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特許7587325コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/32 20230101AFI20241113BHJP
   C02F 3/34 20230101ALI20241113BHJP
   C02F 7/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
C02F3/32
C02F3/34
C02F7/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024061952
(22)【出願日】2024-04-08
【審査請求日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】202311103309.9
(32)【優先日】2023-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510115007
【氏名又は名称】南京大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】22 Hankou Road,Nanjing,jiangsu 210093 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 原
(72)【発明者】
【氏名】兪 ▲ユエ▼▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】許 柯
(72)【発明者】
【氏名】王 黎曄
(72)【発明者】
【氏名】王 艶茹
(72)【発明者】
【氏名】任 洪強
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0380450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273172(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0024861(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105733930(CN,A)
【文献】特開2020-099277(JP,A)
【文献】特開2012-183002(JP,A)
【文献】特開2023-112609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/28- 3/34
C02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器であって、
藻類バイオフィルムモジュールと導光モジュールとが嵌合して構成され、
前記藻類バイオフィルムモジュールは、複数の回転部材及び反応プール(5)を含み、前記反応プール(5)の上部には固定フレーム(6)が設けられ、前記回転部材は、低速モーター(1)、藻類バイオフィルム成長ベクター(2)及び動力伝達ベルト(9)を含み、前記低速モーター(1)は、前記固定フレーム(6)の上部に固定され、前記低速モーター(1)の一側には駆動軸(3)が接続され、前記反応プール(5)における液面以下には従動軸(4)が設けられ、前記藻類バイオフィルム成長ベクター(2)は、前記動力伝達ベルト(9)で前記駆動軸(3)及び前記従動軸(4)に巻きつけられ、前記導光モジュールは、回転可能なレンズホルダ(11)を含み、前記回転可能なレンズホルダ(11)の上端には線形フレネルレンズ(12)が固定して設けられ、前記回転可能なレンズホルダ(11)の下端には導光板(13)が設けられ、前記線形フレネルレンズ(12)の一側にはステッピングモータ(10)が設けられ、前記ステッピングモータ(10)は、前記固定フレーム(6)に設けられる、ことを特徴とするコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項2】
前記回転部材の数は、2つ以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項3】
前記線形フレネルレンズ(12)は、太陽光角度の変化に伴ってゆっくりと回転するように前記ステッピングモータ(10)で動かすことができ、太陽光を前記導光板(13)の一側に線形に常に集束させ、前記導光板(13)に面光源を形成し、前記導光板(13)は、隣接する回転部材の間に平行に固定される、ことを特徴とする請求項2に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項4】
前記線形フレネルレンズ(12)は、2つの隣接する前記回転部材のトップに設けられ、前記導光板(13)は、隣接する前記回転部材の中間に垂直に挿入され、前記藻類バイオフィルム成長ベクター(2)の表面に平行する、ことを特徴とする請求項3に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項5】
前記回転可能なレンズホルダ(11)のベースは、「人」字状をしている、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項6】
前記藻類バイオフィルム成長ベクター(2)は、可撓性材料である、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項7】
前記可撓性材料は、シリカゲルフィルム、ナイロン布、綿や麻の製品又は可撓性プラスチックである、ことを特徴とする請求項6に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項8】
前記低速モーター(1)は、前記駆動軸(3)に接続されて回転し、前記動力伝達ベルト(9)は、前記反応プール(5)の液面下に浸漬される前記従動軸(4)を駆動して回転させることで、前記藻類バイオフィルム成長ベクター(2)を前記動力伝達ベルト(9)に従って気-液媒体中で交互に回転させることができる、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項9】
前記ステッピングモータ(10)と前記低速モーター(1)とは、前記固定フレーム(6)に同側に配置されてもよく、又は異側に設けられてもよい、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【請求項10】
前記反応プール(5)の一側の底部には吸水口(8)が設けられ、前記吸水口(8)に対向する他側には排水口(7)が設けられる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器に関し、下水処理の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
「第十四次五カ年計画」期に汚染防止・治療の難関攻略戦を戦い及びグリーン発展理念を打ち固めるために、下水処理に対して汚染・炭素排出削減の協同効果増加の要求を提出する。現在、主流となる下水処理技術は、活性汚泥法を核心とするものであり、エネルギー消費と薬物消費が高いという問題があり、下水処理業界の低炭素転換の発展方向と逆行である。近年、微細藻類に基づく下水処理技術は、汚染物(窒素、リン、重金属や薬物など)の効率的な除去、COの固定化及びバイオ燃料の生産などの優位性が広く注目され、広範な応用の見通しがある。藻類バイオフィルムの形式を用いて懸濁式微細藻類処理技術のバイオマス採集困難の問題をさらに突破する。しかし、従来の藻類バイオフィルム技術は、依然として物質含有量が低く、単位面積あたりの負荷が低いという問題がある。そのため、より効率的なコンパクト藻類バイオフィルム反応器の開発が必要である。
【0003】
CN108163972Aは、リン除去脱窒素に基づく藻類回転バイオフィルム反応器システム及び応用を開示し、まず、予め藻類バイオフィルムを掛けた可撓性ベクターを回転可能な伝達ベルト型装置に固定し、回転装置を活性汚泥プールの上方に配置し、回転部品の底部を廃水及び活性汚泥と接触させ、下水中の有機物、窒素やリンなどの物質を除去するために、活性汚泥との結合関係を形成し、また、回転部品の上端は、太陽光と空気にさらされ、藻類は、光合作用によって酸素を生成し及び成長する。上記方法は、以下の問題がある。(1)藻類バイオフィルムシステムに垂直に配置される回転部材の間に相互遮蔽を避けるために大きな距離を確保する必要があり、各回転部材における藻類バイオフィルムが十分な光照射を受けることを確保するために、単位面積あたりの藻類バイオフィルムの量を制限し、間接的に装置の敷地面積を増加させる。(2)太陽光の照射角度は、時間とともに変化し、光照射のムラにより処理効果が不安定になる場合が現れやすい。太陽の入射角が大きい場合(朝、晩)には、フィルム間は、互いに遮蔽しやすい一方、太陽の入射角が小さい場合には、回転部材の隙間に大量の太陽光が直接照射され、太陽光の利用率が低い。(3)藻類バイオフィルムと活性汚泥とを結合するには、曝気により大量のエネルギーを消費する必要があり、藻類バイオフィルムの汚染低減と炭素低減の相乗効果の利点を十分に利用できず、しかも曝気により藻類バイオフィルムが脱落しやすく、かつ接触過程で活性汚泥が藻類バイオフィルムに付着しやすく、藻類バイオフィルムの光合成作用にも不利である。
【0004】
一部の発明は、導光板を用いて反応器の内部の光照射を向上させ、藻類バイオフィルムの成長量を増加させる。例えば、CN111647501Aは、導光ベクターに基づく多層積層型吸着式微細藻類バイオフィルム光生物反応器を開示する。この反応器は、多層に積層された固体導光板から構成され且つ各層の固体導光板の左側にLEDランプストリップが取り付けられ、導光板は、光源伝送、変換媒体及び吸着式微細藻類バイオフィルムベクターとして、微細藻類細胞の多層積層型培養を実現し、単位敷地面積当たりの微細藻類バイオマス生産量を向上させる。また、CN112852588Aは、導光三次元多孔質バイオフィルムベース反応器及び微細藻類バイオフィルムの培養方法を開示する。この反応器本体内には、三次元多孔質構造を有する導光バイオフィルムベクターが配置され、各層の導光バイオフィルム内は、いずれも側面導光ファイバが嵌合され、且つファイバコレクタを介してファイバ専用光源に接続され、導光バイオフィルム内にはさらに導光ナノメートル粒子が均一に添加され、導光ナノメートル粒子は、サイド導光ファイバの受けた光を四周へ均一に散乱する。しかし、これらの方法は、導光板を固定する必要があり、入光端が狭く、角度が変化し続ける太陽光を効果的に利用することができないため、固定される人工光源(LEDランプストリップ及びファイバなど)を使用するしかなく、これは間違いなく動作コストを増加させ、低炭素の理念に合致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明目的:本発明の目的は、コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器を提供することであり、導光モジュールを搭載することで太陽光の利用効率を向上させ、垂直に回転する藻類バイオフィルムベクターの設置距離をより緊密にすることを許可し、且つ活性汚泥システムに依存する必要がなく、単位面積あたりのバイオマスの量を著しく向上させることができ、それによって下水処理及び藻類生産効率を向上させ、下水の高効率低炭素処理を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
技術案:本発明に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器は、藻類バイオフィルムモジュールと導光モジュールとが嵌合して構成され、前記藻類バイオフィルムモジュールは、複数の回転部材及び反応プールを含み、前記反応プールの上部には固定フレームが設けられ、前記回転部材は、低速モーター、藻類バイオフィルム成長ベクター及び動力伝達ベルトを含み、前記低速モーターは、固定フレームの上部に固定され、前記低速モーターの一側には駆動軸が接続され、前記反応プールにおける液面以下には従動軸が設けられ、前記藻類バイオフィルム成長ベクターは、動力伝達ベルトで駆動軸及び従動軸に巻きつけられ、前記導光モジュールは、回転可能なレンズホルダを含み、前記回転可能なレンズホルダの上端には線形フレネルレンズが固定して設けられ、前記回転可能なレンズホルダの下端には導光板が設けられ、前記線形フレネルレンズの一側にはステッピングモータが設けられ、前記ステッピングモータは、固定フレームに設けられる。
【0007】
さらに、前記回転部材の数は、2つ以上である。
【0008】
さらに、前記線形フレネルレンズは、太陽光角度の変化に伴ってゆっくりと回転するようにステッピングモータで動かすことができ、太陽光を導光板の一側に常に線形に集束させ、導光板に面光源を形成し、前記導光板は、隣接する回転部材の間に平行に固定される。
【0009】
さらに、前記線形フレネルレンズは、2つの隣接する回転部材のトップに設けられ、前記導光板は、隣接する回転部材の中間に垂直に挿入され、藻類バイオフィルム成長ベクターの表面に平行する。
【0010】
さらに、前記回転可能なレンズホルダのベースは、「人」字状をしている。
【0011】
さらに、前記藻類バイオフィルム成長ベクターは、可撓性材料である。
【0012】
さらに、前記可撓性材料は、シリカゲルフィルム、ナイロン布、綿や麻の製品又は可撓性プラスチックである。
【0013】
さらに、前記低速モーターは、駆動軸に接続されて回転し、動力伝達ベルトは、回転するように反応プールの液面下に浸漬される従動軸を駆動することで、藻類バイオフィルム成長ベクターを動力伝達ベルトに従って気-液媒体中で交互に回転させることができる。
【0014】
さらに、前記ステッピングモータと低速モーターとは、固定フレームに同側に配置されてもよく、又は異側に設けられてもよい。
【0015】
さらに、前記反応プールの一側の底部には吸水口が設けられ、吸水口に対向する他側には排水口が設けられる。
【発明の効果】
【0016】
有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、従来技術と比べて、以下の顕著な利点を有する。
【0017】
(1)本発明は、光照射を再配向することにより、藻類バイオフィルム反応器の内部空間を十分に利用し、同じ敷地面積と垂直空間を用いてより多くの回転部材を設置することができ、バイオマス量を著しく向上させ、処理効率の向上に有利である。
【0018】
(2)本発明は、太陽光の利用率を向上させ、太陽光の入射角度の変化及び隣接する藻類バイオフィルム間の相互遮蔽による光照射ムラの問題を減少させ、反応器の安定性の向上に有利である。
【0019】
(3)本発明の生物システムは、構成が簡単で、汚泥が藻類バイオフィルムに付着して遮蔽をもたらすことを回避し、且つさらなる曝気装置を必要とせず、曝気による藻類バイオフィルムの脱落リスクを減少させるとともに、さらなる曝気による電力消費を節約し、経済性を強化する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における藻類バイオフィルムモジュールの正面図である。
図2】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における藻類バイオフィルムモジュールの左側面図である。
図3】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における藻類バイオフィルムモジュールの平面図である。
図4】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における導光モジュールの正面図である。
図5】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における導光モジュールの左側面図である。
図6】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における導光モジュールの平面図である。
図7】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器における導光モジュールの原理図である。
図8】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の正面図である。
図9】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の左側面図である。
図10】本発明のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の平面図である。
図11】例1における前記コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の正面図である。
図12】例1における前記コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の左側面図である。
図13】例1における前記コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の平面図である。
図14】実施例2における前記コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器が下水を処理する効果図である。
図15】実施例3における導光モジュールを取り外した後に藻類バイオフィルム反応器反応器が下水を処理する効果及び藻類バイオフィルムの成長状況の変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の技術案についてさらに説明する。
【0022】
本発明に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器は、図1-6に示すように、藻類バイオフィルムモジュールと導光モジュールとが嵌合して構成され、図1-3に示すように、藻類バイオフィルムモジュールは、複数の回転部材及び反応プール5を含み、反応プール5の上部には固定フレーム6が設けられ、回転部材は、低速モーター1、藻類バイオフィルム成長ベクター2、駆動軸3、従動軸4及び動力伝達ベルト9を含み、低速モーター1は、固定フレーム6の上部に固定され、低速モーター1の一側には駆動軸3が接続され、従動軸4は、反応プール5における液面以下に設けられ、駆動軸3に垂直に設置される。藻類バイオフィルム成長ベクター2は、動力伝達ベルト9で駆動軸3及び従動軸4に巻きつけられ、反応プール5の一側の底部には吸水口8が設けられ、吸水口8に対向する他側には排水口7が設けられる。
【0023】
藻類バイオフィルム成長ベクター2は、シリカゲルフィルム、ナイロン布、綿や麻の製品、可撓性プラスチックなどの可撓性材料であり、速度調節機能を有する低速モーター1は、駆動軸3に接続されて回転し、回転するように反応プール5の液面下に浸漬される従動軸4を動力伝達ベルト9で駆動することで、載せられた藻類バイオフィルム成長ベクターを動力伝達ベルト9に従って気-液媒体中で交互に回転させることができる。
【0024】
地面に垂直で平行に並べられる複数の回転部材と反応プール5は、藻類バイオフィルムモジュールの本体部分を構成する。固定フレーム6は、低速モーター1を配置し且つコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器の全体構造の安定性を維持するために用いられる。反応プール5にその底部吸水口8から下水を注入し、他側の上部排水口7から処理後の浄化水を排出する。指摘すべきこととして、表示するために、図1-3における回転構築モジュール間の距離が遠く、応用で実際の必要に応じて隣接する回転部材間の距離を動的に調整して、導光板により分散された後の光照射を十分に利用する。
【0025】
図4-6に示すように、導光モジュールは、ステッピングモータ10、回転可能なレンズホルダ11、線形フレネルレンズ12、及び導光板13を含む。線形フレネルレンズ12は、回転可能なレンズホルダ11に固定され、回転可能なレンズホルダ11のベースは、「人」字状をしており、導光板13は、「人」字状でベースの下端に設置され、線形フレネルレンズ12の一側にはステッピングモータ10が設けられる。線形フレネルレンズ12により太陽光を狭い線形帯域に集束し、線形フレネルレンズ12は、太陽光角度の変化に伴ってゆっくりと回転するようにステッピングモータ10で駆動し、太陽光を導光板13の一側に常に線形に集束させ、導光板13に面光源を形成し(光路原理は、図7に示す)。導光板13は、隣接する藻類バイオフィルム回転部材の間に平行に固定され、両側の藻類バイオフィルムに均一で安定な光照射を提供する。
【0026】
複数の導光モジュール(数が回転部材の数-1である)を藻類バイオフィルム反応器に置くことで、線形フレネルレンズ12を2つの隣接する回転部材のトップにし、導光板13は、2つの回転部材の中間に垂直に挿入され、藻類バイオフィルム成長ベクター2の表面に平行する。ステッピングモータ10は、固定フレーム6に配置され、表示しやすいために、図10におけるステッピングモータ10と低速モーター1とは、藻類バイオフィルム反応器の両側の固定フレーム6に配列され、実際にはステッピングモータ10と低速モーター1の大きさ及び配置空間の大きさに応じて同側配置又は異側配置を選択することができる。以上のように本発明に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器(図8-10に示す)を形成する。
【0027】
実施例1
7つの回転部材を含む藻類バイオフィルムモジュール及び6セットの導光モジュールを含むコンパクト藻類バイオフィルム反応器を前述の形式で構築し、図11図13に示すように、駆動軸3の一端は、カップリング接続、フランジ接続及び同軸接続の方式で低速モーター1に接続され、他端は、固定フレーム6における軸受に接続される。低速モーター1は、駆動軸3の回転数を調節できる、回転数範囲が1 RPM~300 RPMの電気制御モジュールを搭載する。駆動軸3と従動軸4は、歯車を介して歯付きの動力伝達ベルト9に接続され、駆動軸3は、上にあり、従動軸4は、下にあり、駆動軸3は、回転中に動力伝達ベルト9の力伝達作用により従動軸4を同期運動させるように駆動する。可撓性藻類バイオフィルム成長ベクター2は、駆動軸3と従動軸4の周りに伝達ベルト形式で回転する。回転部材と反応プール5は、藻類バイオフィルムモジュールを構成し、実際の動作中、回転部材の底部は、反応プール5の液面下に浸漬され、従動軸4の両端は、反応プール5の液面下に軸受を介して固定される。可撓性藻類バイオフィルム成長ベクター2は、伝達ベルトの形式で回転する時に、可撓性藻類バイオフィルム成長ベクター2に載せられる藻類バイオフィルムを気-液界面を循環運動する。排水口7は、反応プール5の液面に取り付けられ、吸水口8は、排水口7に対向する側の反応プール5の壁の底部に取り付けられる。固定フレーム6のベースは、反応プール5に接続される。固定フレーム6の上端の2つのベアリングプラットフォームは、それぞれ反応プール5の上方の両側に位置し、回転部材及び導光モジュールを載置するために用いられる。ステッピングモータ10は、回転可能なレンズホルダ11の底部の回転軸の一端に接続され、他端は、「人」字状ホルダベースにおける軸受に接続される。ステッピングモータ10には、線形フレネルレンズ12の平面が入射した太陽光に対して常に垂直に保たれるように、回転可能なレンズホルダ11の回転を正確に制御するためのプログラマブルシステムが内蔵されている。導光板13のトップの両側は、固定フレーム6に固定され、隣接する藻類バイオフィルム回転部材の間隙に垂直にかけられ、藻類バイオフィルムの平面に平行する。線形フレネルレンズ12が太陽光を集光する集束点は、導光板13の入射端であり、集光する入射光が導光板13により均一に分散された後、両側の藻類バイオフィルムに対して安定な光照射を提供する。本例では、6セットの導光モジュールは、それぞれ7つの回転部材の間隙に配列される。
【0028】
これにより、本発明に記載のコンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器は、同じ敷地面積及び藻類バイオフィルムの垂直な高さで、従来の回転式藻類バイオフィルム反応器に比べて、2-3倍数の回転部材を多く設置することができ、土地利用率及び反応器容積の負荷を大幅に向上させ、さらに藻類バイオフィルムが下水を処理するコストを低減させ、処理効率を向上させる。
【0029】
実施例2
実施例1に記載の藻類バイオフィルム反応器を利用して下水処理を行い、そのステップは、以下のとおりである。
【0030】
1、実際の下水処理場の二次沈殿プール壁から藻類バイオフィルムコロニーを取得し、藻類バイオフィルム成長ベクター2に接種し、且つ典型的な市水の下水の水質(廃水COD 180mg/L、総窒素40mg/L、総リン3.5mg/L)を模擬した、合成された廃水に浸入してかける。
【0031】
2、かけた可撓性藻類バイオフィルム成長ベクター2を回転部材の駆動軸3と従動軸4に搭載し、藻類バイオフィルム反応器は、バッチ式モードで動作し、毎日の朝6時に処理された水を排水口7から排出し、新たに調製された合成された廃水を吸水口8から注入する。対応する水静置時間は、24hであり、且つサンプリング間隔を20dに設定する。
【0032】
3、重クロム酸カリウム法(HJ828-2017)、アルカリ性過硫酸カリウム紫外可視近赤外分光法(HJ636-2017)、モリブデン酸アンモニウム吸光光度法(GB11893-1989)を採用してそれぞれ水サンプル中のCOD、総窒素と総リンの濃度を測定し、サンプル測定間隔は、2日に1回であり、合計1年間動作する。結果は、図14に示す。図14から分かるように、本方法で典型的な市政下水を処理することで、排水のCODを<30mg/Lに安定化し、総窒素を<2mg/Lに安定化し、総リンを<0.5に安定化することができ、「都市下水処理場の汚染物排出基準」GB18918-2002に規定された一級A基準の限界値に符合する。
【0033】
比較例1
藻類バイオフィルム反応器を実施例1と比較すると、違いは、藻類バイオフィルム反応器における導光モジュールを取り外したということだけであり、実験ステップは、実施例2と同じであり、例2と比較すると、導光モジュールを取り外した反応器の処理効果及び藻類バイオフィルムの成長状況の変化を比較する。藻類バイオフィルムの成長状況を単位面積あたりのバイオマス量(g VSS/m2)及びクロロフィルaの含有量(mg Chla/g VSS)で表す。バイオマス量を秤量法で測定し、クロロフィルaの含有量を吸光光度法で測定する。結果は、図15に示す。図15からわかるように、比較例1で導光モジュールを取り外した後、反応器の排水のCOD、総窒素及び総リンの濃度がいずれも高まるが、単位面積あたりのバイオマス量及びクロロフィルaの濃度が著しく低下する。上記結果によれば、導光モジュールを取り外した後、光照射ムラにより、藻類バイオフィルムのバイオマス量の蓄積及び藻類成長が抑制され、さらに反応器の下水処理効果が抑制される。そのため、コンパクト反応器の優れた処理効果は、本発明に記載の導光モジュールと反応器との組み合わせでしか実現できない。
【要約】      (修正有)
【課題】太陽光の利用率を向上させ、単位面積及び単位空間あたりのバイオマス量を著しく向上させ、処理効率の向上により有利であり、さらなる曝気装置を必要とせず、経済性を強化する、コンパクト回転式藻類バイオフィルム反応器を提供する。
【解決手段】反応器は、藻類バイオフィルムモジュール及び導光モジュールを含み、藻類バイオフィルムモジュールは、複数の回転部材及び反応プールを含み、回転部材における藻類バイオフィルム成長ベクター2と動力伝達ベルトは、駆動軸3と従動軸4に巻きつけられ、回転部材は、トップが固定フレーム6に固定され、底端が反応プール5に浸漬され、低速モーター1は、回転するように回転部材を駆動し、導光モジュールは、上端に線形フレネルレンズ12が固定して設けられた回転可能なレンズホルダ11を含み、下端には導光板13が設けられ、線形フレネルレンズの一側にはステッピングモータ10が設けられる。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15