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特許7587415気体排出装置、気体排出方法、および洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-12
(45)【発行日】2024-11-20
(54)【発明の名称】気体排出装置、気体排出方法、および洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20241113BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20241113BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20241113BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20241113BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241113BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20241113BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B01D19/00 H
B01D29/00 A
B01D29/10 510C
B08B3/02 D
B08B9/032 321
H05K13/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020216233
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101875
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和馬
(72)【発明者】
【氏名】下坂 賢司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉人
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-028323(JP,A)
【文献】特開2006-204988(JP,A)
【文献】特開2003-210912(JP,A)
【文献】実公昭46-033032(JP,Y1)
【文献】実開昭59-184908(JP,U)
【文献】特開2020-081913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
B01D 24/00-37/04
B08B 1/00-13/00
H05K 13/00-13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に配設され、液体から不純物を除去する除去膜と、
前記ケースの下方に備えられる液体排出口を塞ぐ蓋部材と、
前記ケースの上方に備えられる気体排出口に連結され、前記ケースの内部から気体を排出する気体排出弁と、
を備え
タンクに貯留された液体が前記ケースの内部に投入されるように構成されており、
前記気体排出弁が、前記タンクの上限液位より上方に配設される気体排出装置。
【請求項2】
前記ケースの内部に液体が投入された後に、前記気体排出弁が自動で開弁し、前記ケースの内部から液体を排出するためのポンプが作動する請求項1に記載の気体排出装置。
【請求項3】
前記気体排出口は前記タンクの上限液位より下方に位置しているが、
前記気体排出弁が、前記気体排出口から上方に向って延び出す配管を介して前記気体排出口に連結されることで、前記気体排出弁が、前記タンクの上限液位より上方に配設される請求項1または請求項2に記載の気体排出装置。
【請求項4】
ケースの内部に配設され液体から不純物を除去する除去膜と、前記ケースの下方に備えられる液体排出口を塞ぐ蓋部材と、前記ケースの上方に備えられる気体排出口に連結され前記ケースの内部から気体を排出する気体排出弁と、を備える気体排出装置の前記ケースの内部から気体を排出する気体排出方法であって、
前記ケースの内部にタンクに貯留された液体を投入する液体投入工程と、
前記液体投入工程において前記ケースの内部に液体が投入された後に、前記タンクの上限液位より上方に配設された前記気体排出弁を自動で開弁する開弁工程と、
前記開弁工程において前記気体排出弁が自動で開弁した後に、前記ケースの内部から液体を排出するためのポンプが作動するポンプ作動工程と、
を含む気体排出方法。
【請求項5】
ケースの内部に配設され、液体から不純物を除去する除去膜と、前記ケースの下方に備えられる液体排出口を塞ぐ蓋部材と、前記ケースの上方に備えられる気体排出口に連結され、前記ケースの内部から気体を排出する気体排出弁と、を有する気体排出装置と、
前記ケースの内部の液体を投入するためのタンクと、
を備え、
前記気体排出弁が、前記タンクの上限液位より上方に配設されており、
前記気体排出装置により不純物が除去された液体を用いて保持具を洗浄する洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体から不純物を除去する除去膜を備えた気体排出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、液体から不純物を除去する除去膜により濾過された水を用いて洗浄を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-074560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除去膜を有する装置の内部に気体が混入すると装置を適切に使用することができない虞がある。そこで、本明細書は、除去膜を有する装置の内部から気体を適切に排出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、ケースの内部に配設され、液体から不純物を除去する除去膜と、前記ケースの下方に備えられる液体排出口を塞ぐ蓋部材と、前記ケースの上方に備えられる気体排出口に連結され、前記ケースの内部から気体を排出する気体排出弁と、を備え、タンクに貯留された液体が前記ケースの内部に投入されるように構成されており、前記気体排出弁が、前記タンクの上限液位より上方に配設される気体排出装置を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、気体排出弁によりケースの内部から気体を適切に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電子部品装着装置を示す斜視図である。
図2】吸着ノズルを示す斜視図である。
図3】ノズル管理装置の外観を示す斜視図である。
図4】ノズル管理装置の内部構造を示す斜視図である。
図5】洗浄・乾燥機構を示す概略図である。
図6】下部洗浄ヘッドを示す斜視図である。
図7】洗浄・乾燥機構を示す概略図である。
図8】ノズル管理装置の備える制御装置を示すブロック図である。
図9】メーカー推奨姿勢で配設された二次フィルタを示す断面図である。
図10】メーカー推奨姿勢で配設された二次フィルタを含む洗浄・乾燥機構を示す概略図である。
図11】メーカー推奨姿勢で配設された二次フィルタを含む洗浄・乾燥機構を示す概略図である。
図12】反転姿勢で配設された二次フィルタを示す断面図である。
図13】作業手順フローを示す図である。
図14】作業手順フローを示す図である。
図15】従来の二次フィルタを示す図である。
図16】本発明の二次フィルタを示す図である。
図17】作業手順フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
図1に、電子部品装着装置10を示す。先ず、電子部品装着装置10の構成について説明する。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に隣接された2台の電子部品装着機(以下、装着機と略す場合がある)14とを有している。なお、装着機14の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0010】
各装着機14は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、移動装置と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28、ノズルステーション30を備えている。装着機本体20は、フレーム32と、そのフレーム32に上架されたビーム34とによって構成されている。
【0011】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム32に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図示省略)によって保持される。
【0012】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータの作動によって、フレーム32上の任意の位置に移動させられる。
【0013】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26の下端面には、吸着ノズル60が設けられている。吸着ノズル60は、図2に示すように、胴体筒64とフランジ部66と吸着管68と掛止ピン70とによって構成されている。胴体筒64は、円筒状をなし、フランジ部66は、胴体筒64の外周面に張り出すようにして固定されている。吸着管68は、細いパイプ状をなし、胴体筒64の下端部から下方に向かって延び出した状態で、胴体筒64に軸線方向に移動可能に保持されている。掛止ピン70は、胴体筒64の径方向に延びるように、胴体筒64の上端部に設けられている。吸着ノズル60は、掛止ピン70を利用して、装着ヘッド26にワンタッチで着脱可能に取り付けられる。また、装着ヘッド26には、バネ(図示省略)が内蔵されており、そのバネは、装着ヘッド26に取り付けられる吸着ノズル60の吸着管68に、弾性力を付与する。これにより、その吸着管68は、装着ヘッド26に内蔵されたバネの弾性力によって、胴体筒64の下端部から下方に延び出す方向に付勢されている。また、フランジ部66の上面には、2Dコード74が付されている。2Dコード74には、個別情報として、吸着ノズル60のID(identification)等が示されている。なお、2Dコード74に代えて、バーコード又はRFタグがフランジ部66の上面に付されてもよい。但し、RFタグがフランジ部66の上面に付される場合には、RFタグから個別情報を取得するためのリーダが、後述するノズル管理装置(図3参照)80の移載ヘッド(図4参照)120に取り付けられる。
【0014】
また、吸着ノズル60は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図示省略)に通じている。吸着ノズル60は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド26は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図示省略)を有している。そのノズル昇降装置によって、装着ヘッド2
6は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。
【0015】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、図1に示すように、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ72は、送り装置(図示省略)によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
【0016】
ノズルステーション30は、ノズルトレイ76を有している。ノズルトレイ76には、複数の吸着ノズル60が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド26に取り付けられている吸着ノズル60と、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60との交換等が、必要に応じて行われる。また、ノズルトレイ76は、ノズルステーション30に着脱可能であり、ノズルトレイ76に収容された吸着ノズル60の回収や、ノズルトレイ76への吸着ノズル60の補給等を装着機14の外部において行うことが可能である。
【0017】
次に、装着機14による装着作業について説明する。装着機14では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能である。具体的には、装着機14の制御装置(図示省略)の指令により、回路基板が、作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置によって保持される。また、テープフィーダ72は、制御装置の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル60によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、回路基板の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板上に装着する。
【0018】
装着機14では、上述したように、テープフィーダ72によって供給された電子部品を、吸着ノズル60によって吸着保持し、その電子部品が回路基板上に装着される。このため、吸着ノズル60に不具合が生じている場合には、装着作業を適切に行うことができない虞があるため、吸着ノズル60を適切に管理する必要がある。そこで、以下に説明するノズル管理装置により、吸着ノズル60の管理が行われる。
【0019】
次に、ノズル管理装置の構成について説明する。ノズル管理装置80は、図3に示すように、概して直方体形状をなしており、正面に、ノズルトレイ76をノズル管理装置80内に収納、若しくは、ノズル管理装置80からノズルトレイ76を取り出すための扉82が設けられている。その扉82の上方には、各種情報を表示し、各操作が行われるタッチパネル86等が配設されている。
【0020】
ノズル管理装置80は、図4に示すように、管理装置本体90、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル検査装置96、ノズル洗浄装置98、ノズル乾燥装置100を有している。なお、図4は、ノズル管理装置80の外殻部材を取り外した状態を示す斜視図であり、ノズル管理装置80の内部構造を示している。また、ノズル管理装置80には、制御装置200が接続されている。なお、制御装置200の詳細な説明は、後述する。
【0021】
管理装置本体90は、フレーム102と、そのフレーム102に上架されたビーム104とによって構成されている。フレーム102は、中空構造とされており、フレーム102内にパレット収容装置92が配設され、パレット収容装置92の上端部が、フレーム102の上面に露出している。
【0022】
パレット収容装置92は、複数のパレット載置棚106と、支持アーム108とを含む。パレット載置棚106は、ノズルパレット110を載置するための棚であり、複数のパレット載置棚106が、フレーム102の内部において、上下方向に並んで配設されている。なお、ノズルパレット110には、複数の吸着ノズル60が収容される。また、支持アーム108は、アーム移動装置(図示省略)の作動により、複数のパレット載置棚106の前方において、上下方向に移動するとともに、パレット載置棚106に接近・離間する。これにより、パレット載置棚106へのノズルパレット110の収納、パレット載置棚106からのノズルパレット110の取出しが、支持アーム108によって行われる。なお、パレット載置棚106から取り出されたノズルパレット110は、支持アーム108が上方に移動することで、フレーム102の上面側に移動する。
【0023】
ノズル移載装置94は、ノズルトレイ76とノズルパレット110との間で吸着ノズル60を移載するための装置であり、ビーム104に配設されている。ノズル移載装置94は、移載ヘッド120とヘッド移動装置122とを有している。移載ヘッド120の下端面には、下方を向いた状態のカメラ126と、吸着ノズル60を保持するための保持チャック128と、エア供給装置130とが取り付けられている。
【0024】
保持チャック128は、2本の保持爪(図示省略)を有しており、それら2本の保持爪を接近させることで、吸着ノズル60を胴体筒64において保持し、2本の保持爪を離間させることで、保持した吸着ノズル60を離脱する。また、ヘッド移動装置122は、移載ヘッド120をフレーム102の上において前後方向、左右方向、上下方向に移動させるXYZ型の移動装置である。なお、フレーム102の前方側の上面には、ノズルトレイ76をセットするための固定ステージ131が設けられており、固定ステージ131にセットされたノズルトレイ76と、パレット収容装置92の支持アーム108に支持されたノズルパレット110との間で、吸着ノズル60が移載される。
【0025】
ノズル検査装置96は、カメラ140とロードセル142とジョイント146とを有している。カメラ140は、上方を向いた状態でフレーム102の上面に配設されており、カメラ140を用いて、吸着ノズル60の先端部が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、下方からカメラ140によって撮像される。これにより、吸着ノズル60の先端部の撮像データが得られ、その撮像データに基づいて、吸着ノズル60の先端部の状態が検査される。
【0026】
また、ロードセル142は、カメラ140の隣に配設されており、ロードセル142を用いて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル60の先端部がロードセル142に当接される。吸着ノズル60の先端部は、上述したように、伸縮可能とされており、ロードセル142により測定された荷重に基づいて、吸着ノズル60の先端部の伸縮状態が検査される。
【0027】
また、ジョイント146は、エア供給装置130の下面に配設され、そのエア供給装置130からエアが供給される。そして、エア供給装置130からジョイント146に供給されるエアを用いて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。詳しくは、ジョイント146が、ヘッド移動装置122の作動により、後述する洗浄パレット158に載置された吸着ノズル60の上方に移動する。そして、ジョイント146が、検査対象の吸着ノズル60に接続され、エア供給装置130からエアが供給される。この際にエア圧が測定され、そのエア圧に基づいて、吸着ノズル60のエア流量検査が行われる。
【0028】
なお、フレーム102の上面には、複数の廃棄ボックス148が配設されており、上記
検査により不良ノズルと判定された吸着ノズル60は、廃棄ボックス148に廃棄される。また、上記検査により正常なノズルと判定された吸着ノズル60は、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻される。
【0029】
ノズル洗浄装置98は、吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う装置であり、パレット収容装置92の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98は、洗浄・乾燥機構150と洗浄パレット移動機構152とを備えている。洗浄・乾燥機構150は、内部において吸着ノズル60の洗浄および乾燥を行う機構である。洗浄パレット移動機構152は、洗浄パレット158が露出する露出位置(図3で洗浄パレット158が図示されている位置)と、洗浄・乾燥機構150の内部との間で、洗浄パレット158を移動させる機構である。
【0030】
ノズル洗浄装置98により、吸着ノズル60の洗浄が行われる際には、洗浄対象の吸着ノズル60が、ノズル移載装置94によって、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110から、露出位置に移動している洗浄パレット158に移載される。そして、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部に移動する。洗浄・乾燥機構150は、図5に示すように、上部洗浄ユニット170と下部洗浄ユニット172とハウジング174と循環装置176とを含む。
【0031】
上部洗浄ユニット170と下部洗浄ユニット172とは、ハウジング174内の上下方向において、互いに向かい合うように配置されている。そして、上部洗浄ユニット170と下部洗浄ユニット172との間を、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により移動する。上部洗浄ユニット170は、上部洗浄ヘッド178を有しており、上部洗浄ユニット170の下面において、上部洗浄ヘッド178をスライド可能に保持している。なお、上部洗浄ヘッド178の下面には、複数の噴射穴(図示省略)が形成されている。また、下部洗浄ユニット172は、下部洗浄ヘッド180を有しており、下部洗浄ユニット172の上面において、下部洗浄ヘッド180をスライド可能に保持している。なお、下部洗浄ヘッド180の上面には、図6に示すように、複数の噴射穴181が形成されている。
【0032】
また、ハウジング174の底面は、貯水タンク182として機能しており、ハウジング174の底面に貯留された洗浄水が、循環装置176によって循環され、上部洗浄ユニット170と下部洗浄ユニット172の各洗浄ヘッド178,180に供給される。詳しくは、循環装置176は、図7に示すように、排水路184と一次フィルタ186と連結路187と二次フィルタ188と加圧ポンプ190と洗浄ヘッドバルブ191と給水路192とを含む。ハウジング174の貯水タンク182には、洗浄水が貯留されており、その貯水タンク182の底面に近い側壁に、排水路184の一端が開口している。排水路184は、概して水平方向に向かって延び出しており、排水路184の他端に一次フィルタ186が配設されている。これにより、貯水タンク182に貯留されている洗浄水が、自然落下して排水路184に流れ込み、一次フィルタ186によって、不純物が取り除かれる。
【0033】
その一次フィルタ186の下流側には、連結路187の一端が連結されており、連結路187は、斜め下方に向かって延び出している。そして、連結路187の他端に二次フィルタ188が配設されている。これにより、一次フィルタ186から排出された洗浄水が、自然落下して連結路187に流れ込み、二次フィルタ188によって、再度、不純物が取り除かれる。そして、二次フィルタ188の下流側に、加圧ポンプ190が配設されており、その加圧ポンプ190には、洗浄ヘッドバルブ191を介して、給水路192が接続されている。このため、二次フィルタ188から洗浄水が加圧ポンプ190に流れ込み、加圧ポンプ190によって加圧された洗浄水が、洗浄ヘッドバルブ191を介して、給水路192に送り出される。その給水路192は、上部洗浄ユニット170と下部洗浄ユ
ニット172とに接続されており、各洗浄ヘッド178,180から洗浄水が洗浄パレット158に向かって噴出される。なお、各洗浄ヘッド178,180から洗浄水が噴出される際には、各洗浄ヘッド178,180は、電磁モータ(図8参照)196の作動によりスライドする。これにより、洗浄パレット158に載置されている複数の吸着ノズル60が洗浄される。
【0034】
また、図5に示すように、下部洗浄ユニット172と貯水タンク182との間には、仕切板198が配設されている。仕切板198は、傾斜した状態で配設されている。このため、各洗浄ヘッド178,180から噴出された洗浄水は、仕切板198の上に落ちる。そして、洗浄水は、傾斜した状態で配設された仕切板198の上を流れ、貯水タンク182に再貯留される。このように、洗浄・乾燥機構150では、洗浄水の循環が行われている。
【0035】
また、洗浄・乾燥機構150には、上部洗浄ユニット170および、下部洗浄ユニット172の隣に、複数の送風管(図示省略)が配設されている。複数の送風管は、洗浄パレット移動機構152により移動される洗浄パレット158の上方及び下方に配設されている。これにより、各洗浄ユニット170,172によって洗浄された洗浄パレット158に向かって風が吹きこまれ、洗浄パレット158に載置されている吸着ノズル60が乾燥する。
【0036】
ノズル乾燥装置100は、吸着ノズル60の乾燥を行う装置であり、図1に示すように、露出位置に位置する洗浄パレット158の隣に配設されている。ノズル洗浄装置98では、乾燥も行われるが、吸着ノズル60の内部に水分が残存する場合がある。特に、吸着ノズル60では、胴体筒64と吸着管68とが摺動するため、胴体筒64と吸着管68との摺動面に、水分が残存する場合がある。このため、ノズル乾燥装置100には、上面に開口する乾燥庫(図示省略)が形成されており、洗浄の完了した吸着ノズル60が保持チャック128によって保持され、その吸着ノズル60が乾燥庫に挿入される。乾燥庫160の内部には、エアブロー装置(図8参照)199が配設されており、乾燥庫に挿入された吸着ノズル60に、エアブロー装置199によりエアが吹き付けられる。これにより、胴体筒64と吸着管68との摺動面の水分を除去し、吸着ノズル60を適切に乾燥することができる。
【0037】
また、制御装置200は、図8に示すように、コントローラ202と、複数の駆動回路206とを備えている。複数の駆動回路206は、パレット収容装置92、エア供給装置130、ノズル検査装置96、加圧ポンプ190、洗浄ヘッドバルブ191、電磁モータ196、エアブロー装置199に接続されている。コントローラ202は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路206に接続されている。これにより、パレット収容装置92、ノズル移載装置94等の作動が、コントローラ202によって制御される。
【0038】
ノズル管理装置80では、上述した構成によって、吸着ノズル60を適切に管理するべく、吸着ノズル60の洗浄などが行われる。詳しくは、作業者は、洗浄対象の吸着ノズル60が収容されているノズルトレイ76を、ノズル管理装置80の固定ステージ131に載置する。ノズル管理装置80では、固定ステージ131にノズルトレイ76が載置されると、載置されたノズルトレイ76の上方に、カメラ126が、ヘッド移動装置122の作動により移動し、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60を撮像する。この際、コントローラ202は、その撮像により得られた撮像データに基づいて、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60のIDを取得する。そして、コントローラ202は、取得した吸着ノズル60のIDを利用して、ノズル管理装置80において吸着ノズル60を管理する。
【0039】
そして、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60の撮像により、吸着ノズル60のIDが取得されると、ノズルトレイ76に収容されている吸着ノズル60が、ノズル移載装置94によって、ノズル洗浄装置98の洗浄パレット158に移載される。この際、洗浄パレット158は、洗浄パレット移動機構152の作動により、露出位置に移動している。そして、洗浄パレット158への吸着ノズル60の移載が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、洗浄・乾燥機構150の内部に移動し、吸着ノズル60の洗浄および乾燥が行われる。洗浄・乾燥機構150による吸着ノズル60の洗浄および乾燥が完了すると、洗浄パレット158が、洗浄パレット移動機構152の作動により、露出位置に移動される。この際、洗浄パレット158に収容されている吸着ノズル60が保持チャック128により保持されて、ノズル乾燥装置100において更に乾燥される。そして、保持チャック128に保持された吸着ノズル60が、ノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻される。
【0040】
このように、ノズル管理装置80では、ノズル洗浄装置98において洗浄された吸着ノズル60がノズルトレイ76若しくは、ノズルパレット110に戻されて、パレット収容装置92において保管、若しくは、電子部品装着装置10において部品の装着作業に用いられる。なお、ノズル洗浄装置98では、吸着ノズル60の洗浄の前準備として、洗浄・乾燥機構150の貯水タンク182に洗浄水が貯留されて、その洗浄水を循環装置176により循環させる必要がある。しかしながら、上述した循環装置176では、二次フィルタ188が本来の配設姿勢と異なる姿勢で配設されているために、洗浄水を適切に循環させることができない虞がある。
【0041】
詳しくは、二次フィルタ188は、図9に示すように、ケース210と除去膜212とにより構成されている。ケース210は、概して円柱形状とされており、ケース210の内部は空洞とされている。また、除去膜212は、概して円筒形状とされており、除去膜212の外径は、ケース210の内径の半分程度とされている。そして、除去膜212がケース210の内部に同軸的に配設されている。これにより、ケース210の内部が、ケース210の内壁面と除去膜212の外壁面とに囲まれる第1区画室216と、除去膜212の内壁面に囲まれる第2区画室218とに区画される。
【0042】
また、ケース210の一方の端面には、第2区画室218に連通し、第2区画室218から気体を排出するための気体排出穴220が形成されており、その気体排出穴220にはネジ222が嵌め込まれている。なお、作業者がネジ222を締めることで、気体排出穴220が密閉され、作業者がネジ222を緩めて取り外すことで、気体排出穴220が開放する。また、ケース210の他方の端面には、第2区画室218に連通し、第2区画室218から液体を排出するための液体排出穴226が形成されており、その液体排出穴226にはネジ228が嵌め込まれている。なお、作業者がネジ228を締めることで、液体排出穴226が密閉され、作業者がネジ228を緩めて取り外すことで、液体排出穴226が開放する。
【0043】
また、ケース210の壁面には、液体排出穴226が形成されているケース210の端面に近い箇所において第1区画室216に連通する流入穴230と、液体排出穴226が形成されているケース210の端面に近い箇所において第2区画室218に連通する流出穴232とが形成されている。このため、流入穴230から液体をハウジング内に流入させることで、第1区画室216に液体が貯まる(矢印234)。そして、第1区画室216に貯まった液体が除去膜212を介して第2区画室218に流入する(矢印236)。この際、除去膜212によって不純物が取り除かれる。そして、第2区画室218に流入した液体が流出穴232から二次フィルタ188の外部に流出する(矢印238)。なお、二次フィルタ188の使用時において、通常、ネジ222,228は締められており、
気体排出穴220及び液体排出穴226は密閉されている。
【0044】
このような構造の二次フィルタ188は、本来、図9に示すように、気体排出穴220が下方を向くとともに、液体排出穴226が上方を向く姿勢で配設される。つまり、二次フィルタ188のメーカーは、気体排出穴220が下方を向くとともに、液体排出穴226が上方を向く姿勢で二次フィルタ188を配設するように推奨している。そして、二次フィルタ188が図9に示す姿勢(以下、「メーカー推奨姿勢」と記載する)で配設された場合には、作業者がネジ222を緩めて気体排出穴220から取り外すことで、第2区画室218から液体を排出することができる。また、作業者がネジ228を緩めて液体排出穴226から取り外すことで、第2区画室218から気体を排出することができる。
【0045】
しかしながら、図7での二次フィルタ188の配設位置にメーカー推奨姿勢で二次フィルタ188を配置すると、図10に示すように、一次フィルタ186と二次フィルタ188の流入穴230とが略同じ高さとなり、一次フィルタ186から二次フィルタ188に洗浄水が自然落下しない。そこで、一次フィルタ186から二次フィルタ188に洗浄水を自然落下させるために、図11に示すように、二次フィルタ188の流入穴230が一次フィルタ186より下方に位置するように、二次フィルタ188をメーカー推奨姿勢で配設する必要がある。つまり、二次フィルタ188が従来、配設されていた位置(図7での二次フィルタ188の配設位置)より、下方に二次フィルタ188を配設する必要がある。しかし、ノズル管理装置80の内部には余剰スペースが少ないため、図11に示すように、二次フィルタ188の流入穴230が一次フィルタ186より下方に位置するように、二次フィルタ188をメーカー推奨姿勢で配置することはできない。
【0046】
このようなことに鑑みて、循環装置176では、図7に示すように、メーカー推奨姿勢を上下方向に反転させた姿勢(以下、「反転姿勢」と記載する)で二次フィルタ188が配設されており、二次フィルタ188の流入穴230を一次フィルタ186より下方に位置させている。つまり、循環装置176では、図12に示すように、気体排出穴220が上方を向くとともに、液体排出穴226が下方を向く反転姿勢で配設される。このように、二次フィルタ188を反転姿勢で配設することで、余剰スペースの少ないノズル管理装置80の内部において、二次フィルタ188の流入穴230が一次フィルタ186より下方に位置するように、二次フィルタ188を配設することができる。
【0047】
しかしながら、二次フィルタ188を反転姿勢で配設すると、液体排出穴226が下方を向くため、循環装置176で洗浄水を循環させている際に、液体排出穴226から気体を排出することができない。つまり、循環装置176で洗浄水を循環させている際に、二次フィルタ188の内部には洗浄水が入っているため、二次フィルタ188のケース210の下端面に開口する液体排出穴226から気体を排出することができない。このため、二次フィルタ188の貯水タンク182に新規に洗浄水が投入される際,貯水タンク182の洗浄水が交換される際に、洗浄水を適切に循環させることができない虞がある。
【0048】
詳しくは、図13に示す作業手順フローを用いて説明する。まず、作業者は、ノズル管理装置80の内部に配置されている循環装置176を目視することができるように、ノズル管理装置80のサイドカバーを取り外す(S10)。また、ノズル管理装置80の壁面には、給水口(図7参照)250が形成されており、その給水口250は給水路(図7参照)252を経由して、貯水タンク182に接続されている。このため、作業者が給水口250に水を投入する(S12)。これにより、洗浄水が貯水タンク182に貯まり、貯水タンク182から、一次フィルタ186を経由して、洗浄水が二次フィルタ188に自然落下する。そして、二次フィルタ188の流出穴232から洗浄水が流出し、加圧ポンプ190にまで至る。また、作業者は、給水口250に水を投入した後に、給水コマンドのスタートボタンを操作する(S14)。この操作により、洗浄ヘッドバルブ191がコ
ントローラ202からの指令により、つまり、自動で開弁し、加圧ポンプ190も自動で作動する(S16)。
【0049】
このように、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190が作動することで、加圧ポンプ190まで洗浄水が流れ込んでいる場合には、加圧ポンプ190により洗浄水が加圧される。そして、加圧された洗浄水が、開弁している洗浄ヘッドバルブ191を通って、給水路192を経由して、上部洗浄ユニット170及び下部洗浄ユニット172に流れる。このため、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190が作動してから所定時間経過後に、洗浄ヘッドバルブ191がコントローラ202からの指令により、つまり、自動で閉弁し、加圧ポンプ190が自動で停止する(S18)。そして、作業者が目視で循環装置176において洗浄水が循環しているか否かを判断する(S20)。この際、循環装置176において洗浄水が循環している場合(S20:YES)に、作業者はノズル管理装置80にサイドカバーを取り付ける(S22)。これにより、循環装置176において洗浄水が循環し、洗浄・乾燥機構150により吸着ノズル60の洗浄を行うことができる。
【0050】
一方で、貯水タンク182から、一次フィルタ186を経由して、二次フィルタ188に自然落下した洗浄水が、加圧ポンプ190にまで至っていない場合等には、所定時間、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190が作動しても洗浄水が循環装置176において循環しない場合がある(S20:NO)。このような場合には、作業者が、再度、給水コマンドのスタートボタンを操作し、S14~S20の処理が繰り返される。しかしながら、反転姿勢で配設された二次フィルタ188では、液体排出穴226から気体、つまり、エアを排出することができないため、二次フィルタ188の内部にエアが入り込んでいる場合には、S14~S20の処理が複数回、実行される場合がある。また、エアを含んだ洗浄水が加圧ポンプ190により加圧されて、洗浄ヘッドバルブ191及び給水路192を経由して各洗浄ユニット170,172まで流れ込んでも、図6に示すように、各洗浄ユニット170,172の噴射穴181は小さいため、エアを含んだ洗浄水が噴射穴から噴射され難い。このため、S14~S20の処理が複数回、実行される場合がある。
【0051】
このため、循環装置176では、反転姿勢で配設されている二次フィルタ188において、気体排出穴220からのエア抜き作業が作業者の手動により実行される。詳しくは、図14に示す作業手順フローを用いて説明する。まず、作業者は、ノズル管理装置80の内部に配置されている循環装置176を目視することができるように、ノズル管理装置80のサイドカバーを取り外し(S20)、給水口250に水を投入する(S22)。これにより、洗浄水が貯水タンク182に貯まり、貯水タンク182から、一次フィルタ186を経由して、洗浄水が二次フィルタ188に自然落下する。そして、作業者は、二次フィルタ188において気体排出穴220からのエア抜き作業を手動で行う(S34)。つまり、作業者は、二次フィルタ188のネジ222を緩めて気体排出穴220から取り外す。これにより、二次フィルタ188の内部に洗浄水が流れ込んでいる状態であっても、二次フィルタ188の内部からエアを抜くことができる。
【0052】
ただし、洗浄水が貯水タンク182から自然落下して、二次フィルタ188の内部の全体に洗浄水が流れ込むように、二次フィルタ188の全体が、貯水タンク182の上限水位より下方に位置するように、二次フィルタ188は配設されている。詳しくは、給水口250から貯水タンク182に投入された洗浄水は、貯水タンク182の所定の高さに至ると、排水路(図7参照)256から排出される。このため、貯水タンク182には、その所定の高さまでしか洗浄水を貯留することができず、その所定の高さが貯水タンク182での洗浄水の限界水位(図15参照)260となる。そして、貯水タンク182に貯まった洗浄水が、自然落下して、二次フィルタ188の内部の全体に洗浄水が流れ込むよう
に、図15に示すように、二次フィルタ188の全体が、貯水タンク182の上限水位260より下方に位置するように、二次フィルタ188は配設されている。つまり、二次フィルタ188の気体排出穴220は貯水タンク182の上限水位260より下方に位置している。
【0053】
このため、作業者が二次フィルタ188のネジ222を緩めて気体排出穴220から取り外した状態で、給水口250から貯水タンク182に水を投入し続けると、気体排出穴220から水が溢れ出てしまう。そこで、作業者は、貯水タンク182の貯留された洗浄水の水位を確認しながら、給水口250から貯水タンク182に水を投入する必要がある。詳しくは、洗浄・乾燥機構150には、貯水タンク182の貯留された洗浄水の水位を表す水位メータ(図7参照)258が設けられている。そして、その水位メータ258には、二次フィルタ188の気体排出穴220の上端の高さに相当する水位(以下、「排出穴上端水位」と記載する)(図15参照)266が記されている。このため、作業者は、水位メータ258を確認しながら、給水口250から貯水タンク182に水を投入する。つまり、作業者は、二次フィルタ188のネジ222を緩めて気体排出穴220から取り外した状態で、給水口250から所定量の水を投入し、水位メータ258を確認する。この際、水位メータ258が排出穴上端水位266まで至っていなければ、再度、作業者は、給水口250から所定量の水を投入する。そして、作業者は、再度、水位メータ258を確認する。このように、作業者が、給水口250からの所定量の水の投入と、水位メータ258の確認とを繰り返して実行し、水位メータ258が排出穴上端水位266の直前まで上昇したら、作業者は、ネジ222を気体排出穴220に嵌め込む。これにより、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が完了する。
【0054】
また、別の手法として、二人の作業者でエア抜き作業を行うこともできる。つまり、一人の作業者が給水口250から貯水タンク182に継続的に水を投入し、もう一人の作業者が、水位メータ258を確認する。そして、水位メータ258を確認している作業者が、水位メータ258が排出穴上端水位266まで上昇する直前に、その旨を、給水している作業者に伝える。これにより、作業者は給水を止めて、ネジ222を気体排出穴220に嵌め込む。これにより、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が完了する。
【0055】
また、別の手法として、気体排出穴220から洗浄水が溢れ出ることを前提としてエア抜き作業を行うこともできる。つまり、作業者が、ウェス等を用意して、気体排出穴220の周囲にウェスを置いておく。そして、作業者は、気体排出穴220を目視しながら、給水口250から貯水タンク182に継続的に水を投入する。この際、気体排出穴220から洗浄水が溢れ出たら、作業者は、給水を止めて、ネジ222を気体排出穴220に嵌め込む。これにより、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が完了する。なお、作業者は、気体排出穴220から溢れ出た洗浄水をウェスで拭き取る必要がある。
【0056】
このような手法により、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が完了すると、作業者は、給水コマンドのスタートボタンを操作する(S36)。この操作により、洗浄ヘッドバルブ191がコントローラ202からの指令により開弁し、加圧ポンプ190も作動する(S38)。そして、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190が作動してから所定時間経過後に、洗浄ヘッドバルブ191がコントローラ202からの指令により閉弁し、加圧ポンプ190も停止する(S40)。このように、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が実行された後に、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190も作動することで、循環装置176において洗浄水が適切に循環する。このため、作業者はノズル管理装置80にサイドカバーを取り付けて(S42)、循環装置176における循環作業が完了する。
【0057】
このように、作業者が手動で二次フィルタ188からのエア抜き作業を行うことで、循
環装置176において適切に洗浄水を循環させることができる。しかしながら、作業者による手動でのエア抜き作業は、種々の問題がある。つまり、作業者による給水と水位メータ258の確認との繰り返し作業は、作業者の負担が大きい。また、二人で給水と水位メータ258の確認とを分担した場合には、作業者が二人必要となり、他の作業が停止する虞がある。また、気体排出穴220から洗浄水が溢れ出ることを前提としたエア抜き作業では、溢れ出た水の拭き取り作業等、作業者の負担が大きい。また、ノズル管理装置80の内部で水が溢れ出ることは、当然、好ましくない。さらに言えば、気体排出穴220から取り外したネジ222を作業者が手動で気体排出穴220に嵌め込む必要があり、ネジの閉め忘れやネジの緩み等にも気を付ける必要がある。
【0058】
このようなことに鑑みて、気体排出穴220に、ネジ222の代わりに、コントローラ202の指令により自動で開閉するエア抜きバルブが連結され、そのエア抜きバルブは、配管を利用して、貯水タンク182の上限水位260より上方に位置するように配置される。具体的には、図16に示すように、二次フィルタ188の気体排出穴220に、配管270の一端が嵌め込まれ、その配管270の他端は、貯水タンク182の上限水位260の上方にまで延び出している。そして、その配管270の他端にエア抜きバルブ272が取り付けられている。なお、エア抜きバルブ272はコントローラ202に接続されており、コントローラ202の指令により自動で開閉する。このように、エア抜きバルブ272が気体排出穴220に連結されることで、二次フィルタ188におけるエア抜き作業がエア抜きバルブ272により自動で実行される。
【0059】
詳しくは、図17に示す作業手順フローを用いて説明する。まず、作業者は、給水口250に水を投入する(S50)。これにより、洗浄水が貯水タンク182に貯まり、貯水タンク182から、一次フィルタ186を経由して、洗浄水が二次フィルタ188に自然落下する。そして、作業者は、給水コマンドのスタートボタンを操作する(S52)。この操作により、二次フィルタ188に配設されたエア抜きバルブ272が、コントローラ202からの指令により開弁、つまり、自動で開弁する(S54)。この際、貯水タンク182には継続的に水が投入されており、貯水タンク182から継続的に二次フィルタ188の内部に洗浄水が流れ込んでいるため、二次フィルタ188の内部で洗浄水が順次、貯留される。つまり、二次フィルタ188の内部において、洗浄水の水位が順次、上昇する。このように、二次フィルタ188の内部において、洗浄水の水位が順次、上昇する際に、気体排出穴220からエアが抜け出して、そのエアが配管270を経由して、開弁しているエア抜きバルブ272から排出される。また、エア抜きバルブ272は、上述したように、貯水タンク182の上限水位260より上方に位置しているため、貯水タンク182に上限水位260まで洗浄水が貯留されても、エア抜きバルブ272から洗浄水が溢れ出ることはない。このため、エア抜きバルブ272を開弁した状態で、貯水タンク182に継続的に水を投入することができる。
【0060】
そして、所定時間、エア抜きバルブ272を開弁した状態で、貯水タンク182に継続的に水が投入されることで、二次フィルタ188の内部において洗浄水が流出穴232に至るまで充填される。この際、二次フィルタ188の内部のエアが全て二次フィルタ188の外部に排出されることで、二次フィルタ188におけるエア抜き作業が完了する。このため、エア抜きバルブ272が開弁してから所定時間経過した後に、エア抜きバルブ272が、コントローラ202からの指令により閉弁、つまり、自動で閉弁する(S56)。続いて、洗浄ヘッドバルブ191がコントローラ202からの指令により開弁し、加圧ポンプ190も作動する(S58)。そして、洗浄ヘッドバルブ191が開弁し、加圧ポンプ190が作動してから所定時間経過後に、洗浄ヘッドバルブ191がコントローラ202からの指令により閉弁し、加圧ポンプ190も停止する(S60)。これにより、循環装置176における循環作業が完了する。なお、循環装置176における循環作業が完了した後に、作業者は給水口250からの水の投入を停止する。
【0061】
このように、二次フィルタ188におけるエア抜き作業がエア抜きバルブ272により自動で実行されることで、作業者の手間を省くとともに、気体排出穴220から洗浄水が溢れ出ることを防止することが可能となる。また、ネジの閉め忘れ、ネジの緩み等も気を付ける必要がなくなる。さらに言えば、作業者が循環装置176を目視で確認する必要もないため、ノズル管理装置80のサイドカバーの着脱も行う必要もなくなる。
【0062】
なお、吸着ノズル60は、保持具の一例である。洗浄・乾燥機構150は、洗浄装置の一例である。貯水タンク182は、タンクの一例である。二次フィルタ188は、気体排出装置の一例である。加圧ポンプ190は、ポンプの一例である。ケース210は、ケースの一例である。除去膜212は、除去膜の一例である。気体排出穴220は、気体排出口の一例である。液体排出穴226は、液体排出口の一例である。ネジ228は、蓋部材の一例である。配管270は、配管の一例である。エア抜きバルブ272は、気体排出弁の一例である。また、S50の処理を実行する工程が、液体投入工程の一例である。S54の処理を実行する工程が、開弁工程の一例である。S58の処理を実行する工程が、ポンプ作動工程の一例である。
【0063】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0064】
循環装置176の二次フィルタ188では、ケース210の内部に除去膜212が配設されており、そのハウジングの上端面に、液体を排出するための気体排出穴220が形成され、ハウジングの下端面に、気体を排出するための液体排出穴226が形成されている。そして、液体排出穴226はネジ228により塞がれており、気体排出穴220には、気体を排出するためのエア抜きバルブ272が配設されている。これにより、気体排出穴220から好適に気体を排出することができる。
【0065】
また、二次フィルタ188では、ケース210に洗浄水が投入された後に、エア抜きバルブ272が自動で開弁し、ハウジングの内部から洗浄水を排出するための加圧ポンプ190が作動する。これにより、自動でエア抜き作業を行うとともに、循環装置176において好適に洗浄水を循環させることができる。
【0066】
また、循環装置176では、貯水タンク182に貯水された洗浄水が二次フィルタ188のケース210の内部に投入されるように構成されており、その貯水タンク182の上限水位260より上方にエア抜きバルブ272が配設されている。これにより、エア抜きバルブ272から洗浄水が溢れ出ることを防止することができる。
【0067】
また、二次フィルタ188の気体排出穴220は貯水タンク182の上限水位260より下方に位置しているが、エア抜きバルブ272は、気体排出穴220から上方に向って延び出す配管270を介して気体排出穴220に連結されることで、貯水タンク182の上限水位260より上方に配設されている。これにより、適切にエア抜きバルブ272を貯水タンク182の上限水位260より上方に配設することができる。
【0068】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施形態では、二次フィルタ188が洗浄・乾燥機構150の循環装置176において用いられているが、液体から不純物を除去する目的であれば、種々の装置,機構において用いることができる。
【0069】
また、上記実施例では、ケース210に洗浄水が投入された後に、エア抜きバルブ272が自動で開弁しているが、ケース210に洗浄水が投入される前に、エア抜きバルブ2
72が自動で開弁してもよい。また、上記実施例では、エア抜きバルブ272が自動で開弁してから、加圧ポンプ190が作動しているが、エア抜きバルブ272が自動で開弁する前に、加圧ポンプ190が作動してもよい。
【0070】
また、上記実施例では、エア抜きバルブ272が配管270を介して気体排出穴220に連結されているが、エア抜きバルブ272が直接、気体排出穴220に連結されてもよい。このような場合には、エア抜きバルブ272が貯水タンク182の上限水位260より上方に位置するように、二次フィルタ188を上方にずらして配設することが望ましい。
【0071】
また、上記実施例では、コントローラ202からの指令により自動で開閉するエア抜きバルブ272が採用されているが、手動で開閉するエア抜きバルブが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
60:吸着ノズル(保持具) 150:洗浄・乾燥機構(洗浄装置) 182:貯水タンク(タンク) 188:二次フィルタ(フィルタ) 190:加圧ポンプ(ポンプ) 210:ケース 212:除去膜 220:気体排出穴(液体排出口)
226:気体排出穴(気体排出口) 228:ネジ(蓋部材) 270:配管 272:エア抜きバルブ(気体排出弁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17