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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】清掃具及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20241113BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
A47L9/28 N
A47L9/04 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020177488
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068680
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】大本 周平
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-245834(JP,A)
【文献】特開2019-030461(JP,A)
【文献】特開2011-010802(JP,A)
【文献】特開2004-089244(JP,A)
【文献】特開2006-116058(JP,A)
【文献】特開平05-329083(JP,A)
【文献】特開2007-054146(JP,A)
【文献】特開2016-059766(JP,A)
【文献】特開平05-130960(JP,A)
【文献】特開2005-007032(JP,A)
【文献】特開2006-312066(JP,A)
【文献】特開平08-000517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04,9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
該モータにより回転される回転清掃体と、
前記モータを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記モータの駆動電力が所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、前記モータの消費電流に基づく比較値が所定の第一閾値を1秒以下である所定の第一時間に亘り上回り続けたときに前記モータの駆動電力を増加させ、前記モータの駆動電力が前記所定の第一駆動電力よりも大きい所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、前記比較値が所定の第二閾値を前記第一時間よりも長い所定の第二時間に亘り下回り続けたときに前記モータの駆動電力を減少させる
ことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記第二閾値は、前記第一閾値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1記載の清掃具
【請求項3】
前記制御手段は、前記モータの起動と、前記モータの駆動電力の変更と、の少なくともいずれかの後の一定時間、少なくとも前記モータの駆動電力の変更に関する処理をしない
ことを特徴とする請求項1又は2記載の清掃具。
【請求項4】
前記制御手段は、前記モータの駆動電力が前記所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、前記比較値が前記所定の第一閾値よりも大きい所定の第三閾値を所定の第三時間に亘り上回り続けたときと、前記モータの駆動電力が前記所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、前記比較値が前記所定の第二閾値よりも大きい所定の第四閾値を所定の第四時間に亘り上回り続けたときと、の少なくともいずれかのときに、前記モータの駆動電力を0とする
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の清掃具。
【請求項5】
前記第三時間は、前記第一時間以下である
ことを特徴とする請求項記載の清掃具。
【請求項6】
前記制御手段は、前記モータの駆動電力が前記第一駆動電力以下の駆動状態で、前記比較値が前記第三閾値を上回る場合には、前記比較値と前記第一閾値と前記第一時間とに基づく前記モータの駆動電力の増加の処理をしない
ことを特徴とする請求項記載の清掃具。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第三閾値と前記第三時間とのセットと、前記第四閾値と前記第四時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有し、前記モータの駆動電力を0とする判定を、複数の前記セットの論理和又は論理積に基づき実施する
ことを特徴とする請求項ないしいずれか一記載の清掃具。
【請求項8】
前記制御手段は、所定の変動時間における前記比較値の変動量が所定の変動量閾値を上回ることを、前記モータの駆動電力を0とするためのさらなる条件とする
ことを特徴とする請求項ないしいずれか一記載の清掃具。
【請求項9】
前記制御手段は、前記モータの駆動電力を0とした状態で、前記回転清掃体の回転に伴う前記モータの回転により生じる所定電力以上の逆起電力を検出すると前記モータを再起動させる
ことを特徴とする請求項ないしいずれか一記載の清掃具。
【請求項10】
前記制御手段は、前記モータの駆動電力を0とした状態で、前記回転清掃体の回転に伴う前記モータの回転により生じる所定電力以上の逆起電力を所定時間以内に複数回検出すると前記モータを再起動させる
ことを特徴とする請求項ないしいずれか一記載の清掃具。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第一閾値と前記第一時間とのセットと、前記第二閾値と前記第二時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有し、前記モータの駆動電力を増加させる判定と減少させる判定との少なくともいずれかを、複数の前記セットの論理和又は論理積に基づき実施する
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一記載の清掃具。
【請求項12】
前記制御手段は、所定の比較値変動時間における前記比較値の変動量が所定の比較値変動量閾値を上回ることを、前記モータの駆動電力を増加させるためと、減少させるためと、の少なくともいずれかのさらなる条件とする
ことを特徴とする請求項1ないし11いずれか一記載の清掃具。
【請求項13】
前記制御手段は、前記変動量が前記比較値変動量閾値を上回った後、前記比較値が減少及び増加を1回又は複数回繰り返したことを前記モータの駆動電力を増加させるためのさらなる条件とする
ことを特徴とする請求項12記載の清掃具。
【請求項14】
前記制御手段は、前記変動量が前記比較値変動量閾値を上回った後の前記比較値の減少及び増加の繰り返しが所定の短時間内に生じた場合には前記モータの駆動電力を増加させない
ことを特徴とする請求項13記載の清掃具。
【請求項15】
前記制御手段は、前記回転清掃体の被掃除面側が後方から前方に向かう回転方向となるように前記モータの回転方向を制御する
ことを特徴とする請求項1ないし14いずれか一記載の清掃具。
【請求項16】
前記回転清掃体の前方に位置する遮蔽物を備える
ことを特徴とする請求項15記載の清掃具。
【請求項17】
前記回転清掃体の前方に位置する集塵口を備える
ことを特徴とする請求項15又は16記載の清掃具。
【請求項18】
請求項1ないし17いずれか一記載の清掃具を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モータにより回転される回転清掃体を有する清掃具及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に用いられる清掃具として、回転清掃体と、この回転清掃体を回転させるモータと、を備える、いわゆるアクティブブラシ構造の吸込口体が知られている。このような吸込口体では、モータの力によって回転された回転清掃体により被掃除面から塵埃を一旦掻き上げてから吸い込むことにより、絨毯のような塵埃が絡み付きやすい被掃除面からも効率的に塵埃を除去できる。
【0003】
回転清掃体は、安全性や省エネルギー性を考慮すると、吸込口体が被掃除面から離れた状態で回転を抑制又は停止させることが好ましい。そのため、通常、吸込口体が被掃除面から浮上したことを検出して回転清掃体の回転を停止させる安全装置が配置される。吸込口体に安全装置を配置する場合、吸込口体の重量や体積の増加を招く。特に、吸込口体は、使用者の手元から遠い位置にあるため力のモーメントが大きく、吸込口体を被掃除面から持ち上げるときに実重量よりも重く感じやすい。
【0004】
又、単に回転清掃体の回転速度又は回転トルクを低下させるだけでは、被掃除面から塵埃を掻き上げる力が弱くなるため、塵埃除去能力、つまり掃除性能が低下する。
【0005】
したがって、吸込口体が被掃除面に接している状態では、掃除性能を確保しつつ、吸込口体が被掃除面から離れた状態では、安全装置を用いることなく回転清掃体の回転を抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-67814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、軽量化しつつ、掃除性能の確保とより高い安全性とを両立可能な清掃具及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の清掃具は、モータと、回転清掃体と、制御手段と、を備える。回転清掃体は、モータにより回転される。制御手段は、モータを制御する。制御手段は、モータの駆動電力が所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、モータの消費電流に基づく比較値が所定の第一閾値を1秒以下である所定の第一時間に亘り上回り続けたときにモータの駆動電力を増加させる。制御手段は、モータの駆動電力が所定の第一駆動電力よりも大きい所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、比較値が所定の第二閾値を第一時間よりも長い所定の第二時間に亘り下回り続けたときにモータの駆動電力を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の清掃具を模式的に示す断面図であり、(a)はその一例を示し、(b)は一変形例を示し、(c)は他の変形例を示す。
図2】同上清掃具を備える電気掃除機の一例を示す斜視図である。
図3】同上清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図5】第3の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図6】第4の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図7】(a)は第5の実施形態の清掃具が前進時に被掃除面から離れた場合のモータの消費電流に基づく比較値の変化の一例を示すグラフ、(b)は同上清掃具が後進時に被掃除面から離れた場合のモータの消費電流に基づく比較値の変化の一例を示すグラフである。
図8】同上清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図9】(a)は第6の実施形態の清掃具のモータの消費電流に基づく比較値の変化の一例を示すグラフ、(b)は同上清掃具のモータの消費電流に基づく比較値の変化の他の例を示すグラフである。
図10】同上清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図11】第7の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図12】第8の実施形態の清掃具が前進、停止、後進を繰り返したときのモータの消費電流に基づく比較値の変化の一例を示すグラフである。
図13】同上清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図14】同上制御手段によるモータの電流増加制御を示すフローチャートである。
図15】第9の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの電流増加制御を示すフローチャートである。
図16】第10の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図17】第11の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの電流増加制御を示すフローチャートである。
図18】第12の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの電流増加制御を示すフローチャートである。
図19】第13の実施形態の清掃具の制御手段によるモータの制御を示すフローチャートである。
図20】同上清掃具の制御手段によるモータ再起動制御を示すフローチャートである。
図21】第14の実施形態の清掃具の制御手段によるモータ再起動制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1(a)において、1は清掃具である。清掃具1は、掃除ヘッド等とも呼ばれ、床等の被掃除面Fを掃除する。清掃具1は、ケース体10を備える。ケース体10には、集塵口100が形成されている。集塵口100に臨んで回転清掃体11がケース体10に回転可能に取り付けられている。回転清掃体11は、モータ12により回転されて被掃除面Fの塵埃を掻き上げる。モータ12は、図2に示す制御手段13により制御される。本実施形態において、モータ12及び制御手段13は、ケース体10に配置される。これに限らず、制御手段13は、後述する掃除機本体2に配置されてもよい。なお、以下、清掃具1の前後方向は、使用者が清掃具1を使用する際の使用者から見た方向を基準とする。一般的には、使用者から離れる方向を前方向、使用者に近づく方向を後方向とする。例えば、図1(a)に示す矢印FR方向を前方向、矢印RR方向を後方向とする。
【0012】
図2に示すように、清掃具1は、電気掃除機VCに用いられる。好ましくは、清掃具1は、電気掃除機VCの掃除機本体2に配置された電動送風機3の駆動により生じた負圧によって空気とともに塵埃を分離部4へと吸い込むことが可能となっている。電気掃除機VCは、床走行型又はキャニスタ型、スティック型、アップライト型、ハンディ型、あるいは、自走式電気掃除機等、任意のものとしてよい。本実施形態では、電気掃除機VCは、スティック型の電気掃除機を例に挙げて説明する。又、図示される例では、清掃具1は、吸込口体又は床ブラシであり、管部である延長管5、あるいは、掃除機本体2に対し、ケース体10に接続された接続部である接続管14を介して機械的及び流体的に接続される。さらに、本実施形態において、電動送風機3の動作又は吸引力、及び、回転清掃体11又はモータ12の回転のオンオフは、把持操作用の手元操作部6のスイッチ7の操作により使用者が設定する。掃除機本体2には、スイッチ7により設定された操作に応じて電動送風機3を動作させる本体制御部8が配置されている。スイッチ7又は本体制御部8が、制御手段13と電気的に接続される。電気掃除機VCの電源部は、例えば掃除機本体2に配置される。電源部は、商用電源等の外部電源から電力を取るコードリール装置等でもよいし、バッテリでもよい。
【0013】
次に、制御手段13によるモータ12の制御について説明する。
【0014】
制御手段13は、モータ12の駆動電力を可変する機能を有する。制御手段13は、モータ12の駆動電力を無段階に可変可能でもよいし、複数の段階のいずれかに可変可能でもよい。本実施形態では、制御手段13は、モータ12の駆動電力を、少なくとも大小2段階のいずれかに設定可能となっている。
【0015】
制御手段13によるモータ12の駆動電力の可変方法としては、例えば電源からモータ12への通電時間又は通電量を調整し、モータ12の駆動電力を、モータ12の通電時間に応じて設定する。一例として、制御手段13は、モータ12への制御信号つまり印加電圧をPWM信号とし、PWM信号のデューティ比を調整することで、モータ12の駆動電力を設定する。つまり、PWM信号のデューティ比を100%とするとモータ12の駆動電力が最大となり、PWM信号のデューティ比を下げることでモータ12の駆動電力が減少され、回転清掃体11の回転速度及び回転トルクが低下するようになっている。つまり、制御手段13は、モータ12の駆動電力を増加させる際に、デューティ比を増加させ、モータ12の駆動電力を減少させる際に、デューティ比を減少させる。本実施形態において、制御手段13は、少なくとも2つの異なるデューティ比を有し、モータ12のPWM信号のデューティ比をこれらのデューティ比のいずれかに選択的に設定することにより、モータ12の駆動電力を、所定の第一駆動電力以下の相対的に小さい駆動電力と、この所定の第一駆動電力よりも大きい所定の第二駆動電力以上の相対的に大きい駆動電力と、の少なくとも2段階のいずれかに設定可能となっている。なお、モータ12及び制御手段13の電源は、清掃具1に備えられていてもよいし、掃除機本体2の電源部から取ってもよい。
【0016】
又、制御手段13は、モータ12の駆動電力を記憶する機能を有する。本実施形態において、制御手段13は、モータ12の駆動電力が大小いずれの段階であるかを記憶可能となっている。例えば、制御手段13は、モータ12の駆動電力を通電時間又は通電量に応じて設定するので、制御手段13は、モータ12の通電時間又は通電量を記憶することで、モータ12の駆動電力を記憶可能である。本実施形態において、制御手段13は、PWM信号のデューティ比が大小いずれのデューティ比であるかを記憶することで、モータ12の駆動電力が大小いずれの段階であるかを記憶可能となっている。
【0017】
さらに、制御手段13は、モータ12の消費電流を測定・監視する機能を有する。清掃具1が被掃除面Fに対して離れている場合には、回転清掃体11に加わる負荷が相対的に小さいため、モータ12の消費電流が相対的に小さい。他方、清掃具1が被掃除面Fに対して接している場合、特に絨毯等回転抵抗が所定の回転抵抗よりも大きい被掃除面Fに接している場合には、回転清掃体11に加わる負荷が相対的に大きいため、モータ12の消費電流が相対的に大きい。そこで、制御手段13は、モータ12の消費電流を測定・監視することで、清掃具1の状況を検出可能となっている。例えば、制御手段13は、モータ12の消費電流を測定・監視することで、清掃具1が被掃除面Fに対して接しているか離れているかを検出可能である。
【0018】
制御手段13によるモータ12の消費電流の測定方法としては、一例として、検出素子である抵抗値が小さい抵抗、いわゆるシャント抵抗に電流を流し、シャント抵抗の両端に発生する電位差を増幅して変換部であるA/Dコンバータに入力し、A/Dコンバータの出力を取り込む方法がある。駆動電力を可変するためのPWM信号の周波数が高いときには、コンデンサ等の受動回路によって平滑化されることで、測定される消費電流がデューティ比に概ね比例する。PWM信号の周波数が低いときには、PWM信号のオンオフ状態と同期してA/Dコンバータを駆動する必要がある一方、測定される消費電流はデューティ比に比例しない。いずれの場合であっても、ノイズの影響を減じるために、A/Dコンバータの出力を複数回取得し、その平均値を後述する比較値として用いることが好ましい。すなわち、後述する比較値としては、モータ12の消費電流そのものを用いてもよいし、その所定時間内又は所定検出回数分の平均値を用いてもよい。
【0019】
そして、制御手段13は、消費電流の測定と、駆動電力の可変設定とに応じて、モータ12の駆動電力を増加、又は、低減、又は、維持するようになっている。
【0020】
なお、制御手段13は、回転清掃体11を任意の方向に回転させるようにモータ12を制御してよい。例えば、制御手段13は、清掃具1の進行方向に拘らず回転清掃体11の回転方向が一方向に固定されるようにモータ12を制御してもよいし、清掃具1の進行方向に応じて回転清掃体11の回転方向が切り換わるようにモータ12を制御してもよい。本実施形態では、制御手段13は、回転清掃体11を被掃除面F側が後方から前方に向かう回転方向(図1(a)中の時計回り方向)となるようにモータ12の回転方向を制御する。つまり、本実施形態において、制御手段13は、回転清掃体11が被掃除面Fを後方から前方に擦る回転方向となるようにモータ12の回転方向を制御する。図示される例では、制御手段13は、回転清掃体11の回転方向が一方向に固定されるようにモータ12を制御する。すなわち、モータ12の回転方向を所定の一定方向とする。本実施形態では、回転清掃体11が清掃具1の前進時には回転清掃体11が逆回転、つまり清掃具1の前進に対して負荷を与える方向に回転し、後進時には回転清掃体11が順回転、つまり清掃具1の後進を補助する方向に回転するように、制御手段13がモータ12を制御する。
【0021】
回転清掃体11の回転方向に応じて、清掃具1は、図1(b)に一変形例を示すように、回転清掃体11の前方に遮蔽物15を備えていてもよい。遮蔽物15は、ケース体10の被掃除面Fに対向する側である下部に配置される。遮蔽物15は、ケース体10の下部から下方に延びている。又、遮蔽物15は、その先端部、本実施形態では下端部が、被掃除面Fに対して離れて位置するようになっている。つまり、遮蔽物15は、清掃具1の前進時に被掃除面F上の塵埃を推し進めないように、先端部と被掃除面Fとの間に隙間が形成されている。遮蔽物15は、例えばゴム等の軟質部材又は弾性部材により形成されている。
【0022】
さらに、回転清掃体11の回転方向に応じて、清掃具1は、図1(c)に他の変形例を示すように、集塵口100が回転清掃体11の前方に位置していてもよい。集塵口100は、ケース体10の下部に位置していてもよいし、ケース体10の下部から前部に亘り位置していてもよい。図1(b)に示す例と図1(c)に示す例とを組み合わせてもよい。この場合、集塵口100は、遮蔽物15よりも後方に位置することが好ましい。
【0023】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0024】
掃除の際、使用者は、手元操作部6を把持し、スイッチ7を操作することで、本体制御部8が電動送風機3を動作させる。電動送風機3の動作により生じた負圧が、分離部4を介して延長管5、清掃具1と作用することで、集塵口100から被掃除面Fの塵埃が空気とともに分離部4へと吸い込まれる。使用者は、手元操作部6により清掃具1を被掃除面F上で前後に交互に移動させることで、被掃除面F上の塵埃を分離部4へと順次吸い込ませていく。分離部4に吸い込まれた含塵空気は、分離部4において、塵埃が分離捕集される。塵埃が分離された空気は、電動送風機3を冷却した後、掃除機本体2の外部に排出される。
【0025】
使用者は、絨毯等の塵埃が入り込んで取れにくい被掃除面Fを掃除する場合等、必要に応じて、清掃具1の回転清掃体11を回転させる。スイッチ7の操作により生じた信号が清掃具1の制御手段13に伝達されると、制御手段13がモータ12を起動させ、回転清掃体11を回転させる。回転清掃体11の回転により、被掃除面Fの塵埃が掻き上げられ、この掻き上げられた塵埃が、集塵口100に作用する負圧によって分離部4へと吸い込まれる。
【0026】
制御手段13は、モータ12を任意の駆動電力で起動させる。モータ12の起動時すなわち回転清掃体11を始動させる際に、清掃具1が被掃除面Fに接しているか否か不明であるため、より高い安全性を考慮し、好ましくは、制御手段13は、モータ12を所定電力よりも小さい駆動電力、より好ましくは予め設定された所定の第一駆動電力以下の駆動電力で起動させる。本実施形態において、制御手段13は、モータ12を駆動電力「小」の状態で起動させる。
【0027】
そして、制御手段13は、モータ12の駆動電力が予め設定された所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が予め設定された所定の第一閾値を予め設定された所定の第一時間に亘り上回り続けたときにモータ12の駆動電力を増加させる。この制御を、以下、電力増加制御という。又、制御手段13は、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力よりも大きい予め設定された所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が予め設定された所定の第二閾値を予め設定された所定の第二時間に亘り下回り続けたときにモータ12の駆動電力を減少させる。この制御を、以下、電力減少制御という。
【0028】
上記の電力増加制御は、モータ12の消費電流に基づき清掃具1が被掃除面Fに接したこと又は接していると推定した場合に、モータ12の回転速度を増加させて、回転清掃体11の回転速度又は回転トルクを大きくすることを狙った制御である。モータ12の駆動電力を増加させる際、制御手段13は、モータ12の駆動電力を第一駆動電力より大きい駆動電力、好ましくは第二駆動電力以上の駆動電力まで増加させる。本実施形態では、制御手段13は、モータ12が駆動電力「小」の状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回り続けたときにモータ12を駆動電力「大」に切り換える。
【0029】
又、上記の電力減少制御は、モータ12の消費電流に基づき清掃具1が被掃除面Fから離れたと推定した場合に、モータ12の回転速度を減少させて、回転清掃体11の回転速度又は回転トルクを小さくすることを狙った制御である。モータ12の駆動電力を減少させる際、制御手段13は、モータ12の駆動電力を第二駆動電力より小さい駆動電力、好ましくは第一駆動電力以下の駆動電力まで減少させる。本実施形態では、制御手段13は、モータ12が駆動電力「大」の状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を第二時間に亘り下回り続けたときにモータ12を駆動電力「小」に切り換える。
【0030】
ここで、モータ12の消費電流に基づく比較値とは、後述する各閾値と比較するものであって、上述のとおり、モータ12の消費電流そのものを用いてもよいし、モータ12の消費電流の所定時間内又は所定検出回数分の平均値を用いてもよい。
【0031】
第二閾値は、好ましくは第一閾値よりも小さく設定される。このようにすることで、上記の電力増加制御を実施するときの回転清掃体11の回転負荷が、上記の電力減少制御を実施するときの回転清掃体11の回転負荷よりも大きくなる。
【0032】
第二時間は、好ましくは第一時間よりも長く設定される。例えば、第一時間は、一般的な使用者が清掃具1の前進を開始してから停止するまでの時間よりも短く設定される。一般的な使用者による清掃具1の移動速度は、JIS等の所定の規格に規定されているように、0.5m/秒であり、一般的な使用者が清掃具1の前進を開始してから停止するまでの時間は、0.8~1秒程度である。又、第二時間は、一般的な使用者が清掃具1の後進を開始してから停止又は再度前進するまでの時間よりも長く設定される。一般的な使用者が清掃具1の後進を開始してから停止又は再度前進するまでの時間は、1.5~2秒程度である。
【0033】
さらに、制御手段13は、好ましくは、モータ12の起動と、モータ12の駆動電力の変更、つまり電力増加制御あるいは電力減少制御と、の少なくともいずれかの後の一定時間、少なくともモータ12の駆動電力の変更に関する処理をしない。ここで、駆動電力の変更に関する処理をしない、とは、モータ12の消費電流を測定しない、モータ12の駆動電力の増加又は減少の判定をしない、モータ12の駆動電力を増加又は減少させない、のうちの少なくともいずれかを意味する。最も簡単な例としては、制御手段13は、モータ12の起動後と、モータ12の駆動電力の変更後、つまり電力増加制御後あるいは電力減少制御後に、一定時間処理を待機する。
【0034】
そして、図3のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。
【0035】
まず、ステップS1において、制御手段13は、モータ12を所定の駆動電力で起動させる。本実施形態では、例えば制御手段13は、モータ12を駆動電力「小」で起動させる。つまり、制御手段13は、PWM信号のデューティ比DCを駆動電力「小」に対応するデューティ比DC_Loに設定する。必要に応じて、ステップS1の処理の後、制御手段13は一定時間待機してからステップS2に進む。
【0036】
次いで、ステップS2において、制御手段13は、モータ12の消費電流を測定し、消費電流に基づく比較値I(t)を算出し記憶する。ここで、tは現時刻を表す。
【0037】
さらに、ステップS3において、制御手段13は、モータ12の駆動電力が第一駆動電力以下であるか否かを判断する。本実施形態では、制御手段13は、モータ12の駆動電力が「小」であるか否かを判断する。つまり、制御手段13は、PWM信号のデューティ比DCがデューティ比DC_Loであるか否かを判断する。
【0038】
ステップS3において、モータ12の駆動電力が第一駆動電力以下である、すなわちモータ12が駆動電力「小」である、又は、PWM信号のデューティ比DCがデューティ比DC_Loであると判断した場合、つまりステップS3のYESの場合、ステップS4において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が第一閾値I_BC12を第一時間T_BC12に亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0039】
ステップS4において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS4のYESの場合、ステップS5において、制御手段13は、モータ12の駆動電力を増加させる。本実施形態では、ステップS5において、制御手段13は、モータ12を駆動電力「大」に設定する。つまり、制御手段13は、PWM信号のデューティ比DCを駆動電力「大」に対応するデューティ比DC_Hiに設定する。必要に応じて、ステップS5の処理の後、制御手段13は一定時間待機する。ステップS5の後、ステップS2に進む。
【0040】
又、ステップS4において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が第一閾値を上回る時間が第一時間よりも短い、又は、比較値が第一閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS4のNOの場合、モータ12の駆動電力の増加を実施せず、ステップS2に進む。
【0041】
一方、ステップS3において、モータ12の駆動電力が第一駆動電力以下でない、すなわちモータ12が駆動電力「小」でない、又は、PWM信号のデューティ比DCがデューティ比DC_Loでないと判断した場合、つまりステップS3のNOの場合、ステップS6において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が第二閾値I_BC21を第二時間T_BC21に亘り下回り続けたか否かを判断する。
【0042】
ステップS6において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を第二時間に亘り下回り続けたと判断した場合、つまりステップS6のYESの場合、ステップS7において、制御手段13は、モータ12の駆動電力を減少させる。本実施形態では、ステップS7において、モータ12を駆動電力「小」に設定する。つまり、制御手段13は、PWM信号のデューティ比DCをデューティ比DC_Loに設定する。必要に応じて、ステップS7の処理の後、制御手段13は一定時間待機する。ステップS7の後、ステップS2に進む。
【0043】
又、ステップS6において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を第二時間に亘り下回り続けていない、すなわち比較値が第二閾値を下回る時間が第二時間よりも短い、又は、比較値が第二閾値を下回っていないと判断した場合、つまりステップS6のNOの場合、モータ12の駆動電力の減少を実施せず、ステップS2に進む。
【0044】
上述したように、清掃具1が被掃除面Fに接する状態では、回転清掃体11の回転負荷が増加することによりモータ12の消費電流が増加するので、本実施形態では、モータ12が第一駆動電力以下で駆動している状態であっても、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回り続けると、制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させる。そのため、清掃具1を被掃除面Fに置くと、制御手段13がモータ12に対し電流増加制御を実施して回転清掃体11の回転速度及び回転トルクが上昇することとなるので、回転清掃体11による被掃除面Fの塵埃除去性能、つまり掃除性能を確保できる。
【0045】
一方、清掃具1が被掃除面Fから離れた状態では、回転清掃体11の回転負荷が減少することによりモータ12の消費電流が減少するので、本実施形態では、モータ12が第二駆動電力以上で駆動している状態であっても、モータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を第二時間に亘り下回り続けると、制御手段13がモータ12の駆動電力を減少させる。このとき、制御手段13は、回転清掃体11に負荷が加わると止まる程度、又は、回転清掃体11に触れても安全な程度の、所定の低速回転となるようにモータ12の駆動電力を減少させる。そのため、清掃具1を被掃除面Fから離すと、制御手段13がモータ12に対し電流減少制御を実施して回転清掃体11の回転速度及び回転トルクが十分に低下することとなるので、安全性を確保できる。
【0046】
したがって、清掃具1が被掃除面Fから離れたことを検出して回転清掃体11又はモータ12の回転を停止させるための安全装置を用いることなく清掃具1を軽量化しつつ、掃除性能の確保とより高い安全性とを両立可能となる。
【0047】
このとき、第二閾値を第一閾値よりも小さくすることにより、電力増加制御の判断と電力減少制御の判断とにヒステリシスを設け、回転清掃体11の回転負荷が同一又は略同一の状況でモータ12の消費電流が同一又は略同一であるときに、制御手段13が電力増加制御と電力減少制御とを繰り返すことを防止できる。そのため、モータ12の駆動電力が頻繁に増加と減少とを繰り返してうなることがなく、使用者が異音と解釈する、違和感を覚える等の問題を回避できる。
【0048】
同様に、第二時間を第一時間よりも長くすることにより、制御手段13が電力減少制御を実施すると判定するまでに要する時間が、電力増加制御を実施すると判定するまでに要する時間より長くなる。特に、本実施形態では、第二時間を、一般的な使用者が清掃具1の後退を開始してから停止又は再度前進するまでの時間より長く設定する。ここで、使用者は掃除具1に対して通常斜め後方に位置し、清掃具1を前進させる際には斜め後方上側から押すことで清掃具1に対し被掃除面Fに押し付けられる力が加わり、回転清掃体11の回転負荷が増加する一方、清掃具1を後進させる際には斜め後方上側に引くので、清掃具1が被掃除面Fから浮き上がりやすくなり、回転清掃体11の回転負荷が減少する。そのため、例えば使用者が清掃具1を被掃除面F上で後進させたときに回転清掃体11の回転負荷が減少してモータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を下回ったとしても、制御手段13が容易に電力減少制御を実施してしまうことを抑制できる。したがって、モータ12の駆動電力が頻繁に増加と減少とを繰り返してうなることがなく、使用者が異音と解釈する、違和感を覚える等の問題を回避できる。
【0049】
又、モータ12の起動と、モータ12の駆動電力の変更と、の少なくともいずれかの後の一定時間、制御手段13が少なくともモータ12の駆動電力の変更に関する処理をしないので、モータ12の温度が低く消費電流が上昇しやすい起動直後のタイミングで制御手段13が誤って電力増加制御を実施したり、モータ12の駆動電力の変更から消費電流が変動するまでの数秒のタイムラグにおいて制御手段13が誤って電力増加制御又は電力減少制御を実施したりすることを防止できる。そのため、モータ12の駆動電力が頻繁に増加と減少とを繰り返してうなることがなく、使用者が異音と解釈する、違和感を覚える等の問題を回避できる。
【0050】
さらに、回転清掃体11の被掃除面F側が後方から前方に向かう回転方向となるようにモータ12の回転方向を制御するため、特に清掃具1が前進する際に回転清掃体11の回転負荷が被掃除面Fの材質によって大きく異なるようになるので、回転清掃体11の回転負荷に応じて生じるモータ12の消費電流の差が大きくなる。したがって、被掃除面Fの材質すなわち種類に応じて、制御手段13がモータ12の電力増加制御又は電力減少制御を適切に実施することが可能となる。
【0051】
このとき、回転清掃体11の前方に位置する遮蔽物15を備えることで、回転清掃体11が被掃除面Fを後方から前方に擦って被掃除面Fの塵埃を前方に弾き飛ばした際でも、遮蔽物15により塵埃を受け止め、清掃具1から前方に塵埃を弾き飛ばさずに掃除することが可能になる。又、遮蔽物15は、被掃除面Fに対し、先端部が僅かに離れているため、清掃具1を前進させて前方の塵埃を掃除しようとする際に遮蔽物15が前方の塵埃を押してしまうことを抑制できる。
【0052】
又、回転清掃体11の前方に集塵口100を設けることで、回転清掃体11により前方に掻き上げた塵埃を集塵口100から効率的に集塵できる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図4を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
本実施形態の制御手段13は、第1の実施形態の制御に加えて、モータ12を強制停止させる制御を備える。つまり、回転清掃体11の回転負荷が過大となることでモータ12の消費電流が過大となった場合には、使用者の指や髪などを巻き込んだおそれがあり、モータ12の過熱も生じるため、本実施形態では、モータ12の消費電流が過大となったときに制御手段13がモータ12を強制的に停止させることを狙うものである。
【0055】
制御手段13は、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第一閾値よりも大きい所定の第三閾値を予め設定された所定の第三時間に亘り上回り続けたときと、モータ12の駆動電力が所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第二閾値よりも大きい予め設定された所定の第四閾値を所定の第四時間に亘り上回り続けたときと、の少なくともいずれかのときに、モータ12の駆動電力を0としてモータ12及び回転清掃体11を強制停止させる。
【0056】
モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第三閾値を所定の第三時間に亘り上回り続けたときに、モータ12の駆動電力を0としてモータ12及び回転清掃体11を強制停止させる制御を、以下、第一停止制御という。又、モータ12の駆動電力が所定の第二駆動電力以上の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第四閾値を所定の第四時間に亘り上回り続けたときに、モータ12の駆動電力を0としてモータ12及び回転清掃体11を強制停止させる制御を、以下、第二停止制御という。本実施形態においては、制御手段13は、第一停止制御と第二停止制御との双方を備える。
【0057】
モータ12の駆動電力を0とする際、制御手段13は、モータ12の通電時間又は通電量を0とする。本実施形態において、制御手段13は、PWM信号のデューティ比を0にすることでモータ12の駆動電力を0とし、モータ12への電源供給を断つ。
【0058】
第三時間は、好ましくは第一時間以下に設定される。このようにすることで、モータ12の消費電流が第三閾値以上に増加したときに、制御手段13が電力増加制御をする前に第一停止制御をすることが可能になる。第三時間と第四時間とは、いずれが長くてもよいし、同一でもよい。
【0059】
そして、図4のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、第1の実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0060】
図4において、ステップS3のYESの場合、ステップS10において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が第三閾値I_BC13を第三時間T_BC13に亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0061】
ステップS10において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第三閾値を第三時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS10のYESの場合、ステップS11において、制御手段13は、モータ12の駆動電力又はPWM信号のデューティ比DCを0にし、制御を終了する。
【0062】
一方、ステップS10において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第三閾値を第三時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が第三閾値を上回る時間が第三時間よりも短い、又は、比較値が第三閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS10のNOの場合、モータ12の停止を実施せず、ステップS4に進む。したがって、制御手段13では、第一停止制御が電力増加制御よりも優先され、第一停止制御をしない場合に電力増加制御をするか否かが判断される。
【0063】
ステップS3のNOの場合、ステップS12において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が第四閾値I_BC23を第四時間T_BC23に亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0064】
ステップS12において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第四閾値を第四時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS12のYESの場合、ステップS11に進む。
【0065】
一方、ステップS12において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第四閾値を第四時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が第四閾値を上回る時間が第四時間よりも短い、又は、比較値が第四閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS12のNOの場合、モータ12の停止を実施せず、ステップS6に進む。したがって、制御手段13では、第二停止制御が電力減少制御よりも優先され、第二停止制御をしない場合に電力減少制御をするか否かが判断される。
【0066】
このように、モータ12の駆動電力が第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値よりも大きい第三閾値を第三時間に亘り上回り続けたときと、モータ12の駆動電力が第二駆動電力以上の駆動状態で、比較値が第二閾値よりも大きい第四閾値を第四時間に亘り上回り続けたときと、の少なくともいずれかのときに、制御手段13がモータ12の駆動電力を0とするので、回転清掃体11の回転負荷が過大となり、モータ12の消費電流が過大となった際は、モータ12を強制的に停止させ、モータ12の過熱に起因する不具合を防止できる。
【0067】
又、第三時間を第一時間以下とすることで、制御手段13が、電力増加制御に優先して第一停止制御を実施することが可能となる。したがって、モータ12の消費電流が過大となったときに、制御手段13が誤って電力増加制御を実施することを防止できる。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図5を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0069】
本実施形態の制御手段13は、第2の実施形態の制御に加えて、制御手段13は、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第三閾値を上回る場合には、比較値と所定の第一閾値と所定の第一時間とに基づくモータ12の駆動電力の増加の処理をしない。つまり、本実施形態では、モータ12の消費電流に基づく比較値が第三閾値を上回って第一停止制御が生じる可能性がある場合、電力増加制御をしない。本実施形態では、制御手段13が、電力増加制御に優先して第一停止制御を実施することを狙うものである。この場合には、第三時間は第一時間よりも長くても構わない。
【0070】
そして、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0071】
ステップS10のNOの場合、ステップS15において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が第一時間T_BC12に亘り第一閾値I_BC12を上回りかつ第三閾値I_BC13を下回り続けたか否かを判断する。
【0072】
ステップS15において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一時間に亘り第一閾値を上回りかつ第三閾値を下回り続けたと判断した場合、つまりステップS15のYESの場合、ステップS5に進む。
【0073】
一方、ステップS15において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一時間に亘り第一閾値を上回りかつ第三閾値を下回り続けていない、すなわち比較値が第一閾値を上回りかつ第三閾値を下回る状態が第一時間よりも短い、又は、比較値が第一閾値以下又は第三閾値以上であると判断した場合、つまりステップS15のNOの場合、モータ12の駆動電力の増加を実施せず、ステップS2に進む。
【0074】
このように、モータ12の駆動電力が第一駆動電力以下の駆動状態で、モータ12の消費電流に基づく比較値が第三閾値を上回る場合には、比較値と第一閾値と第一時間とに基づくモータ12の駆動電力の増加の処理すなわち電力増加制御をしないことで、制御手段13が、電力増加制御に優先して第一停止制御を実施することが可能となる。したがって、モータ12の消費電流が過大となったときに、制御手段13が誤って電力増加制御を実施することを防止できる。
【0075】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について図6を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0076】
本実施形態の制御手段13は、所定の第三閾値と所定の第三時間とのセットと、所定の第四閾値と所定の第四時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有する。そして、制御手段13は、モータ12の駆動電力を0とする判定を、複数のセットの論理和(OR)又は論理積(AND)に基づき実施する。
【0077】
ここでは、上記の第一停止制御に適用する例について説明する。例えば、制御手段13が、第三閾値と第三時間とのセットを複数有し、モータ12の駆動電力を0とする判定を、これら複数のセットの論理和に基づき実施する場合について説明する。制御手段13が、第四閾値と第四時間とのセットを複数有し、第二停止制御に適用する場合も基本的には同様の処理であるから、この場合については説明を省略する。又、本実施形態において、制御手段13は、第三閾値と第三時間とのセットを2つ有するものとするが、3つ以上有する場合でも同様である。
【0078】
そして、図6のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0079】
ステップS3のYESの場合、ステップS20において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が一の第三閾値I_BC13aを一の第三時間T_BC13aに亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0080】
ステップS20において、モータ12の消費電流に基づく比較値が一の第三閾値を一の第三時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS20のYESの場合、ステップS11に進む。
【0081】
一方、ステップS20において、モータ12の消費電流に基づく比較値が一の第三閾値を一の第三時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が一の第三閾値を上回る時間が一の第三時間より短い、又は、比較値が一の第三閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS20のNOの場合、ステップS21において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が他の第三閾値I_BC13bを他の第三時間T_BC13bに亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0082】
ステップS21において、モータ12の消費電流に基づく比較値が他の第三閾値を他の第三時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS21のYESの場合、ステップS11に進む。
【0083】
一方、ステップS21において、モータ12の消費電流に基づく比較値が他の第三閾値を他の第三時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が他の第三閾値を上回る時間が他の第三時間より短い、又は、比較値が他の第三閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS21のNOの場合、モータ12の停止を実施せず、ステップS4に進む。
【0084】
なお、モータ12の駆動電力を0とする判定を、複数のセットの論理積に基づき実施する場合には、ステップS20のYESの場合にステップS21に進み、ステップS20のNOの場合、及び、ステップS21のNOの場合にそれぞれステップS4に進むようにすればよい。この場合、他の第三閾値は一の第三閾値よりも大きい、及び/又は、他の第三時間は一の第三時間よりも長い必要がある。
【0085】
モータ12は、個体差によって消費電流が大きいものと小さいものとがあるため、本実施形態では、第三閾値と第三時間とのセットと、第四閾値と第四時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有し、制御手段13が、モータ12の駆動電力を0とする判定を、複数のセットの論理和又は論理積に基づき実施することで、モータ12の消費電流にばらつきがある場合でも、制御手段13が必要な第一停止制御又は第二停止制御を実施可能となる。特に、第一停止制御及び/又は第二停止制御に対して複数セットの閾値と時間とを設定することにより、例えばいずれかのセットの閾値を小さく、時間を長く設定することで、消費電流が極端に小さいモータ12においても安全性を確保することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態の制御は、第2の実施形態に適用した例について説明したが、第3の実施形態にも同様に適用可能である。
【0087】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
本実施形態の制御手段13は、所定の第一閾値と所定の第一時間とのセットと、所定の第二閾値と所定の第二時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有する。そして、制御手段13は、モータ12の駆動電力を増加又は減少させる判定を、複数のセットの論理和又は論理積に基づき実施する。
【0089】
ここでは、上記の電力減少制御に適用する例について説明する。例えば、制御手段13が、第二閾値と第二時間とのセットを複数有し、電力減少制御においてモータ12の駆動電力を減少させる判定を、これら複数のセットの論理和に基づき実施する場合について説明する。制御手段13が第一閾値と第一時間とのセットを複数有し、電力増加制御に適用する場合も基本的には同様の処理であるから、この場合の説明は省略する。又、本実施形態において、制御手段13は、第二閾値と第二時間とのセットを2つ有するものとするが、3つ以上有する場合でも同様である。
【0090】
本実施形態は、清掃具1が被掃除面Fから離れたときに可能な限り早期にモータ12の駆動電力を減少させるため、制御手段13が、(1)清掃具1が前進している最中に被掃除面Fから清掃具1を離れた場合と、(2)清掃具1が後進している最中に被掃除面Fから清掃具1が離れた場合と、のそれぞれに適したタイミングでモータ12の駆動電力を減少させることを狙うものである。
【0091】
(1)の場合には、清掃具1が被掃除面Fから離れたら直ちに制御手段13がモータ12の駆動電力を減少させる。又、(2)の場合には、清掃具1が被掃除面Fの後進開始からしばらくの間、例えば、1~2秒経過してから、制御手段13がモータ12の駆動電力を減少させる。これにより、例えば清掃具1が後進開始から判定時間が経過するより前に再び被掃除面Fを前進し始めた場合には、モータ12の駆動電力は高いまま保持され、判定時間が経過するより前に被掃除面Fから浮上した場合には、被掃除面Fからの浮上直後にモータ12の駆動電力が減少したように見せることができる。又、判定時間が経過する間ずっと清掃具1が被掃除面Fを後進し続けている場合は、被掃除面F上でモータ12の駆動電力が減少する。
【0092】
そして、図8のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0093】
ステップS12のNOの場合、ステップS25において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が一の第二閾値I_BC21aを一の第二時間T_BC21aに亘り下回り続けたか否かを判断する。
【0094】
ステップS25において、モータ12の消費電流に基づく比較値が一の第二閾値を一の第二時間に亘り下回り続けたと判断した場合、つまりステップS25のYESの場合、ステップS7に進む。
【0095】
一方、ステップS25において、モータ12の消費電流に基づく比較値が一の第二閾値を一の第二時間に亘り下回り続けていない、すなわち比較値が一の第三閾値を下回る時間が一の第二時間より短い、又は、比較値が一の第二閾値を下回っていないと判断した場合、つまりステップS25のNOの場合、ステップS26において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が他の第二閾値I_BC21bを他の第二時間T_BC21bに亘り下回り続けたか否かを判断する。
【0096】
ステップS26において、モータ12の消費電流に基づく比較値が他の第二閾値を他の第二時間に亘り下回り続けたと判断した場合、つまりステップS26のYESの場合、ステップS7に進む。
【0097】
一方、ステップS26において、モータ12の消費電流に基づく比較値が他の第二閾値を他の第二時間に亘り下回り続けていない、すなわち比較値が一の第二閾値を下回る時間が一の第二時間より短い、又は、比較値が一の第二閾値を下回っていないと判断した場合、つまりステップS26のNOの場合、モータ12の駆動電力の減少を実施せず、ステップS2に進む。
【0098】
なお、一の第二閾値及び一の第二時間と、他の第二閾値及び他の第二時間と、の大小関係は、任意に設定してよい。本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示すように、一の第二閾値I_BC21aが他の第二閾値I_BC21bよりも小さく、かつ、一の第二時間T_BC21aが他の第二時間T_BC21bよりも短い。ステップS25の処理が上記の(1)の場合の判定に対応し、ステップS26の処理が上記の(2)の場合の判定に対応する。
【0099】
モータ12の駆動電力を低減する判定を、複数のセットの論理積に基づき実施する場合には、ステップS25のYESの場合にステップS26に進み、ステップS25のNOの場合、及び、ステップS26のNOの場合にそれぞれステップS2に進むようにすればよい。この場合、他の第二閾値は一の第二閾値より大きい、及び/又は、他の第二時間は一の第二時間より長い必要がある。
【0100】
このように、第一閾値と第一時間とのセットと、第二閾値と第二時間とのセットと、の少なくともいずれかを複数有し、制御手段13が、モータ12の駆動電力を増加させる判定と減少させる判定との少なくともいずれかを、複数のセットの論理和又は論理積に基づき実施することで、モータ12の消費電流に個体差がある場合、あるいは、清掃具1の複数の異なる使用状況においても、電力増加制御及び/又は電力減少制御を適切に実施可能となる。
【0101】
本実施形態では、一の第二閾値を他の第二閾値よりも小さく、かつ、一の第二時間を他の第二時間よりも短くしたことにより、清掃具1が前進している最中に被掃除面Fから清掃具1を離れた場合には電力減少制御を直ちに実施し、清掃具1が後進している最中に被掃除面Fから清掃具1が離れる場合には後進を始めてから少々時間が経過した時点で電力減少制御を実施する等、それぞれの状況に適したタイミングで電力減少制御を実施できる。
【0102】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0103】
モータ12の個体差、温度、経年劣化、回転清掃体11の回転抵抗、及び、電源電圧等の環境要因によってモータ12の消費電流の上下が発生する。そのため、モータ12の消費電流と所定の第一閾値又は所定の第二閾値とを単純に比較する場合には、モータ12の消費電流の上下により、制御手段13において、想定している正しい判定ができない場合が生じることが懸念される。又、制御手段13での判定をあらゆる状況に応じて正しくするように第一閾値あるいは第二閾値を定めるのは困難である。
【0104】
そこで、本実施形態の制御手段13は、所定の比較値変動時間におけるモータ12の消費電流に基づく比較値の変動量が所定の比較値変動量閾値を上回ることをモータ12の駆動電力を増加させるためと、減少させるためと、の少なくともいずれかのさらなる条件とする。つまり、本実施形態では、制御手段13が、上記の電力増加制御、及び/又は、電力減少制御をする際に、モータ12の消費電流に基づく比較値の所定の比較値変動時間における変動量が所定の比較値変動量閾値を上回るか否かを論理積として条件に加える。
【0105】
例えば、電力増加制御において、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の状態であるときにモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第一閾値を所定の第一時間に亘り上回り、かつ、比較値が急激に増加した場合は、清掃具1を絨毯等の被掃除面F上に載置して前方に動かしたものと判定し、モータ12の駆動電力を増加させる。
【0106】
あるいは、電力減少制御において、モータ12の駆動電力が所定の第二駆動電力以上の状態であるときにモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第二閾値を所定の第二時間に亘り下回り、かつ、比較値が急激に減少した場合は、清掃具1が被掃除面Fから離れたと判定し、モータ12の駆動電力を減少させる。
【0107】
ここで、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動量を測定するためには過去の比較値の履歴が必要となる。制御手段13に記憶する容量を極力低減するためには、当該履歴は最小限とするのが望ましい。
【0108】
例えば、比較値変動時間を1s、比較値の算出周期を100msとすると、制御手段13は、10の比較値から最小値と最大値とを選択し、算出した比較値と最小値との差を電力増加制御用の変動量、最大値と算出した比較値との差を電力減少制御用の変動量として算出する。ここで、制御手段13は、電力増加制御において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回ることを条件とし、電力減少制御において、モータ12の消費電流に基づく比較値が第二閾値を第二時間に亘り下回ることを条件としているため、上記の最小値と最大値とを選択する10の比較値としては、現時刻から継続判定に要する第一時間分、第二時間分をさらに遡った時点から比較値変動時間内の履歴のものを用いることが望ましい。したがって、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動量は、現時刻から比較値変動時間前までの最大値又は最小値、又は、第一時間前又は第二時間前の時点からさらに比較値変動時間前までの比較値の最大値又は最小値と、現時刻の比較値と、の差とする。本実施形態において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動量は、第一時間前又は第二時間前の時点からさらに比較値変動時間前までの比較値の最大値又は最小値と、現時刻の比較値と、の差とする。
【0109】
なお、電力増加制御に用いる比較値変動時間と、電力減少制御に用いる比較値変動時間と、は、同一でもよいし異なっていてもよい。本実施形態において、電力増加制御に用いる比較値変動時間と、電力減少制御に用いる比較値変動時間と、は互いに同一となっている。例えば、これら比較値変動時間は、それぞれ1秒である。
【0110】
同様に、電力増加制御に用いる比較値変動量閾値と、電力減少制御に用いる比較値変動量閾値と、は、同一でもよいし異なっていてもよい。
【0111】
そして、図10のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0112】
ステップS4のYESの場合、ステップS30において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の一の比較値変動時間である第一変動時間における変動量、すなわち現時刻の比較値I(t)から、現時刻に対し第一時間前からさらに第一変動時間前までの比較値I(t)の最小値Imin(t-T_BC12)を引いた値が、一の比較値変動量閾値である第一変動量閾値I_BCd12を上回ったか否かを判断する。
【0113】
ステップS30において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第一変動時間における変動量が第一変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS30のYESの場合、ステップS5に進む。
【0114】
一方、ステップS30において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第一変動時間における変動量が第一変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS30のNOの場合、モータ12の駆動電力の増加を実施せず、ステップS2に進む。
【0115】
同様に、ステップS6のYESの場合、ステップS31において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の他の比較値変動時間である第二変動時間における変動量、すなわち現時刻に対し第二時間前からさらに第二変動時間前までの比較値の最大値Imax(t-T_BC21)から、現時刻の比較値I(t)を引いた値が、他の比較値変動量閾値である第二変動量閾値I_BCd21を上回ったか否かを判断する。
【0116】
ステップS31において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第二変動時間における変動量が第二変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS31のYESの場合、ステップS7に進む。
【0117】
一方、ステップS31において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第二変動時間における変動量が第二変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS31のNOの場合、モータ12の駆動電力の減少を実施せず、ステップS2に進む。
【0118】
図9(a)及び図9(b)に示す比較値I(t)の例に基づいて、上記の制御を説明する。図9(a)の例では、まず、モータ12が時刻T0から駆動電力「小」で起動した後、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が上昇し、仮に所定の第一閾値I_BC12を時刻T1から第一時間T_BC12に亘り上回ったとしても、時刻T1の第一変動時間T_BC12前の時刻T2から時刻T1までの比較値I(t)の変動量が第一変動量閾値以下であるため、モータ12の駆動電力は増加されない。その後、時刻T3から第一時間T_BC12後に亘り比較値I(t)が第一閾値I_BC12を上回ったとき、時刻T3の第一変動時間T_BC12前の時刻T4から時刻T3までの比較値I(t)の変動量が第一変動量閾値を上回っていると、時刻T3から第一時間T_BC12後の時刻T5以降、モータ12の駆動電力が増加され、モータ12が駆動電力「大」で駆動される。
【0119】
図9(b)の例では、モータ12が駆動電力「大」で駆動している状態から、モータ12の消費電流に基づく比較値I(t)が低下し、仮に第二閾値I_BC21を時刻T6から第二時間T_BC21に亘り下回ったとき、時刻T6の第二変動時間T_BC21前の時刻T7から時刻T6までの比較値I(t)の変動量が大きいと、時刻T6から第二時間T_BC21後の時刻T8以降、モータ12の駆動電力が減少され、モータ12が駆動電力「小」で駆動される。
【0120】
このように、比較値変動時間におけるモータ12の消費電流に基づく比較値の変動量が比較値変動量閾値を上回ることを、モータ12の駆動電力を増加させるためと、減少させるためと、の少なくともいずれかのさらなる条件とすることで、モータ12あるいは回転清掃体11の個体差に起因するモータ12の消費電流の変動やばらつきによる電流増加制御や電流減少制御の実施判定への影響を低減できる。
【0121】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について図11を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0122】
第6の実施形態と同様に、モータ12の個体差、温度、経年劣化、回転清掃体11の回転抵抗、及び、電源電圧等の環境要因によってモータ12の消費電流の上下が発生するため、モータ12の消費電流と所定の第三閾値又は所定の第四閾値とを単純に比較する場合には、モータ12の消費電流の上下により、制御手段13において、想定している正しい判定ができないことが懸念される。又、制御手段13での判定をあらゆる状況に応じて正しくするように所定の第三閾値あるいは所定の第四閾値を定めるのは困難である。
【0123】
そこで、本実施形態の制御手段13は、所定の変動時間におけるモータ12の消費電流に基づく比較値の変動量が所定の変動量閾値を上回ることをモータ12の駆動電力を0とするためのさらなる条件とする。つまり、本実施形態では、制御手段13が、上記の第一停止制御、及び/又は、第二停止制御をする際に、モータ12の消費電流に基づく比較値の所定の変動時間における変動量が所定の変動量閾値を上回るか否かを論理積として条件に加える。
【0124】
例えば、第一停止制御において、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の状態であるときにモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第三閾値を所定の第三時間に亘り上回り、かつ、比較値が急激に増加した場合は、モータ12の駆動電力を0とする。
【0125】
あるいは、第二停止制御において、モータ12の駆動電力が所定の第二駆動電力以上の状態であるときにモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第四閾値を所定の第四時間に亘り上回り、かつ、比較値が急激に増加した場合は、モータ12の駆動電力を0とする。
【0126】
モータ12の消費電流に基づく比較値の変動量は、現時刻の比較値と、現時刻から変動時間前までの最小値、又は、第三時間又は第四時間前の時点からさらに変動時間前までの比較値の最小値と、の差とする。本実施形態において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動量は、現時刻の比較値と、第三時間又は第四時間前の時点からさらに変動時間前までの比較値の最小値と、の差とする。
【0127】
又、第一停止制御に用いる変動時間と、第二停止制御に用いる変動時間と、は、同一でもよいし異なっていてもよい。本実施形態において、第一停止制御に用いる変動時間と、第二停止制御に用いる変動時間と、は互いに同一となっている。例えば、これら変動時間は、それぞれ1秒である。したがって、以下の実施形態において、変動時間と比較値変動時間とは同一のものとして説明する。
【0128】
さらに、変動時間は、第6の実施形態における比較値変動時間と同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0129】
同様に、第一停止制御に用いる変動量閾値と、第二停止制御に用いる変動量閾値と、は、同一でもよいし異なっていてもよい。
【0130】
そして、図11のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。本実施形態において、ステップS30,S31の制御は必須のものではない。
【0131】
ステップS10のYESの場合、ステップS35において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の一の変動時間である第三変動時間における変動量、すなわち現時刻の比較値I(t)から、現時刻に対し第三時間前からさらに第三変動時間前までの比較値の最小値Imin(t-T_BC13)を引いた値が、一の変動量閾値である第三変動量閾値I_BCd13を上回ったか否かを判断する。
【0132】
ステップS35において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第三変動時間における変動量が第三変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS35のYESの場合、ステップS11に進む。
【0133】
一方、ステップS35において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第三変動時間における変動量が第三変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS35のNOの場合、モータ12の停止を実施せず、ステップS4に進む。
【0134】
同様に、ステップS12のYESの場合、ステップS36において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の他の変動時間である第四変動時間における変動量、すなわち現時刻の比較値I(t)から、現時刻に対し第四時間前からさらに第四変動時間前までの比較値の最小値Imin(t-T_BC23)を引いた値が、他の変動量閾値である第四変動量閾値I_BCd23を上回ったか否かを判断する。
【0135】
ステップS36において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第四変動時間における変動量が第四変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS36のYESの場合、ステップS11に進む。
【0136】
一方、ステップS36において、モータ12の消費電流に基づく比較値の第四変動時間における変動量が第四変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS36のNOの場合、モータ12の停止を実施せず、ステップS6に進む。
【0137】
このように、変動時間におけるモータ12の消費電流に基づく比較値の変動量が変動量閾値を上回ることを、モータ12の駆動電力を0とするためのさらなる条件とすることで、モータ12あるいは回転清掃体11の個体差に起因するモータ12の消費電流の変動やばらつきによる第一停止制御や第二停止制御の実施判定への影響を低減できる。
【0138】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について図12ないし図14を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0139】
使用者が清掃具1を用いて掃除をする場合と、それ以外の場合とでは、モータ12の消費電流の挙動が異なる。そこで、本実施形態では、掃除動作特有の消費電流の挙動を検出したときに、モータ12の駆動電力を増加させる。具体的には、清掃具1の前後運動に着目し、回転清掃体11の回転抵抗が所定より大きな絨毯等の被掃除面Fで清掃具1を前後に移動させると、清掃具1が前進、停止、後進、停止、前進、…と動作するにしたがい、図12に示すように、モータ12の消費電流又は消費電流に基づく比較値I(t)が大、中、小、中、大…と変化する。つまり、使用者が、掃除動作として、清掃具1を被掃除面F上で前後に往復移動させる場合には、モータ12の消費電流のピーク及びボトムが清掃具1を往復移動させる程度の時間を隔てて複数回発生することが想定される。
【0140】
したがって、本実施形態の制御手段13は、第6又は第7の実施形態の制御に加えて、モータ12の消費電流に基づく比較値の所定の比較値変動時間における変動量が所定の比較値変動量閾値を上回った後、比較値がさらに減少及び増加を1回繰り返したことをモータ12の駆動電力を増加させるためのさらなる条件とする。
【0141】
本実施形態においては、比較値の比較値変動時間における変動量が比較値変動量閾値を上回った後、所定の第五時間以内に比較値が減少し、かつ、この減少から所定の第六時間以内に比較値が増加したときに、制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させる。
【0142】
第五時間は、例えば使用者が清掃具1を停止から後進させて停止する直前までの時間とし、第六時間は、例えば使用者が清掃具1を停止から前進させて停止する直前までの時間とする。第五時間と第六時間とは、同一でもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、第五時間と第六時間とは同一とする。又、第五時間と第六時間の和としては、例えば使用者が清掃具1を一往復させる時間である約1.5~2秒とする。
【0143】
そして、図13及び図14のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0144】
ステップS10のNOの場合、ステップS40の制御を実施し、ステップS2に進む。
【0145】
ここで、ステップS40の制御の概要について説明する。
【0146】
ステップS40の制御は、以下、増加制御という。増加制御は、モータ12の消費電流に基づく比較値のピークを検出する第一ピーク検出処理と、モータ12の消費電流に基づく比較値のボトムを検出するボトム検出処理と、モータ12の消費電流に基づく比較値の2回目のピークを検出する第二ピーク検出処理と、モータ12の駆動電力を増加させる電力増加処理と、に大別される。
【0147】
制御手段13は、第一ピーク検出処理において、モータ12の駆動電力が所定の第一駆動電力以下の状態であるときにモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の第一閾値を所定の第一時間に亘り上回り続けているか否かを判断し、さらにモータ12の消費電流に基づく比較値の第一変動時間における変動量が第一変動量閾値を上回るか否かを判断する。
【0148】
又、制御手段13は、第一ピーク検出処理で比較値が第一閾値を第一時間に亘り上回り続けていると判断し、さらにモータ12の消費電流に基づく比較値の第一変動時間における変動量が第一変動量閾値を上回ると判断した場合、ボトム検出処理において、その判断から所定の第五時間が経過するより早く、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の下限閾値を所定の第一時間に亘り下回り続けているか否かを判断する。
【0149】
さらに、制御手段13は、ボトム検出処理でモータ12の消費電流に基づく比較値が所定の下限閾値を所定の第一時間に亘り下回り続けていると判断した場合、第二ピーク検出処理において、その判断から所定の第六時間が経過するより早く、モータ12の消費電流に基づく比較値が所定の上限閾値を所定の第一定時間に亘り上回り続けているか否かを判断する。
【0150】
そして、制御手段13は、第二ピーク検出処理でモータ12の消費電流に基づく比較値が上限閾値を第一時間に亘り上回り続けていると判断した場合、電力増加処理において、モータ12の駆動電力を増加させる。
【0151】
つまり、制御手段13は、第一ピーク検出処理において、モータ12の消費電流に基づく比較値のピークを検出した場合、ボトム検出処理によりピーク検出時刻から第五時間以内に比較値のボトムを検出すると、第二ピーク検出処理を実施し、ボトム検出時刻から第六時間以内に第二ピーク検出処理により比較値のピークを再度検出すると、電力増加処理を実施して駆動電力を増加させる。
【0152】
所定の上限閾値としては、例えば現時刻から比較値変動時間前又は変動時間前までの比較値の最大値に対し、比較値変動量閾値を引いた値とする。
【0153】
所定の下限閾値としては、例えば現時刻から比較値変動時間前又は変動時間前までの比較値の最小値に対し、比較値変動量閾値を加えた値とする。
【0154】
図14に示すように、制御手段13は、第一時刻変数であるピーク検出時刻t0、第二時刻変数であるボトム検出時刻t1、及び、電流基準値i0を変数として用いる。
【0155】
そして、ステップS41において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0が0であるか否か、すなわちモータ12の消費電流のピークを検出しているか否かを判断する。ステップS41において、ピーク検出時刻が0、すなわちモータ12の消費電流のピークを検出していないと判断した場合、つまりステップS41のYESの場合、ステップS42において、制御手段13は、ボトム検出時刻t1が0であるか否か、すなわちモータ12の消費電流のボトムを検出しているか否かを判断する。
【0156】
ステップS42において、ボトム検出時刻が0である、すなわちモータ12の消費電流のボトムを検出していないと判断した場合、つまりステップS42のYESの場合、ステップS4,S30と同様のステップS43,S44の処理を実施し、これらステップS43,S44のそれぞれがYESの場合、ステップS45において、制御手段13は、現時刻tをピーク検出時刻t0として記憶するとともに、電流基準値i0を現時刻から変動時間前までの比較値の最大値Imax(t)とし、すなわち比較値のピークを1回検出したことを記憶し、リターンする。ステップS43,S44のいずれかがNOの場合にもそれぞれリターンする。ステップS41~S45が、第一ピーク検出処理に相当する。
【0157】
一方、ステップS41において、ピーク検出時刻が0でない、すなわちモータ12の消費電流に基づく比較値のピークをすでに検出していると判断した場合、つまりステップS41のNOの場合、ステップS46において、制御手段13は、現時刻tがピーク検出時刻t0から一の待機上限時間としての第五時間である所定時間T_BC12limより経過しているか否かを判断する。
【0158】
ステップS46において、現時刻がピーク検出時刻から所定時間より経過していると判断した場合、つまりステップS46のYESの場合、ステップS47において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0及び電流基準値i0をそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークを1回検出したことをリセットする。
【0159】
一方、ステップS46において、現時刻がピーク検出時刻から所定時間より経過していないと判断した場合、つまりステップS46のNOの場合、ステップS48において、制御手段13は、現時刻の比較値I(t)が、下限閾値I_BC12Loを第一時間T_BC12に亘り下回り続けたか否かを判断する。下限閾値I_BC12Loは、電流基準値i0から第一変動量閾値I_BCd12を引いた値とする。
【0160】
ステップS48において、現時刻の比較値が、下限閾値を第一時間に亘り下回り続けたと判断した場合、つまりステップS48のYESの場合、ステップS49において、制御手段13は、現時刻tをボトム検出時刻t1として記憶するとともに、電流基準値i0を現時刻から変動時間前までの比較値の最小値Imin(t)とする。すなわち、制御手段13は、比較値のボトムを、ピークから第五時間以内に1回検出したことを記憶する。続いて、ステップS50において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0を0にリセットし、リターンする。
【0161】
一方、ステップS48において、現時刻の比較値が、下限閾値を第一時間に亘り下回り続けていない、すなわち比較値が下限閾値を下回る時間が第一時間よりも短い、又は、比較値が下限閾値を下回っていないと判断した場合、つまりステップS48のNOの場合、リターンする。ステップS46~S50が、ボトム検出処理に相当する。
【0162】
又、ステップS42において、ボトム検出時刻が0でない、すなわちモータ12の消費電流に基づく比較値のボトムを既に検出していると判断した場合、つまりステップS42のNOの場合、ステップS51において、制御手段13は、現時刻tがボトム検出時刻t1から他の待機上限時間としての第六時間である所定時間T_BC12limより経過しているか否かを判断する。
【0163】
ステップS51において、現時刻がボトム検出時刻から所定時間より経過していると判断した場合、つまりステップS51のYESの場合、ステップS52において、制御手段13は、ボトム検出時刻t1及び電流基準値i0をそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピーク及びボトムを1回ずつ検出したことをリセットする。
【0164】
一方、ステップS51において、現時刻がボトム検出時刻から所定時間より経過していないと判断した場合、つまりステップS51のNOの場合、ステップS53において、制御手段13は、現時刻の比較値I(t)が、上限閾値I_BC12Hiを第一時間T_BC12に亘り上回り続けたか否かを判断する。上限閾値I_BC12Hiは、電流基準値i0に第一変動量閾値I_BCd12を加えた値とする。
【0165】
ステップS53において、現時刻の比較値が、上限閾値を第一時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS53のYESの場合、比較値のピークを検出した後、第五時間以内にボトムを1回検出し、さらに第六時間以内にピークを1回検出したものと判断し、ステップS54において、制御手段13は、ボトム検出時刻t1及び電流基準値i0をそれぞれ0にリセットし、ステップS5と同様のステップS55の処理によりモータ12の駆動電力を増加させ、リターンする。
【0166】
一方、ステップS53において、現時刻の比較値が、上限閾値を第一時間に亘り上回り続けていない、すなわち比較値が上限閾値を上回る時間が第一時間よりも短い、又は、比較値が上限閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS53のNOの場合、リターンする。
【0167】
このように、掃除の際に使用者が清掃具1の前後移動を繰り返すとモータ12の消費電流が増減することに着目して、モータ12の消費電流に基づく比較値の比較値変動時間における変動量が比較値変動量閾値を上回った後、比較値が減少及び増加を1回繰り返したことをモータ12の駆動電力を増加させるためのさらなる条件とすることにより、清掃具1の状態を精度よく推定でき、比較値と第一閾値、第二閾値とを比較するだけの場合よりも判定の精度を向上できるので、制御手段13がモータ12の駆動電力を、使用者が清掃具1を前後に移動させたときに増加させ、その他のときに実施しにくいように設定できる。そのため、掃除性能の確保とより高い安全性とを両立可能となる。
【0168】
特に、本実施形態では、使用者が清掃具1を1回前進及び後進させたことを検出すると制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させることが可能となるため、モータ12の駆動電力を必要なタイミングで速やかに増加させることができ、掃除性能を確保できる。
【0169】
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について図15を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0170】
本実施形態では、第6又は第7の実施形態の制御に加えて、モータ12の消費電流に基づく比較値の所定の比較値変動時間における変動量が所定の比較値変動量閾値を上回った後、比較値がさらに減少及び増加を複数回、つまりnを2以上の整数としてn回繰り返したことをモータ12の駆動電力を増加させるためのさらなる条件とする。
【0171】
つまり、本実施形態では、制御手段13が、第8の実施形態の第一ピーク処理に加えて、ボトム検出処理と第二ピーク検出処理とをn回繰り返したときに、電力増加処理を実施する。
【0172】
そして、図15のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0173】
図15に示すように、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、ボトム検出時刻t1、及び、所定の電流基準値i0に加えて、ピーク/ボトム検出回数sを変数として用いる。
【0174】
ステップS60において、制御手段13は、ピーク/ボトム検出回数sがnと等しいか否かを判断する。ステップS60において、ピーク/ボトム検出回数がnと等しくないと判断した場合、つまりステップS60のNOの場合、ステップS41に進む。
【0175】
又、ステップS46のYESの場合、ステップS61において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、電流基準値i0及びピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークをs+1回、ボトムをs回検出したことをリセットする。すなわち、本実施形態では、ステップS46,S61,S48~S50がボトム検出処理に相当する。
【0176】
さらに、ステップS51のYESの場合、ステップS62において、制御手段13は、ボトム検出時刻t1、電流基準値i0及びピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピーク及びボトムをs+1回ずつ検出したことをリセットする。
【0177】
又、ステップS53のYESの場合、ステップS63において、制御手段13は、現時刻tをピーク検出時刻t0として記憶するとともに、電流基準値i0を現時刻から変動時間前までの比較値の最大値Imax(t)とする。続いて、ステップS64において、制御手段13は、ボトム検出時刻t1を0にリセットするとともに、ピーク/ボトム検出回数sをインクリメントし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークを検出した後、第五時間以内にボトムを1回検出し、さらに第六時間以内にピークをs+1回、ボトムをs回検出した回数を1回増加させる。すなわち、本実施形態では、ステップS51,S62,S53,S63,S64が第二ピーク検出処理に相当する。
【0178】
一方、ステップS60において、ピーク/ボトム検出回数sがnと等しいと判断した場合、つまりステップS60のYESの場合、比較値のピークを検出した後、ボトムとピークとをn回ずつ検出したものと判断し、ステップS65において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、ボトム検出時刻t1、電流基準値i0及びピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットする。その後、ステップS55の処理によりモータ12の駆動電力を増加させ、リターンする。
【0179】
このように、掃除の際に使用者が清掃具1の前後移動を繰り返すとモータ12の消費電流が増減することに着目して、モータ12の消費電流に基づく比較値の比較値変動時間での変動量が比較値変動量閾値を上回った後、比較値が減少及び増加を複数回繰り返したことをモータ12の駆動電力を増加させるためのさらなる条件とすることにより、清掃具1の状態をより精度よく推定でき、比較値と第一閾値、第二閾値とを比較するだけの場合よりも判定の精度を向上できるので、制御手段13がモータ12の駆動電力を、使用者が清掃具1を前後に移動させたときに増加させ、その他のときに増加させにくいように設定できる。
【0180】
特に、本実施形態では、使用者が清掃具1を複数回前進及び後進させて初めて制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させることが可能となるため、意図しない状況でモータ12の駆動電力を増加させることを抑制できる。
【0181】
そのため、掃除性能の確保とより高い安全性とを両立可能となる。
【0182】
なお、第8及び第9の実施形態において、第一閾値及び第一時間のセットが複数設定されていてもよい。
【0183】
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態について図16を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0184】
本実施形態は、第8又は第9の実施形態の制御に、第4ないし第6の実施形態の制御を組み合わせたものである。すなわち、制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させる、減少させる、又は、0とする際に、それらを判定するための閾値と時間とのセットを複数有するとともに、比較値の変動量、及び、比較値の減少及び増加の繰り返し回数を加味するものである。
【0185】
図16のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0186】
図示される例では、第三閾値と第三時間とのセット、及び、第二閾値と第二時間とのセットを、それぞれ複数、例えば2つずつ有し、かつ、第二閾値と第二時間とのセットのそれぞれに応じて、第二変動量閾値が設定されている。
【0187】
ステップS3のYESの場合、第4の実施形態のステップS20,S21と同様のステップS66,S67の処理を実施し、ステップS66,S67がいずれもNOの場合、ステップS40に進み、ステップS66,S67のいずれかがYESの場合、ステップS11に進む。つまり、制御手段13は、ステップS66,S67がいずれもNOの場合、モータ12の停止を実施せず、電流増加制御の実施の要否を判断する。
【0188】
又、ステップS12のNOの場合、第5の実施形態のステップS25と同様のステップS68の処理を実施する。
【0189】
ステップS68のYESの場合、ステップS69において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量、すなわち現時刻に対し一の第三時間前からさらに変動時間前までの比較値の最大値Imax(t-T_BC21a)から、現時刻の比較値I(t)を引いた値が、一の第二変動量閾値I_BCd21aを上回ったか否かを判断する。
【0190】
ステップS69において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量が一の第二変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS69のYESの場合、ステップS7に進む。
【0191】
一方、ステップS69において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量が一の第二変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS69のNOの場合、第5の実施形態のステップS26と同様のステップS70の処理を実施する。
【0192】
ステップS70のYESの場合、ステップS71において、制御手段13は、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量、すなわち現時刻に対し他の第三時間前からさらに変動時間前までの比較値の最大値Imax(t-T_BC21b)から、現時刻の比較値I(t)を引いた値が、他の第二変動量閾値I_BCd21bを上回ったか否かを判断する。
【0193】
ステップS71において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量が他の第二変動量閾値を上回ったと判断した場合、つまりステップS71のYESの場合、ステップS7に進む。
【0194】
一方、ステップS71において、モータ12の消費電流に基づく比較値の変動時間における変動量が他の第二変動量閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS71のNOの場合、リターンする。同様に、ステップS70のNOの場合、リターンする。又、ステップS68のNOの場合、ステップS70に進む。
【0195】
なお、モータ12の駆動電力を低減する判定を、複数のセットの論理積に基づき実施する場合には、ステップS69のYESの場合にステップS70に進み、ステップS68~S71がそれぞれNOの場合にリターンするようにすればよい。
【0196】
このように、制御手段13がモータ12の駆動電力を増加させる、減少させる、又は、0とする際に、それらを判定するための閾値と時間とのセットを複数有し、制御手段13が、モータ12の駆動電力を増加させる判定、減少させる判定、又は、0とする判定を、複数のセットの論理和又は論理積に基づき実施することで、モータ12の消費電流に個体差がある場合、あるいは、清掃具1の複数の異なる使用状況においても、電力増加制御及び/又は電力減少制御を適切に実施可能となる。又、比較値の変動量、及び、比較値の減少及び増加の繰り返し回数を加味することで、使用者が清掃具1を前後に移動させたことを検出し、電力増加制御あるいは電力減少制御を、使用者が清掃具1を前後に移動させたときに実施し、その他のときに実施しにくいように設定できるとともに、モータ12あるいは回転清掃体11の個体差に起因するモータ12の消費電流の変動やばらつきによる電力増加制御、電力減少制御、第一停止制御、第二停止制御の実施判定への影響を低減できる。
【0197】
なお、本実施形態において、第三閾値及び第三時間を複数セット有することに代えて、あるいは、第三閾値及び第三時間を複数セット有することに加えて、第四閾値及び第四時間を複数セット有する構成としてもよい。
【0198】
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態について図17を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0199】
清掃具1の前後運動に伴うモータ12の消費電流に基づく比較値の減少及び増加の繰り返しは、比較値のピークを検出してから次のピークを検出するまでの時間、又は、比較値のボトムを検出してから次のボトムを検出するまでの時間が、通常の使用者が清掃具1を1往復させる時間、例えば1.5~2秒と比較して顕著に短い場合、掃除動作に起因しないものである可能性がある。
【0200】
そこで、本実施形態では、第8の実施形態の制御に加えて、比較値が所定の値を上回るまでの時間の下限値を設定する。図示される例では、制御手段13は、変動量が所定の変動量閾値を上回った後、比較値の減少及び増加が所定の短時間内に1回繰り返した場合には、それが掃除動作によるものではないと判断し、モータ12の駆動電力を増加させないようにする。つまり、本実施形態では、第一ピーク検出処理から第二ピーク検出処理までに要する時間が所定の第七時間内である場合には、制御手段13が電力増加処理を実施しないようにする。所定の短時間とは、例えば所定の第五時間と所定の第六時間との和の半分未満の時間とする。
【0201】
図17のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0202】
図17において、まず、第8の実施形態のステップS42,S41と同様のステップS75,S76の処理を実施する。
【0203】
ステップS75及びステップS76のそれぞれがYESの場合、ステップS43~S45の処理を実施する。すなわち、本実施形態において、ステップS75,S76,S43~S45が第一ピーク検出処理に相当する。
【0204】
又、ステップS76のNOの場合、ステップS46~S49の処理を実施する。すなわち、本実施形態において、ステップS46~S49がボトム検出処理に相当する。
【0205】
さらに、ステップS75のNOの場合、ステップS51に進む。ステップS51のYESの場合、ステップS77において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0及びボトム検出時刻t1をそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピーク及びボトムを1回ずつ検出したことをリセットする。
【0206】
一方、ステップS51のNOの場合、ステップS53に進む。
【0207】
ステップS53のYESの場合、ステップS78において、制御手段13は、現時刻tがピーク検出時刻t0から待機可能時間である第七時間T_BC12lim2より経過していないか否かを判断する。第七時間としては、例えば第8の実施形態の所定時間T_BC12limに対し、第一時間T_BC12を加えたもの等とする。
【0208】
ステップS78において、現時刻がピーク検出時刻から第七時間より経過していないと判断した場合、つまり、ステップS78のYESの場合、ステップS79において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0及びボトム検出時刻t1をそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークを検出した後、ボトムとピークとを短時間に検出したものと判断し、比較値のピーク及びボトムを1回ずつ検出したことをリセットする。
【0209】
一方、ステップS78において、現時刻がピーク検出時刻から第七時間より経過していると判断した場合、つまりステップS78のNOの場合、比較値のピークを検出した後、第七時間より長い時間を掛けて第五時間内にボトムを1回、さらにその後第六時間内にピークを1回検出したものと判断し、ステップS80において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0及びボトム検出時刻t1をそれぞれ0にリセットし、続いて電力増加処理であるステップS55の処理によりモータ12の駆動電力を増加する。すなわち、本実施形態において、ステップS51,S77,S53,S78~S80が第二ピーク検出処理に相当する。
【0210】
このように、モータ12の消費電流に基づく比較値の減少及び増加が所定の短時間内に1回繰り返した場合には、制御手段13が、比較値の増減が清掃具1の前後移動によるものではないと判断し、モータ12の駆動電力を増加させない。すなわち、制御手段13は、掃除動作時の清掃具1の前後移動に起因する比較値の増減と、それ以外の要因による比較値の増減とをより的確に捉え、制御手段13がモータ12の駆動電力を、使用者が清掃具1を前後に移動させたときに増加させ、その他のときに増加させにくいように、より確実に設定できる。
【0211】
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態について図18を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0212】
本実施形態は、第11の実施形態において、制御手段13は、変動量が所定の変動量閾値を上回った後、比較値の減少及び増加が所定の短時間内に複数回繰り返した場合には、それが掃除動作によるものではないと判断し、モータ12の駆動電力を増加させないようにする。すなわち、本実施形態は、第9の実施形態の制御に第11の実施形態の制御を加えたものである。
【0213】
図18のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、各実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0214】
図18において、ステップS46のYESの場合、ステップS81において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、電流基準値i0、及び、ピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークをs+1回、ボトムをs回検出したことをリセットする。本実施形態において、ステップS46,S81,S48,S49がボトム検出処理に相当する。
【0215】
又、ステップS51のYESの場合、ステップS82において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、ボトム検出時刻t1、及び、ピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークを検出した後、ボトムとピークとをs+1回ずつ検出したことをリセットする。同様に、ステップS78のYESの場合、ステップS83において、制御手段13は、ピーク検出時刻t0、ボトム検出時刻t1、及び、ピーク/ボトム検出回数sをそれぞれ0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、比較値のピークを検出した後、ボトムとピークとを検出したことをリセットする。すなわち、本実施形態において、ステップS51,S82,S53,S78,S83,S63,S64が第二ピーク検出処理に相当する。
【0216】
又、ステップS78のNOの場合、ステップS63,S64の処理を実施する。
【0217】
このように、モータ12の消費電流に基づく比較値の減少及び増加が所定の短時間内に複数回繰り返した場合には、制御手段13が、比較値の増減が清掃具1の前後移動によるものではないと判断し、モータ12の駆動電力を増加させないことで、制御手段13がモータ12の駆動電力を、使用者が清掃具1を前後に移動させたときに増加させ、その他のときに増加させにくいように、より確実に設定できる。
【0218】
特に、本実施形態では、モータ12の消費電流に基づく比較値が複数回増減を所定の短時間に繰り返したときにのみモータ12の駆動電力を増加させないので、モータ12の駆動電力を増加させるための判定の精度を向上でき、モータ12の駆動電力の増加が必要な状況であるにも拘らず増加されないことを抑制できる。
【0219】
(第13の実施形態)
次に、第13の実施形態について図19及び図20を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0220】
例えば、毛が深い絨毯等の回転清掃体11の回転負荷が所定以上となる被掃除面Fを掃除する際には、モータ12にロックが掛かり、過大電流が生じることで、第2ないし第12の実施形態では、制御手段13がモータ12を強制的に停止させることがある。この場合には、電気掃除機VCの電源を再投入するまで制御手段13がモータ12を回転させないと、上記のような回転清掃体11の回転負荷が所定以上となる被掃除面Fを掃除する際に、使用者が何度も電源を再投入する必要が生じ得る。そこで、本実施形態では、制御手段13が、モータ12の駆動電力を0とした状態で、回転清掃体11の回転に伴うモータ12の回転により生じる所定電力以上の逆起電力を検出するとモータ12を再起動させる。
【0221】
つまり、回転清掃体11の回転負荷が所定以上となる被掃除面F上で清掃具1を前後させると、回転清掃体11が回転することによりモータ12が回転されてモータ12が発電機として駆動する。本実施形態では、モータ12の発電により所定電力以上の起電力が生じた場合に、モータ12を再起動させる。すなわち、モータ12を強制的に停止させた状態であっても、使用者が清掃具1を被掃除面F上で前後に移動させる操作に伴い回転清掃体11を介してモータ12を回転させると、制御手段13がモータ12を自動的に再起動させる。
【0222】
制御手段13は、モータ12を強制的に停止させたことを記憶する機能を有する。又、制御手段13は、回転清掃体11の回転に伴い回転したモータ12の発電に起因する起電力、すなわち起電圧又は起電流を測定する機能を有する。
【0223】
そして、制御手段13は、モータ12が過負荷により強制的に停止された場合、モータ12の起電力を検出し、その実効値が一定時間に亘り継続的に所定電力を上回り続けたときに、制御手段13は、モータ12を再起動させる。より具体的に、制御手段13は、以下の(a)~(f)のいずれかの条件を満たしたときに、モータ12を再起動させる。
【0224】
(a) 検出した起電圧が、直流、かつ、所定の電圧閾値V_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(b) 検出した起電圧が、直流、かつ、所定の電圧閾値-V_BC31を一定時間に亘り下回り続ける場合。
(c) 検出した起電圧が、交流、かつ、その平滑した絶対値が所定の電圧閾値V_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(d) 検出した起電流が、直流、かつ、所定の電流閾値I_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(e) 検出した起電流が、直流、かつ、所定の電流閾値-I_BC31を一定時間に亘り下回り続ける場合。
(f) 検出した起電流が、交流、かつ、その平滑した絶対値が所定の電流閾値I_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
【0225】
図19及び図20のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。
【0226】
図19に示すように、ステップS85において、制御手段13は、モータ12が強制的に停止されたか否かを判断する。ステップS85において、モータ12が強制的に停止されていないと判断された場合、つまりステップS85のNOの場合、リターンする。一方、ステップS85において、モータ12が強制的に停止されたと判断された場合、つまりステップS85のYESの場合、制御手段13は、ステップS86のモータ再起動制御を実施する。
【0227】
図20にモータ再起動制御の具体例を示す。なお、図20においては、モータ12の回転に伴う直流の起電流に基づく制御を示すが、直流の起電圧に基づく制御については、起電流に基づく制御と閾値が異なるのみであるから、同様の処理が可能であるため、説明を省略する。又、モータ12の回転に伴う交流の起電流、あるいは起電圧に基づく制御については、以下のステップS88の処理は不要となる。
【0228】
ステップS87において、制御手段13は、起電流の実効値Iv(t)が電流閾値I_BC31を一定時間T_BC31に亘り上回り続けたか否かを判断する。
【0229】
ステップS87において、起電流の実効値が電流閾値を一定時間に亘り上回り続けていない、すなわち起電流の実効値が電流閾値を上回る時間が一定時間以下である、又は、起電流の実効値が電流閾値を上回っていないと判断した場合、つまりステップS87のNOの場合、ステップS88において、制御手段13は、起電流の実効値Iv(t)がマイナスの電流閾値-I_BC31を一定時間T_BC31に亘り下回り続けたか否かを判断する。
【0230】
ステップS88において、起電流の実効値がマイナスの所定の電流閾値を一定時間に亘り下回り続けたと判断した場合、つまりステップS88のYESの場合、ステップS89において、制御手段13は、モータ12を再起動させ、制御を終了する。モータ12を再起動させる場合、制御手段13は、好ましくはモータ12の駆動電力を第一駆動電力以下とする。本実施形態では、モータ12を再起動させる際、制御手段13は、モータ12を駆動電力「小」で起動させる。つまり、制御手段13は、PWM信号のデューティ比DCを駆動電力「小」に対応するデューティ比DC_Loに設定する。必要に応じて、ステップS88の処理の後、制御手段13は一定時間待機する。
【0231】
一方、ステップS88において、起電流の実効値がマイナスの電流閾値を一定時間に亘り下回り続けていない、すなわち起電流の実効値がマイナスの電流閾値を下回る時間が一定時間以下である、又は、起電流の実効値がマイナスの電流閾値を下回っていないと判断した場合、つまりステップS88のNOの場合、モータ12を再起動させることなく制御を終了する。
【0232】
又、ステップS87において、起電流の実効値が電流閾値を一定時間に亘り上回り続けたと判断した場合、つまりステップS87のYESの場合、ステップS89に進む。
【0233】
このように、制御手段13が、モータ12の駆動電力を0とした状態で、回転清掃体11の回転に伴うモータ12の回転により生じる所定電力以上の逆起電力を検出するとモータ12を再起動させることで、特に回転清掃体11がロックしやすい、毛の深い絨毯等の被掃除面Fを掃除する際に、使用者が清掃具1を被掃除面F上で移動させる掃除動作をすることによりモータ12及び回転清掃体11を再起動させることが可能となる。
【0234】
(第14の実施形態)
次に、第14の実施形態について図21を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0235】
本実施形態の制御手段13は、モータ12の駆動電力を0とした状態で、回転清掃体11の回転に伴うモータ12の回転により生じる所定電力以上の逆起電力を所定時間以内に複数回検出するとモータ12を再起動させる。
【0236】
より具体的に、制御手段13は、第13の実施形態の(a)~(f)のいずれかの条件を満たし、かつ、その後所定時間以内に、これら(a)~(f)に対応する以下の(a')~(f')を満たしたときに、モータ12を再起動させる。つまり、制御手段13は、(a)かつ(a')、又は、(b)かつ(b')、又は、(c)かつ(c')、又は、(d)かつ(d')、又は、(e)かつ(e')、又は、(f)かつ(f')のいずれかの場合に、モータ12を再起動させる。
【0237】
(a') 検出した起電圧が、直流、かつ、所定の電圧閾値-V_BC31を一定時間に亘り下回り続ける場合。
(b') 検出した起電圧が、直流、かつ、所定の電圧閾値V_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(c') 検出した起電圧が、交流、かつ、その平滑した絶対値が所定の電圧閾値V_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(d') 検出した起電流が、直流、かつ、所定の電流閾値-I_BC31を一定時間に亘り下回り続ける場合。
(e') 検出した起電流が、直流、かつ、所定の電流閾値I_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
(f') 検出した起電流が、交流、かつ、その平滑した絶対値が所定の電流閾値I_BC31を一定時間に亘り上回り続ける場合。
【0238】
図21のフローチャートを参照して、本実施形態の制御手段13によるモータ12の制御の具体例を示す。なお、第13の実施形態と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0239】
図21に示すように、制御手段13は、逆起電力検出時刻である逆起電流検出時刻tv0、及び、最初に検出した逆起電力の正負を示す逆起電力正負フラグivnを変数として用いる。本実施形態において、逆起電力正負フラグivnは、最初に正の逆起電力を検出したことが1、最初に負の逆起電力を検出したことが0、にそれぞれ対応する。又、図21に示す例では、回転清掃体11の回転に伴うモータ12の回転により生じる所定電力以上の逆起電力を所定時間以内に正負1回ずつ検出したときにモータ12を再起動させる。さらに、第13の実施形態と同様に、モータ12の回転に伴う直流の起電流に基づく制御を示すが、直流の起電圧に基づく制御については、起電流に基づく制御と閾値が異なるのみであるから、同様の処理が可能であるため、説明を省略する。又、モータ12の回転に伴う交流の起電流、あるいは起電圧に基づく制御については、以下のステップS88,S95,S97の処理、及び、逆起電力正負フラグivnはそれぞれ不要となる。
【0240】
具体的に、ステップS90において、制御手段13は、逆起電流検出時刻tv0が0であるか否か、すなわち逆起電流を検出していないか否かを判断する。
【0241】
ステップS90において、逆起電流検出時刻が0である、すなわち逆起電流を検出していないと判断した場合、つまりステップS90のYESの場合、制御手段13は、ステップS87に進む。又、ステップS87のYESの場合、ステップS91において、制御手段13は、現時刻tを逆起電流検出時刻tv0として記憶するとともに、逆起電力正負フラグivnを1に設定し、リターンする。つまり、制御手段13は、最初に検出した逆起電流が正であることを記憶する。
【0242】
又、ステップS88のYESの場合、ステップS92において、制御手段13は、現時刻tを逆起電流検出時刻tv0として記憶するとともに、逆起電力正負フラグivnを0に設定し、リターンする。つまり、制御手段13は、最初に検出した逆起電流が負であることを記憶する。ステップS88のNOの場合、そのままリターンする。
【0243】
又、ステップS90において、逆起電流検出時刻が0でない、すなわち逆起電流を1回検出したと判断した場合、つまりステップS90のNOの場合、ステップS93において、制御手段13は、現時刻tが、逆起電流検出時刻tv0から再起動待機上限時間である所定時間T_BC31limが経過したか否かを判断する。
【0244】
ステップS93において、現時刻が、逆起電流検出時刻から所定時間が経過したと判断した場合、つまりステップS93のYESの場合、ステップS94において、制御手段13は、逆起電流検出時刻tv0を0にリセットし、リターンする。つまり、制御手段13は、正の逆起電力を検出したことをリセットする。
【0245】
一方、ステップS93において、現時刻が、逆起電流検出時刻から所定時間が経過していないと判断した場合、つまりステップS93のNOの場合、ステップS95において、制御手段13は、逆起電力正負フラグivnが0であるか、すなわち最初に検出した逆起電流の正負を判断する。
【0246】
ステップS95において、逆起電力正負フラグが0である、すなわち最初に検出した逆起電流が負であると判断した場合、つまりステップS95のYESの場合、制御手段13は、ステップS87と同様のステップS96の処理を実施する。又、ステップS95において、逆起電力正負フラグが0でない、すなわち最初に検出した逆起電流が正であると判断した場合、つまりステップS95のNOの場合、制御手段13は、ステップS88と同様のステップS97の処理を実施する。
【0247】
そして、ステップS96,S97のいずれかがYESの場合、ステップS98において、制御手段13は、逆起電流検出時刻tv0を0にリセットし、ステップS89の処理によりモータ12を再起動させ、リターンする。
【0248】
一方、ステップS96,S97がそれぞれNOの場合、それぞれリターンする。
【0249】
このように、制御手段13が、モータ12の駆動電力を0とした状態で、回転清掃体11の回転に伴うモータ12の回転により生じる所定電力以上の逆起電力を所定時間以内に複数回検出するとモータ12を再起動させることで、特に回転清掃体11がロックしやすい、毛の深い絨毯等の被掃除面Fを掃除する際に、使用者が清掃具1を被掃除面F上で移動させる掃除動作をすることによりモータ12及び回転清掃体11を再起動させることが可能となる。
【0250】
特に、本実施形態では、使用者が清掃具1を少なくとも前進及び後進させて初めて制御手段13がモータ12を再起動可能となるため、意図しない状況でモータ12及び回転清掃体11が再起動することを抑制できる。
【0251】
なお、上記各実施形態において、清掃具1は、電動送風機3の駆動により生じた負圧を利用して集塵口100から塵埃を分離部4へと吸い込むものに限らず、回転清掃体11の回転力によって掻き上げた塵埃を分離部に送り込むものでもよい。
【0252】
又、上記の各実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせてよい。
【0253】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0254】
1 清掃具
11 回転清掃体
12 モータ
13 制御手段
15 遮蔽物
100 集塵口
F 被掃除面
VC 電気掃除機
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