【0567】
具体的な構成としては、パチンコ機10(より詳しくは主制御装置162)において、時刻情報や日付情報を出力する時計手段(例えば、RTC:リアルタイムクロック)を搭載した上で、主制御装置162のMPU312が、時計手段から出力される時刻情報や日付情報を参照して遊技停止状態の解除の可否を制御する構成が考えられる。すなわち、MPU312において、差球数が特定個数以上となったことに基づき遊技停止状態への移行を行った場合に、時計手段からの時刻情報や日付情報を参照して移行日時を把握し、主側RAM314等の情報記憶手段に記憶する。そして、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた後、解除操作としてのパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に、MPU312にて、時計手段から出力される時刻情報や日付情報を参照して電源ON操作が行われたときの解除日時を把握し、その解除日時が移行日時を基準として翌日以降である場合は解除を有効として遊技停止状態の解除を行う一方、解除日時が移行日時と同日である場合は解除を無効として遊技停止状態をしない構成とすることができる。
【0568】
このような構成であることにより、差球数が特定個数以上となって遊技停止状態に移行した場合、翌日にならなければ遊技を再開することができないこととなる。よって、特定個数を遊技ホールにおける1営業日当たりの上限差球数として機能させることができ、射幸性の過剰な高まりを好適に抑制することが可能になる。
【0569】
なお、上記構成において午前0時を跨いだことが把握できれば、翌日以降であることを認識できるため、必ずしも日付の把握までは必要とせず、時計手段としては時刻情報を出力するものであってもよい。
【0570】
また、上記の構成は、差球数の情報、各カウンタ502a~502eの情報、超過フラグの情報を消去する部分クリア用処理に適用してもよい。例えば、MPU312にて、部分クリア用処理を実行したときの実行日時を上記時計手段からの時刻情報等に基づいて把握して記憶するとともに、その後、パチンコ機10への電源投入が行われた場合に、その日時を上記記憶した実行日時と比較し、電源投入の日時が翌日以降に該当する場合は部分クリア用処理を実行し、該当しない場合は部分クリア用処理を実行しない構成とすることができる。
【0571】
(21)上記第1の実施の形態や各変形例において、取得された保留情報に対していわゆる保留先読み処理を実行し、その保留先読み処理により所定の結果(例えば大当たりに対応する先読み結果やリーチ表示に対応する先読み結果)が得られた場合に、保留先読み処理の対象となった遊技回よりも前の遊技回にて、図柄表示装置75等での所定の保留予告演出が行われてもよい。この場合、保留先読み処理は主制御装置162にて行うことができ、所定の保留予告演出が図柄表示装置75等にて実行されるように制御する処理は演出制御装置143にて行うことができる。
【0572】
すなわち、「予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162における保留情報の取得処理を実行する機能)と、前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(保留用エリアRE)と、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が、遊技者に特典を付与することに対応する付与対応結果に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162における当否判定処理を実行する機能)と、当該付与判定手段による付与判定の結果が、前記付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与可能な特典付与手段(主制御装置162における特電開始処理~特電終了処理を実行する機能)と、前記付与判定手段により付与判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記付与判定の判定結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段(主制御装置162における特図変動開始処理~特図確定中処理を実行する機能)と、前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記付与判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記付与判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定処理を実行する先特定手段(主制御装置162における保留先読み処理を実行する機能)と、前記先特定手段による特定結果が所定の特定結果であった場合に、当該先特定手段の特定対象となった特別情報に係る遊技回よりも前に行われている遊技回にて、前記先特定手段の特定結果に対応した特定報知(保留予告演出)を行う特定報知手段(演出制御装置143における保留予告演出の実行制御を行う機能)と、を備えている」構成を備えてもよい。
【0573】
さらに、上記構成において保留予告演出の態様として複数種類の態様を備え、それら複数種類の態様のうちいずれの態様で保留予告演出を実行するかを、導出された差球数を参照(加味)して設定する構成を備えてもよい。例えば、保留予告演出として保留画像の表示色により大当たりの期待度等を示唆する演出が実行されるとともに、その保留画像の表示色として通常色(例えば白色)、青色、黄色、緑色、赤色が設けられた場合(通常色<青色<緑色<赤色の順で大当たりの期待度が高い)において、差球数が所定個数(例えば95000個)未満の状況では、保留先読み処理により上記所定の結果が特定された場合に、保留予告演出での保留画像の表示色として青色から赤色までの4色のうちからいずれかの表示色を設定することができ、差球数が上記所定個数以上の状況では、上位色である緑色及び赤色での表示が規制され、下位色である青色及び黄色の2色のうちからいずれかの表示色を設定することができる構成とすることができる。また、差球数が上記所定個数以上の状況では、保留先読み処理の結果にかかわらず保留予告演出が行われないように規制したり、差球数が上記所定個数未満である場合よりも保留予告演出の実行頻度(実行確率)が低くなったりする構成としてもよい。これらの構成によれば、差球数が特定個数以上となることで遊技停止状態に移行する時期が近づいている状況で、遊技者に過剰な期待感を抱かせないようにすることができる。
【0574】
なお、上記の場合において、上記第1の実施の形態や各変形例のように、主制御装置162からの差球数コマンドにより演出制御装置143が都度の差球数を把握できる場合は、演出制御装置143にて差球数が上記所定個数以上であるか否かを判定し、その結果に基づいて保留予告演出の実行態様を制御すればよい。一方、演出制御装置143が都度の差球数を把握できない場合は、主制御装置162にて差球数が上記所定個数以上であるか否かを判定するとともに、上記所定個数以上となった場合に所定コマンドを出力し、演出制御装置143では、その所定コマンドに基づいて保留予告演出の実行態様を制御すればよい。
【0575】
(22)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となった場合に主制御装置162から演出制御装置143に超過コマンドを出力し、演出制御装置143では、当該コマンドを受信することに応じて、差球数が特定個数以上となったことに対応した報知画像等を図柄表示装置75等にて表示するが、演出制御装置143にて差球数が特定個数以上となった否かの判定を行い、その結果に基づいて上記報知画像等を表示してもよい。なお、演出制御装置143での都度の差球数の把握は、主制御装置162から出力される差球数コマンドに基づいて行うことができる。
【0576】
また、上記の場合において、演出制御装置143にて差球数が特定個数よりも少ない所定個数(例えば99000個)以上となったか否かを判定し、例えば「もうすぐ出玉上限に到達して停止状態になります。注意して下さい。」などの事前報知を行う構成としてもよい。また、演出制御装置143にて差球数の増加量が所定の個数(例えば10000個)に到達したか否かを判定し、例えば「10000個に達しました。」、「20000個に達しました。」などの報知を行う構成としてもよい。このような構成によれば、それらの報知タイミングの都度、主制御装置162からコマンドを出力する必要がないため、主制御装置162における処理負荷の増大を抑制しながら、差球数に関する報知を充実させることが可能になる。
【0577】
(23)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となっている状態でパチンコ機10の電源OFF操作が行われ、その後、電源ON操作が行われた場合に、設定値及び賞球情報を除いて特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする第2初期化処理を実行したが、上記の場合において第2初期化処理を実行しない構成としてもよい。すなわち、差球数が特定個数以上となった場合において、特定制御用のワークエリア391に対する自動的な初期化が行われず、差球数が特定個数未満である場合と同様の態様でパチンコ機10が起動される構成としてもよい。
【0578】
(24)上記第1の実施の形態や各変形例では、第2初期化処理において、特定制御用のワークエリア391に記憶される情報のうち設定値及び賞球情報を除く全ての情報を消去したが、設定値及び賞球情報以外の情報においてその一部を消去する構成としてもよい。例えば、(a)設定値及び賞球情報以外の情報のうち、大当たり当選に対応する情報、開閉実行モードの実行中に対応する情報を消去する、(b)設定値及び賞球情報以外の情報のうち、大当たり当選に対応する情報、開閉実行モードの実行中に対する情報、高確率モード中であることに対応する情報、大当たり種別に対応する情報(確変大当たりに当選した場合に記憶されるものであって、開閉実行モードの終了後に高確率モードに移行すべきであることに対応する情報)を消去する、(c)設定値及び賞球情報以外の情報のうち、高確率モード中であることに対応する情報、大当たり種別に対応する情報を消去するなどの構成としてもよい。
【0579】
上記(a)の構成によれば、開閉実行モードの途中で差球数が特定個数以上となった場合に、開閉実行モードが継続されない状態で遊技を再開させることができ、また、上記(b)、(c)の構成によれば、連荘期間中に差球数が特定個数以上となった場合に、連荘期間を終了させた状態で遊技を再開させることができる。
【0580】
(25)上記第1の実施の形態や各変形例では、差球数が特定個数以上となっている状態でパチンコ機10の電源OFF操作が行われ、その後、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われると、賞球情報が消去される第1初期化処理が実行されるが、賞球情報が消去されない第2初期化処理が実行される構成としてもよい。すなわち、差球数が特定個数以上となっている状況でパチンコ機10が再起動された場合、リセットボタン166cの押圧操作の有無にかかわらず、第2初期化処理が実行される構成としてもよい。
【0581】
(26)上記第1の実施の形態や各変形例では、部分クリア用処理において、差球数の情報、各カウンタ502a~502eの情報、超過フラグの情報を消去したが、これらの一部が消去される構成としてもよい。例えば、超過フラグの情報のみが消去される構成としてもよい。この際、差球数の情報や各カウンタ502a~502eの情報については、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に消去される構成としてもよい。
【0582】
(27)上記第1の実施の形態や各変形例では、リセットボタン166cの押圧操作の有無にかかわらず、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた後、パチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に、非特定制御用のワークエリア393に記憶された差球数の情報を消去する部分クリア用処理を実行したが、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた後、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に、上記部分クリア用処理を実行してもよい。すなわち、パチンコ機10への電源投入時の操作態様によって部分クリア用処理の有無が切り換えられる構成としてもよい。
【0583】
(28)上記第1の実施の形態や各変形例では、部分クリア用処理をメイン処理の中で実行したが、タイマ割込み処理の中で実行してもよい。この場合、パチンコ機10の電源ON操作が行われた場合における初回目のタイマ割込み処理の実行に際して、遊技の進行を制御するためのステップS409~ステップS419の処理が行われる前に部分クリア用処理が行われる構成とするとよい。
【0584】
(29)上記第1の実施の形態や各変形例において、所定操作が行われた場合に非特定制御用のワークエリア393及び非特定制御用のスタックエリア394を「0」クリアする処理(初期化する処理)が実行されてもよい。例えば、リセットボタン166cが押圧操作されながらパチンコ機10の電源ON操作が行われた場合に、上記ワークエリア393及びスタックエリア394を「0」クリアする処理が実行されてもよい。
【0585】
(30)上記第1の実施の形態の変形例2において、差球数が特定個数以上となっている状態でパチンコ機10の電源OFF操作が行われた場合に、設定値及び賞球情報を除いて特定制御用のワークエリア391を「0」クリアする第2初期化処理(ステップS1802)が実行される構成としてもよい。この場合、停電フラグの情報は初期化の対象外とする。
【0586】
(31)上記第1の実施の形態の変形例2では、パチンコ機10の電源OFF操作が行われた場合に電断時クリア用処理(ステップS3110)を実行して差球数の情報、各カウンタ502a~502eの情報、超過フラグの情報を消去したが、これらの情報を電源遮断時におけるバックアップの対象外とする構成としてもよい。すなわち、MPU312への動作電力の供給が停止されることにより、それらの情報が自然と消去される構成としてもよい。
【0587】
(32)上記第1の実施の形態や各変形例では、第1作動口62への入賞に基づく保留情報が4個を上限として記憶される構成としたが、4個未満であってもよいし(1個であってもよい)、5個以上であってもよい。また、第2作動口63への入賞に基づく保留情報の上限記憶数についても、4個未満であってもよいし(1個であってもよい)、5個以上であってもよい。また、各作動口62,63への入賞に基づく保留情報の上限記憶数が相違する構成としてもよい。
【0588】
(33)上記第1の実施の形態や各変形例では、第1作動口62及び第2作動口63への入賞に基づく保留情報が区別される構成としたが、区別されない構成としてもよい。また、第2作動口63への入賞に基づく保留情報のほうが、第1作動口62への入賞に基づく保留情報よりも優先して当否判定の対象となる構成としたが、その関係が逆であったり、入賞順に当否判定が行われたりする構成であってもよい。
【0589】
(34)上記第1の実施の形態や各変形例では、右ルートを流下する遊技球のみがスルーゲート64、第2作動口63を通過又は入賞可能となる構成としたが、左ルートを流下する遊技球のみが通過又は入賞可能となる構成としてもよいし、右ルートと左ルートのいずれからでも通過又は入賞可能となる構成としてもよい。但し、遊技のメリハリを付ける上では、右ルートと左ルートの一方を流下する遊技球のみが第1作動口62に入賞可能となり、右ルートと左ルートの他方を流下する遊技球のみがスルーゲート64、第2作動口63を通過又は入賞可能となる構成とするとよい。
【0590】
(35)上記第1の実施の形態や各変形例では、当否判定の結果が大当たり結果となることにより大当たり遊技(開閉実行モード)に移行する構成としたが、いわゆる1種2種混合機のように、当否判定の結果が小当たり結果となり、小当たり遊技(内部にV入賞口を有する又はV入賞口及び外れ口を有する可変入賞装置が開閉される遊技状態)においてV入賞口(V入賞センサ)を遊技球が通過した場合(付与判定の結果が所定結果となり、所定の遊技結果となった場合)に大当たり遊技に移行する構成としてもよい。
【0591】
(36)上記第1の実施の形態や各変形例では、図柄表示装置75の表示画面Gにて変動表示される図柄が左右方向にスクロールする構成としたが、左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示される構成としてもよい。すなわち、図柄の並び方向やスクロール方向は特に限定されるものではない。また、図柄の数(図柄列の列数)についても3個に限定されるものではなく、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0592】
(37)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
【0593】
また、所定個数の遊技球がパチンコ機内に収容され、それらの遊技球をパチンコ機内で循環させて使用することにより、従来の払出装置を有しておらず、遊技者へ直接的に遊技球の貸し出しや払い出しを行わずに、遊技者の持ち球を数値化して持ち球情報(遊技価値)として扱う管理遊技機(封入式遊技機、封入式パチンコ機)にも本発明を適用できる。この遊技機では、上記持ち球情報を遊技機又は球貸し装置に設けられた情報記憶手段に記憶可能となっており、その記憶された持ち球情報に基づき、遊技者の持ち球個数を示す数値が所定の表示部に表示される。そして、貸球操作が行われた場合は、貸球数に対応する数値が持ち球情報に加算され、遊技球発射機構により遊技球(循環球)が発射された場合は、発射球数に対応する数値が持ち球情報から減算され、遊技球が遊技領域に設けられた所定入賞口に入賞した場合は、賞球数に対応する数値が持ち球情報に加算される。また、遊技機に設けられた所定の操作手段(例えば返却ボタン)が操作されることで、持ち球情報が所定のカード型記憶媒体(携帯式記憶媒体)に書き込まれるとともに、そのカード型記憶媒体が遊技機又は球貸し装置から取り出し可能となり、これにより、持ち球分に相当する遊技価値を遊技機外部に持ち出すことが可能になる。
【0594】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。この場合、差球数に代えて差枚数を導出するとともに、その差枚数を予め定められた特定枚数(例えば20000枚)と比較し、差枚数が特定枚数以上となったか否かを判定する構成とすればよい。この際、差枚数としては、メダルの合計払出枚数からベットしたメダル数(賭数)の合計枚数を減算して導出することができる。
【0595】
また、上記スロットマシンにおいて、実際のメダルを遊技者に使用させず(換言すれば、実際のメダルを用いることなく遊技を行うことが可能であり)、クレジットに記憶されたメダル枚数に基づく電子的な情報に基づいて遊技を行うメダルレススロットマシンにも本発明を適用できる。メダルレススロットマシンでは、遊技者の持ちメダルが数値化されてクレジット情報(遊技価値、持ちメダル情報)として扱われ、そのクレジット情報が遊技機又はメダル貸し装置に設けられた情報記憶手段に記憶される。そして、貸メダル操作が行われた場合は、貸メダル枚数に対応する数値がクレジット情報に加算され、ベットボタンによりベットが行われた場合はそのベット数に対応する数値がクレジット情報から減算され、上記有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立した場合は、当選役(入賞役)に対応して払い出されるメダル枚数に対応する数値がクレジット情報に加算される。
【0596】
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
【0597】
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0598】
下記の特徴A群~特徴C群に記載された発明は、「遊技機としてパチンコ遊技機やスロットマシンなどが知られている。例えば、パチンコ遊技機では、遊技者の発射操作に応じて遊技領域に向けて遊技球が発射され、例えば遊技領域に設けられた入球部に遊技球が入球した場合に賞球等の遊技価値の付与が行われる(例えば特開2004-81853号公報)。また、スロットマシンでは、スタートレバーの操作により抽選処理が実行されるとともにリールの回転が開始され、当該リールの回転中にストップボタンが操作されることによりリールの回転が停止される。そして、リールの回転停止後の停止結果が抽選処理の当選役に対応したものである場合には、当該当選役に対応した遊技価値が遊技者に付与される。」という背景技術について、「ここで、上記例示したような遊技機等においては、遊技機を好適に動作させる上で未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0599】
<特徴A群>
特徴A1.情報の記憶保持に電力の供給を要する情報記憶手段(主側RAM314)と、
前記情報記憶手段に所定情報(差球数の情報、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502eの値、超過フラグ、差枚数の情報等)が記憶されている状況において前記所定情報に基づいて特定制御を実行することが可能な手段(主制御装置162における超過判定用処理、遊技停止判定用処理を実行する機能)と、
動作電力(外部電力)の供給が停止されている状況において情報を記憶保持するための保持用電力(バックアップ電力)が前記情報記憶手段に供給され、当該情報記憶手段において情報が記憶保持されることを可能とする手段(停電監視部315からのバックアップ電力により主側RAM314に記憶された情報をバックアップする機能)と、
動作電力の供給が開始された場合に前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去されるようにする又は前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去されている状態で動作電力の供給が開始されるようにすることが可能な特定手段(第1の実施の形態や変形例1の主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能、変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0600】
上記構成では、動作電力の供給が停止されると、保持用電力が情報記憶手段に供給され、当該情報記憶手段に記憶された情報の保持が図られる。その一方で、所定情報については、動作電力の供給が開始された場合に情報記憶手段から消去されるか、動作電力の供給の開始前に当該所定情報が消去された状態となっていることにより、情報記憶手段に所定情報が記憶されていない状態で遊技機が立ち上がるように構成されている。この所定情報は特定制御の実行に利用されるものであるところ、例えば、前日の遊技にて記憶された所定情報により特定制御が行われることを抑制したい場合に、遊技ホールにて開店前に遊技機の電源を投入することで、それを好適に実現することができ、遊技機の動作を好適化することが可能になる。
【0601】
なお、本特徴において「動作電力の供給が開始された場合に前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去される」は、必ずしも、動作電力の供給が開始されたのと同時や当該供給が開始された直後に所定情報の消去が行われる構成である必要はなく、当該供給の開始に基づくものであれば、当該開始から所定期間の経過後に所定情報の消去が行われる構成であってもよい。そのような意味では「動作電力の供給が開始された場合」について「動作電力の供給の開始より後」と読み替えることができるし、「動作電力の供給が開始された場合」について「動作電力の供給の開始より後」を含む概念であると解することができる。
【0602】
特徴A2.動作電力の供給が開始された場合において前記所定情報を消去するための操作を要することなく、前記特定手段により前記所定情報が消去されることを可能とする手段(主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0603】
例えば、所定情報の消去に電源投入とは別の専用操作を要する構成である場合は、遊技ホールに設置された各遊技機について1台ずつ所定情報の消去操作を行う必要があり、ホール従業員にとって非常に手間のかかる作業となるおそれがある。この点、本特徴によれば、遊技機への電源投入に伴い自然と所定情報が消去されるため、当該消去に要する手間を大きく減らすことができる。特に遊技ホールでは、島設備の電源を投入することで当該島設備に設置された複数の遊技機に一括して電源を投入し得るため、1の操作により複数の遊技機についてまとめて所定情報を消去することができ、所定情報の効率的な消去を行うことが可能になる。
【0604】
特徴A3.遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象(一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への入球等)の発生に基づいて前記所定情報を導出する手段(主制御装置162における超過判定用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
【0605】
上記構成では、遊技が実行されることにより生じる所定事象に基づいて所定情報が導出されるため、所定情報に遊技の実績が反映される。そして、このような所定情報の消去が遊技機への電源投入を契機に行われるため、特定制御の実行に前日の遊技実績が影響することを好適に抑制することが可能となる。
【0606】
特徴A4.予め定められた付与契機(一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65への入球等)が成立した場合に所定の遊技価値が付与されるように制御する手段(払出制御装置181におけるステップS906~ステップS908を実行する機能等)を備え、
前記所定事象は、前記所定の遊技価値の付与又は前記付与契機の成立であることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
【0607】
上記構成では、所定事象が遊技価値の付与又はその実行契機の成立であるため、遊技価値の獲得状況が反映された所定情報が導出される。そして、このような所定情報の消去が遊技機への電源投入を契機に行われるため、特定制御の実行に前日の遊技における遊技価値の獲得状況が影響することを好適に抑制することが可能となる。
【0608】
特徴A5.前記情報記憶手段には、遊技が実行されることにより所定事象が発生した場合にそれに対応する遊技の履歴情報が記憶される履歴情報領域(差球数用エリア504e、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502e)が設けられており、
前記所定情報は、前記履歴情報領域に記憶される前記履歴情報である又は前記履歴情報に基づいて導出されるものであることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれかに記載の遊技機。
【0609】
上記構成によれば、所定事象が発生した場合に、それに対応する履歴情報が履歴記憶手段にて記憶される。これにより、所定事象の発生回数又は発生頻度を管理するための情報を遊技機にて記憶保持することが可能となり、この管理されている情報を利用することで所定事象の発生頻度の管理を好適に行うことが可能となる。また、所定情報がそのようにして管理される所定事象の発生頻度を示す履歴情報であるか、又はその履歴情報を利用して導出される情報であるかのいずれかとなっており、そのような所定情報の消去が遊技機への電源投入を契機に行われるため、前日になされた遊技の実績が特定制御の実行に影響することを好適に抑制することが可能となる。
【0610】
特徴A6.予め定められた特定契機(差球数が特定個数以上となること)の成立に基づいて前記特定制御が実行され得るように構成されており、
前記所定情報は、前記特定契機の成立に対応した特定の情報(超過フラグ)であることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれかに記載の遊技機。
【0611】
上記構成では、所定情報により特定制御を実行すべきことが示され、そのような所定情報の消去が遊技機への電源投入を契機に行われるため、特定制御が実行された場合に遊技機の電源遮断操作を行い、その後、電源投入操作を行うことで、特定制御の実行状態が解除される。よって、当該解除にホール従業員の立ち合いが不可欠となり、特定制御の実行状態が遊技者によって解除されないようにすることができる。
【0612】
なお、本特徴において「前記所定情報は、前記特定契機の成立に対応した特定の情報(超過フラグ)である」は、「前記所定情報は、当該遊技機が前記特定契機の成立を把握するのに利用する特定の情報(超過フラグ)である」と読み替えることができる。
【0613】
特徴A7.前記特定手段は、動作電力の供給が開始された場合において、遊技の進行を制御するための進行対応処理(タイマ割込み処理のステップS409~S419)が実行されるよりも前に前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去されるようにする手段(メイン処理においてステップS115の部分クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A6のいずれかに記載の遊技機。
【0614】
上記構成では、遊技機への電源が投入された場合に、所定情報の消去処理が実行されてから進行対応処理が実行されるため、前日の所定情報が消去された状態で遊技の進行を開始させることができる。これにより、前日の所定情報を引き継いで、遊技進行の開始前や開始後の早期に特定制御が行われることが回避され、特定制御の影響を受けて遊技の進行が適切に行われなくなることを抑制できる。
【0615】
特徴A8.動作電力の供給が開始された場合に供給開始時処理を実行する手段(主制御装置162におけるメイン処理を実行する機能)を備え、
前記供給開始時処理に、前記特定手段による前記所定情報の消去処理(ステップS115の部分クリア用処理)が含まれることを特徴とする特徴A1乃至特徴A7のいずれかに記載の遊技機。
【0616】
上記構成では、動作電力の供給が開始されることに応じて実行される供給開始時処理の中で所定情報が消去されるため、前日の所定情報が残ったままの状態で進行対応処理が実行されることを好適に抑制することができる。これにより、前日の所定情報を引き継いで、遊技進行の開始前や開始後の早期に特定制御が行われることが回避され、特定制御の影響を受けて遊技の進行が適切に行われなくなることを抑制できる。
【0617】
特徴A9.定期的に起動される割込み処理を実行する手段(主制御装置162におけるタイマ割込み処理を実行する機能)を備え、
遊技の進行を制御するために実行される進行対応処理(主制御装置162におけるステップS409~ステップS419)が前記割込み処理に含まれており、
動作電力の供給が開始されて前記供給開始時処理が実行される場合において、前記消去処理の実行より後に前記割込み処理の割込みが許容されるように構成されている(メイン処理において、タイマ割込み処理の割込みが禁止された状態でステップS101~ステップS116の処理が実行される構成)ことを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
【0618】
上記構成では、供給開始時処理の中で所定情報の消去処理が実行される場合において、遊技の進行を制御するための進行対応処理が定期的に起動される割込み処理として実行され、供給開始時処理において上記消去処理が行われた後に上記割込み処理の割込みが許容されるため、所定情報を消去してから進行対応処理を起動させることができる。これにより、前日の所定情報を引き継いだ状態で進行対応処理が開始されることを確実に回避することができ、特定制御の影響を受けて遊技の進行が遊技の進行が適切に行われなくなることを好適に抑制することが可能になる。
【0619】
特徴A10.動作電力の供給が停止されている状況において、前記所定情報としての第1所定情報と、当該第1所定情報とは異なる第2所定情報(ベース値の情報、ベース値用カウンタエリア501の各カウンタ501a~501cの値、遊技の進行を制御するための処理に用いる情報等)とが前記情報記憶手段に記憶されている状態で前記保持用電力が前記情報記憶手段に供給され、前記情報記憶手段において前記第1所定情報と前記第2所定情報とが記憶保持されるようにすることを可能とする手段(停電監視部315からのバックアップ電力により主側RAM314に記憶された情報をバックアップする機能)を備え、
前記特定手段は、動作電力の供給が開始された場合に、前記情報記憶手段に前記第2所定情報が記憶保持されたまま、前記第1所定情報が消去されるようにする、又は前記情報記憶手段にて前記第2所定情報が記憶保持され且つ前記所定情報が消去されている状態で動作電力の供給が開始されるようにする手段(第1の実施の形態や変形例1の主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能、変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A9のいずれかに記載の遊技機。
【0620】
上記構成では、情報記憶手段に第1所定情報と第2所定情報とが記憶されている状況で動作電力の供給が停止され、その後、動作電力の供給が開始された場合に、第2所定情報については情報記憶手段に残しつつ、第1所定情報については情報記憶手段から消去された状態で遊技機を起動させることができる。これにより、第2所定情報に対する電源遮断からの保護を適切に図りつつ、第1所定情報の消去により、特定制御の実行に前日の遊技実績が影響することを好適に抑制することが可能になる。
【0621】
特徴A11.各種処理を実行する制御手段(MPU312)を備え、
当該制御手段は、
前記各種処理のうち第1所定処理を実行する第1所定処理実行手段(主制御装置162におけるステップS401~ステップS419の処理を実行する機能)と、
前記各種処理のうち第2所定処理を実行する第2所定処理実行手段(主制御装置162におけるステップS1103~ステップS1105、ステップS2103~ステップS2106、ステップS3303~ステップS3306の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記情報記憶手段には、前記第1所定処理が実行される場合に情報が記憶される第1所定記憶領域(特定制御用のワークエリア391)と、前記第2所定処理が実行される場合に情報が記憶される第2所定記憶領域(非特定制御用のワークエリア393)とが設けられており、
前記第2所定記憶領域には前記所定情報が記憶される特定領域(差球数用エリア504e、差球数用カウンタエリア502、差球数用エリア601)が含まれており、
前記第2所定処理実行手段は、前記特定手段として、動作電力の供給が開始された場合において、前記第2所定記憶領域に対して少なくとも前記特定領域を含む領域の情報が消去されるようにする又は前記第2所定記憶領域に対して少なくとも前記特定領域を含む領域の情報が消去されている状態で動作電力の供給が開始されるようにする手段(第1の実施の形態や変形例1の主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能、変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A10のいずれかに記載の遊技機。
【0622】
上記構成によれば、第1所定記憶領域と第2所定記憶領域とが設けられており、第1所定記憶領域が第1所定処理の専用の記憶領域として扱われるとともに、第2所定記憶領域が第2所定処理の専用の記憶領域として扱われる。これにより、第1所定処理と第2所定処理とで情報記憶手段における情報の記憶先を明確に相違させることが可能となる。よって、第1所定処理及び第2所定処理のうち一方の処理の実行に際して他方の処理において利用される情報が消去されてしまわないようにすることが可能となる。
【0623】
また、特定制御の実行に用いられる所定情報が記憶される特定領域の情報が動作電力の供給が開始された場合に消去される又は動作電力の供給の開始前に特定領域の情報が消去された状態となっているように、第2所定記憶領域に対して処理が行われるため、例えば、前日の遊技にて記憶された所定情報により特定制御が行われることを抑制したい場合に、遊技ホールの開店前に遊技機の電源を投入することで、それを好適に実現することができる。
【0624】
その際、上記のとおり、第1所定処理及び第2所定処理のうち一方の処理の実行に際して他方の処理において利用される情報が消去されることが回避されていることにより、第2所定領域に含まれる特定領域の情報を消去するに際して、第1所定領域に記憶される他の情報が消去されてしまうことを抑制することができる。つまり、動作電力の供給の停止から開始までの流れの中で、記憶保持すべき他の情報の保護に影響が及ぶことを回避しながら、特定制御の実行に用いる所定情報の消去を好適に行うことができる。
【0625】
特徴A12.前記特定制御にて実行される処理には、所定の遊技の進行が制限される特定状態(遊技停止状態)への移行に対応した特定処理(主制御装置162におけるステップS407)が含まれることを特徴とする特徴A1乃至特徴A11のいずれかに記載の遊技機。
【0626】
上記構成では、特定制御が実行されることにより、その後の遊技の進行が制限される制限状態に移行する。このような構成に対して上記特徴A1から特徴A11のいずれかの構成を適用することで、前日の遊技実績が上記制限状態への移行に影響し、現在の遊技者により行われている遊技が過剰に制限されてしまうことを抑制できる。
【0627】
特徴A13.前記特定手段は、前記情報記憶手段に前記所定情報が記憶されている状態で動作電力の供給が停止された場合に前記所定情報が消去されることを可能とする手段(変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0628】
上記構成では、動作電力の供給が停止されることにより情報記憶手段に記憶された所定情報が消去されるため、動作電力の供給が開始された場合に所定情報が消去されている状態で遊技機を起動させることができる。また、動作電力の供給が停止されたときに所定情報の消去が行われるため、動作電力の供給の開始に際して消去処理を行う必要がなく、当該開始を契機として実行される遊技機の起動用処理の負荷を軽減することができる。これにより、遊技機の起動時間を短縮し、遊技者に早く遊技を再開させることが可能になる。
【0629】
特徴A14.動作電力の供給が停止された場合において前記所定情報を消去するための操作を要することなく、前記特定手段により前記所定情報が消去されることを可能とする手段(変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A13に記載の遊技機。
【0630】
上記構成では、情報記憶手段に記憶された所定情報の消去に電源遮断とは別の専用操作を要しないため、遊技ホールの閉店に伴う電源遮断により所定情報が自然と消去され、当該消去に要する手間を大きく減らすことができる。特に遊技ホールでは島設備に複数の遊技機が設置され、島設備の電源を遮断することで当該島設備に設置された複数の遊技機に対して一括して電源遮断を行い得るため、1の操作により複数の遊技機についてまとめて所定情報を消去することができ、所定情報の効率的な消去を行うことが可能になる。
【0631】
なお、上記特徴A1乃至特徴A14の各構成に対して、特徴A1乃至特徴A14、特徴B1乃至特徴B11、特徴C1乃至特徴C7のいずれか1の構成にて示した技術的思想をそれぞれ個別に適用することも可能であるし、それぞれの技術的思想の一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。各技術的思想を組み合わせて適用する場合、特徴群を跨いで組み合わせることも可能である。
【0632】
<特徴B群>
特徴B1.遊技の進行に関する所定処理(主制御装置162によるステップS409~ステップS419)を実行する制御手段(主制御装置162)を備えた遊技機において、
前記所定処理を実行する上で用いられる情報が記憶される所定領域(特定制御用のワークエリア391、特定制御用のスタックエリア392)を有する情報記憶手段(主側RAM314)と、
前記所定領域における情報の記憶状況が第1状況(ステップS409~ステップS419で用いる各種情報が記憶された状況)である状態で第1所定条件(差球数が特定個数以上になること、判定用差球数が特定個数以上になること)が成立した場合に、少なくとも前記第1状況が引き継がれた状態での遊技の進行が制限されるようにする第1手段(主制御装置162における遊技停止判定用処理により遊技停止状態に移行する機能)と、
前記第1手段による遊技の進行の制限より後、前記第1所定条件とは異なる第2所定条件(パチンコ機10の電源ON操作を行うこと)が成立した場合に、前記第1状況が引き継がれた状態で又は前記所定領域における情報の記憶状況が前記第1状況とは異なる第2状況(第2初期化処理が行われた状況)とされた状態で遊技の進行が許容されるようにする第2手段(主制御装置162における電源投入設定処理により遊技停止状態を解除しつつ、部分クリア用処理により差球数の情報等を消去する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0633】
上記構成では、情報記憶手段の所定領域への情報の書き込みや当該所定領域からの情報の読み出しを利用して遊技の進行に関する制御処理が行われる遊技機において、第1所定条件が成立すると、上記所定領域における情報の記憶状況を引き継いだ状態での遊技の進行が制限される。このため、第1所定条件が成立した状態で遊技が継続されることを抑制したい場合に、それを好適に実現することができる。また、そのような制限状態である状況で第2所定条件が成立すると、所定領域の情報の記憶状況を引き継いだ状態で又は記憶状況を異ならせた状態で制限状態が解除され、遊技の進行が許容される。このため、ホール従業員の行為により第2所定条件が成立する構成とすれば、第1所定条件の成立により移行した制限状態をホール従業員の立ち合いの下で解除し、遊技を再開させることができる。
【0634】
特徴B2.遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象の発生に基づいて前記第1所定条件が成立し得るように構成されていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0635】
上記構成では、遊技が実行されることにより生じる所定事象に基づいて第1所定条件が成立するため、遊技進行の制限状態への移行が遊技の実績に応じて行われる。このため、例えば、遊技機設計者の想定以上の実績が生じたときに遊技の進行を制限したい場合に、それを好適に実現することができる。
【0636】
特徴B3.予め定められた付与契機(一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65への入球等)の成立に基づいて所定の遊技価値が付与されるように制御する手段(主制御装置162におけるステップS417、ステップS418の処理を実行する機能、払出制御装置181におけるステップS906~ステップS908の処理を実行する機能)を備え、
前記所定事象は、前記所定の遊技価値の付与又は前記付与契機の成立であることを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
【0637】
上記構成では、所定事象が遊技価値の付与又はその実行契機の成立であり、それらの発生状況に基づいて第1所定条件が成立するため、遊技進行の制限状態への移行が遊技価値の獲得実績に応じて行われる。このため、実際の遊技において遊技価値が過剰に獲得されることを抑制したい場合にそれを好適に実現することができる。
【0638】
特徴B4.前記情報記憶手段には、遊技が実行されることにより所定事象が発生した場合にそれに対応する遊技の履歴情報が記憶される履歴情報領域(差球数用エリア504e、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502e)が設けられており、
前記履歴情報に基づいて前記第1所定条件が成立し得るように構成されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B3のいずれかに記載の遊技機。
【0639】
上記構成によれば、所定事象が発生した場合に、それに対応する履歴情報が履歴記憶手段に記憶される。これにより、所定事象の発生回数又は発生頻度を管理するための情報を遊技機にて記憶保持することが可能となり、この管理されている情報を利用することで所定事象の発生頻度の管理を好適に行うことが可能となる。また、そのようにして管理される所定事象の発生頻度に基づいて第1所定条件が成立するため、遊技の実績に応じて遊技進行の制限状態に移行させることができる。
【0640】
特徴B5.第1所定処理を実行する第1所定処理実行手段(主制御装置162におけるステップS401~ステップS419の処理を実行する機能)と、
前記第1所定処理とは異なる第2所定処理を実行する第2所定処理実行手段(主制御装置162におけるステップS1103~ステップS1105、ステップS2103~ステップS2106、ステップS3303~ステップS3306の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記情報記憶手段には、前記第1所定処理が実行される場合に情報が記憶される第1所定記憶領域(特定制御用のワークエリア391)と、前記第2所定処理が実行される場合に情報が記憶される第2所定記憶領域(非特定制御用のワークエリア393)とが設けられており、
前記第1所定処理に前記所定処理が含まれており、
前記第1所定記憶領域に前記所定領域が含まれており、
前記第2所定記憶領域に記憶される特定情報(差球数の情報、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502eの値、超過フラグ、差枚数の情報等)に基づいて前記第1所定条件が成立することを可能とする手段(主制御装置162における超過判定用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B4のいずれかに記載の遊技機。
【0641】
上記構成では、情報記憶手段に記憶される特定情報に基づいて第1所定条件が成立するところ、遊技の進行を制御する処理の実行に際して、その特定情報の内容が誤って書き換えられたりすると、第1所定条件の成立が適切に行われなくなってしまうおそれがある。この点、本特徴では、情報記憶手段に第1所定記憶領域と第2所定記憶領域とが設けられており、第1所定記憶領域が、遊技の進行を制御する第1所定処理の専用の記憶領域として扱われるとともに、特定情報が記憶される第2所定記憶領域が第2所定処理の専用の記憶領域として扱われる。これにより、第1所定処理の実行に際して特定情報が書き換えられてしまわないようにすることができ、延いては第1所定条件を適切に成立させ、制限状態への移行制御を適切に行わせることが可能になる。
【0642】
特徴B6.操作可能な所定操作手段(電源スイッチ、リセットボタン166c)を備え、前記第2所定条件の成立に当該所定操作手段の操作を要するように構成されており、
遊技機前方へ開閉可能な遊技機構成体(内枠13)を備え、
前記遊技機構成体を遊技機前方へ開放した場合に前記所定操作手段を操作可能な位置に、前記所定操作手段が配置されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B5のいずれかに記載の遊技機。
【0643】
上記構成では、所定操作手段を操作しなければ第2所定条件が成立しないように構成されているとともに、その所定操作手段が遊技機構成体を遊技機前方に開放させないと操作できない位置に配置されている。この場合、ホール従業員でなければ所定操作手段の操作を行うことができず、制限状態の解除にホール従業員の立ち合いを不可欠とすることができる。よって、遊技者によって制限状態が解除されないようにすることができる。
【0644】
特徴B7.前記制御手段への動作電力の供給が停止される第1状態より後、前記制御手段の動作電力の供給が開始される第2状態となった場合に前記第2所定条件が成立することを可能とする手段(主制御装置162におけるステップS113の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B6のいずれかに記載の遊技機。
【0645】
上記構成では、遊技機の電源遮断操作と電源投入操作とが順番に行われることにより、制限状態を解除するための第2所定条件が成立するため、遊技ホールの従業員のみが第2所定条件を成立させることが可能になる。よって、制限状態の解除にホール従業員の立ち合いが不可欠となり、遊技者によって制限状態が解除されないようにすることができる。
【0646】
特徴B8.遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象の発生に基づいて前記情報記憶手段に所定情報(差球数の情報、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502eの値、超過フラグ、差枚数の情報等)を記憶する手段(主制御装置162における超過判定用処理を実行する機能)を備え、前記情報記憶手段に記憶された前記所定情報に基づいて前記第1所定条件が成立する又は前記第1所定条件の成立有無が判定されるように構成されており、
前記情報記憶手段に前記所定情報が記憶されている状況で前記第1状態となった場合において、当該第1状態より後、前記第2状態となった場合に前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去されるようにする又は前記情報記憶手段にて前記所定情報が消去されている状態で前記第2状態となるようにすることが可能な手段(第1の実施の形態や変形例1の主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能、変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B7に記載の遊技機。
【0647】
上記構成では、情報記憶手段に記憶される所定情報に基づいて第1所定条件が成立して制限状態への移行が行われるとともに、情報記憶手段に所定情報が記憶されている状況で制御手段への動作電力の供給が停止された場合に、その後、動作電力の供給が開始されることで所定情報が消去されるか、動作電力の供給の開始前に所定情報が消去された状態となっているように構成される。これにより、遊技機への電源投入操作が行われることにより、制限状態の解除を行うと同時に第1所定条件の成立状態を初期化して遊技機を起動させることができ、ホール従業員の手間を好適に軽減することが可能になる。
【0648】
特徴B9.予め定められた付与契機(一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65、アウト口68への入球等)が成立した場合に所定の遊技価値が付与されるように制御する手段(払出制御装置181におけるステップS906~ステップS908を実行する機能等)と、
前記第1手段による遊技の進行の制限中に前記所定の遊技価値の付与が許容されることを可能とする手段(主制御装置162におけるステップS1610~ステップS1615の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B8のいずれかに記載の遊技機。
【0649】
上記構成では、第1所定条件の成立により制限状態に移行した場合に当該制限状態の中で遊技価値の付与が行われることが許容されている。例えば、遊技価値を付与している途中タイミングで第1所定条件が成立した場合、制限状態への移行に伴って遊技価値の付与が途中終了されてしまうおそれがある。この点、本特徴によれば、付与の途中で制限状態に移行しても最後まで遊技価値の付与を行わせることができ、遊技者が得られるべき遊技価値が適切に付与されるようにすることが可能になる。
【0650】
特徴B10.前記所定の遊技価値の付与に対応した特定情報(賞球信号)を遊技機外部に出力可能な出力手段(主制御装置162におけるステップS419の処理を実行する機能、払出制御装置181におけるステップS909の処理を実行する機能)と、
前記第1手段による遊技の進行の制限中に前記出力手段による前記特定情報の出力が許容されることを可能とする手段(主制御装置162におけるステップS1610~ステップS1615の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B9に記載の遊技機。
【0651】
上記構成では、制限状態において、遊技価値の付与に対応した外部出力を行うことが許容されているため、制限状態の中で遊技価値の付与が行われた場合に、当該付与の発生が上記外部出力を通じて遊技ホール側の管理装置に適切に通知される。よって、制限状態中に遊技価値の付与が行われることに起因して、遊技価値に関して実際に付与した数値と、付与されたものとして管理装置が把握する数値との不整合が生じることを抑制することが可能になる。
【0652】
特徴B11.前記第2手段は、前記第1手段による遊技の進行の制限より後、前記第2所定条件が成立した場合に、前記所定領域における情報の記憶状況が前記第2状況とされた状態で遊技の進行が許容されるようにするものであることを特徴とする特徴B1乃至特徴B10のいずれかに記載の遊技機。
【0653】
上記構成では、第2所定条件が成立した場合に、所定領域における情報の記憶状況が第1状況とは異なる第2状況に変更された上で遊技の進行が許容されるため、第1所定条件が成立したときと同じ遊技条件で再び遊技が行われることを抑制できる。その際、第2所定条件が成立することで、制限状態そのものと、制限状態への移行条件が成立している状態との両方が解除されるため、ホール従業員が第2所定条件を成立させる1の操作を行うだけで、それらの解除を同時に行うことができ、遊技を再開させる際の遊技ホール側の手間を好適に軽減できる。
【0654】
なお、上記特徴B1乃至特徴B11の各構成に対して、特徴A1乃至特徴A14、特徴B1乃至特徴B11、特徴C1乃至特徴C7のいずれか1の構成にて示した技術的思想をそれぞれ個別に適用することも可能であるし、それぞれの技術的思想の一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。各技術的思想を組み合わせて適用する場合、特徴群を跨いで組み合わせることも可能である。
【0655】
<特徴C群>
特徴C1.遊技が実行されている場合に発生し得る所定事象(一般入賞口61、第1作動口62、第2作動口63、可変入賞装置65への入球等)の発生に基づいて所定の遊技価値を付与する手段(払出制御装置181におけるステップS906~ステップS908を実行する機能等)と、
前記所定事象の発生又は前記所定の遊技価値の付与に基づいて所定判定用情報(差球数の情報、差球数用カウンタエリア502の各カウンタ502a~502eの値、超過フラグ、差枚数の情報等)を導出する手段(主制御装置162における超過判定用処理を実行する機能)と、
前記所定判定用情報が予め定められた特定値(100000個)以上となった場合に特定制御が実行されるようにする手段(主制御装置162における超過判定用処理、遊技停止判定用処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0656】
上記構成では、遊技価値の付与又はその実行契機である所定事象の発生に基づいて所定判定用情報が導出され、その導出された判定用情報が特定値以上となったか否かが判定される。これにより、遊技価値の獲得状況を遊技機が認識し、過剰な獲得実績が生じていないかを監視することができる。そして、判定用情報が特定値以上となった場合にはそれに対応する特定制御が行われる。この特定制御において遊技価値の更なる獲得を制限するための処理が行われる構成とすれば、遊技者が獲得する遊技価値の増加が抑えられ、射幸性の過剰な高まりが抑制されるように遊技機を動作させることが可能になる。
【0657】
特徴C2.前記特定制御にて実行される処理には、所定の遊技の進行が制限される状態(遊技停止状態)に移行させる特定処理(主制御装置162におけるステップS1610~ステップS1614の処理)が含まれることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0658】
上記構成では、判定用情報が特定値以上になると、その後の遊技の進行が制限されるため、所定事象の更なる発生が抑えられる。これにより、遊技価値の更なる獲得が制限され、射幸性の過剰な高まりが抑制されるように遊技機を動作させることが可能になる。
【0659】
特徴C3.所定の異常要因を検知することが可能な検知手段(振動検知センサ、磁石検知センサ、電波検知センサ)と、
前記検知手段により検知が行われた場合に所定の遊技の進行が制限される状態(遊技停止状態)に移行させる手段(主制御装置162におけるステップS1604~ステップS1608の処理を実行する機能)と、
前記検知手段により検知が行われた場合に、複数の外部出力用端子のうち所定の外部出力用端子を通じて外部情報が遊技機外部に出力されるようにする第1出力手段(主制御装置162におけるステップS1609の処理を実行する機能)と、
前記所定判定用情報が前記特定値となった場合に、前記所定の外部出力用端子を通じて外部情報が遊技機外部に出力されるようにする第2出力手段(主制御装置162におけるステップS1615の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【0660】
上記構成では、所定判定用情報が特定値以上となったことに基づいて遊技進行の制限状態に移行した場合に、異常検知に基づいて遊技進行の制限状態に移行した場合と共通の外部出力用端子を用いて外部情報の出力が行われる。これにより、遊技機では新たな外部出力用端子の増設が不要になり、遊技ホールでは情報受信部や管理装置等について既存の構成を用いることができ、双方においてコストの削減を図ることが可能になる。
【0661】
特徴C4.前記所定判定用情報が前記特定値以上となっても、前記所定の遊技価値の付与が許容されることを可能とする手段(主制御装置162におけるステップS1610~ステップS1615の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれかに記載の遊技機。
【0662】
上記構成では、所定判定用情報が特定値以上となることにより特定制御が行われる状態となっても、遊技価値の付与が行われることが許容されている。よって、付与の途中で特定制御が開始されることがあっても最後まで遊技価値の付与を行わせることができ、遊技者が得られるべき遊技価値が適切に付与されるようにすることが可能になる。
【0663】
なお、本特徴を上記特徴C2に適用した場合は「所定の遊技の進行が制限される状態において前記所定の遊技価値の付与が許容されることを可能とする手段を備えている」と表現することができる。
【0664】
特徴C5.遊技に関する状態として、少なくとも、第1状態(低確率モード、非開閉実行モード)と、前記所定の遊技価値が前記第1状態よりも付与されやすい第2状態(高確率モード、開閉実行モード)とを有しており、
少なくとも、前記第2状態である場合に当該第2状態であることに対応した特定情報(高確率フラグ、大当たり中フラグ)と、後に前記第2状態となる所定状態(高確率モードへの移行に対応した種別の大当たりとなった場合において、開閉実行モード後の高確率モードへの移行がまだ行われていない状態)である場合に当該所定状態であることに対応した所定情報(高確率モードへの移行に対応した種別の大当たりであることを示す大当たり種別情報)とが記憶される情報記憶手段(主側RAM314)と、
前記判定用情報が前記特定値以上となったことに基づいて、前記情報記憶手段に記憶された前記特定情報又は前記所定情報が消去されるようにすることを可能とする手段(主制御装置162における超過時立上げ用処理を実行する機能、電源遮断時に高確率フラグの情報等を初期化する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C4のいずれかに記載の遊技機。
【0665】
上記構成では、遊技価値が相対的に付与されやすい第2状態である状況で判定用情報が特定値以上となった場合に、第2状態であることに対応した特定情報や、後に第2状態になることに対応した所定情報が初期化される。これにより、遊技価値が相対的に付与されにくい第1状態に変更されて遊技が行われることになり、その結果として遊技価値の更なる獲得が制限される。よって、遊技者が獲得する遊技価値の増加が抑えられ、射幸性の過剰な高まりが抑制されるように遊技機を動作させることが可能になる。また、そのような変更を遊技機自身が自動的に行うため、判定用情報が特定値以上となった場合のホール従業員の手間を軽減することができる。さらに当該変更を行うか否かがホール従業員の判断に委ねられることがないため、遊技の公平性を担保することもできる。
【0666】
特徴C6.前記所定判定用情報が記憶される情報記憶手段(主側RAM314)と、
前記情報記憶手段に前記所定判定用情報が記憶された状態で動作電力の供給が停止された場合において、動作電力の供給が開始された場合に前記情報記憶手段にて前記所定判定用情報が消去されるようにする又は前記情報記憶手段にて前記所定判定用情報が消去されている状態で動作電力の供給が開始されるようにすることが可能な手段(第1の実施の形態や変形例1の主制御装置162における部分クリア用処理を実行する機能、変形例2の主制御装置162における電断時クリア用処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C5のいずれかに記載の遊技機。
【0667】
上記構成では、情報記憶手段に所定判定用情報が記憶された状態で動作電力の供給が停止された後、動作電力の供給が開始されることで所定判定用情報が消去されたり、所定判定用情報が消去されている状態で動作電力の供給が開始されたりするように構成されている。この場合、遊技ホールの閉店に伴う遊技機への電源遮断と、翌日の開店に伴う遊技機への電源投入とが順に行われることにより、所定判定用情報が自然と消去されるため、特定制御の実行に前日の遊技における遊技価値の獲得状況が影響することを抑制できる。
【0668】
特徴C7.前記所定判定用情報に対応する表示が行われるように情報表示手段(第1~第5報知用表示装置169a~169e)を表示制御する第1表示制御手段(主制御装置162における表示設定用処理、報知用表示処理を実行する機能)と、
前記所定判定用情報とは異なる別情報に対応する表示(設定値の情報、ベース値の情報等)が行われるように前記情報表示手段を表示制御する第2表示制御手段(主制御装置162における表示設定用処理、報知用表示処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C6のいずれかに記載の遊技機。
【0669】
上記構成では、所定判定用情報に対応する表示が情報表示手段にて行われるため、都度の所定判定用情報を把握することが可能になる。また、情報表示手段においては所定判定用情報に対応する表示だけでなく別情報に対応する表示が行われる。これにより、情報表示手段を有効利用することが可能になる。
【0670】
なお、上記特徴C1乃至特徴C7の各構成に対して、特徴A1乃至特徴A14、特徴B1乃至特徴B11、特徴C1乃至特徴C7のいずれか1の構成にて示した技術的思想をそれぞれ個別に適用することも可能であるし、それぞれの技術的思想の一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。各技術的思想を組み合わせて適用する場合、特徴群を跨いで組み合わせることも可能である。
【0671】
なお、以上詳述した特徴A群乃至特徴C群の各構成に対して、他の特徴A群乃至特徴C群の各構成にて示した技術的思想をそれぞれ個別に適用することも可能であるし、それぞれの技術的思想を組合せて適用することも可能である。各技術的思想を組み合わせて適用する場合、特徴群を跨いで組み合わせることも可能である。
【0672】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0673】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典(遊技価値)を付与する遊技機。
【0674】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
【0675】
球使用ベルト式遊技機(球使用回胴式遊技機):複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
【符号の説明】
【0676】
10…パチンコ機、143…演出制御装置、162…主制御装置、314…主側RAM、391…特定制御用のワークエリア、392…特定制御用のスタックエリア、393…非特定制御用のワークエリア、394…非特定制御用のスタックエリア。