(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】アンカーフレームの施工管理システム
(51)【国際特許分類】
E04B 1/24 20060101AFI20241113BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20241113BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20241113BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
E04B1/24 R ESW
E04B1/58 511H
E02D27/00 D
E04G21/12 105Z
(21)【出願番号】P 2020159818
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 倫夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一司
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/097589(WO,A1)
【文献】特開2010-117647(JP,A)
【文献】特開2015-075797(JP,A)
【文献】特開2017-001835(JP,A)
【文献】特開2003-336267(JP,A)
【文献】特開2019-199748(JP,A)
【文献】特開2006-227961(JP,A)
【文献】特開2011-022849(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0345110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
E02D 27/00
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱脚のベースプレートを基礎コンクリートに固定するために用いられ、複数のアンカーボルトを有するアンカーフレームの施工管理システムであって、
前記アンカーフレームを構成する部材に取り付けられたタグから前記アンカーフレームの
型式を示す情報を含む識別情報を読み取る読取部と、
前記読取部によって前記識別情報が読み取られる際の前記アンカーフレームの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記読取部によって読み取られた前記識別情報、及び前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報を出力する出力部
と、
前記読取部によって読み取られた複数の前記アンカーフレームの前記識別情報及び前記位置情報取得部によって取得された複数の前記アンカーフレームの前記位置情報から、複数の前記アンカーフレームの配置を示す配置情報を作成する配置情報作成部と、
前記アンカーフレームの設置場所を定めた設計情報を記憶する設計情報記憶部と、
前記出力部から出力された情報を表示する表示部と、を備え、
前記出力部は、前記配置情報作成部が作成した前記配置情報及び前記設計情報記憶部に記憶された前記設計情報を出力し、
前記表示部は、前記配置情報と前記設計情報とを前記複数のアンカーフレームの各々の型式が認識可能な態様で並べて表示するアンカーフレームの施工管理システム。
【請求項2】
前記読取部は、前記タグから前記アンカーフレームの配送先を示す配送先情報を読み取り可能であり、
前記アンカーフレームを荷受けする施工現場を示す荷受現場情報を記憶する荷受現場情報記憶部と、
前記荷受現場情報記憶部に記憶された前記荷受現場情報と前記読取部が読み取った前記配送先情報とが一致するか否かを判定する判定部とを備え、
前記出力部は、さらに、前記判定部における判定結果を出力する
請求項1に記載のアンカーフレームの施工管理システム。
【請求項3】
前記アンカーフレームを構成する前記部材を撮像して得られた画像を解析して、前記識別情報を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された前記識別情報を前記タグに埋め込むタグ情報作成部と、をさらに備える
請求項1又は請求項2に記載のアンカーフレームの施工管理システム。
【請求項4】
前記読取部が前記タグから読み取った前記識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて、前記タグが取り付けられた前記アンカーフレームの前記識別情報ごとの数量を算出する算出部と、をさらに備え、
前記出力部は、さらに、前記算出部で算出された前記数量を出力する
請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のアンカーフレームの施工管理システム。
【請求項5】
前記アンカーフレームを構成する前記部材は、前記複数のアンカーボルトを固定する下形板、上形板、又は前記複数のアンカーボルトである
請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のアンカーフレームの施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱脚のベースプレートを基礎コンクリートに固定するために用いられるアンカーフレームの施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎コンクリートに対して柱脚を固定するための柱脚アンカー構造が知られている(例えば、特許文献1)。従来の柱脚アンカー構造は、均しコンクリート上に配置される架台と、架台上に設置されるアンカーフレームとを備えている。アンカーフレームは、架台に直接取り付けられる下形板と、下形板に固定されるアンカーボルトと、上形板とを有している。アンカーボルトは、柱脚に接合されるベースプレートを基礎コンクリートに固定するためのボルトである。上形板は、アンカーフレームの設置時にアンカーボルト間のピッチを維持するための部材である。
【0003】
架台、及びアンカーフレームは、あらかじめ規格によってその仕様が定められており、ベースプレートの種類及びサイズなどに合わせて選択される。また、柱脚アンカー構造を構成するこれらの部品は、一般に、建設現場で組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建設現場には様々な仕様のアンカーフレームが納入される。また、架台上には設計時に定められたアンカーフレームとは仕様が若干異なるアンカーフレームであっても取り付けることができる場合がある。そのため、設計時に定められた仕様とは異なる仕様のアンカーフレームが誤って架台に設置されるおそれがある。
【0006】
設計時に定められたアンカーフレームとは異なる仕様のアンカーフレームが架台に取り付けられてしまうと、アンカーフレームのアンカーボルトの位置とベースプレートに形成されたボルト孔の位置とが合わなくなる。そのため、ベースプレートをアンカーボルトで固定できなくなる。
【0007】
ベースプレートをアンカーボルトで固定する段階では、すでにアンカーフレームは基礎コンクリートに埋設されている。そのため、設計時に定められた仕様とは異なる仕様のアンカーフレームが誤って架台に設置されてしまうと、基礎コンクリートを斫って、柱脚アンカー構造を設置し直すことが必要となってしまう。
【0008】
本発明は、設計時に選択された仕様とは異なる仕様のアンカーフレームが架台上に設置されることを確実に防止できるアンカーフレームの施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、柱脚のベースプレートを基礎コンクリートに固定するために用いられ、複数のアンカーボルトを有するアンカーフレームの施工管理システムであって、前記アンカーフレームを構成する部材に取り付けられたタグから前記アンカーフレームの型式を示す情報を含む識別情報を読み取る読取部と、前記読取部によって前記識別情報が読み取られる際の前記アンカーフレームの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記読取部によって読み取られた前記識別情報、及び前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報を出力する出力部と、前記読取部によって読み取られた複数の前記アンカーフレームの前記識別情報及び前記位置情報取得部によって取得された複数の前記アンカーフレームの前記位置情報から、複数の前記アンカーフレームの配置を示す配置情報を作成する配置情報作成部と、前記アンカーフレームの設置場所を定めた設計情報を記憶する設計情報記憶部と、前記出力部から出力された情報を表示する表示部と、を備え、前記出力部は、前記配置情報作成部が作成した前記配置情報及び前記設計情報記憶部に記憶された前記設計情報を出力し、前記表示部は、前記配置情報と前記設計情報とを前記複数のアンカーフレームの各々の型式が認識可能な態様で並べて表示するアンカーフレームの施工管理システムである。
請求項2に係る発明は、前記読取部は、前記タグから前記アンカーフレームの配送先を示す配送先情報を読み取り可能であり、前記アンカーフレームを荷受けする施工現場を示す荷受現場情報を記憶する荷受現場情報記憶部と、前記荷受現場情報記憶部に記憶された前記荷受現場情報と前記読取部が読み取った前記配送先情報とが一致するか否かを判定する判定部とを備え、前記出力部は、さらに、前記判定部における判定結果を出力する請求項1に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
請求項3に係る発明は、前記アンカーフレームを構成する前記部材を撮像して得られた画像を解析して、前記識別情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記識別情報を前記タグに埋め込むタグ情報作成部と、をさらに備える請求項1又は請求項2に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
請求項4に係る発明は、前記読取部が前記タグから読み取った前記識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて、前記タグが取り付けられた前記アンカーフレームの前記識別情報ごとの数量を算出する算出部と、をさらに備え、前記出力部は、さらに、前記算出部で算出された前記数量を出力する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
請求項5に係る発明は、前記アンカーフレームを構成する前記部材は、前記複数のアンカーボルトを固定する下形板、上形板、又は前記複数のアンカーボルトである請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
また、別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、複数のアンカーボルトを有するアンカーフレームの施工管理システムであって、前記アンカーフレームを構成する部材に取り付けられたタグから前記アンカーフレームの識別情報を読み取る読取部と、前記読取部によって前記識別情報が読み取られる際の前記アンカーフレームの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記読取部によって読み取られた前記識別情報、及び前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報を出力する出力部を備えるアンカーフレームの施工管理システムである。
【0010】
手段2は、前記読取部によって読み取られた複数の前記アンカーフレームの前記識別情報及び前記位置情報取得部によって取得された複数の前記アンカーフレームの前記位置情報から、複数の前記アンカーフレームの配置を示す配置情報を作成する配置情報作成部をさらに備え、前記出力部は、さらに、前記配置情報作成部が作成した前記配置情報を出力する手段1に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0011】
手段3は、前記アンカーフレームの設置場所を定めた設計情報を記憶する設計情報記憶部をさらに備え、前記出力部は、さらに、前記設計情報記憶部に記憶された前記設計情報を出力する手段2に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0012】
手段4は、前記出力部から出力された情報を表示する表示部をさらに備え、前記表示部は、前記配置情報と前記設計情報とを表示する手段3に記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0013】
手段5は、前記読取部は、前記タグから前記アンカーフレームの配送先を示す配送先情報を読み取り可能であり、前記アンカーフレームを荷受けする施工現場を示す荷受現場情報を記憶する荷受現場情報記憶部と、前記荷受現場情報記憶部に記憶された前記荷受現場情報と前記読取部が読み取った前記配送先情報とが一致するか否かを判定する判定部とを備え、前記出力部は、さらに、前記判定部における判定結果を出力する手段1乃至手段4のうちいずれかに記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0014】
手段6は、前記アンカーフレームを構成する前記部材を撮像して得られた画像を解析して、前記識別情報を生成する処理部と、前記処理部によって生成された前記識別情報を前記タグに埋め込むタグ情報作成部と、をさらに備える手段1乃至手段5のうちいずれかに記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0015】
手段7は、前記読取部が前記タグから読み取った前記識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて、前記タグが取り付けられた前記アンカーフレームの前記識別情報ごとの数量を算出する算出部と、をさらに備え、前記出力部は、さらに、前記算出部で算出された前記数量を出力する手段1乃至手段6のうちいずれかに記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0016】
手段8は、前記識別情報は、前記アンカーフレームの型式を示す情報である手段1乃至手段7のうちいずれかに記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【0017】
手段9は、前記アンカーフレームを構成する前記部材は、前記複数のアンカーボルトを固定する下形板、上形板、又は前記複数のアンカーボルトである手段1乃至手段8のうちいずれかに記載のアンカーフレームの施工管理システムである。
【発明の効果】
【0018】
設計時に選択された仕様とは異なる仕様のアンカーフレームが架台上に取り付けられることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】柱脚アンカー構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】柱脚アンカー構造の一例を示す正面図である。
【
図4】タグ情報生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】タグ情報出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】タグ情報生成装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図7】タグ情報出力装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図8】表示部が表示する配置情報と設計情報の表示態様の一例を示す図である。
【
図9】表示部が表示する型式ごとのアンカーフレームの数量の表示態様の一例を示す図である。
【
図10】アンカーフレームの荷受け時の処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】アンカーフレームの設置時の処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。なお、本発明は、この実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0021】
【0022】
本実施形態は、柱1の下端に接合されたベースプレート11を固定するためのアンカーフレーム3の施工管理システムに関する。アンカーフレーム3は、架台2上に設置されて柱脚アンカー構造をなし、基礎コンクリート4中に埋設される。
【0023】
架台2は、地面に打設された均しコンクリート5上に配置されてアンカーフレーム3を支持する部材である。架台2は、ベースプレート11の形状、及びサイズなどに応じて、設計時に様々な仕様の架台2から最適なものが選択されて定められる。
【0024】
架台2は、例えば、形鋼などの鋼材を接合して直方体状に形成される。架台2は、支柱21、横部材22、支持部23、及び台座24を有している。これらの部材は、工場で製造されて施工現場へ送られ、施工現場で組み立てられる。また、これらの部材は、予め工場で組み立てられて施工現場へ送られてもよい。
【0025】
支柱21は、平面視で架台2の四隅に配置される。また、支柱21は、均しコンクリート5に対して垂直に配置される。支柱21には、山形鋼などの鋼材が用いられる。
【0026】
横部材22は、2つの支柱21の上端間に架設されて、支柱21同士を互いに連結する。横部材22には、山形鋼などの鋼材が用いられる。
【0027】
支持部23は、少なくとも対向して配置される一対の横部材22の上端から水平方向かつ互いに離間する方向に張り出した部分である。支持部23は、上面でアンカーフレーム3を支持する。支持部23の長手方向の長さは、架台2にアンカーフレーム3が設置された際に後述するアンカーボルト31に干渉しない長さに形成される。
【0028】
なお、アンカーフレーム3をより安定して支持するために、アンカーボルト31に干渉しなければ、すべての横部材22の上端から支持部23が張り出すようにしてもよい。また、横部材22が山形鋼で構成されている場合、支持部23は横部材22と一体に形成されることとなる。
【0029】
台座24は、支柱21の下端部間を連結し、架台2の安定性を確保する部材である。
【0030】
アンカーフレーム3は、架台2上に設置される部材である。アンカーフレーム3が架台2に設置された後、これらの部材は基礎コンクリート4に埋設される。
【0031】
アンカーフレーム3は、アンカーボルト31、下形板32、ナット33、上形板34、及びナット35を有している。これらの部材は、工場で製造されて施工現場へ送られ、施工現場で組み立てられる。
【0032】
アンカーボルト31は、ベースプレート11の所定位置に形成されたボルト孔12へ挿通されて、ナット35とともにベースプレート11を基礎コンクリート4へ固定する部材である。
【0033】
下形板32は、アンカーボルト31の下端部間を連結する枠状の鉄板である。
図3に示すように、下形板32には、所定の位置にアンカーボルト挿通孔321が形成されている。また、下形板32の中央には、矩形状の貫通孔322が形成されている。アンカーボルト挿通孔321は、ベースプレート11に穿孔されたボルト孔12と対応する位置に形成される。
【0034】
下形板32は、サイズ及びアンカーボルト挿通孔321の位置が互いに異なる複数の型式の下形板32の中から、ベースプレート11のサイズ及びボルト孔12の位置に合わせて、最適な仕様の型式が設計時に選択されて定められる。下形板32の型式が異なるとアンカーフレーム3の仕様が異なることになる。すなわち、仕様が異なるアンカーフレーム3は、型式が異なる下形板32を有することになり、下形板32の型式が判別できれば、アンカーフレームの仕様が特定できることになる。
【0035】
下形板32のアンカーボルト挿通孔321にアンカーボルト31が挿通され、2つのナット33で下形板32を挟んだ状態でこれらのナット33がアンカーボルト31に螺合することによって、アンカーボルト31が下形板32で固定される。
【0036】
下形板32は、架台2の支持部23上に載置され、溶接等により架台2に接合される。
【0037】
上形板34は、アンカーボルト31の上端部間を連結し、各アンカーボルト31を垂直状態に維持するための仮止め用の部材である。また、上形板34は、下形板32とほぼ同様の構造を有する。上形板34の型式は、下形板32の型式が異なるとそれに応じた異なる型式となり、アンカーフレーム3の仕様が異なることになる。すなわち、仕様が異なるアンカーフレーム3は、型式が異なる上形板34を有することになり、上形板34の型式が判別できれば、アンカーフレーム3の仕様が特定できることになる。
【0038】
均しコンクリート5上に架台2が載置され、架台2上にアンカーフレーム3が設置された後、上形板34よりやや下の高さに達するまで基礎コンクリート4が打設される。したがって、架台2、及びアンカーフレーム3の大部分は、基礎コンクリート4に埋設される。
【0039】
基礎コンクリート4が固まると上形板34は取り外される。その後、基礎コンクリート4の表面から上方へ突出するアンカーボルト31をベースプレート11のボルト孔12に挿通させ、ベースプレート11を基礎コンクリート4上に載置する。最後に、アンカーボルト31に対してナット35を締め込むことにより、ベースプレート11が基礎コンクリート4上に固定される。
【0040】
次に、アンカーフレーム3の施工管理システムについて説明する。アンカーフレーム3の施工管理システムは、アンカーフレーム3の製造工場で運用されるタグ情報生成装置と、施工現場で運用されるタグ情報出力装置とを備えている。
【0041】
図4は、タグ情報生成装置6のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。タグ情報生成装置6は、情報取得装置61と、制御装置62と、タグ作成装置63と、入力装置64とを備える。
【0042】
情報取得装置61は、製造工場で製造されたアンカーフレーム3を構成する部材(本実施形態では下形板32)の情報を取得する装置である。情報取得装置61は、例えば、カメラなどの撮像装置である。情報取得装置61が撮像装置である場合、情報取得装置61は、アンカーフレーム3を構成する部材の画像情報を取得する。情報取得装置61で取得された情報は、制御装置62に向けて出力される。
【0043】
制御装置62は、タグ情報生成装置6を制御する装置である。制御装置62は、例えば、PC(Personal Computer)である。制御装置62は、CPU(Central Processing Unit)62a、ROM(Read Only Memory)62b、RAM(Random Access Memory)62c、及び不揮発性メモリ62dを有している。
【0044】
CPU62aは、例えば、情報取得装置61から入力された情報を処理する。また、CPU62aは、システムプログラムに基づいて、タグ情報生成装置6全体を制御する。
【0045】
ROM62bは、例えば、タグ情報生成装置6を制御するためのシステムプログラムを記憶する記憶装置である。
【0046】
RAM62cは、一時的に情報を記憶する記憶装置である。RAM62cは、例えば、情報取得装置61によって取得された情報をCPU62aが処理する際に一時的に算出した情報を記憶する。
【0047】
不揮発性メモリ62dは、例えば、SSD(Solid State Drive)である。不揮発性メモリ62dは、例えば、情報取得装置61が取得した下形板32に関する情報を記憶する。なお、制御装置62は、不揮発性メモリ62dに加えて、又は不揮発性メモリ62dの代わりに、クラウドサーバなどの外部記憶装置を用いて各種情報を記憶するようにしてもよい。
【0048】
タグ作成装置63は、アンカーフレーム3を構成する部材として下形板32に取り付けられるタグ323(
図3参照)に識別情報を埋め込むための装置である。タグ323がRF(Radio Frequencsy)タグである場合、タグ作成装置63は、RFタグに情報を書き込む書込装置である。
【0049】
入力装置64は、タグ情報生成装置6に対する情報の入力を受け付ける装置である。入力装置64は、例えば、タッチパネル、キーボードなどのユーザインタフェースである。入力装置64に入力された情報は、制御装置62に向けて出力される。
【0050】
図5は、タグ情報出力装置7のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。タグ情報出力装置7は、タグ読取装置71、管理装置72、及び表示装置73を備えている。
【0051】
タグ読取装置71は、タグ323に埋め込まれた情報を読み取る装置である。タグ323がRFタグである場合、タグ読取装置71は、RFタグの読取装置である。
【0052】
管理装置72は、タグ読取装置71が読み取った情報などを記憶、又は処理する装置である。管理装置72は、例えば、PC、又は、スマートフォンなどの携帯端末である。管理装置72は、CPU72a、ROM72b、RAM72c、及び不揮発性メモリ72dを有している。
【0053】
CPU72aは、例えば、タグ読取装置71が読み取った情報を処理する。また、CPU72aは、システムプログラムに基づいて、タグ情報出力装置7全体を制御する。
【0054】
ROM72bは、例えば、タグ情報出力装置7のシステムプログラムを記憶する記憶装置である。
【0055】
RAM72cは、一時的に情報を記憶する記憶装置である。RAM72cは、例えば、タグ読取装置71によって読み取られた情報をCPU72aが処理する際に一時的に算出した情報などを記憶する。
【0056】
不揮発性メモリ72dは、例えば、SSDである。不揮発性メモリ72dは、例えば、タグ読取装置71が読み取った情報を記憶する。なお、管理装置72は、不揮発性メモリ72dに加えて、又は不揮発性メモリ72dの代わりに、クラウドサーバなどの外部記憶装置を用いて各種情報を記憶するようにしてもよい。
【0057】
表示装置73は、管理装置72によって処理された情報を表示する装置である。表示装置73は、例えば、PCの液晶ディスプレイ、又は、スマートフォンなどの携帯端末のディスプレイである。
【0058】
図6は、タグ情報生成装置6の機能の一例を示すブロック図である。
【0059】
情報取得装置61は、情報取得部611を有している。情報取得部611は、アンカーフレーム3を構成する部材(本実施形態では下形板32)の情報を取得する。アンカーフレーム3を構成する部材の情報は、例えば、下形板32の画像情報である。すなわち、情報取得装置61がカメラである場合、情報取得部611は、カメラで撮像された下形板32の画像情報を取得し、制御装置62に向けて出力する。
【0060】
制御装置62は、処理部621と、記憶部622を有している。
【0061】
処理部621は、情報取得部611が取得した下形板32の情報を解析し、当該情報が示す下形板32を識別する処理を行う。処理部621は、例えば、情報取得部611が取得した下形板32の画像情報と、記憶部622に記憶されている様々な型式の下形板32の画像情報とを照合する。処理部621は、この処理により記憶部622に記憶されている様々な型式の下形板32の画像情報から、情報取得部611が取得した画像情報に一致する画像情報を特定し、情報取得部611が取得した画像情報が示す下形板32の識別情報を特定する。識別情報は、下形板32を識別できる情報であり、例えば、下形板32の型式を示す情報である。
【0062】
処理部621は、例えば、情報取得部611によって取得された画像情報が示す下形板32のサイズならびにアンカーボルト挿通孔321の位置及び個数と、記憶部622に記憶された画像情報が示す様々な型式の下形板32のサイズならびにアンカーボルト挿通孔321の位置及び個数とを照合することにより、情報取得部611が取得した画像情報が示す下形板32を識別する。処理部621は、下形板32を識別できる識別情報をタグ作成装置63に向けて出力する。
【0063】
記憶部622は、上述したとおり、様々な型式の下形板32の情報を記憶している。記憶部622に記憶されている下形板32の情報には、例えば、下形板32の画像情報、下形板32のサイズ、アンカーボルト挿通孔321の位置及び個数、ならびに下形板32を識別できる識別情報が含まれる。
【0064】
タグ作成装置63は、タグ情報作成部631と、書込部632とを有する。
【0065】
タグ情報作成部631は、処理部621によって特定された下形板32の識別情報をコード化する。
【0066】
書込部632は、タグ情報作成部631によってコード化された識別情報をタグ323に書き込む。
【0067】
入力装置64は、入力部641を有している。
【0068】
入力部641は、アンカーフレーム3(下形板32)の配送先である施工現場に関する情報の入力操作をユーザから受け付ける。入力部641から入力されたアンカーフレーム3(下形板32)の配送先である施工現場に関する情報は、制御装置62を介してタグ作成装置63に送られる。
【0069】
タグ情報作成部631は、配送先の施工現場に関する情報をコード化して配送先を示す配送先情報を作成する。配送先情報は、例えば、アンカーフレーム3(下形板32)が配送される施工現場で施工される建造物の名称、施工現場の住所である。書込部632は、上述した識別情報とともに配送先情報を、アンカーフレーム3を構成する部材(下形板32)に取り付けられるタグ323に書き込む。
【0070】
識別情報及び配送先情報が埋め込まれたタグ323は直ちに対応するアンカーフレーム3を構成する部材である下形板32の表面に取り付けられる。タグ323が取り付けられた下形板32は配送先の施工現場に向けて出荷される。なお、下形板32の表面には、その型式がチョーク等により別途書き込まれる。
【0071】
図7は、タグ情報出力装置7の機能の一例を説明するブロック図である。
【0072】
タグ読取装置71は、読取部711を有している。
【0073】
読取部711は、タグ323に埋め込まれた情報を読取る。すなわち、読取部711は、アンカーフレーム3の製造工場においてタグ323に埋め込まれた識別情報及び配送先情報を読み取る。読取部711は、読み取った情報を管理装置72に向けて出力する。
【0074】
管理装置72は、位置情報取得部721、配置情報作成部722、出力部723、設計情報記憶部724、荷受現場情報記憶部725、判定部726、識別情報記憶部727、算出部728、及び荷受情報記憶部729を有している。
【0075】
位置情報取得部721は、読取部711が下形板32のタグ323に埋め込まれた識別情報を読取る際のタグ読取装置71の位置を、アンカーフレーム3の位置として取得する。
【0076】
位置情報取得部721は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて下形板32の位置情報をアンカーフレーム3の位置として取得する。例えば、タグ読取装置71がGPS受信機(不図示)を備え、位置情報取得部721は、読取部711が下形板32のタグ323から識別情報を読み取る際のGPS受信機の位置をアンカーフレーム3の位置として取得する。つまり、施工現場において架台2にアンカーフレーム3が載置された状態で、読取部711がタグ323に埋め込まれた識別情報を読み取る際は、タグ読取装置71がタグ323に接触あるいは近接する位置に配置されるため、タグ読取装置71が備えるGPS受信機の位置を下形板32、すなわちアンカーフレーム3の位置とみなすことができる。タグ323の位置情報には、例えば、アンカーフレーム3が配置されている位置の緯度及び経度に関する情報が含まれる。
【0077】
配置情報作成部722は、読取部711によって読み取られた複数のアンカーフレーム3の識別情報、及び識別情報が読み取られた際に位置情報取得部721によって取得された位置情報に基づいて、複数のアンカーフレーム3の配置を示す配置情報を作成する。配置情報は、例えば、複数のアンカーフレーム3の配置を示す配置図である。
【0078】
出力部723は、配置情報作成部722によって作成された配置情報を表示装置73に向けて出力する。
【0079】
表示装置73は表示部731を有している。表示部731は、例えば、出力部723から出力された配置情報を表示装置73の液晶ディスプレイなどに表示させる。
【0080】
設計情報記憶部724は、設計時に定められた施工現場におけるアンカーフレーム3の配置を示す設計情報を記憶する。設計情報は、例えば、設計時に定められた各アンカーフレーム3の設置位置を示す施工図である。設計情報記憶部724に記憶される設計情報は、図示しない入力手段を介して入力される。
【0081】
出力部723は、配置情報作成部722が作成した配置情報とともに設計情報記憶部724に記憶された設計情報を表示装置73向けて出力し、表示部731が配置情報及び設計情報を並べて表示する。
【0082】
図8は、表示部731が表示する配置情報と設計情報の表示態様の一例を示す図である。配置情報は、架台2上に設置されたアンカーフレーム3のタグ323から識別情報が読み取られた際のアンカーフレーム3の実際の配置を示す配置図である。設計情報は、設計時に定められた複数のアンカーフレーム3の配置を示す施工図である。配置図と施工図は、表示装置73のディスプレイ上において並べて配置されている。
【0083】
図8中、例えば、四角形は300×300[mm]用の第1の型式の下形板32のアンカーフレーム3を示し、三角形は350×350[mm]用の第2の型式の下形板32のアンカーフレーム3を示し、星型は400×400[mm]用の第3の型式の下形板32のアンカーフレーム3を示し、円形は500×500[mm]用の第4の型式の下形板32のアンカーフレーム3を示している。
図8では、施工図における各下形板32の配置と配置図における各下形板32の配置は同じであることを示している。つまり、ユーザは、表示装置73のディスプレイを参照して各下形板32の相対位置を確認することにより、施工図が示すとおりに、各下形板32が配置されていることを確認することができる。相対位置を表示することができるので、GPSによる位置情報に誤差が生じた場合や、各アンカーフレーム3の配置された位置が、施工図に示される位置から若干ずれている場合であっても、少なくとも並び自体が正しく配置されているか否かを確認することができる。この下形板32の配置状況を確認することで、所定のアンカーフレーム3が適切な位置に配置されているかを確認することができる。
【0084】
なお、配置図及び施工図において、各下形板32を示す各図形の近くに下形板32が配置された位置の緯度及び経度を示す情報を正確に反映させて表示してもよい。これにより、各下形板32の絶対位置を確認することができる。
【0085】
図7に戻って管理装置72の機能についての説明を続ける。
【0086】
荷受現場情報記憶部725は、アンカーフレーム3を荷受けする荷受現場を示す荷受現場情報を記憶する。荷受現場とは、タグ情報出力装置7が設置されて運用される施工現場であり、アンカーフレーム3を実際に荷受けする施工現場である。荷受現場情報には、例えば、施工現場に建設される建造物の名称、施工現場の住所に関する情報が含まれる。荷受現場情報記憶部725に記憶される荷受現場情報は、図示しない入力手段を介して入力される。
【0087】
判定部726は、読取部711によって読み取られた配送先情報と荷受現場情報記憶部725に記憶されている荷受現場情報とが一致しているか否か判定する。例えば、判定部726は、読取部711に読み取られた配送先情報が示す建造物の名称と、荷受け現場情報が示す荷受け現場の建造物の名称が一致しているか否かを判定する。
【0088】
出力部723は、判定部726による判定結果を表示装置73に向けて出力し、表示部731は、判定部726による判定結果を表示する。
【0089】
識別情報記憶部727は、読取部711によってタグ323から読み取られた識別情報を順次記憶する。
【0090】
算出部728は、識別情報記憶部727に記憶された識別情報に基づいて、読取部711によって読み取られた識別情報ごとの下形板32の数量をアンカーフレーム3の数量として算出する。つまり、算出部728は、タグ情報出力装置7が配置されて運用されている施工現場で荷受けされた下形板32を型式ごとに分けてカウントし、アンカーフレーム3の数量として仕様(型式)ごとに分けて算出する。
【0091】
荷受情報記憶部729は、施工現場で荷受されるべきアンカーフレーム3の識別情報、および数量を記憶する。例えば、施工現場で使用される下形板32の型式及び型式ごとの数量が図示しない入力手段により入力され、荷受情報記憶部729に記憶される。
【0092】
判定部726は、算出部728で算出された識別情報ごとの下形板32の数量と、荷受情報記憶部729に記憶されている下形板32の数量とが一致するか否かを判定する。これによって、例えば、施工現場で荷受けされた部材の数量が施工現場で実際に使用される部材の数量と一致するか否かが判定される。
【0093】
出力部723は、算出部728によって算出されたアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量を示す情報と、判定部726による判定結果を表示装置73に向けて出力し、表示部731は、算出部728で算出されたアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量とその数量の適否を示す判定結果を表示する。
【0094】
図9は、表示部731が表示するアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量と判定結果の表示態様の一例を示す図である。
図9では、施工現場で荷受けされたアンカーフレーム3の仕様(型式)ごとの数量とその数量が適切であるか否かを示す判定結果とが表形式で表示されている。
図9では、各数量の右側に「OK」と表示されており、各型式のアンカーフレーム3が実際に使用される数量だけ荷受けされたことを示している。なお、荷受けされた型式ごとの数量が実際に使用される数量と一致しない場合は、「NG」と表示されるようにすればよい。
【0095】
次に、施工現場においてアンカーフレーム3の荷受けを行う際にタグ情報出力装置7で行われる処理について説明する。
【0096】
図10は、アンカーフレーム3の荷受け時のタグ情報出力装置7の処理の一例を示すフローチャートである。
【0097】
下形板32の荷受け時に、読取部711は下形板32に取付けられたタグ323に埋め込まれた識別情報及び配送先情報を読み込む(ステップS01)。
【0098】
続いて、判定部726は、読取部711によって読み取られた配送先情報が示す施工現場と荷受現場情報記憶部725に記憶された荷受現場情報が示す施工現場とが一致するか否かを判定する(ステップS02)。
【0099】
配送先情報が示す施工現場と荷受現場情報が示す施工現場とが一致すると判定された場合(ステップS02において、Yesの場合)、出力部723は判定結果を表示装置73に向けて出力し(ステップS03)、表示部731は判定結果を表示する。
【0100】
続いて、読取部711によって読み取られた識別情報は識別情報記憶部727に記憶され(ステップS04)、ステップS06に進む。
【0101】
一方、配送先情報が示す施工現場と荷受現場情報が示す施工現場とが一致しないと判定された場合(ステップS02において、Noの場合)、出力部723は判定結果を表示装置73に向けて出力し(ステップS05)、表示部731は判定結果を表示する。
【0102】
この場合、読取部711によって読み取られた識別情報は識別情報記憶部727に記憶されず、ステップS06に進む。
【0103】
続いて、荷受けが終了したか否かが判定される(ステップS06)。例えば、タグ情報出力装置7が終了ボタンを備えており、終了ボタンが押された場合に判定部726は荷受けが終了したと判定するようにすればよい。
【0104】
荷受けが終了したと判定された場合(ステップS06において、Yesの場合)、算出部728は、識別情報記憶部727に記憶されている識別情報から、アンカーフレーム3の識別情報ごとの数量を算出する(ステップS07)。
【0105】
次に、算出部728によって算出された識別情報ごとの数量が、荷受情報記憶部729に記憶された識別情報ごとの数量と一致するか否かが判定部726によって判定され、判定結果が出力部723によって表示装置73に向けて出力される(ステップS08)。そして、表示部731がアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量とその数量の適否を示す情報を表示し、荷受け時の処理を終了する。
【0106】
ステップS06において、荷受けが終了していないと判定された場合、再び、ステップS01に戻り、読取部711が、別のアンカーフレーム3の下形板32に取付けられたタグ323に埋め込まれた識別情報及び配送先情報を読み取る。なお、ステップS06におけるNoの判定は、ユーザによってされることとなる。
【0107】
施工現場におけるアンカーフレーム3の荷受時に、以上の処理が実行されることにより、荷受けされたアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量と、荷受けされたアンカーフレーム3の数量の適否を示す情報とが表示装置73のディスプレイ上に表示される。
【0108】
次に、アンカーフレーム3が所定の架台2上に載置されているか否かを確認する際にタグ情報出力装置7によって行なわれる処理について説明する。
【0109】
図11は、アンカーフレーム3の設置時の処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、施工現場でアンカーフレーム3を組み立てた後、作業者が、アンカーフレーム3を構成する部材の下形板32にチョーク等で書き込まれた型式を見るなどして、アンカーフレーム3の施工図に合わせて、架台2上にアンカーフレーム3を載置する。
【0111】
読取部711は、架台2上に設置されたアンカーフレーム3の下形板32のタグ323から識別情報を読み取る(ステップS11)。
【0112】
次に、位置情報取得部721は、読取部711によって識別情報が読み取られた時の下形板32の位置情報をアンカーフレーム3の位置情報として取得して記憶する(ステップS12)。
【0113】
次に、識別情報の読み取りが終了したか否かが判定される(ステップS13)。例えば、タグ情報出力装置7が上述した終了ボタンを備え、終了ボタンが押されると判定部726が識別情報の読み取りを終了したと判定すればよい。
【0114】
識別情報の読み取りが終了したと判定された場合(ステップS13においてYesの場合)、配置情報作成部722は、識別情報及び位置情報に基づいて、アンカーフレーム3の配置を示す配置図を作成する(ステップS14)。
【0115】
次に、出力部723が、配置情報作成部722によって作成された配置図、及び設計情報記憶部724に記憶された施工図を示す情報を表示装置73に向けて出力し、表示部731が配置図及び施工図をディスプレイに表示して(ステップS15)、アンカーフレーム3の設置時の処理を終了する。
【0116】
ステップS13において、識別情報の読み取りが終了していないと判定された場合、すなわち、未だ識別情報が読み取られていないアンカーフレーム3が存在する場合、ステップS11に戻り、識別情報の読み取りを続ける。
【0117】
この処理により、作業者は、表示装置73のディスプレイに表示されているアンカーフレーム3の配置図と、設計時に定められたアンカーフレームの施工図とを見比べて、架台2上に実際に載置されたアンカーフレーム3が設計どおりに配置されているか否かを確かめることができる。
【0118】
なお、小規模の建造物であれば、その建造物に使用されるすべてのアンカーフレーム3についての配置図が作成されるが、大規模の建造物の場合には、建造物を複数のブロックに区画して、区画ごとに配置図を作成してもよい。
【0119】
本実施の形態では、読取部711によって読み取られた識別情報、及び位置情報取得部721によって取得された位置情報が出力される。そのため、作業者は、所定の架台2上に、設計時に選択された所定のアンカーフレーム3が設置されているか否かを容易に確認することが可能である。結果として、アンカーフレーム3の設置ミスを防ぐことができる。
【0120】
また、本実施の形態では、識別情報及び位置情報から、複数のアンカーフレーム3の配置を示す配置情報が作成される。そのため、作業者は、配置情報を視認して、所定の位置に、設計時に選択された所定のアンカーフレーム3が設置されているか否かを確認することが可能である。結果として、アンカーフレーム3の設置ミスを防ぐことができる。
【0121】
また、本実施の形態では、アンカーフレーム3の設置場所を定めた設計情報が出力される。そのため、作業者は、配置情報と設計情報とを見比べることで、所定の架台2上に、設計時に選択された所定のアンカーフレーム3が設置されているか否かをさらに容易に確認することが可能である。結果として、アンカーフレーム3の設置ミスを防ぐことができる。
【0122】
また、本実施の形態では、配置情報と設計情報とが同時に表示される。そのため、作業者は、施工管理システムの表示装置73において、所定の架台2上に、設計時に選択された所定のアンカーフレーム3が設置されているか否かをさらに容易に確認することが可能である。結果として、アンカーフレーム3の設置ミスを防ぐことができる。
【0123】
また、本実施の形態では、荷受現場情報記憶部725に記憶された荷受現場情報と読取部711が読み取った配送先情報とが一致するか否かの判定結果が出力される。そのため、作業者は、アンカーフレーム3があらかじめ定められた配送先である施工現場に配送されたか否かを容易に確認することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、撮像して得られた画像から識別情報が生成される。そのため、識別情報の入力ミスが発生することを防ぐことができる。
【0125】
また、本実施の形態では、施工現場で荷受けされたアンカーフレーム3の識別情報ごとの数量が算出される。そのため、作業者は、あらかじめ定められた数量のアンカーフレーム3が施工現場で荷受けされたか否かを容易に確認することができる。
【0126】
[その他の実施形態]
上述した実施の形態では、タグ323をRFタグとして説明した。しかし、タグ323は、RFタグに限られず、例えば、マトリクス型2次元コード、バーコードが印刷されたシールであってもよい。この場合、タグ作成装置63は、例えば、マトリクス型2次元コード、バーコードをシールに印刷するプリンタである。また、タグ読取装置71は、例えば、コードリーダである。
【0127】
上述した実施形態では、柱が角柱であって、ベースプレート11、架台2、下形板32及び上形板34の平面形状が矩形であるが、柱が円鋼管等のような他の形状である場合は、ベースプレート11、架台2、下形板32及び上形板34も柱に合わせた他の形状とする。
【0128】
また、架台2は、アンカーフレーム3の高さを調整するものであればよく、
図1等に示す構造には限定されない。
【0129】
本実施形態では、識別情報及び位置情報から作成したアンカーフレーム3の配置図、及び、設計時に決定され、予め指定されているアンカーフレーム3の施工図を同時にディスプレイに表示しているが、配置図のみをディスプレイに表示し、作業者が手元の施工図と表示された配置図とを見比べて照合することもできる。
【0130】
本実施形態では、配置図と施工図を同一画面に同時に表示しているが、配置図と施工図を切り替えて表示することもできる。あるいは、配置図と施工図を重畳表示してもよい。
【0131】
本実施形態では、作業者が配置図と施工図を見比べて照合しているが、架台2上に載置されたアンカーフレーム3の識別情報及び位置情報が、設計時に定められたアンカーフレーム3の識別情報及び位置情報と一致しているか否かを判定部726によって自動的に判定され、判定結果がディスプレイに表示されるようにしてもよい。
【0132】
本実施形態では、識別情報と位置情報とに基づいて配置図を作成し、表示しているが、例えば、識別情報と、緯度及び経度を含む位置情報を表形式で表示するようにしてもよい。
【0133】
本実施形態では、識別情報及び位置情報はアンカーフレーム3が有する下形板32のタグ323から読み取られたもの、すなわち下形板32が本願発明に係るアンカーフレームを構成する部材に相当したが、これに限られず、アンカーフレーム3が有する上形板34であっても良い。この場合には、基礎コンクリート4の打設前であって上形板34が取り外される前に、上形板34の位置情報を読み取るようにする。また、下形板32及び上形板34を選択的ではなく、両者とも識別情報及び位置情報を利用する対象としても良い。この場合には、下形板32及び上形板34が本願発明に係るアンカーフレーム3を構成する部材に相当する。
【0134】
また、本願発明に係るアンカーフレームを構成する部材は、アンカーボルト31、ナット33、ナット35、及び座金(不図示)の少なくともいずれかを含んでいても良い。つまり、これらの部材の識別情報、及び配送先情報が埋め込まれたタグ323が、これらの部材に直接的、又は間接的に取り付けられても良い。この場合、荷受け時に、タグ323に埋め込まれた識別情報と配送先情報とが読取部711によって読み取られ、読み取られた情報に基づいて、これらの部材の識別情報ごとの数量およびこの数量の適否を示す情報が表示装置73に表示される。
【0135】
本実施形態の施工管理システムでは、タグ情報生成装置6が情報取得装置61を備えている。しかし、タグ情報生成装置6は、情報取得装置61を備えていなくてもよい。この場合、例えば、入力装置64がユーザからのアンカーフレーム3の識別情報の入力を受け付ける。この情報は、タグ情報作成部631によってコード化され、書込部632によってタグ323に書き込まれればよい。
【符号の説明】
【0136】
1 柱
11 ベースプレート
12 ボルト孔
2 架台
21 支柱
22 横部材
23 支持部
24 台座
3 アンカーフレーム
31 アンカーボルト
32 下形板
321 アンカーボルト挿通孔
322 貫通孔
323 タグ
33 ナット
34 上形板
4 基礎コンクリート
5 均しコンクリート
6 タグ情報生成装置
61 情報取得装置
611 情報取得部
62 制御装置
62a CPU
62b ROM
62c RAM
62d 不揮発性メモリ
621 処理部
622 記憶部
63 タグ作成装置
631 タグ情報作成部
632 書込部
64 入力装置
641 入力部
7 タグ情報出力装置
71 タグ読取装置
711 読取部
72 管理装置
72a CPU
72b ROM
72c RAM
72d 不揮発性メモリ
721 位置情報取得部
722 配置情報作成部
723 出力部
724 設計情報記憶部
725 荷受現場情報記憶部
726 判定部
727 識別情報記憶部
728 算出部
73 表示装置
731 表示部