(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】熱可塑性装填材料を予熱するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B29B 13/02 20060101AFI20241113BHJP
B29C 31/00 20060101ALI20241113BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B29B13/02
B29C31/00
B29C70/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020083310
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ランドン ケー.ヘンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ハル
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-018948(JP,B1)
【文献】特公昭47-050253(JP,B1)
【文献】特開2004-299893(JP,A)
【文献】特開平08-001670(JP,A)
【文献】特開2019-010864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0118415(US,A1)
【文献】米国特許第3424827(US,A)
【文献】実開昭51-119372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 13/02
B29C 31/00
B65G 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性装填材料(102)を予熱するためのシステム(100)であって、
入口(106)及び出口(108)を有する導管(104)と、
前記導管を通って前記入口から前記出口に気体(134)を移動させるように構成された気体移動ユニット(110)と、
前記気体を加熱するために、前記入口と前記出口との間に配置された加熱アセンブリ(112)と、
前記導管と流体連通する、熱可塑性母材(118)を含む熱可塑性粒状材料(116)を収容する保持容器(114)と、を含み、
前記保持容器から前記熱可塑性粒状材料が前記
気体に導入されて、気体‐粒子混合物(140)が形成され、前記気体‐粒子混合物は、前記導管を通って、前記導管の前記出口に移動する
ものであり、
前記熱可塑性粒状材料(116)は、強化繊維(122)をさらに含む、システム。
【請求項2】
前記導管(104)の前記出口(108)から受けた前記熱可塑性粒状材料(116)を圧縮成形するための金型(120)をさらに含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記熱可塑性粒状材料(116)は、複数のフレーク(144)の形態である、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
熱可塑性装填材料(102)を予熱するためのシステム(100)であって、
入口(106)及び出口(108)を有する導管(104)と、
前記導管を通って前記入口から前記出口に気体(134)を移動させるように構成された気体移動ユニット(110)と、
前記気体を加熱するために、前記入口と前記出口との間に配置された加熱アセンブリ(112)と、
前記導管と流体連通する、熱可塑性母材(118)を含む熱可塑性粒状材料(116)を収容する保持容器(114)と、を含み、
前記保持容器から前記熱可塑性粒状材料が前記気体に導入されて、気体‐粒子混合物(140)が形成され、前記気体‐粒子混合物は、前記導管を通って、前記導管の前記出口に移動するものであり、
前記熱可塑性母材(118)は、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、及び、ポリエーテルケトンケトン‐fcグレードからなる群から選択される
、システム(100)。
【請求項5】
前記加熱アセンブリ(112)は、
前記導管(104)を囲む誘導コイル(124)と、
前記誘導コイル(124)と前記気体(134)との間に配置されたサセプタ(126)と、を含み、
前記誘導コイルは、前記サセプタに渦電流加熱を発生させ、
前記熱可塑性母材(118)は、融点(136)を有し、
前記サセプタは、キュリー温度(138)を有し、
前記サセプタの前記キュリー温度は、前記熱可塑性母材の前記融点より低い、請求項1~
4のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記サセプタ(126)は、強磁性材料(146)を含む、請求項
5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記サセプタ(126)は、
前記導管(104)に内蔵されているか、
前記導管の外部に位置しているか、
前記導管の内部に位置しているか、のいずれかであり、前記サセプタが前記導管の内部に位置している場合、前記サセプタは、前記気体(134)及び前記気体‐粒子混合物(140)のうちの少なくとも1つが通る、少なくとも1つの流路(128)を形成する、請求項
5又は6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
複数の加熱アセンブリ(112)を含み、
第1の加熱アセンブリは、前記気体(134)に対する前記熱可塑性粒状材料(116)の導入位置の上流側に位置して、前記気体を加熱し、
第2の加熱アセンブリは、前記気体に対する前記熱可塑性粒状材料の前記導入位置の下流側に位置して、前記気体‐粒子混合物(140)を加熱する、請求項1~
7のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記加熱アセンブリ(112)を制御するように構成された制御装置(130)と、
前記制御装置に連結されるとともに、前記導管(104)を通って移動する前記気体(134)の温度を測定するように配置された温度センサ(132)と、をさらに含む、請求項1~
8のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項10】
熱可塑性装填材料(102)を予熱するためのシステム(100)であって、
入口(106)及び出口(108)を有する導管(104)と、
前記導管を通って前記入口から前記出口に気体(134)を移動させるように構成された気体移動ユニット(110)と、
前記気体を加熱するために、前記入口と前記出口との間に配置された加熱アセンブリ(112)と、
前記導管と流体連通する、熱可塑性母材(118)を含む熱可塑性粒状材料(116)を収容する保持容器(114)と、を含み、
前記保持容器から前記熱可塑性粒状材料が前記気体に導入されて、気体‐粒子混合物(140)が形成され、前記気体‐粒子混合物は、前記導管を通って、前記導管の前記出口に移動するものであり、
前記加熱アセンブリ(112)は、
前記導管(104)を囲む誘導コイル(124)と、
前記誘導コイル(124)と前記気体(134)との間に配置されたサセプタ(126)と、を含み、
前記誘導コイルは、前記サセプタに渦電流加熱を発生させ、
前記熱可塑性母材(118)は、融点(136)を有し、
前記サセプタは、キュリー温度(138)を有し、
前記サセプタの前記キュリー温度は、前記熱可塑性母材の前記融点より低い、システム(100)。
【請求項11】
複数の加熱アセンブリ(112)を含み、
第1の加熱アセンブリは、前記気体(134)に対する前記熱可塑性粒状材料(116)の導入位置の上流側に位置して、前記気体を加熱し、
第2の加熱アセンブリは、前記気体に対する前記熱可塑性粒状材料の前記導入位置の下流側に位置して、前記気体‐粒子混合物(140)を加熱する、請求項
10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記加熱アセンブリ(112)を制御するように構成された制御装置(130)と、
前記制御装置に連結されるとともに、前記導管(104)を通って移動する前記気体(134)の温度を測定するように配置された温度センサ(132)と、をさらに含む、請求項
10又は11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
熱可塑性装填材料(102)を予熱するための方法(1000)であって、
導管(104)を通る気体(134)の流れを生成すること(1002)と、
前記気体の前記流れに熱可塑性粒状材料(116)を導入して、気体‐粒子混合物(140)を生成すること(1004)と、
前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、加熱アセンブリ(112)を用いて加熱して、加熱気体‐粒子混合物(142)を生成すること(1006)と、
前記加熱気体‐粒子混合物を金型(120)に投入すること(1018)と、を含
み、
前記熱可塑性粒状材料(116)は、強化繊維(122)をさらに含む、方法(1000)。
【請求項14】
前記加熱アセンブリ(112)を用いて、前記気体(134)及び前記気体‐粒子混合物(140)のうちの少なくとも1つを加熱して、前記加熱気体‐粒子混合物(142)を生成すること(1006)は、
前記導管(104)を囲む誘導コイル(124)を用いて、磁場を誘起すること(1008)と、
前記導管を通って移動する前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つと前記誘導コイルとの間の磁場内に配置されたサセプタ(126)を加熱すること(1010)と、を含む、請求項13に記載の方法(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、複合材料の製造に関し、より具体的には、圧縮成形用の熱可塑性装填材料を予熱することに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、高強度且つ軽量であるため、幅広い用途を有しており、航空宇宙産業、自動車産業、及びその他の産業において、一般的に用いられている。熱可塑性複合材料の圧縮成形は、複合材部品を製造する1つの手法である。しかしながら、圧縮金型及び熱可塑性材料を成形温度まで加熱するのに要する熱サイクルタイムが長いため、複合材部品を生産する速度には限界がある。従って、当業者は、熱可塑性複合材料の圧縮成形の分野において、研究及び開発努力を続けており、上述した事柄に対処するためのシステム及び方法は、有用性があろう。
【発明の概要】
【0003】
以下に、本発明による要旨の実施例を列挙するが、これらは包括的なものではなく、また、請求項に記載されているものと記載されていないものとが含まれうる。
【0004】
一実施例において、熱可塑性装填材料を予熱するための開示のシステムは、入口及び出口を有する導管と、前記導管を通って前記入口から前記出口に気体を移動させるように構成された気体移動ユニットとを含む。当該システムは、前記気体を加熱するために、前記入口と前記出口との間に配置された加熱アセンブリも含む。当該システムは、前記導管と流体連通する保持容器をさらに含む。保持容器は、熱可塑性粒状材料を収容する。熱可塑性粒状材料は、熱可塑性母材を含む。気体‐粒子混合物が、前記導管を通って、前記導管の前記出口に移動する。
【0005】
一実施例において、熱可塑性装填材料を予熱するための開示の方法は、(1)導管を通る気体の流れを生成する工程、(2)前記気体の前記流れに熱可塑性粒状材料を導入して、気体‐粒子混合物を生成する工程、(3)前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、加熱アセンブリを用いて加熱して、加熱気体‐粒子混合物を生成する工程、及び、(4)前記加熱気体‐粒子混合物を金型に投入する工程を含む。
【0006】
別の実施例において、熱可塑性装填材料を予熱するための開示の方法は、(1)導管を囲む誘導コイルを用いて、磁場を誘起する工程、(2)前記導管を通って移動する前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つと前記誘導コイルとの間の磁場内に配置されたサセプタを、前記熱可塑性粒状材料の熱可塑性母材の融点よりも低い、前記サセプタのキュリー温度まで加熱する工程、(3)前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを前記サセプタに接触させること、又は、前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、前記サセプタによって形成された流路を通って移動させること、のいずれかによって加熱する工程、を含む。
【0007】
本開示のシステム及び方法の他の実施例は、以下の詳細な説明、添付図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】熱可塑性装填材料を予熱するための本開示のシステムの一例の概略ブロック図である。
【
図2】
図1のシステムの一例の概略斜視断面図である。
【
図3】
図1のシステムにおける加熱アセンブリの一例の概略側断面図である。
【
図4】
図1のシステムにおける加熱アセンブリの一例の概略側断面図である。
【
図5】
図1のシステムにおける加熱アセンブリの一例の概略側断面図である。
【
図6】
図1のシステムにおける加熱アセンブリの一例の概略側断面図である。
【
図7】
図6に示したサセプタの一例の概略正面断面図である。
【
図8】熱可塑性装填材料を予熱するための本開示の方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】航空機の製造及び保守方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照しているが、これらの図面は、本開示における、ある特定の実施例を示すものである。これらとは異なる構造及び動作を有する他の実施例も、本開示の範囲から逸脱するものではない。同じ参照数字は、異なる図面においても、同一の特徴、要素、又はコンポーネントを表す場合がある。
【0010】
本開示による要旨の例示的且つ非排他的な実施例を、特許請求の範囲に記載のものも、記載していないものも含め、以下に述べる。本明細書において「実施例」という場合は、当該実施例に関連して述べる1つ以上の特徴、構造、要素、コンポーネント、特性、及び/又は動作工程が、本開示による要旨の少なくとも1つの実施形態及び/又は実施態様に含まれることを意味している。従って、「一実施例」、「別の実施例」、「1つ以上の実施例」並びに、本開示の全体にわたるこれらに類する文言は、同じ実施例に言及している場合があるが、必ずしもそうとは限らない。また、任意の一実施例を特徴付ける構成要件が、任意の他の実施例を特徴付ける構成要件を含む場合があるが、必ずしもそうとは限らない。さらに、任意の一実施例を特徴付ける構成要件が、任意の他の実施例を特徴付ける構成要件と組み合わさっている場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。
【0011】
図1~
図8を参照しつつ、本開示では、熱可塑性装填材料(thermoplastic charge)を予熱するためのシステム及び方法を例示的に説明する。概して、本開示のシステム及び方法は、熱可塑性粒状材料を予熱して、圧縮成形用の金型に搬送する。熱可塑性粒状材料が金型に入る前に当該材料を加熱することにより、圧縮成形作業の完了に要する熱サイクルタイムが改善する。
【0012】
図1及び
図2は、熱可塑性装填材料102を予熱するための本開示のシステム100の実施例を、概略的に示している。システム100は、導管104を含む。導管104は、入口106及び出口108を有する。当該システム100は、気体移動ユニット110も含む。気体移動ユニット110は、導管104を通って入口106から出口108に気体134を移動させるように構成されている。システム100は、加熱アセンブリ112をさらに含む。加熱アセンブリ112は、入口106と出口108との間に位置し、導管104を通って移動する気体134を加熱する。システム100は、保持容器114も含む。保持容器114は、導管104と流体連通している。保持容器114は、熱可塑性粒状材料を収容する。熱可塑性粒状材料116は、熱可塑性母材118を含む。導管104を通って移動する気体134が、熱可塑性粒状材料116を、導管104の出口に搬送する。従って、気体‐粒子混合物140が、導管104を通って、導管104の出口108に移動する。
【0013】
開示のシステム100によれば、熱可塑性粒状材料116を、融点より低い温度まで予熱して、予熱状態で圧縮金型に導入することが可能となる。本開示は、従来の圧縮成形技術では、金型が加熱されて、金型内の熱可塑性材料を金型が成形温度まで加熱するということを、認識している。しかしながら、熱可塑性材料の熱伝導率は比較的低いため、熱可塑性材料が成形温度に到達するには、金型が当該温度に到達するよりも、かなり長い時間を要する。熱可塑性粒状材料116を予熱しておくことで、熱可塑性粒状材料116を成形温度まで到達させるのに必要な熱サイクルタイムを短縮できるという利点がある。
【0014】
一実施例において、導管104は、気体134及び熱可塑性粒状材料116を運ぶように構成された、閉じた断面を有するチャネルを含むか、あるいはこのようなチャネルの形態である。例えば、導管104は、管状部材である。導管104は、気体134を、入口106から出口108に運ぶ。熱可塑性粒状材料116を導管104に導入して気体134と混合した後は、導管104は、気体‐粒子混合物140を出口108に運ぶ。本明細書において、「気体‐粒子混合物」とは、気体134と熱可塑性粒状材料116との混合物のことをいう。
【0015】
一実施例において、気体移動ユニット110は、気体134及び気体‐粒子混合物140を導管104を通って移動させるのに十分な力を供給するように構成された、例えばファンやブロワーなどの種々の適当な機械のうちの任意の1つであるか、あるいはそれを含む。気体移動ユニット110は、導管104の入口106と流体連通することにより、導管104を通る気体134の流れを形成する。一実施例では、気体移動ユニット110は、導管104の入口106に連結されている。
【0016】
一実施例において、加熱アセンブリ112は、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを加熱して加熱気体‐粒子混合物142を生成するために、導管104の少なくとも一部及び/又は導管104の内部空間の少なくとも一部を十分に加熱するように構成された、種々の適当なヒータのうちの任意の1つであるか、あるいはそれを含む。加熱気体‐粒子混合物142は、導管104を通って、出口108に移動する。一実施例において、加熱アセンブリ112は、導管104及び/又は導管104の内部空間のうちの少なくとも1つと伝熱接続した抵抗ヒータを含む。別の実施例において、以下に詳述するように、加熱アセンブリ112は、導管104及び/又は導管104の内部空間のうちの少なくとも1つと伝熱接続した誘導加熱器を含む。
【0017】
一実施例において、保持容器114は、所与の量の熱可塑性粒状材料116を保持するとともに、導管104を通って移動する気体134の流れに熱可塑性粒状材料116を導入するように構成された種々の中空コンテナのうちの任意の1つであるか、あるいはそれを含む。一実施例において、保持容器114は、ホッパーを含む。保持容器114は、導管104に連結されるとともに、熱可塑性粒状材料116を導管104内の気体134の流れに導入できるよう、導管104の内部空間と流体的又は空間的に連通している。熱可塑性粒状材料116の導管104内への導入位置150(
図2)(例えば、保持容器114が導管104に連結されている位置)は、入口106と出口108との間である。一実施例において、保持容器114は、導管104内への熱可塑性粒状材料116の排出及び投入のために選択的に開閉される操作開口部148(
図2)を有する。
【0018】
一実施例において、システム100は、金型120を含む。金型120は、導管104の出口108から受けた熱可塑性粒状材料116を圧縮成形するように構成されている。一実施例において、金型120は、熱可塑性装填材料102を1つ以上の熱可塑性複合材部品に圧縮成形するために用いられる圧縮成形機の少なくとも一部を構成している。すなわち、熱可塑性複合材部品152(
図1)は、圧縮成形機内で圧縮成形される。金型120は、少なくとも1つの金型キャビティ又は材料貯留部を含んでおり、その幾何学形状が、作製される熱可塑性複合材部品152の輪郭を定める。様々な実施例において、任意の適当な成形装置及び手法を用いることができる。
【0019】
本明細書において、「熱可塑性装填材料」とは、金型120の金型キャビティに装填又は投入される、所与の量の熱可塑性粒状材料116のことをいう。本明細書に開示のシステム100及び方法1000の実施例によれば、熱可塑性装填材料102は、導管104を通って移動する熱可塑性粒状材料116を予熱することによって、予熱される。一実施例において、金型120に装填される熱可塑性粒状材料116の量を管理することによって、熱可塑性装填材料102の体積が、事前選択及び制御される。
【0020】
開示のシステム100を用いて熱可塑性母材118を含む熱可塑性粒状材料116を予熱し、熱可塑性複合材部品152を作製する一実施例において、予熱された熱可塑性装填材料102(例えば、所与の量の予熱された熱可塑性粒状材料116)は、導管104の出口108から金型120に装填される。(例えばランダムに配向された)熱可塑性粒状材料116の熱可塑性装填材料102は、熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118が溶融して成形可能になるまで、金型120内でさらに加熱される。成形された熱可塑性装填材料102は、その後、冷却及び固化して、熱可塑性複合材部品152を形成する。
【0021】
一実施例において、熱可塑性母材118は、比較的粘度の高い熱可塑性樹脂を含む。例として、熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及び、ポリエーテルケトンケトン‐fcグレード(PEKK‐FC)のうちの少なくとも1つを含む。熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118の他の例も考えられる。
【0022】
概括的に
図1を参照すると、一実施例において、熱可塑性粒状材料116は、強化繊維122を含む。一実施例において、強化繊維122は、様々な高強度繊維のうちの任意の1つ以上を含む。例として、熱可塑性粒状材料116の強化繊維122は、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、及び、ガラス繊維のうちの少なくとも1つを含む。熱可塑性粒状材料116の強化繊維122の他の例も考えられる。別の実施例において、熱可塑性粒状材料116は、金属粒子、セラミック粒子、又はウィスカーなどの、他の種類の補強材を含む。
【0023】
開示のシステム100を用いて、熱可塑性母材118と強化繊維122とを含む熱可塑性粒状材料116を予熱して、熱可塑性複合材部品152を作製する一実施態様において、予熱された熱可塑性装填材料102(例えば、所与の量の予熱された熱可塑性粒状材料116)は、導管104の出口108から金型120に装填される。(例えばランダムに配向された)熱可塑性粒状材料116の熱可塑性装填材料102は、熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118が溶融して成形可能となるまで、金型120内でさらに加熱され、溶融熱可塑性粒状材料116と強化繊維122との成形可能混合物となる。成形された熱可塑性装填材料102は、その後、冷却及び固化して、熱可塑性複合材部品152を形成する。
【0024】
一実施例において、熱可塑性粒状材料116は、熱可塑性粒状材料116の複数のフレーク144の形態である。フレーク144は、気体134から熱可塑性粒状材料116への効率的な熱伝達に有利な幾何学形状を実現する。
【0025】
一実施例において、複数のフレーク144は、熱可塑性樹脂(例えば熱可塑性母材118)を事前含侵させた単方向繊維(例えば強化繊維122)から形成される。本実施例において、熱可塑性装填材料102は、熱可塑性樹脂が注入されたランダム配向の繊維フレークの形態を取りうる。本実施例では、熱可塑性複合材部品152を形成する熱可塑性材料の供給源は、複数のフレーク144(例えば樹脂注入繊維フレーク)に含まれた熱可塑性母材に由来する。ただし、代替の実施例において、熱可塑性粒状材料116の複数のフレーク144は、乾燥繊維フレーク(例えば樹脂を事前含侵させていない強化繊維122)、及び、熱可塑性樹脂フレーク(例えば熱可塑性母材118)を含む。この実施例では、熱可塑性装填材料102の繊維含有量を、より良好に制御することができる。
【0026】
一実施例において、複数のフレーク144は、例えば、限定するものではないが、繊維プリプレグテープを細断する回転チョッパーを用いて、あるいは、高繊維含有量のプリプレグテープのロールもしくはストリップ、又は高繊維含有量のプリプレグのシートから個々の形状片を型抜きすることによって、形成することができる。複数のフレーク144を形成するための他の製造方法も考えられる。
【0027】
複数のフレーク144は、例えば種々の形状のうちの任意の1つ以上を有しており、このことは、例えば、金型120の金型キャビティ内の熱可塑性母材118と強化繊維122との溶融混合物内において、強化繊維122を分散させランダムに配向させることに役立つ。複数のフレーク144の固有の形状は、混合物内に様々な長さの補強材を導入することによって、熱可塑性複合材部品152に準等方性の機械的特性を与えることにも役立つ。
【0028】
他の実施例において、熱可塑性粒状材料116は、複数の球体状の熱可塑性粒状材料116や、複数の楕円体状の熱可塑性粒状材料116など、他の様々な形状のうちの任意の1つを有する。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、一実施例において、加熱アセンブリ112は、誘導加熱器の形態をとる。(例えば、誘導加熱アセンブリである。)加熱アセンブリ112は、誘導コイル124を含む。誘導コイル124は、導管104を囲んでいる。加熱アセンブリ112は、サセプタ126も含む。サセプタ126は、誘導コイル124と、導管104を通って移動する気体134及び/又は気体‐粒子混合物140との間に配置されている。誘導コイル124は、サセプタ126に渦電流加熱を発生させる。
【0030】
図2を参照すると、一実施例において、誘導コイル124は、導管104の外部(例えば外側)の少なくとも一部に巻回されている。誘導コイル124の両端には、電源154が接続されている。電源154は、誘導コイル124に交流(AC)を流すことができる。誘導コイル124の巻線に電流が流れると、磁場が形成される。サセプタ126は、誘導コイル124の磁場内に位置しており、サセプタ126に渦電流が誘起される。渦電流は、サセプタ126を形成している材料の電気抵抗に逆らって流れ、これにより、サセプタ126内に局所的な熱が生成される。これは、誘導加熱と称され、誘導コイル124は、直接的に接触せずにサセプタ126に熱を誘起することができる。
【0031】
図1を参照すると、一実施例において、サセプタ126は、強磁性材料146を含む。例えば、サセプタ126は、強磁性材料146によって形成される。一実施例において、サセプタ126は、コバルト合金、鉄合金、ニッケルと鉄との合金、鉄とシリコンとの合金、非晶質磁性合金、結晶質磁性合金、又はその他の適当な材料のうちの1つを含むか、あるいは、それによって形成されている。
【0032】
サセプタ126は、ワイヤ、ストリップ、プレート、リング、シート、ワイヤの織物などの様々な形態又は形状のうちの任意の1つ、あるいはその他の適当な形状を有しうる。選択される固有の形状は、加熱アセンブリ112の個々の実施態様によって異なる。
【0033】
一実施例において、熱可塑性母材118は、融点136を有する。サセプタ126は、キュリー温度138を有する。サセプタ126のキュリー温度138は、熱可塑性母材118の融点136より低い。一実施例において、サセプタ126(例えばサセプタ126の強磁性材料146)は、そのキュリー温度138が熱可塑性母材118の融点136より低いものが選択される。
【0034】
サセプタ126は、「スマートサセプタ」とも称される場合がある。スマートサセプタは、キュリー温度又はキュリー点と称される閾値温度に到達するまで、効率的に熱を生成する磁性材料又は透磁性材料によって形成された、選択された種類のサセプタである。キュリー温度又はキュリー点とは、特定の磁性材料が、その磁気特性において急激な変化を起こす温度である。一例において、スマートサセプタの一部がキュリー温度に到達すると、これらの部分の透磁率が急激に低下する。透磁率の低下は、2つの効果をもたらす。すなわち、(1)これらのキュリー温度部分による熱の生成が制限されることと、(2)より低温の部分に磁束が移動し、これにより、キュリー温度よりも低い部分がより迅速にキュリー温度まで昇温すること、である。
【0035】
従って、サセプタ126は、誘導コイル124によって誘導加熱されて、熱可塑性粒状材料116の融点136より低い所定の加熱温度まで、熱可塑性粒状材料116を加熱する。サセプタ126によれば、熱可塑性粒状材料116を加熱する温度を、比較的正確に制御することが可能となる。
【0036】
一例において、サセプタ126のキュリー温度138は、熱可塑性母材118の融点136の約50パーセントと約99パーセントとの間である。別の例において、サセプタ126のキュリー温度138は、熱可塑性母材118の融点136の約80パーセントと約95パーセントとの間である。他の例において、サセプタ126のキュリー温度138は、熱可塑性母材118の融点136に対して他の範囲のものも考えられる。
【0037】
図3は、誘導コイル124、サセプタ126、及び、導管104の配置例を概略的に示している。この例では、サセプタ126は、導管104に内蔵されている。一例において、導管104は、管状壁156の形態であるか、あるいはそれを含んでいる。誘導コイル124は、管状壁156の外側に位置しており、導管104の少なくとも一部を囲んでいる。サセプタ126は、導管104を形成している管状壁156に埋設されている。例えば、サセプタ126は、管状壁156の外面158と内面160との間に位置している。管状壁156の内側は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つが通る流路128を形成している。この例では、熱は、サセプタ126から、管状壁156の厚みの一部を通って、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つに伝達される。
【0038】
図4は、誘導コイル124、サセプタ126、及び、導管104の別の配置例を概略的に示している。この例では、サセプタ126は、導管104の外部に位置している。誘導コイル124は、管状壁156の外側に位置しており、導管104の少なくとも一部を囲んでいる。サセプタ126は、導管104を形成している管状壁156の外側に位置している。例えば、サセプタ126は、管状壁156の外面158の少なくとも一部に連結されている。管状壁156の内側は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つが通る流路128を形成している。この例では、熱は、サセプタ126から、管状壁156の厚みを通って、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つに伝達される。
【0039】
図5は、誘導コイル124、サセプタ126、及び、導管104の別の配置例を概略的に示している。この例では、サセプタ126は、導管104の内部に位置している。誘導コイル124は、管状壁156の外側に位置しており、導管104の少なくとも一部を囲んでいる。サセプタ126は、導管104を形成している管状壁156の内側に位置している。例えば、サセプタ126は、管状壁156の内面160の少なくとも一部に連結されている。管状壁156及びサセプタ126の内側は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つが通る流路128を形成している。この例では、熱は、サセプタ126から、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つに伝達される。
【0040】
図6は、誘導コイル124、サセプタ126、及び、導管104の別の配置例を概略的に示している。
図7は、
図6に示したサセプタ126の例を、概略的に示している。この例では、サセプタ126は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つが通る少なくとも1つの流路128を形成している。誘導コイル124は、管状壁156の外側に位置しており、導管104の少なくとも一部を囲んでいる。サセプタ126は、導管104を形成している管状壁156の内側に位置している。例えば、サセプタ126は、材料(例えば強磁性材料146)からなる胴体部164(例えばブロック又はその他の塊)を有しており、当該胴体部は、管状壁156の断面形状に対して相補的な断面形状を有するとともに、管状壁156によって形成される導管104の内部空間の少なくとも一部を埋めるものである。サセプタ126は、胴体部164を通って延びる少なくとも1つのチャネル162を含む。チャネル162は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つが通る流路128を形成又は画定している。この例では、熱は、サセプタ126から、サセプタ126を通って移動する気体134及び/又は気体‐粒子混合物140に伝達される。
【0041】
サセプタ126は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つの流路128を形成する任意の数のチャネル162を有しうる。各チャネル162は、任意の内寸(例えば直径)及び断面形状を有しうる。チャネル162の数、サイズ、及び/又は形状は、導管104の出口108(
図2)を出る前に熱可塑性粒状材料116を十分に加熱するのに必要な加熱特性に基づいて、選択することができる。例えば、小さなチャネル162を数多く設ける方が、大きなチャネル162を少なく設けるよりも、効率的に加熱できる。
【0042】
図2を参照すると、一実施例において、システム100は、複数の加熱アセンブリ112を含む。これらのうちの第1の加熱アセンブリ112は、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置よりも、上流側に位置している。この第1の加熱アセンブリ112は、気体134を加熱する。第2の加熱アセンブリ112は、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置よりも、下流側に位置している。この第2の加熱アセンブリ112は、気体‐粒子混合物140を加熱する。
【0043】
図2に示すように、気体移動ユニット110は、気体134の流れを生成する。気体134は、入口106から導管104に入る。第1の加熱アセンブリ112は、気体134が導管104を通って移動する際に当該気体を加熱して、加熱気体166を生成する。熱可塑性粒状材料116は、導入位置150で保持容器114から導管104に排出され、加熱気体166に導入されて、気体‐粒子混合物140を生成する。本実施例では、熱可塑性粒状材料116が加熱気体166に導入されると、加熱気体166が熱可塑性粒状材料116を加熱し始める。第2の加熱アセンブリ112は、気体‐粒子混合物140が導管104を通って移動する際に当該混合物を加熱して、加熱気体‐粒子混合物142を生成する。加熱気体‐粒子混合物142は、その後、出口108から導管104を出て金型120に投入され、予熱された熱可塑性装填材料102を形成する。
【0044】
明示的に図示はしていないが、他の実施例において、システム100は、導管104に沿って位置する任意の数の追加の加熱アセンブリ112を含むことができる。追加の加熱アセンブリ112は、熱可塑性粒状材料116の導入位置150の上流側に位置して、気体134をさらに加熱してもよいし、これに加えて又は代えて、熱可塑性粒状材料116の導入位置150の下流側に位置して、気体‐粒子混合物140をさらに加熱してもよい。別の実施例において、システム100は、熱可塑性粒状材料116の導入位置150の上流側のみに位置して気体134のみを加熱する、1つ以上の加熱アセンブリ112を含んでいてもよい。別の実施例において、システム100は、熱可塑性粒状材料116の導入位置150の下流側のみに位置して、気体‐粒子混合物140のみを加熱する1つ以上の加熱アセンブリ112を含んでいてもよい。
【0045】
図2を参照すると、一実施例において、システム100は、制御装置130を含む。制御装置130は、加熱アセンブリ112を制御するように構成されている。例えば、制御装置130は、電源154に連結されて、誘導コイル124に供給される電流を効果的に制御する。制御装置130は、電源154に命令を与えて、誘導コイル124に電流を印可させたり、誘導コイル124への電流の印可を停止させたりすることができる。制御装置130は、誘導コイル124に印可する電流の大きさに関して、電源154に命令することもできる。誘導コイル124に印可される電流を制御することにより、磁場の生成が制御され、ひいては、サセプタ126の加熱が制御される。本実施例において、制御装置130は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つの加熱動作を、管理及び自動化することができる。
【0046】
制御装置130は、ハードウェア(例えばプロセッサ及びメモリ)、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含みうる。制御装置130は、自動装置と通信するための適当なインターフェースも含みうる。これらの装置との制御装置130の通信媒体は、有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0047】
別の実施例において、制御装置130又は1つ以上の追加の制御装置は、気体移動ユニット110の制御及び/又は保持容器114からの熱可塑性粒状材料116の排出速度などの、システム100の他の動作を、管理及び自動化するように構成されている。
【0048】
一実施例において、システムは、温度センサ132を含む。温度センサ132は、制御装置130に連結されており、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つの温度を測定するように、配置されている。気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つの温度を測定することにより、気体134及び/又は気体‐粒子混合物140が、熱可塑性粒状材料116を予熱するのに十分な所望の温度にいつ到達するかを判定することができる。本実施例において、制御装置130及び温度センサ132は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つの加熱動作を、管理及び自動化する。例えば、制御装置130及び温度センサ132は、フィードバックループを提供して、誘導コイル124によって生成される磁場を判定及び制御することにより、サセプタ126の加熱温度を調節することができる。
【0049】
この例示的な実施例において、システム100は、複数の温度センサ132を含む。これらのうちの第1の温度センサ132は、第1の加熱アセンブリ112と、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置150との間に位置している。この第1の温度センサ132は、加熱気体166の温度を測定する。第2の温度センサ132は、第2の加熱アセンブリ112の下流側に位置している。この第2の温度センサ132は、加熱気体‐粒子混合物142の温度を測定する。
【0050】
図8は、熱可塑性装填材料102を予熱するための本開示の方法1000の一例を示している。本開示の方法1000によれば、熱可塑性粒状材料116を融点より低い温度まで予熱して、予熱状態で(例えば予熱熱可塑性装填材料102として)圧縮金型に導入することが可能となる。方法1000の実施例は、上述するとともに
図1~
図7に示したシステム100を用いる。
【0051】
一実施例において、方法1000は、導管104を通る気体134の流れを生成する工程(ブロック1002)を含む。一実施例において、導管104を通る気体134の流れは、気体移動ユニット110(
図1及び
図2)を用いて生成される。方法1000は、導管104を通って気体134を移動させる工程も含む。
【0052】
一実施例において、方法1000は、気体134の流れに熱可塑性粒状材料116を導入することにより、気体‐粒子混合物140を生成する工程(ブロック1004)を含む。一実施例において、熱可塑性粒状材料116は、保持容器114が導管104に連結されている導入位置150で、気体134の流れに導入される。方法1000は、導管104を通って気体‐粒子混合物140を移動させる工程も含む。
【0053】
一実施例において、方法1000は、加熱アセンブリ112を用いて、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程(ブロック1006)を含む。一実施例において、方法1000は、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置の上流側に加熱アセンブリ112を位置させて、気体134を加熱することにより、加熱気体166を生成する工程を含む。別の一実施例において、方法1000は、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置の下流側に加熱アセンブリ112を位置させて、気体‐粒子混合物140を加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程を含む。別の実施例において、方法1000は、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置の上流側に第1加熱アセンブリ112を位置させて、気体134を加熱することにより、加熱気体166を生成する工程、及び、気体134に対する熱可塑性粒状材料116の導入位置の下流側に第2加熱アセンブリ112を位置させて、気体‐粒子混合物140を加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程を含む。
【0054】
一実施例において、方法1000によれば、加熱アセンブリ112を用いて気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程(ブロック1006)は、導管104を囲む誘導コイル124を用いて磁場を誘起する工程(ブロック1008)、及び、誘導コイル124と、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つとの間の磁場内に配置されたサセプタ126を加熱する工程(ブロック1010)を含む。
【0055】
一実施例において、方法1000によれば、誘導コイル124と、導管104を通って移動する気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つとの間の磁場内に配置されたサセプタ126を加熱する工程(ブロック1010)は、サセプタ126のキュリー温度138までサセプタ126を加熱する工程(ブロック1012)を含む。一実施例において、サセプタ126のキュリー温度138は、熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118の融点136より低い。
【0056】
一実施例において、方法1000は、熱可塑性粒状材料116の熱可塑性母材118の融点136より低いキュリー温度138を有する、サセプタ126の材料(例えば強磁性材料146)を選択する工程を含む。一実施例において、サセプタ126の材料を選択する工程は、熱可塑性母材118の融点136の約50パーセントと約99パーセントとの間のキュリー温度138を有する、サセプタ126の材料を選択する工程を含む。別の実施例において、サセプタ126の材料を選択する工程は、熱可塑性母材118の融点136の約80パーセントと約95パーセントとの間のキュリー温度138を有する、サセプタ126の材料を選択する工程を含む。
【0057】
一実施例において、方法1000は、導管104を通って移動する気体134の温度を測定する工程を含む。一実施例において、導管104を通って移動する気体134の温度は、温度センサ132を用いて測定される。一実施例において、方法1000は、温度センサ132を加熱アセンブリ112の下流側に位置させて、加熱気体166の温度を測定する工程を含む。別の実施例において、方法1000は、温度センサ132を加熱アセンブリ112の下流側に位置させて、加熱気体‐粒子混合物142の温度を測定する工程を含む。別の実施例において、当該方法は、第1の温度センサ132を第1の加熱アセンブリ112の下流側に位置させて、加熱気体166の温度を測定するとともに、第2の温度センサ132を第2の加熱アセンブリ112の下流側に位置させて、加熱気体‐粒子混合物142の温度を測定する工程を含む。
【0058】
一実施例において、方法1000は、誘導コイル124によって生成される磁場を制御することにより、サセプタ126の加熱温度を制御する工程を含む。一例において、磁場の制御は、電源154によって誘導コイル124に印可される電流を制御することによって、達成される。電源154は、制御装置130を用いて制御される。一例において、磁場の制御は、温度センサ132による温度測定値に基づいて行われる。
【0059】
一実施例において、方法1000によれば、加熱アセンブリ112を用いて気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程(ブロック1006)は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つをサセプタ126と接触させる工程(ブロック1014)を含む。例えば、方法1000は、気体134及び気体‐粒子混合物140うちの少なくとも1つが、導管104を通って移動する際にサセプタ126と接触するように、導管104の内部にサセプタ126を位置させる工程を含む。
【0060】
一実施例において、方法1000によれば、加熱アセンブリ112を用いて気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを加熱することにより、加熱気体‐粒子混合物142を生成する工程(ブロック1006)は、気体134及び気体‐粒子混合物140のうちの少なくとも1つを、サセプタ126によって形成された少なくとも1つの流路128を通って移動させる工程(ブロック1016)を含む。例えば、方法1000は、気体134及び気体‐粒子混合物140うちの少なくとも1つが、胴体部164に形成された少なくとも1つのチャネル162を通って移動する際にサセプタ126と接触するように、サセプタ126の胴体部164を導管104の内部に位置させる工程を含む。
【0061】
一実施例において、方法1000は、加熱気体‐粒子混合物142を金型120に投入する工程(ブロック1018)を含む。例えば、方法1000は、導管の出口108から出る所与の量の予熱された熱可塑性粒状材料116を、金型120投入又は装填することにより、予熱熱可塑性装填材料102の少なくとも一部を形成する工程を含む。
【0062】
上述するとともに
図8に示した熱可塑性粒状材料116を予熱する方法1000の全体的な工程では、上述するとともに
図1~
図7に示したシステム100を用いる。熱可塑性粒状材料116を予熱した後、金型120を、予熱された熱可塑性粒状材料116の予熱熱可塑性装填材料102で満たす。熱可塑性装填材料102は、溶融された際に、金型120の金型キャビティの容積に実質的に一致する体積となるように、あらかじめ測定しておいてもよい。次に、熱可塑性装填材料102の熱可塑性母材118が融点まで加熱されて、金型キャビティ内で溶融される。溶融された熱可塑性複合材部品152は、その後、冷却及び固化し、金型120が開かれて、金型キャビティから熱可塑性複合材部品152が取り出される。
【0063】
開示のシステム100及び方法1000は、圧縮成形による様々な種類の熱可塑性複合材部品の製造を実現する。開示のシステム100を用いて、及び/又は、開示の方法1000に従って、作製される熱可塑性複合材部品は、軽量、高剛性、且つ、高強度であり、金属部品に比べて優れた耐食性を示す。熱可塑性複合材部品の例としては、限定するものではないが、熱可塑性複合材ファスナ、熱可塑性複合材構造部品などがある。開示のシステム100を用いて、及び/又は、開示の方法1000に従って、作製される熱可塑性複合材部品は、様々なサイズ、形状、及び特徴を有しうる。個々の熱可塑性複合材部品用に選択される個別の設計は、当該熱可塑性複合材部品の用途及び固有の性能要件に依存する。
【0064】
本開示のシステム100及び方法1000の実施例は、様々な用途において有用であり、特に、例えば航空宇宙用途を含め、輸送産業において有用である。次に、
図9及び
図10を参照すると、システム100及び方法1000の実施例は、
図9のフローチャートに示した航空機の製造及び保守方法1100及び
図10に示した航空機1200に関連して、採用することができる。航空機用途は、開示のシステム100を用いて、及び/又は、開示の方法1000に従って、圧縮成形用の熱可塑性装填材料を予熱して、航空機1200の熱可塑性複合材部品を作製することを含む。
【0065】
図10は、航空機1200の一例を示す。航空機1200は、機体1202、複数の高水準システム1204、及び、内装1206を含む。高水準システム1204の例としては、推進系1208、電気系1210、油圧系1212、及び、環境系1214のうちの1つ又は複数が挙げられる。他の例において、航空機1200は、任意の数の他の種類のシステムを含みうる。
図10に示す航空機1200は、システム100の使用及び/又は本明細書に開示の方法1000に従うことにより作製される1つ以上の熱可塑性複合材部品を有する航空機の一例である。
【0066】
図9に示すように、生産開始前において、方法1100は、航空機1200の仕様決定及び設計(ブロック1102)及び材料調達(ブロック1104)を含みうる。航空機1200の製造中には、航空機1200の部品及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)、及び、システム統合(ブロック1108)が行われる。その後、航空機1200は、認証及び納品(ブロック1110)を経て、就航(ブロック1112)の期間に入る。開示の方法1000の実施、及び/又は、開示のシステム100の使用は、部品及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)及び/又はシステム統合(ブロック1108)の一部を構成しうる。定期的な整備及び保守(ブロック1114)は、航空機1200の1つ以上のシステムの改良、再構成、改修などを含みうる。
【0067】
図9に示した方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって、実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、限定するものではないが、航空機メーカ、及び、主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、及び、供給業者をいくつ含んでいてもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0068】
本明細書において図示又は説明したシステム100及び方法1000の実施例は、
図9にフローチャートで示した製造及び保守方法1100の工程のうちの任意の1つ以上で、採用することができる。例えば、開示のシステム100及び方法1000に従って作製される、航空機1200の熱可塑性複合材部品、コンポーネント、及び構造体は、部品及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)に対応し、航空機1200の就航期間(ブロック1112)において製造される部品及びサブアセンブリと同様に製造してもよい。また、本明細書に記載のシステム100及び方法1000の1つ以上の実施例を、システム統合(ブロック1108)及び認証及び納品(ブロック1110)において用いることもできる。同様に、本明細書に記載のシステム100及び方法1000の1つ以上の実施例を、例えば、限定するものではないが、航空機1200の就航中(ブロック1112)や、整備及び保守(ブロック1114)の際に用いることもできる。
【0069】
また、航空宇宙産業に用いた例を示したが、本開示の実施例及び原理は、例えば、自動車産業、宇宙産業、建設業などの他の産業、並びに、その他の設計及び製造業に適用することもできる。従って、本開示の実施例及び原理は、航空機に加えて、他のビークル構造体(例えば、陸上車両、船舶、宇宙車両など)及び独立型構造体にも適用することができる。
【0070】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指し、何らかの変更を施せばその特定の機能を実行する可能性のあるものを指すのではない。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、部品、又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は、設計されたものを指す。本明細書において、「構成されている」ということは、システム、装置、構造体、物品、要素、部品、又はハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成されている」と記載されたシステム、装置、デバイス、構造体、物品、要素、部品、又はハードウェアは、この記載に加えて、あるいは、この記載に代えて、当該機能を実行するように「適合化されている(adapted to)」、及び/又は「動作可能である(operative to)」と記載される場合もある。
【0071】
なお、本開示において、「連結された」、「連結する」といった用語及びこれに類する用語は、2つ以上の要素が、接合、結合、締結、取付け、接続、通信、又はその他の方法で(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)互いに関連付けられていることをいう。様々な実施例において、これらの要素は、直接的又は間接的に関連付けられうる。一例として、要素Aは、要素Bと直接的に関連付けられうる。別の例として、要素Aは、例えば別の要素Cを介して、要素Bと間接的に関連付けられうる。なお、様々な開示の要素のすべての関連性を表しているとは限らない。従って、図に示したもの以外の連結も、存在しうる。
【0072】
本明細書において、「約」及び「おおよそ」という用語は、記載の条件に正確に一致しないまでも近い条件であって、所望の機能を実行するか、あるいは所望の結果を達成する条件のこという。一例として、「約」及び「おおよそ」という用語は、許容される所定の公差又は精度内にある条件のことをいう。例えば、「約」及び「おおよそ」という用語は、記載の条件から10パーセント以内の条件のことをいう。ただし、「約」及び「おおよそ」という用語は、正確に記載の条件どおりである状態を排除しない。
【0073】
上述した
図1及び
図10において、ブロックは、例えば、機能的な要素、特徴、又はそのコンポーネントを表しており、様々なブロックをつなぐ線は、必ずしも何らかの特定の構造を暗示するものではない。従って、図示の構造に対して、修正、追加、及び/又は省略を行うこともできる。さらに、当業者であればわかるように、説明するとともに上述の
図1~
図7に図示したすべての要素が、必ずしもすべての実施例に含まれる必要はなく、また、本明細書で説明したすべての要素が、必ずしも各実施例において図示されているとは限らない。特に明記しない限り、上述の
図1~
図7及び
図11に示した実施例の概略的な図示は、当該実施例に関して構造的な限定を示唆することを意図するものではない。むしろ、1つの例示的な構造を示しているものの、構造は適宜変更できることが理解されるべきである。
【0074】
上述の
図8及び
図9において、ブロックは、例えば、工程、ステップ、及び/又はその一部を表しており、様々なブロックをつなぐ線は、工程又はその一部の特定の順序や従属関係を暗示するものではない。なお、開示の様々な工程間のすべての従属関係を表しているとは限らない。本明細書に記載した本開示の方法の工程を表す
図8及び
図9ならびにこれらに付随する説明は、これらの工程が行われる順序を必ずしも決定するものではない。むしろ、1つの例示的な順序を示唆しているものの、工程の順序は適宜変更できることが理解されるべきである。従って、図示の工程に対して、修正、追加、及び/又は省略を行うこともでき、いくつかの工程は、異なる順序で、あるいは同時に行うこともできる。また、当業者であればわかるように、記載の工程のすべてを必ずしも行う必要はない。
【0075】
さらに、本開示は、以下の付記による実施例を含む。
【0076】
付記1. 熱可塑性装填材料を予熱するためのシステムであって、
入口及び出口を有する導管と、
前記導管を通って前記入口から前記出口に気体を移動させるように構成された気体移動ユニットと、
前記気体を加熱するために、前記入口と前記出口との間に配置された加熱アセンブリと、
前記導管と流体連通する、熱可塑性母材を含む熱可塑性粒状材料を収容する保持容器と、を含み、
前記保持容器から前記熱可塑性粒状材料が前記ガスに導入されて、気体‐粒子混合物が形成され、前記気体‐粒子混合物は、前記導管を通って、前記導管の前記出口に移動する、システム。
【0077】
付記2. 前記導管の前記出口から受けた前記熱可塑性粒状材料を圧縮成形するための金型をさらに含む、付記1に記載のシステム。
【0078】
付記3. 前記熱可塑性粒状材料は、強化繊維をさらに含む、付記1又は2に記載のシステム。
【0079】
付記4. 前記熱可塑性粒状材料は、複数のフレークの形態である、付記1又は2に記載のシステム。
【0080】
付記5. 前記熱可塑性母材は、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、及び、ポリエーテルケトンケトン‐fcグレードからなる群から選択される、付記1~4のいずれか1つに記載のシステム。
【0081】
付記6. 前記加熱アセンブリは、
前記導管を囲む誘導コイルと、
前記誘導コイルと前記気体との間に配置されたサセプタと、を含み、
前記誘導コイルは、前記サセプタに渦電流加熱を発生させる、付記1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
付記7. 前記熱可塑性母材は、融点を有し、
前記サセプタは、キュリー温度を有し、
前記サセプタの前記キュリー温度は、前記熱可塑性母材の前記融点より低い、付記6に記載のシステム。
【0083】
付記8. 前記サセプタの前記キュリー温度は、前記熱可塑性母材の前記融点の約50パーセントと約99パーセントとの間である、付記7に記載のシステム。
【0084】
付記9. 前記サセプタの前記キュリー温度は、前記熱可塑性母材の前記融点の約80パーセントと約95パーセントとの間である、付記7に記載のシステム。
【0085】
付記10. 前記サセプタは、強磁性材料を含む、付記7~9のいずれか1つに記載のシステム。
【0086】
付記11. 前記サセプタは、前記導管に内蔵されている、付記7~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0087】
付記12. 前記サセプタは、前記導管の外部に位置している、付記7~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0088】
付記13. 前記サセプタは、前記導管の内部に位置している、付記7~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0089】
付記14. 前記サセプタは、前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つが通る、少なくとも1つの流路を形成する、付記13に記載のシステム。
【0090】
付記15. 複数の加熱アセンブリを含み、
第1の加熱アセンブリは、前記気体に対する前記熱可塑性粒状材料の導入位置の上流側に位置して、前記気体を加熱し、
第2の加熱アセンブリは、前記気体に対する前記熱可塑性粒状材料の前記導入位置の下流側に位置して、前記気体‐粒子混合物を加熱する、付記1~14のいずれか1つに記載のシステム。
【0091】
付記16. 前記加熱アセンブリを制御するように構成された制御装置をさらに含む、付記1~15のいずれか1つに記載のシステム。
【0092】
付記17. 前記制御装置に連結されるとともに、前記導管を通って移動する前記気体の温度を測定するように配置された温度センサをさらに含む、付記16に記載のシステム。
【0093】
付記18. 熱可塑性装填材料を予熱するための方法であって、
導管を通る気体の流れを生成することと、
前記気体の前記流れに熱可塑性粒状材料を導入して、気体‐粒子混合物を生成することと、
前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、加熱アセンブリを用いて加熱して、加熱気体‐粒子混合物を生成することと、
前記加熱気体‐粒子混合物を金型に投入することと、を含む方法。
【0094】
付記19. 前記加熱アセンブリを用いて、前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを加熱して、前記加熱気体‐粒子混合物を生成することは、
前記導管を囲む誘導コイルを用いて、磁場を誘起することと、
前記導管を通って移動する前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つと前記誘導コイルとの間の磁場内に配置されたサセプタを加熱することと、を含む、付記18に記載の方法。
【0095】
付記20. 熱可塑性装填材料を予熱するための方法であって、
導管を通る気体の流れを生成することと、
前記気体の前記流れに熱可塑性粒状材料を導入して、気体‐粒子混合物を生成することと、
前記導管を囲む誘導コイルを用いて、磁場を誘起することと、
前記導管を通って移動する前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つと前記誘導コイルとの間の磁場内に配置されたサセプタを、前記熱可塑性粒状材料の熱可塑性母材の融点よりも低い、前記サセプタのキュリー温度まで加熱することと、
前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、
前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを前記サセプタに接触させること、又は、
前記気体及び前記気体‐粒子混合物のうちの少なくとも1つを、前記サセプタによって形成された流路を通って移動させること、のいずれかよって加熱することと、を含む方法。
【0096】
さらに、本明細書における特徴や利点に関する言及、あるいは本明細書で用いられている、それらに類する文言は、本明細書に開示の実施例によって実現することができる特徴及び利点のすべてが、各実施例に存在すべきこと、あるいは、存在することを、暗示するものではない。むしろ、特徴及び利点に言及する文言は、一実施例に関連して説明した、ある特定の特徴、利点、又は特性が、少なくとも1つの実施例に含まれることを意味している。従って、特徴や利点に関する記載、ならびに、本開示にわたって用いられている、それらに類する文言は、同じ実施例に言及している場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。
【0097】
一実施例の記載の特徴、利点、及び特性は、1つ又は複数の他の実施例において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。当業者であればわかるように、本明細書に記載の実施例は、特定の実施例の具体的な特徴又は利点のちの1つ以上が無くても、実施することができる。場合によっては、すべての実施例には存在しない追加の特徴及び利点が、ある種の実施例に認められることもあり得る。また、システム100及び方法1000の様々な実施例を図示及び説明してきたが、本明細書を読めば当業者には種々の改変が可能であろう。本願は、そのような改変も包含し、請求の範囲によってのみ限定されるものとする。