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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20241113BHJP
   A61N 2/12 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
A61H23/02 340
A61N2/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024010826
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-05-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年9月29日にneten株式会社のホームページで発表し、その後、令和5年10月14日及び11月16日に展示及び販売を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518356844
【氏名又は名称】neten株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 徹也
(72)【発明者】
【氏名】堀内 達朗
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144546(JP,A)
【文献】特開昭55-106169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0209599(US,A1)
【文献】特開昭53-113647(JP,A)
【文献】実開昭59-005927(JP,U)
【文献】特開2000-325486(JP,A)
【文献】実開昭63-163844(JP,U)
【文献】特開2008-93345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生信号に合わせて振動するスピーカーを有する振動生成部と、
前記振動生成部の振動により前記再生信号に対応した微弱電流を発生させる圧電素子を有する電力発生部と、
前記電力発生部により発生した微弱電流が流れ込むコイル基板を有する電磁波発生部と、
前記振動生成部、前記電力発生部及び前記電磁波発生部を収容する筒状の筐体を有する本体部とを有し、
前記振動生成部による振動が、前記筐体を介して又は前記筐体に取り付けたアタッチメント部を介して身体に伝達されるとともに、前記スピーカーにより発生された音波による振動も前記筐体の下部を介して身体に伝達され、
前記電磁波発生部により発生した微弱電磁波が空間放射されるように配置構成されている
ことを特徴とする振動装置。
【請求項2】
前記筐体に前記振動生成部、前記電力発生部及び前記電磁波発生部が上下一体に内蔵されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記本体部は水を含む容器が収容される着脱可能な容器挿入型アタッチメント部を有し、
前記容器挿入型アタッチメント部は、前記筐体の上部に取り付けられ、
前記振動生成部による振動と前記コイル基板により発生した微弱電磁波とが前記容器挿入型アタッチメント部に収容された容器内の水に伝達される
ことを特徴とする請求項に記載の振動装置。
【請求項4】
前記容器挿入型アタッチメント部は、筒状であって前記筐体を外側から覆い、上部に設けた載置部を介して前記振動と前記微弱電磁波とが前記載置部に載置された容器内の水に伝達される
ことを特徴とする請求項3に記載の振動装置。
【請求項5】
再生信号に合わせて振動するスピーカーを有する振動生成部と、
前記振動生成部の振動により前記再生信号に対応した微弱電流を発生させる圧電素子を有する電力発生部と、
前記振動生成部及び前記電力発生部を収容する筒状の筐体を有する本体部とを有し、
前記振動生成部による振動が、前記筐体を介して又は前記筐体に取り付けた金属製アタッチメント部を介して身体に伝達されるとともに、前記スピーカーにより発生された音波による振動も前記筐体の下部を介して身体に伝達され、
前記圧電素子により発生した微弱電流が前記金属製アタッチメント部を介して身体に伝達されるように構成されている
ことを特徴とする振動装置。
【請求項6】
前記振動生成部は、低音再生スピーカーと、前記低音再生スピーカーの上側に上部スピーカーとを備え、
前記低音再生スピーカーの音声は下方の開口部から放出され、
前記上部スピーカーの音声は、上方のグリルから放出されるようになっている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の振動装置。
【請求項7】
前記グリルの上方に前記圧電素子が配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の振動装置。
【請求項8】
前記筐体の下端には、円弧状の切欠が複数間隔を開けて形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の振動装置。
【請求項9】
前記本体部は、無線又は記録媒体を介して振動装置の振動生成部に前記再生信号を送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の振動装置。
【請求項10】
前記再生信号が、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を含む
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1の骨振動体感装置及びそれを使用する方法や、特許文献2のように、低周波振動装置、低周波振動装置を内蔵した家具及び低周波振動装置を座席に内蔵した交通機関のように、音声信号を再生するコンテンツ再生装置とアンプを介して接続され音声信号のうち人間の可聴領域における低周波数帯の信号を受けて振動を発生させ、身体に振動を伝達させたり、骨に伝導させたりする技術が知られている。
【0003】
また、特許文献3のように、1対の電極部を備え、マッサージ機からの電力供給により該電極部より電流を流すこともできるマッサージプローブが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-043393号公報
【文献】特開2002-346476号公報
【文献】特開2018-000656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれのものも音だけによる身体内部や骨への振動の伝達に留まり、音自体が別の種類の刺激を身体へ伝達するためのエネルギー供給源として利用されることはなく、別の刺激には別系統の電力供給が必要であった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、再生信号により発生させた振動を有効に利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、再生信号により振動と共に微弱電流を発生させるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、再生信号に合わせて振動する振動体を有する振動生成部と、
前記振動生成部の振動により前記再生信号に対応した微弱電流を発生させる圧電素子を有する電力発生部と、
前記電力発生部により発生した微弱電流が流れ込むコイル部を有する電磁波発生部と、
前記振動生成部、前記電力発生部及び前記電磁波発生部を収容する筐体を有する本体部とを有し、
前記電磁波発生部により発生した微弱電磁波が空間放射されるように配置構成されている。
【0009】
上記の構成によると、ピエゾ素子などの圧電素子を有する電力発生部により、振動生成部の振動体により生成された振動が電力に変換される。具体的には、筐体からの伝導や空中伝播による空気振動が圧電素子に伝わり、圧電素子で発生した微弱電流がコイル部に流れて微細な電磁波が発生し、その電磁波を身体に照射できる。振動や電磁波は水などの液体に照射することもできる。再生信号による振動は、音波として、そして電磁波として、異なる領域について同時に与えるということになる。一方では、電磁波発生部における照射は振動生成部で発生するエネルギーと比較すると微細である。この装置においては電磁波的な治療の目的より、音波的な振動とそれを元にした電磁波の両方の影響を与えることができる。電磁波発生部における照射は非常に微細であるため、一般的な電磁波における人体への不快感を伴わないレベルである。一方では、微細な物性への変化を与えるアプローチであり、振動(音波)によって主となる影響を与え、電磁波領域において副次的影響を与えるという特性がある。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
前記本体部は着脱可能なアタッチメント部を有し、
前記振動生成部による振動が前記アタッチメント部を介して身体に伝達されるように構成されている。
【0011】
上記の構成によると、例えば凹凸面のあるアタッチメント部を取り付け、このアタッチメント部を対象(身体であればいわゆる患部)に局所的に当接させることで振動の伝達を効果的に行うことができる。
【0012】
第3の発明では、第1の発明において、
前記本体部は水を含む容器が収容される着脱可能なアタッチメント部を有し、
前記振動生成部による振動と電磁波発生部により発生した微弱電磁波とが前記アタッチメント部に収容された容器内の水に伝達される。
【0013】
上記の構成によると、水に対する振動、微弱電磁波及びその物性への影響ということにおいては専門の研究分野があるが、そうした実験を促進させる装置でもある。水に振動や微弱電磁波を与えることによりある特性が活性化される場合、その飲料を飲むことによる知覚の変化の有無という検証も有効な実験である。
【0014】
第4の発明では、
再生信号に合わせて振動する振動体を有する振動生成部と、
前記振動生成部の振動により前記再生信号に対応した微弱電流を発生させる圧電素子を有する電力発生部と、
前記振動生成部及び前記電力発生部を収容する筐体を有する本体部とを有し、
前記振動生成部による振動が、前記筐体を介して又は前記筐体に取り付けたアタッチメント部を介して身体に伝達されるとともに、
前記圧電素子により発生した微弱電流が前記アタッチメント部を介して身体に伝達されるように構成されている。
【0015】
上記の構成によると、アタッチメント部を介して効果的に振動を身体に伝達すると共に、微弱電流を身体に伝達することで、怪我や痛みの軽減を図ることができる。微弱電流であれば、低周波のようなピリピリした刺激がなく、身体組織の回復が早まる効果も期待できる。
【0016】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
前記本体部は、無線又は記録媒体を介して振動装置の振動生成部に前記再生信号を送信するように構成されている。
【0017】
上記の構成によると、好みの再生信号を振動装置で容易に使用することができる。無線であれば、スマートフォンアプリでの制御が可能となり、用途に応じた複数のファイルについて順次選択的に再生が可能となる。
【0018】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
前記再生信号が、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を含む。
【0019】
上記の構成によると、周期的な信号に対して身体が慣れてしまうことを防止し、特に骨折治療に有効とされる刺激の定期的な入れ替えが必要なくなる。
【0020】
第7の振動を伝える方法の発明では、
再生信号により振動と微弱電流を発生させて、前記振動と前記微弱電流とを身体に伝える構成とする。
【0021】
上記の構成によると、再生信号による振動を身体に伝達すると共に、微弱電流を身体に伝達すると、怪我や痛みの軽減を図ることができる。微弱電流であれば、低周波のようなピリピリした刺激がなく、身体組織の回復が早まる効果も期待できる。
【0022】
第8の発明では、第7の発明において、
前記振動と前記微弱電流とを直接又は間接的に身体へ伝えると共に、前記振動により発生した前記微弱電流により微弱電磁波を発生させて身体に照射する。
【0023】
第9の発明では、
再生信号により振動と微弱電流を発生させると共に、前記振動により発生した前記微弱電流により微弱電磁波を発生させ、
前記振動を直接又は間接的に身体へ伝えると共に、前記微弱電磁波を身体に照射する構成とする。
【0024】
これらの構成によると、再生信号による振動は、音波として、そして電磁波として、異なる領域について同時に与えるということになる。電磁波的な治療の目的より、音波的な振動とそれを元にした電磁波の両方の影響を身体に与えることができる。電磁波発生部における照射は非常に微細であるため、一般的な電磁波における人体への不快感を伴わないレベルである。一方では、微細な物性への変化を与えるアプローチであり、振動(音波)によって主となる影響を与え、電磁波領域において副次的影響を与えるという特性がある。
【0025】
第10の発明では、第7から第9のいずれか1つの発明において、
前記再生信号として、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を用いる。
【0026】
上記の構成によると、周期的な信号に対して身体が慣れてしまうことを防止し、特に骨折治療に有効とされる刺激の定期的な入れ替えが必要なくなる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、再生信号により発生させた振動と微弱電流を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態1にかかる振動装置を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態1にかかる振動装置の構成の概要を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1にかかる振動生成部の概要を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態1の変形例1にかかる振動装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態1の変形例1にかかる振動装置を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態1の変形例2にかかる振動装置に容器挿入型アタッチメントが装着された状態を示す断面図である。
図7】本発明の実施形態1の変形例2にかかる容器保持用アタッチメントを示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態1の変形例2にかかる容器保持用アタッチメントを示す底面図である。
図9】本発明の実施形態2にかかる振動装置を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態2にかかる振動生成部の概要を示すブロック図である。
図11】本発明の実施形態2にかかる振動装置の構成の概要を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態3にかかる振動装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる振動装置1を示し、この振動装置1は、例えば、樹脂成形品よりなる円筒状の筐体2と、筐体2の下部を塞ぐ底面カバー3とを含む本体部4を有する。筐体2は、3Dプリンタで製造してもよいし、射出成形で製造してもよい。また、筐体2は、ステンレス、チタンなどの金属製であってもよい。
【0031】
本体部4の内部には、振動生成部10と電力発生部20と電磁波発生部30とが内蔵されている。
【0032】
振動装置1は、再生信号を、無線を介して振動生成部10に送信する送信部5を有する。送信部5は、例えば、Bluetooth(登録商標)を用いた、スマートフォン6、パソコン7などの無線通信機器とする。具体的には、スマートフォン6やパソコン7にダウンロードされた再生信号を含む音源ファイルがBluetoothを介して振動生成部10に伝達される。スマートフォン6やパソコン7は、メモリなどの再生信号を記憶する再生信号データ記憶部9を有する。
【0033】
-再生用専用ファイルについて-
この振動装置1に特化して効果をもたらすために用意された専用ファイルに含まれる再生信号は、周期信号又は非周期信号の種類を問わないが、より振動を強く感じやすい低周波域の音源や、クリスタルボウルのような倍音を豊富に含む音源にしてもよい。
【0034】
また、例えば、再生信号は、例えば特許第6656648号のような、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を含んでもよい。この場合、周期的な信号に対して身体が慣れてしまうことが防止され、特に骨折治療に有効とされる刺激の定期的な入れ替えが必要なくなる。
【0035】
例えば上述したように、スマートフォン6と振動生成部10とをBluetooth接続することで、スマートフォンアプリでの制御が可能となり、用途に応じた様々な複数のファイルについて順次選択的に再生が可能となる。
【0036】
-振動生成部の構成-
振動生成部10は、上述した種々の再生信号に合わせて振動するものであり、図2に概要を拡大して示すように、伝送データ受信手段としての伝送データ受信部11と、この伝送データ受信部11で受信したデータを増幅させる音声増幅再生部12とを備えている。
【0037】
振動生成部10は、音声増幅再生部12で増幅された再生信号を再生する振動体としての上部スピーカー13及び低音再生スピーカー14を備えている。なお、再生信号から信号を発生する手段としては、音声として再生するスピーカーではなく、特許文献1のようなバイブロトランスドューサなどの振動発生装置でもよい。
【0038】
低音再生スピーカー14の低声は、開口部15から放出されるようになっている。また、上部スピーカー13からの音声は振動生成部10の上端のグリル16から放出されるようになっている。上部スピーカー13の構成は特に限定されないが、低音再生スピーカー14とは異なる構成のスピーカーが望ましい。スピーカーの構成は、これに限定されず、個数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0039】
なお、詳しくは図示しないが、振動生成部10には、充電池などの動力源から電力が供給されるようになっている。この電力は、スイッチ8をONにすると供給される。このスイッチ8に合わせて筐体2はスイッチ用開口2aが設けられている。
【0040】
-電力発生部の構成-
図1に示すように、電力発生部20は、例えばピエゾ素子とも呼ばれる圧電素子21を有する。圧電素子21は、水晶や強誘電性セラミックスよりなる圧電体を有し、振動を受けると圧電体に接続された電線から微弱電流を発生する。このため、電力発生部20は、振動生成部10の振動により再生信号に対応した微弱電流を発生させることができる。
【0041】
-電磁波発生部の構成-
振動装置1は、電力発生部20により発生した微弱電流が流れ込むコイル部31を有する電磁波発生部30も備えている。本実施形態では、コイル部31は、例えば、特許6624702号公報に記載されているような、いわゆるゼロ磁場コイルともいわれるコイル基板を用いてもよいし、通常の渦巻き状のコイル基板を用いてもよい。
【0042】
電磁波発生部30は、コイル部31により発生した微弱電磁波が空間放射されるように配置構成されている。
【0043】
-振動装置の作動-
次に、本実施形態にかかる振動装置1の作動について説明する。
【0044】
本実施形態では、再生信号により振動と微弱電流を発生させて、振動と微弱電流とを直接又は間接的に身体へ伝えると共に、振動により発生した微弱電流により発生した微弱電磁波を身体に照射する。
【0045】
具体的には、図2に示すように、スマートフォン6やパソコン7の再生信号データ記憶部9に予め好みの再生信号をダウンロードしておく。再生信号として、別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を用いてもよい。
【0046】
そして、使用時に例えば、Bluetooth(登録商標)を用いて振動装置1に再生信号データを伝送する。本実施形態では、好みの再生信号を振動装置1で容易に使用することができる。無線であれば、スマートフォンアプリでの制御が可能となり、用途に応じた複数のファイルについて順次選択的に再生が可能となる。
【0047】
振動生成部10の伝送データ受信部11が再生信号データを受信し、音声増幅再生部12で音声を増幅し、上部スピーカー13及び低音再生スピーカー14に信号が送られる。
【0048】
そして、再生信号に対応した音声が放音され、筐体2が振動すると共に、周りの空気が振動する。
【0049】
その振動を受けて電力発生部20の圧電素子21が再生信号に対応して微弱電流を発生させる。
【0050】
そして、その微弱電流が電線を通して電磁波発生部30のコイル部31に送られる。コイル部31は微弱電流に対応させて微弱電磁波を発生させる。
【0051】
その状態で、振動と微弱電流とを筐体2を介して直接又は間接的に身体へ伝えると共に、振動により発生した微弱電流により発生した微弱電磁波を身体に照射する。このとき、振動生成部10に供給された再生信号に対応した微弱電磁波を発生させることになる。また、直に対象(身体など)に筐体2を密着又は圧着したとき、その度合によって圧電素子21に伝わる振動が変動する。すなわち照射される電磁波の強度等は対象との関係において変化することが認められる。
【0052】
このように、本実施形態では、筐体2からの伝導や空中伝播による空気振動が圧電素子21に伝わり、圧電素子21で発生した微弱電流がコイル部31に流れて微細な電磁波が発生し、その電磁波を身体に照射できる。
【0053】
再生信号による振動は、音波として、そして電磁波として、異なる領域について同時に与えるということになる。
【0054】
一方では、電磁波発生部30における照射は振動生成部10で発生するエネルギーと比較すると微細である。この装置においては電磁波的な治療の目的より、音波的な振動とそれを元にした電磁波の両方の影響を与えることができる。電磁波発生部30における照射は非常に微細であるため、一般的な電磁波における人体への不快感を伴わないレベルである。一方では、微細な物性への変化を与えるアプローチであり、振動(音波)によって主となる影響を与え、電磁波領域において副次的影響を与えるという特性がある。
【0055】
再生信号として別々の基本周期を有するアナログ波形を1周期ずつ連続して並べた非周期連続信号を含むようにすると、周期的な信号に対して身体が慣れてしまうことを防止し、特に骨折治療に有効とされる刺激の定期的な入れ替えが必要なくなる。
【0056】
したがって、本実施形態にかかる振動装置1によると、再生信号により発生させた振動と微弱電流を有効に利用することができる。
【0057】
-変形例1-
図4及び図5は本発明の実施形態の変形例にかかる振動装置1’を示し、振動伝達アタッチメント40が設けられている点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各変形例及び各実施形態では、図1図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
本体部4は着脱可能なアタッチメント部としての振動伝達アタッチメント40を有する。この振動伝達アタッチメント40の形状や材質は特に限定されないが、例えば、プレス成形されたドーム状のステンレス鋼板よりなる。振動伝達アタッチメント40は、樹脂成形品でもよいが、チタンなど金属アレルギーを起こしにくい材料でもよい。
【0059】
本変形例では、振動生成部10による振動が、振動伝達アタッチメント40を身体の必要な箇所に押し付けることにより、効果的に伝達される。この振動伝達アタッチメント40を対象(身体であればいわゆる患部)に局所的に当接させることで振動の伝達を効果的に行うことができる。例えば、肋骨における、押し当てると気持ちのいい部位に適度な強さで押し当てることができる。
【0060】
-変形例2-
図6は本発明の実施形態1の変形例2を示し、容器挿入型アタッチメント41が設けられている点で上記実施形態1と異なる。
【0061】
本変形例の容器挿入型アタッチメント41は、例えば安価で複雑な形状も成形できる樹脂成形品であり、円筒状本体の上側に4本の棒状の容器支持部41aを有し、それらの基端が、容器の底面が載置されるハニカム状載置部41bに連結されている。載置部の孔形状はハニカム状に限定されない。振動装置1のスイッチ8を露出させるためのスイッチ露出用開口部41cが設けられていると、操作性に優れる。
【0062】
本変形例は、水への特殊パターンの振動伝達にも適用できる。飲料に最適化された容器挿入型アタッチメント41は、例えば図示しないペットボトルを挿入可能である。
【0063】
水に対する振動、及びその物性への影響ということにおいては専門の研究分野があるが、そうした実験を促進させるデバイスでもある。
【0064】
水に振動を与えることによりある特性が活性化される場合、その飲料を飲むことによる知覚の変化の有無という検証も有効な実験である。
【0065】
また、人間の身体の大部分は水分でできているため、身体への影響においてはその水分の変化についても重要な研究分野であることが認められる。なお、対象とする液体は必ずしも水に限定される必要はない。
【0066】
(実施形態2)
図9図11は、本発明の実施形態2にかかる振動装置101を示し、再生信号の伝達方法が異なる点で上記実施形態1の振動装置1と異なる。
【0067】
本実施形態では、再生信号の伝達手段として実施形態1のように無線通信手段を使用するのではなく、SD(登録商標)カードなどの再生信号記録データ記憶部としての記録媒体109を使用し、そのデータが振動生成部110に伝達される。
【0068】
具体的には、本実施形態では、筐体2に送信部105としてのカード挿入部が設けられている。送信部105は再生信号記憶データ読出部111を有し、SDカードの再生信号記憶データが読み込まれる。そして、その再生信号が音声増幅再生部12で増幅されて上部スピーカー13及び低音再生スピーカー14に送信される点は、上記実施形態1と同様である。
【0069】
再生信号の読み込み方法以外は上記実施形態1と同様なので、本実施形態の振動装置101の作動の説明は省略するが、本実施形態においても、上記実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0070】
(実施形態3)
図12は本発明の実施形態2にかかる振動装置201を示し、コイル部31が設けられていない点で上記実施形態1及び2と異なる。
【0071】
本実施形態では、振動により圧電素子21において発生した微弱電流をコイル部31に流すのではなく、振動伝達アタッチメント40に直接流し込むようにしている。
【0072】
本実施形態は、振動と微弱電流とを利用した治療目的に特化した実施形態ともいえる。
【0073】
本実施形態では、スイッチ8を入れると、再生信号に合わせて上部スピーカー13及び低音再生スピーカー14が振動し、その振動により再生信号に対応して圧電素子21が微弱電流を発生させる。
【0074】
振動伝達アタッチメント40は金属製であり、圧電素子21からの微弱電流が流れ込む。このため、振動伝達アタッチメント40を身体に押し付けると、その振動が伝わると共に、微弱電流が身体に流れ込む。
【0075】
このように、振動伝達アタッチメント40を介して振動を身体に伝達すると共に、微弱電流を身体に伝達することで、怪我や痛みの軽減を図ることができる。微弱電流であれば、低周波のようなピリピリした刺激がなく、身体組織の回復が早まる効果も期待できる。
【0076】
したがって、本実施形態にかかる振動装置201においても、再生信号により発生させた振動と微弱電流を有効に利用することができる。
【0077】
以上説明したように、本発明の振動装置1,1’,101,201は、身体マッサージ、筋膜リラックス、リラクゼーション、水(飲料水、酒、農業用用水など水分一般)に振動を与える用途、ハンディ振動機器として活用できるとともに、音のエネルギーによる振動の伝達を行うと同時に、振動による起電力の機能を持ち、身体への微弱な電流刺激を色々な音源の複雑なパターンに対応して人体に与えることのできる、手のひらサイズの小型デバイスである。
【0078】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0079】
1,1’,101,201 振動装置
2 筐体
2a スイッチ用開口
3 底面カバー
4 本体部
5 送信部
6 スマートフォン
7 パソコン
8 スイッチ
9 再生信号データ記憶部
10 振動生成部
11 伝送データ受信部
12 音声増幅再生部
13 上部スピーカー(振動体)
14 低音再生スピーカー(振動体)
15 開口部
16 グリル
20 電力発生部
21 圧電素子
30 電磁波発生部
31 コイル部
40 振動伝達アタッチメント
41 容器挿入型アタッチメント
41a 容器支持部
41b ハニカム状載置部
41c スイッチ露出用開口部
101 振動装置
105 送信部
109 記録媒体(再生信号データ記憶部)
110 振動生成部
111 再生信号記憶データ読出部
201 振動装置
【要約】
【課題】再生信号により発生させた振動を有効に利用する。
【解決手段】振動装置1は、再生信号に合わせて振動する振動体を有する振動生成部10と、振動生成部10の振動により再生信号に対応した微弱電流を発生させる圧電素子を有する電力発生部20と、電力発生部20により発生した微弱電流が流れ込むコイル部31を有する電磁波発生部30と、振動生成部10、電力発生部20及び電磁波発生部30を収容する筐体2を有する本体部4とを有し、電磁波発生部30により発生した微弱電磁波が空間放射されるように配置構成されている。
【選択図】図1
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