(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】スタンドの脚開き角度変更部材、及びスタンド
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20241113BHJP
G10G 5/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H04R1/00 328
G10G5/00
(21)【出願番号】P 2021181790
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2023-06-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195018
【氏名又は名称】星野楽器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚樹
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-079482(JP,A)
【文献】特開2012-093501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
G10G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンドの脚の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材であって、
前記スタンドは、前記脚が
ボルト及びナットによって開閉可能に取り付けられるベースを備え、
前記ベースは、前記脚の基端部が取り付けられる脚取付部を有し、
前記脚開き角度変更部材は、
前記脚取付部と前記脚の基端部との間に配置される挿入部と、
前記脚取付部に装着され
かつ孔を有する
一対の装着部と、を備え、
前記脚開き角度変更部材は、前記
一対の装着部
の一方の装着部の孔に前記ボルトを嵌め込むと共に他方の装着部の孔に前記ナットを嵌め込むことによって、前記脚取付部に取り付けられ、
前記脚開き角度変更部材は、前記スタンドの脚が取り付けられた前記脚取付部に対し着脱可能であると共に、前記脚取付部に取り付けられることにより前記脚取付部と前記脚の基端部との間に前記挿入部を配置することで、前記脚の開き角度を、前記脚取付部から取り外されて前記脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更するように構成されている、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンドの脚開き角度変更部材において、
前記脚開き角度変更部材により前記脚の開き角度が前記脚を全開したときよりも小さい開き角度に変更された状態で前記脚取付部に係止可能である、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のスタンドの脚開き角度変更部材において、
前記脚取付部は、嵌合凸部を含み、
前記脚開き角度変更部材は、前記脚取付部に取り付けられた状態で前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を有している、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項4】
請求項1に記載のスタンドの脚開き角度変更部材において、
前記脚開き角度変更部材は、全体としてU字状に形成されている、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項5】
請求項
4に記載のスタンドの脚開き角度変更部材において、
前記脚開き角度変更部材は
、前記一対の装着部の端部を接続すると共
に前記脚開き角度変更部材の前方に凸状に湾曲した接続
部を備える、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項6】
請求項
5に記載のスタンドの脚開き角度変更部材において、
前記挿入部は、前記接続部の裏面中央に設けられている、スタンドの脚開き角度変更部材。
【請求項7】
スタンドであって、
物品が取り付けられる長尺部材と、
前記長尺部材の下端部が固定されるベースと、
前記ベースに対して
ボルト及びナットによって開閉可能に取り付けられる複数の脚と、
前記脚の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材と、を備え、
前記ベースは、前記脚の基端部が取り付けられる脚取付部を有し、
前記脚開き角度変更部材は、
前記脚取付部と前記脚の基端部との間に配置される挿入部と、
前記脚取付部に装着され
かつ孔を有する
一対の装着部と、を備え、
前記脚開き角度変更部材は、前記
一対の装着部
の一方の装着部の孔に前記ボルトを嵌め込むと共に他方の装着部の孔に前記ナットを嵌め込むことによって、前記脚取付部に取り付けられ、
前記脚開き角度変更部材は、前記スタンドの脚が取り付けられた前記脚取付部に対し着脱可能であると共に、前記脚取付部に取り付けられることにより前記脚取付部と前記脚の基端部との間に前記挿入部を配置することで、前記脚の開き角度を、前記脚取付部から取り外されて前記脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更するように構成されている、スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンドの脚開き角度変更部材、及びスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ライブ演奏やスタジオ録音のため、ドラムセットの周りに、複数のマイクスタンドをセッティングすることがある。この場合、複数のマイクスタンドは、ドラムセット周りの限られたスペース内で、マイクをドラムのヘッドやシンバルの近くに配置するようにセッティングされる。このため、マイクスタンドをドラムスタンドやシンバルスタンドの近くに設置したり、マイクスタンド同士を近付けて設置したりすることが多かった。また、この場合、各スタンドを、各スタンドの三脚同士が干渉しないようにセッティングする必要があった。
【0003】
各スタンドの三脚同士が干渉しないようにセッティングするため、各スタンドの三脚同士を交差して配置できるように、以下のようなスタンドを使用することが考えられる。例えば、特許文献1~特許文献3には、脚の開き角度が変更可能な三脚構造を備えるマイクスタンドが開示されている。マイクスタンドは、マイクが取り付けられるパイプと、パイプの下端部が固定されるベースと、ベースに対して開閉可能に取り付けられる3つの脚とを備えている。ベースは、3つの脚との連結箇所に、脚の基端部が挿入されて取り付けられる脚取付部を有している。
【0004】
特許文献1に開示のスタンドは、脚の開き角度を変更する手段として、脚に対して摺動可能に取り付けられたスリーブを備えている。スリーブは、脚の外周面に取り付けられるスリーブ本体と、スリーブ本体からベースに向けて突出する挿入部とを備えている。このスタンドでは、スリーブを脚の長手方向に摺動させて、挿入部を脚取付部に挿入することで、脚の開き角度が、脚が全開したときの開き角度よりも小さい開き角度に変更される。このとき、脚の開き角度は、脚取付部の壁面と脚の基端部との間に配置された挿入部の厚みの分だけ、脚が全開したときの開き角度よりも小さくなる。
【0005】
特許文献2に開示のスタンドは、脚の開き角度を変更する手段として、脚の基端部に設けられたネジ孔と、ネジ孔に螺合されたネジとを備えている。ネジは、頭部を脚取付部の内壁に当接させた状態でネジ孔に螺合されている。このスタンドでは、ネジ孔に対するネジの螺合量を変更することにより、ネジ孔からのネジの突出高さを調整することで、脚の開き角度が連続的に調整される。
【0006】
特許文献3に開示のスタンドは、脚の開き角度を変更する手段として、ラチェット構造を備えた脚の連結構造を備えている。脚の連結構造は、脚取付部に取り付けられたラチェットと、脚の内部に摺動可能に配置された状態でラチェットに連結されるロッドとを備えている。ロッドは、ラチェットとの連結部分に、ラチェット歯と係合可能なロッド歯を有している。このスタンドでは、ラチェット構造により脚の開き角度が段階的に変更されると共に、ラチェット歯とロッド歯との係合により脚の開き角度が変更後の開き角度に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5340066号明細書
【文献】米国特許第6412737号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0274716号明細書
【発明の概要】
【0008】
特許文献1に開示のスタンドでは、脚の開き角度を変更する場合、挿入部が脚取付部に挿入される位置までスリーブを摺動させるだけであり、構造も操作も簡単である。しかしながら、脚の開き角度を変更後の開き角度に保持する力は、スリーブと、脚取付部の壁面や脚の表面との間に生じる接触摩擦力のみである。このため、挿入部が脚取付部に挿入される位置にスリーブを保持する力は十分でない。このため、スタンドの使用中に、挿入部が脚取付部から脚の軸線方向に抜けることがあり、脚の開き角度が変更後の開き角度に保持されないことがある。
【0009】
特許文献2に開示のスタンドでは、脚の開き角度を変更する場合、手でネジを回してネジの突出高さを調整する必要がある。この場合、手でネジを回す作業が煩わしく、面倒である。また、ネジを回すことでしか脚の開き角度を変更できないため、脚の開き角度を変更するのに時間がかかる。また、脚を全開にした状態と閉じた状態との間で切り替えるには、ネジを脚に取り付けたり、ネジを脚から取り外したりする必要がある。こうしたネジの着脱も、煩わしく、面倒である。
【0010】
特許文献3に開示のスタンドでは、ラチェット歯とロッド歯との係合により、脚の開き角度を変更後の開き角度に保持することはできる。しかしながら、ラチェット構造は、部品の数が多く、構造が複雑である。このため、脚の連結構造にラチェット構造を採用することで、部品コストや組み付け工数が増えるため、製造コストが高くなる。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、簡単な構造によって、脚の開き角度を変更することができると共に、変更後の開き角度を保持することのできる、スタンドの脚開き角度変更部材、及びスタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、スタンドの脚の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材であって、前記スタンドは、前記脚がボルト及びナットによって開閉可能に取り付けられるベースを備え、前記ベースは、前記脚の基端部が取り付けられる脚取付部を有し、前記脚開き角度変更部材は、前記脚取付部と前記脚の基端部との間に配置される挿入部と、前記脚取付部に装着されかつ孔を有する一対の装着部と、を備え、前記脚開き角度変更部材は、前記一対の装着部の一方の装着部の孔に前記ボルトを嵌め込むと共に他方の装着部の孔に前記ナットを嵌め込むことによって、前記脚取付部に取り付けられ、前記脚開き角度変更部材は、前記スタンドの脚が取り付けられた前記脚取付部に対し着脱可能であると共に、前記脚取付部に取り付けられることにより前記脚取付部と前記脚の基端部との間に前記挿入部を配置することで、前記脚の開き角度を、前記脚取付部から取り外されて前記脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更するように構成されていることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、脚開き角度変更部材が脚取付部に取り付けられた状態で、脚取付部と脚の基端部との間に挿入部が配置される。これにより、脚の開き角度は、脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更される。また、脚の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材が、装着部を介して、脚取付部に取り付けられている。これにより、脚取付部と脚の基端部との間に挿入部を配置した状態が保持されるため、脚の開き角度が変更後の開き角度に保持される。また、この構成によれば、脚の開き角度を変更する場合、脚取付部と脚の基端部との間に挿入部を配置するだけであり、構造も操作も簡単である。具体的には、脚開き角度変更部材を脚取付部に取り付けることにより、脚取付部と脚の基端部との間に挿入部が配置されることで、脚の開き角度は、脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更される。また、脚開き角度変更部材を脚取付部から取り外すことにより、脚取付部と脚の基端部との間から挿入部が取り外されることで、脚の開き角度は、脚が全開したときの開き角度に戻される。つまり、脚開き角度変更部材を脚取付部に着脱するだけで、脚の開き角度を、脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更したり、脚が全開したときの開き角度に戻したりすることができる。また、脚開き角度変更部材の一対の装着部の一方の装着部の孔にボルトを嵌め込むと共に、他方の装着部の孔にナットを嵌め込むことで、脚開き角度変更部材を脚取付部に取り付けることができる。このように、簡単な構造及び操作によって、脚の開き角度を変更することができると共に、変更後の開き角度に保持することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記脚開き角度変更部材により前記脚の開き角度が前記脚を全開したときよりも小さい開き角度に変更された状態で前記脚取付部に係止可能であることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、脚の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材が脚取付部に係止されるため、脚開き角度変更部材を脚取付部から外れないようにすることができる。よって、脚の開き角度を変更後の開き角度に保持することが容易となる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記脚取付部は、嵌合凸部を含み、前記脚開き角度変更部材は、前記脚取付部に取り付けられた状態で前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を有していることを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、装着部が脚取付部に装着されることに加え、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合されることで、脚開き角度変更部材が脚取付部に取り付けられる。この状態で、脚開き角度変更部材は、装着部と脚取付部との装着力、及び嵌合凹部と嵌合凸部との嵌合力により、脚が全開したときよりも小さい開き角度と対応する位置に保持される。よって、脚の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材によって、脚の開き角度を変更後の開き角度に保持することが更に容易となる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記脚開き角度変更部材は、全体としてU字状に形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、U字状をなす脚開き角度変更部材の全体を撓ませながら、脚取付部に対して取り付けたり、取り外したりすることができる。例えば、脚開き角度変更部材の嵌合凹部に脚取付部の嵌合凸部を嵌め合わせてから、U字状をなす脚開き角度変更部材の両側部を外側に広げるように撓ませることで、脚開き角度変更部材を脚取付部に容易に装着することができる。また、上記一連の手順と逆の手順を行うことで、脚開き角度変更部材を脚取付部から容易に取り外すこともできる。これにより、脚開き角度変更部材を脚取付部に着脱する際の操作が容易となる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記脚開き角度変更部材は、前記一対の装着部の端部を接続すると共に前記脚開き角度変更部材の前方に凸状に湾曲した接続部を備えることを要旨とする。
【0026】
この構成によれば、脚開き角度変更部材が脚取付部に取り付けられることで、脚取付部と脚の基端部との間に挿入部が配置されて、脚の開き角度が、脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更される。このとき、前方に凸状に湾曲した接続部を撓ませることで、開き角度変更部材のほぼ全体を撓ませることができる。脚開き角度変更部材を脚取付部から取り外す場合も、上記と同様である。これにより、脚開き角度変更部材を脚取付部に着脱する際の操作が容易となる。また、脚開き角度変更部材の前方に凸状に湾曲した接続部が、脚開き角度変更部材の前面を構成している。これにより、脚取付部に取り付けられた状態での脚開き角度変更部材の存在を目立ちにくくすることもできる。これにより、ベースの脚取付部付近の美観が向上する。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記挿入部は、前記接続部の裏面中央に設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、挿入部を接続部の裏面中央に設けたことで、挿入部の位置を両装着部間の中央位置に設定することができる。これにより、脚の開き角度を変更後は、脚取付部に対し、脚開き角度変更部材が両側部と中央付近とでベースと接するように取り付けられる。これにより、脚開き角度変更部材が脚取付部から外れ難くなるため、脚の開きを、変更後の開き角度に安定的に保持することができる。
【0035】
上記の目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、スタンドであって、物品が取り付けられる長尺部材と、前記長尺部材の下端部が固定されるベースと、前記ベースに対してボルト及びナットによって開閉可能に取り付けられる複数の脚と、前記脚の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材と、を備え、前記ベースは、前記脚の基端部が取り付けられる脚取付部を有し、前記脚開き角度変更部材は、前記脚取付部と前記脚の基端部との間に配置される挿入部と、前記脚取付部に装着されかつ孔を有する一対の装着部と、を備え、前記脚開き角度変更部材は、前記一対の装着部の一方の装着部の孔に前記ボルトを嵌め込むと共に他方の装着部の孔に前記ナットを嵌め込むことによって、前記脚取付部に取り付けられ、前記脚開き角度変更部材は、前記スタンドの脚が取り付けられた前記脚取付部に対し着脱可能であると共に、前記脚取付部に取り付けられることにより前記脚取付部と前記脚の基端部との間に前記挿入部を配置することで、前記脚の開き角度を、前記脚取付部から取り外されて前記脚が全開したときよりも小さい開き角度に変更するように構成されていることを要旨とする。
【0036】
この構成によれば、請求項1と同等の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、簡単な構造によって、脚の開き角度を変更することができると共に、変更後の開き角度を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る脚開き角度変更部材を装着したマイクスタンドを示す斜視図。
【
図2】マイクスタンドのベース付近を拡大して示す部分正面図。
【
図4】脚開き角度変更部材を前面側から見た斜視図。
【
図5】脚開き角度変更部材を裏面側から見た斜視図。
【
図6】脚開き角度変更部材を装着する前の脚の開きを説明するための部分断面図。
【
図7】脚開き角度変更部材を装着した後の脚の開きを説明するための部分断面図。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る脚開き角度変更部材を装着したマイクスタンドを示す斜視図。
【
図9】脚開き角度変更部材が装着された脚の基端部付近の構造を示す部分正面図。
【
図11】(a)脚の基端部に装着された脚開き角度変更部材をオフ位置に切り替えた状態を示す部分斜視図。(b)脚開き角度変更部材をオフ位置に切り替えた状態での脚の開きを説明するための部分断面図。
【
図12】(a)脚の基端部に装着された脚開き角度変更部材をオン位置に切り替えた状態示す部分斜視図。(b)脚開き角度変更部材をオン位置に切り替えた状態での脚の開きを説明するための部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明を、マイクスタンド10の脚15の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材20に具体化した第1実施形態について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0040】
図1に示すように、マイクスタンド10は、物品としてのマイク11が取り付けられる長尺部材としてのパイプ12を備えている。また、マイクスタンド10は、パイプ12の下端部が固定されるベース13と、ベース13に対して開閉可能に取り付けられる3つの脚15とを備えている。ベース13において、3つの脚15の基端部が取り付けられる箇所には、脚15の開き角度を変更するための脚開き角度変更部材20がそれぞれ取り付けられている。
【0041】
図1及び
図2に示すように、脚15の先端部には、マイクスタンド10の滑り止め部材として、ゴム製のキャップ16が装着されている。また、脚15の基端部には、ベース13に対する脚15の開閉を円滑にするための部材として、樹脂からなる中間部材としての脚保持具17が装着されている。脚保持具17は、脚15の基端部が嵌め込まれる開口17aを有すると共に、略四角筒状に形成されている。また、脚保持具17は、開口17aと反対側の部分に、被覆部17bを有している。被覆部17bは、脚15の基端部を被覆すると共に、丸みを帯びた形状を有している。
【0042】
図3に示すように、ベース13は、側面視で略三角形状を有する筒状体からなる。ベース13の上部には、パイプ12の下端部が固定される固定孔13aや、
図1に示すボルト18が挿入されるボルト挿入孔13bが形成されている。ベース13の下部には、脚15の基端部が挿入されて取り付けられる3つの脚取付部13cが形成されている。3つの脚取付部13cは、固定孔13aの軸線周りに等角度間隔に形成されている。
【0043】
脚取付部13cは、固定孔13aから下方に延びる延設壁13dと、延設壁13dの下端13gより下方に延びる一対の側壁13eとからなる。即ち、延設壁13d及び両側壁13eは、脚15の基端部が取り付けられる脚取付部13cの一部をそれぞれ構成している。脚取付部13cは、ベース13の側方及び下方に開放されることで、脚15の基端部をベース13に対して開閉可能に収容するように形成されている。両側壁13eの外面には、側壁13eの下端から上方に延びる凹状の嵌め込み部13hが形成されている。嵌め込み部13hの上部中央には、
図2に示すボルト19が挿通されるボルト挿通孔13fが形成されている。
【0044】
図2及び
図3に示すように、脚15は、基端部に脚保持具17を装着した状態で脚取付部13cに挿入されている。また、脚15は、基端部を脚取付部13cに挿入した状態で、ボルト19及びナット21によって、ベース13の下部に取り付けられている。ボルト19は、両側壁13eの一方の側壁13eの外側から挿通されると共に、他方の側壁13eの外側に配置されたナット21に螺着されている。
【0045】
図2、
図4、
図5に示すように、脚開き角度変更部材20は、一対の装着部23と、接続部24と、挿入部25と備えている。脚開き角度変更部材20は、樹脂からなり、全体としてU字状に形成されている。脚開き角度変更部材20は、ベース13の脚取付部13cに対し着脱可能に構成されている。脚開き角度変更部材20は、脚取付部13cに取り付けられることで、延設壁13dの下端13gと脚15の基端部に装着された脚保持具17との間に挿入部25が配置されるように構成されている。
【0046】
両装着部23は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付ける際に、ベース13の両側壁13eに装着される。両装着部23には、凹部としての装着孔23aが設けられている。両装着部23は、一方の装着孔23aにボルト頭部19aを、他方の装着孔23aにナット21をそれぞれ嵌め込むことによって、ベース13の両側壁13eに装着される。つまり、脚開き角度変更部材20は、両装着部23が両側壁13eに装着されることで、ベース13の脚取付部13cに取り付けられる。ここで、ボルト頭部19a及びナット21は、ベース13の両側壁13e上に設けられた凸部であり、両装着部23の装着孔23aと対応する位置にそれぞれ設けられている。両装着部23の内面には、ベース13の嵌め込み部13hに嵌め込まれる凸状のストッパ23bが形成されている。
【0047】
接続部24は、両装着部23の前端部同士を接続すると共に、脚開き角度変更部材20の前面である意匠面を構成している。接続部24は、長尺状であり、脚開き角度変更部材20の前方に凸状に湾曲している。接続部24は、幅の異なる2つの部分からなる。即ち、接続部24は、一定の幅を有する第1の接続部24aと、第1の接続部24aの両端と両装着部23とを繋ぐ第2の接続部24bとからなる。第1の接続部24aは、接続部24の長手方向の中央部を構成している。第2の接続部24bは、接続部24の長手方向の両端部を構成している。
【0048】
図2,
図4,
図5,
図7に示すように、挿入部25は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けた状態で、延設壁13dの下端13gと脚保持具17の上面17cとの間に配置される。挿入部25は、第1の接続部24aの裏面中央から後方に延びている。挿入部25の幅は、延設壁13dの下端13gの幅と同等である。また、第1の接続部24aの裏面中央には、挿入部25の後端に沿って延びる突条27が設けられている。このため、第1の接続部24aの裏面中央には、第1の接続部24aの後面と挿入部25の上面と突条27の前面とからなる空間が、嵌合凹部28として構成されている。嵌合凹部28は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けた状態で、嵌合凸部としての延設壁13dの下端13gと嵌合する。
【0049】
次に、上記の脚開き角度変更部材20の作用について、
図2,
図6及び
図7を参照して説明する。
図6及び
図7に示すように、マイクスタンド10は、パイプ12の軸線Pを床面Fと直交させるようにして、床面F上に設置される。
【0050】
図6は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けずに脚15を開いたときのマイクスタンド10を示す。この状態では、脚保持具17の上面17cが延設壁13dの下端13gに当接されるまで脚15が開くことで、脚15が全開している。ここで、パイプ12の軸線Pと脚15の軸線Gとがなす角度を脚15の開き角度と定義した場合、脚15の開き角度はA1となっている。
【0051】
次に、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けるまでの一連の手順について説明する。まず、
図2に示すように、
図2に示す右側の脚15aを閉じた状態にしてから、脚開き角度変更部材20を図示の向きにして、ベース13の正面から脚取付部13cに取り付ける。このとき、まず、脚開き角度変更部材20の嵌合凹部28に延設壁13dの下端13gを嵌め合わせる。そして、両装着孔23aを外側に広げるようにして、脚開き角度変更部材20の全体を撓ませた状態で、一方の装着孔23aにボルト頭部19aが、他方の装着孔23aにナット21がそれぞれ嵌め込まれる。それと共に、両装着部23のストッパ23bが、ベース13の嵌め込み部13hにそれぞれ嵌め込まれる。こうして、両装着部23がベース13の両側壁13eに装着されることで、脚15aを閉じた状態にしても、脚取付部13cに対して脚開き角度変更部材20が脱落しないように取り付けられる。残りの2つの脚15についても、脚15aの場合と同じ手順で、脚取付部13cに対して脚開き角度変更部材20が取り付けられる。
【0052】
図7は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けてから脚15を開いたときのマイクスタンド10を示す。この状態では、脚保持具17の上面17cが脚開き角度変更部材20の挿入部25に当接されるまで、脚15を開くことができる。この場合、脚15の開き角度A2は、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に配置される挿入部25の厚さの分だけ、脚15を全開したときの開き角度A1よりも小さい。
【0053】
また、この状態では、一方の装着孔23aにボルト頭部19aが他方の装着孔23aにナット21がそれぞれ嵌め込まれることで、両装着部23がベース13の両側壁13eに係止されている。これにより、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に挿入部25を配置した状態が保持されるため、脚15の開き角度が変更後の開き角度に保持される。脚開き角度変更部材20を脚取付部13cから取り外す場合には、脚開き角度変更部材20の全体を撓ませながら、両装着孔23aからボルト頭部19a及びナット21を外せばよい。
【0054】
従って、第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)脚開き角度変更部材20は、脚取付部13cに取り付けて使用される。この構成によれば、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cに取り付けられた状態で、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に挿入部25が配置される。これにより、脚15の開き角度は、脚15が全開したときよりも小さい開き角度に変更される。また、脚15の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材20が、両装着部23を介して、脚取付部13cに取り付けられている。これにより、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に挿入部25を配置した状態が保持されるため、脚15の開き角度が変更後の開き角度に保持される。また、この構成によれば、脚15の開き角度を変更する場合、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に挿入部25を配置するだけであり、構造も操作も簡単である。よって、簡単な構造によって、脚15の開き角度を変更することができると共に、変更後の開き角度に保持することができる。
【0055】
(1-2)一方の装着孔23aにボルト頭部19aが他方の装着孔23aにナット21がそれぞれ嵌め込まれることで、両装着部23がベース13の両側壁13eに係止されている。この構成によれば、脚15の開き角度を変更後は、両装着部23が両側壁13eに係止されているため、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cから外れないようにすることができる。例えば、マイクスタンド10の使用中等に、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cから脚15の軸線方向に抜けないようにすることができる。よって、脚15の開き角度を変更後の開き角度に保持することが容易となる。
【0056】
(1-3)ボルト頭部19a及びナット21は、ベース13の両側壁13e上に設けられた凸部であり、両装着部23の装着孔23aと対応する位置にそれぞれ設けられている。両装着部23は、一方の装着孔23aにボルト頭部19aを、他方の装着孔23aにナット21をそれぞれ嵌め込むことによって、ベース13の両側壁13eに装着される。この構成によれば、両装着部23が装着孔23aとボルト頭部19a及びナット21との係合により両側壁13eに装着されることで、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cに取り付けられる。この状態で、脚開き角度変更部材20は、装着孔23aとボルト頭部19a及びナット21との係合力により、脚15が全開したときよりも小さい開き角度と対応する位置に保持される。よって、脚15の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材20によって、脚15の開き角度を変更後の開き角度に保持することがより一層容易となる。
【0057】
(1-4)第1の接続部24aの裏面中央には、第1の接続部24aの後面と挿入部25の上面と突条27の前面とからなる空間が、嵌合凹部28として構成されている。嵌合凹部28は、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けた状態で、嵌合凸部としての延設壁13dの下端13gと嵌合する。この構成によれば、両装着部23がベース13の両側壁13eに係止されることに加え、延設壁13dの下端13gが嵌合凹部28に嵌合されることで、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cに取り付けられる。この状態で、脚開き角度変更部材20は、装着部23と両側壁13eとの係止力、及び延設壁13dの下端13gと嵌合凹部28との嵌合力により、脚15が全開したときよりも小さい開き角度と対応する位置に確実に保持される。例えば、マイクスタンド10の使用中等に、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cから脚15の軸線方向に抜けないようにすることができる。よって、脚15の開き角度を変更後は、脚開き角度変更部材20によって、脚15の開き角度を変更後の開き角度に保持することが更に容易となる。
【0058】
(1-5)脚開き角度変更部材20は、ベース13の脚取付部13cに対し着脱可能に構成されている。この構成によれば、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けることにより、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間に挿入部25が配置されることで、脚15の開き角度は、脚15が全開したときよりも小さい開き角度に変更される。また、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cから取り外すことにより、延設壁13dの下端13gと脚保持具17との間から挿入部25が取り外されることで、脚15の開き角度は、脚15が全開したときの開き角度に戻される。つまり、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに着脱するだけで、脚15の開き角度を、脚15が全開したときよりも小さい開き角度に変更したり、脚15が全開したときの開き角度に戻したりすることができる。
【0059】
例えば、ドラムセットの周りに複数のマイクスタンド10をセッティングする場合、各マイクスタンド10の三脚同士が干渉しないようにセッティングする必要がある。この場合、脚開き角度変更部材20を用いて、脚15の開き角度を、脚15の全開したときよりも小さい開き角度に変更する。こうすることで、脚開き角度変更部材20を用いて脚15の開きを小さくしたマイクスタンド10の三脚を、脚15を全開にしたマイクスタンド10の三脚と干渉しないようにセッティングすることができる。また、三脚同士が干渉しないようにセッティングできるため、複数のマイクスタンド10を一箇所に集めて保管する場合の保管スペースが少なくて済む。
【0060】
(1-6)脚開き角度変更部材20は、樹脂からなり、全体としてU字状に形成されている。この構成によれば、U字状をなす脚開き角度変更部材20の全体を撓ませながら、脚取付部13cに取り付けたり、脚取付部13cから取り外したりすることができる。これにより、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに着脱する際の操作が容易となる。
【0061】
(1-7)脚開き角度変更部材20は、一対の装着部23と、接続部24と、挿入部25と備えている。接続部24は、長尺状であり、脚開き角度変更部材20の前方に凸状に湾曲している。この構成によれば、前方に凸状に湾曲した接続部24を撓ませることで、開き角度変更部材20のほぼ全体を撓ませながら、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに取り付けることができる。脚開き角度変更部材20を脚取付部13cから取り外す場合も、上記と同様である。よって、脚開き角度変更部材20を脚取付部13cに着脱する際の操作が容易となる。また、脚開き角度変更部材20の前方に凸状に湾曲した接続部24が、脚開き角度変更部材20の意匠面である前面を構成している。これにより、脚取付部13cに取り付けられた状態での脚開き角度変更部材20の存在を目立ちにくくすることもできる。これにより、ベース13の脚取付部13c付近の美観が向上する。
【0062】
(1-8)挿入部25は、第1の接続部24aの裏面中央から後方に延びている。また、第1の接続部24aの裏面中央には、嵌合凹部28が設けられている。この構成によれば、挿入部25及び嵌合凹部28を接続部24の裏面中央、即ち、両装着部23間の中央位置に設定することができる。これにより、脚15の開き角度を変更後は、脚取付部13cに対し、脚開き角度変更部材20が両側部と中央付近とでベース13と接するように取り付けられる。これにより、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cから外れ難くなるため、脚15の開きを、変更後の開き角度に安定的に保持することができる。
【0063】
(第2実施形態)
以下、本発明を脚開き角度変更部材50に具体化した第2実施形態について
図8~
図12(b)を参照して説明する。第2実施形態における第1実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0064】
図8及び
図9に示すように、マイクスタンド60は、パイプ12の下端部が固定されるベース13と、ベース13に対して開閉可能に取り付けられると共に脚開き角度変更部材50を有する3つの脚15とを備えている。脚開き角度変更部材50は、脚15の基端部に予め取り付けられている。脚15の基端部には、中間部材としての脚保持具40が装着されている。脚保持具40は、脚開き角度変更部材50が取り付けられるように構成されている。
【0065】
脚保持具40は、脚15の基端部が嵌め込まれる開口40aと、開口40aと反対側に設けられた被覆部40bと、脚開き角度変更部材50が取り付けられる取付部40cとを備えている。取付部40cは、脚保持具40の上部中央と開口40aとの間に設けられている。取付部40cの両側壁には、凸部40dが設けられている。脚保持具40は、取付部40cと対応する部分に平坦状の第1の上面40eを有している。また、脚保持具40は、上部中央と被覆部40bとの間に湾曲状の第2の上面40fを有している。
【0066】
図10に示すように、脚開き角度変更部材50は、一対の装着部53と、両装着部53を接続するように設けられた挿入部55と備えている。脚開き角度変更部材50は、全体としてU字状に形成されている。脚開き角度変更部材50は、脚保持具40を介して、脚15の基端部に対し回動可能に取り付けられている。また、脚開き角度変更部材50は、
図12(a)の実線で示すオン位置と、
図11(a)で示すオフ位置との間を回動可能となっている。つまり、脚開き角度変更部材50は、脚保持具40に取り付けられた状態でオン位置又はオフ位置に切り替え可能となっている。また、脚開き角度変更部材50は、オン位置に切り替えられることより、ベース13の延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55を配置可能に構成されている。
【0067】
両装着部53は、脚開き角度変更部材50を脚保持具40に取り付けた状態で、脚保持具40の凸部40dに装着される。両装着部53には、凹部としての装着孔53aが設けられている。凸部40dは、脚保持具40の取付部40cにおいて、両装着部53の装着孔53aと対応する位置にそれぞれ設けられている。両装着部53の装着孔53aに脚保持具40の凸部40dがそれぞれ嵌め込まれることで、両装着部53は、脚15の基端部に装着された脚保持具40に係止される。この状態で、脚開き角度変更部材50は、脚保持具40を介して、脚15の基端部に対し、脚15の軸線方向に動かないように取り付けられる。
【0068】
挿入部55は、平坦な略長方形状である。挿入部55は、両装着部53に接続される一対の端部55aと、挿入部55の長手方向に延びる一対の縁部55bとを有している。挿入部55の裏面は、脚開き角度変更部材50をオン位置に切り替えた状態で、脚保持具40の第1の上面40eに当接される。両縁部55bのうちの一方の縁部55bは、脚開き角度変更部材50をオフ位置に切り替えた状態で脚保持具40の第2の上面40fに当接される当接面55cを有している。当接面55cは、第2の上面40fに沿って凹状に湾曲している。
【0069】
次に、上記の脚開き角度変更部材50の作用について、
図11(a)~
図12(b)を参照して説明する。
図11(a)及び11(b)は、オフ位置に切り替えられた脚開き角度変更部材50、及び脚開き角度変更部材50をオフ位置に切り替えた状態で脚15を開いたときのマイクスタンド60をそれぞれ示す。この状態では、延設壁13dの下端13gが脚保持具40の第1の上面40eに当接されるまで脚15が開くことで、脚15が全開している。この場合、脚15の開き角度はB1となっている。脚開き角度変更部材50をオフ位置からオン位置に切り替える場合、脚15を閉じた状態にしてから、脚保持具40の凸部40dを回動中心にして、挿入部55が脚保持具40の第1の上面40eに当接されるまで、脚開き角度変更部材50を回動させる。脚開き角度変更部材50を回動後は、脚15を開いた状態にする。
【0070】
図12(a)及び12(b)は、オン位置に切り替えられた脚開き角度変更部材50、及び脚開き角度変更部材50をオン位置に切り替えた状態で脚15を開いたときのマイクスタンド60をそれぞれ示す。この状態では、延設壁13dの下端13gが脚開き角度変更部材50の挿入部55に当接されるまで、脚15を開くことができる。この場合、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55が配置されることで、脚15の開き角度B2は、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に配置される挿入部55の厚さの分だけ、脚15を全開したときの開き角度B1よりも小さい。また、この状態では、脚開き角度変更部材50が両装着部53を介して脚保持具40に係止されている。このため、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55を配置した状態が保持されて、脚15の開き角度が変更後の開き角度に保持される。脚開き角度変更部材50をオン位置からオフ位置に切り替える場合には、脚15を閉じた状態にしてから、脚保持具40の凸部40dを回動中心にして、挿入部55が脚保持具40の第2の上面40fに当接されるまで、脚開き角度変更部材50を回動すればよい。
【0071】
従って、第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)脚開き角度変更部材50は、脚15の基端部に取り付けられた状態でオン位置又はオフ位置に切り替え可能に構成されている。この構成によれば、脚15の基端部に予め取り付けられた脚開き角度変更部材50の位置を変更可能にすることで、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55を配置したり、挿入部55を取り外したりすることができる。つまり、脚開き角度変更部材50の位置変更によって、脚15の開き角度を、脚15が全開したときよりも小さい開き角度B2に変更したり、脚15が全開したときの開き角度B1に戻したりすることができる。また、脚開き角度変更部材50が脚15の基端部に予め取り付けられているため、脚開き角度変更部材50の紛失を防止することもできる。
【0072】
(2-2)脚開き角度変更部材50は、全体としてU字状に形成されている。この構成によれば、脚開き角度変更部材50の両側部、即ち、脚保持具40の凸部40dが嵌め込まれた両装着部53を回動中心にして、脚開き角度変更部材50を脚15の基端部に取り付けることができる。また、脚開き角度変更部材50は、一対の装着部53と、両装着部53を接続するように設けられた挿入部55と備えている。この構成によれば、一対の装着部53によって、脚15の基端部に対する脚開き角度変更部材50の取り付け状態が安定化するため、脚開き角度変更部材50のオン位置又はオフ位置を切り替える際の操作が安定化する。
【0073】
(2-3)脚開き角度変更部材50は、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55が配置されるオン位置と、挿入部55が取り外されるオフ位置との間を回動可能である。この構成によれば、脚15の基端部に予め取り付けられた脚開き角度変更部材50を回動操作することで、延設壁13dの下端13gと脚保持具40との間に挿入部55を配置したり、挿入部55を取り外したりすることができる。つまり、簡単な操作によって、脚15の開き角度を、脚15が全開したときよりも小さい開き角度B2に変更したり、脚15が全開したときの開き角度B1に戻したりすることができる。よって、脚開き角度変更部材50を用いることで、脚15の開き角度をワンタッチで変更できるため、例えば、複数のマイクスタンド60を限られたスペース内でセッティングしたり、使用後の保管のため一箇所に集めたりする場合の保管スペースが少なくて済む。
【0074】
(2-4)脚開き角度変更部材50は、脚保持具40を介して、脚15の基端部に対し回動可能に取り付けられている。この構成によれば、脚開き角度変更部材50が脚保持具40を介して脚15の基端部に間接的に取り付けられるため、脚開き角度変更部材50の形状は、脚15の基端部の形状による制約を受けない。よって、脚開き角度変更部材50の形状の自由度が向上する。
【0075】
上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・第1実施形態において、脚開き角度変更部材20が取り付けられる脚取付部13cは、脚15の基端部が挿入されて取り付けられる開口部であったが、ベース13の外面から突出する部分であってもよい。この場合、脚開き角度変更部材20は、装着部23を介して、ベース13の延設壁13d、両側壁13e、ベース13の外面から突出する部分のいずれかに取り付けられればよい。また、脚開き角度変更部材20は、ベース13に代えて、脚15の基端部や脚15の基端部に装着される脚保持具17に取り付けられてもよい。
【0076】
・第1実施形態において、装着孔23aにボルト頭部19aやナット21が嵌め込まれることで、両装着部23をベース13の両側壁13eに係止していた。これに代えて、両装着部23に凸部を設け、両装着部23の凸部が係止される孔などの凹部をベース13に設けてもよい。
【0077】
・第1実施形態において、脚開き角度変更部材20の一対の装着部23は、装着孔23aにボルト頭部19aやナット21が嵌め込まれるように構成したが、脚取付部13cの開口端の一部に係止可能に装着されるように構成してもよい。例えば、装着部23や挿入部25に、脚取付部13cの開口端に係止可能な突起等を設けることで、脚開き角度変更部材20が脚取付部13cから脚15の軸線方向に抜けないようにしてもよい。
【0078】
・第1実施形態において、脚開き角度変更部材20は、一対の装着部23を有することで全体としてU字状であったが、両装着部23のうちの一方又は両方を省略することで、全体としてL字又はI字状であってもよい。この場合、
図4及び
図5等に示す装着部23に代えて、ネジやボルトなどの固定具、テープなどの接着剤、マグネットシートなどを、脚開き角度変更部材20をベース13の脚取付部13c付近に装着するために用いてもよい。
【0079】
・第1実施形態において、第1の接続部24aの裏面中央に突条27を設けないことで、脚開き角度変更部材20から嵌合凹部28を省略してもよい。
・第2実施形態において、脚開き角度変更部材50が取り付けられる脚取付部は、脚15の基端部に装着される脚保持具40であったが、脚開き角度変更部材50を脚15の基端部に直接取り付けてもよい。また、脚15の基端部に代えて、ベース13の脚取付部に脚開き角度変更部材50を取り付けてもよい。
【0080】
・第2実施形態において、両装着孔53aに凸部40dが嵌め込まれることで、両装着部53を脚保持具40の取付部40cに係止していたが、両装着部53に凸部を設け、両装着部53の凸部が係止される孔などの凹部を脚保持具40に設けてもよい。
【0081】
・第2実施形態において、脚開き角度変更部材50は、脚15の基端部に対し回動可能に取り付けられていたが、脚15の基端部上でオン位置とオフ位置との間を摺動可能に構成してもよい。
【0082】
・第2実施形態において、脚開き角度変更部材50は、脚15の基端部に取り付けられた状態でオン位置とオフ位置の2段階に切り替え可能であったが、3段階以上に切り替え可能としてもよい。
【0083】
・上記各実施形態において、本発明を、マイクスタンド以外にも、例えば、シンバルスタンドや譜面台など、三脚を有する任意のスタンドに適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
10、60…マイクスタンド(スタンド)、12…パイプ(長尺部材)、13…ベース、13c…脚取付部、13d…延設壁、13g…下端(嵌合凸部)、15…脚、17、40…脚保持具(中間部材)、19a…ボルト頭部(凸部)、20,50…脚開き角度変更部材、21…ナット(凸部)、23、53…装着部、23a,53a…装着孔(凹部)、24…接続部、25、55…挿入部、28…嵌合凹部。