(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】ビークル管理システムと電力分配制御との統合
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241113BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241113BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20241113BHJP
B64D 41/00 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02J7/00 302D
H02J1/00 301D
H02J9/06 110
H02J1/00 306J
H02J1/00 304C
B64D41/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020068143
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-02-09
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ロイド シェフィールド
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド ドンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ エー.シュナイダー
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-140292(JP,A)
【文献】特開2015-211632(JP,A)
【文献】米国特許第09914548(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00-1/16
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-11/00
B64D 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを含むデータ処理システムと、
複数の配電
制御回路を含む配電制御装置と、を含むビークル管理システムであって、前記配電
制御回路の各々は、前記配電制御装置によって制御されて末端負荷部品に電力を供給し、前記配電制御装置は、バスによって、前記データ処理システムに通信接続されており、
前記配電制御装置は、前記複数の配電制御回路の各々が、前記末端負荷部品のうちの対応する1つに、調節電圧レベル出力で出力電力を生成するように、前記複数の配電制御回路の各々による電力生成を制御するように構成されて
おり、
前記配電制御装置は、前記複数の配電制御回路に対応して、其々に設定可能範囲を有する複数の可変回路遮断器を含んでおり、前記可変回路遮断器の其々の設定可能範囲は、前記対応する末端負荷部品までの距離、前記対応する末端負荷部品の経時的な負荷の変化、及び、前記対応する末端負荷部品の温度変化による負荷の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、動的に調節される、ビークル管理システム。
【請求項2】
前記調節電圧レベルの各々は、前記対応する末端負荷部品までの距離、前記対応する末端負荷部品の経時的な負荷の変化、及び、前記対応する末端負荷部品の温度変化によ
る負荷の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、調節される、請求項1に記載のビークル管理システム。
【請求項3】
前記配電制御装置は、故障を検出した個別の配電
制御回路の動作を遮断するように、さらに構成されている、請求項1又は2に記載のビークル管理システム。
【請求項4】
前記配電制御装置は、前記個別の配電
制御回路をシャットダウンして、前記複数の配電
制御回路のうちの残りのものを遮断しないように構成されている、請求項3に記載のビークル管理システム。
【請求項5】
前記配電制御装置は、すべての末端負荷部品を同時にフルに給電するにはトータルの電力が不十分な際に、クリティカルな末端負荷部品をフル電力に維持するとともに、非クリティカルな末端負荷部品への電力を低減するように、電力を選択的に分配するよう、さらに構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のビークル管理システム。
【請求項6】
前記クリティカルな末端負荷部品は、その時点の航空機動作に従って、動的に決定される、請求項5に記載のビークル管理システム。
【請求項7】
前記配電制御装置は、前記末端負荷部品に優先順位付けを行うとともに、各末端負荷部品に割り当てられた優先度に従って、前記末端負荷部品に電力を分配するよう、さらに構成されている、請求項1~6のいずれかに記載のビークル管理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のビークル管理システムにおいて、ビークル内の電力分配を制御するための方法であって、
前記複数の末端
負荷部品の各々における電力負荷を監視することと、
前記電力負荷に従って、前記複数の末端
負荷部品の各々に供給される電力を調節することと、を含む方法。
【請求項9】
前記複数の末端
負荷部品の各々に供給される電力を調節することは、前記複数の末端部品の各々に供給される前記電力を、前記末端負荷部品までの距離、前記末端負荷部品の経時的な負荷の変化、及び、前記末端負荷部品の温度変化による前記末端負荷部品の負荷の変化のうちの少なくとも1つに従って、調節することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の末端
負荷部品のうちの1つに故障を検出した際には、対応する個別の配電
制御回路の動作を遮断することをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記故障は、前記複数の末端部品のうちの前記1つにおける、感知電圧レベル、感知電流レベル、及び、感知電力レベルのうちの少なくとも1つに従って判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複数の配電
制御回路のうちの残りのものを遮断せずに、前記個別の配電
制御回路をシャットダウンすることをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
すべての末端
負荷部品を同時にフルに給電するにはトータルの電力が不十分な際に、クリティカルな末端
負荷部品をフル電力に維持するとともに、非クリティカルな末端
負荷部品への電力を低減するよう、前記複数の末端
負荷部品に電力を選択的に分配することをさらに含み、前記クリティカルな末端
負荷部品は、前記複数の末端
負荷部品のうちの第1部品に対応し、前記非クリティカルな末端
負荷部品は、前記複数の末端
負荷部品のうちの第2部品に対応する、請求項8~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記クリティカルな末端
負荷部品は、その時点の航空機動作に従って、動的に決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の末端
負荷部品に優先順位付けを行うことと、
各末端
負荷部品に割り当てられた優先度に従って、前記複数の末端
負荷部品に電力を分配することと、をさらに含む、請求項8~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
ビークル内の電力分配を制御するためのビークル管理システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行された際に、コンピュータで実施される電力分配方法を実行するプログラムコードを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含み、前記プログラムコードは、
複数の末端
負荷部品の各々における電力負荷を監視するためのプログラムコードと、
前記電力負荷に従って、前記複数の末端
負荷部品の各々に供給される電力を調節するためのプログラムコードと、を含み、前記複数の末端
負荷部品の各々に供給される電力を調節することは、前記複数の末端
負荷部品のうちの
対応する1つに供給される前記電力を、前記末端
負荷部品までの距離、前記末端
負荷部品の経時的な負荷の変化、及び、前記末端
負荷部品の温度変化による前記末端
負荷部品の負荷の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、調節することを含
み、
前記プログラムコードは、前記複数の末端負荷部品の各々に対応する可変回路遮断器の設定可能範囲を動的に調整するためのプログラムコードをさらに含んでおり、前記可変回路遮断器の設定可能範囲の調整は、対応する前記末端部品までの距離、対応する前記末端負荷部品の経時的な負荷の変化、及び、対応する前記末端負荷部品の温度変化による負荷の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、動的に調節される、ビークル管理システム。
【請求項17】
前記複数の末端
負荷部品のうちの1つに故障を検出した際には、対応する個別の配電
制御回路の動作を遮断して、複数の配電
制御回路のうちの残りのものを遮断しないようにするためのプログラムコードをさらに含む、請求項16に記載のビークル管理システム。
【請求項18】
すべての末端
負荷部品を同時にフルに給電するにはトータルの電力が不十分な際に、クリティカルな末端
負荷部品をフル電力に維持するとともに、非クリティカルな末端
負荷部品への電力を低減するよう、前記複数の末端
負荷部品に電力を選択的に分配するためのプログラムコードをさらに含み、前記クリティカルな末端
負荷部品は、前記複数の末端
負荷部品のうちの第1部品に対応し、前記非クリティカルな末端
負荷部品は、前記複数の末端
負荷部品のうちの第2部品に対応し、前記クリティカルな末端
負荷部品は、その時点の航空機動作に従って、動的に決定される、請求項16又は17に記載のビークル管理システム。
【請求項19】
前記複数の末端
負荷部品に優先順位付けを行うためのプログラムコードと、
各末端
負荷部品に割り当てられた優先度に従って、前記複数の末端
負荷部品に電力を分配するためのプログラムコードと、をさらに含む、請求項16~18のいずれかに記載のビークル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電力分配に関し、より具体的には、ビークル内の電力分配を制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の航空機は、例えば、電気モータ、電子センサ、コンピュータ、ライト、及び、電子ディスプレイなどの多くの電気装置を利用している。これらの装置の各々に、其々の電力要件がある。交流が必要なものもあれば、直流が必要なものもある。また、電圧、電流、及び、電力のレベルも、部品によって異なる。電力を必要とする航空機の各装置に電力を供給するために、配電制御装置が用いられている。しかしながら、現在の配電制御装置は、電力供給のカスタマイズ、組み立ての容易さ、及び、重量に不利な影響を及ぼす多くの欠点を抱えている。従って、既存のシステムを改良し、これら及び他の問題に対処する配電システムを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
1つの例示的な実施多形態において、ビークル管理システムは、プロセッサ及びメモリを含むデータ処理システムと、配電制御装置とを含む。配電制御装置は、各々が当該制御装置によって制御されて末端負荷部品に電力を供給する複数の配電回路を含む。配電制御装置は、バスによって、データ処理システムに通信接続されている。配電制御装置は、複数の配電制御回路の各々が、末端負荷部品のうちの対応する1つに、調節電圧レベル出力で出力電力を生成するように、複数の配電制御回路の各々による電力生成を制御するように構成されている。
【0004】
別の例示的な実施形態において、ビークル内の電力分配を制御するための方法は、複数の末端部品の各々における電力負荷を監視することを含む。当該方法は、前記電力負荷に従って、前記複数の末端部品の各々に供給される電力を調節することも含む。
【0005】
さらに別の例示的な実施形態において、ビークル内の電力分配を制御するためのビークル管理システムは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行された際に、コンピュータで実施される電力分配方法を実行するプログラムコードを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含む。前記プログラムコードは、複数の末端部品の各々における電力負荷を監視するためのプログラムコードを含む。前記プログラムコードは、前記電力負荷に従って、前記複数の末端部品の各々に供給される電力を調節するためのプログラムコードも含む。前記複数の末端部品の各々に供給される電力を調節することは、前記複数の末端部品のうちの1つに供給される前記電力を、前記末端部品までの距離、前記末端部品の経時的な負荷の変化、及び、前記末端部品の温度変化による前記末端部品の負荷の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、調節することを含む。
【0006】
特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、他の実施形態との組み合わせも可能である。この詳細については、以下の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例示的な実施形態に特有であると考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。ただし、例示的な実施形態、並びに、その好ましい利用形態、及び、さらなる目的や特徴は、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を添付図面に照らして参照すれば、最もよく理解されるであろう。
【0008】
【
図1】例示的な実施形態が実施されうる航空機を示す図である。
【
図2】例示的な実施形態による航空機及びその配電システムの図である。
【
図3】例示的な実施形態によるビークルの配電システムの図である。
【
図4】例示的な実施形態による、複数の末端負荷部品に電力を選択的に供給するための方法のフローチャートである。
【
図5】例示的な実施形態による、可変回路遮断器を調節するための方法のフローチャートである。
【
図6】例示的な実施形態による、一対の配電線によって末端負荷部品に電力を供給するための方法のフローチャートである。
【
図7】例示的な実施形態によるデータ処理システムのブロック図である。
【
図8】例示的な実施形態による航空機の製造及び保守方法をブロック図で示した図である。
【
図9】例示的な実施形態が実施されうる航空機をブロック図で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な例示的な実施形態では、1つ又は複数の事項が認識及び考慮されている。例えば、例示的な実施形態では、既存の航空機配電技術及び電力管理方式が非効率であることが認識及び考慮されている。例示的な実施形態では、航空機の既存の配電は、ビークル管理システム(VMS)アーキテクチャ内のクリティカルな要素(すなわち、部品、ユニット、サブシステム、システムなど)を統合するために、異種の電力装置(例えば、回路遮断器、フィルタ、整流器など)を用いているということが認識及び考慮されている。例えば、例示的な実施形態では、既存の配電システムは、全稼働か全停止という視点で、最悪の場合の電力をクリティカルな各要素に割り当てているということが認識及び考慮されている。加えて、例示的な実施形態では、既存の配電方法は、所与のシステム又はサブシステム内に、電力回路遮断器パネル又はソリッドステート分配ユニットから複数の装置までの、固定の電圧/電流設定を用いたいくつかの専用電力線を必要とするということが認識及び考慮されている。また、例示的な実施形態では、このような手法が、様々な動作状態(例えば、起動、離陸、巡航、着陸など)の際に配電電力を最適化したり、システム/サブシステムを部分的に機能させることを助けたりするための統合の可能性を制限しているということが認識及び考慮されている。
【0010】
さらに、例示的な実施形態では、2本の並列配電線によって末端部品に電力を供給し、これらの線の各々が、他方の線が遮断された場合にはフルに電力を供給できるようにすることで、並列配電線の寿命を延ばせるということが認識及び考慮されている。
【0011】
また、例示的な実施形態では、航空機内の既存の配電方式は、ビークル管理システム(VMS)アーキテクチャ内のクリティカルな要素(たとえば、部品、ユニット、サブシステム、システムなど)を統合するために、異種の電力装置(例えば、回路遮断器、フィルタ、整流器など)を用いており、このような異種の電力装置の使用が、安全性においてクリティカルな要素の時間依存管理に悪影響を及ぼしているということが認識及び考慮されている。従って、例示的な実施形態では、配電制御装置をVMSと統合することにより、安全性においてクリティカルな要素の管理における時間感度が改善されている。
【0012】
さらに、例示的な実施形態では、感知電圧及び電流のレベル、電力のスパイク、及び、電力の遮断を監視して、故障を示す感知電圧、電流、又は電力レベルを検出した際には、可変回路遮断器によって、配電回路のうちの残りの複数の動作を遮断することなく、個別の配電回路を遮断することが有益であるということが認識及び考慮されている。
【0013】
本開示の実施形態は、VMSコンピューティングインフラストラクチャー内への配電機能の統合を実現し、これにより、電力管理機能を改善する。本開示の実施形態は、時間依存的な起動又はシャットダウン、様々な飛行フェーズ、故障状態、及びその他の条件的な状態における、システム/サブシステム全体内の動的再構成を助ける。動的再構成は、とりわけ、システム及びプラットフォーム全体の寿命を延ばすのに役立つという利点を有する。本開示の実施形態は、配電線に関連する配線及び設置の負担を軽減し、階層的な電力管理及び制限技術を助け、様々な動作条件における最適な動的電力割り当てを可能にし、時間依存的な機能のための起動待ち時間を減らすための解決策を提供する。また、本開示の実施形態は、システム及びプラットフォームの耐用年数を延ばし、分配電力に関して故障検出及び切り離しを改善し、バッテリ依存プラットフォームの飛行時間を延ばし、電力の整理(clean up)及び管理のための異種の電力部品(例えば、整流器、変圧器、ブレーカなど)の数を減らす。
【0014】
本開示の実施形態は、特にすべての電気及びバッテリ依存のプラットフォームにおいて、実質的に最適化された電力分配及び電力管理を実現する。また、本開示の実施形態は、時間依存的な起動、回復、シャットダウン、及び、故障状態を助ける飛行安全クリティカルシステムの手段も提供する。本開示の実施形態は、共通のフィルタリングされた配電システムを提供することにより、従来の配電方式と比べて、ノンリカーリング(non-recurring)コスト、リカーリング(recurring)コスト、及び、ライフサイクルコストを低減する。さらに、本開示の実施形態は、故障検出及び切り離しの強化によって持続可能性を向上させ、システムの寿命を延ばすための電力制限技術を用いてプラットフォームシステムの信頼性を向上させ、ワイヤ/ケーブルの数及びワイヤ/ケーブルの長さを削減することで設置の負担を軽減し、様々な動作条件において電力を最適化し、配線製造におけるリカーリングコスト及びノンリカーリングコストを削減する。
【0015】
本開示の様々な実施形態は、部品に送るための専用のクリーンな電源、電力最適化飛行フェーズの際の電力分配の動的な再構成、故障状態の際の電力分配の動的な再構成、システム及びプラットフォーム全体の寿命を延ばすのを助ける動的な再構成、及び、階層的な時間依存レイヤ/経路を助けるための順次的な給電を実現する。さらに、本開示の様々な実施形態は、従来のシステムで行われているような、単なるすべてかゼロかではなく、末端部品を部分的に機能させることができる。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態の利点の1つとして、電力分配の複雑さの低減があり、これにより、様々な動作条件における最適な動的電力割り当てを実現し、時間依存的な機能のための起動待ち時間を減らし、システム及びプラットフォームの耐用年数を延ばし、分配電力に関する故障検出及び切り離しを改善することができる。
【0017】
従来の配電システムとは異なり、例示的な実施形態は、VMSコンピューティングアーキテクチャ内に統合された配電を実現する。さらに、例示的な実施形態は、VMS内のクリーンな分配電力を提供し、チャンネルを跨いだ電力管理及び制限用の通信を提供し、動的に再構成可能な電子回路遮断器を提供する。
【0018】
次に、図面を参照し、特に
図1を参照すると、同図には、例示的な実施形態が実施される航空機が図示されている。本実施例では、航空機100は、機体106に接続された翼102及び翼104を有する。航空機100は、翼102に接続されたエンジン108及び翼104に接続されたエンジン110を含む。
【0019】
機体106は、尾部112を有する。機体106の尾部112には、水平安定板114、水平安定板116、及び、垂直安定板118が接続されている。航空機100は、本開示のシステムが実装される航空機の一例である。
【0020】
本明細書において、「所定数の」という語句がアイテムに言及して用いられる場合は、1つ又は複数のアイテムを意味する。例えば、「所定数の配電制御ユニット218」とは、1つ又は複数の異なる種類の配電制御ユニット218である。
【0021】
「~のうちの少なくとも1つ」という語句がアイテムのリストについて用いられる場合、リストアップされたアイテムのうちの1つまたはそれ以上を様々な組み合わせで用いてもよいことを意味し、また、リストの各アイテムの1つだけが必要な場合もあることを意味する。換言すれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、リストから任意の数のアイテムを任意の組み合わせで使用することが可能であり、必ずしもリストアップされたアイテムのすべてを必要としないことを意味する。アイテムは、ある特定の対象、物、又はカテゴリーであってよい。
【0022】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、又はアイテムCのうち少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムAとアイテムB、又はアイテムCを含みうる。また、この例には、アイテムAとアイテムBとアイテムCである場合、アイテムBとアイテムCである場合も含まれる。勿論、これらのアイテムのあらゆる組み合わせが存在する。いくつかの例において、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC;4個のアイテムBと7個のアイテムC;又は、他の適当な組み合わせであってもよい。
【0023】
この航空機100の図示は、様々な例示的な実施形態が実施される環境を例示する目的で、提示している。
図1における航空機100の図示は、様々な例示的な実施形態が実現される態様について、構造的な限定を示唆するものではない。例えば、航空機100は、商用旅客機として示されている。様々な例示的な実施形態は、自家用旅客機、回転翼機などの他の種類の航空機、あるいはその他の適当な種類の航空機に適用することもできる。
【0024】
次に、
図2を参照すると、同図には、例示的な実施形態による航空機及びその配電システムが図示されている。航空機200は、
図1に示した航空機100として実施することができる航空機の一例である。航空機200は、ビークル管理システム(VMS)201、所定数の電源280、所定数の末端負荷部品248、及び、所定数の結束電力及び通信線246を含む。一実施形態において、配電線は、通信線とは分けられている。代替の実施形態では、電力は、イーサネット(Ethernet)などの通信線を介して、供給される。所定数の電源280は、所定数の交流(AC)電源282、所定数の直流(DC)電源284、及び、所定数のバッテリ286を含みうる。結束ケーブルとは、より容易且つ迅速な設置を行うために、まとめられた又は縛られた、多数のワイヤの集まりである。結束ケーブルは、1本ずつの束ねられていないワイヤ又はケーブルを引く場合に対して、いくつかの利点をもたらす。例えば、多くのワイヤやケーブルを結束ケーブルハーネスにまとめることによって、振動、摩耗、水分による悪影響を受けないよう、より良好に固定することができ、ケーブルの寿命を延ばすことになる。さらに、ワイヤをまとめて束にすることにより、スペースの使用が最適化され、短絡のリスクが大幅に減少する。設置者は、(複数のワイヤの場合とは異なり)設置のためにはケーブルを一度引くだけでよいため、設置時間が劇的に短縮される。
【0025】
所定数の末端負荷部品248は、フライトデッキ機器、ブレーキシステム部品、翼のフラップを動かすためのモータ、着陸装置を出し入れするためのモータ、ならびに、機能するために電力を必要とする航空機200のその他の部品を含みうる。末端負荷部品248は、クリティカルな末端部品270及び非クリティカルな末端部品272を含む。クリティカルな末端部品270は、所与の時刻における航空機200の安全な動作に必要な任意の部品である。末端負荷部品248がクリティカルな末端部品270又は非クリティカルな末端部品272となるかどうかの決定は、時間及び航空機200の特定の動作状況によって変わる。例えば、末端負荷部品248のうちの1つは、離陸中はクリティカルな末端部品270と考えられるが、水平飛行中は非クリティカルな部品272と考えられる場合がある。
【0026】
VMS201は、データ処理システム202、所定数の通信ユニット212、配電制御装置214、ならびに、データ処理システム202、所定数の通信ユニット212、及び配電制御装置214を通信接続する通信バス210を含む。データ処理システム202は、所定数のプロセッサ204、メモリ206、及び、所定数のストレージユニット208を含む。通信バス210を介して、配電制御装置214をVMS201内のデータ処理システム202と統合することによって、電力分配の再調節に関する時間依存的な決定を、配電制御装置214をVMS201と統合していない従来のシステムよりも迅速に行うことができる。
【0027】
配電制御装置214は、配電制御システム216、クリティカル末端部品決定部250、及び、監視部260を含む。配電制御システム216は、所定数の配電制御ユニット218を含む。配電制御ユニット218の各々は、配電制御回路240、可変回路遮断器242、及び、並列配電線244を含む。配電制御ユニット218は、配電制御装置214によって制御される。
【0028】
配電制御回路240は、其々が、配電制御装置214によって制御されて、末端負荷部品248に電力を供給する。配電制御装置214は、通信バス210によって、データ処理システム202に通信接続されている。通信バス210はまた、通信ユニット212を、配電制御装置214及びデータ処理システム202に接続している。配電制御装置214は、選択的電力分配256及び選択的シャットダウン258などの配電制御機能、ならびに、末端負荷部品248に対する監視260を行うための制御装置プロセッサ215も含みうる。制御装置プロセッサ215は、例えば航空機動作252及び末端部品優先度254を決定するためのクリティカル末端部品決定部250も含みうる。
【0029】
配電制御装置214は、複数の配電制御回路240の各々が、末端負荷部品248のうちの対応する1つに、調節電圧レベル220で出力電力を生成するように、複数の配電制御回路240の各々による電力生成を制御するように構成されている。一実施形態において、調節電圧レベル220の各々は、末端負荷部品248のうちの上記対応する1つまでの距離222、末端負荷部品248のうちの上記対応する1つの時間226の経過による負荷の変化224、及び、末端負荷部品248のうちの上記対応する1つの温度228の変化による負荷の変化224のうちの少なくとも1つに基づいて、調節される。配電制御装置214はまた、故障を検出した際には、配電回路240の個々の動作の遮断230を行うように構成されている。故障は、例えば、感知電圧レベル234、感知電流レベル236、及び、感知電力レベル238のうちの少なくとも1つによって、特定される。
【0030】
配電制御装置214はまた、例えば配電回路240のうちの1つに故障が検出された際に、その1つの配電回路240をシャットダウンして、複数の配電回路240のうちの残りのものを遮断しないように構成されている。システムの様々な部分がいつオンラインになるかを制御できることにより、末端負荷部品248のうちの特定のものが、電源を入れるとすぐに動作開始することができる。配電制御装置214が末端負荷部品248のうちの他のものを適切な順序でオンラインにするので、末端負荷部品248は、電源投入する前に、航空機200の他の部品がオンであるかどうかをチェックする必要がない。従って、航空機200内の他のシステムの状態をチェックする必要性を排除することにより、起動時間が改善される。また、配電制御装置214は、すべての末端負荷部品248を同時にフルに給電するにはトータルの電力が不十分な場合、クリティカルな末端負荷部品270をフル電力に維持するとともに、非クリティカルな末端負荷部品272への電力を低減するといった、選択的電力分配256を行うようにも構成されている。クリティカルな末端負荷部品270は、例えばその時点の航空機動作252及び末端部品優先度254に従って、クリティカル末端部品決定部250によって、動的に決定される。クリティカルな末端負荷部品248は、航空機動作252の種類に依存する。例えば、離陸中にクリティカル270である末端負荷部品248は、着陸中にクリティカル270であるものとは異なり、これらの両方が、水平飛行中にクリティカル270であるものとは異なる場合がある。末端部品優先度254は、航空機動作252に基づいて、決定することができる。従って、すべての末端負荷部品248にフルに給電するには電力が不十分である場合、末端負荷部品248のうちの最もクリティカル270であるものに優先度が与えられ、少なくともこれらの末端負荷部品248がフルに給電されるようにする。これにより、様々な末端部品の階層的な優先順位付けが可能となり、すべての末端部品に給電するには電力が不十分である場合、最も重要な末端部品がフルの電力を受け取り、他の重要度の低い部品は、フル電力より少ない電力を受け取るか、電力を受け取らないようにすることができる。
【0031】
配電制御ユニット218の各々は、末端負荷部品248のうちの1つと対応して、並列配電線244を介して、対応する末端負荷部品248に電力を供給する。並列配電線244の各々は、並列配電線244のうちの一方を介した電力が失われると、並列配電線244のうちの他方が、末端負荷部品248のうちの対応する1つにフルの電力を供給するように、末端部品に電力を供給する。1つの電線で電力が失われない限りは、並列配電線244の各々が、電力の一部のみを、末端負荷部品248のうち対応する1つに供給する。このように電力を供給することにより、並列配電線244の寿命が延びる。
【0032】
配電制御装置214は、複数の可変回路遮断器242を含んでおり、これらの複数の可変回路遮断器242の各々は、配電制御ユニット218のうちの対応する1つにおける配電制御回路240と対応している。配電制御装置214は、感知電圧及び感知電流レベル、内部の配電回路240におけるスパイク(spikes)、及び、内部の配電回路240における遮断の監視260を行うように構成されている。配電制御装置214は、故障を示す感知電圧レベル234、故障を示す感知電流レベル236、故障を示す感知電力レベル238のうちの少なくとも1つを故障検出部232が検出すると、可変回路遮断器242によって、複数の配電制御回路240のうちの対応するものの遮断230を行うように構成されている。可変回路遮断器242の各々は、其々の設定可能範囲を有しており、各設定可能範囲は、感知電圧、電流、及び電力のレベルに加えて、複数の条件のうちの少なくとも1つに基づいて、其々の配電制御回路240の動作の遮断230が行われるように、調節されている。上記複数の条件は、例えば、其々の末端負荷部品までの引き回し長さ(すなわち、電力接続)、其々の末端負荷部品248までの距離222、其々の末端負荷部品248の時間226による負荷の変化、及び、其々の末端負荷部品248の温度228の変化による負荷の変化のうちの少なくとも1つを含む。可変回路遮断器242の其々の選択可能範囲は、動的に決定され、末端負荷部品248によって異なりうる。選択可能範囲は、航空機動作252及び/又は末端部品優先度254に従って決定することもできる。従って、可変回路遮断器242が所与の末端負荷部品248の電力を遮断するレベルは、クリティカルな末端部品が適切に給電されるように、航空機のその時点の動作(例えば、離陸、着陸、水平飛行など)及び/又は末端部品優先度254に応じて、その時々で変化しうる。
【0033】
配電制御ユニット218の各々からの並列配電線244は、通信ユニット212からの通信線262のうちの対応するものとの結束246がなされて、末端負荷部品248への結束電力及び通信線264を形成している。末端負荷部品248の各々は、配電制御ユニット218及び通信ユニット212の其々のうちの1つと対応しており、各末端負荷部品が、固有の結束電力及び通信線264を有している。一実施形態において、並列配電線244は、対になった並列配電線である。
【0034】
次に、
図3を参照すると、同図には、例示的な実施形態によるビークルの配電システムが図示されている。システム300は、
図2に示した航空機200などの航空機に実装することができるVMSの一例である。システム300は、複数のビークル管理システム(VMS)コンピュータ302、及び、複数の末端部品308を含む。各VMSコンピュータは、内蔵された配電制御装置304及び内蔵された決定的(deterministic)通信ユニット306を含む。配電制御装置304及び決定的通信ユニット306の両方が、バスによってVMSコンピュータ302に接続されている。VMSコンピュータ302は、
図2のデータ処理システム202として実現することができ、配電制御装置304は、
図2の配電制御装置214として実現することができ、決定的通信ユニット306は、
図2の通信ユニット212のうちの1つとして実現することができる。
【0035】
各決定的通信ユニット306は、末端部品308のうちの対応する1つならびにその他の末端システムと通信する。各配電制御装置304は、1つ又は複数の電源から交流電力、直流電力、及びバッテリ電力を受け取り、末端部品308のうちの対応する1つにクリーンな電力出力を提供する。配電制御装置304からの配電線は、決定的通信ユニット306からの通信線と結束されて、統合通信及び電力線310を形成している。これによれば、すべての通信線及び電力線を担持する単一の結束または統合されたケーブルが提供されるため、航空機の組み立ての際に、各末端部品308について、一度の配線引きだけでよく、配線を簡単にすることができる。また、このように、一度の配線引きだけでよいことにより、航空機の組み立て中の配線をスピードアップできる。加えて、単一の統合ケーブルのような統合通信電力線310は、航空機の全体重量を低減するとともに、配線が占める体積も低減する。配電制御装置304は、末端部品308のうちの対応するものに、その末端部品308に適した方式(例えば、交流方式又は直流方式)で電力を与える。配電制御装置304は、バッテリ電力を用いて、いくつかの末端部品に電力を供給してよもい。加えて、いくつかの末端部品を、通常はバッテリ電力以外の電源を用い、通常の電源が故障した際には、バッテリによって給電されるようにしてもよい。
【0036】
次に
図4を参照すると、同図には、複数の末端負荷部品に電力を選択的に供給するための方法のフローチャートが、例示的な実施形態に従って図示されている。方法400は、例えば、
図2に示したビークル管理システム201において実施することができる。一実施形態において、方法400は、
図2に示した配電制御装置214で実施される。方法400は、複数の末端部品の各々の電力負荷を監視すること(工程402)によって開始する。次に、この電力負荷に従って、複数の末端部品の各々に供給される電力を調節する(工程404)。次に、航空機の動作モード(例えば、離陸、着陸、水平飛行など)が判定される(工程406)。次に、航空機の動作モード及び末端部品の性質(例えば末端部品によって実現される機能)に従って、末端部品の優先順位付けが行われる(工程408)。次に、すべての末端部品にフルに給電するのに十分な電力があるかどうかが判定される(工程410)。工程410において、すべての末端部品にフルに給電するには電力が不十分であると判定された場合、方法400は工程412に進み、最もクリティカルな末端部品がフルの電力を受け取るよう、末端部品の優先度に従って、複数の末端部品の各々に供給される電力が調節される。すべての末端部品にフルに給電する十分な電力があると判定された場合、方法400は工程414に進み、配電線又は末端部品のうちの1つに故障が発生しているかどうかが判定される。故障が発生していない場合、方法400は、終了しうる。故障が発生している場合、方法400は、工程416に進み、故障が発生している箇所に対応する個別の配電回路への電力を遮断又はシャットダウンし、その後、方法400は、終了しうる。
【0037】
次に、
図5を参照すると、可変回路遮断器を調節するための方法のフローチャートが、例示的な実施形態に従って図示されている。方法500は、末端部品の各々について、感知電圧レベル、感知電流レベル、感知電力レベル、電力スパイク、及び、各末端部品用の電源における電力遮断を監視すること(工程502)によって開始する。次に、電力負荷に従って、複数の末端部品の各々に供給される電力を調節する(工程504)。次に、航空機の動作モードを判定し(工程506)、次に、動作モード及び各個別の末端部品の性質に従って、末端部品の優先順位付けが行われる(工程508)。次に、感知電圧レベル、感知電流レベル、感知電力レベル、電力スパイク、電力遮断、航空機の動作モード、及び、末端部品の優先度に従って、可変回路遮断器が動的に調節される(工程510)。可変回路遮断器を調節することにより、システムによって、その時点の電力条件に基づいて部品の損傷を防止又は抑制することができるとともに、優先度の高い末端部品を確実に機能状態に維持することができる。その後、方法500は終了する。
【0038】
次に
図6を参照すると、同図には、一対の配電線によって末端負荷部品に電力を供給するための方法のフローチャートが、例示的な実施形態に従って図示されている。方法600は、一対の配電線のうちの第1配電線の第1電力レベル、及び、当該対の配電線のうちの第2配電線の第2電力レベルを求めること(工程602)によって開始する。次に、当該対の配電線を介して、末端負荷部品に電力を送給する(工程604)。次に、当該対の配電線のうちの一方において、電力送給が遮断されたかどうかを判定する(工程606)。遮断されていない場合、方法600は、終了しうる。当該対の配電線のうちの一方において、電力送給が遮断されていた場合、当該対の配電線のうちの残りの一方を介して末端部品にフル電力を供給できるように、電力送給を再調節し(工程608)、その後、方法600は、終了しうる。
【0039】
次に、
図7を参照すると、同図には、例示的な実施形態によるデータ処理システムのブロック図が示されている。データ処理システム700は、
図2に示したVMS201、データ処理システム202、及び/又は、配電制御装置214を実現するために用いられうる。データ処理システム700はまた、
図3に示したVMSコンピュータ302及び/又は配電制御装置304を実現するために用いられうる。図示のように、データ処理システム700は、通信フレームワーク702を含み、当該通信フレームワークは、プロセッサユニット704と、記憶装置706と、通信ユニット708と、入出力ユニット710と、表示装置712との間の通信を実現する。場合によっては、通信フレームワーク702は、バスシステムとして実現される。
【0040】
プロセッサユニット704は、所定数の動作を行うためのソフトウェアに対する命令を実行するように構成されている。プロセッサユニット704は、個々の実施形態によって、所定数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/又は他のタイプのプロセッサを含みうる。場合によっては、プロセッサユニット704は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラマブルロジックデバイスなどのハードウェアユニット、又は、他の適切なタイプのハードウェアユニットの形態をとりうる。
【0041】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又は、プロセッサユニット704によって実行されるプログラムに対する命令は、記憶装置706に保存することができる。記憶装置706は、通信フレームワーク702を介して、プロセッサユニット704と通信しうる。ここで、記憶装置は、コンピュータ可読記憶装置とも称されるものであり、一時的及び/又は永続的に情報を記憶することができる任意のハードウェアである。この情報には、限定するものではないが、データ、プログラムコード、及び/又は他の情報が含まれうる。
【0042】
メモリ714及び永続記憶装置716は、記憶装置706の例である。メモリ714は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の種類の揮発性もしくは不揮発性の記憶装置の形態をとっていてもよい。永続記憶装置716は、任意の数のコンポーネント又はデバイスを含みうる。例えば、永続記憶装置716は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書き換え可能光ディスク、書き換え可能磁気テープ、又は、これらの適当な組合せであってもよい。永続記憶装置716によって使用される媒体は、取り外し可能であってもよいし、取り外しのできないものであってもよい。
【0043】
通信ユニット708は、データ処理システム700が、他のデータ処理システムや装置と通信することを可能にする。通信ユニット708は、物理的通信リンク及び/又は無線通信リンクを用いた通信を実現しうる。
【0044】
入出力ユニット710は、データ処理システム700に接続されている他の装置からの入力の受信や、これらの他の装置に対する出力の送信を可能にする。例えば、入出力ユニット710は、キーボード、マウス、及び/又は他の適当な種類の入力装置を介したユーザー入力の受信を可能にする。別の例として、入出力ユニット710は、データ処理システム700に接続されているプリンタへの出力の送信を可能にする。
【0045】
表示装置712は、ユーザーに対して情報を表示するように構成されている。表示装置712は、例えば、限定するものではないが、モニター、タッチスクリーン、レーザディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、仮想ディスプレイデバイス、及び/又は他の適当な種類のディスプレイ装置を含む。
【0046】
この例示的な実施例において、様々な例示的な実施形態のプロセスは、プロセッサユニット704によって、コンピュータ実行可能命令を用いて実行することができる。これらの命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称され、プロセッサユニット704内の1つ又は複数のプロセッサによって読み取り及び実行することができる。
【0047】
これらの例において、プログラムコード718は、例えば、関数型で記述されて、選択的に取り外し可能なコンピュータ可読媒体720上に配置されたものであって、データ処理システム700にロード又は転送され、プロセッサユニット704によって実行される構成であってもよい。プログラムコード718とコンピュータ可読媒体720とで、コンピュータプログラム製品722を形成している。この例示的な実施例において、コンピュータ可読媒体720は、コンピュータ可読記憶媒体724又はコンピュータ可読信号媒体726であってもよい。
【0048】
コンピュータ可読記憶媒体724は、プログラムコード718を伝える又は送信する媒体というよりはむしろ、プログラムコード718を記憶するために用いられる物理的すなわち有形の記憶装置である。コンピュータ可読記憶媒体724は、例えば、限定するものではないが、光ディスク又は磁気ディスク、あるいはデータ処理システム700に接続された又は永続記憶装置である。
【0049】
これに代えて、コンピュータ可読信号媒体726を用いて、プログラムコード718をデータ処理システム700に伝送してもよい。コンピュータ可読信号媒体726は、例えば、プログラムコード718を含む伝達データ信号であってもよい。このデータ信号は、物理的及び/又は無線通信リンクを介して送信可能な電磁信号、光信号、及び/又は他の適当な種類の信号であってもよい。
【0050】
本開示の実施形態は、
図8に示す航空機の製造及び保守方法800に関連させて、また、
図9に示す航空機900に関連させて説明することができる。まず
図8を参照すると、同図には、例示的な実施形態による航空機の製造及び保守方法が示されている。生産開始前において、航空機の製造及び保守方法800は、
図9の航空機900の仕様決定及び設計802と、材料調達804とを含む。
【0051】
製造中には、航空機900の部品及びサブアセンブリの製造806、及び、システム統合808が行われる。その後、航空機900は、認証及び納品810を経て、就航812の期間に入る。顧客による就航812の期間中は、航空機900は、定期的な整備及び保守814のスケジュールに組み込まれ、これは、改良、再構成、改修、及び他の適当な保守を含みうる。
【0052】
航空機の製造及び保守方法800の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータによって実行又は実施することができる。これらの例において、オペレータは顧客の場合もある。なお、システムインテグレータは、限定するものではないが、航空機メーカ、及び、主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、及び、供給業者をいくつ含んでいてもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0053】
次に、
図9を参照すると、同図には、例示的な実施形態が実施される航空機が図示されている。この例において、航空機900は、
図8に示す航空機の製造及び保守方法800によって製造され、複数のシステム904及び内装906を有する機体902を含みうる。システム904の例としては、推進系908、電気系910、油圧系912、及び、環境系914のうちの1以上が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、様々な例示的な実施形態を、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
【0054】
本明細書において具体化される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法800の工程のうちの少なくとも1つにおいて採用することができる。1つ又は複数の例示的な実施形態を、
図8の部品及びサブアセンブリの製造806において用いてもよい。例えば、配電制御装置214を、航空機の製造及び保守方法800において、航空機100に設置してもよい。
【0055】
図示された様々な実施形態のフローチャート及びブロック図は、例示的な実施形態における装置及び方法のいくつかの考えられる実施態様の構造、機能、及び動作を示すものである。この点に関し、フローチャートやブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、または処理や工程の一部のうちの少なくとも1つを表しうる。例えば、これらのブロックのうち1つ又は複数は、プログラムコードとして実現することができる。
【0056】
例示的な実施形態のいくつかの代替の態様において、ブロックに示した機能を、図に示した順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックを、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。また、フローチャート又はブロック図に示したブロックに対して、さらに他のブロックを追加してもよい。
【0057】
様々な例示的な実施形態の説明は、例示および説明のために提示したものであり、すべてを網羅することや、開示した形態での実施に限定することを意図するものではない。当業者には、多くの改変や変更が明らかであろう。また、例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態とは異なる特徴を含みうる。上述した1つ又は複数の実施形態は、実施形態の原理および実際の用途を最も的確に説明するとともに、当業者が、想定した特定の用途に適した種々の改変を加えた様々な実施形態のための開示を理解できるようにするために、選択および記載したものである。