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  • 特許-コンクリート管の継手構造の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】コンクリート管の継手構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/162 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
F16L55/162
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020128972
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025847
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】江口 秀男
(72)【発明者】
【氏名】岡村 脩平
(72)【発明者】
【氏名】小林 正彦
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-193188(JP,A)
【文献】特開2005-350879(JP,A)
【文献】実開昭57-115477(JP,U)
【文献】特開2007-064342(JP,A)
【文献】特開平05-231095(JP,A)
【文献】特開2013-104204(JP,A)
【文献】実開昭58-104485(JP,U)
【文献】特開2000-177010(JP,A)
【文献】特開平10-219661(JP,A)
【文献】特開2008-051207(JP,A)
【文献】米国特許第06703091(US,B1)
【文献】米国特許第06978807(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0076880(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0034552(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/162
F16L 1/00
F16L 21/02
F16L 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するコンクリート管の接続部を挟んだ両方の前記コンクリート管の内周面の所定領域に、プライマーとして主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000mPa・s未満の低粘度エポキシ樹脂を塗布し、
前記接続部を挟んで間隔を空け、前記プライマーを塗布した両方の前記コンクリート管の内周面に、接着剤として主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000~50000mPa・sのエポキシ樹脂をそれぞれ塗布し、
両方の前記コンクリート管の内周面にそれぞれ塗布した前記接着剤と接触するように、繊維シートを貼り付けることを特徴とするコンクリート管の継手構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート管路の継手部分を内面から被覆して止水するコンクリート管の継手構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート管の継手構造として、円筒状の可とう継手本体と、その可とう継手本体を管壁に押圧するための拡張バンドとを有する止水可とう継手が提案されている(例えば、特許文献1参照)。可とう継手本体の外周面には、複数の環状の止水突起が設けられ、止水突起がコンクリート管の内周面を押圧することにより、止水状態を維持する。これにより、地震や地盤沈下で継手部分に変位が発生する場合にも止水可とう継手が追従して変形しつつ止水突起で止水状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-51207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、可とう性に優れる一方で、地震等が発生した場合には、継手部分が容易に可動し、継手部分でコンクリート管同士がぶつかって再度損傷しやすいという問題点があった。また、拡張バンドは、管路内への持ち込みのために分割構造であり、その接続部がコンクリート管内面に突出し、圧力損失を大きくしてしまうという問題点もあった。さらに、拡張バンドにより止水するという構造のため、その拡張する力が緩むと漏水してしまう。そのため、微弱な稼動による拡張部に緩みを定期的に確認しなければならないという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その課題を解決し、適度な可とう性と可動域を有しながら、離脱しにくく、また内面への膨らみが小さいコンクリート管の継手構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明のコンクリート管の継手構造の製造方法は、隣接するコンクリート管の接続部を挟んだ両方の前記コンクリート管の内周面の所定領域に、プライマーとして主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000mPa・s未満の低粘度エポキシ樹脂を塗布し、前記接続部を挟んで間隔を空け、前記プライマーを塗布した両方の前記コンクリート管の内周面に、接着剤として主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000~50000mPa・sのエポキシ樹脂をそれぞれ塗布し、両方の前記コンクリート管の内周面にそれぞれ塗布した前記接着剤と接触するように、繊維シートを貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接続部を挟んで間隔を空け、繊維シートが接着剤によって両方のコンクリート管の内周面にそれぞれ貼り付けられているため、適度な可とう性と可動域を有しながら、離脱しにくく、また、コンクリート管の内周面に繊維シートを貼り付けた構成であるため、内面への膨らみが小さいコンクリート管の継手構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るコンクリート管の継手構造の実施の形態の構成を示す断面斜視図である。
図2図1に示す領域Xの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0010】
本実施の形態の継手構造は、図1及び図2を参照すると、複数のコンクリート管10が接続されてなる管状体1において、隣接するコンクリート管10の内周面の接続部11を、繊維シート20によって内面側から被覆して補強・止水する構造である。
【0011】
繊維シート20は、接続部11を跨ぐように両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ貼り付けられ、図2を参照すると、接続部11の両側において、接続部11からコンクリート管10の長手方向(以下、単に長手方向と称す)に所定距離離れたそれぞれの箇所で接着剤30によって全周にわたって貼り付けられている。すなわち、繊維シート20の少なくとも一部が接着剤30により両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ接着されている。以下、接着剤30によって繊維シート20がコンクリート管10の内周面に貼り付けられた領域を接着領域31と称す。
【0012】
2か所の接着領域に挟まれた領域、すなわち接続部11から長手方向両側に所定距離の領域では、粘着剤40によって繊維シート20がコンクリート管10の内周面に全周にわたって貼り付けられている。以下、粘着剤40によって繊維シート20がコンクリート管10の内周面に貼り付けられた領域を粘着領域41と称す。
【0013】
接着領域31では、接着剤30が硬化して繊維シート20がコンクリート管10の内周面に強固に接着されるのに対し、粘着領域41では、粘着剤40自体が伸張性を有すると共に、既に反応が完了して剥離と再粘着が可能であるため、繊維シート20が伸縮可能となる。従って、継手部に応力が作用した際に、繊維シート20は粘着領域41で伸縮が可能となり、継手部分が必要量だけ可動することができる。そして、粘着領域41の両側の配置された接着領域31で繊維シート20がコンクリート管10の内周面に強固に接着されていることで、繊維シート20が剥離或いは破断するまで、継手部分が離脱しないように制御することができる。
【0014】
接着領域31の間隔、すなわち接着剤30で強固に接着されていない領域(粘着領域41)の長手方向の長さは、接続部11を挟んで50~500mm幅程度に設定されている。これにより、コンクリート管10を継手部分で1度以上曲げても、粘着領域41での伸縮によって繊維シート20の剥離を防止できる。なお、繊維シート20が接着剤30によって接続部11を跨ぐように強固に貼り付けられた場合、隣接するコンクリート管10が動きにくくなりすぎてしまい、コンクリート管10の継手部分で少しの曲げも許容できなくなり、適用範囲が狭くなってしまう。
【0015】
繊維シート20を構成する繊維は、特に限定されるものではないが、強度、伸度、接着性等に優れるアラミド繊維が特に好ましい。その他、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維(ビニロン繊維)、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、バサルト繊維等からなる繊維シート20を用いることができる。
【0016】
繊維シート20の目付(重量)は、特に限定されるものではないが、強度や剛性の観点から100g/m以上であることが好ましく、作業性の観点から1000g/m以下であることが好ましい。100g/m以下の目付の場合、耐久性や繊維シート20の強度や剛性が不足し、コンクリート管10同士の動きを十分に抑えることができないケースがある。1000g/m以上の場合、繊維シート20の厚みが大きくコンクリート管10内面への膨らみが大きくなるため、管内の水流等により剥離しやすくなり、耐久性が低下してしまう。また、1000g/m以上の場合、繊維シート20自体が重くなり、作業性が低下してしまう。
【0017】
繊維シート20は、上記のシートを1枚か2枚用いて、重なり部分は2枚が重なる部分までとすることが好ましい。3枚以上の繊維シートを重ねて用いた場合、繊維シート間同士で剥離が起こりやすくなるため好ましくない。
【0018】
繊維シート20は、緯糸方向の強度が500~50000N/cmで、且つ破断伸度が1~20%の範囲の織物或いは編物であり、緯糸がコンクリート管20の長手方向に配向するように貼り付けられる。
【0019】
繊維シート20とコンクリート管10の内周面を接着させるための接着剤30は、特に限定されるものではないが、接着性、現場での取り扱い性の観点からエポキシ樹脂が好ましい。その他、接着剤30として、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレア樹脂、イソシアネート樹脂等を用いることができる。
【0020】
また、コンクリート管10の内周面にプライマー50を塗布した後に、接着剤30によって繊維シート20を接着すると、接着剤30とコンクリート管10の内周面との密着性を高め、繊維シート20とコンクリート管10の内周面とをより強固に接着することができる。なお、プライマー50の塗布前には、コンクリート管10の内周面を研磨され、また粉塵が取り除かれていることが好ましい。
【0021】
プライマー50として、粘度が1000mPa・s未満のもの(例えば、主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000mPa・s未満の2液型エポキシ樹脂)を用い、接着剤30として、粘度が1000~50000mPa・sのもの(例えば、主剤と硬化剤混合時の20℃での粘度が1000~50000mPa・sの2液型エポキシ樹脂)を用いると好適である。粘度が1000mPa・s未満のプライマー50を用いることで、プライマー50がコンクリート管10の内周面に染み込み、コンクリート管10の内周面にエポキシ樹脂層が形成され、繊維シート20との接着を容易にすることができる。また、粘度が1000mPa・s以上の接着剤30を用いることで、施工時に接着剤が垂れることを防止でき、接着剤30を均一に施工することできる。さらに、粘度が50000mPa・s未満の接着剤30を用いることで、接着剤30が繊維シート20を構成する各繊維の単繊維間内部に十分に浸透し、接着性を向上させることができる。
【0022】
また、プライマー50や接着剤30として用いられる2液型エポキシ樹脂は、共にJSCE-E545の試験方法による接着強度が1.5N/mm以上であることが好ましい。また、コンクリート管10の内周面に損傷等が有り、プライマー50の塗布後に表面の凹凸が激しい場合は、不陸調整のためにエポキシ樹脂製のパテを用いることも好ましい。
【0023】
粘着剤40のコンクリート管10の内周面の塗布は、基材の両面に粘着剤40が塗布された粘着テープを用いて行うと、施工性が向上する。粘着テープは、特に限定されるものではないが、基材として、紙、不織布、織物、編物、フィルム、発泡ポリマー等が使用され、粘着剤40としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等が使用される。
【0024】
接続部11には、合成樹脂及び/或いは合成ゴムからなるシーリング材60が詰められていることが好ましい。シーリング材60によって、外面からの水の侵入を防ぐことができると共に、内面からの水圧により万が一、繊維シート20の一部が剥離した際に、内面からの水の侵入も防ぐことができる。
【0025】
シーリング材60は、特に限定されるものではないが、コンクリートとの接着性、耐水性、耐久性等の観点から、シリコーン系(例えば、セメダイン株式会社製:シリコーンシーラント)、アクリルウレタン系(例えば、ボンド株式会社製:ボンドAUクイック、変性シリコーン系(例えば、セメダイン株式会社製:POSシールスピード)等が好適である。その他、シリル化アクリレート系、ポリイソブチレン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリル系、ブチルゴム系等のシーリング材60を用いることが可能である。特に、シーリング材60を詰める際には、コンクリートとの接着のためにシーリング材60と相性の良いプライマーの利用も好ましい。
【0026】
また、上記のシーリング材60に加えて、二次シーリング材(バックアップ材)として、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)系、シリコーン系、クロロプレンゴム(CR)系、発泡ポリプロピレン系、発泡ポリエチレン系、発泡ウレタン系のシーリング材を併用して使用することも好ましい。特に、止水性、形状追随性、施工性等の観点から発泡ウレタン系(例えば、日本発条株式会社製:インシュロン)等が好ましく用いられる。
【実施例
【0027】
次に、本発明を実施例について詳細に説明する。
コンクリート管10として、「日本下水道協会規格(JSWAS A-1-2011)のB型管(φ800mm×2430mm)」で、継手部に損傷のあるものを用いた。
【0028】
まず、コンクリート管10の接続部11(継手部)について、接続部11の劣化した部分の除去と清掃を実施した後、シーリング材用プライマーとして「セメダイン株式会社製、シリコーンプライマーB」を塗布し、30分間静置した。
【0029】
次に、接続部11にシーリング材60として「セメダイン株式会社製、シリコーンシーラントセメダイン8060プロ」を充填し、表面硬化まで約12時間養生した。
【0030】
接続部11にシーリング材60を詰めた後、コンクリート管10の内周面をアセトンで洗浄し、接続部11から両側600mm幅(片側300mm幅)全面に渡り、プライマー50としてエポキシ樹脂系プライマー「コニシ株式会社製、ボンドE810LW;粘度400mPa・s」を0.1kg/m塗布した後、24時間静置した。
【0031】
次に、継手部中心から両側300mm幅(片側150mm幅)の粘着領域41となる領域全面に渡り、粘着剤40として両面粘着テープ「コニシ株式会社製、ボンドTMテープR1;発泡ポリマー基材両面にアクリル系粘着剤を粘着加工したテープ。1mm厚み、25mm幅」を12本使用して貼りつけた。
【0032】
次に、粘着テープの両側それぞれ150mm幅の接着領域31となる領域全面に渡り、粘着テープの厚み1mm相当のエポキシ樹脂系パテ「コニシ株式会社製、ボンドE395W」を1.5kg/m塗布した後、24時間静置した。
【0033】
次に、接着剤30としてエポキシ樹脂「コニシ株式会社製、ボンドE2500W;粘度6000mPa・s」をエポキシ樹脂系パテ上部に1.0kg/m塗布した。
【0034】
次に、接続部11から両側600mm幅(片側300mm幅)全面に渡り、中央部は粘着剤40と、両側は接着剤30と接触するように、繊維シート20としてパラ型アラミド繊維(帝人株式会社製、Twaron、T2200、3220dtex2000filament)から成る平織の織物(帝人フロンティア株式会社製、TWF3001;経糸密度18本/inch、緯糸密度17本/inch、経方向強度7050N/inch、緯方向強度7050N/inch、目付455g/mm2、厚み0.7mm)を張り付けた。この際、コンクリート管10の円周長約2510mmに対して、1560mmの繊維シートを2枚準備し、上下約300mmが重なるように貼り付けた。
【0035】
次に、両側それぞれ150mm幅の接着領域31については、更に繊維シート20の上から接着剤30が繊維シート20の内部に含浸するように0.6kg/m塗布した。この際、脱泡用のローラーを用いて気泡を取り除きながら塗布した。その後、一週間静置した。
【0036】
以上の工程で製造したコンクリート管10の継手構造を4対準備し、離脱試験、曲げ試験、内水密試験、外水密試験を実施した。
【0037】
(離脱試験)
コンクリート管10の外周から継手部分を跨ぐように油圧ジャッキを3か所取り付け、長手方向の離脱力を測定した。結果、繊維シート20は310kNで離脱した。繊維シート20とコンクリート管10が接着剤30で貼り付けられた接着領域31の面積(片側)から接着力を計算すると、繊維シート20は接着剤30により0.82N/mm2の接着力でコンクリート管10に貼り付けられていた。繊維シート20を接着剤30でコンクリート管10の内周面に貼り付ける面積を制御することで、離脱力を制御することが可能である。
【0038】
(曲げ試験)
コンクリート管10の片側を油圧ジャッキにより持ち上げて、繊維シート20が剥離するまでの角度を測定した。結果、曲げ角度が2度となる際に繊維シート20の剥離が見られた。接着領域31による接着力の制御と、繊維シート20の中央部で繊維シート20が粘着剤40により容易に伸縮可能なように貼り付けられている粘着領域41の面積を制御することで、最大曲げ角度を制御することが可能である。
【0039】
(内水圧試験)
コンクリート管10の内側から1.0MPaの内水圧を加圧した状態で5分間保持しても、外側から漏水は確認されなかった。
【0040】
(外水圧試験)
コンクリート管10の外側から0.2MPaの外水圧を加圧した状態で2分間保持しても、内側から漏水は確認されなかった。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、隣接するコンクリート管10の接続部11を跨ぐように、両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ貼り付けられた繊維シート20を具備し、繊維シート20は、接続部11を挟んで間隔を空け、接着剤30によって両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ接着されている。
この構成により、接続部11を挟んで間隔を空け、繊維シート20が接着剤30によって両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ貼り付けられているため、適度な可とう性と可動域を有しながら、離脱しにくく、また、コンクリート管10の内周面に繊維シート20を貼り付けた構成であるため、内面への膨らみが小さいコンクリート管10の継手構造を実現することができる。さらに、適度な可とう性と可動域を有して微弱な稼動を許容しているため、定期的な緩み等の確認作業などが省略でき、恒久的な継手構造を実現することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態によれば、接着剤30によって繊維シート20が両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ接着されている接着領域31の間隔は、接続部11を挟んで50~500mmに設定されている。
この構成により、コンクリート管10を継手部分で1度以上曲げても、粘着領域41での伸縮によって繊維シート20の剥離を防止できる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、繊維シート20は、接続部11を挟んだ所定の領域において、粘着剤30によって両方のコンクリート管10の内周面にそれぞれ接着されている。
この構成により、伸縮性を維持した状態で繊維シート20をコンクリート管10の内周面に貼り付けることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態によれば、繊維シート20は、目付100~1000g/mで、緯糸方向の強度が500~50000N/cm、緯糸方向の破断伸度が1~20%の織物である。また、繊維シート20は、織物を構成する繊維が、コンクリート管10の長手方向に配向するように貼り付けられている。
この構成により、適度な可とう性と可動域を有しながら、離脱しにくいコンクリート管10の継手構造を実現することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態によれば、接続部11には、合成樹脂及び/或いは合成ゴムからなるシーリング材60が詰められている。また、シーリング材60としては、シリコーン系、アクリルウレタン系、変性シリコーン系の何れか1種類以上が用いられている。
この構成により、外面からの水の侵入を防ぐことができると共に、内面からの水圧により万が一、繊維シート20の一部が剥離した際に、内面からの水の侵入も防ぐことができる。
【0046】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
10 コンクリート管
11 接続部
20 繊維シート
30 接着剤
31 接着領域
40 粘着剤
41 粘着領域
50 プライマー
60 シーリング材
図1
図2