IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-成形装置 図1
  • 特許-成形装置 図2
  • 特許-成形装置 図3
  • 特許-成形装置 図4
  • 特許-成形装置 図5
  • 特許-成形装置 図6
  • 特許-成形装置 図7
  • 特許-成形装置 図8
  • 特許-成形装置 図9
  • 特許-成形装置 図10
  • 特許-成形装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/72 20060101AFI20241113BHJP
   B29D 30/08 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B29D30/72
B29D30/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020174438
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065755
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-334866(JP,A)
【文献】特開2020-049881(JP,A)
【文献】特開2004-017428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/72
B29D 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を有する支持体を備え、
前記環状支持面は、前記環状支持面の周方向に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面及び第2分割支持面を備え、
前記支持体は、前記第1分割支持面を有する第1支持部と、前記第2分割支持面を有し、前記第1支持部から移動可能な第2支持部と、を備え、
前記第1分割支持面は、第1強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第1強粘着部の粘着力よりも弱い第1弱粘着部と、を備え、
前記第1強粘着部は、前記環状支持面の径方向に沿って延び、少なくとも前記第1分割支持面の周方向の端部に設けられている、成形装置。
【請求項2】
ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を有する支持体を備え、
前記環状支持面は、前記環状支持面の周方向に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面及び第2分割支持面を備え、
前記支持体は、前記第1分割支持面を有する第1支持部と、前記第2分割支持面を有し、前記第1支持部から移動可能な第2支持部と、を備え、
前記第1分割支持面は、第1強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第1強粘着部の粘着力よりも弱い第1弱粘着部と、を備え、
前記第2分割支持面は、第2強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第2強粘着部の粘着力よりも弱い第2弱粘着部と、を備え、
前記第2支持部は、前記環状支持面に貼付けられる前記ゴム部材が前記第1分割支持面から剥がれるように、前記第1支持部から離れ、
前記第2分割支持面における前記第2強粘着部に対する前記第2弱粘着部の面積比は、前記第1分割支持面における前記第1強粘着部に対する前記第1弱粘着部の面積比よりも、大きい、成形装置。
【請求項3】
ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を有する支持体を備え、
前記環状支持面は、前記環状支持面の周方向に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面及び第2分割支持面を備え、
前記支持体は、前記第1分割支持面を有する第1支持部と、前記第2分割支持面を有し、前記第1支持部から移動可能な第2支持部と、を備え、
前記第1分割支持面は、第1強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第1強粘着部の粘着力よりも弱い第1弱粘着部と、を備え、
前記第2分割支持面は、第2強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第2強粘着部の粘着力よりも弱い第2弱粘着部と、を備え、
前記第2支持部は、前記環状支持面に貼付けられる前記ゴム部材が前記第1分割支持面から剥がれるように、前記第1支持部から離れ、
前記第2分割支持面における前記第2強粘着部の面積は、前記第1分割支持面における前記第1強粘着部の面積よりも、大きい、成形装置。
【請求項4】
ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を有する支持体を備え、
前記環状支持面は、前記環状支持面の周方向に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面及び第2分割支持面を備え、
前記支持体は、前記第1分割支持面を有する第1支持部と、前記第2分割支持面を有し、前記第1支持部から移動可能な第2支持部と、を備え、
前記第1分割支持面は、第1強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第1強粘着部の粘着力よりも弱い第1弱粘着部と、を備え、
前記第2支持部は、前記環状支持面に前記ゴム部材を貼付ける貼付け位置と前記ゴム部材を前記第2分割支持面から剥がす剥がし位置との間を循環するために複数備えられ、
前記成形装置は、前記第1分割支持面を冷やす冷却部を備える、成形装置。
【請求項5】
前記第1強粘着部は、前記環状支持面の径方向に沿って延びる、請求項2~4の何れか1項に記載の成形装置。
【請求項6】
前記第1強粘着部は、前記環状支持面の周方向に沿って延び、前記第1分割支持面の径方向で並ぶように複数設けられる、請求項1~5の何れか1項に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形装置として、ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を備える成形装置が知られている(特許文献1)。しかしながら、斯かる環状支持面は、ゴム部材に対する粘着力が均一であるため、ゴム部材を貼付ける工程とゴム部材を剥がす工程との両立が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5841815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ゴム部材を貼付ける工程とゴム部材を剥がす工程との両立が可能な成形装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
成形装置は、ゴム部材が環状に貼付けられる環状支持面を有する支持体を備え、前記環状支持面は、前記環状支持面の周方向に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面及び第2分割支持面を備え、前記支持体は、前記第1分割支持面を有する第1支持部と、前記第2分割支持面を有し、前記第1支持部から移動可能な第2支持部と、を備え、前記第1分割支持面は、第1強粘着部と、前記ゴム部材に対する粘着力が前記ゴム部材に対する前記第1強粘着部の粘着力よりも弱い第1弱粘着部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る成形装置の斜視図
図2】同実施形態に係る成形装置の正面図
図3】同実施形態に係る第1支持部の正面図
図4】同実施形態に係る第2支持部の正面図
図5図2のV-V線拡大断面図
図6図5の位置の断面図であって、第2支持部が第1支持部から離れた状態を示す図
図7】同実施形態に係る第2支持部からゴム部材が剥がす直前の状態を示す図
図8】他の実施形態に係る成形装置の斜視図
図9図5と同様の位置の断面図であって、さらに他の実施形態に係る第2支持部が第1支持部に接触した状態を示す図
図10図5と同様の位置の断面図であって、同実施形態に係る第2支持部が第1支持部から離れた状態を示す図
図11】さらに他の実施形態に係る成形装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、成形装置における一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。なお、各図(図8図11も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る成形装置1は、ゴム部材M1が貼付けられる環状支持面S1を有する支持体2と、支持体2を保持する保持体3と、ゴム部材M1を吐出する口金41を有する押出機4と、を備える。口金41から吐出されたゴム部材M1は、押出機4が環状に移動又は不図示のモータによって支持体2を保持した保持体3が回転することにより、環状支持面S1に環状に貼付けられる。
【0009】
図2図4に示すように、環状支持面S1は、環状支持面S1の周方向C1に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3を備える。そして、支持体2は、第1分割支持面S2を有する第1支持部21と、第2分割支持面S3を有し、第1支持部21から移動可能な第2支持部22と、を備える。第1支持部21及び第2支持部22は、例えば、金属板によって形成される。また、支持体2は、環状支持面S1にゴム部材M1を貼付ける貼付け位置X1と後述する剥がし位置X2(図7参照)との間を循環させるために、第2支持部22を複数(例えば、三つ)備える。
【0010】
第1支持部21は、環状の第1環状部211と、第1分割支持面S2を有し、第1環状部211から径方向外側に突出する複数の第1突出部212と、を備える。そして、第1分割支持面S2は、第1突出部212の片面に設けられ、ゴム部材M1を支持する。
【0011】
第2支持部22は、環状の第2環状部221と、第2分割支持面S3を有し、第2環状部221の径方向内側に突出する複数の第2突出部222と、第2環状部221から保持体3よりも径方向外側に突出し、不図示の移送装置に把持される複数の被把持部223と、第2環状部221から径方向外側に突出し、保持体3によって保持される複数の被保持部224と、を備える。そして、第2分割支持面S3は、第2突出部222の片面に設けられ、ゴム部材M1を支持する。
【0012】
第1突出部212(第1分割支持面S2)は、第1環状部211側の第1幅L1と第2環状部221側の第2幅L2とが同一である。第2突出部222(第2分割支持面S3)は、第1環状部211側の第3幅L3が第2環状部221側の第4幅L4よりも短い。そして、第2突出部222(第2分割支持面S3)が貼付け位置X1で第1突出部212(第1分割支持面S2)と接触(1mm以内の隙間は可)することにより、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3が面一となり、環状支持面S1が形成される。なお、第1突出部212(第1分割支持面S2)は、例えば、略長方形状であり、第2突出部222(第2分割支持面S3)は、例えば、略三角形状である。
【0013】
斯かる構成によれば、第2突出部222同士の間に一定距離(第1幅L1又は第2幅L2)の隙間である押圧隙間G1を確保することができる。これにより、押圧隙間G1において第2突出部222と接触することなく、後述する押圧部5を第2突出部222の径方向内側から外側に動かすことができる(図7参照)。
【0014】
第1分割支持面S2は、第1強粘着部S21と、ゴム部材M1に対する粘着力がゴム部材M1に対する第1強粘着部S21の粘着力よりも弱い第1弱粘着部S22(図3のハッチング部)と、を備える。
【0015】
第2分割支持面S3は、第2強粘着部S31と、ゴム部材M1に対する粘着力がゴム部材M1に対する第2強粘着部S31の粘着力よりも弱い第2弱粘着部S32(図4のハッチング部)と、を備える。
【0016】
各粘着部(S21~S32)は、例えば、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3にサンドブラストなどの表面処理を施すことによって形成される。そして、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32の表面粗さは、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31の表面粗さよりも粗い。なお、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の素面を第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31としてもよい。
【0017】
ゴム部材M1に対する粘着力は、例えば、JIS-Z0237:2009に準拠して測定された粘着力に相当する。そして、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32のゴム部材M1に対する粘着力は、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31のゴム部材M1に対する粘着力よりも弱い粘着力である。本実施形態に係る第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31のゴム部材M1に対する粘着力は、例えば、3N/10mm~7N/10mmである。そして、本実施形態に係る第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32のゴム部材M1に対する粘着力は、例えば、0.1N/10mm~1.5N/10mmである。
【0018】
斯かる構成によれば、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3によって、環状支持面S1に貼付けられたゴム部材M1を支持することができる。そして、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31よりもゴム部材M1に対する粘着力が弱い第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32によって、ゴム部材M1が第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3から剥がれ易くなる。これにより、ゴム部材M1を貼付ける工程とゴム部材M1を剥がす工程とを両立することができる。
【0019】
本実施形態においては、第2支持部22が貼付け位置X1から離れることにより、第1分割支持面S2からゴム部材M1が剥がされる。そして、貼付け位置X1から離れた第2支持部22が支持するゴム部材M1は、後述する押圧部5によって第2分割支持面S3から剥がされる(図6及び図7参照)。このため、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3によって支持されたゴム部材M1(移動前ゴム部材M11)は、高温(例えば、90℃~100℃)で剥がれ易く、第2分割支持面S3のみによって支持されたゴム部材M1(移動後ゴム部材M12:図7参照)は、時間の経過で温度が下がり(例えば、50℃~60℃)剥がれ難い。
【0020】
そこで、第2分割支持面S3における第2強粘着部S31に対する第2弱粘着部S32の面積比を、第1分割支持面S2における第1強粘着部S21に対する第1弱粘着部S22の面積比よりも大きくした。本実施形態においては、第1分割支持面S2における第1強粘着部S21及び第1弱粘着部S22の面積比は、例えば、1対2であり、第2分割支持面S3における第2強粘着部S31及び第2弱粘着部S32の面積比は、例えば、1対2.3である。
【0021】
斯かる構成によれば、第2分割支持面S3における第2弱粘着部S32の面積比を第1分割支持面S2における第1弱粘着部S22の面積比よりも大きくすることにより、第1分割支持面S2よりも第2分割支持面S3の方がゴム部材M1を剥がし易くなる。これにより、移動後ゴム部材M12は、移動前ゴム部材M11よりも温度が低く第2分割支持面S3から剥がれ難いにも関わらず、第2分割支持面S3から剥がれ易くなる。
【0022】
本実施形態に係る第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31は、例えば、環状支持面S1の径方向に沿って延びるように形成される。斯かる構成によれば、径や幅の異なるゴム部材M1を第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31で支持することができる。これにより、一つの成形装置1で径や幅の異なる複数種類のゴム部材M1を成形することができ、例えば、ゴム部材M1によって、環状支持面S1を交換する手間を省くことができる。
【0023】
そして、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31は、例えば、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の周方向C1の両端部及び中央部の三箇所に設けられる。本実施形態において、周方向C1の両端部に設けられた第1端強粘着部S21a及び第2端強粘着部S31aと、周方向C1の中央部に設けられた第1中央強粘着部S21b及び第2中央強粘着部S31bと、におけるゴム部材M1に対する粘着力は同一であるが、各強粘着部S21a~S31bにおけるゴム部材M1に対する粘着力はそれぞれ異なっていてもよい。
【0024】
第1端強粘着部S21a及び第2端強粘着部S31aによって、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3がそれぞれ分割した際、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の周方向C1の両端に位置するゴム部材M1の形状が伸びるように変形することを抑えることができる。
【0025】
そして、第1中央強粘着部S21b及び第2中央強粘着部S31bによって、第1端強粘着部S21a及び第2端強粘着部S31a同士の間に位置するゴム部材M1が第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の径方向内側に収縮により変形することを抑えることができる。
【0026】
第1端強粘着部S21a及び第2端強粘着部S31aと第1中央強粘着部S21bとは、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の径方向の外側端部から内側端部に渡って延びている。
【0027】
第2中央強粘着部S31bは、第2分割支持面S3の径方向の外側端部から内側まで延びている。そして、第2中央強粘着部S31bと第2分割支持面S3の径方向の内側端部との間に第2弱粘着部S32が設けられている。これにより、第2強粘着部S31同士の間に一定の距離を設けることができる。第2強粘着部S31同士の距離が短いとゴム部材M1を剥がし難くなるためである。
【0028】
第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3における第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31以外の領域に設けられる。本実施形態に係る第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32におけるゴム部材M1に対する粘着力は同一であるが、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32におけるゴム部材M1に対する粘着力はそれぞれ異なっていてもよい。
【0029】
第1環状部211は、第1環状部211の周方向C1に均等に配置される複数の第1貫通孔211aを備え、例えば、保持体3にボルトや磁石などで固定される。被把持部223は、貼付け位置X1で保持体3と接触又は接近する位置に複数の第2貫通孔223aを備える。
【0030】
保持体3は、複数の位置決めピン31と、被保持部224を保持又は非保持とするための可動部321(例えば、シリンダ)を有する複数の可動保持部32と、を備える。そして、第2貫通孔223aが位置決めピン31に嵌められ、被保持部224が可動保持部32に保持されることによって、第2支持部22が貼付け位置X1で保持体3に保持される。
【0031】
次に上記した成形装置1を用いて環状のゴム部材M1を成形する方法について説明する。
【0032】
まず、図1及び図2に示すように、口金41からゴム部材M1を吐出し、ゴム部材M1の端部を第1分割支持面S2又は貼付け位置X1に居る第2分割支持面S3に貼付ける。ここで、ゴム部材M1の端部は、第1強粘着部S21又は第2強粘着部S31から第1分割支持面S2又は第2分割支持面S3の周方向C1に10mm以内の位置に貼付けることが好ましく、第1強粘着部S21又は第2強粘着部S31の上に貼付けることがより好ましい。
【0033】
そして、押出機4を環状に移動又は不図示のモータによって支持体2を保持した保持体3を一回転(複数回転でも可)させ、環状のゴム部材M1を環状支持面S1に貼付ける。
【0034】
次いで、被把持部223を不図示の移送装置に把持させる。そして、図5及び図6に示すように、移送装置を中心軸方向D1の保持体3と反対側に移動させ、第2支持部22を第1支持部21から離す。これにより、ゴム部材M1が第1支持部21から剥がれる。
【0035】
次に、図7に示すように、ゴム部材M1を支持した第2支持部22を、第2分割支持面S3からゴム部材M1が剥がされる剥がし位置X2まで移送装置によって移送する。そして、第2分割支持面S3と反対側の押圧隙間G1において、複数の押圧部5(例えば、ローラー)を第2突出部222の径方向内側から外側に向かって動かし、ゴム部材M1を被押圧体6に押圧する。これにより、ゴム部材M1が第2分割支持面S3から剥がれ、被押圧体6にゴム部材M1が貼付く。
【0036】
また、図1及び図2に示すように、ゴム部材M1が貼付けられた第2支持部22が第1支持部21(貼付け位置X1)から離れた後、別の第2支持部22を貼付け位置X1まで移送装置によって移送する。そして、別の第2支持部22が貼付け位置X1で第1支持部21と接触し、保持体3によって別の第2支持部22を保持する。これにより、複数の第2支持部22は、貼付け位置X1と剥がし位置X2との間で循環される。
【0037】
ゴム部材M1は、タイヤの一部を構成し、本実施形態に係るゴム部材M1は、サイドウォールの一部を構成する。なお、例えば、ゴム部材M1は、ビードフィラーであってもよい。
【0038】
以上のように、本実施形態のように、成形装置1は、ゴム部材M1が環状に貼付けられる環状支持面S1を有する支持体2を備え、環状支持面S1は、環状支持面S1の周方向C1に沿って交互に配置されて互いに分割可能な第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3を備え、支持体2は、第1分割支持面S2を有する第1支持部21と、第2分割支持面S3を有し、第1支持部21から移動可能な第2支持部22と、を備え、第1分割支持面S2は、第1強粘着部S21と、ゴム部材M1に対する粘着力がゴム部材M1に対する第1強粘着部S21の粘着力よりも弱い第1弱粘着部S22と、を備える、という構成が好ましい。
【0039】
斯かる構成によれば、第1分割支持面S2によって、環状支持面S1に貼付けられたゴム部材M1を支持することができる。そして、第1強粘着部S21よりもゴム部材M1に対する粘着力が弱い第1弱粘着部S22によって、ゴム部材M1が第1分割支持面S2から剥がれ易くなる。これにより、ゴム部材M1を貼付ける工程とゴム部材M1を剥がす工程とを両立することができる。
【0040】
また、本実施形態のように、第1強粘着部S21は、環状支持面S1の径方向に沿って延びる、という構成が好ましい。
【0041】
斯かる構成によれば、径の異なるゴム部材M1であっても、ゴム部材M1を第1強粘着部S21で支持することができる。これにより、一つの成形装置1で径の異なる複数種類のゴム部材M1を成形することができる。
【0042】
また、本実施形態のように、第2分割支持面S3は、第2強粘着部S31と、ゴム部材M1に対する粘着力がゴム部材M1に対する第2強粘着部S31の粘着力よりも弱い第2弱粘着部S32と、を備え、第2支持部22は、環状支持面S1に貼付けられるゴム部材M1が第1分割支持面S2から剥がれるように、第1支持部21から離れ、第2分割支持面S3における第2強粘着部S31に対する第2弱粘着部S32の面積比は、第1分割支持面S2における第1強粘着部S21に対する第1弱粘着部S22の面積比よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0043】
斯かる構成によれば、第2分割支持面S3における第2弱粘着部S32の面積比を第1分割支持面S2における第1弱粘着部S22の面積比よりも大きくすることにより、第1分割支持面S2よりも第2分割支持面S3の方がゴム部材M1を剥がし易くなる。これにより、移動後ゴム部材M12は、移動前ゴム部材M11よりも温度が低く第2分割支持面S3から剥がれ難いにも関わらず、第2分割支持面S3から剥がれ易くなる。
【0044】
なお、成形装置1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、成形装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0045】
(1)例えば、図8に示すように、成形装置1は、第1分割支持面S2(図2及び図3参照)を冷やす冷却部7を備える、という構成であってもよい。冷却部7として、例えば、ジェットクーラ、エアクーラ又はボルテックスクーラなどを用いることができる。そして、冷却部7は、複数配置されてもよく、一つのみ配置されてもよい。また、冷却部7によって、第1分割支持面S2を直接冷やしてもよく、第1分割支持面S2と反対側の面から間接的に第1分割支持面S2を冷やしてもよい。なお、例えば、冷却部7は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の両方を冷やしてもよい。
【0046】
以上のように、成形装置1においては、図8に示すように、第2支持部22は、第1支持部21及び第2支持部22が接触する貼付け位置X1とゴム部材M1を第2分割支持面S3から剥がす剥がし位置X2との間を循環するために複数備えられ、成形装置1は、第1分割支持面S2を冷やす冷却部7を備える、という構成であってもよい。
【0047】
斯かる構成によれば、冷却部7によって、第1分割支持面S2を冷やすことができる。これにより、複数で循環される第2支持部22の第2分割支持面S3とは異なり繰り返し温度の高いゴム部材M1が貼付けられる第1分割支持面S2が高温になることを防止し、第1強粘着部S21及び第1弱粘着部S22のゴム部材M1に対する粘着力が低下することを抑えることができる。
【0048】
(2)上記実施形態に係る成形装置1においては、第1支持部21は、保持体3にボルトや磁石などで固定される、という構成である。しかしながら、成形装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1支持部21は、保持体3と一体である、という構成であってもよい。
【0049】
(3)また、上記実施形態に係る成形装置1においては、支持体2は、第1分割支持面S2を有する第1支持部21と、第2分割支持面S3を有し、第1支持部21から移動可能な第2支持部22と、を備える、という構成である。しかしながら、成形装置1は、斯かる構成に限られない。
【0050】
例えば、図9及び図10に示すように、支持体2は、第1分割支持面S2を有し、第2支持部22から移動可能な第1支持部21と、第2分割支持面S3を有する第2支持部22と、を備え、保持体3は、第1支持部21を押し出す押出部33を備える、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、押出部33で第1支持部21を押し出すことにより、第2分割支持面S3からゴム部材M1を剥がすことができる。
【0051】
(4)また、上記実施形態に係る第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3においては、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31は、環状支持面S1の径方向に沿って延びるように形成される、という構成である。しかしながら、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3は、斯かる構成に限られない。
【0052】
例えば、図11に示すように、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31は、環状支持面S1の周方向C1に沿って延びるように形成され、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の径方向で並ぶように複数設けられる、という構成であってもよい。
【0053】
斯かる構成によれば、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31によって、環状支持面S1の周方向C1でゴム部材M1の両端部を支持することができる。これにより、例えば、ゴム部材M1が収縮によって環状支持面S1の径方向内側に変形することを抑えることができ、ゴム部材M1の径方向の幅寸法の精度を高めることができる。ここで、ゴム部材M1の両端部とは、例えば、ゴム部材M1の両端から径方向の内側又は外側5mmまでの部分を指す。
【0054】
斯かる第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3においては、第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31以外の領域、即ち、第1強粘着部S21同士及び第2強粘着部S31同士の間に、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32が設けられる。これにより、ゴム部材M1が第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3から剥がれ易くなる。
【0055】
また、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3の径方向に複数の第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31を設けることにより、径や幅の異なるゴム部材M1を第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31で支持することができる。これにより、一つの成形装置1で径や幅の異なる複数種類のゴム部材M1を成形することができ、例えば、ゴム部材M1によって、環状支持面S1を交換する手間を省くことができる。なお、図11のハッチング部は、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32を示す。
【0056】
(5)また、上記実施形態に係る第1強粘着部S21及び第2弱粘着部S31は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3にサンドブラストなどの表面処理が施されることにより形成される、という構成である。しかしながら、成形装置1は、斯かる構成に限られない。
【0057】
例えば、第1強粘着部S21及び第2弱粘着部S31は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3に粘着素材(非粘着素材に粘着処理を施した素材も含む)などでコーティングが施されることにより形成される、という構成であってもよい。
【0058】
(6)また、上記実施形態に係る第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3にサンドブラストなどの表面処理が施されることにより形成される、という構成である。しかしながら、成形装置1は、斯かる構成に限られない。
【0059】
(6-1)例えば、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3に複数の凹部又は貫通孔が設けられることにより形成される、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、凹部又は貫通孔の数、大きさ、形状によって第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32の粘着力を調整することができる。
【0060】
(6-2)例えば、第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32は、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3にフッ素樹脂などのコーティングが施されることにより形成される、という構成であってもよい。第1弱粘着部S22及び第2弱粘着部S32の材質を第1強粘着部S21及び第2強粘着部S31の材質と異ならせることにより、ゴム部材M1に対する粘着力を異ならせることができる。
【0061】
(7)また、上記実施形態に係る第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3は、第1突出部212及び第2突出部222からなる、という構成である。しかしながら、第1分割支持面S2及び第2分割支持面S3は、斯かる構成に限られない。
【0062】
例えば、第1分割支持面S2は、第1環状部211及び第1突出部212からなり、第2分割支持面S3は、第2環状部221及び第2突出部222からなる、という構成であってもよい。即ち、ゴム部材M1は、第1突出部212から第1環状部211及び第2突出部222から第2環状部221に渡って貼付けられてもよい。
【0063】
(8)例えば、成形装置1においては、第2分割支持面S3は、第2強粘着部S31と、ゴム部材M1に対する粘着力がゴム部材M1に対する第2強粘着部S31の粘着力よりも弱い第2弱粘着部S32と、を備え、第2支持部22は、環状支持面S1に貼付けられるゴム部材M1が第1分割支持面S2から剥がれるように、第1支持部21から離れ、第2分割支持面S3における第2強粘着部S31の面積は、第1分割支持面S2における第1強粘着部S21の面積よりも、大きい、という構成であってもよい。
【0064】
斯かる構成によれば、第2支持部22が第1支持部21から離れる際、面積の大きい第2強粘着部S31よりも先に面積の小さい第1強粘着部S21からゴム部材M1を剥がすことができる。これにより、ゴム部材M1を第2分割支持面S3に保持させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…成形装置、2…支持体、21…第1支持部、211…第1環状部、211a…第1貫通孔、212…第1突出部、22…第2支持部、221…第2環状部、222…第2突出部、223…被把持部、223a…第2貫通孔、224…被保持部、3…保持体、31…位置決めピン、32…可動保持部、321…可動部、33…押出部、4…押出機、41…口金、5…押圧部、6…被押圧体、7…冷却部、G1…押圧隙間、L1…第1幅、L2…第2幅、L3…第3幅、L4…第4幅、M1…ゴム部材、M11…移動前ゴム部材、M12…移動後ゴム部材、S1…環状支持面、S2…第1分割支持面、S21…第1強粘着部、S21a…第1端強粘着部、S21b…第1中央強粘着部、S22…第1弱粘着部、S3…第2分割支持面、S31…第2強粘着部、S31a…第2端強粘着部、S31b…第2中央強粘着部、S32…第2弱粘着部、X1…貼付け位置、X2…剥がし位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11