(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241113BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2023134187
(22)【出願日】2023-08-21
【審査請求日】2024-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(72)【発明者】
【氏名】片山 賢
(72)【発明者】
【氏名】青柳 直希
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特許第7178064(JP,B1)
【文献】特開2022-160963(JP,A)
【文献】特開2010-204740(JP,A)
【文献】特開2022-009598(JP,A)
【文献】特許第7197953(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0138630(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第115907170(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115147238(CN,A)
【文献】特開2019-061550(JP,A)
【文献】特開2022-093805(JP,A)
【文献】特開2022-129172(JP,A)
【文献】特開2024-076032(JP,A)
【文献】特表2007-518197(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0034801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、
温室効果ガスを排出する活動に係る活動量及び前記活動量に関連する項目の入力を受け付ける入力部と、
前記活動を特定する情報をベクトル化した第1のベクトル情報を記憶するベクトル情報記憶部と、
受け付けた前記項目をベクトル化して作成した第2のベクトル情報からの距離に応じて選択した前記第1のベクトル情報に対応する前記排出係数を推定する推定部と、
推定した前記排出係数を提示する排出係数提示部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を排出係数記憶部に記憶するステップと、
温室効果ガスを排出する活動に係る活動量及び前記活動量に関連する項目の入力を受け付けるステップと、
前記活動を特定する情報をベクトル化した第1のベクトル情報をベクトル情報記憶部に記憶するステップと、
受け付けた前記項目をベクトル化して作成した第2のベクトル情報からの距離に応じて選択した前記第1のベクトル情報に対応する前記排出係数を推定するステップと、
推定した前記排出係数を提示するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を排出係数記憶部に記憶するステップと、
温室効果ガスを排出する活動に係る活動量及び前記活動量に関連する項目の入力を受け付けるステップと、
前記活動を特定する情報をベクトル化した第1のベクトル情報をベクトル情報記憶部に記憶するステップと、
受け付けた前記項目をベクトル化して作成した第2のベクトル情報からの距離に応じて選択した前記第1のベクトル情報に対応する前記排出係数を推定するステップと、
推定した前記排出係数を提示するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素等の排出量が算定されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サプライチェーンの全体で温室効果ガスの排出状況を把握することが求められている。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、温室効果ガスの排出状況を把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る情報処理システムは、温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、温室効果ガスを排出する活動に係る活動量及び前記活動量に関連する項目の入力を受け付ける活動量入力部と、前記項目に基づいて機械学習により前記排出係数を推定する推定部と、推定した前記排出係数を提示する排出係数提示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温室効果ガスの排出状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ200のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ200のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】目標排出量を出力する処理を説明する図である。
【
図5】ソリューションにより削減した排出量を出力する処理を説明する図である。
【
図6】削減目標を出力する処理を説明する図である。
【
図7】排出係数を提示する処理を説明する図である。
【
図8】第3の情報を生成・提示する処理1を説明する図である。
【
図9】第3の情報を生成・提示する処理2を説明する図である。
【
図10】第3の情報を生成・提示する処理3を説明する図である。
【
図11】第3の情報を生成・提示する処理4を説明する図である。
【
図12】炭素税を計算して提示する処理を説明する図である。
【
図13】第1の情報を分析して出力する処理を説明する図である。
【
図14】関連企業ごとの排出原単位を表示する処理の流れを説明する図である。
【
図15】PCFを計算する処理の流れを説明する図である。
【
図18】ソリューション情報を提供する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ200を含んで構成される。管理サーバ200は、ユーザ端末100と通信ネットワーク300を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク300は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
ユーザ端末100は、排出主体となる企業等の事業主体のユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末100は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。ユーザは、ユーザ端末100を用いて管理サーバ200にアクセスし、排出量の計算を行うことができる。
【0012】
管理サーバ200は、排出量の計算及び管理を行うコンピュータである。管理サーバ200は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0013】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ200のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク300に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ200の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ200の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0014】
図3は、管理サーバ200のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ200は、計算部210と、入力部220と、記憶部230と、出力部240と、取得部250と、生成部260と、推定部270と、分析部280と、実行部290と、を備える。管理サーバ200を含む情報処理システムは、複数の機能を備えている。以降、これらの機能について説明する。
【0015】
<<目標設定機能(第1機能)>>
図3を用いて、第1機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出係数記憶部、排出量記憶部、ソリューション記憶部)と、計算部210(排出量計算部、単位削減量計算部、目標排出量計算部)と、入力部220と、出力部240と、を備える。
【0016】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を含む情報(以下、排出係数情報という。)を記憶する。排出係数は、一次データ(排出主体自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータ)であってもよいし、二次データ(一次データ以外のデータ、例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたもの)であってもよい。排出係数記憶部は、活動の種類に対応付けて排出係数を記憶することができる。排出係数記憶部は、事業主体を特定する情報(起業ID)と、活動の種類を示す情報(種類特定情報)とに対応付けて、排出係数を記憶することができる。
【0017】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する。排出量記憶部は、事業主体による直接的な第1の排出量(スコープ1)、事業主体による間接的な第2の排出量(スコープ2)、及び事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量(スコープ3)を記憶することができる。また、排出量記憶部は、他の事業者に係る第3の排出量(スコープ3)に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶することもできる。本実施形態では、排出量記憶部は、事業主体を示す企業IDと、活動が行われた時期を特定する情報(時間情報)と、スコープと、カテゴリと、排出量とを対応付けて記憶することができる。時間情報は、例えば、年度や年、年月、年月日、日時範囲など任意の期間を設定することができる。スコープ及びカテゴリは、GHGプロトコルに規定されるスコープ及びカテゴリとすることができる。なお、カテゴリは省略されてもよい。
【0018】
記憶部230を構成するソリューション記憶部は、排出量の削減を実現するソリューションに関する情報(ソリューション情報という。)を記憶する。ソリューションは、例えば、削減計画の策定や実行などに係るコンサルティングサービス、再エネ電力の調達、Jクレジットなどのオフセット取引など、温室効果ガスの排出量の削減やオフセットに係る各種のサービス及び商品を含むことができる。ソリューション記憶部は、ソリューションを特定する情報(ソリューションID)及び当該ソリューションの採用可能な業種に対応付けて、ソリューションにより削減されうる排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶することができる。削減情報は、例えば、排出量に対する割合(パーセント)であってもよいし、活動量に乗じるための排出係数であってもよい。
【0019】
計算部210を構成する排出量計算部は、事業主体の排出量(又は第1ないし第4の排出量の少なくともいずれか)を計算することができる。排出量計算部は、例えば、活動量の入力を受け付け、活動量の種類に対応する排出係数を排出係数記憶部から取得し、取得した排出係数を活動量に乗じて活動ごとの排出量を計算し、スコープ及び/又はカテゴリ別に排出量を合計して排出量を計算することができる。なお、排出量計算部は、外部で計算された排出量の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0020】
入力部220は、事業主体による排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける。基準時点及び目標時点は、例えば、年(年度)である。基準時点の排出量を基準として、削減目標割合だけ削減した目標排出量を目標時点に実現することを目標として設定することができる。入力部220は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部220は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の削減目標割合を受け付けることもできる。
【0021】
入力部220は、他の事業者から第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部220は、例えば、他の事業者(の従業者)が操作するユーザ端末100から第3の削減目標割合を受信することができる。入力部220は、他の事業者のユーザ端末100に対して、第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、メッセージに応じて他の事業者から入力された第3の削減目標割合を当該ユーザ端末100から受信することができる。
【0022】
計算部210を構成する単位削減量計算部は、単位時間(単位期間)での排出量の削減量を計算する。単位時間は例えば1年であるが、四半期や月、週などとしてもよい。単位削減量計算部は、基準時点における排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減目標割合を乗じて、基準時点から目標時点までに削減する削減量を計算する。単位削減量計算部は、計算した削減量を基準時点から目標時点までの単位時間の数(例えば年数)で割って、単位時間(例えば1年)あたりに削減する削減量の目標値(単位削減量)を計算することができる。単位削減量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の単位削減量を計算することもできる。単位削減量計算部は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の単位削減量を計算することもできる。
【0023】
計算部210を構成する目標排出量計算部は、単位時間(例えば1年)ごとの排出量の目標値(目標排出量という。)を計算する。目標排出量計算部は、基準時点から単位時間ごとに、基準時点の排出量から累積の単位削減量を減じて目標排出量を計算することができる。目標排出量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、単位時間ごとの目標排出量(第1ないし第3の目標排出量)を計算することができる。目標排出量計算部は、第3の排出量について、単位時間ごとのカテゴリ別の第4の目標排出量を計算することができる。
【0024】
出力部240は、単位時間ごとに目標排出量を出力することができる。出力部240は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、目標排出量を出力することができる。出力部240は、第3の排出量について、カテゴリ別に第4の目標排出量を出力することができる。
【0025】
出力部240は、排出量が登録されている期間については、排出量と目標排出量(合計又は第1ないし第4の排出量及び目標排出量)を対応付けて出力することができる。出力部240は、例えば、グラフ形式により排出量と目標排出力とを出力することができる。
【0026】
出力部240は、ソリューションを導入した後の排出量(又は削減量)を可視化することもできる。出力部240は、例えば、ユーザ端末100からソリューションの指定を受け付け、指定されたソリューションに対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報に基づいて排出量の削減量を計算し、排出量から削減量を減じた値(シミュレーション排出量)を計算し、シミュレーション排出量を出力することができる。出力部240は、排出量及び目標排出量とともに、シミュレーション排出量を出力することもできる。
【0027】
<動作>
図4は、目標排出量を出力する処理(動作1)を説明する図である。
【0028】
管理サーバ200は、自社のユーザが操作するユーザ端末100から基準時点、目標時点、及び削減割合の入力を受け付ける(S401)。管理サーバ200は、サプライチェーンの上流及び/又は下流の他の事業主体のユーザ端末100に対して、基準時点及び目標時点を設定した、削減割合を要求するリクエストを送信する(S402)。他の事業主体のユーザは、リクエストに応じてユーザ端末100に削減割合を入力し、管理サーバ200は、リクエストに応じてユーザ端末100から送信される削減割合を受信する(S403)。なお、他の事業主体において排出量を管理するシステムが削減割合を応答するようにしてもよい。また、管理サーバ200は、自社のユーザから、他の事業主体による削減割合の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0029】
管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)ごとの削減量を計算する(S404)。管理サーバ200は、例えば、基準時点の排出量を排出量記憶部から読み出し、読み出した排出量に削減割合を乗じて削減量を計算することができる。管理サーバ200は、スコープ1及び2のそれぞれについて、異なる削減割合を受け付けるようにしてもよい。また、スコープ3については、他の事業主体のユーザ端末100から取得した削減割合は、自社のスコープ1、2に係る削減割合とは異なることがある。管理サーバ200は、自社の企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して、自社のユーザ端末100から受け付けた削減割合を乗じて目標削減量を計算するとともに、他の事業主体を示す企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して他の事業者のユーザ端末100から受信した削減割合を乗じて目標削減量を計算するようにし、スコープ及び/又はカテゴリごとに目標削減量を合計することができる。
【0030】
管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で目標削減量を割ることにより、単位時間ごとの削減量を計算し(S405)、基準時点の排出量から、累積した削減量を減じることにより、単位時間ごとの目標排出量を計算することができる(S405)。
【0031】
管理サーバ200は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量と目標排出量とを対応付けて出力することができる(S406)。管理サーバ200は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量のみを出力することができる。なお、管理サーバ200は、目標排出量ではなく単位時間ごとの削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0032】
図5は、ソリューションにより削減した排出量を出力する処理(動作2)を説明する図である。
【0033】
管理サーバ200は、ソリューションの指定を受け付け(S501)、受け付けたソリューション及び自社の業種に対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報と、基準時点の排出量とに基づいて、ソリューションの導入により期待される削減量(期待削減量)を計算する(S502)。管理サーバ200は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で期待削減量を割ることにより、単位時間ごとの期待削減量を計算し(S503)、基準時点の排出量から、累積した単位時間ごとの期待削減量を減じることにより、単位時間ごとのソリューションの導入により期待される排出量(期待排出量)を計算することができる(S504)。管理サーバ200は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量及び目標排出量とともに、期待排出量を対応付けて出力することができる(S505)。管理サーバ200は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量と期待排出量とを対応付けて出力することができる。なお、管理サーバ200は、期待排出量ではなく単位時間ごとの期待削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0034】
管理サーバ200の計算部210と、入力部220と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0035】
<開示事項>
第1機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目A1(P025)]
事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体による前記排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける入力部と、前記基準時点に対応する前記排出量を前記排出量記憶部から取得し、取得した前記排出量に前記削減目標割合を乗じて削減量を計算し、計算した前記削減量を前記基準時点から前記目標時点までの単位時間の数で割った単位削減量を計算する単位削減量計算部と、前記単位時間ごとに、前記基準時点に対応する前記排出量から累積の前記単位削減量を減じた目標排出量を計算する目標排出量計算部と、前記単位時間ごとに前記目標排出量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目A2]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記事業主体による直接的な第1の排出量、前記事業主体による間接的な第2の排出量、及び前記事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記単位時間ごとの前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A3]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記他の事業者に係る前記第3の排出量に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第3の排出量について、前記単位時間ごとの前記カテゴリ別の第4の前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別に前記第4の目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A4]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者から前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A5]
項目A4に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者に対して、前記第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、前記メッセージに応じて前記他の事業者から入力される前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A6]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量の削減を実現するソリューションを特定する情報及び前記ソリューションにより削減されうる前記排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶するソリューション記憶部を備え、前記出力部は、前記ソリューションの指定を受け付け、指定された前記ソリューションに対応する前記削減情報を前記ソリューション記憶部から読み出し、読み出した前記削減情報に基づいて前記排出量の前記削減量を計算し、前記排出量から前記削減量を減じた値を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
【0036】
<<目標設定サジェスト機能(第2機能)>>
次に、第1機能の実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第2機能の実施形態とし、以下に詳述する。第2機能の実施形態では、GHGプロトコルの特にスコープ3に係る排出量の削減目標を策定する支援を行う。スコープ3に係る排出量は、排出量を算定しようとする事業主体に係るサプライチェーンの上流及び/又は下流を構成する事業主体(以下、サプライヤという。)による温室効果ガスの排出量である。第2機能を備える情報処理システムでは、サプライヤの削減目標を取り込んで、自社のスコープ3に係る排出量の削減目標の候補として提案する。
【0037】
図3を用いて、第2機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部、目標記憶部)と、取得部250(目標取得部)と、推定部270と、計算部210(削減率計算部)と、を備える。
【0038】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、サプライヤごとの温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する。第2機能の実施形態では、排出量記憶部は、排出量を特定する情報として、活動量と排出原単位とを記憶するものとするが、排出量そのものを記憶するようにしてもよい。排出量記憶部は、サプライヤを示す企業ID、時間情報、サプライヤによる活動を特定するための情報(活動内容)、当該活動に係る活動量及び排出原単位を記憶することができる。時間情報は、例えば、年であってよい。時間情報として、年月、年月日などとすることもできる。
【0039】
排出量記憶部はさらに、自社による直接的及び間接的な排出量(スコープ1、2に係る排出量)を特定する情報を記憶することができる。排出量記憶部は、自社のスコープ1、2に係る排出量を特定する情報として、排出量そのものを記憶してもよいし、活動量と排出係数とを記憶してもよい。
【0040】
記憶部230を構成する目標記憶部は、サプライヤごとに目標削減率を記憶する。目標削減率は、サプライヤが設定した目標であり、基準年のサプライヤの排出量に対する割合である。目標記憶部は、サプライヤを特定する企業ID及びサプライヤによる活動を特定する活動内容に対応付けて、基準時点、目標時点、及び削減率を記憶する。基準時点及び目標時点は、例えば、年によって特定してもよいし、年月や年月日、日時などにより特定するようにしてもよい。
【0041】
取得部250を構成する目標取得部は、サプライヤから目標削減率を取得する。目標取得部は、例えば、サプライヤのユーザに対してリクエストを送信し、サプライヤのユーザ端末100から目標削減率を受信するようにすることができる。目標取得部は、目標削減率が管理されているサーバから目標削減率を取得するようにしてもよいし、サプライヤが開示した目標削減率を、例えば、サプライヤのWebページや新聞社のWebページなどから取得するようにしてもよい。目標取得部は、活動内容、基準年、目標年、削減率を取得することができる。目標取得部は、取得した目標削減率を目標記憶部に登録することができる。
【0042】
目標取得部は、自社の排出量に係る目標の削減率(自社削減率)を取得することもできる。目標取得部は、ユーザ端末100から自社削減率を受信することができる。
【0043】
推定部270は、サプライヤごとに将来の排出量を推定する。推定部270は、基準時点のサプライヤの排出量(活動量に排出原単位を乗じた値)に目標削減率を乗じて、目標時点の排出量を計算することができる。
【0044】
推定部270は、目標削減率を取得できなかったサプライヤについて、目標記憶部に記憶されている目標削減率の統計値を当該サプライヤの目標削減率として将来の排出量を推定することができる。推定部270は、例えば、全てのサプライヤの目標削減率の平均を、目標削減率を取得できなかったサプライヤの目標削減率とすることができる。
【0045】
計算部210の一つである削減率計算部は、スコープ3に係る排出量の目標削減率を計算する。削減率計算部は、サプライヤごとに推定した将来の排出量の第1の合計値と、基準時におけるサプライヤごとの排出量の第2の合計値との比較により、削減率(第1の合計値から第2の合計値を引いた値の第1の合計値に対する割合)を計算することができる。削減率計算部は、スコープ3の各カテゴリについて同様に削減率を計算することができる。
【0046】
また、削減率計算部は、スコープ1ないし3の合計に係る削減率(カーボンフットプリント:CFPの削減率)を計算することもできる。削減率計算部は、自社の排出量と自社削減率に基づいて、自社についての将来の(目標時点での)排出量を計算し、自社及びサプライヤについて目標時点での排出量の第1の合計値と、自社及びサプライヤについての基準時点での排出量の第2の合計値とを算出し、第1及び第2の合計値の差の第2の合計値に対する割合を、スコープ1ないし3に係る削減率として計算することができる。
【0047】
<動作>
図6は、削減目標を出力する処理(動作3)を説明する図である。
【0048】
管理サーバ200は、サプライヤから削減目標(基準時点から目標時点までの削減率)を取得する(S601)。管理サーバ200は、例えば、サプライヤのユーザにリクエストを送信して、サプライヤのユーザのユーザ端末100から削減目標を受信することができる。管理サーバ200は、サプライヤの活動に関する基準時点での排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算する(S602)。管理サーバ200は、各サプライヤについて計算した削減目標量を合計してスコープ3に係る削減目標量を計算する(S603)。なお、管理サーバ200は、削減目標を取得できなかったサプライヤについては、スコープ3の他のサプライヤあるいはスコープ3の同カテゴリの他のサプライヤの削減目標の統計値(削減率の平均値など)を用いて削減目標量を計算することができる。
【0049】
管理サーバ200は、基準時点におけるサプライヤの排出量の合計(すなわち、基準時点におけるスコープ3の排出量)を計算し、スコープ3に係る削減目標量の当該合計値に対する割合を、スコープ3の目標削減率として計算することができる(S604)。
【0050】
管理サーバ200は、自社のスコープ1及び2の削減目標を取得する(S605)。管理サーバ200は、例えば、自社の削減目標を取得して、基準時点における自社の排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算することができる。自社の削減目標は、例えば、自社のユーザに対してリクエストを送信し、自社のユーザのユーザ端末100から削減目標を受信することができる。
【0051】
管理サーバ200は、自社のスコープ1及び2に係る排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量(の合計)に削減率を乗じて、目標時点までのスコープ1、2に係る削減目標量を計算する(S606)。
【0052】
管理サーバ200は、スコープ1-3の削減目標量を合計し(S607)、排出量記憶部から基準時点におけるスコープ1-3に係る排出量の合計を計算し、計算した基準時点におけるスコープ1-3の排出量に対する、スコープ1-3の削減目標量の合計値の割合を、自社の目標削減率として計算する(S608)。
【0053】
管理サーバ200は、スコープ3の削減目標(目標削減率)、スコープ1-3(カーボンフットプリント;CFP)の削減目標(目標削減率)を出力することができる(S609)。
【0054】
以上のようにして、第2機能の情報処理システムによれば、サプライヤから収集した削減目標に基づいて、自社のスコープ3に係る削減目標及び自社のカーボンフットプリントに係る削減目標を自動計算することができる。
【0055】
管理サーバ200の計算部210と、取得部250と、推定部270を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0056】
<開示事項>
第2機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目B1(P032)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する複数の事業主体から温室効果ガスの目標削減率を取得する目標取得部と、基準時点における前記事業主体ごとの前記温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体ごとに、前記排出量に前記目標削減率を乗じて将来の排出量を推定する推定部と、前記事業主体ごとに推定した前記将来の排出量の合計値と、前記基準時における前記事業主体ごとの前記排出量の合計値との比較により、前記事業主体の全体に係る前記排出量の目標削減率を計算する計算部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目B2]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部はさらに、前記事業主体による第1の前記排出量を特定する情報とともに、自社による直接的及び間接的な第2の排出量を特定する情報を記憶し、前記目標取得部は、前記第2の排出量に係る自社削減率を取得し、前記計算部は、前記事業主体について前記将来の第3の排出量を推定するともに、前記第2の排出量と前記自社削減率とに基づいて、前記自社についての将来の第4の排出量を計算し、第3及び第4の排出量の合計に応じた値と、前記第1及び第2の排出量の合計に応じた値とに応じて、前記自社に係る目標削減率を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目B3]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記事業主体ごとに前記目標削減率を記憶する目標記憶部を備え、前記推定部は、前記目標削減率を取得できなかった前記事業主体について、前記目標記憶部に記憶されている前記目標削減率の統計値を当該事業主体の前記目標削減率として前記将来の排出量を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
【0057】
<<各種情報の生成・提示機能(第3機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第2機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第3機能の実施形態とし、以下に詳述する。P030、P044、P045、P047、P052、P054、P063、P064。
【0058】
図3を用いて、第3機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出係数記憶部、規模情報記憶部)と、取得部250(活動量取得部、情報取得部)と、計算部210(排出量計算部)と、出力部240(情報提示部、排出係数提示部)と、生成部260(情報生成部、情報変換部)と、入力部220(情報入力部)を備える。
【0059】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、事業主体ごとに、当該事業主体による温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する。排出係数記憶部は、事業主体及び事業主体による活動を特定する情報(活動内容)に対応付けて排出係数を記憶することができる。排出係数記憶部は、自社の排出係数についても記憶することができる。
【0060】
記憶部230を構成する規模情報記憶部は、事業主体ごとに、当該事業主体の規模を示す規模情報を記憶する。本実施形態では、事業主体の規模は、売上規模及び資産規模の少なくともいずれかである。売上規模及び資産規模は、数値であってよい。本実施形態では、規模情報には、事業主体を示す事業主体IDに対応付けて、事業主体の売上高及び資産額が含まれる。規模情報記憶部は、後述する第1の情報と第2の情報を記憶する。第1の情報と第2の情報を合わせて合算情報として、この合算情報を規模情報記憶部に記憶するようにしてもよい。なお、規模情報記憶部とは別の記憶部を用いて、第1の情報と第2の情報を記憶するようにしてもよい。
【0061】
取得部250を構成する活動量取得部は、事業主体の活動量を取得する。活動量取得部は、自社の活動量の入力を受け付けることができる。また、活動量取得部は、自社の会計システムや業務システムなどから自社の活動量を取得することができる。
【0062】
活動量取得部は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する第1の事業主体(サプライヤ)による活動量を取得することもできる。活動量取得部は、例えば、活動量の入力を受け付けるようにしてもよいし、サプライヤの情報処理装置から活動量を取得するようにしてもよい。
【0063】
計算部210を構成する排出量計算部は、温室効果ガスの排出量を計算する。排出量計算部は、自社の排出量を計算するようにしてもよい。排出量計算部は、サプライヤの排出量を計算することもできる。排出量計算部は、サプライヤに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出し、読み出した排出係数を、活動量取得部が取得したサプライヤの活動量に乗じることで、サプライヤによる排出量を計算することができる。
【0064】
出力部240を構成する排出係数提示部は、サプライヤの排出量が登録されていない場合に、サプライヤに類似した他の事業主体の排出係数を提示する。排出係数提示部は、提示する排出係数をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100から採用する排出係数の指示を受け付けることができる。ユーザ端末100は、提示された排出係数を採用してもよいし、自身が知っている排出係数を入力してもよいし、環境省などが提供している標準的な排出係数を採用してもよい。排出量計算部は、ユーザ端末100から指示された排出係数を用いて排出量を計算することができる。
【0065】
出力部240を構成する排出係数提示部は、サプライヤに対応する規模情報を規模情報記憶部から読み出し、さらに規模情報記憶部を参照して、読み出した規模情報と一致又は類似する規模情報に対応する第2の事業主体(他のサプライヤ)を特定し、特定した他のサプライヤに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出す。規模情報の類似は、売上高及び/又は資産額の差が所定範囲内に含まれるか否かにより判定することができる。排出係数提示部は、特定した他のサプライヤと、活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すようにしてもよい。排出係数提示部は、読み出した排出係数を提示することができる。なお、第2の事業主体は、1又は複数の他のサプライヤである。
【0066】
排出係数提示部は、活動に係る規模情報が類似する他のサプライヤを特定するようにしてもよい。この場合、規模情報記憶部が記憶する規模情報には、活動別(例えば製品別、サービス別等)の売上高及び/又は資産額が含まれるようにする。排出係数提示部は、活動に係る規模情報が一致又は類似する他のサプライヤと、当該活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すことができる。
【0067】
取得部250を構成する情報取得部は、第1の情報と第2の情報を取得する。第1の情報は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む情報である。第1の情報は、例えば、排出に関連する情報が記載されたレポート(以下、排出レポート)、複数の外部の知見が示された情報群等である。第1の情報は、排出情報とも称する。排出レポートは、TCFDレポート、CDPレポート(CDP質問書への回答)、サステナビリティレポート、省エネ法に基づく定期報告のレポートを例示するが、有価証券報告書などの他のレポートであってもよい。温室効果ガスの排出に関連する情報は、例えば、排出量を示す情報、排出レポートに記載する内容の情報、内部や外部の知見が示された情報等である。
【0068】
第2の情報は、少なくとも事業主体(サプライヤ)の属性を示す情報である。第2の情報には、例えば、規模情報、各サプライヤの属性情報、業種の情報、温室効果ガスの排出登録の情報、今後の目標の情報、サプライヤの属性情報として業界情報、業界の傾向情報、顧客情報、会計項目と排出原単位をマッピングした情報、GHGプロトコルに関連するガイドラインの情報、過去に蓄積した会計項目と排出係数のマッピングした情報などの内部や外部の知見の情報等の各種情報が含まれる。第2の情報は、変数でもよい。
【0069】
情報取得部がこれらの情報を取得する方法は、1又は複数のユーザ端末100から入力された情報を取得する方法と、管理サーバ200が情報を取得する方法とを含む。管理サーバ200が取得する方法の場合は、第1の事業主体に対応した属性情報等に基づき、第2の事業主体の規模情報や排出に関連する情報等を取得する。例えば、第1の事業主体に対応した属性情報が運送の場合、運送情報である第2の事業主体の規模情報と排出に関連する情報を取得する。排出に関連する情報(排出に関する種別の情報とも称する。)は、例えば、温室効果ガスの排出量の情報やスコープ1~3を示す情報やスコープ3のカテゴリ1~15を示す情報等である。情報取得部と活動量取得部は、別の取得部ではなく、一の取得部としてもよい。また、排出に関連する情報は、排出レポートに記載する内容の情報等であってもよい。
【0070】
生成部260を構成する情報生成部は、第1の事業主体に対応する第2の情報(例えば、自社の属性情報である運送の情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第2の情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他の運送のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、TCFDレポートに記載する内容の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、レビュー結果を反映させたTCFDレポートや新規のTCFDレポート)を生成する。第3の情報は、第2の事業主体の排出レポートに記載する内容を反映させた情報である。つまり、第3の情報は、他のサプライヤの排出レポートに基づき作成される情報であり、管理サーバ200は、複数の他のサプライヤの排出レポートを記憶し、これらの情報に基づき第3の情報を生成する。詳細には、複数の他のサプライヤの排出レポートを生成部260によって分析し、分析結果に基づき第3の情報を生成する。なお、生成部260とは異なる機能としての分析部280を生成部260とは別に設け、分析部280で複数の他のサプライヤの排出レポートを分析し、分析部280での分析結果に基づき、生成部260が第3の情報を生成するようにしてもよい。分析する対象は、他のサプライヤの排出レポートに限られない。排出量や第4機能の実施形態の炭素税などを分析して将来の排出量や炭素税などを提示するようにしてもよい。また、生成する第3の情報は、排出レポートそのものであってもよく、この場合、情報生成部は、新規の排出レポートを作成する。さらに、第3の情報は、第2の事業主体の排出量の情報やスコープ1~3を示す情報やスコープ3のカテゴリ1~15を示唆する情報等であってもよい。
【0071】
また、情報生成部は、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、外部の知見の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成する。なお、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報に第1の事業主体に対応する排出に関連する情報を組み合わせた合算情報(例えば、内部の知見と外部の知見を合わせた情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成するようにしてもよい。第3の情報は、質問に対する回答の情報として、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由を示す情報等である。さらに、第3の情報は、質問に対する提案の情報としてもよい。さらにまた、第3の情報は、質問に対する回答と質問に対する提案としてもよい。
【0072】
また、第1の事業主体に対応する情報を、例えば、ユーザが会計項目に対するスコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報としてもよい。この場合、情報生成部は、第1の事業主体に対応する情報(例えば、会計項目に対するスコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報)を規模情報記憶部から読み出し、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体(例えば、他のサプライヤ)を特定し、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報(例えば、外部の知見の情報)を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第1の情報及び第2の情報とは異なる第3の情報(例えば、マッピングした情報に対する知見)を生成する。第3の情報は、会計項目と排出原単位をマッピングした情報、スコープ及び/又はカテゴリと排出係数をマッピングした情報等である。
【0073】
生成部260を構成する情報変換部は、或る種類の排出レポート(第1の情報)における単位情報(例えば、キロワット)を他の種類の排出レポート(第3の情報)における単位情報(例えば、ギガジュール)に変換する。情報変換部は、第1の情報としての排出レポートの種類と第3の情報としての排出レポートの種類とが異なると判断した場合、単位情報を変換する処理を実行するが、ユーザによって、変換後の単位情報が指定された場合は、指定された単位情報をセットする処理を実行するようにしてもよい。このようにユーザによって単位情報が指定される場合、後述する情報提示部により、指定された単位情報が第3の情報と整合しない旨をユーザに提示(報知)する。また、この場合、情報提示部は、第3の情報と整合する単位情報を提示する。そして、提示した単位情報に変換したい旨がユーザによって指示された場合、情報変換部は、第3の情報に対応する単位情報に変換する。なお、排出レポートの種類が異なるか否かを情報変換部が判断する例を示したが、情報変換部とは異なる情報判断部を設けて判断するようにしてもよい。情報判断部は、生成部260を構成するものであるが、生成部260とは異なる判断部等を構成するものとしてもよい。なお、単位情報は、円からドルなど通貨の単位情報であってもよい。
【0074】
情報提示部は、第3の情報を提示する。情報提示部は、提示する第3の情報をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100で第3の情報を表示する。また、ユーザ端末100に送信された第3の情報は、ユーザ端末100で編集、加工することができる。情報提示部は、排出係数提示部と別の機能として説明するが、同じ機能としてもよく、この場合は提示部とする。
【0075】
情報入力部は、ユーザ端末100から入力された第1の事業主体に対応する情報を管理サーバ200に入力する。管理サーバ200は、入力された第1の事業主体に対応する情報を、情報取得部によって取得する。第1の事業主体に対応する情報は、例えば、質問等の問い合わせの情報である。
【0076】
また、ユーザが自社で作成した排出レポートの情報をユーザ端末100によって管理サーバ200に入力すると、レビュー結果(第3の情報)を表示するようにしてもよい。この場合、自社で作成した排出レポートが第1の情報である。また、自社で作成した排出レポートには、第2の情報が含まれるようにすることが好ましい。管理サーバ200は、取得した複数の他のサプライヤの排出レポートを基にして、ユーザの排出レポートにとって必要となる記載項目の情報や排出レポート内で加筆、修正すべき内容の情報であるレビュー結果を生成し、レビュー結果を反映させた排出レポートを提示する。排出レポートの情報を管理サーバ200に入力する方法は、OCRを介した文字情報を入力部220により入力するようにしてもよい。このようにすることで、複数種類の排出レポートを容易に取得することができる。
【0077】
排出レポートの情報を管理サーバ200に入力する場合、OCRで読み込む文字情報として、車検証に記載された情報を文字情報として入力部220により入力するようにしてもよい。車検証に記載された情報は、自動車登録番号、登録年月日/交付年月日、初年度登録年月、自動車の種別、用途(乗用または貨物の種別を記載、第2の情報)、自家用・事業用の別(自家用または事業用の種別を記載、第2の情報)、車体の形状(バン、ステーションワゴン等の種別を記載、第2の情報)、車名、乗車定員、最大積載用、車両重量、車両総重量、車体番号、長さ、幅、高さ、前前軸重、前後軸重、後前軸重、後後軸重、型式、原動機の型式、総排気量又は定格出力(原動機の型式と組み合わせて第1の情報)、燃料の種類(ガソリン、軽油等の種別を記載、第1の情報)、型式指定番号、類別区分番号、車両ID、所有者の氏名又は名称、所有者の住所、使用者の氏名又は名称、使用者の住所、有効期間の満了する日等である。これらの情報は、情報処理システムの車両マスターに取り込むことができる。車両マスターへは、車両マスターの項目と車検証の項目をマッチングさせることで、自動取り込みが可能となっている。このように車検証のデータを入力することで、情報処理システムの車両マスターの情報として容易に取り込むことができる。車両マスターの情報は、物流業者に対して出力可能であり、物流業者は、この車両マスターデータを車両管理台帳として物流業者内で使用できるようになっている。
【0078】
車検証の情報をOCRにて入力する場合、以下の構成を備える情報処理システム、コンピュータが実行する情報処理方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる(P060)。サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報(例えば、排出量の情報や燃料の種類としてガソリンや軽油の情報)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、車検証の情報として自家用、事業用の情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、排出原単位)を設定する情報設定部(生成する情報生成部)と、第3の情報を提示する提示部と、を備える。元受け事業者と下請け事業者からなる物流事業者の場合、第3の情報としての排出原単位は、下請け事業者が元受け事業者に報告する排出原単位である。情報設定部は、生成部260を構成するものである。情報設定部の代わりに情報生成部が第3の情報を生成するようにしたり、情報特定部が第3の情報を特定したりしてもよい。情報特定部が特定する場合であっても、提示部により特定した情報を提示することが好ましい。
【0079】
取得部250で排出レポートを取得した場合や第1の情報が排出レポートの場合、情報設定部は、排出レポートの種類に基づいた排出原単位を設定することが好ましい。
【0080】
車検証に記載される情報は、バーコード、QRコード(登録商標)やICタグに含めて車検証に付加することとしてもよい。バーコード、QRコード(登録商標)、ICタグの場合、ユーザ端末100を用いて読み取り、その情報を入力部220により入力することが好ましい。
【0081】
また、ICタグを用いる場合は、走行実績を算出する際に、走行開始の地点(時点)、走行終了の地点(時点)で読み取り、これらの情報を入力部220により入力することで、走行実績を記憶部230に記憶(登録)させることができるようになっている。そして、計算部210は、走行実績を用いて温室効果ガスの排出量を算出可能となっている。なお、走行実績は、物流事業者等のユーザであれば、輸送実績として用いることもできる。物流事業者等のユーザが走行実績を輸送実績として用いる場合、荷主情報、荷物情報(輸送・配送の荷物の名称)などの特定情報に基づいて、情報特定部が排出量を特定することができる。例えば、元受け事業者が荷主情報として荷主Aや荷主Bを示す特定情報で検索することができ、検索結果として荷主Aや荷主Bの荷主単位の排出量が特定され、提示可能となっている。荷主情報は、車両マスターにおける所有者の氏名又は名称、所有者の住所、使用者の氏名又は名称、使用者の住所等から情報特定部が荷主を特定可能となっている。
【0082】
また、ユーザが取得した領収書や見積書などの情報をユーザ端末100によって管理サーバ200に入力すると、排出係数(第3の情報)を表示するようにしてもよい。排出係数の特定については、第9機能で後述する。この場合、取得した領収書や見積書などの情報が第1の情報である。また、取得した領収書や見積書などの情報には、第2の情報が含まれていることが好ましい。管理サーバ200は、取得した複数の領収書や見積書などを基にして、材料費、運搬費、人件費などの項目に分類して、この分類した項目に対応する排出係数を特定し、排出係数を提示する。領収書や見積書などの情報を管理サーバ200に入力する方法は、OCRを介した文字情報を入力部220により入力するようにしてもよい。このようにすることで、複数種類の領収書や見積書などの情報を容易に取得することができる。
【0083】
領収書や見積書などの情報をOCRにて入力する場合、以下の構成を備える情報処理システム、コンピュータが実行する情報処理方法、およびコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる。サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報(例えば、領収書や見積書などの情報)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、材料費、運搬費、人件費などの項目の情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、排出係数)を設定する情報設定部(生成する情報生成部)と、第3の情報を提示する提示部と、を備える。
【0084】
<動作>
図7は、情報処理システムの排出係数を提示する処理(動作4)を説明する図である。
【0085】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、対応するサプライヤの当該活動に係る活動量を取得する(S701)。管理サーバ200は、例えば、サプライヤに対してリクエストを送信し、サプライヤのユーザ端末100から活動量を受信するようにしてもよいし、自社のユーザ端末100から活動量を受信するようにしてもよいし、サプライヤの業務システムなどから活動量を取得するようにしてもよい。管理サーバ200は、サプライヤと活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から取得する(S702)。
【0086】
排出係数が取得できなかった場合(S703:NO)、管理サーバ200は、サプライヤに対応する規模情報を規模情報記憶部から読み出す(S704)。管理サーバ200は、サプライヤ及び活動に対応する活動に係る規模情報(売上高及び/又は資産額)を取得するようにしてもよい。管理サーバ200は、取得した規模情報に類似する他のサプライヤを規模情報記憶部から特定し(S705)、他のサプライヤと活動とに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出す(S706)。管理サーバ200は、他のプライヤと活動とに対応する排出係数が登録されていない場合には、S705からの処理を繰り返すことができる。管理サーバ200は、読み出した排出係数をユーザ端末100に送信し(S707)、ユーザ端末100から使用する排出係数の指定を受け付ける(S708)。
【0087】
管理サーバ200は、排出係数と活動量を乗じて排出量を計算することができる(S709)。
【0088】
以上のようにして、排出係数が不明なサプライヤについて、規模が類似する他のサプライヤの排出係数をユーザに提示することができる。ユーザは、二次データではなく、類似する自社に係る他のサプライヤの排出係数を用いることができる。
【0089】
第3機能の実施形態では、サプライヤと規模情報が類似する他のサプライヤを特定するものとしたが、サプライヤの業種と一致又は類似し、かつ、規模(売上高、資産額)が一致又は類似する他のサプライヤを特定するようにしてもよい。この場合、規模情報に事業主体の業種を含めるようにしてもよいし、事業主体の業種を記憶する業種記憶部を設けるようにしてもよい。
【0090】
図8は、第3の情報を生成して提示する処理1(動作5)を説明する図である。
【0091】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S801)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S802)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を規模情報記憶部に記憶する(S803)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する第2の情報を規模情報記憶部から読み出す(S804)。次に、管理サーバ200は、規模情報記憶部を参照して、読み出した第2の情報と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体を特定する(S805)。次に、管理サーバ200は、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する(S806)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S807)。
【0092】
動作5において、管理サーバ200は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を計算するようにしてもよい。この計算は、排出量計算部によって実行する。また、動作4と動作5とを組み合わせてもよい。
【0093】
温室効果ガスの排出に関連する情報の開示を進める企業が増えている。排出レポートを作成するためには、専門的な知見やノウハウが必要となるが、これらを有していない事業者(特に中小企業)では、排出レポートを作成する場合、集計すべき情報の種類や記載事項がわからないということが多く、この分野に精通しているコンサルタントに頼らざるを得ない状況となっている。また、同業他社が開示している排出レポートを参照することにより、自社で排出レポートを作成することは可能であるが、参照する排出レポートから自社にとって必要な情報を集約、整理するためには、多大な工数がかかってしまうという問題が生じている。
【0094】
動作5(P044)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、TCFDレポートに記載する内容の情報)を含む第1の情報(例えば、TCFDレポート)と、事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、サプライヤの属性情報として運送情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報(運送情報)と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、新規のTCFDレポート、レビュー結果を反映させたTCFDレポート)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。なお、第1の情報と第3の情報とは同じ種類のレポートに限定されず、異なる種類のレポートでもよい。例えば、有価証券報告書を第1の情報、CDPレポートを第3の情報としてもよい。このようにすることで、或る種類のレポートから、或る種類のレポートとは異なるレポートを容易に作成することができる。
【0095】
このように第1の情報や第2の情報等の前提条件を入力するだけで、ユーザに適した排出レポートのフォーマットが提供されるため、専門的な知見やノウハウを有していない事業者であっても、容易に排出レポートを作成することができる。また、公表されている多数の排出レポートを基にして情報処理システムがレビューしてくれるため、自社で作成した排出レポートの精度を高めることができる。
【0096】
また、動作5(P063)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、CDPレポートに記載する内容の情報)を含む第1の情報(例えば、CDPレポート)と、事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、サプライヤの属性情報として業種・売上・従業員数などの企業情報)を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報(企業情報)と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報(例えば、評価の高いCDPレポートに記載する内容の情報)に基づき第3の情報(例えば、新規のCDPレポート、レビュー結果を反映させたCDPレポート)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。また、当該情報処理システムは、指示情報(例えば、質問の情報、情報生成部に対しての指示情報)を入力する入力部と、指示情報に基づき新たな情報(例えば、質問の回答、アンケート、新たなメールアドレス、コード)を生成する情報生成部と、を備える。なお、分析部280を設けて、取得部250で取得したCDPレポートの評価を実行し、高い評価のレポートを対象として取得するようにしてもよい。前年度のスコアを参照、分析してスコアが高い順にソートし、トップ10(トップ10に限られない)のレポートを取得するようにしてもよいし、前年度及び前々年度等の複数年分のスコアを参照、分析して平均スコアが高いトップ10のレポートを取得するようにしてもよいし、複数年分のスコアを参照、分析する場合は、最新のスコアを優先的に使用するようにしてもよい。また、分析部280は、取得部250で取得した情報を機械学習し、ベストなアンサーを生成するようにしてもよい。このように属性が示す業界の上位のCDPレポートを分析して提示してくれるため、スコアの高い排出レポート(例えば、CDPレポート)を作成することができるとともに、気候変動の戦略等にも役立てることができる。なお、年に1回のCDPレポートの提出後、自動的に提出されたCDPレポートを取得するようにして、機械学習するようにしてもよい。また、CDPレポートの取得は、ユーザ端末100を用いてユーザが個別に参照するCDPレポートを指定することもできる。
【0097】
図9は、第3の情報を生成して提示する処理2(動作6)を説明する図である。
【0098】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S901)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S902)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を規模情報記憶部に記憶する(S903)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する第2の情報を規模情報記憶部から読み出す(S904)。次に、管理サーバ200は、第1の事業主体に対応する情報を取得する(S905)。第1の事業主体に対応する情報を取得とは、ユーザ端末100から入力された第1の事業主体に対応する情報を記憶部(例えば、規模情報記憶部)に記憶し、この記憶した情報を読み出して取得することを示す。次に、管理サーバ200は、規模情報記憶部を参照して、読み出した第1の事業主体と一致又は類似する第2の情報に対応する第2の事業主体を特定する(S906)。次に、管理サーバ200は、特定した第2の事業主体に対応する排出に関連する情報を規模情報記憶部から読み出し、読み出した排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する(S907)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S908)。
【0099】
動作6において、管理サーバ200は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を計算するようにしてもよい。この計算は、排出量計算部によって実行する。また、動作6は動作4、2と組み合わせてもよい。
【0100】
各企業において、顧客からの質問(問い合わせ)対応に係る工数を削減するための手段としてFAQやチャットボットが活用されている。しかしながら、従来のFAQやチャットボットは、あらかじめパターン化した対応しかできないため、質問者が真に求めている回答や解決策を引き出せないことがある。
【0101】
動作6(P045)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する複数の事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、内部の知見)を少なくとも含む第1の情報(例えば、内部の知見の群情報)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報(例えば、顧客情報等の外部の知見の情報)を取得する取得部と、取得した第1の情報と第2の情報を記憶する記憶部(例えば、規模情報記憶部)と、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を入力する入力部と、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の事業主体(他のサプライヤ)の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、質問に対する回答の情報)を生成する情報生成部と、第3の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。なお、入力部は、マイクロフォンなどにより音声による入力を可能とする音声入力部を含む。音声入力部は、音声入力開始のボタンの押下を検出することに基づき、音声入力を開始する。音声入力部は、音声入力を開始した後、音声入力開始のボタンの押下を再度検出することに基づき、音声入力を終了する。なお、音声入力終了のボタンの押下を検出することに基づき、音声入力を終了するようにしてもよい。また、音声が途切れたことに基づき、音声入力を終了するようにしてもよいし、音声入力の開始から所定時間の経過に基づき、音声入力を終了するようにしてもよい。音声入力部から入力した情報は、取得部によって取得され、記憶部に記憶される。
【0102】
また、動作6(P047)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関する種別の情報(例えば、スコープを示す情報)を少なくとも含む排出情報(例えば、スコープを示す情報の群情報)を取得する取得部と、取得した排出情報を記憶する記憶部(例えば、規模情報記憶部)と、第1の事業主体に対応する情報(例えば、質問の情報)を入力する入力部と、第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する排出に関する種別の情報(例えば、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報)に基づき第1の事業主体に対応する種別の情報(例えば、質問に対する回答の情報として、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由の情報)を生成する情報生成部と、第1の事業主体に対応する種別の情報を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。なお、第1の事業主体に対応する種別の情報は、第3の情報でもある。
【0103】
このように公表されている外部の専門的な知見と社内で蓄積している顧客データ等の内部の知見を融合することにより、質問者である顧客が真に求めている回答や解決策を引き出すことができ、自動的に精度の高い問い合わせ対応をすることが可能となる。
【0104】
また、以下のような課題も生じている。特定事業者などに指定されている企業・団体には、省エネ法に基づき、エネルギー使用状況等を定期報告する義務が課されている。この定期報告とは別に、CDP(国際的な環境非営利団体)から企業・団体に対して環境インパクトに関する情報開示が求められており、企業・団体は、任意で「環境に関するCDP質問書」へ回答することにより、気候変動関連情報の開示に対応している企業・団体であることを対外的にアピールしている。企業・団体は、省エネ法に基づく定期報告およびCDP質問書への回答をすることにより、自らのエネルギー使用状況等を対外的に報告している。しかし、省エネ法に基づく定期報告に使用する排出原単位(キロワット)とCDP質問書への回答に使用する排出原単位(ギガジュール)が異なっているため、報告主体である企業・団体において、算定した二酸化炭素排出量データの排出原単位を省エネ法に基づく定期報告用からCDP質問書用に変換する作業が生じている。CDP質問書用の排出原単位から省エネ法に基づく定期報告用の排出原単位に変換する作業や或る排出レポートの排出原単位から他の排出レポートの排出原単位に変換する作業も同様である。これにより、報告主体である企業・団体には、異なる排出レポートにおける排出原単位への変換に多大な作業工数が生じている。
【0105】
動作6(P052)によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報(例えば、省エネ法に基づく排出レポート)と、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報(例えば、CDPレポート)を生成する情報生成部と、第1の情報における単位情報(例えば、キロワット)を第3の情報における単位情報(例えば、ギガジュール)に変換する情報変換部と、第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システムを提供することができる。なお、第1の情報を或る種類の排出レポート(例えば、省エネ法に基づく排出レポート)とした場合、第3の情報は或る種類とは異なる他の種類の排出レポート(例えば、CDPレポート)が好ましいが、第3の情報は或る種類の新たな排出レポート(例えば、省エネ法に基づく新たな排出レポート)でもよい。
【0106】
このようにすることで、或る排出レポートの排出原単位から他の排出レポートの排出原単位に変換する作業を自動化することができるため、排出原単位の変換作業を効率化することができる。特に、省エネ法に基づく定期報告に使用する排出原単位(キロワット)をCDP質問書への回答に使用する排出原単位(ギガジュール)へ変換する作業を自動化することができるため、CDP質問書への回答を効率化することができるようになる。
【0107】
図10は、第3の情報(新たな情報)を生成して提示する処理3(動作7)を説明する図である。
【0108】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する(S1001)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S1002)次に、管理サーバ200は、取得した排出情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1003)次に、管理サーバ200は、指示情報の入力があるか否かを判断する(S1004)。指示情報の入力とは、ユーザがユーザ端末100から指示情報を入力することである。入力方法は、文字入力、音声入力の例を示す。指示入力の入力がない場合(S1004:NO)、管理サーバ200は、指示情報が入力されるまでS1004の処理をループさせる。一方、指示入力の入力がある(あった)場合(S1004:YES)、管理サーバ200は、指示情報を取得する(S1005)。S1004で入力された指示情報は、記憶部230に記憶され、S1005で、この記憶した情報を読み出して取得している。次に、管理サーバ200は、指示情報に基づき、第3の情報(新たな情報)を生成する(S1006)。次に、管理サーバ200は、第3の情報を提示する(S1007)。
【0109】
動作7(P064)は、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報(例えば、CDPレポートに記載する内容の情報)を少なくとも含む排出情報(例えば、CDPレポート)を取得する取得部と、取得した排出情報を記憶する記憶部と、指示情報(第1の事業主体に対応する情報。例えば、質問の情報、情報生成部に対しての指示情報)を入力する入力部と、指示情報(第1の事業主体に対応する情報)(の一部と一致又は類似する排出に関連する情報)に基づき新たな情報(例えば、アンケート、新たなメールアドレス、コード)を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
【0110】
例えば、生成部(情報生成部)は、指示情報(CDPレポートに記載する内容の情報のアンケートをサプライヤA社とサプライヤB社の向けに作成してください。アンケート内容は●●●と▲▲▲と×××に関する情報を取得するための内容にしてください。作成したアンケートをyyyy年mm月dd日にサプライヤA社とサプライヤB社に送信してください。)に基づき、取得したCDPレポートに記載する内容の情報を参照、参考にして、当該情報からCDPレポートに記載すべき情報を確認するためのアンケート(新たな情報)を生成する。なお、生成部は、指示情報(CDPレポートに記載する内容の情報のアンケートを作成してください)の一部と一致又は類似する排出に関連する情報(CDPレポートに記載する内容の情報)とに基づき、新たな情報を生成する。「一部と一致又は類似」とは、指示情報うちの一部の情報とCDPレポートに記載する内容の情報のうちの一部の情報とが同じであることや関連する内容であることを示す。
【0111】
また、生成部は、指示情報(ユーザ名Cで新しいユーザの登録をしてください)に基づき、記憶部230に既に記憶してあるユーザAを示すメールアドレスの情報(ユーザA@zb.jpやユーザB@zb.jp)を参照、参考にして、当該情報から新たなメールアドレス(ユーザC@zb.jp)を生成する。なお、生成部は、指示情報(ユーザCで新しいユーザの登録をしてください)の一部と一致又は類似する記憶部230に記憶された情報(排出に関連する情報としてのユーザA@zb.jpやユーザB@zb.jp)とに基づき、新たな情報を生成する。「一部と一致又は類似」とは、指示情報うちの一部の情報と記憶部230に記憶されているユーザの情報のうち一部の情報とが同じであることや関連する内容であることを示す。ここでは、ユーザのメールドメイン名が一致している例を示す。
【0112】
また、生成部は、指示情報(yyyy年mm月dd日に入力したデータを削除してください。本日の1ヶ月前に入力したデータを全て削除してください。)に基づき、指示内容を実行するコード(プログラム)であって、排出に関連する情報(yyyy年mm月dd日に入力した情報、本日の1ヶ月前に入力した情報)を変更(追加、削除、修正等)するためのコード(プログラム)を生成する。なお、生成部は、指示情報(yyyy年mm月dd日に入力したデータを削除してください。本日の1ヶ月前に入力したデータを全て削除してください。)の一部と一致又は類似する記憶部230に記憶された情報(排出に関連する情報としての1月に入力した情報)とに基づき、1月に入力した情報を削除するコード(プログラム)を生成する。このように生成部(情報生成部、生成部260)は、入力部より入力された指示情報が自然な言葉の指示である場合、その指示をコンピュータの言葉、つまりコードやプログラムを新たな情報として生成する。なお、指示情報に基づいて、分析部280で記憶部230に記憶された排出に関連する情報を分析し、分析部280での分析結果に基づき、生成部が新たな情報を生成している。
【0113】
また、管理サーバ200は、新たな情報としてのコード(プログラム)を実行する実行部290を備えている。実行部290は、生成された新たな情報としてのコードに基づき所定の処理を実行する。例えば、yyyy年mm月dd日に入力した情報を削除するコードを生成部が生成した場合、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報を検索取得して削除する処理を行う。また、指示情報がyyyy年mm月dd日に入力したデータの排出量を計算してください等のデータを計算させる指示の場合、yyyy年mm月dd日に入力した情報を計算するコードを生成部が生成し、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報の排出量を計算し、提示する処理を実行する。なお、実行部290の代わりに計算部210が実行してもよい。提示する処理は、出力部240が実行してもよい。また、指示情報がyyyy年mm月dd日に入力したデータのグラフを作成してください等のデータを視覚化させる指示の場合、yyyy年mm月dd日に入力した情報をグラフにするコードを生成部が生成し、実行部290はコードを実行し、yyyy年mm月dd日に入力した情報のグラフを作成し、提示する処理を実行する。なお、提示する処理は、出力部240が実行してもよい。入力データの削除処理、入力データに基づく排出量計算処理、入力データのグラフ作成処理を実行させるために、API連携機能により連携済みの外部ソフトウェアからyyyy年mm月dd日に入力したデータを検索取得させてもよい。
【0114】
図11は、第3の情報(新たな情報)を生成して提示する処理4(動作8)を説明する図である。なお、動作8(P064)は動作7で示した新たな情報としてコードを生成する動作である。
【0115】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する(S1101)。また、管理サーバ200は、少なくとも事業主体の属性を示す第2の情報を取得する(S1102)次に、管理サーバ200は、取得した排出情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1103)次に、管理サーバ200は、指示情報の入力があるか否かを判断する(S1104)。指示情報の入力とは、ユーザがユーザ端末100から指示情報を入力することである。入力方法は、文字入力、音声入力の例を示す。指示入力の入力がない場合(S1104:NO)、管理サーバ200は、指示情報が入力されるまでS1004の処理をループさせる。一方、指示入力の入力がある(あった)場合(S1104:YES)、管理サーバ200は、指示情報を取得する(S1105)。S1104で入力された指示情報は、記憶部230に記憶され、S1105で、この記憶した情報を読み出して取得している。次に、管理サーバ200は、指示情報に基づき、第3の情報(新たな情報)として、指示の内容を実行するコードを生成する(S1106)。次に、管理サーバ200は、生成したコードに基づく所定の処理を実行する(S1107)。次に、管理サーバ200は、コードに基づき実行した所定の処理の結果を提示する(S1108)。
【0116】
なお、第2の情報は、顧客属性を示す情報としてもよい。顧客属性を示す情報は、例えば、業種、売上高、事業別売上高、市場区分、従業員数、事業の地域、事業の内容、販売・製造・提供している製品やサービス等の情報である。また、第2の情報は、サステナビリティに関する取り組みの情報としてもよい。サステナビリティに関する取り組みの情報は、例えば、気候変動に関連する目標、社内の戦略や体制、数値目標等の情報である。さらに、第2の情報は、競合情報、顧客動向に関連する情報など外部要因の情報としてもよい。また、これらの情報は、第1の情報としてもよい。このように第1の情報や第2の情報の種類を多く備えることで、第3の情報を作成し易くすることができる。
【0117】
管理サーバ200の入力部220と、出力部240と、取得部250と、計算部210と、生成部260と、推定部270、分析部280、実行部290を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。また、このシステムが、スコープを示す情報、カテゴリを示す情報、その理由を示す情報等の取得した情報を学習させるチューニングを行うようにしてもよい。このようにすることで、WBCSDや環境省が公表しているドキュメントや社内の顧客データベースを管理サーバ200に読み込ませ、顧客が前提条件(業種、製品、サービス等)を入力すると、学習済みの情報群から顧客に最適な回答を生成し、自動的に回答するようにできる。なお、多言語の情報を読み込ませることも可能である。また、質問の入力、回答も多言語で行うことも可能である。多言語対応のシステムとすることで、誰でも容易に知りたい情報を得ることができる。
【0118】
<開示事項>
第3機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目C1(P030)]
事業主体ごとに、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、前記事業主体ごとに、売上規模及び資産規模の少なくともいずれかを示す規模情報を記憶する規模情報記憶部と、サプライチェーンの上流又は下流を構成する第1の事業主体による活動量を取得する取得部と、前記第1の事業主体に対応する前記排出係数に前記活動量を乗じて前記第1の事業主体による前記排出量を計算する排出量計算部と、前記第1の事業主体に対応する前記排出係数が登録されていない場合に、前記第1の事業主体に対応する前記規模情報を前記規模情報記憶部から読み出し、前記規模情報記憶部を参照して、読み出した前記規模情報と一致又は類似する前記規模情報に対応する第2の事業主体を特定し、特定した前記第2の事業主体に対応する前記排出係数を前記排出係数記憶部から読み出し、読み出した前記排出係数を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C2]
項目C1に記載の情報処理システムであって、前記売上規模及び前記資産規模は数値であり、前記提示部は、前記規模情報記憶部に記憶されている前記規模情報のうち、読み出した前記規模情報との差が所定範囲内に含まれるものに対応する前記第2の事業主体を特定すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目C3]
項目C1に記載の情報処理システムであって、前記排出係数記憶部は、前記事業主体及び前記事業主体による活動に対応付けて前記排出係数を記憶し、前記規模情報記憶部は、前記活動に対応付けて前記規模情報を記憶し、排出量計算部は、前記第1の事業主体及び前記活動量に係る前記活動に対応する前記排出係数を取得し、前記提示部は、前記規模情報記憶部を参照して、前記第1の事業主体の前記規模情報と一致又は類似する前記規模情報と、前記活動とに対応する第2の事業主体を特定し、特定した前記第2の事業主体及び前記活動に対応する前記排出係数を前記排出係数記憶部から読み出すこと、を特徴とする情報処理システム。
[項目C4(P044)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C5(P045)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、取得した前記第1の情報と前記第2の情報を記憶する記憶部と、第1の事業主体に対応する情報を入力する入力部と、前記第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C6(P047)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関する種別の情報を少なくとも含む排出情報を取得する取得部と、取得した前記排出情報を記憶する記憶部と、第1の事業主体に対応する情報を入力する入力部と、前記第1の事業主体に対応する情報と一致又は類似する前記排出に関する種別の情報に基づき前記第1の事業主体に対応する種別の情報を生成する情報生成部と、前記第1の事業主体に対応する種別の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C7(P054)]
項目C6の入力部は、第1の事業主体に対応する情報を音声により入力する入力部であることを特徴とする情報処理システム。
[項目C8(P052)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報と、少なくとも前記事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の前記排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第1の情報における単位情報を前記第3の情報における単位情報に変換する情報変換部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C9(P063)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、事業主体の属性を示す第2の情報を取得する取得部と、第1の事業主体に対応する前記第2の情報と一致又は類似する第2の事業主体の排出に関連する情報に基づき第3の情報を生成する情報生成部と、前記第3の情報を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C10]
項目C9に記載の情報処理システムであって、指示情報を入力する入力部と、を備え、前記情報生成部は、前記指示情報に基づき新たな情報を生成可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目C11(P064)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む排出情報を取得する取得部と、取得した前記排出情報を記憶する記憶部と、指示情報を入力する入力部と、前記指示情報に基づき新たな情報を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目C12]
項目C11に記載の情報処理システムであって、前記指示情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記排出情報を分析する分析部と、を備え、前記情報生成部は、分析の結果に基づき、前記新たな情報を生成することを特徴とする情報処理システム。
[項目C13]
項目C12に記載の情報処理システムであって、前記新たな情報に基づき所定の処理を実行する実行部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0119】
<<炭素税の目標設定機能(第4機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第3機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第4機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0120】
図3を用いて、第4機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部)と、取得部250(情報取得部)と、計算部210(導出部、削減量計算部)と、出力部240(情報提示部)と、入力部220(情報入力部)を備える。
【0121】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、第2機能の実施形態で説明した記憶部と同様である。本実施形態では、排出量記憶部は、排出量を特定する情報として、自社の二酸化炭素の排出量を算定した結果を記憶する。
【0122】
取得部250を構成する情報取得部は、基準シナリオデータを取得する。基準シナリオデータは、複数のシナリオデータから構成される。複数のシナリオデータは、第1のシナリオデータ、第2のシナリオデータ、第3のシナリオデータ等である。第1のシナリオデータは、例えば、現在のように温室効果ガスを排出し続けた場合のシナリオデータであり、2100年(2050年等でも可)までに約4度気温が上昇するものである。第2のシナリオデータは、例えば、温室効果ガスをほぼゼロにした場合のシナリオデータである。第3のシナリオデータは、例えば、温室効果ガスを所定量削減した場合のシナリオデータであり、2100年(2050年等でも可)までに気温の上昇が2度以下となるシナリオデータである。各シナリオデータは、現在から2100年までの各年の炭素価格(係数)を示したものである。なお、基準シナリオデータとして、WEO2022が設定している気候変動シナリオを取得するようにしてもよい。気候変動シナリオを取得した場合、第1のシナリオデータはSTEPS(The Stated Policies Scenario)をベースとしたシナリオデータ、第2のシナリオデータはNZE(Net Zero Emissions by2050 Scenario)をベースとしたシナリオデータ、第3のシナリオデータはAPS(The Announced Pledges Scenario)をベースとしたシナリオデータを作成する。
【0123】
計算部210を構成する導出部は、排出量記憶部に記憶された排出量と炭素価格(係数)とに基づき、第1の炭素税を導出(計算)する。第1の炭素税は、排出量に含まれる炭素の量に基づき導出される。導出方法は、国ごとに異なる。例えば、日本ではN円/トン、米国ではMドル/トンなど1トンあたりの炭素価格を排出量に乗じて導出される。また、導出部は、所定期間における第2の炭素税を導出可能である。所定期間は、短期(2、3年程度)、中期(5~10年程度)、長期(30年程度)などである。第2の炭素税は、排出量記憶部に記憶された排出量とシナリオデータとに基づき導出(計算)される。例えば、第1のシナリオデータを用いて長期の第2の炭素税を導出する場合、シナリオ開始時(現在)の第2の炭素税は、第1の炭素税を用いる。シナリオ終了時(30年後)の第2の炭素税は、排出量と第1のシナリオデータの30年後のデータとに基づき導出する。また、シナリオ開始からシナリオ終了時まで各年の第2の炭素税は、排出量と第1のシナリオデータの各年のデータとに基づき導出する。このように本例においては、長期の第2の炭素税のシミュレーションを実行し、ユーザに提示することができる。なお、導出部は、削減量に基づいて第2の炭素税も導出可能である。本例では、削減量にシナリオデータの炭素価格を乗ずることで炭素税のシミュレーションも実行可能である。
【0124】
計算部210を構成する削減量計算部は、排出量と事業主体による排出量の削減目標割合とに基づいて削減量を計算する。削減目標割合については、第1機能の実施形態と同様である。
【0125】
情報提示部は、第1の炭素税、第2の炭素税(シミュレーションの結果)、削減量の情報を提示する。第2の炭素税は、一のシナリオデータに基づくシミュレーションの結果を提示してもよいし、複数のシナリオデータに基づく複数のシミュレーションの結果を提示してもよい。情報提示部は、提示する情報をユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100で第情報を表示する。また、ユーザ端末100に送信された情報は、ユーザ端末100で編集、加工することができる。なお、情報提示部は、潜在的なリスクを提示するようにしてもよい。リスクは、急性的なリスクと、慢性的なリスクとの2種類がある。急性的なリスクは、突発的な事象に起因したリスクである。突発的な事象は、例えば、雪崩、寒波、霜、サイクロン、ハリケーン、台風、干ばつ、熱波、洪水(沿岸、河川、多雨、地下水)、氷河湖決壊、豪雨(雨、霰、雹、雪、氷)、地滑り、嵐(猛吹雪、粉塵、砂嵐を含む)、地盤沈下、トルネード、山火等である。慢性的なリスクは、気候パターンの長期的な変化からなるリスクである。慢性的なリスクは、例えば、変化していく豪雨のパターン(雨、霰、雹、雪、氷)、変化していく温度(大気、淡水、海水)、変化していく風のパターン、海岸浸食、熱ストレス、海洋の酸性化、永久凍土融解、豪雨および/または水文学的変動、塩水侵入、海面上昇、土壌劣化、土壌浸食、ソリフラクション、気温の変動、水不足等である。これらにより、対応コストの増加、資産価値の減少、資産減損、生産能力低下に起因した売上減少等のリスクを生じる。そして、リスクを提示することにより、ユーザがどのような種類のリスクがあることを認識することができる。
【0126】
情報入力部は、ユーザ端末100から入力された事業主体による前記排出量の削減目標割合の情報を管理サーバ200に入力する。
【0127】
図12は、炭素税を計算して提示する処理(動作9)を説明する図である。
【0128】
管理サーバ200は、事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する(S1201)。次に、管理サーバ200は、排出量に基づき、第1の炭素税を計算する(S1202)。次に、管理サーバ200は、シナリオデータを選択する(S1203)。選択するシナリオデータは、いずれか一であってもよいし、複数であってもよい。次に、管理サーバ200は、選択したシナリオデータを用いて所定期間における第2の炭素税を計算する(S1204)。次に、管理サーバ200は、事業主体による排出量の削減目標割合の入力を受け付ける(S1205)。次に、管理サーバ200は、排出量と削減目標割合とに基づいて削減量を計算する(S1206)。次に、管理サーバ200は、削減量に基づいた第2の炭素税を計算する。管理サーバ200は、第1の炭素税、各計算結果を示す第2の炭素税をユーザに提示するよう出力する。第2の炭素税は、X軸を年度とするグラフで提示するようにしてもよい。
【0129】
近年の地球温暖化現象により世界中で異常気象が観測されている。また、気象災害も多発化している。国連気候変動に関する政府間パネルによると、このまま地球温暖化が進む場合、さらなる気象災害の多発化や激甚化が起こり得ると警告されている。このような異常気象や気象災害の発生を抑制するために、欧米諸国が主導して脱炭素社会への移行を推進しており、日本国内においても、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが推進されている。この取り組みの一例として、炭素価格(カーボンプライシング)制度を導入することで、炭素に価格付をして二酸化炭素排出者(主に企業)の行動を変容させる政策の実行が予測できる。炭素価格(カーボンプライシング)制度が導入されると、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「炭素税」が創設され得る。炭素税が創設された場合、二酸化炭素の排出主体となる企業にとっては、財務に多大な影響を受けることになる。このため、企業は自社の二酸化炭素排出量に課せられる炭素税を試算し、炭素税を考慮した事業活動を検討していかなければならない状況となる。しかしながら、現在、将来的に企業に課せられる炭素税をシミュレーションする情報処理システムは存在していない。
【0130】
動作9によると、二酸化炭素の排出量の算定・可視化の情報処理システムで自社の二酸化炭素の排出量を算定し、この算定結果と基準シナリオデータに応じた炭素価格を基準にして炭素税をシミュレーションする情報処理システムを提供することができる。詳細には、第1のシナリオデータ、第2のシナリオデータ、第3のシナリオデータの各シナリオ上で算出される炭素価格(カーボンプライシング)に、自社の二酸化炭素排出量を乗ずることで炭素税をシミュレーションする情報処理システムを提供することができる。
【0131】
このように構成することで、企業において、将来の炭素税負担等のリスクファクターを認識することができ、気候変動関連目標に紐づく事業計画を簡便に策定することができるようになる。また、企業が将来の炭素税負担等のリスクファクターを設備投資計画等の検討に取り組むことで、脱炭素投資への優先度を高めることとなり、企業における脱炭素投資を推進することができる。
【0132】
管理サーバ200の取得部250と、計算部210、出力部240と、入力部220を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。このような機械学習により、炭素税の増減要因を予測することができる。
【0133】
<開示事項>
第4機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目D1(P051)]
事業主体による温室効果ガスの排出量と所定のシナリオデータとを記憶する記憶部(排出量記憶部)と、前記排出量と前記所定のシナリオデータに基づき、炭素税(第2の炭素税)を導出する導出部と、を備え、前記導出部は、所定期間における炭素税を導出可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目D2]
項目D1に記載の情報処理システムであって、前記事業主体による前記排出量の削減目標割合の入力を受け付ける入力部(情報入力部)と、前記排出量と前記削減目標割合とに基づいて削減量を計算する削減量計算部と、を備え、前記導出部は、前記削減量に基づいて前記炭素税を導出可能であることを特徴とする情報処理システム。
[項目D3]
項目D2に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、基準時点及び目標時点の入力を受け付け可能であり、前記削減量計算部は、前記基準時点における前記排出量を前記排出量記憶部から取得し、取得した前記排出量と前記削減目標割合とに基づいて前記目標時点における前記削減量を計算可能であることを特徴とする情報処理システム。
【0134】
<<ブロックチェーン機能(第5機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第4機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第5機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0135】
図3を用いて、第5機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(排出量記憶部、ブロックチェーン)と、取得部250(情報取得部)と、分析部280と、出力部240(情報提示部)と、を備える。本実施形態では、ブロックチェーンは、管理サーバ200内に設ける例を示しているが、管理サーバ200の外部にブロックチェーンを設けるようにしてもよい。外部に設ける場合であっても、ブロックチェーンの情報は、管理サーバ200が取得できる。
【0136】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、第2機能の実施形態で説明した記憶部と同様である。本実施形態では、排出量記憶部は、排出量を示す情報(第1の情報)として、自社および他社の二酸化炭素の排出量を算定した結果を記憶する。ブロックチェーンは、ブロックの単位でデータを管理し、それを鎖のように連結してデータを記憶するものである。ブロックチェーンの各ブロックには、第1の情報が記憶されている。また、各ブロックには、直前のブロックの内容を表すハッシュ値(第2の情報)が記憶されている。例えば、第1のブロックに第1の排出量を示す情報(第1の情報A)と第1のハッシュ値(第2の情報A)、第2のブロックに第2の排出量を示す情報(第1の情報B)と第2のハッシュ値(第2の情報B)、が記憶されている場合、第1のブロックで用いられる第1のハッシュ値は、次のブロックである第二のブロックの生成に必要な証明書として用いられる。つまり、第1のハッシュ値は、第2のハッシュ値に関連する情報となる。ここで、第2のブロックの第2の排出量を示す情報のデータを改ざんする場合、導出される第2のハッシュ値が異なる値(異常値)になるため、全ブロックのハッシュ値を変更する必要がある。このためブロックチェーンで管理されている情報の改ざんは困難であるので、信頼性の高い情報処理システムを提供することができる。
【0137】
取得部250を構成する情報取得部は、第1の情報を取得する。第1の情報は、第3機能の実施形態の排出量を示す情報等である。また、情報取得部は、第2の情報を取得する。第2の情報は、直前のブロックの内容を表すハッシュ値を例示するが、ブロックチェーンにおける情報を示す情報であればよい。第2の情報は、第1の情報に対応付けられた情報である。つまり、第1の情報と第2の情報とは、関連した情報である。第3機能の実施形態で示した第2の情報がブロックチェーンに記憶されている場合は、第3機能の実施形態の第2の情報を第2の情報とすることができる。この場合、第3機能の実施形態の第2の情報にハッシュ値を対応付けた情報を第2の情報とすることが好ましい。また、第2の情報は、ハッシュ値でなく、いつ、どこで、どの事業主体から取得した情報であるかを確認できる情報とすることもできる。
【0138】
分析部280は、下流を構成する事業主体の排出量を示す情報を取得したハッシュ値に基づいて分析する。「下流」とは、第1の事業主体(サプライヤ)よりも下流の事業主体であり、第2の事業主体である他のサプライヤである。第1の事業主体は、下流の事業主体である第2の事業主体から排出量を示す情報を取得するが、この排出量を示す情報が改ざんされているか否かを分析部280によって分析可能である。排出量を示す情報は、ブロックチェーンで管理されている情報である。ハッシュ値もブロックチェーンで管理されている情報であり、排出量を示す情報に関連する情報である。したがって、分析部280は、排出量を示す情報に対応するハッシュ値を分析することにより、下流を構成する事業主体から取得した排出量を示す情報が改ざんされていない正常な情報であることを分析、確認することができる。また、分析部280は、排出量を示す情報がどの事業主体の情報であるかを分析可能である。
【0139】
情報提示部は、分析の結果の情報を提示する。例えば、分析の結果として、取得した排出量を示す情報が異常な情報の場合は、「取得した排出量を示す情報は正常ではありません」等をユーザ端末100に表示する情報を出力する。一方、取得した排出量を示す情報が正常な情報の場合は、正常であることを提示しない。なお、取得した排出量を示す情報が正常な情報の場合に、「取得した排出量を示す情報は正常です」等をユーザ端末100に表示する情報を出力するようにしてもよい。また、排出量を示す情報がどの事業主体の情報であるかを分析した結果が、正常な第2の事業主体ではない場合は、「取得した排出量を示す情報は正常ではありません」等をユーザ端末100に表示する情報を出力する。なお、正常な情報の場合は、正常であることを提示しないが、「取得した排出量を示す情報は正常です」等をユーザ端末100に表示する情報を出力するようにしてもよい。
【0140】
分析の結果が異常の場合であって、取得した排出量を示す情報が改ざんではない場合、例えば、第2の事業主体が誤った排出量を示す情報を第1の事業主体に出力したことが分析の結果より判明した場合、その旨を提示する。また、この場合、第1の事業主体に出力した排出量を示す情報が誤った情報であったことを第2の事業主体に出力(連絡)するようにしてもよい。
【0141】
また、生成部260を設けて、ブロックチェーンを生成するようにしてもよい。ブロックチェーンを構成するブロックには、第2の事業主体の第1の情報と該第1の情報に対応するハッシュ値を記憶する。複数の第2の事業主体の第1の情報を取得し、分析の結果が正常である第1の情報を用いることによってブロックチェーンを構成することができる。また、第2の情報Bは、第2の情報Aに関連する情報である、一方、第1の情報Bは、第1の情報Aに関連する情報ではない情報とすることができる。ここでの「関連する情報」とは、一方の情報が他方の情報に対して関数等による関係があることを例示するが、これに限定されない。少なくとも第2の情報の間でのみ関連する情報とすることで、記憶する第1の情報の自由度を持たせることができる。
【0142】
図13は、第1の情報を分析して出力する処理(動作10)を説明する図である。
【0143】
管理サーバ200は、排出量を算出する各活動(例えば、自社が調達している原材料のそれぞれなど)について、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を少なくとも含む第1の情報を取得する(S1301)。また、管理サーバ200は、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する(S1302)。次に、管理サーバ200は、取得した第1の情報と第2の情報を記憶部230に記憶する(S1303)。次に、管理サーバ200は、第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の第1の情報を分析する(S1304)。次に、管理サーバ200は、分析の結果が異常であるか否かを判断する(S1305)。分析の結果が異常である場合(S1305:YES)、管理サーバ200は、異常であることを提示して、動作10の処理を終了する(S1306)。一方、分析の結果が異常ではない場合(S1305:NO)、管理サーバ200は、動作10の処理を終了する。
【0144】
上流又は下流を構成する事業主体の第1の情報の信頼性に懸念が生じている。例えば、スマートフォンの製品を製造する第1の事業主体の場合、カメラ、チップ等のスマートフォンを構成する部品の第1の情報(排出量や排出原単位)を第2の事業主体から取得する。しかしながら、取得した第1の情報に改ざんが生じていても、改ざんを確認する手段がなく、改ざんされた不正な情報が第1の事業主体の情報として登録されてしまっていたことに起因して正確な温室効果ガス排出量を算定することができなくなってしまう問題が生じる。第5機能の実施形態は、このような問題を解消するために提案されたものである。
【0145】
動作10によると、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備える情報処理システムを提供することができる。
【0146】
このように構成することで、サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガス排出量の計算過程(どの事業主体がいつどのように算定したのか)や当該事業主体による温室効果ガス排出量データの編集履歴を追跡することができるため、取得した排出量を示す情報の信頼性を確認(信頼性を担保)することができ、正常な情報のみからなる排出量を示す情報を提供することができる。
【0147】
管理サーバ200の出力部240と、取得部250と、生成部260と、分析部280を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0148】
<開示事項>
第5機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目E1(P065)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する事業主体による温室効果ガスの排出に関連する情報を含む第1の情報と、ブロックチェーンにおける情報を示す第2の情報を取得する取得部と、前記第2の情報に基づき、下流を構成する事業主体の前記第1の情報を分析する分析部と、分析の結果を提示する提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目E2]
項目E1に記載の情報処理システムであって、前記第1の情報には、少なくとも第1の情報Aと、当該第1の情報Aの次の情報である第1の情報Bとがあり、前記第2の情報には、少なくとも第2の情報Aと、当該第2の情報Aの次の情報である第2の情報Bとがあり、前記第2の情報Aと前記第2の情報Bとは関連する情報である一方、前記第1の情報Aと前記第1の情報Bとは関連する情報ではない情報であることを特徴とする情報処理システム。
【0149】
<<証憑機能(第6機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第5機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第6機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0150】
図3を用いて、第6機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(証憑データ記憶部、対応データベース)と、取得部250(証憑取得部、基礎データ取得部)と、計算部210(排出量算出部)と、出力部240(証憑出力部)と、を備える。
【0151】
取得部250を構成する証憑取得部は、温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得する。基礎データは、例えば、活動量及び排出係数の少なくともいずれかとすることができる。
【0152】
活動量に係る証憑データは、例えば、請求書や領収書、契約書などの証憑を表すデータである。GHG(GreenHouse Gas)プロトコルのスコープ1(直接排出量)に係る証憑としては、例えば、ガソリンスタンドでの給油のレシート、ガスや石炭などの請求書などがあり得る。スコープ2(間接排出量)に係る証憑としては、例えば、電力の領収書や契約書などがあり得る。スコープ3(関連他社による排出量)に係る証憑としては、カテゴリー1(購入した物品・サービス)に関して、例えば、原料や部品の調達に係る発注書、請求書、契約書や領収書、あるいは調達システムのデータや部品表などがあり得る。
【0153】
また、排出量に係る証憑データとしては、例えば、サプライヤから入手した原材料の排出原単位の一次データ(サプライヤが独自に算出したものであってもよいし、第三者検証を受けているものであってもよい。)などがあり得る。
【0154】
証憑データは、例えば、画像データであってよい。画像データは、例えば、ユーザ端末100が備えるカメラ(不図示)が撮影したデータとすることができる。証憑データは、例えば、PDFファイルなどのドキュメントであってもよいし、XMLなどの構造化ファイルであってもよい。
【0155】
証憑取得部は、例えば、ユーザ端末100から証憑データのアップロードを受け付けるようにしてもよいし、ユーザ端末100から送信された電子メールやチャットメッセージなどのメッセージに添付された証憑データを取得するようにしてもよい。また、管理サーバ200をユーザが直接操作可能である場合には、管理サーバ200がカメラやスキャナを備えるようにし、管理サーバ200のカメラやスキャナを用いて証憑を撮影するようにしてもよい。証憑取得部は、取得した証憑データを証憑データ記憶部に登録することができる。
【0156】
記憶部230を構成する証憑データ記憶部は、証憑データを記憶する。証憑データ記憶部は、例えば、証憑を特定する証憑ID及び証憑を登録したユーザを示すユーザIDに対応付けて、証憑データを記憶することができる。証憑データ記憶部は、リレーショナルデータベースやオブジェクトデータベースなどとして実装することもできるし、ファイルシステムとして実装することもできる(この場合、証憑IDはパス及びファイル名とすることができる。)。
【0157】
取得部250を構成する基礎データ取得部は、証憑データから基礎データを読み出す。基礎データ取得部は、例えば、OCR処理により画像データから基礎データを読み取ることができる。基礎データ取得部は、例えば、ドキュメントに含まれるテキストから基礎データを抽出するようにすることもできる。
【0158】
計算部210を構成する排出量算出部は、基礎データに基づいて排出量を算出する。例えば、基礎データが企業の活動量を示す情報である場合には、当該企業の当該活動に係る排出係数を記憶する排出係数記憶部を管理サーバ200が備えるようにし、読み取った活動量に排出係数を乗じて排出量を算出することができる。また、基礎データが企業の排出係数である場合には、当該企業による活動量(例えば、スコープ1に係る排出量の場合にはユーザが燃焼した燃料の量などとすることができ、スコープ2に係る排出量の場合にはユーザが使用した電力量であってもよいし、スコープ3に係る排出量である場合には、当該企業からユーザが購入した商品の量やユーザが販売した商品の使用量、ユーザが販売した商品の配送トンキロなどであってよい。)を、例えば会計システムなどにアクセスしたり、ユーザから入力を受け付けたりして取得し、取得した活動量に、読み取った排出係数を乗じて排出量を算出することができる。また、基礎データが排出係数及び活動量の両方を含む場合には、読み取った排出係数及び活動量を乗じて排出量を算出することができる。また、基礎データが排出量である場合には、証憑データから読み取った排出量をそのまま利用することができる。
【0159】
記憶部230を構成する対応データベースは、排出量を特定する情報と、証憑データを特定する情報とを紐付けて記憶する。対応データベースは、さらに、基礎データを特定する情報を紐付けて記憶することもできる。対応データベースは、排出量特定情報と、基礎データを特定する基礎データIDと、証憑を示す証憑IDとを対応付けて記憶する。排出量特定情報には、例えば、年度や月、日などの時間情報を含めることができる。また、排出量特定情報には、排出量に係る温室効果ガスの出力主体(企業等)を特定する情報(ユーザIDなど)を含めることもできる。また、排出量特定情報には、計算対象となる商品やサービスを含めることもできる。
【0160】
出力部240を構成する証憑出力部は、証憑データを出力する。証憑出力部は、排出量特定情報の指定を受け付けることができる。例えば、証憑出力部は、年度や月、日などの時間情報の指定を受け付けることができる。また、証憑出力部は、時間情報に加えて又は代えて、排出量の主体の指定を受け付けることができる。また、証憑出力部は、時間情報及び/又は排出量の主体に加えて又は代えて、計算対象となる商品又はサービスを特定する情報を受け付けることができる。証憑出力部は、受け付けた排出量特定情報に対応する証憑IDを対応データベースから特定し、特定した証憑IDに対応する証憑データを証憑データ記憶部から読み出して出力することができる。
【0161】
証憑出力部は、例えば、第三者認証機関(監査機関)からのリクエストに応じて証憑データを出力することができる。また、GHGプロトコルに係る排出量を計算するユーザからのリクエストに応じて、当該排出量の算出根拠となった基礎データに係る証憑データを対応データベースから特定し、特定した証憑データを排出量とともに第三者認証機関(の情報処理装置)に対して送信するようにすることもできる。
【0162】
また、証憑出力部は、排出量特定情報に加えて基礎データの指定を受け付けることもできる。この場合、証憑出力部は、排出量特定情報及び指定された基礎データを示す基礎データIDに対応する証憑IDを対応データベースから特定し、特定した証憑IDに対応する証憑データを証憑データ記憶部から読み出して出力することができる。
【0163】
<動作>
次に、第6機能の情報処理システムにおける排出量の算出処理の流れを説明する。
【0164】
管理サーバ200は、ユーザ端末100から証憑データを受け付け、証憑データからOCR処理などにより基礎データを読み取り、基礎データを用いて温室効果ガスの排出量を算出する。
【0165】
管理サーバ200は、証憑データを証憑データ記憶部に格納するとともに、排出量を特定する排出量特定情報と、基礎データを示す基礎データIDと、証憑データを示す証憑IDとを対応付けて対応データベースに登録する。
【0166】
なお、排出量の算出にあたり複数種類の基礎データを受信する場合に、証憑データを受信せず、基礎データを受信する場合があってもよい。
【0167】
次に、第6機能の情報処理システムにおける証憑データの出力処理の流れを説明する。
【0168】
管理サーバ200は、ユーザ端末100から排出量特定情報及び基礎データIDを受け付ける。なお、基礎データIDは省略してもよい。管理サーバ200は、受け付けた排出力特定情報及び基礎データIDに対応する証憑IDを対応データベースから特定し、特定した証憑IDに対応する証憑データを証憑データ記憶部から読み出し、読み出した証憑データを出力(ユーザ端末100に対して送信)する。
【0169】
以上のようにして、第6機能の情報処理システムによれば、温室効果ガスの排出量の算出に用いた基礎データに係る証憑データを、排出量及び基礎データに対応付けて管理することができる。したがって、監査や第三者認証などの場合に、排出量やその算出に用いる基礎データに対応する証憑データを容易に提示することができる。
【0170】
第6機能の実施形態では、クライアントサーバ構成のシステムであるものとしたが、例えば、ユーザ端末100が管理サーバ200の機能を備えるようにすることもできる。
【0171】
また、第6機能の実施形態では、証憑データからOCR等の処理により基礎データを読み取るものとしたが、例えば、基礎データがユーザ端末100により修正された場合などに、ユーザ端末100から基礎データの入力を受け付け、これを学習するようにしてもよい。例えば、ユーザ端末100から証憑データ中における基礎データの記載された範囲と、基礎データの内容とを受信し、証憑データ、当該範囲、及び当該内容をトレーニングデータとする機械学習により、OCRを行うための学習モデルを更新するようにしてもよい。これにより、いわゆるAIOCRによる読み取り精度の向上を図ることができる。
【0172】
また、第6機能の実施形態では、証憑データから基礎データを読み取るものとしたが、例えば、基礎データはユーザ端末100から受け付けるようにし、ユーザ端末100から受け付けた基礎データを用いて排出量の計算を行い、この基礎データに係る証憑データをユーザ端末100から受信し、基礎データと証憑データとの対応付けを管理サーバ200が行うようにしてもよい。この場合、基礎データと証憑データとをトレーニングデータとする機械学習を行った学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を管理サーバ200が備えるようにし、当該学習モデルを用いて、ユーザ端末100から受信した証憑データから基礎データの種類(基礎データID)を推論し、証憑データと基礎データとの対応付けを行うことができる。管理サーバ200は、推論した基礎データを示す基礎データIDと証憑データを示す証憑IDとを対応データベースで紐付けることができる。
【0173】
また、第6機能の実施形態では、対応データベースでは、排出量と基礎データと証憑とを対応付けるものとしたが、排出量(排出量特定情報)と証憑(証憑ID)とを対応付けるようにしてもよいし、基礎データ(基礎データID)と証憑(証憑ID)とを対応付けるようにしてもよい。
【0174】
管理サーバ200の取得部250と、計算部210と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0175】
<開示事項>
なお、第6機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目F1(P015)]
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得する証憑取得部と、前記証憑データから前記基礎データを読み出す基礎データ取得部と、前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部と、前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部と、前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベースと、前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目F2]
項目F1に記載の情報処理システムであって、前記証憑データは画像データであり、前記基礎データ取得部は、OCR処理により前記画像データから前記基礎データを読み取ること、を特徴とする情報処理システム。
[項目F3]
項目F1に記載の情報処理システムであって、前記対応データベースは、前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報、ならびに前記基礎データを特定する情報を紐付けて記憶し、前記証憑出力部は、前記排出量及び前記基礎データの指定を受け付けて、前記排出量及び前記基礎データに対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目F4(P015D1)]
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データが表示された証憑データを取得する証憑取得部と、前記基礎データの入力を受け付ける基礎データ取得部と、前記証憑データを記憶する証憑データ記憶部と、前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部と、前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報及び前記証憑データを特定する情報を紐付けて記憶する対応データベースと、前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記証憑データを前記対応データベースから特定し、特定した前記証憑データを前記証憑データ記憶部から読み出して出力する証憑出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0176】
<<会計データの証憑機能(第7機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第6機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第7機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0177】
<システム概要>
第7機能の実施形態では、とくに証憑となるデータのうち、会計データに含まれるものを管理する。第7機能の情報処理システムは、図示していないが、管理サーバ200、ユーザ端末100及び会計システムを含んで構成される。管理サーバ200は、ユーザ端末100及び会計システムと通信ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0178】
管理サーバ200は、温室効果ガスの排出量を算出するコンピュータである。管理サーバ200は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0179】
ユーザ端末100は、ユーザが使用する、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。ユーザはユーザ端末100を操作して管理サーバ200にアクセスし、温室効果ガスの排出量を計算させる。
【0180】
会計システムは、会計データを管理するコンピュータシステムである。会計システムは、1台又は複数台のコンピュータにより構成されうる。会計データには、いわゆる財務諸表データと、財務諸表の基礎となる会計記録データ(伝票データや請求書データ、契約書データ、総勘定元帳データ、仕訳データなど)とを含みうる。会計データには、会計監査に用いられた監査証拠データを含めるようにしてもよい。会計システムは、少なくとも財務諸表データを記憶しており、リクエストに応じて財務諸表データを出力することができる。
【0181】
図3を用いて、第7機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ200は、記憶部230(会計データ記憶部、監査データ記憶部、対応データベース、排出係数記憶部)と、取得部250(会計データ取得部、基礎データ取得部)と、計算部210(排出量算出部)と、出力部240(排出量出力部、会計データ出力部)と、を備える。
【0182】
会計データ取得部は、温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データを含む会計データを取得する。基礎データは、例えば、活動量及び排出係数の少なくともいずれかとすることができる。
【0183】
活動量に係る会計データは、例えば、請求書や領収書、契約書などの会計記録データである。GHG(GreenHouse Gas)プロトコルのスコープ1(直接排出量)に係る証憑となる会計記録データとしては、例えば、ガソリンスタンドでの給油のレシート、ガスや石炭などの請求書などがあり得る。スコープ2(間接排出量)に係る証憑となる会計記録データとしては、例えば、電力の領収書や契約書などがあり得る。スコープ3(関連他社による排出量)に係る証憑となる会計記録データとしては、カテゴリー1(購入した物品・サービス)に関して、例えば、原料や部品の調達に係る発注書、請求書、契約書や領収書、あるいは調達システムのデータや部品表などがあり得る。なお、会計記録データではなく、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表データに含まれる項目を基礎データとすることも可能であり、その場合には、財務諸表データが当該基礎データに対応する会計データとなりうる。
【0184】
また、排出係数に係る証憑としての会計データには、例えば、サプライヤから入手した原材料の排出原単位の一次データ(サプライヤが独自に算出したものであってもよいし、第三者検証を受けているものであってもよい。)などがあり得る。例えば、会計記録データに含まれておらず、炭素会計の監査に用いられた監査証拠データを会計データとすることができる。
【0185】
会計データは、例えば、PDFファイルなどのドキュメントであってもよいし、XMLなどの構造化ファイルであってもよい。また、会計データを、画像データとすることも可能である。
【0186】
取得部250を構成する会計データ取得部は、会計データを特定する情報(例えば、会計年度及び会計データの名称など)の入力をユーザ端末100から受け付けて、会計システムにアクセスし、会計システムに会計データを特定する情報を送信し、会計システムから応答される会計データを受信することができる。また、会計データ取得部は、例えば、ユーザ端末100から会計データのアップロードを受け付けるようにしてもよいし、ユーザ端末100から送信された電子メールやチャットメッセージなどのメッセージに添付された会計データを取得するようにしてもよい。
【0187】
会計データ取得部は、取得した会計データを会計データ記憶部に登録することができる。なお、会計データ取得部は、会計システムに記録されている会計データについては、会計データ記憶部に登録せず、必要に応じて会計システムにアクセスして取得するようにしてもよい。会計データ取得部は、ユーザ端末100から指定された会計データが会計システムに登録されていないときに、ユーザ端末100から受信した会計データ記憶部に登録することができる。
【0188】
記憶部230を構成する会計データ記憶部は、会計データを記憶する。会計データ記憶部は、例えば、会計データを特定する会計データ特定情報及び会計データを登録したユーザを示すユーザIDに対応付けて会計データを記憶することができる。会計データ特定情報は、例えば、会計年度及び会計データの名称などとすることができる。会計データ記憶部は、リレーショナルデータベースやオブジェクトデータベースなどとして実装することもできるし、ファイルシステムとして実装することもできる。指定された会計データが会計システムに登録されていないときに、ユーザ端末100から受信した会計データを記憶する場合、会計データ記憶部は、会計システムが管理していない会計データ(システム外データ)を記憶することになる。
【0189】
記憶部230を構成する監査データ記憶部は、会計データに関連する財務諸表についての会計監査が行われたことを示す監査データを記憶する。監査データは、例えば、監査法人が作成した監査報告書のデータ(電子データ形式の監査報告書又は紙の監査報告書をスキャンしたデータなど)とすることができる。監査データ記憶部は、例えば、監査データを特定する監査データ特定情報及びユーザを示すユーザIDに対応付けて監査データを記憶することができる。監査データ特定情報は、例えば、会計年度などとすることができる。監査データ記憶部は、リレーショナルデータベースやオブジェクトデータベースなどとして実装することもできるし、ファイルシステムとして実装することもできる。
【0190】
記憶部230を構成する対応データベースは、排出量を特定する情報と、会計データを特定する情報とを紐付けて記憶する。また、対応データベースは、さらに、監査データを特定する情報を紐付けて記憶することもできる。対応データベースは、排出量特定情報と、基礎データを特定する基礎データID(例えば、活動量の内容)と、会計データを示す会計データ特定情報と、監査データを特定する監査データ特定情報と、を対応付けて記憶する。排出量特定情報には、例えば、年度や月、日などの時間情報を含めることができる。また、排出量特定情報には、排出量に係る温室効果ガスの出力主体(企業等)を特定する情報(ユーザIDなど)を含めることもできる。また、排出量特定情報には、計算対象となる商品やサービスを含めることもできる。
【0191】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、排出係数を記憶する。排出係数記憶部は、活動を特定する情報(基礎データID)に対応付けて、排出係数を記憶することができる。基礎データIDは、例えば、活動量の種類とすることができる。
【0192】
取得部250を構成する基礎データ取得部は、排出量を算出するために必要なデータ(基礎データ)を取得する。基礎データは、例えば、活動量及び排出係数とすることができる。ここでは、活動量として会計データを取得する(会計データ取得部が取得した会計データを会計データ記憶部から読み出す)ものとする。排出係数は、例えば排出係数記憶部から読み出すことができる。また、排出係数をユーザ端末100から受信するようにしてもよい。
【0193】
計算部210を構成する排出量算出部は、基礎データに基づいて排出量を算出する。ここでは、排出量算出部は、会計データに含まれる活動量を読み出し、単位変換を行い、活動量に、対応する排出係数を乗じて排出量を計算することができる。スコープ1に係る排出量の場合、例えば、排出量算出部は、購入した燃料に係る会計データから燃料の購入金額を抽出し、当該購入金額に燃料に対応する排出係数を乗じることによる排出量を計算することができる。また、スコープ2に係る排出量の場合、排出量算出部は、例えば、水道光熱費のうち電気に関する会計データから電気料金を抽出し、電気の排出係数を電気料金に乗じて排出量を計算することができる。また、スコープ3に係る排出量の場合、排出量算出部は、例えば、特定の商品の仕入に係る会計データから当該商品の仕入金額を抽出し、抽出した仕入金額に、商品に対応する排出係数を乗じることにより、当該商品に関連する排出量を計算することができる。排出量算出部は、排出係数の単位が会計データの単位と異なる場合には、会計データの活動量について単位変換を行ったうえで排出係数を乗じることができる。
【0194】
出力部240を構成する排出量出力部は、計算した排出量を出力する。排出量出力部は、例えば、全ての排出量の合計値を出力してもよいし、GHGプロトコルに係るスコープごとの排出量の合計値を出力してもよいし、スコープ3のカテゴリーごとの排出量の合計値を出力してもよい。
【0195】
出力部240を構成する会計データ出力部は、会計データ(又は会計データを特定する情報)を出力することができる。会計データ出力部は、排出量特定情報の指定を受け付けることができる。例えば、会計データ出力部は、年度や月、日などの時間情報の指定を受け付けることができる。また、会計データ出力部は、時間情報に加えて又は代えて、排出量の主体の指定を受け付けることができる。また、会計データ出力部は、時間情報及び/又は排出量の主体に加えて又は代えて、計算対象となる商品又はサービスを特定する情報を受け付けることができる。会計データ出力部は、受け付けた排出量特定情報に対応する会計データ特定情報を対応データベースから特定し、特定した会計データ特定情報により特定される会計データを会計データ記憶部又は会計システムから取得して出力することができる。
【0196】
会計データ出力部は、会計データに加えて又は代えて、監査データを出力することもできる。会計データ出力部は、受け付けた排出量特定情報に対応する監査データ特定情報を対応データベースから特定し、特定した監査データ特定情報に対応する監査データを監査データ記憶部から読み出して出力することができる。
【0197】
会計データ出力部は、例えば、第三者認証機関(監査機関)からのリクエストに応じて会計データ及び/又は監査データを出力することができる。また、GHGプロトコルに係る排出量を計算するユーザからのリクエストに応じて、当該排出量の算出根拠となった基礎データに係る会計データを対応データベースから特定し、特定した会計データを排出量とともに第三者認証機関(の情報処理装置)に対して送信するようにすることもできる。
【0198】
また、会計データ出力部は、排出量特定情報に加えて基礎データの指定を受け付けることもできる。この場合、会計データ出力部は、排出量特定情報及び指定された基礎データを示す基礎データIDに対応する会計データ特定情報及び/又は監査データ特定情報を対応データベースから特定し、特定した会計データ特定情報及び/又は監査データ特定情報に対応する会計データ及び/又は監査データを取得して出力することができる。
【0199】
<動作>
次に、第7機能の情報処理システムにおける排出量の算出処理の流れを説明する。
【0200】
管理サーバ200は、ユーザ端末100から指定された会計データを取得する。管理サーバ200は、例えば、ユーザ端末100から会計データの指定を受け付けて、会計システムにアクセスし、指定された会計データを取得するようにしてもよいし、ユーザ端末100から会計データを受信するようにしてもよい。管理サーバ200は、会計データに係る活動の排出係数を取得する。管理サーバ200は、例えば、会計データに係る活動を示す基礎データIDに対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すことができる。
【0201】
管理サーバ200は、会計データから抽出した活動量に排出係数を乗じて排出量を計算する。管理サーバ200は、会計データに関する財務諸表の監査データの入力を受け付けて監査データ記憶部に登録する。管理サーバ200は、排出量、基礎データ、会計データ及び監査データを対応付ける情報を対応データベースに登録する。
【0202】
次に、第7機能の情報処理システムにおける会計データの出力処理の流れを説明する。
【0203】
管理サーバ200は、ユーザ端末100から排出量特定情報を受け付け、受け付けた排出量特定情報に対応する会計データ特定情報及び監査データ特定情報を対応データベースから読み出し、読み出した会計データ特定情報及び/又は監査データ特定情報により特定される会計データ及び/又は監査データを取得して出力する。会計データは、例えば、会計システムにアクセスして取得し、会計システムから取得できない会計データは、会計データ記憶部から取得することができる。監査データは、監査データ記憶部から取得することができる。
【0204】
以上のようにして、第7機能の情報処理システムによれば、温室効果ガスの排出量の算出に用いた基礎データに係る会計データ及び/又は監査データを、排出量に対応付けて管理することができる。したがって、監査や第三者認証などの場合に、排出量やその算出に用いる基礎データに対応する会計データ及び/又は監査データを容易に提示することができる。
【0205】
第7機能の実施形態では、クライアントサーバ構成のシステムであるものとしたが、例えば、ユーザ端末100が管理サーバ200の機能を備えるようにすることもできる。
【0206】
管理サーバ200の取得部250と、計算部210と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0207】
<開示事項>
なお、第7機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目G1(P016)]
温室効果ガスの排出量を算出するための基礎データを取得するデータ取得部と、前記基礎データに基づいて前記排出量を算出する排出量算出部と、前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報と、前記基礎データを示す会計記録データ、財務諸表データ又は監査証拠データの少なくともいずれかである会計データを特定する情報とを対応付けて記憶する対応データベースと、前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報の指定を受け付け、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記会計データを特定する情報を前記対応データベースから読み出して出力する会計データ出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目G2]
項目G1に記載の情報処理システムであって、前記会計データのうち外部の会計システムに記録されていないデータであるシステム外データを記憶する記憶部を備え、前記会計データ出力部は、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記会計データのうち、前記会計システムに記録されているものについては前記会計システムにアクセスして取得し、前記会計システムに記録されていないものについては前記記憶部から取得し、取得した前記会計データを出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目G3]
項目G1に記載の情報処理システムであって、前記会計データに関連する財務諸表に係る会計監査が行われたことを示す監査データを記憶する監査データ記憶部を備え、前記対応データベースは、前記基礎データを特定する情報又は前記排出量を特定する情報と、前記会計データを特定する情報と、前記監査データを特定する情報とを対応付けて記憶し、前記会計データ出力部は、指定された前記基礎データ又は前記排出量に対応する前記会計データを特定する情報及び前記監査データを特定する情報を前記対応データベースから読み出して出力すること、を特徴とする情報処理システム。
【0208】
<<原単位の交換機能(第8機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第7機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第8機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0209】
<システム概要>
管理サーバ200は、他の管理サーバ200と通信ネットワーク300を介して通信可能に接続される。
図1の例にて、管理サーバ200を一の管理サーバ200、図示しないが、一の管理サーバ200に接続される管理サーバ200を他の管理サーバ200とし、2つの管理サーバ200が互いに通信可能に接続される。
【0210】
管理サーバ200は、温室効果ガスの排出状況(排出係数(排出原単位)、活動量、排出量)を出力するコンピュータ(情報処理装置)である。企業の活動量(例えば、商品の生産個数)に、当該企業に係る排出原単位を乗じることにより、当該企業による温室効果ガスの排出量を算出することができる。管理サーバ200は、また、自社の排出原単位(活動量や排出量を含めてもよい。)を、他の管理サーバ200(情報処理装置)に送信することができ、他の管理サーバ200から他者の排出原単位を取得することができる。これにより、自社を含むサプライチェーンの全体についての排出量を計算することができる。
【0211】
本実施形態では、各社が自社について計算した排出原単位(一次データ)を交換して、より実際に合った排出量を算出できるようにしている。
【0212】
図3を用いて、第8機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出原単位記憶部、商品情報記憶部、使用商品情報記憶部)と、取得部250(排出原単位取得部、活動量取得部、自社情報取得部)と、計算部210(排出量計算部、排出原単位計算部、商品別排出量計算部)と、出力部240(排出量出力部、排出原単位送信部、データ比率出力部)と、を備える。
【0213】
記憶部230を構成する排出原単位記憶部は、企業に対応付けて温室効果ガスの排出量を計算するための係数(排出原単位と呼ばれる。)を記憶する。排出原単位記憶部は、企業を示す企業ID及び企業が提供する商品(サービスを含む。以下同じ。)を示す商品IDに対応付けて、排出原単位及び一次データ比率を記憶することができる。一次データとは、企業自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータである。一次データ以外のデータが二次データである。例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたものが二次データである。一次データ比率は、計算された排出量の全量における、一次データを用いて計算した排出量が占める割合である。
【0214】
記憶部230を構成する商品情報記憶部は、商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報には、商品を示す商品IDに対応付けて、商品名などの商品に関する各種の情報を含めることができる。商品情報記憶部には、自社が他社に提供する全ての商品について商品情報が登録されているものとする。
【0215】
記憶部230を構成する使用商品情報記憶部は、商品の提供に用いられる他の商品(以下、使用商品という。)に関する情報(使用商品情報)を記憶する。使用商品は、例えば、商品を生産するために用いる原材料などである。使用商品情報には、商品を示す商品IDと、使用商品を示す使用商品IDと、当該使用商品を提供する企業を示す企業IDと、1つの商品のために用いられる使用商品の量(使用量)とを含めることができる。
【0216】
取得部250を構成する排出原単位取得部は、サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業(関連企業)において計算された排出原単位を取得する。関連企業は、GHGプロトコルのスコープ3に定義されるカテゴリの商品を提供する企業である。排出原単位取得部は、ユーザから排出原単位の入力を受け付けるようにしてもよいが、本実施形態では、他の管理サーバ200から排出原単位を取得するものとする。管理サーバ200は排出原単位とともに一次データ比率を提供することができる。排出原単位取得部は、取得した排出原単位及ぶ一次データ比率により排出原単位記憶部を更新することができる。排出願単位取得部は、排出原単位の取得元の他の管理サーバ200に係る関連企業を示す企業IDと、当該関連企業から購入している商品を示す商品IDとに対応する排出原単位及び一次データ比率を,取得したものに更新することができる。排出原単位取得部は、二次データの排出原単位を排出原単位記憶部に登録した場合には、一次データ比率を「0」に設定することができる。
【0217】
取得部250を構成する活動量取得部は、関連企業の使用商品に関する活動量を取得する。活動量は、例えば、商品の個数、エネルギーの量、物流で運んだ距離など、関連企業から提供を受けた商品の量とすることができる。活動量取得部は、関連企業の管理サーバ200から関連企業に係る活動量を取得することができる。活動量取得部は、ユーザから関連企業の活動量の入力を受け付けるようにしてもよい。また、活動量取得部は、例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどにアクセスして、関連企業から仕入れた商品の数(量)を活動量として取得するようにしてもよい。
【0218】
計算部210を構成する排出量計算部は、関連企業及び商品に対応する排出原単位を排出原単位記憶部から読み出し、読み出した排出原単位を関連企業の活動量(例えば、使用商品の使用量)に乗じることにより、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。排出量の計算に係る使用量は、活動量取得部が、例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどにアクセスして取得した関連企業の活動量(仕入れた商品の数など)としてもよいし、活動量取得部が関連企業の管理サーバ200から受信したものであってもよい。
【0219】
出力部240を構成する排出量出力部は、関連企業ごとに排出量を出力することができる。排出量出力部は、関連企業及び使用商品ごとに排出量を出力することができる。排出量出力部はまた、関連企業ごとに排出原単位を出力することができる。排出量出力部は、同じ商品を提供する複数の関連企業について、排出原単位を比較可能に出力することができる。排出量出力部は、ある商品を提供する関連企業と、当該商品の代替品を提供する関連企業とについて、排出原単位を比較可能に出力することができる。なお、排出量出力部は、取引のない関連企業についても排出原単位を出力するようにしてよい。すなわち、使用商品の他の提供元である関連企業や、代替品を提供する関連企業などについても排出原単位を比較可能に出力することもできる。
【0220】
取得部250を構成する自社情報取得部は、自社の排出量及び/又は活動量を取得する。自社情報取得部は、例えば、排出量及び/又は活動量の入力を受け付けることができる。自社情報取得部は、周知の手法により排出量を計算するようにしてもよい。自社情報取得部は、例えば会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから活動量(販売した自社の商品の数など)を取得するようにしてもよい。自社情報取得部は、商品別の排出量及び/又は活動量を取得することができる。また、自社情報取得部は、自社の排出量のうち一次データに基づいて計算した量(自社一次データ排出量という。)を取得する。自社情報取得部は、自社の直接的又は間接的な排出量(スコープ1及びスコープ2)のうち、例えば、スコープ2の排出量が電気料金に係る二次データに基づいて計算された場合には、スコープ1及びスコープ2の全排出量から、スコープ2の電力使用に係る排出量を除いて自社一次データ排出量を計算することができる。
【0221】
使用商品が複数の商品に使用されている場合、自社情報取得部は、商品ごとに使用されている使用商品の使用量を取得し(例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから取得することができる。)、活動量取得部は、商品ごとの使用量に応じて使用商品の活動量を按分することにより、商品別の使用商品の活動量を計算し、排出量計算部は、按分された商品別の使用商品の活動量に、使用商品の排出原単位を乗じて、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。
【0222】
また、活動量取得部が、関連企業が複数の使用商品に係る活動量をまとめて取得した場合には、自社情報取得部は、関連企業から調達した複数の使用商品のうち、当該商品に使用した使用量を取得し(例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから取得することができる。)、取得した使用商品ごとの使用量に応じて活動量を按分することにより、商品及び使用商品に対応する使用商品の活動量を計算し、排出量計算部は、商品及び使用商品に対応する活動量に、使用商品の排出原単位を乗じて、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。
【0223】
計算部210を構成する排出原単位計算部は、取得した自社の排出量及び自社の活動量に基づいて自社の排出原単位である自社排出原単位を計算する。
【0224】
出力部240を構成する排出原単位送信部は、他の管理サーバ200(関連企業のシステム)に対して自社排出原単位を送信することができる。排出原単位送信部は、他の管理サーバ200からのリクエストに応じて自社排出原単位を送信するようにしてもよいし、定期的に又は自社排出原単位を計算する度に、自社排出原単位を送信するようにしてもよい。
【0225】
出力部240を構成するデータ比率出力部は、自社の商品に係る排出量に係る一次データ比率を出力することができる。データ比率出力部は、一次データ比率を計算することができる。データ比率出力部は、例えば、ある商品に使用された各使用商品について、使用商品に係る排出量に当該使用商品の一次データ比率を乗じたもの(一次データ排出量という。)を計算し、当該商品について自社が排出した排出量(スコープ1及び2)と、計算した全ての使用商品についての一次データ排出量の合計とを加算して、一次データに基づく排出量の合計値を計算し、計算した合計値を当該商品に係る排出量(スコープ1ないし3の合計)で割って、当該商品に係る一次データ比率を計算することができる。データ比率出力部は、例えば、自社の商品を示す商品IDに対応する使用商品ID、使用量及び企業IDを使用商品情報記憶部から取得し、企業ID及び使用商品IDに対応する一次データ比率を排出原単位記憶部から取得し、使用商品の排出量(使用量に排出原単位を乗じた値であってもよいし、排出量の入力を受け付けるようにしてもよい。)に、一次データ比率を乗じて一次データ排出量を計算することができる。また、データ比率出力部は、自社が排出した排出量について二次データを使用して算出している場合には、自社一次データ排出量のみを使用商品の一次データ排出量の合計に加算することができる。
【0226】
排出原単位取得部は、1又は複数の商品に使用される使用商品について、使用商品を提供する関連企業が排出した排出量を、当該関連企業の管理サーバ200から取得することもできる。この場合に、排出原単位取得部は、排出量を所定の基準で按分して、商品別排出量を計算することができる。排出原単位取得部は、同じ使用商品を用いる複数の商品について、商品の生産量などで使用商品の排出量を按分することができる。排出原単位取得部は、商品別排出量を使用商品の使用量で割って、関連企業の使用商品についての排出原単位を計算することができる。
【0227】
計算部210を構成する商品別排出量計算部は、商品に係る排出量(PCF(Product Carbon Footprint)と呼ばれる。)を計算する。商品別排出量計算部は、排出原単位取得部が排出原単位を取得できた場合には、排出原単位に使用商品の使用量を乗じて使用商品に係る第1の商品別排出量を計算することができる。商品別排出量計算部は、排出原単位取得部が排出原単位を取得できず、自社に提供した全ての使用商品に係る排出量を取得できた場合には、排出量を所定の基準で按分して第2の商品別排出量を計算することができる。商品別排出量計算部は、第1の商品別排出量(排出原単位を用いて積み上げた排出量)と、第2の商品別排出量(組織単位の排出量を按分して求めた排出量)と、自社の直接又は間接排出量(自社情報取得部が取得した排出量のうち商品に関するもの)を合計した合計値を計算し、計算した合計値を活動量(例えば商品の生産量)で割ってPCFを算出することができる。
【0228】
<動作>
図14は、関連企業ごとの排出原単位を表示する処理の流れを説明する図である。
【0229】
管理サーバ200は、関連企業の管理サーバ200から、排出原単位を取得する(S1401)。管理サーバ200は、排出原単位を取得できなかった場合(S1402:NO)、関連企業から自社に提供される使用商品全体に係る排出量を取得する(S1403)。管理サーバ200は、排出量が取得できた場合には(S1404:YES)、所定の基準(例えば、自社商品のそれぞれの生産量)で排出量を按分して、使用商品の商品別排出量を計算し(S1405)、商品別排出量を使用商品の使用量で割って排出原単位を計算する(S1406)。一方、管理サーバ200は、排出量が取得できなかった場合には(S1404:NO)、使用商品に係る二次データを取得する(S1407)。管理サーバ200は、関連企業ごとの排出原単位を比較可能に表示する(S1408)。これにより、企業は、サプライチェーンの上流又は下流の関連企業ごとの排出原単位を把握することが可能となり、温室効果ガスの排出量の低減に取り組んでいる関連企業を把握することが可能となる。
【0230】
図15は、PCFを計算する処理の流れを説明する図である。
【0231】
管理サーバ200は、自社の商品に係る使用商品のそれぞれについて、関連企業から自社に提供される使用商品全体に係る排出量を取得した場合には(S1501:YES)、所定の基準(例えば、自社商品のそれぞれの生産量)で排出量を按分して、使用商品の商品別排出量を計算し(S1502)、排出量を取得しなかった場合には(S1501:NO)、排出原単位(一次データ又は二次データ)を使用量に乗じて商品別排出量を計算する(S1503)。管理サーバ200は、商品別排出量を合計し(S1504)、合計した排出量を、商品に係る活動量(生産量や販売量など)で割ってPCFを計算することができる(S1505)。これにより、LCA(Life Cycle Assessment)などにより求められた排出原単位を用いて計算した排出量(積み上げ方式で計算した排出量)であろうと、全社の排出量を商品数や売上等で割って求めた排出量(按分方式で計算した排出量)であろうとも、利用可能なものを用いてPCFを計算することができる。
【0232】
管理サーバ200の取得部250と、計算部210と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0233】
<開示事項>
なお、第8機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目H1(P009)]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための第1の排出原単位及び前記第1の排出原単位に係る一次データ比率を取得する排出原単位取得部と、前記第1の排出原単位及び前記一次データ比率を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、自社の第2の排出量を取得する自社情報取得部と、前記自社の商品に使用される、前記関連企業により提供される使用商品の使用量を取得する活動量取得部と、前記第1及び第2の排出量ならびに前記一次データ比率に基づいて計算される前記商品に係る一次データ比率を出力するデータ比率出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目H2]
項目H1に記載の情報処理システムであって、前記データ比率出力部は、前記使用量に前記第1の排出原単位を乗じた前記第1の排出量に前記一次データ比率を乗じて前記第2の排出量を加算した値を前記第1及び第2の排出量で割って前記商品に係る一次データ比率を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H3]
項目H1に記載の情報処理システムであって、前記自社情報取得部が、前記第2の排出量とともに、前記自社において一次データに基づいて計算した自社一次データ排出量を取得し、前記データ比率出力部は、前記第1及び第2の排出量ならびに前記一次データ比率と、前記自社一次データ排出量とに基づいて前記商品に係る一次データ比率を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H4]
項目H1に記載の情報処理システムであって、取得した前記自社の排出量及び前記活動量に基づいて前記自社の前記排出原単位である自社排出原単位を計算する排出原単位計算部と、前記関連企業のシステムに対して前記自社排出原単位を送信する送信部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目H5]
項目1に記載の情報処理システムであって、前記活動量取得部は、前記関連企業のシステムから前記関連企業の活動量を取得すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H6]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目H7]
項目H6に記載の情報処理システムであって、前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記使用商品が前記商品に用いられている割合に応じて前記第1の排出量を按分して、前記商品に係る前記使用商品の前記排出量である第3の排出量を計算し、前記第2及び第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H8]
項目H7に記載の情報処理システムであって、前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記第3の排出量を計算し、前記使用商品が他の商品に用いられていない場合には、前記第1の排出量を計算し、前記第1ないし第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H9]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの排出量を計算するための排出原単位を前記関連企業のシステムから取得する排出原単位取得部と、前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、前記関連企業ごとに前記排出原単位を出力する出力部と、を備え、前記排出原単位取得部は、自社の1つ又は複数の商品のために使用する使用商品に係る前記温室効果ガスの前記排出量を、前記使用商品を提供する前記関連企業のシステムから取得した場合に、前記排出量を所定の基準で按分した商品別排出量を計算し、前記商品別排出量を前記使用商品の使用量で割って、前記関連企業及び前記使用商品に対応する前記排出原単位を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目H10]
項目H9に記載の情報処理システムであって、前記自社の前記排出量及び活動量を取得する自社情報取得部と、取得した前記自社の排出量及び前記活動量に基づいて前記自社の前記排出原単位である自社排出原単位を計算する排出原単位計算部と、前記関連企業のシステムに対して前記自社排出原単位を送信する送信部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目H11]
項目H9に記載の情報処理システムであって、前記関連企業のシステムから前記関連企業の活動量を取得する活動量取得部を備えること、を特徴とする情報処理システム。
【0234】
<<活動推定機能(第9機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第8機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第9機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0235】
<システム概要>
以下、第9機能に係る情報処理システムについて説明する。第9機能の情報処理システムは、企業等の排出主体による温室効果ガスの排出量を管理しようとするものである。本情報処理システムでは、排出主体又は排出主体のサプライチェーンにおける上流又は下流に位置する他の排出主体の活動量の入力を受け付け、これに排出係数を乗じて排出量を計算する。本情報処理システムでは、どの活動量について、どの排出係数を用いるべきかを管理して、活動量を入力するだけで排出量を計算できるようにしている。また、第9機能の情報処理システムは、建設業界における温室効果ガスの排出量を算定し、その算定結果を可視化しようとするものである。建設業界における工事取引は、一般的に、(1)提案・入札→(2)受注・契約→(3)設計→(4)施工(工事)→(5)完成・引渡し→(6)竣工の順序で進行する。(1)提案・入札の段階において、建設工事を請負う事業者から発注者である施主又は建設工事の元請となる事業者に対して建設工事費用に関する見積書(以下単に「見積書」と表記)が必ず提示されている。この見積書を使用して建設工事において発生する温室効果ガスの排出量を算定することも可能である。見積書を使用して温室効果ガスの排出量を算定する場合、見積書の記載項目を分類する作業、分類した項目ごとに排出原単位を割り当てる作業が必要となる。見積書には様々な書式が存在しており、建設工事を営んでいる事業者ごとに(同じ事業者であっても所管部門ごとに)異なる書式を使用している。また、見積書には多数の見積項目が記載されている。このため、見積書の記載項目を分類する作業と分類した項目ごとに排出原単位(CO2排出係数)を割り当てる作業には多大な工数がかかってしまうという課題がある。第9機能の情報処理システムは、このような課題を解決するためのものである。
【0236】
図3を用いて、第9機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(排出係数記憶部、ベクトル情報記憶部、活動量記憶部、排出量記憶部)と、入力部220(活動量入力部、排出係数入力部)と、推定部270(活動推定部)と、取得部250(排出係数取得部)と、計算部210(排出量計算部)と、分析部280(集計部)と、出力部240(排出係数提示部)と、を備える。
【0237】
記憶部230を構成する排出係数記憶部は、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を含む情報(以下、排出係数情報という。)を記憶する。排出係数は、一次データ(排出主体自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータ)であってもよいし、二次データ(一次データ以外のデータ、例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたもの)であってもよい。
【0238】
排出係数記憶部は、活動に対応付けて排出量を記憶することができる。排出係数記憶部は、活動を特定する情報(活動特定情報)と、活動のスコープと、排出係数とを対応付けて記憶することができる。排出係数記憶部は、活動特定情報と、活動のスコープと、活動のカテゴリと、排出係数とを対応付けて記憶することができる。なお、活動のスコープ及びカテゴリは、GHGプロトコルのスコープ及びカテゴリを想定している。また、カテゴリは省略されていてもよい。
【0239】
なお、活動特定情報は、活動を特定するための情報であれば形式を問わない。例えば、管理サーバ200に入力されるデータ(以下、インポートデータという。)に活動を一意に特定するID(活動ID)が設定される場合には、活動IDを活動特定情報とすることができる。
【0240】
記憶部230を構成するベクトル情報記憶部は、活動を特定するための情報を記憶する。本実施形態では、活動を特定するための情報は、単語をベクトル化したベクトル情報であるものとする。ベクトル情報記憶部は、ベクトル情報と、活動特定情報とを対応付けて記憶する。
【0241】
記憶部230を構成する活動量記憶部は、活動量を記憶する。活動量記憶部は、企業IDと、活動が行われた時期を特定する情報(時間情報)と、活動特定情報と、属性情報と、活動量とを対応付けて記憶することができる。時間情報は、例えば、年度や年、年月、年月日、日時範囲など任意の期間を設定することができる。属性情報は、活動に関連する各種の項目(例えば、商品等の調達先、関係部署、担当者など任意の項目とすることができる。)とすることができる。
【0242】
記憶部230を構成する排出量記憶部は、計算した温室効果ガスの排出量を記憶する。排出量記憶部は、企業IDと、時間情報と、スコープと、カテゴリと、排出量とを対応付けて記憶することができる。スコープ及びカテゴリは、記憶部230を構成する分類記憶部に登録されているスコープ及びカテゴリとすることができる。
【0243】
入力部220を構成する活動量入力部は、活動量の入力を受け付ける。活動量は、例えば、商品の生産個数(個)、購入個数(個)、物流により運んだ重量×距離(トンキロ)、消費した燃料の量(リットル)や金額(円)などである。金額には、材料費、運搬費、人件費などを含む。活動量入力部は、ユーザから活動に関連する各種の属性情報とともに、時間情報及び活動量の入力を受け付ける。活動量入力部は、インポートデータをユーザ端末100から受信するようにしてもよい。インポートデータは、例えば、ERPシステムなどからエクスポートされたデータ(エクスポートデータ)やエクスポートデータを変換したデータ、OCRより取得した領収書や見積書などのデータとすることができる。インポートデータは、例えば、CSVデータやJSONデータ、XMLデータとすることができる。例えば、CSVデータでは、何番目の項目がどの種類のデータであるかが既知として、活動特定情報においてCSVデータの何番目の項目にどのような値が入っているかにより活動の種類を特定することができる。また、JSONデータやXMLデータなどでは、設定されているデータがどのような項目であるかをタグ付けし、あるいは属性に設定するようにしてもよい。
【0244】
建設工事を請負う事業者から受領した見積書を入力部220によって入力した後(例えば、OCRによって読み取りした後)、分析部280によって、項目(見積り項目)を分析、分類することもできる(例えば、材料費・運搬費・人件費などの建設工事に必ず必要な項目に分類する)。なお、分析部280を機械学習による分析部とし、機械学習によって項目(見積り項目)の分類を行うこともできる。また、建設工事を請負う事業者から設計段階のBIM/CIMなどの図面データ及び見積書を取得部250によって取得し、この図面データや見積書のデータを入力部220で入力することもできる。項目を、スコープ及び/又はカテゴリとしてもよい。
【0245】
推定部270を構成する活動推定部は、活動量に関する項目に基づいて活動を特定する。活動推定部は、項目に基づいて機械学習により活動特定情報を推定する。本実施形態では、活動推定部は、受け付けた項目をベクトル化してベクトル情報を作成し、ベクトル情報記憶部を参照して、作成したベクトル情報(第2のベクトル情報)からの距離に応じて、ベクトル情報記憶部に記憶されているベクトル情報(第1のベクトル情報)を選択し、選択した第1のベクトル情報に対応する活動特定情報をベクトル情報記憶部から読み出すことができる。活動推定部は、例えば、第1及び第2のベクトル情報の間の距離の小さい順に所定数(1つであってもよい。)を特定することができる。推定部270(活動推定部)は、活動特定情報を推定した場合には、活動特定情報に対応した排出係数を推定することもできる。
【0246】
取得部250を構成する排出係数取得部は、活動に関する排出係数を取得する。排出係数取得部は、企業ID及び活動特定情報に対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出すことができる。排出係数が外部のシステムに管理されている場合に、排出係数取得部は、外部システムにアクセスして排出係数を取得するようにしてもよい。
【0247】
入力部220を構成する排出係数入力部は、排出係数の入力を受け付ける。排出係数入力部は、ユーザが所属する排出主体を示す企業IDを特定し(例えば、企業IDの入力を受け付けることができる。また、ユーザに関するユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部を管理サーバ200が備え、ユーザ情報には企業IDを設定しておき、ユーザ情報記憶部から企業IDを取得することができる。)、ユーザから活動特定情報と排出係数との入力を受け付けて、企業ID、活動特定情報及び排出係数を排出係数記憶部に登録することができる。排出係数入力部は、インポートデータに係る活動量の種類に対応する排出係数が排出係数記憶部に記憶されていない場合に、例えば、その旨をユーザ端末100に通知して、ユーザ端末100から排出係数を受け付けるようにすることができる。
【0248】
計算部210を構成する排出量計算部は、排出係数及び活動量に基づいて排出量を計算する。排出量計算部は、ユーザから受け付けた各情報(例えば、インポートデータに含まれる各レコード)について排出量を計算することができる。排出量計算部は、活動量に関する項目に基づいて特定された活動特定情報に対応する排出係数を活動量に乗じて排出量を計算することができる。
【0249】
排出量計算部は、活動量が表されている単位と、排出係数が想定している単位(tCO2/単位)とが一致している場合には、活動量と排出係数をと乗じて排出量を計算することができる。排出量計算部は、上記単位が一致していない場合には、単位変換を行ったうえで排出量を計算することもできる。
【0250】
排出量計算部は、計算した排出量を排出量記憶部に登録することができる。排出量計算部は、企業IDと、現在の日付や日時などの時間情報と、計算した排出量のスコープ及びカテゴリと、計算した排出量とを対応付けて排出量記憶部に登録することができる。
【0251】
分析部280を構成する集計部は、排出量を集計する。集計部は、排出量計算部が計算した排出量をスコープごとに集計することができる。集計部は、排出量計算部が計算した排出量をカテゴリごとに集計することができる。スコープ及びカテゴリは、分配記憶得から、企業ID及び活動特定情報に対応するものを読み出すことができる。なお、集計は、分析部280ではなく、計算部210などの他の機能部で実行してもよい。
【0252】
出力部240を構成する活動特定情報提示部は、推定した活動特定情報をユーザに対して提示する。詳細には、管理サーバ200は、ユーザ端末100に推定した活動特定情報を出力する。また、出力部240を構成する排出係数提示部は、推定した排出係数をユーザに対して提示する。詳細には、管理サーバ200は、ユーザ端末100に推定した排出係数の情報を出力する。提示する情報は、一又は複数である。推定した情報が一であれば一の情報を提示する。推定した情報が複数の場合は、全ての情報を提示してもよいし、分析の結果によって分析スコアの上位5位(5位に限定されない)までの情報を提示してもよいし、分析の結果によって分析スコアの最も高い一の情報を提示してもよい。
【0253】
【0254】
管理サーバ200は、外部から活動量及び活動量に関する項目を受け付ける(S1601)。例えば、ユーザ端末100からCSVデータのアップロードを受け付けたり、フォームへの入力を受け付けたり、取得した領収書や見積書などのデータをOCRにより読み込んで受け付けたりすることができる。管理サーバ200は、受け付けた項目をベクトル化してベクトル情報を作成し(S1602)、ベクトル情報記憶部に記憶されているベクトル情報のうち、ベクトル化したベクトル情報からの距離の近いもの(1つ又は複数)に対応する活動特定情報を特定する(S1603)。管理サーバ200は、複数の活動特定情報を特定した場合には、ユーザに対して活動特定情報を出力部240により提案(提示)する(S1604)。複数の活動特定情報から、1つをユーザに対して選択させる(あるいはその他の活動特定情報の入力を受け付ける)ようにしてもよい。また、管理サーバ200は、複数の活動特定情報を特定した場合には、ユーザに対して活動特定情報に対応した排出係数を出力部240により提案(提示)し、1つを選択させる(あるいはその他の排出係数の入力を受け付ける)ようにしてもよい。管理サーバ200は、選択した活動特定情報に対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出し(S1605)、活動量に排出係数を乗じて排出量を計算する(S1606)。管理サーバ200は、計算した排出量を排出量記憶部に登録する(S1607)。また、管理サーバ200は、排出量記憶部に登録されている排出量を集計して出力することができる(S1608)。
【0255】
【0256】
管理サーバ200は、外部から活動量及び活動量に関する項目を受け付ける(S1701)。例えば、ユーザ端末100からCSVデータのアップロードを受け付けたり、フォームへの入力を受け付けたり、取得した領収書や見積書などのデータをOCRにより読み込んで受け付けたりすることができる。管理サーバ200は、受け付けた項目をベクトル化してベクトル情報を作成し(S1702)、ベクトル情報記憶部に記憶されているベクトル情報のうち、ベクトル化したベクトル情報からの距離の近いもの(1つ又は複数)に対応する活動特定情報を特定する(S1703)。また、管理サーバ200は、ベクトル化したベクトル情報からの距離の近い項目を分類する(S1704)。例えば、見積書に記載された内容から、項目として、材料費、運搬費、人件費などの項目に分類することができる。管理サーバ200は、複数の活動特定情報を特定した場合には、ユーザに対して分類した項目に対応する活動特定情報を出力部240により提案(提示)する(S1705)。複数の活動特定情報から、1つをユーザに対して選択させる(あるいはその他の活動特定情報の入力を受け付ける)ようにしてもよい。また、管理サーバ200は、複数の活動特定情報を特定した場合には、ユーザに対して活動特定情報に対応した排出係数を出力部240により提案(提示)し、1つを選択させる(あるいはその他の排出係数の入力を受け付ける)ようにしてもよい。管理サーバ200は、選択した活動特定情報に対応する排出係数を排出係数記憶部から読み出し(S1706)、活動量に排出係数を乗じて排出量を計算する(S1707)。管理サーバ200は、計算した排出量を排出量記憶部に登録する(S1708)。また、管理サーバ200は、排出量記憶部に登録されている排出量を集計して出力することができる(S1709)。また、管理サーバ200は、活動量から削減推奨項目を分析して洗い出し、ソリューションを提示する(S1710)。ソリューションを提供する機能については第10機能で説明する。また、管理サーバ200は、見積書の記載項目を分類した後に、割り当てる排出原単位(CO2排出係数)の候補を提示する。例えば、材料費に関する候補の提示のとして、鉄骨・鉄筋・コンクリート・ガラス・アルミ等の建設工事において使用される代表的な建材に対応する排出原単位(CO2排出係数)を候補として提示する。なお、建物の種類に応じて、建材に対応する排出原単位(CO2排出係数)の種類を変更して提示するようにしてもよいし、提示する排出原単位(CO2排出係数)の優先順位を変更してもよい。
【0257】
以上のようにして、活動量に関するデータから活動を推定し入力を容易にすることができる。また、見積書を使用して温室効果ガスの排出量を算定する場合に、見積書の記載項目を分類する作業と分類した項目ごとに排出原単位を割り当てる作業に要する工数を削減することができる。このため、建設業界における温室効果ガス排出量の算定を容易にすることができる。
【0258】
本実施形態では、ベクトル情報の距離に応じて活動を特定するものとしたが、ベクトル情報をプロンプトに設定して大規模言語モデル(LLM)に与えて活動を推定するようにしてもよい。また、項目を入力データとし、活動特定情報を教師データとした機械学習により学習モデルを作成することができる。この場合、活動推定部は、受け付けた項目を学習モデルに与えて活動特定情報を推定することができる。また、出力部240により排出量を可視化することもできる。また、分析部280により、活動量から削減推奨項目を分析して洗い出し、削減ソリューションの提案を行うこともできる。
【0259】
管理サーバ200の入力部220と、推定部270と、取得部250と、計算部210と、分析部280と、出力部240を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0260】
<開示事項>
なお、第9機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目I1(P059)]
温室効果ガスを排出する活動を特定する活動特定情報に対応付けて、前記温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、活動に係る活動量及び前記活動量に関連する項目の入力を受け付ける活動量入力部と、前記項目に基づいて機械学習により前記活動特定情報を推定する活動推定部と、推定した前記活動特定情報に対応する前記排出係数を前記活動量に乗じて前記排出量を計算する排出量計算部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目I2]
項目I1に記載の情報処理システムであって、前記項目をベクトル化した第1のベクトル情報及び前記活動特定情報を対応付けて記憶するベクトル情報記憶部を備え、前記活動推定部は、受け付けた前記項目をベクトル化して第2のベクトル情報を作成し、作成した前記第2のベクトル情報からの距離に応じて前記第1のベクトル情報を選択し、選択した前記第1のベクトル情報に対応する前記活動特定情報を前記ベクトル情報記憶部から読み出すこと、を特徴とする情報処理システム。
[項目I3]
項目I2に記載の情報処理システムであって、前記活動推定部は、前記第1及び第2のベクトル情報を含むプロンプトを大規模言語モデルに与えて前記活動特定情報を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目I4]
項目I1に記載の情報処理システムであって、前記項目及び前記活動特定情報をトレーニングデータとして機械学習により作成した学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を備え、前記活動推定部は、受け付けた前記項目を前記学習モデルに与えて前記活動特定情報を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目I5(P066)]
温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、温室効果ガスを排出する活動に係る活動量(例えば、見積書における金額)及び前記活動量に関連する項目(例えば、見積書における材料費や運搬費の項目)の入力を受け付ける活動量入力部と、前記項目に基づいて機械学習により前記排出係数を推定する推定部と、推定した前記排出係数を提示する排出係数提示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目I6]
請求項I5に記載の情報処理システムであって、前記項目をベクトル化した第1のベクトル情報及び前記活動を特定する活動特定情報を対応付けて記憶するベクトル情報記憶部を備え、前記推定部は、受け付けた前記項目をベクトル化して第2のベクトル情報を作成し、作成した前記第2のベクトル情報からの距離に応じて前記第1のベクトル情報を選択し、選択した前記第1のベクトル情報に対応する前記排出係数を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
【0261】
<<ソリューションマッチング機能(第10機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第9機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第10機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0262】
<システムの概要>
以下、温室効果ガスの排出量を例にソリューションを提供する第10機能に係る情報処理システムの例を説明する。本例の情報処理システムは、温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなど)を排出する排出主体のユーザに対して、排出量の削減手段(ソリューションとも呼ばれる。)に関する情報(以下、ソリューション情報という。)を提供する。ソリューションの提供者(プロバイダ)はソリューション情報を登録しておき、ユーザはそのソリューション情報を閲覧することができる。ユーザは、ソリューションに関してプロバイダに連絡することもできる。
【0263】
図3を用いて、第10機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、記憶部230(ソリューション記憶部、ユーザ情報記憶部、排出量情報記憶部)と、取得部250(排出量情報取得部、実績取得部)と、分析部270(抽出部)と、出力部240(提供部)と、実行部(ソリューション部)290(課金処理部)と、を備える。
【0264】
<記憶部>
記憶部230を構成するソリューション記憶部は、ソリューション情報を記憶する。ソリューション記憶部は、削減手段を提供するプロバイダを特定するプロバイダ特定情報(プロバイダID)に対応付けてソリューション情報を記憶することができる。ソリューション情報には、削減手段のコストを決定するためのコスト情報と、削減手段を採用した場合に期待される温室効果ガスの削減量を決定するための削減情報とを含めることができる。本例では、ソリューション情報に、ソリューションを特定するための情報(ソリューションID)、プロバイダID、ソリューション名、ソリューション説明、価格、削減量、導入条件が含まれ得る。ソリューション名は、削減手段(ソリューション)の名称である。ソリューション説明は、ソリューションについての説明であり、例えば、テキストデータや画像データ、音声データなどを含めることができる。価格は、ユーザがソリューションを採用する際に係る金額を決定するための情報でよい。価格として、ソリューションの提供単位に係る単価を設定するようにしてもよいし、標準的な導入コストの概算値を設定するようにしてもよい。価格は、価格帯など範囲により特定するようにしてもよい。削減量は、ソリューションの導入により期待される温室効果ガスの削減量を示す情報であり得る。削減量として、ソリューションを導入した場合に削減される温室効果ガスの1社あたりの標準的な量を設定してもよいし、装置を導入した場合の1台当たりの削減量の標準値としてもよいし、各種の活動量に応じて削減量を計算する関数であってもよい。導入条件には、ソリューションを導入する排出主体に対する条件を設定することができる。導入条件には、例えば、ソリューションの対象となる事業や活動の内容や活動量などを指定することができる。また、導入条件には、削減対象となるスコープ及び/又はカテゴリの指定をすることができる。なお、ソリューション記憶部には、環境に関する情報に対するソリューション情報だけではなく、社会に関する情報に対するソリューション情報、統治に関する情報に対するソリューション情報も記憶する。
【0265】
記憶部230を構成するユーザ情報記憶部は、ユーザ(排出主体)に関する情報(以下、ユーザ情報という。)を記憶する。ユーザ情報には、ユーザ(又は排出主体)を特定する情報(ユーザID)、ユーザ(又は排出主体)の名称(ユーザ名)、排出主体の行っている事業に関する情報(事業情報)、当該事業に関して用いている設備に関する情報(設備情報)などを含めることができる。なお、ユーザ情報記憶部には、環境に関する情報に対するユーザ情報だけではなく、社会に関する情報に対するユーザ情報、統治に関する情報に対するユーザ情報も記憶する。
【0266】
記憶部230を構成する排出量情報記憶部は、排出主体による温室効果ガスの排出量に関する情報(以下、排出量情報という。)を記憶する。排出量情報には、排出主体による排出量の集計値を含めることができる。排出量情報には、排出主体の属性を含めることができる。排出主体の属性には、排出主体の事業、従業員数、地域などを含めることができる。また、排出主体の属性には、売上高や仕入高、人件費などの会計情報を含めることもできる。排出量情報には、排出量に係る活動に関係する付加情報を含めることができる。付加情報には、例えば、活動量(実績値、実績値の集計値、予測値など)を含めることができる。また、付加情報には、活動量を推定するための情報を含めることができる。活動量を推定するための情報は、例えば、床面積、屋根面積、生産可能な製品の個数などを含めることができる。本実施形態では、排出量情報には、排出主体を特定する情報(例えば、企業ID)、活動量、付加情報、排出量を含めるものとする。排出量及び活動量は、所定の集計期間(例えば年月)と、GHGプロトコルに係るスコープ及びカテゴリごとの排出量及び活動量の集計値とすることができる。付加情報は、排出主体によって設定項目が異なっていてもよい。
【0267】
<機能部>
取得部250を構成する排出量情報取得部は、排出量情報を取得する。排出量情報取得部は、ユーザ端末100から排出量情報を受信することができる。排出量情報取得部は、他のシステムにアクセスして排出量情報を取得するようにしてもよい。また、管理サーバ200は、例えば、排出主体に係る活動量と排出係数とを取得し、取得した活動量と排出係数とを乗じて排出量を計算する排出量算出部を備えることができ、排出量算出部が計算した排出量及び活動量など排出量の算出に用いた各種の情報を排出量情報として取得することもできる。なお、取得部250は、排出量情報だけではなく、社会に関する情報、統治に関する情報も取得する。
【0268】
分析部270を構成する抽出部は、排出量情報にマッチするソリューション情報を取得する。抽出部は、排出量及び付加情報とソリューション情報とをマッチさせることができる。抽出部は、抽出部は、排出主体のユーザ情報及び/又は排出量情報がソリューション情報に含まれる導入条件を充足するものを抽出することができる。抽出部は、排出量情報に含まれている、スコープ及びカテゴリ別の排出量のうち、排出量の多い順に所定数のスコープ及びカテゴリについて優先的に抽出することができ、例えば、当該スコープ及びカテゴリに係る排出量及び/又は対応する付加情報が導入条件を満たすソリューション情報を検索することができる。抽出部は、削減情報に基づいて決定される削減量とコスト情報により決定されるコストとに基づいて決定される単位削減量あたりの単位コストを計算し、排出量情報にマッチするソリューション情報のうち、単位コストの順に所定数のソリューション情報を抽出することができる。なお、抽出部は、社会に関する情報にマッチするソリューション情報、統治に関する情報にマッチするソリューション情報も抽出する。
【0269】
出力部240を構成する提供部は、抽出したソリューション情報をユーザに提供することができる。
【0270】
取得部250を構成する実績取得部は、排出主体により採用されたソリューションを示す情報及び当該ソリューションにより実現された削減量を含む情報(以下、実績情報という。)を取得する。管理サーバ200は、実績情報を記憶する実績情報記憶部を備えるようにしてもよい。
【0271】
実行部(ソリューション部)290を構成する課金処理部は、プロバイダにシステムの利用料金を課す処理(課金)を行う。課金処理部は、実績情報に含まれる削減量に応じて、ソリューションを提供したプロバイダに課金を行うことができる。課金処理部は、実績情報に含まれる削減量に応じて、ソリューションを採用した排出主体に課金を行うようにしてもよい。課金処理部は、例えば、削減量が多い場合に高くなるように課金額を決定するようにしてもよい。課金処理部は、例えば、削減量が多い場合に安くなるように課金額を決定するようにしてもよい。なお、実行部290は、社会に関する情報のソリューション情報の処理、統治に関する情報のソリューション情報の処理も実行する。
【0272】
図18は、ソリューション情報を提供する処理を説明する図である。管理サーバ200は、プロバイダからソリューション情報を取得してソリューション記憶部に登録し(S1801)、排出主体から排出量情報を取得して排出量情報記憶部に登録する(S1802)。管理サーバ200は、排出量情報のそれぞれについて、排出量にマッチするソリューション情報を抽出し(S1803)、抽出したソリューション情報を、排出量情報の提供者である排出主体に提供する(S1804)。管理サーバ200は、実績情報を取得し(S1805)、実績情報に含まれる削減量に応じた課金を行うことができる(S1806)。
【0273】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システムによれば、ソリューション情報と、排出主体(排出量情報)とをマッチングすることができる。
【0274】
排出量情報に、ソリューション情報に対する条件を設定するようにし、管理サーバ200は、排出量情報にマッチするソリューション情報のうち、排出量情報の条件を満たすものに絞り込んで提供することができる。
【0275】
管理サーバ200は、ソリューション情報の一覧をユーザ端末100に表示させることができる。管理サーバ200は、ソリューション情報の登録順に一覧表示させることができる。
【0276】
管理サーバ200は、ユーザ端末100が閲覧したソリューション情報を管理することができ、閲覧数に応じた優先度でソリューション情報を提供することができる。例えば、管理サーバ200は、閲覧数の順にソートしてソリューション情報を表示させることができる。また、管理サーバ200は、閲覧数の順に所定数のソリューション情報のみをユーザ端末100に送信するようにすることができる。
【0277】
管理サーバ200は、ユーザ端末100にソリューション情報の一部のみを一覧表示させ、ユーザ端末100からソリューション情報の選択(タップやクリック)を受け付けて、ソリューション情報が選択されたことを管理することができる。管理サーバ200は、選択数に応じた優先度でソリューション情報を提供することができる。例えば、管理サーバ200は、選択数の順にソートしてソリューション情報を表示させることができる。また、管理サーバ200は、選択数の順に所定数のソリューション情報のみをユーザ端末100に送信するようにすることができる。
【0278】
管理サーバ200は、ユーザからソリューションについての評価を取得して管理することができる。例えば、ソリューション情報に、ユーザから取得した評価値のリスト及び/又は集計値(例えば平均値や合計値)を設定することができる。管理サーバ200は、評価値の集計値に応じた優先度でソリューション情報を提供することができる。例えば、管理サーバ200は、評価値の順にソートしてソリューション情報を表示させることができる。また、管理サーバ200は、評価値の順に所定数のソリューション情報のみをユーザ端末100に送信するようにすることができる。
【0279】
また、管理サーバ200は、プロバイダから追加料金の支払を受けた場合にソリューション情報を優先的に提供することができる。
【0280】
また、管理サーバ200は、ソリューションの申込を受け付ける申込処理部を備えることができる。管理サーバ200は、ソリューションの申込に対する報償をユーザに提供することができる。
【0281】
また、管理サーバ200は、ソリューションが成約した場合に、成約料金の所定割合をプロバイダに課金することができる。また、管理サーバ200は、成約時にその旨をユーザ及び/又はプロバイダに通知する通知部を備えることができる。
【0282】
管理サーバ200の取得部250と、分析部270と、出力部240と、実行部(ソリューション部)290を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0283】
<開示事項>
なお、第10機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目J1(P039)]
温室効果ガスを排出する排出主体のユーザから前記排出主体による前記温室効果ガスの排出量に関する排出量情報を含む環境に関する情報と、社会に関する情報と、統治に関する情報とを取得する取得部と、前記温室効果ガスの削減手段に関するソリューション情報を少なくとも記憶するソリューション記憶部と、前記排出量情報にマッチする前記ソリューション情報を抽出する抽出部と、抽出した前記ソリューション情報を前記ユーザに提供する提供部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目J2]
項目J1に記載の情報処理システムであって、前記ソリューション情報には、前記排出主体に対する条件が設定され、前記抽出部は、前記排出主体が前記ソリューション情報に含まれる前記条件を充足するものを抽出すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目J3]
項目J2に記載の情報処理システムであって、前記排出量情報には、前記排出量に関する活動に関係する付加情報が付帯され、前記抽出部は、前記排出量及び前記付加情報と、前記ソリューション情報とをマッチさせること、を特徴とする情報処理システム。
[項目J4]
項目J1に記載の情報処理システムであって、前記排出量情報には、GHGプロトコルに係るスコープ及びカテゴリごとに集計した前記温室効果ガスの排出量が含まれ、前記抽出部は、前記排出量の多い前記スコープ及び前記カテゴリに対応する前記ソリューション情報を優先して抽出すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目J5]
項目J1に記載の情報処理システムであって、前記ソリューション情報には、前記削減手段のコストを決定するためのコスト情報と、前記削減手段を採用した場合に期待される前記温室効果ガスの削減量を決定するための削減情報とが含まれ、前記抽出部は、前記削減情報に基づいて決定される前記削減量と前記コスト情報により決定される前記コストとに基づいて決定される単位削減量あたりの単位コストを計算し、前記排出量情報にマッチする前記ソリューション情報のうち、前記単位コストの順に所定数の前記ソリューション情報を抽出すること、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目J6]
項目J1に記載の情報処理システムであって、前記ソリューション情報には、期待される削減量が含まれ、前記削減量に応じて所定数の前記ソリューション情報を抽出すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目J7]
項目J1に記載の情報処理システムであって、前記排出主体により採用された前記ソリューションを示す情報及び当該ソリューションにより実現された削減量を取得する実績取得部と、前記削減量に応じて前記プロバイダに課金を行う課金処理部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0284】
<<OCR機能(第11機能)>>
次に、前述した実施形態において一部説明したものもあるが、前述した第1機能~第10機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を第11機能の実施形態とし、以下に詳述する。
【0285】
<システムの概要>
以下、第11機能に係る情報処理システムについて説明する。本情報処理システムでは、帳票データ(例えば、伝票や領収書、納品書など企業の経済活動に関する各種の書類に関するデータを広く含む。帳票データは、テキストデータや文書データ、画像データなどとすることができる。)から、温室効果ガスを排出する活動に係る活動量を抽出するとともに、当該活動の種類(GHGプロトコルにおけるスコープ及び/又はカテゴリ)を特定する。本実施形態では、GPT(Generative Pretrained Transformer)などのLLM(Large Language Model;大規模言語モデル)を用いて、帳票データからの活動量の抽出と、活動量の種類の特定を行う。
【0286】
図3を用いて、第11機能における管理サーバ200のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ200は、生成部260(生成器、生成処理部)と、取得部250(文字列抽出部)と、を備える。
【0287】
生成部260を構成する生成器は、学習済み言語モデルに基づいて回答を生成する。生成器は、機械学習により学習された学習済み言語モデル及びそのモデルを用いて文字列を生成する機能であってよい。本実施形態では、学習済み言語モデルはGPTを想定する。なお、学習済み言語モデルを管理サーバ200が管理せず、外部サーバが学習済みモデルを備えるようにし、外部サーバが提供するAPIを呼び出すことにより、学習済み言語モデルを用いて、指示に対する回答を生成させるようにしてもよい。
【0288】
取得部250を構成する文字列抽出部は、帳票データから文字列を抽出する。帳票データには、温室効果ガスを排出する活動の活動量が含まれることを想定する。帳票データがテキストデータである場合には、文字列抽出部は、テキストデータの内容を読み出すことができる。帳票データが画像データである場合には、文字列抽出部は、公知のOCR処理により画像データに描画されている文字列を抽出することができる。帳票データが、ワードプロセッサ文書や表計算文書などのバイナリデータである場合には、文字列抽出部は、これらのバイナリデータから、公知の手法により文字列データを抽出するようにすることができる。
【0289】
生成部260を構成する生成処理部は、生成器に活動量及びスコープ(及び/又はカテゴリ)を生成させる。生成処理部は、生成器に対して、文字列抽出部が抽出した文字列と、指定した活動量を生成させる指示と、活動量に対応するスコープ(及び/又はカテゴリ)を生成させる指示とを与えることで、生成器に活動量及びスコープ(及び/又はカテゴリ)を生成させることができる。
【0290】
生成処理部は、活動を特定する活動特定情報とスコープ(及び/又はカテゴリ)とを対応付ける情報を生成器に学習させることができる。生成処理部は、活動特定情報と、スコープ及び/又はカテゴリとを対応付けるデータを、事前に学習済み言語モデルに学習させるファインチューニングを行うようにしてもよいし、活動特定情報と、スコープ及び/又はカテゴリとを対応付けるデータを、生成器に与える指示(プロンプト)に含めるようにしてもよい。生成処理部は、帳票データから抽出された文字列と、スコープ及び活動特定情報を生成させる旨の指示とを生成器に与えて、生成器に指示した活動に係る活動量と、スコープと、活動特定情報とを生成させることができる。
【0291】
また、複数の活動が木構造を構成する場合(活動の大分類、小分類、詳細などが定義されているような場合)に、木構造を学習させるようにしてもよい。この場合、生成処理部は、例えば、第1の活動特定情報と、スコープと、第1の活動特定情報により特定される第1の活動の木構造における親又は子となる第2の活動を特定する第2の活動特定情報とを生成器に学習させるようにすることができる。ここでの学習も、事前にファインチューニングにより学習済み言語モデルを更新するようにしてもよいし、プロンプトに上記木構造を特定する情報(第1及び第2の活動特定情報の親子関係を示す情報)を含めるようにしてもよい。これにより、生成処理部は、帳票データに含まれている文字列から、複数階層の活動特定情報を生成させるようにすることができる。
【0292】
また、活動を示す情報と活動を示す情報をベクトル化した情報とを記録するベクトル記憶部を管理サーバ200が備えるようにし、生成処理部は、文字列抽出部が抽出した文字列をベクトル化し、文字列のベクトルに近いベクトルに対応する活動を示す情報をベクトル記憶部から読み出して、生成器に与えるプロンプトに含めるようにしてもよい。ベクトル記憶部に記憶されている専門情報(活動を示す情報)を学習データとして生成器に与えて、活動量及びスコープ(及び/又はカテゴリ)を生成させることができる。
【0293】
<動作>
次に、第11機能の動作を説明する。管理サーバ200は、ユーザ端末100から帳票データを受信して、受信した帳票データから文字列を抽出し、活動特定情報とスコープとの組み合わせを含む学習データと、帳票データから抽出した文字列と、活動量、スコープ及び活動特定情報を生成させる指示とを生成器に与え、生成器により生成される活動量、スコープ及び活動特定情報を取得して出力する。
【0294】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システムによれば、帳票データから効率的に温室効果ガスを排出する活動に係る活動量と、その活動のスコープ及び/又はカテゴリとを生成させることができる。
【0295】
<開示事項>
なお、第11機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目K1]
温室効果ガスを排出する活動の活動量を含む帳票データから文字列を抽出する文字列抽出部と、学習済み言語モデルに基づいて回答を生成する生成器に対して、前記文字列、ならびに、前記活動量と前記活動量に対応するスコープとを生成させる指示を与え、前記生成器に前記活動量及び前記スコープを生成させる生成処理部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目K2]
項目K1に記載の情報処理システムであって、前記生成処理部は、前記活動を特定する活動特定情報と前記スコープとを対応付ける情報を前記生成器に学習させ、前記文字列、ならびに、前記活動量と前記スコープと前記活動特定情報とを生成させる指示を前記生成器に与えて、前記生成器に前記活動量、前記スコープ及び前記活動特定情報を生成させること、を特徴とする情報処理システム。
[項目K3]
項目K2に記載の情報処理システムであって、複数Kの前記活動が木構造を構成し、前記生成処理部は、第1の前記活動特定情報と、前記スコープと、前記第1の活動特定情報により特定される第1の前記活動の前記木構造における親又は子となる第2の前記活動を特定する第2の前記活動特定情報とを前記生成器に学習させること、を特徴とする情報処理システム。
【0296】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、第1機能~第11機能を組み合わせたものとすることができる。
【0297】
各機能の実施形態における管理サーバ200の計算部210、入力部220、出力部240、取得部250、生成部260、推定部270、分析部280、実行部290を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)としてもよい。
【0298】
各機能の実施形態の開示事項において情報処理システムの例を示すが、情報処理システムの各処理(ステップ)をコンピュータが実行する情報処理方法およびコンピュータに実行させるためのプログラムとすることもできる。
【符号の説明】
【0299】
100 ユーザ端末
200 管理サーバ
【要約】
【課題】 温室効果ガスの排出状況を把握することができるようにする。
【解決手段】 情報処理システムであって、温室効果ガスの排出量を計算するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、温室効果ガスを排出する活動に係る活動量及び活動量に関連する項目の入力を受け付ける活動量入力部と、項目に基づいて機械学習により排出係数を推定する推定部と、推定した排出係数を提示する排出係数提示部と、項目をベクトル化した第1のベクトル情報及び活動を特定する活動特定情報を対応付けて記憶するベクトル情報記憶部と、を備え、推定部は、受け付けた項目をベクトル化して第2のベクトル情報を作成し、作成した第2のベクトル情報からの距離に応じて第1のベクトル情報を選択し、選択した第1のベクトル情報に対応する排出係数を推定する。
【選択図】
図17