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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ホワイトレター用洗浄具
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024153456
(22)【出願日】2024-09-05
【審査請求日】2024-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522489473
【氏名又は名称】有限会社 工藤自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 和彦
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-185170(JP,A)
【文献】登録実用新案第3240992(JP,U)
【文献】特開2013-128645(JP,A)
【文献】米国特許第04779386(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/16
B24D 15/00
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡素材で形成され、K6253デュロメーター タイプE硬度が35度ないし45度である本体部と、
該本体部の表面の少なくとも一部に形成され、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を研磨可能な研磨部と、を備える
ホワイトレター用洗浄具。
【請求項2】
前記発泡素材、半硬質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、若しくは高密度ウレタンである
請求項1に記載のホワイトレター用洗浄具。
【請求項3】
前記本体部のK6253デュロメーター タイプE硬度は、35度ないし42度である
請求項1又は2に記載のホワイトレター用洗浄具。
【請求項4】
前記研磨部は、酸化アルミニウムを前記本体部の表面に蒸着させて形成された
請求項1又は請求項2に記載のホワイトレター用洗浄具。
【請求項5】
前記研磨部の粒度は、180番ないし240番である
請求項1又は請求項2に記載のホワイトレター用洗浄具。
【請求項6】
前記本体部は、一部が切り欠かれた
請求項1又は請求項2に記載のホワイトレター用洗浄具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホワイトレター用洗浄具に関する。詳しくは、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を、ホワイトレター周囲の黒いゴム層を削り落とすことなく、溶剤や工業用洗剤を用いずに洗浄可能なホワイトレター用洗浄具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、オフロード車やSUV車などを中心に、タイヤのサイドウォールに、タイヤのメーカー名やブランド名などをホワイトの文字(ホワイトレター)で表示したタイヤが装着されている。このようなホワイトレターを設けたタイヤを装着することで、車の足もとを引き立てることができるとして、車愛好家の間で注目されている。
【0003】
ホワイトレターが設けられているタイヤは、ホワイトレターを含む白いゴム層の上に、サイドウォールを形成する黒いゴム層が積層された構造となっており、タイヤを製造する仕上げの段階で上層の黒いゴム層を削って、その下層の白いゴム層の文字(即ち、ホワイトレター)を表出させている。
【0004】
ここで、ホワイトレターに汚れが付着した場合には、スチールウールやウェス等で軽く擦って洗浄するとタイヤメーカーは推奨しているが、実際には充分に汚れを落としにくいため、パーツクリーナなどの石油系溶剤や強アルカリ性の工業用洗剤を用いることが多い。しかし、これらを使用すると、タイヤの表面に染み出して劣化を抑える成分(老化防止剤)を落としてしまい、ひび割れの原因となる場合もある。
【0005】
また、市販の洗浄具(車洗浄用スポンジなど)を用いてホワイトレターの洗浄を行うと、車洗浄用スポンジは柔らかい素材で作られているため、ホワイトレターのエッジ部分で折れ曲がって、厚みの部分(即ち、ホワイトレターの側面部分)を内包するように当接するので、ホワイトレターの表面だけでなく、その周囲(ホワイトレターの側面部分)も研磨してしまう。
【0006】
これにより、ホワイトレターの周囲の黒いゴム層が剥ぎ取られ、黒いゴム層の下に設けられた白いゴム層がホワイトレターの周囲に露出してしまうので、ホワイトレターの文字を明瞭に視認しにくくなるだけでなく、美観が損なわれてしまう。
【0007】
ここで、特許文献1に示すように、ホイール又はタイヤを洗浄可能な「洗浄具」が開示されている。この洗浄具は、スポンジ体で清浄液を用いてタイヤ本体(の側面など)を洗浄することが可能であるが、スポンジ体を少し固めの軟質発泡体で構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実用新案登録第3140527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載する「洗浄具」は、「少し固めの軟質発泡体」と記載しているだけであり、固さについての具体的な記載はなく、また、スポンジ体を固めに構成する理由を「スポンジ体の破損や劣化を回避するなどの観点から」としていることから、洗浄の際、ホワイトレター周辺の黒いゴム層も研磨するので、白いゴム層が露出してしまう、という課題を解決するものではない。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであり、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を、ホワイトレター周囲の黒いゴム層を削り落とすことなく、溶剤や工業用洗剤を用いずに洗浄可能なホワイトレター用洗浄具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のホワイトレター用洗浄具は、発泡素材で形成され、K6253デュロメーター タイプE硬度が35度ないし45度である本体部と、該本体部の表面の少なくとも一部に形成され、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を研磨可能な研磨部と、を備える。
【0012】
ここで、発泡素材で形成された本体部によって、ホワイトレター用洗浄具が軽量化されて容易に取扱うことができるだけでなく、発泡素材が有する反発力により、本体部を確実に把持することができる。
【0013】
また、本体部の表面の少なくとも一部に形成され、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を研磨可能な研磨部によって、溶剤や工業用洗剤を用いることなく、ホワイトレターを研磨して汚れを落とすことができる。
【0014】
また、K6253デュロメーター タイプE硬度が35度ないし45度である本体部によって、本体部が一定の反発力を有することから、洗浄の際指先でホワイトレター用洗浄具を押圧しても折れ曲がりにくい。これにより、ホワイトレター用洗浄具は、ホワイトレターの表面に沿った形状を維持しやすくなるので、ホワイトレターの側面の黒いゴム層を削り落としてしまうことを抑制することができる。
【0015】
なお、K6253デュロメーター タイプE硬度が45度を超える場合には、高い反発力を有するため、洗浄の際、指先で押圧して研磨すると、ムラが生じてしまい、均一に研磨することが難しい。
【0016】
また、K6253デュロメーター タイプE硬度が35度未満である場合には、本体部の反発力が低いため、ホワイトレターの洗浄の際、ホワイトレター用洗浄具を押圧すると、ホワイトレター用洗浄具は、ホワイトレターの表面だけでなく、ホワイトレターの文字の縁をくるむように屈曲して、ホワイトレター周囲の黒いゴム層にも当接する。この状態で、ホワイトレターを研磨すると、ホワイトレターの表面だけでなく、ホワイトレター周囲の黒いゴム層も研磨してしまうので、ホワイトレター周囲の白いゴム層が露出し、美観を損ねてしまう。
【0017】
また、発泡素材は、半硬質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、若しくは高密度ウレタンである場合には、高い反発力を有するので、押圧しても容易に変形しにくいホワイトレター用洗浄具とすることができる。
【0018】
また、本体部のK6253デュロメーター タイプE硬度は、35度ないし42度である場合には、指先で押圧した際、本体部がやや変形しやすくなるので、ホワイトレターにより密着して洗浄することができる。
【0019】
また、研磨部は、酸化アルミニウムを本体部の表面に蒸着させて形成された場合には、蒸着させることで本体部と研磨部を一体として設けることができるので、研磨部が本体部から剥離することを抑制することができる。
【0020】
また、研磨部は、酸化アルミニウムを本体部の表面に蒸着させて形成された場合には、酸化アルミニウムが耐腐食性に優れるという性質を有するため、研磨部の錆びの発生が抑えられるので、洗浄の際、錆がホワイトレターに付着してしまうことを抑制することができる。
【0021】
また、研磨部の粒度は180番ないし240番である場合には、この粒度では一般的に錆や焦げを落とすことができるので、ホワイトレターに付着した汚れを容易に落とすことができる。
【0022】
また、本体部は、一部が切り欠かれた場合には、切欠かれた部分に指をかけることで、ホワイトレター用洗浄具を確実に把持することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るホワイトレター用洗浄具は、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を、ホワイトレター周囲の黒いゴム層を削り落とすことなく、溶剤や工業用洗剤を用いずに洗浄可能なホワイトレター用洗浄具となっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るホワイトレター用洗浄具の斜視説明図である。
図2】ホワイトレタータイヤの概略説明図であり、(a)は、ホワイトレターが設けられたタイヤの部分説明図であり、(b)は、(a)のX-X断面図である。
図3】(a)は、K6253デュロメーター タイプE硬度が38度未満であるホワイトレター用洗浄具の概略説明図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係るホワイトレター用洗浄具の概略説明図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るホワイトレター用洗浄具を用いた洗浄工程の説明図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係るホワイトレター用洗浄具の斜視説明図である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係るホワイトレター用洗浄具の斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施の形態であるホワイトレター用洗浄具A(以下、「洗浄具A」という。)について図1ないし図4を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0026】
〔第1の実施の形態〕
洗浄具Aは、図1に示すように、略直方体の形状を有し、発泡素材の一例であるウレタン素材から成る本体部1、及び、本体部1の表面10に設けられ、タイヤTのホワイトレター部T2を研磨して洗浄する研磨部2から成り、縦約68mm、横約100mm、厚み約24mmの大きさに形成されている。なお、洗浄具Aの形状は、略直方体の形状や上記のサイズに限られるものではなく、立方体、三角柱、球体の形状、若しくは不定形な形状など様々なものが考えられる。また、片手で把持して研磨することから、手のひらと略同等な大きさであることが望ましい。
【0027】
また、発泡素材は、具体的には、半硬質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、高密度ウレタンなどを素材とすることが考えられるが、本実施例では「41度」の硬度を有する硬質ウレタンフォームを用いている。
【0028】
なお、本体部の硬度については、日本ゴム協会標準規格に規定されたデュロメータ(E硬度計)(JIS K 6253(ISO6253) タイプE テクロック社製GS-721N)を用いて測定した。以下、この測定器で測定したタイプE硬度については、単に「硬度」と記載する。
【0029】
また、上記E硬度計を用いた測定方法は、水平に置いた洗浄具Aの平面に対し、デュロメータの加圧面(押針面)を真上から洗浄具Aに垂直に押しつけ、メータが指示する最大値を読み取った。
【0030】
なお、E硬度計で計測された硬度の数値が高ければ、被計測物は、反発力が強く押圧力が加えられても変形しにくい物質であり、数値が低ければ反発力が低く、押圧力が加えられると変形しやすい物質であることを表す。
【0031】
また、本体部1の表面10は6つの面から構成されているが、長手方向両側の端面11、12には研磨部が設けられておらず、端面11、12が露出した状態となっている。なお、他の4つの面には、酸化アルミニウムを蒸着させて形成された研磨部2(研磨面部21、22、23、24から成る)が設けられている。
【0032】
なお、本実施例においては、上記のような構成となっているが、これに限られるものではなく、長手方向両側の端面11、12にも研磨部2を設けることも考えられる。また、4つの研磨面部21、22、23、24から成る研磨部2とすることに限られず、4つの研磨面部のうち少なくとも一つの研磨面部のみが形成されている場合も考えられる。
【0033】
また、図2(a)に示すように、洗浄具Aを用いて洗浄されるタイヤTのサイドウォールT1には、ホワイトレター部T2が設けられている。ホワイトレター部T2は、タイヤのメーカーやブランド名を凸状に表した部分であり、タイヤTの製造時において、タイヤの下地としてサイドウォールT1に白いゴム層をはさみ込み、その後表面の黒いゴム層を削ってホワイトレターを浮かび上がらせて形成される。即ち、図2(b)に示すように、ホワイトレター部T2の表面T2a(文字として認識される面)は、白いゴム層が露出した状態となっている。
【0034】
また、図2(b)に示すように、ホワイトレター部T2の厚み部分である側面T2bには、黒いゴム層が残存しており、ホワイトレター部T2の側面を被覆する黒ゴム被覆部T3が形成されている。
【0035】
また、ホワイトレター部T2の側面T2bの高さは、メーカーやタイヤのサイズによって異なるが、約3ないし4mmである。よって、黒ゴム被覆部T3は、タイヤTの表面から約3ないし4mmの高さまで立ち上がった形状となっており、黒ゴム被覆部T3の先端部T3bとホワイトレター部T2の表面T2aは、略同一面上にある。
【0036】
なお、この黒ゴム被覆部T3がホワイトレター部T2の側面を被覆していることで、ホワイトレター部T2の白さと黒ゴム被覆部T3の黒さの対比により、ホワイトレター部T2の輪郭を明瞭に視認できるので、ホワイトレター部T2に表示された文字を容易に認識することができると共に、美観が増すようになっている。
【0037】
また、本体部1の硬度は「41度」に限られるものではなく、35度ないし45度の範囲で定めることができる。即ち、45度を超える硬度の場合には、高い反発力を有するため、洗浄具Aで洗浄した際、ムラが生じてしまい、均一に研磨することが難しい。
【0038】
一方、本体部1の硬度が「35度未満」の場合には、本体部1の反発力が低いため、図3(a)に示すように、ホワイトレター部T2の洗浄の際、洗浄具Aを押圧すると、洗浄具Aは、ホワイトレター部T2の表面T2aだけでなく、ホワイトレター部T2の文字の縁であるエッジ部T2cをくるむように屈曲して、黒ゴム被覆部T3にも当接する。この状態で、ホワイトレター部T2を研磨すると、表面T2aだけでなく黒ゴム被覆部T3も研磨することになる。
【0039】
そして、黒ゴム被覆部T3が研磨されることにより、黒く表されていた黒ゴム被覆部T3が徐々に剥離され、黒ゴム被覆部T3の下のホワイトレター部T2の側面T2bが露出する。これにより、ホワイトレター部T2に表示された文字の輪郭がぼやけてしまい、文字を明瞭に認識できにくくなるだけでなく、美観を損ねてしまう。
【0040】
また、本体部1の硬度が「35度ないし45度」である場合には、図3(b)に示すように、研磨部2の研磨面部21は、ホワイトレター部T2の表面T2aに当接しているが、エッジ部T2cにおいては、洗浄具Aは屈曲しておらず、黒ゴム被覆部T3に接していない。この状態で、ホワイトレター部T2の表面T2aを洗浄具Aで研磨しても、黒ゴム被覆部T3を削り落とすおそれはなく、ホワイトレター部T2の側面T2bが露出してしまうことを抑制することができる。
【0041】
なお、本体部1の硬度は、加工の容易さの観点から、「35度ないし42度」が望ましく、さらに、本体部1に所定の押圧力を加えても容易に屈曲しない性質を保持する観点から、「38度ないし42度」の硬度が望ましい。
【0042】
なお、一般的に、サマータイヤの硬度は、「約70度前後」と言われている。一方、本体部1の硬度は「41度」であり、本体部1の方が一般的なタイヤよりも柔らかいため、本体部1を用いた洗浄具AでタイヤTを研磨しても黒ゴム被覆部T3が削り取られることはないように思われる。しかし、図2(b)で示すように、黒ゴム被覆部T3は、その裾部T3aから先端部T3bにかけて先細りの形状となっているため、研磨などの外力を受けると剥離しやすくなっていると、考えられる。
【0043】
なお、研磨部2の粒度は、本実施例においては、「220番」であるが、これに限られるものではなく、「180番ないし240番」の範囲の粒度にすることが適している。即ち、240番を超える粒度にした場合には、目が小さいため効率よくホワイトレター部T2の汚れを落としにくくなる。また、180番未満の粒度にした場合には、目が大きいため、ホワイトレター部T2を研磨した際、擦過痕が生じる可能性がある。
【0044】
また、研磨部2の粒度は、洗浄効率の観点から、「180番ないし220番」が望ましく、さらに、研磨後の表面の滑らかさを保持する観点から、「200番ないし220番」の粒度が望ましい。
【0045】
また、本実施例においては、研磨部2は、本体部1の表面10に酸化アルミニウムを蒸着させることで形成しているが、これに限られるものではなく、例えば、炭化ケイ素(カーボランダム)、シリコンカーバイト、セラミックスなどを用いることも考えられる。
【0046】
また、研磨部2は、本体部1の表面10に酸化アルミニウムを蒸着させて形成されるものに限られるものではなく、例えば、所定の粒度を有する研磨部材を本体部1に巻いて取り付けることも考えられる。
【0047】
このように、洗浄具Aは、研磨部2を備えることで、溶剤や工業用洗剤を使うことなくホワイトレター部T2を洗浄することができるので、ホワイトレター部T2の美観を保つことができる。
【0048】
〔洗浄具Aを用いた洗浄方法〕
次に、図4に示すように、洗浄具Aを用いたタイヤTの洗浄方法について説明する。
(ST1;当接工程)
まず、ホワイトレター部T2の表面T2aに沿うように、洗浄具Aの研磨面部21(若しくは研磨面部22)を当接させる。このとき、本体部1の硬度は「41度」であることから、洗浄具Aを適度な力で押圧しても、折れ曲がってホワイトレター部T2のエッジ部T2cを覆ってしまうおそれはない。
【0049】
(ST2;研磨工程)
次に、洗浄具Aで表面T2aを研磨する。これにより、ホワイトレター部T2の表面T2aの汚れを削り落とすことができる。なお、このとき、エッジ部T2cは、洗浄具Aによって覆われていないので、洗浄具Aを用いた研磨によって黒ゴム被覆部T3が剥ぎ取られてしまう恐れはない。
【0050】
また、研磨工程では、表面T2aに沿うように洗浄具Aの研磨面部21が当接するので、従来のように、溶剤や工業用洗剤を用いることなくホワイトレター部T2の汚れを落とすことができる。
【0051】
(ST3;洗い流し工程)
最後に、表面T2aを研磨した際、表面T2aから削り落とされた削り屑を、水又は希釈した中性洗剤(以下、「水等」という。)で洗い落とす。これにより、表面T2a及び研磨面部21に付着している削り屑が、洗い落とされる。
【0052】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態であるホワイトレター用洗浄具B(以下、「洗浄具B」という。)について、図5を用いて、以下説明する。なお、第2の実施の形態の構成のうち、第1の実施の形態と同様の構造であり、同等箇所には、同一の符号を付して示すと共に、ここでの説明を省略する。
【0053】
洗浄具Bは、図5に示すように、「41度」の硬度を有する硬質ウレタンフォームで形成された本体部3と、本体部3の表面30に酸化アルミニウムが蒸着して形成された研磨部4とから成る。
【0054】
また、本体部3は略直方体に形成されており、4つの角部のうち一つの角部周辺が切り欠かれた形状となっている。本実施例においては、本体部3の幅方向の略半分で、かつ、長手方向の約3分の1の長さに切り欠かれている。
【0055】
これにより、本体部3は、略直方体から成る基部31と、基部31の一端から延設されて、洗浄具Bを把持した際親指寄りの位置に設けられた延設部32から構成された形状となっている。なお、本体部3の形状は、この形状に限られるものではなく、例えば、延設部32を、親指よりではなく、洗浄具Bの幅方向の略中央に配置する形状とすることも考えられる。
【0056】
また、本実施例においては、研磨部4として、延設部32の表面に、研磨面4a、及び研磨面4aの反対側の面である研磨面4bが設けられている。
【0057】
そして、洗浄具Bを用いてホワイトレター部T2を洗浄する際は、基部31に手のひらを乗せ、延設部32に人差し指と中指を乗せ、切欠かれた部分に薬指と小指をかけて、右手全体で洗浄具Bを把持する。
【0058】
ここで、延設部32が基部31の左側(洗浄具Bを右手で把持した際の親指側)に設けられていることから、洗浄具Bで研磨する際、研磨面4bとホワイトレター部T2とが当接している状態を視認しながら研磨することができる。これにより、ホワイトレター部T2のエッジ部T2cを研磨する際、黒ゴム被覆部T3までも研磨してしまうことをより確実に抑止することができる。
【0059】
また、本体部3の切り欠かれた部分に薬指と小指をかけることで、洗浄具Bを薬指と小指で把持しやすくなり、安定して洗浄具Bを動かすことができる。
【0060】
また、本実施例においては、右手で洗浄具Bを把持して研磨する態様で述べたが、洗浄具Bを反転することで、左手でも使用することもできる。なお、この場合には、研磨面4bの反対側の面である研磨面4aで研磨する。
【0061】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態であるホワイトレター用洗浄具C(以下、「洗浄具C」という。)について、述べる。なお、第3の実施の形態の構成のうち、第1の実施の形態と同様の構造であり、同等箇所には、同一の符号を付して述べると共に、ここでの説明を省略する。
【0062】
まず、洗浄具Cは、第1の実施の形態で説明した洗浄具Aの長手方向一端側である端面12に接して、所定量の水分を保有することができる保水部5が設けられている。
【0063】
また、洗浄具Cの保水部5は、本体部1と連続して設けられており、一体となって洗浄具Cを形成している。そして、保水部5は、吸水性のあるスポンジ素材で形成されている。
【0064】
また、保水部5は、本体部1のように所定の硬度を有する必要はなく、後述するように、所定量の水を保水する点を考慮すると、柔らかい素材であることが望ましい。具体的には、ポリウレタンフォーム、ポリエステル若しくはメラミンフォームが考えられる。
【0065】
なお、保水部5には、本体部1のように研磨部2は設けられていない。保水部5に含まれていた水等を、速やかに絞り出しにくくなるからである。
【0066】
次に、洗浄具Cの使用方法について、以下説明する。
まず、洗浄具Cの保水部5に、所定量の水等を含ませる。具体的には、バケツ等の容器内の水等に洗浄具Cを漬けて、保水部5に、充分に水等を含ませる。
【0067】
次に、研磨面2を用いて、ホワイトレター部T2を研磨する。この研磨作業により削り屑が生じるので、作業者は、保水部5を強く把持して、内部に含まれる所定量の水等を絞り出して、ホワイトレター部T2にかける。これにより、容易に削り屑を洗い流すことができる。
【0068】
なお、上記の使用方法に限られるものではなく、研磨作業の終了後、保水部5に水等を含ませて、ホワイトレター部T2に水等をかけることも考えられる。
【0069】
以上により、本発明に係るホワイトレター用洗浄具は、タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を、ホワイトレター周囲の黒いゴム層を削り落とすことなく、溶剤や工業用洗剤を用いずに洗浄可能なホワイトレター用洗浄具となっている。
【符号の説明】
【0070】
A 洗浄具
B 洗浄具
T タイヤ
T1 サイドウォール
T2 ホワイトレター部
T2a 表面
1 本体部
10 表面
2 研磨部
3 本体部
【要約】
【課題】タイヤのサイドウォールに設けられたホワイトレターの表面を、ホワイトレター周囲の黒いゴム層を削り落とすことなく、溶剤や工業用洗剤を用いずに洗浄可能なホワイトレター用洗浄具を提供することを目的とする。
【解決手段】洗浄具Aは、略直方体の形状を有し、ウレタン素材から成る本体部1、及び、本体部1の表面10に設けられ、タイヤTを研磨して洗浄する研磨部2から成り、縦約68mm、横約100mm、厚み約24mmの大きさに形成されている。また、本体部1の表面10は6つの面から構成されているが、長手方向両側の端面11、12には研磨部が設けられておらず、端面11、12が露出した状態となっている。なお、他の4つの面には、酸化アルミニウムを蒸着させて形成された研磨部2(研磨面部21、22、23、24から成る)が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6