(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】被加熱芳香カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20241113BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20241113BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241113BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2024173997
(22)【出願日】2024-10-03
(62)【分割の表示】P 2020002471の分割
【原出願日】2020-01-09
【審査請求日】2024-10-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特許第6371927(JP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第3494809(EP,A1)
【文献】特表2017-501676(JP,A)
【文献】特開平06-335375(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02885983(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0200667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00- 3/18
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱芳香発生源の長手方向にマウスピースが着接され、筒状体である被加熱芳香カートリッジ外装部材に収納され、
前記マウスピースは、支持部材、冷却部材、フィルター部材から構成され、前記被加熱芳香発生源側から長手方向に前記支持部材、前記冷却部材、前記フィルター部材の順で配備され、
前記冷却部材と前記フィルター部材が
筒状の巻物であるマウスピースラッピング部材で巻装されて一体化され、
前記被加熱芳香発生源は、角柱状の被加熱芳香発生基材を被加熱芳香発生基材ラッピング部材の長手方向に載置して巻き上げたものであり、前記被加熱芳香発生源の長手方向の断面視において、気体流路が形成され、
前記気体流路は、前記被加熱芳香発生基材が集合して形成された被加熱芳香発生基材凝集体の内部において前記被加熱芳香発生基材の位置ずれによる一次凝集体流路、
前記被加熱芳香発生基材凝集体間に生じる二次凝集体流路、前記被加熱芳香発生基材と前記被加熱芳香発生基材ラッピング部材との空間である基材-ラッピング部材気体流路を有する、
ことを特徴とする、被加熱芳香カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎ではなく、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によってエアロゾル及び芳香を発生する、少なくとも、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質を含有する不均質な被加熱芳香発生基材、その基材を用いた被加熱芳香発生源、その発生源を備えた被加熱芳香カートリッジ、並びに、その基材の製造方法に関する。特に、熱源によって融解し易く、エアロゾル及び芳香の発生が促進されると共に、強靭性が高く、成形加工性に優れている被加熱芳香発生基材、その基材を用いた被加熱芳香発生源、その発生源を備えた被加熱芳香カートリッジ、及び、その基材の製造方法に関する。
【0002】
従来、上記「被加熱芳香発生基材」は、「エアロゾル形成基材」と呼称されることが多かったが、加熱することによって、エアロゾルを形成するエアロゾルフォーマと共に、芳香植物等の芳香源材や芳香剤の香り成分も揮発され、エアロゾルの煙と芳香源材や芳香剤の香りを喫煙によって楽しむことから、本発明においては、「被加熱芳香発生基材」と呼称する。これに基づき、エアロゾル形成基材が充填された「エアロゾル形成体」、及び、エアロゾル形成体を備えた「電子タバコカートリッジ」を、それぞれ、「被加熱芳香発生源」、及び、「被加熱芳香カートリッジ」と呼称する。
【背景技術】
【0003】
近年、タバコの禁煙が、職場や飲食店等の人が集う空間に幅広く普及する傾向に従って、タバコを火炎で燃焼して喫煙する人が減少するのに対し、ヒーター等の熱源によって伝達された熱によってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ、ナス科タバコ属のタバコ植物を含む芳香源材を含有する、被加熱芳香発生基材を用いて形成される被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを加熱式喫煙具で喫煙する人が急激に増加している。この加熱式喫煙によれば、従来のタバコの熱分解及び燃焼によって生成される有害成分の吸引が低減されるためであり、加熱式喫煙を楽しむための各種製品に関する技術開発が活発に行われている(例えば、特許文献1~5)。
【0004】
このような加熱式喫煙のメカニズムは、加熱式喫煙具、被加熱芳香カートリッジ等の形態によって異なるが、その典型的な例を次に示す。一端に被加熱芳香発生基材が充填された被加熱芳香発生源を、他端にマウスピースを備えた被加熱芳香カートリッジは、被加熱芳香発生源を加熱式喫煙具の熱源と接触するように装着されて加熱されると、被加熱芳香発生源からエアロゾルフォーマ及びタバコ植物を含む芳香源材の揮発物等が放出されると同時に、この揮発物は、喫煙者の吸引によって空気と共に他端のマウスピース側に吸い込まれる。この揮発物の搬送工程において、エアロゾルフォーマの揮発物は冷却、凝縮して、煙のようなエアロゾルを形成すると共に、その他の揮発物は、喫煙者の口及び鼻に芳香を与え、その結果として喫煙を楽しむことができる。従って、加熱式喫煙の場合、被加熱芳香発生基材に含まれるグリセリンやプロピレングリコール等のエアロゾルフォーマを揮発させることができる200~350℃程度、すなわち、タバコの葉の熱分解が開始する程度の温度で喫煙でき、タバコの葉が燃焼することがないので、有害物質の発生が極めて少なく、喫煙者及び喫煙者の周辺にいる受動喫煙者の有害物質吸引量が大幅に低減される。
【0005】
更に有害物質を低減させるため、被加熱芳香発生源を構成する被加熱芳香発生基材に占めるタバコの含有量を減少させる材料設計が施されている。例えば、タバコ植物の代替え材料として、様々な芳香を発生する非タバコ植物の併用、更には、タバコ植物を全く使用することなく、非タバコ植物だけでも心地よい喫煙を楽しむこともできる、ニコチンレスの被加熱高芳香発生基材も開発されている(特許文献5)。一方、従来のタバコの製造工程で生じたタバコの茎、葉片、及び、粉塵等を使用して、材料の有効活用及び材料コストの削減も図られている。
【0006】
これに対し、従来の火炎によってタバコを燃焼する火炎式喫煙の場合、少なくとも燃焼するための600℃を超える温度が必要であり、喫煙時には最高900℃に達することがあり、火炎式喫煙の有害物質の発生量は極めて多くなる。しかし、タバコ植物以外の成分が含まれていないため、タバコの燃焼によって、喫煙者の視覚的欲求を満足させる煙、喫煙者がタバコに依存する根源となるニコチン、そして、無数の芳香成分を十分に発生する。
【0007】
このような加熱式喫煙と火炎式喫煙との本質的なメカニズムの違いから、紙巻きタバコに相当する被加熱芳香カートリッジを構成する被加熱芳香発生源に充填される被加熱芳香発生基材は、喫煙者が欲する、タバコ植物から発生する芳香やニコチンばかりでなく、非タバコ植物から発生する様々な芳香も抑制される材料構成となっている。
【0008】
まず、上述したように、燃焼することなく煙に見えるエアロゾルを生成するためのエアロゾルフォーマが不可欠な材料として、被加熱芳香発生基材を構成する。
【0009】
そして、特許文献1~5には、タバコ植物から発生する芳香やニコチンばかりでなく、非タバコ植物から発生する様々な芳香も抑制する次のような材料で、被加熱芳香発生基材が構成されていると記載されている。
【0010】
被加熱芳香発生基材の必須成分であるエアロゾルフォーマは、グリセリンやプロピレングリコール等の液体であるため、タバコ植物及び非タバコ植物と混合しても保持されるように、安全性の高い結合剤が用いられている。代表的なものとしては、多糖類系天然高分子やセルロース系天然高分子をあげることができる。更に、これらの結束力を高め、柱状の被加熱芳香発生基材に成形加工できるように、セルロース繊維が加えられる場合もある。
【0011】
同様の目的に加え、被加熱芳香基材の乾燥時の収縮を低減すると共に、その成形加工性を高めるため、成形剤として微結晶セルロースが添加される場合もある。
【0012】
芳香成分を補うための芳香剤、例えば、清涼化剤やニコチン等が用いられる場合には、これらが喫煙に最適な温度に達するまで放出されることなく安定して保持されるために、収着剤として機能する架橋ポリビニルピロリドンやシクロデキストリン等が含有される場合もある。
【0013】
このように、加熱式喫煙における被加熱芳香カートリッジに備えられる被加熱芳香発生源を形成する被加熱芳香発生基材には、煙成分となるエアロゾルフォーマ、並びに、芳香成分となるタバコ植物、非タバコ植物、及び、芳香剤以外の、結合剤、成形剤、及び、収着剤等、加熱による煙成分及び芳香成分の発生及び揮発を阻害する材料を数多く使用しなければならず、喫煙者が十分に楽しむことができる煙と芳香を発生させることは容易ではない。
【0014】
この問題を解決する方法として、特許文献6では、50~150℃の融点植物由来の天然蝋をエアロゾルフォーマに溶解させた溶液のタバコ粉末分散液であるスラリーから、キャスト法で形成された均質化したたばこ材料、すなわち、均質な被加熱芳香発生基材を提案している。しかし、この方法では不十分であると考えられ、特許文献7では、20~50℃の植物由来のオイルを導入する解決手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特表2008-518614号公報
【文献】特表2010-520764号公報
【文献】特表2013-519384号公報
【文献】特表2016-538848号公報
【文献】特許第6280287号公報
【文献】特許第6433626号
【文献】特許第6442110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
背景技術に述べたように、少なくとも被加熱芳香発生源とマウスピースとが連結された、紙巻きタバコに相当する被加熱芳香カートリッジと加熱式喫煙具を用い、被加熱芳香発生源を加熱式喫煙具の熱源に装着して行う喫煙は、ニコチン等の有害物質の吸引が少なく、健康的ではある。しかし、被加熱芳香発生源を形成する被加熱芳香発生基材には、煙成分となるエアロゾルフォーマ、並びに、芳香成分となるタバコ植物、非タバコ植物、及び、芳香剤を含んでいるが、結合剤、成形剤、収着剤等、加熱による煙成分及び芳香成分の発生及び揮発を阻害する材料を数多く使用しなければならず、喫煙者が十分に楽しむことができる煙と芳香を発生させることが難しいという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、加熱式喫煙具の熱源によって、煙成分となるエアロゾルフォーマ、並びに、芳香成分となるタバコ植物や非タバコ植物等の芳香源材及び芳香剤から、これらの揮発物が十分に発生し、喫煙者が煙及び芳香を満足して楽しむことができる被加熱芳香発生基材、その基材を用いた被加熱芳香発生源、その発生源を備えた被加熱芳香カートリッジ、及び、その基材の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、被加熱芳香カートリッジに備えられる被加熱芳香発生源を形成する被加熱芳香発生基材を、芳香源材及び/又は芳香剤を含む熱融解物質、つまり、芳香性熱融解粉末を均一に分散させた相分離構造とすると、次のような仮説により芳香成分及び煙成分の揮発量を高めることができるものと考えた。
【0019】
第1に、芳香源材及び/又は芳香剤とエアロゾルフォーマと相分離することによって、それぞれが、熱源と接触することによって揮発し易くなる。特に、熱源によって芳香成分を揮発する芳香源材及び/又は芳香剤を熱融解物質に偏在させることによって、被加熱芳香発生基材全体に存在する場合よりも、芳香源材及び/又は芳香剤の濃度を局所的に高くすることができ、熱源との接触により効率よく芳香成分を揮発することができる。第2に、熱融解物質の熱流動性が高いことによって、その中に生成する芳香源材及び/又は芳香剤の揮発成分が、エアロゾルフォーマと共に、被加熱芳香発生基材表面に移動して揮発が促進される。第3に、グリセリンやプロピレングリコール等のようなエアロゾルフォーマよりも、蝋やワックス等の熱融解物質の方が、芳香成分との相互作用が弱く、芳香成分が熱融解物質から放出されやすい。
【0020】
一方、熱融解物質は、芳香源材及び/又は芳香剤を常温では確実に固定できると共に、エアロゾルフォーマと相分離して形成された被加熱芳香発生基材の不均質な構造を維持することができるという重要な機能も果たすものであると考えた。特に、この不均質な構造を維持するためには、エアロゾルフォーマとの親和性に乏しい熱融解物質の方がより好ましいのではないかと推定した。
【0021】
このような仮説に基づいて、被加熱芳香発生基材を構成する材料、製造方法等、種々検討した結果、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質を少なくとも含み、芳香源材及び/又は芳香剤が熱融解物質に混入された芳香性熱融解粉末を被加熱芳香発生基材に分散した不均質な構造である被加熱芳香発生基材を巻装した被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジは、一般的な加熱式喫煙具を用いた喫煙おいて、熱融解物質を除く組成が従来品と同じ組成であっても、芳香及び煙を十分に満喫することができることが実証されると共に、被加熱芳香発生基材の不均質な構造を安定に保持することを確認し、本発明の完成に至った。
【0022】
すなわち、本発明は、加熱式喫煙具に装着され、加熱及び吸引されてエアロゾル及び芳香を生じる被加熱芳香カートリッジの被加熱芳香発生源を形成する被加熱芳香発生基材であって、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質を少なくとも含み、芳香源材が熱融解物質に混入された芳香性熱融解粉末が、被加熱芳香発生基材に均一に分散されていることを特徴とする被加熱芳香発生基材である。
【0023】
この芳香性熱融解粉末の最小外径は、125~355μmであることが好ましく、150~300μmであることがより好ましく、180~250μmであることがより更に好ましい。芳香性熱融解粉末の外径が大きすぎると、その総表面積が小さくなり、熱源との接触機会が減少して、熱融解物質の溶融が不十分で、芳香成分の揮発量が低減する。一方、芳香性熱融解粉末の外径が小さすぎると、その粉末が被加熱芳香発生基材に均一に分散した海島構造を形成することが困難で、その粉末が凝集した塊状物として存在するため、熱源との接触による融解速度が低下する領域ができ、芳香成分の揮発量が低減する。
【0024】
そして、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の配合比は、煙成分及び芳香成分の揮発量の均衡を取るために、それぞれ、55~75質量%、20~40質量%、及び、2~15質量%であることが好ましく、60~70質量%、25~35質量%、3~10質量%であることがより好ましい。
【0025】
このような被加熱芳香発生基材において、重要な役割を果たす熱融解物質は、「加熱されることによって、融点又は軟化点を示し、非ニュートン流体となる有機化合物」であれば特に限定されるものではない。一般的に蝋及びワックスと称される有機化合物が好ましく、蝋及びワックスとして代表的な石油系天然ワックス、合成ワックス、植物系天然蝋、及び、動物系天然蝋を使用することができる。また、蝋及びワックスとしても使用されるロジンが属する各種タッキファイアー(粘着付与剤)を使用することができる。これらは、単体で使用することも、これらの中から選択される少なくとも一つ以上を含む混合物として使用することもできる。
【0026】
石油系天然ワックスは、炭化水素化合物であるため、芳香成分及びエアロゾルフォーマとの相互作用が小さいため、特に限定されるものではなく、ワセリ、パラフィンワックス、及び、マイクロクリスタリンワックスを好ましく使用することができる。ただし、これらには、分子構造に基づく特性の差異がある。ワセリンは、分岐状炭化水素と脂環式炭化水素の混合物で、融点の幅が36~60℃と広い。パラフィンワックスは、直鎖状炭化水素が主成分で、結晶性が高く、40~70℃の融点を示すものがほとんどであり、融点の幅が狭い。マイクロクリスタリンワックスは、分岐状炭化水素と飽和環状炭化水素の混合物で、結晶性は低いが、分子量が高く、これらの中では最も高い60~90℃の融点を示し、融点の幅もワセリンに次いで広い。このように、いずれも、原油から抽出された炭化水素化合物であるが、パラフィンワックス、及び、マイクロクリスタリンワックスが、熱融解時の溶融粘度が低く、低表面エネルギーで芳香成分及びエアロゾルフォーマとの相互作用も少ないので、被加熱芳香発生基材の熱融解物質として最も適している。
【0027】
このようなパラフィンワックスは、例えば、日本精▲蝋▼(株)製の標準品であるParaffin Wax-115、120、125、130、135、140、145、150、及び、155があり、そのいずれも好ましく用いられる。また、特殊なパラフィンワックス、例えば、日本精▲蝋▼(株)製の特製品である高純度精製パラフィンワックスであるHNP系列品、特定用途向けのSP系列品、特殊な製法で製造されたイソパラフィンが主成分のEMW系列品も好ましく用いられる。また、マイクロクリスタリンワックスは、例えば、日本精▲蝋▼(株)製のHi-Micシリーズのいずれも好ましく用いられる。
【0028】
合成ワックスは、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、ポリエチレン(PE)ワックス及び変性PEワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス及び変性PPワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレンアルキルアミンを好ましく使用することができる。
【0029】
特に、フィッシャー-トロプシュワックスは直鎖状炭化水素系有機化合物であるため、熱融解時の溶融粘度が低く、低表面エネルギーでエアロゾルフォーマや芳香成分との相互作用も小さいので、被加熱芳香発生基材の熱融解物質として適している。Sasоl社製標準品H1等(融点:約112℃)、中融点品C80等(融点:約85~88℃)、高融点品C105/H105等(融点:約117℃)、及び、BYK製CERAFAK(登録商標)117(融点:約110℃)、127N(融点:約120℃)等を使用することができる。
【0030】
また、PEワックス及び変性PEワックス、並びに、PPワックス及び変性PPワックスも、炭化水素化合物であり、好ましく使用することができる。具体的には、三井化学(株)製ハイワックス(登録商標)、三洋化成工業(株)製サンワックス及びビスコール等、並びに、BYK製CERAFAK(登録商標)929、950、913,914、及び、915等が、約94~161℃の融点を有し、好ましく使用することができる。特に、メタロセン触媒ポリオレフィンワックスは、分子量分布が狭くより好ましい。例えば、メタロセン触媒PEワックスである三井化学(株)製エクセレックス(登録商標)は、分子量分布及び組成分布が狭いため、89~128℃の融点を有するが、熱融解時の溶融粘度が低く、このようなポリオレフィン系ワックスとして非常に優れている。
【0031】
脂肪酸アミドとしては、モノアミドとビスアミドが適している。モノアミドとしては、ステアリン酸モノアミド、オレイン酸モノアミド、及び、エルカ酸モノアミドが、約72~105℃の融点を有しており好ましい。ビスアミドは、エチレンビスステアリン酸アミド及びエチレンビスオレイン酸アミド等が、約140~145℃の融点を有しており好ましい。このようなアミドは、極性基を有しているが、分子量が小さく、分子量分布がないため、植物由来の蝋やオイルよりも熱溶融粘度が低く、エアロゾルフォーマの移動をより促進する。例えば、モノアミドは、日油(株)製アルフロー(登録商標)S-10、E-10、及び、P-10を、ビスアミドは、日油(株)製アルフロー(登録商標)Hシリーズ及びADシリーズや花王(株)製カオーワックスEBシリーズを使用することができる。
【0032】
脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、及び、メリシン酸が、約30~94℃の融点を有しており好ましく用いられる。例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及び、ベヘニン酸は、日油(株)等で工業的に製造されているのでより好ましい。
【0033】
脂肪族アルコールしては、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、1-へプタデカノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、エライジルアルコール、ナノデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、1-ノナコサノール、及び、ミリシルアルコールが、約23~87℃の融点を有しており好ましく用いられる。例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及び、セトステアリルアルコールは、日油(株)等で工業的に製造されているのでより好ましい。
【0034】
このような高級脂肪酸及び高級脂肪族アルコールは、それぞれ、直鎖状炭化水素の末端に、カルボキシル基及び水酸基が結合しているもので、分子量分布がない、若しくは、分子量分布が極めて狭いため、パラフィンワックス同様、熱融解時の溶融粘度が低く、融点の幅も狭いので、被加熱芳香発生基体の加熱時における変形及び流動を促進する効果が大きい。
【0035】
ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールの平均分子量が600~11,000であるものが、融点が低く、熱融解時の溶融粘度が低く好ましい。また、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロック重合体で、ポリエチレングリコールユニットが40~80wt%であって、平均分子量が3,000~13,000であるものが、約20~60℃の融点を有しており好ましい。これは、非イオン性界面活性剤としても使用されるものであるが、分子量分布が狭く、融点の幅が狭いので、熱融解時の流動性に優れている。
【0036】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン-モノメチルエーテルの平均分子量が1,000~4,000のものが約40~55℃の融点を有しており好ましい。これも、非イオン性界面活性剤として使用されるものであるが、分子量分布が狭く、融点の幅が狭いので、熱融解時の流動性に優れている。
【0037】
ポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、ポリオキシエチレン-ステアリルアミンの約25℃の融点を有する、例えば、日油(株)製ナイミーン(登録商標)S204、約45℃の融点を有する、例えば、日油(株)製ナイミーン(登録商標)S202が好ましく用いられる。これらも、非イオン性界面活性剤として使用されるものであるが、炭素数18の直鎖状炭化水素ユニットを有しており、分子量分布が狭く、融点の幅が狭いので、熱融解時の流動性に優れている。
【0038】
植物系天然蝋及び動物系天然蝋も、特に限定されるものではないが、植物系天然蝋は、ハゼ蝋、ウルシ蝋、カルナウバ蝋、サトウキビ蝋、パーム蝋、及び、カンデリラ蝋が好ましく、動物系天然蝋は、蜜蝋、鯨蝋、イボタ蝋、羊毛蝋、及び、シェラックが好ましい。これらは、比較的高い融点を有し、芳香源材及び/又は芳香剤を安定して固定することができ、高い熱流動性を有しているためである。
【0039】
しかし、植物系天然蝋及び動物系天然蝋は、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステルが主成分であるが、様々な炭素数の脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステルの混合物であり、遊離の脂肪酸及び遊離の脂肪族アルコールや炭化水素等も含まれており、分子量分布が広いため、融解する温度領域が広く、融解時の粘性が高い上、エステル結合を有する有機化合物、遊離の脂肪酸、遊離の脂肪族アルコールが含まれているため、エアロゾルフォーマ及び芳香成分との相互作用も大きいので、石油系天然ワックス、合成ワックス、及び、後述するタッキファイアーであるロジン及びロジン誘導体の方が熱融解物質としては好ましい。
【0040】
タッキファイアーは、ロジン及びロジン誘導体、並びに、テルペン樹脂及び変性テルペン
樹脂を好ましく使用することができる。具体的には、ロジン及びロジン誘導体は、荒川化
学工業(株)製であるガムロジン、ロジンエステル(ペンセル)、マレイン酸変性ロジン
樹脂、ロジン変性フェノール樹脂(タマノル)が好ましい。また、テルペン樹脂及び変性
テルペン樹脂は、ヤスハラケミカル(株)製テルペンモノマー単独重合樹脂(YSレジン
PX及びYSレジンPXN)、芳香族変性テルペン樹脂(YSレジンTO)、及び、テル
ペンフェノール樹脂(YSポリスターシリーズ)が好ましく用いられる。特に、芳香成分
やエアロゾルフォーマとの相互作用が小さく、高い熱流動性を有するロジン及びロジン誘
導体がより好ましく、ロジンがより更に好ましい。
【0041】
このように、熱融解物質は多種多様なものがあるが、本発明の被加熱芳香発生基材内に芳
香性熱融解粉末を均一に分散させるためには、特に、炭化水素系有機化合物である、石油
系天然ワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、PEワックス及び変性PEワック
ス、並びに、PPワックス及び変性PPワックス、そして、ロジン及びロジン誘導体が好
ましい。中でも、融点及び熱流動性という観点から、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、PEワックス、PPワックス、
メタロセン触媒ポリオレフィンワックスが特に好ましい。
【0042】
これらの熱融解物質は、融点や軟化点を有するものであるが、芳香源材及び/又は芳香剤
を常温で確実に固定し、熱源と接触した際の熱流動性という観点から、融点が20~20
0℃の温度範囲にあるものが好ましく、50~200℃の温度範囲にあるものがより好ま
しい。
【0043】
更に、熱融解物質の融点は150~200℃の温度範囲にあるものがより更に好ましい。
これは、次のような理由によるものであると考えられる。本発明の芳香性熱融解粉末が均
一に分散して存在する被加熱芳香発生基材も、従来通り、柱状に成形加工され、その側面
で接触するように包装材に充填、巻装されて被加熱芳香発生源が形成され、被加熱芳香カ
ートリッジに備えられる。加熱式喫煙具に被加熱芳香カートリッジを装着して喫煙する場
合、このような被加熱芳香発生源に熱源が挿入され、加熱されるので、被加熱芳香発生基
材内に均一に分散している芳香性熱融解粉末の熱融解物質の融点が低い場合、被加熱芳香
発生基材同士が融着し、気体流路が閉塞される。従って、熱源の最高到達温度近辺まで、
揮発した煙成分及び芳香成分の吸引量が確保されるためには、熱融解物質の融点は150
~200℃にあることが好ましい。
【0044】
このように、150~200℃に融点を有する蝋及びワックスは少なく、PPワックス及
び変性PPワックス、並びに、ロジン誘導体及び変性テルペン樹脂に限定される。PPワ
ックス及び変性PPワックスは、熱流動性に優れているので、特に好ましく用いられる。
具体的には、PPワックス及び変性PPワックスとして、三井化学(株)製ハイワックス
(登録商標)のNP500、並びに、BYK製CERAFAK(登録商標)913、91
4、及び915等を挙げることができる。これらは、約160℃の融点を有しており好ま
しく使用することができる。ロジン誘導体としては、荒川化学工業(株)製ロジンエステ
ル(ペンセル)D-160及びKK、並びに、荒川化学工業(株)製ロジン変性フェノー
ル樹脂(タマノル)を挙げることができる。そして、変性テルペン樹脂としては、ヤスハ
ラケミカル(株)製YSポリスターT160及びYSポリスターG150を挙げることが
できる。
【0045】
一方、芳香源材は、特に、中国茶、紅茶、並びに、バラ、モクセイ科モクセイ属モクセイ
種の植物、ラベンダー、及び、サフランの花、並びに、ラッキョウ、エシャロット、ニン
ニク、タマネギ、及び、コンニャクの地下茎、並びに、カリン、ミカン科ミカン属の植物
(ダイダイ・ウンシュウミカン・ナツダイダイ・ポンカン・ハッサク・イヨカン・イーチ
ャンレモン・カラタチ・オレンジ・マンダリンオレンジ・カボス・キシュウミカン・キノ
ット・グレープフルーツ・コウジ・サンボウカン・シトロン・ジャバラ・スダチ・タチバ
ナ・タンゴール・ナツミカン・ハナユズ・ヒュウガナツ・ヒラミレモン(シークヮーサー
)・ブンタン(ザボン)・ユズ・ライム・レモン・コブミカン等)、バラ科モモ属モモ種
の植物、リンゴ、パイナップル、マンゴー、キンカン、メロン、ザクロ、ウメ、アンズ、
ブルーベリー、バラ科オランダイチゴ属の植物、ラズベリー、バナナ、及び、ブドウの果
実、並びに、シソ科ハッカ属のペパーミント系植物(ペパーミント、ニホンハッカ、アッ
プルミント、ウォーターミント、コルシカミント、ペニーロイヤルミント等)、シソ科ハ
ッカ属のスペアミント系植物(スペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハ
ッカ、ジンジャーミント等)、イヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハ
ッカ(セイボリー)、ヤナギハッカ(ヒソップ)、及び、ナス科タバコ属タバコ種の植物
の地上茎葉の中から選択される少なくとも一つ以上を含むことが、喫煙者に心地よい芳香
を提供するために相応しいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
しかし、被加熱芳香カートリッジを加熱式喫煙具に装着した時に、被加熱芳香カートリッ
ジそのものから漂う香りと定義するフレグランスと、被加熱芳香カートリッジを加熱した
時に空間に漂う香りと定義するアロマと、被加熱芳香カートリッジを加熱してエアロゾル
と共に吸引した時に口に漂う香りと定義するフレーバーの三要素を兼ね備えることが好ま
しい。
【0047】
フレグランスとしては、中国茶、紅茶、並びに、バラ、モクセイ科モクセイ属モクセイ種
の植物、ラベンダー、サフランの花、及び、ナス科タバコ属タバコ種の植物の地上茎葉の
中から選択される少なくとも一つ以上を含むことが好ましい。
【0048】
アロマとしては、ラッキョウ、エシャロット、ニンニク、タマネギ、コンニャクの地下茎
、及び、ナス科タバコ属タバコ種の植物の地上茎葉の中から選択される少なくとも一つ以
上を含むことが好ましい。
【0049】
フレーバーとしては、カリン、ミカン科ミカン属の植物(ダイダイ・ウンシュウミカン・
ナツダイダイ・ポンカン・ハッサク・イヨカン・イーチャンレモン・カラタチ・オレンジ
・マンダリンオレンジ・カボス・キシュウミカン・キノット・グレープフルーツ・コウジ
・サンボウカン・シトロン・ジャバラ・スダチ・タチバナ・タンゴール・ナツミカン・ハ
ナユズ・ヒュウガナツ・ヒラミレモン(シークヮーサー)・ブンタン(ザボン)・ユズ・
ライム・レモン・コブミカン等)、バラ科モモ属モモ種の植物、リンゴ、パイナップル、
マンゴー、キンカン、メロン、ザクロ、ウメ、アンズ、ブルーベリー、バラ科オランダイ
チゴ属の植物、ラズベリー、バナナ、及び、ブドウの果実、並びに、シソ科ハッカ属のペ
パーミント系植物(ペパーミント、ニホンハッカ、アップルミント、ウォーターミント、
コルシカミント、ペニーロイヤルミント等)、シソ科ハッカ属のスペアミント系植物(ス
ペアミント、ホースミント、ミドリハッカ、チリメンハッカ、ジンジャーミント等)、イ
ヌハッカ、コウスイハッカ(レモンバーム)、キダチハッカ(セイボリー)、ヤナギハッ
カ(ヒソップ)、及び、ナス科タバコ属タバコ種の植物の地上茎葉の中から選択される少
なくとも一つ以上を含むことが好ましい。
【0050】
エアロゾルフォーマは、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、モノアセチン
(グリセリンモノアセタート)、及び、ジアセチン(グリセリンジアセタート)等を使用
することができる。中でも、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及び、グリセリンの中
から選択される少なくとも一つ以上を含むことが、熱源との接触による揮発性及び冷却時
の煙に見えるエアロゾル形成性に優れており、特に好ましい。
【0051】
更に、芳香源材を補助することを目的として、芳香剤を更に含むことが好ましく、芳香源
材と共に熱融解物質に混入されることがより好ましい。その芳香剤としては、清涼化剤及
びニコチンの中から選択される少なくとも一つ以上を使用することができる。特に、清涼
化剤は、フレーバーとして重要で、メントール及びメントール誘導体、メントン及びメン
トン誘導体、メンタンカルボン酸アミド、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪
酸誘導体、メンタン及びメンタン誘導体、L-カルボン、キシリトール、ユーカリ精油、
ハッカ油、スペアミント精油、並びに、スピラントールであることが好ましい。この芳香
剤は、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の総量100質量部に対し、3
~25質量部であればよいが、5~20質量部含まれると、芳香源材の芳香成分を補填す
ることができ、被加熱芳香発生剤の強度低下等の弊害がなくより好ましい。
【0052】
このように、被加熱芳香発生基材を構成する材料によって、熱源と接触して発生する煙及
び芳香等の官能的機能を向上させることができるが、被加熱芳香発生基材に成形加工する
ためには、被加熱芳香発生基材が、被加熱芳香発生基材と接触する成形加工機との離型性
を備えると共に、成形加工における被加熱芳香発生基材の破断等の損傷を防ぐ必要がある
。また、成形加工後の体積収縮の低減を図り、被加熱芳香発生基材の脱落を防ぎ、気体流
路の最適状態の維持等の経時安定性等も求められる。そのために、成形剤を更に含むこと
が好ましい。
【0053】
成形剤としては、微結晶セルロースであることが好ましく、特に、その平均粒子径は、7
0~120μmであることが好ましい。微結晶セルロースの平均粒子径が70μm以下で
あると、被加熱芳香発生基材の収縮を抑制する効果と共に、被加熱芳香発生基材と成形加
工機との癒着を防止することができず、120μm以上であると、被加熱芳香発生基材と
成型加工機の離型性については問題ないが、被加熱芳香発生基材が破断し易くなる。また
、微結晶セルロースの質量平均分子量(Mw)は、20,000~60,000であるこ
とが好ましい。20,000以下であると、被加熱芳香発生基材の収縮を抑制する効果が
なく、60,000以上であると、被加熱芳香発生基材が破断し易く成形加工に問題が生
じる。この成形剤の場合、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の総量10
0質量部に対し、2~25質量部であればよいが、3~20質量部含まれることによって
、上記機能を果たすと共に、芳香源材及びエアロゾルフォーマの揮発物の発生の弊害にな
ることがなくより好ましい。
【0054】
被加熱芳香発生基材には、芳香源材、エアロゾルフォーマ、熱融解物質が少なくとも含ま
れるので、エアロゾルフォーマが液状であるため、こられを結束して塊状状態を保持し、
上記成形加工上の課題が解決されるように、安全性の高い結合剤が更に用いられることが
好ましい。代表的なものとしては、多糖類系天然高分子やセルロース系天然高分子をあげ
ることができるが、これらの結束力を更に高め、柱状の被加熱芳香発生基材に成形加工で
きるように、セルロース繊維を加えることがより好ましい。
【0055】
多糖類系高分子は、コンニャクマンナン(グルコマンナン)、グアーガム、ペクチン、カ
ラギーナン、タマリンシードガム、アラビアゴム、大豆多糖類、ローカストビーンガム、
カラヤガム、キサンタンガム、及び、寒天等を用いることができるが、強度及び上記成形
加工性という観点から、グルコマンナン、グアーガム、ペクチン、カラギーナン、タマリ
ンシードガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、及び、キサンタンガムが好ましく、
中性多糖類のグルコマンナン、グアーガム、タマリンシードガム、及び、ローカストビー
ンガムがより好ましい。
【0056】
セルロース系高分子としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び、ヒド
ロキシプロピルセルロース、並びに、CMCのナトリウム塩、カリウム塩、及び、カルシ
ウム塩、並びに、カルボキシエチルセルロースのナトリウム塩、カリウム塩、及び、カル
シウム塩を用いることができるが、特に、強度及び成形加工性という観点から、CMCの
ナトリウム塩及びカリウム塩、並びに、カルボキシエチルセルロースのナトリウム塩及び
カリウム塩が好ましい。
【0057】
多糖類系高分子とセルロース系高分子を併用してもよく、この場合には、前者として、グ
ルコマンナン、グアーガム、タマリンシードガム、及び、ローカストビーンガムが、後者
として、CMCのナトリウム塩及びカリウム塩、並びに、カルボキシエチルセルロースの
ナトリウム塩及びカリウム塩を用いることが、強度及び成形加工性という観点から好まし
い。
【0058】
セルロース繊維は、特に、サトウキビ、タケ、ムギ、コメ、エスパルト、及び、ジュート
のセルロース繊維であることが好ましい。これは、これらの繊維径及び繊維長が、それぞ
れ、5~25μm及び0.25~6mmの範囲内にあり、その他の植物のセルロース繊維
よりも細くて短いが、被加熱芳香発生基材の構成成分を結束する効果が高くなることを見
出した。
【0059】
この結束剤は、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の総量100質量部に
対し、5~30質量部が好ましく、強度及び成形加工性を解決し、芳香源材及びエアロゾ
ルフォーマの揮発物の発生等への悪影響を回避するためには、8~28質量部であること
がより好ましい。そして、セルロース繊維の配合量は、多糖類系高分子及びセルロース系
高分子とセルロース繊維との割合が、質量比で1:1~1:25であることが結束効果の
上で好ましい。
【0060】
一方、芳香源材の芳香を補うために、芳香剤を熱融解物質に含ませることなく導入した場
合、加熱式喫煙具の熱源が、煙成分となるエアロゾルフォーマ及び芳香成分となる芳香源
材が揮発する最適な温度になる前に芳香剤が揮発して放出される可能性がある。そのため
、被加熱芳香発生材は、所定の温度に到達するまで、芳香剤を寄留させる必要がある。そ
のため、収着剤を更に含んでいることが好ましい。
【0061】
収着剤は、上述したように、清涼化剤及びニコチンを対象とすると、清涼化剤については
、親水性架橋高分子、シクロデキストリンが好ましく、親水性架橋高分子としては、架橋
ポリビニルピロリドン(PVP)がフェノール性水酸基を有する化学物質を吸着し、特に
好ましい。また、架橋PVPは、ニコチンと類似した窒素を含む5員複素環式化合物を構
造内に有しており、両者の相互作用が形成されるものと考えられので、ニコチンの収着剤
としても架橋PVPは好適である。一方、α、β、及び、γ-シクロデキストリンは、様
々な大きさの水酸基やカルボキシル基を有する化学物質と包接化合物を作ることが知られ
ており、特に、β-シクロデキストリンは、メントールと包接化合物を形成し、メントー
ルに対する収着剤として最適である。
【0062】
このような収着剤は、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の総量100質
量部に対し、架橋PVPの場合、4~25質量部であればよいが、5~20質量部含まれ
ることがより好ましく、シクロデキストリンの場合、0.1~1.2質量部であればよい
が、0.2~1.0質量部含まれることがより好ましい。そして、両者を含んでいること
が更に好ましい。
【0063】
最後に、乾燥、殺虫した芳香源材を使用するが、被加熱芳香発生カートリッジを長期的に
保存するためには、被加熱芳香発生基材に保存剤を含有させる必要がある。特に、本発明
の被加熱芳香発生基材には、ソルビン酸カリウム及び/又は安息香酸ナトリウムが適して
おり、この場合、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、熱融解物質の総量100質量部
に対し、0.005~0.04質量部含まれていることが好ましい。
【0064】
以上説明した被加熱芳香発生基材は、加熱式喫煙具に装着する被加熱芳香カートリッジの
挿入側の被加熱芳香発生源を構成し、この被加熱芳香発生源は被加熱芳香カートリッジに
備えられる。本発明は、この被加熱芳香発生基材を用いて形成した被加熱芳香発生源、及
び、この被加熱芳香発生源を用いた被加熱芳香カートリッジをも提供するものである。
【0065】
まず、被加熱芳香発生基材を用いて形成した被加熱芳香発生源について説明する。被加熱
芳香発生源は、少なくともこの被加熱芳香発生基材の集合体であればよいが、被加熱芳香
発生源に針状の熱源が刺さり易く、吸引する気体の流路が確保されるように形成されてい
る必要がある。そのため、本発明の被加熱芳香発生源は、被加熱芳香発生基材を成形加工
した柱状物を、その側面で接触するように包装材に充填、巻装されていることを特徴とし
ている。その形状は、円柱状、角柱状、粒状、鱗片状等、特に限定されないが、円柱状で
あることが、上記被加熱芳香発生源に要求される機能を満足する上で好ましく、角柱状で
あることがより好ましい。そして、円柱状体又は角柱状体の側面で接触する集合体である
ことが更に好ましい。このことによって、被加熱芳香体を着脱するにあたって、被加熱芳
香発生基材が脱落することなく、被加熱芳香発生源に熱源が容易に刺さり、煙成分及び芳
香成分の流れる方向に気体流路が確保され、心地よい喫煙が可能となる。
【0066】
被加熱芳香カートリッジを構設することを考慮すると、上記被加熱芳香発生基材の集合体
が筒状の巻物である被加熱芳香発生基材ラッピング部材によって巻装されている被加熱芳
香発生源は、取り扱い易く好ましい。また、この被加熱芳香発生源は、被加熱芳香発生源
からの被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵
の脱落及び飛散を防止する上でも好ましい。特に、円柱状又は角柱状被加熱芳香発生基材
の側面で接触する集合体が、被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱
芳香発生源であれば、熱源が挿入され易く、気体流路が確保でき、より好ましい。
【0067】
次いで、本発明の上記被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジについて説明す
る。本発明の単純な構成の被加熱芳香カートリッジの一つは、被加熱芳香発生源が、筒状
体である被加熱芳香カートリッジ外装部材に収納され、被加熱芳香発生源を除く被加熱芳
香カートリッジ外装部材の筒状の空間がマウスピースとして形成されていることを特徴と
している。また、本発明の単純な構成の被加熱芳香カートリッジの一つは、被加熱芳香発
生源と共に、被加熱芳香発生源に着接された筒状のマウスピースを、筒状体である被加熱
芳香カートリッジ外装部材に収納されていることを特徴としている。
【0068】
これは、加熱式喫煙具を用いて喫煙する被加熱芳香カートリッジに特有の形態である。紙
巻きたばこの場合、紙巻きタバコを口で加える部分には、ほぼ全てにフィルター部材が備
えられており、マウスピースの機能を果たしており、このフィルター部材は、燃焼した煙
の固体成分を濾過し、ニコチンやタールを吸着してまろやかな味わいにする役割を果たし
ている。しかし、加熱式喫煙具を用いた被加熱芳香カートリッジは、被加熱芳香発生源を
燃焼させることがなく、被加熱芳香発生源の芳香とエアロゾルフォーマの揮発物が冷却さ
れたエアロゾルの煙を楽しむことができ、煙には固形成分を含むことがない上、芳香源材
中のタバコ植物が少ない若しくは全く含まないので、ニコチンやタールが少なく、マウス
ピースにフィルター機能を必要とするものではない。被加熱芳香カートリッジのマウスピ
ースは、喫煙者が口にくわえて喫煙する際に、熱源からの熱を感じることなく、唇や舌の
触感がよく、くわえ易い適度な硬さを有する気体流路を備えた筒状体及び柱状体であれば
特に限定されるものではない。従って、上記本発明の被加熱芳香カートリッジにより、十
分に心地よい喫煙を楽しむことができるのである。
【0069】
しかし、喫煙時に吸引することによって、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源のマ
ウスピース側への移動を防止する必要があり、喫煙の楽しみを増幅させる煙の揺らぎを十
分に漂わせることが望まれる。そのため、上記被加熱芳香カートリッジ外装部材の筒状の
空間であるマウスピース及び被加熱芳香発生源に着接された筒状のマウスピースに、被加
熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生源のマウスピース側への移動を防止する支持部材又は
エアロゾルフォーマの揮発物の冷却によるエアロゾル、すなわち、煙の生成を促進する冷
却部材を備えていることが好ましい。更には、紙巻きタバコ愛好者の習性を考慮して、フ
ィルター部材を備えていることが好ましい。
【0070】
このような支持部材の構造は、被加熱芳香発生源と着接して気体を通過する面と、その面
を支持し、貫通孔のような気体流路を少なくとも備えているものであれば限定されるもの
ではない。また、このような冷却部材の構造は、揮発物との接触面積が大きい気体流路を
有する、例えば、連続気泡の多孔質体、ハニカム構造体等を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0071】
また、素材的には、特に限定されることはないが、支持部材の場合は、紙、プラスチック
、ゴム、木材、金属、及び、セラミック等を使用することができるが、種々の形状に成形
加工可能なプラスチック製であることがより好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性
樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系
樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル(EVA)系樹脂、フェノール系樹
脂、アミノ系樹脂、ABS系樹脂、及び、生分解性プラスチック等が利用できるが、最終
的には廃棄物となるので、自然環境保護という観点から、ポリ(3-ヒドロキシブチレート
)(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)
(PBS)、及び、ポリ乳酸(PLA)等の生分解性プラスチックであることが望ましい
。
【0072】
冷却部材の場合は、熱伝導性に優れた金属化合物等が好ましいが、成形加工性に劣り、高
価であるため、熱伝導性には劣るが、生産性及びコストに優れている、ポリオレフィン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル系樹脂、シ
リコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、EVA系樹脂、フェノール系樹脂、
アミノ系樹脂、ABS系樹脂、及び、生分解性プラスチック等が利用できるが、自然環境
保護という観点から、PHB、PCL、PBS、及び、PLA等の生分解性プラスチック
であることが望ましい。
【0073】
このような構造及び素材から明らかなように、支持部材及び冷却部材は、それぞれ、冷却
部材及び支持部材の機能も有しているが、マウスピースが、支持部材と冷却部材とを少な
くとも備え、支持部材とフィルター部材とが被加熱芳香発生源側から長手方向にこの順に
配備されている方が両者の機能を兼ね備えることができるのでより好ましい。
【0074】
しかし、上述したように、紙巻きタバコのほぼ全てがフィルター部材を備えているため、
紙巻きタバコ愛好者の習性は極めて重要で、少なくともフィルター部材を備えているマウ
スピースを被加熱芳香発生源に着接することが好ましい。このフィルター部材も、支持部
材及び冷却部材同様、支持部材及び冷却部材の機能を果たすことができるので、単独で用
いることができる。この場合、被加熱芳香発生源に着接されるマウスピース全体にフィル
ター部材が充填される形態が、簡易で、フィルター部材、支持部材、及び、冷却部材の機
能を効果的に発現できるのでより好ましい。
【0075】
このようなフィルター部材は、従来の紙巻きタバコで使用されてきたセルロースアセテー
ト繊維を用いたプレーンフィルター、プレーンフィルターに活性炭を含むデュアルチャコ
ールフィルター、フィルター表面に凹凸を有するAFT(Advanced Filte
r Technology)等典型的な紙巻きタバコ用フィルターを使用することができ
るが、喫煙に必要な通気性を備えたフィルターであれば、繊維の種類や構造等が限定され
るものではない。自然環境保護の観点から、麻及び木材等の植物繊維、並びに、PHB、
PCL、PBS、及び、PLA等の生分解性プラスチック繊維を用いたフィルター部材で
あることが好ましい。また、香料及びマイクロセル化された香料等が含まれていてもよい
。
【0076】
このように、マウスピースに単独で備えられるフィルター部材が、被加熱芳香発生源と着
接する場合、支持部材の機能を発現するものの、被加熱芳香発生基材及び被加熱芳香発生
源が、フィルター部材の目を詰まらせるため、被加熱芳香発生源とフィルター部材との間
に支持部材又は冷却部材のいずれかを少なくとも介在させることが好ましい。この支持部
材又は冷却部材も、被加熱芳香発生源からマウスピース側への被加熱芳香発生基材及び被
加熱芳香発生源の移動を防止する機能を最大限に発揮するためには、被加熱芳香発生源に
着接することが好ましい。
【0077】
更に、マウスピースに求められる機能を全て兼ね備え、その機能が効果的に発現するため
には、上記マウスピースが、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材を少なくとも備
え、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材が被加熱芳香発生源側から長手方向にこ
の順で配備されていることが更に好ましい。
【0078】
一方、このような被加熱芳香発生源の長手方向にマウスピースが着接され、筒状体である
被加熱芳香カートリッジ外装部材に収納されていることを特徴としている被加熱芳香カー
トリッジにおいては、被加熱芳香発生源、並びに、マウスピースを構成する支持部材、冷
却部材、及び、フィルター部材が、筒状の巻物であるマウスピースラッピング部材で巻装
されている方が好ましい。これは、被加熱芳香発生源、並びに、マウスピースを構成する
支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材が同じ形状であれば、これらが被加熱芳香カ
ートリッジ外装部材に収納され易く、生産性が向上するためである。特に、被加熱芳香発
生源については、マウスピースラッピング部材で巻装されることによって、作業性が大幅
に改善されると共に、上述したように、被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落
物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散が低減される。
【0079】
ここで、マウスピースを構成する支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材が、筒状の
巻物であるマウスピースラッピング部材によって巻装される形態には、次のような三通り
の形態がある。第一に、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材が、それぞれ個別に
マウスピースラッピング部材で巻装される形態、第二に、支持部材及びフィルター部材、
並びに、支持部材及び冷却部材、並びに、冷却部材及びフィルター部材をマウスピースラ
ッピング部材で巻装して一体化する形態、第三に、支持部材、冷却部材、及び、フィルタ
ー部材をマウスピースラッピング部材で巻装して一体化する形態である。
【0080】
このようなマウスピースランピング部材は、典型的な例として、従来の紙巻きタバコに使
用されている麻及び木材等の植物繊維を素材とした巻紙を挙げることができるが、紙巻き
タバコと異なり、燃焼することはないので、巻き上げることが可能なプラスチック製のフ
ィルム等も適用することができ、特に素材が限定されるものではない。ポリオレフィン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、EVA系樹脂、アクリル系樹脂等の汎用樹
脂フィルムが好ましく用いられるが、自然環境保護の観点から、植物繊維を素材とした巻
紙、並びに、PHB、PCL、PBS、及び、PLA等の生分解性プラスチックのフィル
ムであることがより好ましい。
【0081】
そして、被加熱芳香発生源とマウスピースとの境界面に、マウスピース内への被加熱芳香
発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を
防止するメッシュが備えられていることが、吸引によるこれら異物の口腔内への侵入及び
フィルター部材の目詰まり等を防止する上で更に好ましい。
【0082】
このメッシュとしては、被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落
物が生成する粉塵を遮断する大きさの開孔を有し、気体の通過を妨げない機能を有する構
造及び素材であれば限定されるものではない。しかし、例えば、麻及び木材等の植物繊維
、並びに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂。アクリル系樹
脂等の合成繊維を素材とする通気性に優れた織布及び不織布を用いることが好ましく、自
然環境保護という観点から、植物繊維、並びに、PHB、PCL、PBS、及び、PLA
等の生分解性プラスチック繊維を素材として用いたものであることが望ましい。
【0083】
また、被加熱芳香発生源のメッシュの反対側端部表面に、被加熱芳香発生基材、被加熱芳
香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵が、加熱式喫煙具チャンバー内へ脱落
及び飛散することを防止するカバーが備えられていることが、加熱式喫煙具の汚染及び故
障を防止する上で好ましい。特に、被加熱芳香発生源のメッシュの反対側端部は、加熱式
喫煙具の熱源が貫入されなければならないので、熱源挿通孔が設けられていることがより
好ましい。
【0084】
このカバーとしては、熱源挿通孔が設けられている場合、例えば、麻及び木材等の植物繊
維、並びに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂。アクリル系
樹脂等の合成繊維を素材とした織布及び不織布等を用いることができ、被加熱芳香発生基
材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵を遮断する大きさの開孔
を有し、気体の通過を妨げない機能を有する構造及び素材であれば限定されるものではな
い。自然環境保護という観点から、植物繊維又はPHB、PCL、PBS、PLA等の生
分解性プラスチック繊維を素材としていることが望ましい。しかし、熱源挿通孔がない場
合、熱源とカバーが僅かに接触するため、麻及び木材等の植物繊維を素材とする通気性に
優れた織布及び不織布を用いることが好ましい。
【0085】
このように本発明の筒状体の被加熱芳香カートリッジ外装部材で巻装される被加熱芳香カ
ートリッジは、被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入される被加熱芳香発生源以
外の空間をマウスピースとする場合も、被加熱芳香発生源とマウスピースとを、この被加
熱芳香カートリッジハウジング部材に装入し構設する場合も、被加熱芳香発生源及びマウ
スピース、並びに、マウスピースを構成する支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材
を交換することができるという特徴がある。従って、被加熱芳香カートリッジハウジング
部材を備えた被加熱芳香カートリッジは、様々な種類の被加熱芳香発生源を交換すること
によって様々な煙及び芳香を楽しめるだけでなく、支持部材、冷却部材、及び、フィルタ
ー部材が劣化するまで交換する必要がなく、経済性にも優れている。
【0086】
そして、本発明の筒状体の被加熱芳香カートリッジ外装部材で巻装される被加熱芳香カー
トリッジは、その筒状体の被加熱芳香カートリッジ外装部材として、筒状の巻物に仕上げ
ることが可能な被加熱芳香カートリッジラッピング部材を適用することが好ましい。この
理由は、被加熱芳香発生源、並びに、被加熱芳香発生源及びマウスピースが機械的に巻装
され、被加熱芳香カートリッジが構設されるので、被加熱芳香カートリッジの生産性が飛
躍的に高められるからである。
【0087】
このような被加熱芳香カートリッジラッピング部材は、典型的な例として、従来の紙巻き
タバコに使用されている麻及び木材等の植物繊維を素材とした巻紙を挙げることができる
が、紙巻きタバコと異なり、燃焼することはないので、巻き上げることが可能なプラスチ
ック製のフィルム等も適用することができ、特に素材が限定されるものではない。ポリオ
レフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、EVA系樹脂、アクリル系樹脂
等の汎用樹脂フィルムが好ましく用いられるが、自然環境保護の観点から、植物繊維を素
材とした巻紙、並びに、PHB、PCL、PBS、及び、PLA等の生分解性プラスチッ
クのフィルムであることがより好ましい。ただし、被加熱芳香カートリッジラッピング部
材として紙を採用し、それ単独でマウスピースとする場合は、紙を厚くする若しくは紙を
巻く回数を増やす必要がある。
【0088】
また、本発明の被加熱芳香カートリッジの筒状体の被加熱芳香カートリッジ外装部材を筒
状の筐体である被加熱芳香カートリッジハウジング部材とすることによって、新たな利点
を付与することもできる。この場合、被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入され
る被加熱芳香発生源以外の空間をマウスピースとする被加熱芳香カートリッジにしても、
被加熱芳香発生源とマウスピースとを、この被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装
入し構設する被加熱芳香カートリッジにしても、被加熱芳香カートリッジラッピング部材
のように巻き上げることがないので、被加熱芳香発生源及びマウスピース、並びに、マウ
スピースを構成する支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材を交換することが一層容
易になる。
【0089】
このような利点を十分に発揮するためには、被加熱芳香発生源及びマウスピース、並びに
、マウスピースを構成する支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材の装入及び抜出を
繰り返して行うことが可能な力学的強度及び低摩擦係数を有する構造及び素材の被加熱芳
香カートリッジハウジング部材が求められる。このハウジング部材の素材として紙を適用
した場合、力学的強度に相応する所望の厚さが必要であるが、プラスチック、木材、金属
、及び、セラミック等を適用する方が薄くできるので好ましい。また、筒状の筐体に成形
加工することも考慮すれば、紙よりも、プラスチック、木材、金属、及び、セラミック等
の方が好ましく、特に、成形加工性に優れたプラスチック製であることがより好ましい。
プラスチックとしては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル
系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル(
EVA)系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、ABS系樹脂、及び、生分解性プラ
スチック等が利用できるが、自然環境保護という観点から、PHB、PCL、PBS、P
LA等の生分解性プラスチックであることが望ましい。
【0090】
更に、本発明の被加熱芳香カートリッジの筒状体の被加熱芳香カートリッジ外装部材を、
少なくとも一箇所で着脱可能に接続されている被加熱芳香カートリッジコネクティング部
材とすることによって、種々の利点を有する被加熱芳香カートリッジを提供することが可
能となる。
【0091】
第一に、被加熱芳香カートリッジコネクティング部材を、被加熱芳香発生源を装入するこ
とができる被加熱芳香発生源コネクティング部とマウスピースを形成することができるマ
ウスピースコネクティング部とに分割し、被加熱芳香発生源を装入した被加熱芳香発生源
コネクティング部とマウスピースコネクティング部とを着脱可能に接続し構設することを
特徴とする被加熱芳香カートリッジを提供することができる。
【0092】
このような被加熱芳香カートリッジは、被加熱芳香カートリッジ外装部材が、被加熱芳香
カートリッジラッピング部材又は被加熱芳香カートリッジハウジング部材の場合よりも一
段と容易に、被加熱芳香発生源コネクティング部を取り外し、被加熱芳香発生源を自由自
在に交換することができるので、喫煙者の好みに応じた様々な芳香及び煙を楽しむことが
できるようになる。そして、被加熱芳香発生源コネクティング部を清掃し、何度でも使用
することができる。また、この形態の被加熱芳香カートリッジは、既に説明したように、
加熱式喫煙具を用いた被加熱芳香カートリッジの喫煙の場合、マウスピースは、喫煙者が
口にくわえて喫煙し易い筒状体であれば特に限定されることはないので、マウスピースコ
ネクティング部をマウスピースに適用するもので、マウスピースコネクティング部の構造
及び素材によって、唇や舌との触感に優れ、口にくわえ易いマウスピースを形成すること
ができる。更に、このマウスピースコネクティング部を、マウスピースを装入することが
できるマウスピースコネクティング部とすることによって、喫煙者の好みに合った様々な
マウスピースを取り付けることもできる。
【0093】
マウスピースコネクティング部に装入されるマウスピースも、既に説明した上記マウスピ
ースと同様の好ましい態様及び形態とすることができる。すなわち、支持部材、冷却部材
、及び、フィルター部材から選ばれる少なくとも一つを備えているマウスピース、支持部
材と冷却部材とを少なくとも備え、被加熱芳香発生源コネクティング部側から支持部材と
冷却部材とが長手方向にこの順で配備されているマウスピース、支持部材とフィルター部
材又は冷却部材とフィルター部材とを少なくとも備え、被加熱芳香発生源コネクティング
部側から支持部材とフィルター部材又は冷却部材とフィルター部材が長手方向にこの順で
配備されているマウスピース、並びに、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材を少
なくとも備え、被加熱芳香発生源コネクティング部側から支持部材、冷却部材、及び、フ
ィルター部材が長手方向にこの順で配備されているマウスピースである。この場合も、マ
ウスピースコネクティング部を取り外すことができるので、被加熱芳香カートリッジラッ
ピング部材又は被加熱芳香カートリッジハウジング部材の場合よりも一段と容易に、マウ
スピースの着脱が可能である。
【0094】
そして、このようなマウスピースコネクティング部に装入されるマウスピースについても
、マウスピースコネクティング部により装入され易くするため、支持部材、冷却部材、及
び、フィルター部材が、筒状の巻物であるマウスピースラッピング部材で巻装されている
ことが好ましい。この場合も、巻装される形態には、三通りの形態があり、第一は、支持
部材、冷却部材、及び、フィルター部材が、それぞれ個別にマウスピースラッピング部材
で巻装される形態、第二は、支持部材及び冷却部材、支持部材及びフィルター部材、並び
に、冷却部材及びフィルター部材をマウスピースラッピング部材で巻装して一体化する形
態、第三は、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材をマウスピースラッピング部材
で巻装して一体化する形態である。
【0095】
このように、マウスピースコネクティング部に装入されるマウスピースも、既に説明した
上記マウスピースと同様の好ましい態様及び形態であればよく、素材についても同様であ
るので、素材の説明を省略する。
【0096】
第二に、マウスピースコネクティング部が、支持部材が装入されている支持部材コネクテ
ィング部、冷却部材が装入されている冷却部材コネクティング部、及び、フィルター部材
が装入されているフィルター部材コネクティング部から選択される少なくとも二つのコネ
クティング部を備え、前記被加熱芳香発生源コネクティング部側から前記支持部材コネク
ティング部、前記冷却部材コネクティング部、及び、前記フィルター部材コネクティング
部から選択される少なくとも二つのコネクティング部が長手方向にこの順で配備され、そ
れぞれ着脱可能に接続されることを特徴とする被加熱芳香カートリッジを提供することが
できる。この場合は、支持部材コネクティング部、冷却部材コネクティング部、及び、フ
ィルター部材コネクティング部が、それぞれ着脱可能に接続されているので、支持部材、
冷却部材、及び、フィルター部材が、それぞれ個別にマウスピースラッピング部材で巻装
される必要がある。
【0097】
すなわち、この被加熱芳香カートリッジは、被加熱芳香発生源コネクティング部とマウス
ピースコネクティング部とが着脱可能に接続されており、更に、マウスピースコネクティ
ング部が、被加熱芳香発生源コネクティング部から支持部材が装入されている支持部材コ
ネクティング部と冷却部材が装入されている冷却部材コネクティング部とが長手方向にこ
の順に着脱可能に接続されている被加熱芳香カートリッジ、被加熱芳香発生源コネクティ
ング部から支持部材が装入されている支持部材コネクティング部とフィルター部材が装入
されているフィルター部材コネクティング部とが長手方向にこの順に着脱可能に接続され
ている被加熱芳香カートリッジ、被加熱芳香発生源コネクティング部から冷却部材が装入
されている冷却部材コネクティング部とフィルター部材が装入されているフィルター部材
コネクティング部とが長手方向にこの順に着脱可能に接続されている被加熱芳香カートリ
ッジ、被加熱芳香発生源コネクティング部から支持部材が装入されている支持部材コネク
ティング部と冷却部材が装入されている冷却部材コネクティング部とフィルター部材が装
入されているフィルター部材コネクティング部とが長手方向にこの順に着脱可能に接続さ
れている被加熱芳香カートリッジの少なくとも4種類を提供することができる。
【0098】
この被加熱芳香カートリッジの形態は、被加熱芳香発生源コネクティング部とマウスピー
スコネクティング部とが、着脱可能に接続されているだけでなく、支持部材コネクティン
グ部、冷却部材コネクティング部、及び、フィルター部材コネクティング部が、それぞれ
着脱可能に接続されているので、喫煙者の好みに応じたマウスピースとすることができる
だけでなく、それぞれの清掃が容易に行え、消耗したものだけを取り換えることができ経
済的である。
【0099】
第三に、被加熱芳香発生源コネクティング部が、被加熱芳香発生源コネクティング部とマ
ウスピースコネクティング部とを接続した際の、被加熱芳香発生源とマウスピースとの間
に、マウスピースコネクティング部内への被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩
落物、及び、その崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を防止するメッシュを備えている
ことを特徴とする被加熱芳香カートリッジを提供することができる。
【0100】
また、被加熱芳香発生源コネクティング部のマウスピースコネクティング部の反対側端部
表面に、被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、その崩落物が生成す
る粉塵の加熱式喫煙具チャンバー内への脱落及び飛散を防止するカバーが備えられている
ことを特徴とする被加熱芳香カートリッジを提供することができる。特に、このカバーに
は、加熱式喫煙具の熱源挿通孔が設けられていることが好ましい。
【0101】
更に、被加熱芳香発生源コネクティング部に上記メッシュとカバーを兼ね備えていること
を特徴とする被加熱芳香カートリッジも提供することができる。
【0102】
このように、被加熱芳香発生源コネクティング部にメッシュ及び/又はカバーが備えられ
ていることによって、これら本来の機能を果たすだけでなく、被加熱芳香発生源コネクテ
ィング部にはみ出ることなく容易に被加熱芳香発生源を装入することができる。特に、メ
ッシュ及びカバーは、被加熱芳香発生源の出し入れが容易にできるように着脱可能である
ことが好ましい。
【0103】
コネクティング部材は着脱を繰り返すため、紙では耐久性に乏しいため、力学的強度に優
れた、プラスチック、木材、金属、及び、セラミック等を適用することが好ましい。また
、筒状筐体や嵌合部に成形加工することも考慮すれば、プラスチック、木材、金属、及び
、セラミック等が好ましく、特に、成形加工性に優れたプラスチック製であることがより
好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよ
く、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂
、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢
酸ビニル(EVA)系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、ABS系樹脂、及び、生
分解性プラスチック等が利用できるが、自然環境保護という観点から、PHB、PCL、
PBS、PLA等の生分解性プラスチックであることが望ましい。
【0104】
以上説明した各コネクティング部、並びに、メッシュ及びカバーの着脱方式は、特に限定
されないが、嵌合(fitting)、螺合(screwing)、歯合(meshin
g)、及び、掛合(hooking)のいずれかであることが好ましい。また、接続の形
態にかかわらず磁力を用いても着脱が容易で好ましい。
【0105】
以上、本発明の被加熱芳香発生基材、その集合体である被加熱芳香発生源、その集合体が
被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源、及び、被加熱芳
香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジについて説明してきた。しかし、本発明の根幹
をなす技術は、被加熱芳香カートリッジに備えられる被加熱芳香発生源を構成する被加熱
芳香発生基材内に、芳香源材及び/又は芳香剤を含む熱融解物質、すなわち、芳香性熱融
解粉末が均一に分散された相分離構造を有することにあり、これは、本発明の被加熱芳香
発生基材を製造する方法に基づくものである。特に、本発明の被加熱芳香発生基材は、芳
香源材、エアロゾルフォーマ、熱融解物質を少なくとも含み、芳香源材が溶解しない材料
であり、エアロゾルフォーマと熱融解物質とは全く異なる化学的性質を有しているため、
これらの材料特性に適した次のような製造方法が好ましいことを見出した。以下、本発明
の被加熱芳香発生基材の製造方法について詳説する。
【0106】
本発明の被加熱芳香基材の基本となる製造方法は、芳香源材及び/又は芳香剤と熱融解
物質とを混合する混合粉末製造工程(A-I)、繊維植物からセルロース繊維を製造する
セルロース繊維製造工程(B)、エアロゾルフォーマ、芳香剤、成形剤、結合剤、保存剤
、及び、水から選択される所望の材料を準備する材料準備工程(C-I)、並びに、混合
粉末製造工程(A-I)、セルロース繊維製造工程(B)、及び、材料準備工程(C-I
)で製造された材料から被加熱芳香発生基材を製造する被加熱芳香発生基材製造工程(D
)からなることを特徴とする被加熱芳香発生基材の製造方法である。
【0107】
更に詳しくは、混合粉末製造工程(A-I)が、芳香源材を乾燥・殺虫する乾燥・殺虫
工程(A-1)、乾燥・殺虫工程(A-1)で製造された芳香源材を粉砕する粉砕工程(
A-2)、熱融解物質を粉砕する粉砕工程(A-5)、粉砕工程(A-2)で製造された
粉砕物と、又は、粉砕工程(A-2)で製造された粉砕物及び芳香剤と、粉砕工程(A-
5)で製造された粉砕物とを圧縮・剪断して混合する圧縮・剪断混合工程(A-6)、圧
縮・剪断混合工程(A-6)で製造された混合物を0℃以下に冷却する冷却工程(A-7
)、及び、冷却工程(A-7)で冷却された混合物を粉砕する粉砕工程(A-8)の各工
程を含み、芳香源材/熱融解物質混合粉末が製造されることを特徴としている。また、セ
ルロース繊維製造工程(B)は、繊維植物を圧搾する圧搾工程(B-1)、圧搾工程(B
-1)を経た繊維植物を粉砕する粉砕工程(B-2)、粉砕工程(B-2)で製造された
粉砕物を煮沸する煮沸工程(B-3)、煮沸工程(B-3)で製造された煮沸物を脱水・
乾燥する脱水・乾燥工程(B-4)、及び、脱水・乾燥工程(B-4)で製造された乾燥
物を粉砕する粉砕工程(B-5)からなり、セルロース繊維が製造される。そして、被加
熱芳香発生基材製造工程(D)が、混合粉末製造工程(A-I)、セルロース繊維製造工
程(B)、及び、材料準備工程(C-I)で製造された材料を混合する混合工程(D-1
)、混合工程(D-1)で製造された混合物を圧縮・剪断加工してシートに成形する圧縮
・剪断加工工程(D-2)、及び、圧縮・剪断加工工程(D-2)で製造されたシートを
裁断する裁断工程(D-3)を含み、被加熱芳香発生基材が製造される。
【0108】
特に、芳香剤を熱融解物質に含有させる場合、芳香剤を熱融解物質に均一に存在させるた
め、次のような製造方法を採用することが好ましい。すなわち、芳香源材、芳香剤、及び
、熱融解物質を混合する混合粉末製造工程(A-II)、繊維植物からセルロース繊維を
製造するセルロース繊維製造工程(B)、エアロゾルフォーマ、成形剤、結合剤、保存剤
、及び、水から選択される所望の材料を準備する材料準備工程(C-II)、並びに、混
合粉末製造工程(A-II)、前記セルロース繊維製造工程(B)、及び、材料準備工程
(C-II)で製造された材料から被加熱芳香発生基材を製造する被加熱芳香発生基材製
造工程(D)の各工程を含み、混合粉末製造工程(A-II)に特徴を有する。
【0109】
すなわち、この混合粉末製造工程(A-II)は、芳香源材を乾燥・殺虫する乾燥・殺虫
工程(A-1)、乾燥・殺虫工程(A-1)で製造された芳香源材を粉砕する粉砕工程(
A-2)、熱融解物質と芳香剤を熱融解物質の融解温度以上の温度で混合する混合工程(
A-3)、混合工程(A-3)で製造された混合物を0℃以下に冷却する冷却工程(A-
4)、冷却工程(A-4)で冷却された混合物を粉砕する粉砕工程(A-5)、粉砕工程
(A-2)で製造された粉砕物と前記粉砕工程(A-5)で製造された粉砕物を圧縮・剪
断して混合する圧縮・剪断混合工程(A-6)、圧縮・剪断混合工程(A-6)で製造さ
れた混合物を0℃以下に冷却する冷却工程(A-7)、及び、冷却工程(A-7)で冷却
された混合物を粉砕する粉砕工程(A-8)を含むことを特徴としており、芳香源材/芳
香剤/熱融解物質混合粉末が製造される。しかし、セルロース繊維製造工程(B)は、上
記セルロース繊維製造工程と全く変わりなく、そして、被加熱芳香発生基材製造工程(D
)も、材料が異なるだけで、基本的な工程に変わりなく、混合粉末製造工程(A-II)
、セルロース繊維製造工程(B)、及び、材料準備工程(C-II)で製造された材料を
混合する混合工程(D-1)、混合工程(D-1)で製造された混合物を圧縮・剪断加工
してシートに成形する圧縮・剪断加工工程(D-2)、及び、圧縮・剪断加工工程(D-
2)で製造されたシートを裁断する裁断工程(D-3)を含む被加熱芳香発生基材の製造
方法である。
【0110】
このように、混合粉末製造工程(A-II)において、熱融解物質と芳香剤を熱融解物質
の融解温度以上の温度で混合する混合工程(A-3)、混合工程(A-3)で製造された
混合物を0℃以下に冷却する冷却工程(A-4)、及び、冷却工程(A-4)で冷却され
た混合物を粉砕する粉砕工程(A-5)を経由することによって、芳香剤を熱融解物質に
確実に存在させることができ、芳香剤の固定、収着、及び、その芳香成分の発生という熱
融解物質の機能を十分に発現させることができる。
【0111】
上記不均質被加熱芳香発生基材製造工程(D)は、圧縮・剪断加工工程(D-2)
による不均質被加熱芳香発生基材のシートを製造する方法であるが、この方法に限定され
るものではない。次のような紙の製造工程を利用したキャスト加工工程(D’-2)を適
用することも可能である。
【0112】
すなわち、被加熱芳香発生基材製造工程(D)が、混合粉末製造工程(A-I)又は(
A-II)、セルロース繊維製造工程(B)、及び、材料準備工程(C-I)又は(C-
II)で製造された材料を混合してスラリーを製造するスラリー製造工程(D’-1)、
スラリー製造工程(D’-1)で製造されたスラリーを抄紙、圧縮、及び、乾燥してシー
トに成形するキャスト加工工程(D’-2)、並びに、キャスト加工工程(D’-2)で
製造された前記シートを裁断する裁断工程(D-3)からなることを特徴としている。
【0113】
ただし、被加熱芳香発生基材製造工程(D)で注意しなければならないのは、圧縮・剪断
加工工程を経由するにしても、キャスト加工工程を経由するにしても、熱融解物質の融点
以上の温度をかけることはできないことである。芳香源材及び/又は芳香剤を含む芳香性
熱融解粉末が、被加熱芳香発生基材中に分散した相分離構造が破壊されるためである。
【0114】
上述したいずれの製造方法から製造された被加熱芳香発生基材も、芳香源材及び/又は
芳香剤を熱融解物質に含む芳香性熱融解粉末が被加熱芳香発生基材に分散されており、相
分離構造が形成されていることを特徴とする被加熱芳香発生基材であり、その芳香性熱融
解粉末の最小外径は、125~355μmであることが好ましく、150~300μmで
あることがより好ましく、180~250μmであることがより更に好ましい。この最小
外径は、芳香性熱融解物質の熱溶融性及び均一分散性によって決定され、粉砕された芳香
源材及び芳香剤を含む熱融解物質を篩にかけて選別される。芳香性熱融解粉末の外径が大
きすぎると、その総表面積が小さくなり、熱源との接触機会が減少して、熱融解物質の溶
融が不十分で、芳香成分の揮発量が低減する。一方、芳香性熱融解粉末の外径が小さすぎ
ると、その粉末が被加熱芳香発生基材に均一に分散した海島構造を形成することが困難で
、その粉末が凝集した塊状物として存在するため、熱源との接触による融解速度が低下す
る領域ができ、芳香成分の揮発量が低減する。
【発明の効果】
【0115】
芳香源材及び/又は芳香剤が熱融解物質に混入された芳香性熱融解粉末を均一に分散さ
せた相分離構造を有する、被加熱芳香カートリッジに備えられる被加熱芳香発生源を形成
する被加熱芳香発生基材により、煙成分となるエアロゾルフォーマ、並びに、芳香成分と
なるタバコ植物、非タバコ植物、及び、芳香剤から、これらの揮発物が十分に発生し、喫
煙者が煙及び芳香を満足して楽しむことができる被加熱芳香カートリッジが提供できるよ
うになった。
【0116】
これは、第1に、芳香源材及び/又は芳香剤とエアロゾルフォーマと相分離することによ
って、それぞれが、熱源と接触することによって揮発し易くなるという効果に基づくもの
である。特に、熱源によって芳香成分を揮発する芳香源材及び/又は芳香剤を熱融解物質
に偏在させることによって、被加熱芳香発生基材全体に存在する場合よりも、芳香源材及
び/又は芳香剤の濃度が局所的に高くなり、熱源との接触により効率よく芳香成分を揮発
する効果を奏するためである。第2に、熱融解物質の熱流動性が高いことによって、その
中に生成する芳香源材及び/又は芳香剤の揮発成分が、エアロゾルフォーマと共に、被加
熱芳香発生基材表面に移動して揮発が促進されるという効果によるものである。第3に、
グリセリンやプロピレングリコール等のようなエアロゾルフォーマよりも、蝋やワックス
等の熱融解物質の方が、芳香成分との相互作用が弱いため、芳香成分が熱融解物質から放
出されやすいという効果に基づいている。
【0117】
一方、熱融解物質は、芳香源材及び/又は芳香剤を常温で確実に固定でき、エアロゾルフ
ォーマと相分離して形成された被加熱芳香発生基材の構造を安定して維持することができ
るという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1-I】本発明の一実施形態に係る、芳香源材を混合した熱融解物質が分散した被加熱芳香発生基材の圧縮・剪断成形加工を用いた製造方法を示す製造工程概略図である。
【
図1-II】本発明の一実施形態に係る、芳香源材及び芳香剤を混合した熱融解物質が分散した被加熱芳香発生基材の圧縮・剪断成形加工を用いた製造方法を示す製造工程概略図である。
【
図1-III】本発明の一実施形態に係る、熱融解物質の融点以上で芳香源材及び芳香剤を混合した熱融解物質が分散した被加熱芳香発生基材の圧縮・剪断成形加工を用いた製造方法を示す製造工程概略図である。
【
図1-IV】本発明の一実施形態に係る、芳香源材及び芳香剤を混合した熱融解物質が分散した被加熱芳香発生基材のキャスト加工を用いた製造方法を示す製造工程概略図である。
【
図2-I】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生源とマウスピースとが長手方向に着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されて構設されているラッピング型被加熱芳香カートリッジの概観を示す斜視模式図である。
【
図2-II】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生源とマウスピースとが長手方向に着接され、被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジの概観を示す斜視模式図である。
【
図2-III-1】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香発生源が装入され雌ねじを備える被加熱芳香発生源コネクティング部(1)とマウスピースが装入され雄ねじを備えるマウスピースコネクティング部(2)とが嵌合され構設されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジ(3)の概観を示す斜視模式図である。
【
図2-III-2】本発明のコネクティング型被加熱芳香カートリッジに適用できる、代表的な4種の被加熱芳香発生源コネクティング部の概観を示す斜視模式図である。(a)は、雌ねじを備えている巻装するだけの被加熱芳香発生源コネクティング部である。(b)は、(a)に被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、その崩落物が生成する粉塵のマウスピース内への脱落及び飛散を防止するメッシュが更に備えられている被加熱芳香発生源コネクティング部である。(c)は、(b)に被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、その崩落物が生成する粉塵の加熱式喫煙具チャンバー内への脱落及び飛散を防止するカバーが更に備えられている被加熱芳香発生源コネクティング部である。(d)は、(c)のカバーに熱源挿通孔が更に設けられる被加熱芳香発生源コネクティング部である。
【
図3-I-A】本発明の一実施形態に係る、
図2-Iにおいて、被加熱芳香発生源とフィルター部材が備えられているマウスピースとが長手方向に着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材で巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源とフィルター部材がマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースとが長手方向に着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源とフィルター部材であるマウスピースとが、被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュを介し長手方向に着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-I-B】本発明の一実施形態に係る、
図2-Iにおいて、被加熱芳香発生源に、支持部材とフィルター部材とが長手方向に着接され備えられているマウスピースの支持部材が着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材で巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源に、支持部材とフィルター部材とが長手方向に着接されマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材が着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源に、被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュを介し、支持部材とフィルター部材とがこの順で長手方向に着接されると共に、マウスピースの反対方向の被加熱芳香発生源端部に被加熱芳香カートリッジラッピング部用カバーを備え、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-I-C】本発明の一実施形態に係る、
図2-Iにおいて、被加熱芳香発生源に、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順に長手方向に着接されているマウスピースの支持部材が着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材で巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源に、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順で長手方向に着接され、マウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材が着接され、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源に、被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュを介し支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順で長手方向に着接されると共に、マウスピースの反対方向の被加熱芳香発生源端部に熱源挿通孔が設けられている被加熱芳香カートリッジラッピング部用カバーを備え、被加熱芳香カートリッジラッピング部材を用いて巻装されているラッピング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-II-A】本発明の一実施形態に係る、
図2-IIにおいて、被加熱芳香発生源とフィルター部材が備えられているマウスピースとが長手方向に着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源とフィルター部材がマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースとが長手方向に着接されように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源とフィルター部材であるマウスピースとが、被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュを介し長手方向に着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-II-B】本発明の一実施形態に係る、
図2-IIにおいて、被加熱芳香発生源に、支持部材とフィルター部材とがこの順で長手方向に着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源に、支持部材とフィルター部材とが長手方向に着接されマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材が着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源に、被加熱芳香カートリッジハウジング部用メッシュを介し、支持部材とフィルター部材とがこの順で長手方向に着接されると共に、マウスピースの反対方向の被加熱芳香発生源端部に被加熱芳香カートリッジハウジング部用カバーを備え、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-II-C】本発明の一実施形態に係る、
図2-IIにおいて、被加熱芳香発生源に、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順で長手方向に着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源に、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順で長手方向に着接されマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材が着接されるように、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材である被加熱芳香発生源に、被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュを介し、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がこの順で長手方向に着接されると共に、マウスピースの反対方向の被加熱芳香発生源端部に熱源挿通孔が設けられている被加熱芳香カートリッジハウジング部用カバーを備え、それぞれが被加熱芳香カートリッジハウジング部材に装入されているハウジング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-III-A】本発明の一実施形態に係る、
図2-III-1において、被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部の雌ねじとマウスピースが装入されているマウスピースコネクティング部の雄ねじとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す斜視模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部(I)(
図2-III-2(a))の雌ネジと、フィルター部材がマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースが装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部用メッシュが備えられている被加熱芳香発生源コネクティング部(II)(
図2-III-2(b))の雌ネジと、フィルター部材が装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されるコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-III-B】本発明の一実施形態に係る、
図2-III-1において、被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部の雌ねじと、支持部材とフィルター部材とがマウスピースコネクティング部の雄ネジ側からこの順で長手方向に着接されるように、それぞれが装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す斜視模式図である。(a)は、 被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部の雌ネジと、支持部材とフィルター部材とが長手方向に着接されマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材がマウスピースコネクティング部の雄ネジ側に配置されるように装入されるマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部用のメッシュとカバーが備えられている被加熱芳香発生源コネクティング部(III)(
図2-III-2(c))の雌ネジと、支持部材とフィルター部材とがマウスピースコネクティング部の雄ネジ側からこの順で長手方向に着接され装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図3-III-C】本発明の一実施形態に係る、
図2-III-1において、被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部の雌ねじと、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がマウスピースコネクティング部の雄ネジ側からこの順で長手方向に着接されるように、それぞれが装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合され構設されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジのX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す斜視模式図である。(a)は、被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部の雌ネジと、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材が長手方向にこの順で着接されマウスピースラッピング部材で巻装されているマウスピースの支持部材がマウスピースコネクティング部の雄ネジ側に配置されるように装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。(b)は、被加熱芳香発生基材が装入されている被加熱芳香発生源コネクティング部用のメッシュと熱源挿通孔が設けられているカバーを備えている被加熱芳香発生源コネクティング部(IV)(
図2-III-2(d))の雌ネジと、支持部材、冷却部材、及び、フィルター部材がマウスピースコネクティング部の雄ネジ側からこの順で長手方向に着接されるように装入されているマウスピースコネクティング部の雄ネジとが嵌合されているコネクティング型被加熱芳香カートリッジである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、四角柱状に裁断された被加熱芳香発生基材が被加熱芳香発生基材ラッピング部材で巻装されている被加熱芳香発生源のX(長手)方向に垂直な切断面の概観を示す模式図である。
【
図5-I】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香カートリッジに取り付けられる支持部材をX(長手)方向に垂直なYZ切断面の概観を示す模式図である。この支持部材は、
図3-I-B及びC、
図3-II-B及びC、並びに、
図3-III-B及びCにおいて、X方向が、紙面と平行で紙面左右方向に、Y方向が、紙面と平行で紙面上下方向に、Z方向が、紙面と直交する方向になるように配置されている。
【
図5-II】本発明の一実施形態に係る、被加熱芳香カートリッジに取り付けられる支持部材をY(半径)方向に垂直なXZ切断面の概観を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る
図3-I-C(a)に示すラッピング型被加熱芳香カートリッジが装着された加熱式喫煙具のX
1-X
2線を通る切断面の概観を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下、実施形態を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であ
り、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0120】
まず、本発明の根幹である、被加熱芳香カートリッジに備えられる被加熱芳香発生源を
構成する被加熱芳香発生基材内に、芳香源材及び/又は芳香剤が熱融解物質に混入された
芳香性熱融解粉末が均一に分散された相分離構造によってもたらされる効果を具体的に説
明するため、実施例1~4及び比較例を行った。
≪実施例1≫
【0121】
芳香源材として、紅茶、コンニャク紛、モクセイ花、及び、アマチャヅル、エアロゾルフ
ォーマとして、グリセリン及びプロピレングリコオール、熱融解物質として、パラフィン
ワックスワックス(日本精蝋(株)製Paraffin Wax-145、石油系天然ワ
ックス、融点63℃)、芳香剤として、ハッカ油及びメントール、結合剤として、CMC
のナトリウム塩、サトウキビ繊維、収着剤として、架橋PVP及びβ-シクロデキストリ
ン、抗菌剤として、ソルビン酸カリウム及び安息香酸ナトリウムを下記のような配合比で
使用して被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発生源、被加熱芳香カートリッジを作製し、市
販されている加熱式喫煙具に装着し、被加熱芳香カートリッジ愛好者10名が被験者とな
り、煙及び芳香の官能試験を行った。なお、純水は成形加工に必要なために組成物として
添加しているが、芳香発生源まで成形加工した後乾燥され除去された。
芳香源材 65質量% 100質量部
紅茶
コンニャク紛
モクセイ花
アマチャヅル
エアロゾルフォーマ 25質量%
グリセリン
プロピレングリコオール
熱融解物質 パラフィンワックス 10質量%
芳香剤 15質量部
ハッカ油
メントール
結合剤 23質量部
CMCのナトリウム塩
サトウキビ繊維
収着剤 21質量部
架橋PVP
β-シクロデキストリン
保存剤 0.005質量部
ソルビン酸カリウム
安息香酸ナトリウム
純水 20質量部
【0122】
被加熱芳香発生基材は、
図1-Iに示すように、芳香源材及び熱融解物質を常温混合する
混合粉末製造工程(A-I)、繊維植物からセルロース繊維を製造するセルロース繊維製
造工程(B)、エアロゾルフォーマ、芳香剤、成形剤、結合剤、保存剤、及び、水を準備
する材料準備工程(C-I)、混合粉末製造工程(A-I)、セルロース繊維製造工程(
B)、及び、材料準備工程(C-I)で製造された材料から圧縮・剪断加工を用いた被加
熱芳香発生基材を製造する被加熱芳香発生基材製造工程(D)に従って製造された。
【0123】
より詳しく説明すると、芳香源材及び熱融解物質を混合する混合粉末製造工程(A-I)
は、芳香源材を乾燥・殺虫する乾燥・殺虫工程(A-1)、乾燥・殺虫工程(A-1)で
製造された芳香源材を粉砕する粉砕工程(A-2)、熱融解物質を粉砕する粉砕工程(A
-5)、粉砕工程(A-2)で製造された芳香源材粉砕物と粉砕工程(A-5)で製造さ
れた熱融解物質粉砕物をヘンシェルミキサーで粗混合した後、圧縮・剪断して混合する圧
縮・剪断混合工程(A-6)、圧縮・剪断混合工程(A-6)で製造された混合物を0℃
以下に冷却する冷却工程(A-7)、及び、冷却工程(A-7)で冷却された混合物を粉
砕する粉砕工程(A-8)とからなり、この工程に従って熱融解物質に芳香源材粉末が分
散された芳香性熱融解粉末が製造された。このようにして製造された芳香性熱融解粉末は
、80メッシュの篩にかけ、粉末の最小外径が約250μmのものを選別して使用した。
【0124】
また、繊維植物からセルロース繊維を製造するセルロース繊維製造工程(B)は、サトウ
キビを繊維植物として用い、これを圧搾する圧搾工程(B-1)、圧搾工程(B-1)を
経た繊維植物を粉砕する粉砕工程(B-2)、粉砕工程(B-2)で製造された粉砕物を
煮沸する煮沸工程(B-3)、煮沸工程(B-3)で製造された煮沸物を脱水・乾燥する
脱水・乾燥工程(B-4)、及び、脱水・乾燥工程(B-4)で製造された乾燥物を粉砕
する粉砕工程(B-5)からなり、これらの工程に従って結合剤の一つであるサトウキビ
繊維が製造された。
【0125】
このようにして得られた材料及び材料準備工程(C-I)で準備された材料から、被加熱
芳香発生基材製造工程(D)に従って芳香性熱融解粉末が分散した被加熱芳香発生基材が
製造された。すなわち、混合粉末製造工程(A-I)で製造された芳香性熱融解粉末、セ
ルロース繊維製造工程(B)で製造されたサトウキビ繊維、並びに、材料準備工程(C-
I)で準備されたエアロゾルフォーマ、芳香剤、結合剤の一つであるCMCのナトリウム
塩、収着剤、保存剤、及び、純水を、混合工程(D-1)でニーダーにより混合した後、
その組成物は、3本ロールを用いてシートに成形する圧縮・剪断工程(D-2)で、シー
トの厚さが0.28±0.02mmとなるように成形された。この圧縮・剪断工程(D-
2)はパラフィンワックスの融点以下で行われた。このようにして成形されたシートは、
シートを裁断する裁断工程(D-3)で、幅1.5±0.1mm、長さ約240mmとな
るように裁断された後、所定量の充填率となるように紙巻きされた。次いで、紙巻きされ
た被加熱芳香発生基材を、長さ11.5~12.0mmとなるように断裁した後乾燥する
ことによって、被加熱芳香発生源が製造された。
【0126】
このようにして製造された被加熱芳香発生源は、ヒーターによるブレード型熱源を備え
た加熱式喫煙具を用いた喫煙による官能試験を実施するため、二種の被加熱芳香カートリ
ッジが製造された。
【0127】
一方は、
図3-III-Bに示すように、本実施形態で製造された被加熱芳香発生基材集
合体1121を被加熱芳香発生基材ラッピング部材112で巻装した被加熱芳香発生源1
10が、被加熱芳香発生源コネクティング部用嵌合雌ネジ10311を備えた被加熱芳香
発生源コネクティング部(I)1031Aに装着される一方、支持部材123とフィルタ
ー部材122とを長手方向に着接して、マウスピースラッピング部材121で巻装された
支持部材付きフィルターマウスピース120-B1が、マウスピースコネクティング部用
嵌合雄ネジ10321を備えたマウスピースコネクティング部1032に装着された後、
これら被加熱芳香カートリッジコネクティング部材(A)103Aが嵌合され、支持部材
付きフィルターマウスピースを備えたコネクティング型被加熱芳香カートリッジ(B)
1
00-III-B(a)とした。
【0128】
他方は、
図3-III-Cに示すように、本実施形態で製造された被加熱芳香発生基材集
合体1121を被加熱芳香発生基材ラッピング部材112で巻装した被加熱芳香発生源1
10が、被加熱芳香発生源コネクティング部用嵌合雌ネジ10311を備えた被加熱芳香
発生源コネクティング部(I)1031Aに装着される一方、支持部材123、冷却部材
124、及び、フィルター部材122が長手方向にこの順で着接して、マウスピースラッ
ピング部材121で巻装された支持・冷却部材付きフィルターマウスピース120-C1
が、マウスピースコネクティング部用嵌合雄ネジ10321を備えたマウスピースコネク
ティング部1032に装着された後、これら被加熱芳香カートリッジコネクティング部材
(A)103Aが嵌合され、支持・冷却部材付きフィルターマウスピースを備えたコネク
ティング型被加熱芳香カートリッジ(C)
100-III-C(a)とした。
【0129】
なお、ここで用いた支持部材123は、被加熱芳香発生源110の吸引方向への移動を
防止すると共に、加熱された被加熱芳香発生源110から発生する揮発物を冷却する機能
があり、一例として、
図5-I及びIIに示す構造の支持部材123を使用した。その支
持部材中心部1231は、上記両コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-II
I-B(a)及び
100-III-C(a)のX方向の中心軸に沿って位置し、その支持
部材中心部1231を対象の中心として、半径方向に拡がった第一の支持部材周辺部12
32Aと第二の支持部材周辺部1232Bとが支持部材周辺部1232を形成している。
そして、これら第一の支持部材周辺部1232Aと第二の支持部材周辺部1232Bとが
対峙する間にできる空間が気体流路1233となる。この支持部材周辺部1232の最外
周部が、接着剤を介してマウスピースラッピング部材121に巻き込まれ、その内面に固
定されている。
【0130】
また、被加熱芳香発生源110の内部構造を、被加熱芳香発生基材112が被加熱芳香
発生基材ラッピング部材111上の長手方向に載置されて巻き上げられ、被加熱芳香発生
基材集合体1121が被加熱芳香発生基材ラッピング部材111で巻装された被加熱芳香
発生源110を例に挙げて説明する。
図4に、その断面の概略模式図を示す。被加熱芳香
発生基材112が集合すると、被加熱芳香発生基材凝集体112Aが多数形成されること
によって、その凝集体112A内に被加熱芳香発生基材112の位置ずれが作る一次凝集
体流路112B、凝集体112A間に生じる二次凝集体流路112C、及び、被加熱芳香
発生基材112と被加熱芳香発生基材ラッピング部材111との空間である基材-ラッピ
ング部材気体流路112D等の気体流路が生成されるため、加熱して発生する揮発物は、
これらの気体流路を通過して、喫煙者が安定した気流で芳香及び煙を吸引することができ
る。後述する本発明の被加熱芳香カートリッジの被加熱芳香発生源は、全て、これに類似
した内部構造を形成している。角柱状に細断された被加熱芳香発生源111が、所定数束
ねられた状態で被加熱芳香発生源110を形成しているので、加熱して発生する揮発物を
、喫煙者が安定した気流で吸引することができる。
【0131】
官能試験は、被験者である喫煙者が上記二種のコネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-B(a)及び
100-III-C(a)を使用して次のように喫煙して
評価した。
図6に示すように、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III
-C(a)が加熱式喫煙具
200のボディー201に形成されたチャンバー202に装着
されると共に、チャンバー202の底の中央部に設けられた熱源203が、被加熱芳香発
生源110に突き刺さり、被加熱芳香発生源110が電子制御された加熱が行われ、喫煙
することができる。コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-B(a)
も同様に使用して官能試験を行った。
【0132】
比較例としては、上記被加熱芳香発生基材の組成物において、パラフィンワックスを含
まないこと以外は全く同様の組成物とし、芳香源材の乾燥・殺虫工程(A-1)及び粉砕
工程(A-2)で製造された芳香源材粉砕物を、被加熱芳香発生基材製造工程(D)の混
合工程(D-1)に投入することを除き、実施例1と同様にして二種の被加熱芳香カート
リッジが製造された。そして、実施例1と同様に官能試験を行った。
【0133】
その結果、被験者10名のうち8名以上が、どちらの被加熱芳香カートリッジについても
、比較例と比べて、実施例1の方が煙及び芳香共に、強くしかも心地よく喫煙できたとい
う結果が得られた。このことから明らかなように、芳香源材を熱融解物質に偏在させる効
果が認められた。以下、この基準を満足した場合に合格とした。
≪実施例2≫
【0134】
実施例1と全く同様の組成物で、
図1-IIの製造方法により、被加熱芳香発生基材が
製造されたこと以外は、実施例1と同様に、被加熱芳香発生源、そして、被加熱芳香カー
トリッジが製造された。
図1-IIの製造方法は、芳香源材粉砕物、熱融解物質粉砕物、
及び、芳香剤を混合して、芳香源材と芳香剤を含む芳香性熱融解粉体を製造することに特
徴があり、実施例1と同様、圧縮・剪断工程(D-2)はパラフィンワックスの融点以下
で行われた。実施例1と同様に、官能試験を行った結果、合格であったが、この場合は、
被験者10名全員が、比較例よりも、煙及び芳香共に、強くしかも心地よく喫煙できたと
いう結果が得られ、芳香剤を熱融解物質に偏在させる効果が認められた。
≪実施例3≫
【0135】
実施例1と全く同様の組成物で、
図1-IIIの製造方法により、被加熱芳香発生基材が
製造されたこと以外は、実施例1と同様に、被加熱芳香発生源、そして、被加熱芳香カー
トリッジが製造された。
図1-IIIの製造方法は、芳香剤を熱融解物質の融点以上で混
合することに特徴があり、芳香剤を熱融解物質に混合する際の操作上の課題を解決するも
のである。この場合も、実施例1と同様、圧縮・剪断工程(D-2)はパラフィンワック
スの融点以下で行われた。官能試験の結果は、実施例2と同様であり、合格であった。
≪実施例4≫
【0136】
実施例1と全く同様の組成物で、
図1-IVの製造方法により、被加熱芳香発生基材が製
造されたこと以外は、実施例1と同様に、被加熱芳香発生源、そして、被加熱芳香カート
リッジが製造された。
図1-IVの製造方法は、被加熱芳香発生基材製造工程において、
紙の製造工程を利用した、スラリー製造工程(D’-1)及びキャスト加工工程(D’-
2)を適用したことに特徴がある。このスラリー製造工程(D’-1)及びキャスト加工
工程(D’-2)も、圧縮・剪断工程(D-2)同様、パラフィンワックスの融点以下で
行われた。この製造方法においても、実施例2と同様の官能試験の結果が得られた。
【0137】
以上、本発明の被加熱芳香発生基材の特徴に基づく効果を具体的に説明してきたが、次い
で、この被加熱芳香発生基材を用いた本発明の被加熱芳香発生源、そして、この被加熱芳
香発生源を用いた被加熱芳香カートリッジについて、図を用いて詳しく説明する。ただし
、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変
更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定
されるものである。
【0138】
被加熱芳香発生源110は、
図3-I-A~
図3-III-Cの各(b)に示すように、
実施例1~4で製造した被加熱芳香発生基材112の少なくとも集合体1121であれば
よく、本実施形態では、被加熱芳香カートリッジの筒状体である被加熱芳香カートリッジ
外装部材、すなわち、筒状の巻物である被加熱芳香カートリッジラッピング部材101、
筒状の筐体である被加熱芳香カートリッジハウジング部材102、少なくとも一箇所で着
脱可能に接続される筒状の筐体である被加熱芳香カートリッジコネクティング部材103
に装入されているものを例示している。これら被加熱芳香カートリッジ外装部材について
は、被加熱芳香カートリッジにおいて詳説する。
【0139】
また、被加熱芳香発生源110は、
図3-I-A~
図3-III-Cの各(a)に示すよ
うに、実施例1~4で製造した被加熱芳香発生基材112の集合体1121が、筒状の巻
物である被加熱芳香発生基材ラッピング部材111で巻装されていてもよい。この被加熱
芳香発生基材ラッピング部材111の素材は、筒状の巻物にすることができれば、特に素
材は限定されないが、本実施形態では、薄い紙及びプラスチックフィルムを例示している
。
【0140】
被加熱芳香発生源110を構成する被加熱芳香発生基材112の形状も、シート状、円柱
状、角柱状、粒状、鱗片状等、特に限定されないが、芳香及び煙の流路を確保する観点か
ら円柱状又は角柱状が好ましい。本実施形態では、例えば、
図4の、被加熱芳香発生基材
112の集合体1121が被加熱芳香発生基材ラッピング部材111で巻装された被加熱
芳香発生源110の断面模式図に例示しているように、四角柱の被加熱芳香発生基材11
2を用いている。図から明らかなように、被加熱芳香発生基材112の集合体1121は
、被加熱芳香発生基材凝集体112Aが多数形成されることによって、その凝集体112
A内に被加熱芳香発生基材112の位置ずれが作る一次凝集体流路112B、凝集体11
2A間に生じる二次凝集体流路112C、及び、被加熱芳香発生基材112と被加熱芳香
発生基材ラッピング部材111との空間である基材-ラッピング部材気体流路112D等
の気体流路が生成されるため、加熱して発生する揮発物は、これらの気体流路を通過して
、喫煙者が安定した気流で芳香及び煙を吸引することができる。このような気体流路は、
シート状、円柱状、角柱状、粒状、及び、鱗片状等であっても同様に形成される。
【0141】
このような被加熱芳香発生源110を用いた本発明の被加熱芳香カートリッジの実施形態
として、次の三種の被加熱芳香カートリッジ
100を例示する。第一に、
図2-Iに示す
ように、被加熱芳香発生源110が、筒状の巻物である被加熱芳香カートリッジラッピン
グ部材101によって巻装されると共に、マウスピース
120が形成されることによって
、ラッピング型被加熱芳香カートリッジ
100-Iとして喫煙可能な形態に構設される被
加熱芳香カートリッジである。第二に、
図2-IIに示すように、被加熱芳香発生源11
0が、筒状の筐体である被加熱芳香カートリッジハウジング部材102によって巻装され
ると共に、マウスピース
120が形成されることによって、ハウジング型被加熱芳香カー
トリッジ
100-IIとして喫煙可能な形態に構設される被加熱芳香カートリッジである
。第三に、
図2-III-1に示すように、被加熱芳香発生源110が装入されている被
加熱芳香発生源コネクティング部用嵌合雌ネジ10311を備えた被加熱芳香発生源コネ
クティング部1031と、マウスピース
120となるマウスピースコネクティング部用雄
ネジを備えたマウスピースコネクティング部1032とが着脱可能に接続された筒状の筐
体である被加熱芳香カートリッジコネクティング部材103が形成されることによって、
コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-IIIとして喫煙可能な形態に構設さ
れる被加熱芳香カートリッジである。
【0142】
特に、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-IIIは、
図2-III-1に
示すように、被加熱芳香カートリッジコネクティング部材103を構成する被加熱芳香発
生源コネクティング部1031とマウスピースコネクティング部1032とが着脱可能で
あるため、被加熱芳香発生源110及び後述する各種マウスピース120を喫煙者の好み
に応じて自由自在に交換することができる上、被加熱芳香発生源コネクティング部103
1及びマウスピースコネクティング部1032を簡単に洗浄することができ、繰り返し使
用可能であるという特徴を備えている。
【0143】
また、本発明の被加熱芳香カートリッジには、
図2-I、
図2-II、及び、
図2-II
I-1に示すマウスピース120に特徴がある。
図6に示すように、加熱式喫煙具
200
を用いた被加熱芳香カートリッジの喫煙における煙は、エアロゾルフォーマが揮発した後
、冷却されることによって発生するエアロゾルに基づくものであり、紙巻きタバコのよう
に煙に固体成分を含まないと共に、芳香源材に含まれるタバコ植物も少ない若しくは全く
含まないため、ニコチンやタールが少なく、マウスピースにフィルター機能を必要とする
ものではない。少なくともエアロゾルの揮発成分が凝結してエアロゾルとなる冷却機能を
必要とするため、
図2-I、
図2-II、及び、
図2-III-1に示したラッピング型
被加熱芳香カートリッジ
100-I、ハウジング型被加熱芳香カートリッジ
100-II
、及び、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-IIIのマウスピース120
は、空洞である実施形態を示している。
【0144】
この場合、被加熱芳香カートリッジラッピング部材101が口にくわえられるため、紙を
使用することはできず、本実施形態では、ポリオレフィン系樹脂フィルムの場合を例示し
ている。被加熱芳香カートリッジハウジング部材102及びコネクティング部材103も
素材はポリオレフィン系樹脂であるが、その成形加工された筐体を例示している。被加熱
芳香カートリッジハウジング部材及びコネクティング部材の素材は、以下同様である。
【0145】
しかし、
図3-I-A、
図3-II-A、及び、
図3-III-Aの、ラッピング型被加
熱芳香カートリッジ
100-I-A、ハウジング型被加熱芳香カートリッジ
100-II
-A、及び、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-Aに示すように
、紙巻きタバコの喫煙者習性に応じて、マウスピースに、フィルター部材122を備える
ことができる。特に、この場合、ラッピング型被加熱芳香カートリッジ
100-I-Aの
被加熱芳香カートリッジラッピング部材101は、紙巻きタバコ同様の巻紙が好ましく、
本実施形態では、巻紙を使用している場合を例示している。図から明らかなように、いず
れの被加熱芳香カートリッジも、フィルター部材122がマウスピースラッピング部材1
21で巻装されたフィルターマウスピース120-A1とフィルター部材122がそのま
ま被加熱芳香カートリッジ外装部材に装入されたフィルターマウスピース120-A2が
例示されているように、どちらでもよいが、ハウジング型被加熱芳香カートリッジ
100
-II-A及びコネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-Aの場合には
、フィルターマウスピース120-A1及びA2の着脱が可能であるので、マウスピース
ラッピング部材121で巻装されている方が好ましい。また、本実施形態では、エアロゾ
ルフォーマに対する耐性を考慮し、薄いポリオレフィン樹脂フィルムのマウスピースラッ
ピング部材121を例示している。以下同様である。
【0146】
更に、
図3-I-A(b)、
図3-II-A(b)、及び、
図3-III-A(b)には
、被加熱芳香発生源110からフィルター部材122への、被加熱芳香発生基材、被加熱
芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を防止するためのメ
ッシュ1011、1021、10312が設けられている各被加熱芳香カートリッジ
10
0-I-A(b)、
100-II-A(b)、
100-III-A(b)が例示されてい
る。本実施形態のメッシュ1011、1021は、ポリエステル系樹脂繊維から製造され
る不織布を例示している。
【0147】
ここで、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-A(b)の場合は、
図2-III-2(b)に示すように、メッシュ10312を着脱可能に取り付けた被加
熱芳香発生源コネクティング部1031Bとすることができる。そのため、メッシュ10
312を取り付けた被加熱芳香発生源コネクティング部1031Bは、上記脱落及び飛散
防止だけでなく、被加熱芳香発生源コネクティング部1031Bから被加熱芳香発生源1
10がはみ出ることなく装入することができ、装入量も調整することができる上、メッシ
ュ10312の清掃も可能である。このようなメッシュ10312においても、ポリエス
テル系樹脂繊維から製造される不織布を備えられるが、本実施形態では、繰り返し使用す
るための強度に優れるポリエステル系樹脂繊維から製造される織布が例示されている。
【0148】
更に、被加熱芳香発生源110のフィルター部材122側への移動を防止するための支持
部材123を備えた被加熱芳香カートリッジ
100を
図3-I-B、
図3-II-B、及
び、
図3-III-Bの
100-I-B、
100-II-B、及び、
100-III-B
に示す。この場合も、フィルター部材122だけのマウスピース120-A1及びA2同
様、マウスピースラッピング部材121の有無に対応したマウスピース120-B1及び
B2を例示している。
【0149】
この実施形態では、
図3-I-B(b)、
図3-II-B(b)、及び、
図3-III-
B(b)に示すように、被加熱芳香発生源110からフィルター部材122への、被加熱
芳香発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛
散を防止するためのメッシュ1011、1021、10312に加え、被加熱芳香発生源
110から加熱式喫煙具
200のチャンバー202への、被加熱芳香発生基材、被加熱芳
香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を防止するためのカバ
ー1012、1022、10313を備えた被加熱芳香カートリッジ
100を例示してい
る。
図6に示す加熱式喫煙具
200の熱源203が、これらを貫通し、熱源203と僅か
ではあるが接触するため、熱源203を汚さないように、植物性繊維で製造された不織布
又は織布であることが好ましく、カバー1012、1022では不織布が例示されている
。
【0150】
この場合も、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ100-III-B(b)は、図
2-III-2(c)に示すように、カバー10313を着脱可能に取り付けた被加熱芳
香発生源コネクティング部1031Cとし、繰り返し使用することができるが、初めて使
用する際に、熱源203が挿通されなければならないので、植物性繊維で製造された不織
布であることが好ましく、本実施形態では、植物性繊維で製造された不織布が例示されて
いる。
【0151】
そして、エアロゾルフォーマの揮発物を冷却し、煙の発生を促進するための冷却部材12
4を備えた被加熱芳香カートリッジ
100を
図3-I-C、
図3-II-C、及び、
図3
-III-Cの
100-I-C、
100-II-C、及び、
100-III-Cに示す。
この場合も、フィルター部材122だけのマウスピース120-A1及びA2同様、マウ
スピースラッピング部材121の有無に対応したマウスピース120-B1及びB2を例
示している。
【0152】
この実施形態でも、
図3-I-B(b)、
図3-II-B(b)、及び、
図3-III-
B(b)と同様に、被加熱芳香発生源110からフィルター部材122への、被加熱芳香
発生基材、被加熱芳香発生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を
防止するためのメッシュ1011、1021、10312に加え、被加熱芳香発生源11
0から加熱式喫煙具
200のチャンバー202への、被加熱芳香発生基材、被加熱芳香発
生基材の崩落物、及び、崩落物が生成する粉塵の脱落及び飛散を防止するためのカバー1
013、1023、10314を備えた被加熱芳香カートリッジ
100を例示している。
ただし、これらのカバー1013、1023、10314には、
図6に示す加熱式喫煙具
200の熱源203が挿通される熱源挿通孔10131、10231、103141が設
けられているため、これらのカバー1013、1023、10314と熱源203とが接
触することはない。このため、熱源203が、被加熱芳香源110に挿通され易く、カバ
ー1013、1023、10314が加熱されて熱源203が汚染されることはない。従
って、カバー1013、1023、10314の素材として、プラスチック製繊維の不織
布又は織布を使用することができ、本実施形態では、ポリエステル製繊維の不織布又は織
布が例示されている。
【0153】
この場合も、コネクティング型被加熱芳香カートリッジ100-III-C(b)は、図
2-III-2(d)に示すように、カバー10314を着脱可能に取り付けた被加熱芳
香発生源コネクティング部1031Dとし、繰り返し使用することができる、熱源203
が挿通される熱源挿通孔103141が設けられているので、繰り返し使用することを考
慮し、ポリエステル製繊維で製造された織布であることが好ましく、本実施例では、ポリ
エステル製繊維で製造された織布が例示されている。
【0154】
以上、被加熱芳香発生源110、マウスピース120、及び、被加熱芳香発生源110と
マウスピース120が被加熱芳香カートリッジ外装材である被加熱芳香カートリッジラッ
ピング部材101、被加熱芳香カートリッジハウジング部材102、及び、被加熱芳香カ
ートリッジコネクティング部材103に巻装されて構設されている被加熱芳香カートリッ
ジの実施形態を例示したが、これらに限定されるものではない。本発明の被加熱芳香発生
源及び被加熱芳香カートリッジは、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施
することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるもの
である。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、ナス科タバコ属であるタバコを含む植物に由来する煙及び芳香を喫煙する楽
しみを提供することができる技術である。タバコ植物を含まない場合には、喫煙者本人の
みならず、周囲の非喫煙者に対しても健康に悪影響を及ぼすことがない喫煙を楽しめ、脳
内にα波をもたらす、癒し効果があり、健康及び美容の増進に役立つ新しい喫煙具である
。従って、本発明の被加熱芳香発生基材に関する煙及び芳香の発生を促進する技術は、被
加熱芳香発生基材と類似する、線香、焼香、抹香、塗香等や、アロマセラピー等に応用で
きる可能性がある。
【符号の説明】
【0156】
100 被加熱芳香カートリッジ
100-I ラッピング型被加熱芳香カートリッジ
100-I-A ラッピング型被加熱芳香カートリッジ(A)フィルターマウスピース
100-I-B ラッピング型被加熱芳香カートリッジ(B)支持部材付きフィルターマ
ウスピース
100-I-C ラッピング型被加熱芳香カートリッジ(C)支持・冷却部材付きフィル
ターマウスピース
101 被加熱芳香カートリッジラッピング部材
1011 被加熱芳香カートリッジラッピング部用メッシュ
1012 被加熱芳香カートリッジラッピング部用カバー(I)
1013 被加熱芳香カートリッジラッピング部用カバー(II)
10131 熱源挿通孔
100-II ハウジング型被加熱芳香カートリッジ
100-II-A ハウジング型被加熱芳香カートリッジ(A)フィルターマウスピース
100-II-B ハウジング型被加熱芳香カートリッジ(B)支持部材付きフィルター
マウスピース
100-II-C ハウジング型被加熱芳香カートリッジ(C)支持・冷却部材付きフィ
ルターマウスピース
102 被加熱芳香カートリッジハウジング部材
1021 被加熱芳香カートリッジハウジング部用メッシュ
1022 被加熱芳香カートリッジハウジング部用カバー(I)
1023 被加熱芳香カートリッジハウジング部用カバー(II)
10231 熱源挿通孔
100-III コネクティング型被加熱芳香カートリッジ
100-III-A コネクティング型被加熱芳香カートリッジ(A)フィルターマウス
ピース
100-III-B コネクティング型被加熱芳香カートリッジ(B)支持部材付きフィ
ルターマウスピース
100-III-C コネクティング型被加熱芳香カートリッジ(C)支持・冷却部材付
きフィルターマウスピース
103 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材
103A 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材(A)
103B 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材(B)
103C 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材(C)
103D 被加熱芳香カートリッジコネクティング部材(D)
1031 被加熱芳香発生源コネクティング部
1031A 被加熱芳香発生源コネクティング部(I)
1031B 被加熱芳香発生源コネクティング部(II)
1031C 被加熱芳香発生源コネクティング部(III)
1031D 被加熱芳香発生源コネクティング部(IV)
10311 被加熱芳香発生源コネクティング部用嵌合雌ネジ
10312 被加熱芳香発生源コネクティング部用メッシュ
10313 被加熱芳香発生源コネクティング部(III)用カバー(I)
10314 被加熱芳香発生源コネクティング部(IV)用カバー(II)
103141 熱源挿通孔
1032 マウスピースコネクティング部
10321 マウスピースコネクティング部用嵌合雄ネジ
110 被加熱芳香発生源
111 被加熱芳香発生基材ラッピング部材
112 被加熱芳香発生基材
1121 被加熱芳香発生基材集合体
112A 被加熱芳香発生基材凝集体
112B 一次凝集体気体流路(I)
112C 二次凝集体気体流路(II)
112D 基材-ランピング部材気体流路(III)
120 マウスピース
120-A1、A2 フィルターマウスピース
120-B1、B2 支持部材付きフィルターマウスピース
120-C1、C2 支持・冷却部材付きフィルターマウスピース
121 マウスピースラッピング部材
122 フィルター部材
123 支持部材
1231 支持部材中心部
1232 支持部材周辺部
1232A 第一の支持部材周辺部
1232B 第二の支持部材周辺部
1233 気体流路
124 冷却部材
200 加熱式喫煙具
201 ボディー
202 チャンバー
203 熱源
L 支持部の長さ
D 支持部の直径
d 第一の支持部材周辺と第二の支持部材周辺との間隔
X1、X2 被加熱芳香カートリッジ断面の中心
X 紙面に平行な被加熱芳香カートリッジの長手方向
Y 紙面に平行な被加熱芳香カートリッジの断面方向
Z 紙面に垂直な被加熱芳香カートリッジの断面方向
【要約】
本発明は、加熱式喫煙具に装着され、加熱及び吸引されてエアロゾル及び芳香を生じる被加熱芳香カートリッジ100であって、被加熱芳香発生源110の長手方向にマウスピース120-C1が着接され、筒状体である被加熱芳香カートリッジ外装部材102に収納され、マウスピースは、支持部材123、冷却部材124、フィルター部材122から構成され、被加熱芳香発生源側から長手方向に支持部材、冷却部材、フィルター部材の順で配備され、被加熱芳香発生源、支持部材、冷却部材及びフィルター部材は同じ形状であり、冷却部材とフィルター部材がマウスピースラッピング部材121で巻装されて一体化されている、ことを特徴とする。
【選択図】
図3-II-C