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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】洪水障壁
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/22 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
E02B7/22
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020089440
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2020193556
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】16/421705
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510197656
【氏名又は名称】フロッドブレイク,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】ルイス エー.ウォーターズ ジュニア.
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-214425(JP,A)
【文献】特開2002-069988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0163916(US,A1)
【文献】国際公開第2014/145318(WO,A2)
【文献】特開2003-221822(JP,A)
【文献】特開平10-152827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/20-7/22
E02B 7/40-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の周りに回転可能であり、下降位置から直立位置まで上昇可能である一つ以上の壁を備え、
一つ以上の前記壁のそれぞれは、一対の側方隣接する洪水障壁用のパネルの間に位置し、一対の側方隣接する洪水障壁用の前記パネルは、前記壁に垂直な軸の周りに回転可能であり、下降位置から直立位置まで上昇可能であり、
一つ以上の前記壁は、側方隣接する前記パネルのうち片方のパネルが上昇するとき、又は両方のパネルが上昇するときに、一方又は両方の側方隣接する前記パネルによって、前記パネルが上昇するのと同じ方向に上昇されるように構成され、側方隣接する前記パネルのうち最後のものが下降するとき以降に下降されるように構成され、
各パネルはシールを保持し、前記シールは、一つ以上の前記壁の隣接する接触面に対してシールを行い、前記パネルと一つ以上の前記壁との間でシールし、
さらに、一つ以上の前記壁のそれぞれに対して地下室を備え、各地下室は、前記下降位置での前記壁を受け入れ、
さらに、(a)前記地下室に隣接する入口と、前記入口からの洗浄水を入れるための、前記入口から前記地下室への導管と、(b)前記入口とは別の場所に設けられ、排出出口で終端となる導管へ、前記洗浄水を空にする地下室出口とを備えている、装置。
【請求項2】
前記下降位置での一つ以上の前記壁と前記パネルとは、水平な地面のレベルが見えることを遮らない請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記パネルが浮上式であり、上昇する水とともに上昇する請求項1記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記パネルを上昇させる動力付きのパネル上昇機構を備えている請求項1記載の装置。
【請求項5】
直立するように上昇された一つ以上の前記壁のそれぞれが接触面を有し、前記接触面は、前記壁に隣で隣接する直立した前記パネルと同じ高さを有する請求項4記載の装置。
【請求項6】
直立するように上昇された一つ以上の前記壁のそれぞれが接触面を有し、前記接触面は、前記壁に隣で隣接する直立した前記パネルと同じ幅を有する請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記シールが移動するシールである請求項1記載の装置。
【請求項8】
移動する前記シールがワイパーシールを備えている請求項記載の装置。
【請求項9】
一つ以上の前記壁が、垂直な側面と、頂端とを有する請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記頂端は、前記側面を越えて延びる延長部を有し、一つ以上の前記壁と側方で隣接するパネルは、少なくとも一つの前記パネルが回転して上昇したときに、前記壁を回転させて上昇させるように、前記延長部に係合可能である請求項9記載の装置。
【請求項11】
一つ以上の前記壁の前記側面が、前記頂端から後端までの形状であって、前記パネルの側面部が通過する空間平面を少なくとも描く形状を有する請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記形状が四分円である請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記地下室はさらに、少なくとも後端部分及び底端部分によって接続された、間隔をおき互いに平行になっている垂直な側壁を含み、前記壁が通過して上昇する前記側壁の上の開口を有し、前記底端部分の上にある前記地下室の前記側壁の間には下降した前記壁を受け入れる容積を有する請求項記載の装置。
【請求項14】
前記開口は、ごみが前記地下室にはいることを防止するように、前記シールと側方で隣接している請求項13記載の装置。
【請求項15】
排出が、前記排出出口での真空アシストを用いて行われる請求項記載の装置。
【請求項16】
ウォーターフロントの沿岸線に近接した陸地に配列される複数の洪水障壁組立体を備えている装置であって、
前記陸地の地表よりも下に設置されている地下室であり、前記沿岸線に対しての、仮想的に投影された場合の交差角度で揃って並び、間隔をおき互いに平行になっている垂直な側壁を、各地下室は備え、前記側壁は後端部分と底端部分とで接続され、前記側壁よりも上に開口を有する地下室と、
前記地下室の前記開口のいずれか片側で、前記陸地の地中又は地上に設置されている複数の支持用皿部と、
複数の回転式に上昇可能かつ下降可能なパネルであり、下降位置での前記支持用皿部の中にそれぞれ位置し、各パネルは、上面と、底面と、前端部と、後端部と、側面部とを備え、前記側面部は、前記地下室の前記側壁の仮想的な角度と実質的に同じ、前記沿岸線に対しての、仮想的に投影された場合の交差角度で、揃って並び、パネルは、前記パネルの前記後端部から前記パネルの前記前端部まで延びる全長を有し、各パネルは、前記パネルの前記後端部で、実質的に水平な第1回転軸の周りにヒンジ結合で回転可能であり、前記支持用皿部から直立した上昇位置に上に回転するパネルと、
接触面が露呈している垂直な側面と、前記側面を越えて延びる水平延長部を伴った頂端と、後端とを有し、回転式に上昇可能かつ下降可能な壁であり、壁は、下降位置にある前記地下室の中にあり、壁は、前記壁の前記後端と前記地下室の前記後端部分との上部に隣り合った、実質的に水平な第2回転軸を中心としてヒンジ結合で回転可能であり、前記第2回転軸は、前記第1回転軸と実質的に平行であり、直立した上昇位置へ前記開口を介して上に回転可能である壁とを備え、
前記壁と隣り合う前記パネルは、前記壁の前記頂端の前記水平延長部と係合し、少なくとも一つの前記パネルが少なくとも一つの前記支持用皿部から回転して上昇したときに、前記壁を回転させて上昇させ、
直立する上昇された前記壁の前記接触面は、隣り合う前記パネルで横切られる空間内の平面を少なくとも描く、前記頂端から前記後端までの形状を有し、前記パネルの上のシールは、前記壁の前記接触面とのシール用の接触を与え、
前記パネルと前記壁とが直立した前記上昇位置へ上昇したときに、複数の前記洪水障壁組立体は、組み合わせとなり、前記パネルの前面の側で前記陸地に浸水することを防止する連続的な水の障壁を提供し、前記沿岸線からの浸水した水は、前記パネルの前記底面の背後に収容される、装置。
【請求項17】
前記下降位置での前記壁と前記パネルとは、水平な地面のレベルが見えることを遮らない請求項16記載の装置。
【請求項18】
少なくとも一つのテンション部材が、前記支持用皿部に接続され、前記支持用皿部で各パネルの前記底面に接続され、上昇した前記パネルの前記底面に収容された水の静水圧が与えられたときに、前記テンション部材は、前記パネルが直立位置を越えて回転することを防止する請求項16記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水を防止するための洪水障壁、及び隣接する水域から上昇する水が生じた際の陸地での改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューヨーク市は、水辺の縁に直接建設されたものである。ここは、四方を水に囲まれた沿岸都市である。578マイルの沿岸ウォーターフロントがあるため、そのウォーターフロント全てがニューヨーク市の最大の脅威となっている。これは、2012年10月29日と30日の熱帯性暴風雨サンディが、ニューヨーク市とその郊外とロングアイランドとを襲い、この都市を驚愕させたときに特に顕著だった。暴風の大波は、高潮によってさらに強められ、平均干潮の約14フィート上になった。マンハッタンと他のウォーターフロントの区を縁取る護岸堤と隔壁を大きく乗り越え、建物、地下鉄と車のトンネルに浸水し、電気機器に損傷を与え、少なくとも48人の命を奪い、事実上都市を閉鎖してしまった。市には、未処理の下水、及び部分的に処理された下水を含む、12億ガロンの水が氾濫した。高潮により70万トンのごみ(瓦礫)が街を飲み込んだ。これは市の歴史の中で最悪の自然災害だった。ニューヨーク市全体の被害と経済的損失は少なくとも330億ドルと推定されている。
【0003】
気候変動により、世紀を通じて海面が上昇し続け、嵐はさらに激しくなることであろう。ニューヨーク市はハリケーンの地域に位置し、他の大嵐の可能性も非常に高い。従って必然的に海水がやって来る。
【0004】
サンディは、ニューヨーク市の17%にあたる51平方マイルに浸水した。世紀の変わり目までに海面水位が6フィートに上昇すると予測されているため、サンディがもたらした水位よりも6フィート高い水位の水であれば、100平方マイル、即ち市の1/3を覆い、市の一部を居住不可能にすることであろう。これは、地域的な問題ではない。ニューヨーク市は、銀行、金融、テクノロジー、芸術、メディアの中心である。ここは、地球上のどこよりも多くのフォーチュン500企業を抱えている。ニューヨーク市に起こることは世界的な影響を与える。
【0005】
この浸水の脅威に直面しているのはニューヨーク市だけではない。フロリダ州マイアミ、イギリスのロンドン、日本の東京、中国の上海などの主要な沿岸大都市圏も海面上昇によりリスクが高く、少なくともマイアミはハリケーンにより、東京と上海は台風によりリスクが高い。
【0006】
ニューヨーク市に提案された「Big-U」などの護岸のための解決策は、高潮やその他の上昇する洪水を防ぐために、防波堤や隔壁に沿って、加工鉄鋼やコンクリートの高い壁や堤防を永久的に起立して設けることを求めているが、そのような起立した設置は、周囲の水景の望ましい地面のレベルが見えることを永久的に遮り、水域へのアクセスを妨げる可能性がある。そのような解決策は多くの市民によって反対されている。ニューヨーク市を取り巻く永久的な壁やその他の要塞スタイルの防御壁は、城壁のある都市を居住地というより刑務所のように感じるかもしれない。さらに、隔壁と護岸堤に沿って建設されたゼロラインの道路と建物に少なくとも部分的に起因して、護岸堤又は隔壁に沿った地上及び高架の道路と建物は、永続的な固定壁又は堤防に利用するには不十分にしか水平又は垂直スペースを残さない場合がある。ゼロライン構造がない場合でも、堤防を設置するスペースがない場合がある。堤防は通常、高さの2倍の幅がある必要がある。
【0007】
ニューヨークや他の同様の位置にある沿岸都市が海からの生存能力を維持するための解決策を必要とすることは間違いないが、都市に壁を作らず、周囲の水域によって提供される魅力的な水の眺めを永久には妨げない解決策が望ましい。そのような解決策は過去に提案されてきた。本発明の発明者による米国特許第9,279,224号は、洪水障壁を形成するために沿岸線を横切る、側方で隣接する永久端壁の相互の間で上向きに回転する浮上パネルを含む、受動的な自己起立システムを記載している。浮上パネル片を並べて連結して、単一の長いパネルを効果的に形成することができるし、連結したパネル片で形成されていない単一の長い浮上パネルを使用することができる。連結したパネルの列が長すぎるか、端壁間の単一のパネルが長すぎると、パネルの長さに沿った水の作用からの、さまざまな水の高さ及び潮の満ち引きによって加えられるねじりトルクに、パネルは影響を受け、耐用年数と障壁の効果に悪影響を与える可能性がある。一連の連結したパネル片に隣接する端壁、又は連結したパネル片で形成されていない単一の長いパネルに側方で隣接する端壁は、間隔が空いているため、そのようなパネル片を組み合わせた長さ、又は単一の長いパネルの長さは、パネルにそのようなトルクの力を与えるのに十分ではない。沿岸線を横切るこれらの永久的に起立した端壁は、周囲の永久的な加工鉄鋼又はコンクリートの壁又は堤防ほどに地面レベルの水の眺めを妨げないが、米国特許第9,279,224号の横に永久的に起立した端壁では、視界を遮ることを完全に回避することはもたらさない。
【0008】
洪水の水の侵入を阻止するには、他の試みもあった。米国特許第4,377,352号は、浮上する支柱の間の水に敷設された可撓的なシートを使用して、川岸に沿って設けられた受動的な水収容バリアを記載している。米国特許第6,338,594号及び第6,514,011号は、水が汲み上げられる地下室から、浮上する壁を上昇させ、壁を垂直に上方に浮上させることを記載している。米国特許第5,725,326号及び第7,744,310号は、上昇する雨水を使用して、地下室を満たし、堤防又は隔壁の上に垂直に上向きに壁を浮上させることを記載している。米国特許第7,033,112号は、作業員が広げて所定の位置にロックできる、堤防の収容スペースにある折りたたまれた金属壁を使用することを記載している。米国特許公開2007/0189854は、厚板の側面のチャンネルに挿入されたボードによって満たされた厚板間のギャップを備えた、洪水防御のための釣り合いのとれた厚板を手動で起立させることを記載している。米国特許公開第2017/0175352号は、沿岸線に平行に延びるボードの遊歩道であり、最も海岸側の板が取り付けられたギヤ付きヒンジシャフトに作用するモーターによって起立可能な、洪水制御障壁としての二重使用を行うボードの遊歩道を記載している。これら全ての後者の解決策には、構造的及びその他のエンジニアリング上の制限があるため、都市の全域の広大な地域の浸水を防ぐための陸地の地表レベルの防御には適用できない。
【0009】
さらに、本発明の発明者による米国特許第9,458,588号は、浮上パネルを能動的に持ち上げるためのシステムを記載している。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に記載の発明は、洪水の水が不可避的に沿岸に到来したときに、危険な都市の高潮による洪水からの防御を提供しながら、水景が見えることを妨害しないことを保証する直線的な洪水障壁の解決策を提供する。この解決策は、雪が溶けたり、川に流れ込む大雨によって川が堤防から溢れて、隣接する陸地に浸水したりする川沿いの都市や町村にも利用できる。
【0011】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明では、いくつかの実施形態では、本明細書の一部を形成して本発明を実施できる非限定的な実施形態を例示的に図示している、添付図面を参照する。図面及び説明において、同様又は対応する部分は、明細書及び図面全体を通して同じ参照符号、又はその数字の変形で表示されている。他の図面にある同じ要素について同じ参照符号の図面を観察しなくてよいように、全ての参照符号が全ての図面にあるわけではない。少なくとも一つの図面には、要素を示す参照符号が含まれる。本発明の特定の特徴は、やや概略的な形で図示され、いくつかの図面では、他の図面に示される要素のいくつかの詳細は、明確にするために省略されている。図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の装置の例示的な実施形態の背面斜視図であり、単一の効果的なパネルを形成する連結パネルが側方隣接する、上昇可能な壁が存在する地下室を示す。洪水から防御されるべき陸地は、観察者の左側にあり、洪水は観察者の右側から来るものとする。
図2図1の装置の例示的な実施形態の正面斜視図であり、これは洪水が来る元の側である。
図3図2と同じ図であり、洪水に抗して上昇する壁の片側にある、浮上する連結パネルによって地下室から回転式に上昇している壁の例を示す(水は図示しないが、上昇するパネルの背後にあると理解される)。
図4図3の一部の拡大図であり、壁の片側にある浮上する連結パネルによって地下室から回転式に上昇された壁の一層の詳細を示している。
図5】回転式に上昇可能な壁の延長部と係合する側方隣接するパネルと、上昇可能な壁の接触面をシールするパネルの側面部に接続された移動するワイパーシールとの例示的な実施形態を概略的に示す。
図6】上昇する壁全体と地下室の内部とを露呈するように地下室の左側面を取り除いた、図3の上昇する壁の左側からの斜視図である。
図7図1の斜視図からの図であり、図3及び6に示された連結パネル及び壁の上昇を示す。
図8図3の斜視図からの、壁の片側での、完全に上昇した連結パネル及び壁を示し、洪水の水は完全に上昇した連結パネルの後ろにある。
図9図7の斜視図からの、壁の片側での、完全に上昇した連結パネル及び壁を示し、防御された陸地は、上昇したパネルの前で観察者の左にある。
図10図3及び8の斜視図の中で、第2の連結パネルの上昇と、既に上昇した壁に続くこととを示す。
図11図1及び7の斜視図の中で、図8での第2の連結パネルの上昇を示す。
図12図3の斜視図からの、完全に上昇した壁及び両方の完全に上昇した側方隣接する連結パネルを示す。
図13図7の斜視図からの、完全に上昇した壁及び両方の完全に上昇した側方隣接する連結パネルを示す。
図14図3と同じ斜視図であり、上昇する壁の片側の動力付き上昇機構によって上昇されている連結パネルを示している。
図15図3と同じ斜視図であり、上昇する壁の他方の側の動力付き上昇機構によって上昇されている連結パネルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、隣に隣接する一連の洪水障壁組立体は、ウォーターフロントの沿岸線に近接した陸地に配列され、水への遮られない視界を与え、さらに洪水を生じ得る嵐に対して自己起立し、任意であるが機械的に起立可能であり、長い距離に延びて設けることができる連続的な上下方向の障壁を提供し、障壁のドライ側での陸地の浸水を防止する。従って、高潮やその他の上昇する洪水の水に対して水防を行うための、視界を遮る加工鉄鋼やコンクリートの高い壁や堤防の必要性がなくなる。
【0014】
要約書に述べたことを含む、本明細書で説明されている特定の詳細は、いずれの場合でも、本発明の概念が実施できる具体的な方法を表す実施形態の非限定的な説明及び例示である。これは、これらの概念と一貫性のある実質的に任意の適切に詳細なシステム、構造又は方法で、本発明を使用することを当業者に教示する役割を果たす。本明細書を通しての「例示的な実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも一つの例示的な実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体にわたる様々な箇所での「例示的な実施形態」という語句、又は同様の表現の使用は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、一つ又は複数の実施形態で任意の適切な方法で組み合わせてよい。特定の説明された実施形態及びそれらの実施形態の詳細に対する、様々な変更及び代替は、本発明の範囲内で行われてよい。しかも、特定の用途に従って有用であるように、図面に示された一つ又は複数の要素は、さらに分離又は統合された方法で実施されてよく、又は特定の場合に除去又は操作不能にされてよい。本明細書で説明される発明の概念の範囲内、及び本明細書に詳述される例示的な実施形態において、多くの様々な異なる実施形態が構成されてよいので、この詳細は例示として解釈されるべきであり、本明細書で例示・説明されたものに本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0015】
例示的な実施形態の詳細な説明で使用される、「上」、「下」、「後」、「前」、「法線方向」、「垂直」、「直立」、「水平」、「長さ」、「横に」、「近位」、「遠位」などのさまざまな方向は、図面と関連付けて一層簡単に説明するためにのみ、規定される。本明細書に詳述される例示的な実施形態で本発明の概念が具体化されることと、同じ機能を実行し、同じ結果を達成しながら、構成要素は異なる姿勢に向けられてよい。実施形態が例示する概念を限定するものとして、そのような用語は理解されるべきでない。「水平」又は「水平に」という用語には、限定的ではないが、文字通りの水平が含まれるのであり、一般に、隣接する一般的な水平な地面に対して、水平と述べた要素の機能に重大な悪影響を与える程度には、レベルから外れないことを意味する。同様に、「垂直」又は「直立」という用語には、限定的ではないが、文字通りの垂直が含まれるのであり、一般に、直接的に隣接する土地に対して、垂直又は直立と述べた要素の機能に重大な悪影響を与えない程度に、相当に上下することを意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」又はその任意の他の変種は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素のリストを含む装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されないのであり、そのようなプロセス、物品又は装置に明示的にリストされていない、又は固有でない、他の要素を含んでよい。さらに、反対に明示して述べない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指すのであって、排他的な「又は」を指すのではない。すなわち、特に他に明示しない限り、「又は」という用語は、一般に「及び/又は」を意味することを意図している。例えば、条件A又はBは、次のもののうち任意の一つ、即ちAが存在しBが存在しないこと、Aが存在せずBが存在すること、及びAとBの両方が存在することのうち任意の一つによって満たされる。
【0017】
本明細書で使用される場合、請求項及び/又は明細書における用語「備える」(又は同義の「有する」又は「含む」)と併せて使用されるときの「a」又は「an」という用語の使用は、「一つの」を意味してよい。しかし、「一つ以上」、「少なくとも一つ」、「一つ以上」の意味とも一貫性がある。さらに、本明細書で使用される場合、「への接続」又は「に接続され」という語句は、直接に、又は中間の構成要素を介して、そのいずれかの形で結合されることを意味する。
【0018】
米国特許第9,279,224号の永久に起立する壁とは異なり、本発明の例示的な実施形態は、水平な地面のレベルが見えることを遮らず、側方隣接した浮上するパネルの間に位置する下降位置に置かれた壁を含む。壁及びパネルがある場所に侵入する洪水に対する障壁を形成するようにパネルが上向きに回転浮上したときに、壁は、側方隣接するパネルの一方又は両方によって、下降位置から直立位置まで受動的に回転上昇されるように構成される。洪水が後退すると、壁は受動的に下降し、水平な地面のレベルが見えることが再び遮られなくなる。
【0019】
より具体的には、一つ又は複数の壁が軸の周りに回転し、下降位置から直立位置まで上昇する。壁に垂直な軸の周りに回転可能であり、下降位置から直立位置まで上昇可能である一対の側方隣接する洪水障壁用のパネルの間に、一つ以上の壁のそれぞれがある。側方隣接するパネルは、単一の長いパネルを効果的に形成するために連結された複数のパネル片であってよく、あるいは、連結パネル片で形成されていない単一の長いパネルであってよい。一つ以上の壁は、側方隣接するパネルのうち片方のパネルが上昇するとき、又は両方のパネルが上昇するときに、一方又は両方の側方隣接するパネルによって、パネルが上昇するのと同じ方向に上昇されるように構成され、側方隣接するパネルのうち最後のものが下降するとき以降に下降されるように構成される。下降位置では、一つ以上の壁とパネルとは水平な地面のレベルが見えることを遮らない。
【0020】
パネルが側方隣接する上昇可能な壁の記述子としての「一つ以上」は、パネルが側方隣接する上昇可能な壁の少なくとも単一のユニット、又はパネルが側方隣接する単一の上昇可能な壁を含む複数のユニットを意味する。そのような複数の場合に、上昇可能な壁に側方隣接するパネルは、別の上昇可能な壁に側方隣接してよい。つまり単一のパネル(単一の長いパネルを効果的に形成するために連結された複数のパネル片、又はこれに代えて、連結パネルで形成されていない単一の長いパネル)が、二つの互いに離された上昇可能な壁の間に散在してよく、両方の壁を上昇させてよい。
【0021】
例示的な実施形態では、装置はさらに、一つ以上の壁のそれぞれに対して地下室を備えている。各地下室は、下降位置まで回転された上昇可能な壁を受け入れる。そのような地下室の例示的な実施形態では、地下室は、少なくとも後端部分及び底端部分によって接続された、間隔をおき互いに平行になっている垂直な側壁を含み、壁が通過して上昇する側壁の上の開口を有し、開口の下で底端部分の上にある地下室側壁の間には下降した壁を受け入れる容積を有する。
【0022】
装置の例示的な実施形態では、側方隣接するパネルは浮上式であり、水位の上昇とともに上昇する。任意に、又は補足として、装置の例示的な実施形態では、各パネルに動作可能に対応付けられたパネル用のパネル上昇機構を含む。
【0023】
装置の例示的な実施形態では、側方隣接する各パネルは、一つ以上の壁が上昇しているとき、及び上昇した後、一つ以上の壁のうち一つの隣接する接触面に対してシールを行うシールを保持する。このシールは、一つ以上の壁が下降される間に、一つ以上の壁のうち一つとパネルとの間をシールし続ける。装置の一つの実施形態では、シールは移動シールである。シールは、パネルと壁との間で差異のある移動を可能にするものであってよい。その一つの実施形態は、ワイパーシールを含む。装置の実施形態では、直立した一つ以上の壁のそれぞれは接触面を有し、接触面は、壁に隣で隣接する直立したパネルと同じ高さを、また任意であるが同じ幅を有する。
【0024】
いずれの地下室にも伴う問題は、地下室内にごみが徐々に蓄積することである。しばしば、障壁の壁とパネルとの組立体は、障壁の片側で、汚い泥とごみを含んだ水とを遮る。水が後退したときに、組立体の足に地面の泥やその他のごみが残る可能性がある。泥やその他のごみは、壁が上昇される間に、又は壁が下降されたときに地下室にはいる可能性がある。ごみの付着は、地下室に対して出入りする壁の回転運動を妨げる可能性がある。従って、例示的な実施形態では、地下室の開口は、ごみが地下室にはいることを防止するように、シールと側方で隣接している。開口と側方で隣接するシールの有効性は、その下にあるごみの蓄積によって影響されないが、壁の下の地下室内のごみが多すぎると、壁が地下室内に十分に下降するのを妨げることがある。例示的な実施形態では、洪水が後退した後に地下室からごみを洗い流して地下室を洗浄する対策がなされ、煩わしさなしに壁が地下室内に下降することを可能にする。例示的な実施形態では、装置は、(a)地下室に隣接する入口と、入口からの洗浄水を入れるための、入口から地下室への導管と、(b)入口とは別の場所に設けられ、排出出口で終端となる導管に流れ込み、洗浄水をごみ排出領域に向けて空にする地下室出口とを備えている。例示的な実施形態では、洗い流す排出は、排出出口での真空アシストを用いて行われる。
【0025】
装置の実施形態では、一つ以上の回転式に上昇可能かつ下降可能な壁は、垂直な側面と、側面を越えて延びる延長部を伴った頂端とを有する。壁と側方で隣接するパネルは、少なくとも一つのパネルが回転して上昇したときに、壁を回転させて上昇させるように、延長部に係合可能である。例示的な実施形態では、壁の延長部は、壁が上述の地下室内にあるときに、地下室の開口よりも上にある。一つ以上の壁の垂直な側面は、地下室に収容される形状、例えば、正方形(square)、又は一つのコーナー(部分的な三角形)が除去された正方形の形状を有する。しかし、好ましくは、一つ以上の壁の側面は、頂端から後端までの形状であって、上昇する側方隣接のパネルの側端が移動して過ぎる(traverse)空間平面を少なくとも描く形状を有し、より具体的には、一つ以上の壁の側面は、パネルの側端が通過する平面を少なくとも描く形状を有する。その一つの実施形態では、この形状は、四分円又はそれよりも大きい任意の形状である。言い換えれば、壁の垂直な側面の形状は、それがパネルでの移動する側方のエッジが移動する弧を少なくともカバーする限り、任意の形状であってよい。
【0026】
まず図1-15を参照すると、例示的な装置は、ウォーターフロントの沿岸線に近接した陸地に設置する洪水障壁組立体12を備えている。図1で、陸地のウォーターフロント側(「ウェット側」)は参照符号11で示し、洪水から防御される陸地の側(「ドライ側」)は参照符号13で示す。
【0027】
各組立体12は、陸地の地表15よりも下に設置されている地下室14を備えている。沿岸線に対しての、仮想的に投影された場合の交差角度(imagined projected intersecting angle)で揃って並び、間隔をおき互いに平行になっている垂直な側壁16を、各地下室は備えている。側壁16は後端部分18と底端部分20とで接続されている。地下室は、シール23と側方隣接する側壁よりも上に開口22を有し、地表のごみが地下室14にはいることを防止する。複数の支持用皿部24(support pan)が、地下室14の開口22のいずれか片側で、地中又は地上に設置されている。
【0028】
図面に示した実施形態で、締結用のコネクター27で連結した複数のパネル片25を参照すると、この連結した状態では、複数のパネル部材が、単一のユニットのパネル26として有効に動作する。これに代えて、単一のパネル26は、例えば100フィート(約30.5m)などの非常に長いパネルであってよく、複数の連結されたパネル片25で形成されるのでなくて、互いに間隔をおいた地下室14の間で、地下室14に収容された上昇可能な壁64の間の、唯一のパネルであってよい。図面では、単一のパネル26として一体に機能する連結されたパネルのみを示しているが、パネルという用語を使用することで、単一の非常に長いパネル26もまた想定している。
【0029】
回転により上昇可能かつ下降可能な複数のパネル26は、下降位置にあって支持用皿部24にそれぞれ配置された、連結されたパネル片25を備えている。各パネル片25は、上面28と、底面30と、前端部32と、後端部34と、側面部36とを備え、側面部36は、地下室14の側壁16の仮想的な角度と実質的に同じ、沿岸線に対しての、仮想的に投影された場合の交差角度で、揃って並ぶ。パネル片25は、パネル片後端部34からパネル片前端部32まで延びる全長を有する。各パネル片25、即ち有効な各パネル26は、パネルの後端部34で、実質的に水平な第1回転軸38の周りにヒンジ結合で回転可能であり、支持用皿部24から直立した上昇位置に上に回転する。連結されたパネル片25がその支持用皿部24の中で下降位置にあるときに、有効な各パネル26の上面28は、陸地の地表に対してほぼ水平に配置されてよく、任意であるが、パネル26が支持用皿部24の中にあるときに通行に耐える(over-trafficking)表面を提供してよい。
【0030】
パネル片25は、複数の繰り返し単位である組立体で形成されていてよく、この組立体は、例えば、断面で直進する管などの中空の管40を備え、これらは管40の全長にわたって、例えばステッチ溶接で溶接されたものである。パネル片25、つまりパネル26は、テンション部材80によりパネル26の底面30での水の静水圧に抗して垂直に保たれる。テンション部材80は、パネルアンカー板44に旋回可能に取り付けられた、折り畳み可能なテンション部材保持アーム42を備えている。保持アーム42は、支持用皿部24の底部で皿部アンカー板46に係止されている。保持アーム42は、上部分の下方の箇所にスロットが形成された単一の上部分と、上部分のスロットを貫通するピンによって上部分に接続された二つの下部分とを有する。複数の支持ビーム48が、後端部34から前端部32まで各パネル片25の底面30に固着されている。支持ビーム48は、パネル片25即ちパネル26を強固にし、支持用皿部24の中でパネルが水平配置のときにパネル26が縦方向に重みに耐えることを助ける。これにより、任意であるが、パネルは、例えば歩行者又は車両がパネル26上で通行することなど、通行に耐える(over-trafficking)機能で働いてよい。支持用皿部24は、出口52に向かう皿部排水部を備えている。
【0031】
図1-15では、パネルが浮上式であり、支持用皿部24が位置するウェット側11の陸地の地表より高く水位が上がったときに、受動的に第1回転軸38を中心として上向きに回転して浮上する。これに加えて又はこれに代えて、図14,15に示すように、全体を54で示した、各パネルに作動可能に対応付けられたパネル上昇機構をパネル26は備えていてよい。より具体的には、後部と前部とを有する上昇アーム56が、パネルの第1回転軸38に垂直に各パネルの下に配置され、第1回転軸38に平行な実質的に水平な第3回転軸58から支持用皿部24の上に旋回可能に支持されている。動力が与えられる駆動部60が、支持用皿部24に固着されている。従動部材62は、基部が駆動部60に接続され、末端部が上昇アーム56の後部に接続されている。駆動部60を作動させると、上昇アーム56の後部は前に引かれ、上昇アーム56の前部は第3回転軸58を中心に上に回転し、これによりパネル26を上昇した直立位置へ第1回転軸38の周りに上に回転して上昇させる。各パネル26の駆動部60のための制御部は、所定の形態でパネルの駆動部を作動させる。
【0032】
図14,15の実施形態では、上昇アーム56の前部は、パネル26の底面30に接続されていない。上昇アーム56の前部の終端は、これに固着された低摩擦の擦り面を有し、上昇アーム56の前部の終端がパネルの上昇の間にパネルと接触するパネル26の底面30は、底面30に沿って固着された低摩擦の擦り面63を有する。擦り面は、上昇アーム56の前部の終端とパネルの底面30との摩擦的な接触を減少させる。これにより、上昇の動作を容易にし、同時に、上昇アーム56で前部の未接続の終端によってパネルの底面30が傷つくことから保護する。
【0033】
パネルを能動的に上昇させる上昇機構54の動作を不能にする電源喪失が生じた場合であっても、パネルは受動的に上昇できる。パネルが全部でなく部分的に上昇したときに、電源喪失が生じた場合に、浮上式の構成は特に助けになるものである。部分的に上昇したパネルの背後に収容された水は、皿部を浮き上がらせ、この上昇を静水圧的に継続し、パネルを完全直立位置で閉ざす。上昇アーム56の前部がパネル26の底面30に接続されていないので、このような閉鎖が可能になる。仮にパネル26が上昇アーム56の前部に接続されたら、この接続は、完全上昇位置までの移動量よりも少ない量で、パワーが与えられなくなったパネルを保持してしまい、浮上及び/又は静水圧による上昇の完全な実行を妨げるものとなる。
【0034】
回転式に上昇可能かつ下降可能な壁64は、接触面68が露呈している垂直な側面66と、側面66を越えて延びる水平延長部72,72’を伴った頂端70と、後端74とを有する。壁64は、下降位置にあって地下室14の中にある。壁64は、壁64の後端74と地下室14の後端部分18との上部に隣り合った、実質的に水平な第2回転軸76を中心としてヒンジ結合で回転可能である。第2回転軸76は、第1回転軸38と実質的に平行である。(厳密に平行であること、及び/又は、本質的に又は厳密に一致することを含む。)壁64は、直立した上昇位置へ開口22を通過して第2回転軸76を中心に上に回転可能である。地下室の開口22は、シール23と側方で隣接し、地下室にごみがはいることを防止する。
【0035】
壁64と隣り合うパネル26は、壁64の頂端70の延長部72及び/又は72’と係合し、少なくとも一つのパネル26が少なくとも一つの支持用皿部24から回転して上昇したときに、壁64を回転させて上昇させる。図5を参照すると、この図では、パネル26を延長部72又は72’(例示では延長部72)と係合させる一つの手段の例示的な実施形態を示しているが、取り付け部材67は、移動するワイパーシール78をパネル26に取り付ける。移動するワイパーシール78は、壁64の接触面68とのシール用の接触を与える。パネル26が上昇したときに、取り付け部材67はさらに延長部72と係合し、壁を地下室14内の箇所から上昇させる。他の実施形態では、取り付け部材は、パネル26の側面部36でさらに下方にあってよく、延長部72,72’はパネル26の上面28にわたって延びていてよい。延長部72及び/又は72’と係合するパネル26の側面部36又は上面28の上の構造の構成は、他の種類(サイズ/搭載グループなど)のパネルと異なっていてよい。
【0036】
図5に見られるように、ワイパーシール78は前方ワイプ側79と後方加圧側81とを有する。パネル26の底面30の背後に遮断された水からの静水圧が、ワイパーシール78の後方加圧側81を壁64の接触面68(69)に押し付け、これにより、パネル26と壁64との間から侵入するところだった浸水した洪水の水に対して積極的なシールを与える。
【0037】
直立する上昇された壁64の接触面68は、隣り合うパネルで横切られる空間内の平面を少なくとも描く、頂端70から後端74までの形状を有する。図1-15の実施形態では、この形状は四分円である。
【0038】
パネル26と壁64とが直立した上昇位置へ上昇したときに、複数の洪水障壁組立体12は、組み合わせとなり、パネル26の上面28が面した陸地のドライ側13で浸水することを防止する連続的な水の障壁を提供する。浸水した水は、パネル26の底面30の背後で、陸地のウェット側11に収容される。
【0039】
壁が地下室に対して回転式で出入りするにつれて、地下室にはいるごみを洗い流すために、地下室14に手段が与えられている。入口82が、地下室14の前側21に隣り合って位置する。例示的な実施形態では、入口82は蓋84で覆われる。通路86(導管に対応)が入口82から地下室14の前側21へ延び、蓋84が開けられて、入口82に導かれる洗い流す水を排水する。地下室14の後端部分18の底部の出口88が、上向きに延びる通路90(導管に対応)に向けて開き、上向きに延びる通路90は、地下室からの洗い流す水の排出のために地下室14の後端部分18の上に隣り合った頂部の出口92(排出出口に対応)で終端となる。例示的な実施形態では、カバー94が頂部の出口92にかぶせられ、カバー94が開けられたときに排水が生じる。例示的な実施形態では、上向きに延びる通路90は断面で湾曲し、コーナーは隅々まで洗浄することが難しいものなので、隅々まで洗浄することを改善する。通路86は地下室14に向けて広がり、出口88は上向きに延びる通路90に向けて狭まり、洗い流すさらに大きな力を働かせる。洗い流す力をさらに上げるために、地下室は頂部の出口92で真空状態(真空アシスト)で設置されてよい。
【0040】
開示した発明の主題は例示的なものであり、制限的でないとして考慮されるものとする。添付する請求項は、本発明の真の範囲内に該当する全ての変形例、補強例、及び他の実施形態をカバーするものとして意図される。本発明は、発明の例示的な実施形態の上述した詳細な説明に関して無制限でも制限的でもなく、法的に許容される最も広い範囲で、後述の請求項及びそれらの等価物の許容される最も広い解釈で決定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図15