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特許7587308情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241113BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023130035
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2024-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(72)【発明者】
【氏名】諌山 陸
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2499489(KR,B1)
【文献】国際公開第2022/245631(WO,A1)
【文献】特開2023-019250(JP,A)
【文献】国際公開第2022/232162(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による排出量を示す情報と、複数のブロックから構成されるブロックチェーンにおける第2のブロックの直前のブロックである第1のブロックの内容を表すハッシュ値を取得する取得部と、
前記排出量を示す情報に対応する前記ハッシュ値を分析することにより、下流を構成する事業主体から取得した前記排出量を示す情報が改ざんされていない正常な情報であることを分析する分析部と、
分析の結果が正常な情報ではない場合、前記排出量を示す情報が正常な情報ではない旨を示す結果をユーザ端末に表示するよう情報を出力する出力部と、
を備え、
前記分析部は、前記排出量を示す情報が下流を構成する事業主体のうちの何れの事業主体に対応する情報であるかを分析可能であること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記排出量を示す情報には、少なくとも第1の排出量を示す情報と、当該第1の排出量を示す情報の次の情報である第2の排出量を示す情報とがあり、
前記ハッシュ値には、少なくとも第1のハッシュ値と、当該第1のハッシュ値の次の情報である第2のハッシュ値とがあり、
前記第1のハッシュ値と前記第2のハッシュ値とは関連する情報である一方、前記第1の排出量を示す情報と前記第2の排出量を示す情報とは関連する情報ではない情報であること
特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による排出量を示す情報と、複数のブロックから構成されるブロックチェーンにおける第2のブロックの直前のブロックである第1のブロックの内容を表すハッシュ値を取得するステップと、
前記排出量を示す情報に対応する前記ハッシュ値を分析することにより、下流を構成する事業主体から取得した前記排出量を示す情報が改ざんされていない正常な情報であることを分析するステップと、
前記排出量を示す情報が下流を構成する事業主体のうちの何れの事業主体に対応する情報であるかを分析するステップと、
分析の結果が正常な情報ではない場合、前記排出量を示す情報が正常な情報ではない旨を示す結果をユーザ端末に表示するよう情報を出力するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による排出量を示す情報と、複数のブロックから構成されるブロックチェーンにおける第2のブロックの直前のブロックである第1のブロックの内容を表すハッシュ値を取得するステップと、
前記排出量を示す情報に対応する前記ハッシュ値を分析することにより、下流を構成する事業主体から取得した前記排出量を示す情報が改ざんされていない正常な情報であることを分析するステップと、
前記排出量を示す情報が下流を構成する事業主体のうちの何れの事業主体に対応する情報であるかを分析するステップと、
分析の結果が正常な情報ではない場合、前記排出量を示す情報が正常な情報ではない旨を示す結果をユーザ端末に表示するよう情報を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量が不正な値で記憶されることを防止する提案がされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7189644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サプライチェーンの全体で二酸化炭素等の温室効果ガスの排出状況を把握するためには、サプライチェーンを構成する事業主体(上流又は下流の事業主体)が、自ら排出した二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量情報を相互に受け渡す必要がある。サプライチェーンを構成する事業主体(上流又は下流の事業主体)の間で受け渡しされる二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量情報は、その情報の正確性や信頼性が重要となっている。このため、他のサプライヤから提供される排出量情報の値が改ざんされないような対策が求められている。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出状況を把握することができるとともに、他のサプライヤからの排出量の値が改ざんされない技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る情報処理システムは、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、前記第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の前記第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温室効果ガスの排出状況を把握することができるとともに、他のサプライヤからの排出量の値が改ざんされないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
図2】管理サーバ200のハードウェア構成例を示す図である。
図3】管理サーバ200のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】目標排出量を出力する処理を説明する図である。
図5】ソリューションにより削減した排出量を出力する処理を説明する図である。
図6】削減目標を出力する処理を説明する図である。
図7】排出係数を提示する処理を説明する図である。
図8】第3の情報を生成・提示する処理1を説明する図である。
図9】第3の情報を生成・提示する処理2を説明する図である。
図10】第3の情報を生成・提示する処理3を説明する図である。
図11】第3の情報を生成・提示する処理4を説明する図である。
図12】炭素税を計算して提示する処理を説明する図である。
図13】第1の情報を分析して出力する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ200を含んで構成される。管理サーバ200は、ユーザ端末100と通信ネットワーク300を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク300は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
ユーザ端末100は、排出主体となる企業等の事業主体のユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末100は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。ユーザは、ユーザ端末100を用いて管理サーバ200にアクセスし、排出量の計算を行うことができる。
【0012】
管理サーバ200は、排出量の計算及び管理を行うコンピュータである。管理サーバ200は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0013】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ200のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク300に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ200の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ200の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0014】
図3は、管理サーバ200のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ200は、計算部210と、入力部220と、記憶部230と、出力部240と、取得部250と、生成部260と、推定部270と、分析部280と、実行部290と、を備える。管理サーバ200を含む情報処理システムは、複数の機能を備えている。以降、これらの機能について説明する。
【0015】
<<目標設定機能(第1機能)>>
図3を用いて、第1機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出係数記憶部、排出量記憶部、ソリューション記憶部)と、計算部210(排出量計算部、単位削減量計算部、目標排出量計算部)と、入力部220と、出力部240と、を備える。
【0016】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を含む情報(以下、排出係数情報という。)を記憶する。排出係数は、一次データ(排出主体自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータ)であってもよいし、二次データ(一次データ以外のデータ、例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたもの)であってもよい。排出係数記憶部は、活動の種類に対応付けて排出係数を記憶することができる。排出係数記憶部は、事業主体を特定する情報(起業ID)と、活動の種類を示す情報(種類特定情報)とに対応付けて、排出係数を記憶することができる。
【0017】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する。排出量記憶部は、事業主体による直接的な第1の排出量(スコープ1)、事業主体による間接的な第2の排出量(スコープ2)、及び事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量(スコープ3)を記憶することができる。また、排出量記憶部は、他の事業者に係る第3の排出量(スコープ3)に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶することもできる。本実施形態では、排出量記憶部は、事業主体を示す企業IDと、活動が行われた時期を特定する情報(時間情報)と、スコープと、カテゴリと、排出量とを対応付けて記憶することができる。時間情報は、例えば、年度や年、年月、年月日、日時範囲など任意の期間を設定することができる。スコープ及びカテゴリは、GHGプロトコルに規定されるスコープ及びカテゴリとすることができる。なお、カテゴリは省略されてもよい。
【0018】
記憶部230を構成するソリューション記憶部は、排出量の削減を実現するソリューションに関する情報(ソリューション情報という。)を記憶する。ソリューションは、例えば、削減計画の策定や実行などに係るコンサルティングサービス、再エネ電力の調達、Jクレジットなどのオフセット取引など、温室効果ガスの排出量の削減やオフセットに係る各種のサービス及び商品を含むことができる。ソリューション記憶部は、ソリューションを特定する情報(ソリューションID)及び当該ソリューションの採用可能な業種に対応付けて、ソリューションにより削減されうる排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶することができる。削減情報は、例えば、排出量に対する割合(パーセント)であってもよいし、活動量に乗じるための排出係数であってもよい。
【0019】
計算部210を構成する排出量計算部は、事業主体の排出量(又は第1ないし第4の排出量の少なくともいずれか)を計算することができる。排出量計算部は、例えば、活動量の入力を受け付け、活動量の種類に対応する排出係数を排出係数記憶部から取得し、取得した排出係数を活動量に乗じて活動ごとの排出量を計算し、スコープ及び/又はカテゴリ別に排出量を合計して排出量を計算することができる。なお、排出量計算部は、外部で計算された排出量の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0020】
入力部220は、事業主体による排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける。基準時点及び目標時点は、例えば、年(年度)である。基準時点の排出量を基準として、削減目標割合だけ削減した目標排出量を目標時点に実現することを目標として設定することができる。入力部220は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部220は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の削減目標割合を受け付けることもできる。
【0021】
入力部220は、他の事業者から第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部220は、例えば、他の事業者(の従業者)が操作するユーザ端末100から第3の削減目標割合を受信することができる。入力部220は、他の事業者のユーザ端末100に対して、第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、メッセージに応じて他の事業者から入力された第3の削減目標割合を当該ユーザ端末100から受信することができる。
【0022】
計算部210を構成する単位削減量計算部は、単位時間(単位期間)での排出量の削減量を計算する。単位時間は例えば1年であるが、四半期や月、週などとしてもよい。単位削減量計算部は、基準時点における排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減目標割合を乗じて、基準時点から目標時点までに削減する削減量を計算する。単位削減量計算部は、計算した削減量を基準時点から目標時点までの単位時間の数(例えば年数)で割って、単位時間(例えば1年)あたりに削減する削減量の目標値(単位削減量)を計算することができる。単位削減量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の単位削減量を計算することもできる。単位削減量計算部は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の単位削減量を計算することもできる。
【0023】
計算部210を構成する目標排出量計算部は、単位時間(例えば1年)ごとの排出量の目標値(目標排出量という。)を計算する。目標排出量計算部は、基準時点から単位時間ごとに、基準時点の排出量から累積の単位削減量を減じて目標排出量を計算することができる。目標排出量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、単位時間ごとの目標排出量(第1ないし第3の目標排出量)を計算することができる。目標排出量計算部は、第3の排出量について、単位時間ごとのカテゴリ別の第4の目標排出量を計算することができる。
【0024】
出力部240は、単位時間ごとに目標排出量を出力することができる。出力部240は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、目標排出量を出力することができる。出力部240は、第3の排出量について、カテゴリ別に第4の目標排出量を出力することができる。
【0025】
出力部240は、排出量が登録されている期間については、排出量と目標排出量(合計又は第1ないし第4の排出量及び目標排出量)を対応付けて出力することができる。出力部240は、例えば、グラフ形式により排出量と目標排出力とを出力することができる。
【0026】
出力部240は、ソリューションを導入した後の排出量(又は削減量)を可視化することもできる。出力部240は、例えば、ユーザ端末100からソリューションの指定を受け付け、指定されたソリューションに対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報に基づいて排出量の削減量を計算し、排出量から削減量を減じた値(シミュレーション排出量)を計算し、シミュレーション排出量を出力することができる。出力部240は、排出量及び目標排出量とともに、シミュレーション排出量を出力することもできる。
【0027】
<動作>
図4は、目標排出量を出力する処理(動作1)を説明する図である。
【0028】
管理サーバ200は、自社のユーザが操作するユーザ端末100から基準時点、目標時点、及び削減割合の入力を受け付ける(S401)。管理サーバ200は、サプライチェーンの上流及び/又は下流の他の事業主体のユーザ端末100に対して、基準時点及び目標時点を設定した、削減割合を要求するリクエストを送信する(S402)。他の事業主体のユーザは、リクエストに応じてユーザ端末100に削減割合を入力し、管理サーバ200は、リクエストに応じてユーザ端末100から送信される削減割合を受信する(S403)。なお、他の事業主体において排出量を管理するシステムが削減割合を応答するようにしてもよい。また、管理サーバ200は、自社のユーザから、他の事業主体による削減割合の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0029】
管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)ごとの削減量を計算する(S404)。管理サーバ200は、例えば、基準時点の排出量を排出量記憶部から読み出し、読み出した排出量に削減割合を乗じて削減量を計算することができる。管理サーバ200は、スコープ1及び2のそれぞれについて、異なる削減割合を受け付けるようにしてもよい。また、スコープ3については、他の事業主体のユーザ端末100から取得した削減割合は、自社のスコープ1、2に係る削減割合とは異なることがある。管理サーバ200は、自社の企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して、自社のユーザ端末100から受け付けた削減割合を乗じて目標削減量を計算するとともに、他の事業主体を示す企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して他の事業者のユーザ端末100から受信した削減割合を乗じて目標削減量を計算するようにし、スコープ及び/又はカテゴリごとに目標削減量を合計することができる。
【0030】
管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で目標削減量を割ることにより、単位時間ごとの削減量を計算し(S405)、基準時点の排出量から、累積した削減量を減じることにより、単位時間ごとの目標排出量を計算することができる(S405)。
【0031】
管理サーバ200は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量と目標排出量とを対応付けて出力することができる(S406)。管理サーバ200は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量のみを出力することができる。なお、管理サーバ200は、目標排出量ではなく単位時間ごとの削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0032】
図5は、ソリューションにより削減した排出量を出力する処理(動作2)を説明する図である。
【0033】
管理サーバ200は、ソリューションの指定を受け付け(S501)、受け付けたソリューション及び自社の業種に対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報と、基準時点の排出量とに基づいて、ソリューションの導入により期待される削減量(期待削減量)を計算する(S502)。管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で期待削減量を割ることにより、単位時間ごとの期待削減量を計算し(S503)、基準時点の排出量から、累積した単位時間ごとの期待削減量を減じることにより、単位時間ごとのソリューションの導入により期待される排出量(期待排出量)を計算することができる(S504)。管理サーバ200は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量及び目標排出量とともに、期待排出量を対応付けて出力することができる(S505)。管理サーバ200は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量と期待排出量とを対応付けて出力することができる。なお、管理サーバ200は、期待排出量ではなく単位時間ごとの期待削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0034】
管理サーバ200の計算部210と、入力部220と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0035】
<開示事項>
第1機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目A1(P025)]
事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体による前記排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける入力部と、前記基準時点に対応する前記排出量を前記排出量記憶部から取得し、取得した前記排出量に前記削減目標割合を乗じて削減量を計算し、計算した前記削減量を前記基準時点から前記目標時点までの単位時間の数で割った単位削減量を計算する単位削減量計算部と、前記単位時間ごとに、前記基準時点に対応する前記排出量から累積の前記単位削減量を減じた目標排出量を計算する目標排出量計算部と、前記単位時間ごとに前記目標排出量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目A2]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記事業主体による直接的な第1の排出量、前記事業主体による間接的な第2の排出量、及び前記事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記単位時間ごとの前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A3]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記他の事業者に係る前記第3の排出量に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第3の排出量について、前記単位時間ごとの前記カテゴリ別の第4の前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別に前記第4の目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A4]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者から前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A5]
項目A4に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者に対して、前記第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、前記メッセージに応じて前記他の事業者から入力される前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A6]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量の削減を実現するソリューションを特定する情報及び前記ソリューションにより削減されうる前記排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶するソリューション記憶部を備え、前記出力部は、前記ソリューションの指定を受け付け、指定された前記ソリューションに対応する前記削減情報を前記ソリューション記憶部から読み出し、読み出した前記削減情報に基づいて前記排出量の前記削減量を計算し、前記排出量から前記削減量を減じた値を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
【0036】
<<目標設定サジェスト機能(第2機能)>>
次に、第1機能の実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第2機能の実施形態とし、以下に詳述する。第2機能の実施形態では、GHGプロトコルの特にスコープ3に係る排出量の削減目標を策定する支援を行う。スコープ3に係る排出量は、排出量を算定しようとする事業主体に係るサプライチェーンの上流及び/又は下流を構成する事業主体(以下、サプライヤという。)による温室効果ガスの排出量である。第2機能を備える情報処理システムでは、サプライヤの削減目標を取り込んで、自社のスコープ3に係る排出量の削減目標の候補として提案する。
【0037】
図3を用いて、第2機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部、目標記憶部)と、取得部250(目標取得部)と、推定部270と、計算部210(削減率計算部)と、を備える。
【0038】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、サプライヤごとの温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する。第2機能の実施形態では、排出量記憶部は、排出量を特定する情報として、活動量と排出原単位とを記憶するものとするが、排出量そのものを記憶するようにしてもよい。排出量記憶部は、サプライヤを示す企業ID、時間情報、サプライヤによる活動を特定するための情報(活動内容)、当該活動に係る活動量及び排出原単位を記憶することができる。時間情報は、例えば、年であってよい。時間情報として、年月、年月日などとすることもできる。
【0039】
排出量記憶部はさらに、自社による直接的及び間接的な排出量(スコープ1、2に係る排出量)を特定する情報を記憶することができる。排出量記憶部は、自社のスコープ1、2に係る排出量を特定する情報として、排出量そのものを記憶してもよいし、活動量と排出係数とを記憶してもよい。
【0040】
記憶部230を構成する目標記憶部は、サプライヤごとに目標削減率を記憶する。目標削減率は、サプライヤが設定した目標であり、基準年のサプライヤの排出量に対する割合である。目標記憶部は、サプライヤを特定する企業ID及びサプライヤによる活動を特定する活動内容に対応付けて、基準時点、目標時点、及び削減率を記憶する。基準時点及び目標時点は、例えば、年によって特定してもよいし、年月や年月日、日時などにより特定するようにしてもよい。
【0041】
取得部250を構成する目標取得部は、サプライヤから目標削減率を取得する。目標取得部は、例えば、サプライヤのユーザに対してリクエストを送信し、サプライヤのユーザ端末100から目標削減率を受信するようにすることができる。目標取得部は、目標削減率が管理されているサーバから目標削減率を取得するようにしてもよいし、サプライヤが開示した目標削減率を、例えば、サプライヤのWebページや新聞社のWebページなどから取得するようにしてもよい。目標取得部は、活動内容、基準年、目標年、削減率を取得することができる。目標取得部は、取得した目標削減率を目標記憶部に登録することができる。
【0042】
目標取得部は、自社の排出量に係る目標の削減率(自社削減率)を取得することもできる。目標取得部は、ユーザ端末100から自社削減率を受信することができる。
【0043】
推定部270は、サプライヤごとに将来の排出量を推定する。推定部270は、基準時点のサプライヤの排出量(活動量に排出原単位を乗じた値)に目標削減率を乗じて、目標時点の排出量を計算することができる。
【0044】
推定部270は、目標削減率を取得できなかったサプライヤについて、目標記憶部に記憶されている目標削減率の統計値を当該サプライヤの目標削減率として将来の排出量を推定することができる。推定部270は、例えば、全てのサプライヤの目標削減率の平均を、目標削減率を取得できなかったサプライヤの目標削減率とすることができる。
【0045】
計算部210の一つである削減率計算部は、スコープ3に係る排出量の目標削減率を計算する。削減率計算部は、サプライヤごとに推定した将来の排出量の第1の合計値と、基準時におけるサプライヤごとの排出量の第2の合計値との比較により、削減率(第1の合計値から第2の合計値を引いた値の第1の合計値に対する割合)を計算することができる。削減率計算部は、スコープ3の各カテゴリについて同様に削減率を計算することができる。
【0046】
また、削減率計算部は、スコープ1ないし3の合計に係る削減率(カーボンフットプリント:CFPの削減率)を計算することもできる。削減率計算部は、自社の排出量と自社削減率に基づいて、自社についての将来の(目標時点での)排出量を計算し、自社及びサプライヤについて目標時点での排出量の第1の合計値と、自社及びサプライヤについての基準時点での排出量の第2の合計値とを算出し、第1及び第2の合計値の差の第2の合計値に対する割合を、スコープ1ないし3に係る削減率として計算することができる。
【0047】
<動作>
図6は、削減目標を出力する処理(動作3)を説明する図である。
【0048】
管理サーバ200は、サプライヤから削減目標(基準時点から目標時点までの削減率)を取得する(S601)。管理サーバ200は、例えば、サプライヤのユーザにリクエストを送信して、サプライヤのユーザのユーザ端末100から削減目標を受信することができる。管理サーバ200は、サプライヤの活動に関する基準時点での排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算する(S602)。管理サーバ200は、各サプライヤについて計算した削減目標量を合計してスコープ3に係る削減目標量を計算する(S603)。なお、管理サーバ200は、削減目標を取得できなかったサプライヤについては、スコープ3の他のサプライヤあるいはスコープ3の同カテゴリの他のサプライヤの削減目標の統計値(削減率の平均値など)を用いて削減目標量を計算することができる。
【0049】
管理サーバ200は、基準時点におけるサプライヤの排出量の合計(すなわち、基準時点におけるスコープ3の排出量)を計算し、スコープ3に係る削減目標量の当該合計値に対する割合を、スコープ3の目標削減率として計算することができる(S604)。
【0050】
管理サーバ200は、自社のスコープ1及び2の削減目標を取得する(S605)。管理サーバ200は、例えば、自社の削減目標を取得して、基準時点における自社の排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算することができる。自社の削減目標は、例えば、自社のユーザに対してリクエストを送信し、自社のユーザのユーザ端末100から削減目標を受信することができる。
【0051】
管理サーバ200は、自社のスコープ1及び2に係る排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量(の合計)に削減率を乗じて、目標時点までのスコープ1、2に係る削減目標量を計算する(S606)。
【0052】
管理サーバ200は、スコープ1-3の削減目標量を合計し(S607)、排出量記憶部から基準時点におけるスコープ1-3に係る排出量の合計を計算し、計算した基準時点におけるスコープ1-3の排出量に対する、スコープ1-3の削減目標量の合計値の割合を、自社の目標削減率として計算する(S608)。
【0053】
管理サーバ200は、スコープ3の削減目標(目標削減率)、スコープ1-3(カーボンフットプリント;CFP)の削減目標(目標削減率)を出力することができる(S609)。
【0054】
以上のようにして、第2機能の情報処理システムによれば、サプライヤから収集した削減目標に基づいて、自社のスコープ3に係る削減目標及び自社のカーボンフットプリントに係る削減目標を自動計算することができる。
【0055】
管理サーバ200の計算部210と、取得部250と、推定部270を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0056】
<開示事項>
第2機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目B1(P032)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する複数の事業主体から温室効果ガスの目標削減率を取得する目標取得部と、基準時点における前記事業主体ごとの前記温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体ごとに、前記排出量に前記目標削減率を乗じて将来の排出量を推定する推定部と、前記事業主体ごとに推定した前記将来の排出量の合計値と、前記基準時における前記事業主体ごとの前記排出量の合計値との比較により、前記事業主体の全体に係る前記排出量の目標削減率を計算する計算部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目B2]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部はさらに、前記事業主体による第1の前記排出量を特定する情報とともに、自社による直接的及び間接的な第2の排出量を特定する情報を記憶し、前記目標取得部は、前記第2の排出量に係る自社削減率を取得し、前記計算部は、前記事業主体について前記将来の第3の排出量を推定するともに、前記第2の排出量と前記自社削減率とに基づいて、前記自社についての将来の第4の排出量を計算し、第3及び第4の排出量の合計に応じた値と、前記第1及び第2の排出量の合計に応じた値とに応じて、前記自社に係る目標削減率を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目B3]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記事業主体ごとに前記目標削減率を記憶する目標記憶部を備え、前記推定部は、前記目標削減率を取得できなかった前記事業主体について、前記目標記憶部に記憶されている前記目標削減率の統計値を当該事業主体の前記目標削減率として前記将来の排出量を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
【0057】
<<各種情報の生成・提示機能(第3機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第2機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第3機能の実施形態とし、以下に詳述する。P030、P044、P045、P047、P052、P054、P063、P064。
【0058】
図3を用いて、第3機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出係数記憶部、規模情報記憶部)と、取得部250(活動量取得部、情報取得部)と、計算部210(排出量計算部)と、出力部240(情報提示部、排出係数提示部)と、生成部260(情報生成部、情報変換部)と、入力部220(情報入力部)を備える。
【0059】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、事業主体ごとに、当該事業主体による温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する。排出係数記憶部は、事業主体及び事業主体による活動を特定する情報(活動内容)に対応付けて排出係数を記憶することができる。排出係数記憶部は、自社の排出係数についても記憶することができる。
【0060】
記憶部230を構成する規模情報記憶部は、事業主体ごとに、当該事業主体の規模を示す規模情報を記憶する。本実施形態では、事業主体の規模は、売上規模及び資産規模の少なくともいずれかである。売上規模及び資産規模は、数値であってよい。本実施形態では、規模情報には、事業主体を示す事業主体IDに対応付けて、事業主体の売上高及び資産額が含まれる。規模情報記憶部は、後述する第1の情報と第2の情報を記憶する。第1の情報と第2の情報を合わせて合算情報として、この合算情報を規模情報記憶部に記憶するようにしてもよい。なお、規模情報記憶部とは別の記憶部を用いて、第1の情報と第2の情報を記憶するようにしてもよい。
【0061】
取得部250を構成する活動量取得部は、事業主体の活動量を取得する。活動量取得部は、自社の活動量の入力を受け付けることができる。また、活動量取得部は、自社の会計システムや業務システムなどから自社の活動量を取得することができる。
【0062】
活動量取得部は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する第1の事業主体(サプライヤ)による活動量を取得することもできる。活動量取得部は、例えば、活動量の入力を受け付けるようにしてもよいし、サプライヤの情報処理装置から活動量を取得するようにしてもよい。
【0063】
計算部210を構成する排出量計算部は、温室効果ガスの排出量を計算する。排出量計算部は、自社の排出量を計算するようにしてもよい。排出量計算部は、サプライヤの排出量を計算することもできる。排出量計算部は、サプライヤに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出し、読み出した排出係数を、活動量取得部が取得したサプライヤの活動量に乗じることで、サプライヤによる排出量を計算することができる。
【0064】
出力部240を構成する排出係数提示部は、サプライヤの排出量が登録されていない場合に、サプライヤに類似した他の事業主体の排出係数を提示する。排出係数提示部は、提示する排出係数をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100から採用する排出係数の指示を受け付けることができる。ユーザ端末100は、提示された排出係数を採用してもよいし、自身が知っている排出係数を入力してもよいし、環境省などが提供している標準的な排出係数を採用してもよい。排出量計算部は、ユーザ端末100から指示された排出係数を用いて排出量を計算することができる。
【0065】
出力部240を構成する排出係数提示部は、サプライヤに対応する規模情報を規模情報記憶部から読み出し、さらに規模情報記憶部を参照して、読み出した規模情報と一致又は類似する規模情報に対応する第2の事業主体(他のサプライヤ)を特定し、特定した他のサプライヤに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出す。規模情報の類似は、売上高及び/又は資産額の差が所定範囲内に含まれるか否かにより判定することができる。排出係数提示部は、特定した他のサプライヤと、活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すようにしてもよい。排出係数提示部は、読み出した排出係数を提示することができる。なお、第2の事業主体は、1又は複数の他のサプライヤである。
【0066】
排出係数提示部は、活動に係る規模情報が類似する他のサプライヤを特定するようにしてもよい。この場合、規模情報記憶部が記憶する規模情報には、活動別(例えば製品別、サービス別等)の売上高及び/又は資産額が含まれるようにする。排出係数提示部は、活動に係る規模情報が一致又は類似する他のサプライヤと、当該活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すことができる。
【0067】
取得部250を構成する情報取得部は、第1の情報と第2の情報を取得する。第1の情報は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む情報である。第1の情報は、例えば、排出に関連する情報が記載されたレポート(以下、排出レポート)、複数の外部の知見が示された情報群等である。第1の情報は、排出情報とも称する。排出レポートは、TCFDレポート、CDPレポート(CDP質問書への回答)、サステナビリティレポート、省エネ法に基づく定期報告のレポートを例示するが、他のレポートであってもよい。温室効果ガスの排出に関連する情報は、例えば、排出量を示す情報、排出レポートに記載する内容の情報、内部や外部の知見が示された情報等である。
【0068】
第2の情報は、少なくとも事業主体(サプライヤ)の属性を示す情報である。第2の情報には、例えば、規模情報、各サプライヤの属性情報、業種の情報、温室効果ガスの排出登録の情報、今後の目標の情報、サプライヤの属性情報として業界情報、業界の傾向情報、顧客情報、会計項目と排出原単位をマッピングした情報、GHGプロトコルに関連するガイドラインの情報、過去に蓄積した会計項目と排出係数のマッピングした情報などの内部や外部の知見の情報等の各種情報が含まれる。第2の情報は、変数でもよい。
【0069】
情報取得部がこれらの情報を取得する方法は、1又は複数のユーザ端末100から入力された情報を取得する方法と、管理サーバ200が情報を取得する方法とを含む。管理サーバ200が取得する方法の場合は、第1の事業主体に対応した属性情報等に基づき、第2の事業主体の規模情報や排出に関連する情報等を取得する。例えば、第1の事業主体に対応した属性情報が運送の場合、運送情報である第2の事業主体の規模情報と排出に関連する情報を取得する。排出に関連する情報(排出に関する種別の情報とも称する。)は、例えば、温室効果ガスの排出量の情報やスコープ1~3を示す情報やスコープ3のカテゴリ1~15を示す情報等である。情報取得部と活動量取得部は、別の取得部ではなく、一の取得部としてもよい。また、排出に関連する情報は、排出レポートに記載する内容の情報等であってもよい。
【0070】
生成部260を構成する情報生成部は、第1の事業主体に対応する第2の情報(例えば、自社の属性情報である運送の情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第2の情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他の運送のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、TCFDレポートに記載する内容の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、レビュー結果を反映させたTCFDレポートや新規のTCFDレポート)を生成する。第3の情報は、第2の事業主体の排出レポートに記載する内容を反映させた情報である。つまり、第3の情報は、他のサプライヤの排出レポートに基づき作成される情報であり、管理サーバ200は、複数の他のサプライヤの排出レポートを記憶し、これらの情報に基づき第3の情報を生成する。詳細には、複数の他のサプライヤの排出レポートを生成部260によって分析し、分析結果に基づき第3の情報を生成する。なお、生成部260とは異なる機能としての分析部280を生成部260とは別に設け、分析部280で複数の他のサプライヤの排出レポートを分析し、分析部280での分析結果に基づき、生成部260が第3の情報を生成するようにしてもよい。分析する対象は、他のサプライヤの排出レポートに限られない。排出量や第4機能の実施形態の炭素税などを分析して将来の排出量や炭素税などを提示するようにしてもよい。また、生成する第3の情報は、排出レポートそのものであってもよく、この場合、情報生成部は、新規の排出レポートを作成する。さらに、第3の情報は、第2の事業主体の排出量の情報やスコープ1~3を示す情報やスコープ3のカテゴリ1~15を示唆する情報等であってもよい。
【0071】
また、情報生成部は、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、外部の知見の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成する。なお、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報に第1の事業主体に対応する排出に関連する情報を組み合わせた合算情報(例えば、内部の知見と外部の知見を合わせた情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成するようにしてもよい。第3の情報は、質問に対する回答の情報として、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由を示す情報等である。さらに、第3の情報は、質問に対する提案の情報としてもよい。さらにまた、第3の情報は、質問に対する回答と質問に対する提案としてもよい。
【0072】
また、第1の事業主体に対応する情報を、例えば、ユーザが会計項目に対するスコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報としてもよい。この場合、情報生成部は、第1の事業主体に対応する情報(例えば、会計項目に対するスコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、外部の知見の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、マッピングした情報に対する知見)を生成する。第3の情報は、会計項目と排出原単位をマッピングした情報、スコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報等である。
【0073】
生成部260を構成する情報変換部は、或る種類の排出レポート(第1の情報)における単位情報(例えば、キロワット)を他の種類の排出レポート(第3の情報)における単位情報(例えば、ギガジュール)に変換する。情報変換部は、第1の情報としての排出レポートの種類と第3の情報としての排出レポートの種類とが異なると判断した場合、単位情報を変換する処理を実行するが、ユーザによって、変換後の単位情報が指定された場合は、指定された単位情報をセットする処理を実行するようにしてもよい。このようにユーザによって単位情報が指定される場合、後述する情報提示部により、指定された単位情報が第3の情報と整合しない旨をユーザに提示(報知)する。また、この場合、情報提示部は、第3の情報と整合する単位情報を提示する。そして、提示した単位情報に変換したい旨がユーザによって指示された場合、情報変換部は、第3の情報に対応する単位情報に変換する。なお、排出レポートの種類が異なるか否かを情報変換部が判断する例を示したが、情報変換部とは異なる情報判断部を設けて判断するようにしてもよい。情報判断部は、生成部260を構成するものであるが、生成部260とは異なる判断部等を構成するものとしてもよい。なお、単位情報は、円からドルなど通貨の単位情報であってもよい。
【0074】
情報提示部は、第3の情報を提示する。情報提示部は、提示する第3の情報をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100で第3の情報を表示する。また、ユーザ端末100に送信された第3の情報は、ユーザ端末100で編集、加工することができる。情報提示部は、排出係数提示部と別の機能として説明するが、同じ機能としてもよく、この場合は提示部とする。
【0075】
情報入力部は、ユーザ端末100から入力された第1の事業主体に対応する情報を管理サーバ200に入力する。管理サーバ200は、入力された第1の事業主体に対応する情報を、情報取得部によって取得する。第1の事業主体に対応する情報は、例えば、質問等の問い合わせの情報である。
【0076】
また、ユーザが自社で作成した排出レポートの情報をユーザ端末100によって管理サーバ200に入力すると、レビュー結果(第3の情報)を表示するようにしてもよい。この場合、自社で作成した排出レポートが第1の情報である。また、自社で作成した排出レポートには、第2の情報が含まれるようにすることが好ましい。管理サーバ200は、取得した複数の他のサプライヤの排出レポートを基にして、ユーザの排出レポートにとって必要となる記載項目の情報や排出レポート内で加筆、修正すべき内容の情報であるレビュー結果を生成し、レビュー結果を反映させた排出レポートを提示する。排出レポートの情報を管理サーバ200に入力する方法は、OCRを介した文字情報を入力部220により入力するようにしてもよい。このようにすることで、複数種類の排出レポートを容易に取得することができる。
【0077】
排出レポートの情報を管理サーバ200に入力する場合、OCRで読み込む文字情報として、車検証に記載された情報を文字情報として入力部220により入力するようにしてもよい。車検証に記載された情報は、自動車登録番号、登録年月日/交付年月日、初年度登録年月、自動車の種別、用途(乗用または貨物の種別を記載、第2の情報)、自家用・事業用の別(自家用または事業用の種別を記載、第2の情報)、車体の形状(バン、ステーションワゴン等の種別を記載、第2の情報)、車名、乗車定員、最大積載用、車両重量、車両総重量、車体番号、長さ、幅、高さ、前前軸重、前後軸重、後前軸重、後後軸重、型式、原動機の型式、総排気量又は定格出力(原動機の型式と組み合わせて第1の情報)、燃料の種類(ガソリン、軽油等の種別を記載、第1の情報)、型式指定番号、類別区分番号、車両ID、所有者の氏名又は名称、所有者の住所、使用者の氏名又は名称、使用者の住所、有効期間の満了する日等である。これらの情報は、情報処理システムの車両マスターに取り込むことができる。車両マスターへは、車両マスターの項目と車検証の項目をマッチングさせることで、自動取り込みが可能となっている。このように車検証のデータを入力することで、情報処理システムの車両マスターの情報として容易に取り込むことができる。車両マスターの情報は、物流業者に対して出力可能であり、物流業者は、この車両マスターデータを車両管理台帳として物流業者内で使用できるようになっている。
【0078】
車検証の情報をOCRにて入力する場合、以下の構成を備える情報処理システム、コンピュータが実行する情報処理方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる(P060)。サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報(例えば、排出量の情報や燃料の種類としてガソリンや軽油の情報)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、車検証の情報として自家用、事業用の情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、排出原単位)を設定する情報設定部(生成する情報生成部)と、第3の情報を提示する提示部と、を備える。元受け事業者と下請け事業者からなる物流事業者の場合、第3の情報としての排出原単位は、下請け事業者が元受け事業者に報告する排出原単位である。情報設定部は、生成部260を構成するものである。情報設定部の代わりに情報生成部が第3の情報を生成するようにしたり、情報特定部が第3の情報を特定したりしてもよい。情報特定部が特定する場合であっても、提示部により特定した情報を提示することが好ましい。
【0079】
取得部250で排出レポートを取得した場合や第1の情報が排出レポートの場合、情報設定部は、排出レポートの種類に基づいた排出原単位を設定することが好ましい。
【0080】
車検証に記載される情報は、バーコード、QRコード(登録商標)やICタグに含めて車検証に付加することとしてもよい。バーコード、QRコード(登録商標)、ICタグの場合、ユーザ端末100を用いて読み取り、その情報を入力部220により入力することが好ましい。
【0081】
また、ICタグを用いる場合は、走行実績を算出する際に、走行開始の地点(時点)、走行終了の地点(時点)で読み取り、これらの情報を入力部220により入力することで、走行実績を記憶部230に記憶(登録)させることができるようになっている。そして、計算部210は、走行実績を用いて温室効果ガスの排出量を算出可能となっている。なお、走行実績は、物流事業者等のユーザであれば、輸送実績として用いることもできる。物流事業者等のユーザが走行実績を輸送実績として用いる場合、荷主情報、荷物情報(輸送・配送の荷物の名称)などの特定情報に基づいて、情報特定部が排出量を特定することができる。例えば、元受け事業者が荷主情報として荷主Aや荷主Bを示す特定情報で検索することができ、検索結果として荷主Aや荷主Bの荷主単位の排出量が特定され、提示可能となっている。荷主情報は、車両マスターにおける所有者の氏名又は名称、所有者の住所、使用者の氏名又は名称、使用者の住所等から情報特定部が荷主を特定可能となっている。
【0082】
<動作>
図7は、情報処理システムの排出係数を提示する処理(動作4)を説明する図である。
【0083】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、対応するサプライヤの当該活動に係る活動量を取得する(S701)。管理サーバ200は、例えば、サプライヤに対してリクエストを送信し、サプライヤのユーザ端末100から活動量を受信するようにしてもよいし、自社のユーザ端末100から活動量を受信するようにしてもよいし、サプライヤの業務システムなどから活動量を取得するようにしてもよい。管理サーバ200は、サプライヤと活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から取得する(S702)。
【0084】
排出係数が取得できなかった場合(S703:NO)、管理サーバ200は、サプライヤに対応する規模情報を規模情報記憶部から読み出す(S704)。管理サーバ200は、サプライヤ及び活動に対応する活動に係る規模情報(売上高及び/又は資産額)を取得するようにしてもよい。管理サーバ200は、取得した規模情報に類似する他のサプライヤを規模情報記憶部から特定し(S705)、他のサプライヤと活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出す(S706)。管理サーバ200は、他のプライヤと活動とに対応する排出係数が登録されていない場合には、S705からの処理を繰り返すことができる。管理サーバ200は、読み出した排出係数をユーザ端末100に送信し(S707)、ユーザ端末100から使用する排出係数の指定を受け付ける(S708)。
【0085】
管理サーバ200は、排出係数と活動量を乗じて排出量を計算することができる(S709)。
【0086】
以上のようにして、排出係数が不明なサプライヤについて、規模が類似する他のサプライヤの排出係数をユーザに提示することができる。ユーザは、二次データではなく、類似する自社に係る他のサプライヤの排出係数を用いることができる。
【0087】
第3機能の実施形態では、サプライヤと規模情報が類似する他のサプライヤを特定するものとしたが、サプライヤの業種と一致又は類似し、かつ、規模(売上高、資産額)が一致又は類似する他のサプライヤを特定するようにしてもよい。この場合、規模情報に事業主体の業種を含めるようにしてもよいし、事業主体の業種を記憶する業種記憶部を設けるようにしてもよい。
【0088】
図8は、第3の情報を生成して提示する処理1(動作5)を説明する図である。
【0089】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S801)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S802)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を規模情報記憶部に記憶する(S803)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する第2の情報を規模情報記憶部から読み出す(S804)。次に、管理サーバ200は、規模情報記憶部を参照して、読み出した第2の情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体を特定する(S805)。次に、管理サーバ200は、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する(S806)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S807)。
【0090】
動作5において、管理サーバ200は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を計算するようにしてもよい。この計算は、排出量計算部によって実行する。また、動作4と動作5とを組み合わせてもよい。
【0091】
温室効果ガスの排出に関連する情報の開示を進める企業が増えている。排出レポートを作成するためには、専門的な知見やノウハウが必要となるが、これらを有していない事業者(特に中小企業)では、排出レポートを作成する場合、集計すべき情報の種類や記載事項がわからないということが多く、この分野に精通しているコンサルタントに頼らざるを得ない状況となっている。また、同業他社が開示している排出レポートを参照することにより、自社で排出レポートを作成することは可能であるが、参照する排出レポートから自社にとって必要な情報を集約、整理するためには、多大な工数がかかってしまうという問題が生じている。
【0092】
動作5(P044)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、TCFDレポートに記載する内容の情報)を含む第1の情報(例えば、TCFDレポート)と、事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、サプライヤの属性情報として運送情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報(運送情報)と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、新規のTCFDレポート、レビュー結果を反映させたTCFDレポート)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。
【0093】
このように第1の情報や第2の情報等の前提条件を入力するだけで、ユーザに適した排出レポートのフォーマットが提供されるため、専門的な知見やノウハウを有していない事業者であっても、容易に排出レポートを作成することができる。また、公表されている多数の排出レポートを基にして情報処理システムがレビューしてくれるため、自社で作成した排出レポートの精度を高めることができる。
【0094】
また、動作5(P063)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、CDPレポートに記載する内容の情報)を含む第1の情報(例えば、CDPレポート)と、事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、サプライヤの属性情報として業種・売上・従業員数などの企業情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報(企業情報)と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報(例えば、評価の高いCDPレポートに記載する内容の情報)に基づき第3の情報(例えば、新規のCDPレポート、レビュー結果を反映させたCDPレポート)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。また、当該情報処理システムは、指示情報(例えば、質問の情報、情報生成部に対しての指示情報)を入力する入力部と、指示情報に基づき新たな情報(例えば、質問の回答、アンケート、新たなメールアドレス、コード)を生成する情報生成部と、を備える。なお、分析部280を設けて、取得部250で取得したCDPレポートの評価を実行し、高い評価のレポートを対象として取得するようにしてもよい。前年度のスコアを参照、分析してスコアが高い順にソートし、トップ10(トップ10に限られない)のレポートを取得するようにしてもよいし、前年度及び前々年度等の複数年分のスコアを参照、分析して平均スコアが高いトップ10のレポートを取得するようにしてもよいし、複数年分のスコアを参照、分析する場合は、最新のスコアを優先的に使用するようにしてもよい。また、分析部280は、取得部250で取得した情報を機械学習し、ベストなアンサーを生成するようにしてもよい。このように属性が示す業界の上位のCDPレポートを分析して提示してくれるため、スコアの高い排出レポート(例えば、CDPレポート)を作成することができるとともに、気候変動の戦略等にも役立てることができる。なお、年に1回のCDPレポートの提出後、自動的に提出されたCDPレポートを取得するようにして、機械学習するようにしてもよい。また、CDPレポートの取得は、ユーザ端末100を用いてユーザが個別に参照するCDPレポートを指定することもできる。
【0095】
図9は、第3の情報を生成して提示する処理2(動作6)を説明する図である。
【0096】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S901)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S902)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を規模情報記憶部に記憶する(S903)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する第2の情報を規模情報記憶部から読み出す(S904)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する情報を取得する(S905)。第1の事業主体に対応する情報を取得とは、ユーザ端末100から入力された第1の事業主体に対応する情報を記憶部(例えば、規模情報記憶部)に記憶し、この記憶した情報を読み出して取得することを示す。次に、管理サーバ200は、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体を特定する(S906)。次に、管理サーバ200は、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する(S907)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S908)。
【0097】
動作6において、管理サーバ200は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を計算するようにしてもよい。この計算は、排出量計算部によって実行する。また、動作6は動作4、2と組み合わせてもよい。
【0098】
各企業において、顧客からの質問(問い合わせ)対応に係る工数を削減するための手段としてFAQやチャットボットが活用されている。しかしながら、従来のFAQやチャットボットは、あらかじめパターン化した対応しかできないため、質問者が真に求めている回答や解決策を引き出せないことがある。
【0099】
動作6(P045)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する複数の事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、内部の知見)を少なくとも含む第1の情報(例えば、内部の知見の群情報)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、顧客情報等の外部の知見の情報)を取得する取得部と、取得した第1の情報と第2の情報を記憶する記憶部(例えば、規模情報記憶部)と、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を入力する入力部と、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。なお、入力部は、マイクロフォンなどにより音声による入力を可能とする音声入力部を含む。音声入力部は、音声入力開始のボタンの押下を検出することに基づき、音声入力を開始する。音声入力部は、音声入力を開始した後、音声入力開始のボタンの押下を再度検出することに基づき、音声入力を終了する。なお、音声入力終了のボタンの押下を検出することに基づき、音声入力を終了するようにしてもよい。また、音声が途切れたことに基づき、音声入力を終了するようにしてもよいし、音声入力の開始から所定時間の経過に基づき、音声入力を終了するようにしてもよい。音声入力部から入力した情報は、取得部によって取得され、記憶部に記憶される。
【0100】
また、動作6(P047)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関する種別の情報(例えば、スコープを示す情報)を少なくとも含む排出情報(例えば、スコープを示す情報の群情報)を取得する取得部と、取得した排出情報を記憶する記憶部(例えば、規模情報記憶部)と、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を入力する入力部と、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する排出に関する種別の情報(例えば、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報)に基づき第1の事業主体に対応する種別の情報(例えば、質問に対する回答の情報として、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由の情報)を生成する情報生成部と、第1の事業主体に対応する種別の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。なお、第1の事業主体に対応する種別の情報は、第3の情報でもある。
【0101】
このように公表されている外部の専門的な知見と社内で蓄積している顧客データ等の内部の知見を融合することにより、質問者である顧客が真に求めている回答や解決策を引き出すことができ、自動的に精度の高い問い合わせ対応をすることが可能となる。
【0102】
また、以下のような課題も生じている。特定事業者などに指定されている企業・団体には、省エネ法に基づき、エネルギー使用状況等を定期報告する義務が課されている。この定期報告とは別に、CDP(国際的な環境非営利団体)から企業・団体に対して環境インパクトに関する情報開示が求められており、企業・団体は、任意で「環境に関するCDP質問書」へ回答することにより、気候変動関連情報の開示に対応している企業・団体であることを対外的にアピールしている。企業・団体は、省エネ法に基づく定期報告およびCDP質問書への回答をすることにより、自らのエネルギー使用状況等を対外的に報告している。しかし、省エネ法に基づく定期報告に使用する排出原単位(キロワット)とCDP質問書への回答に使用する排出原単位(ギガジュール)が異なっているため、報告主体である企業・団体において、算定した二酸化炭素排出量データの排出原単位を省エネ法に基づく定期報告用からCDP質問書用に変換する作業が生じている。CDP質問書用の排出原単位から省エネ法に基づく定期報告用の排出原単位に変換する作業や或る排出レポートの排出原単位から他の排出レポートの排出原単位に変換する作業も同様である。これにより、報告主体である企業・団体には、異なる排出レポートにおける排出原単位への変換に多大な作業工数が生じている。
【0103】
動作6(P052)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報(例えば、省エネ法に基づく排出レポート)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、CDPレポート)を生成する情報生成部と、第1の情報における単位情報(例えば、キロワット)を第3の情報における単位情報(例えば、ギガジュール)に変換する情報変換部と、第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システムを提供することができる。なお、第1の情報を或る種類の排出レポート(例えば、省エネ法に基づく排出レポート)とした場合、第3の情報は或る種類とは異なる他の種類の排出レポート(例えば、CDPレポート)が好ましいが、第3の情報は或る種類の新たな排出レポート(例えば、省エネ法に基づく新たな排出レポート)でもよい。
【0104】
このようにすることで、或る排出レポートの排出原単位から他の排出レポートの排出原単位に変換する作業を自動化することができるため、排出原単位の変換作業を効率化することができる。特に、省エネ法に基づく定期報告に使用する排出原単位(キロワット)をCDP質問書への回答に使用する排出原単位(ギガジュール)へ変換する作業を自動化することができるため、CDP質問書への回答を効率化することができるようになる。
【0105】
図10は、第3の情報(新たな情報)を生成して提示する処理3(動作7)を説明する図である。
【0106】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する(S1001)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S1002)次に、管理サーバ200は、取得した排出情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1003)次に、管理サーバ200は、指示情報の入力があるか否かを判断する(S1004)。指示情報の入力とは、ユーザがユーザ端末100から指示情報を入力することである。入力方法は、文字入力、音声入力の例を示す。指示入力の入力がない場合(S1004:NO)、管理サーバ200は、指示情報が入力されるまでS1004の処理をループさせる。一方、指示入力の入力がある(あった)場合(S1004:YES)、管理サーバ200は、指示情報を取得する(S1005)。S1004で入力された指示情報は、記憶部230に記憶され、S1005で、この記憶した情報を読み出して取得している。次に、管理サーバ200は、指示情報に基づき、第3の情報(新たな情報)を生成する(S1006)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S1007)。
【0107】
動作7(P064)は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、CDPレポートに記載する内容の情報)を少なくとも含む排出情報(例えば、CDPレポート)を取得する取得部と、取得した排出情報を記憶する記憶部と、指示情報(第1の事業主体に対応する情報。例えば、質問の情報、情報生成部に対しての指示情報)を入力する入力部と、指示情報(第1の事業主体に対応する情報)(の一部と一致又は類似する排出に関連する情報)に基づき新たな情報(例えば、アンケート、新たなメールアドレス、コード)を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
【0108】
例えば、生成部(情報生成部)は、指示情報(CDPレポートに記載する内容の情報のアンケートをサプライヤA社とサプライヤB社の向けに作成してください。アンケート内容は●●●と▲▲▲と×××に関する情報を取得するための内容にしてください。作成したアンケートをyyyy年mm月dd日にサプライヤA社とサプライヤB社に送信してください。)に基づき、取得したCDPレポートに記載する内容の情報を参照、参考にして、当該情報からCDPレポートに記載すべき情報を確認するためのアンケート(新たな情報)を生成する。なお、生成部は、指示情報(CDPレポートに記載する内容の情報のアンケートを作成してください)の一部と一致又は類似する排出に関連する情報(CDPレポートに記載する内容の情報)とに基づき、新たな情報を生成する。「一部と一致又は類似」とは、指示情報うちの一部の情報とCDPレポートに記載する内容の情報のうちの一部の情報とが同じであることや関連する内容であることを示す。
【0109】
また、生成部は、指示情報(ユーザ名Cで新しいユーザの登録をしてください)に基づき、記憶部230に既に記憶してあるユーザAを示すメールアドレスの情報(ユーザA@zb.jpやユーザB@zb.jp)を参照、参考にして、当該情報から新たなメールアドレス(ユーザC@zb.jp)を生成する。なお、生成部は、指示情報(ユーザCで新しいユーザの登録をしてください)の一部と一致又は類似する記憶部230に記憶された情報(排出に関連する情報としてのユーザA@zb.jpやユーザB@zb.jp)とに基づき、新たな情報を生成する。「一部と一致又は類似」とは、指示情報うちの一部の情報と記憶部230に記憶されているユーザの情報のうち一部の情報とが同じであることや関連する内容であることを示す。ここでは、ユーザのメールドメイン名が一致している例を示す。
【0110】
また、生成部は、指示情報(yyyy年mm月dd日に入力したデータを削除してください。本日の1ヶ月前に入力したデータを全て削除してください。)に基づき、指示内容を実行するコード(プログラム)であって、排出に関連する情報(yyyy年mm月dd日に入力した情報、本日の1ヶ月前に入力した情報)を変更(追加、削除、修正等)するためのコード(プログラム)を生成する。なお、生成部は、指示情報(yyyy年mm月dd日に入力したデータを削除してください。本日の1ヶ月前に入力したデータを全て削除してください。)の一部と一致又は類似する記憶部230に記憶された情報(排出に関連する情報としての1月に入力した情報)とに基づき、1月に入力した情報を削除するコード(プログラム)を生成する。このように生成部(情報生成部、生成部260)は、入力部より入力された指示情報が自然な言葉の指示である場合、その指示をコンピュータの言葉、つまりコードやプログラムを新たな情報として生成する。なお、指示情報に基づいて、分析部280で記憶部230に記憶された排出に関連する情報を分析し、分析部280での分析結果に基づき、生成部が新たな情報を生成している。
【0111】
また、管理サーバ200は、新たな情報としてのコード(プログラム)を実行する実行部290を備えている。実行部290は、生成された新たな情報としてのコードに基づき所定の処理を実行する。例えば、yyyy年mm月dd日に入力した情報を削除するコードを生成部が生成した場合、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報を検索取得して削除する処理を行う。また、指示情報がyyyy年mm月dd日に入力したデータの排出量を計算してください等のデータを計算させる指示の場合、yyyy年mm月dd日に入力した情報を計算するコードを生成部が生成し、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報の排出量を計算し、提示する処理を実行する。なお、実行部290の代わりに計算部210が実行してもよい。提示する処理は、出力部240が実行してもよい。また、指示情報がyyyy年mm月dd日に入力したデータのグラフを作成してください等のデータを視覚化させる指示の場合、yyyy年mm月dd日に入力した情報をグラフにするコードを生成部が生成し、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報のグラフを作成し、提示する処理を実行する。なお、提示する処理は、出力部240が実行してもよい。入力データの削除処理、入力データに基づく排出量計算処理、入力データのグラフ作成処理を実行させるために、API連携機能により連携済みの外部ソフトウェアからyyyy年mm月dd日に入力したデータを検索取得させてもよい。
【0112】
図11は、第3の情報(新たな情報)を生成して提示する処理4(動作8)を説明する図である。なお、動作8(P064)は動作7で示した新たな情報としてコードを生成する動作である。
【0113】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する(S1101)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S1102)次に、管理サーバ200は、取得した排出情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1103)次に、管理サーバ200は、指示情報の入力があるか否かを判断する(S1104)。指示情報の入力とは、ユーザがユーザ端末100から指示情報を入力することである。入力方法は、文字入力、音声入力の例を示す。指示入力の入力がない場合(S1104:NO)、管理サーバ200は、指示情報が入力されるまでS1004の処理をループさせる。一方、指示入力の入力がある(あった)場合(S1104:YES)、管理サーバ200は、指示情報を取得する(S1105)。S1104で入力された指示情報は、記憶部230に記憶され、S1105で、この記憶した情報を読み出して取得している。次に、管理サーバ200は、指示情報に基づき、第3の情報(新たな情報)として、指示の内容を実行するコードを生成する(S1106)。次に、管理サーバ200は、生成したコードに基づく所定の処理を実行する(S1107)。次に、管理サーバ200は、コードに基づき実行した所定の処理の結果を提示する(S1108)。
【0114】
なお、第2の情報は、顧客属性を示す情報としてもよい。顧客属性を示す情報は、例えば、業種、売上高、事業別売上高、市場区分、従業員数、事業の地域、事業の内容、販売・製造・提供している製品やサービス等の情報である。また、第2の情報は、サステナビリティに関する取り組みの情報としてもよい。サステナビリティに関する取り組みの情報は、例えば、気候変動に関連する目標、社内の戦略や体制、数値目標等の情報である。さらに、第2の情報は、競合情報、顧客動向に関連する情報など外部要因の情報としてもよい。また、これらの情報は、第1の情報としてもよい。このように第1の情報や第2の情報の種類を多く備えることで、第3の情報を作成し易くすることができる。
【0115】
管理サーバ200の入力部220と、出力部240と、取得部250と、計算部210と、生成部260と、推定部270、分析部280、実行部290を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。また、このシステムが、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由を示す情報等の取得した情報を学習させるチューニングを行うようにしてもよい。このようにすることで、WBCSDや環境省が公表しているドキュメントや社内の顧客データベースを管理サーバ200に読み込ませ、顧客が前提条件(業種、製品、サービス等)を入力すると、学習済みの情報群から顧客に最適な回答を生成し、自動的に回答するようにできる。なお、多言語の情報を読み込ませることも可能である。また、質問の入力、回答も多言語で行うことも可能である。多言語対応のシステムとすることで、誰でも容易に知りたい情報を得ることができる。
【0116】
<開示事項>
第3機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目C1(P030)]
事業主体ごとに、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、前記事業主体ごとに、売上規模及び資産規模の少なくともいずれかを示す規模情報を記憶する規模情報記憶部と、サプライチェーンの上流又は下流を構成する第1の事業主体による活動量を取得する取得部と、前記第1の事業主体に対応する前記排出係数に前記活動量を乗じて前記第1の事業主体による前記排出量を計算する排出量計算部と、前記第1の事業主体に対応する前記排出係数が登録されていない場合に、前記第1の事業主体に対応する前記規模情報を前記規模情報記憶部から読み出し、前記規模情報記憶部を参照して、読み出した前記規模情報と一致又は類似する前記規模情報に対応する第2の事業主体を特定し、特定した前記第2の事業主体に対応する前記排出係数を前記排出係数記憶部から読み出し、読み出した前記排出係数を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C2]
項目C1に記載の情報処理システムであって、前記売上規模及び前記資産規模は数値であり、前記提示部は、前記規模情報記憶部に記憶されている前記規模情報のうち、読み出した前記規模情報との差が所定範囲内に含まれるものに対応する前記第2の事業主体を特定すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目C3]
項目C1に記載の情報処理システムであって、前記排出係数記憶部は、前記事業主体及び前記事業主体による活動に対応付けて前記排出係数を記憶し、前記規模情報記憶部は、前記活動に対応付けて前記規模情報を記憶し、排出量計算部は、前記第1の事業主体及び前記活動量に係る前記活動に対応する前記排出係数を取得し、前記提示部は、前記規模情報記憶部を参照して、前記第1の事業主体の前記規模情報と一致又は類似する前記規模情報と、前記活動とに対応する第2の事業主体を特定し、特定した前記第2の事業主体及び前記活動に対応する前記排出係数を前記排出係数記憶部から読み出すこと、を特徴とする情報処理システム。
[項目C4(P044)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C5(P045)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、取得した前記第1の情報と前記第2の情報を記憶する記憶部と、第1の事業主体に対応する情報を入力する入力部と、前記第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C6(P047)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関する種別の情報を少なくとも含む排出情報を取得する取得部と、取得した前記排出情報を記憶する記憶部と、第1の事業主体に対応する情報を入力する入力部と、前記第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する前記排出に関する種別の情報に基づき前記第1の事業主体に対応する種別の情報を生成する情報生成部と、前記第1の事業主体に対応する種別の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C7(P054)]
項目C6の入力部は、第1の事業主体に対応する情報を音声により入力する入力部であることを特徴とする情報処理システム。
[項目C8(P052)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第1の情報における単位情報を前記第3の情報における単位情報に変換する情報変換部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C9(P063)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C10]
項目C9に記載の情報処理システムであって、指示情報を入力する入力部と、を備え、前記情報生成部は、前記指示情報に基づき新たな情報を生成可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目C11(P064)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する取得部と、取得した前記排出情報を記憶する記憶部と、指示情報を入力する入力部と、前記指示情報に基づき新たな情報を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C12]
項目C11に記載の情報処理システムであって、前記指示情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記排出情報を分析する分析部と、を備え、前記情報生成部は、分析の結果に基づき、前記新たな情報を生成することを特徴とする情報処理システム。
[項目C13]
項目C12に記載の情報処理システムであって、前記新たな情報に基づき所定の処理を実行する実行部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0117】
<<炭素税の目標設定機能(第4機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第3機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第4機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0118】
図3を用いて、第4機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部)と、取得部250(情報取得部)と、計算部210(導出部、削減量計算部)と、出力部240(情報提示部)と、入力部220(情報入力部)を備える。
【0119】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、第2機能の実施形態で説明した記憶部と同様である。本実施形態では、排出量記憶部は、排出量を特定する情報として、自社の二酸化炭素の排出量を算定した結果を記憶する。
【0120】
取得部250を構成する情報取得部は、基準シナリオデータを取得する。基準シナリオデータは、複数のシナリオデータから構成される。複数のシナリオデータは、第1のシナリオデータ、第2のシナリオデータ、第3のシナリオデータ等である。第1のシナリオデータは、例えば、現在のように温室効果ガスを排出し続けた場合のシナリオデータであり、2100年(2050年等でも可)までに約4度気温が上昇するものである。第2のシナリオデータは、例えば、温室効果ガスをほぼゼロにした場合のシナリオデータである。第3のシナリオデータは、例えば、温室効果ガスを所定量削減した場合のシナリオデータであり、2100年(2050年等でも可)までに気温の上昇が2度以下となるシナリオデータである。各シナリオデータは、現在から2100年までの各年の炭素価格(係数)を示したものである。なお、基準シナリオデータとして、WEO2022が設定している気候変動シナリオを取得するようにしてもよい。気候変動シナリオを取得した場合、第1のシナリオデータはSTEPS(The Stated Policies Scenario)をベースとしたシナリオデータ、第2のシナリオデータはNZE(Net Zero Emissions by2050 Scenario)をベースとしたシナリオデータ、第3のシナリオデータはAPS(The Announced Pledges Scenario)をベースとしたシナリオデータを作成する。
【0121】
計算部210を構成する導出部は、排出量記憶部に記憶された排出量と炭素価格(係数)とに基づき、第1の炭素税を導出(計算)する。第1の炭素税は、排出量に含まれる炭素の量に基づき導出される。導出方法は、国ごとに異なる。例えば、日本ではN円/トン、米国ではMドル/トンなど1トンあたりの炭素価格を排出量に乗じて導出される。また、導出部は、所定期間における第2の炭素税を導出可能である。所定期間は、短期(2、3年程度)、中期(5~10年程度)、長期(30年程度)などである。第2の炭素税は、排出量記憶部に記憶された排出量とシナリオデータとに基づき導出(計算)される。例えば、第1のシナリオデータを用いて長期の第2の炭素税を導出する場合、シナリオ開始時(現在)の第2の炭素税は、第1の炭素税を用いる。シナリオ終了時(30年後)の第2の炭素税は、排出量と第1のシナリオデータの30年後のデータとに基づき導出する。また、シナリオ開始からシナリオ終了時まで各年の第2の炭素税は、排出量と第1のシナリオデータの各年のデータとに基づき導出する。このように本例においては、長期の第2の炭素税のシミュレーションを実行し、ユーザに提示することができる。なお、導出部は、削減量に基づいて第2の炭素税も導出可能である。本例では、削減量にシナリオデータの炭素価格を乗ずることで炭素税のシミュレーションも実行可能である。
【0122】
計算部210を構成する削減量計算部は、排出量と事業主体による排出量の削減目標割合とに基づいて削減量を計算する。削減目標割合については、第1機能の実施形態と同様である。
【0123】
情報提示部は、第1の炭素税、第2の炭素税(シミュレーションの結果)、削減量の情報を提示する。第2の炭素税は、一のシナリオデータに基づくシミュレーションの結果を提示してもよいし、複数のシナリオデータに基づく複数のシミュレーションの結果を提示してもよい。情報提示部は、提示する情報をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100で第情報を表示する。また、ユーザ端末100に送信された情報は、ユーザ端末100で編集、加工することができる。なお、情報提示部は、潜在的なリスクを提示するようにしてもよい。リスクは、急性的なリスクと、慢性的なリスクとの2種類がある。急性的なリスクは、突発的な事象に起因したリスクである。突発的な事象は、例えば、雪崩、寒波、霜、サイクロン、ハリケーン、台風、干ばつ、熱波、洪水(沿岸、河川、多雨、地下水)、氷河湖決壊、豪雨(雨、霰、雹、雪、氷)、地滑り、嵐(猛吹雪、粉塵、砂嵐を含む)、地盤沈下、トルネード、山火等である。慢性的なリスクは、気候パターンの長期的な変化からなるリスクである。慢性的なリスクは、例えば、変化していく豪雨のパターン(雨、霰、雹、雪、氷)、変化していく温度(大気、淡水、海水)、変化していく風のパターン、海岸浸食、熱ストレス、海洋の酸性化、永久凍土融解、豪雨および/または水文学的変動、塩水侵入、海面上昇、土壌劣化、土壌浸食、ソリフラクション、気温の変動、水不足等である。これらにより、対応コストの増加、資産価値の減少、資産減損、生産能力低下に起因した売上減少等のリスクを生じる。そして、リスクを提示することにより、ユーザがどのような種類のリスクがあることを認識することができる。
【0124】
情報入力部は、ユーザ端末100から入力された事業主体による前記排出量の削減目標割合の情報を管理サーバ200に入力する。
【0125】
図12は、炭素税を計算して提示する処理(動作9)を説明する図である。
【0126】
管理サーバ200は、事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する(S1201)。次に、管理サーバ200は、排出量に基づき、第1の炭素税を計算する(S1202)。次に、管理サーバ200は、シナリオデータを選択する(S1203)。選択するシナリオデータは、いずれか一であってもよいし、複数であってもよい。次に、管理サーバ200は、選択したシナリオデータを用いて所定期間における第2の炭素税を計算する(S1204)。次に、管理サーバ200は、事業主体による排出量の削減目標割合の入力を受け付ける(S1205)。次に、管理サーバ200は、排出量と削減目標割合とに基づいて削減量を計算する(S1206)。次に、管理サーバ200は、削減量に基づいた第2の炭素税を計算する。管理サーバ200は、第1の炭素税、各計算結果を示す第2の炭素税をユーザに提示するよう出力する。第2の炭素税は、X軸を年度とするグラフで提示するようにしてもよい。
【0127】
近年の地球温暖化現象により世界中で異常気象が観測されている。また、気象災害も多発化している。国連気候変動に関する政府間パネルによると、このまま地球温暖化が進む場合、さらなる気象災害の多発化や激甚化が起こり得ると警告されている。このような異常気象や気象災害の発生を抑制するために、欧米諸国が主導して脱炭素社会への移行を推進しており、日本国内においても、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが推進されている。この取り組みの一例として、炭素価格(カーボンプライシング)制度を導入することで、炭素に価格付をして二酸化炭素排出者(主に企業)の行動を変容させる政策の実行が予測できる。炭素価格(カーボンプライシング)制度が導入されると、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「炭素税」が創設され得る。炭素税が創設された場合、二酸化炭素の排出主体となる企業にとっては、財務に多大な影響を受けることになる。このため、企業は自社の二酸化炭素排出量に課せられる炭素税を試算し、炭素税を考慮した事業活動を検討していかなければならない状況となる。しかしながら、現在、将来的に企業に課せられる炭素税をシミュレーションする情報処理システムは存在していない。
【0128】
動作9によると、二酸化炭素の排出量の算定・可視化の情報処理システムで自社の二酸化炭素の排出量を算定し、この算定結果と基準シナリオデータに応じた炭素価格を基準にして炭素税をシミュレーションする情報処理システムを提供することができる。詳細には、第1のシナリオデータ、第2のシナリオデータ、第3のシナリオデータの各シナリオ上で算出される炭素価格(カーボンプライシング)に、自社の二酸化炭素排出量を乗ずることで炭素税をシミュレーションする情報処理システムを提供することができる。
【0129】
このように構成することで、企業において、将来の炭素税負担等のリスクファクターを認識することができ、気候変動関連目標に紐づく事業計画を簡便に策定することができるようになる。また、企業が将来の炭素税負担等のリスクファクターを設備投資計画等の検討に取り組むことで、脱炭素投資への優先度を高めることとなり、企業における脱炭素投資を推進することができる。
【0130】
管理サーバ200の取得部250と、計算部210、出力部240と、入力部220を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。このような機械学習により、炭素税の増減要因を予測することができる。
【0131】
<開示事項>
第4機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目D1(P051)]
事業主体による温室効果ガスの排出量と所定のシナリオデータとを記憶する記憶部(排出量記憶部)と、前記排出量と前記所定のシナリオデータに基づき、炭素税(第2の炭素税)を導出する導出部と、を備え、前記導出部は、所定期間における炭素税を導出可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目D2]
項目D1に記載の情報処理システムであって、前記事業主体による前記排出量の削減目標割合の入力を受け付ける入力部(情報入力部)と、前記排出量と前記削減目標割合とに基づいて削減量を計算する削減量計算部と、を備え、前記導出部は、前記削減量に基づいて前記炭素税を導出可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目D3]
項目D2に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、基準時点及び目標時点の入力を受け付け可能であり、前記削減量計算部は、前記基準時点における前記排出量を前記排出量記憶部から取得し、取得した前記排出量と前記削減目標割合とに基づいて前記目標時点における前記削減量を計算可能であることを特徴とする情報処理システム。
【0132】
<<ブロックチェーン機能(第5機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1~第4の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第5機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0133】
図3を用いて、第5機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。お、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部、ブロックチェーン)と、取得部250(情報取得部)と、分析部280と、出力部240(情報提示部)と、を備える。本実施形態では、ブロックチェーンは、管理サーバ200内に設ける例を示しているが、管理サーバ200の外部にブロックチェーンを設けるようにしてもよい。外部に設ける場合であっても、ブロックチェーンの情報は、管理サーバ200が取得できる。
【0134】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、第2機能の実施形態で説明した記憶部と同様である。本実施形態では、排出量記憶部は、排出量を示す情報(第1の情報)として、自社および他社の二酸化炭素の排出量を算定した結果を記憶する。ブロックチェーンは、ブロックの単位でデータを管理し、それを鎖のように連結してデータを記憶するものである。ブロックチェーンの各ブロックには、第1の情報が記憶されている。また、各ブロックには、直前のブロックの内容を表すハッシュ値(第2の情報)が記憶されている。例えば、第1のブロックに第1の排出量を示す情報(第1の情報A)と第1のハッシュ値(第2の情報A)、第2のブロックに第2の排出量を示す情報(第1の情報B)と第2のハッシュ値(第2の情報B)、が記憶されている場合、第1のブロックで用いられる第1のハッシュ値は、次のブロックである第二のブロックの生成に必要な証明書として用いられる。つまり、第1のハッシュ値は、第2のハッシュ値に関連する情報となる。ここで、第2のブロックの第2の排出量を示す情報のデータを改ざんする場合、導出される第2のハッシュ値が異なる値(異常値)になるため、全ブロックのハッシュ値を変更する必要がある。このためブロックチェーンで管理されている情報の改ざんは困難であるので、信頼性の高い情報処理システムを提供することができる。
【0135】
取得部250を構成する情報取得部は、第1の情報を取得する。第1の情報は、第3機能の実施形態の排出量を示す情報等である。また、情報取得部は、第2の情報を取得する。第2の情報は、直前のブロックの内容を表すハッシュ値を例示するが、ブロックチェーンにおける情報を示す情報であればよい。第2の情報は、第1の情報に対応付けられた情報である。つまり、第1の情報と第2の情報とは、関連した情報である。第3機能の実施形態で示した第2の情報がブロックチェーンに記憶されている場合は、第3機能の実施形態の第2の情報を第2の情報とすることができる。この場合、第3機能の実施形態の第2の情報にハッシュ値を対応付けた情報を第2の情報とすることが好ましい。また、第2の情報は、ハッシュ値でなく、いつ、どこで、どの事業主体から取得した情報であるかを確認できる情報とすることもできる。
【0136】
分析部280は、下流を構成する事業主体の排出量を示す情報を取得したハッシュ値に基づいて分析する。「下流」とは、第1の事業主体(サプライヤ)よりも下流の事業主体であり、第2の事業主体である他のサプライヤである。第1の事業主体は、下流の事業主体である第2の事業主体から排出量を示す情報を取得するが、この排出量を示す情報が改ざんされているか否かを分析部280によって分析可能である。排出量を示す情報は、ブロックチェーンで管理されている情報である。ハッシュ値もブロックチェーンで管理されている情報であり、排出量を示す情報に関連する情報である。したがって、分析部280は、排出量を示す情報に対応するハッシュ値を分析することにより、下流を構成する事業主体から取得した排出量を示す情報が改ざんされていない正常な情報であることを分析、確認することができる。また、分析部280は、排出量を示す情報がどの事業主体の情報であるかを分析可能である。
【0137】
情報提示部は、分析の結果の情報を提示する。例えば、分析の結果として、取得した排出量を示す情報が異常な情報の場合は、「取得した排出量を示す情報は正常ではありません」等をユーザ端末100に表示する情報を出力する。一方、取得した排出量を示す情報が正常な情報の場合は、正常であることを提示しない。なお、取得した排出量を示す情報が正常な情報の場合に、「取得した排出量を示す情報は正常です」等をユーザ端末100に表示する情報を出力するようにしてもよい。また、排出量を示す情報がどの事業主体の情報であるかを分析した結果が、正常な第2の事業主体ではない場合は、「取得した排出量を示す情報は正常ではありません」等をユーザ端末100に表示する情報を出力する。なお、正常な情報の場合は、正常であることを提示しないが、「取得した排出量を示す情報は正常です」等をユーザ端末100に表示する情報を出力するようにしてもよい。
【0138】
分析の結果が異常の場合であって、取得した排出量を示す情報が改ざんではない場合、例えば、第2の事業主体が誤った排出量を示す情報を第1の事業主体に出力したことが分析の結果より判明した場合、その旨を提示する。また、この場合、第1の事業主体に出力した排出量を示す情報が誤った情報であったことを第2の事業主体に出力(連絡)するようにしてもよい。
【0139】
また、生成部260を設けて、ブロックチェーンを生成するようにしてもよい。ブロックチェーンを構成するブロックには、第2の事業主体の第1の情報と該第1の情報に対応するハッシュ値を記憶する。複数の第2の事業主体の第1の情報を取得し、分析の結果が正常である第1の情報を用いることによってブロックチェーンを構成することができる。また、第2の情報Bは、第2の情報Aに関連する情報である、一方、第1の情報Bは、第1の情報Aに関連する情報ではない情報とすることができる。ここでの「関連する情報」とは、一方の情報が他方の情報に対して関数等による関係があることを例示するが、これに限定されない。少なくとも第2の情報の間でのみ関連する情報とすることで、記憶する第1の情報の自由度を持たせることができる。
【0140】
図13は、第1の情報を分析して出力する処理(動作10)を説明する図である。
【0141】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S1301)。また、管理サーバ200は、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する(S1302)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1303)。次に、管理サーバ200は、第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の第1の情報を分析する(S1304)。次に、管理サーバ200は、分析の結果が異常であるか否かを判断する(S1305)。分析の結果が異常である場合(S1305:YES)、管理サーバ200は、異常であることを提示して、動作10の処理を終了する(S1306)。一方、分析の結果が異常ではない場合(S1305:NO)、管理サーバ200は、動作10の処理を終了する。
【0142】
上流又は下流を構成する事業主体の第1の情報の信頼性に懸念が生じている。例えば、スマートフォンの製品を製造する第1の事業主体の場合、カメラ、チップ等のスマートフォンを構成する部品の第1の情報(排出量や排出原単位)を第2の事業主体から取得する。しかしながら、取得した第1の情報に改ざんが生じていても、改ざんを確認する手段がなく、改ざんされた不正な情報が第1の事業主体の情報として登録されてしまっていたことに起因して正確な温室効果ガス排出量を算定することができなくなってしまう問題が生じる。第5機能の実施形態は、このような問題を解消するために提案されたものである。
【0143】
動作10によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。
【0144】
このように構成することで、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガス排出量の計算過程(どの事業主体がいつどのように算定したのか)や当該事業主体による温室効果ガス排出量データの編集履歴を追跡することができるため、取得した排出量を示す情報の信頼性を確認(信頼性を担保)することができ、正常な情報のみからなる排出量を示す情報を提供することができる。
【0145】
管理サーバ200の出力部240と、取得部250と、生成部260と、分析部280を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0146】
<開示事項>
第5機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目E1(P065)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、前記第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の前記第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目E2]
項目E1に記載の情報処理システムであって、前記第1の情報には、少なくとも第1の情報Aと、当該第1の情報Aの次の情報である第1の情報Bとがあり、前記第2の情報には、少なくとも第2の情報Aと、当該第2の情報Aの次の情報である第2の情報Bとがあり、前記第2の情報Aと前記第2の情報Bとは関連する情報である一方、前記第1の情報Aと前記第1の情報Bとは関連する情報ではない情報であることを特徴とする情報処理システム。
【0147】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、第1機能~第5機能を組み合わせたものとすることができる。
【0148】
各機能の実施形態の開示事項において情報処理システムの例を示すが、情報処理システムの各処理(ステップ)をコンピュータが実行する情報処理方法およびコンピュータに実行させるためのプログラムとすることもできる。
【符号の説明】
【0149】
100 ユーザ端末
200 管理サーバ
【要約】
【課題】 温室効果ガスの排出状況を把握することができるとともに、他のサプライヤからの排出量の値が改ざんされない技術を提供する。
【解決手段】 情報処理システムであって、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図13
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13